説明

舌下用被覆錠剤

本発明の主題は、製薬学的な活性物質を欠き、一つ以上の希釈剤を含む圧縮コアと、活性物質を含むコーティングとからなる舌下用被覆錠剤、並びにそのような被覆錠剤の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、製薬学的な活性物質を欠き、一つ以上の希釈剤を含む圧縮コアと、活性物質を含むコーティングとからなる舌下用被覆錠剤、並びにそのような被覆錠剤の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明はまた、本発明に係る舌下用被覆錠剤を使用する治療方法に関する。
【0003】
経口的に与えられた際、迅速な代謝を引き起こす肝臓を通ずる第一の通過の実質的な効果を受け、分子を不活性代謝産物に変換する肝臓酵素の活性に関連する治療活性の損失、またはこの生体変化による治療活性の減少を受ける活性物質について、舌下投与は利点を有する。
【0004】
舌下投与の場合、口内粘膜の大きな透過性及び血管化のため、全身性の通過は非常に迅速である。これは、経口投与で得られるものより迅速である効果を得ることを可能にする。経口投与の場合、錠剤は膨潤し、全身性の通過は胃腸の粘膜の段階、即ち後にのみ生ずる。
【0005】
例えばトリニトリンのような抗狭心症薬の場合、舌下投与は狭心症の急性の攻撃に苦しむ患者を迅速に救済することが可能である。
【0006】
更に舌下投与は、通常は胃粘膜の段階で吸収されない活性物質、または別法として、錠剤の消化の後の酸性媒質で部分的または完全に分解する活性物質の投与を可能にすることができる。
【0007】
フェンタニルはこれらの物質の一例である。クエン酸フェンタニルは、Actiq(登録商標)の商標名で市販されている粘膜通過投与のための手で持つキャンディー(棒付き飴)の形態で現在利用可能である。この特定の形態に関連する問題は、所望の量のフェンタニルを得るために、患者は少なくとも15分間口内に棒つき飴を維持しなければならない点である。更に吸収したフェンタニルの量は嚥下した唾液の頻度に依存し、かくして非常に患者ごとに異なる。以上より、吸収したフェンタニルの量を正確にチェックすることは困難である。
【0008】
当該技術分野で既知の舌下用錠剤は、活性物質と圧縮賦形剤、例えば希釈剤、バインダー、崩壊剤、及びアジュバントとを含むパウダーの混合物の直接的圧縮によって通常調製される。
【0009】
代替的な調製方法では、活性物質と圧縮賦形剤とは、事前にドライまたはウェット顆粒化することができる。
【0010】
この場合、活性物質は錠剤の体積全体に分配される。
【0011】
WO 00/16750は、迅速に崩壊する舌下での使用のための錠剤を記載し、活性マイクロ粒子のための支持体を構成する、サイズにおいて実質的に大きい水溶性粒子の表面に接着したマイクロ粒子の形態の活性物質を含む序列混合物を含み、前記組成物は粘膜接着剤を含む。
【0012】
WO 00/57858は、吸着を促進することを企図した起泡性システムと組み合わせた活性物質と、pH調節剤とを含む舌下での使用のための錠剤を記載する。
【特許文献1】WO 00/16750
【特許文献2】WO 00/57858
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
舌下投与は、錠剤が配置される舌下空洞のサイズのため、活性物質を溶解する唾液の体積が制限されているため、あるいは口内粘膜を通過できる活性物質の量が制限されているため、特定の制限を有する投与経路である。
【0014】
これらの制限のため、活性物質の錠剤の体積内に均一に分配されている錠剤は、本発明が解決することを目的とする特定の欠点を有する。
【0015】
活性物質が体積内で分散されているこれらの錠剤の第一の欠点は、錠剤のサイズと活性物質の投与量の間に存在する依存性である。かくして、各種の投与量の錠剤を提供することが企図されるのであれば、各種のサイズの錠剤を有することが必要であろう。
【0016】
それ故、最高投与量を含む錠剤のサイズ、特にその直径は、舌下投与のためにはもはや適さないであろう。
【0017】
このことは、特に舌下での使用に対してサイズを調製するために、最高投与量を含む錠剤の処方を改変することを当業者に強いることになり、それは最終的に、経済的に所望できない、または安全性の観点で所望できない、当該ヒトに対して異なる定性的及び/または定量的処方と同じ活性物質を有する錠剤を有することを意味する。
【0018】
更に舌下投与は、通常の技術、例えばレーザー回折によって測定すると、通常10μm未満、好ましくは5μm未満の直径を有する集団からなる特定の粒径の活性物質の使用を必要とする。
【0019】
この選択は、唾液中での前記活性物質の迅速で完全な溶解を確保し、瞬間的な効果を得るために、迅速で十分な全身性の通過を可能にすることを目的とする。
【0020】
ここで、錠剤におけるこのサイズの粒子の使用は、錠剤の体積を構成する賦形剤の粒径を適応させること、及び粉体体積のための混合パラメーターを非常に正確に定義することを必要とし、錠剤プレスのフィードホッパーにおける凝離減少の出現をもたらさずに活性物質を均一に分配するオーダー混合物を得ることを目的とするが、それは圧縮の間での錠剤の含量の不均一性を生じることになるであろう。
【0021】
凝離現象の出現の危険は、各錠剤中の活性物質の単位量が低い場合に更に増大する。これは例えば、一ミリグラム未満から数ミリグラムである単位量であるフェンタニルの場合に当てはまる。
【0022】
次いで、圧縮工程を通じて同じバッチについて許容可能な含量の均一性を得ることは困難であり、次いで活性物質は賦形剤の粉体混合物中で非常に希釈される。
【0023】
活性物質が体積中で均一に分散されている舌下投与用錠剤については、活性物質の放出は、錠剤の崩壊速度にも依存する。
【0024】
従来技術では、活性物質が錠剤の体積内に分散されている、迅速に崩壊し、舌下投与に適した錠剤が記載されている。
【0025】
これらの錠剤は、しばしば40N未満である低い硬度を有し、非常に大きな粉体化を示すので、それらを注意深く扱わなければならない。
【0026】
より大きな硬度を有する錠剤の場合、崩壊はより迅速ではなくなり、錠剤は次第に小さくなり一方で、錠剤の表面からのその中央部へ活性物質は放出される。
【0027】
それ故、この放出が崩壊速度または錠剤の硬度に依存しないままで、活性物質を迅速に放出し、その迅速な吸収を可能にする舌下投与用の製剤を有することは特に有利である。
【0028】
錠剤が噛むことなく迅速に崩壊することが企図される場合、この崩壊はパルプと意図せず嚥下できる懸濁物の形成を導く。
【0029】
崩壊剤の使用と、崩壊を加速することを企図した膨潤剤の使用に関連するパルプまたは懸濁物の粘度は、嚥下反射を引き起こし得る。
【0030】
その結果、活性物質の一部は、口内粘膜によって吸収される前に嚥下される。
【0031】
それ故、活性物質の生体利用性が直接的に依存している口内粘膜のレベルの吸収は、このタイプの迅速に崩壊する製剤で使用される賦形剤の性質に依存する。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本出願人は、固体単位形態、特に被覆舌下用錠剤によって、これらの全ての欠点を解消できることを示した。
【0033】
本発明に係る舌下用被覆錠剤は、製薬学的な活性物質を欠き、一つ以上の希釈剤を含む圧縮コアと、活性物質を含むコーティングとからなる。
【0034】
この形態は、従来技術のような錠剤の体積中ではなく、圧縮コアの表面で活性物質を含むため、舌下投与に特に適している。
【0035】
かくして、圧縮コアが製薬学的な活性物質の完全な放出の後でのみ崩壊するように製剤かされれば、製薬学的な活性物質の放出は、崩壊速度または錠剤の硬度に独立して完全となる。
【0036】
コーティングを形成し、製薬学的な活性物質を含む層が、口腔の流体、特に唾液中に完全に溶解すると、圧縮コアは膨潤できるようになり、またはその完全な崩壊まで舌の下に維持でき、生成した懸濁物は活性物質の吸着の後でのみ形成されて嚥下される。
【0037】
更に、スプレー処理によるコーティングの適用が、圧縮コアの周りの均一な分配の利点を有し、かくして同じバッチの錠剤中の含量の不均一の危険を制限し、製薬学的な活性物質が希釈されたパウダーの混合物の調製に関連する考え得る脱混合を避けるため、本発明の組成物は、特に低投与量錠剤の調製に適している。
【0038】
本発明はまた、投与量範囲が最低単位投与量と最高単位投与量の間の考え得る因子によって亘る場合、錠剤のサイズの問題を解決する。
【0039】
実際に、錠剤のサイズは、錠剤中の製薬学的な活性物質の投与量にもはや依存しないが、製薬学的な活性物質を含むコーティングを形成する層がスプレーされる圧縮コアのサイズを選択することによって独立に選択できる。
【0040】
本発明によって、同じ製薬学的な活性物質についての全投与量範囲のための単一のサイズの圧縮コアを調製することが可能である。
【0041】
次いで、錠剤の最終投与量を調節するものは、活性物質を含むコーティングの厚みである。
【0042】
この特徴点は、製薬学的な活性物質の投与量が何であれ、口腔に容易に配置されるように錠剤のサイズを調節するための口内または舌下投与の場合に特に有利である。
【0043】
この形態はまた、特に製薬学的な活性物質を含むコーティング中に、錠剤の最終投与量に従って異なる色素を導入することによって、投与量を崩壊する単純な手段を有することを可能にする。例えばコーティングが透明である場合に、圧縮コアを着色することが考慮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
製薬学的な活性物質を欠く圧縮コアは、少なくとも一つの希釈剤を含む。
【0045】
圧縮コアは、希釈剤に加えて、バインダー、膨潤剤、崩壊剤、潤滑剤、帯電防止剤、及びアジュバント、またはそれらの混合物から選択される一つ以上の賦形剤を特に含むことができる。
【0046】
希釈剤は、特にセルロース誘導体、好ましくはマイクロクリスタリンセルロース、ポリオール、デンプン単独、及び糖誘導体を含む群から選択される。
【0047】
希釈剤は有利には、スクロース、ラクトース、フルクトース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、またはマイクロクリスタリンセルロースから、単独または混合物として選択できる。
【0048】
好ましく使用される希釈剤は、100μmより大きい粒径を有する直接的に圧縮可能な形態中に存在するものである。
【0049】
第一の実施態様では、圧縮コアは、マンニトールとマイクロクリスタリンセルロースとから形成される希釈剤の混合物を含む。
【0050】
本発明の特定の実施態様では、希釈剤は、「中性微顆粒」、「中性物質」、または「糖スフェア」とも称される不活性支持体からなることができ、その形状は実質的に球状であり、レーザー回折のような既知の方法によって測定すると、その粒径分布は単一態様のプロフィールを示し、Pharmacopoeiae、例えばAmerican Pharmacopoeia (USP XVII, 1990)に示された範囲に対する偏差は低く、中性微顆粒の直径は実質的に均一である。
【0051】
これらの形状及びサイズの特徴は、中性微顆粒に錠剤のプレスのフィードホッパーにおける優れた流動特性と兆候な圧縮能を与え、そのことは潤滑剤を除く他の賦形剤の添加なしで、迅速な速度でこれらの中性微顆粒の直接的圧縮による圧縮コアの調製を可能にする。
【0052】
かくしてこれらの特徴は、最低量の時間で大きな体積を生じ、これらの圧縮コアの調製方法を特に単純で経済的なものとすることが可能である。
【0053】
不活性支持体は、例えばNP Pharm社によりSuglets(登録商標)またはNPTAB(登録商標)の名称で市販されているもののような、糖シロップ中のデンプンの懸濁物での結晶スクロースのコーティングによって通常調製される。
【0054】
これらの市販品の不活性支持体は、通常180から1400μmの間の直径を有し、サイズ選択物の形態で市販されているという利点を有する。
【0055】
本発明の文脈で好ましい不活性支持体は、180μmから500μmの間、好ましくは180から250μmの間の直径を有する。
【0056】
希釈剤は圧縮コアの重量の100%まで、好ましくは賦形剤コアの重量に対して50から95重量%の間の範囲であることができる割合で存在する。
【0057】
バインダーは乾燥形態で使用され、デンプン、糖、ポリビニルピロリドン、またはカルボキシメチルセルロースの単独または混合物であることができる。
【0058】
バインダーは、圧縮コアの重量に対して計算して、15重量%まで、好ましくは10重量%未満の範囲であることができる割合で使用される。
【0059】
膨潤剤は、マイクロクリスタリンセルロース、デンプン、変性デンプン、例えばカルボキシメチルデンプンまたはナトリウムデンプングリコレート、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、並びにこれらの混合物を含む群から選択される。
【0060】
膨潤剤は、圧縮コアの重量に対して計算して、20重量%まで、好ましくは1から15重量%の間で範囲であることができる割合で使用される。
【0061】
崩壊剤は、用語「クロスカルメロース」とも称される架橋化ナトリウムカルボキシメチルセルロール、用語「クロスポビドン」とも称される架橋化ポリビニルピロリドン、及びこれらの混合物を特に含む群から選択できる。
【0062】
崩壊剤は、圧縮コアの重量に対して計算して、20重量%まで、好ましくは1から20重量%の間、より好ましくは5から15重量%の間の範囲であることができる割合で使用される。
【0063】
潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、ポリオキシエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、製薬学的に許容可能なオイル、好ましくはジメチコーンまたは流動パラフィン、あるいはこれらの混合物を含む群から選択される。
【0064】
潤滑剤は、圧縮コアの重量に対して計算して、2重量%まで、好ましくは0.02から2重量%の間、より好ましくは0.5から1重量%の間の範囲であることができる割合で使用される。
【0065】
帯電防止剤は、微粉化または非微粉化タルク、コロイド状シリカ(Aerosil(登録商標)200)、処理化シリカ(Aerosil(登録商標)R972)、または沈降シリカ(Syloid(登録商標)FP244)、及びこれらの混合物を含む群から選択できる。
【0066】
帯電防止剤は、圧縮コアの重量に対して計算して、5重量%までの範囲であることができる割合で使用される。
【0067】
アジュバント、例えば着色料、甘味料、及び/または香味料も、圧縮することが企図される混合物に添加できる。
【0068】
これらのアジュバントは、本発明に係る錠剤のコーティングに関して以下に記載されるものと同一である。
【0069】
コーティングは、少なくとも一つの活性物質と、任意に一つ以上の賦形剤とを含む。
【0070】
活性物質は、例えば胃腸鎮静剤、制酸剤、オピオイドまたは非オピオイド鎮痛剤、抗炎症剤、心臓血管拡張剤、抹消及び中枢血管拡張剤、抗感染剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗がん剤、不安解消剤、抗精神病剤、中枢神経系刺激剤、抗欝剤、抗ヒスタミン剤、抗下痢剤、緩下剤、栄養性サプリメント、免疫抑制剤、血中コレステロール低減剤、ホルモン、酵素、抗痙攣剤、抗アンギナ剤、心拍に効果を有する医薬品、高血圧の治療で使用される医薬品、抗偏頭痛剤、制吐剤、血液凝固能に効果を有する医薬品、抗癲癇剤、筋弛緩剤、糖尿病の治療で使用される医薬品、甲状腺機能不全の治療で使用される医薬品、利尿剤、食欲不振誘発剤、抗喘息剤、排痰剤、鎮咳剤、粘液調節剤、充血除去剤、催眠剤、抗吐剤、造血剤、尿酸排泄剤、植物抽出物、造影剤といったいずれかのファミリーの化合物、またはいずれかの他のファミリーの化合物から選択でき、錠剤に組み合わされる活性物質は、同じファミリーまたは異なるファミリーから選択することが可能である。
【0071】
それらは、製薬学的に許容可能な塩の形態、いずれかの多型形態、ラセミ体、または光学異性体であることができる。
【0072】
用語「製薬学的に許容可能な塩」は、製薬学的な活性ベース化合物が塩基または酸でその塩に変換された上述の化合物の誘導体、例えば特に塩基性残基、例えばアミンの有機酸塩および無機酸塩、または酸性残基、例えばカルボン酸のアルカリ金属誘導体または有機塩等を含む製薬学的に活性な塩の誘導体を意味するように企図される。
【0073】
本願で特に好ましい活性物質は、特に活性物質が口腔で幅広い吸収を有する場合、または従来の経口投与に対して別の投与経路を必要とする肝臓での第一次通過のかなりの効果を有する場合、または別法として、狭心症、不安強襲、急性痛覚、アレルギー強襲、喘息強襲、または例えばオピエート若しくはアルコール禁断によって引き起こされる禁断強襲のような強襲の効果を打ち勝つために、非常に迅速な全身性の効果を得ることが求められる場合、その薬物動態学的特徴のため口内または舌下投与に適している活性物質である。
【0074】
そのような物質の例は、文献"Oral Mucosal Drug Delivery", Hao Zhang等, Clin. Pharmacokinet. 2002, 41, (9) 661-680に提供されている。
【0075】
舌下投与に適した活性物質の例は、オピオイド鎮痛剤、例えばブプレノルフィン、ノルブプレノルフィン、フェンタニル、メタドン、レボルファノール、モルフィン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、及びそれらの製薬学的に許容可能な塩を含む。
【0076】
本発明では、活性物質としての「フェンタニル」は、フェンタニル及びその誘導体、その製薬学的に許容可能な塩の形態、いずれかの多型形態、ラセミ体、または立体異性体を意味するように企図される。
【0077】
フェンタニルの誘導体は、アルフェンタニル、スフェンタニル、及びレミフェンタニルを含む。
【0078】
舌下投与に適した活性物質の更なる例は、ドロペリドール、アポモルフィン、スマトリプタン、ジアゼパン、オキサゼパン、ロラゼパン、ニトラゼパン、トリニトリン及び他の窒素性誘導体、ニトログリセリン、ニコチン、ジヒドロエルゴトキシン、シプロヘプタジン、ミソプロストール、チモロール、シルデナフィン、ミフェプリストーン、カプトプリル、プロパフェノン、アセタゾルアミド、セレギリン、エピネフリン、アルプラゾラム、ミダゾラム、トリアゾラム、ロイプロリド、エルゴタミン、ヒオスシアミン、テストステロン、メチルテストステロン、エストラジオール、17-ベータ-エストラジオール、エチニルエストラジオール、プロゲステロン、アンドロステンジオール、ジヒドロエルゴタミン、エトミデート、ピロキシカム、スコプラミン、プロクロルペラジン、ベンゾカイン、デスモプレッシン、アレルギー性鼻炎用の免疫治療薬、クロミプラミン、イブチリド、プラゾシン、及びそれらの製薬学的に許容可能な塩を含む。
【0079】
好ましい活性物質は、フェンタニルベース、クエン酸フェンタニル、アルフェンタニル、塩酸アルフェンタニル、スフェンタニル、クエン酸スフェンタニル、レミフェンタニル、塩酸レミフェンタニルである。
【0080】
活性物質は、いずれかの多型形態、ラセミ体、または立体異性体で使用されても良い。
【0081】
活性物質は、パウダーまたは微結晶の形態であることができる。
【0082】
活性物質としてオピオイド鎮痛剤を含む本発明に係る舌下用被覆錠剤は、オピオイド治療に寛容である患者における舌下投与により、急激な痛覚、特に急激なガンの痛覚の管理において有用である。「急激な痛覚」は、さもなければ制御された痛覚の背景で生じる穏やかからひどい強度の痛みの一過性の発症を意味する。オピオイド寛容と考慮される患者は、少なくとも60mgのモルフィン/日、少なくとも25μgの経皮的フェンタニル/時、少なくとも30mgのオキシコドンを毎日、少なくとも8mgの経口ヒドロモルフォンを毎日、または等鎮痛投与量の別のオピオイドを一週間以上摂取している者である。
【0083】
活性物質がスプレー溶液中で完全にまたは部分的に懸濁物を形成しているであれば、パウダーまたは微結晶は、0.5μmから10μmの間、好ましくは4μmから6μmの間のサイズを有する。
【0084】
活性物質が濫用の主題であることができる際、圧縮コアはそのような濫用を制限または防止するための手段を任意に含むことができる。
【0085】
そのような活性剤の例は、オピエート物質、例えばモルフィン若しくはその誘導体、または別法として部分的なオピエートアゴニスト、例えばオピエート依存症の治療で指摘されるブプレノルフィンであり、その錠剤は、静脈内または鼻腔投与の目的のため薬剤中毒者によって不適切に使用できる。
【0086】
この特定の場合では、圧縮コアは、舌下では吸収されず、経口投与の後迅速に不活性化されるモルフィンレセプターアンタゴニスト、例えば塩酸塩の形態のナロクソン、または調製方法によって経口的に吸収不可能とされたモルフィンレセプターアンタゴニストを含むことができる。
【0087】
この態様では、本発明の被覆錠剤が舌下に直接的に投与される場合、活性物質のみが一般的な循環に通過してその作用を発揮し、アンタゴニストはその一部について吸収されない。
【0088】
他方で、錠剤が静脈内または鼻腔投与の目的のため可溶化または粉砕される場合、アンタゴニストはモルフィンレセプターに結合し、かくして活性物質の作用を妨げる。
【0089】
本発明の目的のために、本発明の被覆錠剤が舌下または経口で直接的に投与されない場合にのみ効果を発揮する限り、そのようなアンタゴニストは製薬学的な活性物質であるとは考慮されない。
【0090】
任意に存在する製薬学的に許容可能な賦形剤は、バインダー、可溶性試薬、界面活性剤、吸収促進剤、生体接着剤、帯電防止剤、pH調節剤、発泡を生ずる酸/塩基ペア、甘味料、香味料、着色剤、及びそれらの混合物から選択される。
【0091】
コーティングに任意に存在するバインダーは、コーティングの乾燥重量に対して95重量%まで、好ましくは活性層の乾燥重量に対して30重量%までの範囲であることができる割合で使用される。
【0092】
その役割は、活性物質を材料の損失なく圧縮コアに結合すること、または活性物質のパウダーまたは微結晶と他の賦形剤を「接着」することであり、圧縮コアの回りに均一に分配された活性物質の均一な層を与えることである。
【0093】
バインダーは、セルロースベースのポリマー、アクリルポリマー、ポリビニルピロリドン、例えばポビドン及びコポビドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デンプン、予備糊化デンプン、スクロース及びその誘導体、グアゴム、及びポリエチレングリコール、並びにそれらの混合物から選択できる。
【0094】
バインダーは好ましくは、活性物質のより迅速な放出を可能にするように、親水性及び/または唾液のpHで可溶性であるポリマー、例えばポリビニルピロリドン、及びセルロースベースのポリマー、アクリルポリマー、及びポリエチレングリコールから選択される。
【0095】
ポリビニルピロリドンは、10000から50000の間の分子量を有するポリマーから選択できる。
【0096】
セルロースベースのポリマーは、ヒドロキシル化誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセトスクシネートから選択される。
【0097】
好ましいヒドロキシプロピルメチルセルロースは、見かけの粘度(2%m/mでの水溶液、20℃、USP法)が2.4から18cPの間、好ましくは2.4から5cPの間であるものから選択される。
【0098】
好ましいポリエチレングリコールは、名目上の分子量が4000から6000g/molであるものから選択される。
【0099】
コーティングに任意に存在して良い可溶性試薬は、圧縮コアの回りに適用されるコーティングの乾燥重量に対して計算して、90重量%まで、好ましくは1から60重量%、より好ましくは30から60重量%までの範囲である割合で使用される。
【0100】
可溶性試薬は、活性物質を含むコーティングの可溶化を加速することによって、活性物質の可溶化を改善するために特に使用される。
【0101】
可溶性試薬は、糖、例えばスクロース、ラクトース、若しくはデキストロース、またはポリオール、例えばマンニトール、ソルビトール、若しくはラクチトール、または無機塩、例えば塩化ナトリウムの群から選択できる。
【0102】
コーティングに任意に存在する界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、非イオン性、または両性試薬から単独または混合物として選択できる。
【0103】
界面活性剤は、例えばラウリル硫酸ナトリウム、モノオレエート、モノラウレート、モノパルミテート、モノステアレート、トリオレエート、トリステアレート、またはポリオキシエチレン化ソルビタンのいずれかの他のエステル、好ましくはTween(登録商標)20、40、60、または80、ポリオキシエチレン化脂肪酸のグリセリド(これらの脂肪酸は飽和または不飽和であり、少なくとも8の炭素原子からなる)、ポリキサマー、例えばポロキサマー188、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、例えばPluronic(登録商標)F68またはF87、レシチン、ステアリルアルコール、セテアリールアルコール、コレステロール、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、脂肪アルコールポリオキシエチレン化エーテル、例えばBrij(登録商標)製品、及びポリオキシエチレン化ステアレートといった化合物から選択できる。
【0104】
界面活性剤は有利には、コーティングの全乾燥重量に対して20重量%まで、好ましくは0.1から20重量%の間の範囲であることができる割合で存在する。
【0105】
コーティングに任意に存在する吸収促進剤は、口腔の壁から血流への活性物質の吸収を改善することができる化合物である。
【0106】
これらの化合物は、例えばラウリル硫酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、またはキトサン、及びP-グリコプロテイン(P-gp)インヒビター、例えばポリソルベート80、Cremophor(登録商標)EL(水素化ヒマシ油)、またはSolutol(登録商標)HS-15(PEG-HSまたはポリエチレングリコール-600 12-ヒドロキシステアレート)を含む群から選択できる。
【0107】
生体接着剤は、例えばカーボマー、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、グアゴム、ポリ(エチレンオキシド)(商標名Polyox(登録商標))、及びデキストランを含む群から選択できる。
【0108】
コーティングに任意に存在する帯電防止剤は、圧縮コアの帯電防止剤と同じ群の化合物から選択できる。それは後者と同一でも異なっても良い。
【0109】
帯電防止剤は、圧縮コアの回りに適用されるコーティングの乾燥重量に対して計算して、60重量%までの範囲であることができる割合で使用される。
【0110】
pH調節剤は、クエン酸及びクエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、時エタノールアミン、二炭酸ナトリウムまたは二炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、酒石酸、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸、及びグルタミン酸一ナトリウムを含む群から選択される。
【0111】
発泡を生ずる酸/塩基ペアは、水の存在下でガスを放出可能であるような製薬学的に許容可能であるものから選択されるアルカリ試薬と酸性試薬とから形成される。
【0112】
圧縮コアの回りに形成される活性層に発泡混合物を使用する利点は、唾液と接触した際に圧縮コアの回りに形成される活性相の迅速な分解を容易にし、かくして製薬学的に許容可能なガスの放出と口内ミクロpHの誘導を通じて、口内または舌下粘膜での活性物質の迅速な可溶化と、改良された全身性の通過を得ると同時に、感覚器官の特性を改善し、口腔における活性物質の感触を減少し、または好ましいわずかな酸味の味覚を誘導することである。
【0113】
酸性試薬は、ガスを放出する液体の発泡を生ずるガスを形成するように、アルカリ試薬と反応できるプロトンドナー化合物である。
【0114】
酸性試薬は、遊離酸、酸無水物、または酸塩の形態のいずれかの無機酸または有機酸からなることができる。
【0115】
この酸は、特に酒石酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、α-ヒドロキシ酸、アスコルビン酸、及びアミノ酸、並びにこれらの酸の塩及び誘導体を含む群から選択される。
【0116】
アルカリ試薬は、プロトンドナー化合物との反応によってガスを生成することが可能な化合物からなる。形成されたガスは、二酸化炭素、酸素、またはいずれかのタイプの生体適合ガスである。
【0117】
アルカリ試薬は、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、炭酸L-リシン、炭酸アルギニン、炭酸グリシンナトリウム、アミノ酸の炭酸ナトリウム、無水過ホウ酸ナトリウム、発泡過ホウ酸塩、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過炭酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、塩酸ナトリウム、塩酸カルシウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0118】
本発明の文脈では、用語「炭酸塩」は、区別することなく炭酸塩、セスキ炭酸塩、及び炭酸水素を区別することなく意味することを企図する。
【0119】
酸性試薬とアルカリ試薬のそれぞれの量は、アルカリ試薬と酸によって放出されるプロトンとの間の反応が、満足な発泡を得るために十分量のガスを生成することが可能であるように調節される。
【0120】
例えばより高投与量の活性物質の吸収を可能にするために、pHを調節することや、より長い期間発泡を生産することが必要である場合、pH調節剤または発泡ペアの分画を、圧縮コア自体に含ませることができる。
【0121】
適切な甘味料は、特にアスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン酸ナトリウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、スクラロース、グリシルリチン酸一アンモニウム、及びそれらの混合物から選択して良い。
【0122】
適切な香味料及び着色料は、錠剤の調製のために薬局で通常使用されるものである。
【0123】
コーティングの甘味料及び香味料は、圧縮コアで使用されるものと同じ群から選択されて良いが、それらは同じ化合物ではないことが可能である。
【0124】
本発明に係る舌下用錠剤のコーティングにおける甘味料及び/または香味料の取り込みは、フェンタニルような特定の活性物質の苦味をマスクするために特に有利である。
【0125】
着色料は、薬局で通常使用されているものである。
【0126】
着色料は、圧縮コアの回りに適用される層の乾燥重量に対して計算して、1重量%までの範囲であることができる割合で使用される。
【0127】
特定の実施態様によれば、本発明に係る舌下用被覆錠剤は、pH調節層と称されるpH調節化合物を含む別のコーティング層を含む。
【0128】
pH調節層は、錠剤が口腔に配置された際に、粘膜による活性物質の吸収を促進する局所的なアルカリ性または酸性pHの規定を可能にする。
【0129】
pH調節化合物の選択は、使用される活性物質の性質に依存する。口内粘膜による活性物質の吸収がアルカリ条件下で促進される場合、アルカリ性化合物がpH調節化合物として使用されるであろう。口内粘膜による活性物質の吸収が酸性条件下で促進される場合、酸性化合物がpH調節化合物として使用されるであろう。
【0130】
pH調節層における使用のためのアルカリ性化合物は、トリス、酒石酸塩、酢酸塩、リン酸塩、好ましくは無水リン酸二ナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択されて良い。
【0131】
pH調節層は、活性物質層に存在するものと同一の賦形剤を任意に含んで良い。
【0132】
前記層は、活性物質層の上部または下部に存在することができる。
【0133】
別の実施態様によれば、pH調節化合物は、活性物質含有層内に存在することができる。
【0134】
本発明の一つの実施態様によれば、コーティング及び/または任意のpH調節層の着色を、活性物質のタイプ及び投与量を示すようにコードとして使用することが可能である。実際に、投与量が何であれ、錠剤のサイズは同じであることができる。各種の投与量の間の差異を作るために、特定の色を特定の投与量に関連させることができる。
【0135】
本発明に係る錠剤の利点は、コーティングの迅速な分解、かくしてコアの崩壊の前の活性物質の迅速な放出である。
【0136】
有利には、上述の迅速な分解に加えて、本発明の被覆錠剤は、15分未満、好ましくは5から15分の崩壊時間を有する。
【0137】
崩壊時間は、舌下空洞に被覆錠剤を配置し、ストップウォッチを使用して、測定の開始と、唾液の作用下でかむことなく被覆錠剤が完全に崩壊し、粘性のパルプのみを形成する瞬間との間にかかる時間を測定することによってin vivoで測定され、患者は全ての時間の間でいずれの顎の作用をも使用してはならない。
【0138】
本発明に係る舌下用錠剤の特に有利な実施態様では、錠剤は、製薬学的な活性物質を欠き、一つ以上の希釈剤を含む圧縮コアと、活性物質として少なくともフェンタニルを含むコーティングとからなる。
【0139】
本発明では、活性物質としての「フェンタニル」は、塩基形態、並びに製薬学的に許容可能な塩の形態、いずれかの多型形態、ラセミ体、または立体異性体であるフェンタニル及びその誘導体を意味するように企図される。
【0140】
フェンタニルの誘導体は、アルフェンタニル、スフェンタニル、及びレミフェンタニルを含む。
【0141】
用語「製薬学的に許容可能な塩」は、製薬学的に活性なベース化合物が酸または塩基でその塩に変換されている、上述の化合物の誘導体を意味するように企図され、製薬学的に活性な塩の例は、特に塩基性残基、例えばアミンの有機酸塩及び無機酸塩、酸性残基、例えばカルボン酸のアルカリ金属誘導体または有機塩等を含む。
【0142】
フェンタニルの製薬学的に許容可能な塩の例は、クエン酸フェンタニル、及び塩酸フェンタニルを含む。フェンタニルの誘導体及びその製薬学的に許容可能な塩の例は、アルフェンタニル、塩酸アルフェンタニル、スフェンタニル、クエン酸スフェンタニル、レミフェンタニル、塩酸レニフェンタニルを含む。
【0143】
フェンタニルベースまたは製薬学的に許容可能な塩を含む本発明に係る錠剤は、通常0.2から1.6mgのフェンタニル、例えば0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、または1.6mgのフェンタニルを含む。好ましい実施態様では、錠剤は0.4mgのフェンタニルベースを含む。
【0144】
活性物質としてのフェンタニルの場合、任意のpH調節コーティング層は、アルカリ性化合物を含むアルカリ性コーティング層である。
【0145】
前記アルカリ性層は、粘膜によるフェンタニルの吸収を促進する口腔に錠剤が配置された場合、局所的アルカリ性pHの提供を可能にする。
【0146】
アルカリ性コーティング層は、フェンタニル層に存在するものと同一の賦形剤を更に含んでも良い。
【0147】
アルカリ性コーティング層は、フェンタニル層の上部または下部に存在しても良い。
【0148】
別の実施態様によれば、アルカリ性化合物は、フェンタニル層の内部に存在できる。
【0149】
アルカリ性化合物は、トリス、酒石酸塩、酢酸塩、リン酸塩、好ましくは無水リン酸二ナトリウム、及びそれらの混合物を含む群から有利には選択される。
【0150】
有利には、本発明に係るフェンタニル錠剤は、フェンタニルの苦味をマスクするために甘味料及び/または香味料を含む。
【0151】
適切な甘味料は、特にアスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン酸ナトリウム、二塩酸ネオヘスペリジン、スクラロース、グリシルリチン酸一アンモニウム、及びそれらの混合物を含む群から選択されて良い。
【0152】
適切な香味料及び着色料は、錠剤の調製のために薬局で通常使用されているものである。
【0153】
コーティングの甘味料及び香味料は、圧縮コアで使用されるものと同じ群から選択されて良いが、それらは同じ化合物でないこともできる。
【0154】
本発明の一つの実施態様によれば、フェンタニルの投与量を示すためのコードとして、コーティング及び/または任意のアルカリ性層の着色化を使用することが可能である。実際、投与量が何であれ、錠剤のサイズは同じであることができる。異なる投与量の間の差異を示すために、特定の着色を特定の投与量と関連付けることができる。
【0155】
本発明の係るフェンタニル錠剤の利点は、コーティングの迅速な分解、かくしてコアの崩壊の前のフェンタニルの迅速な放出である。
【0156】
有利には、上述の迅速な分解に加えて、本発明の被覆錠剤は、15分未満、好ましくは5から15分の崩壊時間を有する。
【0157】
崩壊時間は、舌下空洞に被覆錠剤を配置し、ストップウォッチを使用して、測定の開始と、唾液の作用下でかむことなく被覆錠剤が完全に崩壊し、粘性のパルプのみを形成する瞬間との間にかかる時間を測定することによってin vivoで測定され、患者は全ての時間の間でいずれの顎の作用をも使用してはならない。
【0158】
本発明に係るフェンタニル錠剤は、オピオイド治療に寛容である患者における舌下投与により、急激な痛覚、特に急激なガンの痛覚の管理において有用である。「急激な痛覚」は、さもなければ制御された痛覚の背景で生じる穏やかからひどい強度の痛みの一過性の発症を意味する。オピオイド寛容と考慮される患者は、少なくとも60mgのモルフィン/日、少なくとも25μgの経皮的フェンタニル/時、少なくとも30mgのオキシコドンを毎日、少なくとも8mgの経口ヒドロモルフォンを毎日、または等鎮痛投与量の別のオピオイドを一週間以上摂取している者である。
【0159】
本発明の固体製薬組成物は、少なくとも以下の工程を含む方法によって調製できる:
1.希釈剤、または少なくとも一つの希釈剤を含む賦形剤の混合物を圧縮する工程;
2.活性物質と、任意に少なくとも一つの製薬学的に許容可能な賦形剤とを含む溶液または懸濁物を、前記工程で形成された圧縮コアにスプレーする工程;並びに
3.pH調節剤と、任意に少なくとも一つの製薬学的に許容可能な賦形剤とを含む溶液または懸濁物を、任意にスプレーする工程であって、工程2の前、後、または同時に実施される工程。
【0160】
圧縮コアを得るための賦形剤または賦形剤の混合物の圧縮は、交互式またはロータリー式錠剤プレスで実施できる。
【0161】
圧縮工程に先行して、特に潤滑剤の添加を可能とするために、圧縮されることが企図される賦形剤を混合することからなる工程が任意に存在することができる。
【0162】
圧縮コアが球状中性微粒子から排他的に形成される場合、潤滑剤の添加以外のいずれかの事前の混合工程なしで、圧縮が直接的に実施される。
【0163】
必要であれば、形成される錠剤の噴出を容易にするために、錠剤プレスのダイス及びパンチの壁の外部相に潤滑剤をスプレーすることができる。
【0164】
圧縮工程の間で発揮されるストレスは5kNから50kNの範囲であることができ、European Pharmacopoieia(2.9.8)の方法に従って測定して、好ましくは10から180Nの間、より好ましくは15から100Nの間である硬度を有する錠剤を得るように調節される。
【0165】
好ましくは錠剤の硬度は、European Pharmacopoieiaの方法に従って測定して、1%未満の粉体化能を得るように調節される。
【0166】
被覆錠剤は2から14mmの間の直径の丸形、楕円形、長円形、またはいずれかの他の形状を有することができ、平坦、凸型、または他の表面を有することができ、任意に彫刻を有することができる。
【0167】
好ましくは被覆錠剤は、丸形の両面凸型の形状を有し、それはコーティング工程にも、錠剤が口腔に配置された際に被覆錠剤と唾液の接触にも有利な形状である。
【0168】
上記説明のように、圧縮コアのサイズは、各種の基準、特に活性物質の単位投与量、活性物質の可溶性、最低投与量と最高投与量の比率、錠剤の最終サイズに従って、最適な妥協点を得るように容易に調製できる。
【0169】
かくして、各種の単位投与量の間で迅速で均一であり、錠剤自体の崩壊速度によって影響されない全身性の通過が可能なように、コーティング層についてはできるだけ迅速に可溶化するような厚みを調節することができる。
【0170】
しかしながら、錠剤の崩壊時間は活性物質の放出速度に影響されないので、患者の快適性を考慮して、崩壊時間が15分未満、好ましくは10分未満、より好ましくは5分未満であることが好ましい。
【0171】
しかしながら、コーティング層と同時に錠剤が崩壊することを防止するために、崩壊時間が1分より長い、好ましくは2分より長いことが好ましい。
【0172】
崩壊時間は、舌下空洞に被覆錠剤を配置し、ストップウォッチを使用して、測定の開始と、唾液の作用下でかむことなく被覆錠剤が完全に崩壊し、粘性のパルプのみを形成する瞬間との間にかかる時間を測定することによってin vivoで測定され、患者は全ての時間の間でいずれの顎の作用をも使用してはならない。
【0173】
コーティングを形成する層のスプレー処理は、糖被覆天秤、穴の開いたドラム、または流動床において実施される。
【0174】
装置の選択は、圧縮コアのコーティングの適用を制御することが可能であり、活性物質の性質、及びコーティング組成物の賦形剤の性質に関連し、方法の各種のパラメーター(温度、気圧、例えば溶液流速)に関連するいずれかのべとつき現象を防止することが可能である。
【0175】
コーティングを形成する活性物質を含む層は、圧縮コアの表面に均一に分配される。
【0176】
コーティング層の組成は、錠剤が崩壊する際に完全に溶解するように調節される。
【0177】
特に水不溶性物質については、親水性ポリマーでの活性物質の共沈降によって得られる固体分散物の形態で活性物質が存在しているコーティング層を形成することが可能である。
【0178】
好ましい実施態様では、圧縮コアへのコーティングのスプレー処理は、穴の開いたドラム、特に特許出願EP 1044064に記載されたもののような、互いに平行な三角形の断面を有する部分を有し、それらの間で開口部を規定している穴の開いたドラムで実施される。
【0179】
糖被覆天秤または穴の開いたドラムは、流動空気床と比較して、圧縮コアの間の衝撃を減少することにより、スプレー処理の間で圧縮コアの完全性を維持することが可能である。
【0180】
コーティング組成物は、有機溶媒または水性溶媒中の溶液、懸濁物、またはコロイド状分散物、あるいはそれらの混合物の形態でスプレーされ、次いで乾燥される。
【0181】
有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチレンクロリド、またはこれらの溶媒の混合物から選択できる。
【0182】
コーティングが発泡剤を欠くのであれば、精製水は好ましく使用される溶媒である;他方で、スプレーされる組成物が発泡性酸/塩基ペアを含む場合、有機溶媒が使用されなければならない。
【0183】
pH調節化合物を含む任意の層のスプレー処理は、糖被覆天秤、穴の開いたドラム、または流動床で通常実施される。
【0184】
前記工程は、圧縮コアに直接実施でき、または活性物質を含むコーティングのスプレー処理工程と同時に実施でき、または活性物質を含むコーティング層に直接実施できる。
【0185】
オーバーコーティングとして、即ち活性物質を含むコーティング層に、前記工程を実施することが好ましい。
【0186】
装置の選択は、圧縮コアのpH調節コーティングの適用を制御することが可能であり、活性物質の性質、及びpH調節コーティング組成物の賦形剤の性質に関連し、方法の各種のパラメーター(温度、気圧、例えば溶液流速)に関連するいずれかのべとつき現象を防止することが可能である。
【0187】
pH調節化合物は、圧縮コアの表面に、または活性物質を含むコーティング層に均一に分配される。
【0188】
pH調節化合物のアルカリ性または酸性の特徴は、例えばEuropean Pharmacopeia 5.0,2.2.3に記載された、通常の電位差測定に従って得られるpH値によって決定される。
この態様では、pH測定はpH調節化合物の水溶液に対して実施され、溶液の体積は口腔中の唾液の体積(〜5ml)に実質的に等しいように選択される。
【0189】
層中に一定量のpH調節剤を含むpH調節コーティング層の組成は、錠剤が配置される口内領域の周りの局所的アルカリ性pH(pH≧7)または酸性pH(pH<7)を提供するために、錠剤が唾液と接触した場合に完全に溶解するように調節される。
【0190】
活性物質含有コーティングを適用するために使用されるものと同じ装置が、pH調節コーティングを適用するために使用できる。
【0191】
pH調節コーティング組成物は、pH調節化合物を含む有機溶媒または水性溶媒中の溶液、懸濁物、またはコロイド状分散物、あるいはそれらの混合物をスプレーすることによって適用され、次いで乾燥される。
【0192】
有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチレンクロリド、またはこれらの溶媒の混合物から選択できる。
【0193】
コーティングが発泡剤を欠くのであれば、精製水は好ましく使用される溶媒である;他方で、スプレーされる組成物が発泡性酸/塩基ペアを含む場合、有機溶媒が使用されなければならない。
【0194】
本発明の方法は、顆粒化及び/または圧縮工程の場合のような、粉体混合物の形態の活性物質の扱いを避け、スプレーされる溶液または懸濁物の形態の活性物質を使用することによって製品を含有させるため、安全性の観点からも有利である。
【0195】
特に非常に毒性の活性物質の場合、本発明の方法は、従来の顆粒化及び/または圧縮工程の場合のような、粉体混合物の形態の活性物質の扱いを避け、スプレーされる溶液または懸濁物の形態の活性物質を使用することによって非常に毒性の活性物質を含有させることが予測されるであろう。
【0196】
特に有利な実施態様では、本発明に係る被覆舌下用錠剤の調製方法は、少なくとも以下の工程を含む:
1.希釈剤、または少なくとも一つの希釈剤を含む賦形剤の混合物を圧縮する工程;
2.活性物質としてのフェンタニルと、任意に少なくとも一つの製薬学的に許容可能な賦形剤とを含む溶液または懸濁物を、前記工程で形成された圧縮コアにスプレーする工程;並びに
3.pH調節剤としてのアルカリ性化合物と、任意に少なくとも一つの製薬学的に許容可能な賦形剤とを含む溶液または懸濁物を、任意にスプレーする工程であって、工程2の前、後、または同時に実施される工程
(ここで用語「フェンタニル」は、上述のように解される)。
【0197】
この実施態様の工程1及び2の条件及び詳細は、本発明に係る舌下用被覆錠剤を調製するための一般的方法に関して上記されたものである。
【0198】
アルカリ性物質を含む層のスプレー処理は、糖被覆天秤、穴の開いたドラム、または流動床で通常実施される。
【0199】
前記工程は、圧縮コアに直接実施でき、またはフェンタニルを含むコーティングのスプレー処理工程と同時に実施でき、またはフェンタニルを含むコーティング層に直接実施できる。
【0200】
前記工程をオーバーコーティングとして、即ちフェンタニルを含むコーティング層に実施することが好ましい。
【0201】
装置の選択は、圧縮コアのアルカリ性コーティングの適用を制御することが可能であり、活性物質の性質、及びアルカリ性コーティング組成物の賦形剤の性質に関連し、方法の各種のパラメーター(温度、気圧、例えば溶液流速)に関連するいずれかのべとつき現象を防止することが可能である。
【0202】
アルカリ剤は、圧縮コアの表面に、またはフェンタニルを含むコーティング層に均一に分配される。
【0203】
アルカリ性コーティング層の組成は、錠剤が配置される口内領域の周りの局所的アルカリ性pHを提供するために、錠剤が唾液と接触する際に完全に溶解するように調節される。
【0204】
フェンタニルのコーティングを実施するために使用されるものと同じ装置が、アルカリ性コーティングを実施するために使用できる。
【0205】
アルカリ性コーティング組成物は、有機溶媒または水性溶媒中の溶液、懸濁物、またはコロイド状分散物、あるいはそれらの混合物の形態でスプレーされ、次いで乾燥される。
【0206】
有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチレンクロリド、またはこれらの溶媒混合物から選択できる。
【0207】
コーティングが発泡剤を欠くのであれば、精製水は好ましく使用される溶媒である;他方で、スプレーされる組成物が発泡性酸/塩基ペアを含む場合、有機溶媒が使用されなければならない。
【0208】
本発明の方法の上記特に有利な実施態様の重要な利点は、顆粒化及び/または圧縮工程の場合のような、粉体混合物の形態のフェンタニルの扱いを避け、スプレーされる溶液または懸濁物の形態の活性物質を使用することによってフェンタニルを含有させるため、非常に安全であるという点である。
【0209】
本発明はまた、本発明の舌下用被覆錠剤の治療上の有効量を患者の口腔に導入することを含む、痛覚の治療方法に関し、活性物質は、舌下投与に適したオピオイド鎮痛剤、例えばブプレノルフィン、ノルブプレノルフィン、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、メタドン、レボルファノール、モルフィン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、及びそれらの製薬学的に許容可能な塩を含む群から選択される。
【0210】
いずれかの多型形態、ラセミ体、または立体異性体、ベース形態または製薬学的に許容可能な塩の形態のフェンタニル及びその誘導体は、本発明に係る痛覚の治療方法における使用のための好ましい活性物質である。特に好ましい活性物質は、フェンタニル、クエン酸フェンタニル、アルフェンタニル、塩酸アルフェンタニル、スフェンタニル、クエン酸スフェンタニル、レミフェンタニル、塩酸レミフェンタニルである。
【0211】
活性物質は、いずれかの多型形態、ラセミ体、または立体異性体の形態で使用されて良い。
【0212】
本発明に係る痛覚の治療方法は、急激な痛覚、特に急激なガンの痛覚の治療に特に有用である。それは、存在している持続的な痛覚に対してオピオイド治療をすでに受けており、その治療に寛容である患者の治療に特に適している。
【0213】
オピオイド寛容と考慮される患者は、少なくとも60mgのモルフィン/日、少なくとも25μgの経皮的フェンタニル/時、少なくとも30mgのオキシコドンを毎日、少なくとも8mgの経口ヒドロモルフォンを毎日、または等鎮痛投与量の別のオピオイドを一週間以上摂取している者である。
【0214】
特に有利な実施態様では、本発明に係る痛覚の治療方法は、製薬学的な活性物質を欠き、一つ以上の希釈剤を含む圧縮コアと、活性物質として少なくともフェンタニルを含むコーティングとからなる舌下用被覆錠剤の治療上の有効量を、患者の口腔に導入することを含み、ここで用語「フェンタニル」は、上述のように解される。
【0215】
この実施態様は、とりわけ存在している持続的なガンの痛覚に対してオピオイド治療をすでに受けており、その治療に寛容である悪性腫瘍を有する患者に対して、急激なガンの痛覚の管理において特に有用である。
【0216】
本発明はまた、本発明に係る舌下用被覆錠剤製造のための、舌下投与に適したオピオイド鎮痛剤、例えばブプレノルフィン、ノルブプレノルフィン、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、メタドン、レボルファノール、モルフィン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、及びそれらの製薬学的に許容可能な塩の使用に関する。
【0217】
いずれかの多型形態、ラセミ体、または立体異性体、ベース形態または製薬学的に許容可能な塩の形態のフェンタニル及びその誘導体は、好ましい活性物質である。特に好ましい活性物質は、フェンタニル、クエン酸フェンタニル、アルフェンタニル、塩酸アルフェンタニル、スフェンタニル、クエン酸スフェンタニル、レミフェンタニル、塩酸レミフェンタニルである。
【0218】
かくして得られた舌下用被覆錠剤は、急激な痛覚、特に急激なガンの痛覚の治療に特に有用である。それは、存在している持続的な痛覚に対してオピオイド治療をすでに受けており、その治療に寛容である患者の治療に特に適している。
【0219】
本発明は以下の実施例からより明白に理解されるが、実施例は本発明の範囲をいずれの態様でも制限するものではない。
【実施例】
【0220】
以下の実施例では、下記の製品を使用する:
Parteck M300の商標名で入手可能な顆粒化マンニトール
Avicel(登録商標)PH200の商標名で入手可能なマイクロクリスタリンセルロース
Emcompressの名称で入手可能な二水和二塩基性リン酸カルシウム。
【0221】
記載のパーセンテージは重量単位として表される。
【0222】
実施例1
1−圧縮コアの調製
賦形剤の混合物の処方
−Parteck M300(顆粒化マンニトール):49.75%
−Avicel(登録商標)PH200(マイクロクリスタリンセルロース):49.75%
−ステアリン酸マグネシウム:0.50%
賦形剤を混合し、ロータリー式錠剤プレスで圧縮する。
圧縮コアは以下の特徴を有する:
−形状及びサイズ:平坦な斜面を有する錠剤、直径6mm
−重量70mg
−硬度:European Pharmacopeia第5版(2.9.8)の方法によって測定して150N
2−圧縮コアのコーティング
コーティング溶液の処方
−クエン酸フェンタニル:6.3g
−Opadry white 85F28751(乾燥重量に対して計算して約60%のHPMC含有):10.6g
−水:300g
700g(この重量は約10000個の錠剤に対応)の圧縮コアに穴の開いたドラム中でコーティング溶液をスプレー処理する。
得られた被覆錠剤は、0.63mgのクエン酸フェンタニル、即ち0.4mgのフェンタニルベースの単位投与量を有する。
【0223】
実施例2
1−圧縮コアの調製
表1に示された量の賦形剤を、圧縮コアの調製のために使用する。
【表1】

EmcompressとAvicelのプレミックスを、40rpmで10分間キューブミキサーで混合することによって調製した。40rpmで1分間キューブミキサーでステアリン酸マグネシウムと混合することにより、前記プレミックスに注油した。
直径5.5mmのパンチを備えた錠剤形成マシーンPR12を使用して、圧縮を実施する。
圧縮コアは丸形の両凸面形状を有する。
圧縮コアの特徴は、表2に示されている。
【表2】

【0224】
1.1.圧縮コア得のフェンタニル、次いでアルカリ性試薬のスプレー処理
コーティング錠剤の処方は表3に示されている。
クエン酸フェンタニルとOpadry II yellowの水中懸濁物を、ドリル天秤Trislotで上記工程で得られた圧縮コアにスプレー処理する。第二の好適では、リン酸二ナトリウムをPEG6000と共に、上記工程でクエン酸フェンタニルとOpadryの適用のための装置と同じ装置を使用して、得られたばかりの被覆フェンタニル錠剤にスプレー処理する。
【表3】

表4及び表5に示す特徴を提供する錠剤が得られた。
【表4】

【表5】

【0225】
実施例3
実施例2で調製された錠剤とActiq(登録商標)0.4mgとのCrossover Single-Dose Comparative Bioavailability Studyを、Fasting Conditions下でHealthy Male Volunteersに実施した。
このパイロット実験の目的は、急速条件下で健康な男性のボランティアにおける両製剤の単一投与量相対的な生体利用性を評価することであった。
実施例2によって調製された錠剤と参考製品を10人の被験者にそれぞれ投与し、Cmax、Tmax、及びAUCを測定した。
参考製品は、経皮的吸収を用意にするようにデザインされたクエン酸フェンタニル製剤(扱うときは固体の薬剤マトリックス)であり、Actiq(登録商標)の名称で世界中で市販されている。
本発明の製品と参考製品の両者は、等量の0.4mgのフェンタニルベースのクエン酸フェンタニルを含む。
血液サンプリング時点:投与前、及び投与後5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、90分、2、3、4、6、8、12、及び24時間
AUC 0−t、AUC、Cmax、tmaxの薬物動態学的パラメーターを、血漿中のフェンタニルについて計算した。
幾何学的平均値が表6に示されている:
【表6】

本発明品とActiq(登録商標)の平均比が以下の表7に計算される:
【表7】

その結果は更に図1に提供される。
本発明に係るフェンタニル製剤は、早期のtmaxを有する改良された薬物動態プロフィールを示し、参考製品(Actiq(登録商標))と比較して高度に生体利用性が増大している。
【図面の簡単な説明】
【0226】
【図1】図1は、本発明品とActiq(登録商標)の平均プロフィールの結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−製薬学的な活性物質を欠き、一つ以上の希釈剤を含む圧縮コア;及び
−少なくとも一つの活性物質を含むコーティング
からなる舌下用被覆錠剤。
【請求項2】
前記活性物質が舌下投与に適したオピオイド鎮痛剤である、請求項1に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項3】
前記活性物質がブプレノルフィン、ノルブプレノルフィン、フェンタニル、メタドン、レボルファノール、モルフィン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、及びそれらの製薬学的に許容可能な塩のいずれかの多型形態、ラセミ体、または立体異性体から選択される、請求項2に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項4】
前記活性物質がフェンタニルベース、クエン酸フェンタニル、アルフェンタニル、塩酸アルフェンタニル、スフェンタニル、クエン酸スフェンタニル、レミフェンタニル、塩酸レミフェンタニルから選択される、請求項3に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項5】
前記圧縮コアがバインダー、膨潤剤、崩壊剤、潤滑剤、帯電防止剤、及びアジュバント、及びそれらの混合物から選択される一つ以上の賦形剤を更に含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項6】
前記希釈剤が中性微顆粒からなることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項7】
前記圧縮コアが中性微顆粒と潤滑剤とからなることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項8】
前記圧縮コアがマンニトールとマイクロクリスタリンセルロースと潤滑剤とからなることを特徴とする、請求項5に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項9】
前記コーティングが一つ以上の賦形剤を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項10】
賦形剤がバインダー、可溶性試薬、界面活性剤、吸収促進剤、帯電防止剤、pH調節剤、発泡を生ずる酸/塩基ペア、甘味料、香味料、着色剤、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項11】
前記圧縮コアが、舌下では吸収されず、経口投与の後迅速に不活性化される、または調製方法によって経口的に吸収不可能とされたモルフィンレセプターアンタゴニストを含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項12】
更にpH調節化合物を含むコーティングを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項13】
前記活性物質がフェンタニルであり、前記pH調節剤がトリス、酒石酸塩、酢酸塩、リン酸塩、好ましくは無水リン酸二ナトリウム、及びこれらの混合物といったアルカリ性化合物である、請求項12に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項14】
前記コーティングがコアの崩壊の前に溶解される、請求項1から13のいずれか一項に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項15】
15分未満、好ましくは5から15分の崩壊時間を有する、請求項14に記載の舌下用被覆錠剤。
【請求項16】
1.希釈剤、または少なくとも一つの希釈剤を含む賦形剤の混合物を圧縮する工程;
2.前記工程で形成された圧縮コアに、活性物質を含む溶液または懸濁物をスプレー処理する工程
を含む、請求項1から15に記載の舌下用被覆錠剤の製造方法。
【請求項17】
工程2の溶液または懸濁物が活性物質としてフェンタニルを含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
pH調節化合物と、任意に少なくとも一つの製薬学的に許容可能な賦形剤とを含む溶液または懸濁物のスプレー処理を、工程2の前、後、または同時に実施する工程(但し活性物質がフェンタニルである場合、pH調節化合物はアルカリ性化合物である)を含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
工程2の溶液または懸濁物が少なくとも一つの賦形剤を含むことを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
工程3の溶液または懸濁物が少なくとも一つの賦形剤を含むことを特徴とする、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
工程2の溶液または懸濁物が水溶液または水性懸濁物であることを特徴とする、請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項2または3に記載の舌下用被覆錠剤の治療上の有効量を、患者の口腔に導入することを含む、痛覚の治療方法。
【請求項23】
請求項4に記載の舌下用被覆錠剤の治療上の有効量を、患者の口腔に導入することを含む、痛覚の治療方法。
【請求項24】
前記痛覚が急激な痛覚である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記急激な痛覚が急激なガンの痛覚である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記患者がオピオイド治療をすでに受けている、請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−533084(P2008−533084A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501248(P2008−501248)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003304
【国際公開番号】WO2006/097361
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(501435026)
【Fターム(参考)】