説明

自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物

【課題】液性が中性で、環境安全性、作業安全性に優れるとともに、アルカリ性洗浄剤と遜色のない優れた洗浄性能と貯蔵安定性を有する1剤で使用可能な自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)非イオン界面活性剤1〜15質量%、(B)有機酸若しくはその水溶性塩から選ばれる少なくとも1種の有機酸類2.5〜15質量%、(C)酵素0.5〜5質量%、(D)水溶性溶剤10〜40質量%、(E)可溶化剤、(F)カルシウム添加剤、(G)水を含有し、且つ、洗浄剤原液のpH(JIS−Z−8802:1984「pH測定方法」)が25℃で、6.0〜8.0に設定されていることを特徴とする自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
液性が中性で、環境安全性、作業安全性に優れるとともに、アルカリ性洗浄剤と遜色のない、優れた洗浄性能と貯蔵安定性を有する自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホテル、レストラン、学校、病院、飲食店、給食会社、会社の食堂等において、使用後の食器を効率よく洗浄するため、自動食器洗浄機が広く用いられている。また、食器に限らず、各種製造工場,加工工場等においても、器具や容器、流通に用いられるプラスチックコンテナ等を洗浄するために自動洗浄機が用いられている。
【0003】
これらの自動洗浄機に用いられる洗浄剤としては、粉体投入タイプ、カートリッジタイプ、固形タイプおよび液体タイプがある。これらのうち、上記粉体投入タイプ、カートリッジタイプ、固形タイプは、洗浄剤を供給する装置の設置が複雑で、その設置場所にも制約があるのに対し、液体タイプは、供給装置が小型で設置が簡単である。そして、装置の設置場所の制約も少ない。そのため、小規模店舗や、自動洗浄機周りのスペースに余裕のない厨房等では、液体洗浄剤の使用が好まれている。
【0004】
しかしながら、上記液体洗浄剤には、通常、強固な油脂汚れを落とすことを目的として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属塩が、通常10〜50質量%(以下「%」と略す)程度配合されており、水酸化アルカリ金属塩を5%を超えて含む洗浄剤は、「医薬用外劇物」である。このため、液体洗浄剤は、安全性の点から専門的な知識や取り扱いに注意を要するだけでなく、上記水酸化アルカリ金属塩が、ガラス製食器表面を浸食したりアルミ製食器・調理器具を黒変させるおそれがあることや、万が一に飛散し皮膚に付着した際には強い刺激性を与えるといった課題を有している。さらに、こうした安全性を配慮する上から、肉厚で頑丈なプラスチック容器に収容されているため、コスト高になる等の問題を有している。
【0005】
そこで、最近では、上記水酸化アルカリ金属塩に代えて、よりマイルドなアルカリ剤の使用や、油脂汚れに対して高い洗浄性能を有する各種界面活性剤の配合が要求されるようになっているが、上記界面活性剤には、泡立ちが多くポンプを介したノズル噴射式の機械洗浄に適していないものや、洗浄剤組成物のアルカリ等によって容易に分解してしまうもの等が多い。一方、泡立ちや分解のない界面活性剤を用いたものは、洗浄剤組成物が分離・沈殿等を起こし、使用時における均質な液体洗浄剤組成物が得られにくいという問題がある。
【0006】
これに対し、例えば、主成分としての洗浄剤と、補助洗浄成分としての界面活性剤とを分離した、2成分系の洗剤およびその洗剤の供給装置が提案されている(特許文献1参照)。このものは、弱アルカリ性で、従来のものに比べて安全性に優れている反面、洗剤が2種以上に分離しているため、各成分が等しい割合で消費されずに不揃いで残るという問題や、専用の洗剤供給装置の作動にトラブルが生じると各成分の混合比が乱れて、均質な洗い上がりが得られない等の問題がある。
【0007】
また、低泡性非イオン界面活性剤、洗浄ビルダー、特定の脂肪族カルボン酸を必須成分とし、上記低泡性非イオン界面活性剤が比較的多く配合されているにもかかわらず、全体が均質で安定な自動食器洗浄機用洗浄剤が提案されている(特許文献2参照)が、このものは、澱粉汚れに対して洗浄力が不充分である等の問題がある。
【0008】
一方、澱粉等の汚れに対しては、アミラーゼ等の酵素を配合に加えることが提案されている(特許文献3〜8参照)。しかしながら、酵素を液体洗剤に配合することは、貯蔵時における酵素活性の失活の問題があり、酵素活性安定性の面で充分とはいえない。
【0009】
また、酵素の劣化を損なわないように、酵素と他の成分を2液に分け、その2液を別々に投入する方法も提案されている(特許文献9、10参照)が、これらは、酵素の劣化が少ないものの、供給装置が2つ必要となり、設置の簡素化という液体洗剤特有のメリットが失われてしまうという問題がある。
【特許文献1】特許第2921791号公報
【特許文献2】特許第2937635号公報
【特許文献3】特開昭63−161092号公報
【特許文献4】特開昭63−245500号公報
【特許文献5】特開平03−56600号公報
【特許文献6】特開昭63−186800号公報
【特許文献7】特表平7−505669号公報
【特許文献8】特表2004−525219号公報
【特許文献9】特許第3342702号公報
【特許文献10】特表平10−509990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、作業安全性、環境安全性に優れ、2液以上に分かれた洗剤を併用する煩雑さを解消し、1液で従来と同等かそれ以上の洗浄性能や貯蔵安定性等を兼ね備えた新しい組成の洗浄剤組成物の開発が強く望まれている。そして、油脂汚れはもとより、澱粉汚れおよび蛋白質汚れに対しても優れた洗浄性能を有する中性の自動食器洗浄機用洗浄剤が望まれている。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、作業安全性、環境安全性に優れるとともに、アルカリ性洗浄剤と遜色のない優れた洗浄性能と貯蔵安定性を有し、1液で使用可能な自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A)〜(D)成分を、組成物全体に対し下記の割合で含有するとともに、下記の(E)〜(G)成分を含有し、組成物の25℃におけるpH(JIS−Z−8802:1984「pH測定方法」)が、6.0〜8.0に設定されていることを特徴とする自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物を第1の要旨とする。
(A)非イオン界面活性剤、1〜15%
(B)有機酸およびその水溶性塩から選ばれる少なくとも1種の有機酸類、2.5〜15%
(C)酵素、0.5〜5%
(D)水溶性溶剤、10〜40%
(E)可溶化剤
(F)カルシウム添加剤
(G)水
【0013】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記(A)成分の非イオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、多価アルコールのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種である自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物を第2の要旨とする。
【0014】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記(B)成分における有機酸が、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、琥珀酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、メチルグリシン二酢酸、L−グルタミン酸二酢酸、グリコール酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、3−ヒドロキシ−2,2′−イミノジコハク酸である自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物を第3の要旨とし、上記(C)成分の酵素が、α−アミラーゼである自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物を第4の要旨とする。
【0015】
そして、本発明は、それらのなかでも、特に、上記(D)成分の水溶性溶剤が、エチルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンから選ばれる少なくとも1種である自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物を第5の要旨とし、上記(E)成分の可溶化剤が、キシレンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種である自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物を第6の要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物は、洗浄剤原液の液性が中性で、環境安全性、作業安全性に優れるとともに、アルカリ性洗浄剤と遜色のない優れた洗浄性能と貯蔵安定性を達成している。そして、ガラス製食器やアルミニウム製食器・調理器具の表面はもとより、食器類の表面に金線、銀線や絵柄の施された被洗浄物に対しても悪影響を及ぼすことがなく、すすぎ後の仕上がり性にも優れている。
【0017】
しかも、従来の洗浄剤組成物がアルカリ剤を主剤とするアルカリ性の洗浄剤組成物であったのに対して、本発明は、非イオン界面活性剤(A成分)、有機酸類(B成分)、酵素(C成分)、水溶性溶剤(D成分)、可溶化剤(E成分)、カルシウム添加剤(F成分)を主剤とする中性の洗浄剤組成物であるため、万が一、皮膚に付着するようなことがあったとしても、その刺激性は従来と比べてはるかに低い。また、上記主剤の一つとして用いられている酵素の活性が、長期にわたって安定的に維持されるため、酵素由来の優れた洗浄特性を備えている。
【0018】
さらに、従来のような肉厚のプラスチック容器に収容する制限を受けず、肉薄のプラスチック容器や、パウチ等の袋体に収容することが可能となるため、取り扱い性、コストの点で有利であるのみならず、環境への負荷が小さい。そして、従来のアルカリ性洗浄剤では、適宜、廃水処理設備等に応じて、洗浄廃液を酸で中和する作業が必要であったが、本発明の自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物では、こうした中和作業も必要としないといった利点を有している。
【0019】
したがって、本発明の自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物は、食器、ガラス、陶磁器、金属、プラスチック等の硬表面の洗浄用途や、食器に限らず、各種製造工場,加工工場等における器具や容器、流通に用いられるプラスチックコンテナ等を洗浄するための自動洗浄機用途としても使用可能である。この外、食品工場・食品加工工場等のタイル、床等の硬表面の洗浄、飲料用のガラス瓶・ビール瓶等の容器洗浄、金属表面洗浄等に、広く用いることができる。特に、ホテル、レストラン、学校、病院、飲食店、給食会社、会社の食堂等における自動食器洗浄機に用いるのに好適である。そして、液性が中性であることから、上記自動食器洗浄機の本洗浄やその予備洗浄(浸漬)での使用はもとより、手洗いによる食器の洗浄用途においても有効に供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0021】
まず、本発明の自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物(以下、「洗浄剤組成物」と略す)は、その主成分として、(A)非イオン界面活性剤、(B)有機酸類、(C)酵素、(D)水溶性溶剤、(E)可溶化剤、(F)カルシウム添加剤、および(G)水を含有することを特徴としている。
【0022】
上記(A)成分の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、多価アルコールのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびプロピレングリコール脂肪酸エステル等があげられる。
【0023】
なかでも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、多価アルコールのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物の少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】
これらの非イオン界面活性剤について、より詳しく述べると、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、炭素数が6〜24の直鎖または分岐のアルコールにエチレンオキサイド(EO)を1〜40モルとプロピレンオキサイド(PO)を1〜50モルとを付加したポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜5の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜15モルとPOを1〜50モルとを付加しEO/POの重量比が0.05〜1の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等があげられる。
【0025】
そして、プルロニック型ブロックポリマーとしては、平均分子量が500〜10,000の範囲にありEO/POの重量比が0.05〜4.0の範囲にあるプルロニック型ブロックポリマー、平均分子量が500〜10,000の範囲にありEOの含有率が総平均分子量の5%〜80%の範囲にあるプルロニック型ブロックポリマー、平均分子量が500〜10,000の範囲にありEO/POの重量比が0.05〜1の範囲にあるプルロニック型ブロックポリマー等があげられる。
【0026】
そして、リバースプルロニック型ブロックポリマーとしては、平均分子量が500〜10,000の範囲にありEO/POの重量比が0.05〜1の範囲にあるリバースプルロニック型ブロックポリマーがあげられる。
【0027】
さらに、多価アルコールのEO・PO付加物としては、トリメチロールプロパンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加したものがあげられ、グリセリンのEO・PO付加物としては、グリセリンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加したものがあげられる。
【0028】
上記非イオン界面活性剤は、洗浄性、被洗物への油の再付着防止性、並びに抑泡性の向上を目的として配合されるもので、各々単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。特に、下記のように組み合わせることが、洗浄性、被洗物への油の再付着防止性、並びに抑泡性の向上の点で好適である。
【0029】
(1)炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が2〜5の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−1)と、炭素数6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜2の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−2)と、トリメチロールプロパンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加した多価アルコールのEO・PO付加物(b)とからなる3種の組み合わせ。
【0030】
(2)炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が2〜5の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−1)と、炭素数6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜2の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−2)と、グリセリンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加したグリセリンのEO・PO付加物(c)とからなる3種の組み合わせ。
【0031】
(3)炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が2〜5の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−1)と、炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜2の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−2)と、炭素数6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜15モルとPOを1〜50モルとを付加しEO/POの重量比が0.05〜0.5の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−3)と、トリメチロールプロパンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加した多価アルコールのEO・PO付加物(b)とからなる4種の組み合わせ。
【0032】
(4)炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が2〜5の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−1)と、炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜2の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−2)と、炭素数6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜15モルとPOを1〜50モルとを付加しEO/POの重量比が0.05〜0.5の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−3)と、グリセリンにEOを3〜45モルとPO15〜120モルとを付加したグリセリンのEO・PO付加物(c)とからなる4種の組み合わせ。
【0033】
(5)炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜2の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−2)と、炭素数6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜15モルとPOを1〜50モルとを付加しEO/POの重量比が0.05〜0.5の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−3)と、トリメチロールプロパンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加した多価アルコールのEO・PO付加物(b)とからなる3種の組み合わせ。
【0034】
(6)炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜2の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−2)と、炭素数6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜15モルとPOを1〜50モルとを付加しEO/POの重量比が0.05〜0.5の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−3)と、グリセリンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加したグリセリンのEO・PO付加物(c)とからなる3種の組み合わせ。
【0035】
(7)炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜2の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−2)と、トリメチロールプロパンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加した多価アルコールのEO・PO付加物(b)あるいはグリセリンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加したグリセリンのEO・PO付加物(c)とからなる2種の組み合わせ。
【0036】
(8)炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜2の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−2)と、平均分子量が500〜10,000の範囲にありEO/POの重量比が0.05〜0.5の範囲にあるプルロニック型ブロックポリマー(d−1)あるいは平均分子量が500〜10,000の範囲にありEO/POの重量比が0.05〜0.5の範囲にあるリバースプルロニック型ブロックポリマー(e−1)と、トリメチロールプロパンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加した多価アルコールのEO・PO付加物(b)あるいはグリセリンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加したグリセリンのEO・PO付加物(c)とからなる3種の組み合わせ。
【0037】
(9)炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜2の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−2)と、平均分子量が500〜10,000の範囲にありEO/POの重量比が0.5〜4.0の範囲にあるプルロニック型ブロックポリマー(d−2)あるいは平均分子量が500〜10,000の範囲にありEO/POの重量比が0.5〜1.0の範囲にあるリバースプルロニック型ブロックポリマー(e−2)と、トリメチロールプロパンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加した多価アルコールのEO・PO付加物(b)あるいはグリセリンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加したグリセリンのEO・PO付加物(c)とからなる3種の組み合わせ。
【0038】
(10)炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜2の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−2)と、トリメチロールプロパンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加した多価アルコールのEO・PO付加物(b)と、グリセリンにEOを3〜45モルとPOを15〜120モルとを付加したグリセリンのEO・PO付加物(c)とからなる3種の組み合わせ。
【0039】
(11)炭素数が6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜20モルとPOを1〜20モルとを付加しEO/POの重量比が0.5〜2の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−2)と、炭素数6〜18の直鎖または分岐のアルコールにEOを1〜15モルとPOを1〜50モルとを付加しEO/POの重量比が0.05〜0.5の範囲にあるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(a−3)とからなる2種の組み合わせ。
【0040】
とりわけ、洗浄性能、抑泡性の点から、上記、(5)、(6)、(7)、(8)、(10)および(11)のいずれかの組み合わせが、特に好適である。
【0041】
このような(A)成分である非イオン界面活性剤の配合量は、洗浄剤組成物全体に対し、1〜15%の範囲内に設定される。すなわち、1%未満の配合量では、所望の洗浄性能に乏しく、一方、15%を超えると、全体のバランスから洗浄剤系の安定性が悪くなるとともに、他成分との相乗効果がそれ以上得られないからである。なお、特に、3〜10%の範囲に設定することが、洗浄性能、洗浄剤系の安定性、コストの点から好適である。
【0042】
また、本発明に用いられる(B)成分の有機酸類は、洗浄性能の向上を目的として配合されるもので、具体的には、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、琥珀酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、メチルグリシン二酢酸、L−グルタミン酸二酢酸、グリコール酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、3−ヒドロキシ−2,‘2−イミノジコハク酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、2−ヒドロキシ−1,3−ジアミノプロパン四酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸からなる有機酸、もしくはその水溶性塩があげられる。
【0043】
これらの有機酸類は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、なかでも、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、琥珀酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、メチルグリシン二酢酸、L−グルタミン酸二酢酸、グリコール酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、3−ヒドロキシ−2,2′−イミノジコハク酸からなる有機酸もしくはその水溶性塩を、単独または2種以上で用いることが、酵素安定性、洗浄剤系の安定性、洗浄性能、およびコスト面の点から好ましい。
【0044】
そして、とりわけ、洗浄性能、洗浄剤組成物の溶解性の点から、上記有機酸類の少なくとも一部が、ナトリウム塩,カリウム塩,アンモニウム塩,マグネシウム塩,アミン塩,エタノールアミン塩の少なくとも1種であることが好ましい。
【0045】
上記有機酸類の配合量は、洗浄剤組成物全体に対し、2.5〜15%の範囲内に設定される。すなわち、2.5%未満の配合量では、充分な洗浄性能を得られにくく、一方、15%を超えると、全体のバランスから洗浄剤系の安定性が悪くなるためである。なかでも、洗浄性能および洗浄剤系の安定性の点から、4〜12%に設定することが好ましい。
【0046】
さらに、本発明に用いられる(C)成分の酵素としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、グルカナーゼ等があげられ、なかでも、洗浄性能、コスト面の点から、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼが好ましく用いられる。これらの酵素は、他の洗浄剤成分では補いにくい特定の洗浄効果を、その酵素活性によって得るために用いられるもので、その効果およびコストの面から、α−アミラーゼを用いることが、特に好適である。
【0047】
これらの酵素は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は、洗浄剤組成物全体に対し、0.5〜5%の範囲に設定される。すなわち、0.5%未満の配合量では、他成分とのバランスから洗浄性能の向上に乏しく、一方、5%を超えると、他成分との相乗効果がそれ以上得られないばかりか、コスト的にも不利となるからである。なかでも、洗浄性能およびコスト面の点から、1〜3%の範囲に設定することが好ましい。
【0048】
また、本発明に用いられる(D)成分の水溶性溶剤としては、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤等があげられる。そして、アルコール系溶剤としては、エチルアルコール、イソプロパノール、3−メトキシブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン等があげられる。
【0049】
また、グリコールエーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール等があげられる。
【0050】
これらの水溶性溶剤は、系を安定に保つために用いられるもので、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、エチルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンのいずれかを、単独または2種以上で用いることが、酵素安定性、洗浄剤系の安定性の点から好ましい。
【0051】
上記水溶性溶剤の配合量は、洗浄剤組成物全体に対し、10〜40%の範囲内に設定される。すなわち、10%未満の配合量では、充分な酵素安定性を得られにくく、一方、40%を超えると、酵素安定性の向上がそれ以上得られないと共に全体のバランスから洗浄剤系の安定性が悪くなるからである。なお、15〜35%の範囲に設定することが、酵素安定性の向上およびコスト面の点から好ましく、20〜30%の範囲に設定することが、さらに好ましい。
【0052】
さらに、本発明に用いられる(E)成分の可溶化剤は、(A)成分である非イオン界面活性剤と(B成分)である有機酸類とを、洗浄剤組成物中に安定的に可溶化させることを目的として配合されるもので、具体的には、キシレンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等があげられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0053】
また、本発明に用いられる(F)成分のカルシウム添加剤は、洗浄剤組成物中において、(C)成分である酵素の活性を安定的に維持することを目的として配合されるもので、具体的には、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、燐酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム等があげられる。これらも、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、洗浄剤系への溶解性の点から、塩化カルシウムを用いることが好ましい。
【0054】
そして、本発明に用いられる(G)成分の水としては、水道水、軟水、イオン交換水、純水、精製水等があげられ、好ましくは、軟水、イオン交換水、純水が用いられる。これらも、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記「水」は、液体洗浄剤組成物を構成する各成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水と外から加えられる水との総和であり、洗浄剤組成物全体が100%となるよう配合される。
【0055】
なお、本発明の洗浄剤組成物には、任意成分として、pH調整剤、高分子キレート剤、染料、香料、金属腐食抑制剤、殺菌剤、消臭剤、帯電防止剤等を用いることができる。
【0056】
このうち、上記pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属塩、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩があげられる。なかでも、洗浄剤系の貯蔵安定性とコスト面から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属塩が好ましく用いられる。これらは、本発明の液体洗浄剤組成物のpHを調整するために、洗浄剤原液のpHが(JIS−Z−8802「pH測定方法」、以下同じ)25℃で、6.0〜8.0となるよう、適宜適量添加される。
【0057】
また、上記高分子キレート剤としては、アクリル酸重合体およびその塩、マレイン酸重合体およびその塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体およびその塩、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸およびその塩、アクリル酸−マレイン酸系−ポリエチレングリコール共重合体およびその塩、オレフィン−マレイン酸共重合体およびその塩、アクリル酸−スルホン酸系共重合体およびその塩があげられる。これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩があげられる。これらは、金属イオン封鎖能、スレッシュホールド効果、水不溶性物質の分散性能、再付着防止性および洗浄性能の向上を目的として配合されるもので、単独で用いても2種以上を併用して用いられる。
【0058】
本発明の洗浄剤組成物は、前記必須成分(A)〜(G)と、必要に応じて添加される上記任意成分を用いて得られるものであり、環境安全性、作業安全性に優れるとともに、アルカリ性洗浄剤と遜色のない優れた洗浄性能と外観、そして酵素活性安定性、貯蔵安定性、すすぎ後の仕上がり性にも優れている。
【0059】
そして、従来の洗浄剤組成物が、アルカリ剤を主剤とするアルカリ性の洗浄剤組成物であったのに対して、本発明のものは、上記特定の必須成分(A)〜(G)を組み合わせた中性の洗浄剤組成物であるため、万が一、皮膚に付着するようなことがあったとしても、その刺激性は従来と比べてはるかに低いものとなっている。万が一、皮膚に付着するようなことがあったとしても、その刺激性は従来と比べてはるかに低い。また、上記主剤の一つとして用いられている酵素の活性が、長期にわたって安定的に維持されるため、酵素由来の優れた洗浄特性を備えている。
【0060】
そして、従来のような肉厚のプラスチック容器に収容する制限を受けず、肉薄のプラスチック容器や、パウチ等の袋体に収容することが可能となるため、取り扱い性、コストの点で有利であるのみならず、環境への負荷が小さい。そして、従来のアルカリ性洗浄剤では、適宜、廃水処理設備等に応じて、洗浄廃液を酸で中和する作業が必要であったが、本発明の洗浄剤組成物では、こうした中和作業も必要としないといった利点を有している。
【0061】
したがって、本発明の洗浄剤組成物は、食器、ガラス、陶磁器、金属、プラスチック等の硬表面の洗浄用途や、食器に限らず、各種製造工場,加工工場等における器具や容器、流通に用いられるプラスチックコンテナ等を洗浄するための自動洗浄機用途としても使用可能である。この外、食品工場・食品加工工場等のタイル、床等の硬表面の洗浄、飲料用のガラス瓶・ビール瓶等の容器洗浄、金属表面洗浄等に、広く用いることができる。特に、ホテル、レストラン、学校、病院、飲食店、給食会社、会社の食堂等における自動食器洗浄機に用いるのに好適である。そして、液性が中性であることから、上記自動食器洗浄機の本洗浄やその予備洗浄(浸漬)での使用はもとより、手洗いによる食器の洗浄用途においても有効に供することができる。
【実施例】
【0062】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0063】
〔実施例1〜39、比較例1〜10〕
後記の表1〜表9に示す、実施例1〜39および比較例1〜10の49種類の洗浄剤組成物を調製した。そして、そのpHを測定して評価するとともに、貯蔵安定性、酵素活性安定性、抑泡性、洗浄性能、洗浄後仕上がり性、ガラスに対する影響、スケール生成抑制能の7項目について評価した。それらの結果を、後記の表1〜表9に併せて示す。
【0064】
なお、後記の表1〜表9において用いた成分とその有効純分(質量%)は以下の通りであり、表中の数値は、有り姿で示したものである。また、表中の「水」は、液体洗浄剤組成物を構成する各成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水と外から加えられる水との総和であり、洗浄剤組成物全体が100%となるようバランスとして示される。そして、界面活性剤におけるEOの付加モル数を「p」、POの付加モル数を「q」で示した。
【0065】
〔A成分〕
・非イオン界面活性剤1:
ポリオキシエチレン(p=15)ポリオキシプロピレン(q=9)直鎖アルキル(C= 14、15)エーテル
EO/PO重量比=1.26
試作品
・非イオン界面活性剤2:
ポリオキシエチレン(p=8)ポリオキシプロピレン(q=6)直鎖アルキル(C=1 2、13)エーテル
EO/PO重量比=1.01 曇点=31℃
商品名:ペポールAS−054C(東邦化学工業社製)
・非イオン界面活性剤3:
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(プルロニック型ブロック ポリマー)
EO/PO重量比=0.11 平均分子量=2,000 曇点24℃
商品名:プルロニックPE6100(BASF社製)
・非イオン界面活性剤4:
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(リバースプルロニック型 ブロックポリマー)
平均分子量=2,800 EO/PO重量比=0.11
商品名:プルロニックRPE2510(BASF社製)
・非イオン界面活性剤5:
下記の化学式(1)で表されるトリメチロールプロパンEO・PO付加物
平均分子量=4,500 EO/PO重量比=0.21
試作品
【0066】
【化1】

【0067】
・非イオン界面活性剤6:
下記の化学式(2)で表されるグリセリンEO・PO付加物
試作品
【0068】
【化2】

【0069】
〔B成分〕
・クエン酸:
商品名:クエン酸(結晶)(磐田化学工業社製)
・クエン酸ナトリウム:
商品名:クエン酸三ナトリウム(結晶、磐田化学工業社製)
・クエン酸カリウム:
商品名:クエン酸三カリウム(昭和化工社製)
・グルコン酸ナトリウム:
商品名:グルコン酸ナトリウム(藤沢薬品工業社製)
・リンゴ酸ナトリウム:
商品名:リンゴ酸ナトリウム(扶桑化学工業社製)
・乳酸ナトリウム:
商品名:乳酸ナトリウム(50%、扶桑化学工業社製)
含有量:50.0%
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸二ナトリウム:
商品名:クレワットBi−HDS(ナガセケムテックス社製)
含有量:26.0%
・L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸四ナトリウム塩:
商品名:クレワットBi−ADS(ナガセケムテックス社製)
含有量:45.1%
・メチルジグリシン二酢酸ナトリウム:
商品名:トリロンM(BASF社製)
【0070】
〔C成分〕
・アミラーゼ1:
商品名:ターマミルウルトラ300L(ノボザイム社製)
・アミラーゼ2:
商品名:ピュラスターST15000L(ジェネンコア協和社製)
・アミラーゼ3:
商品名:ピュラスターHPAm5000L(ジェネンコア協和社製)
・アミラーゼ4:
商品名:ステインザイム12L(ノボザイム社製)
・プロテアーゼ1:
商品名:サビナーゼウルトラ16L(ノボザイム社製)
・プロテアーゼ2:
商品名:ピュラフェクト4000L(ジェネンコア協和社製)
・リパーゼ:
商品名:リポラーゼ100L(ノボザイム社製)
【0071】
〔D成分〕
・プロピレングリコール:
商品名:プロピレングリコール(三井武田ケミカル社製)
・エチレングリコール:
商品名:エチレングリコール(日本触媒社製)
・ポリエチレングリコール:
商品名:PEG200(第一工業製薬社製)
・エタノール:
商品名:一般95度合成無変性アルコール(日本アルコール販売社製)
・グリセリン:
商品名:精製グリセリン(阪本薬品工業社製)
・エチレングリコールモノエチルエーテル
商品名:シーホゾールMG(日本触媒社製)
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル
商品名:シーホゾールDG(日本触媒社製)
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
商品名:メチルプロピレンジグリコール(日本乳化剤社製)
【0072】
〔E成分〕
・キシレンスルホン酸ナトリウム
商品名:エルテゾールSX−93(ハンツマン社製)
・クメンスルホン酸ナトリウム
商品名:エルテゾールSC−93(ハンツマン社製)
【0073】
〔F成分〕
・塩化カルシウム:
商品名:塩化カルシウム〔粒状〕(セントラル硝子社製)
含有量:無水物として74.3%
【0074】
〔G成分〕
水:イオン交換水
【0075】
また、各項目の試験方法、評価方法は、以下に示すとおりである。
〔pH測定〕
・測定方法
pHメーター(pH METER F−12、堀場製作所社製)を用いて、JIS Z−8802:1984にしたがって、調製された洗浄剤組成物の原液の25℃におけるpH値を測定した。
◎:6.0以上で8.0以下。 ×:6.0未満または8.0を超える。
【0076】
〔貯蔵安定性〕
・試験方法
調製された洗浄剤組成物を100mlのガラス瓶に入れ、恒温槽(SLI−4S、須中理化工業社製)により40℃の雰囲気下に置くとともに、インキュベーター(MTH−2400、SANYO社製)により−5℃から5℃にプログラムコントロールされた雰囲気下に置き、その状態で1カ月保管した。そして、その外観を目視により観察し、下記の評価基準で評価した。
・評価基準
◎:1カ月後、分離・析出等の外観変化は全くなかった。
○:1カ月後、分離・析出等の外観変化がわずかにみられた。
△:2週間後、分離もしくは析出等の外観変化がわずかにみられた。
×:配合直後に、分離もしくは析出等の外観変化があった。
【0077】
〔酵素活性安定性〕
・試験方法
上記貯蔵安定性評価試験において、40℃にて2週間経過した洗浄剤組成物中のα−アミラーゼの酵素活性値を求め、保存前後の酵素活性値から残存率を算出して、下記のように評価した。ただし、上記酵素活性値は、つぎのようにして求めた。
・酵素活性値の求め方
洗浄剤水溶液中に、澱粉の分解により発色する指示薬と澱粉とを含んだ錠剤(ファデバス錠)を投入し、所定時間後における色素の濃度を測定した。
・評価基準
◎:残存率70%以上。
○:残存率50%以上で70%未満。
△:残存率25%以上で50%未満。
×:残存率25%未満。
【0078】
〔抑泡性〕
・試験方法
水道水を用いて、洗浄剤組成物を0.20%に希釈し、容量100mlの比色管に50mlを注ぎ、栓をして、45℃で1時間保温し、液温を45℃に保持した。上記比色管を上下に1秒間に3回(往復)の割合で、30往復振とうさせた直後の泡の高さを測定し、以下の基準で判定した。
・評価基準
◎:泡の高さが6mm未満。
○:泡の高さが6mm以上11mm未満。
△:泡の高さが11mm以上16mm未満。
×:泡の高さが16mm以上。
【0079】
〔洗浄性能〕
・試験方法
調製された洗浄剤組成物を業務用の自動食器洗浄機(DW−DR61、三洋電機社製)に投入し、下記の運転条件で運転した。そして、下記の被洗浄物である磁器皿または茶碗を10枚一組として洗浄し、その洗浄性能を後記の評価基準で評価した。なお、汚れとして、牛脂汚れ、卵黄汚れ、およびお粥汚れの3種類を用意し、それぞれの汚れに対し洗浄評価を行った。
*運転条件
洗剤濃度 :0.20%
洗浄温度 :45℃
すすぎ温度 :80℃
洗浄コース :標準洗浄サイクル(洗浄:30秒、すすぎ:8秒)
使用水の硬度:(CaCO3 として)50〜60ppm
牛脂汚れ :直径25cmの磁器皿に、精製牛脂を4g/枚となるように付着させたも のを用いた。
卵汚れ :直径25cmの磁器皿に鶏卵の卵黄を4g/枚となるように付着させ、常 温で1時間乾燥させ、洗浄直前に30分間40℃にて浸漬したものを用い た。
お粥汚れ :米飯40gをお湯400gに入れ、90〜100℃にて、20分間煮立た せた後、その上澄みを茶碗に0.6g/個となるように付着させ、常温で 30分間乾燥させ、洗浄直前に10分間40℃にて浸漬したものを用いた 。
・評価基準
牛脂汚れについては、オイルレッド液を洗浄後の磁器皿に塗布し、お粥汚れについては、ヨウ素溶液を洗浄後の茶碗に塗布し、卵汚れについては、そのまま目視にて以下のように汚れ除去具合を判定した。
◎:90%以上の汚れ除去。
○:70%以上で90%未満の汚れ除去。
△:50%以上で70%未満の汚れ除去。
×:50%未満の汚れ除去。
【0080】
〔洗浄後仕上がり性〕
・試験方法
調製された洗浄剤組成物を業務用の自動食器洗浄機(DW−RD61、三洋電機社製)に投入し、下記の条件で運転した。そして、後記に示す被洗浄物であるガラスコップを10個一組として洗浄し、洗浄後の仕上がり性能を後記の評価基準で評価した。
*運転条件
洗剤濃度 :0.20%
洗浄温度 :60℃
すすぎ温度 :80℃
洗浄コース :標準洗浄サイクル(洗浄:43秒、すすぎ15秒)
使用水の硬度:(CaCO3 として)50〜60ppm
被洗浄物 :227g(=8オンス)のガラスコップ(佐々木硝子社製)に牛乳を注い だ後、5分間放置した。ついで、牛乳を捨てた後、水ですすぐことなく3 0分間風乾した。
・評価基準
◎:ウォータースポットが全くみられない。
○:ウォータースポットが1〜2個みられる。
△:ウォータースポットが3〜5個みられる。
×:ウォータースポットが6個以上みられる。
【0081】
〔ガラス面に対する影響〕
・試験方法
調製された洗浄剤組成物中に、市販の227g(=8オンス)のタンブラーグラス(HOYA社製)を下記の条件で浸漬した。そして、浸漬後のタンブラーグラスの状態を目視により観察し、下記の評価基準で評価した。
*浸漬条件
洗剤濃度:0.20%
浸漬温度:60℃
浸漬時間:2週間
・評価基準
◎:タンブラーグラス表面に変色や腐食が認められない。
○:タンブラーグラス表面がわずかに変色している。
△:タンブラーグラス表面の変色が大きい。
×:タンブラーグラス表面の腐食が大きい。
【0082】
〔スケール生成抑性能〕
・試験方法
人工硬水(総硬度:250mg/L)を用いて洗浄剤組成物を0.20%に希釈し、容量100mlの比色管に50mlを注いで60℃で4時間保持した後、スケールの生成量を、以下の基準で目視判定した。
・評価基準
◎:スケールの生成がなかった。
○:スケール生成が殆どなかった。
△:スケールの生成があった。
×:スケール付着が著しかった。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
【表5】

【0088】
【表6】

【0089】
【表7】

【0090】
【表8】

【0091】
【表9】

【0092】
上記の結果から、実施例品はいずれも、上記全ての評価項目において、概ね優れた特性を示すことがわかる。一方、比較例品は、本発明の必須成分が配合されていなかったり、配合されていても、その割合が本発明の範囲から外れているため、△もしくは×の評価を含み、実用上大きく劣っていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(D)成分を、組成物全体に対し下記の割合で含有するとともに、下記の(E)〜(G)成分を含有し、組成物の25℃におけるpH(JIS−Z−8802:1984「pH測定方法」)が、6.0〜8.0に設定されていることを特徴とする自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物。
(A)非イオン界面活性剤、1〜15質量%
(B)有機酸およびその水溶性塩から選ばれる少なくとも1種の有機酸類、2.5〜15質量%
(C)酵素、0.5〜5質量%
(D)水溶性溶剤、10〜40質量%
(E)可溶化剤
(F)カルシウム添加剤
(G)水
【請求項2】
上記(A)成分の非イオン界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、多価アルコールのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
上記(B)成分における有機酸が、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、琥珀酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、メチルグリシン二酢酸、L−グルタミン酸二酢酸、グリコール酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、3−ヒドロキシ−2,2′−イミノジコハク酸である請求項1または2に記載の自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
上記(C)成分の酵素が、α−アミラーゼである請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
上記(D)成分の水溶性溶剤が、エチルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
上記(E)成分の可溶化剤が、キシレンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか一項に記載の自動食器洗浄機用中性液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2008−127490(P2008−127490A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315418(P2006−315418)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(503066321)ディバーシー・アイピー・インターナショナル・ビー・ヴイ (16)
【Fターム(参考)】