説明

芳香族ポリイミド樹脂及びその製造方法

【課題】線熱膨張係数が低く且つ高引張弾性率を示す芳香族ポリイミド樹脂を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)において繰り返し単位A及び繰り返し単位Bからなることを特徴とする芳香族ポリイミド樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は線熱膨張係数が低く、高弾性率を示す新規な芳香族ポリイミド樹脂及びその製造方法に関する。更に詳しくは、フィルムに成形した時に線熱膨張係数(CTE)が20(ppm/℃)以下で且つ引張弾性率が6.0GPa以上の芳香族ポリイミド樹脂であって、薄膜微細化する電子基板材料や層間絶縁膜においてその性能を期待できる芳香族ポリイミド樹脂及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に芳香族ポリイミド樹脂は芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン成分とから得られる。このようなポリイミド樹脂は優れた耐熱性、熱寸法安定性、機械的靭性を有し、電気電子産業に広く使用されている。
【0003】
従来このような芳香族ポリイミド樹脂としては、テトラカルボン酸二無水物成分にピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジアミン成分にジアミノベンゼン、ジアミノジフェニルエーテル類等を原料とした様々なポリイミドが製造され実用化されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平08−217877号公報
【特許文献2】特開2000−319421公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したポリイミド樹脂は、高い耐熱性や優れた機械的強度を有することから軽量で精密な加工を必要とする分野で金属に変わるものとしてその用途は益々広がっている。
【0005】
しかし、最近の電子基板の薄膜微細化に伴い、フレキシブルプリント基板(FPC)等の基板材料ではより線熱膨張係数が低く引張弾性率の高いポリイミドフィルムが要求されつつある。
【0006】
本発明の目的は、線熱膨張係数が低く且つ高引張弾性率を示す芳香族ポリイミド樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、以上の問題を解決するために、鋭意研究を積み重ねた結果、原料のジアミン成分として2,7−ジアミノフルオレンを使用し、フルオレン骨格を導入することにより、イミド結合としての剛直性を上げることができ、極めて優れた寸法安定性や機械的靭性を有する新規な芳香族ポリイミド樹脂が得られることを見出し、発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記構成よりなる。
(1)下記一般式(I)において繰り返し単位A及び繰り返し単位Bからなることを特徴とする芳香族ポリイミド樹脂。

(式中、Rは2,7−ジアミノフルオレンの残基以外の芳香族ジアミン残基又は脂肪族ジアミン残基、Xは少なくとも1つの炭素原子を含む有機基、aはモル分率で0〜0.95を表す。)
(2)フィルムにした時の、線熱膨張係数(CTE)が20(ppm/℃)以下で且つ引張弾性率が6.0GPa以上である上記(1)に記載の芳香族ポリイミド樹脂。
(3)2,7−ジアミノフルオレンを5〜100モル%含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させた後、脱水閉環させることを特徴とする芳香族ポリイミド樹脂の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により得られた芳香族ポリイミド樹脂は線熱膨張係数が低く、且つ、機械的靭性及び剛直性に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明における芳香族ポリイミド樹脂の構成成分であるテトラカルボン酸二無水物成分としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物及びブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物類、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物及び1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物類、ピロメリット酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物及び1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
【0011】
これらの内、好ましいテトラカルボン酸二無水物成分は、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物である。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独或いは二種以上混合して用いることができる。
【0012】
本発明の芳香族ポリイミド樹脂を構成するジアミン成分としては、2,7−ジアミノフルオレンを5〜100モル%(ジアミン成分100モル%に対して)以外に、他の脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン等を混合して使用することもできる。脂肪族ジアミンとしては、例えば、炭素数が2〜15程度のものがよく、具体的にはペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びヘプタメチレンジアミン等が挙げられる。
【0013】
芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニル基が1個或いは2〜10個程度が結合したジアミン化合物及び縮合多環炭化水素系ジアミン化合物等を挙げることができる。具体的にはフェニレンジアミン及びその誘導体、ジアミノジフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノトリフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノナフタレン及びその誘導体、アミノフェニルアミノインダン及びその誘導体、ジアミノテトラフェニル化合物及びその誘導体及びジアミノヘキサフェニル化合物及びその誘導体等である。
【0014】
フェニレンジアミンとしては、m−フェニレンジアミン及びp−フェニレンジアミン等であり、フェニレンジアミン誘導体としては、メチル基及びエチル基等のアルキル基が結合したジアミン、例えば、2,4−トリレンジアミン等である。ジアミノジフェニル化合物は、二つのアミノフェニル基が他の基を介してフェニル基同士が結合したものである。結合としては、エーテル結合、スルホニル結合、チオエーテル結合、アルキレン又はその誘導体基による結合、イミノ結合、アゾ結合、ホスフィンオキシド結合、アミド結合及びウレイレン結合等である。アルキレン結合は炭素数が1〜6程度のものであり、その誘導体基はアルキレン基の水素原子の1以上がハロゲン原子等で置換されたものも含まれる。
【0015】
ジアミノジフェニル化合物の例としては、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)−1−ペンテン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)−2−ペンテン、イミノジアニリン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)ペンタン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素及び4,4’−ジアミノジフェニルアミド等を挙げることができる。
【0016】
ジアミノトリフェニル化合物は、二つのアミノフェニル基と一つのフェニレン基がいずれも他の基を介して結合したものであり、結合はジアミノジフェニル化合物と同様のものが選ばれる。ジアミノトリフェニル化合物の例としては、1,3−ビス(m−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン等を挙げることができる。
【0017】
ジアミノナフタレンの例としては、1,5−ジアミノナフタレン及び2,6−ジアミノナフタレンを挙げることができる。アミノフェニルアミノインダンの例としては、5又は6−アミノ−1−(p−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダンを挙げることができる。ジアミノテトラフェニル化合物の例としては、4,4’−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス[p−(p’−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[p−(p’−アミノフェノキシ)ビフェニル]プロパン及び2,2’−ビス[p−(m−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン等を挙げることができる。尚、これらの芳香族ジアミンの水素原子がハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、フェニル基等の群より選択される少なくとも1種の置換基により置換された化合物であってもよい。
【0018】
これらの内、好ましいジアミン成分としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンである。
【0019】
本発明における2,7−ジアミノフルオレンの使用比率は5〜100モル%(ジアミン成分100モル%に対して)であり、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%である。2,7−ジアミノフルオレンの使用比率が5モル%未満では線熱膨張係数が高くなり、引張弾性率が低下するので好ましくない。
【0020】
本発明における芳香族ポリイミド樹脂を製造する手段は特に制限はなく、例えば、(a.1)有機溶剤中でテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させた後、反応物を加熱することにより脱水閉環させて、イミド化する方法、(a.2)テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させ、脱水剤存在下の有機溶剤中で化学的に脱水閉環させて、イミド化する方法等の公知手法を用いることができる。
【0021】
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との反応に用いられる溶剤としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン系極性溶剤、クレゾール類等のフェノール系溶剤及びジグライム等のグリコール系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独或いは2種以上混合して用いることができる。溶剤使用量は特に制限はないが、生成する脱水閉環前の芳香族ポリイミド前駆体の含有量が5〜40質量%となる程度の使用量が望ましい。
【0022】
これらの有機溶剤中に所定量のジアミン成分を溶解させ、所定量のテトラカルボン酸二無水物成分をこのジアミン成分溶液に添加し、攪拌することにより、反応が進み、脱水閉環前の芳香族ポリイミド前駆体の有機溶剤溶液を得ることができる。重合温度は一般的には−10〜120℃、好ましくは5〜30℃である。重合時間は使用する原料組成により異なるが、通常は3〜24時間である。上記の条件下で得られる芳香族ポリイミド前駆体の有機溶剤溶液(N,N−ジメチルアセトアミド中)の固有粘度は0.1〜3.0dl/g、より好ましくは0.2〜1.5dl/gの範囲であるのが好ましい。
【0023】
上記の条件下で得られた芳香族ポリイミド前駆体溶液をメタノール等の非溶解性溶剤に投入し、芳香族ポリイミド前駆体を析出させ、濾別、乾燥して、固体状の芳香族ポリイミド前駆体を得ることができる。
【0024】
又、得られた芳香族ポリイミド前駆体溶液をガラス板等の基板上にバーコーター、スピンコーター等で塗布し、50℃〜150℃の温度で0.5〜24時間乾燥させることで膜状の芳香族ポリイミド前駆体を得ることもできる。
【0025】
芳香族ポリイミド前駆体を、加熱処理による脱水閉環、又は、脱水剤と反応させることによりイミド化し、本発明の芳香族ポリイミド樹脂を得ることができる。
【0026】
加熱処理により脱水閉環する場合、例えば、膜状の芳香族ポリイミド前駆体の場合、基板上或いは基板から剥離した状態で、不活性ガス雰囲気又は減圧下に通常200℃〜400℃、好ましくは250℃〜350℃の温度で0.5〜15時間、好ましくは1〜5時間熱処理をする。
【0027】
又、脱水剤と反応させる場合、例えば膜状の芳香族ポリイミド前駆体の場合、基板上或いは基板から剥離した状態で、脱水剤溶液に浸漬し、化学的脱水閉環させる。その際、使用する脱水剤としては、無水酢酸とピリジン、トリフルオロ無水酢酸とピリジン等が例示できる。
【0028】
本発明により得られた芳香族ポリイミド樹脂は、400℃以上のTgを有し、フィルムにした時に20(ppm/℃)以下の線熱膨張係数及び6.0GPa以上の引張弾性率を有する芳香族ポリイミド樹脂である。
この芳香族ポリイミド樹脂は薄膜微細化する電子基板材料、層間絶縁膜及びフレキシブルプリント基板(FPC)等の基板材料、ポリイミド接着剤等に使用できる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比較例中の芳香族ポリイミド樹脂フィルムの線熱膨張係数、機械的靭性、ガラス転移温度及び熱重量減少開始温度は下記の評価方法により測定した。
【0030】
[線熱膨張係数(CTE)]
熱機械分析(島津製 TMA−50)により、芳香族ポリイミド樹脂フィルムを用いて、荷重0.5g/膜厚1μmで、昇温速度5.0℃/分における試験片の伸びより50℃〜200℃の範囲での平均値として、線熱膨張係数を求めた。
【0031】
[機械的靭性]
JIS C−2318に準ずる手法を用い測定した。
【0032】
[ガラス転移温度(Tg)及び熱重量減少開始温度(Td)の測定]
(Tgの測定)
示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度20℃/分の条件で加熱し、比熱の変化点の温度を測定し、Tgとした。
(Tdの測定)
熱天秤を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で加熱し、初期重量から3%の重量減少を示した温度を測定し、Tdとした。
【0033】
実施例1
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管を備えた容器内に窒素ガスを流し、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)28.67gを仕込んだ後、2,7−ジアミノフルオレン1.96gを添加して十分溶解した。その後、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物3.10gを添加した後、10℃で5.0時間反応させて、固有粘度1.25(dl/g)のポリアミック酸(芳香族ポリイミド前駆体)溶液(15質量%DMAc)を33.73g得た。その後、この溶液を平滑なガラス板上にバーコーターにて均一塗布し、加熱によりイミド化を行い芳香族ポリイミド樹脂フィルム(厚さ10μm)を得た。得られた芳香族ポリイミド樹脂フィルムの物性を表1に示す。
得られた芳香族ポリイミド樹脂の赤外線吸収スペクトルを図1に示した。
【0034】
実施例2
実施例1で用いたテトラカルボン酸二無水物を3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物3.22gに代えた他は同様にして芳香族ポリイミド樹脂フィルム(厚さ10μm)を作製した。得られた芳香族ポリイミド樹脂フィルムの物性を表1に示す。
【0035】
実施例3
実施例1で用いたテトラカルボン酸二無水物を3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物2.94gに代えた他は同様にして芳香族ポリイミド樹脂フィルム(厚さ10μm)を作製した。得られた芳香族ポリイミド樹脂フィルムの物性を表1に示す。
【0036】
比較例1
実施例1で用いたジアミンをp−フェニレンジアミン1.08gに代えた他は同様にして芳香族ポリイミド樹脂フィルム(厚さ10μm)を作製した。得られた芳香族ポリイミド樹脂フィルムの物性を表1に示す。
【0037】
比較例2
実施例1で用いたジアミンを4,4’−ジアミノジフェニルエーテル2.00gに代えた他は同様にして芳香族ポリイミド樹脂フィルム(厚さ10μm)を作製した。得られた芳香族ポリイミド樹脂フィルムの物性を表1に示す。
【0038】

【0039】
表1の結果から、本発明の芳香族ポリイミド樹脂は、400℃以上の高いTgを有し、フィルム物性として低線熱膨張係数及び高引張弾性率を有している。比較例に比べ、物性的に優れた芳香族ポリイミド樹脂であることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、低線熱膨張係数で且つ高引張弾性率を示す芳香族ポリイミド樹脂を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施例1により得られた芳香族ポリイミド樹脂の赤外線吸収スペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)において繰り返し単位A及び繰り返し単位Bからなることを特徴とする芳香族ポリイミド樹脂。

(式中、Rは2,7−ジアミノフルオレンの残基以外の芳香族ジアミン残基又は脂肪族ジアミン残基、Xは少なくとも1つの炭素原子を含む有機基、aはモル分率で0〜0.95を表す。)
【請求項2】
フィルムにした時の、線熱膨張係数(CTE)が20(ppm/℃)以下で且つ引張弾性率が6.0GPa以上である請求項1に記載の芳香族ポリイミド樹脂。
【請求項3】
2,7−ジアミノフルオレンを5〜100モル%含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させた後、脱水閉環させることを特徴とする芳香族ポリイミド樹脂の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−213799(P2006−213799A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26678(P2005−26678)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(591067794)JFEケミカル株式会社 (220)
【Fターム(参考)】