説明

芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素

【課題】低塗布量でも粘着性および剪断特性間の優れたバランスを与える芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂を提供する。
【解決手段】樹脂は、94℃以下の環球式軟化点、2000ダルトン以下の重量平均分子量、6000ダルトン以下のZ−平均分子量、および25〜45℃の混合メチルシクロへキサンアニリン曇り点を有することを特徴とする。芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂は、(a)C5およびC6オレフィン(シクロオレフィンを含める)および/またはC5およびC6ジオレフィン、(b)芳香族モノマー、ならびに(c)(ジ)シクロジオレフィンを含む石油供給原料を含む重合供給原料をフリーデル・クラフツ重合に供することにより調製できる。これらの樹脂を含む接着テープ同様、接着配合物におけるモノ粘着付与剤としての芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の使用法にも向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の分野に関する。より具体的には、本発明は、低塗布量でも粘着性および剪断特性間の優れたバランスを与える芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂は、溶媒系テープ配合物に使用されてきた(米国特許4250272、米国特許5177163、WO91/07472)。しかし、テープ産業は、新しい最適化系が塗布量低下の傾向に応じることが要求されるために、塗布量を低下し始めた。低塗布量は、接着剤の粘着性を低下させ、したがって炭化水素樹脂は所望の接着強さを維持するために、変性されなければならない。
米国特許3846352(Goodyear)は、脂肪族炭化水素樹脂の製造のための重合供給原料における2−メチル−2−ブテンと組み合わせた環状ジオレフィンの使用を開示している。さらに、α−メチルスチレンが芳香族変性のために使用された。しかし、樹脂特性は接着挙動に結びつけられなかったので、低塗布量での要求に応じる最適化は実施されなかった。
【0003】
米国特許4104327および米国特許4636555は、芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の製造のための供給原料の芳香族部分におけるα−メチルスチレンおよびパラ−メチルスチレンの使用をそれぞれ開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑みて、本発明は、低塗布量でも優れた粘着性および剪断特性を有する新規な芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂を提供することを目的とする。また、そのような芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の調製法を提供することも、本発明の目的である。本発明のさらなる目的は、芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の、溶媒系テープ配合物におけるモノ粘着付与剤としての使用法である。本発明は、さらに本発明の芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂を含む接着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要約
低塗布量でも優れた粘着性および剪断特性を有する芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の提供という第一の目的が、94℃以下の環球式(R&B)軟化点、2000ダルトン以下の重量平均分子量(Mw)、6000ダルトン以下のZ−平均分子量(Mz)、および25〜45℃の混合メチルシクロへキサンアニリン曇り点(MMAP)を有することを特徴とする芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂により達成されることが、驚くべきことに発見された。
上記パラメーターを示す芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂は、(a)C5およびC6オレフィンおよび/またはシクロオレフィンを含むジオレフィン、(b)芳香族モノマー、ならびに(c)(ジ)シクロジオレフィンを含む石油供給原料を含む重合供給原料が、フリーデル・クラフツ重合に供され;
C5およびC6オレフィンおよび/またはシクロオレフィンを含むジオレフィンならびに芳香族モノマーが、前記樹脂が25〜45℃のMMAPを有するような量で使用され;
かつ前記(ジ)シクロジオレフィンが、前記樹脂が2000ダルトン以下のMwおよび6000ダルトン以下のMzを有するような量で使用される方法により得られる。
【0006】
詳細な説明
芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の優れた粘着性および剪断特性は、R&B軟化点、重量平均分子量(Mw)、Z−平均分子量(Mz)、および樹脂の混合メチルシクロへキサンアニリン曇り点(MMAP)を個々に制御することにより得られることが、驚くべきことに本発明者により発見された。下記の値を有する芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂は、満足すべき粘着性および剪断特性を示す:
・94℃以下、好ましくは75〜94℃の環球式(R&B)軟化点;
・2000ダルトン以下、好ましくは1000〜2000ダルトン、もっとも好ましくは1200〜2000ダルトンの重量平均分子量(Mw);
・6000ダルトン以下、好ましくは2500〜6000ダルトン、より好ましくは3000〜5000ダルトン、もっとも好ましくは3000〜4000ダルトンのZ−平均分子量(Mz);および
・25〜45℃、好ましくは30〜40℃の混合メチルシクロへキサンアニリン曇り点(MMAP)。
【0007】
軟化点が接着性に大きな影響を及ぼすことが発見された。接着性は、R&B軟化点を低下させることにより改善された。改善された接着性は、低ローリングボール粘着性値により観察された。特に低塗布量(約15g/cm2)では、94℃以下の軟化点が非常に望ましいローリングボール粘着性値(<5cm)をもたらすことが発見された。一般に、樹脂の塗布量が低下したときに、ローリングボール粘着性値が増加した。
【0008】
40℃でのスチールに対する良好な剪断応力から観察されたように、MzおよびMw分子量の増加が接着系の凝集力を増加させることも発見された。
所望の分子量範囲と組み合わせたR&B軟化点は、接着性および凝集特性間の最適なバランスをもたらした。厚紙特性は、R&B軟化点と分子量の両方によりもたらされるようであった。40℃でのスチールに対するローリングボール粘着性および剪断応力のための所望のR&B軟化点と分子量範囲において、接着剤は十分な厚紙特性(剪断応力およびフラップテスト)も示した。
【0009】
芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂における非芳香族成分と芳香族モノマー間のバランスは、主にMMAP曇り点を決定する。MMAP曇り点を測定する方法は、以下に記載される。
【0010】
本発明の芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂は、重合供給原料をフリーデル・クラフツ重合に供することにより得られる。前記重合供給原料は、普通混合石油供給原料と稀釈剤とを含む。石油供給原料は、好ましくは(a)C5およびC6オレフィン(シクロオレフィンを含める)および/またはジオレフィンを好ましくは45重量%+/−25重量%の量で、(b)芳香族モノマーを好ましくは40重量%+/−20重量%の量で、ならびに(c)(ジ)シクロジオレフィンを好ましくは20重量%+/−10重量%の量で含む。
【0011】
本発明の特に好ましい実施態様において、(a)がイソプレンもしくはイソプレンに富むピペリレン流れであり、(b)がメチルインデンに富む流れであり、(c)が(ジ)シクロジオレフィン流れである。
【0012】
本発明の芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂は、好ましくは(a)C5およびC6オレフィン(シクロオレフィンを含める)および/またはジオレフィンならびに(b)芳香族モノマーが、前記樹脂が25〜45℃のMMAPを有するような量で使用され、(ジ)シクロジオレフィンが、前記樹脂が2000ダルトン以下のMwおよび6000ダルトン以下のMzを有するような量で使用される重合工程により製造される。
【0013】
特に好ましい実施態様において、連鎖移動剤が、前記樹脂が2000ダルトン以下のMwおよび6000ダルトン以下のMzを有するような量で、(ジ)シクロジオレフィンに添加される。
【0014】
さらに、低分子量オリゴマーを、前記樹脂が94℃以下のR&B軟化点を有するように、前記樹脂に添加できる。
本発明の重合供給原料は、好ましくは約20〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%の混合石油供給原料流れ、0〜20重量%の連鎖移動剤、および40〜80重量%の稀釈剤、好ましくは芳香族稀釈剤、もっとも好ましくは主にトリメチルベンゼンおよびその異性体からなるトルエンもしくは植物再循環稀釈剤を含む。適切な重合供給原料は、最終的な樹脂全収率が30〜50重量%となるように、好ましくは30〜50重量%、より好ましくは35〜45重量%の重合性モノマーを含む。
【0015】
より特別には、石油供給原料は、好ましくは主に3種類の成分から成り立っている。
(a)供給原料流れの1つの部分は、基本的に20〜100℃、好ましくは30〜70℃の範囲で沸騰する、C5およびC6オレフィンおよび/またはシクロオレフィンを含むジオレフィンなどの不飽和炭化水素からなる。脂肪族C5およびC6ジオレフィンの例は、1−ペンテン、トランス−およびシス−2−ペンテン、トランス−およびシス−ピペリレン、1,4−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエンおよび1,4−ヘキサジエン、ならびにシクロペンテンおよびシクロへキセンなどシクロオレフィンである。
【0016】
これらのモノマーにもっとも好ましく使用される供給原料流れは、市販されるピペリレン供給原料流れである。それらの主成分は、トランス−およびシス−ピペリレンである。イソプレン流れおよび粗ピペリレン流れも使用できる。
【0017】
(b)供給原料の芳香族部分は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、(t−)ブチルスチレン、インデン、メチルインデン、およびこれらの混合物である。
【0018】
芳香族モノマーにもっとも好ましく使用される供給原料流れは、主にモノマーとしてビニルトルエンおよびインデンからなる市販される樹脂油である。高沸点範囲の樹脂油も使用できる。それらは、主にインデンおよびメチルインデンを含む。純モノマー流れも使用でき、所望の組成物に混合できる。
【0019】
(c)供給原料は、さらにシクロジオレフィンおよびジシクロジオレフィンを含む。これらの成分の例は、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、両成分のメチルおよびエチル置換同族体、シクロペンタジエンおよびジオレフィンのコダイマーである。
【0020】
これらのモノマーは、(粗)ピペリレンおよびイソプレン流れ起源であり得るが、これらの流れは一般に100〜160℃の温度で加熱され、ついでシクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエンを除去するために蒸留される。
【0021】
市販されるジシクロペンタジエン流れは、供給原料中に所望量のシクロジオレフィンに使用できる。
特に好ましい代表的な供給原料流れは、一般に下記組成を有する約35〜45重量%の活性成分(=モノマー)からなる:C5およびC6オレフィンならびにジオレフィン:45重量%+/−25重量%芳香族モノマー:40重量%+/−20重量%(ジ)−シクロジオレフィン:20重量%+/−10重量%連鎖移動剤:0〜20重量%。
【0022】
正確な量は、テープ系接着配合物の接着特性を決定する所望の樹脂特性を達成するために、下記の方法で調整できる。
C5およびC6オレフィンC6および/またはジオレフィンと、芳香族モノマーとのバランスは、MMAP曇り点を適合させるために使用できる。供給原料組成物は、樹脂のMMAP曇り点が25〜45℃、好ましくは30〜40℃であるような方法で混合される。MMAP曇り点は、芳香族溶媒に対する相溶性の指標である。
【0023】
図1は、全モノマー含有量の画分としての供給原料成分C5(ジオレフィンおよびオレフィン、成分(a))、C9(芳香族モノマー、成分(b))、およびCPD+DCPD(シクロジオレフィン、成分(c))の3成分混合物設計から得られた輪郭図を示す。それは、3つの主要成分のMMAP曇り点に及ぼす効果を示す。他の画分の相対率量を一定に保ちながらC5の量の10%添加は、7.4℃のMMAPの増加をもたらす。シクロジオレフィンの量における同様な増加は、小さな増加(2.6℃)を引き起こすが、C9含有量を同ジ方法で増加させると、強力な減少(−8.7℃)をもたらす。
【0024】
ジシクロジオレフィンおよびシクロジオレフィンの量は、樹脂の分子量パラメーターに影響力がある。高分子量パラメーターは、40℃でのスチールに対して良好な凝集強度を生ジ、高い良好な剪断応力値を生ジる。6000ダルトン以下の範囲のMzが十分な凝集強度のために必要であることが発見された。4000ダルトン以下の範囲のMzは、最適接着挙動を保証する。
【0025】
図2の輪郭図は、前回と同ジ設計から得られた。この図は、3つの主要成分の樹脂のMz分子量パラメーターに及ぼす効果を示す。(ジ)シクロジオレフィン画分は大きな増加効果を有し、一方C9画分は小さい減少効果を有する。C5画分はなんら重要な効果を有さない。(ジ)シクロジオレフィン含有量は、この供給原料組合せでは特に上方にMz値を制御する主要パラメーターであり、下方へのMz値を制御するために使用できる連鎖移動剤は、ここでは使用されなかった。重量平均分子量(Mw)は、Z−平均分子量(Mz)と同ジ傾向を示す。
【0026】
さらに、連鎖移動剤を、低く狭い分子量分布を有する樹脂を得るために使用できる。連鎖移動剤の例には、1−ペンテン、トランス−およびシス−2−ペンテン、トランス−およびシス−ピペリレン、1,4−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエンおよび1,4−ヘキサジエン、シクロペンテンおよびシクロへキセンなどシクロオレフィン、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、もしくはこれらのダイマーおよびオリゴマーである。特にピペリレンもしくはイソプレン流れ中のシクロジオレフィンおよびジシクロジオレフィンの量が高いときは、連鎖移動剤を添加することにより分子量パラメーター低下させることができる。成分をトルエンなどの溶媒もしくは不活性C4〜C6炭化水素に、純もしくは稀釈した形で適用できる。
【0027】
重合反応は非常に速く高度に発熱性なので、稀釈剤は望ましい。しかし、稀釈剤は、反応が十分な攪拌および冷却で制御されるときは必要ではない。重合に使用される稀釈剤は、不活性もしくは低活性成分からできている。それらは、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタンのように性質がパラフィン系でも、シクロペンテン、2−ペンテンのように性質がオレフィン系でも、トルエン、トリメチルベンゼンのように性質が芳香族でも、あるいはパラフィン系、オレフィン系および芳香族成分の混合物でも可能である。反応からの未反応炭化水素も、再循環された後に使用できる。
【0028】
重合のための触媒は、好ましくは重合供給原料における重合性成分の量に対して1.0〜8.0重量%の量で使用される。触媒の正確な使用量は、所望の樹脂に依存する。触媒は、三塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、三および四塩化チタン、四塩化錫、三弗化硼素、もしくはこれらの溶液、スラリーあるいは錯体などの適宜のフリーデル・クラフツ触媒から選ぶことができる。触媒を、固体上に、あるいは支持触媒として使用することも可能である。もっとも好ましい触媒は、約50重量%のAlCl3を含む液化AlCl3錯体で、1.5重量%のAlCl3の量でモノマーに添加される。
【0029】
重合温度は、普通0〜120℃、好ましくは20〜80℃の範囲、もっとも好ましくは40〜60℃の範囲である。
重合は、連続もしくは半連続工程、あるいは回分式で実施できる。反応時間は、2,3秒から24時間以下かかり得る。より典型的な反応時間は、1〜4時間である。
【0030】
重合および場合により急冷工程の後、触媒および急冷剤の残留物を、例えば、水の添加および水での抽出により除去することができる。
このようにして得られたポリマー−溶媒混合物は、普通ストリッピングされて未反応炭化水素、稀釈剤、および少なくとも低分子量オリゴマーの一部を除去する。ストリッピング工程を、低分子量オリゴマーの一部が樹脂中に残るような方法で選択的実施することができる。低分子量オリゴマーを、樹脂を軟化するために後に添加することもできる。ポテンシャル軟化点(全オリゴマーがストリッピングによって除去された後の樹脂の軟化点)は、好ましくは94℃よりも高い。低分子量オリゴマーの存在もしくは添加により、ついで所望の現実のR&B軟化点を、94℃以下の値に調整することができる。
【0031】
重合供給原料の芳香族部分の組成がポテンシャルR&B軟化点に影響を及ぼし、したがって、好ましくは使用されるピペリレンもしくはイソプレン流れによって調整されることも発見された。イソプレンもしくはイソプレンに富むピペリレン流れの使用がポテンシャル軟化点を低下させることも発見された。組成を調整して、芳香族部分は減少したR&B軟化点を埋め合わせた。特に、メチルインデンに豊富な芳香族部分が高ポテンシャル軟化点をもたらすことが発見された。したがって、本発明の方法の好ましい実施態様は、成分(a)としてイソプレンもしくはイソプレンに富むピペリレン流れ、成分(b)としてメチルインデンに富む流れ、および成分(c)として(ジ)シクロジオレフィンを含む供給原料を使用する。
【0032】
本発明は、本発明の芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の、接着配合物中のモノ粘着付与剤としての使用法を提供する。「モノ粘着付与剤」という語は、たった1つの樹脂しか接着配合物中に使用されないことを意味する。接着配合物は、好ましくは溶媒系接着配合物、ホットメルトもしくは水系分散液である。
【0033】
芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の用途には、水系テープ、ラベル、およびエチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVA)系ホットメルトも含まれ得る。
【0034】
さらに、本発明は、本発明の芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹を含む接着テープを提供する。
溶媒系テープ配合物中にモノ粘着付与剤として使用される特に好ましい粘着付与剤(樹脂1)は、下記の典型的な特性を有する:
R&B軟化点(℃) 93.0
MMAP(℃) 37
Mn(ダルトン) 806
Mw(ダルトン) 1595
Mz(ダルトン) 3333。
【0035】
ポテンシャル軟化点にストリッピングした樹脂を5重量%のそのオリゴマーで軟化させることにより、樹脂を調製した(実施例1参照)。
この樹脂の接着性能を、混合物の固形分が約25%であるように、樹脂を天然ゴム(0.9:1重量部)およびトルエン/ヘキサンブレンドと混合することにより評価した。
【0036】
溶解ジソシアネートをプライマーとして、および良好な定着を与えるために中間層をE−PVC基体に塗布することにより、テープを調製した。ついで、樹脂を、企業で普通実施されるように、約20および15g/cm2の塗布量で、ジソシアネートと基体に架橋させた。
【0037】
テストの結果は以下に示される。
【0038】
【表1】

【0039】
実施例
試験的セクション樹脂の調製法
実施例に記載されるすべての樹脂を連続法で調製したが、回分式もしくは半連続調製も可能である。樹脂供給原料を塩化カルシウムおよびモレキュラーシーブで乾燥させ、1500ml/時の速度で連鎖移動剤とともに5リットルのタンク反応器に添加し、連続的に攪拌した。触媒を同時に添加し、混合物を反応器の底から触媒入口点まで循環させた。反応器中の量を、絶えず重合体を除去することにより3リットルに保ち、全実験について総合的平均反応時間は2時間だった。水を用いて混合物を奪活して、真空下でストリッピングする前に水で3段階で洗い、ついで蒸気で洗って溶媒および低分子量材料を除去した。
【0040】
R&B軟化点の測定法
R&B軟化点をASTM D−36−70にしたがってWalter Herzog R&B装置、モデルMC−735で測定した。
【0041】
MMAPの測定法
MMAP(混合メチルシクロへキサンアニリン点)を、改変ASTM D−611−82手順を用いて測定した。メチルシクロへキサンを、標準的なテスト手順で使用されるヘプタンの代わりに用いる。前記手順は、樹脂/アニリン/メチルシクロへキサンを1/2/1の比率(5g/10ml/5ml)で使用し、曇り点は、3つの成分の加熱透明ブレンドを完全な濁りが生ジるまで冷却することにより測定する。
【0042】
分子量の測定法
分子量Mn、Mw、Mzおよび多分散性(=Mw/Mn)を、屈折率検出器を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。狭分布ポリスチレン基準を用いて、校正を実施した。
【0043】
ボール粘着性の測定法
ボール粘着性を、Pressure Sensitive Tape Counsil (PSTC)−6テストにより測定する。
【0044】
剪断強度の測定法
剪断強度を、PSTC−7テストにより測定した。
厚紙特性の測定法
テープの厚紙特性を、試料を厚紙ストリップ上に置くことによりテストする。重量がテープにかかり、破損時間を書き留める。
【0045】
使用法/定義:
実施例に記載されるような接着組成物を調製するのに使用された材料は、次のとおりである:レギュラーピペリレン50:ペルニス(NL)のShellから入手可能なピペリレン濃縮物。組成は下記参照。
粗ピペリレン50:ターネウゼン(NL)のDOWから入手可能な粗ピペリレン濃縮物。組成は下記参照。
C9 HBR高沸点樹脂油:ゲリーン(NL)のDSMから入手可能な、主にインデンおよびメチルインデンからなる樹脂油。組成は下記参照。
レギュラーC9クラシック樹脂油:ゲリーンのDSMから入手可能な、主にビニルトルエンおよびインデンからなる樹脂油。組成は下記参照。
DCPD91濃縮物:ペルニス(NL)のShellから入手可能な、91%純度のジシクロペンタジエン濃縮物。
イソプレン65:ペルニスのShell製イソプレン流れ。組成は下記参照。
【0046】
種々の供給原料流れおよび植物再循環溶媒の典型的な組成物の試料が、以下に示される。下記実施例の樹脂をこれら種々の供給原料流れから調製したが、現実の組成物は、以下に挙げた値とはやや異なり得る。
【0047】
【表2】

【0048】
* C9軽最終物:トルエンおよびスチレン間で溶出するすべての成分
** トリメチルベンゼン:スチレンおよびインデン間で溶出するすべての非表示成分
*** テトラリン:インデンおよびナフタレン間で溶出するすべての非表示成分
**** 重最終物:ナフタレンの後で溶出するすべての成分。

いくつかのテープを約15g/cm2で塗布した実施例1.cにおける結果を除いて、全テープを約20g/cm2で塗布した。
【0049】
実施例1−軟化点
実施例1.a.樹脂をポテンシャルR&B軟化点にストリッピングした後に添加したオリゴマー、粘着性へのR&Bの影響
下記表は、樹脂がポテンシャル軟化点にストリッピングされた後低分子量オリゴマーが添加されるとき、樹脂特性および接着性に何が起こるかを示す。ポテンシャルにストリッピングされるとは、220℃における水蒸気ストリッピングの水濃縮物が2重量%以下の有機画分を含むまでストリッピングされることと定義される。オリゴマーは、18℃のMMAP、256ダルトンのMn値、358ダルトンのMw、832ダルトンのMzを有する液体だった。
【0050】
【表3】

【0051】
表は、オリゴマー添加の樹脂特性に及ぼす影響を明らかに示す。R&B軟化点は、オリゴマーを添加することにより低下する。接着性に対する効果は、ローリングボール粘着性値に及ぼす軟化点の重要性を示す。軟化点が低いほど、ローリングボール粘着性は良好となる。この実施例は、94℃より高い軟化点を有する樹脂が、低分子量オリゴマーを添加することにより94℃以下の所望の範囲内で軟化点を有する樹脂を提供するために使用できることを示す。
【0052】
実施例1.b.選択的ストリッピングのいくつかの例、部分的にストリッピングされたR&Bと比較したポテンシャルR&B
オリゴマーをストリッピングの間樹脂中に残すこともできる。下記表は、2つの実施例での選択的ストリッピングを示す。
【0053】
【表4】

【0054】
ポテンシャル軟化点は、部分的にストリッッピングされた樹脂の軟化点よりも高い。部分的にストリッピングされた樹脂の場合、R&Sは94℃以下に保たれた。
【0055】
接着性能は、実施例1.a.で見られるものと類似の効果を示す。ローリングボール粘着性は、低軟化点で向上した。40℃でのスチールに対する剪断応力も減少を示したが、2つの低軟化点試料は十分な値をもたらした。
【0056】
実施例1.c.異なる塗布量の数例 いくつかの試料を、約20g/cm2および約15g/cm2で塗布した。結果を次の表で比較した。
【0057】
【表5】

【0058】
結果は、塗布量を低下させることがローリングボール粘着性値を増加(悪化)させたことを明らかにしめす。この実施例では、約93℃以下のR&B軟化点は、5cmよりも低いローリングボール粘着性値をもたらした。他の特性はマイナスの影響を受けなかった。
【0059】
実施例2−分子量分布 実施例2.a.分子量(MzおよびMw)の剪断特性に及ぼす影響
下記表は、分子量パラメーターの凝集強度、かくて樹脂の剪断特性に及ぼす影響を示す。2つの試料を類似の比較すべきR&B軟化点で選択した。
【0060】
【表6】

【0061】
表に見られるように、ローリングボール粘着性値は、そのR&B軟化点により所望の範囲内にあった。ローリングボール粘着性値は、この実施例の樹脂の分子量パラメーターにより影響されることがほとんどなかった。40℃でのスチールに対する、40℃での厚紙に対する剪断応力およびフラップテストは、分子量が増加するにつれて増加する傾向があった。分子量パラメーターは、有利な凝集強度にとって重要と思われる。
【0062】
実施例2.b.MWDパラメーターに関する(D)CPDの数例
図2おける輪郭図のように、下記表は、分子量パラメーターがシクロジオレフィンおよびジシクロジオレフィンにより制御され増加し得ることを示す。下記表には、全モノマーに基づくC5およびC6オレフィンならびにシクロオレフィン画分を含むジオレフィンが、脂肪族炭化水素として与えられている。全モノマーに基づく芳香族モノマーの量は、芳香族炭化水素により与えられ、全モノマーに基づくジシクロジオレフィンおよびシクロジオレフィンの量は、画分環状ジオレフィンにより与えられる。与えられる軟化点は、ポテンシャル軟化点である。
【0063】
【表7】

【0064】
ここでは、供給原料中のより多い環状ジオレフィンが、高ポテンシャルR&B軟化点および分子量パラメーター(MwおよびMz)をもたらした。ローリングボール粘着性に対するR&B軟化点の効果が観察され、実施例1と同ジであるとわかった。40℃でのスチールに対する剪断応力に対する分子量パラメーターの効果は、実施例2.a.で見られるように剪断応力を増加させることが観察された。フラップテストおよび厚紙に対する剪断応力も増加した。しかし、樹脂8および樹脂9は、適度の凝集強度を示し、分子量が増加すると、増加する剪断応力およびフラップテストを示した。樹脂9の40℃での厚紙に対する剪断応力のみが、偏差を示した。
【0065】
実施例3−異なる供給原料流れの効果
実施例3.a.レギュラーピペリレンと比較した粗C5/イソプレンの使用法
下記表は、重合供給原料の芳香族部分としてレギュラー樹脂油とともにレギュラーピペリレン流れの使用と比較したイソプレン流れおよびイソプレンに富むピペリレン流れ(粗ピペリレン)の使用の効果を示す。示されるR&B軟化点は、すべてポテンシャル軟化点である。
【0066】
【表8】

【0067】
よりイソプレンに富む供給原料が使用されたときに、R&B軟化点が低下し、分子量パラメーターが増加したことが示される。
レギュラーC9樹脂油およびイソプレンもしくはイソプレンに富むピペリレンの組合せを用いると、本発明により好まれる94℃よりも高いポテンシャルR&B軟化点を有する樹脂を得ることは、この実施例では不可能だった。94℃よりも高いポテンシャルR&B軟化点は、後にオリゴマーでの選択的ストリッピングもしくはオイリングダウンによりR&B軟化点を制御することができる。
【0068】
実施例3.b.C9 HBRのレギュラーピペリレンとの併用法
次の表は、レギュラーピペリレンを用いるメチルインデンに富む樹脂油(C9 HBR)の軟化点増加効果を示す。
【0069】
示されるR&B軟化点は、ポテンシャル軟化点である。
【0070】
【表9】

【0071】
表は、C9 HBR樹脂油がかなり高いポテンシャルR&B軟化点をもたらし、一方分子量パラメーターは匹敵できるものであることを明らかに示す。樹脂13のR&B軟化点を、後にオリゴマーでの選択的ストリッピングもしくはオイリングダウンにより制御することがはるかに易しい。
【0072】
実施例3.c.C9 HBRの粗C5との併用法
下記表は、メチルインデンに富むC9 HBR樹脂油をイソプレンが豊富な粗ピペリレン流れと併用したときの効果を示す(供給原料流れの組成参照)。R&B軟化点は、すべてポテンシャルにストリッピングされた。
【0073】
【表10】

【0074】
表に示されるこの実施例の結果は、メチルインデンに富むC9 HBR樹脂油が10℃高いポテンシャル軟化点を生じることを示す。後に選択的ストリッピングもしくはオイリングダウンにより軟化点を制御することは、はるかに易しくなる。かくて、所望の樹脂特性のためにイソプレンもしくはイソプレンに富むピペリレン流れを使用することは可能である。
【0075】
実施例4−追加的連鎖移動剤の使用法
実施例4.a.粗ピペリレンが過剰の(ジ)シクロジオレフィンを含む場合の追加的連鎖移動剤の使用法
粗ピペリレン流れが大量のジシクロジオレフィンおよびシクロジオレフィンを含む場合、分子量パラメーターは高くなり、接着配合物は固くなる。5000ダルトンよりも低いMzの好ましい値は、追加量の連鎖移動剤を使用することにより調整できる。連鎖移動剤の量は、C4のような全モノマーの画分として下記表に示される。この場合、純イソブチレンが使用された。示される軟化点は、ポテンシャル軟化点にストリッピングされた。
【0076】
【表11】

【0077】
ここでは、分子量パラメーターは、追加量の連鎖移動剤使用で減少した。
実施例4.b.過剰の(ジ)シクロジオレフィンが重合供給原料に添加される場合の追加的連鎖移動剤の使用法
ジシクロジオレフィンおよびシクロジオレフィンの追加量が高すぎることは可能である。下記表は、分子量パラメーターを追加量の連鎖移動剤を使用することにより減少できることを示す。連鎖移動剤の量は、C4のような全モノマーの画分として下記表に示される。この場合、純イソブチレンが使用された。この実施例については、C5およびC6オレフィンならびにジオレフィンがイソプレン流れ起源である実験が選ばれた。芳香族部分はメチルインデンに富むC9 HBR樹脂油起源で、ジシクロジオレフィンおよびシクロジオレフィンはシクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエン起源だった。示される軟化点は、ポテンシャル軟化点にストリッピングされた。
【0078】
【表12】

【0079】
分子量パラメーターは、追加量の連鎖移動剤を使用することにより、5000ダルトンよりも低い好ましい値に減少した。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】供給原料の組成のMMAP曇り点に及ぼす影響を示す輪郭図である。
【図2】供給原料の組成のZ−平均分子量に及ぼす影響を示す輪郭図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
75〜94℃の環球式(R&B)軟化点、1200〜2000ダルトンの重量平均分子量(Mw)、3000〜5000ダルトン以下のZ−平均分子量(Mz)、および30〜40℃の混合メチルシクロへキサンアニリン曇り点(MMAP)を有することを特徴とする、芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂であって、
前記樹脂が、石油供給原料を含む重合供給原料をフリーデル・クラフツ重合に供することにより得られ、前記石油供給原料が、(a)C5およびC6オレフィン(シクロオレフィンを含める)および/またはC5およびC6ジオレフィン、(b)芳香族モノマー、ならびに(c)(ジ)シクロジオレフィンを含み、そして
前記成分(a)、(b)および(c)が前記石油供給原料中に、それぞれ45重量%±25重量%、40重量%±20重量%および20重量%±10重量%の量で含まれることを特徴とする、上記の芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂。
素樹脂。
【請求項2】
前記石油供給原料が前記重合供給原料中に20〜60重量%の量で含まれ、残余が稀釈剤および任意に連鎖移動剤であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂。
【請求項3】
(a)C5およびC6オレフィン(シクロオレフィンを含める)および/またはC5およびC6ジオレフィン、(b)芳香族モノマー、ならびに(c)(ジ)シクロジオレフィン
を含む石油供給原料を含む重合供給原料が、フリーデル・クラフツ重合に供され;
C5およびC6オレフィンおよび/またはジオレフィン(シクロオレフィンを含む)ならびに芳香族モノマーが、前記樹脂が30〜40℃のMMAPを有するような量で使用され;
かつ前記(ジ)シクロジオレフィンが、前記樹脂が1200〜2000ダルトンのMwおよび3000〜5000ダルトンのMzを有するような量で使用されることを特徴とする、請求項1に記載の芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の調製法。
【請求項4】
連鎖移動剤が、前記樹脂が1200〜2000ダルトンのMwおよび3000〜5000ダルトンのMzを有するような量で、(ジ)シクロジオレフィンに添加されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項5】
さらに低分子量オリゴマーが、75〜94℃のR&B軟化点に制御するために前記樹脂に添加されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の、接着配合物における単一の粘着付与剤としての使用法。
【請求項7】
接着配合物が溶媒系接着配合物、ホットメルトもしくは水系分散液であることを特徴とする、請求項6に記載の芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂の使用法。
【請求項8】
請求項1または2に記載の芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂を含む接着テープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−74095(P2009−74095A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287819(P2008−287819)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【分割の表示】特願2000−531486(P2000−531486)の分割
【原出願日】平成11年2月11日(1999.2.11)
【出願人】(301050474)イーストマン ケミカル レジンズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】