自然位で硬化するエレメントを具える脈管閉塞デバイス
【課題】
【解決手段】 身体キャビティを閉塞する脈管閉塞デバイスであって、当該デバイスのルーメン内に内部エレメントを配置したデバイス。内部エレメントは、所望のサイズに膨張できる材料でできた自然位のコイルを硬化させるように構成された活性エレメント(214)を具え、これによって、コイルに半径方向のストレスをかけて、閉塞デバイスを硬化させる。代替的に活性エレメントを閉塞デバイスの2点で固定して、緊縮する材料で作り、これによって、圧縮させてデバイスを硬化させる。
【解決手段】 身体キャビティを閉塞する脈管閉塞デバイスであって、当該デバイスのルーメン内に内部エレメントを配置したデバイス。内部エレメントは、所望のサイズに膨張できる材料でできた自然位のコイルを硬化させるように構成された活性エレメント(214)を具え、これによって、コイルに半径方向のストレスをかけて、閉塞デバイスを硬化させる。代替的に活性エレメントを閉塞デバイスの2点で固定して、緊縮する材料で作り、これによって、圧縮させてデバイスを硬化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、医療デバイスに関し、特に、デバイスの展開形状の保持を補助する自然位で硬化するエレメントを具える脈管閉塞デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの臨床場面において、出血のコントロール、腫瘍への血液の供給の防止、動脈瘤、動静脈奇形、動静脈フィステル内での血流のブロックなど、様々な目的で血管を閉鎖することがある。脈管閉塞デバイスは、典型的には導管としてカテーテルを用いて血管あるいは脈管キャビティ内に配置して、血流を阻止し、血栓を形成し、その部位を閉塞する外科的インプラントである。例えば、発作や、その他のこのような脈管の出現は、その部位の近位側に脈管閉塞デバイスを配置し、その部位への血流をブロックし、漏れを軽減して治療を行う。動脈瘤も同様に、一またはそれ以上の脈管閉塞デバイスを動脈瘤のネックを通して導入することによって処置することがある。脈管閉塞デバイスの配置は、動脈瘤嚢内に塊を作るのを促進し、動脈瘤の成長と、続いて生じる破裂の可能性を軽減する。
【0003】
治療目的で塞栓閉塞を作るのに好適な公知の脈管閉塞デバイスには様々なものがある。このようなデバイスの一つが、Ritchart et al.に付与された米国特許第4,994,069号に見出される。この特許は、伸長時にリニア螺旋形状を取り、弛緩時に畳んで巻き込んだ形状を取る脈管閉塞コイルについて述べている。コイルは、所望の部位にコイルを配置するのに使用するカテーテル内にあるときには伸長した形状を有し、コイルがカテーテルから排出されて、コイルが弛緩したときに畳んで巻き込んだ形状を取る。Richart et al.は、「花型」や、二重渦巻型を含む様々な形状を開示している。ランダム形状も開示されている。
【0004】
弛緩形状において複雑な三次元構造を有する脈管閉塞コイルが、Wallace et al.に付与された米国特許第6,322,576B1号に記載されている。コイルは、ほぼ球形、卵型、クローバ型、箱型構造、あるいはその他のひずんだ球形に展開する。この特許は、生体構造形状の脈管閉塞デバイスを適宜の形をしたフォームに巻取り、これを焼きなまして様々なデバイスを形成する方法も開示している。
【0005】
現存の脈管閉塞デバイスに関連する一つの問題は、このデバイスが動脈瘤に送出された後にその形状を保持するのに十分な強度あるいは剛性を有していないことである。上述した脈管閉塞デバイスが動脈瘤内に配置されると、動脈瘤の閉塞用に血栓の形成を誘発する傾向にある。しかしながら、時間と、血流力学的な力と血栓崩壊プロセスの影響で、送出された脈管閉塞デバイスが、その比較的低い剛性のために、あるいは最小エネルギィ形態学を探索するプロセスにおいて、移動したり形状が変化したりすることがある。この結果、送出された脈管閉塞デバイスは、もともと配置されていた位置あるいは形状を外れて移動することがある。いくつかのケースでは、送出された脈管閉塞デバイスは、動脈瘤嚢の外へ移動することすらある。
【0006】
発明の概要
自然位での硬化能力のある内部活性エレメントを有する脈管閉塞デバイスが提供されている。一の実施例では、脈管閉塞デバイスは、コイルと、このコイルのルーメン内に配置した活性エレメントを具える。活性エレメントは、非限定的な例として、細長形状、球形、円錐状、板状、メッシュ状、あるいはその他のカスタマイズ形状といった、いくつもの形状を有することができる。更なる非限定的な例として、活性エレメントは、身体内に配置されたときに活性エレメントを膨張させるヒドロゲルなどの膨張材料でできていても良い。このような実施例では、膨張した活性エレメントが、コイル内において半径方向に応力が加わり、これによって、コイルの少なくとも一部の形状を自然位で硬化させて安定させる。
【0007】
代替的に、前記活性エレメントは、身体内に配置されたときに活性エレメントを緊縮させる材料でできていても良い。このような実施例では、活性エレメントは、コイルの長さに沿った二点でコイルに固定あるいは固着される。活性エレメントが緊縮すると、二つの取り付け地点間でコイルを圧縮し、これによって、コイルの少なくとも一部の形状を自然位で硬化させて安定させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面は、本発明の実施例の設計及び利用を記載しており、同じエレメントには共通の番号が付されている。
【図1】図1は、コイルのルーメン内に配置された活性エレメントを有する別の実施例による脈管閉塞デバイスの側面図である。
【図2】図2は、図1に示す脈管閉塞デバイスの側面図であり、膨張形状を有する活性エレメントを示す。
【図3】図3は、脈管閉塞デバイスの実施例の側面図である。
【図4】図4は、脈管閉塞デバイスの実施例の側面図である。
【図5】図5は、脈管閉塞デバイスの実施例の側面図である。
【図6】図6は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図7】図7は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図8】図8は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図9】図9は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図10】図10は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図11】図11は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図12】図12は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【0009】
実施例の詳細な説明
図1の脈管閉塞デバイス200には、自然位で緊縮したコイル200を提供するように構成された活性エレメント214が設けられている。コイル212は、好ましくは、円形断面を有するワイヤなどのリニアエレメント216でできている。代替的に、コイル212のリニアエレメント216は、矩形、三角形、その他のジオメトリックな断面、あるいは変則的な形状の断面を有していてもよい。
【0010】
コイル212は、リニアエレメント216によって形成された一又はそれ以上のループまたは巻線218を具える。ループ218は、活性エレメント214が配置される中央ルーメン220を規定する。コイル12に関して上述したいずれの材料も、コイル212を構成するのに好適である。図に示す実施例では、脈管閉塞デバイス200は、全径または断面が、好ましくは0.010から0.023インチの範囲にある。しかしながら、脈管閉塞デバイス200は、その他の径及び/又は断面を有していても良い。脈管閉塞デバイス200は、選択的に、コイル212の第1の端部224及び/又は第2の端部226に固定した一又はそれ以上のキャップ222を具えていても良い。
【0011】
図1に示すように、活性エレメント214は、脈管閉塞デバイス200の長さに沿って、実質的に直線、あるいは曲線(360°以下)形状を有する軸方向に方向付けられたエレメント230を具える。更に、より複雑なコイル形状の場合は、活性エレメントは、コイルの形状を反映させたものであっても良い。軸方向に方向付けられたエレメント30は、コイル212のルーメン220内に配置されており、コイル212の端部224及び226、あるいはエンドキャップ222に固定されている。この固定は、上述した方法のいずれによっても実行することができる。
【0012】
代替の実施例では、コイル212の両端部224および226に固定する代わりに、軸方向に方向付けられたエレメント230をコイル212の端部224および226の一方において、あるいは、コイル212の長さに沿った一またはそれ以上の地点で、好適な接着剤によって、あるいはコイル212の一またはそれ以上の巻線218の周囲をラッピングすることによって、コイル212に固定することができる。更に、別の実施例では、軸方向に方向付けられたエレメント230が、コイル212に固定されていない。このケースでは、軸方向に方向付けられたエレメント230は、コイル212のルーメン220内に単に配置されているだけであるか、あるいは、表面摩擦によってコイル210に連結されている。この場合、軸方向に方向付けられたエレメント230の表面は、軸方向に方向付けられたエレメント230とコイル212との間の連結力を改善するためにテキスチュア加工されていても良い。
【0013】
活性エレメント214は、身体キャビティ内に配置されたときに、脈管閉塞デバイス200の構造的特性を変化させる反応を受けるように構成されている。一の実施例では、活性エレメント214は、膨張可能な材料を具えており、生きている哺乳動物内の水性環境に置かれたときにサイズが膨張する。この場合、活性エレメント214の断面は、コイル212の内径(あるいはルーメン220)より若干大きいサイズに膨張できるように構成されている(図2)。一の実施例では、活性エレメント214の断面大きさは、膨張した断面大きさがコイル212の内径の、少なくとも100%〜500%、より特別に、110%〜200%になるように構成されている。膨張した材料は、コイル212内で半径方向にストレスを与え、これによって、コイル212が自然位で硬化して、安定する。
【0014】
活性エレメント214を構成するのに使用することができる膨張可能な材料の一例は、ヒドロゲルであり、これは所望の量の水性液体を吸収することができる。ヒドロゲルの例は、ホモポリマ、コポリマ、および/またはネットワークポリマからできたゲルを含み:ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチルオキサゾリン、ポリサッカリド、ムコポリサッカリド、ポリアミノ酸、カルボキシアルキルセルロース、部分酸化型セルロース、ヒアルロン酸、デキストラン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、寒天、スターチ、アルギン酸、フィブロネクチン、ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ペクチン、アルブミン、ポリグリコール酸を含むα−ヒドロキシ酸のポリエステル、ポリDL乳酸、ポリL乳酸、ポリラクトン、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトーン、ポリ(δ−バレロラクトーン)、ポリ(γ−ブチロラクトーン)、およびこれらの組み合わせを含む。このゲルは、更に、二又はそれ以上のポリマ分子間に化学的に架橋するために、二またはそれ以上の反応基を有する化学的架橋剤を具えていても良い。このような架橋剤の例には、ジアクリレート、オリゴアクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、ジビニルエーテル、ある種の陽イオン、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0015】
活性エレメント214は、ヒドロゲルを混合した、あるいはヒドロゲルで被覆された放射線不透過性材料を具えていても良く、あるいは代替的に、活性エレメント214に固定された放射線不透過性マーカを具えていても良い。
【0016】
水分、イオン強度、温度、pH、あるいは血液で運ばれる物質(例えば、脂肪を吸収するシリコーン、あるいはその他のポリマ)の変化に応答するその他の膨張可能な材料も使用することができる。活性エレメント214が膨張する率は、活性エレメント214の成分を変えるなどして注文に応じて変えることができ、従って、コイル212の配置および再位置決めを、コイルが部位に送出された後のある期間内に行うことができる。活性エレメント214が膨張する率は、コイル212のピッチ間のスペースを変化させて、これによってコイル212のルーメン220に流れる体液量を制御することによっても変えることができる。この率は、溶性あるいは非溶性のコーティングによって制御することもできる。いずれの場合も、このコーティングが活性エレメント中への水の分散を制御する。
【0017】
別の実施例では、活性エレメント214は、水分、イオン強度、pH温度などの環境的刺激によって緊縮する材料で作ることもできる。この場合、活性エレメント214は、コイル212の長さに沿った二点でコイル212に固定されている。例えば、活性エレメント214は、上述した方法のいずれかを用いてコイル212の端部224及び226に固定することができる。代替的に、活性エレメント214は、接着剤で、あるいはコイル212のループ218の周囲にラッピングを行うことによって、その長さに沿ってコイル212に固定することもできる。活性エレメント214が身体内部に配置されると、血液あるいはその他の体液などの刺激に反応し、緊縮する。活性エレメント214の緊縮は、コイル212の上に圧縮負荷をかけ(すなわち、活性エレメント214が取り付けた二点間でコイルを圧縮する)、コイル212を自然位で硬化させあるいは安定させる。
【0018】
活性エレメントの緊縮は、例えば、材料の転移が不可逆性であれば、温かい液体あるいはイオン溶液を局部的に注入することによって行うことができる。代替的に、活性エレメントにあらかじめテンションを掛けるようにしても良い。ここでは、使用前にデバイスを溶剤(例えば、水性イオン溶液、あるいは、極性有機溶液)で調整しておき、エレメントを身体内部に配置する前に初期膨張させておく。身体内に配置されると、血液との接触によって、溶液が活性エレメントの外に拡散され、エレメントを更に緊縮させる。
【0019】
環境的刺激によって緊縮する材料の例には、温度の変化によって緊縮(又は膨張)する、ニチノール(登録商標)、あるいはポリウレタンとポリ(ノルボルネン)などの、形状記憶合金とポリマがある。このほか、感温性緊縮材料には、体温であるいは体温近くで熱によって誘発される相転移あるいは変性を起こすたんぱく質繊維と、熱応答性ヒドロゲルが含まれる。このヒドロゲルには、ポリマ鎖と周辺の水性環境間の親水性/疎水性の相互作用のバランスを変化させる熱によって誘発される分子運動に応答して体積が変化する、水性溶液によって膨張したポリマゲルがある。このようなヒドロゲルの例には、n−イソプロピル、アクリルアミド、キトサン、ヒアルロン酸、又はポリ(エチレンオキサイド−コ−プロピレンオキサイド)を含有するものがある。pH及び/又はイオン強度の変化に応じて緊縮する材料の例には、荷電高分子ヒドロゲルがある。これは、ポリマ鎖と周辺の水性環境内のイオンとの間の誘電性相互作用に応じて体積が変わる水溶液によって膨張するポリマゲルである。このようなヒドロゲルの例には、アクリル酸、n−イソプロピルアクリルアミド、アミノ酸、カルボキシルメタクリレート、キトサンあるいはキサンを含むものがある。体内pHまたは体内pH近くで、pHに誘発されて相転移または変性が生じるたんぱく質繊維も、シリコーン、ウレタン、アクリル繊維、ポリエステルなどの、水(または血液)に接触するとゲルの外に拡散する非水溶液で膨張する生体適合性ポリマを具えるポリマゲルとなるので、緊縮剤として有効である。
【0020】
なお、脈管閉塞デバイス10は、薬剤送出能力を有するものとして、また、脈管閉塞デバイス200は自然位で硬化能力を有するものとして記載されているが、本発明の範囲は、そのように限定されるべきではない。代替の実施例において、脈管閉塞デバイスは、自然位で硬化すると共に、対生物活性剤を送出するように構成することができる。例えば、自然位で硬化するように構成されている脈管閉塞デバイス200が、身体内に送出され時に組織反応を起こす対生物活性剤を搬送することもできる。
【0021】
薬剤キャリア14と活性エレメント214は、実質的に直線あるいは曲線(360°以下)形状を有するとして述べられているが、この形状に限定されるものではなく、このキャリアとエレメントがコイルの中央ルーメン内に実質的に位置する限りは、その他の形状または代替の実施例における構造を有していても良い。
【0022】
図4ないし図6は、それぞれ、本発明の代替の実施例によるコイル302と内部エレメント304を有する脈管閉塞デバイス300を示す。これらの図面中のコイル302は、上述のコイル12またはコイル212を表しており、内部エレメント304は、上述した薬剤キャリア14あるいは活性エレメント214を表す。
【0023】
図3は、コイル302とコイルの形状を有する内部エレメント304(1)を具える脈管閉塞デバイス300(1)を示す。上述したものと同様に、内部エレメント304(1)はコイル302の一方あるいは両方の端部に固着されているか、コイル302の長さに沿った一またはそれ以上の地点でコイル302に固着されているか、あるいは表面摩擦によってコイル302に連結されている。
【0024】
図4は、コイル302および一又はそれ以上の内部エレメント304(2)を具えるもう一つの脈管閉塞デバイス300(2)を示す。この場合、内部エレメント304(2)は、コイル302の一端から他端へほぼ延在していない。その代わりに、内部エレメント304(2)は、コイル302の長さの一部に沿って延在しているだけである。図に示す実施例では、内部エレメント304(2)はシリンダ形状を有している。しかしながら、内部エレメント304(2)は、その他の形状または構造を有していていも良い。例えば、内部エレメント304(2)は、球形、円錐形、板状、メッシュ、あるいはその他の注文に応じて作った形状であってもよい。図5は、ランダム形状を有する内部エレメント304(3)を具える脈管閉塞デバイス300(3)を示す。
【0025】
上述の実施例に示した脈管閉塞デバイスは、一般的にほぼ直線(ストレート)または曲線(若干曲がっている、すなわち、360°のスパイラル以下である)の弛緩した構造を有している。このようなデバイスは、外部の力に晒されたときに(すなわち、デバイスが、動脈瘤の壁などの対象に対して押されたときに発生する圧縮力に晒されたとき)、折りたたまれた、あるいは曲がった構造をとる。このデバイスは、様々な二次形状又は弛緩形状をとることもできる。これらの脈管閉塞デバイスの空間を満たす能力は、これらのデバイスの二次的弛緩形状内に固有のものである。
【0026】
図7ないし13は、一次形状と二次形状を有するコイル402を具える様々な脈管閉塞デバイス400を示す。これらの形状は、使用できる様々な二次形状を単に示すものであり、その他の形状も同様に使用することができる。常に示されているわけではないが、図7ないし図13に記載されているデバイス400には、上述したように薬剤キャリア14または活性エレメント214となりうる内部エレメント304がそれぞれ設けられている。
【0027】
図6は、クローバ葉の二次形状を有するデバイス400(1)を示す。図7は、ねじれた8の字の二次形状を有するデバイス400(2)を示す。図8は、花型の二次形状を有するデバイス400(3)を示す。図9は、ほぼ球形の二次形状を有するデバイス400(4)を示す。図10は、ランダムな二次形状を有するデバイス400(5)を示す。図11は、渦巻の二次形状を有するデバイス400(6)を示す。図12は、卵形の二次形状を有するデバイス400(7)を示す図である。なお、脈管閉塞デバイス400は、その他の二次形状を有していても良く、上記に示した例に限定する必要はない。二次形状の脈管閉塞デバイス400を作るためには、ほぼ直線あるいは曲線状の一次形状を有するコイル(すなわち、コイル402)は、主軸の周りをラップした一次形状、または二次形状を作るその他の形状付けエレメントを有する。コイル402は、コイル402を二次形状にするために熱処理を行うこともできる。
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、医療デバイスに関し、特に、デバイスの展開形状の保持を補助する自然位で硬化するエレメントを具える脈管閉塞デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの臨床場面において、出血のコントロール、腫瘍への血液の供給の防止、動脈瘤、動静脈奇形、動静脈フィステル内での血流のブロックなど、様々な目的で血管を閉鎖することがある。脈管閉塞デバイスは、典型的には導管としてカテーテルを用いて血管あるいは脈管キャビティ内に配置して、血流を阻止し、血栓を形成し、その部位を閉塞する外科的インプラントである。例えば、発作や、その他のこのような脈管の出現は、その部位の近位側に脈管閉塞デバイスを配置し、その部位への血流をブロックし、漏れを軽減して治療を行う。動脈瘤も同様に、一またはそれ以上の脈管閉塞デバイスを動脈瘤のネックを通して導入することによって処置することがある。脈管閉塞デバイスの配置は、動脈瘤嚢内に塊を作るのを促進し、動脈瘤の成長と、続いて生じる破裂の可能性を軽減する。
【0003】
治療目的で塞栓閉塞を作るのに好適な公知の脈管閉塞デバイスには様々なものがある。このようなデバイスの一つが、Ritchart et al.に付与された米国特許第4,994,069号に見出される。この特許は、伸長時にリニア螺旋形状を取り、弛緩時に畳んで巻き込んだ形状を取る脈管閉塞コイルについて述べている。コイルは、所望の部位にコイルを配置するのに使用するカテーテル内にあるときには伸長した形状を有し、コイルがカテーテルから排出されて、コイルが弛緩したときに畳んで巻き込んだ形状を取る。Richart et al.は、「花型」や、二重渦巻型を含む様々な形状を開示している。ランダム形状も開示されている。
【0004】
弛緩形状において複雑な三次元構造を有する脈管閉塞コイルが、Wallace et al.に付与された米国特許第6,322,576B1号に記載されている。コイルは、ほぼ球形、卵型、クローバ型、箱型構造、あるいはその他のひずんだ球形に展開する。この特許は、生体構造形状の脈管閉塞デバイスを適宜の形をしたフォームに巻取り、これを焼きなまして様々なデバイスを形成する方法も開示している。
【0005】
現存の脈管閉塞デバイスに関連する一つの問題は、このデバイスが動脈瘤に送出された後にその形状を保持するのに十分な強度あるいは剛性を有していないことである。上述した脈管閉塞デバイスが動脈瘤内に配置されると、動脈瘤の閉塞用に血栓の形成を誘発する傾向にある。しかしながら、時間と、血流力学的な力と血栓崩壊プロセスの影響で、送出された脈管閉塞デバイスが、その比較的低い剛性のために、あるいは最小エネルギィ形態学を探索するプロセスにおいて、移動したり形状が変化したりすることがある。この結果、送出された脈管閉塞デバイスは、もともと配置されていた位置あるいは形状を外れて移動することがある。いくつかのケースでは、送出された脈管閉塞デバイスは、動脈瘤嚢の外へ移動することすらある。
【0006】
発明の概要
自然位での硬化能力のある内部活性エレメントを有する脈管閉塞デバイスが提供されている。一の実施例では、脈管閉塞デバイスは、コイルと、このコイルのルーメン内に配置した活性エレメントを具える。活性エレメントは、非限定的な例として、細長形状、球形、円錐状、板状、メッシュ状、あるいはその他のカスタマイズ形状といった、いくつもの形状を有することができる。更なる非限定的な例として、活性エレメントは、身体内に配置されたときに活性エレメントを膨張させるヒドロゲルなどの膨張材料でできていても良い。このような実施例では、膨張した活性エレメントが、コイル内において半径方向に応力が加わり、これによって、コイルの少なくとも一部の形状を自然位で硬化させて安定させる。
【0007】
代替的に、前記活性エレメントは、身体内に配置されたときに活性エレメントを緊縮させる材料でできていても良い。このような実施例では、活性エレメントは、コイルの長さに沿った二点でコイルに固定あるいは固着される。活性エレメントが緊縮すると、二つの取り付け地点間でコイルを圧縮し、これによって、コイルの少なくとも一部の形状を自然位で硬化させて安定させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面は、本発明の実施例の設計及び利用を記載しており、同じエレメントには共通の番号が付されている。
【図1】図1は、コイルのルーメン内に配置された活性エレメントを有する別の実施例による脈管閉塞デバイスの側面図である。
【図2】図2は、図1に示す脈管閉塞デバイスの側面図であり、膨張形状を有する活性エレメントを示す。
【図3】図3は、脈管閉塞デバイスの実施例の側面図である。
【図4】図4は、脈管閉塞デバイスの実施例の側面図である。
【図5】図5は、脈管閉塞デバイスの実施例の側面図である。
【図6】図6は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図7】図7は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図8】図8は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図9】図9は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図10】図10は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図11】図11は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【図12】図12は、二次形状を有する脈管閉塞デバイスの実施例を示す図である。
【0009】
実施例の詳細な説明
図1の脈管閉塞デバイス200には、自然位で緊縮したコイル200を提供するように構成された活性エレメント214が設けられている。コイル212は、好ましくは、円形断面を有するワイヤなどのリニアエレメント216でできている。代替的に、コイル212のリニアエレメント216は、矩形、三角形、その他のジオメトリックな断面、あるいは変則的な形状の断面を有していてもよい。
【0010】
コイル212は、リニアエレメント216によって形成された一又はそれ以上のループまたは巻線218を具える。ループ218は、活性エレメント214が配置される中央ルーメン220を規定する。コイル12に関して上述したいずれの材料も、コイル212を構成するのに好適である。図に示す実施例では、脈管閉塞デバイス200は、全径または断面が、好ましくは0.010から0.023インチの範囲にある。しかしながら、脈管閉塞デバイス200は、その他の径及び/又は断面を有していても良い。脈管閉塞デバイス200は、選択的に、コイル212の第1の端部224及び/又は第2の端部226に固定した一又はそれ以上のキャップ222を具えていても良い。
【0011】
図1に示すように、活性エレメント214は、脈管閉塞デバイス200の長さに沿って、実質的に直線、あるいは曲線(360°以下)形状を有する軸方向に方向付けられたエレメント230を具える。更に、より複雑なコイル形状の場合は、活性エレメントは、コイルの形状を反映させたものであっても良い。軸方向に方向付けられたエレメント30は、コイル212のルーメン220内に配置されており、コイル212の端部224及び226、あるいはエンドキャップ222に固定されている。この固定は、上述した方法のいずれによっても実行することができる。
【0012】
代替の実施例では、コイル212の両端部224および226に固定する代わりに、軸方向に方向付けられたエレメント230をコイル212の端部224および226の一方において、あるいは、コイル212の長さに沿った一またはそれ以上の地点で、好適な接着剤によって、あるいはコイル212の一またはそれ以上の巻線218の周囲をラッピングすることによって、コイル212に固定することができる。更に、別の実施例では、軸方向に方向付けられたエレメント230が、コイル212に固定されていない。このケースでは、軸方向に方向付けられたエレメント230は、コイル212のルーメン220内に単に配置されているだけであるか、あるいは、表面摩擦によってコイル210に連結されている。この場合、軸方向に方向付けられたエレメント230の表面は、軸方向に方向付けられたエレメント230とコイル212との間の連結力を改善するためにテキスチュア加工されていても良い。
【0013】
活性エレメント214は、身体キャビティ内に配置されたときに、脈管閉塞デバイス200の構造的特性を変化させる反応を受けるように構成されている。一の実施例では、活性エレメント214は、膨張可能な材料を具えており、生きている哺乳動物内の水性環境に置かれたときにサイズが膨張する。この場合、活性エレメント214の断面は、コイル212の内径(あるいはルーメン220)より若干大きいサイズに膨張できるように構成されている(図2)。一の実施例では、活性エレメント214の断面大きさは、膨張した断面大きさがコイル212の内径の、少なくとも100%〜500%、より特別に、110%〜200%になるように構成されている。膨張した材料は、コイル212内で半径方向にストレスを与え、これによって、コイル212が自然位で硬化して、安定する。
【0014】
活性エレメント214を構成するのに使用することができる膨張可能な材料の一例は、ヒドロゲルであり、これは所望の量の水性液体を吸収することができる。ヒドロゲルの例は、ホモポリマ、コポリマ、および/またはネットワークポリマからできたゲルを含み:ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチルオキサゾリン、ポリサッカリド、ムコポリサッカリド、ポリアミノ酸、カルボキシアルキルセルロース、部分酸化型セルロース、ヒアルロン酸、デキストラン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、寒天、スターチ、アルギン酸、フィブロネクチン、ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ペクチン、アルブミン、ポリグリコール酸を含むα−ヒドロキシ酸のポリエステル、ポリDL乳酸、ポリL乳酸、ポリラクトン、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトーン、ポリ(δ−バレロラクトーン)、ポリ(γ−ブチロラクトーン)、およびこれらの組み合わせを含む。このゲルは、更に、二又はそれ以上のポリマ分子間に化学的に架橋するために、二またはそれ以上の反応基を有する化学的架橋剤を具えていても良い。このような架橋剤の例には、ジアクリレート、オリゴアクリレート、ジメタクリレート、オリゴメタクリレート、ジビニルエーテル、ある種の陽イオン、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0015】
活性エレメント214は、ヒドロゲルを混合した、あるいはヒドロゲルで被覆された放射線不透過性材料を具えていても良く、あるいは代替的に、活性エレメント214に固定された放射線不透過性マーカを具えていても良い。
【0016】
水分、イオン強度、温度、pH、あるいは血液で運ばれる物質(例えば、脂肪を吸収するシリコーン、あるいはその他のポリマ)の変化に応答するその他の膨張可能な材料も使用することができる。活性エレメント214が膨張する率は、活性エレメント214の成分を変えるなどして注文に応じて変えることができ、従って、コイル212の配置および再位置決めを、コイルが部位に送出された後のある期間内に行うことができる。活性エレメント214が膨張する率は、コイル212のピッチ間のスペースを変化させて、これによってコイル212のルーメン220に流れる体液量を制御することによっても変えることができる。この率は、溶性あるいは非溶性のコーティングによって制御することもできる。いずれの場合も、このコーティングが活性エレメント中への水の分散を制御する。
【0017】
別の実施例では、活性エレメント214は、水分、イオン強度、pH温度などの環境的刺激によって緊縮する材料で作ることもできる。この場合、活性エレメント214は、コイル212の長さに沿った二点でコイル212に固定されている。例えば、活性エレメント214は、上述した方法のいずれかを用いてコイル212の端部224及び226に固定することができる。代替的に、活性エレメント214は、接着剤で、あるいはコイル212のループ218の周囲にラッピングを行うことによって、その長さに沿ってコイル212に固定することもできる。活性エレメント214が身体内部に配置されると、血液あるいはその他の体液などの刺激に反応し、緊縮する。活性エレメント214の緊縮は、コイル212の上に圧縮負荷をかけ(すなわち、活性エレメント214が取り付けた二点間でコイルを圧縮する)、コイル212を自然位で硬化させあるいは安定させる。
【0018】
活性エレメントの緊縮は、例えば、材料の転移が不可逆性であれば、温かい液体あるいはイオン溶液を局部的に注入することによって行うことができる。代替的に、活性エレメントにあらかじめテンションを掛けるようにしても良い。ここでは、使用前にデバイスを溶剤(例えば、水性イオン溶液、あるいは、極性有機溶液)で調整しておき、エレメントを身体内部に配置する前に初期膨張させておく。身体内に配置されると、血液との接触によって、溶液が活性エレメントの外に拡散され、エレメントを更に緊縮させる。
【0019】
環境的刺激によって緊縮する材料の例には、温度の変化によって緊縮(又は膨張)する、ニチノール(登録商標)、あるいはポリウレタンとポリ(ノルボルネン)などの、形状記憶合金とポリマがある。このほか、感温性緊縮材料には、体温であるいは体温近くで熱によって誘発される相転移あるいは変性を起こすたんぱく質繊維と、熱応答性ヒドロゲルが含まれる。このヒドロゲルには、ポリマ鎖と周辺の水性環境間の親水性/疎水性の相互作用のバランスを変化させる熱によって誘発される分子運動に応答して体積が変化する、水性溶液によって膨張したポリマゲルがある。このようなヒドロゲルの例には、n−イソプロピル、アクリルアミド、キトサン、ヒアルロン酸、又はポリ(エチレンオキサイド−コ−プロピレンオキサイド)を含有するものがある。pH及び/又はイオン強度の変化に応じて緊縮する材料の例には、荷電高分子ヒドロゲルがある。これは、ポリマ鎖と周辺の水性環境内のイオンとの間の誘電性相互作用に応じて体積が変わる水溶液によって膨張するポリマゲルである。このようなヒドロゲルの例には、アクリル酸、n−イソプロピルアクリルアミド、アミノ酸、カルボキシルメタクリレート、キトサンあるいはキサンを含むものがある。体内pHまたは体内pH近くで、pHに誘発されて相転移または変性が生じるたんぱく質繊維も、シリコーン、ウレタン、アクリル繊維、ポリエステルなどの、水(または血液)に接触するとゲルの外に拡散する非水溶液で膨張する生体適合性ポリマを具えるポリマゲルとなるので、緊縮剤として有効である。
【0020】
なお、脈管閉塞デバイス10は、薬剤送出能力を有するものとして、また、脈管閉塞デバイス200は自然位で硬化能力を有するものとして記載されているが、本発明の範囲は、そのように限定されるべきではない。代替の実施例において、脈管閉塞デバイスは、自然位で硬化すると共に、対生物活性剤を送出するように構成することができる。例えば、自然位で硬化するように構成されている脈管閉塞デバイス200が、身体内に送出され時に組織反応を起こす対生物活性剤を搬送することもできる。
【0021】
薬剤キャリア14と活性エレメント214は、実質的に直線あるいは曲線(360°以下)形状を有するとして述べられているが、この形状に限定されるものではなく、このキャリアとエレメントがコイルの中央ルーメン内に実質的に位置する限りは、その他の形状または代替の実施例における構造を有していても良い。
【0022】
図4ないし図6は、それぞれ、本発明の代替の実施例によるコイル302と内部エレメント304を有する脈管閉塞デバイス300を示す。これらの図面中のコイル302は、上述のコイル12またはコイル212を表しており、内部エレメント304は、上述した薬剤キャリア14あるいは活性エレメント214を表す。
【0023】
図3は、コイル302とコイルの形状を有する内部エレメント304(1)を具える脈管閉塞デバイス300(1)を示す。上述したものと同様に、内部エレメント304(1)はコイル302の一方あるいは両方の端部に固着されているか、コイル302の長さに沿った一またはそれ以上の地点でコイル302に固着されているか、あるいは表面摩擦によってコイル302に連結されている。
【0024】
図4は、コイル302および一又はそれ以上の内部エレメント304(2)を具えるもう一つの脈管閉塞デバイス300(2)を示す。この場合、内部エレメント304(2)は、コイル302の一端から他端へほぼ延在していない。その代わりに、内部エレメント304(2)は、コイル302の長さの一部に沿って延在しているだけである。図に示す実施例では、内部エレメント304(2)はシリンダ形状を有している。しかしながら、内部エレメント304(2)は、その他の形状または構造を有していていも良い。例えば、内部エレメント304(2)は、球形、円錐形、板状、メッシュ、あるいはその他の注文に応じて作った形状であってもよい。図5は、ランダム形状を有する内部エレメント304(3)を具える脈管閉塞デバイス300(3)を示す。
【0025】
上述の実施例に示した脈管閉塞デバイスは、一般的にほぼ直線(ストレート)または曲線(若干曲がっている、すなわち、360°のスパイラル以下である)の弛緩した構造を有している。このようなデバイスは、外部の力に晒されたときに(すなわち、デバイスが、動脈瘤の壁などの対象に対して押されたときに発生する圧縮力に晒されたとき)、折りたたまれた、あるいは曲がった構造をとる。このデバイスは、様々な二次形状又は弛緩形状をとることもできる。これらの脈管閉塞デバイスの空間を満たす能力は、これらのデバイスの二次的弛緩形状内に固有のものである。
【0026】
図7ないし13は、一次形状と二次形状を有するコイル402を具える様々な脈管閉塞デバイス400を示す。これらの形状は、使用できる様々な二次形状を単に示すものであり、その他の形状も同様に使用することができる。常に示されているわけではないが、図7ないし図13に記載されているデバイス400には、上述したように薬剤キャリア14または活性エレメント214となりうる内部エレメント304がそれぞれ設けられている。
【0027】
図6は、クローバ葉の二次形状を有するデバイス400(1)を示す。図7は、ねじれた8の字の二次形状を有するデバイス400(2)を示す。図8は、花型の二次形状を有するデバイス400(3)を示す。図9は、ほぼ球形の二次形状を有するデバイス400(4)を示す。図10は、ランダムな二次形状を有するデバイス400(5)を示す。図11は、渦巻の二次形状を有するデバイス400(6)を示す。図12は、卵形の二次形状を有するデバイス400(7)を示す図である。なお、脈管閉塞デバイス400は、その他の二次形状を有していても良く、上記に示した例に限定する必要はない。二次形状の脈管閉塞デバイス400を作るためには、ほぼ直線あるいは曲線状の一次形状を有するコイル(すなわち、コイル402)は、主軸の周りをラップした一次形状、または二次形状を作るその他の形状付けエレメントを有する。コイル402は、コイル402を二次形状にするために熱処理を行うこともできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈管閉塞デバイスにおいて:
ルーメンを有する閉塞部材と;
前記ルーメン内を搬送される活性エレメントと;を具え、
当該活性エレメントが身体内に配置されたときに膨張または緊縮し、これによって前記閉塞部材を身体キャビティ内で展開した形状にほぼ保持させることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが前記閉塞部材の長さに沿った一またはそれ以上の位置で固着されていることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントがヒドロゲルを具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが、ホモポリマ、コポリマ、ネットワークポリマ、またはこれらの組み合わせあるいはサブコンビネーションを具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、およびポリエチルオキサゾリンの一またはそれ以上を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが更に、一またはそれ以上の化学的架橋剤を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項7】
請求項3に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが、ポリサッカリド、ムコポリサッカリド、ポリアミノ酸、カルボキシアルキルセルロース、部分酸化型セルロース、ヒアルロン酸、デキシトラン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、寒天、スターチ、アルギン酸、フィブロネクチン、ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ペクチン、アルブミンおよびオバルブミンのうちの一またはそれ以上を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが更に、一またはそれ以上の化学的架橋剤を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項9】
請求項3に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが、ポリグリコール酸を含むα−ヒドロキシ酸のポリエステル、ポリ−DL−乳酸、ポリ−L−乳酸、ポリラクトン、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリ(δ−バレロラクトーン)、およびポリ(γ−ブチロラクトーン)の一またはそれ以上を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが更に、一またはそれ以上の化学的架橋剤を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項11】
請求項3に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが感熱性であることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項12】
請求項3に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが荷電高分子を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記荷電高分子が、血液プラズマに存在するイオン濃度であるいはイオン濃度付近で、イオン濃度に誘発されて形状が変化することを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記閉塞部材がコイルであることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントがコイル形状を有することを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項16】
請求項1ないし13のいずれかに記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが、身体内に配置されると膨張して、身体内にあるときに、前記閉塞部材の内径の少なくとも100%である断面大きさを有するように膨張することができることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが身体内にあるときに、前記閉塞部材の内径の100%と200%の間の断面大きさを有するように膨張することができることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項18】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが形状記憶合金を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項19】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが形状記憶ポリマを具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項20】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントがたんぱく質を具える繊維であることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項21】
請求項20に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記たんぱく質を具える繊維が、体温で、あるいは体温近傍で、熱的に誘発されて相転移あるいは変性が生じることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項22】
請求項20に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記たんぱく質を具える繊維が、身体のpHで、あるいはその近傍で、pHに誘発されて相転移あるいは変性が生じることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項23】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが、血液に接触したときにゲルの外に拡散する非水溶液で膨張する生体適合性ポリマを具えるポリマゲルであることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項24】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが、身体内に配置された後約48時間以内に膨張又は緊縮することを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項25】
請求項24に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが、身体内に配置された後約10ないし20分以内に膨張または緊縮することを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項1】
脈管閉塞デバイスにおいて:
ルーメンを有する閉塞部材と;
前記ルーメン内を搬送される活性エレメントと;を具え、
当該活性エレメントが身体内に配置されたときに膨張または緊縮し、これによって前記閉塞部材を身体キャビティ内で展開した形状にほぼ保持させることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが前記閉塞部材の長さに沿った一またはそれ以上の位置で固着されていることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントがヒドロゲルを具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが、ホモポリマ、コポリマ、ネットワークポリマ、またはこれらの組み合わせあるいはサブコンビネーションを具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、およびポリエチルオキサゾリンの一またはそれ以上を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが更に、一またはそれ以上の化学的架橋剤を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項7】
請求項3に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが、ポリサッカリド、ムコポリサッカリド、ポリアミノ酸、カルボキシアルキルセルロース、部分酸化型セルロース、ヒアルロン酸、デキシトラン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、寒天、スターチ、アルギン酸、フィブロネクチン、ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ペクチン、アルブミンおよびオバルブミンのうちの一またはそれ以上を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが更に、一またはそれ以上の化学的架橋剤を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項9】
請求項3に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが、ポリグリコール酸を含むα−ヒドロキシ酸のポリエステル、ポリ−DL−乳酸、ポリ−L−乳酸、ポリラクトン、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリ(δ−バレロラクトーン)、およびポリ(γ−ブチロラクトーン)の一またはそれ以上を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが更に、一またはそれ以上の化学的架橋剤を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項11】
請求項3に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが感熱性であることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項12】
請求項3に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記ヒドロゲルが荷電高分子を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記荷電高分子が、血液プラズマに存在するイオン濃度であるいはイオン濃度付近で、イオン濃度に誘発されて形状が変化することを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記閉塞部材がコイルであることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントがコイル形状を有することを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項16】
請求項1ないし13のいずれかに記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが、身体内に配置されると膨張して、身体内にあるときに、前記閉塞部材の内径の少なくとも100%である断面大きさを有するように膨張することができることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが身体内にあるときに、前記閉塞部材の内径の100%と200%の間の断面大きさを有するように膨張することができることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項18】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが形状記憶合金を具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項19】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが形状記憶ポリマを具えることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項20】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントがたんぱく質を具える繊維であることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項21】
請求項20に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記たんぱく質を具える繊維が、体温で、あるいは体温近傍で、熱的に誘発されて相転移あるいは変性が生じることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項22】
請求項20に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記たんぱく質を具える繊維が、身体のpHで、あるいはその近傍で、pHに誘発されて相転移あるいは変性が生じることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項23】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが、血液に接触したときにゲルの外に拡散する非水溶液で膨張する生体適合性ポリマを具えるポリマゲルであることを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項24】
請求項1又は2に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが、身体内に配置された後約48時間以内に膨張又は緊縮することを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【請求項25】
請求項24に記載の脈管閉塞デバイスにおいて、前記活性エレメントが、身体内に配置された後約10ないし20分以内に膨張または緊縮することを特徴とする脈管閉塞デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−509650(P2007−509650A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536662(P2006−536662)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/033423
【国際公開番号】WO2005/044113
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/033423
【国際公開番号】WO2005/044113
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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