説明

舗装面用表示体形成型、舗装面に対する表示体形成方法

【課題】自由な文字や図柄等の表示体を低コストで且つ容易に形成することができ、更に、舗装面に対しバリのないきれいな表示体を形成することができる舗装面用表示体形成型、当該舗装面用表示体形成型を用いた舗装面に対する表示体形成方法を提供する。
【解決手段】容易に切断可能で且つ柔軟性の有る、紙及び/またはプラスチックにより構成され本体部3と、本体部3に形成され、表示体を形成するための貫通穴パターン4とから成る舗装面用表示体形成型。貫通穴パターン4を構成する貫通穴5はカッターナイフ等で本体部3の一部が厚み方向に切り抜かれて形成される。本体部3を舗装面G上に設置して、塗料27を貫通穴5と舗装面Gによって形成された凹部25に流し込み、塗料27が半凝固した後、本体部3を撤去する。このとき、凹部25に流れ込んだ塗料27が舗装面に固着して、表示体29が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は舗装面用表示体形成型および舗装面に対する表示体形成方法に係り、特にコンクリート、アスファルト等の舗装面に文字や図柄等の表示体を形成するための舗装面用表示体形成型と、当該舗装面用表示体形成型を用いた舗装面に対する表示体形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートやアスファルト等の舗装面に対し、表示を簡単に施すものとして、塗料を舗装面に塗布して白線を形成する方法が行われている。
しかし、この方法は白線を形成するだけに止まり、文字や図柄等の表示体を形成することを想定するものではない。
コンクリートやアスファルト等の舗装面に対し、文字や図柄等の表示体を形成することを想定するものとして、特許文献1に記載されているように、ゴムチップを敷き詰め、加熱押圧することで絵や図形等を形成する舗装面装飾工法がある。
その他、鉄製の本体部を有する表示体形成型を用いる舗装面に対する表示体形成方法がある。この表示体形成方法では、鉄製の本体部に文字や図柄等の表示体を形成するための貫通穴パターンを形成した表示体形成型を舗装面に設置して、前記表示体形成型の貫通穴パターンの内周面と舗装面とによって構成される凹部に塗料を流し込み、前記塗料が凝固した後に前記表示体形成型を撤去することで、舗装面に表示体を形成する。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1に記載された舗装面装飾工法では、舗装面にゴムチップを敷き詰める必要がある。そのため、作業に手間がかかり、コストが高くなってしまうという問題がある。
また、鉄製の本体部を有する表示体形成型を用いる舗装面装飾工法では、材料費が嵩むだけでなく、本体部に対し切断等の加工を容易に行うことができない。従って、決められた文字や図柄等の貫通穴パターンが形成された数種類の表示体形成型を準備しておき、これを繰り返し使用せざるを得ないものとなる。このため自由に文字や図柄等を表現することはできず、舗装面に対し個性的な表示体を形成して店の広告等を行うことはできないという問題がある。
また、舗装面は排水等のため多少の勾配があったり、凹凸があったりして平坦ではなく、更に砂利等が落ちているのが通常である。従って、柔軟性のない鉄製の表示体形成型を用いると、本体部の下面と舗装面の間に隙間が生じることになる。このような隙間があると塗料が隙間に入り込んでしまい形成した表示体にバリができてしまうことになり、きれいな表示体を形成することは困難である。
【0004】
【特許文献1】特開平9−95915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に着目して為されたものであり、自由な文字や図柄等の表示体を低コストで且つ容易に形成することができ、更に、舗装面に対しバリのないきれいな表示体を形成することができる舗装面用表示体形成型、および当該舗装面用表示体形成型を用いて、手間をかけずに舗装面に表示体を形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、コンクリート、アスファルト等の舗装面に文字、図柄等の表示体を塗料によって形成するのに用いる舗装面用表示体形成型であって、容易に切断可能で且つ柔軟性の有る本体部と、前記本体部に形成され、表示体を形成するための貫通穴パターンとから成ることを特徴とする舗装面用表示体形成型である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した舗装面用表示体形成型において、本体部は紙及び/またはプラスチックにより構成されていることを特徴とする舗装面用表示体形成型である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した舗装面用表示体形成型において、本体部は積層されたシート状部材によって構成され、シート状部材の積層枚数を変えることによって厚さ寸法を調節できるものであることを特徴とする舗装面用表示体形成型である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した舗装面用表示体形成型において、本体部を舗装面に固定する固定手段を備えたことを特徴とする舗装面用表示体形成型である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載した舗装面用表示体形成型を用いた舗装面に対する表示体形成方法において、舗装面に舗装面用表示体形成型を設置し、貫通穴パターンの内周面と舗装面とによって構成される凹部に塗料を流し込み、前記塗料が凝固した後に舗装面用表示体形成型を撤去して舗装面に表示体を形成することを特徴とする舗装面に対する表示体形成方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の舗装面用表示体形成型、舗装面に対する表示体形成方法によれば、自由な文字や図柄等の表示体を低コストで且つ容易に形成することができ、更に、舗装面に対しバリのないきれいな表示体を形成することができるようになる。加えて、手間をかけずに表示体の形成作業を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係る舗装面用表示体形成型1について、図面にしたがって説明する。
図2に示すように、舗装面用表示体形成型1は、市販の紙工用のカッターナイフで容易に切断可能で且つ柔軟性の有る本体部3と、本体部3に形成され、後述する表示体29を形成するための貫通穴パターン4、ベース板19とから成る。本体部3はシート状部材としての四角形の紙製の粘着シート7が積層され構成されている。貫通穴パターン4は本体部3の一部を厚み方向に切り抜いて形成され、本体部3を貫通する貫通穴5、5、‥‥によって構成されている。最下層の粘着シート7の裏面は固定手段としての粘着面17となっている。ベース板19は四角形の板から成り、平面寸法は本体部3の平面寸法と略一致している。ベース板19の上面には図示しない剥離剤が塗布されている。
【0013】
次に舗装面用表示体形成型1の製作方法について説明する。
符号11は粘着シート原反を示し、この粘着シート原反11は本体部3の紙製の粘着シート7を構成する材料となる。粘着シート原反11は、長尺状になっており、円筒状の芯部13の外側にロール状に巻かれている。芯部13の中心孔には支持棒15が挿入されており、その両端部は芯部13から突出している。
この粘着シート原反11の裏面は上記したように粘着面17となっている。粘着シート原反11の表面は粘着面が貼付可能なものとなっている。
【0014】
まず、図1に示すように芯部13から突出した支持棒15の両端部を持って、ベース板19の上面の一端部に粘着シート原反11の端部を揃えて張り合わせる。そして、粘着シート原反11を回転させながらシート状に引き出して、ベース板19の上面に張り合わせていく。そして、粘着シート原反11をベース板19の他端部まで張り合わせた後、ベース板19の縁に合わせて切断して、最下層の粘着シート7とする。更に、芯部13から突出した支持棒15の両端部を持って、ベース板19に張り合わされた粘着シート7の上面の一端部に粘着シート原反11の端部を揃えて張り合わせる。そして、粘着シート原反11を回転させながらシート状に引き出して、粘着シート7の上面に張り合わせていく。そして、粘着シート原反11を粘着シート7の他端部まで張り合わせた後、粘着シート7の縁に合わせて切断して、下から二層目の粘着シート7とする。三層目以降の粘着シート7も同様にして積層させる。
このようにしてベース板19に粘着シート7を所定枚数積層することで本体部3を構成する。そして、粘着シート7の積層枚数を変えることで本体部3の厚さ寸法を調節する。この本体部3の厚さ寸法で貫通穴パターン4の深さが決まり、後述する表示体29の厚さ寸法が決まることになる。
なお、粘着シート7を積層する際に、ベース板19と粘着シート7あるいは粘着シート7と粘着シート7の間に空気が入らないように注意して貼り合わせる。
【0015】
次に、本体部3の上面に、文字や図柄等の下書き、本実施の形態の場合には花びらの図案を下書きする。そして、図2に示すように、この下書きに沿ってカッターナイフ等で本体部3の一部を厚み方向に切り抜き、図案に対応した貫通穴パターン4を形成する。従って、貫通穴パターン4を構成する貫通穴5の内周面6は本体部3の厚み方向の全長に及んでいる。
以上のようにして、舗装面用表示体形成型1が完成する。
【0016】
次に、舗装面用表示体形成型1を用いて舗装面に対し、表示体29を形成する方法について説明する。
まず、ベース板19から本体部3を剥がし、本体部3の裏側粘着面17を露出させる。
それから、図3に示すように舗装面Gに舗装面用表示体形成型1を設置する。これにより貫通穴パターン4の夫々の貫通穴5の内周面6と舗装面Gとによって凹部25が形成される。本体部3は柔軟性を有しているので、設置した舗装面Gが平坦ではなく、更に砂利等が落ちていても、その舗装面Gに追従して変形し密着する。しかも、本体部3の下面は粘着面17となっているので、粘着面17が舗装面Gに貼り付いて固定される。従って、本体部3と舗装面Gとの間に隙間がなく固定された状態となる。
【0017】
次に、図4に示すように塗料27を凹部25に流し込み、さらに若干オーバーフローさせる。上述のように本体部3と舗装面Gが密着し隙間がないため、塗料27が凹部25から本体部3と舗装面Gとの間に漏れることがない。
この塗料27は舗装面に白線等を形成するのに用いるもので、180℃〜200℃に加熱し溶融させて使用するものであり、所定温度以下になると凝固する。
そして、所定時間放置し塗料27が、半凝固した後、図5に示すように、舗装面Gから本体部3を撤去する。半凝固した状態で本体部3を撤去するのは、塗料27が完全に凝固してしまうと本体部3が塗料に貼り付いてしまって、撤去し難い状態となるからであり、また塗料27が殆ど凝固しない状態で本体部3を撤去すると塗料27が広がる方向へ流れて、表示体29の形が崩れてしまうからである。塗料27を凹部25へ流し込んでから半凝固の状態になるまでの時間は舗装面の状態(平坦か否か等)や気温等によって異なるので、15秒から1分30秒であるが1分程度が目安となる。
凹部25に流れ込んだ塗料27が舗装面Gに固着して、図6に示すように固着した塗料27で構成された表示体29が形成される。
上記したように塗料27が凹部25から漏れることがないので、表示体29はバリのないきれいなものになる。
【0018】
上記した表示体形成方法により、種々の文字や図柄等から成る表示体29を形成した状態を図7に示す。
このように、駐車場等の舗装面G上に、領域を示す表示体30を形成し、さらにその上に上記した表示体29や文字から成る表示体31や図柄から成る表示体32を重ねて形成することで、面白みのある複雑な表示をすることができ、自由な文字や図柄等の表示体によって視覚的効果の高い広告等を行うことが可能となる。
【0019】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、本発明の具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
上記実施の形態は、シート状部材として紙製の粘着シートで本体部を構成したが、本体部は容易に切断可能で且つ柔軟性が有ればよく、紙以外でも、プラスチックや紙とプラスチックとを複合したシート状部材で構成することも可能である。
上記実施の形態は、粘着シートを積層することで本体部を構成し、本体部の厚さ寸法を調節することとしたが、本体部の厚さ寸法を調節できない一枚もので構成してもよい。
【0020】
上記実施の形態は、固定手段として本体部の下面として粘着面を用いたが、固定手段は本体部を舗装面に固定することができるものであれば、いかなるものでもよい。例えば本体部の縁部にウエイトを設置して、舗装面用表示体形成型が動かないように固定してもよい。また、舗装面用表示体形成型をある程度重量のあるものにして、舗装面用表示体形成型の自重で舗装面に対し不用意に動かない構成にすることも可能である。
上記実施の形態では、加熱溶融するタイプの塗料を使用したが、本発明はこれに限定されず常温で使用するタイプの塗料を用いてもよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の舗装面用表示体形成型、表示体形成方法は、道路、駐車場、コンクリートブロック等に広告やマーク等を表示するのに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る舗装面用表示体形成型の製造工程を説明する図である。
【図2】図1に続く舗装面用表示体形成型の製造工程を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る舗装面用表示体形成型を用いて表示体を形成する手順を説明する図である。
【図4】図3に続く手順を説明する図である。
【図5】図4に続く手順を説明する図である。
【図6】図5に続く手順を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る舗装面用表示形成型を用いて駐車場に表示体を形成した図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ・・・ 舗装面用表示体形成型
3 ・・・ 本体部
4 ・・・ 貫通穴パターン
5 ・・・ 貫通穴
6 ・・・ 内周面
7 ・・・ 粘着シート
17 ・・・ 粘着面
25 ・・・ 凹部
27 ・・・ 塗料
29 ・・・ 表示体
G ・・・ 舗装面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート、アスファルト等の舗装面に文字、図柄等の表示体を塗料によって形成するのに用いる舗装面用表示体形成型であって、容易に切断可能で且つ柔軟性の有る本体部と、前記本体部に形成され、表示体を形成するための貫通穴パターンとから成ることを特徴とする舗装面用表示体形成型。
【請求項2】
請求項1に記載した舗装面用表示体形成型において、本体部は紙及び/またはプラスチックにより構成されていることを特徴とする舗装面用表示体形成型。
【請求項3】
請求項1または2に記載した舗装面用表示体形成型において、本体部は積層されたシート状部材によって構成され、シート状部材の積層枚数を変えることによって厚さ寸法を調節できるものであることを特徴とする舗装面用表示体形成型。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した舗装面用表示体形成型において、本体部を舗装面に固定する固定手段を備えたことを特徴とする舗装面用表示体形成型。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載した舗装面用表示体形成型を用いた舗装面に対する表示体形成方法において、舗装面に舗装面用表示体形成型を設置し、貫通穴パターンの内周面と舗装面とによって構成される凹部に塗料を流し込み、前記塗料が凝固した後に舗装面用表示体形成型を撤去して舗装面に表示体を形成することを特徴とする舗装面に対する表示体形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−54639(P2010−54639A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217513(P2008−217513)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(308021844)株式会社佐藤興商 (1)
【Fターム(参考)】