説明

自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物

【課題】 食器洗い乾燥機用洗浄機ユーザーがもっとも気にする茶渋汚れに対する洗浄力及び油再汚染防止能に優れると共に、同時にガラス、アルミ製食器の仕上がりの向上も同時に実現させる自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物及び茶渋汚れの除去方法を提供する。
【解決手段】 (A)クエン酸(塩)と、(B)高分子ポリカルボン酸(塩)と、(C)低泡性界面活性剤とを含有すると共に、上記(A)成分と(B)成分の合計含有量が10〜50質量%であり、かつ、0.2重量%水溶液のpHが6.0〜8.0であることを特徴とする自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物。
また、本発明の茶渋汚れの除去方法は、上記構成の洗浄剤組成物の水溶液を用いて、自動食器洗い乾燥機内で食器類を洗浄することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動食器洗い乾燥機ユーザーがもっとも気にする茶渋洗浄力に優れると共に、ガラス、アルミ製食器の仕上がり性も同時に向上させることができる自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動食器洗い乾燥機の普及により、自動食器洗い乾燥機専用の洗浄剤組成物が数多く知られている。
自動食器洗い乾燥機専用の洗浄剤組成物としては、例えば、下記1)〜6)の洗浄剤組成物等が知られている。
【0003】
1)非イオン界面活性剤と、カルシウムイオン捕捉キレート剤と、リパーゼと、α−アミラーゼ活性を有するアルカリ又はアリカリ耐性プルラナーゼとを含有し、0.2重量%水溶液のpHを7〜10に規定して、洗浄中の酵素の活性を高める自動食器洗浄機用洗浄剤組成物(例えば、特許文献1参照)、2)塩素漂白剤及びケイ酸塩を含まず、酵素、酵素安定化及び洗剤用界面活性剤又は洗剤用ビルダーを含み、粘弾性でチキソトロピー性を有し、液体洗浄剤組成中の酵素の安定性のためにpHを約7〜11とする液体自動皿洗い用組成物(例えば、特許文献2参照)、3)弱アルカリ性の食器洗い機用洗剤であって、クエン酸ナトリウム、炭酸水素金属アルカリ金属、漂白剤、漂白活性剤及び酵素を必須成分として含有し、1重量%水溶液の形態で、pH値が約8〜10未満、好ましくは、約9〜9.5として皮膜形成を防止する食器洗い機用洗剤(例えば、特許文献3参照)、
【0004】
4)洗剤ビルダー及びデンプン水解酵素を含有する自動式皿洗い機に使用するに適した酵素含有洗浄剤組成物において、特定の過酸素化合物系漂白剤を5〜25重量%含有して、pHを9.3〜10.8の弱アルカリ性にし、且つ塩化物(Cl-)を0.2重量%以下とすることにより銀製食器を保護する洗浄剤組成物(例えば、特許文献4参照)、5)性能・安定性を維持するために、水酸化アルキル金属塩等のアルカリ剤を含まず、金属イオン封鎖剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、有機電解質高分子重合体、アルキル脂肪族ジカルボン酸塩及び水等を含有し、0.05〜0.30質量%濃度に希釈した状態の25℃におけるpHを7.0〜9.5の範囲とする自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物(例えば、特許文献5参照)、6)運転中や運転後の自動食器洗浄機庫内及び湯気の食材臭などに対するマスキング効果の高い洗浄剤組成物として、過炭酸ナトリウムなどの酸素系漂白剤1〜20質量%と、テトラアセチルエチレンジアミンなどの漂白活性化剤0.5〜10質量%と、香料0.001〜0.1質量%と、各種界面活性剤とを含有することを特徴とする自動食器洗浄機用洗剤組成物(例えば、特許文献6参照)が知られている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2の洗浄剤組成物においては、茶渋汚れなどの洗浄力を向上させるために漂白剤の酸化力を増強させる配合組成では、酵素が漂白剤によって失活し、デンプンやタンパク汚れ等に対する洗浄力が著しく低下してしまうという課題が生じ、また、上記特許文献3及び4に記載される洗浄剤組成物のように、洗浄力を高めるために組成をアルカリ性にすると、アルミ製食器が変色したり高硬度水を供給した場合にガラス製食器が曇ったりしてしまうという課題があり、更に、上記特許文献5及び6に記載されるように、プラスチック食器等への油再汚染などを防止するため、通常用いられる各種界面活性剤を使用すると、その高い発泡性のため自動食器洗い乾燥機に負担をかけてしまうおそれがあるなどの課題がある。
【0006】
更にまた、上記特許文献1〜6には、本願発明の構成を部分的に記載するものもあるが、洗浄剤組成を中性にし、かつ、クエン酸(塩)と高分子ポリカルボン酸(塩)を同時に含有せしめると共に、特定の界面活性剤を各特定量含有して、これらの成分の相乗効果によって自動食器洗い乾燥機ユーザーがもっとも気にする茶渋汚れに対する洗浄力の向上と共に、ガラス、アルミ製食器の仕上がり性を向上させる自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物についての記載や示唆は全くないものである。
【特許文献1】特開平4−72397号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特表平7−505669号公報(請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特表平8−501598号公報(請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】特開昭60−60199号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献5】特開2002−146400号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献6】特開2003−213295号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、食器洗い乾燥機用洗浄機ユーザーがもっとも気にする茶渋汚れに対する洗浄力を向上させながら、同時にガラス、アルミ製食器の仕上がり性の向上も同時に実現させる自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物及び茶渋汚れの除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来の課題等を解決するために、各種キレート剤や高分子電解質、また、それらのpHによる作用の違いについて鋭意検討を行ったところ、a)キレート剤としてクエン酸(塩)と高分子ポリカルボン酸(塩)を併用すること、b)洗浄中の洗浄液のpHが6.0〜8.0となるように、クエン酸(塩)及び/又は高分子ポリカルボン酸の中和率を調整すること、c)洗浄液中に洗い落とされた汚れ成分が食器に再付着するのを防ぐと共に、ガラス、アルミ製食器の仕上がり性も向上させるために、特定の低泡性界面活性剤を含有せしめることにより、初めて、自動食器洗い乾燥機用ユーザーがもっとも気にする茶渋汚れに対する洗浄力に優れると同時に、ガラス、アルミ製の食器の洗い上がりが格段に向上することを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) (A)クエン酸(塩)と、(B)高分子ポリカルボン酸(塩)と、(C)低泡性界面活性剤とを含有すると共に、上記(A)成分と(B)成分の合計含有量が10〜50質量%であり、かつ、0.2重量%水溶液のpHが6.0〜8.0であることを特徴とする。
(2) (C)低泡性界面活性剤が、下記一般式(I)で表され、かつ下記式(II)を満足するポリオキシエチレンアルキルエーテルの末端に、炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加重合した下記一般式(III)で表される非イオン界面活性剤である上記(1)記載の自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物。
【化4】

【化5】

【化6】

(3) (A)クエン酸(塩)と、(B)高分子ポリカルボン酸(塩)と、(C)低泡性界面活性剤とを含有すると共に、上記(A)成分と(B)成分の合計含有量が10〜50質量%であり、かつ、0.2重量%水溶液のpHが6.0〜8.0である洗浄剤組成物の水溶液を用いて、自動食器洗い乾燥機内で食器類を洗浄することを特徴とする茶渋汚れの除去方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、食器洗い乾燥機用洗浄機ユーザーがもっとも気にする茶渋汚れに対する洗浄力に優れると共に、同時にガラス、アルミ製食器の仕上がり性の向上も同時に実現させる自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物及び茶渋汚れの除去方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物は、(A)クエン酸(塩)と、(B)高分子ポリカルボン酸(塩)と、(C)低泡性界面活性剤とを含有すると共に、上記(A)成分と(B)成分の合計含有量が10〜50質量%であり、かつ、0.2重量%水溶液のpHが6.0〜8.0であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に用いる(A)成分のクエン酸(塩)と(B)成分の高分子ポリカルボン酸(塩)は、キレート剤として組み合わせて用いるものである。
用いる(A)成分のクエン酸(塩)としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウムなどの少なくとも1種(各単独又は2種以上組み合わせ、以下同様)が挙げられる。
また、(B)成分の高分子ポリカルボン酸(塩)としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、(メタ)アクリル酸−マレイン酸共重合体又はその塩、エチレン−マレイン酸共重合体又はその塩が挙げられるが、特にアクリル酸/マレイン酸共重合体が好ましく、共重合比(モル比)は75/25〜50/50で重量平均分子量が1万〜10万であるものが好ましい。また、塩としてはナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
【0012】
これらの(A)成分のクエン酸(塩)と(B)成分の高分子ポリカルボン酸(塩)の合計含有量は、洗浄剤組成物全量に対して、10〜50質量%とすることが必要であり、好ましくは、12〜50質量%とすることが望ましい。
この合計含有量が10質量%未満であると、茶渋洗浄力が不十分となり、一方、50質量%を越えると、コスト高となるため、好ましくない。
更に、本発明の効果をより効果的に発揮せしめるために、上記(A)成分のクエン酸(塩)と(B)成分の高分子ポリカルボン酸(塩)の含有比〔(A)/(B)〕を、1/9〜9/1とすることが好ましく、更に好ましくは、2/8〜8/2とすることが望ましい。
【0013】
本発明に用いる(C)成分の低泡性界面活性剤は、食器洗い乾燥機用の洗浄成分として効果的に洗浄力を発揮せしめると共に、低発泡性とし、かつ、ガラス製やアルミ製食器の仕上がり性を向上せしめるために含有するものである。
用いる(C)成分の低泡性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、炭素数20〜24のアルキルベンゼンスルホン酸Na、アルカノイルモノ(ジ)エタノールアミド、下記一般式(I)で表され、かつ下記式(II)を満足するポリオキシエチレンアルキルエーテルの末端に、炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加重合した下記一般式(III)で表される非イオン界面活性剤などの少なくとも1種が挙げられるが、これらの中で、更なる低泡性の点から、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、一般式(III)で表される非イオン界面活性剤が好ましい。
【化7】

【化8】

【化9】

【0014】
上記一般式(III)のポリオキシアルキレンアルキルエーテルの出発原料であるアルコールとしては、炭素数2〜30の直鎖または分岐の一級又は二級アルコールが好ましく、より好ましくは炭素数6〜20のアルコールが望ましい。これらのアルコールは、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
また、上記一般式(III)のポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるエチレンオキサイドの平均付加モル数nは、1〜20が好ましく、より好ましくは2〜10である。
更に、上記一般式(III)のポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおいて、エチレンオキサイドは狭い付加モル分布でアルコールに付加していることが必要であり、具体的には、下記式(IV)を満たす必要があり、好ましくはナロー度≧70質量%である。
【化10】

【0015】
上記ナロー度を表す方式は、例えば、付加モル数n=7のものが多いとすると、付加モル数5〜9のものがポリオキシエチレンアルキルエーテル中の55質量%以上を占めることを意味する。
【0016】
本発明の条件を満たす狭いエチレンオキサイド付加モル分布をもったポリオキシエチレンアルキルエーテルの製造法は、特に限定されるものではなく、高級アルコールとエチレンオキサイドから常法により合成した反応生成物から、蒸留等により必要分子量範囲のものを分取することにより得られる。
また、特開平1−164437号公報及び特開2000−61304号公報記載の方法を用いれば、エチレンオキサイド付加モル分布をもったポリオキシエチレンアルキルエーテルを容易に得ることができる。
狭いエチレンオキサイド付加モル分布をもつポリオキシエチレンアルキルエーテルに、炭素数3以上のアルキレンオキサイド、好ましくは炭素数3〜4のアルキレンオキサイドを付加重合することにより、上記一般式(III)に示す非イオン界面活性剤が得られる。なお、本発明では炭素数3と4等の混合アルキレンオキサイドを付加重合せしめてもよい。
【0017】
アルキレンオキサイドの付加モル数mは、1〜20が好ましく、より好ましくは2〜10である。アルキレンオキサイドの付加する位置については、ポリオキシエチレンアルキルエーテル構造の末端にアルキレンオキサイドをブロック重合した時に、最も低起泡性であり、浸透性に優れた非イオン界面活性剤が得られるものである。
【0018】
上記の狭いエチレンオキサイド付加モル分布をもったポリオキシエチレンアルキルエーテルに、更に炭素数3以上のアルキレンオキサイドを付加重合して得る方法は、特に限定されない。
しかしながら、例えば、特開平1−164437号公報及び特開2000−61304号公報記載の方法により、アルキレンオキサイドもまた狭い付加モル分布で付加重合した場合には、アルカリ触媒により、アルキレンオキサイドを広い付加モル分布で付加重合した場合に較べ、より優れた低起性及び浸透力を示す。この製造方法によれば、3価のアルミニウム(Al)イオン、ガリウム(Ga)イオン、インジウム(In)イオン、タリウム(Tl)イオン、コバルト(Co)イオン、スカンジウム(Sc)イオン、ランタン(La)イオン及び2価のマンガン(Mn)イオンから選ばれる金属イオンの1種以上が添加された酸化マグネシウムからなる非強塩基性アルコキシル化触媒の存在下にアルキレンオキサイドを付加重合させることができる。
【0019】
これらの(C)成分の合計含有量は、洗浄剤組成物全量に対して、好ましくは、0.5〜20質量%、更に好ましくは、1〜10質量%とすることが望ましい。
この(C)成分の含有量が0.5質量%未満であると、食器の仕上がりが不十分となる場合があり、一方、20質量%を越えると、効果が飽和するので、好ましくない。
【0020】
本発明の自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物では、上記(A)〜(C)成分の他に、酵素を更に含有せしめることで、茶渋汚れに対する高洗浄力やガラス、アルミ製食器の良好な仕上がり以外に、デンプンやタンパクの汚れなどに対する洗浄力も更に向上させることができることとなる。
【0021】
用いることができる酵素としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼなどを使用することができ、その含有量は、洗浄剤組成物全量に対して、好ましくは、0.5〜10質量%の範囲で用いられる。
【0022】
更に、これらの成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲内で、その他任意成分としては、剤形(液体型、粉末型)などに応じて、例えば、エタノール、プロピレングリコールや精製水等の溶媒類や、無機金属塩、有機性及び/又は無機性の固形化剤、植物抽出物、抗菌・殺菌剤、消臭剤、安定剤、イオン性界面活性剤、高分子、無機塩類等、洗浄機用洗浄剤中に一般的に含有されている物質を適宜量含有することもできる。
【0023】
本発明の自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物では、pHが中性付近で、上記(A)成分のクエン酸(塩)と(B)成分のポリカルボン酸(塩)とを併用することにより、初めて、茶渋汚れに対する洗浄力が著しく向上することできる点から、0.2重量%水溶液のpHを6.0〜8.0とすることが必要である。
この0.2重量%水溶液のpHを6.0〜8.0とするためには、pH調整剤を用いることにより調整することができる。本発明では、上記(A)成分としてクエン酸を使用した場合には、キレート剤としての機能の他、pH調整剤としても機能するものである。
このpHが6.0〜8.0の範囲外であると、上記(A)成分と(B)成分との相乗効果が発揮されず、pHが6未満の場合アルミ食器の仕上がりが悪化し、また、pHが8を超える場合は茶渋洗浄力が低下するものとなる。
【0024】
このように構成される本発明の自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物では、(A)クエン酸(塩)と、(B)高分子ポリカルボン酸(塩)と、(C)低泡性界面活性剤とを含有すると共に、上記(A)成分と(B)成分の合計含有量を10〜50質量%とし、かつ、0.2重量%水溶液のpHを6.0〜8.0とすることにより、初めて、食器洗い乾燥機用洗浄機ユーザーがもっとも気にする茶渋汚れに対する洗浄力に優れると共に、ガラス、アルミ製食器の仕上がり性の向上も同時に実現させる自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物が得られるものとなる。
また、本発明の自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物では、上記各成分を常法により混合等することにより液体型、粉末型の各形態の洗浄剤組成物として製造することができ、好ましくは、取り扱い性、使用性などの点から液体型の洗浄剤組成物として製造・使用することが望ましい。
更に、本発明の茶渋汚れの除去方法は、(A)クエン酸(塩)と、(B)高分子ポリカ
ルボン酸(塩)と、(C)低泡性界面活性剤とを含有すると共に、上記(A)成分と(B)成分の合計含有量が10〜50質量%であり、かつ、0.2重量%水溶液のpHが6.0〜8.0である洗浄剤組成物の水溶液を用いて、自動食器洗い乾燥機内で食器類を洗浄することにより、食器洗い乾燥機用洗浄機ユーザーがもっとも気にする茶渋汚れを極めて簡単に、かつ、確実に洗浄することができると共に、ガラス、アルミ製食器の仕上がり性の向上も同時に実現させることができるものとなる。
【実施例】
【0025】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0026】
〔実施例1〜8及び比較例1〜4〕
下記表1及び表2に示す配合組成で、下記各方法により粉末型又は液体型の自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物を調製した。なお、上記一般式(III)で表される非イオン界面活性剤は、下記記載の製造例1で製造したものを用いた。
粉末型では、リボンミキサーを用い、クエン酸(塩)、高分子、炭酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウム(無水芒硝)を混合、その後、ローズマリーエキスと香料を噴霧混合した後、無水ケイ酸を加えて混合し、最後に、漂白剤、漂白活性化剤、酵素を加えて混合して平均粒径200〜800μmの粉末型自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物を調製した。
液体型では、ビーカー内でスリーワンモーターと撹拌羽根を用いて各成分を混合して液体型の自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物を調製した。
【0027】
(製造例1)
溶液aとして、硝酸マグネシウム6水和物68.03gに、硝酸アルミニウム9水和物47.69g、硝酸マンガン6水和物24.43gを450gの脱イオン水で溶解した。溶液bとして、炭酸ナトリウム13.47gを450gの脱イオン水で溶解した。
溶液aと溶液bとを、予め1800gの脱イオン水を仕込んだ触媒調製槽に、NaOH水溶液でpH=9,温度を45℃に保ちながら45分で滴下した。1時間熟成した後、母液をろ別し、沈殿を6リットルの脱イオン水で洗浄し、噴霧乾燥することにより30gの複合金属水酸化物を得た。
これを窒素雰囲気下800℃で焼成することで、酸化マグネシウムを主成分とする複合金属酸化物触媒19gを得た。
次に、オートクレーブ中にNeodol23(C12,13:シェル社製)を120g及び上述の触媒0.3gを仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、攪拌しながら昇温した。続いて、温度を180℃、圧力を3atmに維持しつつ、エチレンオキサイド82gを導入し、反応させた。得られたポリオキシアルキレンエーテルの平均エチレンオキサイド付加モル数は3であった。また、そのエチレンオキサイド付加モル分布は、図1の曲線のようであり、ナロー度87.5質量%であった。
更に、オートクレーブの温度180℃、圧力を3atmに維持しつつ、プロピレンオキサイド108gを導入し、反応させた。得られたポリオキシアルキレンエーテルの平均プロピレンオキサイド付加モル数は3であった。反応液を80℃まで冷却した後、触媒を濾別した。このようにして得られた非イオン界面活性剤を使用した。
【0028】
得られた各自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物について、下記評価方法により、茶渋洗浄力、ガラスの曇り洗浄力、アルミの腐食防止能及び油再汚染防止能について評価した。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
【0029】
〔茶渋洗浄力の評価法〕
紅茶を飲み干してから25℃、50%RH条件下に5日間放置した紅茶汚垢の付いたコーヒーカップ(内径70mm、高さ70mm)3個を自動食器洗い乾燥機「松下電器産業(株)製、機種NP−40SX2」に装填し、調製した組成物6gを使用して標準コース洗浄を行い、仕上がり具合を以下の評価基準に基づいて官能評価した。
評価基準:
◎:汚れは全く残留しておらず、ざらつき等の違和感も感じられない。
○:汚れの残留は目視では認められないが、触ると若干のざらつき等の違和感を感じる。
△:汚れの残留が目視で若干認められる。
×:汚れが落ちていない。
【0030】
〔ガラスの曇り洗浄力の評価法〕
ガラスコップ(上径63mm、下径53mm、高さ100mm)を自動食器洗い乾燥機に充填し、炭酸ナトリウム1.2gを機内に入れ、洗浄〜すすぎの全行程を30度硬水で行うことにより得られた白化したコップを自動食器洗い乾燥機「松下電器産業(株)製、機種NP−40SX2」に装填し、調製した組成物6gを使用して標準コース洗浄を行い、仕上がり具合を以下の評価基準に基づいて官能評価した。
評価基準:
◎:白化物は全く残留しておらず、ざらつき等の違和感も感じられない。
○:部分的にかすかに白化物の残留が認められる。
△:白化物の残留が目視で若干認められ、全体的に透明感が失われている。
×:白化物が落ちていない。
【0031】
〔アルミの腐食防止能の評価法〕
自動食器洗い乾燥機「松下電器産業(株)製、機種NP−40SX2」にアルミ箔を取り付け、調製した組成物6gを使用して標準コース洗浄を行い、アルミ箔の状態を以下の評価基準に基づいて官能評価した。
評価基準:
◎:変色、破れなどが全くない。
○:わずかな変色、変質が認められる。
△:明らかに変色、変質し表面の輝きが失われている。
×:完全に変色、変質し部分的に破れたり穴が空いている。
【0032】
〔油再汚染防止能の評価法〕
牛脂/ラード/バター/サラダ油=3/3/3/1の混合油3gとレトルトカレー(盆カレーゴールド21辛口)3gで汚染したポリプロピレン製弁当箱(縦110mm、横170mm、高さ35mm。)を自動食器洗い乾燥機「松下電器産業(株)製、機種NP−40SX2」に装填し、調製した組成物6gを使用して標準コース洗浄を行い、仕上がり具合を以下の評価基準に基づいて官能評価した。
評価基準:
◎:油は全く残留しておらず、ヌルつき等の違和感も感じられない。
○:油の残留は目視では認められないが、触ると若干のヌルつき等の違和感を感じる。
△:油の残留が目視で若干認められる。
×:油がべっとりと残っている。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
なお、上記表1及び表2中の各成分は、下記表3に示す、原料名、メーカーのものを用いた。
【表3】

【0036】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜8は、本発明の範囲外となる比較例1〜4に較べて、食器洗い乾燥機用洗浄機ユーザーがもっとも気にする茶渋汚れに対する洗浄力及び油再汚染防止能に優れると共に、同時にガラス、アルミ製食器の仕上がりの向上も同時に実現できることが判った。
これに対して、比較例を個別的に見ると、比較例1では、pHが10.2であるため、ガラス、アルミ製食器の仕上がり性を向上させることができず、比較例2では(A)成分又は(B)成分が含有されないものであるため、茶渋汚れに対する洗浄力に劣ることとなり、比較例3では、pHが4であるため、アルミ製食器の仕上がり性を向上させることはできず、比較例4では(C)成分としてアルキル炭素鎖長が12のアルキルベンゼンスルホン酸Naを用いたため、著しい発泡が起こり、食器洗い乾燥機の運転が停止してしまうことが判った。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】製造例1で得られたポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキサイド付加モル分布を示す図面であり、縦軸はエチレンオキサイド付加成分の質量%を示し、横軸はEO(エチレンオキサイド)付加モル数を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)クエン酸(塩)と、(B)高分子ポリカルボン酸(塩)と、(C)低泡性界面活性剤とを含有すると共に、上記(A)成分と(B)成分の合計含有量が10〜50質量%であり、かつ、0.2重量%水溶液のpHが6.0〜8.0であることを特徴とする自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物。
【請求項2】
(C)低泡性界面活性剤が、下記一般式(I)で表され、かつ下記式(II)を満足するポリオキシエチレンアルキルエーテルの末端に、炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加重合した下記一般式(III)で表される非イオン界面活性剤である請求項1記載の自動食器洗い乾燥機用洗浄剤組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

【請求項3】
(A)クエン酸(塩)と、(B)高分子ポリカルボン酸(塩)と、(C)低泡性界面活性剤とを含有すると共に、上記(A)成分と(B)成分の合計含有量が10〜50質量%であり、かつ、0.2重量%水溶液のpHが6.0〜8.0である洗浄剤組成物の水溶液を用いて、自動食器洗い乾燥機内で食器類を洗浄することを特徴とする茶渋汚れの除去方法。




【図1】
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【公開番号】特開2006−152287(P2006−152287A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321424(P2005−321424)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】