説明

自律移動装置とこれを用いた搬送方法

【課題】複数の積載体(例えば台車)が、互いの隙間を詰めて置かれたり、乱雑に配置されていたりする場合であっても、高度な制御を必要とすることなく、積載体を保持(例えば連結)でき、かつ、所望の搬送先へ自律移動できる自律移動装置を提供する。
【解決手段】搬送物が積載される積載体1を保持した状態で自律移動することで該積載体を搬送する自律移動装置10。積載体1と分離した状態から該積載体を保持可能な保持機構3と、所望の搬送先へ保持機構3を移動させる移動機構5と、受動モードと自律モードとの間で切換可能な制御部7と、を備える。制御部7は、受動モードにある時に、外部からの動作指令に従って保持機構3と移動機構5を動作させ、自律モードにある時に、移動機構5を自律制御して所望の搬送先へ保持機構3を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物が積載される積載体(台車)を保持した状態で自律移動することで該搬送物を搬送する自律移動装置と、これを用いた搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自律移動装置は、例えば、誘導手段を検知する手段を有し、当該誘導手段に従って移動する無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)である。誘導手段は、例えば、高周波信号線、反射テープ、ランドマーク、磁気レール等である。
【0003】
近年、自律移動装置に、台車と連結することができる機能を持たせることが提案されている。この構成により、自律移動装置に過剰な能力を持たせることなく、自律移動装置が多種類の搬送物を搬送することが可能になる。台車には、多種類の搬送物を積載させることができるので、自律移動装置に、自律制御により台車と連結させる機能を待たせるだけで、多種類の搬送物をこの自律移動装置により搬送することが可能になる。このような、自律移動装置は、例えば下記の特許文献1〜3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−246596号公報
【特許文献2】特開2008−264901号公報
【特許文献3】特開2008−184112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような自律移動装置では、自律制御により、自律移動装置を台車に連結させるために、センシングによる連結箇所の位置特定や、機械的な工夫などが必要となる。
【0006】
しかし、このような位置特定や機械的な工夫では対応できない場合がある。実際の物流や工場では、所定のエリアに、複数の台車が、互いの隙間を詰めて置かれたり、乱雑に配置されていたりすることが多い。このような環境においては、連結箇所の位置特定が困難であったり、機械的な工夫を実施しても連結が困難である場合が多い。例えば、所望の台車と連結させる時に他の台車との接触を回避するためには、高度な制御が必要となる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数の積載体(例えば台車)が、互いの隙間を詰めて置かれたり、乱雑に配置されていたりする場合であっても、高度な制御を必要とすることなく、積載体を保持(例えば連結)でき、かつ、所望の搬送先へ自律移動できる自律移動装置とこれを用いた搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によると、搬送物が積載される積載体を保持した状態で自律移動することで該積載体を搬送する自律移動装置であって、
前記積載体と分離した状態から該積載体を保持可能な保持機構と、
所望の搬送先へ前記保持機構を移動させる移動機構と、
受動モードと自律モードとの間で切換可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、受動モードにある時に、外部からの動作指令に従って前記保持機構と前記移動機構を動作させ、自律モードにある時に、前記移動機構を自律制御して前記所望の搬送先へ前記保持機構を移動させる、ことを特徴とする自律移動装置が提供される。
【0009】
好ましくは、人が操作可能な操作部を備え、
前記制御部は、受動モードにある時に、前記操作部の操作により入力される動作指令に従って前記保持機構と前記移動機構を動作させる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によると、前記積載体は、搬送物が積載される台車であり、
前記保持機構は、前記台車と連結することで該台車を保持する連結機構である。
【0011】
本発明の他の実施形態によると、前記積載体は、搬送物が積載されるパレットであり、
前記保持機構は、前記パレットが所定の位置に置かれた状態から、該パレットを持ち上げて保持する持上機構である。
【0012】
また、前記操作部は、加えられた力を検知する力センサを有し、
前記制御部は、受動モードにある時に、該力センサが検知した力の大きさに応じた駆動力で前記移動機構を駆動させてもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明によると、上述の自律移動装置を用いた搬送方法であって、
(A)所定のエリアで、前記制御部を受動モードにして、該制御部に動作指令を外部から入力することで、該動作指令に従って前記保持機構と前記移動機構を動作させ、これにより、前記保持機構に前記積載体を保持させ、
(B)次いで、前記制御部を自律モードにして、前記制御部が前記移動機構を自律制御することで、前記積載体と共に前記保持機構を所望の搬送先へ移動させる、ことを特徴とする搬送方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明によると、前記制御部は、受動モードにより、外部からの動作指令に従って保持機構と移動機構を動作させることで、保持機構が積載体を保持することができ、自律モードにより、前記移動機構を自律制御して前記所望の搬送先へ保持機構を移動させる。その結果、複数の積載体が、互いの隙間を詰めて置かれたり、乱雑に配置されていたりする場合であっても、高度な制御を必要とすることなく、積載体を保持でき、かつ、所望の搬送先へ自律移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態による自律移動装置の構成図である。
【図2】自律移動装置の連結機構が台車と連結した状態を示す平面図である。
【図3】自律移動装置に設けられた操作部の構成例を示す平面図である。
【図4】自律移動装置の移動経路を示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態による搬送方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態による自律移動装置10の構成図である。図1(A)は、平面図であり、図1(B)は、図1(A)のB−B矢視図である。自律移動装置10は、搬送物1aが積載される積載体1を保持した状態で自律移動することで該積載体1とこれに積載された該搬送物1aを搬送する。なお、本願において、自律移動とは、人から命令されずに、または、人からの詳しい命令がされずに、制御部7が、自己の判断により、自律移動装置10を移動させることをいい、自律制御とは、人から命令されずに、または、人からの詳しい命令がされずに、制御部7が、自己の判断により、後述の保持機構3や移動機構5などの自律移動装置10の各機構を制御するこという。
【0018】
自律移動装置10は、保持機構3、移動機構5、制御部7、および操作部9を備える。これら保持機構3、移動機構5、制御部7、および操作部9は、自律移動装置10の本体(車体)に取り付けられてよい。
【0019】
保持機構3は、積載体1と分離した状態から該積載体1を保持可能である。本実施形態では、積載体1は、搬送物1aが積載される台車であり、保持機構3は、台車1と連結することで該台車1を保持する連結機構である。連結機構3は、台車1と連結できる機構であればよい。図1の例では、連結機構3は、台車1に設けられた被連結部1bと連結する。被連結部1bは、水平方向(即ち、図1(A)の上下方向)の両端部において、台車1の幅方向外側に突出する突出部11を有する。連結機構3は、1対の突出部11と同じ高さに設けられ、ボールネジや油圧シリンダなどの適宜の手段により互いに水平方向(即ち、図1(A)の上下方向)に離間または近接するように動作する1対の挟持部3aを有する。この構成では、まず、図1(A)のように、1対の挟持部3aの間に、1対の突出部11を間に挟む位置に保持機構3を位置させ、次いで、各挟持部3aが互いに近接する方向に移動するように連結機構3を動作させ、これにより、図2のように、1対の突出部11を1対の挟持部3aで台車1の幅方向に挟持する。この時、各挟持部3aにおいて、係止部13が突出部11を台車1の前後方向に挟持する。図1の例では、このように連結機構3が台車1と連結する。台車1を連結機構3から切り離す場合は、上述と逆の動作を行う。なお、図1において、符号1cは台車の車輪を示す。
【0020】
移動機構5は、所望の搬送先へ保持機構3を移動させる機構である。移動機構5は、移動できる機構であればよい。図1の例では、移動機構5は、左右に間隔をおいて設けられた1対の駆動輪15である。1対の駆動輪15は、互いに平行に設けられてよいが、互いに独立して回転駆動される。これら駆動輪15が、走行面と接触しながら回転駆動されることで、自律移動装置10が移動(走行)する。なお、左側の駆動輪15の回転速度を、右側の駆動輪15の回転速度よりも大きくすることで、自律移動装置10が右側へ曲り、右側の駆動輪15の回転速度を、左側の駆動輪15の回転速度よりも大きくすることで、自律移動装置10が左側へ曲ることができる。
【0021】
制御部7は、受動モードにある時に、外部からの動作指令に従って保持機構3と移動機構5を動作させ、自律モードにある時に、移動機構5を自律制御して前記所望の搬送先へ保持機構3を移動させる。制御部7は、受動モードにある時には、移動機構5に対する自律制御を行わず、外部からの動作指令に従って、連結機構3および移動機構5を制御する。制御部7は、自律モードにある時には、入力された搬送先を示す情報に基づいて、自律制御により、移動機構5を該搬送先まで移動させる。例えば、制御部7は、搬送先までの走行経路に沿って設けられた誘導手段を検知するセンサを有し、該誘導手段に沿って走行するように移動機構5を制御する。
【0022】
操作部9は、人に操作されることで、該操作が示す上述の動作指令を制御部7へ出力する。操作部9は、人が操作可能な手段であればよく、例えばレバー、ハンドル、ボタンなどであってよい。前記操作が示す動作指令は、連結機構3の動作指令だけでなく、移動機構5の動作指令を含んでよい。連結機構3の動作指令は、連結機構3を台車1に連結させるための動作指令であり、図1の例では、1対の挟持部3aが互いに離間または近接する動作、該動作の停止・ロックなどの動作に関する指令である。移動機構5の動作指令は、移動機構5により、連結機構3が台車1に連結可能となる位置(図1(A)の位置)へ移動するための動作指令であり、例えば、移動機構5の正面への前進、停止、斜め右への前進、斜め左への前進、後退に関する指令である。操作部9は、自律移動装置10の本体に取り付けられてもよいし、自律移動装置10の本体と分離して人が携帯でき、かつ、無線で上述の動作指令を制御部7へ送信できるリモートコントローラであってもよい。
【0023】
図3は、自律移動装置10に設けられた操作部9の構成例を示す平面図である。図3の操作部9は、移動機構5を動作させるためのものであり、連結機構3の動作させるための操作部9は図示を省略する。図3の操作部9は、加えられた力を検知する力センサ25を有する。制御部7は、受動モードにある時に、該力センサ25が検知した力の大きさに応じた駆動力で移動機構5を駆動させる。これにより、人が力センサ25に力を作用させることで移動機構5を駆動させることができる。また、この場合、自律移動装置10の重量が大きくても、人が軽量な台車などを操作する(押す)ときと同等の感覚で自律移動装置10を操作する(押す)ことができる。
図3の操作部9をより詳しく説明する。操作部9は、自律移動装置10の本体に取り付けられる。また、操作部9は、人からの力を受ける力作用部27と力作用部27に作用した力を力センサ25に伝達する力伝達部28とをさらに有する。力作用部27は、この例では、人が掴むことができ水平に配置された取っ手である。人は、力作用部27に対し、自律移動装置10の前進方向(図3の左側)、当該前進方向と自律移動装置10の右方向(図3の上側)との両成分を有する前進右折方向、当該前進方向と自律移動装置10の左方向(図3の下側)との両成分を有する前進左折方向、自律移動装置10の後退方向(図3の右側)、当該後退方向と自律移動装置10の右方向(図3の上側)との両成分を有する後退右折方向、または、当該後退方向と自律移動装置10の左方向(図3の下側)との両成分を有する後退左折方向に力を加えることができる。一方、力センサ27は、前記前進方向と前記後退方向に力作用部27に加えられた力を検知する前後方向力センサ、および、前記右方向と左方向に力作用部27に加えられた力を検知する左右方向力センサからなってよい。この構成で、力センサ27は、前記前進方向または前記後退方向に力作用部27に加えられた前後方向力を検知するとともに、前記右方向または前記左方向に力作用部27に加えられた左右方向力を検知し、制御部7は、当該前後方向力に応じた駆動力で移動機構5(駆動輪15)を前進方向または後退方向に移動させつつ、当該左右方向力に応じた量だけ移動機構5を前記右方向または左方向に曲げるように移動機構5を制御する。このとき、制御部7は、前記前進方向に力作用部27に力が加えられた場合には、移動機構5を前進方向に移動させ、前記後退方向に力作用部27に力が加えられた場合には、制御部7は、移動機構5を後退方向に移動させつつ、前記右方向に力作用部27に力が加えられた場合には、移動機構5を右方向に曲げ、前記左方向に力作用部27に力が加えられた場合には、制御部7は、移動機構5を左方向に曲げる。
【0024】
受動モードと自律モードとの間の切換方法は、例えば次の(1)〜(4)のいずれか、または、(1)〜(4)のいくつかを組み合わせてなされてもよいし、他の方法でなされてもよい。
(1)人が操作部9を操作することで、受動モードと自律モードとの間の切り換えがなされる。
(2)自律移動装置10に設けたセンサ(例えば赤外線センサ)が、人が自律移動装置10の本体に接近して来たことを検知することで、受動モードと自律モードとの間の切り換えが自動的になされる。
(3)制御部7の自律制御により、台車1が置かれているエリア(後述のエリア21)へ自律移動装置10が進入したことを制御部7が検知することで、受動モードと自律モードとの間の切り換えが自動的になされる。
(4)連結機構3が台車1に連結する動作の完了(保持機構3が積載体1を保持する動作の完了)により、受動モードから自律モードに自動的に切り換わる。
【0025】
次に、上述した自律移動装置10を用いた搬送方法を図4と図5に基づいて説明する。図4は、自律移動装置10の移動経路を示す平面図である。図5は、自律移動装置10を用いた搬送方法を示すフローチャートである。
【0026】
図4の例では、図示を省略するが、自律移動装置10は、エリア21と搬送先23aまたは23bとの間を、高周波信号線、反射テープ、ランドマークなどの誘導手段を用いて自律移動してもよいし、誘導手段を用いないで自己位置をGPSや計測などにより把握して自律走行してもよいし、他の適切な方法で自律移動してもよい。
【0027】
ステップS1では、搬送物1aが積載された1つまたは複数の台車1が置かれているエリア21へ、搬送を終えた自律移動装置10が自律移動して来る。
【0028】
ステップS2では、ステップS1でエリア21に移動して来た自律移動装置10のモードが自律モードから受動モードに切り換わる。この切り換えは、上述したいずれかの切換方法で行われてよい。
【0029】
ステップS3では、作業者が操作部9を操作することで、保持機構3が、次に搬送すべき搬送物1aが積載されている積載体1を保持する。本実施形態では、作業者が操作部9を操作することで、次に搬送すべき搬送物1aが積載されている台車1に連結機構3を連結させる。例えば、操作部9の操作により、連結機構3が台車1と連結できる位置に、移動機構5が連結機構3を移動させ、かつ位置決めし、この状態で、連結機構3を動作させ(図1の例では、1対の挟持部3aを近接させる方向に移動させ)、これにより、連結機構3を台車1に連結し、その後、この状態を維持する。
なお、ステップS3では、保持機構3が、次に保持すべき積載体1(台車1)は、コンピュータで管理されている搬送計画に基づいて決定されてもよいし、作業者が決定してもよい。コンピュータで搬送計画を管理する場合には、コンピュータで管理されている搬送計画に基づいて、自律移動装置10の表示装置が次に搬送すべき搬送物1aを表示し、この表示を作業者が見て、操作部9の操作により、表示された搬送物1aが積載されている積載体1(台車1)が、保持機構3に上述のように保持(連結)される。作業者が管理する場合には、作業者が次に搬送すべき搬送物1aを選択し、操作部9の操作により、選択した搬送物1aが積載されている積載体1(台車1)が、保持機構3に上述のように保持(連結)される。
【0030】
ステップS4では、上述したいずれかの切換方法により、制御部7のモードが受動モードから自律モードに切り換わる。なお、人が操作部9を操作することで、制御部7のモードを受動モードから自律モードで切り換える場合には、他の台車1と干渉するおそれのない広いスペースまで自律移動装置10を移動させる操作を人が操作部9に対し行い、その後に、制御部7のモードを受動モードから自律モードで切り換える操作を人が操作部9に対し行ってよい。また、上述の誘導手段を用いる場合には、自律移動装置10のセンサが誘導手段を検知できる位置まで自律移動装置10を移動させる操作を人が操作部9に対し行い、その後に、制御部7のモードを受動モードから自律モードで切り換える操作を人が操作部9に対し行ってもよい。
【0031】
ステップS5では、制御部7は、自律制御により、指定された搬送先(例えば搬送先23a)へ移動するように移動機構5を制御する。なお、搬送先は、コンピュータで搬送計画が管理されている場合には、制御部7は、設定されている搬送計画が指定する搬送先へ移動するように移動機構5を制御する。代わりに、作業者が、所定の入力装置を用いて搬送先を制御部7に入力し、制御部7は、当該入力により指定された搬送先へ移動するように移動機構5を制御してもよい。
【0032】
ステップS6では、自律移動装置10が、ステップS5で指定された搬送先に自律移動により到達したら、自律移動装置10は、その制御部7の自律制御により、自身に保持(連結)されている積載体1(台車1)を保持機構3から切り離すように該保持機構3を動作させる。代わりに、ステップS6において、ステップS5で指定された搬送先に自律移動装置10が到達したら、制御部7のモードが、上述したいずれかの切換方法で自律モードから受動モードに切り換わり、その後、人が操作部9を操作することで、積載体1(台車1)を保持機構3から切り離すように該保持機構3を動作させてもよい。
【0033】
ステップS6が終わったらステップS1へ戻り、搬送を終え、台車1と切り離された自律移動装置10は、その制御部7の自律制御によりエリア21へ戻る。
【0034】
上述した本発明の実施形態の自律移動装置10とこれを用いた搬送方法によると、制御部7は、受動モードにより、外部からの動作指令に従って連結機構3と移動機構5を動作させることで、連結機構3を台車1と連結することができ、自律モードにより、移動機構5を自律制御して前記所望の搬送先へ連結機構3を移動させる。その結果、複数の台車1が、互いの隙間を詰めて置かれたり、乱雑に配置されていたりする場合であっても、高度な制御を必要とすることなく、台車1と連結でき、かつ、所望の搬送先へ自律移動できる。
【0035】
[他の実施形態]
上述の実施形態では、積載体1は、搬送物1aが積載される台車1であり、保持機構3は、台車1と連結することで該台車1を保持する連結機構3であったが、本発明によると、積載体1は、搬送物1aが積載されるパレットであり、保持機構3は、パレット1が所定の位置に置かれた状態から、該パレット1を持ち上げて保持するハンドプラッタやフォークリフタ等の持上機構であってもよい。この場合、操作部9が人に操作されることで制御部7に出力される動作指令は、上述の実施形態で説明した移動機構5の動作指令と、持上機構3の動作指令を含んでよく、持上機構3の動作指令は、持上機構3が所定の位置に置かれたパレット1を持ち上げて保持する動作に関する指令であり、持上機構3が、パレット1を持ち上げて保持した状態から搬送先でパレット1を置いてパレット1から分離する動作に関する指令を含んでもよい。保持機構3が持上機構3である場合において、自律移動装置10とこれを用いた搬送方法の他の構成、動作、手順は、上述の実施形態と同じである。
【0036】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
1 積載体(台車、パレット)、1a 搬送物、1b 被連結部、
1c 車輪、3 保持機構(連結機構、持上機構)、3a 挟持部、
5 移動機構、7 制御部、9 操作部、
10 自律移動装置、11 突出部、13 係止部、
15 駆動輪、21 エリア、23a,23b 搬送先


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物が積載される積載体を保持した状態で自律移動することで該積載体を搬送する自律移動装置であって、
前記積載体と分離した状態から該積載体を保持可能な保持機構と、
所望の搬送先へ前記保持機構を移動させる移動機構と、
受動モードと自律モードとの間で切換可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、受動モードにある時に、外部からの動作指令に従って前記保持機構と前記移動機構を動作させ、自律モードにある時に、前記移動機構を自律制御して前記所望の搬送先へ前記保持機構を移動させる、ことを特徴とする自律移動装置。
【請求項2】
人が操作可能な操作部を備え、
前記制御部は、受動モードにある時に、前記操作部の操作により入力される動作指令に従って前記保持機構と前記移動機構を動作させる、ことを特徴とする請求項1に記載の自律移動装置。
【請求項3】
前記積載体は、搬送物が積載される台車であり、
前記保持機構は、前記台車と連結することで該台車を保持する連結機構である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の自律移動装置。
【請求項4】
前記積載体は、搬送物が積載されるパレットであり、
前記保持機構は、前記パレットが所定の位置に置かれた状態から、該パレットを持ち上げて保持する持上機構である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の自律移動装置。
【請求項5】
前記操作部は、加えられた力を検知する力センサを有し、
前記制御部は、受動モードにある時に、該力センサが検知した力の大きさに応じた駆動力で前記移動機構を駆動させる、ことを特徴とする請求項2に記載の自律移動装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の自律移動装置を用いた搬送方法であって、
(A)所定のエリアで、前記制御部を受動モードにして、該制御部に動作指令を外部から入力することで、該動作指令に従って前記保持機構と前記移動機構を動作させ、これにより、前記保持機構に前記積載体を保持させ、
(B)次いで、前記制御部を自律モードにして、前記制御部が前記移動機構を自律制御することで、前記積載体と共に前記保持機構を所望の搬送先へ移動させる、ことを特徴とする搬送方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−59859(P2011−59859A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207027(P2009−207027)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】