説明

航空機騒音データ分析処理方法

【課題】航空機騒音のデータ分析において、騒音を自動測定するとともにかぶり音の除去
を効果的に行う方法を提供する。
【解決手段】任意の日の任意の測定局の騒音データを騒音レベル波形の大きい方から順にソートして、最も大きい騒音レベル波形から表示装置に表示、及び/又は、音響再生装置で再生させると共に、WECPNL値又はLAeq等の値の騒音評価値に一定の寄与率を設定して乗じた数値以上の騒音レベル波形のみをオペレータが目視して航空機騒音以外の騒音を判断して削除する航空機騒音データの分析処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機の騒音データの分析処理方法に関するものであり、更に、詳細には、航空機の騒音を自動測定し、かぶり音と称される航空機騒音以外の騒音を削除するための作業効率を大巾に改良した航空機騒音データ分析処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の航空機の騒音データを分析処理するための測定は、有人測定と自動測定とが用いられている。
【0003】
つまり、有人測定は測定員が測定地点に、騒音計を設置して、その出力をレベルレコーダーに記録して、通常、6時から23時位まで、1週間連続して常駐し、目視、聴感により発生した騒音が航空機のものか否かひとつひとつチェックして、測定員が航空機の騒音とみなした場合は○を、そうでない場合は×を記入して、後に行うデータ処理で混同しないように様々な書き込みを行っていた。
【0004】
そして、後に測定員が航空機騒音と判断したデータの最大発生時刻と、最大騒音レベルを読み取って集計し、WECPNL(Weighted Equivalent Continuous Perceived Noise Level;加重等価平均騒音レベル 俗に、うるささ指数と称される。)又は、等価騒音レベル(LAeq;EquivalentSound Level)等のエネルギー評価値を算出するものであり、一日ごとのWECPNLは、周知のように、すべての最大騒音レベル(dB)のパワー平均に発生時間帯重み付けをした騒音発生回数の対数をとった値を足して27を引いて求めるものであり、又、等価騒音レベル(LAeq;Equivalent Sound Level)等のエネルギー評価値は国際的に広く用いられているもので、時間とともに変動する騒音(非定常音)を連続した一定の騒音レベルに換算した値であり、一般的に民間空港の離発着する航空機を対象とした騒音測定では7日間連続して測定し、その平均値で評価するものである。
【0005】
然し乍ら、有人測定の場合、短期測定であっても、測定員に過度の負担を強いると共に、その人件費も膨大なものと成っていたため、近年では、自動測定が行われている。
【0006】
ついで、航空機騒音の自動測定は、測定員の代わりにコンピュータ制御された自動測定器を測定地点の測定局に設置して、航空機騒音の自動測定を行うものであり、通常、騒音計の出力をコンピュータが読み取り、常時その値を監視して、騒音値が予め設定された閾値を予め設定された時間以上継続して超過した場合、当該発生騒音を航空機によるものとみなし、その最大時刻と最大レベルをファイルに記録するが、通常、閾値と継続時間は評価対象となるべき航空機が発生する騒音をすべて記録するように設定されているので、測定地点の状況によっては、自動車の音や風邪の音等の航空機以外の騒音も数多く記録することと成り、航空機の離着陸が180回しかないのに、データ数が1000を越えるような結果にも成る場合もある。
【0007】
そして、自動測定器のデータは電話回線等を通じて中央局に集められデータ処理が行われるものであり、測定局間の時間差による抽出方法では、複数の測定局が飛行経路に沿って配置されている場合であれば、本飛行機が上空を通過する場合、離陸や着陸といった決まった飛行形態をとって飛行すれば、ある程度予想される時間差を持って複数地点で観測されるはずであるから、中央局ではコンピュータ処理により、複数の測定局間で離陸や着陸機が通過した時間差にそって複数の測定局で出現したデータのみを航空機騒音として抽出するものである。
【0008】
次いで、運航実績表(フライトログ)との照合による抽出方法では、後日空港サイドから運航実績表の提供を受け、その中の航空機離着陸時刻と照合する方法であり、利点は離着陸の別も記録されているので、空港を離着陸した時刻が解れば測定値までの飛行時刻を予め想定しておき、その範囲にあるデータを当該離陸のデータとして抽出できるもので、着陸の場合でも同様に、着陸時間から測定地点までの時刻を逆算して、その時刻近辺にあるデータを当該着陸機のデータとして抽出するものである。
【0009】
又、複数の測定局がある場合は、前述の運航実績表との照合による抽出方法と、測定局間の時間差による抽出方法とを組み合わせることで、より精度が上がるだけでなく、運航実績表に記録されていないゴーアラウンド(着陸のやり直し)やレーダー調整を目的とした国土交通省機、軍用機等の運航形態についても対応できるものである。
【0010】
その為に、例えば、先に開示されている、判定用の小区間と小区間を複数区間まとめた判定期間とを、騒音レベルの時間的推移に基づいて決定し、小区間内の騒音抽出値について、その騒音の発生した瞬間における騒音の周波数特性に基づいて最終判定が不要である騒音抽出値を特定し、判定期間内に最終判定されるべき騒音抽出値が一つでも存在する場合には、その騒音抽出値の継続時間に基づいて航空機騒音か否かを決定するようにしているもの(特許文献1参照)や、中央監視局5に飛行計画情報処理装置4をリンクさせ、航空機7の識別情報を受信局2で認識して中央監視局5に送信し、この識別情報を仲立ちとして飛行計画情報処理装置4から識別情報に対応した詳細情報(航空会社名,便名,航空機機種等)を取り出し、騒音測定局3で測定された騒音レベルと対応させて自動的に中央監視局5の記憶装置に保存し、また、航空機7の位置あるいは騒音の測定時刻に基いて騒音測定局3からのデータを取捨選択することによって複数の騒音測定局3から送信される騒音レベルの利用を許容し、騒音測定範囲の拡充を図るもの(特許文献2参照)や、検出バンドレベル最大値データを、当該検出バンドレベル最大値データの平均値でなる検出バンドレベル平均値データによって相対化するようにしたことにより、一段と分散が少なく、従って高い精度で航空機の機種識別処理を実行でき、また使用する周波数バンドの指定を変更できるようにしたことにより機種識別精度を高めることができ、また各機種ごとの基準バンドレベルデータを学習動作により累積又は修正できるようにしたことにより、機種識別精度を高めることができるもの(特許文献3参照)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−091352号公報
【特許文献2】特開2002−365126号公報
【特許文献3】特開平9−89646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
然し乍ら、運航実績表との照合による抽出方法では、特に航空機の離着陸のラッシュ時においては、最短1分半弱の間隔で離陸が行われ、2分程度の間隔で着陸が行われるため、滑走路から離れた測定局では騒音測定データの突合せに混乱を生じることと成り、更には、提供される運航実績表は人間がその都度入力しているもので1日の膨大なデータの中には必ずと云って良いほどミスが含まれており、このミスにより突合せがやっかいなものと成っているのが実情である。
【0013】
更に、前述の測定局間の時間差による抽出方法では、測定地点間の距離や空港から測定地点までの距離が長くなると、時間差の範囲(時間窓)もそれに合わせて広げる必要が生じ、今度はその時間窓内に複数のデータが出現する場合があって、抽出精度が低下し、又、時間差の突合せのできる位置関係に測定局を配置できなかったり、運航実績表が入手できない場合もあり、そう言った場所では識別装置が有効であり、閾値と継続時間設定を満たしデータは識別装置による判定結果とともに記録しなければならなかった。
【0014】
更には、航空機騒音とかぶり音(航空機騒音以外の騒音)が同時に発生した場合の処理が難しく、測定員が常駐し目視、聴感で確認していれば判断できるが、自動測定では困難なものである。
【0015】
そして、かぶり音の量がそれほど多くなかったり、防災無線のサイレンやチャイム等のようにある程度決まったパターンで出現する場合、熟練したオペレータであれば本来発生する航空機の騒音レベルのデータベースが頭の中にあるので、その範囲を逸脱した場合にはそうしたデータを己の判断で削除できる場合もある。
【0016】
更に、かぶり音の対策としての実音モニタを用いる方法では、航空機が遠くを飛行し発生騒音が周囲の騒音に対してあまり卓越していない場所や、周囲に大きな騒音を発するものが多い場合に、閾値を超えた騒音の実音をハードディスクやテープに自動録音しておき、それを実音聴取専任のオペレータがひとつひとつ聴取してかぶり音がないかどうかを判断するもので、データ処理としては確実な方法であるが、作業量が膨大となるため、特殊な場所以外ではあまり行われていないのが実情であり、この場合、実音聴取専任のオペレータを数人常駐さるせことが必要と成り、また、膨大なデータ(音響データファイル)を固定局から受信するための通信料金も膨大なものと成っている。
【0017】
そして、前述の熟練者の判断による方法や、実音モニタを用いる方法に代わる処理としては、騒音レベル波形による判断があり、測定局で1秒ごと、あるいは、0.1秒ごとの騒音レベルをディスクに記録して、つまり、レベルレコーダのデジタル版といえるものであり、実音データが、聴取判断するためには最低でも11kHz、16bitのサンプリングが必要なのに対し(毎秒22kbyte)、騒音レベル記録の場合、毎秒4byte程度で済むので、少ない転送時間で済むと云った利点もある。
【0018】
この場合、中央局で騒音レベルをレベルレコーダーのように画面に表示し、オペレータは波形の形状、特に、前後のデータの波形形状や、隣接する測定局のデータ波形形状等と見比べて、かぶり音の影響を受けているか否かを判断するものであるが、すべてのデータについて、騒音レベル波形を目視チェックするのは、実音聴取ほどでないにしても相当な作業負担となり、例えば、1日に100〜300機程度の航空機騒音の測定を7局の測定局で行った場合の1日分の分析処理の作業をするのに熟練者で30分、コンピュータやデータ分析処理の経験の少ない人では2時間程度を要するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前述の課題を鑑みて、鋭意研鑽の結果、本発明の請求項1に記載の航空機騒音データの分析処理方法は、最大値の最も大きい騒音の経時変化データ、又はWECPNL値若しくはLAeq値である騒音評価値に一定の寄与率を乗じた数値以上の騒音レベル波形の騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にモニタ又はプリンタ等のコンピュータの表示装置に表示するものである。
【0020】
更に、請求項2に記載の航空機騒音データ分析処理方法は、請求項1に記載の航空機騒音データ分析処理方法において、測定記録された航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を同時に表示装置に表示するものである。
【0021】
更には、請求項3に記載の航空機騒音データ分析処理方法は、請求項1又は請求項2に記載の航空機騒音データ分析処理方法において、測定記録された航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を同時に表示装置に表示するものである。
【0022】
更には、請求項4に記載の航空機騒音データ分析処理方法は、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を表示装置に最大値の最も大きい騒音の経時変化データ、又はWECPNL値若しくはLAeq値である騒音評価値に一定の寄与率を乗じた数値以上の騒音レベル波形の騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示するものである。
【0023】
更には、請求項5に記載の航空機騷音データ分析処理方法は、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を表示装置に最大値の最も大きい騒音の経時変化データ、又はWECPNL値若しくはLAeq値である騒音評価値に一定の寄与率を乗じた数値以上の騒音レベル波形の騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示するものである。
【0024】
更には、請求項6に記載の航空機騷音データ分析処理方法は、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化と、航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を表示装置に最大値の最も大きい騷音の経時変化データ、又はWECPNL値若しくはLAeq値である騒音評価値に一定の寄与率を乗じた数値以上の騒音レベル波形の騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示するものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の航空機騒音データ分析処理方法は前述の構成により、任意の日の任意の測定局の騒音データを騒音レベル波形の大きい方から順にソートして、最も大きい騒音レベル波形から表示装置に表示、及び/又は、音響再生装置で再生させると共に、WECPNL値又はLAeq等の値の騒音評価値に一定の寄与率を設定して乗じた数値以上の騒音レベル波形のみをオペレータが目視して航空機騒音以外の騒音を判断して削除するものであり、従来の解析処理にかかる時間を一気に短縮できる画期的な発明である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は航空機の騒音データの分析処理方法に関するものであり、更に、詳細には、航空機の騒音を自動測定し、かぶり音と称される航空機騒音以外の騒音を削除するための作業効率を大巾に改良した航空機騒音データ分析処理方法に関するものであり、第1の航空機騒音データ分析処理方法は、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化より所定の閾値を超え、且つ、閾値を所定の時間以上連続して越える部分を航空機通過時の騷音データとした時、騒音評価値を集計する過程において航空機以外の不要な騷音データを削除することを目的とし、最大値の最も大きい騒音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にモニタ又はプリンタ等のコンピュータの表示装置に表示してオペレータの判断、又は、最大値の最も大きい騒音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にオペレータの判断と同等な処理が可能なプログラムの自動処理により不要なデータの削除を行い、予め設定した騒音評価値への寄与の度合い以下になるまでこれらを繰り返し行うものである。
【0027】
更に、第2の航空機騒音データ分析処理方法は、第1の航空機騒音データ分析処理方法において、測定記録された航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を同時に表示装置又は印刷装置に表示するものである。
【0028】
更には、第3の航空機騒音データ分析処理方法は、第1又は第2の航空機騒音データ分析処理方法において、測定記録された航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を同時に表示装置に表示するものである。
【0029】
更には、第4の航空機騒音データ分析処理方法は、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を表示装置に最大値の最も大きい騒音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示してオペレータの判断、又は、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を最大値の最も大きい騒音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にオペレータの判断と同等な処理が可能なプログラムの自動処理により不要なデータの削除を行い、予め設定した騒音評価値への寄与の度合い以下になるまでこれらを繰り返し行うものである。
【0030】
更には、第5の航空機騒音データ分析処理方法は、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を表示装置に最大値の最も大きい騒音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示してオペレータの判断、又は、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を最大値の最も大きい騒音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にオペレータの判断と同等な処理が可能なプログラムの自動処理により不要なデータの削除を行い、予め設定した騒音評価値への寄与の度合い以下になるまでこれらを繰り返し行うものである。
【0031】
更には、第6の航空機騒音データ分析処理方法は、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化と、航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を表示装置に最大値の最も大きい騷音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示してオペレータの判断、又は、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化と、航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を表示装置に最大値の最も大きい騷音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にオペレータの判断と同等な処理が可能なプログラムの自動処理により不要なデータの削除を行い、予め設定した騒音評価値への寄与の度合い以下になるまでこれらを繰り返し行うものである。
【0032】
更には、第7の航空機騒音データ分析処理方法は、コンピュータに取り込んだ騒音信号の経時変化より所定の閾値を超え、且つ、閾値を所定の時間以上連続して越える部分を航空機通過時の騷音信号経時変化とした時、騒音評価値を集計する過程において航空機以外の不要な騷音信号データを削除することを目的とし、最大値の最も大きい騷音信号の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にコンピュータの表示装置及び音響再生装置により提示してオペレータの判断、又は、最大値の最も大きい騷音信号の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にオペレータの判断と同等な処理が可能なプログラムの自動処理により不要なデータの削除を行い、予め設定した騒音評価値への寄与の度合い以下になるまでこれらを繰り返し行うものである。
【0033】
更には、第8の航空機騒音データ分析処理方法は、第7に記載の航空機騒音データ分析処理方法において、同時に測定記録した航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を同時に表示するものである。
【0034】
更には、第9の航空機騒音データ分析処理方法は、第7又は第8に記載の航空機騷音データ分析処理方法において、測定記録した航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を同時に表示するものである。
【0035】
更には、第10の航空機騒音データ分析処理方法は、コンピュータに取り込んだ騒音信号と同時に測定記録した航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を最大値の最も大きい騷音信号の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にコンピュータの表示装置及び音響再生装置により提示してオペレータの判断、又は、コンピュータに取り込んだ騒音信号と同時に測定記録した航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を最大値の最も大きい騷音信号の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にオペレータの判断と同等な処理が可能なプログラムの自動処理により不要なデータの削除を行い、予め設定した騒音評価値への寄与の度合い以下になるまでこれらを繰り返し行うものである。
【0036】
更には、第11の航空機騒音データ分析処理方法は、コンピュータに取り込んだ騷音信号と同時に測定記録した航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を最大値の最も大きい騷音信号の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にコンピュータの表示装置及び音響再生装置により提示してオペレータの判断、又は、コンピュータに取り込んだ騷音信号と同時に測定記録した航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を最大値の最も大きい騷音信号の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にオペレータの判断と同等な処理が可能なプログラムの自動処理により不要なデータの削除を行い、予め設定した騒音評価値への寄写の度合い以下になるまでこれらを繰り返し行うものである。
【0037】
更には、第12の航空機騒音データ分析処理方法は、コンピュータに取り込んだ騒音信号と同時に測定記録した航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化と航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を最大値の最も大きい騷音信号の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にコンピュータの表示装置及び音響再生装置により提示してオペレータの判断、又は、コンピュータに取り込んだ騒音信号と同時に測定記録した航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化と航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を最大値の最も大きい騷音信号の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にオペレータの判断と同等な処理が可能なプログラムの自動処理により不要なデータの削除を行い、予め設定した騒音評価値への寄与の度合い以下になるまでこれらを繰り返し行うものである。
【0038】
更には、第13の航空機騷音データ分析処理方法は、前記騒音評価値はWECPNL値であることを特徴とする第1乃至第12に記載の航空機騷音データ分析処理方法。
【0039】
更には、第14の航空機騷音データ分析処理方法は、前記騒音評価値はLAeq値等のエネルギー値であることを特徴とする第1乃至第12に記載の航空機騷音データ分析処理方法。
【実施例】
【0040】
即ち、本発明の航空機騒音データ分析処理方法は、複数の測定局で測定計を用いて数日間連続して、且つ、同時に航空機の騒音を自動測定するものであり、測定された騒音データは0.1秒乃至1秒毎にコンピュータに取り込むものである。
【0041】
次いで、コンピュータに取り込んだ騒音データは中央局に集められ、中央局に集められた夫々の騒音データは騒音レベル波形として表示装置、つまり、モニタ、プリンタ等によって表示されるものであるが、最大値の最も大きい騒音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示させるものである。
【0042】
そして、最大値は、予め所定の閾値を設定しておき、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化より所定の閾値を超え、且つ、閾値を所定の時間以上連続して越える部分を航空機の通過時の騷音データとするものである。
【0043】
次いで、モニタ又はプリンタ等のコンピュータの表示装置に表示された騷音信号の騒音レベル波形をオペレータが目視して、騒音評価値を集計するために、オペレータの判断で航空機以外の不要な騷音データの削除を行い予め設定した騒音評価値への寄与の度合い以下になるまでこれらを繰り返し行うものである。
【0044】
更に、測定記録された航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を同時に表示装置に表示するものである。
【0045】
更には、測定記録された航空機が発する対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を同時に表示装置に表示するものである。
【0046】
更には、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を表示装置に最大値の最も大きい騒音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示するものである。
【0047】
そして、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機が発する対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を表示装置に最大値の最も大きい騒音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示するものである。
【0048】
更には、コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化と、航空機が発する対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を表示装置に最大値の最も大きい騷音の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示するものである。
【0049】
又、コンピュータのモニタやプリンタ等の表示装置に表示させると共に、音響再生装置により音響として再生させて、オペレータの判断で不要なデータの削除を行い予め設定した騒音評価値への寄与の度合い以下になるまでこれらを繰り返し行うものである。
【0050】
そして、コンピュータに取り込んだ騒音信号と同時に測定記録した航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を最大値の最も大きい騷音信号の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にコンピュータの表示装置及び音響再生装置により提示するものである。
【0051】
更に、コンピュータに取り込んだ騷音信号と同時に測定記録した航空機が発する対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を最大値の最も大きい騷音信号の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にコンピュータの表示装置及び音響再生装置により提示するものである。
【0052】
更には、コンピュータに取り込んだ騒音信号と同時に測定記録した航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化と航空機が発する対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を最大値の最も大きい騒音信号の経時変化データ又は騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にコンピュータの表示装置及び音響再生装置により提示するものである。
【0053】
本発明の航空機騒音データ分析処理方法は、前述のように、オペレータの判断で不要なデータの削除を行い予め設定した騒音評価値への寄与の度合い以下になるまでこれらを繰り返し行うものであるが、オペレータの判断と同等な処理が可能なプログラムの自動処理により不要なデータを予めコンピュータに登録することにより、自動的に処理できるものである。
【0054】
次いで、任意の日の任意の測定局の記録されたコンピュータの騒音データの騒音レベル波形の大きい方から順にソートし、最も大きい騒音レベル波形から表示装置に表示、及び、音響再生装置で再生させるものである。
【0055】
そして、本発明の航空機騷音データ分析処理方法の騒音評価値はWECPNL値であり、WECPNLの値に一定の寄与率を設定して乗じ、WECPNLに一定の寄与率を乗じた数値以上の騒音レベル波形のみをオペレータが目視して航空機騒音以外の騒音を判断して削除するものである。
【0056】
次いで、我が国においては加重等価平均騒音レベルはWECPNL(Weighted Equivalent Continuous Perceived Noise Level)が採用されているが、諸外国ではLAeq等のエネルギー評価値が用いられており、次実施例は騒音評価値としてLAeq値を用いたものである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は航空機騒音データの分析処理方法であり、騒音レベル波形による分析処理の作業効率を向上させるために、WECPNL又はLAeq等のエネルギー評価値の評価は1機ごとの最大騒音レベルデータをパワー平均した値を基本としているため、dB値の大きなデータほど、WECPNLに与える寄与が大きいもので、例えば、80dB1機のデータと、70dB10機のデータ、及び、60dB100機のデータは等価なものである。
【0058】
つまり、80dBでデータが測定されている場所、日にちのデータをチェックしているときに、60dBのデータを見落としたところで殆ど大勢には影響を及ぼさないもので、処理時間を短縮するために、測定データを大きい順にソートし、WECPNL又はLAeq等のエネルギー評価値への寄与の大きいデータだけをオペレータがチェックするようにできれば、データの精度を落さずに処理負担を軽減できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大値の最も大きい騒音の経時変化データ、又はWECPNL値若しくはLAeq値である騒音評価値に一定の寄与率を乗じた数値以上の騒音レベル波形の騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番にモニタ又はプリンタ等のコンピュータの表示装置に表示することを特徴とする航空機騒音データ分析処理方法。
【請求項2】
測定記録された航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を同時に表示装置に表示することを特徴とする請求項1に記載の航空機騒音データ分析処理方法。
【請求項3】
測定記録された航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を同時に表示装置に表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の航空機騒音データ分析処理方法。
【請求項4】
コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化を表示装置に最大値の最も大きい騒音の経時変化データ、又はWECPNL値若しくはLAeq値である騒音評価値に一定の寄与率を乗じた数値以上の騒音レベル波形の騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示することを特徴とする航空機騷音データ分析処理方法。
【請求項5】
コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を表示装置に最大値の最も大きい騒音の経時変化データ、又はWECPNL値若しくはLAeq値である騒音評価値に一定の寄与率を乗じた数値以上の騒音レベル波形の騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示することを特徴とする航空機騷音データ分析処理方法。
【請求項6】
コンピュータに取り込んだ騷音信号の経時変化と航空機が発するトランスポンダ応答信号の電界強度及び/又は高度の経時変化と、航空機の対地距離測定装置が使用する電波の電界強度の経時変化及び/又は到来方向情報を表示装置に最大値の最も大きい騷音の経時変化データ、又はWECPNL値若しくはLAeq値である騒音評価値に一定の寄与率を乗じた数値以上の騒音レベル波形の騒音評価値に最も寄与を与える経時変化データから順番に表示する航空機騒音データ分析処理方法。

【公開番号】特開2009−180738(P2009−180738A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107613(P2009−107613)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【分割の表示】特願2004−357365(P2004−357365)の分割
【原出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(390029023)日東紡音響エンジニアリング株式会社 (19)
【Fターム(参考)】