説明

航空機衝突感知および回避システムならびに方法

衝突感知および回避システムならびに方法と、当該衝突感知および回避システムを含む、無人操縦飛行体(UAV)および/または遠隔操縦飛行体(RPV)のような航空機とである。衝突感知および回避システムは、当該航空機に対して起こり得る衝突脅威を識別し、いかなる認識された脅威も回避する操作を提供する画像インテロゲータを含む。モーションセンサ(例えば、結像および/または赤外線センサ)が、周囲の画像フレームを、当該フレームにおいて移動している近くの目標を検知するクラッタ抑制および目標検知ユニットに提供する。見通し線(LOS)複数目標追跡ユニットが検知された近くの目標を追跡し、LOS座標において、各検知された近くの目標についての進路履歴を維持する。脅威評定ユニットが、いずれかの追跡された近くの目標が衝突脅威を伴うかどうかを判断する。回避操作ユニットが、飛行制御およびガイダンス部に、いずれの識別された前記衝突脅威も回避する操作を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
この発明は、一般的には、飛行中である少ないペイロードの飛行体を制御することに関し、より詳細には、他の近くの飛行体との起こり得る衝突を感知および回避するよう無人操縦飛行体(Unmanned Air Vehicle;UAV)および遠隔操縦飛行体(Remotely Piloted
Vehicle;RPV)を自動的に制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
背景の説明
現在、無人操縦飛行体(UAV)および/または遠隔操縦飛行体(RPV)は、領空(National Air Space;NAS)において運行する際に、衝突のリスクを緩和するよう有人の「付き添い」航空機に同伴される。付き添いは、当該航空機(UAVまたはRPV)がその近傍で運行している他の有人もしくは無人操縦航空機に衝突しない、またはその逆に衝突されないのを保証するのに特に必要である。残念ながら、このような飛行体に付き添うことは大きな労力を要し、試験および実演目的以外では特に有用ではない。
【0003】
衝突回避について、有人操縦航空機は、航空交通管制、トランスポンダ、およびパイロットの視覚に依拠している。トランスポンダはすべての商業用航空機上にあるように求められているが、多くの自家用航空機はトランスポンダを携行しておらず、さらにトランスポンダは戦闘状態では用いられない場合がある。さらに、トランスポンダの回避勧告と矛盾する命令を航空交通管制が発行する場合もある。有人操縦航空機の場合、人間のパイロットが近くの移動物体を視覚的に識別し、各物体が衝突の脅威をもたらすかどうかについて判定を行なう。この結果、視覚に基づいた検知が、近辺にある他の航空機を検知する際に必要になるとともに、しばしば不可欠になる。
【0004】
現在、米国連邦航空局(Federal Aviation Administration;FAA)は、このような航空機をNASにおいて運行する場合にも、既存の有人操縦航空機と比較しても「均等なレベルの安全性」を求めている。他の航空機が衝突のリスクをもたらす可能性をなくすよう、UAVの周りで空域が制約され得るか、またはUAVが制約空域に制限されるが、これにより、無人操縦航空機が用いられ得る任務および状況の範囲が制限される。そのため、同伴がないUAVは、如何なる近くの航空機をも感知および回避する何らかの能力も有さなければならない。無人操縦飛行体は、当該航空機(すなわち「コックピット」からの視界を中継するビデオカメラ)からの生のビデオフィードを、混雑した空域にある当該飛行体を遠隔操縦する地上ベースのパイロットに提供するよう装備されてもよい。残念ながら、結像能力を機内に有する遠隔操縦飛行体は、ビデオおよび制御の両方のための付加的な送信能力、これら両方の送信のための十分な帯域幅、ならびにこれに連続的に従事する人間のパイロットを必要とする。その結果、このような飛行体を装備および遠隔操縦することには費用がかかる。さらに、遠隔操縦飛行体では、ビデオフィードが飛行体から視認可能になる/視認されるまでにと、遠隔制御メカニズム(すなわち、パイロットが針路補正を行なうときと当該飛行体が針路を変えるときとの間)とにおいてさらなる遅延がある。そのため、このような遠隔結像は、通常の飛行の場合には有用であるが、タイムリーな脅威検知および回避については有用ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、占有面積が最小であり、特に無人操縦飛行体のためであり、他の近くの空
中の目標との衝突を検知および回避し得る、小さく、コンパクトで、軽量であり、リアルタイムで、機内にある衝突感知および回避システムに対する必要性がある。さらに、如何なる飛行条件下でも、他の近くの空中の物体からの脅威の深刻さを判断し得るとともに、適切な回避操作をさらに決定し得るような衝突感知および回避システムへの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
この発明の実施例は、衝突のリスクを伴い得る、航空機の近傍の物体を検知する。この発明の別の実施例は、ある航空機に対して衝突のリスクを伴うと識別される如何なる近くの物体をも回避するために、当該航空機に回避的な操作を提案してもよい。この発明のさらに別の実施例は、無人操縦航空機の近傍にあり、かつ当該無人操縦航空機に対する衝突のリスクを伴い得る物体を視覚的に特定および自動的に検知するとともに、如何なる識別された衝突リスクも回避するために回避的操作を自動的に提案する。
【0007】
特に、この発明の実施例は、衝突感知および回避システムと、無人操縦飛行体(UAV)および/または遠隔操縦飛行体(RPV)のような、当該衝突感知および回避システムを含む航空機を含む。衝突感知および回避は、当該航空機に対して起こり得る衝突脅威を識別し、いかなる認識された脅威も回避する操作を提供する画像インテロゲータを含む。モーションセンサ(例えば、結像および/または赤外線センサ)が、周囲の画像フレームを、当該フレームにおいて移動している近くの目標を検知するクラッタ抑制および目標検知ユニットに提供する。見通し線(LOS)複数目標追跡ユニットが、検知された近くの目標を追跡し、LOS座標において、各検知された近くの目標についての進路履歴を維持する。脅威評定ユニットが、いずれかの追跡された近くの目標が衝突脅威を伴うかどうかを判断する。回避操作ユニットが、飛行制御およびガイダンス部に、いずれの識別された前記衝突脅威も回避する操作を与える。
【0008】
有利なことに、好ましい衝突感知および回避システムは、近くの目標を識別および監視するだけでなく、衝突脅威を伴い得る如何なるものも識別し、かつリアルタイムの回避操作を与える「目視回避(See & Avoid)」または「検出回避(Detect and Avoid)」能力を如何なる航空機にも提供する。好ましい画像インテロゲータは、ハードウェアおよび埋込ソフトウェアを含むとともに、たった数オンスの重さである小型の画像処理ハードウェアモジュール内に含まれてもよい。このような劇的に低減されたサイズおよび重さにより、標準的な検知および追跡能力が、たとえばスキャンイーグルまたはそれより小さいもののような小型のUAVにさえ利用可能になる。
【0009】
無人操縦航空機のために開発されたが、好ましい感知および回避システムは、特に高密度または高ストレス環境において、有人操縦航空機のパイロットに気がつかなかった脅威に対して注意を喚起するアプリケーションを有する。したがって、好ましい衝突感知および回避システムは、有人および無人操縦航空機の両方に用いられ得る。有人操縦航空機では、好ましい衝突感知および回避システムはパイロットの視覚を増強する。無人操縦航空機では、好ましい衝突感知および回避システムは、パイロットの視覚の代わりとなり得、衝突のリスクを伴い得る航空機を検知し、必要ならば無人操縦航空機の飛行制御部に回避的操作を提案する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上述した目的、局面、および利点ならびにその他の目的、局面、および利点は、図面を参照して、この発明の好ましい実施例の以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【0011】
好ましい実施例の説明
ここで図面を参照すると、より詳細には、図1は、この発明の好ましい実施例に従った衝突感知および回避システムを有する、たとえば無人操縦飛行体(UAV)または遠隔操縦飛行体(RPV)のような好ましい実施例の航空機100の例を示す。ホスト航空機100の近傍の移動している物体を検知するよう、好適な数の典型的なモーションセンサ102が配置される。モーションセンサ102は、たとえば人間の視覚を模倣する任意の好適な可視帯センサ、またはたとえば霧の中もしくは夜間といった視界が悪いもしくは視界が制限される期間に物体の動きを検知するための赤外線(infra-red;IR)センサであってもよい。センサ102は、当該センサ102からリアルタイムの画像データを受入れ、かつクラッタのある背景に対してでさえ、たとえば他の航空機といった空中の目標を検知するよう当該画像データを処理する、ホスト航空機100における好ましい実施例の画像インテロゲータに接続される。この画像インテロゲータは、見通し線(Line Of Sight;LOS)空間における時間履歴を構築する。目標の履歴は、検知された目標の相対的な動作を示す。各検知された目標は、その相対的な動作に基づき分類され、受動センサ角度および見かけ上の目標のサイズならびに/または強度から決定される脅威レベルカテゴリが割当てられる。各々の目標の脅威レベルカテゴリに基づき、画像インテロゲータは回避的操作が望ましいかどうか判断し、望ましいならば、如何なる起こり得る脅威も回避するよう適切な回避的操作を提案する。好ましい実施例の画像インテロゲータはさらに、より高いレベルで動作する他の衝突回避ルーチン、たとえば離れたところに位置する制御ステーションに対してLOS目標進路(track)および脅威評定を提供し得る。
【0012】
図2は、必要に応じて、センサ102からフレームバッファ114を通じてモーションデータを受取るとともに、回避的操作を飛行制御およびガイダンス部116に伝える画像インテロゲータ112を含む好ましい衝突感知および回避システム110の例を示す。好ましくは、この衝突感知および回避システム110は、好適な向上された視覚システムにおいて動作する知的エージェントである。好適なこのような向上された視覚システムの一例は、「向上された視覚システムの状況認識コンポーネント(Situational Awareness Components of An Enhanced Vision System)」という名称を有する、サンダース−リード(Sanders-Reed)らによる、2004年9月14日に出願され、この発明の譲渡人に譲渡された、本明細書において引用により援用される米国公開特許出願公報第2006/0055628A1号に記載される。さらに、好ましい画像インテロゲータ112は、埋込まれた汎用の中央処理装置(Central Processing Unit; CPU)コアを有する1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA)において実現される。たとえばザイリンクス(Xilinx)社のVirtex-IIのような典型的な当該技術水準のFPGAプロセッサは、スタンドアロンのプロセッサボードのフォームファクタを有する数平方インチのものである。そのため、全体のFPGAプロセッサは、単一の3.5″またはさらにそれよりも小さい立方体で実施される単一の小さいプロセッサボードであり得、外部のコンピュータバスまたは他のシステムに特有なインフラストラクチャハードウェアを必要としない。このようなFPGAプロセッサで実施されると、画像インテロゲータ112は、ザ・ボーイング・カンパニー(The Boeing Company)からのスキャンイーグル(ScanEagle)のような非常に小型のUAVの側に文字通り貼り付けられ得る。
【0013】
1つ以上のセンサ102からの画像データは、単純に、フレームバッファ記憶のために固定的または一時的であるように設計される、FPGAプロセッサにおいて静的または動的(SRAMまたはDRAM)であるローカルのランダムアクセスメモリ(RAM)であり得るフレームバッファ114に一時的にバッファ格納され得る。各センサ102には専用のフレームバッファ114が設けられてもよく、または共有のフレームバッファ114がすべてのセンサについて画像フレームを一時的に記憶してもよい。当該画像データは、フレームバッファ114から好ましい画像インテロゲータ112におけるクラッタ抑制お
よび目標検知ユニット118に渡される。クラッタ抑制および目標検知ユニット118は、たとえば自然な空に対して、雲の中において、および地形背景に対してといったような如何なる条件下でも、かつさまざまな光の条件下でも目標を識別することができる。LOS複数目標追跡ユニット120は、目標検知ユニット118において識別される目標をLOS座標において追跡する。LOS複数目標追跡ユニット120はさらに、各識別された目標についての動きの履歴122を維持する。脅威評定ユニット124が、識別された目標および各々についての進路履歴を監視し、各目標との衝突の尤度を算出する。回避操作ユニット126が、ホスト航空機との衝突針路上にあるとみなされる如何なる目標に対しても好適な回避操作を決定する。回避操作ユニット126は、回避操作を実行のために飛行制御およびガイダンス部116に伝える。
【0014】
クラッタ抑制および目標検知ユニット118およびLOS複数目標追跡ユニット120は、目標追跡において広く用いられる多くの好適な周知のアルゴリズムのいずれかを用いて実現されてもよい。好ましくは、クラッタ抑制および目標検知は、単一フレーム目標検知モードまたは複数フレーム目標検知モードのいずれかにおいて実現される。単一フレームモードでは、各フレームは光学点広がり関数(Optical Point Spread Function;OPSF)で畳み込まれる。結果として、単一のピクセルノイズが除去され、すべての大きな特長、すなわち直径が数ピクセルよりも大きい特長も除去される。そのため、分解されないかまたは殆ど分解されない形のみが残り、これにより実際の目標を識別する。一般的には移動目標表示器(Moving Target Indicator;MTI)と呼ばれる好適な複数フレーム移動目標検知方策の例が、サンダース−リードらによる「クラッタにおける複数目標追跡(Multi Target Tracking In Clutter)」,Proc. of the SPIE,4724,2002年4月によって提供される。サンダース−リードらは、背景に対して移動目標が移動すると想定すると、一定の見かけ上の速度で動くすべてのもの(背景)が除去され、その結果、移動目標のみが残されることを教示する。
【0015】
進路履歴122は、各目標の動きの時間履歴を与え、たとえばテーブルまたはデータベースとして、ローカルの記憶装置に含まれてもよい。かつては、典型的な当該技術水準の追跡ユニットは単に焦点面のピクセル座標において目標を追跡するだけであったので、目標の動きを理解するのに高レベルの座標システムが必要であった。しかしながら、好ましい実施例の衝突感知および回避システム110はこのような高レベルの座標システムを必要とせず、代わりにLOS複数目標追跡ユニット120がLOS座標において進路履歴122を集める。好適な進路履歴を展開、維持、および利用するシステムの例については、たとえばJ. N. サンダース−リード(J. N. Sanders-Reed)「複数目標、複数センサ、閉ループ追跡(Multi-Target, Multi-Sensor, Closed Loop Tracking)」J. Proc. of the SPIE,5430,2004年4月を参照のこと。
【0016】
図3は、ホスト航空機との起こり得る衝突針路上に各検知された目標があるかどうかを判断する、たとえば脅威評定ユニット124における脅威評定1240の例を示す。好ましくは、単純さのために、脅威評定ユニット124は、各目標の相対位置が変化しているかどうかを、「角度のみ」の結像方策での進路履歴に基づいて判断する。そのため、たとえば、1242で始まると、識別された目標は脅威評定ユニット124によって選択される。次いで1244において、当該選択された目標について、進路履歴が進路履歴記憶装置122から抽出される。次いで1246において、ホスト航空機に対する当該選択された目標について、たとえば目標の焦点面進路と既知の姿勢および光学センサ特性とからLOS進路が決定される。1248において、脅威評定ユニット124は、サイズおよび/または強度における目標の見かけ上の変化から見かけ上の距離(range)を決定する。次いで1250において、脅威評定ユニット124はLOS進路を当該見かけ上の距離に対して相互に関連付け、これにより三次元(3D)相対目標軌道を再構築する。3D軌道は、ホスト航空機に対して、かつ一定の倍率内に取られ得る。すべての他の事柄は同等であり
、増大する目標は接近しており、減少する目標は退行している。そのため、脅威評定ユニット124は、1252において、この倍率を知ることさえなく、すなわち真の距離を知ることさえなく、平均の見かけ上の目標の直径に対して正確な衝突リスク評定を求める。1252において、目標が当該ホスト航空機に近過ぎるところを通っていると判断されると、目標が衝突脅威1254であると回避操作ユニット126に伝達される。1252において、脅威評定ユニット124が、選択される目標が衝突脅威でないと判断すると、別の目標が1256において選択され、1242に戻り、脅威評定ユニット124がその目標が脅威であるかどうかを判断する。
【0017】
そのため、たとえば、脅威評定ユニット124は、1250において、次の30秒以内で、ある目標がホスト航空機の1つの平均目標直径内に接近すると判断するかもしれない。さらに、脅威評定ユニット124は、1252において、当該目標の真のサイズおよび距離に拘らず、これは衝突リスク1254であると見なすかもしれない。
【0018】
随意ではあるが、脅威評定ユニット124は、真の距離推定が望ましいかまたは必要であると見なされているかどうかの確率的推定を1252において行ない得る。真の距離推定が望ましい場合には、脅威評定ユニット124は、たとえば1250において、再構築されて縮小された三次元の軌道から目標のスピード対サイズの比を算出し得る。次いで、1252において、目標のスピード対サイズの比は、当該目標が衝突脅威であり得るときの既知の現実の衝突脅威のスピード対サイズの比および確率と比較され得る。随意であるが、地上に対するホスト航空機の動きは、たとえば目標検知ユニット118によって検知され得、さらに良好な正確さのためにこの確率的な真の距離の算出に加味され得る。
【0019】
短期的な強度の増加が、たとえば瞬間的な鏡面反射から起こり得る。これらの短期的な強度の増加は、衝突脅威評定を損ない得るジッタの拡大(ranging jitter)を引起す傾向がある。そのため、衝突脅威評定の正確さおよび安定性の向上のために、脅威評定ユニット124は、たとえば1248において、当該技術において周知であるもののような任意の好適な技術を用いてこれらの短期的な強度の増加を取除くかまたはフィルタリングし得る。
【0020】
図4は、脅威評定ユニット124がある目標が衝突脅威1254であると判断した際に、たとえば回避操作ユニット126によって回避操作を展開する例を示す。1262において、回避操作ユニット126が、他の脅威でない目標についての進路履歴を進路履歴記憶装置122から抽出する。1264において、回避操作ユニット126はホスト航空機の軌道を決定する。回避操作ユニット126は、別の目標との別の、恐らくはより切迫した脅威を作り出すのを避けるよう、すべての近くの目標の軌道を考慮しなければならない。そのため、1266において、回避操作ユニット126は、特定された最小の安全距離を越える距離だけ、衝突脅威1254を避けるよう安全地帯を決定する。しかしながら当該航空機は、識別された脅威を避ける間に、(たとえば規定された飛行体の安全性パラメータまたは動作制限を越えることにより)自身を危険に晒し得る極端に乱暴な操作を実行してはならない。そのため、1268において、回避操作ユニット126は、操作制約を決定する。次いで、1270において、回避操作ユニット126は近傍のすべての追跡された航空機のうちの最良の推定をホスト航空機軌道データとともに用い、識別された脅威(および近傍のすべての他の航空機)からホスト航空機を、特定された最小の安全距離を越える距離だけ離す回避的操作1272を決定する。回避的操作1272は、無人操縦飛行体の場合は飛行制御およびガイダンス部(たとえば、図2の116)に、または有人飛行体の場合はパイロットに伝えられる。回避的操作1272が実行された後でも、目標監視は続き、画像を収集し、目標を識別し、当該識別された目標のいずれかが衝突脅威を伴うかどうかを判断する。
【0021】
代替的実施例では、画像インテロゲータ112は、脅威評定および回避操作計算のために必要とされ得るさらに高いレベルの算出能力を求めて、1つ以上のFPGAと1つ以上の並列処理装置との組合せを用いて実現されてもよい。
【0022】
有利なことに、好ましい衝突感知および回避システム110は、近くの目標を識別および監視するだけでなく、衝突脅威を伴い得る如何なるものも識別し、かつリアルタイムの回避操作を与える「目視回避(See & Avoid)」または「検出回避(Detect and Avoid)」能力を如何なる航空機にも提供する。好ましい画像インテロゲータ112は、ハードウェアおよび埋込ソフトウェアを含むとともに、たった数オンスの重さである小型の画像処理ハードウェアモジュール内に含まれてもよい。このような劇的に低減されたサイズおよび重さにより、標準的な検知および追跡能力が、たとえばスキャンイーグルまたはそれより小さいもののような小型のUAVにさえ利用可能になる。したがって、好ましい衝突感知および回避システム110は、有人および無人操縦航空機の両方に用いられ得る。有人操縦航空機では、好ましい衝突感知および回避システム110はパイロットの視覚を増強する。無人操縦航空機では、好ましい衝突感知および回避システム110は、パイロットの視覚の代わりとなり得、衝突のリスクを伴い得る航空機を検知し、必要ならば無人操縦航空機飛行制御部に回避的操作を提案する。
【0023】
この発明を好ましい実施例について記載してきたが、この発明は、特許請求の範囲の精神およびその範囲内において修正をもって実施され得るということを当業者ならば認識するであろう。すべてのこのような変形例および修正例は特許請求の範囲内に該当するということを意図する。例および図面は、したがって、限定的ではなく説明的であると見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の有利な実施例に従った衝突感知および回避システムを有する、たとえば無人操縦飛行体(UAV)または遠隔操縦飛行体(RPV)のような航空機の例を示す図である。
【図2】センサからモーションデータを受取るとともに衝突回避操作を飛行制御およびガイダンス部に伝える好ましい画像インテロゲータの例を示す図である。
【図3】各検知された目標がホスト航空機との起こり得る衝突針路上にあるかどうかを判断する脅威評定1240の例を示す図である。
【図4】ある目標が衝突脅威であるとの判断がなされた際に、回避操作を展開する例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起こり得る衝突脅威を識別および回避する画像インテロゲータであって、
移動している目標を近くの画像から検知するクラッタ抑制および目標検知ユニットと、
検知された前記目標を追跡する見通し線(LOS)複数目標追跡ユニットと、
いずれかの追跡された目標が衝突脅威を伴うかどうかを判断する脅威評定ユニットと、
いずれの識別された前記衝突脅威も回避する操作を決定する回避操作ユニットとを含む、画像インテロゲータ。
【請求項2】
目標進路履歴をさらに含み、前記LOS複数目標追跡ユニットは、前記目標進路履歴において、各々の前記追跡された目標についての進路履歴を維持する、請求項1に記載の画像インテロゲータ。
【請求項3】
前記脅威評定ユニットは、それぞれの進路履歴に基づき、各々の前記追跡された目標が衝突脅威を伴うかどうかを判断する、請求項1に記載の画像インテロゲータ。
【請求項4】
前記脅威評定ユニットは、衝突針路上にないかまたは起こり得る衝突針路上にあるかのいずれかとして、各々の前記追跡された目標を分類する、請求項1に記載の画像インテロゲータ。
【請求項5】
衝突針路上にあるとして分類された前記各々の追跡された目標は、前記画像インテロゲータを含むホスト航空機に対して一定の角度で進路を維持する、請求項4に記載の画像インテロゲータ。
【請求項6】
前記脅威評定ユニットはさらに、起こり得る衝突針路上にあるとして分類された各々の前記追跡された目標を、可能性が高い衝突脅威であるかまたは可能性が高い衝突脅威でないかのいずれかとして分類する、請求項4に記載の画像インテロゲータ。
【請求項7】
起こり得る衝突上の前記目標が増大していれば、可能性が高い衝突脅威として分類され、起こり得る衝突上の前記目標が減少していれば、可能性が高い衝突脅威ではないとして分類される、請求項6に記載の画像インテロゲータ。
【請求項8】
前記回避操作ユニットは、前記画像インテロゲータを含むホスト航空機のために衝突を回避する操作を選択し、前記操作はすべての前記目標の軌道に基づき選択され、前記すべての目標との衝突を回避する、請求項1に記載の画像インテロゲータ。
【請求項9】
前記画像インテロゲータは、少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)プロセッサを含む、請求項1に記載の画像インテロゲータ。
【請求項10】
航空機であって、
複数のモーションセンサと、
画像インテロゲータとを含み、前記画像インテロゲータは、
移動している目標を近くの画像から検知するクラッタ抑制および目標検知ユニットと、
検知された前記目標を追跡する見通し線(LOS)複数目標追跡ユニットと、
目標進路履歴とを含み、前記LOS複数目標追跡ユニットは、各検知された目標についての、LOS座標における進路履歴を前記目標進路履歴において維持し、前記画像インテロゲータはさらに、
いずれかの追跡された目標が衝突脅威を伴うかどうかを判断する脅威評定ユニットと、
いずれの識別された前記衝突脅威も回避する操作を決定する回避操作ユニットとを含み、前記航空機はさらに、
前記回避操作ユニットから回避操作を受取り、かつ前記受取った回避操作を選択的に実行する飛行制御およびガイダンスユニットを含む、航空機。
【請求項11】
前記脅威評定ユニットは、それぞれの目標進路履歴に基づき、各々の前記追跡された目標が衝突脅威を伴うかどうかを判断する、請求項10に記載の航空機。
【請求項12】
前記脅威評定ユニットは、前記航空機との衝突針路上にないかまたは起こり得る衝突針路上にあるかのいずれかとして、各々の前記追跡された目標を分類し、衝突針路上にあるとして分類された各々の前記追跡された目標は、前記航空機に対して一定の角度で進路を維持する、請求項11に記載の航空機。
【請求項13】
前記画像インテロゲータは、少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイプロセッサにおいて実現される、請求項10に記載の航空機。
【請求項14】
前記脅威評定ユニットは、前記航空機との衝突針路上にないかまたは起こり得る衝突針路上にあるかのいずれかとして、各々の前記追跡された目標を分類し、起こり得る衝突上にあるとして分類された各々の前記追跡された目標はさらに、可能性が高い衝突脅威であるかまたは可能性が高い衝突脅威でないかのいずれかとして分類される、請求項11に記載の航空機。
【請求項15】
前記目標が増大していれば可能性が高い衝突脅威として分類され、前記目標が減少していれば可能性が高い衝突脅威ではないとして分類される、請求項13に記載の航空機。
【請求項16】
前記回避操作ユニットは、すべての前記目標の軌道に基づき、前記航空機のために操作を選択し、前記すべての目標との衝突を回避する、請求項10に記載の航空機。
【請求項17】
前記複数のセンサは複数の結像センサを含む、請求項10に記載の航空機。
【請求項18】
前記複数のセンサは複数の赤外線センサを含む、請求項10に記載の航空機。
【請求項19】
前記航空機は無人操縦飛行体(UAV)である、請求項10に記載の航空機。
【請求項20】
空中の飛行体によって目標を検知および追跡する方法であって、当該飛行体は複数の結像センサを有し、前記方法は、
飛行体上の複数の結像センサから入力を受取るためのモジュールを設けることを含み、当該モジュールは複数の結像センサからの複数の画像を処理するためのロジックを有し、前記方法はさらに、
複数の画像を処理して、クラッタのある背景に対して目標を検知することと、
当該目標の相対的な動きの時間履歴を作り出すこととを含み、
モジュールはフィールドプログラマブルゲートアレイプロセッサを含む、方法。
【請求項21】
モジュールは無人操縦飛行体上に設けられる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
モジュールは有人飛行体上に設けられる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
複数の画像を処理することは、単一のフレーム処理と、光学点広がり関数での畳み込みとを用いることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
複数の画像を処理することは、複数フレーム移動目標検知アルゴリズムを用いることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
空中にある飛行体によって目標の衝突を検知および回避する方法であって、当該飛行体は複数の結像センサを有し、前記方法は、
飛行体上の複数の結像センサから入力を受取るためのモジュールを設けることを含み、当該モジュールは複数の結像センサからの複数の画像を処理するためのロジックを有し、当該モジュールはフィールドプログラマブルゲートアレイプロセッサを含み、前記方法はさらに、
複数の画像を処理して、クラッタのある背景に対して目標を検知することと、
当該目標の相対的な動きの時間履歴を作り出すことと、
目標の1つ以上との衝突脅威のレベルを評定することと、
当該1つ以上の目標との衝突を回避するよう飛行体に命令することとを含む、方法。
【請求項26】
衝突脅威のレベルを評定することは、
前記検知された目標からある目標を選択することと、
前記選択された目標についての軌道を判断することと、
前記軌道が、選択された最小の安全距離よりも大きい距離だけ離れて、前記空中の飛行体を通り過ぎるかどうかを判断することと、
前記検知された目標から別の目標を選択することと、
前記選択された目標についての軌道を判断するステップに戻ることとを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記選択された目標についての前記軌道が、前記選択された最小の安全距離よりも小さい距離だけ離れて、前記空中の飛行体を通り過ぎると判断される場合はいつでも、前記目標は衝突脅威として識別される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記目標の軌道は三次元(3D)軌道であり、前記3D軌道を判断することは、
前記空中の飛行体に対する、前記選択された目標についての見通し線(LOS)軌道を判断することと、
前記選択された目標と前記空中の飛行体との間の見かけ上の距離の変化を判断することとを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記3D軌道から目標のスピード対サイズの比が求められ、前記選択された目標についての前記軌道が、前記選択された最小の安全距離よりも小さい距離だけ離れて、前記空中の飛行体を通り過ぎるかどうかを判断することは、求められた前記目標のスピード対サイズの比の結果と、既知の現実の衝突脅威のスピード対サイズの比および確率とを比較することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
衝突を避けるよう飛行体に命令することは、
すべての検知された前記目標についての軌道を抽出することと、
衝突脅威として識別される各目標から、前記空中の飛行体についての最小の安全距離を求めることと、
すべての検知された前記目標を回避するよう、前記空中の飛行体のために操作を決定することとを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記空中の飛行体についての軌道は、前記最小の安全距離を求める前に決定される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記操作を決定することは、
前記空中の飛行体について操作制約を決定することを含み、前記操作制約は、前記空中の飛行体が規定される飛行体動作限界を超える操作を実行するのを制約し、前記操作を決
定することはさらに、
前記操作制約内において、前記空中の飛行体に対する各々の前記衝突脅威を避けるよう回避的操作を決定することを含む、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−530159(P2009−530159A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500361(P2009−500361)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/004547
【国際公開番号】WO2008/020889
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】