説明

芳香族化合物又は複素芳香族化合物を主体とする重縮合生成物、その製造方法、及びその使用

【解決手段】
A)5から10の炭素原子又はヘテロ原子を含む芳香族化合物又は複素芳香族化合物であって、前記化合物はO原子又はN原子を介して当該芳香族化合物又は複素芳香族化合物に結合される1分子当たり平均1から300の、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を有する芳香族化合物又は複素芳香族化合物、B)フェノール、フェノールエーテル、ナフトール、ナフトールエーテル、アニリン、フルフリルアルコール及び/又はメラミン(誘導体)、尿素(誘導体)、及びカルボン酸アミドからなる群より選択されるアミノプラスト形成剤からなる群より選択される、任意成分としての芳香族化合物、並びにC)ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、又はその混合物からなる群より選択されるアルデヒドを含む重縮合生成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族化合物又は複素芳香族化合物を主体とする重縮合生成物、それを調製するための方法、及びセメントペースト、モルタル、又はコンクリートのような無機結合剤の水性懸濁液に用いられる混和剤としての使用に関する。これらのポリマーの使用により、水和工程の際の組成物の流動性の大幅な向上がもたらされる。
【背景技術】
【0002】
水硬性結合剤(例えば、セメント、石灰、石膏プラスター、若しくは無水石膏)、岩粉、粉砕シリケート、白墨、粘土、磁器スリップ、タルク、色素、カーボンブラック、若しくはポリマー粉体などの、無機粉体物質又は有機粉黛物質の水性懸濁液において、それらの加工性、すなわち、混練性、流動性、噴霧性、塗布性、又はポンプ圧送性を改良するために、分散剤の形態にある混和剤を添加することが多い。これらの混和剤は、凝集物をバラバラにして、粒子の表面上に吸着することにより形成される粒子を分散させることができる。
【0003】
これにより、特に高濃縮の分散液の場合に、セメント、石灰、石膏プラスター、又は無水石膏などの水硬性結合剤を含有する建築材料混合物の生産における加工性の大幅な向上がもたらされる。混和剤がなければ以後の水和工程で必要とされることになる量よりもかなり多量の水が必要になってしまうので、容易に加工可能な粘稠度を得るために、この効果を特に好適に利用することができる。
【0004】
硬化後に徐々に蒸発する水によって空隙が残され、建築部材の機械的強度及び耐性を大きく低下させる。
【0005】
水和に必要な量に対して過剰な水の割合を減じるため、及び/又は所定の水/結合剤比で加工性を最適化するために、一般に減水剤又は可塑剤と称される混和剤が使用される。
【0006】
これまでに主に使用されてきたセメント分散剤又は可塑剤の例として挙げられるのは、ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物の塩(特許文献1を参照のこと。以下、ナフタレンスルホネートという)、メラミンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物の塩(特許文献2を参照のこと。以下、メラミンスルホネートという)、及びポリカルボン酸の塩(特許文献3、特許文献4、特許文献5を参照のこと。以下、ポリカルボキシレートという)である。
【0007】
かかるポリカルボキシレートは、通常、エチレン不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、若しくはマレイン酸、又はそれらの塩)と、重合性末端基を有するポリ(アルキレンオキシド)(例えば、メタクリレート、アリルエーテル、又はビニルエーテル)とのフリーラジカル共重合によって調製される。この調製方法から、くし型の構造を有するポリマーが得られる。
【0008】
しかしながら、上記分散剤には、特有の利点だけでなく、個々の不都合な点もある。すなわち、例えばポリカルボキシレートは、優れた可塑化作用を示すと共に、コンクリートの凝結時間を大幅に延長させてしまう。また、ナフタレンスルホネート及びメラミンスルホネートは、良好な可塑化作用を示し、且つこれらの物質の添加によって強度発現が損なわれることはほとんどない。しかしながら、これらの可塑剤には、「スランプロス」、すなわち、比較的多い添加量であっても、可塑化作用が比較的短時間しか保持されないという問題がある。この問題は、輸送距離又は運搬経路が長い結果として、生じる場合が多いが、コンクリートの生産とコンクリートの打設の間に比較的長時間の間隔がある場合に、特に問題になる。
【0009】
可塑剤の作用機構についての様々な研究から、用いられる分子の効果は2種類の異なる効果に基づくものであることがわかっている。まず、可塑剤の負に荷電した酸性基が、カルシウムイオンに起因する正に帯電したセメント粒子表面上に吸着する。このようにして形成された静電二重層(ゼータ電位)は、粒子間の静電的反発をもたらす。しかし、この反発は比較的弱い。上記のくし型ポリマーの場合、この静電的反発は、水溶性、非吸着性のポリ(アルキレンオキシド)の嵩高さによって、さらに強化される。この立体反発は静電的反発よりも格段に強く、このため、ポリカルボキシレートの可塑化作用がナフタレンスルホネート又はメラミンスルホネートよりも格段に強い(すなわち、相応の可塑化させるために、ポリカルボキシレートを極めて少量だけ添加すればよい)理由が簡単に説明される。
【0010】
ポリカルボキシレートが不利な点は、調製のためにポリ(アルキレンオキシド)が必要とされることであり、ポリカルボキシレートの調製は、追加の反応工程で重合性基を与えることによって、官能化させなければならない。このことから、ポリカルボキシレートの可塑剤の調製コストは、ナフタレンスルホネート又はメラミンスルホネートの場合を大きく上回る。このことが、かかる可塑剤の消費量が依然として非常に高いことの理由であると思われる。
【0011】
酸結合基のみならず非吸着性側鎖も含む重縮合生成物が、特許文献6に記載されており、この側鎖は、メラミンスルホン酸、ホルムアルデヒド、及びアミノ基を含むポリアルキレンオキシドの共重縮合によってその生成物に取り入れられている。
【0012】
しかしながら、この方法の不利な点は、第一に、アミノ基で官能化したポリアルキレンオキシドが高価であること、第二に、この方法では達成される重合度が低いことである。これが上記のポリカルボキシレートと比べて、得られるポリマーの効果に悪影響を及ぼしてしまう。
【0013】
このような非吸着性側鎖を有する、重縮合生成物のさらなる例は、特許文献7に開示されている。ここでは、ホルムアルデヒドの存在下で、エトキシル化フェノールが、ヒドロキシ安息香酸との重縮合に付される。
【0014】
しかしながら、その明細書に開示された10時間から12時間という反応時間は、経済的に実行可能な工業的実施にはあまり好適でない。さらに、ヒドロキシ安息香酸は比較的高価であり、また、それらの粉末の粘稠性のために、例えば液体よりも工業規模で計量するのが著しく困難である。
【0015】
【特許文献1】欧州特許出願公開第A214412号明細書
【特許文献2】独国特許第C1671017号明細書
【特許文献3】米国特許第5,707,445B1号明細書
【特許文献4】欧州特許第1110981A2号明細書
【特許文献5】欧州特許第1142847A2号明細書
【特許文献6】米国特許第5,750,634号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0780348Al号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、上記の不利な点を伴わない、新規の重縮合生成物を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の重縮合生成物は非吸着性側鎖と、吸着性結合基とを両方を含むものであり、これにより、くし型ポリカルボキシレートを用いて達成される可塑化作用に匹敵する分散による可塑化がもたらされ、且つ長期間にわたって、その効果が保たれる(「スランプ維持」)。さらに、少量でも効果が高く、合成が簡単で安価な可塑剤を提供するために、新規の重縮合生成物の合成では、工業規模で計量するのが困難な、高価な成分の使用は避けるべきである。
【0018】
この目的は、請求項1に係る重縮合生成物を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0019】
驚くことに、本発明の重縮合生成物によって、セメントなどの水硬性結合剤において、非常に良好な可塑化がもたらされることを見出した。本発明の重縮合生成物は、ナフタレンスルホネート又はメラミンスルホネートと比較して、少ない添加量を組み合わせることで建築材料に極めて良好な可塑化をもたらし、長期間に亘り保持することのできる流動性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る重縮合生成物は、3種までの成分A、B、及びCを構成要素とする、場合によっては成分Bを使用しないこともできる。
【0021】
成分Aは、炭素数5から10の芳香族化合物又は複素芳香族化合物であり、複素芳香族化合物において、炭素原子のいくつか、好ましくは1から5の炭素原子、より好ましくは1から3、最も好ましくは1又は2の炭素原子は、ヘテロ原子によって置換されている。好適なヘテロ原子は、例えば、O、N、S、及び/又はPである。本化合物は、平均して、1種以上の基、好ましくは1種の基を含む。それは、上記芳香族化合物又は複素芳香族化合物にO原子又はN原子を介して結合される、1分子当たり1から300の、オキシエチレン[−CH−CH−O−]及びオキシプロピレン[−CH(CH)−CH−O−及び/又は(−CH−CH(CH)−O−)]からなる群より選択される基を有している。
【0022】
このような基は均一の化合物であることができるが、2又は3の炭素原子を含むオキシアルキレン基(すなわち、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン)の数が異なり、当該オキシアルキレン基の端部のユニットの化学構造は同一である成分の混合物であることが有利なはずであり、また場合によっては、化学的に異なる芳香族化合物の混合物も使用することができる。これらのような混合物を与える、成分中に存在する1分子当たり2又は3の炭素原子からなるオキシアルキレン基の平均数は、1から300、好ましくは2から280、特に好ましくは10から200である。少なくとも3、特に少なくとも4、好ましくは少なくとも5、最も好ましくは少なくとも20のオキシアルキレン基を有する化合物も好ましい。
【0023】
実施形態において、好ましくはフェノール、ナフトール、アニリン、又はフルフリルアルコール誘導体が、芳香族化合物又は複素芳香族化合物Aとして使用される。本発明のために、成分AはOH、OR、NH、NHR、NR、C−C10アルキル、SOH、COOH、PO、及びOPOからなる群より選択される置換基(ここでC−C10アルキル基はまた、フェニル又は4−ヒドロキシフェニル基を有していてもよく、RはC−Cアルキル基である)を有することができる。
【0024】
成分Aの具体例は、1モルのフェノール、クレゾール、レソルシノール、ノニルフェノール、メトキシフェノール、ナフトール、メチルナフトール、ブチルナフトール、ビスフェノールA、アニリン、メチルアニリン、ヒドロキシアニリン、メトキシアニリン、フルフリルアルコール、又は/及びサリチル酸の、1から300モルのオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンラジカルとの付加体である。ホルムアルデヒドとの縮合の実施が容易であるという観点から、成分Aは、C−C10アルキル基を有することができるベンゼン誘導体の付加化合物であることが好ましい(例えば、フェノール)。特に好ましくはアルキレンオキシドとフェノールの付加化合物である。
【0025】
Aに対する芳香族の出発成分は、場合によっては2又は3の炭素原子を有する1種以上のオキシアルキレン基を既に含んでおくことができ、このような場合には、出発物質のオキシアルキレン基を含む成分と、付加反応によって付加されるオキシアルキレン基を持つ成分との両方のオキシアルキレン基の和が、1分子当たり1から300に及ぶ。
【0026】
そのポリ(オキシアルキレン)基がAに対する芳香族出発成分へ導入された物質は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドである。付加反応は、ランダムの順序又はブロック構造の形態のいずれかで行うことができる。成分Aのポリ(オキシアルキレン)基の末端のユニットは、ヒドロキシル基に限定されず、この基がホルムアルデヒド又はアルデヒド酸成分との縮合を妨げない限りにおいて、アルキルエーテル又はカルボン酸エステルからなることもできる。
【0027】
成分Bは、フェノール、フェノールエーテル、ナフトール、ナフトールエーテル、アニリン、フルフリルアルコール、並びに/又はメラミン(誘導体)、尿素(誘導体)、及びカルボキサミドからなる群より選択されるアミノプラスト形成剤、からなる群より選択される少なくとも1つの芳香族化合物である。
【0028】
好ましい実施形態において、芳香族化合物Bは、OH、NH、OR、NHR、NR、COOH、C−Cアルキル、SOH、PO、OPOからなる群より選択される置換基を有しており、ここで上記アルキル基はまた、フェニル又は4−ヒドロキシフェニル基を有してもよく、RはC−Cアルキル基又は(ポリ)オキシC−Cアルキレン基(1から300のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドユニットを有する)であり、また、それはOH、COOH、SOH、PO、OPOからなる群より選択される置換基を有してもよい。その例として挙げられるのは、フェノール、フェノキシ酢酸、フェノキシエタノール、フェノキシエタノールホスフェート(モノ−、ジ−、若しくはトリエステル、又はその混合物である)、フェノキシジグリコール、又はフェノキシ(ポリ)エチレングリコールホスフェート(モノ−、ジ−、若しくはトリエステル、又はその混合物である)、フェノキシジグリコールホスフェート、メトキシフェノール、レソルシノール、クレゾール、ビスフェノールA、ノニルフェノール、アニリン、メチルアニリン、N−フェニルジエタノールアミン、N−フェニル−N,N−ジプロパン酸、N−フェニル−N,N−二酢酸、N−フェニルジエタノールアミンジホスフェート、フェノールスルホン酸、アントラニル酸、コハク酸モノアミド、フルフリルアルコール、メラミン、及び尿素である。
【0029】
第三成分Cは、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、並びにその混合物からなる群より選択されるアルデヒド化合物であり、ここでベンズアルデヒドはさらに、COOM、SO、及びPOの式で表される酸性基(MはH、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Csなど、特にNa、K)若しくはアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Baなど)、アンモニウム、又は有機アミン基であり、aは1/2、1、又は2であってもよい)を有してもよい。通常、ホルムアルデヒドは、酸性基又はそれらの適切な塩を含むさらなるアルデヒドと組み合わせて使用される。ホルムアルデヒドを存在させずに重縮合を行うことも可能である。アルデヒド成分の少なくとも1つに酸性基が存在することが、得られるポリマーを可塑剤として使用するのに好ましく、これは可塑化効果に必要とされる、セメント粒子表面上へのポリマーの吸着させることができるためである。しかしながら、酸性基が、好適な成分Bを介して導入されるのであれば、酸性基を含むアルデヒドの使用を省くこともできる。好ましいアルデヒドの酸誘導体としてアルデヒドカルボン酸、アルデヒドスルホン酸、及びアルデヒドホスホン酸が挙げられる。特に好ましいのが、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、ベンズアルデヒドスルホン酸、又はベンズアルデヒドジスルホン酸の使用である。
【0030】
これらのアルデヒドの酸誘導体の一価塩又は二価塩として、好ましいのがアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム若しくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩、及びアンモニウム塩、又は有機アミンの塩の使用である。好ましい実施形態において、ホルムアルデヒドのアルデヒド酸成分に対する比は、1:0.1から1:100、より好ましくは1:0.5から1:50、最も好ましくは1:0.5から1:20である。
【0031】
アルデヒド成分は、好ましくはそれらの水溶液の形態で使用される。水溶液の形態で使用した場合は、工業的に実施される合成において成分の計量又は混合をかなり簡素化させるが、純粋な結晶若しくは紛状物質、又はそれらの水和物の使用も可能である。
【0032】
成分A、B、及びCのモル比は、広い数値範囲内で変動可能であるが、成分C:A(適用可能であればA+B)のモル比は1:0.01から1:10が好ましい。より好ましくは1:0.1から1:8に設定することである。また、成分A:Bのモル比は10:1から1:10に設定するのが特に有利である。
【0033】
本発明の縮合生成物は、成分A、任意成分としてのB、及び成分Cを脱水触媒の存在下に水溶液中で、20から140℃の温度且つ1barから10barの圧力にて縮合させることによって調製される。
【0034】
本発明において用いられる触媒は、塩酸、リン酸、硫酸又他の強鉱酸などの無機酸である。特に好ましいのは、硫酸の使用であるが、使用することのできる酸は上記の酸に限定されない。
【0035】
好ましい実施形態において、本発明の重縮合生成物は、a)成分Bと、アルデヒド成分Cの水溶液とを20℃から95℃の温度で0.1時間から10時間予備縮合し、次いでb)成分Aと、アルデヒド成分Cの水溶液を添加し、20℃から140℃の温度で0.1時間から24時間、触媒の存在下で縮合が完結するという、二段プロセスで調製される。
【0036】
工程a)における好ましい温度範囲は40℃から90℃であり、工程b)では60℃から130℃である。モノマーA及びBに添加されるアルデヒド成分の総量の比は、1:0.01から1:10である。好ましくは1:0.1から1:8、より好ましくは1:0.2から1:5である。
【0037】
重縮合の進行は、粘度の明確な増大によって特徴付けられる。所望の粘度に達すれば、冷却及び塩基性化合物の添加によって重縮合を停止する。重縮合生成物及び触媒の中和は、通常用いられるアルカリ化合物、又は塩、特に水酸化物を使用して行う。中和のために好ましいのは、水酸化ナトリウムの使用である。
【0038】
好ましい実施形態において、重縮合反応終了後の反応溶液は、8.0から13.0のpHで60℃から120℃の温度での熱による後処理に付す。この熱による後処理は、通常10分から3時間連続して行い、これによって反応溶液のアルデヒド含有量、特にホルムアルデヒド含有量を著しく低減させることが可能となる。上記のいわゆるカニッツアロ反応による遊離ホルムアルデヒドの除去に加えて、当然ながら、例えばメラミン−及びフェノール−ホルムアルデヒド樹脂の化学より知られているような、過剰のホルムアルデヒドを低減させる他の既知の方法をいずれでも使用することができる。ホルムアルデヒド吸収剤として少量の亜硫酸水素ナトリウムを添加することが、その一例として挙げられる。
【0039】
本発明の範囲において、水酸化ナトリウムでの中和の際に形成される硫酸ナトリウムを、重縮合反応が完結した後に分離除去することもでき、その目的で供給源を様々なものにすることが可能である。
【0040】
本発明において、反応溶液のpHを1.0から4.0、好ましくは1.5から2.0にし、それにより重縮合生成物を固体として沈殿させて反応容器の底に沈降させるのが特に好ましい。次いで、上清の塩水溶液を分離除去することができ、残存する大半が塩不含の遊離重縮合生成物は、所望の固体濃度が得られるような量の水にて再度取得することができる。
【0041】
代わりに、本発明において形成される硫酸カルシウムを溶液から石膏の形態で沈殿させ、かくして濾過により分離除去できるように、水酸化カルシウム溶液を用いて中和反応を行なうことができる。中和は、硫酸カルシウムの代わりにBa(OH)を使用して行うこともできる。その場合、可溶性の低い硫酸バリウムが遊離型の硫酸と共に形成され、次いでこれを濾去して塩不含のポリマーを得ることができる。さらに、透析又は限外濾過によって、望ましくない硫酸ナトリウムを分離除去することも可能である。実現はさらに技術的に困難であるが、水酸化ナトリウムで中和した水溶液を、水と混和しうる有機溶媒(メタノール、アセトン)に導入し、沈殿した硫酸ナトリウムを濾去して、重縮合生成物を含む溶液を蒸発させ、その後、再度水中において取得することができる。
【0042】
上記成分の縮合によって得られる重縮合生成物は、縮合において得られる形態で、すなわち遊離酸の形態にて、可塑剤として使用することができる。しかしながら、ポリマーの保存及び使用の観点から、重縮合生成物の中和によって得られる塩が好ましい。重縮合生成物の中和塩の例として、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム若しくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩、及びアンモニウム塩、又は有機アミンの塩が挙げられる。
【0043】
本発明の重縮合生成物は、無機結合剤ベースの水性懸濁液用の混和剤として、特にセメントや、石灰及び石膏プラスターにも非常に好適である。この目的のために、本発明の重縮合生成物は無機結合剤の重量に基づき0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%の量にて使用される。本発明の重縮合生成物は、ホルムアルデヒドを用いた重縮合生成物ベースの既知の混和剤と比較して格段に少ない使用量で、建築材料混合物の加工性を著しく改善させる。
【0044】
本発明の重縮合生成物の好適なアルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物塩は、特異的に選択することによって、中和プロセスを介して作製することができる。それによって、無機結合剤、特にコンクリートの水性懸濁液の加工性の程度に影響を及ぼされうる。例えば、ホスフェート含有フェノール樹脂の形態の本発明の重縮合生成物が上記のように水酸化ナトリウムでなく水酸化カルシウムで中和される場合、スランプの進展の工程は時間と共に変化する。ナトリウム塩の場合、加工性の低下を経時的に観察することができるが、当該性能は同じポリマーのカルシウム塩の場合に完全に逆になる。開始時には、水のわずかな低減がある(低スランプ)が、時間の経過につれて当該スランプは増加する。これに関し、カリウム塩及びバリウム塩は、ナトリウム塩と同じように作用する。これは、例えばコンクリート又はモルタルなどの結合剤含有集塊の加工性が経時的に低下することを意味している;しかしながら、カルシウム塩の場合、スランプは経時的に、非常に激しく増加する。
【0045】
以下の実施例により、本発明を説明する。
【実施例】
【0046】
[フェノキシエタノールホスフェートの調製]
1モルのフェノキシエタノールをキシレン中、1.1モルのHPOの存在下で、水分離器上で共沸を利用してエステル化をする。冷却することで沈殿する反応生成物を濾去し、石油エーテルで洗浄して乾燥させて白色粉末を得る。フェノキシエタノールホスフェート(フェノキシエタノールジヒドロゲンホスフェート)に加えて、本反応において形成されうるリン酸ジエステルの量(2−フェノキシエタノールヒドロゲンサルフェート、0〜50%)は、その後に起こる重縮合を妨害するものではなく、これも重縮合物に組み入れられる。
【0047】
請求項に記載の他のホスフェートも全て、適切なヒドロキシ化合物からこの方法によって調製することができる。
【0048】
オルトリン酸を用いた共沸のエステル化の他に、所望のリン酸エステルは、リン酸エステルを合成する既知の他のあらゆる方法を用いて調製することもできる。
【0049】
[本発明の重縮合物の調製1]
1モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(1000g/モル)、2モルのフェノキシエタノールホスフェート(又は、2−フェノキシエタノールジヒドロゲンホスフェートと2−フェノキシエタノールヒドロゲンホスフェートとの混合物)、16.3モルの水、及び2モルのHSOを反応容器に入れて攪拌する。37%水溶液の形態にある3モルのホルムアルデヒドを、このようにして形成した溶液に滴下する。重縮合反応を、105℃、5時間で反応は完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液を用いて反応混合物のpHを10.5にする。105℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合生成物のモル質量をゲル濾過クロマトグラフィーによって求めると、22000g/モルの数値が得られる。
【0050】
[本発明の重縮合物の調製2]
1モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(2000g/モル)、2モルのフェノキシエタノールホスフェート(又は、2−フェノキシエタノールジヒドロゲンホスフェートと2−フェノキシエタノールヒドロゲンホスフェートとの混合物)、16.3モルの水、及び2モルのH2SO4を反応容器に入れて攪拌する。37%水溶液の形態にある3モルのホルムアルデヒドを、このようにして形成した溶液に滴下により添加する。重縮合反応は、105℃、5時間で完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液によって反応混合物のpHを10.5にする。105℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合産物のモル質量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めると、20000g/モルの数値が得られる。
【0051】
[本発明の重縮合物の調製3]
1モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(1000g/モル)、2モルのフェノキシエタノールホスフェート(又は、2−フェノキシエタノールジヒドロゲンホスフェートと2−フェノキシエタノールヒドロゲンホスフェートとの混合物)、0.51モルのフェノール、8.1モルの水、及び1モルのHSOを反応容器に入れて攪拌する。37%水溶液の形態にある3モルのホルムアルデヒドを、このようにして形成した溶液に滴下により添加する。重縮合反応は、105℃、5時間で完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液によって反応混合物のpHを10.5にする。105℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合産物のモル質量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めると、20000g/モルの数値が得られる。
【0052】
[本発明の重縮合物の調製4]
1モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(1000g/モル)、2モルのフェノキシエタノールホスフェート(又は、2−フェノキシエタノールジヒドロゲンホスフェートと2−フェノキシエタノールヒドロゲンホスフェートとの混合物)、1モルのフェノキシエタノール、16.3モルの水、及び2モルのHSOを反応容器に入れて攪拌する。37%水溶液の形態にある4モルのホルムアルデヒドを、このようにして形成した溶液に滴下により添加する。重縮合反応は、105℃、5時間で完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液によって反応混合物のpHを10.5にする。105℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合産物のモル質量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めると、21000g/モルの数値が得られる。
【0053】
[本発明の重縮合物の調製5]
1モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(2000g/モル)、2モルのフェノキシエタノールホスフェート(又は、2−フェノキシエタノールジヒドロゲンホスフェートと2−フェノキシエタノールヒドロゲンホスフェートとの混合物)、1モルのフェノール、16.3モルの水、及び2モルのHSOを反応容器に入れて攪拌する。37%水溶液の形態にある3モルのホルムアルデヒドを、このようにして形成した溶液に滴下により添加する。重縮合反応を、105℃、5時間で完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液によって反応混合物のpHを10.5にする。105℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合産物のモル質量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めると、29000g/モルの数値が得られる。
【0054】
[本発明の重縮合物の調製6]
2モルのフェノール、及び3.3モルのグリオキシル酸を反応容器に入れて、80℃にて1時間攪拌する。その後、1モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(1000g/モル)、24.3モルの水、及び3モルのHSOを添加する。1.7モルのホルムアルデヒド、及び1.7モルのグリオキシル酸を、このようにして形成した透明溶液に滴下により添加する。温度を110℃にまで上昇させ、重縮合を5時間で完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液によって反応混合物のpHを10.5にする。110℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合産物のモル質量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めると、22000g/モルの数値が得られる。
【0055】
[本発明の重縮合物の調製7]
0.6モルのフェノール、0.06モルのホルムアルデヒド、及び0.6モルのグリオキシル酸を反応容器に入れて、80℃にて1時間攪拌する。その後、0.3モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(1000g/モル)、8.2モルの水、及び1モルのHSOを添加する。0.5モルのホルムアルデヒド、及び0.5モルのグリオキシル酸を、このようにして形成した透明溶液に滴下により添加する。温度を110℃にまで上昇させ、重縮合を5時間で完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液によって反応混合物のpHを10.5にする。110℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合産物のモル質量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めると、31000g/モルの数値が得られる。
【0056】
[本発明の重縮合物の調製8]
1モルのフェノール、及び1モルのグリオキシル酸を反応容器に入れて、80℃にて1時間攪拌する。その後、0.5モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(2000g/モル)、13.9モルの水、及び1.7モルのHSOを添加する。0.8モルのホルムアルデヒド、及び0.8モルのグリオキシル酸を、このようにして形成した透明溶液に滴下により添加する。温度を110℃にまで上昇させ、重縮合を5時間で完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液によって反応混合物のpHを10.5にする。110℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合産物のモル質量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めると、22000g/モルの数値が得られる。
【0057】
[本発明の重縮合物の調製9]
1.5モルのフェノール、0.5モルのアントラニル酸、及び2モルのグリオキシル酸を反応容器に入れて、80℃にて1時間攪拌する。その後、1モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(1000g/モル)、12.2モルの水、及び1.5モルのHSOを添加する。1.7モルのホルムアルデヒド、及び1.7モルのグリオキシル酸を、このようにして形成した透明溶液に滴下により添加する。温度を110℃にまで上昇させ、重縮合を5時間で完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液によって反応混合物のpHを10.5にする。110℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合産物のモル質量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めると、20000g/モルの数値が得られる。
【0058】
[本発明の重縮合物の調製10]
1モルのフェノール、1モルのフェノールスルホン酸、及び2モルのグリオキシル酸を反応容器に入れて、80℃にて1時間攪拌する。その後、1モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(1000g/モル)、12.2モルの水、及び1.5モルのHSOを添加する。1.7モルのホルムアルデヒド、及び1.7モルのグリオキシル酸を、このようにして形成した透明溶液に滴下により添加する。温度を110℃にまで上昇させ、重縮合を5時間で完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液によって反応混合物のpHを10.5にする。110℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合産物のモル質量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めると、21000g/モルの数値が得られる。
【0059】
[本発明の重縮合物の調製11]
1モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(1000g/モル)、4モルのフェノキシ酢酸、40.9モルの水、及び5モルのHSOを反応容器に入れて、攪拌する。37%水溶液の形態にある6モルのホルムアルデヒドを、このようにして形成した溶液に滴下により添加する。重縮合反応を、105℃、5時間で完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液によって反応混合物のpHを10.5にする。105℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合産物のモル質量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めると、23000g/モルの数値が得られる。
【0060】
[本発明の重縮合物の調製12]
1モルのポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(1000g/モル)、5モルのフェノキシ酢酸、49モルの水、及び6モルのHSOを反応容器に入れて攪拌する。37%水溶液の形態にある8モルのホルムアルデヒドを、このようにして形成した溶液に滴下により添加する。重縮合反応を、105℃、3時間で完結する。反応の終了後に、20%のNaOH水溶液によって反応混合物のpHを10.5にする。105℃でさらに30分間経過の後、混合物を室温にまで冷却し、水を添加することによって固形分を約30質量%に調整する。このようにして得られた重縮合産物のモル質量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めると、14000g/モルの数値が得られる。
【0061】
[減水能及び90分間にわたる流動性の維持を調べるためのモルタル試験]
試験は、DIN EN 1015−3に従って行った。セメント:CEMI 42,5R、Karlstadt社製。表1はモルタルの拡散テストの結果である。市販のスルホン化されたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂MelmentL10及び、市販のスルホン化されたナフタレン−ホルムアルデヒド樹脂LomarDは基準物質としての役割を果たした。
【0062】
【表1】

【0063】
本発明に係るポリマーは、モルタルにおいて明瞭な可塑化効果を示す。本発明に係るポリマーの場合、この可塑化効果は、市販のホルムアルデヒド縮合樹脂を用いる場合より著しく少量であっても成し遂げられる。さらに、本発明に係るポリマーの場合のモルタル混合物の加工性は、市販品の場合よりも格段に長期間保たれることがある。
【0064】
[D.減水能及び90分間にわたる流動性の維持を調べるためのコンクリート試験]
試験は、DIN EN 206−1、DIN EN 12350−2、及びDIN EN 12350−5に従って行った。
【0065】
セメント:CEMI 52,5 R Bernburger社製、温度:20℃。結果を表2に要約する。
【0066】
表2はコンクリートテストの結果である。:D−1〜D−8、D−10〜D12については固形分に基づいて0.24%加えられる。D−9については、固形分に基づいて0.18%加えられる。D−13、D−14については、固形分に基づいて0.40%が加えられる。この一連の試験については、その水/セメント比が、混合後の全てのサンプルについて約20cmのスランプ値が得られるように選ばれた。この場合も、市販のスルホン化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂であるMelment L10(登録商標)、及び市販のスルホン化ナフタレン−ホルムアルデヒド樹脂であるLomar(登録商標)Dを、基準物質として利用した。
【0067】
【表2】

【0068】
モルタルの場合と同様に、本発明に係る重縮合生成物はコンクリートにおいても明瞭な可塑化作用を示す。本発明に係る重縮合産物の場合、この可塑化作用は、市販のホルムアルデヒド縮合樹脂を用いる場合より著しく少量であっても成し遂げられる。さらに、本発明に係るポリマーの場合のコンクリート混合物の加工性は、市販品の場合よりも格段に長期間保たれることがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)5から10の炭素原子又はヘテロ原子を有する芳香族化合物又は複素芳香族化合物であって、該芳香族化合物又は複素芳香族化合物にO原子又はN原子を介して結合される、1分子当たり平均して1から300の、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含む、芳香族化合物又は複素芳香族化合物、
B)フェノール、フェノールエーテル、ナフトール、ナフトールエーテル、アニリン、フルフリルアルコール及び/又はメラミン(誘導体)、尿素(誘導体)及びカルボキサミドからなる群より選択されるアミノプラスト形成剤からなる群より選択される、任意成分としての少なくとも1つの芳香族化合物、並びに
C)ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、又はその混合物からなる群より選択されるアルデヒド(ここでベンズアルデヒドはさらに、COOM、SO、及びPOの式で表される酸性基(MはH、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム、又は有機アミン基であり、aは1/2、1、又は2であってもよい)を有してもよい)からなる重縮合生成物。
【請求項2】
成分Aが、フェノール、ナフトール、アニリン、又はフルフリルアルコール誘導体からなることを特徴とする請求項1に記載の重縮合生成物。
【請求項3】
前記成分Aがさらに、OH、OR、NH、NHR、NR、C−C10アルキル、SOH、COOH、PO、OPOからなる群より選択される置換基(ここでC−C10アルキル基はまた、フェニル基又は4−ヒドロキシフェニル基を有していてもよく、RはC−C基である)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の重縮合生成物。
【請求項4】
前記成分Aが、フェノール、クレゾール、レソルシノール、ノニルフェノール、メトキシフェノール、ナフトール、メチルナフトール、ブチルナフトール、ビスフェノールA、アニリン、メチルアニリン、ヒドロキシアニリン、メトキシアニリン、フルフリルアルコール、及びサリチル酸からなる群より選択される化合物に由来することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の重縮合生成物。
【請求項5】
前記芳香族化合物Bが、OH、NH、OR、NHR、NR、COOH、C−Cアルキル、SOH、PO、OPOからなる群より選択される置換基(ここで上記アルキル基はまた、フェニル又は4−ヒドロキシフェニル基を有してもよく、RはC−Cアルキル基又は(ポリ)オキシC−Cアルキレン基であり、また、OH、COOH、SOH、PO、OPOからなる群より選択される置換基を有してもよい)を有することを特徴とする請求項4に記載の重縮合生成物。
【請求項6】
成分Bが、フェノール、フェノキシ酢酸、フェノキシエタノール、フェノキシエタノールホスフェート、フェノキシジグリコール、フェノキシ(ポリ)エチレングリコールホスフェート、メトキシフェノール、レソルシノール、クレゾール、ビスフェノールA、ノニルフェノール、アニリン、メチルアニリン、N−フェニルジエタノールアミン、N−フェニル−N,N−ジプロパン酸、N−フェニル−N,N−二酢酸、N−フェニルジエタノールアミンジホスフェート、フェノールスルホン酸、アントラニル酸、コハク酸モノアミド、フルフリルアルコール、メラミン、尿素からなる群より選択される化合物であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の重縮合生成物。
【請求項7】
アルデヒド成分Cが、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、ベンズアルデヒド、ベンズアルデヒドスルホン酸、及びベンズアルデヒドジスルホン酸からなる群より選択される化合物であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の重縮合生成物。
【請求項8】
前記アルデヒド成分C:前記成分A(適用可能であればA+B)のモル比が、1:0.01から1:10、特には1:0.1から1:8であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の重縮合生成物。
【請求項9】
前記成分A:前記成分Bのモル比が、10:1から1:10であることを特徴とする請求項1から8に記載の重縮合生成物。
【請求項10】
前記成分A、任意成分としてのB、及び前記アルデヒド成分Cを脱水触媒の存在下に水溶液中で、20から140℃の温度且つ1から10barの圧力にて縮合させることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の縮合生成物を調製するための方法。
【請求項11】
a)前記成分Bと、前記アルデヒド成分Cの水溶液とを20から95℃の温度で予備縮合し、
b)前記成分Aと、前記アルデヒド成分Cの水溶液とを次いで添加し、
触媒の存在下に20から140℃の温度で縮合を完結することを特徴とする請求項10に記載の縮合生成物を調製するための方法。
【請求項12】
脱水触媒として硫酸を使用することを特徴とする請求項10又は11に記載の縮合生成物を調製するための方法。
【請求項13】
縮合反応終了後の反応混合物を、8.0から13.0のpHで、60℃から120℃の温度にて熱の後処理に付すことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の縮合生成物を調製するための縮合生成物を調製するための方法。
【請求項14】
中和の際に形成される硫酸ナトリウムを分離除去することを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の縮合生成物を調製するための方法。
【請求項15】
反応溶液を、1.0から4.0、特には1.5から2.0のpHにして重縮合生成物を沈殿させ、塩水溶液は分離除去して、塩不含の重縮合生成物を所望の固形分が得られるような量の水に溶解させることを特徴とする請求項14に記載の縮合生成物を調製するための方法。
【請求項16】
無機結合剤、特にセメント、石灰、及び石膏プラスターの水性懸濁液用の混和物としての、請求項1から9のいずれかに記載の縮合生成物の使用。
【請求項17】
前記縮合生成物が、前記無機結合剤の重量に基づき0.01質量%から10質量%、特に0.05質量%から5質量%の量で使用されることを特徴とする請求項16に記載の縮合生成物の使用。

【公表番号】特表2008−517080(P2008−517080A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536102(P2007−536102)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011082
【国際公開番号】WO2006/042709
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】