説明

色ムラ判別装置、色ムラ判別方法及び表示装置

【課題】 表示装置の表示部に表示される画像の色ムラの発生箇所を判別する。
【解決手段】 検査対象となる表示装置1の表示部3を撮像手段5によって撮像して画像データを取得し、画像データに基づいて放射輝度に関する2次元分光データをデータ生成手段6によって生成し、2次元分光データを入力データ加工手段7によって色ムラ検出データに加工し、色ムラ検出データと予め定めた基準データとを比較して表示パネルにおける表示部3に表示される画像の色ムラの発生箇所を色ムラ判別手段8によって判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色ムラ判別装置、色ムラ判別方法及び表示装置についての技術分野に関する。詳しくは、検査対象となる表示パネルの表示面に表示される画像における色ムラの発生箇所を判別して画質の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネル、例えば、液晶ディスプレイの表示面に表示される画像における色ムラの発生箇所を判別する色ムラ判別装置がある。
【0003】
このような色ムラ判別装置には、表示パネルの表示面を撮像してカラー画像データを取得し、取得したカラー画像データに基づいて色ムラの発生箇所を判別するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載された色ムラ判別装置においては、赤、緑、青のカラー画像データを色相、彩度の各画像データに変換し、変換した色相、彩度の各画像データに基づいて、これらの色相及び彩度を表す3次元データに変換する。
【0005】
そして、この3次元データの分布に基づいて色ムラの均一性を表すための定量化を行い、この定量化した結果に基づいて表示パネルの色ムラの発生箇所の判別を行う。
【0006】
【特許文献1】特開平9−218095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した特許文献1に記載された色ムラ判別装置においては、表示パネルの画素毎に色相、彩度と言った画像データの算出を行うため、計算時間が長くなり色ムラの発生箇所の判別に時間を要するという問題がある。
【0008】
また、色ムラ判別装置においては、色ムラの発生箇所の判別が高い精度で行われ表示パネルに表示される画質の向上を図る必要がある。
【0009】
そこで、本発明色ムラ判別装置、色ムラ判別方法及び表示装置は、上記した問題を克服し、短時間で確実に表示パネルの色ムラの発生箇所を判別して画質の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
色ムラ判別装置は、上記した課題を解決するために、検査対象となる表示パネルの表示面を撮像して画像データを取得する撮像手段と、前記撮像手段によって取得された前記画像データに基づいて放射輝度に関する2次元分光データを生成するデータ生成手段と、前記データ生成手段によって生成された前記2次元分光データを色ムラ検出データに加工する入力データ加工手段と、前記入力データ加工手段によって加工された前記色ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルの表示面における色ムラの発生箇所を判別する色ムラ判別手段とを備えたものである。
【0011】
従って、色ムラ判別装置にあっては、画像データに基づいて生成された2次元分光データが加工されて生成された色ムラ検出データと基準データが比較されて表示面に表示される画像の色ムラの発生箇所が判別される。
【0012】
上記した色ムラ判別装置においては、1回の撮像によって前記表示面の全領域を撮像することが望ましい。
【0013】
1回の撮像によって表示面の全領域を撮像することにより、1回の撮像によって表示面の全領域における画像データが取得される。
【0014】
上記した色ムラ判別装置においては、前記表示面の全領域が複数の分割領域から成り、前記分割領域毎に波長と放射輝度の関係を示し前記2次元分光データを生成するための測光データを前記画像データに基づいて生成することが望ましい。
【0015】
表示面の全領域が複数の分割領域から成り、分割領域毎に波長と放射輝度の関係を示し2次元分光データを生成するための測光データを画像データに基づいて生成することにより、表示面の分割領域毎における波長と放射輝度の関係を示すデータに基づいて2次元分光データが生成される。
【0016】
上記した色ムラ判別装置においては、前記測光データに基づいて各波長毎に前記2次元分光データを生成することが望ましい。
【0017】
測光データに基づいて各波長毎に2次元分光データを生成することにより、各波長毎の2次元分光データが加工されて色ムラ検出データが生成される。
【0018】
上記した色ムラ判別装置においては、シェーディング補正を行うことにより前記2次元分光データを前記色ムラ検出データに加工することが望ましい。
【0019】
シェーディング補正を行うことにより2次元分光データを色ムラ検出データに加工することにより、シェーディング成分が除去された色ムラ検出データが生成される。
【0020】
上記した色ムラ判別装置においては、前記画像データに基づいて前記2次元分光データである検査対象データを生成し、前記シェーディング補正を最小二乗法を用いて行うことにより前記検査対象データに基づいて近似データを生成し、前記検査対象データを前記近似データで除算することにより前記2次元分光データを前記色ムラ検出データに加工することが望ましい。
【0021】
シェーディング補正を最小二乗法を用いて行うことにより近似データを生成し、検査対象データを近似データで除算することにより色ムラ検出データに加工することによって、シェーディング成分が除去された検査対象データを近似データで除算することにより色ムラ検出データが生成される。
【0022】
上記した色ムラ判別装置においては、複数の区画に分割した分割区画毎に前記検査対象データに基づいて前記近似データを生成し、前記分割区画毎の前記検査対象データを前記分割区画毎に生成した前記近似データでそれぞれ除算することが望ましい。
【0023】
複数の区画に分割した分割区画毎に検査対象データに基づいて近似データを生成し、分割区画毎の検査対象データを分割区画毎に生成した近似データでそれぞれ除算することにより、シェーディング成分が除去された分割区画毎の検査対象データを分割領域毎に生成した近似データで除算することによって色ムラ検出データが生成される。
【0024】
上記した色ムラ判別装置においては、前記色ムラ検出データのうち放射輝度比に関して所定の基準範囲外にある数値を含むデータを算出対象データとして抽出するデータ抽出手段と、色ムラの判別を行うための判別係数を算出する数式を前記データ抽出手段によって抽出された前記算出対象データに基づいて定義する数式定義手段と、前記数式定義手段によって定義された前記数式によって前記色ムラ検出データを前記判別係数として算出する判別係数算出手段とを設け、前記色ムラ判別手段が前記判別係数算出手段によって算出された前記判別係数と前記基準データとして予め定められた基準係数とを比較することが望ましい。
【0025】
色ムラ検出データから抽出された算出対象データに基づいて定義した数式によって算出された判別係数と基準係数が比較されることにより、表示面に表示される画像の色ムラの発生箇所が判別される。
【0026】
上記した色ムラ判別装置においては、前記判別係数としてマハラノビスの距離の値を用いることが望ましい。
【0027】
判別係数としてマハラノビスの距離の値を用いることにより、マハラノビスの距離と基準係数が比較されて色ムラの発生箇所が判別される。
【0028】
上記した色ムラ判別装置においては、波長毎に前記色ムラ検出データを生成し、各波長毎に生成した前記色ムラ検出データのうち所定の範囲外にある放射輝度を含む波長のデータから前記算出対象データを抽出することが望ましい。
【0029】
波長毎に色ムラ検出データを生成し、各波長毎に生成した色ムラ検出データのうち所定の範囲外にある放射輝度を含む波長のデータから算出対象データを抽出することにより、各波長毎に生成された色ムラ検出データから抽出された算出対象データに基づいて数式が定義される。
【0030】
上記した色ムラ判別装置においては、前記表示パネルの表示面の全領域を複数の部分に分割し、前記撮像手段が各分割部分の対向する位置に移動されて前記分割部分毎に撮像することが望ましい。
【0031】
表示パネルの表示面の全領域を複数の部分に分割し、撮像手段が各分割部分の対向する位置に移動されて分割部分毎に撮像することにより、各分割部分毎の撮像が全ての分割部分において行われて表示面の全領域における画像データが取得される。
【0032】
色ムラ判別方法にあっては、検査対象となる表示パネルの表示面を撮像手段によって撮像して画像データを取得し、前記撮像手段によって取得した前記画像データに基づいて放射輝度に関する2次元分光データをデータ生成手段によって生成し、前記データ生成手段によって生成した前記2次元分光データを入力データ加工手段によって色ムラ検出データに加工し、前記入力データ加工手段によって加工した前記色ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルの表示面における色ムラの発生箇所を色ムラ判別手段によって判別するようにしたものである。
【0033】
従って、色ムラ判別方法にあっては、画像データに基づいて生成された2次元分光データが加工されて生成された色ムラ検出データと基準データが比較されて表示面に表示される画像の色ムラの発生箇所が判別される。
【0034】
表示装置は、上記した課題を解決するために、色ムラ判別装置によって色ムラに関する判別が行われた表示面を有する表示パネルと、前記表示パネルを保持する筐体とを備え、前記色ムラ判別装置が、検査対象となる表示パネルの表示面を撮像して画像データを取得する撮像手段と、前記撮像手段によって取得された前記画像データに基づいて放射輝度に関する2次元分光データを生成するデータ生成手段と、前記データ生成手段によって生成された前記2次元分光データを色ムラ検出データに加工する入力データ加工手段と、前記入力データ加工手段によって加工された前記色ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルの表示面における色ムラの発生箇所を判別する色ムラ判別手段とを備えたものである。
【0035】
従って、表示装置にあっては、色ムラ判別装置によって画像データに基づいて生成された2次元分光データが加工されて生成された色ムラ検出データと基準データが比較されて表示面に表示される画像の色ムラの発生箇所が判別された表示パネルを備える。
【発明の効果】
【0036】
本発明色ムラ判別装置は、検査対象となる表示パネルの表示面を撮像して画像データを取得する撮像手段と、前記撮像手段によって取得された前記画像データに基づいて放射輝度に関する2次元分光データを生成するデータ生成手段と、前記データ生成手段によって生成された前記2次元分光データを色ムラ検出データに加工する入力データ加工手段と、前記入力データ加工手段によって加工された前記色ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルの表示面における色ムラの発生箇所を判別する色ムラ判別手段とを備えている。
【0037】
従って、短時間で確実に表示パネルの色ムラの発生箇所を判別して画質の向上を図ることが出来る。
【0038】
請求項2に記載した発明にあっては、1回の撮像によって前記表示面の全領域を撮像している。
【0039】
従って、画像データの取得時間の短縮化を図ることが出来る。
【0040】
請求項3に記載した発明にあっては、前記表示面の全領域が複数の分割領域から成り、前記画像データに基づいて前記分割領域毎に波長と放射輝度の関係を示し前記2次元分光データを生成するための測光データを生成している。
【0041】
従って、測光データを生成する時間の短縮化を図ることが出来る。
【0042】
請求項4に記載した発明にあっては、前記測光データに基づいて各波長毎に前記2次元分光データを生成している。
【0043】
従って、2次元分光データを生成する時間の短縮化を図ることが出来る。
【0044】
請求項5に記載した発明にあっては、シェーディング補正を行うことにより前記2次元分光データを前記色ムラ検出データに加工している。
【0045】
従って、色ムラの発生箇所の判別精度の向上を図ることが出来る。
【0046】
請求項6に記載した発明にあっては、前記画像データに基づいて前記2次元分光データである検査対象データを生成し、前記シェーディング補正を最小二乗法を用いて行うことにより前記検査対象データに基づいて近似データを生成し、前記検査対象データを前記近似データで除算することにより前記2次元分光データを前記色ムラ検出データに加工している。
【0047】
従って、色ムラ検出データの加工時間の短縮化を図ることが出来る。
【0048】
請求項7に記載した発明にあっては、複数の区画に分割した分割区画毎に前記検査対象データに基づいて前記近似データを生成し、前記分割区画毎の前記検査対象データを前記分割区画毎に生成した前記近似データでそれぞれ除算している。
【0049】
従って、検査対象データのシェーディング成分が複数の異なる傾きを持った面で現れる場合において高い精度でシェーディング成分の補正を行うことが出来る。
【0050】
請求項8に記載した発明にあっては、前記色ムラ検出データのうち放射輝度比に関して所定の基準範囲外にある数値を含むデータを算出対象データとして抽出するデータ抽出手段と、色ムラの判別を行うための判別係数を算出する数式を前記データ抽出手段によって抽出された前記算出対象データに基づいて定義する数式定義手段と、前記数式定義手段によって定義された前記数式によって前記色ムラ検出データを前記判別係数として算出する判別係数算出手段とを設け、前記色ムラ判別手段が前記判別係数算出手段によって算出された前記判別係数と前記基準データとして予め定められた基準係数とを比較している。
【0051】
従って、色ムラの発生箇所の判別精度の向上を図ることが出来る。
【0052】
請求項9に記載した発明にあっては、判別係数としてマハラノビスの距離の値を用いている。
【0053】
従って、判別係数の算出時間の短縮化を図ることが出来る。
【0054】
請求項10に記載した発明にあっては、波長毎に前記色ムラ検出データを生成し、各波長毎に生成した前記色ムラ検出データのうち所定の範囲外にある放射輝度を含む波長のデータから前記算出対象データを抽出している。
【0055】
従って、判別係数の算出時間の一層の短縮化を図ることが出来る。
【0056】
請求項11に記載した発明にあっては、前記表示パネルの表示面の全領域を複数の部分に分割し、前記撮像手段が各分割部分の対向する位置に移動されて前記分割部分毎に撮像している。
【0057】
従って、2次元分光データのシェーディング成分の軽減を図ることが出来、色ムラの発生箇所の判別精度の向上を図ることが出来る。
【0058】
本発明色ムラ判別方法にあっては、検査対象となる表示パネルの表示面を撮像手段によって撮像して画像データを取得し、前記撮像手段によって取得した前記画像データに基づいて放射輝度に関する2次元分光データをデータ生成手段によって生成し、前記データ生成手段によって生成した前記2次元分光データを入力データ加工手段によって色ムラ検出データに加工し、前記入力データ加工手段によって加工した前記色ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルの表示面における色ムラの発生箇所を色ムラ判別手段によって判別している。
【0059】
従って、短時間で確実に表示パネルの色ムラの発生箇所を判別して画質の向上を図ることが出来る。
【0060】
本発明表示装置にあっては、色ムラ判別装置によって色ムラに関する判別が行われた表示面を有する表示パネルと、前記表示パネルを保持する筐体とを備え、前記色ムラ判別装置が、検査対象となる表示パネルの表示面を撮像して画像データを取得する撮像手段と、前記撮像手段によって取得された前記画像データに基づいて放射輝度に関する2次元分光データを生成するデータ生成手段と、前記データ生成手段によって生成された前記2次元分光データを色ムラ検出データに加工する入力データ加工手段と、前記入力データ加工手段によって加工された前記色ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルの表示面における色ムラの発生箇所を判別する色ムラ判別手段とを備えている。
【0061】
従って、短時間で確実に表示パネルの色ムラの発生箇所を判別して画質の向上を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態と称する。)について詳細に説明する。
【0063】
[表示装置の構成]
表示装置1は筐体2と筐体2に保持された表示部3とを有している(図1参照)。
【0064】
表示部3としては、例えば、液晶ディスプレイが用いられ、表示部3の前面における外周部以外の部分、即ち、前方から視認される部分が表示面3aとして形成されている。
【0065】
なお、本実施の形態においては、表示部3として液晶ディスプレイが用いられた表示装置1を示したが、表示部3は液晶ディスプレイに限定はされない。
【0066】
例えば、表示部3として画像を表示する自発光デバイスである有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などが用いられていてもよい。
【0067】
[表示装置の動作]
表示装置1においては、外部から供給される入力画像信号に基づいて表示面3aに画像(カラー画像)が表示される。
【0068】
表示面3aに画像が表示されるときに表示される画像に色ムラが発生すると画質を著しく損ねるため、表示装置1においては製品としての出荷前に色ムラの発生箇所の判別が行われている。
【0069】
表示装置1における色ムラの発生箇所の判別は、以下に示す色ムラ判別装置4または色ムラ判別装置4Aによって行われている。
【0070】
表示装置1にあっては、色ムラ判別装置4または色ムラ判別装置4Aによって色ムラの発生箇所が判別され、判別結果に基づいて色ムラの発生のない表示面3aを有しているため、画質の向上を図ることが出来る。
【0071】
[色ムラ判別装置の構成]
色ムラ判別装置4は、撮像手段5とデータ生成手段6と入力データ加工手段7と色ムラ判別手段8を備えている(図1参照)。
【0072】
撮像手段5は、図示しないCCD(Charge Coupled Device Image)素子やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)素子などの画像センサを備えている。
【0073】
撮像手段5は図示しないパーソナルコンピュータなどの情報処理装置に電気的に接続されている。
【0074】
データ生成手段6と入力データ加工手段7と色ムラ判別手段8は、撮像手段5が接続された情報処理装置に備えられた記憶装置にプログラムとして設けられている。
【0075】
[色ムラ判別装置の動作]
先ず、撮像手段5によって検査対象である表示面3aの画像を、例えば、1回で撮像して画像データ9を取得する(図2参照)。この時、表示面3aは複数の分割領域に分割されており、撮像手段5によって取得された画像データ9は分割領域毎のデータとしてデータ生成手段6に出力される。この分割領域は、例えば、表示面3aの画素毎の領域とされている。
【0076】
データ生成手段6に撮像手段5から画像データ9が入力されると、表示面3aの分割領域毎に波長と放射輝度の関係を示す測光データ10、10、・・・が生成される。
【0077】
続いて、データ生成手段6によって生成された測光データ10、10、・・・に基づいて表示面3aの各波長毎の2次元分光データ11が生成され、生成された2次元分光データ11が入力データ加工手段7へ出力される(図3参照)。
【0078】
図3は、3次元のグラフに2次元分光データ11を現したものである。x軸とy軸によって表示面3aの直交座標系の平面を示し、z軸は放射輝度を示している。
【0079】
表示面3aに色ムラが発生していると、2次元分光データ11には輝度ムラとして現れる。そして、図3において、2次元分光データ11は表示面3aに輝度ムラが存在しなければ略平坦な面として現れる。但し、実際には撮像手段5によって撮像を行うと、2次元分光データ11には分割領域毎に放射輝度が変動するシェーディング成分が生じる。
【0080】
このようなシェーディング成分は、検査対象となる表示面3aが変更される毎に撮像手段5が有する受光素子と表示面3aの相対する角度が、例えば、筐体2に対する表示部3の位置精度などによって微小に変化するなどの検査条件に起因して生じる。
【0081】
また、シェーディング成分は、例えば、撮像手段5の光学系において生じる色収差等に起因しても生じる。
【0082】
輝度ムラは、表示面3aの画像に放射輝度が周辺よりも大幅に低下することにより現れ、この大幅に低下した箇所が輝度ムラ発生領域13とされる(図3参照)。そして、各波長毎の2次元分光データ11が生成されることにより、特定波長での輝度ムラを検出することが出来る。
【0083】
図4は、図3と同じ2次元分光データ11を現した3次元のグラフである。図4においては、グラフの参照方向が図3に比してxz座標が見易い方向とされている。
【0084】
表示面3aには、例えば、液晶ディスプレイの製造時の不具合等によって、周辺と比べて放射輝度が著しく低い画素が滅点として現れることがある。この滅点は、図4で示すグラフにおいて、放射輝度が周辺の放射輝度より低くなる滅点領域14として現れる。このような滅点領域14が存在する場合には、上述したシェーディング成分により放射輝度の値が滅点領域14の値と同じになる特定領域15が存在する場合がある。
【0085】
滅点領域14は輝度ムラ発生領域13と同様に色ムラの発生箇所として判別されるが、特定領域15はシェーディング成分による放射輝度の変動が周辺の領域の放射輝度と比較して一定範囲内の差であれば色ムラの発生がない正常な領域として判別される。
【0086】
上記のような色ムラの発生箇所を判別するために、2次元分光データ11が以下のように色ムラ検出データ17に加工される。
【0087】
入力データ加工手段7に2次元分光データ11が入力されると、2次元分光データ11は検査対象データ12とされる(図3及び図4参照)。続いて、検査対象データ12に基づいて最小二乗法を用いて近似データ16が生成される。なお、近似データ16も検査対象データ12と同様に2次元分光データ11に含まれるデータである。
【0088】
図5は、3次元のグラフに近似データ16を現したものである。近似データ16は、例えば、全領域における検査対象データ12に基づいて生成されており、緩やかな曲面状のデータとして現れる。x軸とy軸によって表示面3aの直交座標系の平面を示し、z軸は放射輝度を示している。なお、図5の近似データ16の破線はデータの形状の理解を容易にするために便宜的に付したものであり、データの領域の境界線を示すものではない。
【0089】
次に、生成された近似データ16で検査対象データ12が分割領域毎にそれぞれ除算されることにより、検査対象データ12の放射輝度が色ムラ検出データ17の放射輝度比として算出される。
【0090】
図6と図7は、何れも3次元のグラフに近似データ16で検査対象データ12が除算されて生成された色ムラ検出データ17を現したものである。図6及び図7において、x軸とy軸によって表示面3aの直交座標系の平面を示し、z軸は放射輝度比を示している。図7においては、グラフの参照方向が図7に比してxz座標が見易い方向とされている。
【0091】
このように加工された色ムラ検出データ17においては、特定領域15を含む色ムラの発生が生じていない領域では、当該領域の放射輝度が最小二乗法を用いて生成された放射輝度で除算されるので放射輝度比は1または1に近い値となる。一方、輝度ムラ発生領域13や滅点領域14では、他の領域からかけ離れた異常な放射輝度が最小二乗法を用いて生成された放射輝度で除算されるので放射輝度比は1から離れた値となる。
【0092】
図7で示される3次元のグラフでは、色ムラの発生が生じていない領域は放射輝度比が1または1に近い値となり、平坦または平坦に近い面として現れる。一方、輝度ムラ発生領域13は色ムラ検出データ17においては放射輝度比が1から離れた値となって第1の異常領域18として現れ、滅点領域14も色ムラ検出データ17においては放射輝度比が1から離れた値となって第2の異常領域19として現れる。
【0093】
従って、2次元分光データ11が色ムラ検出データ17に加工されることにより、放射輝度比の大きさによって色ムラの発生箇所を判別することが可能となり、後述するように、第1の異常領域18と第2の異常領域19が色ムラの発生箇所を現す領域として判別される。
【0094】
なお、上記には、全領域における近似データ16で検査対象データ12が除算されるようにした例(図5参照)を示したが、検査対象データ12を複数の区画に分割し、分割区画毎にそれぞれ近似データ16B、16B、・・・を生成することも可能である(図8参照)。例えば、図8に示すように、表示面3aをx軸方向とy軸方向においてそれぞれ5分割して25区画とし、分割区画毎にそれぞれ最小二乗法を用いて近似データ16B、16B、・・・を生成する。生成された近似データ16B、16B、・・・で検査対象データ12が分割領域毎にそれぞれ除算されることにより、検査対象データ12の放射輝度が色ムラ検出データ17の放射輝度比として算出される。近似データ16B、16B、・・・は検査対象データ12をx軸とy軸方向でそれぞれ5分割した区画毎に生成されており、3次元のグラフには分割された区画のそれぞれの面が緩やかな曲面状のデータとして現れる。
【0095】
なお、上記には、表示面3aをx軸方向とy軸方向においてそれぞれ5分割して25区画とした例を示したが、この区画数は例示したものであり、表示面3aの区画数は複数の任意の数に設定することが可能である。
【0096】
全領域における近似データ16で検査対象データ12が除算されるようにした場合には、検査対象データ12のシェーディング成分が一定方向の面の傾き(図4参照)として現れる場合において高い精度でシェーディング成分の補正を行うことが出来る。
【0097】
一方、分割された区画毎に生成された近似データ16B、16B、・・・で検査対象データ12が分割領域毎にそれぞれ除算されるようにした場合には、検査対象データ12のシェーディング成分が複数の異なる傾きを持った面で現れる場合において高い精度でシェーディング成分の補正を行うことが出来る。
【0098】
色ムラ判別手段8に色ムラ検出データ17が入力されると、色ムラ検出データ17の分割領域毎に放射輝度比と予め定められた基準データとが比較される。当該基準データは、検査対象となる表示部3の製品仕様や色ムラ判別装置4が設置される環境等に応じて定められる。
【0099】
比較された結果、放射輝度比が基準データよりも小さいときには当該分割領域において色ムラが発生し当該領域が色ムラの発生箇所であると判別される。一方、放射輝度比が基準データ以上であるときには当該分割領域においては色ムラが発生していないと判別される。このように表示面3aの全ての分割領域について色ムラの発生箇所の判別が行われ、判別結果が図示しない外部記憶手段などに出力される。
【0100】
表示装置1においては、上記した色ムラの発生箇所の判別が表示装置1を製品として出荷する前の検査工程において行われ、検査対象となる全ての表示部3について行われる。この判別の結果において色ムラの発生箇所があると判別された表示部3は、当該部分に色ムラが発生しないように修繕されるか、出荷に適さない表示部3として除外される。
【0101】
なお、色ムラ検出データ17には波長に関する情報が含まれるため、波長に関する情報に基づいて色ムラの発生箇所において何れの表示色について色ムラが発生しているかの情報を取得することが出来る。
【0102】
従って、色ムラの発生箇所のみならず、色ムラの発生が生じた表示色についての判別も可能であり、色ムラの発生について高精細な判別を行うことが出来る。
【0103】
また、色ムラ判別装置4にあっては、撮像手段5の一度の撮像で表示面3aの全領域を撮像するようにしたので、画像データ9の取得時間の短縮化を図ることが出来る。
【0104】
さらに、色ムラ判別装置4にあっては、表示面3aの全領域が複数の領域に分割され、分割領域毎に波長と放射輝度の関係を示す測光データ10、10、・・・を生成するようにしたので、画像データ9を分割領域毎に色相、彩度などの各種のデータに変換することなく測光データ10、10、・・・の生成が行われ、測光データ10、10、・・・を生成する時間の短縮化を図ることが出来る。
【0105】
さらにまた、色ムラ判別装置4にあっては、生成した測光データ10、10、・・・に基づいて各波長毎に2次元分光データ11を生成するようにしたので、2次元分光データ11を生成する時間の短縮化を図ることが出来る。
【0106】
加えて、色ムラ判別装置4にあっては、入力データ加工手段7においてシェーディング補正を行うことにより2次元分光データ11を色ムラ検出データ17に加工することによって、色ムラの発生箇所の判別精度を向上させることが出来る。
【0107】
さらに加えて、色ムラ判別装置4にあっては、入力データ加工手段7においてシェーディング補正を最小二乗法を用いて行うことにより検査対象データ12に基づいて近似データ16または近似データ16B、16B、・・・を生成し、検査対象データ12を近似データ16または近似データ16B、16B、・・・で除算することによりシェーディング補正を行って2次元分光データ11を色ムラ検出データ17に加工している。最小二乗法を用いることにより短時間で近似データ16または近似データ16B、16B、・・・を算出することが可能であるため、色ムラ検出データ17の加工時間の短縮化を図ることが出来る。
【0108】
[色ムラ判別装置の変形例]
以下に、変形例に係る色ムラ判別装置4Aについて説明する(図9乃至図13参照)。
【0109】
なお、以下に示す色ムラ判別装置4Aは、上記した色ムラ判別装置4と比較して、撮像手段5とデータ生成手段6と入力データ加工手段7は同様の構成であるが、これに加えてデータ抽出手段と数式定義手段と判別係数算出手段と色ムラ判別手段8とは異なる色ムラ判別手段を備えている点が異なる。従って、変形例に係る色ムラ判別装置4Aについては、色ムラ判別装置4と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については色ムラ判別装置4における同様の部分に付した符号と同じ符号を用いて説明し、色ムラ判別装置4と重複する説明は省略する。
【0110】
[変形例に係る色ムラ判別装置の構成]
色ムラ判別装置4Aは、撮像手段5とデータ生成手段6と入力データ加工手段7とデータ抽出手段20と数式定義手段21と判別係数算出手段22と色ムラ判別手段8Aを備えている(図9参照)。
【0111】
データ生成手段6と入力データ加工手段7とデータ抽出手段20と数式定義手段21と判別係数算出手段22と色ムラ判別手段8Aは、撮像手段5が接続された情報処理装置に備えられた記憶装置にプログラムとして設けられている。
【0112】
[変形例に係る色ムラ判別装置の動作]
色ムラ判別装置4Aにおいては、色ムラ判別装置4の動作と同様に、撮像手段5によって検査対象である表示面3aの画像を、例えば、1回で撮像すると、色ムラ検出データ17が加工され、加工された色ムラ検出データ17がデータ抽出手段20に出力される。色ムラ検出データ17がデータ抽出手段20に入力されると、各波長毎の色ムラ検出データ17のうち、例えば、放射輝度比の標準偏差と最小値について何れも所定の基準範囲外にある数値を含むデータが算出対象データ23として選別される(図10参照)。
【0113】
図10は、算出対象データ23のxz座標におけるデータを現したグラフである。算出対象データ23に輝度ムラ発生領域13から生成された第1の異常領域18または滅点領域14から生成された第2の異常領域19が含まれる場合において、第1の異常領域18と第2の異常領域19については算出対象データ23に放射輝度比が低い値として現れる。即ち、第1の異常領域18または第2の異常領域19の放射輝度比は1から離れた値となる。一方、第1の異常領域18または第2の異常領域19以外の領域における放射輝度比は1または1に近い値となる。
【0114】
続いて、選別された算出対象データ23に基づいて良品データ24、24、・・・が抽出されて数式定義手段21に出力される(図11及び図12参照)。良品データ24、24、・・・としては算出対象データ23のうち放射輝度比が1または1に近い値のものを抽出する。良品データ24、24、・・・は、後述するマハラノビスの距離を算出するために必要な単位空間を構成するためのものである。
【0115】
良品データ24、24、・・・の抽出は、具体的には、例えば、全分割領域の放射輝度比の平均値をμa、標準偏差をσaとしたときに、μaを中心値としてσaの範囲内の放射輝度比のデータが抽出されることにより行われる。(図10参照)。
【0116】
図11と図12は、何れも算出対象データ23を3次元のグラフに現したものである。図11においては、x軸とy軸によって表示面3aの直交座標系の平面を示し、z軸は放射輝度比を示している。図12においては、グラフの参照方向が図11に比してxz座標が見易い方向とされている。図11と図12においては、何れも良品データ24、24、・・・として抽出する範囲が破線に囲まれた領域で示されている。
【0117】
数式定義手段21に良品データ24、24、・・・が入力されると、良品データ24、24、・・・で構成された単位空間からマハラノビスの距離の算出に用いる数式が定義され、定義された数式が判別係数算出手段22に出力される。マハラノビスの距離の算出に用いる数式は、例えば、MD(x,y)=|(Z(x,y)−μb)|/σbとして定義される。
【0118】
MD(x,y)は表示面3aの直交座標系の平面上の座標(x,y)に位置する分割領域におけるマハラノビスの距離を現し、Z(x,y)は算出対象データ23における当該分割領域の放射輝度比を現す。μbは良品データ24、24、・・・の平均値を現し、σbは良品データ24、24、・・・の標準偏差を現す。
【0119】
判別係数算出手段22にマハラノビスの距離の算出に用いる数式が入力されると、算出対象データ23における各分割領域毎の放射輝度比に基づいて各分割領域毎のマハラノビスの距離が当該数式によって算出される。算出された分割領域毎のマハラノビスの距離は判別係数25として色ムラ判別手段8Aに出力される。
【0120】
図13は、判別係数25を3次元のグラフに現したものである。図13においては、x軸とy軸によって表示面3aの直交座標系の平面を示し、z軸は判別係数25としてマハラノビスの距離を示している。
【0121】
一般に、分割領域のうちの単位空間を構成する良品データのマハラノビスの距離(判別係数25)の平均値は1であることが知られている。従って、図13の3次元のグラフでは、色ムラの発生が生じていない領域における判別係数25が1または1に近い値となり、平坦または平坦に近い面として現れる。一方、第1の異常領域18または第2の異常領域19における判別係数25は、例えば、1よりも大きくなる第3の異常領域26として現れる。
【0122】
色ムラ判別手段8Aに判別係数25が入力されると、分割領域毎に判別係数25と予め定められた基準係数とが比較される。当該基準係数は、検査対象となる表示部3の製品仕様や色ムラ判別装置4Aが設置される環境等に応じて定められる。
【0123】
比較された結果、判別係数25が基準係数よりも大きいときには当該分割領域において色ムラが発生し当該領域が色ムラの発生箇所であると判別される。一方、判別係数25が基準係数以下であるときには当該分割領域においては色ムラが発生していないと判別される。このように表示面3aの全ての分割領域について色ムラの発生箇所の判別が行われ、判別結果が図示しない外部記憶手段などに出力される。
【0124】
上記した色ムラ判別装置4Aにあっては、色ムラ検出データ17の分割領域毎の放射輝度比が単位空間の中心からどの程度離れているかを現す定量的な尺度として判別係数25を算出し、算出した判別係数25と予め定められた基準係数とを比較することによって色ムラの発生箇所の判別を行うようにしている。
【0125】
従って、定量的な尺度を現す判別係数25を用いて色ムラの発生箇所の判別を行っているため、色ムラの判別精度の向上を図ることが出来る。
【0126】
例えば、色ムラ判別装置4Aによる色ムラの発生箇所の判別は以下のような場合に特に有効である。
【0127】
表示面3aに表示される画像には領域の全体に渡って放射輝度が低い場合があり、この場合には特定の箇所の放射輝度とその周辺の領域の放射輝度との差が小さいときに、当該特定の箇所が人間の目では色ムラの発生箇所として認識されても放射輝度に基づいた判別によっては色ムラの発生箇所として判別されない可能性がある。このような場合に、判別係数25を用いた色ムラ判別装置4Aによる色ムラの発生箇所の判別を行ったときには、定量的な尺度を現す判別係数25を用いて色ムラの発生箇所の判別が行われるため、上記した特定の箇所が色ムラの発生箇所として判別される。従って、このような場合に、色ムラ判別装置4Aによる色ムラの発生箇所の判別が特に有効である。
【0128】
また、色ムラ判別装置4Aにあっては、判別係数25としてマハラノビスの距離を用いており、マハラノビスの距離は短時間で算出することが可能であるため、判別係数25の算出時間の短縮化を図ることが出来る。
【0129】
さらに、色ムラ判別装置4Aにあっては、色ムラ検出データ17から選別された算出対象データ23に基づいて判別係数25が算出され、色ムラ検出データ17の一部が判別係数25の算出のために用いられるため、判別係数25の算出時間の一層の短縮化を図ることが出来る。
【0130】
さらにまた、色ムラ判別装置4Aにあっては、算出対象データ23から良品データ24、24、・・・が抽出されることにより、マハラノビスの距離を算出するために必要な単位空間が構成されるため、判別係数25の算出精度の向上を図ることが出来る。
【0131】
なお、上記には、判別係数25としてマハラノビスの距離を用いた例を示したが、判別係数25はマハラノビスの距離に限られることはない。例えば、ニューラルネットワークによって分割領域毎の放射輝度比の相互関係に基づいて算出された値を判別係数25として用いることも可能である。
【0132】
[まとめ]
以上に記載した通り、色ムラ判別装置4及び色ムラ判別装置4Aにあっては、撮像手段5によって取得した画像データ9を色相、彩度といった各種の画像データに算出することなく色ムラ検出データ17を生成して色ムラの発生箇所の判別を行っている。
【0133】
従って、表示装置1の表示面3aに発生する色ムラの発生箇所を短時間で確実に判別することが出来る。
【0134】
[その他]
上記には、撮像手段5によって一度の撮像で表示装置1の表示面3aの全領域を撮像する例(図2参照)を示したが、表示面3aが複数の部分に分割され、撮像手段5が各分割部分の対向する位置に移動されて分割部分毎に撮像することも可能である。
【0135】
撮像手段5によって一度の撮像で表示装置1の表示面3aの全領域を撮像する場合には、表示面3aと撮像手段5に備えられた画像センサとの距離が表示面3aの中央から外周側に行くに従って大きくなり、画像センサまでの距離が表示面3aの中央と表示面3aの外周部では大きく異なる。一方、撮像手段5が各分割部分の対向する位置に移動されて分割部分毎に撮像する場合には、1回毎の撮像領域が小さいため、各分割部分と画像センサの距離が撮像位置によらず略一定である。
【0136】
従って、表示面3aが複数の部分に分割され、撮像手段5が各分割部分の対向する位置に移動されて分割部分毎に撮像する場合には、2次元分光データ11において生じるシェーディング成分の軽減を図ることが出来、色ムラの発生箇所の判別精度の向上を図ることが出来る。
【0137】
上記した発明の最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明を実施するための最良の形態を示すものであり、本図は、色ムラ判別装置の模式図である。
【図2】撮像手段によって表示面を撮像し、画像データを取得して2次元分光データを生成する状態を示す模式図である。
【図3】図4と共に検査対象データを示すグラフ図である。
【図4】検査対象データの参照方向を図3に対して変更して示したグラフ図である。
【図5】全領域における近似データを示すグラフ図である。
【図6】図7と共に色ムラ検出データを示すグラフ図である。
【図7】色ムラ検出データの参照方向を図6に対して変更して示したグラフ図である。
【図8】分割された区画毎に生成された近似データを示すグラフ図である。
【図9】図10乃至図13と共に変形例に係る色ムラ判別装置に関するものであり、本図は、色ムラ判別装置の模式図である。
【図10】算出対象データの特定のxz軸に関する放射輝度を示すグラフ図である。
【図11】図12と共に算出対象データを示すグラフ図である。
【図12】参照方向を図11に対して変更して示すグラフ図である。
【図13】判別係数としてマハラノビスの距離を算出して示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0139】
1…表示装置、2…筐体、3…表示部、3a…表示面、4…色ムラ判別装置、5…撮像手段、6…データ生成手段、7…入力データ加工手段、8…色ムラ判別手段、9…画像データ、10…測光データ、11…2次元分光データ、12…検査対象データ、13…輝度ムラ発生領域、14…滅点領域、15…特定領域、16…近似データ、17…色ムラ検出データ、18…第1の異常領域、19…第2の異常領域、16B…近似データ、4A…色ムラ判別装置、20…データ抽出手段、21…数式定義手段、22…判別係数算出手段、8A…色ムラ判別手段、23…算出対象データ、24…良品データ、25…判別係数、26…第3の異常領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となる表示パネルの表示面を撮像して画像データを取得する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された前記画像データに基づいて放射輝度に関する2次元分光データを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段によって生成された前記2次元分光データを色ムラ検出データに加工する入力データ加工手段と、
前記入力データ加工手段によって加工された前記色ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルの表示面における色ムラの発生箇所を判別する色ムラ判別手段とを備えた
色ムラ判別装置。
【請求項2】
前記撮像手段が1回の撮像によって前記表示面の全領域を撮像するようにした
請求項1に記載の色ムラ判別装置。
【請求項3】
前記表示面の全領域が複数の分割領域から成り、
前記分割領域毎に波長と放射輝度の関係を示し前記2次元分光データを生成するための測光データを前記画像データに基づいて生成するようにした
請求項1に記載の色ムラ判別装置。
【請求項4】
前記測光データに基づいて各波長毎に前記2次元分光データを生成するようにした
請求項3に記載の色ムラ判別装置。
【請求項5】
シェーディング補正を行うことにより前記2次元分光データを前記色ムラ検出データに加工するようにした
請求項1に記載の色ムラ判別装置。
【請求項6】
前記画像データに基づいて前記2次元分光データである検査対象データを生成し、
前記シェーディング補正を最小二乗法を用いて行うことにより前記検査対象データに基づいて近似データを生成し、
前記検査対象データを前記近似データで除算することにより前記2次元分光データを前記色ムラ検出データに加工するようにした
請求項5に記載の色ムラ判別装置。
【請求項7】
複数の区画に分割した分割区画毎に前記検査対象データに基づいて前記近似データを生成し、
前記分割区画毎の前記検査対象データを前記分割区画毎に生成した前記近似データでそれぞれ除算するようにした
請求項6に記載の色ムラ判別装置。
【請求項8】
前記色ムラ検出データのうち放射輝度比に関して所定の基準範囲外にある数値を含むデータを算出対象データとして抽出するデータ抽出手段と、
色ムラの判別を行うための判別係数を算出する数式を前記データ抽出手段によって抽出された前記算出対象データに基づいて定義する数式定義手段と、
前記数式定義手段によって定義された前記数式によって前記色ムラ検出データを前記判別係数として算出する判別係数算出手段とを設け、
前記色ムラ判別手段が前記判別係数算出手段によって算出された前記判別係数と前記基準データとして予め定められた基準係数とを比較するようにした
請求項1に記載の色ムラ判別装置。
【請求項9】
前記判別係数としてマハラノビスの距離の値を用いるようにした
請求項8に記載の色ムラ判別装置。
【請求項10】
波長毎に前記色ムラ検出データを生成し、
各波長毎に生成した前記色ムラ検出データのうち所定の範囲外にある放射輝度を含む波長のデータから前記算出対象データを抽出するようにした
請求項8に記載の色ムラ判別装置。
【請求項11】
前記表示パネルの表示面の全領域を複数の部分に分割し、
前記撮像手段が各分割部分の対向する位置に移動されて前記分割部分毎に撮像するようにした
請求項1に記載の色ムラ判別装置。
【請求項12】
検査対象となる表示パネルの表示面を撮像手段によって撮像して画像データを取得し、
前記撮像手段によって取得した前記画像データに基づいて放射輝度に関する2次元分光データをデータ生成手段によって生成し、
前記データ生成手段によって生成した前記2次元分光データを入力データ加工手段によって色ムラ検出データに加工し、
前記入力データ加工手段によって加工した前記色ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルの表示面における色ムラの発生箇所を色ムラ判別手段によって判別する
色ムラ判別方法。
【請求項13】
色ムラ判別装置によって色ムラに関する判別が行われた表示面を有する表示パネルと、
前記表示パネルを保持する筐体とを備え、
前記色ムラ判別装置が、
検査対象となる表示パネルの表示面を撮像して画像データを取得する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された前記画像データに基づいて放射輝度に関する2次元分光データを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段によって生成された前記2次元分光データを色ムラ検出データに加工する入力データ加工手段と、
前記入力データ加工手段によって加工された前記色ムラ検出データと予め定められた基準データとを比較して前記表示パネルの表示面における色ムラの発生箇所を判別する色ムラ判別手段とを備えた
表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−185030(P2012−185030A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48135(P2011−48135)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】