説明

自発光式道路鋲

【課題】耐久性が高い等、より利便性の良い発光部を備えた自発光式道路鋲を提供する。
【解決手段】太陽電池Sと、発光体Lと、この発光体Lを支持する発光体支持部45を突出させて形成したホルダー43と、発光体Lの発光を制御する制御基板41とを発光部に備えさせ、ホルダー43に太陽電池支持部と制御基板係合部とをそれぞれ形成させ、前記制御基板係合部を制御基板41に係合させて前記ホルダー43を制御基板41の両端に相対向させてそれぞれ取り付けると共に、各ホルダー43の太陽電池支持部間に太陽電池Sを支持させ、発光体支持部に発光体Lを支持させる。制御基板41が変形するとき、その力が制御基板41の両端にそれぞれに係合された各ホルダー43を介して、これらに支持されている太陽電池Sに伝達されるので、力が伝わりにくくなされ、太陽電池Sの損傷や破壊が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の外側線やセンターライン、交差点中央、中央分離帯、縁石、歩道等、道路周辺の種々の場所に設置される自発光道路鋲に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自発光機能を有する装置を道路面に埋設設置して車両運転手や歩行者などの視線誘導や注意喚起を行う自発光式道路鋲のような製品については、埋設設置後のメンテナンスや交換などが容易に出来るように埋設設置後に設置場所から取り外し可能であることが望ましく、このような装置について種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、上部が開口されたケース本体の上部に透光体が配設されると共に、ケース本体内に太陽電池と、その太陽電池の起電力を充電する蓄電装置と、蓄電装置からの電力により点灯する発光体と、その発光体を点灯させる制御基板とが収容され、発光体の光が透光体を透過して外部に放出されるようになされた自発光式道路鋲であって、制御基板の両端部に支持具が設けられこの支持具に発光体が支持されると共に相対向する支持具間に太陽電池が架設され且つ制御基板の下部に蓄電装置が配設されて発光装置ユニットが形成され、この発光装置ユニットが、その端部をケース本体の内壁に形成された係止部に係止させてケース本体内に収容固定され、この発光装置ユニットの上部に透光体が冠着されてなることを特徴とする自発光式道路鋲、が本件出願人によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−158825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特許文献1に記載されるようなユニット化された発光部を内装させた自発光式道路鋲について、耐久性が高い等、より利便性の良い発光部を備えた自発光式道路鋲を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る自発光式道路鋲は、内装する発光部の発する光を光放射部から外部へ放射する自発光式道路鋲であって、
前記発光部は太陽電池と、該太陽電池の生起する電力を蓄える蓄電部と、該蓄電部からの電力によって発光する発光体と、該発光体を支持する発光体支持部が突出して形成されたホルダーと、前記発光体の発光を制御する制御基板とを備え、
前記ホルダーには太陽電池支持部と制御基板係合部とがそれぞれ形成されており、
前記制御基板係合部が前記制御基板に係合されて前記ホルダーが前記制御基板の両端に相対向してそれぞれ取り付けられると共に、前記各ホルダーの太陽電池支持部間に前記太陽電池が支持され、発光体支持部に発光体が支持されていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る自発光式道路鋲によれば、ホルダーに制御基板係合部を形成させ、これを前記制御基板に係合させて前記ホルダーを前記制御基板の両端に相対向させてそれぞれ取り付けると共に、前記各ホルダーに形成させた太陽電池支持部間に前記太陽電池を支持させるので、昼夜や季節等の気温の変化によって前記制御基板が膨張、収縮したときに、その変形による力が制御基板の両端にそれぞれに係合された前記各ホルダーを介して、これらに支持されている太陽電池に伝達されるので、力が伝わりにくくなされ、太陽電池の損傷や破壊が抑制される。また、逆に気温変化によって太陽電池が膨張、収縮した場合でも、同様にその変形による力が制御基板に伝達されにくくなされる。
また、太陽電池支持部と制御基板係合部とをそれぞれ前記ホルダーに形成させるので、前記のように気温変化によって太陽電池や制御基板が膨張、収縮したときに、その変形による力によって各太陽電池支持部や各制御基板係合部がそれぞれ変形し、これらの変形によって前記の力を緩和させ、太陽電池や制御基板、発光体支持部への力の伝達を低減させて、これらの損傷、破壊を抑制させる。
【0008】
また、前記自発光式道路鋲が、有底円筒形状の本体ケース部と、該本体ケース部の上方を塞ぐ前記光放射部が形成された透光部材と、円筒形状のカバー体とを備え、
前記本体ケース部と前記カバー体とを固定させると共に、前記本体ケース部と前記カバー体との間に前記透光部材を狭着させて固定させ、
前記透光部材と本体ケース部との間の中空部分に前記発光部を内装させ、
且つ前記透光部材の下面に前記発光体支持部に水平に支持された発光体を挿入させる第一の窪部と、前記太陽電池支持部の上部を挿入させる第二の窪部とを形成させれば、前記第二の窪部への前記太陽電池支持部の挿入によって前記発光部と前記透光部材との位置ずれが抑制され、前記発光部が安定的に自発光式道路鋲内に内装され、好ましい。
また、前記第一の窪部へ前記発光体を挿入させれば、発光体からの光を効率よく透光部材へ入射させて自発光式道路鋲の外側へ放射させることができ、好ましい。
また、前記第一の窪部へ発光体を挿入させると共に、前記第二の窪部へ太陽電池支持部を挿入させることで、自発光式道路鋲の内部において前記発光体が位置ずれするような力が働いても、前記第二の窪部と太陽電池支持部の上部との当接によって、前記発光体が前記第一の窪部の内壁に接触することを抑制させ、発光体の損傷を防止させることができ、好ましい。
【0009】
また、前記ホルダーに周囲の明るさを検知する照度計を取り付け可能に形成させると共に、前記照度計が取り付けられる照度計取付部を発光体支持部に設ければ、照度計による照度検知が必要な自発光式道路鋲において、照度計取付部が設けられた発光体支持部に発光体の取り付けを行わずに、照度計を取り付けて照度検知させることができるので、照度計が必要な自発光式道路鋲の品種と不要な品種とで前記ホルダーやその他の部品を共通して用いることができ、部品の種類を削減できるので、好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る自発光式道路鋲によれば、耐久性が高い等、内装する発光部の利便性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る自発光式道路鋲の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の自発光式道路鋲を各部材に分解した状態を示す断面図である。
【図4】図1の自発光式道路鋲の発光部を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図であり、(ニ)は底面図である。
【図5】図4(イ)の発光部の太陽電池とホルダ−の一部を切り欠いた状態を示す説明図である。
【図6】図4のホルダーを示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図であり、(ニ)は背面図である。
【図7】図4(イ)のA−A断面図である。
【図8】図4(イ)のB−B断面図である。
【図9】図4(イ)のC−C断面図である。
【図10】図1のB−B断面の要部の拡大図である。
【図11】図1のA−A断面の要部の拡大図である。
【図12】本発明の自発光式道路鋲の発光部の実施の他の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)はそのA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において、1は自発光式道路鋲の本体である。
図1〜3に示すように、本体1は、上方が開口された底壁を有する円筒状の形状をした本体ケース部11と、その上方の開口部分を塞ぐように配置された無色透明な透光部材3と、カバー体2とを備えている。
本体ケース部11の内部には、発光体L、蓄電池からなる蓄電部B、太陽電池Sを備えた発光部4が内装されており、太陽電池Sで起電させ蓄電部Bに蓄えた電力によって発光体Lを発光可能に設けている。
また、前記透光部材3の上面中央には光放射部31が上方へ突出するように形成されている。前記発光部4は、前記透光部材3の下面下方に配置されて内装されており、前記発光体Lから発した光が前記透光部材3を透過し、水平方向から斜め上方方向へ向けて光放射部31の側面に形成させた傾斜面32から放射されるように設けている。
蓄電池Bには、鉛蓄電池などの充電池や電気二重層コンデンサ等の充電装置を用いることができる。また、本実施形態では発光体Lに砲弾型の発光ダイオードを用いているが、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、陰極管、エレクトロルミネッセンス、キセノンランプ等が適宜使用できる。
また、本体ケース部11の材質は鉄やアルミニウムなどの金属を好適に用いる事ができる。
【0013】
カバー体2は、側壁を構成する円筒形状の筒状部22と、筒状部22の上端から内側へ向けて突出するように延設されたカバー部23と、筒状部22の上端から外側へ向けて突出するように延設された羽根部24とを備えている。
前記本体ケース部11の円筒形状の外周側面には雄螺子部15が形成されており、カバー体2の筒状部22の内周側面には前記雄螺子部15と螺合可能な雌螺子部25が形成され、本体ケース部11とカバー体2とが螺合一体化されるようになされている。
本体ケース部11とカバー体2が螺合一体化されるとき、透光部材3の端部上面がカバー部23の下面に覆われ、透光部材3の下端が本体ケース部11の側壁に設けられた段部16の内側上面に当接されて、透光部材3が本体ケース部11とカバー体2と間に狭着されて固定されるようになされている。具体的には、透光部材3は、カバー体2の雌螺子部25と本体ケース部11の雄螺子部15とを羅合させるときに、その下端を段部16上に当接させて本体ケース部11内でカバー体2と共に回転し、カバー体2の下降によって透光部材3の端部上面がカバー部23の下面に当接されて、透明部材3がカバー体2と本体ケース部11とに狭着される。そして本体ケース部11と透光部材3とカバー体2とはそれぞれ固定用のねじなどを別に用いることなく、前記雄螺子部15と雌ねじ部25との螺合によって容易に一体化できるように設けられている。
尚、前記透光部材3の端部上面とカバー部23の下面との間にパッキン材を狭着させて本体1内への水の浸入を防止させてもよく、透光部材3の下端と段部16との間にパッキン材を狭着させて水の浸入を防止させてもよい。
光放射部31は、透光部材3がカバー体2と本体ケース部11とに狭着されるときにカバー部23の内側に配置されてカバー部23上面より上方に突出し、発光部4から発する光を光放射部31側面の傾斜面32から外側へ放射させるように設けられている。
カバー体2 の材質は鉄やアルミニウムなどの金属を好適に用いる事ができる。
また、透光部材3の材質は、ポリカーボネート、アクリル樹脂、硬質ポリ塩化ビニールなどの合成樹脂或いはガラスなどを好適に用いることができる。
【0014】
羽根部24はカバー体2に2カ所形成されており、筒状部22の上端から水平方向外側へ向けてそれぞれ反対方向へ突出する平板形状に形成されている。また、各羽根部24の平面視の形状は、外側へ至る程に幅広となる台形形状にそれぞれ形成されている。
また図2に示すように、羽根部24の上面は、カバー体2と本体ケース部11とに狭着させた透光部材3の光放射部31の上面より若干高く位置するように形成されている。
羽根部24の上面を光放射部31より高く配置させることで、自発光式道路鋲の上を車両の車輪などが踏みつけても、その加重が主に羽根部24にかかって透光部材3への負荷が軽減され、透光部材3の損傷が抑制される
【0015】
図4は図1の自発光式道路鋲の発光部4を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図であり、(ニ)は底面図であり、図5は図4(イ)の発光部4の太陽電池Sとホルダ−43の一部を切り欠いた状態を示す説明図である。
本実施形態の発光部4は、太陽電池Sと、蓄電部Bと、発光体Lと、この発光体Lを支持するホルダー43と、前記発光体Lの発光を制御する制御基板41とが一体となった一つのユニット体に形成されている。
具体的には、制御基板41は細長い板状に形成され、その上面の長手方向の両端に、3個の発光体Lを支持するホルダー43がそれぞれ1個づつ合計2個取り付けられており、各ホルダー43にそれぞれ架け渡されるように支持されて板状の太陽電池Sが取り付けられている。そして前記制御基板41の下面には、2本1組で1個の蓄電部Bと電気的に接続される電極Eが、合計2組下方に突出して形成されており、それぞれの電極Eの組に蓄電部Bが1個づつ合計2個が接続されている。本実施形態の各蓄電部Bは各電極Eに半田付けされており、各蓄電部は制御基板41の下方において各電極Eに固定されている。
【0016】
図6は図4のホルダー43を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図であり、(ニ)は背面図である。
本実施形態のホルダー43は合成樹脂の射出成形によって形成されており、制御基板41の上面に載置される台座部44を備え、この台座部44の上面には上方へ突出して発光体Lを支持する発光体支持部45が形成されている。
発光体支持部45は上方に突出する直方体形状に形成され、その上面の前方部分が前方に至る程下方に降る傾斜面45bに形成されている、また、発光体支持部45の上面は本実施形態の発光体Lとして用いている砲弾型LEDの外形に対応した形状に窪む発光体支持面45aが形成されている。
発光体Lは、その発する光の方向を前方へ向け、その外側面を発光体支持面45aに当接させて発光体支持部45に水平に支持され、その発する光の方向を安定させてホルダー43に取り付けられる。
図7は図4(イ)のA−A断面図である。図7に示すように発光体支持部45の上面に形成された発光体支持面45aは、発光体Lの外形に対応して窪み、発光体Lを安定的に支持可能に形成されている。
【0017】
また、発光体支持部45の上面前方を切り欠くような傾斜面45bを設けることで、発光体Lの発する光が発光体支持部45に遮られにくくなされている。
図8は図4(イ)のB−B断面図であり、発光体支持部45に形成された傾斜面45bによって、発光体Lの光の放射が遮られ難くなされている。
尚、図8においては、図面の簡略化のために太陽電池Sと、後述する太陽電池支持部46の図示を省略している。
【0018】
本実施形態のホルダー43は、一つの発光体支持部45に1個の発光体Lを取り付け可能に形成させており、台座部44の上面に三つの発光体支持部45を左右方向へ並設させ、合計3個の発光体Lのそれぞれの光の放射方向を水平方向に向けて取り付け可能に設けているが、ホルダー43に形成させる発光体支持部45の形状や数は、この実施形態に限るものではなく、自発光式道路鋲の発光パターンに対応させて、適宜好適な形状に形成させてよい。
【0019】
本実施形態のホルダー43は、台座部44の上面から上方へ突出して太陽電池Sを支持する太陽電池支持部46が形成されている。
太陽電池支持部46は上方に突出する直方体形状に形成され、その前方側の側面である前面46aの上部に前方へ突出する太陽電池係止爪46bが形成されている。
太陽電池支持部46は、太陽電池係止爪46bを前方に向け、その前面46aを前記発光体支持部45の前方側面より前側に位置させて、台座部44の左右の端に1個づつ、合計2個形成されている。
【0020】
図4、5に示すように、制御基板41には、その両端に相対向する2個のホルダー43が取り付けられており、各ホルダー43は相手方向へ太陽電池係止爪46bを向けて取り付けられている。
図9は図4(イ)のC−C断面図である。
太陽電池Sは、その縁を各太陽電池支持部46の前面46aに当接させて支持され、各ホルダー43間に架け渡されるように取り付けられる。
太陽電池支持部46の前面46aの上部に太陽電池係止爪46bを形成させることで、各太陽電池支持部46間に支持された太陽電池Sの上方への位置ずれを抑制させ、自発光式道路鋲の使用の過程で太陽電池Sが発光体Lの光の放射を遮る等の問題や、太陽電池Sが外れる等の問題を防止することができる。
【0021】
ホルダー43の左右方向の両縁には、左右方向へ撓む可撓部47が突出して形成されている。
図6に戻って説明すると、ホルダー43において、左右方向の側面の上部からそれぞれ水平方向へ突出するように、細い棒状の突出部47aが一体的に形成されている。この突出部47は、ホルダー43の一方の側面において、この側面の前端付近と後端付近の2カ所にそれぞれ一個づつ合計2個が1組で形成され、これらの各突出部47の先端に架け渡されるように薄い縦板形状の可撓部47が一体的に形成されている。
各可撓部47は、その上端と下端とがそれぞれ台座部44の上端と下端と同じ高さに形成されており、ホルダー43が制御基板41の上面に載置されたときに、可撓部47の下端が制御基板41の上面に当接されるようになされている。
【0022】
各可撓部47には、縦板形状の一部が、下端から上方へ向かって切り欠かれような切欠部47bがそれぞれ形成されている。そしてこの切欠部47bに隣接して下方へ突出する薄い縦板形状の制御基板係合部48が形成されている。
制御基板係合部48は、各可撓部47にそれぞれ1個づつ合計2個形成されており、各制御基板係合部48の下端には、上面が水平面となされ下方へ至る程先細る三角形状の断面を有する係合爪48aが、ホルダー43の内側方向へ突出するようにそれぞれ形成されている。
【0023】
各制御基板係合部48は、その係合爪48aの上面が台座部43及び各可撓部47の下端より下方に位置するように形成されている。
具体的には、図7に示すように、ホルダー43を制御基板41に載置させたときに、各制御基板係合部48がその内側に制御基板41を挟み込み、各係合爪48aの上面が制御基板41の下面に当接されて係合されるように、各制御基板係合部48とその係合爪48aが形成されている。この係合爪48aと制御基板41との係合によって、ホルダー43は制御基板41の上面に載置されて取り付けられる。
各制御基板係合部48は、可撓部47の切欠部47bに隣接して形成されることで、より容易に撓むようになされ、制御基板41への係合作業を容易に行うことができる。
【0024】
また、図5に示すように、本実施形態の制御基板41の縁には、基板の内側方向へ四角形に窪む凹部42が形成されている。図5において制御基板41の左下付近に図示されている凹部42は、制御基板41の右上、右下、左上にもそれぞれ形成されており、具体的には、制御基板1に合計2個取り付けられているホルダー43の制御基板係合部48の位置と大きさに対応するように形成されている。
上記のように各凹部42を制御基板41に形成させることで、これに取り付けたホルダー43の各制御基板係合部48の前面と後面と内側の側面とが、それぞれ凹部の縁に当接されるようになされるので、取り付けたホルダー43が力を受けたときでも、制御基板41の上面で位置ずれすることがなく、安定的に取り付けられる。
これは、自発光式道路鋲が昼夜や季節等の日射、気温の変化によって制御基板41や太陽電池Sが膨張、収縮したときに、制御基板41上のホルダー43の位置ずれを抑制させ、発光部4の損傷や故障を防止させて安定的に自発光式道路鋲を発光させることができる。
【0025】
また、ホルダー43の可撓部47及び制御基板係合部48は、それぞれ薄板形状に形成されるので、左右方向から力を受けたときに変形して撓み、伝わる力が分散されて緩和されるようになされている。
また、可撓部47は、その前端付近と後端付近とを、それぞれ細い棒状の突出部47aを介してホルダー43の側方に一体的に形成されるので、前後方向から力を受けた時に突出部47aが撓み、力が分散されて緩和されるようになされている。
また、ホルダー43の各太陽電池支持部46を台座部43から直方体形状にそれぞれ突出させて、太陽電池Sを支持させるので、太陽電池Sが膨張、収縮したときに、太陽電池支持部46が撓み、伝わる力が分散されて緩和されるようになされている。
このようにホルダー43を形成させることで、制御基板41や太陽電池Sが膨張、収縮したときに、可撓部47や制御基板係合部48、突出部47aが破壊されにくくなされるので、発光部4の損傷や故障を防止させて安定的に自発光式道路鋲を発光させることができる。これは、太陽電池支持部48と制御基板係合部48とを、発光体Lを支持する発光体支持部45とは別に突出させて形成させることで、より効果的に力の伝達を分散させることができ、安定的に発光体Lによる発光機能を継続させることができる。
【0026】
また、制御基板41の両端にホルダー43をそれぞれ取り付けるので、一つのホルダー43を小さく形成でき、昼夜や季節等の日射、気温の変化によるホルダー43の膨張、収縮の大きさを小さく抑制でき、この力を受けることによる制御基板41の損傷や故障などを防止することができる。
また、制御基板41の両端にホルダー43をそれぞれ取り付けて、これらの間に太陽電池Sを架け渡すように配置させて支持させるので、太陽電池Sと制御基板41とのそれぞれ膨張、収縮による力が、各ホルダー43を介して間接的に他方に伝達されるので、力が伝わりにくくなされ、発光部4の損傷や故障が抑制できる。
【0027】
図10は図1のB−B断面の要部の拡大図である。
本実施形態の発光部4は、その制御基板係合部48の下端を本体ケース部11の段部16上に載置させ、前記透光部材3の下面34の下方に配置されて内装されて本体1内に内装されている。
前記透光部材3の下面34は、発光部4の太陽電池Sの上面に近接して配置されるように設けられており、更に下面34には上方に窪む第二の窪部38が4カ所形成されている。具体的には、前記各第二の窪部38は発光体4に設けられて上方へ突出する4個の太陽電池支持部46の配置と大きさに対応して形成されており、より具体的には、内装する発光部4の各太陽電池支持部46の上部が挿入可能な形状にそれぞれ形成されている。
上記のように各第二の窪部38を設けることで、本体1内に内装された発光部4に横方向の力がかかった場合でも、各太陽電池支持部46と第二の窪部46の内面とが当接して、発光部4の横方向への位置ずれが防止され、発光部4が安定的に内装される。
また、本体1内に内装された発光部4に縦方向の力がかかった場合でも、発光部4の各太陽電池支持部46の上端と制御基板係合部48の下端とが、それぞれ第二の窪部46の内面と本体ケース部11の段部16の上面とにそれぞれ当接されて、発光部4の縦方向への位置ずれが防止できる。
【0028】
図11は図1のA−A断面の要部の拡大図である。
前記透光部材3の下面34には、上方に窪む第一の窪部35が、前記第二の窪部とは別に二カ所形成されている。
具体的には、前記各第一の窪部35は、発光体4に備える2個のホルダー43にそれぞれ三個づつ並設された各発光体支持部45の配置と大きさに対応して形成されており、より具体的には、各ホルダー43に3個1組で並設され、発光部4に合計2組設けられた各発光体支持部45に水平に支持された発光体Lがそれぞれ挿入可能な形状に形成されている。
そして、前記発光体支持部45に水平に支持された発光体Lの前方に位置する前記各第一の窪部35の内側面は傾斜面35aとなされ、この傾斜面35aに入射する発光体Lからの光が、透過光F1となってその前方側に配置された傾斜面32へ向かって透光部材3内を透過し、最後に放射光F2となって前記傾斜面32から外部へ放射されるように設けられている。
前記各発光体支持部45の上部が前記第一の窪部35に挿入され、前記各発光体支持部45に水平に支持された発光体Lの前方に前記傾斜面35aが配置されるようになされることで、発光体Lからの光が前記傾斜面35aに入射されやすくなされ、効率よく傾斜面32から光を放射させることができる。
また、前記第一の窪部35を前記第二の窪部38と別に設けることで、本体1に内装された発光部4に横方向への力が働いたときに、前記第二の窪部38と前記太陽電池支持部46とが当接されて発光部4の位置ずれが抑制され、前記第一の窪部35の内面へ発光体Lが接触して損傷するなどの問題が防止できる。
【0029】
本実施形態のホルダー43は、その台座部44の上面から3つの発光体支持部45が突出して並設されているが、その中央に位置する発光体支持部45には、照度計取付部49が形成されている。
図6、7に示すように、照度計取付部49は、発光体支持部45の上面の発光体支持面45aから、台座部43の下面に至るまで貫通して形成されている。
【0030】
図12は本発明の自発光式道路鋲の発光部4の実施の他の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)はそのA−A断面図である。
本発明の発光部4は、制御基板41に取り付けた2個のホルダー43において、それぞれ3つづつ並設されている発光体支持部45の中央の発光体支持面45aに発光体Lを支持させず、その内一方のホルダー43の照度計取付部49に照度計Iを取り付けた点が、図1に示す自発光式道路鋲の発光部4の実施形態と異なる事項である。
本実施形態の発光部4は、一方のホルダー43の照度計取付部49の上部に照度計Iが挿入されて取り付けられており、照度計Iはその上部を発光体支持面45aの上面から突出させて取り付けられている。
また、制御基板41は、照度計Iを接続させるための接続部Pを、ホルダー43の照度計取付部49の垂直下方に配置させて設けており照度計取付部49に取り付けた照度計Iを容易に接続できるように形成させている。
【0031】
本実施形態の照度計Iは、発光体支持面45aから突出させた部分で、自発光式道路鋲の上方から透光部材3を透過して内に入射する光を検知するようになされており、この検知結果に基づき制御基板41によって周囲の明るさに応じた適切な発光パターンで発光体Lを発光させるように設けたものである。
自発光式の交通安全製品においては、備えた太陽電池の起電力の大きさによって昼夜の判断を行い、その起電力が大きな昼間には発光体を消灯させ、定めた閾値より起電力が低下した夜間に蓄えた電力によって発光体を発光させるものが一般的に用いられているが、照度計Iを備えることによって、より多様な発光パターン制御を行うことができる。
具体的には、朝方や夕方など薄闇に近い時間帯においては、発光体Lからの光が周囲の明るさに紛れてしまい歩行者や車両の運転手からの視認性が低下する傾向にあるため、暗闇となる夜中の時間帯よりも強い光で発光させることが望ましい。このため、太陽電池の起電力よりも正確に周囲の明るさを検知可能な照度計Iを内装して備えさせることで、環境に応じたより視認性の良い発光パターンで発光体Lを発光させることができる。
より具体的には、本実施形態の自発光式道路鋲の発光部4は、照度計Iと、この検知結果に基づく制御基板41の制御によって、昼間に発光体Lを消灯させ、夕方など発光表示が必要で且つ発光体からの光が周囲の明るさに紛れる恐れがあるときに強い光で発光表示させ、夜中など弱い光でも充分視認できるときには比較的弱い光で発光表示させるように構成させている。このような検知と制御を用いることで、蓄電部Bの限られた電力を有効に利用して、より視認性の高い発光表示を行うことができる。
【0032】
本実施形態のホルダー43は、照度計取付部49を発光体支持部45の発光体支持面45aに設けており、このような構成とすることで、照度計Iを取り付けるための部位をホルダー43に別に設ける必要がなく、ホルダー43をよりコンパクトに形成できる。
また、照度計Iを用いる制御を行う自発光式道路鋲と、照度計Iが不要な自発光式道路鋲とで、ホルダー43を含む発光部4や、本体ケース部11など本体1を構成する他の部品を共通で利用することができるので、部品の種類を削減することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 本体
11 本体ケース部
15 雄螺子部
16 段部
2 カバー体
22 筒状部
23 カバー部
24 羽根部
3 透光部材
31 光放射部
32 傾斜面
4 発光部
41 制御基板
42 凹部
43 ホルダー
44 台座部
45 発光体支持部
45a 発光体支持面
45b 傾斜面
46 太陽電池支持部
46a 前面
46b 太陽電池係止爪
47 可撓部
47a 突出部
47b 切欠部
48 制御基板係合部
48a 係合爪
49 照度計取付部
L 発光体
B 蓄電部
S 太陽電池
I 照度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装する発光部の発する光を光放射部から外部へ放射する自発光式道路鋲であって、
前記発光部は太陽電池と、該太陽電池の生起する電力を蓄える蓄電部と、該蓄電部からの電力によって発光する発光体と、該発光体を支持する発光体支持部が突出して形成されたホルダーと、前記発光体の発光を制御する制御基板とを備え、
前記ホルダーには太陽電池支持部と制御基板係合部とがそれぞれ形成されており、
前記制御基板係合部が前記制御基板に係合されて前記ホルダーが前記制御基板の両端に相対向してそれぞれ取り付けられると共に、前記各ホルダーの太陽電池支持部間に前記太陽電池が支持され、発光体支持部に発光体が支持されていることを特徴とする自発光式道路鋲。
【請求項2】
有底円筒形状の本体ケース部と、該本体ケース部の上方を塞ぐ前記光放射部が形成された透光部材と、円筒形状のカバー体とを備え、
前記本体ケース部と前記カバー体とが固定されると共に、前記本体ケース部と前記カバー体との間に前記透光部材が狭着されて固定されており、
前記透光部材と本体ケース部との間の中空部分に前記発光部が内装され、
且つ前記透光部材の下面には前記発光体支持部に水平に支持された発光体が挿入される第一の窪部と、前記太陽電池支持部の上部が挿入される第二の窪部とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自発光式道路鋲。
【請求項3】
前記ホルダーは周囲の明るさを検知する照度計が取り付け可能に形成されると共に、
前記照度計が取り付けられる照度計取付部が発光体支持部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の自発光式道路鋲。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−46915(P2012−46915A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188147(P2010−188147)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】