説明

自転車等の牽引車とリヤカー等の被牽引車の連結装置

【課題】自転車等牽引車の特に後部荷台と、小型の荷物運搬車の被牽引車とを、連結し又はその連結を解くことが容易な連結装置を提供する。
【解決手段】牽引車2のソケット部材5と、被牽引車4に用意されるプラグ部材6との組み合わせで構成する。ソケット部材5は、サドル部材50と、上向きのソケット52を備えたソケット金具51と、ソケット52の内部に突き出るようにプランジャ53aを備えたプランジャ型抜け止め金具53とで構成する。プラグ部材6は、ロッドエンド部材8と、同ロッドエンド部材8へ取り付けられた回転ロッド9と、及び回転ロッド9の外面から突出されたプラグ60とを備えている。該プラグ60にはプランジャ53aが食い込むプランジャ受け部60aが形成され、プラグ60をソケット52へ差し込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自転車又は原動機付き二輪車、三輪車等(以下、自転車等と総称する。)による牽引車の特に後部荷台部分と、リヤカーに代表される小型の荷物運搬車(以下、リヤカー等と総称する。)の被牽引車とを、必要に応じて連結し又はその連結を解くことが容易、自在な連結装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
小包や贈答品など軽量・小型の荷物を近距離運搬し又は配達する手段として、自転車等による牽引車の後部荷台部分に、リヤカー等の被牽引車を連結して牽引走行する運搬方法乃至配達手段が広く行われている。
こうした自転車等による牽引車の後部荷台と、リヤカー等の被牽引車とを牽引可能に連結する連結器具ないし連結装置の先行技術としては、たとえば下記した特許文献1、2に開示されたものが公知である。
【0003】
下記の特許文献1に開示された「牽引ジョイント構造」は、リヤカー等の被牽引車と自転車等による牽引車とを、南京錠を施錠することによって連結し、又は逆に解錠することによって連結を解く構成である。しかし、前記連結の作業を行うには、自転車とリヤカーの位置合わせに厳格な注意と調整が必要であるため、作業の遂行が面倒で困難性がある。特に、路面に勾配がある場所での連結又は連結解除の作業はかなり困難な構成と認められる。
【0004】
下記の特許文献2に開示された「小型車両用トレーラーの接合部」は、牽引車と被牽引車の連結にピンを差し込む構造である。したがって、双方のピン孔が完全一致しなければピンを通せないという面倒さがあるから、連結又はその解除の頻度が多い用途には適さないと認められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−228665号公報
【特許文献2】特開平10−297558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1、2について既に説明した既往の連結装置は、連結又は連結解除の作業が面倒で困難性があるため、使用者の使い勝手の良さに欠けて時間がかかるため、連結解除の作業頻度が多い用途には適さないという問題点があった。
具体的にいうと、現状のリヤカー等に荷物を積み、自転車等により牽引して荷物を近距離運搬乃至配送する業界での作業手順は、荷物を配り終えて配送センター等へ帰還した配送担当者は、直ちに用済みのリヤカーと自転車の連結を解く。そして、既に荷物を積み込み出発できる用意をしてある別異のリヤカーと自転車を連結し、速やかに再び配達等に出掛ける方式が多く採用されている。
また、配達先によっては自転車とリヤカーの連結を解き、リヤカーを引いてビルなどの施設内へ入りエレベータを利用して各階のへ荷物を届けることも行われている。
したがって、1日に数回程度行われるリヤカーと自転車の連結又は連結解除の作業が面倒で多くの時間が必要であると、その分だけ配達効率の低下につながるので、この種連結装置の一層の改善、改良を望む声が多かった。
因みに、自転車等とリヤカー等の連結を予め一対の関係に連結を固定化し、配送センターでは各リヤカー等へ荷物を積み込んで用意し、配達担当者は、配達を終えて帰還する度に、自転車ごと別異のリヤカーへ乗り換えるシステムも検討されている。しかし、このようなシステムを実施するためには、リヤカー等の台数と同じ台数分の自転車等が必要となり、経済的負担が大きいという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、自転車等の牽引車と、リヤカー等の被牽引車との連結又は連結解除の作業を容易、迅速にできて所要時間が短くて済み、短時間に連結又は連結解除の作業を行えて配達担当者の時間的損失を可及的に削減でき、配達効率の向上を図れる、自転車等牽引車とリヤカー等被牽引車の連結装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した従来技術の課題を解決する手段として、請求項1に記載した発明に係る自転車等牽引車とリヤカー等被牽引車の連結装置1は、
牽引車2の後部荷台3へ取り付けて用意されるソケット部材5と、被牽引車4の牽引フレーム40の先端部へ取り付けて用意される自在型構造のプラグ部材6との組み合わせで構成され、
前記ソケット部材5は、牽引車2の後部荷台3に取り付けられるサドル部材50と、前記サドル部材50に固定され、上向きのソケット52を備えたソケット金具51と、前記ソケット52の内部に突き出るようにバネ作用を受けたプランジャ53aを備え、前記ソケット金具51の外面部へ取り付けられたプランジャ型抜け止め金具53とで構成され、
前記プラグ部材6は、被牽引車4の牽引フレーム40と自在継手7を介して連結されたロッドエンド部材8と、同ロッドエンド部材8へ軸線回りに回転可能に取り付けられた回転ロッド9と、及び前記回転ロッド9の外面から突出され、上記ソケット金具51のソケット52へ差し込まれるプラグ60とを備えて成り、
該プラグ60には差し込み方向の途中位置に上記プランジャ型抜け止め金具53のプランジャ53aが食い込むプランジャ受け部60aが形成され、前記プラグ60を前記ソケット52へ差し込むと、プランジャ受け部60aへ前記プランジャ53aが食い込んで連結状態を確定する構成であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した自転車等牽引車とリヤカー等被牽引車の連結装置1は、
ソケット金具51において、プランジャ型抜け止め金具53とは別異の位置に、ソケット金具51のソケット52へ差し込まれたプラグ60を施錠する掛け金54aを備えたプッシュ式シリンダ錠54が設けられており、プラグ60には前記プランジャ受け部60aとは別異の位置に、プッシュ式シリンダ錠54の掛け金54aを錠止めするシリンダ錠通し孔60bが設けられており、プッシュ式シリンダ錠54の掛け金54aで錠止めして連結状態を確定する構成であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した自転車等牽引車とリヤカー等被牽引車の連結装置1は、
プラグ部材6のプラグ60は先端に向かって先細形状の板状に形成され、同プラグ60の外周部には差し込み方向の途中位置に切り欠き形状のプランジャ受け部60aが形成され、また、同プラグ60においてプランジャ型抜け止め金具53のプランジャ53aの向きとは直交する方向に、プッシュ式シリンダ錠54の掛け金54aを錠止めするシリンダ錠通し孔60bが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明による自転車等牽引車とリヤカー等被牽引車の連結装置1は、被牽引車4の舵棒に相当する牽引フレーム40の先端部へ自在継手7を介して連結し取り付けられたプラグ部材6のプラグ60を、牽引車2の後部荷台3に取り付けたソケット部材5のソケット52へ一定の深さまで差し込むと、先ずはプランジャ型抜け止め金具53のプランジャ53aが常時のバネ作用で前記プラグ60のプランジャ受け部60aへ突入し食い込んで一応の位置決めが行われる。
続いて、プッシュ式シリンダ錠54をキーにより施錠操作を行うことにより、その掛け金54aがシリンダ錠通し孔60bへ食い込んで錠止め状態となり、牽引車2の後部荷台3と被牽引車4の牽引フレーム40との連結が直ちに完全に確定される。よって、配達担当者は、直ちに牽引車2を駆動して被牽引車4に積んだ荷物の配送作業に出掛けることができる。
逆に、積荷の配送作業を全て終了して配送センターへ帰還した場合、配達担当者は、先ずプッシュ式シリンダ錠54をキーで解錠操作し、掛け金54aをシリンダ錠通し孔60bから引き外して解錠する。続いて、プランジャ型抜け止め金具53の摘み53bを掴みプランジャ53aを引くことにより、プラグ部材6のプラグ60は、ソケット部材51のソケット52から軽く速やかに引き抜くことができ、簡単、迅速に連結の解除ができる。
したがって、牽引車2を、既に積荷の用意ができている次順の被牽引車4の位置へ運び連結することにより、配送担当者は直ちに積荷の配送作業へ再び出掛けることができ、無駄な時間の消費、損失を可及的に防げる。
【0012】
更にいうと、本発明による牽引車と被牽引車の連結装置1は、被牽引車であるリヤカー4の舵棒に相当する牽引フレーム40へ自在継手7を介してプラグ部材6を取り付けているから、同プラグ部材6は、自在継手7によって、リヤカー4の牽引フレーム40に対して上下、左右方向への揺動が自在である。
また、プラグ部材6のプラグ60は、ロッドエンド部材8へ軸線回りの回転が可能に取り付けた回転ロッド9から放射方向へ突き出されているので、同プラグ60は軸線回りの回転及び揺動が自在である。
よって、上記プラグ部材6のプラグ60を、ソケット部材5のソケット52へ位置合わせを行い差し込む操作の自由度、自在性に富み、連結又は連結解除の作業がすこぶる容易で行い易い。
のみならず、牽引車である自転車2の牽引走行にしたがい、追従走行するリヤカー4等の被牽引車の走行状態に、路面の凹凸や方向転換の曲がり走行などで相対的な運動差を発生しても、連結装置1の順応性と自在性、適応性が良いので、自転車2の走行状態や運転操作に無理、無駄な又は有害な作用力を発生せず、安全で安定した走行を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による自転車等牽引車とリヤカー等被牽引車の連結装置を連結直前の状態で示した正面図である。
【図2】連結装置を構成するプラグ部材と、ソケット部材とを分離して示した斜視図である。
【図3】上記図1に示す連結装置の構造を、連結直前の状態で拡大し一部を破断して示した正面図である。
【図4】Aは上記連結装置を連結状態で、且つ主要部を一部断面して示した正面図,BはA図の自在継手部分を示す平面図である。
【図5】前記図4Aに示した連結装置のソケット部分を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による自転車等牽引車とリヤカー等被牽引車の連結装置1は、牽引車2の後部荷台3へ取り付けて用意されるソケット部材5と、被牽引車4の牽引フレーム40の先端部へ取り付けて用意される自在型構造のプラグ部材6との組み合わせで構成する。
前記ソケット部材5は、牽引車2の後部荷台3へ取り付けるサドル部材50と、前記サドル部材50に固定され、上向きのソケット(空洞部)52を備えたソケット金具51と、前記ソケット52の内部に突き出るように常時バネ作用を受けているプランジャ53aを備え、前記ソケット金具51の外面部へ取り付けられたプランジャ型抜け止め金具53とで構成される。
前記プラグ部材6は、リヤカー等の被牽引車4における牽引フレーム40と自在継手7を介して連結されたロッドエンド部材8と、同ロッドエンド部材8へ軸線回りの回転が可能に取り付けた回転ロッド9と、及び前記回転ロッド9の外面から突き出され、上記ソケット金具51のソケット52へ差し込まれるプラグ60とで構成する。
前記プラグ60には、ソケット52への差し込み方向の途中位置に、プランジャ型抜け止め金具53のプランジャ53aが食い込むプランジャ受け部60aが形成され、前記プラグ60を前記ソケット52へ差し込むと、プランジャ受け部60aへ前記プランジャ53aが食い込んで連結状態を確定する。
【0015】
ソケット金具51において、プランジャ型抜け止め金具53とは別異の位置に、ソケット金具51のソケット52へ差し込まれたプラグ60を施錠する掛け金54aを備えたプッシュ式シリンダ錠54が設けられている。プラグ60には前記プランジャ受け部60aとは別異の位置に、プッシュ式シリンダ錠54の掛け金54aを錠止めするシリンダ錠通し孔60bが設けられており、プッシュ式シリンダ錠54の掛け金54aで錠止めして連結状態を確定する構成である。
プラグ部材6のプラグ60は先端に向かって先細形状の板状に形成され、同プラグ60の外周部には差し込み方向の途中位置に切り欠き形状のプランジャ受け部60aが形成されている。また、同プラグ60においてプランジャ型抜け止め金具53のプランジャ53aの向きとは直交する方向に、プッシュ式シリンダ錠54の掛け金54aを錠止めするシリンダ錠通し孔60bが設けられている。
【実施例1】
【0016】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
本発明による自転車等牽引車とリヤカー等被牽引車の連結装置1は、図1に構成概要を示した通り、牽引車である自転車2の後部荷台3に取り付けて用意されるソケット部材5と、被牽引車であるリヤカー4から所謂舵棒として前方へ延びる牽引フレーム40の先端部へ取り付けて用意される自在型構造のプラグ部材6との組み合わせで構成されている。
【0017】
上記のソケット部材5は、図2〜図5に詳示したとおり、自転車2の後部荷台3の上面部に取り付けるためのサドル部材50と、
前記サドル部材50の上面部から垂直上向きに固定され、垂直上向きのソケット(空洞部)52を備えたソケット金具51と、
前記ソケット52に向かって突き出るように常時バネ作用を受けているプランジャ53aを備え(図4A)、同プランジャ53aの外端に操作用の摘み53bを設け、前記ソケット金具51の外面部へ水平横向に取り付けられたプランジャ型抜け止め金具53と、
及びソケット金具51のソケット52へ差し込まれたプラグ部材6のプラグ60を錠止めする掛け金54aを備え、同ソケット金具51において前記プランジャ型抜け止め金具53とは別異の位置及び向きに取り付けられたプッシュ式シリンダ錠54とで構成されている。
【0018】
更に上記ソケット部材5の詳細な構成を説明する。
上記のサドル部材50は、図5が分かり易いように、自転車2の後部荷台3の外周フレームをその両外側から挟み付けるように下向きのコ字形状とされており、後部荷台3の下面側へ当てがった受け金具55との間を複数本のボルト56で連結して、後部荷台3への取り付け固定が行われる。
垂直上向きのソケット(空洞部)52を備えたソケット金具51は、図示例の場合、プラグ部材6のプラグ60が板状に形成されているので(図2)、ソケット52も前記板状のプラグ60を密接に差し込み可能な溝形状の空洞部に形成されている。そして、ソケット金具51も薄幅の袋構造に形成されている。もっともプラグ60の形状は板状には限らず、円柱形状や角柱形状その他に形成して実施できる。したがって、ソケット52もプラグ60の形状に一致する同形状に形成すれば足りる。ソケット金具51は、T字形に組み合わせて接合された補強材51aと共に、上記サドル部材50の上面へ一体的に接合されている。
【0019】
上記のプランジャ型抜け止め金具53は、図示例の場合は、上記ソケット金具51の補強材51aの外面部に、プランジャ53aがソケット52に向かって水平横向き方向に突き出るように設置されている。プランジャ53aは、上記プラグ部材6のプラグ60に形成されたプランジャ受け部60aへ進入して食い込み、プラグ60を引き抜き不能に止める。このプランジャ53aには、プランジャ型抜け止め金具53の胴部53c内に仕組んだ圧縮用バネにより、常時突き出し方向へのバネ作用を受けている。したがって、自由状態では、図3、図4に示したように、ソケット52内に向かって適度な長さ突き出て、プラグ60の差し込みを待ち受ける構成とされている。このプランジャ53aは、その外端に設けた操作用の摘み53bを使用者が引っ張ることで、前記ソケット52の外方へ引き抜き、プラグ60のプランジャ受け部60aから引き外すことができ、プラグ60をソケット52から引き抜いて連結解除を行うことができる。
【0020】
次に、上記のプッシュ式シリンダ錠54は、やはりソケット金具51のソケット52内へ差し込まれたプラグ部材6のプラグ60のシリンダ錠通し孔60bへ貫通して施錠する掛け金54aを備えている。そして、図示例の場合は上記プランジャ型抜け止め金具53のプランジャ53aとは直交する向きに掛け金54aが出入りする配置で、同ソケット金具51に取り付けられている。
つまり、本発明の連結装置1は、上記のプランジャ型抜け止め金具53による抜け止め作用だけでなく、このプッシュ式シリンダ錠54によっても施錠され、二重の抜け止め構造とされている。プッシュ式シリンダ錠54は、専用のキーで施錠し又は解錠して、掛け金54aをシリンダ錠通し孔60bから引き抜くことにより、プラグ60をソケット52から引き抜き連結解除を行うことができる。
【0021】
次に、上記したプラグ部材6の詳細な構成を説明する。
図1と図3、図4を併せてみると分かり易いように、プラグ部材6は、上記ソケット金具51のソケット52へ差し込むプラグ(差し込み片)を備えている。このプラグ部材6は、被牽引車であるリヤカー4の牽引フレーム40の先端部へ次の構成で取り付けられている。
先ず図4A、Bを見ると分かり易いように、牽引フレーム40の先端部であって走行方向と直角な向きに屈曲された部分に、自在継手7が次のように設けられている。
即ち、牽引フレーム40の上下を挟む配置で2枚の継手板7a、7bが当てがわれ、牽引フレーム40を直径方向へ貫通させた2本のボルト7c、7cとナット7dで結合が行われている。前記2枚の継手板7a、7bの前側部位には、ロッドエンド部材8の一側端部が、2枚の継手板7a、7bへ突き通したヒンジボルト7eによって回転自在な関係に連結されている。ロッドエンド部材8の前記連結端部の厚さは、2枚の継手板7a、7bの内側間隔よりもかなり幅狭く、隙間を生じている。よって、前記隙間の分だけロッドエンド部材8は、図3の紙面と平行な上下方向への揺動が自在に連結されている。
かくしてロッドエンド部材8は、上記のヒンジボルト7eを中心とする回転を伴う揺動と、及び前記2枚の継手板7a、7bとの隙間の分だけ、図3の紙面と平行な上下方向への揺動が自在に連結されている。したがって、前記2種の揺動可能性により、牽引車である自転車2と被牽引車であるリヤカー4との走行状態のアンバランスな動作を吸収でき、自転車2の走行及び運転を容易にして安全走行に寄与する。
【0022】
次に、上記ロッドエンド部材8の先端側には、中空のパイプ構造をなす回転ロッド9が、取り付けボルト10により、ロッドエンド部材8と共通する中心線を共有して回転する配置に取り付けられている。そのためロッドエンド部材8の先端部には、取り付けボルト10を必要十分に長くねじ込む雌ネジ穴8aが中心線方向に設けられている。図4B中の符号11は調整用ナットである。
上記回転ロッド9の外面からは放射方向に、先細形状の板状をなすプラグ60が長く突き出され、このプラグ60を上記ソケット部材5のソケット52内へ密接に差し込む構成とされている。もっとも、プラグ部材6のプラグ60の形状は、図示した先端に向かって先細形状の板状に限らない。先細の円柱形状、又は角柱形状その他で構成して実施することができる。要はソケット部材5のソケット52を同様な形態の空洞部として形成すれば足りる。
プラグ60には、その差し込み方向の途中位置であって、上記したプランジャ型抜け止め金具53のプランジャ53aと相対峙する側縁部に、プランジャ53aが進入して食い込み仮止めの実効を奏する切り欠き形状のプランジャ受け部60aが形成されている。更に前記プランジャ受け部60aより先側の側縁部分は、同プラグ60をソケット52へ差し込む際に、プランジャ53aの上記した突出が邪魔にならない先細角度の急勾配部60cが形成されている。つまり急勾配部60cによりプランジャ53aをバネ作用よりも強力に押し下げつつプラグ60が進むことが可能な構成とされている。
プラグ60には更に、上記プッシュ式シリンダ錠54の掛け金54aを貫通させて錠止めの実効をあらしめるシリンダ錠通し孔60も設けられている。
【0023】
上記した通りの構成であるから、本発明による連結装置1は、牽引車である自転車2と被牽引車であるリヤカー4とを連結するには、自転車2をそのスタンドで立てた状態にしておいて、リヤカー4の舵棒に相当する牽引フレーム40の先端部へ取り付けたプラグ部材6のプラグ60を、自転車2の後部荷台3へ取り付けたソケット部材5のソケット52へ一定の深さまで差し込む。するとプランジャ型抜け止め金具53のプランジャ53aが、前記プラグ60の切り欠き形状のプランジャ受け部60aの進入を待ち受けて、バネの作用で自動的にプランジャ受け部60aへ突入して食い込み、仮止めと位置決めが行われるから、その後はプラグ60から手を離しても、プラグ60がソケット52から抜け外れる心配はない。のみならず、プラグ部材6のプラグ60を腕力で押し引きしたぐらいではソケット52から抜き外すことはできない。
この仮止め状態で、プッシュ式シリンダ錠54をキー操作して施錠すると、その掛け金54aがプラグ60のシリンダ錠通し孔60bへ貫通して施錠の状態となり、自転車2とリヤカー4との連結は完全に確定され、いたずら等で連結が外される懸念は一切無い。
つまり、プラグ部材6のプラグ60をソケット部材5のソケット52へ一定の深さまで差し込み、プッシュ式シリンダ錠54のキーを施錠操作するだけのいわばワンタッチ的素早さで、誰でも簡単、迅速に連結ができる。よって、配達担当者は連結作業に手間取ることなく、直ちに当該自転車2に乗り運転して積荷の配送作業に出掛けられる。
逆に、リヤカー4の積荷の配送作業を全て終了し配送センターへ帰還して、自転車2とリヤカー4の連結を解除する場合には、先ずプッシュ式シリンダ錠54をキーで解錠操作し、その掛け金54aをプラグ60のシリンダ錠通し孔60bから引き抜いて解錠する。しかる後に、プランジャ型抜け止め金具53の摘み53bを掴みプランジャ53aを引く操作により、プラグ60のプランジャ受け部60aから引き外す。するとプラグ部材6のプラグ60はソケット部材5のソケット52から自由に引き抜くことができ、いわばワンタッチ的素早さで誰でも簡単、迅速に連結解除を行なえる。
したがって、当該自転車2を、既に積荷の用意ができている次順のリヤカー4の位置まで運び連結することにより、配送担当者は、再び積荷の配送作業に出掛けることができ、無駄な時間の消費を可及的に防げる。
【0024】
また、本発明による連結装置1によれば、リヤカー4の舵棒に相当する牽引フレーム40へ自在継手7と回転ロッド9を介してプラグ部材6を取り付けているから、同プラグ部材6は、自在継手7によってリヤカー4の牽引フレーム40に対して上下・左右方向への揺動自在性を有する。また、回転ロッド9が軸線回りの回転および揺動が自在であるため、プラグ部材6のプラグ60をソケット部材5のソケット52へ差し込む連結操作の自由度に富み、連結又は連結解除の操作・作業がすこぶる容易で行い易い。
のみならず、自転車等牽引車の牽引走行にしたがって追従走行するリヤカー等被牽引車の走行状態に関しても、路面の凹凸や、方向を変える際の曲がり走行などで相対的な運動差を発生しても、連結装置1は上記したとおりに自在性を有し順応性が良いから、自転車等牽引車の走行状態や運転操作に無理、無駄な強制力が発生せず、安全、安定な走行を実現可能である。
【0025】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、勿論、本発明は上記実施例の構成に限定されるものではない。本発明の要旨、及び技術思想を逸脱しない範囲で、当業者が必要に応じて行う設計変更や応用、変形として種々な態様で実施され得ることを、念のため申し添える。
【符号の説明】
【0026】
1 連結装置
2 牽引車(自転車等)
3 後部荷台
4 被牽引車(リヤカー等)
40 牽引フレーム
5 ソケット部材
6 プラグ部材
60 プラグ
51 ソケット金具
50 サドル部材
52 ソケット
53 プランジャ型抜け止め金具
53a プランジャ
53b 摘み
54 プッシュ式シリンダ錠
54a 掛け金
7 自在継手
8 ロッドエンド部材
9 回転ロッド
60a プランジャ受け部
60b シリンダ錠通し孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車の後部荷台へ取り付けて用意されるソケット部材と、被牽引車の牽引フレームの先端部へ取り付けて用意される自在型構造のプラグ部材との組み合わせで構成され、
前記ソケット部材は、牽引車の後部荷台に取り付けられるサドル部材と、前記サドル部材に固定され、上向きのソケットを備えたソケット金具と、前記ソケットの内部に突き出るようにバネ作用を受けたプランジャを備え、前記ソケット金具の外面部へ取り付けられたプランジャ型抜け止め金具とで構成され、
前記プラグ部材は、被牽引車の牽引フレームと自在継手を介して連結されたロッドエンド部材と、同ロッドエンド部材へ軸線回りに回転可能に取り付けられた回転ロッドと、及び前記回転ロッドの外面から突出され、上記ソケット金具のソケットへ差し込まれるプラグとを備えて成り、
該プラグには差し込み方向の途中位置に上記プランジャ型抜け止め金具のプランジャが食い込むプランジャ受け部が形成され、前記プラグを前記ソケットへ差し込むと、プランジャ受け部へ前記プランジャが食い込んで連結状態を確定する構成であることを特徴とする、自転車等牽引車とリヤカー等被牽引車の連結装置。
【請求項2】
ソケット金具において、プランジャ型抜け止め金具とは別異の位置に、ソケット金具のソケットへ差し込まれたプラグを施錠する掛け金を備えたプッシュ式シリンダ錠が設けられており、プラグには前記プランジャ受け部とは別異の位置に、プッシュ式シリンダ錠の掛け金を錠止めするシリンダ錠通し孔が設けられており、プッシュ式シリンダ錠の掛け金で錠止めして連結状態を確定する構成であることを特徴とする、請求項1に記載した自転車等牽引車とリヤカー等被牽引車の連結装置。
【請求項3】
プラグ部材のプラグは先端に向かって先細形状の板状に形成され、同プラグの外周部には差し込み方向の途中位置に切り欠き形状のプランジャ受け部が形成され、また、同プラグにおいてプランジャ型抜け止め金具のプランジャの向きとは直交する方向に、プッシュ式シリンダ錠の掛け金を錠止めするシリンダ錠通し孔が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した自転車等牽引車とリヤカー等被牽引車の連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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