説明

自照式スイッチ

【課題】自照式スイッチ163において、発光素子240に対する接続線路242、244のレジスト層246が、環状接点250の接触により損傷されることを防止する。
【解決手段】発光素子240および発光素子240を包囲して形成された電極領域232、234を有する回路基板220と、電極領域232、234に対して共通に接触する環状接点250および環状接点250を電極領域232、234から離れた状態で回路基板220に対して平行に弾性支持する弾性支持部212を一体に有する作動部材210と、挿通された作動部214が変位方向に対して傾斜した状態で変位するように案内する貫通穴202とを備え、作動部214が貫通穴202に案内されて、環状接点250は、一対の電極領域232、234に当接して電気的に結合させ、且つ、接続線路242、244には当接しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自照式スイッチに関する。より詳細には、導電性を有するゴム等により形成された作動部材により基板上に形成された電極を断続するスイッチであって、内蔵された発光素子により自身が照明される自照式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されるように、電気スイッチの接点材料のひとつとして、導電性を有するシリコンゴム等の導電性エラストマが知られている。導電性エラストマは、それ自体は絶縁性材料であるシリコンゴムに種々の導電性材料を添加して形成される。特に導電性材料としてカーボンブラックを添加した導電性エラストマは、加工性、成形性、コストに優れ、カーボンブラックの添加量に応じて10−2〜10Ω・m程度の広い範囲の導電率を選択できるので多くの用途に使用される。
【0003】
また、特許文献1に記載されるように、電気スイッチの機械的構造の観点から、ラバードーム型と呼ばれるスイッチがある。この種のスイッチは、エラストマ材料により形成されたドーム型部材をバネとして作動部を初期状態に復帰させる構造を有する。更に、ドーム型部材の形状を適切に成形することにより、作動部の動作にクリック感を与えることもできる。
【0004】
一方、電気スイッチには、特許文献2に示すように、照光式あるいは自照式とよばれる形式がある。この種の電気スイッチは、発光ダイオード等の小型の発光素子を内部に備え、透明あるいは半透明の作動部または操作部を介して外部に光を照射することができる。これにより、スイッチ自体の動作状態を表示し、あるいは、暗い環境で操作できるようにしている。
【0005】
更に、特許文献3に示すように、ラバードーム型のスイッチにおいて、ラバードーム、作動部または操作部を半透明なシリコンゴムで形成すると共に、その一部を導電性ゴムとした照光式スイッチも知られている。この構造によれば、照光式スイッチの構造を簡単にして小型化できるので、小型の機器に適した照光式スイッチを実現できる。
【特許文献1】特開平11−339593号公報
【特許文献2】特開平09−139135号公報
【特許文献3】特開平10−312726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、導電性エラストマは、電気抵抗が比較的小さいとはいえ、金属よりは電気抵抗が大きい。従って、接点材料として用いる場合は、できるだけ広い接触面積で接点に触れるように設計される。一方、照光式スイッチあるいは自照式スイッチにおいては、発光素子の出射した光は作動部または操作部を透過して外部に放射される。ところが、カーボンブラック等の導電性材料は光を透過しない。そこで、後述するように、光の透過を妨げないように、作動部における導電性エラストマを発光素子の周囲を包囲する環状に形成する場合がある。
【0007】
しかしながら、導電性エラストマを環状に配置した場合、スイッチの内部に配置された発光素子に電力を供給する接続線路に対しても接触することが余儀なくされる。接続線路は、レジスト層により覆われているが、硬質なカーボンブラックを分散された導電性ゴムの表面性状は粗く、スイッチ操作により接触を繰り返すうちにレジスト層が損傷する場合がある。レジスト層のない接続線路に対して導電性エラストマが接触した場合は、短絡が生じる。このため、スイッチとしての寿命は十分に残っていても、発光素子が点灯しなくなり、あるいはそのために動作エラーが検出され、そのスイッチを備えた装置全体の実用上の寿命も縮める結果となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題の解決を目的として、本発明の第1の形態として、発光素子、発光素子に電力を供給する接続線路、および、接続線路の形成された領域を除いて発光素子を包囲して形成された一対の電極領域を装荷された基板と、導電性弾性材料により形成され一対の電極領域に対して共通に接触する環状接点、弾性材料により形成されて環状接点を電極領域から離れた状態で基板に対して平行に弾性支持する弾性支持部、および、外部から押圧されることにより弾性支持部の弾性に逆らって環状接点を電極に当接させる被押圧部を一体に有する作動部材と、外部から押圧された場合の被押圧部の変位方向と直交する断面において被押圧部と略相補的な貫通穴を有し、貫通穴に挿通された被押圧部が変位方向に対して傾斜した状態で変位するように案内する案内部材とを備え、被押圧部が押圧された場合に、作動部材が案内部材に案内されて、環状接点が、一対の電極領域に当接して電気的に結合させ、且つ、接続線路には当接しない自照式スイッチが提供される。これにより、環状接点に対する接触に起因する接続線路上のレジスト層の損傷が防止され、自照式スイッチの寿命が延長される。
【0009】
また、ひとつの実施形態によると、上記自照式スイッチにおいて、案内部材が、変位方向と平行な方向に被押圧部に接触する接触部を貫通穴の内面に有し、被押圧部が外部から押圧された場合に、作動部材のうち接触部に接触した部位が遅れて変位する。これにより、環状接点が接続線路を含む領域に当接する前に電極領域が電気的に結合されるので、接続線路を含む領域に環状接点が触れる前に被押圧部に対する押圧を解除できる。従って、接続線路を含む領域に環状接点が当接する機会が減少するので、環状接点の接触に起因する接続線路上のレジストの磨耗が防止あるいは低減される。
【0010】
更に、他の実施形態によると、上記自照式スイッチにおいて、案内部材が、貫通穴の周上で接続線路に対面する位置において、貫通穴の内面および作動部の間に間隙を有し、被押圧部が外部から押圧された場合に、作動部が間隙に向かって傾斜しつつ変位する。これにより、環状接点は、接続線路が存在しない側から電極領域に当接するので、環状接点の接触に起因する接続線路上のレジストの磨耗が防止あるいは低減される。
【0011】
また、本発明の第2の形態として、発光素子、発光素子に電力を供給する接続線路、および、接続線路の形成された領域を除いて発光素子を包囲して形成された一対の電極領域を装荷された基板と、導電性弾性材料により形成され一対の電極領域に対して共通に接触する環状接点、弾性材料により形成されて環状接点を電極領域から離れた状態で基板に対して平行に弾性支持する弾性支持部、および、外部から押圧されることにより弾性支持部の弾性に逆らって環状接点を電極に当接させる被押圧部を一体に有する作動部材とを備えた自照式スイッチであって、被押圧部が外部から押圧された場合に生じる作動部の変位方向が、被押圧部に対する押圧方向と交差する自照式スイッチが提供される。これにより、被押圧部に対する押圧方向に対して傾斜した状態で作動部材および環状接点が電極領域に当接する。従って、接続線路を含む領域に環状接点が当接する機会が減少するので、環状接点の接触に起因する接続線路上のレジストの磨耗が防止あるいは低減される。
【0012】
また、ひとつの実施形態によると、上記自照式スイッチにおいて、被押圧部において外部から押圧される面が、変位方向に直交する面に対して傾斜している。これにより、被押圧部を押圧された作動部材は傾斜した状態で変位するので、接続線路を含む領域に環状接点が当接する機会が減少するので、環状接点の接触に起因する接続線路上のレジストの磨耗が防止あるいは低減される。
【0013】
更に、他の実施形態によると、上記自照式スイッチにおいて、被押圧部において押圧される面が変位方向に直交する面に対して傾斜するように、基板および作動部材が傾斜して配置される。これにより、被押圧部を押圧された作動部材は傾斜した状態で変位するので、接続線路を含む領域に環状接点が当接する機会が減少するので、環状接点の接触に起因する接続線路上のレジストの磨耗が防止あるいは低減される。
【0014】
また、本発明の第3の形態として、発光素子、発光素子に電力を供給する接続線路、および、接続線路の形成された領域を除いて発光素子を包囲して形成された一対の電極領域を装荷された基板と、導電性弾性材料により形成され一対の電極領域に対して共通に接触する環状接点、弾性材料により形成されて環状接点を電極領域から離れた状態で基板に対して平行に弾性支持する弾性支持部、および、外部から押圧されることにより弾性支持部の弾性に逆らって環状接点を電極に当接させる被押圧部を一体に有する作動部材とを備えた自照式スイッチであって、被押圧部が押圧された場合に環状接点が接続線路に当接する領域において、環状接点が除去された自照式スイッチが提供される。これにより、環状接点に対する接触に起因する接続線路上のレジスト層の損傷が防止され、自照式スイッチの寿命が延長される。
【0015】
また、本発明の第4の形態として、発光素子、発光素子に電力を供給する接続線路、接続線路の形成された領域を除いて発光素子を包囲して形成された一対の電極領域、および、接続線路が一対の電極の端部を結ぶ線と交差する位置において接続線路に重ねて形成された保護層とを装荷された基板と、導電性弾性材料により形成され一対の電極領域に対して共通に接触する環状接点、弾性材料により形成されて環状接点を電極領域から離れた状態で基板に対して平行に弾性支持する弾性支持部、および、外部から押圧されることにより弾性支持部の弾性に逆らって環状接点を電極に当接させる被押圧部を一体に有する作動部材とを備えた自照式スイッチであって、被押圧部が押圧された場合に、環状接点が保護層に当接することにより接続線路に直接に当接しない自照式スイッチが提供される。これにより、環状接点に対する接触に起因する接続線路上のレジスト層の損傷が防止され、自照式スイッチの寿命が延長される。
【0016】
なお、上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションも発明となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。ただし、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、結合部材組立体230を実装されたインクジェット式記録装置100の外形を示す斜視図である。同図に示すように、このインクジェット式記録装置100は、横長の筐体110の後方上部に給紙部120を、前方下部に排出トレイ130をそれぞれ備える。一方、筐体110の内部には、筐体110の幅方向に延在するプラテン140と、プラテン140の上方にプラテン140と平行に配置されたガイド軸152と、ガイド軸152に案内されたキャリッジ150とを備える。なお、キャリッジ150の下面には記録ヘッド154が装着されており、プラテン140上の記録用紙に向かってインクを吐出する。
【0019】
上記のようなインクジェット式記録装置100においては、ロール紙として給紙部120に格納された記録用紙が、プラテン140およびキャリッジ150の間を通過して排出トレイ130に排出される。また、記録用紙がプラテン140上を通過するときに、前述の通りキャリッジ150に装着された記録ヘッド154からインクが吐出され、記録用紙上に画像が形成される。なお、記録用紙の搬送と、キャリッジ150のガイド軸152に沿った往復移動とを組み合わせることにより、記録ヘッド154は、記録用紙上の任意の領域に画像を形成できる。
【0020】
更に、図1に示すインクジェット式記録装置100は、筐体110の表面に操作パネル160を備える。操作パネル160には、表示部161、操作ボタン162等が設けられ、このインクジェット式記録装置100を単体で操作できる。また、操作ボタン162の一部には、自照式スイッチ163が含まれている。
【0021】
図2は、図1に示したインクジェット式記録装置100に実装された自照式スイッチ163単独の構造を示す分解斜視図である。同図に示すように、この自照式スイッチ163は、後述する電極領域232、234等を装荷された回路基板220と、導電性エラストマにより形成された環状接点250を備えた作動部材210と、外装パネル200とを順次積層して形成される。なお、電極領域232、234は、回路基板220表面でパターニングした銅層、金被覆銅層等の他、カーボン等によって形成することもできる。
【0022】
回路基板220は、発光素子240と、一対の電極領域232、234と、発光素子240に接続された一対の接続線路242、244と、電極領域232、234から延在する一対の接続線路236、238とを装荷されている。発光素子240に結合されて駆動電流を供給する接続線路242、244は、図示されていない電流源に向かって延在する。このため、接続線路242、244が通過する領域では、電極領域232、234が省かれる。
【0023】
略環状に形成され電極領域232、234のうち、内側の電極領域232は、周方向について断続的に、自身の外側に向かって幅が広くなる部分を有する。これに対して、外側の電極領域234も、その周方向について断続的に、自身の内側に向かって幅が広くなる部分を有する。これら電極領域232、234の幅広の部分は交互に形成されるので、電極領域232、234と同芯のひとつの円周上には、電極領域232、234が交互に配置される。従って、後述する環状接点250により、多数の接点で電極領域232、234を相互に電気的に接続できる。
【0024】
上記のような回路基板220に対して、作動部材210は、弾性支持部212、作動部214、被押圧部216および環状接点250を一体に成形される。即ち、作動部材210は、円柱状の作動部214、作動部214の下端を周囲から支持する弾性支持部212、および作動部214の下面に装着された環状接点250を、シリコンゴム等のエラストマ材料により一体に成形した。また、作動部214の上面が、被押圧部216となる。
【0025】
弾性支持部212は、他の部位よりも薄く、被押圧部216が外部から押された場合に屈曲して作動部214の降下を許す。この動作により、作動部214の下面に装着された環状接点250を降下させ、前記した電極領域232、234に当接させることができる。一方、被押圧部216が押圧から開放された場合は、自身の弾性により、作動部214を元の位置まで押し上げる。なお、環状接点250は、作動部材210を形成するエラストマ材料に、カーボンブラック等の導体材料粉末を高い濃度で分散させて形成されるが、エラストマ材料自体の導電性は非常に低い。
【0026】
更に、外装パネル200は、インクジェット式記録装置100の筐体110の一部であり、作動部材210の作動部214を挿通させることができる貫通穴202を有する。即ち、作動部材210の被押圧部216が外部から押されて作動部214が降下する場合、および、被押圧部216が押圧から開放されて作動部214が上昇して元の高さに復帰する場合に、側方から触れることにより作動部214の変位する方向を案内する。
【0027】
図3は、図2に示した自照式スイッチ163を、図2上の矢印Xを含む面で切断した場合の断面構造を示す図である。なお、図2と共通の構成要素には共通の参照符号を付して、重複する説明を省く。
【0028】
同図に示すように、作動部材210は、回路基板220上に装荷された電極領域232、234、発光素子240、接続線路242等が弾性支持部212に内包され、電極領域232、234の直上に環状接点250が位置するように配置される。なお、図2に示した作動部材210では、環状接点250は閉じた環状に形成されているので、発光素子240に対する接続線路242、244の上方にも存在する。このため、被押圧部216が押されて環状接点250が降下した場合に、環状接点250はこれら接続線路242、244の両方に当接する。しかしながら、接続線路242、244の上面には絶縁性のレジスト層246が形成され、接続線路242、244の短絡を防止する。ただし、環状接点250が当接することにより、レジスト層246が磨耗または損傷される場合があり得る。そこで、下記のような構造により、環状接点250のレジスト層246への接触を低減させる。
【0029】
即ち、図3に示すように、外装パネル200の貫通穴202は、作動部材210が円滑に昇降するように、作動部214の外周に対して間隙をおいて形成される。ただし、この自照式スイッチ163では、接続線路242、244の上方において、貫通穴202の内面に、作動部214側に向かって突出する接触部204が形成される。これにより、作動部214が昇降する場合に、接触部204が作動部214の側面に接触して、作動部214の変位を制動する。例えば、被押圧部216が外部から押されて作動部214が降下する場合、貫通穴202の径方向について接続線路242、244と反対の側が早期に降下して、接続線路242、244側は遅れて追従する。従って、環状接点250は、接続線路242、244と反対の側において電極領域232、234に早期に到達して導通させるので、環状接点250が接続線路242、244に当接する機会は減少する。
【0030】
図4は、他の実施形態に係る自照式スイッチ163の構造を示す断面図であり、図3に対照して固有の構造が明瞭になるように描かれる。同図に示すように、この自照式スイッチ163では、接続線路242、244とは反対の側において、貫通穴202の内面が作動部214に対して大きな間隙を有する後退面206が形成される。これにより、作動部214は、後退面206側に著しく傾き易くなるので、図3に示した実施形態と同様に、環状接点250が接続線路242、244に当接する機会を減少させることができる。
【0031】
図5は、更に他の実施形態に係る自照式スイッチ163の構造を示す断面図であり、図3、図4および図4に対照して固有の構造が明瞭になるように描かれる。同図に示すように、この自照式スイッチ163では、作動部214の被押圧部216が大きく傾斜し、接続線路242、244側において低く、その反対側で最も高く形成される。従って、この被押圧部216を外部から押圧した場合、回路基板220の表面と平行な押圧成分が生じ、作動部214は、その頂部が接続線路242、244の側から遠ざかるように傾く。このようにして、図3に示した実施形態と同様に、環状接点250が接続線路242、244に当接する機会を減少させることができる。
【0032】
図6は、また更に他の実施形態に係る自照式スイッチ163の構造を示す断面図であり、図3、図4、図4および図5に対照して固有の構造が明瞭になるように描かれる。同図に示すように、この自照式スイッチ163は、図3に示した自照式スイッチ163と共通の断面構造を有する。ただし、この実施形態では、自照式スイッチ163は、外装パネル200および回路基板220を含め、全体が傾斜してインクジェット式記録装置100に装着される。これにより、被押圧部216を外部から押圧した場合、作動部214は、その頂部が接続線路242、244の側から遠ざかるように傾き易くなる。従って、図3に示した実施形態と同様に、環状接点250が接続線路242、244に当接する機会を減少させることができる。
【0033】
図7は、更に他の実施形態に係る自照式スイッチ163を形成する場合に用いる作動部材210を、下側から見上げた様子を示す斜視図である。同図に示すように、この作動部材210において、作動部214の下面に形成された環状接点250は、完全に環状には形成されておらず、接続線路242、244に当接する部分が取り除かれている。また、作動部214の下面には、回路基板220上の発光素子240等との干渉を避ける目的で、陥没部215が形成される。
【0034】
前記したように、エラストマ材料に導電性材料粉末を分散させて形成される環状接点250は、その表面性状が粗く、接続線路242、244上に形成されたレジスト層246に当接した場合に、レジスト層246を磨耗あるいは損傷させる。しかしながら、環状接点250の一部を取り除くことにより、作動部214を形成する柔軟なエラストマ材料をレジスト層246に当接させ、その磨耗または損傷を回避できる。
【0035】
図8は、また更に他の実施形態に係る自照式スイッチ163を形成する場合に用いる回路基板220の構造を示す斜視図である。同図に示すように、この回路基板220は、図2に示した回路基板220と同様に、発光素子240と、一対の電極領域232、234と、発光素子240に接続された一対の接続線路242、244と、電極領域232、234から延在する一対の接続線路236、238とを、同じ配置で装荷されている。
【0036】
更に、この回路基板220は、電極領域232、234を含む円周上において、接続線路242、244を覆う保護層224を備える。これにより、作動部214の環状接点250が接続線路242、244およびその表面に形成されたレジスト層246に直接に接触することが防止される。なお、保護層224は、エポキシ樹脂等、導電性エラストマに対する耐磨耗性を有する材料で形成することが好ましい。また、レジスト層246全体を耐磨耗性の材料で形成することもできるが、この種の材料は高価である上に、粘性が高いので、回路基板220上の広い範囲に塗布することが難しい。
【0037】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることは当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】インクジェット式記録装置100を概観する斜視図である。
【図2】自照式スイッチ163の構造を示す分解斜視図である。
【図3】ひとつの実施形態に係る自照式スイッチ163の構造を示す断面図である。
【図4】他の実施形態に係る自照式スイッチ163の構造を示す断面図である。
【図5】また他の実施形態に係る自照式スイッチ163の構造を示す断面図である。
【図6】更に他の実施形態に係る自照式スイッチ163の構造を示す断面図である。
【図7】更に他の実施形態に係る自照式スイッチ163で用いる作動部材210の構造を示す斜視図である。
【図8】また更に他の実施形態に係る自照式スイッチ163で用いる回路基板220の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
100 インクジェット式記録装置、110 筐体、120 給紙部、130 排出トレイ、140 プラテン、150 キャリッジ、152 ガイド軸、154 記録ヘッド、160 操作パネル、161 表示部、162 操作ボタン、163 自照式スイッチ、200 外装パネル、202 貫通穴、204 接触部、206 後退面、210 作動部材、212 弾性支持部、214 作動部、215 陥没部、216 被押圧部、220 回路基板、224 保護層、232、234 電極領域、236、238、242、244 接続線路、240 発光素子、246 レジスト層、250 環状接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子、前記発光素子に電力を供給する接続線路、および、前記接続線路の形成された領域を除いて前記発光素子を包囲して形成された一対の電極領域を装荷された基板と、
導電性弾性材料により形成され前記一対の電極領域に対して共通に接触する環状接点、弾性材料により形成されて前記環状接点を前記電極領域から離れた状態で前記基板に対して平行に弾性支持する弾性支持部、および、外部から押圧されることにより前記弾性支持部の弾性に逆らって前記環状接点を前記電極に当接させる被押圧部を一体に有する作動部材と、
外部から押圧された場合の前記被押圧部の変位方向と直交する断面において前記被押圧部と略相補的な貫通穴を有し、前記貫通穴に挿通された前記被押圧部が前記変位方向に対して傾斜した状態で変位するように案内する案内部材と
を備え、前記被押圧部が押圧された場合に、前記作動部材が前記案内部材に案内されて、前記環状接点が、前記一対の電極領域に当接して電気的に結合させ、且つ、前記接続線路には当接しない自照式スイッチ。
【請求項2】
前記案内部材が、前記変位方向と平行な方向に被押圧部に接触する接触部を前記貫通穴の内面に有し、
前記被押圧部が外部から押圧された場合に、前記作動部材のうち前記接触部に接触した部位が遅れて変位する請求項1に記載の自照式スイッチ。
【請求項3】
前記案内部材が、前記貫通穴の周上で前記接続線路に対面する位置において、前記貫通穴の内面および前記作動部の間に間隙を有し、
前記被押圧部が外部から押圧された場合に、前記作動部が前記間隙に向かって傾斜しつつ変位する請求項1に記載の自照式スイッチ。
【請求項4】
発光素子、前記発光素子に電力を供給する接続線路、および、前記接続線路の形成された領域を除いて前記発光素子を包囲して形成された一対の電極領域を装荷された基板と、
導電性弾性材料により形成され前記一対の電極領域に対して共通に接触する環状接点、弾性材料により形成されて前記環状接点を前記電極領域から離れた状態で前記基板に対して平行に弾性支持する弾性支持部、および、外部から押圧されることにより前記弾性支持部の弾性に逆らって前記環状接点を前記電極に当接させる被押圧部を一体に有する作動部材と
を備えた自照式スイッチであって、
前記被押圧部が外部から押圧された場合に生じる前記作動部の変位方向が、前記被押圧部に対する押圧方向と交差する自照式スイッチ。
【請求項5】
前記被押圧部において外部から押圧される面が、前記変位方向に直交する面に対して傾斜している請求項4に記載の自照式スイッチ。
【請求項6】
前記被押圧部において押圧される面が前記変位方向に直交する面に対して傾斜するように、前記基板および前記作動部材が傾斜して配置される請求項4に記載の自照式スイッチ。
【請求項7】
発光素子、前記発光素子に電力を供給する接続線路、および、前記接続線路の形成された領域を除いて前記発光素子を包囲して形成された一対の電極領域を装荷された基板と、
導電性弾性材料により形成され前記一対の電極領域に対して共通に接触する環状接点、弾性材料により形成されて前記環状接点を前記電極領域から離れた状態で前記基板に対して平行に弾性支持する弾性支持部、および、外部から押圧されることにより前記弾性支持部の弾性に逆らって前記環状接点を前記電極に当接させる被押圧部を一体に有する作動部材と
を備えた自照式スイッチであって、
前記被押圧部が押圧された場合に前記環状接点が前記接続線路に当接する領域において、前記環状接点が除去された自照式スイッチ。
【請求項8】
発光素子、前記発光素子に電力を供給する接続線路、前記接続線路の形成された領域を除いて前記発光素子を包囲して形成された一対の電極領域、および、前記接続線路が前記一対の電極の端部を結ぶ線と交差する位置において前記接続線路に重ねて形成された保護層とを装荷された基板と、
導電性弾性材料により形成され前記一対の電極領域に対して共通に接触する環状接点、弾性材料により形成されて前記環状接点を前記電極領域から離れた状態で前記基板に対して平行に弾性支持する弾性支持部、および、外部から押圧されることにより前記弾性支持部の弾性に逆らって前記環状接点を前記電極に当接させる被押圧部を一体に有する作動部材と
を備えた自照式スイッチであって、
前記被押圧部が押圧された場合に、前記環状接点が前記保護層に当接することにより前記接続線路に直接に当接しない自照式スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−227314(P2007−227314A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50160(P2006−50160)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】