説明

自動2輪車用車体フレーム

【目的】リヤクッションのレイアウトを容易にするとともにその支持部における剛性を高くする。
【構成】左右一対のメインフレーム4の後端部を左右一対のピボットプレート6の上部へ連結するとともに、ピボットプレート6の上端部をメインフレーム4の後端部より上方へ突出する上方延出部54とし、左右の上方延出部54間に後部クロス部材43を掛け渡し、この後部クロス部材の後部にクッションブラケット46を設けて後方へ突出させ、ここにリヤクッション19の上部47を支持させる。左右のピボットプレート6間で後部クロス部材43の後方か並びに下方に大きな空間が形成されるため、この空間へリヤクッション19を配設することにより十分に大きなストロークを確保でできる。しかも剛性の高い後部クロス部材43にクッションブラケット46を設けたので、支持部の剛性を高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は自動2輪車用車体フレームに係り、特にエンジンの吸気通路等に対するレイアウトを容易にすることにより4サイクルエンジンの搭載に適したものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許第2995192号には、ヘッドパイプからエンジンの上方を通り後方へ延出する左右一対のメインフレームを設け、その各後端部にエンジンの後方を上下方向へ配される左右一対のピボットプレートを結合し、このピボットプレートの中間部でリヤスイングアームの前端部を揺動自在に支持する自動2輪車が示されている。
【0003】
また、このピボットプレートは上部がメインフレームの後端部よりも上方へ延出するとともに、左右の延出部がそれぞれ内側へ曲がって後面視略ハの字をなすよう設けられ、最も接近する左右の上端部間でリヤクッションの上部を支持している。さらに、このリヤクッション支持部より下方で略メインフレームの後端部と同じ高さになる位置にクロス部材が左右に掛け渡され、これにより車体剛性を確保している。
【特許文献1】特許第2995192号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来構造では、クロス部材の位置がメインフレームの後端部と略同じ高さになる。このため、上端部のリヤクッション取付部下方に形成される左右のピボットプレートに挟まれた空間はクロス部材により上下に分断される。しかし、この空間は気化器、エアクリーナー及びこれらを接続するコンチューブとで構成される吸気通路並びにリヤクッションを配設する場所であるから、本来十分に大きな空間の確保が必要であり、これをクロス部材で分割すれば、これらのレイアウトが極めて難しくなる。
特に、シリンダヘッドが大きくなる4サイクルエンジンを搭載する場合は吸気通路の位置が高くなるからなおさらレイアウトが困難になる。
そのうえ、リヤクッション支持部の剛性を確保する要請もある。
本願発明は係る要請の実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本願の自動2輪車用車体フレームに係る発明は、フロントフォークを回動自在に支持するヘッドパイプから左右一対をなしてエンジン上方を後方へ延出する中空縦長断面のメインフレームと、このメインフレームの各後端部と結合してエンジンの後方を上下方向へ配設されてリヤスイングアームの前端を揺動自在に支持する左右一対のピボットプレートを備えた自動2輪車用車体フレームにおいて、
前記メインフレームとピボットプレートの結合部にメインフレームの上面より上方へ延出する上方延出部を設け、これら左右の上方延出部間を連結する後部クロス部材を設けるとともに、この後部クロス部材にリヤサスペンションのリヤクッション上端を結合するリヤクッション支持部を設け、このリヤクッション支持部を前記後部クロスメンバよりも車体後方側に配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、左右のメインフレームとピボットプレートの結合部にメインフレームの上面より上方へ延出する上方延出部を設け、これら左右の上方延出部間に後部クロス部材を掛け渡したので、後部クロス部材より下方の左右のピボットプレートに挟まれた空間を十分に大きく確保でき、この部分に吸気通路やリヤクッションを配設することが容易になる。
【0007】
また、剛性のある後部クロス部材に設けたリヤクッション支持部にてリヤクッションを支持させることにより、リヤクッション支持部がリヤクッションから加えられる力を確実に受け止めることができる。
【0008】
しかも、ピボットプレートとの結合部におけるメインフレーム上面よりも高い位置に設けた後部クロス部材の後方にリヤクッション支持部を設け、ここでリヤクッションを支持させているので、後部クロス部材の後方にリヤクッションを配置するための有効なスペースを拡大して形成でき、このスペースにリヤクッションを配置することにより、リヤクッションのストローク長を適切に確保できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づいて実施例を説明する。図1は本実施例に係るオフロード型自動2輪車の要部側面図、図2はエンジン上方の部品配置を車体側面側から示す図、図3は同様部における部品の一部に関するレイアウトを車体上方から示す図、図4はピボットプレート上部の一部部品のレイアウトを車体側面から示す図、図5は車体フレームの後方から一部部品のレイアウトを示す図、図側面図、図6は車体前方から一部部品のレイアウトを示す図、図7は車体フレームの要部側面図、図8はその前半部側平面図、図9はその後方視図、図10は図7の10−10線断面図である。
【0010】
まず、図1において、車体フレーム1はクレドール型をなして水冷4サイクル式エンジン2を支持し、ヘッドパイプ3からエンジン2の上方を通って後方へ延びる左右一対のメインフレーム4と、ヘッドパイプ3からエンジン2の前方を車体中心に沿って斜め下方へ延出するダウンチューブ5と、左右の各メインフレーム4の後端部と結合してエンジン2の後方を上下方向へ配設される左右一対のピボットプレート6と、エンジン2の下方を通ってダウンチューブ5及びピボットプレート6の各下端部を連結する左右一対の下部フレーム7とを備える。また、ピボットプレート6の上端部からは左右一対をなすシートレール8が後方へ延出し、その後端部とピボットプレート6の中間部とを斜めのリヤパイプ9で連結されている。
【0011】
ヘッドパイプ3には、バーハンドル10によって操向される左右一対のフロントフォーク11がトップブリッジ12及びボトムブリッジ13を介して回動自在に支持されている。符号14は前輪である。
【0012】
左右のピボットプレート6の中間部間にはピボット軸15によりリヤスイングアーム16の前端が揺動自在に支持され、リヤスイングアーム16の後端部には後輪17が支持されている。また、リヤスイングアーム16の前部に設けられたリンク18とピボットプレート6の上端部に設けられた後述する後部クロス部材のリヤクッション支持部間にリヤクッション19が取付けられ、後輪サスペンションを構成している。
【0013】
図中の符号20は、左右のメインフレーム4間に支持される燃料タンク、21は左右のシートレール8上に支持されるシート、22はラジエタ、23は排気管、24は気化器、25はエアクリーナ、26はマフラーである。
【0014】
図2に示すように、このエンジン2は水冷4サイクル式であり、シリンダは略直立して設けられ、シリンダヘッドカバー28は側面視略三角形をなしてその後部側はメインフレーム4の内側へ入り込んでいる。シリンダヘッド27の前部中央には排気通路35が設けられ、ここに排気管23が接続している。
【0015】
ラジエタ22は左右一対でダウンチューブ5の両側へ支持され(図5参照)、その上部タンク30とシリンダヘッドカバー28の間に復水側水ホース31が配管される。また下部タンク32からは送水側ホース33が延出しクランクケース29側と接続している。
【0016】
また、シリンダヘッド27の背面側に設けられている吸気口には気化器24が接続され、この気化器24の吸気上流側はコンチューブ36を介してエアクリーナ25の前部37へ接続している。コンチューブ36はメインフレーム4のピボットプレート6の上部であるメインフレーム4の後端部との結合部近傍部分を側面視で横切るように配設されている。
【0017】
コンチューブ36は中間部で前後に分割されて前部36aと後部36bをなし、後部36bはエアクリーナ25の前面へ一体に取付けられている。前部36aと後部36bは分割位置37にて着脱自在に接続できる。分割位置37はピボットプレート6の後縁部より後方へ位置しているので、ピボットプレート6に遮られることなく、前部36a及び後部36bの組付が容易になり、メンテナンス性が向上する。
【0018】
燃料タンク20は前端部をブラケット40によりメインフレーム4の上部に位置するボス58へボルト等で取付けることにより支持され、後端部は左右のピボットプレート6の上端部間に設けられた後述する後部クロス部材43上に支持される。燃料タンク20の後端下部には下方へ突出する落とし込み部41を設け、その下部にコック42を設けてある。
【0019】
落とし込み部41は4サイクルエンジン2の上方へ突出するシリンダヘッド27及びシリンダヘッドカバー28の後方かつ後部クロス部材43の前方に形成される落とし込み空間57a内へ突出して配置され、その車体前後方向ではシリンダヘッドカバー28と重なる高さであり、かつ側面視では気化器24の上部と重なる位置になっている。
【0020】
図4に明らかなように、落とし込み部41の下方に設けられるコック42の位置はその下端が側面視でメインフレーム4の下縁よりも多少下方へ出るように配置され、かつ落とし込み部41はメインフレーム4と重なる位置になっている。また図3に明らかなように、落とし込み部41は気化器24と車幅方向へ併設されている。
【0021】
エンジン2の支持は、図1に示すように、上部がメインフレーム4、前側がダウンチューブ下部、下側が下部フレーム7の中間部、後部がクランクケース29をピボット軸15によりピボットプレート6へそれぞれ支持される。このうち上部は図2及び図4に示すようにシリンダヘッド27の後部に設けられた支持部38でハンガブラケット39を介してメインフレーム4の下面へ支持される。
【0022】
次に、ダウンチューブ5近傍における部品のレイアウトにつき説明する。図5はラジエタ22のレイアウト等についてダウンチューブ5及びその近傍部品を車体前方側から示す図であり、ラジエタ22は左右に対で設けられ、それぞれの上タンク30は復水ホース31で連結され、ジョイント管31aでシリンダヘッドカバー28側のウォータージャケット出口へ接続されている。
【0023】
また、各下タンク32から出た送水ホース33は車体中央側へ延び、ダウンチューブ5のテーパー状部62b後方を左右方向へ横切るジョイントホース34へ接続し、このジョイントホース34の車体右側部分に設けられたジョイント部34aでクランクケースの右側に設けられているウォーターポンプ49へ接続している。なお、排気管23もテーパー状部62bの後方を通って斜め下がりに車体右側へ出てから、右側のラジエタ22の下方を通って後方へ延びている。
【0024】
次に、後部クロス部材43の下方に形成されている空間56における部品のレイアウトにつき説明する。図6はこの部分を車体後方から示す図であり、この空間内には後部クロス部材43の近傍下方かつ車体左側へ寄った位置に気化器24が配設され、その右側に落とし込み部41及びその底部下方に設けられたコック42が位置し、コック42から下方へ延出する燃料チューブ42aは気化器24のフロート室24aへ接続されている。コック42の高さはフロート室24aよりも若干高い程度である。
【0025】
またこれらの後方かつ車体中心の近傍にリヤクッション19が位置し、リヤクッション19に並設されたそのリザーブタンク19aの前方へ重なるようにコック42が位置している。さらにコック42及びリザーブタンク19aの各下方を通って排気管23が配設されている。排気管23の前部はシリンダヘッド27の前部から斜め右側で出てから再び車体内側へ曲がり直して(図5参照)、その後右側のピボットプレート6の内側かつ前記したようにコック42及びリザーブタンク19aの各下方を通り、その後やや車体右側かつ上方へ曲がりながら後方へ延びている。
【0026】
図4に示すように、コンチューブ36は側面視でヤクッション19と重なるように後方へ交差して延び、分割部37も側面視でヤクッション19と重なっている(図1参照)。
また、図6に示すように、コンチューブ36と排気管23はそれぞれリヤクッション19の左右両側へ分かれて配設される。
【0027】
次に、図7乃至図10により車体フレーム1の構造を詳述する。メインフレーム4はアルミ合金等を角形縦長断面をなすように押し出して形成される部材であり、その前端部はヘッドパイプ3へ溶接され、かつ後端部はピボットプレート6の上部と溶接されている。
【0028】
ダウンチューブ5はアルミ合金等の角形パイプからなり、その下部の後面側をスウェージング加工によりテーパー状に形成したものであり、その後面上部と左右のメインフレーム4の各中間部下面とを側面視略水平で、平面視前方へ凸のアーチ状をなすテンションパイプ50で連結補強してある。
【0029】
テンションパイプ50の前端部はガセット51でダウンチューブ5と結合され、テンションパイプ50の後端部とメインフレーム4の溶接部にはハンガブラケット39の取付ステー52が設けられている。ダウンチューブ5の下部はジョイント部材53を介して左右へ分かれるアルミ合金等の角パイプからなる下部フレーム7の前端部が溶接されている(図8、図9参照)。
【0030】
図10はダウンチューブ5の横断面であり、4面のうち前面60の内面中央には長さ方向へ連続するリブ61が一体に形成されている。後面62は下半部側が後述するテーパー状部62bをなし、下方へ向かって次第に細くなっている。但し、上半部側の後面上部62aはストレート部になっている。また、左右の側面63の各外表面には右L字状をなすラジエタ取付部64が溶接され、ここにウエルドナット65が設けられ、左右のラジエタ22をボルト止めするようになっている。
【0031】
図7に明らかなように、テーパー状部62bは後面62にのみ設けられ、その後方かつシリンダヘッド27及びシリンダヘッドカバー28の前部との間に空間57b(図2参照)を拡大形成している。なお、他の部分である後面上部62a、前面60及び左右の側面63はテーパー状でなく、全てストレートな面になっている。すなわち、テーパー状部62bの存在により側面視にてダウンチューブ5は非対称に形成されている。
【0032】
このような形状にダウンチューブ5を成形するには、予めリブ61等を一体に形成するような所定断面の角断面パイプとして押し出し成形し、これを直交4方向からのみ圧縮するスエージング加工を施すことにより、特定の面のみを必要長さだけテーパー状に形成することができる。このようなスエージング加工は公知であり、かつこのようにすることにより、一断面内で一部を任意に偏肉させることができ、本実施例のリブ61も容易に形成できる。
【0033】
ピボットプレート6はアルミ合金等を鋳造又は鍛造等により製造した板状部材であり、その上端部はメインフレーム4の後端部よりも上方へ突出する上方延出部54をなし、この部分は左右それぞれが内側へ傾斜している(図8,図9参照)。左右の上方延出部54における内側対向面には凹部が形成され、ここに後部クロス部材43の両端が嵌合されて溶接されている。また、左右のピボットプレート6の中間部下方側位置にピボット受け部55が設けられ、ここにピボット軸15の両端が支持される。
【0034】
上方延出部54はメインフレーム4とピボットプレート6の結合部においてメインフレーム4の上面より上方へ延出する。より詳しくは、図7に示すように、メインフレーム4の後端部でピボットプレート6との結合部における上面はメインフレーム4の前部から連続する傾斜に対してピボットプレート6の傾斜に近づくよう傾斜が変化する屈曲点Pがあり、この屈曲点Pを通る水平線Lより上方部分を指すものとする。
【0035】
後部クロス部材43はアルミ合金等を鋳造や鍛造等により得られた中空の部材であり、この上面44は燃料タンク20の後端部45を乗せて支持する支持部をなしている。また、中央部には後方へ二股状に突出するクッションブラケット46が一体に形成され、ここにリヤクッション19の上端47が回動自在に支持されている。このクッションブラケット46は、リヤクッション支持部であり、若干車体中心Cよりオフセットされているが、このオフセットが最小となる位置に設けられる。
【0036】
また、図4及び7に示すように、後部クロスメンバ54は側面視で略四角形の筒状であり、かつ前部よりも後部が幅広で前方下がり気味に配置され、上方延出部54のほぼ全体に重なっている。クッションブラケット46は、後部クロスメンバ54の後部に設けられ、後方へ突出している。またリヤクッション19を支持するために後方へ突出した部分は後部クロスメンバ54の前部最下部よりは高い位置になっており、リヤクッション19の上端47は後部クロスメンバ54より後方にて支持されている。クッションブラケット46の上部にはシートレール8を取付けるための取付穴46a(図4)が形成されている。
【0037】
後部クロス部材43の下方かつ左右のピボットプレート6及び下方のピボット軸15で挟まれた空間56(図6)は極めて大きな連続する空間をなし、ここに図6で前記したようにリヤクッション19及び排気管23、コンチューブ36が配設されている。リヤクッション19は側面後部側の一部がピボットプレート6から後方へはみ出すように配置されている(図4参照)。また、後部クロス部材43より前方の空間もテンションパイプ50より上方かつヘッドパイプ3より後方に連続する大きな燃料タンク収容空間57(図8)として形成され、その一部でエンジン2のシリンダヘッドカバー28より後方側がシリンダ後方空間57aをなしている(図3)。
【0038】
なお、図8及び図9における符号58はヘッドパイプ3と一体に形成されたブラケット40の取付ボスであり、59はヘッドパイプ3の後部を後方へ張り出して一体に形成したクロス部であり、左右のメインフレーム4の接合部を確保している。また、図7中の符号53aはジョイント部材53に設けられたエンジン支持用のステー、同じく7aは下部フレーム7に設けられたエンジン支持用のステーである。
【0039】
図9に示すように、下部フレーム7、7はダウンチューブ5の下(後)端部から左右に分かれて後方へ延び、左右のピボットプレート6、6の各下端部間を連結する下部クロス部材48へ接続している。後部クロス部材43の幅(車幅方向長さ)W1は下部クロス部材48の幅W2より若干狭い程度であり、下部フレーム7、7の各後端部(下部クロス部材48との接続部)間の幅W3と略同程度である。
【0040】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例では後部クロス部材43を左右のピボットプレート6における上方延出部54間に掛け渡したので、所定の車体剛性を十分に確保するとともに、その下方に大きな連続する空間56を確保できる。このため図6等に示すように、この大きな空間56を利用してリヤクッション19及び排気管23並びに吸気通路を構成する気化器24やコンチューブ36の配設が容易になる。
【0041】
したがって、左右のピボットプレート6にメインフレーム4の後端部よりも高く上方へ延出する上方延出部54を設け、これらの間に掛け渡すように後部クロス部材43の位置をより高い位置へ変更するというだけの簡単な構造で上記各部品に関するレイアウトの自由度を大きくした車体フレームを得ることができる。
【0042】
また、剛性のある後部クロス部材43に設けたクッションブラケット46にてリヤクッション19の上部47を支持させることにより、クッションブラケット46がリヤクッション19から加えられる力を確実に受け止めることができる。
しかも、ピボットプレート6との結合部におけるメインフレーム4の上面よりも高い位置に設けた後部クロス部材43の後方にクッションブラケット46を設けてリヤクッション19の上部47を支持させているので、後部クロス部材43の後方にリヤクッション19を配置するための有効なスペースを拡大して形成でき、このスペースにリヤクッション19を配置することにより、リヤクッション19のストローク長を適切に確保できるようになった。
【0043】
そのうえ、エンジン2が4サイクル式であってシリンダヘッド27の位置が上方へ高く突出することにより吸気通路の位置も高くなっているにもかかわらず、吸気通路の配設を無理なくできる。このため、4サイクルエンジンを搭載することにより吸気通路の位置が高くなっても十分にレイアウト可能になる。
【0044】
さらに、後部クロス部材43より前方の燃料タンク収容空間57も大きく確保できるので、後部クロス部材43前方の左右のメインフレーム4に挟まれた空間を燃料タンク20の配設スペースとして利用でき、ここに燃料タンク20を収容できるので、燃料タンク20の大容量化を可能にする。また、後部クロス部材43の上面44を燃料タンク20の後端部45に対する支持部として利用することにより、かかる大容量の燃料タンク20の支持が容易かつ確実になる。
【0045】
なお、本願発明は上記実施例に限定されず、同一の発明原理内において種々に変形や応用が可能であり、例えば、空間56内へ配設される吸気通路を構成するものとしてエアクリーナケースの一部をあてることもできる。

【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施例に係るオフロード型自動2輪車の要部側面図
【図2】エンジン上方における一部の部品配置を車体側面側から示す図
【図3】同様部品における一部部品の平面レイアウトを示す図
【図4】ピボットプレート上部における一部部品のレイアウトを車体側面から示す図
【図5】ダウンチューブ回りの部品配置を示す図
【図6】後部クロス部材下方の空間における部品配置を示す図
【図7】車体フレーム要部の側面図
【図8】その前半部側を上方から示す図
【図9】その後方視図
【図10】図7の10−10線断面図
【符号の説明】
【0047】
1:車体フレーム、2:エンジン、3:ヘッドパイプ、4:メインフレーム、5:ダウンチューブ、6:ピボットプレート、7:下部フレーム、19:リヤクッション、20:燃料タンク、23:排気管、24:気化器、25:エアクリーナ、27:シリンダヘッド、36:コンチューブ、43:後部クロス部材、44:上面、54:上方延出部、56:後部クロス部材の下方空間、57:燃料タンク収容空間




【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントフォークを回動自在に支持するヘッドパイプから左右一対をなしてエンジン上方を後方へ延出する中空縦長断面のメインフレームと、このメインフレームの各後端部と結合してエンジンの後方を上下方向へ配設されてリヤスイングアームの前端を揺動自在に支持する左右一対のピボットプレートを備えた自動2輪車用車体フレームにおいて、
前記メインフレームとピボットプレートの結合部にメインフレームの上面より上方へ延出する上方延出部を設け、これら左右の上方延出部間を連結する後部クロス部材を設けるとともに、この後部クロス部材にリヤサスペンションのリヤクッション上端を結合するクッション支持部を設け、このリヤクッション支持部をクロスメンバよりも車体後方側に配設したことを特徴とする自動2輪車用車体フレーム。
【請求項2】
前記エンジンの後方に気化器を設け、この気化器にコンチューブを介して後方に配置されたエアクリーナを接続するとともに、前記コンチューブを側面視で前記リヤクッションの側方に位置させたことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車用車体フレーム
【請求項3】
前記後部クロス部材に燃料タンクの支持部を設けたことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車用車体フレーム。
【請求項4】
前記後部クロス部材より下方かつ前記左右のピボットプレートに挟まれた前記空間内にて、前記吸気通路と排気管が、後輪サスペンションを構成するリヤクッションの左右に配設されるとともに、このリヤクッションは車体中心近傍に位置することを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車用車体フレーム。
【請求項5】
前記リヤクッションにはリザーブタンクが設けられ、このリザーブタンクの下方を通って前記排気管が配設されていることを特徴とする請求項4に記載した自動2輪車用車体フレーム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−321489(P2006−321489A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214562(P2006−214562)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【分割の表示】特願2000−96805(P2000−96805)の分割
【原出願日】平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】