説明

色模様付化粧料およびその製法

【課題】固形化粧料がマーブル調の色模様を形成しており、その色模様の中から特定の色を選択して使用すれば、他の色の部分を汚すことなく微妙な色合いの化粧を施すことができる、全く新しい色模様付化粧料とその製法を提供する。
【解決手段】平均粒径1〜5mmの粒状に成形されたリップカラー11の集合体が化粧皿10に充填されており、加熱によって上記粒状リップカラー11の集合体の少なくとも一部が液状化した状態で固まり、不規則な色模様が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状固形化粧料に由来する、全く新しい色模様が形成された色模様付化粧料およびその製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、リップカラーやアイカラー、ファンデーション等のメイクアップ化粧料としては、粉状固形物である顔料等と、パラフィンやワックス等の基剤とを混練した油性固形化粧料が主として用いられており、これらは、コンパクト容器の化粧皿に充填された形態や、棒状に成形され繰り出し容器内に装着された形態等、さまざまな形態で市販されている。
【0003】
そして、上記メイクアップ化粧料には、豊富な色のバリエーションが用意されており、顧客が、その時々の化粧のイメージに合わせてメイクアップを行うことができるように、例えば一つの化粧皿の中に、何ら仕切りを介することなく直接、色の異なる複数の化粧料を充填した多色固形化粧料が数多く提案されている(特許文献1等を参照)。
【特許文献1】特開昭62−201809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記多色固形化粧料は、一つの化粧皿に充填された各化粧料の処方や打型圧の差等に起因して、特定の化粧料に割れやひびが生じたり、落下等の衝撃によって特定の化粧料に割れやひびが生じたりして、特定の化粧料だけが先に崩れて使えなくなるおそれがある。また、上記多色固形化粧料は、各色が、化粧皿内で区分けされた状態で充填されているため、複数の色が混じり合った色の化粧をしようとすれば、異なる色の化粧料をつぎつぎ化粧筆に付けて顔に重ねて塗らなければならず、化粧皿内で区分けされた色同士が混じり合って汚れ、次第に鮮明な色の化粧ができなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、固形化粧料がマーブル調の色模様を形成しており、その色模様の中から特定の色を選択して使用すれば、他の色の部分を汚すことなく微妙な色合いの化粧を施すことができる、全く新しい色模様付化粧料とその製法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、平均粒径1〜5mmの粒状に成形された固形化粧料の集合体からなり、加熱によって上記粒状固形化粧料集合体の少なくとも一部が液状化した状態で固まり、不規則な色模様が形成されている色模様付化粧料を第1の要旨とする。
【0007】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記粒状固形化粧料集合体が、色の異なる複数種類の粒状固形化粧料の組み合わせからなる色模様付化粧料を第2の要旨とし、上記粒状固形化粧料が、融点60〜80℃のメイクアップ化粧料である色模様付化粧料を第3の要旨とする。
【0008】
そして、本発明は、それらのなかでも、特に、上記色模様付化粧料が、コンパクト容器の化粧皿に収容されたものである色模様付化粧料を第4の要旨とする。
【0009】
さらに、本発明は、上記第1の要旨である色模様付化粧料の製法であって、凹部内に、平均粒径1〜5mmの粒状に成形された固形化粧料の集合体を充填する工程と、上記凹部内の粒状固形化粧料集合体を加熱し、その少なくとも一部を液状化して不規則な色模様を現出させた後、冷却する工程とを備えた色模様付化粧料の製法を第5の要旨とし、そのなかでも、特に、上記粒状固形化粧料として、互いに色の異なる複数種類の粒状固形化粧料を用いるようにした色模様付化粧料の製法を第6の要旨とする。
【0010】
また、本発明は、それらのなかでも、特に、上記粒状固形化粧料が、加熱によって液状化された固形化粧料を、この化粧料と相溶性がない液状オイル中に滴下して平均粒径1〜5mmの粒状に成形し、その温度を下げて固形化した後、上記液状オイルから分離して得られるものである色模様付化粧料の製法を第7の要旨とし、上記固形化粧料が、融点60〜80℃のメイクアップ化粧料であり、上記液状オイルが、シリコーンオイルおよびフッ素オイルの少なくとも一方、もしくはこれらのいずれかを他の油性原料と混合したものである色模様付化粧料の製法を第8の要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
すなわち、本発明の色模様付化粧料は、平均粒径1〜5mmという比較的大きな粒状固形化粧料集合体からなり、その少なくとも一部が液状化して微妙に異なる複数の色部分をつくり出した状態で固まって色模様になったものである。したがって、その色模様が、従来にない興趣に富むものであるだけでなく、その色模様の中から特定の色の部分を化粧筆等で削り取って使用すれば、他の色の部分を汚すことなく微妙な色合いの化粧を施すことができるという利点を有する。そして、各色部分が互いに液状で混じり合った後に固まったものであり、全体として一塊になっているため、特定の色部分に脱落や損傷が生じるおそれがなく、経時的に安定した状態で使用することができる。
【0012】
そして、なかでも、上記粒状固形化粧料集合体が、色の異なる複数種類の粒状化粧料の組み合わせからなるものは、色がカラフルで、よりバラエティに富む色合いの色模様が形成されているため、より変化に富む化粧を施すことができる。
【0013】
また、なかでも、上記粒状固形化粧料が、融点60〜80℃のメイクアップ化粧料であるものは、後述するように、粒状の固形化粧料を効率よく製造することができるため、これを比較的安価に提供することができる。
【0014】
そして、それらのなかでも、上記色模様付化粧料が、コンパクト容器の化粧皿に収容されたものは、上記化粧皿のなかで直接色模様付化粧料を製造することができ、化粧皿と色模様付化粧料とを一体化させることができるため、容器から色模様付化粧料が脱落することがなく、長期にわたって、さらに安定した状態で使用することができる。
【0015】
また、本発明の色模様付化粧料の製法によれば、上記色模様付化粧料を効率よく製造することができる。なかでも、上記粒状の固形化粧料が、加熱によって液状化された固形化粧料を、この化粧料と相溶性がない液状オイル中に滴下して粒状に成形し、その温度を下げて固形化した後、上記液状オイルから分離することによって得られるものである場合には、特に、上記粒状の固形化粧料の表面が滑らかで、保形性に優れているため、その取り扱いが容易であるだけでなく、得られる色模様も非常に美麗なものとなる。
【0016】
さらに、上記固形化粧料として融点60〜80℃のメイクアップ化粧料を用い、これを粒状化するための液状オイルとしてシリコーンオイル、フッ素オイル等の特定のオイル、もしくはこれらのいずれかを他の油性原料と混合したものを用いて製造すると、上記粒状固形化粧料をより効率よく製造することができる。
【0017】
なお、本発明において、固形化粧料の「融点」とは、固形化粧料を構成する各成分の少なくとも一つの成分が融解を開始して、固形化粧料の形状が保持できなくなって液状になり始める温度をいう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態である容器入り色模様付化粧料の外観斜視図である。このものは、コンパクト容器用の化粧皿10内に、赤色とピンク色とオレンジ色の3色をベースとし、その濃淡色や混色が入り交じったマーブル調の色模様が形成された色模様付のリップカラー11が充填された構成になっている。
【0020】
上記リップカラー11は、例えばつぎのようにして得ることができる。すなわち、まず、色の異なる3種類(赤色とピンク色とオレンジ色)のリップカラーからなる粒状の固形化粧料(以下「粒状化粧料」と略す)を準備し、図2(a)に示すように、これらを適宜の割合で組み合わせた状態で化粧皿10内に充填する。そして、上記粒状化粧料を、化粧皿10ごと加熱して、粒の集合体の少なくとも一部が融解して部分的に液状化した時点で加熱をやめる。
【0021】
このようにすると、図2(b)に示すように、化粧皿10内で粒状化粧料が表面側から部分的に液状化し、互いの色が部分的に混じり合って、マーブル調の美麗な色模様が形成される。この状態で、全体を放置するか意図的に冷却することにより、図1に示すような色模様付のリップカラー11を得ることができる。
【0022】
そこで、上記リップカラー11を、化粧皿10ごとコンパクト容器に収容することにより、通常のリップカラーと同様、化粧に供することができる。このとき、リップカラー11の表面には、赤色とピンク色とオレンジ色の3色をベースとする濃淡色や混色が入り交じったマーブル調の色模様が形成されているため、その色模様の中から特定の色の部分を化粧筆等で削り取って使用すれば、他の色の部分を汚すことなく微妙な色合いの化粧を施すことができるという利点を有する。そして、各色部分が互いに液状で混じり合った後に固まったものであり、全体として一塊になっているため、特定の色部分に脱落や損傷が生じるおそれがなく、経時的に安定した状態で使用することができる。
【0023】
なお、上記色模様付のリップカラー11の製造に用いられる粒状化粧料は、例えばつぎのようにして得ることができる。すなわち、まず、上記粒状化粧料の材料として、流動パラフィン、ワセリン等の基剤と、着色顔料、パール顔料等の粉体成分とを充分に混練して油性固形化粧料を調製する。そして、これを、上記油性固形化粧料の融点(油性固形化粧料が溶け出してその形状を保てなくなる温度であって、顔料粉末等が溶融する必要はない。例えば65℃)より高い温度に加熱して液状にした状態で、図3に示すように、供給タンク1に供給し、供給タンク1の底部に設けられた滴下ノズル2から、上記液状の油性固形化粧料(以下「化粧料液」という)3を所定間隔で一滴ずつ滴下する。
【0024】
一方、上記供給タンク1の下方に、上記化粧料液3と相溶性のない液状オイル4を貯留する液状オイル槽5を設けて、液状オイル4を適宜の温度に加温しておく。
【0025】
したがって、前記滴下ノズル2から滴下された化粧料液3は、空中ではそれ自身の表面張力によって球形の形となり、上記液状オイル槽5内の液状オイル4中に触れた後は、液状オイル4との界面張力によって、その球形を維持したまま、液状オイル槽5内に溜まる。そして、液状オイル4を常温まで放冷すると、融点65℃の化粧料液3が固形化して球形の粒状化粧料6となる。なお、上記粒状化粧料6の固形化が不充分な場合や固形化を迅速に行う場合は、積極的に冷却して、その固形化を確実に行う。ただし、「固形化」の程度は、全体が完全な固体となる必要はなく、その粒状の形状が保たれる程度に流動性が低減されていればよい。
【0026】
このようにして、液状オイル槽5内に一定量の粒状化粧料6を溜めた後、液状オイル槽5の底部に設けられた排水配管7を開いて液状オイル4を槽外に排出する。これにより、図4に示すように、槽内は粒状化粧料6のみとなり、これを簡単に取り出すことができる。
【0027】
上記一連の操作を繰り返し、赤色、ピンク色、オレンジ色の3種類の粒状化粧料6を得る。これらは、それ自身の表面張力によって球状になったものであり、金型成形品や押出成形品のように表面が緻密になっていないため、加熱によって融解しやすいという特性を有する。したがって、これらの粒状化粧料6を、前記色模様付リップカラー11の材料として用いると、加熱によって即座に融解しやすい成分から順に融解して液状化を開始し、マーブル調の色模様がきれいに現出するのであり、本発明の色模様付リップカラー11を得るのに最適である。
【0028】
なお、上記の例は、本発明の色模様付リップカラー11を得るために、その材料となる固形化粧料としてリップカラーを用いたが、色模様を形成する固形化粧料としては、アイカラー、フェイスカラー、ファンデーション等、各種のメイクアップ化粧料となる油性固形化粧料を用いることができる。また、油性のものに限らず、親水性の乳化組成物等やゲル状組成物からなるものを用いることもできる。さらには、ネイルカラーやシャンプー、リンス、洗浄剤、入浴剤等、各種の化粧料、あるいはこれに類するものに適用することができる。したがって、本発明において「化粧料」とは、一般に「化粧料」といわれているものに限定するものではなく、これに類するものを広く含めることができる。
【0029】
また、上記固形化粧料を滴下させて、その形状を粒状に維持するために用いられる液状オイル4(図1参照)は、常温で液体であり、上記固形化粧料と相溶性がないことが必要である。このような液状オイル4は、固形化粧料の種類に応じて、適宜のものが選択されるが、例えば、リップカラー、アイカラー、フェイスカラー、ファンデーション等の固形化粧料に対しては、シリコーンオイル、フッ素オイル、これらの混合物等が好適である。また、上記シリコーンオイルやフッ素オイル、その混合物と、その他の油性原料(炭化水素、エステル油等)とを混合したものも用いることができる。
【0030】
そして、上記製法によって得られる粒状化粧料6の粒の大きさは、その平均粒径が1〜5mmでなければならない。すなわち、粒の平均粒径が1mmより小さいと、加熱によってすぐに粒が液状になって消失し、きれいな色模様が得られない。逆に、粒の平均粒径が5mmより大きいと、複数の色を一度に収容する場合、収容部が嵩張って保管や携帯に不便になる。また、粒状化粧料6の製造時に、化粧料の液状化と固形化をスムーズに行うことが容易でないという問題もある。
【0031】
ただし、上記粒状化粧料6の形状は、必ずしも球状である必要はなく、円板状、楕円球状、円柱状、多角柱状等、各種の形状があげられる。したがって、本発明の「粒状」とは、その形状を特に限定するものではない。
【0032】
なお、上記のように、粒状化粧料6が、球状とは異なる形状をしている場合の「粒径」とは、その粒状体の外形のうち、最も間隔の広い2点間の距離をいう。
【0033】
そして、球状とは異なる形状の粒状化粧料6は、固形化粧料を液状化して滴下する際、用いる滴下ノズル2(図3参照)を工夫することによって、意図的に得ることができる。また、液状オイル4中に滴下された粒状の化粧料液3に、振動や撹拌等の物理的な力をかけることによっても、その形状に変化を与えることができる。
【0034】
また、滴下された化粧料液3の形状は、これを受ける液状オイル4の温度によっても左右される。例えば、化粧料液3が球状に滴下される場合において、上記液状オイル4の液温が、化粧料液3の液温よりやや高い温度域に設定されている場合には、化粧料液3は液状オイル4内においても落下時の球形を保つ。したがって、これを取り出せば、図5(a)に示すように、球状の粒状化粧料6を得ることができる。
【0035】
ところが、液状オイル4の液温が、化粧料液3の液温に比べて低すぎる場合は、化粧料液3が液状オイル4の液面と衝突する際に冷やされて表面張力を失い、扁平な円板状となって液状オイル4中に入り込むため、図5(b)に示すように、円板状の粒状化粧料6aが得られる。
【0036】
なお、液状オイル4の液温が、低温から化粧料液3の液温に近づくにつれて、落下時の表面張力が、化粧料液3と液状オイル4の液面との衝突時にも維持されて、化粧料液3が球状を維持しようとするため、粒の形状が、扁平な円板状から楕円球状、さらには球状となる。したがって、過渡的な温度域では、図6(a)に示すように、楕円球状の粒状化粧料6bが得られる。
【0037】
また、液状オイル4の液温が、化粧料液3の液温より高くなりすぎると、その温度にもよるが、球状で落下した化粧料液3が、液状オイル4中で互いに結合して、場合によっては大きな1つの球形になってしまう。したがって、互いに結合しかけた状態で、液温を下げて化粧料液3の固形化を行うと、図6(b)に示すように、複数の粒子が結合した複雑な形状の粒状化粧料6cが得られる。
【0038】
さらに、液状オイル4の粘性によっても、滴下された化粧料液3の形状が左右されやすい。すなわち、液状オイル4の粘度が高い場合には、化粧料液3がその液面に衝突するときの抵抗が大きいため、化粧料液3が扁平になりやすい。
【0039】
また、上記粒状化粧料6の製法において、これらの粒状化粧料6(6a等を含む)を、液状オイル4から取り出す方法は、上記の例に限らず、適宜の方法を選択することができる。例えば、上記の例では、液状オイル槽5に化粧料液3を滴下して粒状化粧料6を溜めた後、液状オイル槽5から液状オイル4を排出するようにしたが、予め液状オイル槽5内に多孔付の内槽を嵌入しておき、この内側に粒状化粧料6を溜めた後、上記内槽ごと粒状化粧料6を取り出すようにしてもよい(図示せず)。
【0040】
さらに、本発明において、粒状化粧料6は、必ずしも上記の例に示すような方法で得る必要はなく、押出球形造粒装置等を用いて機械的に造粒されたものを用いることもできる。ただし、造粒装置を用いた粒状化粧料6は、固形化粧料が加圧成形されて表面が緻密になっているため、一定の熱量を受け取らないと融解が開始せず、マーブル調の色模様を現出させるのに時間がかかり、また加熱が進んだ状態で一気に融解が進んで粒が崩形するため、美麗な色模様になりにくいという問題がある。したがって、上記の例のように、固形化粧料を液状化して液状オイル4中に滴下し、粒状にした後、固形化して取り出す方法によって得ることが好適である。
【0041】
なお、上記の例は、3色の色の異なる粒状化粧料6を組み合わせてカラフルな色模様を現出させたものであるが、本発明において、用いる粒状化粧料6は、必ずしも複数の色を組み合わせたものである必要はなく、単一色からなる粒状化粧料6の集合体を用いるようにしてもよい。この場合、粒状化粧料6の集合体を加熱すると、粒状化粧料6を構成する特定の成分から順に液状化が進んで互いに混じり合うため、その成分の色調にもとづく微妙な濃淡を有するマーブル調の色模様が現出する。
【0042】
さらに、上記の例において、粒状化粧料6を化粧皿10等に充填してこれを液状化する際の加熱温度は、充填された粒状化粧料6が完全に液状化するには達しない程度であることが、色模様の陰影にめりはりがあって好ましい。また、粒状化粧料6の全てが完全に液状化した状態であっても、それらがマーブル調に混じり合っている段階までの加熱であれば、特に問題はない。
【0043】
さらに、上記の例は、粒状化粧料6を化粧皿10に充填して色模様を現出させ、これをコンパクト容器に収容して用いるようにしたものであるが、粒状化粧料6を充填する容器は、コンパクト容器用の化粧皿10に限るものではなく、どのような容器を用いても差し支えない。例えば、図7(a)に示すような縦に細長い透明ボトルや、図7(b)に示すような広口の透明ジャー容器を用いて、マーブル調の色模様付化粧料が外側から見えるようにしてもよい。
【0044】
なお、本発明の色模様付化粧料は、必ずしも容器入りである必要はなく、製造工程において、所定の凹部を有するモールド内に粒状化粧料6を充填し、上記の例のようにして色模様を現出させた後、これを脱型して、そのまま包装して販売するようにしてもよい。また、ブロック状の色模様付化粧料を、所定形状に切断したり、脱型後の色模様付化粧料に所定の凹凸模様を付与しても差し支えない。
【実施例】
【0045】
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
〔実施例1〕
まず、下記の組成の固形化粧料(赤色のリップカラー)を調製した。
<赤色のリップカラーの組成>
パラフィン 5.00重量部
セレシン 5.00 〃
マイクロクリスタリンワックス 5.00 〃
水添ポリイソブテン 20.00 〃
リンゴ酸ジイソステアリル 10.00 〃
スクワラン 10.00 〃
オクチルドデカノール 10.00 〃
ミリスチン酸イソステアリル 31.00 〃
赤201 1.00 〃
赤202 1.00 〃
酸化鉄 1.00 〃
酸化チタン 1.00 〃
【0047】
そして、上記リップカラー(融点65℃)を90℃で溶融して液状にした後、60℃に加熱したシリコーンオイル(信越化学工業社製、ジメチルシリコーンオイル KF−96A−100cs)を溜めた槽内に、上記液状のリップカラーを、ノズル径2mmの滴下ノズルを用いて滴下し、シリコーンオイル中で球状に固形化して取り出した。このものは、平均粒径が2mmの、流動性のない球状体であった。
【0048】
また、下記の2種類の組成の固形化粧料を調製した後、上記と同様にして、同じく球状のピンク色のリップカラーとオレンジ色のリップカラーをそれぞれ得た。
<ピンク色のリップカラーの組成>
パラフィン 5.00重量部
セレシン 5.00 〃
マイクロクリスタリンワックス 5.00 〃
水添ポリイソブテン 20.00 〃
リンゴ酸ジイソステアリル 10.00 〃
スクワラン 10.00 〃
オクチルドデカノール 10.00 〃
ミリスチン酸イソステアリル 28.00 〃
赤201 1.00 〃
赤202 1.00 〃
酸化鉄 1.00 〃
酸化チタン 3.00 〃
【0049】
<オレンジ色のリップカラーの組成>
パラフィン 5.00重量部
セレシン 5.00 〃
マイクロクリスタリンワックス 5.00 〃
水添ポリイソブテン 20.00 〃
リンゴ酸ジイソステアリル 10.00 〃
スクワラン 10.00 〃
オクチルドデカノール 10.00 〃
ミリスチン酸イソステアリル 31.00 〃
赤201 2.00 〃
赤202 0.50 〃
酸化鉄 1.00 〃
酸化チタン 1.00 〃
【0050】
そして、得られた3種類の球状リップカラー(赤色、ピンク色、オレンジ色)を同数ずつ組み合わせ、ランダムな配置で化粧皿に充填した後、全体を80℃に加熱した。これにより、3色の球状リップカラーが部分的に液状化して混じり合い、赤色とピンク色とオレンジ色の3色をベースとする濃淡色や混色が入り交じったマーブル調の色模様が現出した。その状態で全体を放置して冷却し、コンパクト容器に収容した。このものは、通常のリップカラーと同様、化粧筆等で削り取って使用することができた。特に、その表面に様々な色が混じっているため、その時々で、使用したい色の部分を削り取れば、他の色と混じることなく、しかも周囲を汚すことなく、その色だけを取り出すことができ、使い勝手が良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例の模式的な説明図である。
【図2】(a)、(b)は、ともに上記実施例を得るための工程の説明図である。
【図3】上記実施例に用いられる粒状化粧料の製法の説明図である。
【図4】上記実施例に用いられる粒状化粧料の製法の説明図である。
【図5】(a)、(b)は、ともに上記製法によって得られる粒状化粧料の形状説明図である。
【図6】(a)、(b)は、ともに上記製法によって得られる粒状化粧料の形状説明図である。
【図7】(a)、(b)は、ともに本発明の他の実施例の説明図である。
【符号の説明】
【0052】
10 化粧皿
11 リップカラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径1〜5mmの粒状に成形された固形化粧料の集合体からなり、加熱によって上記粒状固形化粧料集合体の少なくとも一部が液状化した状態で固まり、不規則な色模様が形成されていることを特徴とする色模様付化粧料。
【請求項2】
上記粒状固形化粧料集合体が、色の異なる複数種類の粒状固形化粧料の組み合わせからなる請求項1記載の色模様付化粧料。
【請求項3】
上記粒状固形化粧料が、融点60〜80℃のメイクアップ化粧料である請求項1または2記載の色模様付化粧料。
【請求項4】
上記色模様付化粧料が、コンパクト容器の化粧皿に収容されたものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の色模様付化粧料。
【請求項5】
請求項1記載の色模様付化粧料の製法であって、凹部内に、平均粒径1〜5mmの粒状に成形された固形化粧料の集合体を充填する工程と、上記凹部内の粒状固形化粧料集合体を加熱し、その少なくとも一部を液状化して不規則な色模様を現出させた後、冷却する工程とを備えたことを特徴とする色模様付化粧料の製法。
【請求項6】
上記粒状固形化粧料として、互いに色の異なる複数種類の粒状固形化粧料を用いるようにした請求項5記載の色模様付化粧料の製法。
【請求項7】
上記粒状固形化粧料が、加熱によって液状化された固形化粧料を、この化粧料と相溶性がない液状オイル中に滴下して平均粒径1〜5mmの粒状に成形し、その温度を下げて固形化した後、上記液状オイルから分離して得られるものである請求項5または6記載の色模様付化粧料の製法。
【請求項8】
上記固形化粧料が、融点60〜80℃のメイクアップ化粧料であり、上記液状オイルが、シリコーンオイルおよびフッ素オイルの少なくとも一方、もしくはこれらのいずれかを他の油性原料と混合したものである請求項7記載の色模様付化粧料の製法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−286714(P2009−286714A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139625(P2008−139625)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】