説明

芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルム。

【課題】ポリマー構造中に塩素原子を含有せず、さらに、重合工程において無機塩を添加せずともポリマーが非プロトン性極性溶媒に可溶である芳香族ポリアミドおよびその芳香族ポリアミドを含む芳香族ポリアミドフィルムを得ること。
【解決手段】ポリマー構造中に特定の屈曲性構造を有する酸クロライド成分を少なくとも1mol%以上含む芳香族ポリアミドフィルムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリアミドはその高い耐熱性、機械強度から工業材料として有用なポリマーである。特に、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下PPTAと記すことがある)に代表されるようなパラ配向性芳香核からなる芳香族ポリアミドはその剛直性から上記特性に加え強度、弾性率に優れた成形体を与えるのでその利用価値は高い。しかしながらPPTAのごときパラ配向性芳香族ポリアミドは溶媒に対する溶解性が低く、硫酸等極めて限定された溶媒にしか溶解しないためにプロセス上の制約が大きく、また、その溶液も光学異方性を与えるため繊維を得る場合には大きな問題はないがフィルムなど2次元以上の成形体とするには、特許文献1に記載された特殊な成形法による必要があり、その改善が求められている。
【0003】
そこで、溶解性を改善する手段として、芳香核に塩素原子を導入した芳香族ポリアミドが特許文献2に提案されているが、塩素の導入は、環境への負荷が増大するという懸念がある。
【0004】
一方で、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニルを原料として得た無色透明な芳香族ポリアミドが特許文献3に開示されている。しかし、当該文献に開示の芳香族ポリアミドは溶解性を向上する目的で塩素原子や、屈曲成分の導入、無機塩の添加が必要であった。
【0005】
さらに、特許文献4には2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニルと4,4’−ビフェニルジカルボン酸クロライドを原料にして得た芳香族ポリアミドの開示がある。当該文献に開示の芳香族ポリアミドは極めて優れた物性を有するが、溶解助剤として無機塩を添加する必要があるため、原料代や重合工程の増加により高コストとなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−39634号公報
【特許文献2】特開昭54−106564号公報
【特許文献3】再公表特許WO2004/039863号公報
【特許文献4】特開2009−79210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来技術における問題点の課題を解決するため検討した結果達成されたものである。すなわち、本発明の目的はポリマー構造中に塩素原子を含有せず、さらに、重合工程において無機塩を添加せずともポリマーが非プロトン性極性溶媒に可溶である芳香族ポリアミドを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、化学式(1)で示される構造単位を少なくとも1mol%以上含む芳香族ポリアミドフィルムであることを特徴とするものである。
【0009】
【化1】

【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特定の屈曲性構造をポリマー構造に導入することで、ポリマーを溶解させる為に重合時に添加する無機塩が不必要となり、コストダウンが可能となる。さらに、フィルムに成形した場合も高剛性かつ高耐熱性の芳香族ポリアミドフィルムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の芳香族ポリアミドは化学式(1)で示される構造単位を少なくとも1mol%以上含む芳香族ポリアミドである。
【0012】
【化2】

【0013】
ポリアミドはアミド基の水素結合により、分子間凝集力が強くなりポリマー同士がパッキングするため一般に溶解性が低い。一方で、屈曲成分の構成単位を多く含むと溶解性は向上するものの、フィルムに成形した場合に、ヤング率の低下や熱膨張係数が増大する問題があった。そこで鋭意検討した結果、フィルムを構成するポリマーの構成単位に化学式(1)で示される3,3’−ビフェニルジカルボン酸残基を含む場合、ポリマー溶液に無機塩を添加せずともポリマーが非プロトン性極性溶媒に可溶となり、フィルムに成形した場合に高ヤング率で低熱膨張係数となることを見出した。これは、3,3’−ビフェニルジカルボン酸残基を導入することで、ポリマー構造がわずかに屈曲性構造をとり、ポリマー鎖同士の距離が近づくことをさまたげ、分子間のパッキングを阻害し、水素結合による擬似的な架橋も阻害できるので溶解性が向上するものと考えられる。また、ポリマー構造に3,3’−ビフェニルジカルボン酸残基を含む場合、任意のアミド基と隣接するアミド基の分子長に差が生じて、アミド基の水素結合を阻害でき、より溶解性向上に寄与すると考えられる。屈曲構造を多く含むと溶解性は向上するものの、フィルムに成形した場合にヤング率の低下や熱膨張係数が増加するといった問題があるが、3,3’−ビフェニルジカルボン酸残基は、イソフタル酸残基のような屈曲性の酸クロライド成分よりも屈曲性が小さい。このため、ポリマー鎖が柔軟になりすぎることを防ぐ効果がある。その為、3,3’−ビフェニルジカルボン酸残基をポリマー構造に含む芳香族ポリアミドのポリマー溶液を用いてフィルムを成形した場合、高ヤング率で、熱膨張係数が低いフィルムを得ることができる。また、特開2009−79210号公報に開示されているような、カルボン酸残基がパラ位にある4,4’−ビフェニルジカルボン酸残基をポリマー構造に含む場合は、ポリマー構造が剛直な構造となり溶解性が低く重合時に無機塩を添加して溶解性を向上させる必要があった。当該文献に開示されているポリマー構造のうち、ジアミン成分である4,4’−ジアミノジフェニルスルホンのモル比率を多くすることで、ポリマー構造がより屈曲するため溶解性が向上することはあるが、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンのモル比の増加がわずかではポリマーの屈曲性が足りずに溶解性が不足し、重合工程中にポリマーが析出する問題がある。一方、より溶解性を付与するために4,4’−ジアミノジフェニルスルホンのモル比率を増加させると、ポリマー構造の屈曲性が大きくなり熱膨張係数が増大するという問題が発生する。
【0014】
本発明の芳香族ポリアミドは化学式(1)、(2)、(3)および(4)で示される構造単位を含むことが好ましい。
【0015】
【化3】

【0016】
【化4】

【0017】
【化5】

【0018】
【化6】

【0019】
化学式(2)で示される2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル残基をポリマー構造単位に含む場合、ポリマー構造が剛直になるのでフィルムとしたときに、ヤング率を高く、また熱膨張係数を低く抑えることに寄与し、さらに2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル残基のトリフルオロメチル基(−CF基)が持つ電子吸引性により電子雲の広がりを分断できることから、400nmの波長の光の光線透過率を向上させることに寄与するため好ましい。
【0020】
化学式(3)で示される4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基をポリマー構造に含む場合、フィルム化したときに熱膨張係数を著しく増加させることなく、ポリマー構造に屈曲性を付与でき溶解性を向上させることができるため好ましい。
【0021】
化学式(4)で示されるテレフタル酸クロライド残基をポリマー構造に含む場合、ポリマー構造が剛直になりフィルム化したときにヤング率を高く、また熱膨張係数を低く抑えることに寄与するため好ましい。
【0022】
上記において、化学式(1)、(2)、(3)および(4)で示される構成単位のモル分率をそれぞれa、b、c、dとしたとき、下記式(1)〜(6)を満たすことで、芳香族ポリアミドの有する高剛性と高耐熱性を両立でき、さらに無色透明の芳香族ポリアミドが得られるため好ましい。
【0023】
5≦a≦25 ・・・(1)
25≦b≦50 ・・・(2)
25≦d≦45 ・・・(3)
0.9≦(a+d)/(b+c)≦1.1 ・・・(4)
98≦a+b+c+d≦100 ・・・(5)
b+c=50 ・・・(6)
より好ましくはa、b、c、dが下記式(7)〜(12)を満足することである。
【0024】
5≦a≦20 ・・・(7)
30≦b≦50 ・・・(8)
30≦d≦45 ・・・(9)
0.9≦(b+d)/(a+c)≦1.1 ・・・(10)
98≦a+b+c+d≦100 ・・・(11)
b+c=50 ・・・(12)
式(1)および(7)は化学式(1)で表される3,3’−ビフェニルジカルボン酸残基の構成単位の導入量を示し、aは1以上であればよいが5より小さい場合は、剛直成分が多くなり溶解性が低下しポリマー溶液がゲル化し、溶解性が保てない場合がある。また、aが25より大きい場合は、ポリマー構造の屈曲成分が多くなり、得られたポリマー溶液を製膜した場合に、熱膨張係数が増加する場合がある。aは5以上25以下が好ましいが、より好ましくは6以上23以下であり、最も好ましくは8以上20以下である。ここで、溶解性を保つとは重合し得られたポリマー溶液を、25℃で2週間放置後も流動性を保つことをいう。なお、「流動性を保つ」とは、25℃において100mlのビーカーにポリマー溶液を100ml入れて90°傾けたとき、1時間以内に50ml以上が流れ出る状態をいう。
【0025】
式(2)および(8)は化学式(2)で表される2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル残基の構成単位の導入量を示し、bが25より小さい場合は、ポリマー構造の剛直性が失われて、得られたポリマー溶液を製膜した場合に、ヤング率の低下や熱膨張係数の増加を招くだけでなく、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル残基のトリフルオロメチル基(−CF基)が持つ電子吸引性による電子雲の広がりを分断する効果が薄れるため、400nmの波長の光の光線透過率が低くなる場合がある。また、bが50より大きい場合はポリマー構造が剛直となり、水素結合が生じやすくなるため溶解性を低下させポリマー溶液がゲル化し溶解性を保てない場合がある。また、bの下限は25であり、より好ましくは30であるが、bの範囲が30以上である場合は、得られたポリマー溶液を製膜した場合に、より高ヤング率で、低熱膨張係数かつ400nmの波長の光の光線透過率が高い芳香族ポリアミドフィルムが得られるため好ましい。bは25以上50以下が好ましいが、より好ましくは30以上45以下であり、最も好ましくは35以上45以下である。
【0026】
式(3)および(9)は化学式(3)で表されるテレフタル酸クロライド残基の構成単位の導入量を示し、dが25より小さい場合は、ポリマー構造の剛直性が失われるため、得られたポリマーを製膜した場合にフィルムのヤング率の低下や熱膨張係数の増大の恐れがある。また、dが45より大きい場合はポリマー構造が剛直となり、水素結合が生じやすくなるため溶解性を低下させポリマー溶液がゲル化し溶解性を保てない場合がある。また、dの下限は25であり、より好ましくは30であるが、dの範囲が30以上である場合は、得られたポリマー溶液を製膜した場合に、より高ヤング率で、低熱膨張係数の芳香族ポリアミドフィルムが得られるため好ましい。dは25以上45以下が好ましいが、より好ましくは30以上45以下であり、最も好ましくは35以上45以下である。
【0027】
式(4)および(10)で表されるジカルボン酸残基とジアミン残基の比率が0.9より小さい場合はジアミン残基が過剰となり重合度が上がらずに、分子量が小さくなり製膜したフィルムが脆くなることがある。また、ジカルボン酸残基とジアミン残基の比率が1.1よりも大きい場合はジカルボン酸残基が過剰となり重合度が十分に上がらずに、分子量が小さくなり製膜したフィルムが脆くなることがある。ジカルボン酸残基とジアミン残基の比率は0.9以上1.1が好ましいが、より好ましくは0.95以上1.05以下であり、最も好ましくは0.97以上1.03以下である。
【0028】
式(5)および(11)で示される、ジアミン残基とジカルボン酸残基のモル分率の総数が98より小さいと、ジアミン残基が過剰となり重合度が上がらずに、分子量が小さくなり製膜したフィルムが脆くなることがある。ジアミン残基とジカルボン酸残基のモル分率の総数は98以上100以下であることが好ましいが、より好ましくは99以上100以下であり、最も好ましくは99.5以上100以下である。
【0029】
本発明の芳香族ポリアミドは、固有粘度を1.5dl/g以上とすることで高伸度のフィルムが得られるため好ましい。固有粘度が1.5dl/gよりも小さくなると溶解性は向上するが、得られるフィルムが脆くなる傾向がある。固有粘度はより好ましくは2.5dl/g以上、さらに好ましくは3.5dl/g以上である。固有粘度の上限はないが、大きくし過ぎると乾湿式のフィルム製膜工程で白濁したり、重合工程でゲル化したりする問題がある。そのため、固有粘度は10dl/g以下が好ましく、より好ましくは8dl/g以下、さらに好ましくは7dl/g以下である。固有粘度を1.5dl/g以上とするには、例えば芳香族ポリアミドの構成単位を上記した特定のモル分率にする、重合時に副反応が起こらないように低温で撹拌を十分に行なう等の方法により実現可能である。
【0030】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムのヤング率は、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも1方向について5GPa以上であることが好ましい。より好ましくは6GPa以上であり、さらに好ましくは8GPa以上である。ヤング率が5GPaより小さい場合はハンドリング性が低下しやすい。また、フィルム製膜時に延伸を施すことによりヤング率をより向上させることが可能であるが、延伸を強くし過ぎると伸度が低下するためヤング率の上限としては20GPa程度が適当である。
【0031】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも1方向の100℃〜200℃の平均熱膨張係数は−15ppm/℃以上15ppm/℃以下であることが好ましい。より好ましくは−12ppm/℃以上15ppm/℃以下であり、さらに好ましくは−12ppm/℃以上13ppm/℃以下である。100℃〜200℃の平均熱膨張係数が−15ppm/℃以上15ppm/℃以下の範囲から外れると、ガラスやITOなどの熱膨張係数が小さいものと積層した場合にカールが多くなることがある。
【0032】
また、フィルム面内の平均熱膨張係数について、1方向およびこれと直行する方向の平均熱膨張係数の差が5ppm/℃以下であることが好ましい。より好ましくは3ppm/℃以下であり、さらに好ましくは1ppm/℃以下である。フィルム面内の2方向の平均熱膨張係数差を小さくする方法としては、例えば、フィルム製膜中に延伸を施すなどの方法が挙げられる。具体的には、フィルムの製膜方向(長手方向、MD方向)と、その直行方向(幅方向、TD方向)に延伸することによりフィルム面内の2方向の平均熱膨張係数差を小さくすることができる。
【0033】
本発明の芳香族ポリアミドの400nmの波長の光の光線透過率は70%以上が好ましい。より好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上である。近紫外領域である400nmの光線透過率が70%以上であることで、さらに良好な透明度となる。
【0034】
本発明の芳香族ポリアミドのヘイズは2.0%以下であることが好ましい。より好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1.0%以下である。
【0035】
本発明の芳香族ポリアミドは、化学式(1)、(2)、(3)および(4)で示される構造単位を含み、かつ化学式(1)、(2)、(3)および(4)で示される構成単位のモル分率をそれぞれa、b、c、dとしたとき、下記式(1)〜(6)を満たすことにより、高い光線透過率と低いヘイズを両立せしめることができる。
【0036】
【化7】

【0037】
【化8】

【0038】
【化9】

【0039】
【化10】

【0040】
5≦a≦25 ・・・(1)
25≦b≦50 ・・・(2)
25≦d≦45 ・・・(3)
0.9≦(a+d)/(b+c)≦1.1 ・・・(4)
98≦a+b+c+d≦100 ・・・(5)
b+c=50 ・・・(6)
以下に本発明の芳香族ポリアミド組成物の製造方法やフィルムを製造する例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
芳香族ポリアミドを得る方法は種々の方法が利用可能であり、例えば、低温溶液重合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法などを用いることができる。低温溶液重合法つまり酸ジクロライドとジアミンから得る場合には、非プロトン性有機極性溶媒中で合成される。ポリマー溶液は、単量体として酸ジクロライドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
【0042】
2種類以上のジアミンを用いて重合を行う場合、ジアミンは1種類ずつ添加し、該ジアミンに対し10〜99モル%の酸ジクロライドを添加して反応させ、この後に他のジアミンを添加して、さらに酸ジクロライドを添加して反応させる段階的な反応方法、およびすべてのジアミンを混合して添加し、この後に酸ジクロライドを添加して反応させる方法などが利用可能である。また、2種類以上の酸ジクロライドを利用する場合も同様に段階的な方法、同時に添加する方法などが利用できる。いずれの場合においても全ジアミンと全酸ジクロライドのモル比は95〜105:105〜95が好ましく、この値を外れた場合、成形に適したポリマー溶液を得ることが困難となる。
【0043】
本発明の芳香族ポリアミドの製造において、使用する非プロトン性極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましい。更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の使用も可能である。
【0044】
本発明の芳香族ポリアミドには、表面形成、加工性改善などを目的として10質量%以下の無機質または有機質の添加物を含有させてもよい。表面形成を目的とした添加剤としては例えば、無機粒子ではSiO、TiO、Al、CaSO、BaSO、CaCO、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、好ましい有機粒子としては、例えば、架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上記有機高分子で被覆等の処理を施した無機粒子が挙げられる。
【0045】
また、着色防止や非常に高い分子量の重合物の生成を抑制させる目的で種々の末端封止剤を用いることができる。例えば、塩化ベンゾイル、置換塩化ベンゾイルや無水酢酸が好ましく塩化ベンゾイルや置換塩化ベンゾイルがより好ましい。置換塩化ベンゾイルの置換基としてはフッ素、トリフルオロメチルなどのフッ素化合物や、t−ブチル、アダマンタンなどのバルキーな炭化水素基が好ましい。末端封止剤の添加量はジカルボン酸残基とジアミン残基の総モル分率を100mol%としたときに、1.0mol%以下であることが好ましい。1.0mol%を超えると固有粘度が十分に大きくならず、得られるフィルムが脆くなることがある。
【0046】
次にフィルム化について説明する。
【0047】
本発明の芳香族ポリアミドは有機溶媒に可溶であるため、PPTAのように濃硫酸を用いた特殊な製膜方法は必ずしも必要としない。上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化を行うとよい。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがありいずれの方法で製膜されても差し支えないが、本発明の芳香族ポリアミドは溶解性に優れるため、製膜工程の制御が容易な乾湿式法での製膜が可能である。ここでは乾湿式法を例にとって説明する。
【0048】
乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金からドラム、エンドレスベルト、フィルム等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層が自己保持性をもつまで乾燥する。乾燥条件は例えば、室温〜220℃、60分以内の範囲で行うことができる。仮に溶解度の不十分なポリマー用液を用いると、この工程で白濁してしまう。またこの乾燥工程で用いられるドラム、エンドレスベルト、フィルムの表面をなるべく平滑にすることで表面の平滑なフィルムが得られる。乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれ、さらに延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルムとなる。
【0049】
延伸は延伸倍率として面倍率で0.8〜8(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意味する。)の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.1〜8である。また、熱処理としては200℃〜500℃、好ましくは250℃〜400℃の温度で数秒から数分間の熱処理が好ましく実施される。さらに、延伸あるいは熱処理後のフィルムを徐冷することは有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却することが有効である。
【0050】
芳香族ポリアミドの構造は、その原料であるジアミンとカルボン酸ジクロライドによって決定される。原料が不明である場合は芳香族ポリアミド組成物から構造分析を行うが、この手法としては、質量分析、核磁気共鳴法による分析、分光分析などを用いることができる。
【0051】
本発明の芳香族ポリアミドから得られるフィルム(芳香族ポリアミドフィルム)は単層フィルムでも、積層フィルムであってもよい。また、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フレキシブルプリント基板、光電複合回路基板、光導波路基板、半導体実装用基板、多層積層回路基板、コンデンサー、プリンターリボン、音響振動板、太陽電池、磁気記録媒体のベースフィルム等種々の用途に好ましく用いられる。
【実施例】
【0052】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0053】
本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
【0054】
(1)固有粘度
ウベローデ型粘度計を用い、臭化リチウム2.5質量%を含有するN−メチル−2−ピロリドン(NMP)100ml中にサンプル0.5gを溶解し、温度30℃にて下記式より計算した。
【0055】
固有粘度=ln(t/t0)/0.5 (dl/g)
t0:臭化リチウム5質量%含有のNMPの流下時間(秒)
t:サンプルを溶解した溶液の流下時間(秒)
(2)ヤング率
ロボットテンシロンRTA(オリエンテック社製)を用いて、温度23℃、相対湿度65%において測定した。試験片は製膜方向またはバーコーターの移動方向をMD方向、これと直交する方向をTD方向として、TD方向について幅10mmで長さ50mmの試料とした。引張速度は300mm/分である。但し、試験を開始してから荷重が1Nを通過した点を伸びの原点とした。
【0056】
(3)平均熱膨張係数
平均熱膨張係数はJIS K7197−1991に準拠して250℃まで昇温した後の降温過程に於いて測定した。25℃、75RH%における初期試料長をL0、温度T1の時の試料長をL1、温度T2の時の試料長をL2とするとT1からT2の平均熱膨張係数を以下の式で求めた。
【0057】
なお、T2=100(℃)、T1=200(℃)、L0=15mmである。
【0058】
熱膨張係数(ppm/℃)=(((L2−L1)/L0)/(T2−T1))×10
昇温、降温速度:5℃/min
試料幅:4mm
荷重:フィルム厚み10μmの時44.5mN
なお、フィルム厚みに比例して荷重は変更する。
【0059】
加重=44.5(mN)×d(μm)/10(μm)
d(μm):フィルム厚み
(4)光線透過率
下記装置を用いて測定し、400nmの波長の光に対応する透過率を求めた。
【0060】
透過率(%)=(T1/T0)×100
ただしT1は試料を通過した光の強度、T0は試料を通過しない以外は同一の距離の空気中を通過した光の強度である。
【0061】
装置:UV測定器U−3410(日立計測社製)
波長範囲:300nm〜800nm(うち、400nmの値を利用)
測定速度:120nm/分
測定モード:透過
(5)ヘイズ
ヘイズメーターNDH5000(日本電色工業(株)製)を用いて、JIS−K7136(2000)に準じて、23℃でのフィルムのヘイズ(%)を3箇所測定し、その平均値を求めた。
【0062】
(6)溶解性
重合し得られたポリマー溶液を、25℃で2週間放置後も流動性を保つものを溶解性「○」と評価した。
【0063】
なお、「流動性を保つ」とは、25℃において100mlのビーカーにポリマー溶液を100ml入れて90°傾けたとき、1時間以内に50ml以上が流れ出る状態をいう。
【0064】
(7)塩素含有の有無
分子構造が分かっている場合は分子構造から有無を判断する。この場合、芳香族ジカルボン酸クロライドの酸クロライド部位の塩素は反応時に分子構造から除去され、残らないとする。また、原料組成が分からない場合はJIS K7229−1995に準拠して測定し、塩素含有率が1mol%未満の場合は「塩素を含まない」と判断する。
(実施例1)
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化株式会社製)6.63g、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化株式会社製)0.57g、N−メチル−2−ピロリドン191mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)3.70gと、3,3’−ビフェニルジカルボニルクロライド(東レファインケミカル社製)1.27gの混合物を5回に分けて添加した。1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和してポリマー溶液を得た。また、このポリマー溶液は2週間放置後も流動性を保っていた。
【0065】
得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃で1分間の熱処理を行い芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたポリマー、フィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0066】
(実施例2)
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化株式会社製)6.41g、N−メチル−2−ピロリドン209mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけて3,3’−ビフェニルジカルボニルクロライド(東レ・ファインケミカル社製)1.11gを5回に分けて添加した。30分撹拌後、撹拌しながら30分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)3.22gを5回に分けて添加した。さらに1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和してポリマー溶液を得た。また、このポリマー溶液は2週間放置後も流動性を保っていた。SUS板上にPETフィルム(東レ株式会社製 T60(100μm))を貼り付けた支持体上に得られたポリマー溶液の一部を取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを80℃で20分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをPETフィルム上から剥がして金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃で1分間の熱処理を行い芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたポリマー、フィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0067】
(実施例3)
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化株式会社製)3.27g、N−メチル−2−ピロリドン91mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)1.04gと、3,3’−ビフェニルジカルボニルクロライド(東レファインケミカル社製)1.42gの混合物を5回に分けて添加した。1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和してポリマー溶液を得た。また、このポリマー溶液は2週間放置後も流動性を保っていた。
【0068】
得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃で1分間の熱処理を行い芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたポリマー、フィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0069】
(実施例4)
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化株式会社製)2.61g、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化株式会社製)0.51g、N−メチル−2−ピロリドン82mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけて3,3’−ビフェニルジカルボニルクロライド(東レファインケミカル社製)1.27gを5回に分けて添加した。30分撹拌後、撹拌しながら30分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)3.70gを5回に分けて添加した。1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和したところ、ポリマーが析出したため製膜できなかった。得られたポリマーの物性を測定し、表1に示した。
【0070】
(比較例1)
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化株式会社製)8.85g、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化株式会社製)0.76g、N−メチル−2−ピロリドン177mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)4.94gと、4,4’−ビフェニルジカルボニルクロライド(東京化成社製)1.70gの混合物を5回に分けて添加した。15分間撹拌後ポリマー溶液がゲル状に固化したため製膜できなかった。ポリマーの物性を測定し、測定し表1に示した。フィルムが得られなかったためフィルム物性は測定できなかった。
【0071】
(比較例2)
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化株式会社製)9.83g、N−メチル−2−ピロリドン180mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけて4,4’−ビフェニルジカルボニルクロライド(東京化成社製)1.70gを5回に分けて添加した。30分撹拌後、撹拌しながら30分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)4.94gを5回に分けて添加した。15分間撹拌後ポリマー溶液がゲル状に固化したため製膜できなかった。ポリマーの物性を測定し、測定し表1に示した。フィルムが得られなかったためフィルム物性は測定できなかった。
【0072】
(比較例3)
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に臭化リチウム2.88gを入れ、窒素気流下でマントルヒーターを用いて加熱して乾燥した。30℃まで冷却後2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化株式会社製)8.85g、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化株式会社製)0.76g、N−メチル−2−ピロリドン174mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)4.94g、4,4’−ビフェニルジカルボニルクロライド(東京化成社製)1.70gの混合物を5回に分けて添加した。さらに1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和してポリマー溶液を得た。このポリマー溶液は2週間放置後も流動性を保っていた。得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃1分で熱処理を行い芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたポリマー、フィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0073】
(比較例4)
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化株式会社製)3.73g、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化株式会社製)2.89g、N−メチル−2−ピロリドン141mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)3.78g、4,4’−ビフェニルジカルボニルクロライド(東京化成社製)1.30gの混合物を5回に分けて添加した。さらに1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和してポリマー溶液を得た。このポリマー溶液は2週間放置後も流動性を保っていた。得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃1分で熱処理を行い芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたポリマー、フィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0074】
(比較例5)
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化株式会社製)7.86g、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化株式会社製)1.53g、N−メチル−2−ピロリドン154mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけて4,4’−ビフェニルジカルボニルクロライド(東京化成社製)4.94gを5回に分けて添加した。30分撹拌後、撹拌しながら30分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)1.70gを5回に分けて添加した。さらに15分間撹拌後ポリマー溶液がゲル状に固化したため製膜できなかった。ポリマーの物性を測定し、測定し表1に示した。フィルムが得られなかったためフィルム物性は測定できなかった。
【0075】
(比較例6)
撹拌機を備えた300ml3つ口フラスコ中に、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化株式会社製)6.41g、N−メチル−2−ピロリドン56mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、撹拌しながら30分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)2.84g、イソフタル酸ジクロライド(東京化成社製)1.22gの混合物を5回に分けて添加した。さらに1時間撹拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和してポリマー溶液を得た。このポリマー溶液は2週間放置後も流動性を保っていた。得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃1分で熱処理を行い芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたポリマー、フィルムの物性を測定し、表1に示した。
【0076】
【表1】

【0077】
【化11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(1)で示される構造単位を少なくとも1mol%以上含む芳香族ポリアミド。
【化1】

【請求項2】
化学式(1)、(2)、(3)および(4)で示される構造単位を含み、かつ化学式(1)、(2)、(3)および(4)で示される構成単位のモル分率をそれぞれa、b、c、dとしたとき、下記式(1)〜(6)を満たす請求項1に記載の芳香族ポリアミド。
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

5≦a≦25 ・・・(1)
25≦b≦50 ・・・(2)
25≦d≦45 ・・・(3)
・ 9≦(a+d)/(b+c)≦1.1 ・・・(4)
98≦a+b+c+d≦100 ・・・(5)
b+c=50 ・・・(6)
【請求項3】
固有粘度が1.5dl/g以上である、請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリアミドを含む芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項5】
少なくとも1方向のヤング率が5GPa以上である、請求項4に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項6】
少なくとも1方向の100℃〜200℃の平均熱膨張係数が−15ppm/℃以上15ppm/℃未満である、請求項4または5に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項7】
400nmの波長の光の光線透過率が70%以上である、請求項4〜6のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項8】
ヘイズが2.0%以下である、請求項4〜7のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。

【公開番号】特開2011−74106(P2011−74106A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223900(P2009−223900)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】