説明

色変換による階調性変化の検出装置、検出方法、及び当該検出装置の制御プログラム。

【課題】ICCプロファイルを用いた画像データの色変換により生じる階調つぶれやトーンジャンプ等の階調性変化を検出するための検出装置を提供する。
【解決手段】入出力プロファイルを用いた色変換前のカラーパッチ群のカラーパッチ間の色差(ΔE)等と、色変換後のカラーパッチ群の対応するカラーパッチ間の色差(ΔE’)等とを比較し、その変化量に応じて当該カラーパッチ間の色変換による階調性変化を検出することを特徴とする検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICCプロファイルを用いた色変換による階調つぶれやトーンジャンプ等の階調性変化を検出するための検出装置、検出方法、及び当該検出装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの印刷システムは、ICCプロファイルによる色変換後の印刷画像の色味や階調性等をユーザ自身が調整できるように、ユーザの指示に応じてICCプロファイルの内容を修正する機能を備えている。他方、色変換後の印刷画像の画質評価についてはユーザの目視に頼らざるを得ないのが現状なので、上述のシステムを利用したとしても、ユーザは所望の印刷画質を達成するためにプロファイル調整及び目視確認を何度も繰り返さなければならない。そのため、ユーザがICCプロファイルによる色変換後の印刷画質を簡単に評価することができるような印刷システムが求められている。
【0003】
これに関連して、以下の特許文献1には、所定の評価用パターンに対する色変換後のデバイス依存色空間(CMYK色空間等)の色信号に対してICCプロファイルをさらに適用することによりデバイス非依存色空間(L*a*b*色空間等)の色信号を生成し、そのデバイス非依存色空間の色信号に基づく出力画像の階調性や色再現性等の評価結果をユーザに表示する画像評価装置が提案されている。しかし、同装置によると色変換後の評価用パターンの階調性等を客観的に評価することはできても、色変換前後での階調性等の変化を検出することはできない。つまり、同装置によると出力画像中の階調性の異常を検出することはできても、それが色変換により生じたものであるかどうかを判断することはできない。よって、ICCプロファイルを用いた色変換により生じた階調性変化(階調つぶれやトーンジャンプ等)を検出するためには、結局、ユーザの目視確認に頼らざるを得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−316893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ICCプロファイルを用いた画像データの色変換により生じる階調つぶれやトーンジャンプ等の階調性変化を検出するための検出装置、検出方法、及び当該検出装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0007】
(1)入力デバイスのデバイス依存色空間である入力デバイス依存色空間の色信号をデバイス非依存色空間の色信号に変換するための入力プロファイル、及び出力デバイスのデバイス依存色空間である出力デバイス依存色空間の色信号とデバイス非依存色空間の色信号とを相互に変換するための出力プロファイルを用いた色変換による画像データの階調性変化を検出するための検出装置であって、前記色変換前の前記画像データに基づく画像中の2つの画素を、前記色変換による変化を検出すべき階調性の両端点として特定する特定部と、前記特定部により特定された前記2つの画素により表示される2つの前記入力デバイス依存色空間の色信号を、前記入力プロファイルにより変換した2つの前記デバイス非依存色空間の色信号を両端点とする階調性を示す複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第1のカラーパッチ群を生成する第1パッチ生成部と、前記第1パッチ生成部により生成された前記第1のカラーパッチ群を構成する複数の前記デバイス非依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルにより変換した複数の前記出力デバイス依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルによりさらに変換した複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第2のカラーパッチ群を生成する第2パッチ生成部と、前記第1パッチ生成部により生成された前記第1のカラーパッチ群に含まれるカラーパッチ間の属性値どうしの差分と、前記第2パッチ生成部により生成された前記第2のカラーパッチ群に含まれる対応するカラーパッチ間の属性値どうしの差分とを比較することにより、当該カラーパッチ間の前記色変換による階調性変化を検出する検出部と、を有する検出装置。
【0008】
(2)前記検出部は、前記第1のカラーパッチ群に含まれるカラーパッチ間の属性値どうしの差分に対する、前記第2のカラーパッチ群に含まれる対応するカラーパッチ間の属性値どうしの差分の減少量が第1の閾値を超えている場合に、前記色変換による階調性変化として階調つぶれを検出することを特徴とする上記(1)に記載の検出装置。
【0009】
(3)前記検出部は、前記第1のカラーパッチ群に含まれるカラーパッチ間の属性値どうしの差分に対する、前記第2のカラーパッチ群に含まれる対応するカラーパッチ間の属性値どうしの差分の増加量が第2の閾値を超えている場合に、前記色変換による階調性変化としてトーンジャンプを検出することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の検出装置。
【0010】
(4)前記カラーパッチ間の属性値どうしの差分は、色差、明度差、及び彩度差のうちの少なくとも一つであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の検出装置。
【0011】
(5)前記特定部は、ユーザにより指定された2つの画素を前記両端点として特定することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の検出装置。
【0012】
(6)前記特定部は、前記色変換前の画像データに基づく画像中の最高明度色及び最低明度色をそれぞれ表示する2つの画素、又は最高彩度色及び最低彩度色をそれぞれ表示する2つの画素を前記両端点として特定することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の検出装置。
【0013】
(7)前記検出部による検出結果を表示する表示部をさらに有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の検出装置。
【0014】
(8)前記表示部は、前記画像データに基づく画像中の、前記検出部により階調性変化が検出されたカラーパッチを表示する画素をハイライトしたプレビュー画像を表示することを特徴とする上記(7)に記載の検出装置。
【0015】
(9)前記デバイス非依存空間は、L*a*b*色空間であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の検出装置。
【0016】
(10)前記入力デバイス依存色空間及び前記出力デバイス依存色空間の少なくとも一方は、CMYK色空間であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の検出装置。
【0017】
(11)入力デバイスのデバイス依存色空間である入力デバイス依存色空間の色信号をデバイス非依存色空間の色信号に変換するための入力プロファイル、及び出力デバイスのデバイス依存色空間である出力デバイス依存色空間の色信号とデバイス非依存色空間の色信号とを相互に変換するための出力プロファイルを用いた色変換による画像データの階調性変化を検出するための検出方法であって、前記色変換前の前記画像データに基づく画像中の2つの画素を、前記色変換による変化を検出すべき階調性の両端点として特定するステップ(A)と、前記ステップ(A)で特定された前記両端点により表示される2つの前記入力デバイス依存色空間の色信号を、前記入力プロファイルにより変換した2つの前記デバイス非依存色空間の色信号を両端点とする階調性を示す複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第1のカラーパッチ群を生成するステップ(B)と、前記ステップ(B)で生成された前記第1のカラーパッチ群を構成する複数の前記デバイス非依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルにより変換した複数の前記出力デバイス依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルによりさらに変換した複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第2のカラーパッチ群を生成するステップ(C)と、前記ステップ(B)で生成された前記第1のカラーパッチ群に含まれるカラーパッチ間の属性値どうしの差分と、前記ステップ(C)で生成された前記第2のカラーパッチ群に含まれる対応するカラーパッチ間の属性値の差分とを比較することにより、前記色変換による当該カラーパッチ間の階調性変化を検出するステップ(D)と、を含む検出方法。
【0018】
(12)入力デバイスのデバイス依存色空間である入力デバイス依存色空間の色信号をデバイス非依存色空間の色信号に変換するための入力プロファイル、及び出力デバイスのデバイス依存色空間である出力デバイス依存色空間の色信号とデバイス非依存色空間の色信号とを相互に変換するための出力プロファイルを用いた色変換による画像データの階調性変化を検出するための検出装置の制御プログラムであって、前記色変換前の前記画像データに基づく画像中の2つの画素を、前記色変換による変化を検出すべき階調性の両端点として特定する手順(A)と、前記手順(A)で特定された前記両端点により表示される2つの前記入力デバイス依存色空間の色信号を、前記入力プロファイルにより変換した2つの前記デバイス非依存色空間の色信号を両端点とする階調性を示す複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第1のカラーパッチ群を生成する手順(B)と、前記手順(B)で生成された前記第1のカラーパッチ群を構成する複数の前記デバイス非依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルにより変換した複数の前記出力デバイス依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルによりさらに変換した複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第2のカラーパッチ群を生成する手順(C)と、前記手順(B)で生成された前記第1のカラーパッチ群に含まれるカラーパッチ間の属性値どうしの差分と、前記手順(C)で生成された前記第2のカラーパッチ群に含まれる対応するカラーパッチ間の属性値どうしの差分とを比較することにより、前記色変換による当該カラーパッチ間の階調性変化を検出する手順(D)と、を前記検出装置に実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る検出装置は、入出力プロファイルを用いた色変換前の第1のカラーパッチ群に含まれるカラーパッチ間の属性値の差分(色差、明度差、彩度差等)と、色変換後の第2のカラーパッチ群に含まれる対応するカラーパッチ間の属性値の差分(色差、明度差、彩度差等)とを比較することにより、入出力プロファイルを用いた色変換による当該カラーパッチ間の階調性変化(階調つぶれ、トーンジャンプ等)を検出することができる。
【0020】
よって本発明によると、色変換による階調つぶれやトーンジャンプ等を検出するための目視確認が不要となるため、プロファイルの調整により所望の出力画質を達成しようとするユーザにとっての利便性が飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るコントローラ内部の階調性変化検出部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るコントローラの処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るパッチ生成用UI画面の一例を示す概略図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るパッチ生成用UI画面の一例を示す概略図である。
【図9】図6のフローチャートにおけるS106及びS107の手順について説明するための概略図である。
【図10】図6のフローチャートにおけるS108の手順について説明するための概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る階調性評価の検出方法の一例を示す概略図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る階調性変化検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態に係る階調性変化の検出設定用UI画面の一例を示す概略図である。
【図14】本発明の一実施形態に係るハイライトプレビュー画像の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
−システムの構成(図1〜5)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システムSの全体構成を示すブロック図である。同図のように、画像形成システムSは、端末装置1、コントローラ2、及びプリンタ3を備えており、これらはネットワークNを介して接続されている。ここで、ネットワークNは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりネットワーク機器どうしを接続したLANや、LANどうしを専用線で接続したWAN等である。ただし、端末装置1、コントローラ2、及びプリンタ3は、直接機器間でローカル接続されてもよい。なお、ネットワークNに接続された機器の種類及び台数は図中の例に限定されない。
【0024】
図1において、入力デバイスである端末装置1は、プリンタ3を出力デバイスとした印刷ジョブを生成してコントローラ2に送信する。この際、端末装置1は、ICCプロファイルによる色変換に関する設定情報をコントローラ2に併せて送信することができる。コントローラ2は、端末装置1から受信した印刷ジョブに対してラスタライズ(画像化)、色変換、スクリーニング等の画像処理を実行することにより印刷用の画像データを生成し、その画像データをプリンタ3に転送する。また、コントローラ2は、ICCプロファイルを用いた色変換による階調性変化を検出するための検出装置としての機能を備えている。この点についてはさらに後述する。なお、コントローラ2は、図1のようにプリンタ3から独立した装置であってもよいしプリンタ3に内蔵されていてもよい。プリンタ3は、コントローラ2から受信した画像データに基づく印刷画像を指定された記録用紙に印刷する。これらの装置の具体的な構成について以下に詳細に説明する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る端末装置1の構成を示すブロック図である。図2のように、端末装置1は、制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、通信インタフェース15等を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス16によって双方向通信可能に接続されている。
【0026】
制御部11は、CPUであり、制御プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。記憶部12は、端末装置1の基本動作を制御するための制御プログラムやパラメータ等を格納するROM、作業領域として制御プログラム等を一時的に保持するRAM、OS(オペレーティングシステム)や制御プログラム等を格納するハードディスクを含む記憶領域である。
【0027】
表示部13は、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置であり、ユーザに各種情報を表示する。操作部14は、キーボードやマウス等の入力装置であり、ユーザから各種動作指示を受け付ける。通信インタフェース15は、NIC(Network Interface Card)等の通信モジュールであり、ネットワークNを介したコントローラ2との通信処理を実行する。
【0028】
図3は、本実施形態に係るコントローラ2の構成を示すブロック図である。コントローラ2は、制御部21、記憶部22、表示部23、入力部24、色変換部25、RIP部26、階調性変化検出部27、通信インタフェース28等を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス29によって双方向通信可能に接続されている。
【0029】
制御部21は、CPUであり、制御プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。記憶部22は、コントローラ2の基本動作を制御するための制御プログラムやパラメータ等を格納するROM、作業領域として制御プログラム等を一時的に保持するRAM、OSや制御プログラム等を格納するハードディスクを含む記憶領域である。特に、本実施形態に係る記憶部22は、色変換部25による印刷データファイルの色変換に用いるICCプロファイル(以下では単に「プロファイル」ともいう)を格納するプロファイルDB部(不図示)を備えている。
【0030】
なお、本実施形態におけるプロファイルには、入力デバイス(端末装置1等)のデバイス依存色空間である入力デバイス依存色空間の色信号をデバイス非依存色空間の色信号に変換するためのプロファイルである入力プロファイル、出力デバイス(プリンタ3等)のデバイス依存色空間である出力デバイス依存色空間の色信号とデバイス非依存色空間の色信号とを相互に変換するためのプロファイルである出力プロファイルの双方が含まれる。さらに、入力デバイス依存色空間の色信号と出力デバイス依存色空間の色信号とを直接的に変換するためのプロファイルであるデバイスリンクプロファイルが含まれてもよい。なお、以下の説明において、入力デバイス依存色空間及び出力デバイス依存色空間はCMYK色空間であり、デバイス非依存色空間はL*a*b*色空間であるものとする。また、本実施形態における「色信号」とは、CMYK色空間及びL*a*b*色空間における座標値のことであり、これらはCMYK値及びL*a*b*値とそれぞれ同義である。
【0031】
色変換部25は、印刷ジョブ内の印刷データファイル、及び後述の階調性変化検出用カラーパッチに対してプロファイルによる色変換を実行するモジュールである。より具体的に、色変換部25は、印刷データファイル内のCMYK値を入力プロファイルによりL*a*b*値に変換した後に、それを出力プロファイルによりさらにCMYK値に変換する処理や、階調性評価用カラーパッチを出力プロファイルによりCMYK値に変換した後に、それを出力プロファイルによりさらにL*a*b*値に変換する処理等を実行する。前述のように、色変換部25が使用するプロファイルは、記憶部22内のプロファイルDB部に格納されている。
【0032】
RIP部26は、印刷ジョブ内の印刷データファイルに対してラスタライズを実行することによりラスタ形式の画像データを生成するモジュールである。また、RIP部26は、印刷ジョブの解析結果や印刷データファイルに適用すべきプロファイルに関する情報等を管理する機能を有している。よって、色変換部25等の他のモジュールは、印刷データファイルに適用すべきプロファイルに関する情報を取得するために適宜RIP部26にアクセスすることになる。
【0033】
階調性変化検出部27は、印刷データファイルの色変換による階調性変化を検出するモジュールである。なお、本実施形態における「階調性」とは印刷データファイルに基づく画像を構成する画素間の明度又は彩度の推移のことを指し、「階調性変化」とは色変換により生じる階調つぶれ(以下では単に「つぶれ」ともいう)又はトーンジャンプのことを指す。階調性変化検出部27のさらに詳細な構成について以下に説明する。
【0034】
図4は、階調性変化検出部27の内部構成を概念的に示すブロック図である。同図のように、階調性変化検出部27は、検出用パッチ生成部27a、検出演算部27b、検出結果画像生成部27cを備えている。ここで、検出用パッチ生成部27aは、ユーザの指示に従って、色変換による変化を検出すべき階調性の両端点を特定し、両端点に相当するカラーパッチ及びこれらの中間に位置するカラーパッチからなる階調性変化検出用のカラーパッチ群を生成する。これらの両端点は、図7、8に示すようなパッチ生成用UI画面U1を介してユーザから受け付けた指示に従って特定される。検出用パッチ生成部27aにより、図10〜12に示すようなカラーパッチ群が生成される。この点についてはさらに後述する。
【0035】
また、検出演算部27bは、検出用パッチ生成部27aにより生成されたカラーパッチ群、及びプロファイルDB部内のプロファイルを用いて所定の演算を行なうことにより、当該カラーパッチ群の色変換による階調性変化を検出する。検出演算部27bにより実行される演算についてはさらに後述する。そして、検出結果画像生成部27cは、検出演算部27bの検出結果をユーザに通知するためのプレビュー画像を生成する。図13に、検出結果画像生成部27cにより生成されたプレビュー画像の一例を示す。
【0036】
再び図3を参照すると、通信インタフェース28は、NIC等の通信モジュールであり、ネットワークNを介した端末装置1及びプリンタ3との通信処理を実行する。より具体的には、通信インタフェース28は、端末装置1との間で、印刷ジョブ、印刷設定情報、印刷結果、階調性変化設定情報、階調性変化検出結果等の受け渡しを行なう。また、通信インタフェース28は、プリンタ3との間で、印刷用の画像データ、エンジンステータス情報等の受け渡しを行なう。
【0037】
続いて、図5は、本実施形態に係るプリンタ3の構成を示すブロック図である。図5のように、プリンタ3は、画像形成部31、操作部32、給紙部33、排紙部34、及び通信インタフェース25を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス35を介して接続されている。
【0038】
画像形成部31は、コントローラ2から受信した画像データに基づく画像を記録用紙に印刷する。より具体的に、画像形成部31は、感光体ドラムを帯電させる帯電工程、レーザ光により感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光工程、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像工程、感光体ドラム上のトナー画像を転写ベルトにより記録用紙に転写する転写工程、記録用紙に転写されたトナー画像を定着ローラにより加熱・定着させる定着工程を含む電子写真方式の印刷処理を実行する。なお、画像形成部31が採用する印刷処理の方式は、上述の電子写真方式に限定されず、インパクト方式、熱転写方式、及びインクジェット方式等であってもよい。
【0039】
操作部32は、プリンタ3のステータス等を表示する機能、及び種々の動作指示を取得する機能を備えたオペレーションパネルである。給紙部33は、サイズごとに給紙トレイに格納された記録用紙を画像形成部31に送り出す機能であり、排紙部34は、画像形成部31による印刷処理済みの記録用紙を排紙トレイに送り出す機構である。通信インタフェース35は、NIC等の通信モジュールであり、ネットワークNを介したコントローラ2との通信処理を実行する。
【0040】
−システムの動作(図6〜14)
次に、本実施形態に係る画像形成システムSの動作の概要についてフローチャートを用いて説明する。図6は、本実施形態に係るコントローラ2の処理の手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートにより示されるアルゴリズムはコントローラ2の記憶部22のROMに制御プログラムとして記憶されており、動作開始時にRAMに読み出されて実行される。
【0041】
先ず、コントローラ2は、ネットワークNを介して端末装置1から印刷ジョブを受信する(S101)。なお、本実施形態における印刷ジョブは、PDF、PS、TIFF等のRIP部26が処理可能なフォーマットの印刷データファイル、及び用紙サイズ、面付け情報、色変換パラメータ等のRIP部26による処理内容を決定するための印刷設定情報を包含している。
【0042】
続いて、コントローラ2は、S101で受信した印刷ジョブを解析し、さらに、印刷ジョブ内の印刷データファイルに対するラスタライズを実行することによりラスタ形式の画像データを生成する(S102)。この際、コントローラ2は、RIP部26によりラスタライズのみを実行した画像データ(以下では「色変換前」画像データともいう)、及びRIP部26によりラスタライズを実行した後に、色変換部25により印刷ジョブ内の色変換パラメータに基づく色変換をさらに実行した画像データ(以下では「色変換後」画像データともいう)の2つの画像データを生成するものとする。S102で生成された色変換前画像データは階調性変化の検出に利用され、色変換後画像データは印刷処理のためにプリンタ3に転送されることになる。
【0043】
続いて、コントローラ2は、S102での解析結果から、色変換部25による色変換に用いられた入力プロファイル及び出力プロファイルに関する情報を抽出する(S103)。その後、コントローラ2は、S102で生成した色変換前画像データのプレビュー画像を含むパッチ生成用UI画面U1を表示部23により表示する。ただし、本実施形態に係るパッチ生成用UI画面U1は、端末装置1側の表示部13により表示されてもよい。そして、パッチ生成用UI画面U1内のプレビュー画像を介して、色変換による階調性変化を検出すべき領域をユーザに指定させる(S104)。このときユーザにより指定される領域のことを以下では「検出領域」という。
【0044】
図7は、S104で表示されたパッチ生成用UI画面U1の一例を示す概略図である。同図のように、パッチ生成用UI画面U1の上部には色変換前画像データ及び色変換後画像データのプレビュー画像が左右に並列に配置される。そして、ユーザは色変換前画像データのプレビュー画像内の所望の領域を、例えば、マウスの左ボタンを押下した状態で移動させることにより検出領域を指定することができる。そして、同UI画面の下部には、ユーザにより指定された検出領域内の各色に対応するCMYK値、及びそれを入力プロファイルにより変換したL*a*b*値のリストが各色のカラーパッチとともに表示される。ただし、検出領域内に膨大な数の色が含まれている場合には、代表的な色のリストのみが表示されることとしてもよい。
【0045】
続いて、コントローラ2は、S104で指定された検出領域から、色変換による変化を検出すべき階調性の両端点に相当する2つの画素を特定する(S105)。ここでいう両端点とは、例えば、検出領域内の最高明度色及び最低明度色の組み合わせ、又は最高彩度色及び最低彩度色の組み合わせである。ただし、S105で特定される両端点は、それらの間でグラデーションパッチを生成可能であればいかなるものであってもよい。例えば、パッチ生成用UI画面U1の下部に表示されたリストの中から1色のみをユーザに選択させ、その色の類似色を自動抽出した上で、それらの2色を両端点として特定することとしてもよい。
【0046】
なお、以上の説明では、コントローラ2が検出領域内の2画素を自動的に特定することとしたが、本実施形態では、ユーザがこれらを手動で選択することとしてもよい。図8は、表示部23に表示されるパッチ生成用UI画面U1の他の例を示す概略図である。同図のUI画面U1において、ユーザはマウス等を操作することにより、色変換前画像データのプレビュー画像中の任意の2画素を選択することができる。階調性の両端点がユーザにより手動で選択される場合、前述のS104の手順は不要となるため省略される。
【0047】
続いて、コントローラ2は、S105で特定された両端点のCMYK値を入力プロファイルによりL*a*b*値に変換する(S106)。そして、コントローラ2は、S106での変換後の2つのL*a*b*値を両端点とする段階的なL*a*b*値のリストを生成する(S107)。なお、両端点の間に位置するL*a*b*については補間計算により求める。本実施形態に係るコントローラ2は、S107で生成されたL*a*b*値のリストにより形成される仮想的なグラデーションカラーパッチ群を用いて色変換による階調性変化を検出する。よって、以下の説明において、S107で生成されるL*a*b*値のリストと、階調性変化検出用のカラーパッチ群とは同義である。
【0048】
図9は、S106及びS107における処理の手順を示す概略図である。同図の例において、S107で生成されるカラーパッチの個数は両端点を含めて“6”とされているが、カラーパッチの個数はユーザが任意に設定可能である。また、両端点間のL*a*b*値の補間計算は、L*a*b*色空間上の両端点を結ぶ直線を均等分する各点の座標を求めるというものであるが、本実施形態は必ずしもこれに限定されない。以下では、S107で生成されるカラーパッチ群のことを、後述のS108で生成されるカラーパッチ群との対比のために“色変換前”のカラーパッチ群ということにする。
【0049】
続いて、コントローラ2は、S107で生成したリスト中のL*a*b*値を出力プロファイルによりCMYK値に変換し(L*a*b*値⇒CMYK値)、そのCMYK値を出力プロファイルによりさらにL*a*b*値に変換する(CMYK値⇒L*a*b*値)(S108)。図10は、S108における処理の手順を示す概略図である。これにより、出力プロファイルによる色変換後のL*a*b*値のリスト、すなわち、“色変換後”の階調性評価用カラーパッチ群が生成されることになる。
【0050】
続いて、コントローラ2は、S107で生成した色変換前のカラーパッチ群、及びS108で生成した色変換後のカラーパッチ群を用いて、色変換による階調性変化を検出するための階調性評価処理(S109)を実行する。図12は、本実施形態に係る階調性変化検出処理(S109)の手順を示すフローチャートである。
【0051】
図12を参照すると、先ず、コントローラ2は、表示部に23により階調性変化の検出設定用UI画面を表示し、同UI画面を介してユーザから階調性評価の検出設定に関する指示を受け付ける(S201)。ただし、この検出設定用UI画面は、端末装置1側の表示装置13により表示されてもよい。図13は、本実施形態に係る検出設定用UI画面U2の一例を示す概略図である。同図のように、コントローラ2は、S201においてユーザから少なくとも以下のパラメータ(a)〜(c)を受け付ける。
【0052】
(a)検出すべき階調性変化の種類(「つぶれ」又は「トーンジャンプ」)
(b)階調性変化を検出するための指標(色差(ΔE)、明度差(ΔL*)、又は彩度差(ΔC*))
(c)階調性変化の有無を判定するための閾値(色変換による色差(ΔE)、明度差(ΔL*)、又は彩度差(ΔC*)の変化量の最大許容値)。
【0053】
より具体的に、ユーザは図中のラジオボタンb1を操作することにより、「つぶれ」及び「トーンジャンプ」のどちらを検出すべきかを選択することができる。また、ユーザは図中のラジオボタンb2を操作することにより、階調性変化を検出するための指標として色差(ΔE)、明度差(ΔL*)、彩度差(ΔC*)のどれを採用すべきかを選択することができる。そして、ユーザは図中のスピンボタンb3を操作することにより、色変換による色差(ΔE)、明度差(ΔL*)、又は彩度差(ΔC*)の変化量の最大許容値である閾値を指定することができる。
【0054】
続いて、コントローラ2は、S201で受け付けた指示に応じて、色変換前のカラーパッチ群の隣接するパッチ間の色差(ΔE)、明度差(ΔL*)、又彩度差(ΔC*)を計算し、さらに、色変換後のカラーパッチ群の隣接するパッチ間の色差(ΔE)、明度差(ΔL*)、又は彩度差(ΔC*)を計算する(S202)。なお、L*a*b*値が(L*,a*,b*)及び(L*’a*’b*’)である2つのパッチ間の色差(ΔE)、明度差(ΔL*)、彩度差(ΔC*)の計算式は、それぞれ以下の数1〜3に示す通りである。
【0055】
【数1】

【0056】
【数2】

【0057】
【数3】

【0058】
続いて、コントローラ2は、S202での計算結果を参照して、色変換前の隣接パッチ間の色差(ΔE)等と色変換後の対応する隣接パッチ間の色差(ΔE´)等とを比較する。そして、色変換前の隣接パッチ間の色差(ΔE)等に対する、色変換後の隣接パッチ間の色差(ΔE´)の変化量(減少量又は増加量)に応じて、色変換による階調性変化(「つぶれ」又は「トーンジャンプ」)の有無を判定する(S203)。より具体的に、S201でパラメータ(a)として「つぶれ」が指定された場合は、色変換前の隣接パッチ間の色差(ΔE)等に対する、色変換後の隣接パッチ間の色差(ΔE´)等の減少量が、S201でパラメータ(c)として指定された閾値を超えるかどうかを判定し、その減少量が閾値を超えている隣接パッチ間で「つぶれ」が発生したものと判定する。
【0059】
他方、S201でパラメータ(a)として「トーンジャンプ」が指定された場合は、色変換前の隣接パッチ間の色差(ΔE)等に対する、色変換後の隣接パッチ間の色差(ΔE´)等の増加量が、S201でパラメータ(c)として指定された閾値を越えるかどうかを判定し、その増加量が閾値を超えている隣接パッチ間で「トーンジャンプ」が発生したものと判定する。その後、コントローラ2は、図6のフローチャートに戻る(リターン)。
【0060】
図11は、パラメータ(a)として「つぶれ」が指定され、パラメータ(b)として「色差(ΔE)」が指定され、さらに、パラメータ(c)として図13に例示する数値の組み合わせが指定された場合の階調性変化の検出方法の一例を示す概略図である。本例において、左端の隣接パッチ対の色差(ΔE1、ΔE1´)は、色変換前には“5.1”であったのに対し、色変換後には“0.8”に減少している。そのため、左端の隣接パッチ対は色変換により「つぶれ」の傾向を示すことになる。そして、色変換前の色差に対する色変換後の色差の減少量(ΔE1−ΔE1’)は“4.3”であり、これは閾値である“2.1”を超えるため、当該パッチ間では色変換による「つぶれ」が発生するものと判定される。
【0061】
他方、左端から2番目のパッチ対の色差(ΔE2、ΔE2’)は、色変換前には“5.1”であったのに対し、色変換後には“3.5”に減少しているが、その減少量(ΔE2−ΔE2’)は“1.6”であり、閾値(“2.1”)を超えないため、当該パッチ間では色変換による「つぶれ」が発生しないものと判定される。
【0062】
なお、一般に2つの色が異なって見えるためには最低限“3.0”程度の色差(ΔE)が必要とされているが、本実施形態においては色変換の前後で対応パッチ間の色差(ΔE)が適切に維持されているかどうかを判定すればよいので、S201で指定される閾値は“3.0”よりも小さくされることが好ましい。また、本実施形態に係るコントローラ2は、スピンボタンb3を操作するユーザを支援するために、それに隣接するエディットフィールド内に階調性評価のための適切な閾値をデフォルトとして表示することができる。このようなデフォルトの閾値は、例えば、色変換前の隣接パッチ対の色差(ΔE)の5%前後の数値とされることが好ましい。
【0063】
再び図6を参照すると、コントローラ2は、S203で色変換による階調性変化(「つぶれ」又は「トーンジャンプ」)が発生すると判定した場合に、ユーザにその旨を通知するための警告メッセージ(不図示)を表示部23に表示する(S110)。そして、コントローラ2は、S102で生成された色変換後のプレビュー画像のうち、S203で階調性変化が発生すると判定された隣接パッチ対に対応する画素をハイライトしたハイライトプレビュー画像を生成し、UI画面U1内に表示中の色変換後のプレビュー画像をこのハイライトプレビュー画像で置換する。
【0064】
図14は、本実施形態に係るハイライトプレビュー画像の一例を示す概略図である。同図のように、ハイライトプレビュー画像は、S104で指定された検出領域をハイライト表示し(図中の「領域A」)、さらに、S203で階調性変化が検出された隣接パッチ対に対応する画素のみを検出領域とは区別してハイライト表示した(図中の「領域B」)ものであることが好ましい。このようなハイライトプレビュー画像により、ユーザは色変換による階調性変化が生じる可能性の高い画素(色)をきわめて容易に判別することができる。なお、図中の例のように検出領域に含まれる画素のみをハイライト表示の対象としてもよいし、プレビュー画像を構成する全ての画素をハイライト表示の対象としてもよい。
【0065】
なお、前述のように、階調性変化検出用カラーパッチ群のうち、中間点のカラーパッチはL*a*b*色空間における補間計算により理論的に生成される。そのため、中間点のパッチ対で階調性変化が検出された場合には、それらのパッチ対(L*a*b*値)に対応するCMYK値が元の画像データ中に存在しないため、それらのパッチ対がハイライト表示されない可能性がある。そこで、予め中間点のL*a*b*値に所定の公差を持たせておき、当該公差内の全L*a*b*値に対応するCMYK値をハイライト表示することが好ましい。同様に、中間点のL*a*b*値に対応するCMYK値の方に所定の交差を持たせておき、当該公差内の全CMYK値をハイライト表示することとしてもよい。
【0066】
以上のように、本実施形態に係るコントローラ2は、色変換前のカラーパッチ群の隣接パッチ間の色差(ΔE)等と、色変換後のカラーパッチ群の対応する隣接パッチ間の色差(ΔE’)等との差分を比較することにより、プロファイルを用いた色変換による階調性変化(「つぶれ」又は「トーンジャンプ」)を検出することができる。よって、本実施形態によると、色変換による階調つぶれやトーンジャンプ等を検出するための目視確認が不要となるため、プロファイル調整により所望の出力画質を達成しようとするユーザにとっての利便性が飛躍的に向上する。
【0067】
本発明は、上記実施形態のみに限定されることなく、請求の範囲内において、種々改変されることができる。例えば、上記実施形態では入力デバイス依存色空間及び出力デバイス依存色空間としてCMYK色空間を採用したが、これらはRGB色空間等の他のデバイス依存色空間であってもよい。同様に、上記実施形態ではデバイス非依存色空間としてL*a*b*色空間を採用したが、これはXYZ色空間等の他のデバイス非依存色空間であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では階調性変化を検出するための指標として、色差(ΔE)、明度(ΔL*)、彩度(ΔC*)のいずれかを採用したが、これはデバイス非依存色空間で算出可能な属性値の差分であればいかなるものであってもよい。また、本実施形態のように単一の指標に基づき階調性変化の有無を判定するのではなく、例えば、色差(ΔE)及び明度(ΔL*)等の複数の指標を加味して階調性変化の有無を判定することとしてもよい。
【0069】
なお、本発明に係る検出装置(コントローラ2)は、上記手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、上記手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、検出装置を作動させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送され記録される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、検出装置の一機能として同装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 端末装置、
2 コントローラ(検出装置)、
21 制御部、
22 記憶部、
23 表示部、
24 入力部、
25 色変換部、
26 RIP部、
27 階調性変化検出部、
27a 検出用パッチ生成部、
27b 検出演算部、
27c 検出結果画像生成部、
28 通信インタフェース、
3 プリンタ、
S 画像形成システム、
U1 パッチ生成用UI画面、
U2 検出設定用UI画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力デバイスのデバイス依存色空間である入力デバイス依存色空間の色信号をデバイス非依存色空間の色信号に変換するための入力プロファイル、及び出力デバイスのデバイス依存色空間である出力デバイス依存色空間の色信号とデバイス非依存色空間の色信号とを相互に変換するための出力プロファイルを用いた色変換による画像データの階調性変化を検出するための検出装置であって、
前記色変換前の前記画像データに基づく画像中の2つの画素を、前記色変換による変化を検出すべき階調性の両端点として特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記2つの画素により表示される2つの前記入力デバイス依存色空間の色信号を、前記入力プロファイルにより変換した2つの前記デバイス非依存色空間の色信号を両端点とする階調性を示す複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第1のカラーパッチ群を生成する第1パッチ生成部と、
前記第1パッチ生成部により生成された前記第1のカラーパッチ群を構成する複数の前記デバイス非依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルにより変換した複数の前記出力デバイス依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルによりさらに変換した複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第2のカラーパッチ群を生成する第2パッチ生成部と、
前記第1パッチ生成部により生成された前記第1のカラーパッチ群に含まれるカラーパッチ間の属性値どうしの差分と、前記第2パッチ生成部により生成された前記第2のカラーパッチ群に含まれる対応するカラーパッチ間の属性値どうしの差分とを比較することにより、当該カラーパッチ間の前記色変換による階調性変化を検出する検出部と、を有する検出装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記第1のカラーパッチ群に含まれるカラーパッチ間の属性値どうしの差分に対する、前記第2のカラーパッチ群に含まれる対応するカラーパッチ間の属性値どうしの差分の減少量が第1の閾値を超えている場合に、前記色変換による階調性変化として階調つぶれを検出することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記第1のカラーパッチ群に含まれるカラーパッチ間の属性値どうしの差分に対する、前記第2のカラーパッチ群に含まれる対応するカラーパッチ間の属性値どうしの差分の増加量が第2の閾値を超えている場合に、前記色変換による階調性変化としてトーンジャンプを検出することを特徴とする請求項1または2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記カラーパッチ間の属性値どうしの差分は、色差、明度差、及び彩度差のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の検出装置。
【請求項5】
前記特定部は、ユーザにより指定された2つの画素を前記両端点として特定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の検出装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記色変換前の画像データに基づく画像中の最高明度色及び最低明度色をそれぞれ表示する2つの画素、又は最高彩度色及び最低彩度色をそれぞれ表示する2つの画素を前記両端点として特定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の検出装置。
【請求項7】
前記検出部による検出結果を表示する表示部をさらに有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の検出装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記画像データに基づく画像中の、前記検出部により階調性変化が検出されたカラーパッチを表示する画素をハイライトしたプレビュー画像を表示することを特徴とする請求項7に記載の検出装置。
【請求項9】
前記デバイス非依存空間は、L*a*b*色空間であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の検出装置。
【請求項10】
前記入力デバイス依存色空間及び前記出力デバイス依存色空間の少なくとも一方は、CMYK色空間であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の検出装置。
【請求項11】
入力デバイスのデバイス依存色空間である入力デバイス依存色空間の色信号をデバイス非依存色空間の色信号に変換するための入力プロファイル、及び出力デバイスのデバイス依存色空間である出力デバイス依存色空間の色信号とデバイス非依存色空間の色信号とを相互に変換するための出力プロファイルを用いた色変換による画像データの階調性変化を検出するための検出方法であって、
前記色変換前の前記画像データに基づく画像中の2つの画素を、前記色変換による変化を検出すべき階調性の両端点として特定するステップ(A)と、
前記ステップ(A)で特定された前記両端点により表示される2つの前記入力デバイス依存色空間の色信号を、前記入力プロファイルにより変換した2つの前記デバイス非依存色空間の色信号を両端点とする階調性を示す複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第1のカラーパッチ群を生成するステップ(B)と、
前記ステップ(B)で生成された前記第1のカラーパッチ群を構成する複数の前記デバイス非依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルにより変換した複数の前記出力デバイス依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルによりさらに変換した複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第2のカラーパッチ群を生成するステップ(C)と、
前記ステップ(B)で生成された前記第1のカラーパッチ群に含まれるカラーパッチ間の属性値どうしの差分と、前記ステップ(C)で生成された前記第2のカラーパッチ群に含まれる対応するカラーパッチ間の属性値の差分とを比較することにより、前記色変換による当該カラーパッチ間の階調性変化を検出するステップ(D)と、を含む検出方法。
【請求項12】
入力デバイスのデバイス依存色空間である入力デバイス依存色空間の色信号をデバイス非依存色空間の色信号に変換するための入力プロファイル、及び出力デバイスのデバイス依存色空間である出力デバイス依存色空間の色信号とデバイス非依存色空間の色信号とを相互に変換するための出力プロファイルを用いた色変換による画像データの階調性変化を検出するための検出装置の制御プログラムであって、
前記色変換前の前記画像データに基づく画像中の2つの画素を、前記色変換による変化を検出すべき階調性の両端点として特定する手順(A)と、
前記手順(A)で特定された前記両端点により表示される2つの前記入力デバイス依存色空間の色信号を、前記入力プロファイルにより変換した2つの前記デバイス非依存色空間の色信号を両端点とする階調性を示す複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第1のカラーパッチ群を生成する手順(B)と、
前記手順(B)で生成された前記第1のカラーパッチ群を構成する複数の前記デバイス非依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルにより変換した複数の前記出力デバイス依存色空間の色信号を、前記出力プロファイルによりさらに変換した複数の前記デバイス非依存色空間の色信号からなる第2のカラーパッチ群を生成する手順(C)と、
前記手順(B)で生成された前記第1のカラーパッチ群に含まれるカラーパッチ間の属性値どうしの差分と、前記手順(C)で生成された前記第2のカラーパッチ群に含まれる対応するカラーパッチ間の属性値どうしの差分とを比較することにより、前記色変換による当該カラーパッチ間の階調性変化を検出する手順(D)と、を前記検出装置に実行させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図12】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−114653(P2012−114653A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261432(P2010−261432)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】