説明

航空機情報検知システム

【課題】視界悪化時や電波状態が悪い場合であっても、飛行場内を走行する航空機または車両の位置等を検知することを可能とする。
【解決手段】通信器21は、航空機(走行体)1を識別する便情報(走行体識別情報)を航空機1から受信する。通信器識別情報格納部22は、通信器21を識別する通信器識別情報(通信器ID)を予め格納する。情報収集部31は、便情報と共に通信器IDを収集する。灯器座標情報格納部33は、通信器IDに対応付けて当該通信器IDによって示される通信器が設けられている位置を示す座標情報を予め格納する。座標判定部35は、情報収集部31によって収集された通信器IDに対応付けて灯器座標情報格納部33に格納されている座標情報を便情報によって示される航空機1の位置を示す位置情報として取得する。位置情報表示部39は、座標判定部35によって取得された位置情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行場内での航空機の位置を検知する航空機情報検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の飛行場(空港)において、飛行場内を走行する航空機または車両の位置検知は、管制官の目視によるほかは、例えば空港面探知装置(ASDE:Airport Surface Detection Equipment)のようなレーダーを用いて行われている。このASDEは、電波を発射するアンテナを約1秒周期で回転させ、航空機または車両で反射した電波を受信することによって、航空機または車両を認識する装置である。
【0003】
一方、ASDEとは別の航空機検知システムとして、マイクロ波遮断型センサを有するシステムがある。マイクロ波遮断型センサは、対向する送受信機間のマイクロ波が物体によって遮断されたことを認識する。このシステムでは、マイクロ波遮断型センサの位置を認識し、当該マイクロ波遮断型センサからの遮断情報とマイクロ波遮断型センサの設置位置を示す情報から遮断した対象の位置を認識できる。
【0004】
また、飛行場における地上走行航空機に対する走行ルート指示は、例えば誘道路脇に設置される案内灯の表示に加え、管制官がパイロットに対して無線を介した音声で指示する。これにより、航空機を操縦するパイロットは、管制官による音声指示及び案内灯に表示される誘導路名称を確認しながら、航空機を操縦して地上走行を行っている。
【0005】
さらに、飛行場における航空機のメンテナンスは、例えば航空機が駐機場に到着あるいは格納庫等に収納された後に実施される。この航空機のメンテナンスには、例えば機体のメンテナンスまたは燃料補給等がある。航空機のメンテナンスは、航空機が到着あるいは格納され、係員によって当該メンテナンスに必要な情報、例えば燃料の残量等が集められた後、実施される。
【0006】
ところで、近年、周囲の電波環境に影響されない通信手段として可視光通信を利用した技術が開発されている。この可視光通信を利用した技術として、表示用に使用されているLED(light emitting device)発行手段を用いて補助の関連情報を提供する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
また、電力線信号伝送とLEDを用いた証明光信号伝送によって、多数の情報を配信する技術が開示されている(たとえば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2002−202741号公報
【特許文献2】特開2004−147063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した例えばASDEのようなレーダーでは、当該レーダーから発射される電波を遮るような例えば建築物や障害物の後ろに航空機または車両が存在する場合、例えば天候が悪く電波の透過特性が減衰する場合、または例えば建築物等による反射波が強い区域に航空機または車両が存在する場合などでは、航空機または車両が正しく検出されない場合がある。
【0009】
また、上記したようなマイクロ波遮断型センサは、マイクロ波の遮断の有無のみを検出するため、航空機と車両を識別することができない。
【0010】
これらによって、管制官は、結果的に判断を誤る可能性がある。よって、管制官は、上記したようなレーダーまたはマイクロ波遮断型センサを用いた場合であっても、更に確認する必要がある。
【0011】
また、管制官の音声指示とパイロットの目視に頼る走行では、視界が悪化して案内灯が見にくい場合、パイロットは走行するルートを認識しにくくなる。また、例えば視界が悪いなど天候の状況によって管制官が指示したルートを誤る可能性がある。
【0012】
また、近年では、例えばGPS(global positioning system)の普及により航空机上で時期の位置を把握することが可能になりつつあるが、この場合であっても誤差があることや誘導路の拡張等、飛行場内の地図情報との整合、さらには毎度異なる走行経路指示と照合することは困難である。
【0013】
本発明の目的は、例えば視界悪化時や電波状態が悪い地域であっても、飛行場内を走行する航空機または車両の位置等を検知することを可能とする航空機情報検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの態様によれば、飛行場内を走行する走行体の位置を検知する航空機情報検知システムが提供される。この航空機情報検知システムは、前記走行体を識別する走行体識別情報を含む情報を当該走行体から受信する前記飛行場内に設けられた通信手段と、前記通信手段を識別する通信手段識別情報を予め格納する通信手段識別情報格納手段と、前記通信手段によって受信された走行体識別情報を含む情報と共に、前記通信手段識別情報格納手段に格納されている通信手段識別情報を収集する情報収集手段と、前記通信手段識別情報に対応付けて、前記通信手段識別情報によって示される通信手段が設けられている位置を示す座標情報を予め格納する座標情報格納手段と、前記情報収集手段によって収集された通信器識別情報に対応付けて、前記座標情報格納手段に格納されている座標情報を、前記収集手段によって収集された情報に含まれる走行体識別情報によって示される走行体の位置を示す位置情報として取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報を表示する表示手段とを具備する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば視界悪化時や電波状態が悪い場合であっても、飛行場内を走行する航空機または車両の位置等を検知することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る航空機情報検知システムの概略を示す図である。例えば航空機または車両のような走行体1(以下、単に航空機1と表記する)が走行する飛行場(空港)内には、例えば航空機1の走行を誘導するための飛行場灯器2(以下、単に灯器2と表記する)が複数設置されている。この灯器2は、飛行場内の例えば航空機1が走行する誘導路脇に設置されている。また、灯器2は、例えばLED(light emitting device)のような発光体を有する。このLEDが光表示することにより、例えば航空機1が走行すべきルートを誘導する。
【0018】
また、灯器2は、通信器21を備える。灯器2は、この通信器21により、例えば航空機1と各種データの送受信を実行する。
【0019】
灯器2は、例えば有線で航空機情報検知装置3と接続されている。この航空機情報検知装置3は、灯器2に備えられた通信器21を介して、航空機1から送信された情報を入力し、当該航空機1の位置を検知する処理を実行する。
【0020】
なお、灯器2と航空機情報検知装置3との間で、例えば無線通信を可能とする構成であっても構わない。
【0021】
図2は、本実施形態に係る航空機情報検知システムの構成を示すブロック図である。この航空機情報検知システムは、航空機1、灯器2及び航空機情報検知装置3を含む。
【0022】
航空機1は、機上処理装置11及び可視光通信送受信器12を備える。機上処理装置11は、例えば航空機1の各情報を管理するシステム、例えばフライトマネジメントシステムである。ここで、航空機1の各情報は、例えば航空機1を識別するための便情報(航空機識別情報)または航空機1を保守(メンテナンス)するために必要なメンテナンス情報等を含む。メンテナンス情報は、例えば航空機1の機種を示す機種情報、主要構成機器の稼動情報または燃料の残量を示す燃料情報を含む。また、機上処理装置11には、各種情報を表示する表示装置が設けられている。
【0023】
可視光通信送受信器12は、例えば航空機1に設けられているライト、例えばLEDが発光する際に、可視光通信により上記した航空機1の各情報を送信する。また、可視光通信送受信器12は、灯器2から可視光通信により送信される各種情報を受信する。
【0024】
なお、飛行場を走行する走行体1が例えば車両である場合には、当該車両を識別する車両識別情報が可視光通信送受信器12によって送信される。以下、便宜的に飛行場を走行する走行体1が、例えば車両である場合についての説明は省略する。
【0025】
灯器2は、通信器21及び通信器識別情報格納部22を備える。通信器21は、可視光通信送受信器211及び有線通信送受信器212を含む。可視光通信送受信器211は、航空機1の可視光通信送受信器12から、可視光通信により送信された航空機1の各情報を受信する。また、可視光通信送受信器211は、航空機情報検知装置3から送信される各種情報を可視光通信により、航空機1の可視光通信送受信器12に送信する。
【0026】
有線通信送受信器212は、可視光通信送受信器211によって受信された航空機1の各情報を、例えば有線通信により航空機情報検知装置3に送信する。このとき、有線通信送受信器212は、通信器識別情報格納部22に予め格納されている通信器識別情報(以下、通信器IDと表記する)を、航空機1の各情報と共に航空機情報検知装置3に送信する。また、有線通信送受信器212は、航空機情報検知装置3から送信される情報を、例えば航空機1に送信するために可視光通信送受信器211に送信する。
【0027】
航空機情報検知装置3は、情報収集部31、情報解析部32、灯器座標情報格納部33、地図情報格納部34、座標判定部35、便情報認識部36、メンテナンス情報解析部37、完成情報処理部38、位置情報表示部39、保守情報処理部40、メンテナンスデータベース(DB)41、指示経路入力部42及び走行ルート情報作成部43を含む。
【0028】
情報収集部31は、灯器2の有線通信送受信器212によって送信された航空機1の各情報及び通信器IDを収集する。
【0029】
情報解析部32は、情報収集部31によって収集された通信器IDから灯器2に備えられる通信器21を識別する。情報解析部32は、通信器IDを座標判定部35に出力する。
【0030】
情報解析部32は、情報収集部31によって収集された航空機1の各情報の内容を解析する。情報解析部32は、解析された結果により、航空機1の各情報に含まれる便情報を便情報認識部36に出力する。また、情報解析部32は、解析された結果により、航空機1の各情報に含まれる例えば機種情報、稼動情報または燃料情報等のメンテナンス情報をメンテナンス情報解析部37に出力する。
【0031】
灯器座標情報格納部33には、飛行場内に設けられる複数の灯器2の各々に備えられる通信器21を示す通信器識別IDに対応付けて、当該通信器識別IDによって示される通信器21(灯器2)が設けられている位置を示す座標情報が格納されている。
【0032】
地図情報格納部34には、航空機1が走行する飛行場面の地図を示す地図情報が格納されている。
【0033】
座標判定部35は、情報解析部32によって出力された通信器ID及び灯器座標情報格納部33に格納されている座標情報から、航空機1の位置を判定する。座標判定部35は、判定された位置示す位置情報を取得する。
【0034】
便情報認識部36は、情報解析部32によって出力された便情報によって示される航空機1が、例えば飛行場内を走行することが予め登録されている航空機であるかを確認する。例えば飛行場に到着後または飛行場の出発前の航空機においては、例えば時間帯毎に予め走行することが登録されている。便情報認識部36は、例えば時間帯毎に登録されている航空機を示す確認情報に基づいて、確認処理を行う。なお、この確認情報は、例えば航空機1を含む複数の航空機の飛行状況の管理をする飛行計画情報システムまたは飛行場(空港)内の車両を管理する空港車両管理システムのような、航空機情報検知システム以外の他の管理システムから得る。便情報認識部36は、例えば航空機1が予め登録された航空機であると確認されると、便情報を管制情報処理部38または保守情報処理部40に出力する。
【0035】
メンテナンス情報解析部37は、情報解析部32によって出力されたメンテナンス情報を解析する。
【0036】
管制情報処理部38は、座標判定部35によって取得された航空機1の位置を示す位置情報、地図情報格納部34に格納されている地図情報及び便情報認識部36によって出力された便情報に基づいて、表示地図情報を作成する。表示地図情報は、例えば飛行上の地図上での航空機1の位置を示す情報である。
【0037】
位置情報表示部39は、例えば管制官が航空機に対して指示等を行う管制塔内に設けられる。位置情報表示部39は、管制情報処理部38によって作成された表示地図情報を表示する。これにより、位置情報表示部39は、例えば管制官に対して、航空機1の位置を通知する。
【0038】
保守(メンテナンス)情報処理部40は、便情報認識部36によって出力された便情報及びメンテナンス情報解析部37によって解析されたメンテナンス情報を、メンテナンスデータベース41に格納する。ここで、メンテナンスデータベース41は、例えば航空機1を含む複数の航空機のメンテナンスについて管理する保守計画作成システムのような他のシステムからもアクセス可能である。
【0039】
なお、上記した保守情報処理部40及びメンテナンスデータベース41は、機体メンテナンスサブシステムを構成する。
【0040】
指示経路入力部42は、上記した位置情報表示部39と同様に、例えば管制塔内に設けられる。指示経路入力部42は、例えば位置情報表示部39によって表示された表示地図情報によって示される航空機1の位置に応じて、例えば管制官によって指示される航空機1が走行する経路を示す指示経路情報を入力する。指示経路情報は、例えば予め定められた走行ルート番号や通過する区間番号等を示す。なお、この指示経路情報の入力は、例えば管制官によって入力されるだけでなく、航空機1が走行する経路を自動的に割り当てる他のシステム、例えば航空機1が走行する経路に存在する灯器2を点灯させる空港灯火制御システムによる経路を指示経路として入力する構成であっても良い。
【0041】
走行ルート情報作成部43は、指示経路入力部42によって入力された指示経路情報に基づいて、航空機1が走行すべきルートを表示するための走行ルート情報を作成する。このとき、走行ルート情報作成部43は、地図情報格納部34を参照して走行ルート情報を作成する。
【0042】
次に、図3のフローチャートを参照して、航空機1の位置を例えば管制官に通知する処理手順について説明する。
【0043】
まず、航空機1に備えられる可視光通信送受信器12は、航空機1の各情報、例えば便情報またはメンテナンス情報を可視光通信により灯器2に送信する(ステップS1)。
【0044】
灯器2に備えられる通信器21の可視光通信送受信器211は、可視光通信送受信器12によって送信された航空機1の各情報を受信する。通信器21の有線通信送受信器212は、可視光通信送受信器211によって受信された航空機1の各情報を例えば有線通信により航空機情報検知装置3に送信する。このとき、有線通信送受信器212は、通信識別情報格納部22に格納されている通信器IDを航空機1の各情報と共に航空機情報検知装置3に送信する(ステップS2)。
【0045】
航空機情報検知装置3の情報収集部31は、有線通信送受信器212によって送信された航空機1の各情報及び通信器IDを収集する(ステップS3)。
【0046】
情報解析部32は、情報収集部31によって収集された航空機1の各情報を解析する(ステップS4)。この処理により、情報解析部32は、例えば便情報またはメンテナンス情報を取得する。また、情報解析部32は、通信器IDを座標判定部35に出力する。
【0047】
次に、座標判定部35は、情報解析部32によって出力された通信器ID及び灯器座標情報格納部33に格納されている座標情報に基づいて、航空機1の位置を示す位置情報を取得する(ステップS5)。
【0048】
便情報認識部36は、情報解析部32によって解析された結果により、航空機1を示す便情報を取得する。便情報認識部36は、取得された便情報に基づいて、航空機1が予め登録されている航空機であるか否かの確認処理を行う(ステップS6)。便情報認識部36は、例えば航空機1が予め登録されていることを確認すると、便情報を管制情報処理部38に出力する。
【0049】
管制情報処理部38は、取得された便情報、座標判定部35によって取得された位置情報及び地図情報格納部34に格納されている地図情報に基づいて、例えば管制官に表示するための表示地図情報を作成する(ステップS7)。
【0050】
位置情報表示部39は、管制情報処理部38によって作成された表示地図情報を例えば管制官に対して表示する(ステップS8)。表示された表示地図情報により、例えば管制官は、航空機1の位置を確認することが可能となる。
【0051】
次に、図4のフローチャートを参照して、情報解析部32の処理手順について詳細に説明する。
【0052】
まず、情報解析部32は、情報収集部31によって出力された情報(出力情報)を取得する(ステップS11)。
【0053】
次に、情報解析部32は、取得された出力情報を分析(解析)する(ステップS12)。情報解析部32は、出力情報の解析結果に基づいて、各情報を取得する。
【0054】
情報解析部32は、出力情報を解析することによって取得された情報のうち、1つを取り出す。情報解析部32は、取得された情報が通信器ID(通信器識別情報)であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0055】
情報解析部32は、取得された情報が通信器IDでないと判定された場合(ステップS13のNO)、取得された情報が便情報であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0056】
情報解析部32は、取得された情報が便情報でないと判定された場合(ステップS14のNO)、取得された情報がメンテナンス情報であるか否かを判定する(ステップS15)。
【0057】
取得された情報がメンテナンス情報でないと判定された場合(ステップS15のNO)、情報解析部32の処理は終了される。
【0058】
一方、取得された情報が通信器IDである場合(ステップS13のYES)、情報解析部32は、当該通信器IDを座標判定部35に出力する(ステップS16)。
【0059】
次に、情報解析部32は、ステップS12によって取得された情報の全てについて上記した処理が実行されたか否かを判定する(ステップS19)。
【0060】
ステップS12によって取得された情報の全てについて上記した処理が実行された場合、情報解析部32の処理は終了される。
【0061】
一方、ステップS12によって取得された情報の全てについて上記した処理が実行されていない場合、ステップS13に戻って処理が繰り返される。
【0062】
また、ステップS14において、取得された情報が便情報である場合、情報解析部32は、当該便情報を便情報認識部36に出力する(ステップS16)。そして、ステップS19の処理が実行される。
【0063】
また、ステップS15において、取得された情報がメンテナンス情報である場合、情報解析部32は、当該メンテナンス情報をメンテナンス情報解析部37に出力する(ステップS16)。そして、ステップS19の処理が実行される。
【0064】
次に、図5のフローチャートを参照して、座標判定部35の処理手順に付いて詳細に説明する。
【0065】
まず、座標判定部35は、情報解析部32によって出力された通信器IDを取得する(ステップS21)。
【0066】
次に、座標判定部35は、灯器座標情報格納部33を参照して、取得された通信器IDに対応付けられて、灯器座標情報格納部33に格納されている座標情報を取得する(ステップS22)。
【0067】
ここで、図6は、灯器座標情報格納部33のデータ構造の一例を示す図である。図6に示すように、灯器座標情報格納部33には、通信器IDに対応付けて座標情報が格納されている。
【0068】
図6の例では、通信器ID「01」に対応付けて、座標情報「X」が格納されている。また、通信器ID「02」に対応付けて、座標情報「Y」が格納されている。同様に、通信器ID「03」に対応付けて、座標情報「Z」が格納されている。なお、上記した座標情報「X」、「Y」、「Z」は、それぞれ飛行場内の位置を示す情報である。
【0069】
再び図5に戻ると、座標判定部35は、ステップS22において取得された座標情報を、航空機1の位置を示す位置情報として取得する(ステップS23)。
【0070】
次に、図7のフローチャートを参照して、便情報認識部36の処理手順について詳細に説明する。
【0071】
まず、便情報認識部36は、情報解析部32によって出力された航空機1を示す便情報を取得する(ステップS31)。
【0072】
便情報認識部36は、前述したような飛行計画情報システムのような他のシステムに、取得された便情報によって示される航空機1が予め登録されているか否かを問い合わせる(ステップS32)。
【0073】
便情報認識部36は、問い合わせた結果、例えば登録されている航空機を示す確認情報に示される航空機及び取得された便情報によって示される航空機1が一致するか否かを判定する(ステップS33)。
【0074】
便情報認識部36は、取得された便情報によって示される航空機1が一致すると判定された場合(ステップS33のYES)、管制情報処理部38に当該便情報を出力する(ステップS34)。
【0075】
次に、便情報認識部36は、取得された便情報を保守情報処理部40に出力する(ステップS35)。
【0076】
一方、ステップS33において、取得された便情報によって示される航空機1が一致しないと判定された場合、便情報認識部36の処理は終了される。なお、例えば燃料不足のような緊急事態において、予定外に飛行場に着陸した航空機が存在した場合、上記したステップS33において一致しないと判定される。
【0077】
次に、図8のフローチャートを参照して、管制情報処理部38の処理手順を詳細に説明する。
【0078】
まず、管制情報処理部38は、座標判定部35によって取得された位置情報を取得する(ステップS41)。
【0079】
管制情報処理部38は、例えば飛行場内の全ての航空機の位置情報を取得したか否かを判定する(ステップS42)。
【0080】
全ての位置情報を取得していないと判定された場合(ステップS42のNO)、ステップS41に戻って処理が繰り返される。
【0081】
一方、全ての位置情報を取得したと判定された場合(ステップS42のYES)、管制情報処理部38は、地図情報格納手段34から地図情報を取得する(ステップS43)。
【0082】
次に、管制情報処理部38は、便情報認識部36によって出力された便情報を取得する(ステップS44)。
【0083】
管制情報処理部38は、全ての便情報を取得したか否かを判定する(ステップS45)。
【0084】
全ての便情報を取得していないと判定された場合(ステップS45のNO)、ステップS44に戻って処理が繰り返される。
【0085】
一方、全ての便情報を取得したと判定された場合(ステップS45のYES)、ステップS41、S43及びS44によって取得された当該航空機の位置を示す位置情報、地図情報及び便情報に基づいて、飛行上の地図上における当該航空機の位置を示す表示地図情報を作成する(ステップS46)。
【0086】
次に、図9のフローチャートを参照して、例えば航空機1を操縦するパイロットに対して、航空機1が走行するルートを表示する処理手順について説明する。
【0087】
まず、指示経路入力部42は、例えば管制官の手入力によって指示される航空機1が走行する経路を示す指示経路情報を入力する(ステップS51)。
【0088】
走行ルート情報作成部43は、指示経路入力部42によって入力された指示経路情報及び地図情報格納部34に格納されている地図情報に基づいて、例えば航空機1を操縦するパイロットに対して航空機1が走行すべきルートを表示するための走行ルート情報を作成する(ステップS52)。
【0089】
次に、走行ルート情報作成部43は、灯器座標情報格納部33及び地図情報格納部34を参照して、作成された走行ルート情報によって示されるルート(指示経路)上に存在する灯器2を特定する(ステップS53)。
【0090】
走行ルート情報作成部43は、作成された走行ルート情報によって示されるルート上の全区間について灯器2を特定したか否かを判定する(ステップS54)。
【0091】
作成された走行ルート情報によって示されるルート上の全区間について灯器2を特定していないと判定された場合(ステップS54のNO)、ステップS53に戻って処理が繰り返される。
【0092】
一方、作成された走行ルート情報によって示されるルート上の全区間について灯器2を特定したと判定された場合(ステップS54のYES)、走行ルート情報作成部43は、管制情報処理部38によって取得された航空機1の位置を示す位置情報を取得する(ステップS55)。
【0093】
次に、走行ルート情報作成部43は、ステップS53において特定された灯器2のうちの1つを選択する。走行ルート情報作成部43は、走行ルート情報によって示されるルート上において、選択された灯器2が航空機1の進行方向前方に存在するか否かを判定する(ステップS56)。
【0094】
走行ルート情報作成部43は、選択された灯器2が航空機1の進行方向前方に存在すると判定された場合(ステップS56のYES)、当該灯器2が航空機1の近傍に存在するか否かが判定される(ステップS57)。このとき、灯器2が航空機1の近傍に存在するか否かは、当該灯器2の可視光通信送受信器211と航空機1の可視光通信送受信器12とが可視光通信可能な距離に存在するか否かに基づいて判定される。
【0095】
走行ルート情報作成部43は、灯器2が航空機1の近傍に存在すると判定された場合(ステップS57のYES)、作成された走行ルート情報を当該灯器2に出力する(ステップS58)。
【0096】
走行ルート情報作成部43によって走行ルート情報が送信された灯器2の可視光通信送受信器212は、当該走行ルート情報を可視光通信により例えば航空機1の機上処理装置11に設けられた表示装置に送信する(ステップS59)。
【0097】
航空機1の機上処理装置11に設けられた表示装置には、可視光通信送受信器212によって送信された走行ルート情報が表示される(ステップS60)。これにより、航空機1を操縦するパイロットに対して走行するルートを通知する。
【0098】
なお、上記したように航空機1を操縦するパイロットに対して、走行ルート情報のみが表示される構成としたが、当該走行ルート情報に当該航空機1の位置を示す位置情報を付加して送信する構成であっても良い。この場合、航空機1の走行ルートだけでなく、パイロットは当該航空機1の位置も確認できるため、より効率的な操縦が可能となる。
【0099】
上記したように本実施形態においては、可視光通信により送信された航空機1の情報に含まれる便情報及び当該航空機1の情報を受信した灯器2を識別する通信器IDに基づいて、航空機1の位置を検知することが可能となる。これにより、飛行上の建築物、障害物や電波環境の影響を受けずに、航空機1の位置を正確に検知でき、当該航空機1の位置を例えば管制官に知らせることが可能となる。
【0100】
また、本実施形態においては、航空機1と灯器2との間で可視光通信により各種データの送受信を行うため、飛行場内における電波通信に影響を与えることはない。このため、新たに周波数帯域を割り当てる必要も生じない。
【0101】
また、本実施形態においては、飛行場を走行する航空機1を操縦するパイロットに対して走行するルートを表示することによって、例えば視界の悪い状況でも、航空機1の位置または走行すべきルートを明確に表示することが可能となる。
【0102】
更に、航空機1の情報を可視光通信により灯器2に送信することで、航空機1の機体メンテナンスに有効な情報を収集することができる。これにより、航空機1が例えば駐機場に到着後に行われる航空機1の機体メンテナンスの作業効率が向上する。
【0103】
また、灯器2に設けられた可視光通信送受信器211と航空機情報検知装置3との間は、例えば航空機1が走行する経路に存在する灯器2の点灯制御を行うシステムと同じ通信線を用いることが可能であるため、容易にシステムを構成できる。
【0104】
なお、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本実施形態に係る航空機情報検知システムの概略を示す図。
【図2】本実施形態に係る航空機情報検知システムの構成を示すブロック図
【図3】航空機1の位置を例えば管制官に通知する処理手順を示すフローチャート。
【図4】情報解析部32の処理手順を示すフローチャート。
【図5】座標判定部35の処理手順を示すフローチャート。
【図6】灯器座標情報格納部33のデータ構造の一例を示す図。
【図7】便情報認識部36の処理手順を示すフローチャート。
【図8】管制情報処理部38の処理手順を示すフローチャート。
【図9】航空機1が走行するルートを表示する処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0106】
1…航空機、2…飛行場灯器、3…航空機情報検知装置、11…機上処理装置、12…可視光通信送受信器、21…通信器、22…通信器識別情報格納部、31…情報収集部、32…情報解析部、33…灯器座標情報格納部、34…地図情報格納部、35…座標判定部、36…便情報認識部、37…メンテナンス情報解析部、38…管制情報処理部、39…位置情報表示部、40…保守情報処理部、41…メンテナンスデータベース、42…指示経路入力部、43…走行ルート情報作成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行場内を走行する走行体の位置を検知する航空機情報検知システムにおいて、
前記走行体を識別する走行体識別情報を含む情報を当該走行体から受信する前記飛行場内に設けられた通信手段と、
前記通信手段を識別する通信手段識別情報を予め格納する通信手段識別情報格納手段と、
前記通信手段によって受信された走行体識別情報を含む情報と共に、前記通信手段識別情報格納手段に格納されている通信手段識別情報を収集する情報収集手段と、
前記通信手段識別情報に対応付けて、前記通信手段識別情報によって示される通信手段が設けられている位置を示す座標情報を予め格納する座標情報格納手段と、
前記情報収集手段によって収集された通信器識別情報に対応付けて、前記座標情報格納手段に格納されている座標情報を、前記収集手段によって収集された情報に含まれる走行体識別情報によって示される走行体の位置を示す位置情報として取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された位置情報を表示する表示手段と
を具備することを特徴とする航空機情報検知システム。
【請求項2】
前記通信手段は、前記走行体識別情報を含む情報を、前記走行体識別情報によって示される走行体から可視光通信により受信することを特徴とする請求項1に記載の航空機情報検知システム。
【請求項3】
前記飛行場の地図を示す地図情報を予め格納する地図情報格納手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された位置情報及び前記地図情報格納手段に格納された地図情報に基づいて、前記情報収集手段によって収集された情報に含まれる走行体識別情報によって示される走行体の前記飛行場の地図上における位置を示す表示地図情報を作成する作成手段とをさらに具備し、
前記表示手段は、前記作成手段によって作成された表示地図情報を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の航空機情報検知システム。
【請求項4】
前記表示手段によって表示された位置情報によって示される前記走行体の位置に応じて、前記情報収集手段によって収集された情報に含まれる走行体識別情報によって示される走行体が走行する経路を示す指示経路情報を入力する指示経路入力手段と、
前記地図情報格納手段に格納されている地図情報及び前記指示経路入力手段によって入力された指示経路情報に基づいて、前記情報収集手段によって収集された情報に含まれる走行体識別情報によって示される走行体が走行するルートを表示するための走行ルート情報を作成する走行ルート情報作成手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された位置情報によって示される前記走行体の位置の近傍に設置された前記通信手段を特定する特定手段と、
前記走行ルート情報作成手段によって作成された走行ルート情報を、前記特定手段によって特定された前記通信手段に送信する走行ルート情報送信手段とを更に具備し、
前記通信手段は、前記情報収集手段によって収集された情報に含まれる走行体識別情報によって示される走行体に設けられた表示装置に前記走行ルート情報送信手段によって送信された走行ルート情報を表示させるために、前記走行ルート情報を当該走行体に設けられた表示装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の航空機情報検知システム。
【請求項5】
前記通信手段は、前記走行ルート情報を、前記情報収集手段によって収集された情報に含まれる走行体識別情報によって示される走行体に設けられた表示装置に可視光通信により送信することを特徴とする請求項4記載の航空機情報検知システム。
【請求項6】
前記通信手段は、前記走行体を識別する走行体識別情報及び当該走行体を保守するためのメンテナンス情報を含む情報を受信し、
前記情報収集手段は、前記受信された走行体識別情報及びメンテナンス情報を含む情報を収集し、
前記情報収集手段によって収集された情報に含まれるメンテナンス情報を、外部からアクセス可能なメンテナンス情報格納手段に格納するメンテナンス情報処理手段を更に具備する
ことを特徴とする請求項1に記載の航空機情報検知システム。
【請求項7】
飛行場内を走行する走行体を識別する走行体識別情報を受信する通信器を識別する通信器識別情報に対応付けて、前記通信器識別情報によって示される通信器が設けられている位置を示す座標情報を格納する座標情報格納手段を備える航空機情報検知システムに適応される航空機情報検知方法であって、
前記走行体を識別する走行体識別情報を含む情報を受信するステップと、
前記受信された走行体識別情報を含む情報と共に、前記通信器を識別する通信器識別情報を収集するステップと、
前記収集された通信器識別情報に対応付けて、前記座標情報格納手段に格納されている座標情報を、前記収集された情報に含まれる走行体識別情報によって示される走行体の位置を示す位置情報として取得するステップと、
前記取得された位置情報を表示するステップと
を具備することを特徴とする航空機情報検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−56087(P2008−56087A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235314(P2006−235314)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】