説明

色素および光電変換素子

【課題】電子の移動性が高い光電変換素子を提供する。
【解決手段】色素13を担持した金属酸化物半導体層12を有する作用電極10と、対向電極20と、作用電極10および対向電極20に挟持された電解質含有層30とを備えている。色素13は、二核錯体を含み、その二核錯体は、中心金属として2つのルテニウムと、その2つのルテニウムの双方をつなげるように配位結合する橋かけ配位子と、2つのルテニウムにそれぞれ配位結合する配位子とを有している。光を吸収した色素13が励起され、励起された色素13が金属酸化物半導体層12に電子を速やかに注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素およびその色素を用いた光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多様な技術分野において、色素が広く使用されている。一例を挙げると、太陽電池などの光電変換素子の分野では、酸化物半導体電極に色素を担持させ増感させる色素増感型光電変換素子に用いられている。この色素増感型光電変換素子は、理論的に高い効率が期待でき、従来のシリコン半導体を用いた光電変換素子より、コスト的に非常に有利であると考えられている。
【0003】
色素増感型光電変換素子は、色素を担持した酸化物半導体を有する電極と共に電解質および対向電極を備えている。この色素増感型光電変換素子では、光を吸収した色素が励起されて電子を酸化物半導体に注入する一方で、電子を放出することにより酸化された色素が電解質より電子を受け取り還元される。このような色素における電子の受け渡しにより光電変換する。
【0004】
色素増感型光電変換素子に用いられている色素としては、従来、中心金属としてルテニウム(Ru)などの金属元素を1つ有する単核錯体が知られているが、変換効率の向上を目的として、2つ以上の中心金属を有する多核錯体を用いることが検討されている。具体的には、多核錯体色素としては、ルテニウム、オスミウム(Os)あるいは白金(Pt)などの2つの中心金属と、その双方の中心金属に配位する架橋配位子(橋かけ配位子)と、ビピリジンなどの複素環骨格を含む配位子とを有する二核錯体などが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0005】
ところで、多核錯体としては、2つのエチニレン基(−C≡C−)が連結した骨格を含む架橋配位子を有する金属錯体の合成が報告されている(例えば、非特許文献1〜4参照。)。また、非特許文献1,2には、エチニレン基が連結した骨格を含む架橋配位子により多核金属錯体の中心金属の間をつなげることにより、中心金属間の物理的距離を長くすることができ、中心金属と中心金属との間を電子が移動しやすくなることも開示されている。
【特許文献1】特開2004−359677号公報
【特許文献2】特開2007−277513号公報
【特許文献3】国際公開第2006/038587号パンフレット
【非特許文献1】ヨシマサ・ホシノ,他7名,「Long-Range Electronic Coupling in Various Oxidation States of a C4-Linked Tris(β-diketonato)ruthenium Dimer」,Angewandte Chemie Int. Ed. 2003年,42,No.6,p674−677
【非特許文献2】ヨシマサ・ホシノ,トモコ・スズキ,ヒサコ・ウメダ,「Amplification of metal-to-metal communication in the ruthenium(IV)-ruthenium(III) mixed-valence state of binuclear β-diketonatoruthenium complexes by inserting thiophene and anthracene units into acetylene linkers」,Inorganica Chimica Acta,1996年,245,p87−90
【非特許文献3】コオイチ・アオキ,ヒロヤス・カモ,ジンヤン・チェン,ヨシマサ・ホシノ,「Configurational stabilization of mixed-valence states in the star-burst tetranuclear ruthenium complex bridged with acetylene links」,Journal of Electroanalytical Chemistry,1997年,420,p189−193
【非特許文献4】ユウコ・カサハラ,他4名,「Synthesis of Binuclear (β-Diketonato)ruthenium(III) Complexes through Tris(β-diketonato)ruthenium(III) and Electrochemistry of the Binuclear Complexes」,Organometallics,1992年,vol.11,No.5,p1968−1971
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した多核錯体では、電子の移動性に問題がある。具体的には、特許文献1〜3に記載された多核錯体系色素では、各中心金属の間の物理的距離が短いため、分子全体として電荷の偏りを大きくすることが難しい。しかも、電解質から電子を受け取る部位と酸化物半導体へ電子を注入する部位とが近くなるため、電解質から受け取った電子を電解質へ放出するような電子の逆移動が生じやすく、電子の移動方向を保ったまま、その移動性を十分に確保しづらかった。また、非特許文献1〜4に記載された多核錯体では、各中心金属の間の物理的距離を長くすることができるが、各中心金属に配位している配位子が同一のものであるため、分子全体として電荷の偏りがほとんどなく、方向性を有する電子の移動は難しい。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、方向性を有する電子の移動が良好な色素を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、電子の移動性が高い光電変換素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の色素は、式(1)で表される構造を有するものである。
【0009】
【化1】

(R1〜R4は水素、メチル基あるいはターシャリーブチル基であり、それらは同一でもよいし異なっていてもよい。R5は2価の基である。L1およびL2はルテニウム(Ru)に配位結合する配位子を表し、それらは同一でもよいし異なっていてもよいが、L1およびL2のうちのいずれか一方は電子供与性の配位子を含む。nおよびmは1〜4の整数であり、それらは同一でもよいし異なっていてもよい。pは0以上の整数である。)
【0010】
本発明の色素では、式(1)に示した構造の中心金属である2つのルテニウムの間を、2つのエチニレン基を介して両端に2つのβ−ジケトン骨格を有する構造の配位子によって連結するようにしたことにより、中心金属の間の物理的距離と共に分子中の電子の移動性が確保される。加えて、各中心金属に配位するL1およびL2のうちのいずれか一方が電子供与性の配位子を含むようにしたことにより、分子全体として電荷の偏りを大きくすると共に、電子供与性の配位子によって押し出されるように電子が移動する。このため、電子供与性の配位子が結合した中心金属の側から電子供与性の配位子が結合していない中心金属の側へ電子が移動しやすくなる。
【0011】
本発明の色素では、式(1)に示したL1およびL2は、配位原子として酸素(O)および窒素(N)のうちの少なくとも一方を含んでいてもよいし、L1およびL2のうちのいずれか一方は、電子供与性の配位子としてチオシアナトを含んでいてもよい。特に、L1およびL2のうちのいずれか一方は電子供与性の配位子を含み、他方は電子吸引性の配位子を含むことが好ましい。これにより、分子全体として電荷の偏りがより大きくなると共に、電子吸引性の配位子によって引かれるように電子が移動する、いわゆるプッシュプル構造となる。このため、電子供与性の配位子が結合した中心金属の側から電子吸引性の配位子が結合した中心金属の側へ電子が移動しやすくなる。この場合、電子吸引性の配位子は、置換基としてカルボン酸基、リン酸基およびスルホン酸基のうちの少なくとも1種を有するものでもよい。
【0012】
また、本発明の色素では、L1およびL2のうちの少なくとも1つは、複素環骨格を含んでいてもよい。式(1)に示したpは0であってもよい。
【0013】
本発明の光電変換素子は、色素と、この色素を担持する担持体とを有する電極を備えた光電変換素子であって、色素は、上記した式(1)で示した構造を有する色素を含むものである。
【0014】
本発明の光電変換素子では、色素が上記した式(1)で示した構造を有する色素を含むことにより、光を吸収した色素が励起され、励起された色素が担持体に電子を速やかに注入する。これによって、定常的に光電変換する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の色素によれば、上記した式(1)に示した構造を有するので、方向性を有する電子の移動を良好にすることができる。特に、L1およびL2のうちのいずれか一方が電子供与性の配位子を含み、他方が電子吸引性の配位子を含むようにすれば、方向性を有する電子の移動をより良好にすることができる。
【0016】
本発明の光電変換素子によれば、色素が式(1)で示した構造を有する色素を含むので、電子の移動性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施のための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
本発明の一実施の形態に係る色素は、上記した式(1)に示した構造を有している。
【0019】
式(1)に示した構造は、二核錯体を表し、中心金属として2つのルテニウムと、その2つのルテニウムの双方をつなげるように配位結合する橋かけ配位子と、2つのルテニウムにそれぞれ配位結合する配位子として式(1)中のL1,L2とを有している。2つのルテニウムの双方をつなげる橋かけ配位子において、式(1)中のR5を介して2つのエチニレン基(−C≡C−)が連結した構造、または2つのエチニレン基が連結した構造と共にその構造の両端にそれぞれ結合したβ−ジケトン骨格(O−C=C−C=O)を有することにより、2つの中心金属の間の物理的距離と共に電子の移動性を確保する。また、式(1)中のL1およびL2のうちのいずれか一方が電子供与性の配位子を含むことにより、式(1)に示した構造全体として電荷の偏りが大きくなると共に、電子供与性の配位子によって押し出されるように電子が移動するため、電子供与性の配位子が結合した中心金属の側から電子供与性の配位子が結合していない中心金属の側へ電子が移動しやすくなる。よって、方向性を有する電子の移動が良好になる。
【0020】
式(1)中で説明したR1〜R4が水素(−H)、メチル基(−CH3 )あるいはターシャリーブチル基(t−ブチル基;−C(CH3 3 )であるのは、それ以外の置換基である場合よりも、方向性を有する電子の移動を良好にするからである。
【0021】
式(1)中で説明したR5は、2価の基であれば任意であり、例えば、式(2)〜式(19)で表される基などが挙げられる。すなわち、式(2)に示したビニレン基、式(3)に示したエチニレン基、式(4)に示した1,4−フェニレン基、式(5)に示したエチニルフェニレン基、式(6)に示した2,5−チエニレン基、式(7)に示したエチニルチエニレン基、式(8)に示した2,5−フラニレン基、式(9)に示した2,5−エチニルフラニレン基、式(10)に示した2,6−ピリジニレン基、式(11)に示したエチニル(2,6−)ピリジニレン基、式(12)に示した2,5−ピリジニレン基、式(13)に示したエチニル(2,5−)ピリジニレン基、式(14)に示したアントラセニレン基、式(15)に示したエチニルアントラセニレン基、式(16)に示した1,10−フェナントロエイニレン基、式(17)に示したエチニルフェナントロエイニレン基、式(18)に示したポルフィリニレン基あるいは式(19)に示したエチニルポリフィリニレン基などである。この他にも、R5としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、2,3−チエニレン基、2,4−チエニレン基、2,3−フラニレン基、2,4−フラニレン基、2,3−ピリジニレン基、2,4−ピリジニレン基、3,4−ピリジニレン基、3,5−ピリジニレン基、ナフタレニレン基あるいはフェナントレニレン基またはそれらにエチニレン基が連結した基などが挙げられる。
【0022】
【化2】

【0023】
【化3】

【0024】
式(1)中で説明したpは、0以上の整数であれば任意であるが、0以上10以下の範囲であることが好ましく、0であるのがより好ましい。なお、p=0の場合には、式(1)に示した構造はR5を有さないものとなる。すなわち、2つのルテニウムの双方をつなげるように配位結合する橋かけ配位子は、2つのエチニレン基が連結した構造と共にその構造の両端にそれぞれ結合したβ−ジケトン骨格を有するものとなる。
【0025】
式(1)中で説明したL1およびL2は、2つの中心金属にそれぞれ配位結合すると共に、L1およびL2のうちのいずれか一方だけが電子供与性の配位子を含んでいれば、中心金属と配位結合する配位原子の種類や、配位原子の数(単座配位するか多座配位するか)は任意である。このL1,L2は、配位原子として酸素(O)および窒素(N)のうちの少なくとも一方を含むものでもよいし、複素環骨格を有するものでもよい。特に、このL1およびL2では、いずれか一方が電子供与性の配位子を含み、他方が電子吸引性の配位子を含んでいるのが好ましい。これにより、分子全体として電荷の偏りがより大きくなると共に、電子吸引性の配位子によって引かれるように電子が移動するため、電子供与性の配位子が結合した中心金属の側から電子吸引性の配位子が結合した中心金属の側へ電子がより移動しやすくなる、いわゆるプッシュプル構造となる。よって、方向性を有する電子の移動がより良好になる。
【0026】
電子供与性の配位子は、電子供与性を有すれば任意であり、例えば、式(20),式(21)で表されるチオシアナトや、式(22)で表されるアセトニトリルや、式(23),式(24)で表されるアミン系の配位子などが挙げられる。
【0027】
【化4】

【0028】
また、配位原子として酸素(O)および窒素(N)のうちの少なくとも一方を含む配位子としては、例えば、式(25)〜式(29)で表される配位子が挙げられる。なお、式(25)〜式(27)に示した配位子は、複素環骨格を有する配位子の一例でもある。
【0029】
【化5】

【0030】
電子吸引性の配位子としては、例えば、カルボン酸基(−COOH)、スルホン酸基(−SO3 H)あるいはリン酸基(−PO3 H,−PO4 2 )などの電子吸引性の置換基を有する配位子などが挙げられ、具体的には、式(30)に示した配位子などである。
【0031】
【化6】

【0032】
式(1)中で説明したnおよびmが1以上4以下の整数であるのは、中心金属であるルテニウムの配位数が6であり、橋かけ配位子が双方の中心金属に二座配位しているからである。すなわち、例えば、nおよびmがいずれも4の場合には、L1およびL2としてそれぞれ4つの単座配位子を有することを表し、n=2およびm=3の場合には、L1として2つの二座配位子または単座配位子と三座配位子との組み合わせで有すると共に、L2として二座配位子と2つの単座配位子との組み合わせで有することを表している。
【0033】
式(1)に示した構造を有する色素としては、例えば、L1,L2,R1〜R5およびpを表1に示したように有する色素No.1〜色素No.25などが挙げられる。なお、式(1)に示した構造を有していれば、表1に示した色素に限定されない。
【0034】
【表1】

【0035】
このように本実施の形態における色素では、式(1)に示したように、中心金属である2つのルテニウムの間を、2つのエチニレン基を含むと共にその両端に2つのβ−ジケトン骨格を有する構造の橋かけ配位子によって連結したことにより、中心金属の間の物理的距離と共に電子の移動性が確保される。また、各中心金属に配位するL1およびL2のうちのいずれか一方が電子供与性の配位子を含むようにしたことにより、分子全体として電荷の偏りが大きくなると共に、電子供与性の配位子によって押し出されるように電子が移動するため、電子供与性の配位子が結合した中心金属の側から電子供与性の配位子が結合していない中心金属の側へ電子が移動しやすくなる。すなわち、この色素によれば、式(1)に示した構造を有するので、方向性を有する電子の移動を良好にすることができる。よって、式(1)に示した構造を有する色素を色素増感型の光電変換素子に用いた場合には、電子の移動性を高くすることに寄与し、変換効率が向上するものと考えられる。
【0036】
この場合、式(1)に示したL1およびL2のうちのいずれか一方は電子供与性の配位子を含み、他方は電子吸引性の配位子を含むようにすれば、分子全体として電荷の偏りがより大きくなると共に、電子吸引性の配位子によって引かれるように電子が移動する、いわゆるプッシュプル構造となるため、電子供与性の配位子が結合した中心金属の側から電子吸引性の配位子が結合した中心金属の側へ電子が移動しやすくなる。よって、方向性を有する電子の移動をより良好にすることができる。
【0037】
次に、本実施の形態に係る色素の使用例について説明する。ここで、色素を有する電極を備えた光電変換素子を例に挙げると、本実施の形態の色素は、以下のようにして光電変換素子に用いられる。
【0038】
図1は、光電変換素子の断面構成を模式的に表すものであり、図2は、図1に示した光電変換素子の主要部を抜粋および拡大して表すものである。図1および図2に示した光電変換素子は、いわゆる色素増感型太陽電池の主要部である。この光電変換素子は、作用電極10と対向電極20とが電解質含有層30を介して対向配置されたものであり、作用電極10および対向電極20のうちの少なくとも一方は、光透過性を有する電極である。
【0039】
作用電極10は、例えば、導電性基板11と、その一方の面(対向電極20の側の面)に設けられた金属酸化物半導体層12と、この金属酸化物半導体層12を担持体として色素13とを有している。この作用電極10は、外部回路に対して、負極として機能するものである。導電性基板11は、例えば、絶縁性の基板11Aの表面に導電層11Bを設けたものである。
【0040】
基板11Aの材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、透明ポリマーフィルムなどの絶縁性材料が挙げられる。透明ポリマーフィルムとしては、例えば、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィンあるいはブロム化フェノキシなどが挙げられる。
【0041】
導電層11Bとしては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)あるいは酸化スズにフッ素をドープしたもの(FTO:F−SnO2 )などの導電性金属酸化物薄膜や、金(Au)、銀(Ag)あるいは白金(Pt)などの金属薄膜や、導電性高分子などで形成されたものなどが挙げられる。
【0042】
なお、導電性基板11は、例えば、導電性を有する材料によって単層構造となるように構成されていてもよく、その場合、導電性基板11の材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物あるいは酸化スズにフッ素をドープしたものなどの導電性金属酸化物や、金、銀あるいは白金などの金属や、導電性高分子などが挙げられる。
【0043】
金属酸化物半導体層12は、色素13を担持する担持体であり、例えば、図2に示したように多孔質構造を有している。この金属酸化物半導体層12は、緻密層12Aと多孔質層12Bとから形成されている。導電性基板11との界面においては、緻密層12Aが形成され、この緻密層12Aは、緻密で空隙が少ないことが好ましく、膜状であることがより好ましい。電解質含有層30と接する表面においては、多孔質層12Bが形成され、この多孔質層12Bは、空隙が多く、表面積が大きくなる構造が好ましく、特に、多孔質の微粒子が付着している構造がより好ましい。なお、金属酸化物半導体層12は、例えば、膜状の単層構造となるように形成されてもよい。
【0044】
金属酸化物半導体層12の材料(金属酸化物半導体材料)としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化バナジウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウムあるいは酸化マグネシウムなどが挙げられる。中でも、金属酸化物半導体材料としては、酸化チタンおよび酸化亜鉛のうちの少なくとも1種が好ましい。また、これら金属酸化物半導体材料は、いずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を複合(混合、混晶、固溶体など)させて用いてもよく、例えば、酸化亜鉛と酸化スズ、酸化チタンと酸化ニオブなどの組み合わせで使用することもできる。
【0045】
この多孔質構造を有する金属酸化物半導体層12の形成方法としては、例えば、電解析出法や、焼成法などが挙げられる。電解析出法により金属酸化物半導体層12を形成する場合には、金属酸化物半導体材料の微粒子を含む電解浴液中において、導電性基板11の導電層11Bの上に微粒子を付着させると共に金属酸化物半導体材料を析出させる。また、焼成法により金属酸化物半導体層12を形成する場合には、金属酸化物半導体材料の微粒子を分散させた分散液(金属酸化物スラリー)を導電性基板11の上に塗布したのち、焼成する。金属酸化物半導体層12の形成方法としては、電解析出法が好ましい。基板11Aとして耐熱性が低いプラスチック材料やポリマーフィルム材料を用いることができるため、フレキシブル性の高い光電変換素子を作製できるからである。
【0046】
色素13は、光を吸収して励起することにより電子を金属酸化物半導体層12へ注入することが可能な1種あるいは2種以上の色素を含んでいる。色素13は、この色素として式(1)に示した構造を有する色素を含んでいる。これにより、電子の移動性が高くなる。
【0047】
また、色素13は、式(1)に示した構造を有する色素の他に、他の色素を含んでいてもよい。他の色素は、金属酸化物半導体層12と化学的に結合することができる電子吸引性の置換基を有する色素が好ましい。他の色素としては、例えば、エオシンY、ジブロモフルオレセイン、フルオレセイン、ローダミンB、ピロガロール、ジクロロフルオレセイン、エリスロシンB(エリスロシンは登録商標)、フルオレシン、マーキュロクロム、シアニン系色素、メロシアニンジスアゾ系色素、トリスアゾ系色素、アントラキノン系色素、多環キノン系色素、インジゴ系色素、ジフェニルメタン系色素、トリメチルメタン系色素、キノリン系色素、ベンゾフェノン系色素、ナフトキノン系色素、ペリレン系色素、フルオレノン系色素、スクワリリウム系色素、アズレニウム系色素、ペリノン系色素、キナクリドン系色素、無金属フタロシアニン系色素または無金属ポルフィリン系色素などの有機色素などが挙げられる。
【0048】
また、他の色素としては、例えば、有機金属錯体化合物も挙げられ、一例としては、芳香族複素環内にある窒素アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子またはカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物や、酸素アニオンもしくは硫黄アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子またはカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物などが挙げられる。具体的には、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン系色素、金属ナフタロシアニン系色素、金属ポルフィリン系色素、ならびにビピリジルルテニウム錯体、ターピリジルルテニウム錯体、フェナントロリンルテニウム錯体、ビシンコニン酸ルテニウム錯体、アゾルテニウム錯体あるいはキノリノールルテニウム錯体などのルテニウム錯体などが挙げられる。
【0049】
対向電極20は、例えば、導電性基板21に導電層22を設けたものである。この対向電極20は、外部回路に対して、正極として機能するものである。導電性基板21の材料としては、例えば、作用電極10の導電性基板11と同様の材料が挙げられる。導電層22に用いる導電材としては、例えば、白金、金、銀、銅(Cu)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)あるいはインジウム(In)などの金属、炭素(C)、または導電性高分子などが挙げられる。これらの導電材は、単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。また、必要に応じて、結着材として、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、メラミン樹脂、フロロエラストマーまたはポリイミド樹脂などを用いてもよい。なお、対向電極20は、例えば、導電層22の単層構造でもよい。
【0050】
電解質含有層30は、例えば、レドックス電解質を含んで構成されている。レドックス電解質としては、例えば、I- /I3-系、Br- /Br3-系またはキノン/ハイドロキノン系などが挙げられ、具体的には、ヨウ化物塩とヨウ素単体とを組み合わせたもの、または四級アルキルアンモニウムブロミドと臭素とを組み合わせたものなどのハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたものが挙げられる。このハロゲン化物塩としては、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム類、ハロゲン化イミダゾリウム類、ハロゲン化チアゾリウム類、ハロゲン化オキサゾリウム類、ハロゲン化キノリニウム類あるいはハロゲン化ピリジニウム類などが挙げられる。具体的には、ヨウ化物塩としては、ヨウ化セシウムや、四級アルキルアンモニウムヨージド類としてテトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラへプチルアンモニウムヨージドあるいはトリメチルフェニルアンモニウムヨージドや、イミダゾリウムヨージド類として3−メチルイミダゾリウムヨージドあるいは1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージドや、チアゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−2−チアゾリウムヨージド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムヨージドあるいは3−エチル−2−メチルベンゾチアゾリウムヨージドや、オキサゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−ベンゾオキサゾリウムヨージドや、キノリニウムヨージド類として1−エチル−2−メチルキノリニウムヨージドや、ピリジニウムヨージド類などが挙げられる。ハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたものの中でも、上記したヨウ化物塩のうちの少なくとも1種とヨウ素単体との組み合わせが好ましい。
【0051】
また、レドックス電解質は、例えば、イオン性液体とハロゲン単体とを組み合わせたものでもよい。この場合には、さらに上記したハロゲン化物塩などを含んでいてもよい。イオン性液体としては、電池や太陽電池などにおいて使用可能なものが挙げられ、例えば、「Inorg.Chem」1996,35,p1168〜1178、「Electrochemistry」2002,2,p130〜136、特表平9−507334号公報、または特開平8−259543号公報などに開示されているものが挙げられる。中でも、イオン性液体としては、室温(25℃)より低い融点を有する塩、または室温よりも高い融点を有していても他の溶融塩などと溶解することにより室温で液状化する塩が好ましい。このイオン性液体の具体例としては、以下に示したアニオンおよびカチオンなどが挙げられる。
【0052】
イオン性液体のカチオンとしては、例えば、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム、またはそれらの誘導体が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種を混合して用いられてもよい。具体的には、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムあるいは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムなどが挙げられる。
【0053】
また、イオン性液体のアニオンとしては、AlCl4-あるいはAl2 Cl7-などの金属塩化物や、PF6-、BF4-、CF3 SO3-、N(CF3 SO2 2-、F(HF)n-あるいはCF3 COO- などのフッ素含有物イオンや、NO3-、CH3 COO- 、C6 11COO- 、CH3 OSO3-、CH3 OSO2-、CH3 SO3-、CH3 SO2-、(CH3 O)2 PO2-、N(CN)2-あるいはSCN- などの非フッ素化合物イオンや、ヨウ素あるいは臭素などのハロゲン化物イオンが挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種を混合して用いられてもよい。中でも、このイオン性液体のアニオンとしては、ヨウ化物イオンが好ましい。
【0054】
電解質含有層30には、上記したレドックス電解質として、液状の電解質(電解液)を用いてもよいし、電解液を高分子物質中に保持させた固体高分子電解質を用いてもよい。また、電解液とカーボンブラックなどの粒子状の炭素材料とを混合して含む半固体状(ペースト状)の電解質を用いてもよい。なお、炭素材料を含む半固体状の電解質では、炭素材料が酸化還元反応を触媒する機能を有するため、電解質中にハロゲン単体を含まなくてもよい。このようなレドックス電解質は、上記したハロゲン化物塩やイオン性液体などを溶解する有機溶媒のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいてもよい。この有機溶媒としては、電気化学的に不活性なものが挙げられ、例えば、アセトニトリル、プロピルニトリル、ブチロニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、ペンタノール、キノリン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチルラクトン、ジメチルスルホキシドあるいは1,4−ジオキサンなどが挙げられる。
【0055】
この光電変換素子では、作用電極10に担持された色素13に光(太陽光または、太陽光と同等の可視光)があたると、光を吸収して励起した色素13が電子を金属酸化物半導体層12へ注入する。その電子が隣接した導電層11Bに移動したのち外部回路を経由して、対向電極20に到達する。一方、電解質含有層30では、電子の移動に伴い酸化された色素13を基底状態に戻す(還元する)ように、電解質が酸化される。この酸化された電解質が上記した電子を受け取ることによって還元される。このようにして、作用電極10および対向電極20の間における電子の移動と、これに伴う電解質含有層30における酸化還元反応とが繰り返される。これにより、連続的な電子の移動が生じ、定常的に光電変換が行われる。
【0056】
この光電変換素子は、例えば、以下のように製造することができる。
【0057】
まず、作用電極10を作製する。最初に、導電性基板11の導電層11Bが形成されている面に多孔質構造を有する金属酸化物半導体層12を電解析出法や焼成法により形成する。電解析出法により形成する場合には、例えば、金属酸化物半導体材料となる金属塩を含む電解浴を、酸素や空気によるバブリングを行いながら、所定の温度とし、その中に導電性基板11を浸漬し、対極との間で一定の電圧を印加する。これにより、導電層11Bの上に、多孔質構造を有するように金属酸化物半導体材料を析出させる。この際、対極は、電解浴中において適宜運動させるようにしてもよい。また、焼成法により形成する場合には、例えば、金属酸化物半導体材料の粉末を分散媒に分散させることにより調整した金属酸化物スラリーを導電性基板11に塗布して乾燥させたのち焼成し、多孔質構造を有するようにする。続いて、有機溶媒に式(1)に示した構造を有する色素を含む色素13を溶解した色素溶液を調整する。この色素溶液に金属酸化物半導体層12が形成された導電性基板11を浸漬することにより、金属酸化物半導体層12に色素13を担持させる。
【0058】
次に、導電性基板21の片面に導電層22を形成することにより、対向電極20を作製する。導電層22は、例えば、導電材をスパッタリングすることにより形成する。
【0059】
最後に、作用電極10の色素13を担持した面と、対向電極20の導電層22を形成した面とが所定の間隔を保つと共に対向するように、封止剤などのスペーサ(図示せず)を介して貼り合わせ、例えば、電解質の注入口を除いて全体を封止する。続いて、作用電極10と対向電極20との間に、電解質を注入したのち注入口を封止するにより、電解質含有層30を形成する。これにより図1および図2に示した光電変換素子が完成する。
【0060】
この光電変換素子によれば、色素13が式(1)に示した構造を含む色素を含むので、電子の移動性を高くすることができる。よって、変換効率の向上が期待できる。その他の作用効果は、上記した本実施の形態の色素と同様である。
【0061】
なお、上記した光電変換素子では、電解質含有層30としてレドックス電解質を含むものを用いた場合について説明したが、電解質含有層30としては、レドックス電解質に代えて固体電解質として固体電荷移動層を設けてもよい。この場合、固体電荷移動層は、例えば、固体中のキャリアー移動が電気伝導にかかわる材料を有している。この材料としては、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料などが好ましい。
【0062】
正孔輸送材料としては、芳香族アミン類や、トリフェニレン誘導体類などが好ましく、例えば、オリゴチオフェン化合物、ポリピロール、ポリアセチレンあるいはその誘導体、ポリ(p−フェニレン)あるいはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)あるいはその誘導体、ポリチエニレンビニレンあるいはその誘導体、ポリチオフェンあるいはその誘導体、ポリアニリンあるいはその誘導体、ポリトルイジンあるいはその誘導体などの有機導電性高分子などが挙げられる。
【0063】
また、正孔輸送材料としては、例えば、p型無機化合物半導体を用いてもよい。このp型無機化合物半導体は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、さらに、2.5eV以上であることがより好ましい。また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元できる条件から、作用電極10のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下の範囲内であることが好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下の範囲内であることがより好ましい。
【0064】
p型無機化合物半導体としては、例えば、1価の銅を含む化合物半導体などが挙げられる。1価の銅を含む化合物半導体の一例としては、CuI、CuSCN、CuInSe2 、Cu(In,Ga)Se2 、CuGaSe2 、Cu2 O、CuS、CuGaS2 、CuInS2 、CuAlSe2 などがある。このほかのp型無機化合物半導体としては、例えば、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi2 3 、MoO2 またはCr2 3 などが挙げられる。
【0065】
このような固体電荷移動層の形成方法としては、例えば、作用電極10の上に直接、固体電荷移動層を形成する方法があり、そののち対向電極20を形成付与してもよい。
【0066】
有機導電性高分子を含む正孔輸送材料は、例えば、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法または光電解重合法などの手法により電極内部に導入することができる。無機固体化合物の場合も、例えば、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法または電解メッキ法などの手法により電極内部に導入することができる。このように形成される固体電荷移動層(特に、正孔輸送材料を有するもの)の一部は、金属酸化物半導体層12の多孔質構造の隙間に部分的に浸透し、直接接触する形態となることが好ましい。
【0067】
電解質含有層30として固体電荷移動層を設けた光電変換素子においても、レドックス電解質を用いた場合と同様に、電子の移動性を高くすることができる。その他の作用効果は、上記した光電変換素子と同様である。
【0068】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記した実施の形態において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の光電変換素子の使用用途は、必ずしも既に説明した用途に限らず、他の用途であってもよい。他の用途としては、例えば、光センサなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施の形態に係る色素を用いた光電変換素子の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した光電変換素子の主要部を抜粋および拡大して表す断面図である。
【符号の説明】
【0070】
10…作用電極、11,21…導電性基板、11A…基板、11B…導電層、12…金属酸化物半導体層、12A…緻密層、12B…多孔質層、13…色素、20…対向電極、22…導電層、30…電解質含有層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される構造を有する
ことを特徴とする色素。
【化1】

(R1〜R4は水素、メチル基あるいはターシャリーブチル基であり、R5は2価の基である。L1およびL2はルテニウム(Ru)に配位結合する配位子を表し、L1およびL2のうちのいずれか一方は電子供与性の配位子を含む。nおよびmは1〜4の整数であり、pは0以上の整数である。)
【請求項2】
前記L1および前記L2は、配位原子として酸素(O)および窒素(N)のうちの少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項1記載の色素。
【請求項3】
前記L1および前記L2のうちのいずれか一方は、前記電子供与性の配位子としてチオシアナトを含む
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の色素。
【請求項4】
前記L1および前記L2のうちのいずれか一方は電子供与性の配位子を含み、他方は電子吸引性の配位子を含む
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の色素。
【請求項5】
前記電子吸引性の配位子は、置換基としてカルボン酸基、リン酸基およびスルホン酸基のうちの少なくとも1種を有する
ことを特徴とする請求項4記載の色素。
【請求項6】
前記L1および前記L2のうちの少なくとも1つは、複素環骨格を含む
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の色素。
【請求項7】
前記pは、0である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の色素。
【請求項8】
色素と、この色素を担持する担持体とを有する電極を備えた光電変換素子であって、
前記色素は、式(1)で表される構造を有する色素を含む
ことを特徴とする光電変換素子。
【化2】

(R1〜R4は水素、メチル基あるいはターシャリーブチル基であり、R5は2価の基である。L1およびL2はルテニウム(Ru)に配位結合する配位子を表し、L1およびL2のいずれか一方は電子供与性の配位子を含む。nおよびmは1〜4の整数であり、pは0以上の整数である。)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−70666(P2010−70666A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240451(P2008−240451)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物名 第58回錯体化学討論会講演要旨集 発行者名 錯体化学会 発行年月日 平成20年9月5日
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【Fターム(参考)】