説明

色素増感型光電変換素子

【課題】導電性を有する作用極と対極とが、電解質を介して配されてなる色素増感型光電変換素子であって、光電変換効率が向上した色素増感型光電変換素子を提供する。
【解決手段】
導電性を有する作用極5と対極6とが、電解質18を介して配されてなる色素増感型光電変換素子1であって、前記作用極5と前記対極6とは、前記電解質18に含まれる絶縁体からなる粒子28により絶縁されていて、該絶縁体からなる粒子の形状は、最大外径が40μm以上120μm以下の球形状であることを特徴とする色素増感型光電変換素子1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池などに用いられる色素増感型光電変換素子に関する。より詳しくは、光電変換効率の向上した色素増感型光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
色素増感型太陽電池は、スイスのグレッツェルらのグループなどから提案されたもので、高い変換効率を得られる光電変換素子として着目されている(例えば、非特許文献1を参照)。
色素増感型太陽電池は、シリコン系の従来型の太陽電池と比較して大幅な低価格化が可能とされているが、発電部に使用される導電性基板の価格が低価格化の障害となっている。従来構造の色素増感型太陽電池においては、特に光が入射する側の電極(窓電極)には、可視光の透過性と高い伝導性が要求されるため、ガラス基板やプラスチック基板上にスズドープ酸化インジウムやフッ素ドープ酸化スズといった透明導電性金属酸化物を塗布した基板が用いられてきた。したがって、このような透明導電性基板を用いていない、全く新しい構造の色素増感型太陽電池が実現するならば、太陽電池の大幅な低価格化が可能であるとして研究開発が進められている。
【0003】
これらの解決手段として、金属線を発電部の作用極に用いる新規な素子構造(特許文献1、2、3、4参照)が提案されている。しかし、これらの構造においては、作用極に金属線を採用したがゆえに、大面積の太陽電池モジュールの構成が困難となり、本来、色素増感型光電変換素子が有する、大面積化が容易であるという利点を損なう結果となった。そのため、上記の利点を損なうことのない素子構造の開発が必要とされている。
さらに、大面積素子を可能とする構造として、特許文献5、特許文献6に記載されたように、金属線をメッシュ状に編みこむ構造も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−181690号公報
【特許文献2】特開2008−181691号公報
【特許文献3】特開2005−196982号公報
【特許文献4】特表2005−516370号公報
【特許文献5】特開2001−283941号公報
【特許文献6】特開2001−283944号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】O'Regan B., Graetzel M., Alow cost, high-efficiency solar cell based on dye-sensitized colloidal TiO2 films, Nature, 1991年, 353号, 737-739ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図6に示したような従来の金属細線を用いた色素増感型太陽電池100の場合、該金属細線からなる網目状電極及び色素が担持される多孔質酸化物半導体層113から構成される作用極105と導電性基板からなる対極106とは、通常絶縁性材料からなるセパレータ110によって電気的に絶縁されている。従来のセパレータ110は樹脂製の多孔質平膜(多孔質シート)が作用極105と対極106との間に挿入され、酸化還元対等を含む電解質118がその多孔質平膜を拡散透過することによって、対極106から多孔質酸化物半導体層113に担持された色素へ電子が供給されている。しかしながら、該酸化還元対が多孔質平膜を透過する効率が低いため、色素への電子の供給効率が悪く、当該色素増感型太陽電池100の光電変換効率が低く留まるという問題があった。また、該多孔質平膜と対極とが密着する箇所では該酸化還元対の酸化型成分への対極からの電子供給の効率が悪く、対極の実効面積が小さくなるため、当該色素増感型太陽電池100の光電変換効率が低く留まるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、導電性を有する作用極と対極とが、電解質を介して配されてなる色素増感型光電変換素子であって、光電変換効率が向上した色素増感型光電変換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の色素増感型光電変換素子は、導電性を有する作用極と対極とが、電解質を介して配されてなる色素増感型光電変換素子であって、前記作用極と前記対極とは、前記電解質に含まれる絶縁体からなる粒子により絶縁されており、該絶縁体からなる粒子は、最大外径が40μm以上120μm以下の球形状であることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の色素増感型光電変換素子は、請求項1において、前記作用極は、導電性を有するとともに線状をなす複数の第1基材および第2基材が網目状に編まれてなる領域から構成されてなることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の色素増感型光電変換素子は、請求項1又は2において、前記絶縁体からなる粒子は、球形状のガラス製粒子であり、前記電解質中に1.0質量%以上5.0質量%以下の割合で含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の色素増感型光電変換素子によれば、前記作用極と前記対極とを電気的に絶縁するために前記電解質に含まれる絶縁体からなる粒子を用いることにより、前記電解質を介した前記電子移動効率を高めることができるので、光電変換効率を向上させることができる。
すなわち、前記絶縁体からなる粒子をセパレータとして用いることにより、従来の多孔質平膜からなるセパレータの場合よりも前記電解質の拡散透過が速やかに起こるため、該電解質によって行われる前記対極から前記作用極への電子移動効率を高めることができるので、本発明の色素増感型光電変換素子は従来のものよりも光電変換効率に優れる。
また、前記絶縁体からなる粒子は、最大外径が40μm以上120μm以下である球形状の絶縁体からなる粒子であることにより、前記作用極と前記対極との間に介在する複数の該絶縁体からなる粒子によって、前記作用極と前記対極との間に充分な距離を保った間隙を形成することができ、前記作用極と前記対極とを充分に絶縁することができる。
さらに、該絶縁体からなる粒子が球形状であることにより、前記作用極及び前記対極と該絶縁体からなる粒子との密着する面積が小さく、前記作用極及び前記対極のそれぞれの実効面積を小さくせずに、それらを絶縁することができる。また、該絶縁体からなる粒子が球形状であることにより、前記電解質に該絶縁体からなる粒子を分散させることが容易であり、該絶縁体からなる粒子どうしの接触による破損が起こりにくく、取り扱いも容易となる。
【0010】
本発明の色素増感型光電変換素子において、前記作用極は、導電性を有するとともに線状をなす複数の第1基材および第2基材が網目状に編まれてなる領域から構成されてなるものであると、本発明の色素増感型光電変換素子がフレキシブル性に優れ、光電変換効率が向上するので好ましい。
また、本発明の色素増感型光電変換素子において、前記絶縁体からなる粒子は、球形状のガラス製粒子であり、前記電解質中に1.0質量%以上5.0質量%以下の割合で含まれた場合、前記作用極と前記対極との間に介在する該絶縁体からなる粒子が前記間隙を充分に形成しつつ効率的な光電変換をおこなうことができるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1の実施形態として、色素増感型光電変換素子の概略構成図である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態を示す概略構成図(図1)におけるA−A’線に沿う概略断面図である。
【図3】本発明に係る第1の実施形態を示す概略構成図(図1)におけるB−B’線に沿う、集電部3の概略断面図であって(a)は抵抗溶接前、(b)は抵抗溶接中、(c)は抵抗溶接後の断面図である。
【図4】本発明に係る第2の実施形態として、色素増感型光電変換素子の概略構成図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態を示す概略構成図(図4)におけるC−C’線に沿う概略断面図である。
【図6】従来の色素増感型光電変換素子の一例の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明に係る色素増感型光電変換素子の一例について詳細に説明する。
【0013】
図1、図2に示すように、本発明の第一実施形態の色素増感型光電変換素子1A(1)は、平面視矩形の発電部2と該発電部2の外部に設けられた集電部3とから構成されており、発電部2において発生した電子が、発電部2の一辺より延在する集電用配線4を介して集電部3において集電される構成である。
発電部2は、平面視矩形の網目状に編まれてなる網目状構造の作用極5と、平面視矩形の板状の対極6とが、電解質18に含まれる絶縁体からなる粒子28を介して重ね合わされるように構成されている。前記網目状構造の作用極5は、導電性を有する複数の第1基材8と複数の第2基材9と、該第1基材8と該第2基材9の周囲に配され増感色素を担持した多孔質酸化物半導体層13とから構成されており、該多孔質酸化物半導体層13は、増感色素とともに電解質18をも含浸している。
第1基材8と第2基材9とはともに線状をなし、これら第1基材8と第2基材9とが網目状に編まれることによって矩形の網目状構造からなる領域をなしている。
【0014】
対極6は、板状の導電性基材であり、電解質18に含まれる絶縁体からなる粒子28を介して作用極5と重ね合わされている。また対極6は、集電部3と対となる引出電極6aを有しており、この引出電極6aは、発電部2の外側に延出している。
作用極5、対極6、及びその間に介在する絶縁体からなる粒子28を含む電解質18は収納袋14内に収納されており、該収納袋14内は電解質18で満たされている。
【0015】
絶縁体からなる粒子28は、作用極5と対極6との間に電解質18とともに介在して、該作用極5と該対極6とを電気的に絶縁するセパレータとして機能する。このとき、該絶縁体からなる粒子28は、電解質18に含まれた状態にある。電解質18に含まれる酸化還元対のうち、酸化型成分が対極6から電子を得て還元型成分となり、対極6から作用極5へ拡散移動して、その電子を作用極へ渡して酸化型成分となり、再び拡散移動によって対極6へ移動する。このようにして、該酸化還元対は対極6から作用極5へ電子を移動する役割を担う。
【0016】
多孔質平膜をセパレータ110として用いている従来の色素増感型光電変換素子100(図6)では、前記酸化還元対が対極6と作用極5との間を拡散移動する際に、該多孔質平膜を透過する必要があるが、その拡散移動の効率は必ずしも良くない。
一方、本発明では絶縁体からなる粒子28をセパレータとして用いているので、該酸化還元対は絶縁体からなる粒子28の脇をすり抜けるだけでよく、拡散移動の効率が優れて高いものとなり、本発明の色素増感型光電変換素子1の光電変換効率が向上する。
【0017】
作用極5を構成する複数の第1基材8の全ては、作用極5より延長されることで外方へ引き出され集電用配線4となり、外部において集電領域19を構成している。
集電領域19は、集電用配線4を構成する第1基材8と、導電性を有する複数の外周基材20とから構成されている。外周基材20は線状をなしており、集電用配線4と網目状に編まれてなる部位を構成する。
【0018】
集電領域19にはCu箔21が重ねられ、さらに集電領域19とCu箔21とは、2枚のTi箔22a、22bにより挟み込まれている。集電領域19とCu箔21とTi箔22a、22bとは、抵抗溶接法により圧着され、複数のスポット溶接部24において一体化されている。Cu箔21は、その一部が外部へ引き出されており、この部分より集電が可能となっている。
【0019】
以下、各構成要素について、詳細に説明する。
図1、図2で例示した第一実施例の色素増感型光電変換素子1A(1)では、第1基材8、第2基材9、および外周基材20は直径0.05mmの銅(Cu)線をチタン(Ti)で被覆した金属線(以下、Ti被覆Cu線という)である。
前記Ti被覆Cu線の製造方法としては、公知の方法で行うことができる。例えば、Tiを押出成型等によってパイプ状に形成すると共に、Cuを押出成型等によって線状に形成し、これらTiパイプとCu線を同時に走行させつつTi製パイプの内部にCu線を挿入し、これらを絞って、両者間を密着させて、Ti被覆Cu線を得ることができる。
このような線引き加工法により作製されたTi被覆Cu線は、スパッタ法やめっき加工法等によって製造されたものよりも被覆層の密着性に優れ、その製造コストを低く抑えることができる。
【0020】
作用極5は、所定本数の第1基材8および第2基材9が互いに網目状に編まれてなる構造を有している。第1基材8と第2基材9とは、重複部において互いが十分接触するように編まれ、矩形をなす網目状構造を有している。
前記網目状構造の単位面積あたりの隙間面積(開口率)としては特に制限されず、例えば0%以上20%以下でよい。ただし、前記作用極5と前記対極6との間に充分な間隙を形成するために、前記開口部の大きさは、前記絶縁体からなる粒子28が通過できない大きさであることが好ましい。
【0021】
第1基材8、第2基材9、および外周基材20はTi被覆Cu線に限ることはなく、タングステン(W)被覆Cu線など、電解液に対し腐食性を有する線材も使用可能である。Ti被覆アルミニウム(Al)線など、導電率の高い線材も使用可能である。
このような基材の太さ(直径)は、例えば、10μm〜10mmとするのが好ましい。
ただし、柔軟性を十分に発揮させるためには、基材の太さは細いほどよい。
【0022】
図1に示した発電部2において、周囲の4辺のうち側方に位置する辺をそれぞれ第1辺30、第2辺31とし、上下に位置する辺をそれぞれ第3辺32、第4辺33とすると、各第2基材9は、第3辺32から第4辺33まで延在しているとともに、複数の第2基材9が第1辺30から第2辺31まで、所定本数列設されている。
複数の第1基材8は、第3辺32から第4辺33まで所定本数列設されているとともに、第1辺30から集電部3まで延在している。つまり、作用極5を構成する基材のうち第1基材8の全ては、矩形をなす発電部2の一辺より発電部2から延長されるように、外部に引き出されている。
【0023】
延長された第1基材8は、所定位置で外周基材20と互いに交差するように網目状に編まれることで、網目状構造を形成する。外周基材20は、網目状構造の形成が可能となるように、3本以上からなることが好ましい。
第1基材8のうち、第2辺31と集電部3との間の部分は、集電用配線4となり、作用極5にて発生した電子は、この集電用配線4を介して集電部3に集められる。
【0024】
前記網目状に編まれてなる領域の製織方法としては、図1に例示した平織りに限定されず、綾織り、朱子織り等の一般的な布の製織方法と同様の方法を適用できる。その平織りは、織り機上で、第2基材9からなる複数の縦線が一本ずつ交互に上下に分けられ、その上下に分かれた複数の縦線の間に第1基材8からなる横糸が通され、筬で打ち込まれる工程が1サイクルとなる。次のサイクルでは、複数の縦線の上下を前回のサイクルと入れ換えて再び一本ずつ交互に上下に分けられて、その間に横線が通され、筬で打ち込まれる。
このようにして、第1基材8および第2基材9が網目状に編まれてなる網目状構造の領域からなる作用極5を得ることができる。
【0025】
第1基材8および第2基材9のうち、作用極5の網目状構造をなす部分には、その表面に多孔質酸化物半導体層13が配されており、その表面には少なくとも一部に増感色素が担持されている。第1基材8のうち、集電用配線4には多孔質酸化物半導体層13は配されなくてよい。
多孔質酸化物半導体層13を形成する半導体は、酸化チタン(TiO)が用いられている。この酸化チタンの膜厚は特に限定されず、例えば1μm〜50μmで行うことができる。
多孔質酸化物半導体層13を形成する半導体としては、酸化チタンに限ることはなく、一般に色素増感型太陽電池に用いられるものであれば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タングステン(WO)など様々な半導体電極が制限なく使用可能である。
【0026】
増感色素としては、例えば、N719、N3、ブラックダイなどのルテニウム錯体、ポルフィリン、フタロシアニン等の含金属錯体をはじめ、エオシン、ローダミン、メロシアニン等の有機色素などを適用することができ、これらの中から用途、使用半導体に適した励起挙動をとるものを適宜選択すれば良い。
【0027】
多孔質酸化物半導体層13内には、電解液が含浸されており、この電解液も前記電解質18の一部を構成している。この場合、多孔質酸化物半導体層13内の電解質18は、多孔質酸化物半導体層13内に電解液を含浸させてなるものか、または、多孔質酸化物半導体層13内に電解液を含浸させた後に、この電解液を適当なゲル化剤を用いてゲル化(擬固体化)して、多孔質酸化物半導体層13と一体に形成されてなるもの、あるいは、イオン液体をベースとしたもの、さらには、酸化物半導体粒子又は導電性粒子を含むゲル状の電解質などが用いられる。ただし、該酸化物半導体粒子又は該導電性粒子を用いた場合、前記作用極5と前記対極6との間を充分に絶縁するために、これらの粒子の最大外径は、前記絶縁体からなる粒子28の最大外径よりも小さいことが好ましい。
【0028】
電解質18に含まれる絶縁体からなる粒子28は、その一部が前記多孔質酸化物半導体層13内に入っていても良いが、通常は多孔質の孔の大きさが絶縁体からなる粒子28よりも小さいので入らない。絶縁体からなる粒子28が作用極5と対極6との間に間隙を形成して充分に絶縁するためには、絶縁体からなる粒子28は前記多孔質酸化物半導体層13内に入っていない方が好ましい。
【0029】
前記絶縁体からなる粒子28の形状は、最大外径が40μm以上120μm以下の球形状である。この形状であると、作用極5と対極6との間に介在する複数の絶縁体からなる粒子28によって形成される作用極5と対極6との間隙をほぼ均一とすることができる。一方、不定形の形状をもつ絶縁体からなる粒子を用いることもできるが、作用極5と対極6との間隙の距離を制御することが困難になり、絶縁性に劣る。
【0030】
ここで、本発明の特許請求の範囲及び明細書において、前記球形状とは、長径と短径の比が1.5以下である略球形を意味する。該長径と短径の比は、好ましくは1.2以下であり、最も好ましくは1.0である。該長径と短径の比が1.0のとき、該略球形は真球である。なお、該長径とは、該絶縁体からなる粒子の外径における最も長い径を意味し、該短径とは、該絶縁体からなる粒子の外径における最も短い径を意味する。該径とは、該絶縁体からなる粒子内の重心を通り、且つ該粒子の表面の2点を結ぶ直線の距離を意味する。
【0031】
このように、該絶縁体からなる粒子28が球形状であるため、前記作用極5及び前記対極6と該絶縁体からなる粒子28との密着する面積が小さく、前記作用極5及び前記対極6のそれぞれの実効面積を小さくせずに、それらを絶縁することができる。さらに、前記電解質18に分散させることが容易であり、該絶縁体からなる粒子28どうしの接触による破損が起こりにくく、取り扱いも容易となる。
【0032】
前記絶縁体からなる粒子28の最大外径は、40μm以上120μm以下であり、40μm以上80μm以下が好ましく、40μm以上60μm以下が最も好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、作用極5と対極6との間に介在する複数の絶縁体からなる粒子28によって形成される作用極5と対極6との間隙の距離を充分にとることができ、該作用極5と該対極6とを充分に絶縁することができる。
上記範囲の上限値以下であると、作用極5と対極6との間に介在する複数の絶縁体からなる粒子28によって形成される作用極5と対極6との間隙の距離が、前述の電子移動をより効率的に行うことができる距離となり、光電変換効率を向上させることができる。
一方、上記範囲の下限値以下であると、作用極5と対極6との距離が近くなり過ぎて、作用極5と対極6との絶縁性を保つことが困難になる。この場合、電解質18中に含まれる絶縁体からなる粒子28の割合を増やすことによって、作用極5と対極6とを絶縁することができることもある。しかしながら、該絶縁体からなる粒子28の最大外径が極端に小さい場合(例えば1μmよりも小さい場合)には、その電解質18中に含まれる割合を増やしたとしても、作用極5と対極6とを充分に絶縁することは極めて困難であり、そのような極端に小さい粒子を用いることは現実的でない。
【0033】
前記絶縁体からなる粒子28の材質としては、電解質18に対して耐食性を有する化学的に安定な絶縁物質であれば特に制限されず、例えば、ジルコニア、アルミナ、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、有機ガラス等が挙げられる。これらの中でも、粒状とすることが容易であることから、ソーダ石灰ガラスが好ましい。
前記絶縁体からなる粒子28がソーダ石灰ガラスを材料として用いた、最大外径が40μm以上120μm以下の球形状のガラス製粒子である場合、該絶縁体からなる粒子28は、電解質18中に1.5質量%以上5.5質量%以下の割合で含まれることが好ましく、電解質18中に2.0質量%以上5.0質量%以下の割合で含まれることがより好ましく、電解質18中に2.5質量%以上3.5質量%以下の割合で含まれることが好ましい。
また、前記絶縁体からなる粒子28がソーダ石灰ガラスを材料として用いた、最大外径が60μm以上120μm以下の球形状のガラス製粒子である場合、該絶縁体からなる粒子28は、電解質18中に0.8質量%以上5.5質量%以下の割合で含まれることが好ましく、電解質18中に0.9質量%以上5.0質量%以下の割合で含まれることがより好ましく、電解質18中に1.0質量%以上3.5質量%以下の割合で含まれることが好ましい。
上記割合の範囲の下限値以上であると、作用極5と対極6との間に介在する該絶縁体からなる粒子28が、該作用極5と該対極6との間隙を保って電気的に絶縁することをより確実に行うことができる。
上記割合の範囲の上限値以下であると、作用極5と対極6との間隙を保って電気的に絶縁しつつ、効率的な光電変換を行うことができる。
【0034】
上述した絶縁体からなる粒子28の製造方法は公知の方法を用いることができ、前記ソーダ石灰ガラスを材料としたものは市販品を用いることができる。
【0035】
上記電解液としては、ヨウ素、ヨウ化物イオン、ターシャリーブチルピリジンなどの電解質成分が、エチレンカーボネートやメトキシアセトニトリルなどの有機溶媒やイオン液体に溶解されてなるものが用いられる。
この電解液をゲル化する際に用いられるゲル化剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などが挙げられる。
また、揮発性電解質溶液に代えて、一般に色素増感型太陽電池に用いられるものであれば、溶媒がイオン液体であるものやゲル化したものだけではなく、p型無機半導体や有機ホール輸送層といった固体であっても制限なく使用可能である。
【0036】
上記イオン液体としては、特に限定されるものではないが、室温で液体であり、例えば、四級化された窒素原子を有する化合物をカチオンとした常温溶融塩が挙げられる。
常温溶融塩のカチオンとしては、四級化イミダゾリウム誘導体、四級化ピリジニウム誘導体、四級化アンモニウム誘導体などが挙げられる。
常温溶融塩のアニオンとしては、BF,PF,(HF)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド[N(CFSO]、ヨウ化物イオンなどが挙げられる。
イオン液体の具体例としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオンなどからなる塩類を挙げることができる。
【0037】
上記酸化物半導体粒子としては、物質の種類や粒子サイズなどは特に限定されるものではないが、イオン液体を主体とする電解液との混和性に優れ、この電解液をゲル化させるようなものが用いられる。ただし、該酸化物半導体粒子の最大外径は、前記絶縁体からなる粒子28の最大外径よりも小さいことが好ましい。また、酸化物半導体粒子は、電解質18の半導電性を低下させることがなく、電解質18に含まれる他の共存成分に対する化学的安定性に優れることが必要である。特に、電解質18がヨウ素/ヨウ化物イオンや、臭素/臭化物イオンなどの酸化還元対を含む場合であっても、酸化物半導体粒子は、酸化反応による劣化を生じないものが好ましい。
【0038】
このような酸化物半導体粒子としては、TiO、SnO、SiO、ZnO、Nb、In、ZrO、Al、WO、SrTiO、Ta、La、Y、Ho、Bi、CeOからなる群から選択される1種または2種以上の混合物が好ましく、その平均粒径は2nm〜1000nm程度が好ましい。
【0039】
上記導電性粒子としては、導電体や半導体など、導電性を有する粒子が用いられる。
また、導電性粒子の種類や粒子サイズなどは特に限定されるものではないが、イオン液体を主体とする電解液との混和性に優れ、この電解液をゲル化するようなものが用いられる。ただし、該導電性粒子の最大外径は、前記絶縁体からなる粒子28の最大外径よりも小さいことが好ましい。さらに、電解質18に含まれる他の共存成分に対する化学的安定性に優れることが必要である。
特に、電解質18がヨウ素/ヨウ化物イオンや、臭素/臭化物イオンなどの酸化還元対を含む場合であっても、酸化反応による劣化を生じないものが好ましい。
【0040】
このような導電性微粒子としては、カーボンを主体とする物質からなるものが挙げられ、具体例としては、カーボンナノチューブ、カーボンファイバ、カーボンブラックなどの粒子を例示できる。これらの物質の製造方法はいずれも公知であり、また、市販品を用いることもできる。
【0041】
対極6は、導電性を有する板状をなし、その表面が不導態となる厚み0.1mmのTi板が用いられている。また、対極6は、表面にPtからなる触媒膜(不図示)を有している。なお、集電のため、端部に引出電極6aが設けられている。
【0042】
作用極5、対極6、および絶縁体からなる粒子28を含む電解質18は、PET、またはPEN(ポリエチレンナフタレート)からなる収納袋14内に収納されている。該収納袋14に用いられる材料としては、PET、PENに限ることはなく、透光性を有し、電解液に耐えられる材料であれば、適宜変更可能である。
収納袋14内には、電解質18が封入されており、作用極5の集電用配線4および対極6の引出電極6aを外部に出すようにして、接着剤で封止されている。接着剤の材料としては、電解質に耐え、収納袋14およびTiと良好な接着力が得られるものが好ましい。
【0043】
次に、本発明の第一実施形態の色素増感型光電変換素子1A(1)の集電部3の構造及びその製造方法について、図3を用いて説明する。
前記集電部3は、発電部2と同様に網目状電極を有している。集電を実施するために、Cu箔21が用いられており、Cu箔21と網目状電極をなす集電領域19とが重ね合わされた上で、抵抗溶接法を用いて一体化されている。
【0044】
ただし、Cu箔21と網目状電極である集電領域19との間で直接、抵抗溶接法を用いて圧着を行うと、CuはTiと比較して融点が低いため、抵抗溶接時にTiより先に溶融してしまう。この場合、溶融したCuが抵抗溶接法で使用される抵抗溶接用電極25に溶着してしまうため、集電領域19とCuとは接合しない。また、網目状電極の集電領域19と抵抗溶接用電極25とを直接接触させて抵抗溶接を行うと、接触状態によって接合状態に差が生じるため、溶接が安定しない。
【0045】
そこで、本発明の第一実施形態においては、図3(a)に示すように、集電領域19とCu箔21とを重ね合わせた上に、さらにこの集電領域19とCu箔21とを一対のTi箔22a、22bで挟み込んだ状態で抵抗溶接を行った。図3(b)は、集電領域19とCu箔21と一対のTi箔22a、22bとを、一対の抵抗溶接用電極25で加圧した上で電流を流し、抵抗溶接を実施している様子を示す図である。
【0046】
その結果、図3(c)に示すように、抵抗溶接時に、内側の集電領域19とCu箔21が溶融することで溶融部23を形成し、Cu箔21と集電領域19とを十分に接合することができた。その一方で、抵抗溶接用電極25はTi箔22a、22bのみと接触するので、抵抗溶接用電極25にCuが溶着することはなかった。
溶接後は、接触抵抗の低いCu箔21の部分から集電するため、集電が容易となる。
【0047】
上述のように、スポット溶接を多点で行う方法のほかに、シーム溶接による方法やレーザー溶接による方法でも集電領域19とCu箔21、Ti箔22a及びTi箔22bとを溶接することができる。該集電領域19とCu箔21、Ti箔22a及びTi箔22bとはなるべく連続的に溶接されていることが好ましい。
【0048】
前記集電部3を保護するために、溶接された集電部3には樹脂を含浸させることが好ましい。該樹脂としては、電解液に対して化学的に安定であり、Ti箔22a及びTi箔22bに対して接着性の良いものであれば特に制限されず、例えばポリイミド、フッ素含有樹脂、PET樹脂等が挙げられる。また、該樹脂に代えて、低粘度の接着剤を前記集電部3に塗布してもよい。
【0049】
上述した第一実施形態の色素増感型光電変換素子1A(1)では、集電部3を構成する網目状の集電領域19とCu箔21とが抵抗溶接法を用いて圧着され、集電領域19とCu箔21とが溶融されることによって、集電領域19とCu箔21の間の接触抵抗が大幅に低減され、光電変換効率の向上が可能となる。
また、Cu箔21に電気機器などを接続導体を介して接続した場合、太陽光などの光線を入射させると、発電部2において発生した電子のうち、第1基材8に発生した電子の全てを取り出すことができるので、光電変換効率の向上が可能となる。
また、発電部2は、網目状構造の作用極5、板状の対極6、電解質18に含まれる絶縁体からなる粒子28、およびPETからなる収納袋14の組合せであるため、フレキシブル性に優れ、薄型化も可能となる。
また、第1基材8と第2基材9とからなる作用極5を互いに交差するように網目状に編む際、同時に集電領域19を網目状に編むことによって、より短時間で作用極5と集電領域19を形成することが可能となる。
【0050】
<第二実施形態>
図4、図5に示すように、本発明の第二実施形態の色素増感型光電変換素子1B(1)は、平面視矩形の発電部2、引出電極6a、及び引出電極35aから構成されており、発電部2において発生した電子が、発電部2の一辺より引き出された引出電極6aを介して集電される構成である。
発電部2は、平面視矩形の板状の作用極5及び対極6が、電解質18に含まれる絶縁体からなる粒子28を介して重ね合わされるように構成されている。
【0051】
前記作用極5は、透明導電性基板35と該透明導電性基板35の導電性を有する面に配され増感色素を担持した多孔質半導体層13とから構成されており、該多孔質酸化物半導体層13は、増感色素とともに電解質18をも含浸している。該多孔質酸化物半導体層13は、例えばスクリーン印刷法によって、該透明導電性基板35上に成膜することができる。また、該透明導電性基板35には引出電極35aが備えられ、発電部2の外側に延出されている。
【0052】
対極6は、板状の導電性基材であり、電解質18に含まれる絶縁体からなる粒子28を介して作用極5と重ね合わされている。また対極6は、前記引出電極35aと対となる引出電極6aを有しており、この引出電極6aは、発電部2の外側に延出している。
作用極5、対極6、及びその間に介在する絶縁体からなる粒子28を含む電解質18は収納袋14内に収納されており、該収納袋14内は電解質18で満たされている。
【0053】
前記透明導電性基板35は、透明基板の少なくとも一方の面に透明導電層が形成されたものである。
本実施形態に用いられる透明基板としては、光透過性の素材からなる板が用いられ、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなど、通常太陽電池の透明基板として用いられるものであればどのようなものも用いることができ、電解質への耐性などを考慮して適宜選択すればよいが、用途上、できるだけ光透過性の高い基板が好ましい。
【0054】
透明基板の少なくとも一方の面には金属、炭素、導電性金属酸化物層などからなる透明導電層が形成されている。金属層や炭素層を形成する場合には透明性を著しく損ねない構造とすることが好ましく、導電性と透明性を損なわない薄膜を形成できるものという観点から金属の種類も適宜選択される。
導電性金属酸化物としては、例えばITO、SnO2 、フッ素ドープのSnO2 などを用いることができる。
好ましい透明導電性基板として、例えば、フッ素ドープのSnO2 、ITOなどを蒸着した導電性ガラスを例示できる。
【0055】
前記増感色素、前記多孔質酸化物半導体層13、前記対極6、電解質18、絶縁体からなる粒子28、及び該収納袋14の説明は、前述の第一実施形態における説明と同様である。
【0056】
本発明の第二実施形態の色素増感型光電変換素子1B(1)においても、前述の第一実施形態の色素増感型光電変換素子1A(1)と同様に、絶縁体からなる粒子28が、作用極5と対極6との間に電解質18とともに介在して、該作用極5と該対極6とを電気的に絶縁するセパレータとして機能する。そして、多孔質平膜をセパレータとして用いている従来の色素増感型光電変換素子と比べて、優れた効率で光電変換を行うことができる。
【0057】
本発明に係る色素増感型光電変換素子1としては、フレキシブル性及び光電変換効率に優れることから、前述の第一実施形態が好ましい。
すなわち、本発明に係る色素増感型光電変換素子1としては、前記作用極5が、導電性を有するとともに線状をなす複数の第1基材8および第2基材9が網目状に編まれてなる領域から構成されてなるものが好ましい。
【0058】
(実施例)
図1に示す構造の色素増感型光電変換素子を作製した。
まず、直径0.05mmまで伸線したTi被覆Cu線を、図1のように織機により密な平織り構造の網目状電極に製織した。縦横のTi被覆Cu線が織り重ねられる矩形の網目状構造からなる領域のサイズは10cm×10cmとし、Ti被覆Cu線の本数は縦横それぞれ1500〜2000本とした。
集電部を構成するTi被覆Cu線の本数は1500〜2000本とし、集電部の幅は1cmとした。
【0059】
<作用極の作製>
この発電部にTiOペースト(日揮触媒化成株式会社製;PNT−21NR)をスキージ法により塗布し、電気炉にて500℃、1時間で焼結した。前記網目状電極には、膜厚が約15μmの多孔質TiO膜が形成された。
なお、作用極を構成する発電部(10cm×10cm)以外の部分は、テープなどによりマスキングを行うことによって、TiOがペーストが塗布されないようにした。
【0060】
つぎに、集電部の長手方向の長さより所定寸法長く形成されたCu箔を集電部に重ね合わせ、さらにこれらをTi箔で挟んだ上で、所定のスポット溶接機を使用して抵抗溶接法を用いて圧着を行った。スポット溶接の間隔は、集電部の長手方向に沿って約2mm間隔とした。その後、該集電部をポリイミド樹脂に浸漬させて被覆した。なお、浸漬時には真空によって脱泡した。
【0061】
つづいて、発電部を120℃のオーブン中に10分保持して、吸着していた水分を蒸発させた後、ルテニウム色素{Solaronix社製;RutheAlum535−bisTBA(一般にはN719と呼ばれる)}の0.3mM、アセトニトリル/tert−ブタノール=1:1溶液に浸漬し、室温で24時間放置してTiO表面に色素を担持した。色素溶液から引き上げた後、上記混合溶媒で洗浄し、これを作用極とした。
【0062】
<対極の作製>
一方、三元RFスパッタ装置を用いて、厚さ約0.1mmの矩形Ti板(10cm×10cm)上に、厚さ約200nmのPt層を形成したものを対極とした。また、その端部には引出電極を設けた。
【0063】
<電解質の作製>
メトキシプロピオニトリル(MPN)10mL中に、I2を0.3777g(0.15M)、DMPImIを2.128g(0.8M)、GuSCNを0.1182g(0.1M)、NMBIを0.6609g(0.5M)溶解して、電解液とした。
【0064】
表1に示す直径を有する球状のソーダ石灰ガラス製粒子を、前記電解液に対して表1に示す割合で混入して、それぞれを電解質1〜17とした。
【0065】
<セルの作製>
PETからなる収納袋内に、前記作用極と前記対極とを対向させて挿入し、前記電解質1〜17を注入した後、接着剤によって封止して、実施例1〜8、比較例1〜9の色素増感型光電変換素子(セル)とした。
一方、比較例10の色素増感型光電変換素子(セル)は、次のように作製した。
前記作用極と前記対極とを対向させて、さらにその間に厚さ20μmのポリオレフィンからなる多孔質平膜を挟んで介して重ね合わせ、PETからなる収納袋に挿入し、前記電解液を注入した後、接着剤によって封止した。
【0066】
<光電変換効率の評価>
以上のようにして作製された実施例1〜8、比較例1〜9の各色素増感型光電変換素子に対して、ソーラーシミュレータ(AM1.5、100mW/cm)を用いて光を照射し、電流電位曲線を測定し、その光電変換効率を求めた。その結果を表1に併記した。
また、同様の条件で、比較例10の色素増感型光電変換素子の光電変換効率を求めたところ、3.2%であった。なお、作用極と対極とを絶縁できなかった比較例1〜6については、光電変換素子として機能しなかったため、その光電変換効率は測定されなかった。
【0067】
【表1】

【0068】
以上の結果から、本発明に係る実施例1〜8の色素増感型光電変換素子は、比較例1〜10の色素増感型光電変換素子に比べて、いずれも同等以上の優れた光電変換効率を有することが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、色素増感型光電変換素子に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…色素増感型光電変換素子、2…発電部、3…集電部、4…集電用配線、5…作用極、6…対極、8…第1基材、9…第2基材、13…多孔質酸化物半導体層、14…収納袋、18…電解質、19…集電領域、20…外周基材、21…Cu箔、22…Ti箔、23…溶融部、24…スポット溶接部、25…抵抗溶接用電極、28…絶縁体からなる粒子、30…第一辺、31…第二辺、32…第三辺、33…第四辺、35…透明導電性基板、100…従来の色素増感型変換素子、102…発電部、103…集電部、104…集電用配線、105…作用極、106…対極、108…第1基材、109…第2基材、110…セパレーター、113…多孔質酸化物半導体層、114…収納袋、118…電解質、120…外周基材、121…Cu箔、122…Ti箔、123…溶融部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する作用極と対極とが、電解質を介して配されてなる色素増感型光電変換素子であって、
前記作用極と前記対極とは、前記電解質に含まれる絶縁体からなる粒子により絶縁されており、該絶縁体からなる粒子は、最大外径が40μm以上120μm以下の球形状であることを特徴とする色素増感型光電変換素子。
【請求項2】
前記作用極は、導電性を有するとともに線状をなす複数の第1基材および第2基材が網目状に編まれてなる領域から構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型光電変換素子。
【請求項3】
前記絶縁体からなる粒子は、球形状のガラス製粒子であり、
前記電解質中に1.0質量%以上5.0質量%以下の割合で含まれる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の色素増感型光電変換素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−70876(P2011−70876A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220071(P2009−220071)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】