色パラメータ管理装置およびその情報管理方法
【課題】 プリンタや画像記録条件、出力色調に合わせたカラールックアップテーブル(LUT)を作成して色処理に適用することにより、プリンタの出力色調をカスタマイズすることが行われている。この手法により新たなLUTを作成、登録した際に、印刷設定に対応するLUTが存在しない、または一意に特定できないという問題が生じていた。
【解決手段】 出力色調と画像記録条件のすべての組み合わせに対してそれぞれただ一つのLUTを対応付ける対応付け情報を保持、管理する。新たな出力色調を定義する際には、既存の出力色調に関する対応付け情報の一部またはすべてを流用する。一部の画像記録条件に対するLUTだけを作成した場合にもすべての画像記録条件に対してLUTが対応付けられている状態を維持する。
【解決手段】 出力色調と画像記録条件のすべての組み合わせに対してそれぞれただ一つのLUTを対応付ける対応付け情報を保持、管理する。新たな出力色調を定義する際には、既存の出力色調に関する対応付け情報の一部またはすべてを流用する。一部の画像記録条件に対するLUTだけを作成した場合にもすべての画像記録条件に対してLUTが対応付けられている状態を維持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は色処理に用いる色パラメータデータを管理するための色パラメータ管理装置およびその情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタの出力色調をユーザの要望に応じてカスタマイズするために、カラールックアップテーブル(以下LUTと称する)を用いた色処理が行われている。この手法でLUTを作成、調整して色処理に用いることにより、印刷に用いるプリンタや印刷対象の紙種の違いによる発色の差を吸収することができる。また目的に合わせたLUTを用意することにより、他のプリンタの出力色に似せた色味で出力したり出力色を少し赤くしたりするように、出力色調を変えることもできる。
【0003】
このようなLUTは、印刷対象の紙種等の画像記録条件毎、また目的とする出力色調毎に作成し、使い分ける必要がある。従来はLUTに加え関連する属性情報を内包するICCプロファイルを用い、印刷対象の紙種に対応するICCプロファイルを選択して色処理を行っていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4086562号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ICCプロファイルは色処理システムへの登録が自由に行える。そのため特定の印刷設定(色調、紙種の組み合わせ)に対応するものがあっても、同じ色調で紙種を変えたものが存在しなかったり、逆に前記のような特定の印刷設定に対応するICCプロファイルが複数存在する可能性がある。前記存在しない場合にはエラーになったり他のICCプロファイルが代替として適用されるという好ましくない結果となる。逆に複数存在する場合はその中のどれが適用されるかが不明確になる。ユーザが色調カスタマイズのためにICCプロファイルを追加登録しても、同一印刷設定に対応するICCプロファイルが既に存在していた場合、前記追加登録したICCプロファイルが使用されるかどうかが不確定という好ましくない状態となる。
【0006】
そこで本発明では色処理システムにおける印刷設定とLUTの対応付けを明確にし、色調のカスタマイズ結果を確実に適用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述のような課題を解決するための本発明の色パラメータ管理装置は、印刷装置が印刷する画像データに対して適用する色パラメータを管理する色パラメータ管理装置であって、複数組の色パラメータを格納する第1の格納手段と、色調の設定および前記印刷装置における画像記録条件の有効な値のすべての組み合わせに対して、それぞれただ一つの前記色パラメータを対応づける対応付け情報を格納する第2の格納手段と、前記第1の格納手段に新たな色パラメータを追加格納する第1の登録手段と、前記第2の格納手段の対応付け情報を追加および変更する第2の登録手段と、前記色調の設定および前記画像記録条件を取得する印刷設定取得手段と、前記取得した色調の設定および画像記録条件に基づいて第2の格納手段内を検索し、対応付けられた色パラメータを特定する検索手段と、第1の格納手段から前記特定された色パラメータを取得する取得手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
色処理システムにおける印刷設定のすべての組み合わせに対してそれぞれただ一つのLUTを対応付けることにより、ユーザが選択した印刷設定に対して適切なLUTを使った色処理を適用することができる。またLUTをカスタマイズした際にも既存のLUTを上書き更新し、カスタマイズ結果を確実に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】色処理システムの構成の一例を示す図である。
【図2】カラープリンタの構成を示す図である。
【図3】色調整PCの構成を示す図である。
【図4】LUTマップ格納部の情報の例を示す表である。
【図5】LUT一覧情報の例を示す表である。
【図6】印刷ジョブのデータ構成の一例を示した図である。
【図7】カスタマイズジョブのデータ構成の一例を示した図である。
【図8】カラープリンタのジョブ処理時の処理動作を示すフローチャートである。
【図9】色調整アプリケーションの処理動作を示すフローチャートである。
【図10】他のプリンタへの色合わせの処理動作を示すフローチャートである。
【図11】色調の微調整の処理動作を示すフローチャートである。
【図12】色調の初期化の処理動作を示すフローチャートである。
【図13】紙種の追加の処理動作を示すフローチャートである。
【図14】カラープリンタの他の構成を示す図である。
【図15】カラープリンタのジョブ処理時の処理動作の他の例を示すフローチャートである。
【図16】カラープリンタのジョブ設定変更時の処理動作を示すフローチャートである。
【図17】色処理システムの構成の他の例を示す図である。
【図18】色調整PCの他の構成を示す図である。
【図19】プリンタドライバでの印刷処理時の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
<実施形態1>
図1は、実施形態1における色処理システムの構成の一例を示す図である。図1に示す色処理システムは、カラープリンタ101、クライアントPC102、色調整PC103で構成され、これらはネットワーク104を介して接続される。クライアントPC102はモニタ表示や画像処理に必要なCPU、RAM等や、ネットワークを介した通信に必要な通信機能を備えている。
【0012】
図2は、カラープリンタ101の構成を示す図である。カラープリンタ101は、ネットワーク104に接続し、クライアントPC102、色調整PC103と通信するためのネットワークI/F(インタフェース)部201、ジョブデータを制御するジョブ制御部202を含む。また印刷ジョブに含まれる画像データのレンダリングを行うレンダリング部203、画像データに対する色処理に用いるパラメータを格納する色パラメータ格納部204、印刷を行う出力部206と出力部206を制御するエンジン制御部205も含む。
【0013】
色パラメータ格納部204は、色処理のために用いられる3次元LUTおよびその付随情報を格納するLUT格納部211、および印刷設定とその設定に対応して使用すべきLUTとの対応付け情報を格納したLUTマップ格納部212を含む。またエンジン制御部205は、前記LUT格納部211に格納されているLUTを用いた色処理をレンダリング済みの前記画像データに対して行う色処理部221、色処理部211が使用するLUTを一時的に保持する色パラメータ一時格納部222を含む。
【0014】
カラープリンタ101のハードウェアはCPU、HDD(ハードディスクドライブ)、ROM、RAMを含む。またネットワークI/Fおよびインクジェットヘッドを有する画像記録機構を含み、これらのハードウェアが連係動作することにより前記各部の機能を実現する。カラープリンタ101内のジョブ制御部202、色パラメータ格納部204と当該色パラメータ格納部204に含まれるLUT格納部211、LUTマップ格納部212が、本実施形態における色パラメータ管理装置を構成する。
【0015】
図3は、色調整PC103の構成を示す図である。色調整PC103はカラープリンタ101と通信するためのネットワークI/F部301を含み、カラープリンタ101の出力色調を設定する機能を持った色調整アプリケーション302を実行する。また測色機321とUSB(Universal Serial Bus)を介して接続される。
【0016】
色調整アプリケーション302はアプリケーション全体の動作を制御するアプリケーション制御部311、カラープリンタ101の色処理部221と同等の色処理を行うことができる色処理部312を有する。また測色機321を制御し、印刷物の色を読み取り数値化する測色部313、カラープリンタ101で印刷するための印刷ジョブを生成するプリントデータ作成部314も有する。色調整アプリケーション302は、さらにLUT格納部315、LUTマップ格納部316、画像データ格納部317、追加LUT格納部318も有する。LUT格納部315はカラープリンタ101用のLUTを格納し、LUTマップ格納部316はカラープリンタ101における印刷設定とLUTとの関係情報を格納する。前記LUTおよび前記関係情報は、カラープリンタ101から取得し、あるいは色調整アプリケーション302が生成するものである。画像データ格納部317は、後述する他のプリンタへの色合わせおよび色調の微調整の各処理でカラープリンタ101用のLUTを作成する際に印刷する画像データを格納する。追加LUT格納部318は、カラープリンタ101で使用可能な用紙の種類を追加するために、後述する紙種の追加処理でカラープリンタ101のLUT格納部211へ格納する追加LUTを格納する。前記追加LUTはカラープリンタ101のメーカーが提供する。
【0017】
色調整PC103のハードウェアは、CPU、HDD、RAM、入力装置であるキーボードおよびマウス、表示装置であるLCD(液晶ディスプレイ)を含む。またネットワークI/FおよびUSB I/Fも含み、これらのハードウェアが連携動作することにより前記各部の機能を実現する。
【0018】
図4は、カラープリンタ101のLUTマップ格納部212に格納される情報の例を表形式で示したものである。色調ID401は各色調に割り当てられた固有の番号である。種別402は各色調の種別を示し、カラープリンタ101のメーカーが提供した色調であることを示す「プリセット」、またはカラープリンタ101のユーザが追加したものであることを示す「カスタム」のいずれかの値を取る。以後、種別402が「プリセット」である色調をプリセット色調、「カスタム」である色調をカスタム色調と称する。登録状態403は各色調が使用可能な状態にあるかどうかを示し、「使用可」と「未登録」のいずれかの値を取る。ベース色調404はカスタム色調が後述の他のプリンタへの色合わせおよび色調の微調整の各処理で作成された際にどのプリセット色調から派生したものであるかを、派生元のプリセット色調の色調IDで示す。プリセット色調に対しては当該色調の色調IDを保持する。また未登録の色調についてのベース色調404は未設定であり図4では「―」で示している。
【0019】
LUTマップ405は、各色調での印刷を行う際に、カラープリンタ101での画像記録条件の組み合わせに応じて使用すべきLUTを特定する情報を記録する。本実施形態での前記画像記録条件は、使用する用紙の種類(用紙A、用紙B、...、用紙X)とカラーモード(カラーまたはグレースケール)である。LUTを特定する情報としては後述するLUT ID501を使用する。登録状態403が使用可となっているすべての色調において、用紙の種類とカラーモードのすべての組み合わせに対して、それぞれただ一つのLUT IDが登録される。
【0020】
このLUTは、後述するカラープリンタ101でのジョブ処理中に色処理部221が行う色処理時に用いられる。前記色処理は、入力画像情報中の各部の色を示す入力色空間の色値(R,G,B)を出力部206の特性に合わせたデバイス色空間の色値(R’,G’,B’)に変換するために用いられる。図4に示した色調の内、色調IDが0のものは、入力色空間がデバイス色空間と同一であることを前提としているものである。つまり前記変換によりR’=R、G’=G、B’=Bとするものであり、この色調に対応付けられているすべてのLUTの変更、調整は禁止されている。他の色調については、入力色空間はsRGBである。
【0021】
図5は、カラープリンタ101のLUT格納部211に格納される情報の内のLUT一覧情報の例を表形式で示したものである。この表の各行がそれぞれ単一のLUTに関する情報を保持する。LUT格納部211は前記LUT一覧情報の他、LUTの実体(数値データ群)も個別のファイルとして格納する。LUT ID501は個々のLUTを特定する情報であり、各LUTに対して異なる値が割り当てられる。LUT名称502はユーザ向けの情報であり、各LUTの内容を表す文字列値を含む。対象色調ID503は、各LUTがその作成時に図4に示された色調の内のどれに対応付けられているかを、色調ID401の値によって示すものである。後述の色調整アプリケーションによる各処理によってLUTが複数の色調に対応付けられたり、どの色調にも対応付けられていない状態に変更された場合でも、対象色調IDの値は更新されず初期値を保つ。対象紙種504、対象カラーモード505は、各LUTがどの画像記録条件、すなわちどの紙種、どのカラーモード用に対応付けられたものであるかを示す。微調整カウント406は、各LUTが作成されて以後、後述する色調の微調整処理を何回施されたかを示す値であり、初期値は0である。LUT実体のファイル名407は、LUT格納部211に格納されている各LUTの実体のファイル名を含む。
【0022】
図6は本実施形態の印刷システムでカラープリンタ101が受信、処理する印刷ジョブ601のデータ構成の一例を示した図である。印刷ジョブ601は印刷設定情報602と印刷データ603を含み、印刷設定情報601はさらに色調IDおよび画像記録条件である紙種、カラーモードについてのユーザによる指定情報を含む。また印刷データはカラープリンタ101で印刷すべき画像とその配置情報を示すデータを含む。カラープリンタ101は印刷ジョブ601を受信すると後述するプリンタでのジョブ処理により、前記画像記録条件で前記印刷データが定義する画像を紙面に印刷、出力する。
【0023】
図7は本実施形態の印刷システムでカラープリンタ101が受信、処理するカスタマイズジョブ701のデータ構成の一例を示した図である。カスタマイズジョブ701は処理種別情報702、処理パラメータ703を含み、処理種別によってはさらにLUT704を含む。処理種別702は色調一覧の取得、LUTの登録などのカラープリンタ101が行うべき処理種別を示す。処理パラメータは処理種別702で示された処理を行うために必要なパラメータを示す。またLUT704は、処理種別702がLUTの登録である場合に、登録すべきLUT実体のデータを保持する。カラープリンタ101はカスタマイズジョブ701を受信すると後述するプリンタでのジョブ処理により、色パラメータ格納部204内の前記LUTマップ、LUT一覧およびLUTの実体を更新、追加する。
【0024】
次に図を参照して本実施形態のカラープリンタ101の処理動作について説明する。図8はカラープリンタ101がネットワークI/F部201によってクライアントPC102または色調整PC103から送信されたジョブを処理する際の処理動作を示すフローチャートである。これらの処理はカラープリンタ101内のHDDに記録されたプログラムがRAMに読み出されCPUが前記プログラムを実行する、またはROMに記録されたプログラムをCPUが実行することにより実現される。
【0025】
ネットワークI/F部201がジョブを受信すると、ジョブ管理部202はジョブをキューに登録する。ジョブ管理部202は前記キューからジョブを受信順に一つずつ取り出し、当該ジョブの処理を開始する(ステップS101)。ジョブ管理部202は取り出したジョブの種別を参照し、それが図6に例示した印刷ジョブか、図7に例示したカスタマイズジョブかを判定する。印刷ジョブの場合はステップS103、カスタマイズジョブの場合はステップS109へ移行する(ステップS102)。
【0026】
印刷ジョブであった場合は、ジョブ制御部202は前記ジョブから印刷設定情報602を取得する(ステップS103)。次いでジョブ制御部202はレンダリング部203へ印刷設定情報602と印刷データ603を渡す。レンダリング部203は印刷データをエンジン制御部205が処理可能なビットマップ形式の画像データに変換し、ジョブ制御部202へ返す(ステップS104)。
【0027】
次にジョブ制御部202は色パラメータ格納部204へアクセスして、ステップS103で取得した印刷設定情報602の中から色調ID、紙種、カラーモードの各設定値の組合せに対応するLUTを取得する。例えば図6の印刷設定602では色調IDが101、紙種が用紙A、カラーモードがカラーとなっている。これに対してLUTマップ格納部212に格納されているLUTマップ情報を参照する。図4のLUTマップで色調ID401が101となっている色調のLUTマップ405を参照すると、カラーモードがカラー、紙種が用紙Aの欄のLUT IDはC000となっている。さらにLUT格納部211に格納されているLUT一覧情報を参照する。図5のLUT一覧情報を参照すると、LUT ID501がC000であるLUTのLUT実体のファイル名507はC000.lutとなっている。そこでジョブ制御部202はLUT格納部211からファイル名C000.lutのLUTを取得する(ステップS105)。
【0028】
その後ジョブ制御部202はステップS105で取得したLUTをエンジン制御部205へ転送する。当該LUTはエンジン制御部205の中で色パラメータ一時格納部222に格納される。この時、以前の印刷処理で使われたLUTが色パラメータ一時格納部222に残っていた場合、それは破棄され最新の印刷で使用するLUTだけが色パラメータ一時格納部222に保持される(ステップS106)。
【0029】
次にジョブ制御部202はステップS104でのレンダリング結果である画像データをエンジン制御部205へ送る。エンジン制御部205内の色処理部221はステップS106で色パラメータ一時格納部222が取得したLUTを使って、前記画像データに対して色処理を行う。その結果として出力部206の特性および印刷設定602で指定された色調、紙種、カラーモードに合致した色情報を持つ画像データを生成する(ステップS107)。その後エンジン制御部205は出力部206が用いるインク色や特性に合わせた色分解、量子化処理を行う。出力部206はこれらの処理結果データを取得、そのデータに従って、インクジェットヘッドからカラーインクを用紙へ吐出してカラー画像の出力を行う(ステップS108)。これにより単一のジョブに対する印刷処理を終わる(ステップS113)。
【0030】
一方、ステップS102での判定がカスタマイズジョブであった場合には、ジョブ制御部202はカスタマイズジョブの処理種別702を判定する。処理種別702が色パラメータ格納部204内の情報を取得するものであればステップS110、色パラメータ格納部204内の情報を更新するものであればステップS112へ移行する(ステップS109)。処理種別702が情報を取得するものであれば、ジョブ制御部202は色パラメータ格納部204へアクセスし、処理パラメータ703で指定された情報を取得する(ステップS110)。そして取得した情報をネットワークI/F部201を介してジョブ送信元へ送信する(ステップS111)。
【0031】
処理種別702が情報を更新するものであれば、ジョブ制御部202は色パラメータ格納部204へアクセスし、処理パラメータ703で指定された情報を更新する。例えば図7に示すカスタマイズジョブ701の処理時には、まずLUT格納部へLUTデータ704を書き込む。この時ジョブ制御部202は新規に書き込んだLUTデータ704に固有のファイル名を付け、ファイルとして保存する。次いでジョブ制御部202はLUT格納部211内のLUT一覧情報に新たな項目を追加し、LUT名称502、対象色調ID503、対象紙種504、対象カラーモード505に処理パラメータ703で指定された情報を記録する。またLUT実体のファイル名507には前記固有のファイル名を記録するとともに、LUT ID501として固有のLUT IDをつけて記録する。さらに微調整カウント506には0を記録する。カスタマイズジョブ701の例ではLUT一覧情報に図5の511に示した項目が追加される。その後ジョブ制御部202はLUTマップ格納部212に格納されているLUTマップ情報を処理パラメータ703の指定値に基づいて更新する。カスタマイズジョブ701の例では色調IDが101である色調についての情報(図4の411)を更新する。当該色調のLUTマップ405中で、カラーモードがカラー、紙種が用紙Aとなっている欄に前記固有のLUT IDを記録する。そして、ネットワークI/F部201を介して結果をジョブ送信元へ返送する。LUTを追加するカスタマイズジョブ701の場合には、登録したLUTのLUT ID501を送信元へ通知する(ステップS112)。前記情報の取得または情報の更新のいずれかの処理が完了すれば、単一のカスタマイズジョブに対する処理を終わる(ステップS113)。
【0032】
次に図を参照して本実施形態の色調整PC103における色調整アプリケーション302の処理動作について説明する。色調整PC103が行うこれらの処理は、色調整PC103内のHDDに記録されたプログラムがRAMに読み出されCPUが前記プログラムを実行することにより実現される。この時色調整PC103のキーボードおよびマウスを介してユーザ入力を受け付け、またLCDを通してユーザへ情報表示を行うことにより、色調整PC103はユーザに対して対話的な操作環境を提供する。
【0033】
図9は色調整PC103上の色調整アプリケーション302の処理を示すフローチャートである。色調整アプリケーション302が実行されると(ステップS201)、アプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力から実行すべき処理種別を取得する(ステップS202)。
【0034】
アプリケーション制御部311は前記取得した処理種別を判定する。他のプリンタへの色合わせであると判定した場合(ステップS203)は後述する他のプリンタへの色合わせ処理(ステップS204)を行う。前記取得した処理種別が色調の微調整である場合(ステップS205)は後述する色調の微調整処理(ステップS206)を行う。前記取得した処理種別が色調の初期化である場合(ステップS207)は後述する色調の初期化処理(ステップS208)を行う。前記取得した処理種別が紙種の追加である場合(ステップS209)は後述する紙種の追加処理(ステップS210)を行う。これらのいずれかの処理を行った場合は、前述のステップS202へ移行し次のユーザ入力を受け付ける。
【0035】
ユーザ入力で指定された処理種別が前記のいずれでもない場合(ステップS209)は、アプリケーション制御部311はユーザ入力が色調整アプリケーション302を終了させる指示であると判定し、一連の処理を終了する(ステップS211)。
【0036】
図10は色調整アプリケーション302が行う他のプリンタへの色合わせの処理動作を示すフローチャートである。色調整アプリケーション302で他のプリンタへの色合わせ処理(図9のステップS204)が起動される(ステップS301)とアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信する。この時情報取得のためのジョブを発行し、図4に例示するLUTマップ情報の全体を要求する。このジョブに対してカラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS110、S111の処理により、要求されたLUTマップ情報全体をLUTマップ格納部212から取得し、色調整PC103へ返送する。アプリケーション制御部311は返送されたLUTマップ情報をLUTマップ格納部316へ保存する(ステップS302)。
【0037】
次にアプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力からどの種類の用紙についての色合わせをするのかを取得する(ステップS303)。そしてプリントデータ作成部314は画像データ格納部317に記録されている測色用画像を使って印刷ジョブを作成し、カラープリンタ101へ送信する。この測色用画像は所定のR、G、Bの値の組合せからなるカラーパッチを所定の数配列した画像である。前記印刷ジョブの印刷設定として、色調IDは0、すなわち色処理部221での色処理時にR’=R、G’=G、B’=Bとなる色調を指定する。また画像記録条件として、紙種はステップS303で取得した紙種、カラーモードはカラーを指定する(ステップS304)。
【0038】
次に測色部313は測色機321との通信によりステップS304で印刷したカラーパッチ群の測色を行い、測色値を取得する。この時測色機への印刷物のセットと測色機の操作はユーザが行う(ステップS305)。また、測色部313は測色機321との通信により、カラープリンタ101の色味を合わせる対象とする、他のプリンタで印刷されたカラーパッチ群の測色を行い、測色値を取得する。このカラーパッチは予めユーザが前記測色用画像を前記他のプリンタで印刷することによって用意しておく(ステップS306)。その後アプリケーション制御部311は前記ステップS305、S306での測色結果をもとに、カラープリンタ101で前記画像処理条件の下で前記他のプリンタに似せた色調で印刷を行うためのLUTを作成する。作成したLUTはLUT格納部315に保存する(ステップS307)。
【0039】
アプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力からLUT情報としてLUT名称を取得する。これは図5のLUT一覧でLUT名称502に記録される文字列でありユーザが個々のLUTを識別するために用いるものである(ステップS308)。次に新規に作成したLUTを登録する色調の、カスタマイズ元とする転用元色調をどの色調にするかをユーザ入力から取得する。この時ユーザには、図4に例示するLUTマップで登録状態403が使用可となっている登録済み色調の内、色調IDが0であるものを除く、任意の色調を指定することを認める(ステップS309)。さらに新規に作成したLUTを登録する、登録先色調をどの色調にするかをユーザ入力から取得する。この時ユーザには、図4に例示するLUTマップで種別402がカスタムとなっている色調を指定することを認める。当該色調の登録状態403は使用可、未登録いずれでもよい。また当該色調は前記転用元色調と同一であってもよく、この場合は転用元色調のLUTマップを上書きすることを意味する(ステップS310)。
【0040】
これらのユーザ入力を受け、アプリケーション制御部311はカスタマイズジョブを作成し、カラープリンタ101へ送信することにより、前記作成したLUTをカラープリンタ101に登録する。まずステップS307で作成したLUTを追加登録するためのカスタマイズジョブを作成、送信する。この時処理パラメータ703内のLUT名称はステップS308で取得した文字列を、対象色調IDはステップS310で取得した色調IDを、対象紙種はステップS303で取得した紙種を指定する。対象カラーモードはカラー、微調整カウントは0とし、LUTデータ704としてステップS307で作成したLUTデータを含め、図7に例示した構成のカスタマイズジョブとしてカラープリンタ101へ送信する。カラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS112の処理により前記LUTデータ704をLUT格納部211に登録し、その結果として登録したLUTのLUT IDを色調整PC103へ返送する。アプリケーション制御部311はネットワークI/F部301を介して当該LUT IDを取得する。
【0041】
次いでLUTマップを更新登録するためのカスタマイズジョブを作成、送信する。この時、図4に例示するLUTマップ中の色調ID401が、ステップS310で取得した色調IDである色調の情報を更新する。ベース色調404はステップS309で選択された色調のベース色調をコピーする。LUTマップ405の中で、カラーモードがカラー、紙種がステップS303で取得した紙種である欄は前記カラープリンタ101から返送されたLUT IDとする。カラーモードと紙種のその他の組合せに対しては、ステップS302で取得したLUTマップ情報の中から、色調ID401がステップS309で取得した転用元色調のIDであるものをコピーする。こうして作成した1色調分のLUTマップ情報を処理パラメータ703として含むカスタマイズジョブをカラープリンタ101へ送信する。カラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS112の処理により前記1色調分のLUTマップ情報をLUTマップ格納部212に上書き登録し、その色調の登録状態403を使用可に更新する(ステップS311)。以上で他のプリンタへの色合わせのための一連の処理を終了する(ステップS312)。
【0042】
図11は色調整アプリケーション302が行う色調の微調整の処理動作を示すフローチャートである。色調整アプリケーション302で色調の微調整処理(図9のステップS206)が起動される(ステップS401)とアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信する。この時情報取得のためのジョブを発行し、図4に例示するLUTマップ情報の全体を要求する。本処理の詳細は他のプリンタへの色合わせ処理のステップS302の処理と同様である(ステップS402)。
【0043】
次にアプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力からどの色調について、微調整をするのかを取得する。この時色調IDが0である色調の選択は禁止する(ステップS403)。続けてユーザ入力から、前記色調のどの種類の用紙についての微調整をするのかを取得する(ステップS404)。
【0044】
アプリケーション制御部311は前記取得した対象色調と対象紙種から、前記取得したLUTマップの中のどの欄に対応するLUTを微調整対象とするかを特定する。なお本実施形態では、カラーモードとしてはカラーのみを微調整対象とする。例えばLUTマップの登録内容が図4に示したものである時に、対象色調として色調IDが1である色調、対象紙種として用紙Aを取得した場合には、LUTマップ405中のP100が微調整対象のLUTとなる。続けてアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へ再度カスタマイズジョブを送信する。今度はLUTマップの中の前記特定した欄に対応するLUTの取得を要求するカスタマイズジョブを送信する。このジョブに対してカラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS110、S111の処理により、LUT情報をLUT格納部211から取得し、色調整PC103へ返送する。この時色調整PC103は、図5に例示するLUT一覧の内、要求されたLUTに関する情報502〜506と、当該LUTの実体データを取得する。取得した前記情報とLUTはLUT格納部315に格納する(ステップS405)。
【0045】
次にアプリケーション制御部311は、前記対象色調の種別402と、取得したLUTに関する情報に含まれる微調整カウント506を判定に基づいて処理を分岐させる。色調の種別402がプリセットであり、かつ微調整カウント506があらかじめ決められた所定の整数値T以上である場合にはステップS407へ、そうでない場合にはステップS408へ、それぞれ移行する(ステップS406)。本処理で行う色調の微調整のためのLUTの変更は非線形の変換処理を含んでいる。変更結果のLUTに対して再度変更を行うことを繰り返すと、当初の色調からかけ離れていくことに加え、色処理部221での色処理に適用した際に画質が劣化することが見込まれる。そのためステップS406の分岐条件を満たした場合には、色調整PCのLCDを介してユーザにエラーを通知し、それ以上の微調整を禁止する(ステップS407)。そして色調の微調整処理を終了する(ステップS422)。
【0046】
一方ステップS406の分岐条件を満たさなかった場合、アプリケーション制御部311は色調整PCのキーボードおよびマウスを介してユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力から前記LUTに対して適用する微調整のパラメータ候補を取得する。前記パラメータ候補は、シアン、マゼンタ、イエローの各色と、濃度、コントラストの5項目について、それぞれを弱くすることを示す−10から強くすることを示す+10までの21段階の数値を受け付ける。例えばユーザが画像の黄味を強調し、コントラストを下げたい場合には、シアン=0、マゼンタ=0、イエロー=+3、濃度=0、コントラスト=−5のような値の組を指定する(ステップS408)。そしてユーザ入力からパラメータ候補の入力が完了したかどうかを判定する。ユーザがさらに別のパラメータ候補として前記5項目の数値の組を入力するよう所望している場合にはステップS408へ戻り、次の候補値の組の入力を受け付ける。パラメータ候補の入力が完了している場合には、ステップS410へ移行する(ステップS409)。
【0047】
ユーザがすべての調整パラメータ候補の入力を完了したら、アプリケーション制御部311は前記調整パラメータ候補の中から一つを選択する(ステップS410)。そして前記選択した調整パラメータ候補の値を用いて、ステップS405で取得したLUTを元に調整候補LUTを作成し、LUT格納部315に保存する(ステップS411)。アプリケーション制御部311はステップS410〜S411の処理が、ステップS408で取得したすべての調整パラメータ候補に対して行われたかどうかを判定する。未完了であればステップS410へ戻り、次のパラメータ候補について同様の処理を繰り返す。すべての調整パラメータ候補に基づいた調整候補LUTを作成済みであれば、ステップS413へ移行する(ステップS412)。
【0048】
すべての調整候補LUTを作成済みであれば、アプリケーション制御部311はステップS411で作成した調整候補LUTを一つ選択する(ステップS413)。そして色調整PCの色処理部312は前記選択した調整候補LUTを使ってテスト印刷用画像に対する色処理を行い、結果の画像データを画像データ格納部317へ一時保存する。前記テスト印刷用画像は予め画像データ格納部317に格納され用意されているものを用いる(ステップS414)。アプリケーション制御部311はステップS413〜S414の処理が、ステップS411で作成したすべての候補LUTに対して行われたかどうかを判定する。未完了であればステップS413へ戻り、次の候補LUTについて同様の処理を繰り返す。すべての候補LUTを使って色処理済みの画像データを作成済みであれば、ステップS416へ移行する(ステップS415)。
【0049】
次にプリントデータ作成部314は、ステップS414を繰り返し実行することにより画像データ格納部317に一時保存された画像群を使って印刷ジョブを作成し、カラープリンタ101へ送信する。前記印刷ジョブの印刷設定として、色調IDは0、すなわち色処理部221での色処理時にR’=R、G’=G、B’=Bとなる色調を指定する。また紙種はステップS404で取得した紙種、カラーモードはカラーを指定する(ステップS416)。これにより色処理部221が前記候補LUTを使って色処理をした結果をシミュレートした画像をカラープリンタ101で印刷する。その後アプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力からどの画像をユーザが選択したかを取得する。この時ユーザには、ステップS416で印刷されたテスト画像群を比較させ、これらの中から最も意図した色調に近いものを選択させる。アプリケーション制御部311は選択された画像を作成した時に使われた候補LUTを採用するLUTとして選択する(ステップS417)。
【0050】
アプリケーション制御部311は引き続きそしてユーザ入力からLUT情報として、そのLUTの名称とする文字列を取得する(ステップS418)。さらにアプリケーション制御部311はステップS417で選択されたLUTに対する微調整カウント値として、ステップS405で取得したLUTの微調整カウント値に1を加えたものを算出する(ステップS419)。アプリケーション制御部311は再度色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力から、作成したLUTの登録先の色調を取得する。登録先の色調としては、ステップS403で取得した調整対象の色調、および任意のカスタム色調の選択を認め、他の色調の選択は禁止する(ステップS420)。
【0051】
最後にアプリケーション制御部311はカスタマイズジョブを作成し、カラープリンタ101へ送信することにより、前記作成したLUTをカラープリンタ101に登録する。ここではステップS417で選択したLUTを追加登録するためのカスタマイズジョブを作成、送信し、ステップS420で選択した色調のLUTマップを更新登録するためのカスタマイズジョブを作成、送信する。本処理の詳細は他のプリンタへの色合わせ処理のステップS311の処理と同様である(ステップS421)。以上で色調の微調整処理を終了する(ステップS422)。
【0052】
図12は色調整アプリケーション302が行う色調の初期化の処理動作を示すフローチャートである。色調整アプリケーション302で色調の初期化処理(図9のステップS208)が起動される(ステップS501)とアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信する。この時情報取得のためのジョブを発行し、図4に例示するLUTマップ情報の全体を要求する。本処理の詳細は他のプリンタへの色合わせ処理のステップS302の処理と同様である(ステップS502)。
【0053】
次にアプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力からどの色調について、初期化をするのかを取得する(ステップS503)。アプリケーション制御部311はステップS502で取得したLUTマップ情報を参照し、ステップS503で取得した対象色調がプリセット色調かどうかを判定する。プリセット色調であればステップS505へ、そうでなければステップS508へ移行する(ステップS504)。
【0054】
前記対象色調がプリセット色調であれば、プリセット色調に対するLUTマップ情報を初期状態、つまり色調の微調整が行われる前の状態に戻す。そのため、カラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信する。この時図5に例示したすべてのLUTの一覧情報を要求する。このジョブに対してカラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS110、S111の処理により、要求されたLUT一覧情報全体をLUT格納部211から取得し、色調整PC103へ返送する。アプリケーション制御部311は返送されたLUT一覧情報をLUT格納部315へ保存する(ステップS505)。
【0055】
その後アプリケーション制御部311は取得したLUT一覧情報の中から、初期状態で前記対象のプリセット色調に対応付けられていたLUTを検索する。そのためにLUT一覧情報全体の中から、対象色調ID503が前記ステップS503で選択された色調のIDであり、微調整カウント506が0であるものを検索する。これをLUTマップ405に登録されているすべてのカラーモード(カラー、グレースケール)と用紙の種類(用紙A、用紙B、...用紙X)の組合せに対して行う。他のプリンタへの色合わせ処理ではプリセット色調への登録を認めていない(図10のステップS310)。また色調の微調整処理で作成されたLUTがプリセット色調に上書きされる際には微調整カウントが0より大になっている(図11のステップS419)。そのため前記条件で検索することにより初期状態でプリセット色調に対応付けられていたLUTを抽出することができる。その結果を元にアプリケーション制御部311は前記対象のプリセット色調に対応付けるLUTマップ情報を作成する(ステップS506)。
【0056】
アプリケーション制御部311は前記作成した対象色調に対するLUTマップを登録させるカスタマイズジョブをカラープリンタ101へ送信する。カラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS112の処理により前記対象色調分のLUTマップ情報をLUTマップ格納部212に登録する(ステップS507)。以上でプリセット色調の初期化処理を終了する(ステップS509)。
【0057】
一方、前記ステップS504でプリセット色調ではないと判定した場合は、対象色調はカスタム色調である。アプリケーション制御部311は前記対象のカスタム色調の登録状態403を未登録に変更させるカスタマイズジョブをカラープリンタ101へ送信する。カラープリンタ101側では図8のフローチャートのステップS112の処理により前記対象色調のLUTマップ情報中の登録状態403を未登録に変更する(ステップS508)。以上でカスタム色調の初期化処理を終了する(ステップS509)。
【0058】
図13は色調整アプリケーション302が行う紙種の追加の処理動作を示すフローチャートである。図4に例示した構成のLUTマップにまだ登録されていない新たな紙種をカラープリンタ101で使用できるようにするためには本処理を行う必要がある。色調整アプリケーション302で紙種の追加処理(図9のステップS210)が起動される(ステップS601)とアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信する。この時情報取得のためのジョブを発行し、図4に例示するLUTマップ情報の全体を要求する。本処理の詳細は他のプリンタへの色合わせ処理のステップS302の処理と同様である(ステップS602)。紙種の追加処理は図4に例示するLUTマップ405に新たな列を追加する操作に相当する。
【0059】
アプリケーション制御部311は追加LUT格納部318から、新たに追加される紙種用の追加LUTの情報を取得する(ステップS603)。ここでは各追加LUTのLUT名称502〜対象カラーモード505の各情報を取得する。前記追加LUT情報は、追加LUTの実体とともに、すべてのプリセット色調に対応付けられるものがカラープリンタ101のメーカーから提供される。追加LUT格納部318は前記メーカーから提供されるCD−ROM、DVDなどの記憶媒体に含まれる。前記追加LUT格納部318は色調整PC103のHDD中に含まれるものであってもよい。この場合、前記追加LUT情報およびLUTの実体を前記CD−ROM、DVDなどの記憶媒体から前記HDDにコピーすることにより追加LUT格納部318は構成される。また前記追加LUT情報およびLUTの実体はインターネットなどの通信経路を介してカラープリンタ101のメーカーから提供され、前記HDDにコピーされるように構成されてもよい。
【0060】
アプリケーション制御部311は、前記ステップS602で取得したLUTマップ情報の中から登録状態403が使用可である色調を一つ選択する(ステップS604)。そして前記選択した色調がプリセット色調かどうかを判定する。プリセット色調の場合はステップS606へ、そうでない場合はステップS607へ移行する(ステップS605)。プリセット色調であった場合は、前記追加LUT情報の中に当該色調に対応付けられたLUTが存在するため、アプリケーション制御部311はそのLUTを検索、取得する(ステップS606)。前記選択した色調がプリセット色調でなかった場合は、前記追加LUT情報の中に当該色調そのものに対応付けられたLUTは存在しない。そこでアプリケーション制御部311は前記LUTマップ情報から前記選択した色調のベース色調404を取得し、当該ベース色調に対応付けられた追加LUTを検索、取得する(ステップS607)。
【0061】
いずれの場合もアプリケーション制御部311は、LUTマップ格納部316に格納されたLUTマップを更新する。この時当該LUTマップへ、ステップS604で選択された色調と新規追加する紙種との組合せの欄を設け、ステップS606またはS607で取得したLUTを対応付ける。この時点では各LUTにLUT IDは割り当てられていないため、追加LUT格納部318内での各LUTのファイル名を関連付け情報として用いる(ステップS608)。ステップS606〜S608の各処理は、すべてのカラーモード(カラー、グレースケール)に対して行う。
【0062】
アプリケーション制御部311はステップS604〜S608の処理を前記ステップS602で取得したLUTマップ情報の中の、登録状態403が使用可であるすべての色調に対して実行したかどうかを判定する。未完了であればステップS604へ戻り、次の色調について同様の処理を繰り返す。すべての色調について実行済みであればステップS610へ移行する(ステップS609)。
【0063】
最後にアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信することにより、追加LUTをカラープリンタ101に登録する。まず追加LUT格納部のすべてのLUTを追加登録するためのカスタマイズジョブを作成、送信する。カラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS112の処理により前記LUTデータ704をLUT格納部211に登録し、その結果として登録された各LUTのLUT IDを色処理PC103へ返送する。アプリケーション制御部311はネットワークI/F部301を介して当該LUT IDを取得する。アプリケーション制御部311はすべてのLUTを登録後、LUTマップを更新登録するためのカスタマイズジョブを作成、カラープリンタ101へ送信する。この時すべての色調についてのLUTマップを更新させる。LUTマップ中の新規追加する紙種に対する欄には、前記ステップS608で記録した関連付け情報に基づいて、前記LUTの登録時に取得したLUT IDを設定する。こうして作成した各色調のLUTマップ情報を処理パラメータ703として含むカスタマイズジョブをカラープリンタ101へ送信する。カラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS112の処理により前記各色調のLUTマップ情報をLUTマップ格納部212に登録し、それらの色調の登録状態403を使用可に更新する(ステップS610)。以上で紙種の追加のための一連の処理を終了する(ステップS611)。
【0064】
以上の構成を取ることにより、ユーザが印刷設定としてどのような色調、画像記録条件(カラーモード、紙種)の組み合わせを指定しても、それらの組み合わせに適するものとして対応付けられたただ一つのLUTが印刷時の色処理に使われる。これは図4に示したLUTマップ405の形式で前記印刷設定に対するLUTの対応付けを定義しているためである。印刷設定の組み合わせに対応付けられたLUTが存在せず、代替のLUTが選択されるということはないため、適切な色味での印刷を行うことができる。逆に印刷設定の特定の組み合わせに対して複数のLUTが対応づけられるということもない。そのため印刷設定を決めればそれに対する色味も一意に決まる。色調の微調整を行い、結果を元の色調に上書きした場合も、元のLUTは確実に置き換えられ、意図しない色味での印刷を避けることができる。
【0065】
また他のプリンタへの色合わせ、色調の微調整の各処理により新たな色調を作成する際には、既存のベース色調のLUTマップを元に、作成したLUTに対する対応付けだけを更新する(ステップS311、S421)。これによりLUTの新規作成のための作業をすべての画像記録条件の組み合わせに対して行わずとも、すべての画像記録条件の組み合わせに対してLUTがただ一つずつ対応付けられた状態を維持する。
【0066】
他のプリンタへの色合わせや色調の微調整を行った場合には、測色用チャートの印刷(ステップS304)や候補LUTを使った画像印刷(ステップS416)を行った紙種に対してLUTを対応付ける(ステップS311、S421)。そのためLUTの紙種への対応付けを誤って登録することがない。
【0067】
色調にプリセットとカスタムの別を設け、プリセット色調に対しては他のプリンタへの色合わせにより作成したLUTの登録や、所定数Tを超える回数の微調整を禁止している。そのためプリセット色調に対しても初期の色味からかけ離れない範囲での調整を認め、色調に対するメーカーの意図を守りつつユーザによるカスタマイズを実現することができる。一方カスタム色調に対しては制限を設けず、ユーザの自由な意図を色調に反映することができる。所定数Tは1以上の任意の整数を適用することができる。
【0068】
図4中での色調IDが1と101の二つの色調のように、複数の色調で共通のLUTを共有することができる。そのためデータサイズの大きいLUTを用いる場合にもカラープリンタ内部でのLUT格納部211の格納容量を低減することができる。
【0069】
本実施形態ではカラーモードがカラーであるLUTのみをユーザによるカスタマイズの対象としたが、グレースケール用のLUTについても同様の効果を得るようにすることができる。この場合他のプリンタへの色合わせ処理、色調の微調整処理で、処理対象の紙種に加えカラーモードもユーザ入力から取得し、ユーザが選択したカラーモードに応じた処理を行うようにすればよい。
【0070】
また本実施形態ではLUTの選択に関わる画像記録条件として紙種とカラーモードを取り上げた。カラープリンタ101が印刷速度や印刷品位、使用するインクの種類等、前記以外の画像記録条件を選択できるものであれば、これらの項目もLUTの選択に関わる画像記録条件として使用することができる。
【0071】
<実施形態2>
実施形態2における色処理システムの構成は図1に示した実施形態1のものと同様である。またシステム内部の構成や処理動作にも共通部分があるため、以下、添付図面を参照して実施形態2の実施形態1との差異について説明する。
【0072】
図14は実施形態2におけるカラープリンタ101の構成を示す図である。この内ネットワークI/F部201〜出力部206、LUT格納部211、LUTマップ格納部212、色処理部221および色パラメータ一時格納部222は図2に示した実施形態1におけるカラープリンタ101と同様であり、説明を省略する。本実施形態におけるカラープリンタ101は前記各構成要素に加え、UI制御部231とタッチパネルディスプレイ部232を備える。UI制御部231はタッチパネルディスプレイ部232を制御し、カラープリンタ101のオペレータに対して対話的な操作環境を提供する。
【0073】
UI制御部231はタッチパネルディスプレイ部232を介してカラープリンタ101のオペレータから、出力部206にセットされている印刷用紙の紙種情報の入力を受け付ける。UI制御部231は出力部206に印刷用紙がセットされるたびにこの処理を実行し、取得した紙種情報をジョブ制御部202に渡す。またUI制御部231はタッチパネルディスプレイ部232を介してカラープリンタ101のオペレータから、キューに登録されているジョブの設定変更に関する入力を受け付ける。
【0074】
本実施形態におけるカラープリンタは図6に例示する印刷ジョブ、図7に例示するカスタマイズジョブを処理する。ただし印刷ジョブ601における印刷設定602の紙種として、具体的な紙種の他に「自動」という値を受信、処理可能である。
【0075】
図15は本実施形態におけるカラープリンタ101がネットワークI/F部201によってクライアントPC102または色調整PC103から送信されたジョブを処理する際の処理動作を示すフローチャートである。この内ステップS1101〜S1103およびS1106〜S1115は、実施形態1の図8におけるステップS101〜S103およびS104〜S113と同様である。
【0076】
本実施形態ではステップS1103で印刷設定情報602を取得した後、ジョブ制御部202が前記印刷設定情報中の紙種の指定が「自動」であるかどうかを判定する。自動である場合はステップS1105へ移行し、そうでない場合にはステップS1106へ移行する(ステップS1104)。紙種の指定が「自動」であると判定した場合は、ジョブ制御部202は前記UI制御部231から取得した出力部の紙種情報によって前記印刷設定情報中の紙種の指定を上書き更新する(ステップS1105)。この処理によりユーザがクライアントPCからジョブを送信する時点で印刷に使用可能な紙種が決まっていない場合には、印刷設定として紙種=自動と設定しておくことができるようになる。その場合、出力部206にセットされている用紙に対して対応付けられているLUTが後続のステップS1107で選択され、ステップS1109で適正な色処理を施して印刷を行うことができる。
【0077】
図16は本実施形態でカラープリンタ101のオペレータがタッチパネルディスプレイ部232を介してキューに登録されているジョブの設定変更を行った場合に行う際の処理動作を示すフローチャートである。
【0078】
カラープリンタ101のオペレータがジョブの設定変更操作を開始すると(ステップS1201)、UI制御部231はタッチパネルディスプレイ部232を制御しオペレータからの入力を受け付ける。タッチパネルディスプレイ部232はキューに登録されているジョブの一覧を表示し、ユーザ入力から処理対象とする印刷ジョブの選択指定を取得する(ステップS1202)。さらに前記選択指定された印刷ジョブの印刷設定変更内容として、変更後の紙種を取得する(ステップS1203)。ジョブ制御部202はキューに登録されている前記選択指定された印刷ジョブの印刷設定602を前記取得した紙種に従って更新し(ステップS1204)、ジョブの設定変更処理を終了する(ステップS1205)。
【0079】
以後図15の処理により前記選択指定された印刷ジョブが処理される際には、図16の処理により変更された設定に従ってLUTの取得が行われる。このことにより、カラープリンタ101の状態やその場で使用可能な用紙の種類、オペレータの判断によって印刷用紙を変更することができる。その際、ジョブを投入したクライアントPC102側で再設定やジョブの再投入をすることなく、変更後の印刷設定にあった適切なLUTを使った色処理を行うことができる。
【0080】
本実施形態においても色調整アプリケーション302の機能は実施形態1と同様に適用することができる。そのため他のプリンタへの色合わせや色調の微調整による色調のカスタマイズが可能であり、それらの色調を使って前記のような印刷処理、設定変更操作を行うことができる。
【0081】
これらの構成を取ることにより、本実施形態においても実施形態1と同様の効果が得られる。また加えて、カラープリンタ101のオペレータ判断や印刷現場の状況に応じてジョブ投入後に紙種の変更を行うことができる。またジョブ投入時に紙種=自動と設定し、カラープリンタ101の設定によって紙種を指定することもできる。これらの場合にも最終的に適用される色調と画像記録条件の組み合わせに対して対応付けられたただ一つのLUTが色処理に用いられることには変わりない。
【0082】
本実施形態では出力部206にセットされている印刷用紙の紙種情報はタッチパネルディスプレイ部232を介してオペレータが入力するものとしたが、出力部206が紙種を判定し、ジョブ制御部202に判定結果を渡すように構成してもよい。この時紙種の判定方法としては、用紙表面の光沢度を測定するなどの方法を適用することができる。
【0083】
<実施形態3>
実施形態1および2では、カラープリンタ101が色パラメータを保持し、色処理を行う構成をとった。それに対し本実施形態は、記憶容量やCPU性能が豊富ではないカラープリンタを想定したものである。
【0084】
図17は本実施形態における色処理システムの構成を示す図である。カラープリンタ1101とクライアントPC1102がネットワーク1103を介して接続されている。カラープリンタ1101はネットワーク1103を介して受信した画像記録コマンドに従って紙面への印刷を行う機能を持つものである。
【0085】
図18は本実施形態におけるクライアントPC1102の構成を示す図である。クライアントPC1102はプリンタドライバ1201、色調整アプリケーション1202、ネットワークI/F部1203、文書作成アプリケーション1204を含む。プリンタドライバ1201はユーザによる印刷設定と各種アプリケーションで作成された文書類に基づいて、当該文書類を印刷させるためにカラープリンタ1101に特有の画像記録コマンドを生成する。プリンタドライバ1201は印刷設定管理部1211、ラスタライズ部1212、色処理部1213、コマンド生成部1214、色パラメータ格納部1215、色パラメータ管理部1216を含む。色パラメータ格納部1215にはLUT格納部1221、LUTマップ格納部1222が含まれ、それぞれ実施形態1におけるLUT格納部211、LUTマップ格納部212と同様のデータを格納する。
【0086】
色調整アプリケーション1202はプリンタドライバ1201の色パラメータ格納部1215内にある色パラメータの変更、更新を行うアプリケーションである。色調整アプリケーション1202はアプリケーション制御部1231、色処理部1232、測色部1233、プリントデータ作成部1234を含む。さらにLUT格納部1235、LUTマップ格納部1236、画像データ格納部1237、追加LUT格納部1238も含む。測色部1233はUSB I/Fを介してクライアントPC1102に接続された測色機1241を制御する。ネットワークI/F部1203はネットワークを介したカラープリンタ1101との通信を実現する。また文書作成アプリケーション1204はユーザ操作により文書を作成し、プリンタドライバ1201を利用することによりカラープリンタ1101での前記文書の印刷を行う機能を持つものである。
【0087】
クライアントPC1102のハードウェアは、CPU、HDD、ROM、RAM、入力装置であるキーボードおよびマウス、表示装置であるLCDを含む。またネットワークI/FおよびUSB I/Fも含み、これらのハードウェアが連携動作することにより前記各部の機能を実現する。
【0088】
図19は本実施形態におけるプリンタドライバ1201による印刷処理時の処理動作を示すフローチャートである。色調整アプリケーション1201または文書作成アプリケーション1204から印刷要求を受けると(ステップS2101)、印刷設定管理部1211は要求元アプリケーションから印刷設定情報を取得する。印刷設定情報には、印刷に適用する色調とカラープリンタ1101での画像記録条件である用紙の種類、カラーモード(カラー、グレースケール)の各指定情報を含む(ステップS2102)。次いでラスタライズ部1212が、要求元アプリケーションからページ毎の描画情報を取得し、それに基づいたラスタライズ処理を行いビットマップ形式の画像データに変換する(ステップS2103)。色処理部1213は印刷設定管理部1211から前記印刷設定情報を取得し、それに適合するLUTを色パラメータ格納部1215から取得する。この処理は実施形態1のステップS105でカラープリンタ101のジョブ制御部202が行うものと同様である(ステップS2104)。色処理部1213は前記取得したLUTを使って、前記ビットマップ形式の画像データに対して色処理を行う。これによりカラープリンタ1101の特性および前記印刷設定情報で指定された色調、用紙の種類、カラーモードに合致した色情報を持つ画像データを生成する(ステップS2105)。コマンド生成部1214は前記ステップS2105で生成された画像データを元に当該画像を印刷させるためのカラープリンタ1101に特有な形式の画像記録コマンドを生成する。そしてネットワークI/F部1203を介して前記印刷コマンドをカラープリンタ1101へ送信する(ステップS2106)。以上でプリンタドライバ1201による印刷処理を終了する(ステップS2107)。
【0089】
次に色調整アプリケーション1202の処理動作について、図9〜13を参照して説明する。色調整アプリケーション1202の処理手順は実施形態1の色調整アプリケーション302と同等であるので、各ステップの処理に差異がある箇所について説明する。なお本実施形態の色調整アプリケーション1202におけるアプリケーション制御部1231は実施形態1の色調整アプリケーション302におけるアプリケーション制御部311に相当する。同様に色処理部1232は312、測色部1233は313のようにそれぞれ同名の構成要素に相当する。
【0090】
実施形態1ではステップS302、S402、S502、S505、S602でカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信することにより色調情報やLUT情報を取得した。ステップS405でのLUTの取得もカスタマイズジョブの送信によって行った。一方本実施形態ではアプリケーション制御部1231がプリンタドライバ1201の色パラメータ管理部1216へ問い合わせをする。これに対し色パラメータ管理部1216が色パラメータ格納部1222から色調情報やLUT情報、LUTの実体を取得し、色調整アプリケーション1202に返送する。この処理によりアプリケーション制御部1231は色調情報、LUT情報、LUTの実体を取得する。
【0091】
本実施形態のステップS304、S416では、プリントデータ作成部1234は画像データ格納部1237にある画像データに基づきプリンタドライバ1201を介して、カラープリンタ1101での印刷を行う。また本実施形態のステップS311ではアプリケーション制御部1231がプリンタドライバ1201の色パラメータ管理部1216へデータ更新要求をすることにより、色パラメータ格納部1222へのLUTの登録、LUTマップの更新を行う。ステップS421、S507、S508、S610についても同様である。これらの処理により、実施形態1でカラープリンタ101中の色パラメータ格納部204のデータをカスタマイズしたと同様に、本実施形態ではプリンタドライバ1201の色パラメータ格納部1215内のデータをカスタマイズする。
【0092】
以上の構成を取ることにより、本実施形態におけるプリンタドライバ1201でも実施形態1のカラープリンタ101と同様の効果を得ることができる。
【0093】
<実施形態4>
本発明の目的は前述した実施例の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUまたはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0094】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0095】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOperating System(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0096】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0097】
101 カラープリンタ
103 色調整PC
202 ジョブ制御部
211 LUT格納部
212 LUTマップ格納部
221 色処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は色処理に用いる色パラメータデータを管理するための色パラメータ管理装置およびその情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタの出力色調をユーザの要望に応じてカスタマイズするために、カラールックアップテーブル(以下LUTと称する)を用いた色処理が行われている。この手法でLUTを作成、調整して色処理に用いることにより、印刷に用いるプリンタや印刷対象の紙種の違いによる発色の差を吸収することができる。また目的に合わせたLUTを用意することにより、他のプリンタの出力色に似せた色味で出力したり出力色を少し赤くしたりするように、出力色調を変えることもできる。
【0003】
このようなLUTは、印刷対象の紙種等の画像記録条件毎、また目的とする出力色調毎に作成し、使い分ける必要がある。従来はLUTに加え関連する属性情報を内包するICCプロファイルを用い、印刷対象の紙種に対応するICCプロファイルを選択して色処理を行っていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4086562号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ICCプロファイルは色処理システムへの登録が自由に行える。そのため特定の印刷設定(色調、紙種の組み合わせ)に対応するものがあっても、同じ色調で紙種を変えたものが存在しなかったり、逆に前記のような特定の印刷設定に対応するICCプロファイルが複数存在する可能性がある。前記存在しない場合にはエラーになったり他のICCプロファイルが代替として適用されるという好ましくない結果となる。逆に複数存在する場合はその中のどれが適用されるかが不明確になる。ユーザが色調カスタマイズのためにICCプロファイルを追加登録しても、同一印刷設定に対応するICCプロファイルが既に存在していた場合、前記追加登録したICCプロファイルが使用されるかどうかが不確定という好ましくない状態となる。
【0006】
そこで本発明では色処理システムにおける印刷設定とLUTの対応付けを明確にし、色調のカスタマイズ結果を確実に適用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述のような課題を解決するための本発明の色パラメータ管理装置は、印刷装置が印刷する画像データに対して適用する色パラメータを管理する色パラメータ管理装置であって、複数組の色パラメータを格納する第1の格納手段と、色調の設定および前記印刷装置における画像記録条件の有効な値のすべての組み合わせに対して、それぞれただ一つの前記色パラメータを対応づける対応付け情報を格納する第2の格納手段と、前記第1の格納手段に新たな色パラメータを追加格納する第1の登録手段と、前記第2の格納手段の対応付け情報を追加および変更する第2の登録手段と、前記色調の設定および前記画像記録条件を取得する印刷設定取得手段と、前記取得した色調の設定および画像記録条件に基づいて第2の格納手段内を検索し、対応付けられた色パラメータを特定する検索手段と、第1の格納手段から前記特定された色パラメータを取得する取得手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
色処理システムにおける印刷設定のすべての組み合わせに対してそれぞれただ一つのLUTを対応付けることにより、ユーザが選択した印刷設定に対して適切なLUTを使った色処理を適用することができる。またLUTをカスタマイズした際にも既存のLUTを上書き更新し、カスタマイズ結果を確実に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】色処理システムの構成の一例を示す図である。
【図2】カラープリンタの構成を示す図である。
【図3】色調整PCの構成を示す図である。
【図4】LUTマップ格納部の情報の例を示す表である。
【図5】LUT一覧情報の例を示す表である。
【図6】印刷ジョブのデータ構成の一例を示した図である。
【図7】カスタマイズジョブのデータ構成の一例を示した図である。
【図8】カラープリンタのジョブ処理時の処理動作を示すフローチャートである。
【図9】色調整アプリケーションの処理動作を示すフローチャートである。
【図10】他のプリンタへの色合わせの処理動作を示すフローチャートである。
【図11】色調の微調整の処理動作を示すフローチャートである。
【図12】色調の初期化の処理動作を示すフローチャートである。
【図13】紙種の追加の処理動作を示すフローチャートである。
【図14】カラープリンタの他の構成を示す図である。
【図15】カラープリンタのジョブ処理時の処理動作の他の例を示すフローチャートである。
【図16】カラープリンタのジョブ設定変更時の処理動作を示すフローチャートである。
【図17】色処理システムの構成の他の例を示す図である。
【図18】色調整PCの他の構成を示す図である。
【図19】プリンタドライバでの印刷処理時の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
<実施形態1>
図1は、実施形態1における色処理システムの構成の一例を示す図である。図1に示す色処理システムは、カラープリンタ101、クライアントPC102、色調整PC103で構成され、これらはネットワーク104を介して接続される。クライアントPC102はモニタ表示や画像処理に必要なCPU、RAM等や、ネットワークを介した通信に必要な通信機能を備えている。
【0012】
図2は、カラープリンタ101の構成を示す図である。カラープリンタ101は、ネットワーク104に接続し、クライアントPC102、色調整PC103と通信するためのネットワークI/F(インタフェース)部201、ジョブデータを制御するジョブ制御部202を含む。また印刷ジョブに含まれる画像データのレンダリングを行うレンダリング部203、画像データに対する色処理に用いるパラメータを格納する色パラメータ格納部204、印刷を行う出力部206と出力部206を制御するエンジン制御部205も含む。
【0013】
色パラメータ格納部204は、色処理のために用いられる3次元LUTおよびその付随情報を格納するLUT格納部211、および印刷設定とその設定に対応して使用すべきLUTとの対応付け情報を格納したLUTマップ格納部212を含む。またエンジン制御部205は、前記LUT格納部211に格納されているLUTを用いた色処理をレンダリング済みの前記画像データに対して行う色処理部221、色処理部211が使用するLUTを一時的に保持する色パラメータ一時格納部222を含む。
【0014】
カラープリンタ101のハードウェアはCPU、HDD(ハードディスクドライブ)、ROM、RAMを含む。またネットワークI/Fおよびインクジェットヘッドを有する画像記録機構を含み、これらのハードウェアが連係動作することにより前記各部の機能を実現する。カラープリンタ101内のジョブ制御部202、色パラメータ格納部204と当該色パラメータ格納部204に含まれるLUT格納部211、LUTマップ格納部212が、本実施形態における色パラメータ管理装置を構成する。
【0015】
図3は、色調整PC103の構成を示す図である。色調整PC103はカラープリンタ101と通信するためのネットワークI/F部301を含み、カラープリンタ101の出力色調を設定する機能を持った色調整アプリケーション302を実行する。また測色機321とUSB(Universal Serial Bus)を介して接続される。
【0016】
色調整アプリケーション302はアプリケーション全体の動作を制御するアプリケーション制御部311、カラープリンタ101の色処理部221と同等の色処理を行うことができる色処理部312を有する。また測色機321を制御し、印刷物の色を読み取り数値化する測色部313、カラープリンタ101で印刷するための印刷ジョブを生成するプリントデータ作成部314も有する。色調整アプリケーション302は、さらにLUT格納部315、LUTマップ格納部316、画像データ格納部317、追加LUT格納部318も有する。LUT格納部315はカラープリンタ101用のLUTを格納し、LUTマップ格納部316はカラープリンタ101における印刷設定とLUTとの関係情報を格納する。前記LUTおよび前記関係情報は、カラープリンタ101から取得し、あるいは色調整アプリケーション302が生成するものである。画像データ格納部317は、後述する他のプリンタへの色合わせおよび色調の微調整の各処理でカラープリンタ101用のLUTを作成する際に印刷する画像データを格納する。追加LUT格納部318は、カラープリンタ101で使用可能な用紙の種類を追加するために、後述する紙種の追加処理でカラープリンタ101のLUT格納部211へ格納する追加LUTを格納する。前記追加LUTはカラープリンタ101のメーカーが提供する。
【0017】
色調整PC103のハードウェアは、CPU、HDD、RAM、入力装置であるキーボードおよびマウス、表示装置であるLCD(液晶ディスプレイ)を含む。またネットワークI/FおよびUSB I/Fも含み、これらのハードウェアが連携動作することにより前記各部の機能を実現する。
【0018】
図4は、カラープリンタ101のLUTマップ格納部212に格納される情報の例を表形式で示したものである。色調ID401は各色調に割り当てられた固有の番号である。種別402は各色調の種別を示し、カラープリンタ101のメーカーが提供した色調であることを示す「プリセット」、またはカラープリンタ101のユーザが追加したものであることを示す「カスタム」のいずれかの値を取る。以後、種別402が「プリセット」である色調をプリセット色調、「カスタム」である色調をカスタム色調と称する。登録状態403は各色調が使用可能な状態にあるかどうかを示し、「使用可」と「未登録」のいずれかの値を取る。ベース色調404はカスタム色調が後述の他のプリンタへの色合わせおよび色調の微調整の各処理で作成された際にどのプリセット色調から派生したものであるかを、派生元のプリセット色調の色調IDで示す。プリセット色調に対しては当該色調の色調IDを保持する。また未登録の色調についてのベース色調404は未設定であり図4では「―」で示している。
【0019】
LUTマップ405は、各色調での印刷を行う際に、カラープリンタ101での画像記録条件の組み合わせに応じて使用すべきLUTを特定する情報を記録する。本実施形態での前記画像記録条件は、使用する用紙の種類(用紙A、用紙B、...、用紙X)とカラーモード(カラーまたはグレースケール)である。LUTを特定する情報としては後述するLUT ID501を使用する。登録状態403が使用可となっているすべての色調において、用紙の種類とカラーモードのすべての組み合わせに対して、それぞれただ一つのLUT IDが登録される。
【0020】
このLUTは、後述するカラープリンタ101でのジョブ処理中に色処理部221が行う色処理時に用いられる。前記色処理は、入力画像情報中の各部の色を示す入力色空間の色値(R,G,B)を出力部206の特性に合わせたデバイス色空間の色値(R’,G’,B’)に変換するために用いられる。図4に示した色調の内、色調IDが0のものは、入力色空間がデバイス色空間と同一であることを前提としているものである。つまり前記変換によりR’=R、G’=G、B’=Bとするものであり、この色調に対応付けられているすべてのLUTの変更、調整は禁止されている。他の色調については、入力色空間はsRGBである。
【0021】
図5は、カラープリンタ101のLUT格納部211に格納される情報の内のLUT一覧情報の例を表形式で示したものである。この表の各行がそれぞれ単一のLUTに関する情報を保持する。LUT格納部211は前記LUT一覧情報の他、LUTの実体(数値データ群)も個別のファイルとして格納する。LUT ID501は個々のLUTを特定する情報であり、各LUTに対して異なる値が割り当てられる。LUT名称502はユーザ向けの情報であり、各LUTの内容を表す文字列値を含む。対象色調ID503は、各LUTがその作成時に図4に示された色調の内のどれに対応付けられているかを、色調ID401の値によって示すものである。後述の色調整アプリケーションによる各処理によってLUTが複数の色調に対応付けられたり、どの色調にも対応付けられていない状態に変更された場合でも、対象色調IDの値は更新されず初期値を保つ。対象紙種504、対象カラーモード505は、各LUTがどの画像記録条件、すなわちどの紙種、どのカラーモード用に対応付けられたものであるかを示す。微調整カウント406は、各LUTが作成されて以後、後述する色調の微調整処理を何回施されたかを示す値であり、初期値は0である。LUT実体のファイル名407は、LUT格納部211に格納されている各LUTの実体のファイル名を含む。
【0022】
図6は本実施形態の印刷システムでカラープリンタ101が受信、処理する印刷ジョブ601のデータ構成の一例を示した図である。印刷ジョブ601は印刷設定情報602と印刷データ603を含み、印刷設定情報601はさらに色調IDおよび画像記録条件である紙種、カラーモードについてのユーザによる指定情報を含む。また印刷データはカラープリンタ101で印刷すべき画像とその配置情報を示すデータを含む。カラープリンタ101は印刷ジョブ601を受信すると後述するプリンタでのジョブ処理により、前記画像記録条件で前記印刷データが定義する画像を紙面に印刷、出力する。
【0023】
図7は本実施形態の印刷システムでカラープリンタ101が受信、処理するカスタマイズジョブ701のデータ構成の一例を示した図である。カスタマイズジョブ701は処理種別情報702、処理パラメータ703を含み、処理種別によってはさらにLUT704を含む。処理種別702は色調一覧の取得、LUTの登録などのカラープリンタ101が行うべき処理種別を示す。処理パラメータは処理種別702で示された処理を行うために必要なパラメータを示す。またLUT704は、処理種別702がLUTの登録である場合に、登録すべきLUT実体のデータを保持する。カラープリンタ101はカスタマイズジョブ701を受信すると後述するプリンタでのジョブ処理により、色パラメータ格納部204内の前記LUTマップ、LUT一覧およびLUTの実体を更新、追加する。
【0024】
次に図を参照して本実施形態のカラープリンタ101の処理動作について説明する。図8はカラープリンタ101がネットワークI/F部201によってクライアントPC102または色調整PC103から送信されたジョブを処理する際の処理動作を示すフローチャートである。これらの処理はカラープリンタ101内のHDDに記録されたプログラムがRAMに読み出されCPUが前記プログラムを実行する、またはROMに記録されたプログラムをCPUが実行することにより実現される。
【0025】
ネットワークI/F部201がジョブを受信すると、ジョブ管理部202はジョブをキューに登録する。ジョブ管理部202は前記キューからジョブを受信順に一つずつ取り出し、当該ジョブの処理を開始する(ステップS101)。ジョブ管理部202は取り出したジョブの種別を参照し、それが図6に例示した印刷ジョブか、図7に例示したカスタマイズジョブかを判定する。印刷ジョブの場合はステップS103、カスタマイズジョブの場合はステップS109へ移行する(ステップS102)。
【0026】
印刷ジョブであった場合は、ジョブ制御部202は前記ジョブから印刷設定情報602を取得する(ステップS103)。次いでジョブ制御部202はレンダリング部203へ印刷設定情報602と印刷データ603を渡す。レンダリング部203は印刷データをエンジン制御部205が処理可能なビットマップ形式の画像データに変換し、ジョブ制御部202へ返す(ステップS104)。
【0027】
次にジョブ制御部202は色パラメータ格納部204へアクセスして、ステップS103で取得した印刷設定情報602の中から色調ID、紙種、カラーモードの各設定値の組合せに対応するLUTを取得する。例えば図6の印刷設定602では色調IDが101、紙種が用紙A、カラーモードがカラーとなっている。これに対してLUTマップ格納部212に格納されているLUTマップ情報を参照する。図4のLUTマップで色調ID401が101となっている色調のLUTマップ405を参照すると、カラーモードがカラー、紙種が用紙Aの欄のLUT IDはC000となっている。さらにLUT格納部211に格納されているLUT一覧情報を参照する。図5のLUT一覧情報を参照すると、LUT ID501がC000であるLUTのLUT実体のファイル名507はC000.lutとなっている。そこでジョブ制御部202はLUT格納部211からファイル名C000.lutのLUTを取得する(ステップS105)。
【0028】
その後ジョブ制御部202はステップS105で取得したLUTをエンジン制御部205へ転送する。当該LUTはエンジン制御部205の中で色パラメータ一時格納部222に格納される。この時、以前の印刷処理で使われたLUTが色パラメータ一時格納部222に残っていた場合、それは破棄され最新の印刷で使用するLUTだけが色パラメータ一時格納部222に保持される(ステップS106)。
【0029】
次にジョブ制御部202はステップS104でのレンダリング結果である画像データをエンジン制御部205へ送る。エンジン制御部205内の色処理部221はステップS106で色パラメータ一時格納部222が取得したLUTを使って、前記画像データに対して色処理を行う。その結果として出力部206の特性および印刷設定602で指定された色調、紙種、カラーモードに合致した色情報を持つ画像データを生成する(ステップS107)。その後エンジン制御部205は出力部206が用いるインク色や特性に合わせた色分解、量子化処理を行う。出力部206はこれらの処理結果データを取得、そのデータに従って、インクジェットヘッドからカラーインクを用紙へ吐出してカラー画像の出力を行う(ステップS108)。これにより単一のジョブに対する印刷処理を終わる(ステップS113)。
【0030】
一方、ステップS102での判定がカスタマイズジョブであった場合には、ジョブ制御部202はカスタマイズジョブの処理種別702を判定する。処理種別702が色パラメータ格納部204内の情報を取得するものであればステップS110、色パラメータ格納部204内の情報を更新するものであればステップS112へ移行する(ステップS109)。処理種別702が情報を取得するものであれば、ジョブ制御部202は色パラメータ格納部204へアクセスし、処理パラメータ703で指定された情報を取得する(ステップS110)。そして取得した情報をネットワークI/F部201を介してジョブ送信元へ送信する(ステップS111)。
【0031】
処理種別702が情報を更新するものであれば、ジョブ制御部202は色パラメータ格納部204へアクセスし、処理パラメータ703で指定された情報を更新する。例えば図7に示すカスタマイズジョブ701の処理時には、まずLUT格納部へLUTデータ704を書き込む。この時ジョブ制御部202は新規に書き込んだLUTデータ704に固有のファイル名を付け、ファイルとして保存する。次いでジョブ制御部202はLUT格納部211内のLUT一覧情報に新たな項目を追加し、LUT名称502、対象色調ID503、対象紙種504、対象カラーモード505に処理パラメータ703で指定された情報を記録する。またLUT実体のファイル名507には前記固有のファイル名を記録するとともに、LUT ID501として固有のLUT IDをつけて記録する。さらに微調整カウント506には0を記録する。カスタマイズジョブ701の例ではLUT一覧情報に図5の511に示した項目が追加される。その後ジョブ制御部202はLUTマップ格納部212に格納されているLUTマップ情報を処理パラメータ703の指定値に基づいて更新する。カスタマイズジョブ701の例では色調IDが101である色調についての情報(図4の411)を更新する。当該色調のLUTマップ405中で、カラーモードがカラー、紙種が用紙Aとなっている欄に前記固有のLUT IDを記録する。そして、ネットワークI/F部201を介して結果をジョブ送信元へ返送する。LUTを追加するカスタマイズジョブ701の場合には、登録したLUTのLUT ID501を送信元へ通知する(ステップS112)。前記情報の取得または情報の更新のいずれかの処理が完了すれば、単一のカスタマイズジョブに対する処理を終わる(ステップS113)。
【0032】
次に図を参照して本実施形態の色調整PC103における色調整アプリケーション302の処理動作について説明する。色調整PC103が行うこれらの処理は、色調整PC103内のHDDに記録されたプログラムがRAMに読み出されCPUが前記プログラムを実行することにより実現される。この時色調整PC103のキーボードおよびマウスを介してユーザ入力を受け付け、またLCDを通してユーザへ情報表示を行うことにより、色調整PC103はユーザに対して対話的な操作環境を提供する。
【0033】
図9は色調整PC103上の色調整アプリケーション302の処理を示すフローチャートである。色調整アプリケーション302が実行されると(ステップS201)、アプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力から実行すべき処理種別を取得する(ステップS202)。
【0034】
アプリケーション制御部311は前記取得した処理種別を判定する。他のプリンタへの色合わせであると判定した場合(ステップS203)は後述する他のプリンタへの色合わせ処理(ステップS204)を行う。前記取得した処理種別が色調の微調整である場合(ステップS205)は後述する色調の微調整処理(ステップS206)を行う。前記取得した処理種別が色調の初期化である場合(ステップS207)は後述する色調の初期化処理(ステップS208)を行う。前記取得した処理種別が紙種の追加である場合(ステップS209)は後述する紙種の追加処理(ステップS210)を行う。これらのいずれかの処理を行った場合は、前述のステップS202へ移行し次のユーザ入力を受け付ける。
【0035】
ユーザ入力で指定された処理種別が前記のいずれでもない場合(ステップS209)は、アプリケーション制御部311はユーザ入力が色調整アプリケーション302を終了させる指示であると判定し、一連の処理を終了する(ステップS211)。
【0036】
図10は色調整アプリケーション302が行う他のプリンタへの色合わせの処理動作を示すフローチャートである。色調整アプリケーション302で他のプリンタへの色合わせ処理(図9のステップS204)が起動される(ステップS301)とアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信する。この時情報取得のためのジョブを発行し、図4に例示するLUTマップ情報の全体を要求する。このジョブに対してカラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS110、S111の処理により、要求されたLUTマップ情報全体をLUTマップ格納部212から取得し、色調整PC103へ返送する。アプリケーション制御部311は返送されたLUTマップ情報をLUTマップ格納部316へ保存する(ステップS302)。
【0037】
次にアプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力からどの種類の用紙についての色合わせをするのかを取得する(ステップS303)。そしてプリントデータ作成部314は画像データ格納部317に記録されている測色用画像を使って印刷ジョブを作成し、カラープリンタ101へ送信する。この測色用画像は所定のR、G、Bの値の組合せからなるカラーパッチを所定の数配列した画像である。前記印刷ジョブの印刷設定として、色調IDは0、すなわち色処理部221での色処理時にR’=R、G’=G、B’=Bとなる色調を指定する。また画像記録条件として、紙種はステップS303で取得した紙種、カラーモードはカラーを指定する(ステップS304)。
【0038】
次に測色部313は測色機321との通信によりステップS304で印刷したカラーパッチ群の測色を行い、測色値を取得する。この時測色機への印刷物のセットと測色機の操作はユーザが行う(ステップS305)。また、測色部313は測色機321との通信により、カラープリンタ101の色味を合わせる対象とする、他のプリンタで印刷されたカラーパッチ群の測色を行い、測色値を取得する。このカラーパッチは予めユーザが前記測色用画像を前記他のプリンタで印刷することによって用意しておく(ステップS306)。その後アプリケーション制御部311は前記ステップS305、S306での測色結果をもとに、カラープリンタ101で前記画像処理条件の下で前記他のプリンタに似せた色調で印刷を行うためのLUTを作成する。作成したLUTはLUT格納部315に保存する(ステップS307)。
【0039】
アプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力からLUT情報としてLUT名称を取得する。これは図5のLUT一覧でLUT名称502に記録される文字列でありユーザが個々のLUTを識別するために用いるものである(ステップS308)。次に新規に作成したLUTを登録する色調の、カスタマイズ元とする転用元色調をどの色調にするかをユーザ入力から取得する。この時ユーザには、図4に例示するLUTマップで登録状態403が使用可となっている登録済み色調の内、色調IDが0であるものを除く、任意の色調を指定することを認める(ステップS309)。さらに新規に作成したLUTを登録する、登録先色調をどの色調にするかをユーザ入力から取得する。この時ユーザには、図4に例示するLUTマップで種別402がカスタムとなっている色調を指定することを認める。当該色調の登録状態403は使用可、未登録いずれでもよい。また当該色調は前記転用元色調と同一であってもよく、この場合は転用元色調のLUTマップを上書きすることを意味する(ステップS310)。
【0040】
これらのユーザ入力を受け、アプリケーション制御部311はカスタマイズジョブを作成し、カラープリンタ101へ送信することにより、前記作成したLUTをカラープリンタ101に登録する。まずステップS307で作成したLUTを追加登録するためのカスタマイズジョブを作成、送信する。この時処理パラメータ703内のLUT名称はステップS308で取得した文字列を、対象色調IDはステップS310で取得した色調IDを、対象紙種はステップS303で取得した紙種を指定する。対象カラーモードはカラー、微調整カウントは0とし、LUTデータ704としてステップS307で作成したLUTデータを含め、図7に例示した構成のカスタマイズジョブとしてカラープリンタ101へ送信する。カラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS112の処理により前記LUTデータ704をLUT格納部211に登録し、その結果として登録したLUTのLUT IDを色調整PC103へ返送する。アプリケーション制御部311はネットワークI/F部301を介して当該LUT IDを取得する。
【0041】
次いでLUTマップを更新登録するためのカスタマイズジョブを作成、送信する。この時、図4に例示するLUTマップ中の色調ID401が、ステップS310で取得した色調IDである色調の情報を更新する。ベース色調404はステップS309で選択された色調のベース色調をコピーする。LUTマップ405の中で、カラーモードがカラー、紙種がステップS303で取得した紙種である欄は前記カラープリンタ101から返送されたLUT IDとする。カラーモードと紙種のその他の組合せに対しては、ステップS302で取得したLUTマップ情報の中から、色調ID401がステップS309で取得した転用元色調のIDであるものをコピーする。こうして作成した1色調分のLUTマップ情報を処理パラメータ703として含むカスタマイズジョブをカラープリンタ101へ送信する。カラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS112の処理により前記1色調分のLUTマップ情報をLUTマップ格納部212に上書き登録し、その色調の登録状態403を使用可に更新する(ステップS311)。以上で他のプリンタへの色合わせのための一連の処理を終了する(ステップS312)。
【0042】
図11は色調整アプリケーション302が行う色調の微調整の処理動作を示すフローチャートである。色調整アプリケーション302で色調の微調整処理(図9のステップS206)が起動される(ステップS401)とアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信する。この時情報取得のためのジョブを発行し、図4に例示するLUTマップ情報の全体を要求する。本処理の詳細は他のプリンタへの色合わせ処理のステップS302の処理と同様である(ステップS402)。
【0043】
次にアプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力からどの色調について、微調整をするのかを取得する。この時色調IDが0である色調の選択は禁止する(ステップS403)。続けてユーザ入力から、前記色調のどの種類の用紙についての微調整をするのかを取得する(ステップS404)。
【0044】
アプリケーション制御部311は前記取得した対象色調と対象紙種から、前記取得したLUTマップの中のどの欄に対応するLUTを微調整対象とするかを特定する。なお本実施形態では、カラーモードとしてはカラーのみを微調整対象とする。例えばLUTマップの登録内容が図4に示したものである時に、対象色調として色調IDが1である色調、対象紙種として用紙Aを取得した場合には、LUTマップ405中のP100が微調整対象のLUTとなる。続けてアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へ再度カスタマイズジョブを送信する。今度はLUTマップの中の前記特定した欄に対応するLUTの取得を要求するカスタマイズジョブを送信する。このジョブに対してカラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS110、S111の処理により、LUT情報をLUT格納部211から取得し、色調整PC103へ返送する。この時色調整PC103は、図5に例示するLUT一覧の内、要求されたLUTに関する情報502〜506と、当該LUTの実体データを取得する。取得した前記情報とLUTはLUT格納部315に格納する(ステップS405)。
【0045】
次にアプリケーション制御部311は、前記対象色調の種別402と、取得したLUTに関する情報に含まれる微調整カウント506を判定に基づいて処理を分岐させる。色調の種別402がプリセットであり、かつ微調整カウント506があらかじめ決められた所定の整数値T以上である場合にはステップS407へ、そうでない場合にはステップS408へ、それぞれ移行する(ステップS406)。本処理で行う色調の微調整のためのLUTの変更は非線形の変換処理を含んでいる。変更結果のLUTに対して再度変更を行うことを繰り返すと、当初の色調からかけ離れていくことに加え、色処理部221での色処理に適用した際に画質が劣化することが見込まれる。そのためステップS406の分岐条件を満たした場合には、色調整PCのLCDを介してユーザにエラーを通知し、それ以上の微調整を禁止する(ステップS407)。そして色調の微調整処理を終了する(ステップS422)。
【0046】
一方ステップS406の分岐条件を満たさなかった場合、アプリケーション制御部311は色調整PCのキーボードおよびマウスを介してユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力から前記LUTに対して適用する微調整のパラメータ候補を取得する。前記パラメータ候補は、シアン、マゼンタ、イエローの各色と、濃度、コントラストの5項目について、それぞれを弱くすることを示す−10から強くすることを示す+10までの21段階の数値を受け付ける。例えばユーザが画像の黄味を強調し、コントラストを下げたい場合には、シアン=0、マゼンタ=0、イエロー=+3、濃度=0、コントラスト=−5のような値の組を指定する(ステップS408)。そしてユーザ入力からパラメータ候補の入力が完了したかどうかを判定する。ユーザがさらに別のパラメータ候補として前記5項目の数値の組を入力するよう所望している場合にはステップS408へ戻り、次の候補値の組の入力を受け付ける。パラメータ候補の入力が完了している場合には、ステップS410へ移行する(ステップS409)。
【0047】
ユーザがすべての調整パラメータ候補の入力を完了したら、アプリケーション制御部311は前記調整パラメータ候補の中から一つを選択する(ステップS410)。そして前記選択した調整パラメータ候補の値を用いて、ステップS405で取得したLUTを元に調整候補LUTを作成し、LUT格納部315に保存する(ステップS411)。アプリケーション制御部311はステップS410〜S411の処理が、ステップS408で取得したすべての調整パラメータ候補に対して行われたかどうかを判定する。未完了であればステップS410へ戻り、次のパラメータ候補について同様の処理を繰り返す。すべての調整パラメータ候補に基づいた調整候補LUTを作成済みであれば、ステップS413へ移行する(ステップS412)。
【0048】
すべての調整候補LUTを作成済みであれば、アプリケーション制御部311はステップS411で作成した調整候補LUTを一つ選択する(ステップS413)。そして色調整PCの色処理部312は前記選択した調整候補LUTを使ってテスト印刷用画像に対する色処理を行い、結果の画像データを画像データ格納部317へ一時保存する。前記テスト印刷用画像は予め画像データ格納部317に格納され用意されているものを用いる(ステップS414)。アプリケーション制御部311はステップS413〜S414の処理が、ステップS411で作成したすべての候補LUTに対して行われたかどうかを判定する。未完了であればステップS413へ戻り、次の候補LUTについて同様の処理を繰り返す。すべての候補LUTを使って色処理済みの画像データを作成済みであれば、ステップS416へ移行する(ステップS415)。
【0049】
次にプリントデータ作成部314は、ステップS414を繰り返し実行することにより画像データ格納部317に一時保存された画像群を使って印刷ジョブを作成し、カラープリンタ101へ送信する。前記印刷ジョブの印刷設定として、色調IDは0、すなわち色処理部221での色処理時にR’=R、G’=G、B’=Bとなる色調を指定する。また紙種はステップS404で取得した紙種、カラーモードはカラーを指定する(ステップS416)。これにより色処理部221が前記候補LUTを使って色処理をした結果をシミュレートした画像をカラープリンタ101で印刷する。その後アプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力からどの画像をユーザが選択したかを取得する。この時ユーザには、ステップS416で印刷されたテスト画像群を比較させ、これらの中から最も意図した色調に近いものを選択させる。アプリケーション制御部311は選択された画像を作成した時に使われた候補LUTを採用するLUTとして選択する(ステップS417)。
【0050】
アプリケーション制御部311は引き続きそしてユーザ入力からLUT情報として、そのLUTの名称とする文字列を取得する(ステップS418)。さらにアプリケーション制御部311はステップS417で選択されたLUTに対する微調整カウント値として、ステップS405で取得したLUTの微調整カウント値に1を加えたものを算出する(ステップS419)。アプリケーション制御部311は再度色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力から、作成したLUTの登録先の色調を取得する。登録先の色調としては、ステップS403で取得した調整対象の色調、および任意のカスタム色調の選択を認め、他の色調の選択は禁止する(ステップS420)。
【0051】
最後にアプリケーション制御部311はカスタマイズジョブを作成し、カラープリンタ101へ送信することにより、前記作成したLUTをカラープリンタ101に登録する。ここではステップS417で選択したLUTを追加登録するためのカスタマイズジョブを作成、送信し、ステップS420で選択した色調のLUTマップを更新登録するためのカスタマイズジョブを作成、送信する。本処理の詳細は他のプリンタへの色合わせ処理のステップS311の処理と同様である(ステップS421)。以上で色調の微調整処理を終了する(ステップS422)。
【0052】
図12は色調整アプリケーション302が行う色調の初期化の処理動作を示すフローチャートである。色調整アプリケーション302で色調の初期化処理(図9のステップS208)が起動される(ステップS501)とアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信する。この時情報取得のためのジョブを発行し、図4に例示するLUTマップ情報の全体を要求する。本処理の詳細は他のプリンタへの色合わせ処理のステップS302の処理と同様である(ステップS502)。
【0053】
次にアプリケーション制御部311は色調整PC103のキーボードおよびマウスを介したユーザからの入力を受け付ける。そしてユーザ入力からどの色調について、初期化をするのかを取得する(ステップS503)。アプリケーション制御部311はステップS502で取得したLUTマップ情報を参照し、ステップS503で取得した対象色調がプリセット色調かどうかを判定する。プリセット色調であればステップS505へ、そうでなければステップS508へ移行する(ステップS504)。
【0054】
前記対象色調がプリセット色調であれば、プリセット色調に対するLUTマップ情報を初期状態、つまり色調の微調整が行われる前の状態に戻す。そのため、カラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信する。この時図5に例示したすべてのLUTの一覧情報を要求する。このジョブに対してカラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS110、S111の処理により、要求されたLUT一覧情報全体をLUT格納部211から取得し、色調整PC103へ返送する。アプリケーション制御部311は返送されたLUT一覧情報をLUT格納部315へ保存する(ステップS505)。
【0055】
その後アプリケーション制御部311は取得したLUT一覧情報の中から、初期状態で前記対象のプリセット色調に対応付けられていたLUTを検索する。そのためにLUT一覧情報全体の中から、対象色調ID503が前記ステップS503で選択された色調のIDであり、微調整カウント506が0であるものを検索する。これをLUTマップ405に登録されているすべてのカラーモード(カラー、グレースケール)と用紙の種類(用紙A、用紙B、...用紙X)の組合せに対して行う。他のプリンタへの色合わせ処理ではプリセット色調への登録を認めていない(図10のステップS310)。また色調の微調整処理で作成されたLUTがプリセット色調に上書きされる際には微調整カウントが0より大になっている(図11のステップS419)。そのため前記条件で検索することにより初期状態でプリセット色調に対応付けられていたLUTを抽出することができる。その結果を元にアプリケーション制御部311は前記対象のプリセット色調に対応付けるLUTマップ情報を作成する(ステップS506)。
【0056】
アプリケーション制御部311は前記作成した対象色調に対するLUTマップを登録させるカスタマイズジョブをカラープリンタ101へ送信する。カラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS112の処理により前記対象色調分のLUTマップ情報をLUTマップ格納部212に登録する(ステップS507)。以上でプリセット色調の初期化処理を終了する(ステップS509)。
【0057】
一方、前記ステップS504でプリセット色調ではないと判定した場合は、対象色調はカスタム色調である。アプリケーション制御部311は前記対象のカスタム色調の登録状態403を未登録に変更させるカスタマイズジョブをカラープリンタ101へ送信する。カラープリンタ101側では図8のフローチャートのステップS112の処理により前記対象色調のLUTマップ情報中の登録状態403を未登録に変更する(ステップS508)。以上でカスタム色調の初期化処理を終了する(ステップS509)。
【0058】
図13は色調整アプリケーション302が行う紙種の追加の処理動作を示すフローチャートである。図4に例示した構成のLUTマップにまだ登録されていない新たな紙種をカラープリンタ101で使用できるようにするためには本処理を行う必要がある。色調整アプリケーション302で紙種の追加処理(図9のステップS210)が起動される(ステップS601)とアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信する。この時情報取得のためのジョブを発行し、図4に例示するLUTマップ情報の全体を要求する。本処理の詳細は他のプリンタへの色合わせ処理のステップS302の処理と同様である(ステップS602)。紙種の追加処理は図4に例示するLUTマップ405に新たな列を追加する操作に相当する。
【0059】
アプリケーション制御部311は追加LUT格納部318から、新たに追加される紙種用の追加LUTの情報を取得する(ステップS603)。ここでは各追加LUTのLUT名称502〜対象カラーモード505の各情報を取得する。前記追加LUT情報は、追加LUTの実体とともに、すべてのプリセット色調に対応付けられるものがカラープリンタ101のメーカーから提供される。追加LUT格納部318は前記メーカーから提供されるCD−ROM、DVDなどの記憶媒体に含まれる。前記追加LUT格納部318は色調整PC103のHDD中に含まれるものであってもよい。この場合、前記追加LUT情報およびLUTの実体を前記CD−ROM、DVDなどの記憶媒体から前記HDDにコピーすることにより追加LUT格納部318は構成される。また前記追加LUT情報およびLUTの実体はインターネットなどの通信経路を介してカラープリンタ101のメーカーから提供され、前記HDDにコピーされるように構成されてもよい。
【0060】
アプリケーション制御部311は、前記ステップS602で取得したLUTマップ情報の中から登録状態403が使用可である色調を一つ選択する(ステップS604)。そして前記選択した色調がプリセット色調かどうかを判定する。プリセット色調の場合はステップS606へ、そうでない場合はステップS607へ移行する(ステップS605)。プリセット色調であった場合は、前記追加LUT情報の中に当該色調に対応付けられたLUTが存在するため、アプリケーション制御部311はそのLUTを検索、取得する(ステップS606)。前記選択した色調がプリセット色調でなかった場合は、前記追加LUT情報の中に当該色調そのものに対応付けられたLUTは存在しない。そこでアプリケーション制御部311は前記LUTマップ情報から前記選択した色調のベース色調404を取得し、当該ベース色調に対応付けられた追加LUTを検索、取得する(ステップS607)。
【0061】
いずれの場合もアプリケーション制御部311は、LUTマップ格納部316に格納されたLUTマップを更新する。この時当該LUTマップへ、ステップS604で選択された色調と新規追加する紙種との組合せの欄を設け、ステップS606またはS607で取得したLUTを対応付ける。この時点では各LUTにLUT IDは割り当てられていないため、追加LUT格納部318内での各LUTのファイル名を関連付け情報として用いる(ステップS608)。ステップS606〜S608の各処理は、すべてのカラーモード(カラー、グレースケール)に対して行う。
【0062】
アプリケーション制御部311はステップS604〜S608の処理を前記ステップS602で取得したLUTマップ情報の中の、登録状態403が使用可であるすべての色調に対して実行したかどうかを判定する。未完了であればステップS604へ戻り、次の色調について同様の処理を繰り返す。すべての色調について実行済みであればステップS610へ移行する(ステップS609)。
【0063】
最後にアプリケーション制御部311はカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信することにより、追加LUTをカラープリンタ101に登録する。まず追加LUT格納部のすべてのLUTを追加登録するためのカスタマイズジョブを作成、送信する。カラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS112の処理により前記LUTデータ704をLUT格納部211に登録し、その結果として登録された各LUTのLUT IDを色処理PC103へ返送する。アプリケーション制御部311はネットワークI/F部301を介して当該LUT IDを取得する。アプリケーション制御部311はすべてのLUTを登録後、LUTマップを更新登録するためのカスタマイズジョブを作成、カラープリンタ101へ送信する。この時すべての色調についてのLUTマップを更新させる。LUTマップ中の新規追加する紙種に対する欄には、前記ステップS608で記録した関連付け情報に基づいて、前記LUTの登録時に取得したLUT IDを設定する。こうして作成した各色調のLUTマップ情報を処理パラメータ703として含むカスタマイズジョブをカラープリンタ101へ送信する。カラープリンタ101は図8のフローチャートのステップS112の処理により前記各色調のLUTマップ情報をLUTマップ格納部212に登録し、それらの色調の登録状態403を使用可に更新する(ステップS610)。以上で紙種の追加のための一連の処理を終了する(ステップS611)。
【0064】
以上の構成を取ることにより、ユーザが印刷設定としてどのような色調、画像記録条件(カラーモード、紙種)の組み合わせを指定しても、それらの組み合わせに適するものとして対応付けられたただ一つのLUTが印刷時の色処理に使われる。これは図4に示したLUTマップ405の形式で前記印刷設定に対するLUTの対応付けを定義しているためである。印刷設定の組み合わせに対応付けられたLUTが存在せず、代替のLUTが選択されるということはないため、適切な色味での印刷を行うことができる。逆に印刷設定の特定の組み合わせに対して複数のLUTが対応づけられるということもない。そのため印刷設定を決めればそれに対する色味も一意に決まる。色調の微調整を行い、結果を元の色調に上書きした場合も、元のLUTは確実に置き換えられ、意図しない色味での印刷を避けることができる。
【0065】
また他のプリンタへの色合わせ、色調の微調整の各処理により新たな色調を作成する際には、既存のベース色調のLUTマップを元に、作成したLUTに対する対応付けだけを更新する(ステップS311、S421)。これによりLUTの新規作成のための作業をすべての画像記録条件の組み合わせに対して行わずとも、すべての画像記録条件の組み合わせに対してLUTがただ一つずつ対応付けられた状態を維持する。
【0066】
他のプリンタへの色合わせや色調の微調整を行った場合には、測色用チャートの印刷(ステップS304)や候補LUTを使った画像印刷(ステップS416)を行った紙種に対してLUTを対応付ける(ステップS311、S421)。そのためLUTの紙種への対応付けを誤って登録することがない。
【0067】
色調にプリセットとカスタムの別を設け、プリセット色調に対しては他のプリンタへの色合わせにより作成したLUTの登録や、所定数Tを超える回数の微調整を禁止している。そのためプリセット色調に対しても初期の色味からかけ離れない範囲での調整を認め、色調に対するメーカーの意図を守りつつユーザによるカスタマイズを実現することができる。一方カスタム色調に対しては制限を設けず、ユーザの自由な意図を色調に反映することができる。所定数Tは1以上の任意の整数を適用することができる。
【0068】
図4中での色調IDが1と101の二つの色調のように、複数の色調で共通のLUTを共有することができる。そのためデータサイズの大きいLUTを用いる場合にもカラープリンタ内部でのLUT格納部211の格納容量を低減することができる。
【0069】
本実施形態ではカラーモードがカラーであるLUTのみをユーザによるカスタマイズの対象としたが、グレースケール用のLUTについても同様の効果を得るようにすることができる。この場合他のプリンタへの色合わせ処理、色調の微調整処理で、処理対象の紙種に加えカラーモードもユーザ入力から取得し、ユーザが選択したカラーモードに応じた処理を行うようにすればよい。
【0070】
また本実施形態ではLUTの選択に関わる画像記録条件として紙種とカラーモードを取り上げた。カラープリンタ101が印刷速度や印刷品位、使用するインクの種類等、前記以外の画像記録条件を選択できるものであれば、これらの項目もLUTの選択に関わる画像記録条件として使用することができる。
【0071】
<実施形態2>
実施形態2における色処理システムの構成は図1に示した実施形態1のものと同様である。またシステム内部の構成や処理動作にも共通部分があるため、以下、添付図面を参照して実施形態2の実施形態1との差異について説明する。
【0072】
図14は実施形態2におけるカラープリンタ101の構成を示す図である。この内ネットワークI/F部201〜出力部206、LUT格納部211、LUTマップ格納部212、色処理部221および色パラメータ一時格納部222は図2に示した実施形態1におけるカラープリンタ101と同様であり、説明を省略する。本実施形態におけるカラープリンタ101は前記各構成要素に加え、UI制御部231とタッチパネルディスプレイ部232を備える。UI制御部231はタッチパネルディスプレイ部232を制御し、カラープリンタ101のオペレータに対して対話的な操作環境を提供する。
【0073】
UI制御部231はタッチパネルディスプレイ部232を介してカラープリンタ101のオペレータから、出力部206にセットされている印刷用紙の紙種情報の入力を受け付ける。UI制御部231は出力部206に印刷用紙がセットされるたびにこの処理を実行し、取得した紙種情報をジョブ制御部202に渡す。またUI制御部231はタッチパネルディスプレイ部232を介してカラープリンタ101のオペレータから、キューに登録されているジョブの設定変更に関する入力を受け付ける。
【0074】
本実施形態におけるカラープリンタは図6に例示する印刷ジョブ、図7に例示するカスタマイズジョブを処理する。ただし印刷ジョブ601における印刷設定602の紙種として、具体的な紙種の他に「自動」という値を受信、処理可能である。
【0075】
図15は本実施形態におけるカラープリンタ101がネットワークI/F部201によってクライアントPC102または色調整PC103から送信されたジョブを処理する際の処理動作を示すフローチャートである。この内ステップS1101〜S1103およびS1106〜S1115は、実施形態1の図8におけるステップS101〜S103およびS104〜S113と同様である。
【0076】
本実施形態ではステップS1103で印刷設定情報602を取得した後、ジョブ制御部202が前記印刷設定情報中の紙種の指定が「自動」であるかどうかを判定する。自動である場合はステップS1105へ移行し、そうでない場合にはステップS1106へ移行する(ステップS1104)。紙種の指定が「自動」であると判定した場合は、ジョブ制御部202は前記UI制御部231から取得した出力部の紙種情報によって前記印刷設定情報中の紙種の指定を上書き更新する(ステップS1105)。この処理によりユーザがクライアントPCからジョブを送信する時点で印刷に使用可能な紙種が決まっていない場合には、印刷設定として紙種=自動と設定しておくことができるようになる。その場合、出力部206にセットされている用紙に対して対応付けられているLUTが後続のステップS1107で選択され、ステップS1109で適正な色処理を施して印刷を行うことができる。
【0077】
図16は本実施形態でカラープリンタ101のオペレータがタッチパネルディスプレイ部232を介してキューに登録されているジョブの設定変更を行った場合に行う際の処理動作を示すフローチャートである。
【0078】
カラープリンタ101のオペレータがジョブの設定変更操作を開始すると(ステップS1201)、UI制御部231はタッチパネルディスプレイ部232を制御しオペレータからの入力を受け付ける。タッチパネルディスプレイ部232はキューに登録されているジョブの一覧を表示し、ユーザ入力から処理対象とする印刷ジョブの選択指定を取得する(ステップS1202)。さらに前記選択指定された印刷ジョブの印刷設定変更内容として、変更後の紙種を取得する(ステップS1203)。ジョブ制御部202はキューに登録されている前記選択指定された印刷ジョブの印刷設定602を前記取得した紙種に従って更新し(ステップS1204)、ジョブの設定変更処理を終了する(ステップS1205)。
【0079】
以後図15の処理により前記選択指定された印刷ジョブが処理される際には、図16の処理により変更された設定に従ってLUTの取得が行われる。このことにより、カラープリンタ101の状態やその場で使用可能な用紙の種類、オペレータの判断によって印刷用紙を変更することができる。その際、ジョブを投入したクライアントPC102側で再設定やジョブの再投入をすることなく、変更後の印刷設定にあった適切なLUTを使った色処理を行うことができる。
【0080】
本実施形態においても色調整アプリケーション302の機能は実施形態1と同様に適用することができる。そのため他のプリンタへの色合わせや色調の微調整による色調のカスタマイズが可能であり、それらの色調を使って前記のような印刷処理、設定変更操作を行うことができる。
【0081】
これらの構成を取ることにより、本実施形態においても実施形態1と同様の効果が得られる。また加えて、カラープリンタ101のオペレータ判断や印刷現場の状況に応じてジョブ投入後に紙種の変更を行うことができる。またジョブ投入時に紙種=自動と設定し、カラープリンタ101の設定によって紙種を指定することもできる。これらの場合にも最終的に適用される色調と画像記録条件の組み合わせに対して対応付けられたただ一つのLUTが色処理に用いられることには変わりない。
【0082】
本実施形態では出力部206にセットされている印刷用紙の紙種情報はタッチパネルディスプレイ部232を介してオペレータが入力するものとしたが、出力部206が紙種を判定し、ジョブ制御部202に判定結果を渡すように構成してもよい。この時紙種の判定方法としては、用紙表面の光沢度を測定するなどの方法を適用することができる。
【0083】
<実施形態3>
実施形態1および2では、カラープリンタ101が色パラメータを保持し、色処理を行う構成をとった。それに対し本実施形態は、記憶容量やCPU性能が豊富ではないカラープリンタを想定したものである。
【0084】
図17は本実施形態における色処理システムの構成を示す図である。カラープリンタ1101とクライアントPC1102がネットワーク1103を介して接続されている。カラープリンタ1101はネットワーク1103を介して受信した画像記録コマンドに従って紙面への印刷を行う機能を持つものである。
【0085】
図18は本実施形態におけるクライアントPC1102の構成を示す図である。クライアントPC1102はプリンタドライバ1201、色調整アプリケーション1202、ネットワークI/F部1203、文書作成アプリケーション1204を含む。プリンタドライバ1201はユーザによる印刷設定と各種アプリケーションで作成された文書類に基づいて、当該文書類を印刷させるためにカラープリンタ1101に特有の画像記録コマンドを生成する。プリンタドライバ1201は印刷設定管理部1211、ラスタライズ部1212、色処理部1213、コマンド生成部1214、色パラメータ格納部1215、色パラメータ管理部1216を含む。色パラメータ格納部1215にはLUT格納部1221、LUTマップ格納部1222が含まれ、それぞれ実施形態1におけるLUT格納部211、LUTマップ格納部212と同様のデータを格納する。
【0086】
色調整アプリケーション1202はプリンタドライバ1201の色パラメータ格納部1215内にある色パラメータの変更、更新を行うアプリケーションである。色調整アプリケーション1202はアプリケーション制御部1231、色処理部1232、測色部1233、プリントデータ作成部1234を含む。さらにLUT格納部1235、LUTマップ格納部1236、画像データ格納部1237、追加LUT格納部1238も含む。測色部1233はUSB I/Fを介してクライアントPC1102に接続された測色機1241を制御する。ネットワークI/F部1203はネットワークを介したカラープリンタ1101との通信を実現する。また文書作成アプリケーション1204はユーザ操作により文書を作成し、プリンタドライバ1201を利用することによりカラープリンタ1101での前記文書の印刷を行う機能を持つものである。
【0087】
クライアントPC1102のハードウェアは、CPU、HDD、ROM、RAM、入力装置であるキーボードおよびマウス、表示装置であるLCDを含む。またネットワークI/FおよびUSB I/Fも含み、これらのハードウェアが連携動作することにより前記各部の機能を実現する。
【0088】
図19は本実施形態におけるプリンタドライバ1201による印刷処理時の処理動作を示すフローチャートである。色調整アプリケーション1201または文書作成アプリケーション1204から印刷要求を受けると(ステップS2101)、印刷設定管理部1211は要求元アプリケーションから印刷設定情報を取得する。印刷設定情報には、印刷に適用する色調とカラープリンタ1101での画像記録条件である用紙の種類、カラーモード(カラー、グレースケール)の各指定情報を含む(ステップS2102)。次いでラスタライズ部1212が、要求元アプリケーションからページ毎の描画情報を取得し、それに基づいたラスタライズ処理を行いビットマップ形式の画像データに変換する(ステップS2103)。色処理部1213は印刷設定管理部1211から前記印刷設定情報を取得し、それに適合するLUTを色パラメータ格納部1215から取得する。この処理は実施形態1のステップS105でカラープリンタ101のジョブ制御部202が行うものと同様である(ステップS2104)。色処理部1213は前記取得したLUTを使って、前記ビットマップ形式の画像データに対して色処理を行う。これによりカラープリンタ1101の特性および前記印刷設定情報で指定された色調、用紙の種類、カラーモードに合致した色情報を持つ画像データを生成する(ステップS2105)。コマンド生成部1214は前記ステップS2105で生成された画像データを元に当該画像を印刷させるためのカラープリンタ1101に特有な形式の画像記録コマンドを生成する。そしてネットワークI/F部1203を介して前記印刷コマンドをカラープリンタ1101へ送信する(ステップS2106)。以上でプリンタドライバ1201による印刷処理を終了する(ステップS2107)。
【0089】
次に色調整アプリケーション1202の処理動作について、図9〜13を参照して説明する。色調整アプリケーション1202の処理手順は実施形態1の色調整アプリケーション302と同等であるので、各ステップの処理に差異がある箇所について説明する。なお本実施形態の色調整アプリケーション1202におけるアプリケーション制御部1231は実施形態1の色調整アプリケーション302におけるアプリケーション制御部311に相当する。同様に色処理部1232は312、測色部1233は313のようにそれぞれ同名の構成要素に相当する。
【0090】
実施形態1ではステップS302、S402、S502、S505、S602でカラープリンタ101へカスタマイズジョブを送信することにより色調情報やLUT情報を取得した。ステップS405でのLUTの取得もカスタマイズジョブの送信によって行った。一方本実施形態ではアプリケーション制御部1231がプリンタドライバ1201の色パラメータ管理部1216へ問い合わせをする。これに対し色パラメータ管理部1216が色パラメータ格納部1222から色調情報やLUT情報、LUTの実体を取得し、色調整アプリケーション1202に返送する。この処理によりアプリケーション制御部1231は色調情報、LUT情報、LUTの実体を取得する。
【0091】
本実施形態のステップS304、S416では、プリントデータ作成部1234は画像データ格納部1237にある画像データに基づきプリンタドライバ1201を介して、カラープリンタ1101での印刷を行う。また本実施形態のステップS311ではアプリケーション制御部1231がプリンタドライバ1201の色パラメータ管理部1216へデータ更新要求をすることにより、色パラメータ格納部1222へのLUTの登録、LUTマップの更新を行う。ステップS421、S507、S508、S610についても同様である。これらの処理により、実施形態1でカラープリンタ101中の色パラメータ格納部204のデータをカスタマイズしたと同様に、本実施形態ではプリンタドライバ1201の色パラメータ格納部1215内のデータをカスタマイズする。
【0092】
以上の構成を取ることにより、本実施形態におけるプリンタドライバ1201でも実施形態1のカラープリンタ101と同様の効果を得ることができる。
【0093】
<実施形態4>
本発明の目的は前述した実施例の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUまたはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0094】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0095】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOperating System(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0096】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0097】
101 カラープリンタ
103 色調整PC
202 ジョブ制御部
211 LUT格納部
212 LUTマップ格納部
221 色処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置が印刷する画像データに対して適用する色パラメータを管理する色パラメータ管理装置(カラープリンタ101)であって、
複数組の色パラメータを格納する第1の格納手段(LUT格納部211)と、
色調の設定および前記印刷装置における画像記録条件の有効な値のすべての組み合わせに対して、それぞれただ一つの前記色パラメータを対応づける対応付け情報を格納する第2の格納手段(LUTマップ格納部212)と、
前記第1の格納手段に新たな色パラメータを追加格納する第1の登録手段(ジョブ制御部202)と、
前記第2の格納手段の対応付け情報を追加および変更する第2の登録手段(ジョブ制御部202)と、
前記色調の設定および前記画像記録条件を取得する印刷設定取得手段(ジョブ制御部202)と、
前記取得した色調の設定および画像記録条件に基づいて第2の格納手段内を検索し、対応付けられた色パラメータを特定する検索手段(ジョブ制御部202)と、
第1の格納手段から前記特定された色パラメータを取得する取得手段(ジョブ制御部202)と、
を有することを特徴とする色パラメータ管理装置。
【請求項2】
前記色パラメータは多次元のカラールックアップテーブルを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の色パラメータ管理装置。
【請求項3】
前記第2の登録手段は、前記対応付け情報を追加する際、新たな第1の色調を追加定義し、既存の第2の色調に対する対応付け情報の一部またはすべてを第1の色調に対して対応付けることを特徴とする請求項2に記載の色パラメータ管理装置。
【請求項4】
印刷装置(カラープリンタ101)が印刷する画像データに対して適用する複数組の色パラメータを管理する色パラメータ管理装置の情報管理方法であって、
前記色パラメータ管理装置は複数組の色パラメータと、
色調の設定および前記印刷装置における画像記録条件の有効な値のすべての組み合わせに対して、それぞれただ一つの前記色パラメータを対応づける対応付け情報を格納しており、
新たな色パラメータを追加登録する第1の登録ステップ(ステップS112)と、
前記対応付け情報を追加および変更する第2の登録ステップ(ステップS112)と、
前記色調の設定および前記画像記録条件を取得する印刷設定取得ステップ(ステップS103)と、
前記取得した色調の設定および画像記録条件に基づいてそれらに対応付けられた色パラメータを特定する検索ステップ(ステップS105)と、
前記特定された色パラメータを取得する取得ステップ(ステップS105)と、
を有することを特徴とする、情報管理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の情報管理方法であって、
前記色パラメータは多次元のカラールックアップテーブルを含む
ことを特徴とする情報管理方法。
【請求項6】
前記第2の登録ステップは、前記対応付け情報を追加する際、新たな第1の色調を追加定義し、既存の第2の色調に対する対応付け情報の一部またはすべてを第1の色調に対して対応付ける(ステップS311およびS411の処理によって行われる)
ことを特徴とする請求項5に記載の情報管理方法。
【請求項7】
印刷装置が印刷する画像データに対して適用する複数組の色パラメータを管理する色パラメータ管理装置を制御して、請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載された制御を実行することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載されたプログラムが記録されたことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
印刷装置が印刷する画像データに対して適用する色パラメータを管理する色パラメータ管理装置(カラープリンタ101)であって、
複数組の色パラメータを格納する第1の格納手段(LUT格納部211)と、
色調の設定および前記印刷装置における画像記録条件の有効な値のすべての組み合わせに対して、それぞれただ一つの前記色パラメータを対応づける対応付け情報を格納する第2の格納手段(LUTマップ格納部212)と、
前記第1の格納手段に新たな色パラメータを追加格納する第1の登録手段(ジョブ制御部202)と、
前記第2の格納手段の対応付け情報を追加および変更する第2の登録手段(ジョブ制御部202)と、
前記色調の設定および前記画像記録条件を取得する印刷設定取得手段(ジョブ制御部202)と、
前記取得した色調の設定および画像記録条件に基づいて第2の格納手段内を検索し、対応付けられた色パラメータを特定する検索手段(ジョブ制御部202)と、
第1の格納手段から前記特定された色パラメータを取得する取得手段(ジョブ制御部202)と、
を有することを特徴とする色パラメータ管理装置。
【請求項2】
前記色パラメータは多次元のカラールックアップテーブルを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の色パラメータ管理装置。
【請求項3】
前記第2の登録手段は、前記対応付け情報を追加する際、新たな第1の色調を追加定義し、既存の第2の色調に対する対応付け情報の一部またはすべてを第1の色調に対して対応付けることを特徴とする請求項2に記載の色パラメータ管理装置。
【請求項4】
印刷装置(カラープリンタ101)が印刷する画像データに対して適用する複数組の色パラメータを管理する色パラメータ管理装置の情報管理方法であって、
前記色パラメータ管理装置は複数組の色パラメータと、
色調の設定および前記印刷装置における画像記録条件の有効な値のすべての組み合わせに対して、それぞれただ一つの前記色パラメータを対応づける対応付け情報を格納しており、
新たな色パラメータを追加登録する第1の登録ステップ(ステップS112)と、
前記対応付け情報を追加および変更する第2の登録ステップ(ステップS112)と、
前記色調の設定および前記画像記録条件を取得する印刷設定取得ステップ(ステップS103)と、
前記取得した色調の設定および画像記録条件に基づいてそれらに対応付けられた色パラメータを特定する検索ステップ(ステップS105)と、
前記特定された色パラメータを取得する取得ステップ(ステップS105)と、
を有することを特徴とする、情報管理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の情報管理方法であって、
前記色パラメータは多次元のカラールックアップテーブルを含む
ことを特徴とする情報管理方法。
【請求項6】
前記第2の登録ステップは、前記対応付け情報を追加する際、新たな第1の色調を追加定義し、既存の第2の色調に対する対応付け情報の一部またはすべてを第1の色調に対して対応付ける(ステップS311およびS411の処理によって行われる)
ことを特徴とする請求項5に記載の情報管理方法。
【請求項7】
印刷装置が印刷する画像データに対して適用する複数組の色パラメータを管理する色パラメータ管理装置を制御して、請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載された制御を実行することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載されたプログラムが記録されたことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−82165(P2013−82165A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224786(P2011−224786)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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