説明

自走式振動機械

【課題】弾性部材の劣化状態によらず振動体を拘束し輸送時や移動時の損傷を抑制することができる自走式振動機械を提供する。
【解決手段】走行体1と、この走行体1上に設けられたコンベヤフレーム15と、このコンベヤフレーム15上に立設された複数のポスト38と、複数のポスト38上に架設されたホッパフレーム39と、コンベヤフレーム15に対して弾性部材30を介して弾性的に支持された振動篩本体31と、この振動篩本体31の上方に位置するようにホッパフレーム39に支持されたホッパ4と、振動篩本体31に設けた支持部材34と、この支持部材34と上下の位置関係になるようにホッパフレーム39に設けたストッパ46と、振動篩本体31を付勢して支持部材34とストッパ46とを接触させるバネシリンダ47とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動篩を備えた自走式振動スクリーンや振動フィーダを備えた自走式破砕機等の自走式振動機械に関する。
【背景技術】
【0002】
振動篩や振動フィーダ等の振動装置は、通常、コイルスプリングやラバースプリング等の弾性部材によって振動体がフレーム上で弾性支持された構成である。また、この種の振動装置では、一般に投入物を受け入れて振動体上に導き入れるホッパが振動体の上方に設置されている。そのため、自走式振動スクリーンの輸送時や移動時にフレームを介して伝わる振動によって振動体が大きな振幅で揺れ動くと、振動体がホッパに衝突して振動体やホッパが破損し得る。
【0003】
それに対し、ホッパと振動体との輸送中の衝突防止策として、ホッパと振動体の間に衝撃緩衝部材を設けるとともに、ホッパを支持するポストに備えられた固定ピンを振動体に対して横から水平に挿し込むことで、振動体の上下方向の動きを拘束する構成としたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−99339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、振動体を支持する弾性部材に経年劣化が発生した場合、ホッパを支持するポストに対して振動体の無振動時の支持位置が相対的に低下し得る。ポストに対する振動体の相対位置が低下すれば、ポストに設置した固定ピンと振動体側のピン穴との位置がずれ、固定ピンを差し込んで振動体を拘束することができなくなる。
【0006】
本発明は前述の事情を考慮してなされたものであり、弾性部材の劣化状態によらず振動体を拘束し輸送時や移動時の損傷を抑制することができる自走式振動機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、走行体と、前記走行体上に設けられた支持フレームと、前記支持フレーム上に立設された複数のポストと、前記複数のポスト上に架設されたホッパフレームと、前記支持フレームに対して弾性部材を介して弾性的に支持された振動体と、前記振動体の上方に位置するように前記ホッパフレームに支持されたホッパと、前記振動体の左右の側方両側に設けた第1拘束部材と、前記第1拘束部材と上下の位置関係になるように前記支持フレーム又は前記ホッパフレームの少なくとも一方に設けた第2拘束部材と、前記振動体を付勢する付勢手段とを備え、前記付勢手段の付勢力によって前記第1拘束部材を前記第2拘束部材に押し付け、前記振動体を前記支持フレーム側又は前記ホッパフレーム側に固定したことを特徴とする
第2の発明は、走行体と、前記走行体上に設けられた支持フレームと、前記支持フレーム上に立設された伸縮構造の複数のポストと、前記複数のポスト上に架設されたホッパフレームと、前記支持フレームに対して弾性部材を介して弾性的に支持された振動体と、前記振動体の上方に位置するように前記ホッパフレームに支持されたホッパと、前記振動体の左右の側方両側に設けた第1拘束部材と、前記第1拘束部材と上下の位置関係になるように前記支持フレーム及び前記ホッパフレームのそれぞれに設けた第2拘束部材と、前記ホッパフレームを下降させる方向に付勢する付勢手段とを備え、前記付勢手段の付勢力によって前記ホッパフレームを下降させることにより前記第1拘束部材を前記第2拘束部材で挟み込み、前記振動体を前記支持フレーム側に固定したことを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記付勢手段は、非作動時にバネ力で前記第1拘束部材と前記第2拘束部材とを押し付け合わせ、前記振動体の加振装置を駆動させる作動油の一部で作動して前記第1拘束部材と前記第2拘束部材とを離間させるバネシリンダであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、弾性部材の劣化状態によらず振動体を拘束し輸送時や移動時の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの稼動時の全体構成を表す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンに備えられた油圧駆動システムの要部を抜き出して表した回路図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの変位抑制機構によって振動篩本体が拘束された状態を表す側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの稼動時の全体構成を表す側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの変位抑制機構によって振動篩本体が拘束された状態を表す側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの稼動時の全体構成を表す側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの変位抑制機構によって振動篩本体が拘束された状態を表す側面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの稼動時の全体構成を表す側面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの変位抑制機構によって振動篩本体が拘束された状態を表す側面図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの稼動時の全体構成を表す側面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンに備えられた油圧駆動システムの要部を抜き出して表した回路図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの変位抑制機構によって振動篩本体が拘束された状態を表す側面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの稼動時の全体構成を表す側面図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの変位抑制機構によって振動篩本体が拘束された状態を表す側面図である。
【図15】本発明の第7実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの稼動時の全体構成を表す側面図である。
【図16】本発明の第7実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの変位抑制機構によって振動篩本体が拘束された状態を表す側面図である。
【図17】本発明の第8実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの稼動時の全体構成を表す側面図である。
【図18】本発明の第8実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの変位抑制機構によって振動篩本体が拘束された状態を表す側面図である。
【図19】本発明の第9実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの稼動時の全体構成を表す側面図である。
【図20】本発明の第9実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの変位抑制機構によって振動篩本体が拘束された状態を表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの稼動時の全体構成を表す側面図である。この図1中の左右を自走式振動スクリーンの前後とする。
【0013】
自走式振動スクリーンは、走行体1と、排出コンベヤ2と、振動篩3と、ホッパ4と、パワーパック(動力装置)5とを備えている。
【0014】
走行体1は、自力走行を実現するためのもので、左右1対の走行装置6と、これら走行装置6の上部に設けた本体フレーム7とを備えている。走行装置6は、左右一対のトラックフレーム8と、これらトラックフレーム8の前後にそれぞれ設けた従動輪9及び駆動輪10と、駆動輪10に出力軸を連結した走行用油圧モータ11と、左右の従動輪9及び駆動輪10にそれぞれ掛け回した無限軌道履帯12とを備えている。本体フレーム7は、上下・左右・前後の各方向に延びる複数の鋼材で骨組みされた三次元構造の枠体であって、トラックフレーム8の上部に設けられている。この本体フレーム7は、走行装置6よりも全体にやや後方に位置しており、その前端部及び後端部は走行装置6の前端部及び後端部よりも後方に位置している。本体フレーム7の後部には、排出コンベヤ2と振動篩3との間への巻き込み防止用のガード13が設けられている。
【0015】
排出コンベヤ2は、振動篩3で選別された所定粒度以下の選別物を搬送し機体前方に排出するものであり、選別作業運転時には図1に示したように前方に向かって斜めに立ち上がる。この排出コンベヤ2は、振動篩3やホッパ4を支持する支持フレームを兼ねたコンベヤフレーム15と、コンベヤフレーム15の前端に回転自在に設けたヘッドプーリ16と、コンベヤフレーム15の後端に回転自在に設けたテールプーリ(図示せず)と、ヘッドプーリ16及びテールプーリに掛け回したコンベヤベルト18と、ヘッドプーリ16に連結した排出コンベヤ用油圧モータ19とを備えており、排出コンベヤ用油圧モータ19でヘッドプーリ16を駆動することによってヘッドプーリ16及びテールプーリ間でコンベヤベルト18を循環駆動させる。
【0016】
コンベヤフレーム15は、走行体1上に設けられている。具体的には、後端部が本体フレーム7上部の回転軸20を介して傾動可能に連結されていて、前後方向の中央部がコンベヤ支持部材21を介して本体フレーム7に支持されている。コンベヤ支持部材21は、ケーシング部22とこれに挿入されたロッド部23からなり、ケーシング部22の上端部がコンベヤフレーム15の前後中央部に設けたブラケット24にピン25を介して回動可能に連結され、ロッド部23の下端部が本体フレーム7の前部に設けたブラケット26にピン27を介して回動可能に連結されている。また、コンベヤ支持部材21のケーシング部22とロッド部23は油圧シリンダ28で連結されており、油圧シリンダ28の伸縮に伴ってロッド部23がケーシング部22に出入りすることでコンベヤ支持部材21が伸縮し、油圧シリンダ28及びコンベヤ支持部材21の伸縮に伴って回転軸20を支点に排出コンベヤ2が傾動する。
【0017】
振動篩3は、投入される被選別物を粒度に応じて選別するもので、コンベヤフレーム15後部上に弾性部材30を介して振動可能に支持された振動体である枠型の振動篩本体31と、振動篩本体31の内側に固定された篩部材(図示せず)と、振動篩本体31を偏心駆動軸で加振する加振装置33とを備えている。篩部材は排出コンベヤ2とほぼ平行に配設されており、選別作業運転時(図1に示した姿勢の時)には、篩部材が排出コンベヤ2と同じく後方に向かって下る姿勢となる。図1では弾性部材30としてラバースプリングを用いた場合を例示しているが、コイルバネ等の他の弾性部材を用いても良い。弾性部材30は、振動篩本体31の左右の両側面に複数設けた支持部材34とコンベヤフレーム15上に複数設けた支持部材35との間に介在し、振動篩本体31の左右両側においてそれぞれ前後に配置されている。よって、振動篩本体31は計4箇所で弾性部材30によってコンベヤフレーム15に弾性支持されている。そして、加振装置33を駆動すると振動篩本体31及びこれに取り付けた篩部材が揺さ振られ、投入された被選別物のうち篩部材を通過する所定粒度以下の選別物が排出コンベヤ2上に導かれるとともに、それより粒度の大きなものが篩部材の篩面上を傾斜に沿って移動して機体後方に排出される。なお、振動篩3は排出コンベヤ2のコンベヤフレーム15に支持されているため、排出コンベヤ2を傾動させることで被選別物の性状に応じて傾斜角度を変更し選別性能及び時間当たりの処理量を調整することができる。
【0018】
ホッパ4は、投入される被選別物を受け入れて振動篩本体31内の篩面に導きいれるシュート状の部材であり、振動篩本体31とは別にコンベヤフレーム15に対して固定的に支持されている。具体的には、コンベヤフレーム15上には、振動篩本体31の左右両側の前後位置において、直接又は上記支持部材35を介して複数(本例では4本)のポスト38が立設されていて、これらポスト38の上にホッパフレーム39が架設されている。ホッパ4は、このホッパフレーム39によって振動篩本体31の上方に位置するように支持されている。
【0019】
パワーパック5は、エンジンや油圧ポンプ、コントロールバルブ等、機体各所に搭載した作動装置の動力源を内蔵しており、コンベヤフレーム15に垂設されたパワーパックフレーム41上に積載されて排出コンベヤ2の下側に配置されている。パワーパックフレーム41は、コンベヤ支持部材21を連結した上記ブラケット24よりも前方でコンベヤフレーム15に垂設されており、パワーパック5は走行体1よりも前方に位置している。そして、油圧シリンダ28を縮めて排出コンベヤ2を寝かせていくと、パワーパック5は走行体1に干渉することなく走行体1の前方のスペースに下降する。そのため排出コンベヤ2を水平姿勢近くまで寝かせることができ、輸送時には一般道路の輸送制限高さに納まる範囲にまで機体の全高を抑えることができる。また、パワーパック5の前後位置は、振動篩3や排出コンベヤ2等の他の搭載機器と合わせた機体重心が走行装置6の前後ほぼ中央位置に来るように設定されている。
【0020】
なお、輸送制限高さまで余裕があってパワーパック5を走行体1の前方のスペースに下降させる必要がない場合には、パワーパック5を本体フレーム7上又はトラックフレーム8上に設置することもできる。
【0021】
また、パワーパック5の左側面には、排出コンベヤ2や振動篩3等の動作を指示するための操作盤43と、前述した油圧シリンダ28の伸縮動作を指示する操作部44とが隣接して配置されている。また、操作盤43や操作部44を操作する場合等に作業者が立つ足場として、パワーパック5にはステップ45が設けられている。
【0022】
ここで、コンベヤフレーム15には、当該自走式振動スクリーンのトレーラ等による輸送時や自力走行による移動時の振動に起因する振動篩本体31の変位を抑制する変位抑制機構が備えられている。この変位抑制機構は、振動篩本体31に設けた第1拘束部材としての上記支持部材34と、支持部材34と上下の位置関係になるようにホッパフレーム39に設けた第2拘束部材としてのストッパ46と、振動篩本体31を付勢して支持部材34とストッパ46とを接触させる付勢手段であるバネシリンダ47とからなる。
【0023】
支持部材34は、弾性部材30に合わせて振動篩本体31の左右両側の前後に合計4箇所設けられていて、その上面が平坦に形成されておりホッパフレーム39とほぼ平行に後方に下るように傾斜している。この支持部材34の上面が、対向するストッパ46と接触する着座面となる。当該着座面には、ゴムシート等の緩衝材を貼設する場合もある。
【0024】
ストッパ46は、支持部材34の上方に位置するようにホッパフレーム39の下部に合計4箇所設けられていて、その下面が支持部材34の上面とほぼ平行に平坦に形成されている。この下面が、支持部材34の上面と接触する着座面となる。当該着座面には、ゴムシート等の緩衝材を貼設する場合もある。
【0025】
バネシリンダ47は、非作動時(圧油が供給されていないとき)にバネ力で支持部材34とストッパ46とを接触させる付勢手段であり、加振装置33(後述する油圧ポンプ61)を駆動させる作動油の一部で作動(伸長)して支持部材34とストッパ46とを離間させる。このバネシリンダ47は、各支持部材34の下方に位置するように支持部材48を介してコンベヤフレーム15上に複数(本実施形態では4本)設けられている。これらバネシリンダ47は、選別作業運転時の姿勢すなわち図1のように排出コンベヤ2を斜めに立ち上げた姿勢のときにほぼ鉛直になるように支持部材48にシリンダケース49が固定されており、ロッド50の先端は自由端になっていて図1の姿勢でシリンダケース49に対してほぼ鉛直に進退する。
【0026】
図2は本実施形態の自走式振動スクリーンに備えられた油圧駆動システムの要部を抜き出して表した回路図である。
【0027】
まずバネシリンダ47の仕組みについて補足すると、図2に示したように、バネシリンダ47は、本体をなす筒状の上記シリンダケース49と、このシリンダケース49に対して進退するロッド50と、シリンダケース49内に収容されてボトム側から伸長方向にロッド50を付勢するスプリング51とを備えており、シリンダケース49内の油室に圧油が供給されると、油室に供給された圧油に付勢されてスプリング51を縮める方向にロッド50が移動(縮退)し、油室から圧油が抜けるとスプリング51に付勢されて当該スプリング51が伸びる方向にロッド50が移動(伸長)する構成である。複数箇所(本実施形態では4箇所)に設置した各バネシリンダ47のスプリング51の合計のバネ力は、振動篩本体31を支持する複数箇所(本実施形態では4箇所)の弾性部材30の合計のバネ力よりも強い。
【0028】
図2に示した油圧駆動システムは、油圧ポンプ61と、油圧ポンプ61の吐出管路62に設けた電磁パイロット式のコントロールバルブ63と、コントロールバルブ63と加振装置33の油圧モータ64とを接続する供給管路65,66に設けたシーケンスバルブ67,68と、油圧モータ64からの圧油をタンク69に戻す排出管路70,71と、供給管路65,66及び排出管路70,71の圧油の流れる方向を一方向に制限する逆止弁72−75と、供給管路65,66からシーケンスバルブ67,68にパイロット圧を導くパイロット管路76,77と、供給管路65,66から分岐してバネシリンダ47に接続するバイパス管路78と、供給管路65,66の高圧側を選択的にバイパス管路78に連通させるシャトル弁79と、バネシリンダ47からの戻り油の流量を絞る絞り弁装置80と、操作装置81からの操作信号に応じてコントロールバルブ63に指令信号を出力するコントローラ82とを備えている。操作装置81は操作盤43或いは図示しないリモコン等の操作部であり、図2では加振装置33の正転を指示する正転ボタン83、加振装置33の逆転を指示する逆転ボタン84、停止を指示する停止ボタン85を備えている。
【0029】
次に上記構成の自走式振動スクリーンの動作及び作用効果を順次説明する。
【0030】
(自走式振動スクリーンの基本動作)
例えば図示しないホイールローダや油圧ショベル等の投入重機或いはコンベア等によって被選別物が投入されると、被選別物はホッパ4にガイドされて振動篩3の篩部材上に落下する。篩部材上に落下した被選別物のうち、篩部材を通過した所定粒度以下の選別物は排出コンベア2上に導かれて排出コンベア2によって機体前方に搬出され、篩部材に残留した所定粒度以上の選別物は振動する篩部材上を下って機体後方に落下する。本実施形態では図示していないが、オプションとして機体後部にサイドコンベアを設け、所定粒度以上の選別物をサイドコンベアで機体側方に搬出する場合もある。
【0031】
続けて振動篩本体31の変位抑制機構の動作について説明する。
【0032】
(変位抑制機構の動作)
(1)加振装置33の正転駆動時
図3はバネシリンダ47を用いた変位抑制機構によって振動篩本体31が拘束された状態を表した側面図であり、振動篩3は停止した状態にある。
【0033】
上記の基本動作を実行するに当たって、図3の状態から振動篩3を作動させるには、例えば、振動篩本体31の正転ボタン83又は逆転ボタン84を押す。正転ボタン83が押された場合には、操作装置81からの操作信号に応じてコントローラ82からコントロールバルブ63に指令信号(電気信号)が出力され、コントロールバルブ63が図2中の左側の正転ポジションに切り換わる。コントロールバルブ63が正転ポジションに切り換わると、油圧ポンプ61の吐出管路62が供給管路65に連通し、油圧モータ64からの排出管路71がタンク69に連通する。これにより、供給管路65に圧油が流れ、パイロット管路76が昇圧するとともに、シャトル弁79及びバイパス管路78を介してバネシリンダ47の油室に圧油が流れ込んでバネシリンダ47が図3の状態から縮退する。バネシリンダ47が縮むことで振動篩本体31の側面に設けた上記支持部材34がホッパフレーム39に設けたストッパ46から離れ、さらにバネシリンダ47のロッド50が支持部材34から離れることで、バネシリンダ47による振動篩本体31の拘束が解かれて図1に示した状態に移行する。そして、パイロット管路76に導かれたパイロット圧が一定の値(シーケンスバルブ67のバネ圧)に達すると、シーケンスバルブ67が開放され、油圧ポンプ61からの圧油が供給管路65を介して油圧モータ64に供給され、加振装置33が正転駆動して振動篩3が振動し始める。油圧モータ64からの戻り油は逆止弁75及び排出管路71を介してタンク69に戻る。
【0034】
(2)加振装置33の逆転駆動時
加振装置33が逆転駆動するときも、バネシリンダ47は加振装置33が正転駆動する場合と同様に動作する。すなわち、逆転ボタン84が押された場合には、操作装置81からの操作信号に応じてコントローラ82からコントロールバルブ63に指令信号(電気信号)が出力され、コントロールバルブ63が図2中の右側の逆転ポジションに切り換わる。コントロールバルブ63が逆転ポジションに切り換わると、油圧ポンプ61の吐出管路62が供給管路66に連通し、油圧モータ64からの排出管路70がタンク69に連通する。これにより、供給管路66に圧油が流れ、パイロット管路77が昇圧するとともに、シャトル弁79及びバイパス管路78を介してバネシリンダ47の油室に圧油が流れ込んで図3の状態からバネシリンダ47が縮退する。バネシリンダ47が縮むことで振動篩本体31の側面に設けた上記支持部材34がホッパフレーム39に設けたストッパ46から離れ、さらにバネシリンダ47のロッド50が支持部材34から離れることで、バネシリンダ47による振動篩本体31の拘束が解かれて図1の状態に移行する。そして、パイロット管路77に導かれたパイロット圧が一定の値(シーケンスバルブ68のバネ圧)に達すると、シーケンスバルブ68が開放され、油圧ポンプ61からの圧油が供給管路66を介して油圧モータ64に供給され、加振装置33が逆転駆動して振動篩3が振動し始める。油圧モータ64からの戻り油は逆止弁74及び排出管路70を介してタンク69に戻る。
【0035】
(3)加振装置33の停止時
加振装置33が正転若しくは逆転駆動しているとき(例えば図1に示した状態のとき)に停止ボタン85が押された場合には、操作装置81からの操作信号に応じてコントローラ82からコントロールバルブ63に指令信号(電気信号)が出力され、コントロールバルブ63が図2中の中央の停止ポジションに切り換わる。コントロールバルブ63が停止ポジションに切り換わると、油圧ポンプ61の吐出管路62が遮断され、油圧モータ64からの排出管路70,71及びバイパス管路78がタンク69に連通する。これにより、油圧モータ64への圧油の供給が遮断されて油圧モータ64が回転速度を低下させて停止し、さらにバネシリンダ47がスプリング51の復元力により伸長し、それに伴ってバネシリンダ47の油室の圧油は押し退けられてバイパス管路78、シャトル弁79及び供給管路65,66を介してタンク69に排出されていく。これによってバネシリンダ47のロッド50が振動篩本体31の側面の支持部材34に当接し、さらに支持部材34がストッパ46に当接するまで振動篩本体31を押し上げて図1の状態に移行する。支持部材34とストッパ46とが接触することで、振動篩本体31はホッパフレーム39に拘束された状態となる。
【0036】
なお、バネシリンダ47の伸長速度は絞り弁装置80により制限され、支持部材34とストッパ46とが当接する際の衝撃は絞り弁装置80の設定によって十分に緩和することができる。また、支持部材34とストッパ46とが当接するまでの時間を十分に確保し、加振装置33が停止する前に支持部材34とストッパ46とが接触することを防止することができる。
【0037】
(作用効果)
本実施形態によれば、バネシリンダ47によって振動篩本体31をホッパフレーム39に対して押し付けることで、振動篩本体31を拘束することができる。そのため、自走式振動スクリーンの輸送時や移動時の振動が振動篩本体31に伝わっても、振動篩本体31が大きく揺れ動くことがなく、振動篩本体31がホッパ4等に衝突することによる振動篩本体31やホッパ4等の破損を抑制することができる。
【0038】
このとき、バネシリンダ47による振動篩本体31の付勢方向は、振動篩本体31を支持する弾性部材30の伸縮方向でかつ重力方向であるため、仮に弾性部材30に経年劣化が発生して振動篩本体31の静止時の支持位置が低下したとしても、バネシリンダ47による振動篩本体31の拘束動作に影響はない。すなわち、弾性部材30の経年劣化で振動篩本体31が沈み込む方向にバネシリンダ47が伸縮方向を揃えて存在しており、仮に弾性部材30に経年劣化が生じたとしても、バネシリンダ47のロッド50側からその伸長方向に見た振動篩本体31の支持部材34の位置が変化しないため、弾性部材30の経年劣化とは関係なく振動篩本体31を安定して押し上げることができる。したがって、弾性部材30の劣化状態によらず振動篩本体31を拘束し輸送時や移動時の損傷を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、バネシリンダ47のスプリング51によって振動篩本体31を付勢して支持部材34とストッパ46とを接触させて振動篩本体31を拘束する構成としている。すなわち、振動篩本体31を拘束した状態は、バネシリンダ47のスプリング51の復元力により実現しているので、圧油のリークによる保持力の低下がなく安定的に振動篩本体31を拘束状態で保持することができる。
【0040】
また、拘束時の振動篩本体31はバネシリンダ47のスプリング51によって弾性支持された状態である。例えば通常の油圧シリンダによって振動篩本体31を油圧の力で押し付ける構成とすると、油圧シリンダのストロークやリリーフ圧を正確に調整しないと支持部材34とストッパ46との接触面圧が過大となってホッパフレーム39に過度な応力がかかり得るが、スプリング51のバネ力で弾性的に付勢する構成であるため、スプリング51の選定が適正であればホッパフレーム39に過度な応力がかかることを避けることができる。
【0041】
また、本実施形態では、非作動時(圧油の非供給時)にスプリング51の付勢力で振動篩本体31を押し上げるバネシリンダ47を用い、なおかつ振動篩3を駆動する圧油の一部を分流してバネシリンダ47を駆動する構成であるため、輸送時や移動走行時等のように振動篩3の停止時には動力供給することなく自動的に振動篩本体31を拘束することができる。このように振動篩3の運転/停止とバネシリンダ47の動作を連動させることで、輸送・移動時に振動篩本体31を拘束し忘れたり、振動篩3を動かす際に振動篩本体31の拘束を解き忘れたりすることを避けられる。しかも、振動篩本体31の拘束に動力が不要である。
【0042】
また、振動篩本体31を拘束しない場合、運転停止時に振動篩本体31の振動数が低下していく際に、振動篩本体31の振動数がこれを弾性支持する弾性部材30の固有振動数に一致することによって共振現象が発生し、振動篩本体31が大きく揺れ動くが、本実施形態の場合、振動篩本体31の固有振動数が弾性部材30の固有振動数まで低下する前にバネシリンダ47が支持部材34に接触するので、弾性部材30を含めた振動篩本体31の弾性支持構造の固有振動数を変化させることができ、共振の影響を避けて振動篩本体31を停止させることもでき得る。
【0043】
また、前述した特許文献1のように左右方向からピンを挿入した振動体を固定する構成の場合、輸送時や移動時の振動によって振動篩本体31に慣性力がかかるとピンに過度な応力が作用し得る。そのため振動体が大型化すると、固定用のピンやこのピンの支持構造も強固にしなければならない。それに対し、本実施形態では、バネシリンダ47のスプリング51の長さやバネ定数を変化させることで振動篩本体31の大型化に対応することができ、変位抑制機構自体を大型化する必要はない。
【0044】
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの要部の側面図、図5はその振動体が拘束された状態を表した側面図である。これらの図においては、走行体1やパワーパック5を図示省略している。
【0045】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、バネシリンダ47の設置態様にある。すなわち、第1実施形態では、支持部材48を介してシリンダケース49をコンベヤフレーム15に固定して、コンベヤフレーム15側から振動篩本体31を押し上げてホッパフレーム39に押し付ける構成であったのに対し、本実施形態では、振動篩本体31の側部の支持部材34の下面にシリンダケース49を固定(支持部材34にバネシリンダ47を垂設)し、コンベヤフレーム15上の支持部材48に向かってロッド50が下方に伸びる構成となっている。その他の構成は、油圧回路を含めて第1実施形態と同様である。
【0046】
本実施形態においては、停止ボタン85を押すと、図4の状態から第1実施形態と同様にバネシリンダ47が下方に伸長し、ロッド50がコンベヤフレーム15上の支持部材48に接触すると、バネシリンダ47の伸長に伴って振動篩本体31が押し上げられ、振動篩本体31の支持部材34がホッパフレーム39のストッパ46に接触して図5に示したように振動篩本体31が拘束された状態に移行する。反対に、正転ボタン83又は逆転ボタン84を押すと図5の状態からバネシリンダ47が縮退し、振動篩本体31が弾性部材30による保持位置まで下降し、その後ロッド50がコンベヤフレーム15上の支持部材48から離れ、図4に示したように振動篩本体31の拘束が解かれる。
【0047】
本実施形態においても、既述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】
(第3実施形態)
図6は本発明の第3実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの要部の側面図、図7はその振動体が拘束された状態を表した側面図である。これらの図においては、走行体1やパワーパック5を図示省略している。
【0049】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、変位抑制機構の構成にある。具体的には、本実施形態は、ホッパフレーム39のストッパ46を省略してコンベヤフレーム15上に支持部材35を介してストッパ46Aを設けた点、振動篩本体31の側部の支持部材48上にホッパフレーム39に向かって上方に伸びるようにバネシリンダ47を設置した点、及び振動篩本体31を拘束する際に振動篩本体31を押し下げる点で第1実施形態と異なる。ストッパ46Aは、縁部にRの付いた頭部(上部)を有する棒状の部材であり、支持部材36上に図6の状態でほぼ鉛直に立設している。ストッパ46Aの頭部は例えばゴム等の緩衝材料で形成することが好ましい。バネシリンダ47は、支持部材34の上面に対してほぼ垂直に立設しており、ホッパフレーム39の下面を当該面に対してほぼ垂直に押すように設置されている。その他の構成は、油圧回路を含めて第1実施形態と同様である。
【0050】
本実施形態においては、停止ボタン85を押すと、図6の状態から第1実施形態と同様にバネシリンダ47が伸長し、ロッド50がホッパフレーム39の下面に接触すると、バネシリンダ47の伸長に伴って振動篩本体31が押し下げられ、振動篩本体31の支持部材34がコンベヤフレーム15上のストッパ46Aに接触して、図7に示したように振動篩本体31が拘束される。反対に、正転ボタン83又は逆転ボタン84を押すと図7の状態からバネシリンダ47が縮退し、振動篩本体31が弾性部材30による保持位置まで上昇し、その後ロッド50がホッパフレーム39から離れ、図6に示したように振動篩本体31の拘束が解かれる。
【0051】
本実施形態においても、既述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0052】
(第4実施形態)
図8は本発明の第4実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの要部の側面図、図9はその振動体が拘束された状態を表した側面図である。これらの図においては、走行体1やパワーパック5を図示省略している。
【0053】
本実施形態が第3実施形態と相違する点は、バネシリンダ47の設置態様にある。すなわち、第3実施形態では、振動篩本体31の側部の支持部材34上に設けたバネシリンダ47をホッパフレーム39に向かって伸ばす構成であったのに対し、本実施形態では、ホッパフレーム39に垂設したバネシリンダ47を支持部材34に向かって伸ばす構成としている。その他の構成は、油圧回路を含めて第3実施形態と同様である。
【0054】
本実施形態においては、停止ボタン85を押すと、図8の状態からバネシリンダ47が下方に伸長し、ロッド50が支持部材34の上面に接触すると、バネシリンダ47の伸長に伴って振動篩本体31が押し下げられ、振動篩本体31の支持部材34がコンベヤフレーム15上のストッパ46Aに接触して、図9に示したように振動篩本体31が拘束される。反対に、正転ボタン83又は逆転ボタン84を押すと図9の状態からバネシリンダ47が縮退し、振動篩本体31が弾性部材30による保持位置まで上昇し、その後ロッド50が支持部材34から離れ、図8に示したように振動篩本体31の拘束が解かれる。
【0055】
本実施形態においても、既述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0056】
(第5実施形態)
図10は本発明の第5実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの要部の側面図である。この図においては、走行体1やパワーパック5を図示省略している。
【0057】
本実施形態が既述の実施形態と相違する点は、バネシリンダ47を伸ばして振動篩本体31を押し上げる又は押し下げるのではなく、バネシリンダ47を縮めて振動篩本体31を引き下げる点である。本実施形態では、第1実施形態と同様に支持部材48を介してコンベヤフレーム15上にバネシリンダ47が立設されているが、そのロッド50が振動篩本体31の側部の支持部材34の底壁面を貫通していてロッド50の先端が支持部材34の内部スペースに収容されている。ロッド50の先端にはプレートが設けられているので、ロッド50が下降してもプレートが支持部材34の底壁面に係合し支持部材34から抜けないようになっている。また、バネシリンダ47と前後の位置関係となるように、ストッパ46Aが支持部材35を介してコンベヤフレーム15上に立設している。
【0058】
図11は本実施形態の自走式振動スクリーンに備えられた油圧駆動システムの要部を抜き出して表した回路図である。
【0059】
この図11に示したように、本実施形態において、バネシリンダ47は、スプリング51がシリンダケース49内に収容されて縮退方向にロッド50を付勢しており、シリンダケース49内のボトム側の油室に圧油が供給されると、油室に供給された圧油に付勢されてスプリング51を縮める方向にロッド50が移動(伸長)し、油室から圧油が抜けるとスプリング51に付勢されて当該スプリング51が伸びる方向にロッド50が移動(縮退)する構成である。
【0060】
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0061】
本実施形態においては、停止ボタン85を押すと、図10の状態からバネシリンダ47が下方に縮退し、ロッド50が支持部材34の底壁面に係合すると、バネシリンダ47の縮退に伴って振動篩本体31が引き下げられ、振動篩本体31の支持部材34がコンベヤフレーム15上のストッパ46Aに接触して、図12に示したように振動篩本体31が拘束される。反対に、正転ボタン83又は逆転ボタン84を押すと図12の状態からバネシリンダ47が伸長し、振動篩本体31が弾性部材30による保持位置まで上昇し、その後ロッド50の先端のプレートが支持部材34の底壁面から離れ、図10に示したように振動篩本体31の拘束が解かれる。
【0062】
本実施形態においても、既述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
(第6実施形態)
図13は本発明の第6実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの要部の側面図、図14はその振動体が拘束された状態を表した側面図である。これらの図においては、走行体1やパワーパック5を図示省略している。
【0064】
本実施形態が第5実施形態と相違する点は、バネシリンダ47の設置態様にある。すなわち、第5実施形態では、支持部材48を介してコンベヤフレーム15上にバネシリンダ47を立設し、ロッド50を振動篩本体31の側部の支持部材34に係合させる構成であったのに対し、本実施形態では、振動篩本体31の側部の支持部材34の下部にバネシリンダ47を垂設し、コンベヤフレーム15上の支持部材35にロッド50を貫通させるとともに、ロッド50の先端のプレートが支持部材35の上面に係合して支持部材35からロッド50が抜けないように構成されている。その他の構成は、油圧回路を含めて第5実施形態と同様である。
【0065】
本実施形態においては、停止ボタン85を押すと、図13の状態からバネシリンダ47が上方に縮退し、ロッド50が支持部材35の上壁面に係合すると、バネシリンダ47の縮退に伴って振動篩本体31が引き下げられ、振動篩本体31の支持部材34がコンベヤフレーム15上のストッパ46Aに接触して、図14に示したように振動篩本体31が拘束される。反対に、正転ボタン83又は逆転ボタン84を押すと図14の状態からバネシリンダ47が伸長し、振動篩本体31が弾性部材30による保持位置まで上昇し、その後ロッド50の先端のプレートが支持部材34の上壁面から離れ、図12に示したように振動篩本体31の拘束が解かれる。
【0066】
本実施形態においても、既述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0067】
(第7実施形態)
図15は本発明の第7実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの要部の側面図、図16はその振動体が拘束された状態を表した側面図である。これらの図においては、走行体1やパワーパック5を図示省略している。
【0068】
本実施形態が第5実施形態と相違する点は、バネシリンダ47の設置態様にある。すなわち、第5実施形態では、支持部材48を介してコンベヤフレーム15上にバネシリンダ47を立設し、ロッド50を振動篩本体31の側部の支持部材34に係合させる構成であったのに対し、本実施形態では、振動篩本体31の側部の支持部材34の上部にバネシリンダ47を立設し、ホッパフレーム39の下部のストッパ46にロッド50を貫通させるとともに、ロッド50の先端のプレートがストッパ46の底壁面に係合してストッパ46からロッド50が抜けないように構成されている。その他の構成は、油圧回路を含めて第5実施形態と同様である。なお、本実施形態において、ストッパ46Aは省略可能である。
【0069】
本実施形態においては、停止ボタン85を押すと、図15の状態からバネシリンダ47が下方に縮退し、ロッド50がストッパ46の底壁面に係合すると、バネシリンダ47の縮退に伴って振動篩本体31が引き上げられ、振動篩本体31の支持部材34がホッパフレーム39のストッパ46に接触して、図16に示したように振動篩本体31が拘束される。反対に、正転ボタン83又は逆転ボタン84を押すと図16の状態からバネシリンダ47が伸長し、振動篩本体31が弾性部材30による保持位置まで下降し、その後ロッド50の先端のプレートがストッパ46の底壁面から離れ、図15に示したように振動篩本体31の拘束が解かれる。
【0070】
本実施形態においても、既述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0071】
(第8実施形態)
図17は本発明の第8実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの要部の側面図、図18はその振動体が拘束された状態を表した側面図である。これらの図においては、走行体1やパワーパック5を図示省略している。
【0072】
本実施形態が第7実施形態と相違する点は、バネシリンダ47の設置態様にある。すなわち、第7実施形態では、振動篩本体31の側部の支持部材34に立設したバネシリンダ47でホッパフレーム39のストッパ46を引っ張る構成であったのに対し、本実施形態では、ホッパフレーム39に垂設したバネシリンダ47のロッド50を振動篩本体31の側部の支持部材34の上壁面に貫通させるとともに、ロッド50の先端のプレートが支持部材34の上壁面に係合して支持部材34からロッド50が抜けないように構成されている。その他の構成は、油圧回路を含めて第7実施形態と同様である。なお、本実施形態において、ストッパ46Aは省略可能である。
【0073】
本実施形態においては、停止ボタン85を押すと、図17の状態からバネシリンダ47が上方に縮退し、ロッド50が支持部材34の上壁面に係合すると、バネシリンダ47の縮退に伴って振動篩本体31が引き上げられ、振動篩本体31の支持部材34がホッパフレーム39のストッパ46に接触して、図18に示したように振動篩本体31が拘束される。反対に、正転ボタン83又は逆転ボタン84を押すと図18の状態からバネシリンダ47が伸長し、振動篩本体31が弾性部材30による保持位置まで下降し、その後ロッド50の先端のプレートが支持部材34の上壁面から離れ、図17に示したように振動篩本体31の拘束が解かれる。
【0074】
本実施形態においても、既述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0075】
(第9実施形態)
図19は本発明の第9実施形態に係る自走式振動機械である自走式振動スクリーンの要部の側面図、図20はその振動体が拘束された状態を表した側面図である。これらの図においては、走行体1やパワーパック5を図示省略している。
【0076】
本実施形態が既述の実施形態と相違する点は、コンベヤフレーム15上に立設された複数のポスト38Aが伸縮構造である点、及び振動篩本体34を拘束するにあたってバネシリンダ47によってポスト38Aを縮めてホッパフレーム39を下降させ、このホッパフレーム39で振動篩本体31を押さえ付けて振動篩本体31の側部の支持部材34をホッパフレーム39の下部のストッパ46及びコンベヤフレーム15上のストッパ46Aとで挟み込んでコンベヤフレーム15側に固定する点である。
【0077】
ポスト38Aは、コンベヤフレーム15上に立設された筒状の下部ポスト38Aaと、ホッパフレーム39から垂設され下部ポスト38Aaに挿入された上部ポスト38Abと、下部ポスト38Aa及び上部ポスト38Ab間に介設され、下部ポスト38Aaに対して上部ポスト38Abを弾性的に支持するスプリング38Acとを備えている。バネシリンダ47は、ボトム側及びロッド側がそれぞれ下部ポスト38Aa及び上部ポスト38Abに連結されている。その他の構成は、油圧回路を含めて第5実施形態と同様である。なお、本実施形態において、ストッパ46,46Aはいずれかを省略することもできる。
【0078】
本実施形態においては、停止ボタン85を押すと、図19の状態からバネシリンダ47が下方に縮退し、ポスト38Aが縮んでホッパ4及びホッパフレーム39が下降し、ストッパ46が振動篩本体31の側部の支持部材34に接触し、さらにバネシリンダ47の縮退に伴って振動篩本体31がホッパフレーム39によって押さえ付けられ、振動篩本体31の支持部材34をストッパ46,46Aで挟み込み、図20に示したように振動篩本体31が拘束された状態に移行する。反対に、正転ボタン83又は逆転ボタン84を押すと図20の状態からバネシリンダ47が伸長し、振動篩本体31が弾性部材30による保持位置まで上昇し、その後ストッパ46,46Aが支持部材34から離れ、図19に示したように振動篩本体31の拘束が解かれる。
【0079】
本実施形態においても、既述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0080】
なお、本実施形態においては、バネシリンダ47のスプリング51でスプリング38Acを兼ねる(スプリング38Acを省略する)ことも考えられ、またスプリング38Acでバネシリンダ47のスプリング51を兼ねる(バネシリンダ47のスプリング51を省略する)ことも考えられる。
【0081】
(その他)
なお、以上の実施形態においては、振動篩本体31を付勢して拘束する付勢手段としてバネシリンダ47を用いた場合を例に上げて説明したが、複動式のシリンダで代替し、油圧の力で振動篩本体31を付勢し拘束した状態で回路的にシリンダを保持する構成としても、弾性体30の劣化状態によらず振動篩本体31が拘束できるという発明の基本的効果を得ることはできる。
【0082】
また、油室をタンク圧にした場合にロッドの自重で縮退するものであれば、単動式の油圧シリンダも適用可能である。すなわち、振動篩本体31を拘束する際に当該油圧シリンダを伸長し、拘束を解くときに油圧シリンダをロッドの自重で縮退させる構成である。
【0083】
また、振動篩本体31を付勢して拘束する付勢手段としては、油圧シリンダに限らず電動シリンダ等の他の駆動方式のシリンダを用いることもできるし、シリンダに限らず、モータ及びモータの回転動力を直線運動に変換する機構(ラックギアやボールネジ等)を組み合わせた装置を付勢手段として利用することも考えられる。
【0084】
さらに、以上の実施形態では本発明を自走式振動スクリーンに適用した場合を例に上げて説明したが、他のタイプの自走式振動機械にも本発明は適用可能である。例えばジョークラッシャを破砕装置として搭載する自走式破砕機の一種に、被破砕物を受け入れるホッパと、このホッパの下方に設けた振動フィーダ(グリズリフィーダ)と、これらを支持するフレームとを備えたものがある(例えば特開2010−88999号公報参照)。このような自走式破砕機においても、振動体である振動フィーダを拘束する機構として本発明を適用することで同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 走行体
4 ホッパ
15 コンベヤフレーム(支持フレーム)
30 弾性部材
31 振動篩本体(振動体)
33 加振装置
34 支持部材(第1拘束部材)
38,38A ポスト
39 ホッパフレーム
46,46A ストッパ(第2拘束部材)
47 バネシリンダ(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体上に設けられた支持フレームと、
前記支持フレーム上に立設された複数のポストと、
前記複数のポスト上に架設されたホッパフレームと、
前記支持フレームに対して弾性部材を介して弾性的に支持された振動体と、
前記振動体の上方に位置するように前記ホッパフレームに支持されたホッパと、
前記振動体の左右の側方両側に設けた第1拘束部材と、
前記第1拘束部材と上下の位置関係になるように前記支持フレーム又は前記ホッパフレームの少なくとも一方に設けた第2拘束部材と、
前記振動体を付勢する付勢手段とを備え、
前記付勢手段の付勢力によって前記第1拘束部材を前記第2拘束部材に押し付け、前記振動体を前記支持フレーム側又は前記ホッパフレーム側に固定したことを特徴とする自走式振動機械。
【請求項2】
走行体と、
前記走行体上に設けられた支持フレームと、
前記支持フレーム上に立設された伸縮構造の複数のポストと、
前記複数のポスト上に架設されたホッパフレームと、
前記支持フレームに対して弾性部材を介して弾性的に支持された振動体と、
前記振動体の上方に位置するように前記ホッパフレームに支持されたホッパと、
前記振動体の左右の側方両側に設けた第1拘束部材と、
前記第1拘束部材と上下の位置関係になるように前記支持フレーム及び前記ホッパフレームのそれぞれに設けた第2拘束部材と、
前記ホッパフレームを下降させる方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記付勢手段の付勢力によって前記ホッパフレームを下降させることにより前記第1拘束部材を前記第2拘束部材で挟み込み、前記振動体を前記支持フレーム側に固定したことを特徴とする自走式振動機械。
【請求項3】
前記付勢手段は、非作動時にバネ力で前記第1拘束部材と前記第2拘束部材とを押し付け合わせ、前記振動体の加振装置を駆動させる作動油の一部で作動して前記第1拘束部材と前記第2拘束部材とを離間させるバネシリンダであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自走式振動機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−96179(P2012−96179A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246402(P2010−246402)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】