説明

苦味活性成分の口腔内崩壊錠

本発明は、(A)カルボン酸基(COO-)を含む弱カチオン交換樹脂により複合体化された、好ましくは酸付加塩の形態である、少なくとも1種のアミノ化薬理学的活性成分、及び(B)活性成分/弱カチオン交換樹脂複合体の総重量に対して少なくとも15重量%の少なくとも1種の親水性吸着剤を含み、前記構成成分(A)及び(B)の混合物が胃溶解性ポリマーで被覆されている被覆顆粒に関する。本発明は、そのような顆粒を調製する方法、及びそのような顆粒を含む口腔内崩壊錠にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不快な味覚特性をカチオン交換樹脂による複合体形成と被覆との両方によりマスキングされた薬理学的活性成分を含む被覆顆粒に関する。本発明はまた、そのような被覆顆粒を含む口腔内崩壊錠に関する。
【背景技術】
【0002】
嫌な味覚特性、例えば苦味を有する薬理学的活性物質をカチオン交換樹脂と合せることにより複合体化することは公知である。例えば、米国特許第6193962号、米国特許第5811436号、及び米国特許第6514492号は、水相中に懸濁液の形態で、架橋ポリメタクリル酸樹脂により複合体化された活性成分を含む液体製剤を開示している。米国特許第5219563号は、架橋ポリメタクリル酸により複合体化された苦味活性成分(ラニチジン)の、非被覆乾燥顆粒を開示している。
【特許文献1】米国特許第6193962号
【特許文献2】米国特許第5811436号
【特許文献3】米国特許第6514492号
【特許文献4】米国特許第5219563号
【特許文献5】仏国特許出願第2679451号
【特許文献6】仏国特許出願第2766086号
【特許文献7】仏国特許出願第2785538号
【特許文献8】仏国特許出願第2790387号
【特許文献9】仏国特許出願第2831820号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、不快な味覚をマスキングする必要がある活性物質の口腔内崩壊錠を開発する目的の研究に関連して、本出願人は、カチオン交換樹脂を複合体化することにより味覚を単にマスキングすることは、特に苦味があり、及び/または口の中に灼熱感を残すいくつかの物質、例えばフルオキセチンには不十分であることに気がついた。
【0004】
ある活性成分の不快な味覚を胃溶解性ポリマーで被覆することによってマスキングすることは、当業者にさらに広く知られている。しかしながら、非常に顕著な苦味と口の中に灼熱感を残すフルオキセチンなどの物質の場合、そのような被覆でマスキングすることは、相対的に効果がなく、多すぎる量のポリマーを必要とする。それ故に、フルオキセチンを50重量%のポリマーで被覆すると、その分子の苦味をかろうじてマスキングすることができるが、この値を超えた範囲の量では、0.1NのHCl溶液において15分間で85重量%を超える溶解率を要求するフルオキセチン錠に対するUSPモノグラフの規格に準拠する酸性媒体中での溶解動力学を得ることは不可能である。
【0005】
従って、依然として、特に不快な味覚特性を有する薬理学的活性物質の口腔内崩壊錠が必要とされており、それは、優れた味覚マスキングと酸性媒体中での活性成分の急速な放出を併せたものである。
【0006】
本出願人は、驚いたことに、非常に苦く、及び/または口腔粘膜中で灼熱感を引き起こす活性成分の薬理学的製剤を調製することが可能であり、それは、公知の方法で、活性成分をカルボン酸基を含む弱カチオン交換樹脂と複合体化し、樹脂/活性成分の複合体に対して少なくとも15重量%の少なくとも1種の親水性吸着剤の存在下で、その得られた複合体の顆粒化を実施した後、得られた顆粒を胃溶解性ポリマーで被覆することによって、活性成分の味覚を効果的にマスキングし、酸性媒体中で急速に溶解することを可能にすることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の一主題は、
(A)カルボン酸基(COO-)を含む弱カチオン交換樹脂により複合体化された、好ましくは酸付加塩の形態である、少なくとも1種のアミノ化薬理学的活性成分;及び
(B)活性成分/弱カチオン交換樹脂複合体の総重量に対して少なくとも15重量%の、少なくとも1種の親水性吸着剤;
の混合物を含む核により形成され、前記核は、胃溶解性ポリマーで被覆されている構成要素(A)及び(B)の混合物を含む被覆顆粒である。
【0008】
本発明の別の主題は、そのような被覆顆粒と、崩壊剤、希釈剤、直接圧縮のための賦形剤、フロー剤、潤滑剤、甘味料及び香味料から選択される1種以上の補助剤とを含む口腔内崩壊錠である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による顆粒及び口腔内崩壊錠の形態で製剤されうる活性成分は、原則的に、カチオン交換樹脂のカルボキシル基とイオン結合を形成することができるアミン官能基を含む、任意の水溶性薬理学的活性分子であってよい。もちろん、好ましくは、活性成分は、摂取の間に効果的なマスキングを必要とする、不快な味覚特性を有する。上記で説明したように、本発明は、特に非常に苦く及び/または口腔内粘膜において灼熱感を残す活性成分、例えば、フルオキセチン、リスペリドン、及びほとんどの抗生物質など、公知の味覚をマスキングする手法が不十分であり、または適していない活性成分に関して特に重要である。
【0010】
一般に、活性成分は、非プロトン化形態と比べて高い水溶性を有する酸付加塩の形態で用いられ、その溶解性は、一般に水相中で行われるカチオン交換樹脂による活性成分の複合体化工程において必須である。原則的に、公知の薬理学的に許容できる酸の添加から生じる任意の塩を用いることが可能である。1つの好ましい酸は、塩酸である。
【0011】
前記カチオン交換樹脂は、-COO-官能基を含む弱カチオン交換樹脂である。そのような樹脂は、弱塩基性、中性または弱酸性のpH(唾液のpH:7±0.5)では複合体化された活性成分を効果的に保持するが、高濃度のプロトンがカルボキシル部位のプロトン化のためにカチオン交換樹脂の解離平衡を移動させる強酸性媒体中では急速に放出するという利点がある。
【0012】
これらのカチオン交換樹脂は、水を含むすべての溶媒に、あらゆるpH値において不溶性となるために架橋される。それらは、ヒトに吸収されず、非毒性賦形剤になる。本発明において用いられるカチオン交換樹脂は、少なくとも5mEq/g、好ましくは少なくとも10mEq/g、特に10〜30mEq/gに相当するイオン交換能を有することが好ましい。
【0013】
好ましい弱カチオン交換樹脂の例として、例えば、アンバーライト(AMBERLITE)(登録商標)IRP88という名称でRohm and Haas社から販売されており、INDION 234という名称でIndion Resins社から販売されている、メタクリル酸/ジビニルベンゼンコポリマーを挙げることができる。
【0014】
活性成分の味覚を効果的にマスキングするために、カチオン交換樹脂は、好ましくは少なくとも活性成分と同じ重量、特に活性成分よりも多い重量で用いられる。活性成分/樹脂の重量比が、1〜4、好ましくは1.5〜2.5のときに、満足な結果を与える。活性成分/カチオン交換樹脂複合体の調製を、以下に詳細に記載し、実施例において説明する。
【0015】
上に示したように、活性成分/カチオン交換樹脂複合体の顆粒化は、比較的大量、少なくとも活性成分/弱カチオン交換樹脂複合体の総重量に対して15重量%の少なくとも1種の親水性吸着剤の存在下で実施しなければならない。この大量の親水性吸着剤は、一方では過剰の水分を複合体化工程の最後に吸着させ、活性成分/弱カチオン交換樹脂複合体を錠剤などの乾燥製剤で使用することを可能にし、通常、活性成分の放出を妨げる傾向がある複合体化及び被覆による二重の保護にもかかわらず、酸性媒体中での複合体活性成分の急速な溶解を促進する。
【0016】
好ましくは、フルオキセチンの場合、活性成分/弱カチオン交換樹脂複合体の総重量に対して少なくとも15重量%の量の親水性吸着剤が存在すると、0.1NのHCl溶液において15分間で85重量%を超える溶解率を要求している、フルオキセチン錠剤に対するUSPモノグラフの規格に準拠する酸性媒体中の溶解動力学を得ることが可能となる。
【0017】
顆粒化に一般的に用いられている、セルロース誘導体、特に微結晶性セルロース、デンプン、ラクトース、特にラクトース一水和物、ポリオール、及び例えばAerosilなどのコロイドシリカ、好ましくはSYLOID 244 FP等の沈降シリカなどの任意の親水性吸着剤または複数の親水性吸着剤の組合せが可能である。本発明における顆粒の1つの好ましい実施形態において、これらの顆粒は、活性成分/弱カチオン交換樹脂複合体の総重量に対して、15〜50重量%、特に20〜40重量%の少なくとも1種の親水性吸着剤を含む。
【0018】
好ましい一実施形態において、微結晶性セルロース及びコロイドシリカの組合せを、親水性吸着剤として用いる。
【0019】
特に好ましい本発明の一実施形態において、活性成分/弱カチオン交換樹脂複合体は、少なくとも15重量%の微結晶性セルロースと少なくとも5重量%のコロイドシリカの存在下で顆粒化させる。
【0020】
活性成分/弱カチオン交換樹脂複合体と、活性成分/弱カチオン交換樹脂複合体の総重量に対して少なくとも15重量%の少なくとも1種の親水性吸着剤の両方を含む得られた顆粒は、カチオン交換樹脂で複合体化されていない可能性のある活性成分残部の味覚を効果的にマスキングするのに十分な量の1種または複数種の胃溶解性ポリマーで被覆される。
【0021】
語句「胃溶解性ポリマー」は本発明において、塩基性または中性の水性媒体に不溶性であり、一般にpHが1〜3である胃の酸性媒体と接触したときに、完全にその中に溶解する任意のポリマーを意味すると理解される。
【0022】
胃溶解性ポリマーは公知であり、例えば、セルロース誘導体及びメタクリル酸ポリマーから選択することができる。適当なセルロース誘導体の例として、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースを挙げることができる。顆粒を被覆する胃溶解性ポリマーとして用いることができるメタクリルポリマーは、例えば、オイドラギット(EUDRAGIT)E100(メタクリル酸アルキル/メタクリル酸アミノアルキルのコポリマー)である。
【0023】
残部の味覚を十分にマスキングするのに必要な胃溶解性ポリマーの量は、被覆前の顆粒の総重量に対して、一般に5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、特に15〜30重量%である。被覆は公知技術に従い、例えば、ポリマーの水性及び/またはアルコール性の溶液を、流動層において浮遊される顆粒の上に噴霧して行うことができる。
【0024】
本発明の最後の主題は、被覆顆粒を製造する方法であり、
(a)水性媒体中で、少なくとも1種のアミノ化薬理学的活性成分を、カルボキシル基(-COO-)を含む弱カチオン交換樹脂により複合体化する工程;
(b)複合体化のために用いた水分を少なくともまだいくらか含む、得られた活性成分/樹脂複合体を、前記活性成分/樹脂複合体の総重量に対して、少なくとも15重量%、好ましくは15〜50重量%の少なくとも1種の親水性吸着剤の存在下で顆粒化する工程;及び
(c)工程(b)において得られた顆粒を、少なくとも1種の胃溶解性ポリマーで被覆する工程;
を含む方法である。
【0025】
カチオン交換樹脂による活性成分(1種または複数種)の複合体化は、単にこれらの2つの構成成分を水性媒体中で攪拌しながら接触させて行う。一般に、そして好ましくは、まず、活性成分を水性媒体の中に分散して、少なくとも部分的に活性成分を溶解する。次いで、カチオン交換樹脂を一度にまたは数回に分けてその中に加え、全体の集合体を活性成分のほぼすべての複合体化を得るのに十分な時間攪拌する。複合体化工程は、溶解した活性成分が水性溶媒によって膨潤した不溶性樹脂粒子に浸透しなければならないので、比較的ゆっくりである。活性成分のほとんどすべての複合体化を得るのに必要な混合物攪拌時間は、一般に少なくとも1時間、好ましくは2〜4時間である。ポリメタクリル酸樹脂の架橋によるフルオキセチンの複合体化の場合、本出願人は、2時間後に98%の活性成分がその樹脂により複合体化されたことを観察している。しかしながら、口腔味覚試験では、複合体化時間を3時間に延長することが好ましいことを示している。本発明の方法の別の実施形態において、複合体化は2つの工程で行われることがある。樹脂の一部を複合体化する第1の工程、次いで懸濁液のろ過、及び残りの樹脂画分をまだ複合体化されていない低濃度の活性成分を含むろ液と接触させる工程である。
【0026】
複合体化工程の最後では、活性成分/樹脂複合体は乾燥されず、複合体化工程で用いられた水の少なくとも一部とともに、次の顆粒化工程にかける。複合体化の水の一部、一般に30〜70%を、ろ過、沈降、遠心分離または脱水による沈殿、あるいはそれらの技法の組合せなどの適当な技術によって除去する。本出願人は、特にろ過バッグ(実施例1を参照)中で遠心分離を行って複合体を脱水する技術を開発し、この方法は、およそ50重量%の水を除去することが可能であり、現在用いられている沈降後に上清を吸引する方法よりもかなり速い。
【0027】
次いで、親水性吸着剤(1種または複数種)を、まだ湿潤である複合体に混合し、全体の集合体を公知の方法に従って顆粒化する。
【0028】
このようにして得られた顆粒の被覆は、任意の適当な公知技術によって行うこともまた可能であり、例えば、場合により1種以上の補助剤を添加した胃溶解性ポリマーの溶液を流動層に浮遊させた顆粒の上に噴霧して行うことができる。
【0029】
上記の方法で得られた顆粒からの、本発明における口腔内崩壊錠の調製は、公知の方法(例えば、本出願人による仏国特許出願第2679451号、第2766086号、第2785538号、第2790387号、第2831820号を参照)で、上記の被覆顆粒を、例えば崩壊剤、希釈剤、好ましくは糖類またはポリオールなどの可溶性希釈剤、直接圧縮のための賦形剤、フロー剤、潤滑剤、甘味料、及び香味料から選択される1種以上の公知の補助剤と混合し、錠剤プレス機で乾式錠剤化して行われる。
【0030】
本発明を、次の典型的な実施形態を用いて以下に説明する。
【実施例】
【0031】
<実施例1:フルオキセチンの口腔内崩壊錠の調製>
−複合体化(方法の工程(a))−
100gのフルオキセチン塩酸塩と、200gのアンバーライト(AMBERLITE)IRP88樹脂(ジビニルベンゼンにより架橋されたポリメタクリル酸)を秤量し、次いで、ふるい分けをした(630μmのふるい)。800gの純水を攪拌し、次いで、フルオキセチンをそこに約5分間にわたってゆっくりと導入した。その混合物を約5分間攪拌し続けた後、アンバーライト(AMBERLITE)IRP88を約10分間にわたってゆっくりと加えた。その懸濁液の濃厚化が観察されたが、非常に急速に再液体化した。このようにして得られた混合物を、泡の形成を避けるために、その攪拌機が耐えられる最小の攪拌速度に制限するよう注意しながら2時間攪拌し続けた。
【0032】
−形成された複合体の脱水−
上記工程(a)で得られた混合物を、400rpmの速度で回転する遠心分離機(Rousselet RC20遠心分離機)のバスケット内に置く、ポリプロピレンろ過バッグ(多孔度:1〜5μm)に入れた。曇った、オフホワイト色の非常に細かい粒子の懸濁液であるろ液を回収し、残留物を含むろ過バックの中に再度入れた。このろ液の再循環は2度実施し、遠心分離機の速度を、各再循環工程の間に500〜1000rpmの速度に上げた。ろ液の最後の再循環工程の後、遠心分離機を数分間回転させた。1秒間に1滴の割合でろ液が回収されたならば、遠心を停止させた。このようにして最初に使用した水の約53%が除去された残留物を得た。このまだ湿っている残留物を、直接顆粒化工程に用いた。
【0033】
−顆粒化(方法の工程(b))−
約5分間にわたって、ふるい分けした48gの微結晶性セルロース(AVICEL PH101)と18gの沈降シリカ(SYLOID 244FP)を、最小の速度で回転するケンウッド「Chef」混合機に予め導入されていた、遠心分離したフルオキセチン/カチオン交換樹脂複合体に添加した。約5〜10分後、その混合物を残余湿度が約5%となるまで、流動層(GPCG 1)の中で乾燥した。得られた粉体は吸湿性であり、比較的細かい粒子から構成された。被覆する前にふるい分けした(500μm)。
【0034】
−被覆(方法の工程(c))−
165gのオイドラギット(EUDRAGIT)E100を1287gの96%エタノールに加え、それらをポリマーが完全に溶解するまで攪拌した。次いで、18gの沈降シリカ(SYLOID 244FP)を攪拌しながら加えた。
【0035】
上記の方法で同一の条件下で得られた顆粒の2つのバッチを、Wursterコーターを備えたGPCG 1流動層の被覆チャンバーに移し、被覆溶液をノズルを用いて底から流動物質の上に噴霧した。噴霧圧は、粉体が噴霧ノズルをふさぐのを避けるために、比較的低い値にセットした。
【0036】
−口腔内崩壊錠の調製−
1回用量に20mgのフルオキセチン基剤を含む400mgの口腔内崩壊錠を、乾き圧縮により調製した。これらの錠剤は次の組成を有する。
【0037】
【表1】

【0038】
クロスポビドン、アスパルテーム、沈降シリカ、香味料及びマンニトール粉末を秤量し、次いで、1000μmの手動ふるいでふるい分けをした。顆粒マンニトールもまた、同じふるいでふるいわけをするが、別の容器に保持した。クロスポビドン、アスパルテーム、沈降シリカ、香味料、及び粉末マンニトールを混合し、フルオキセチン顆粒、次いで、顆粒マンニトールをその混合物に添加した。全体の集合体を立方体の混合機の中で、10分間、14rpmで回転して混合した。次に、予め630μmふるいでふるい分けしたステアリン酸マグネシウムを添加した。混合物を再び2分間14rpmで混合した。
【0039】
錠剤条件:
パンチ:11mmポロ;
重量: 400mg;
硬度: 40N;
厚み: 約4mm;
製造率:10000〜15000錠/時間;及び
Fill-o-matic regime=10rpm。
【0040】
このようにして調製した錠剤の崩壊時間は、6個の錠剤を試験することによって決定し、15秒〜17秒であった。これらの錠剤は、0.1NのHCl溶液において15分間に85重量%を超える溶解率を必要とする、フルオキセチン錠のUSPモノグラフの規格に適合している。
【0041】
実施した口腔味覚試験では、口腔粘膜においていずれの苦味または灼熱感が認められなかった。
【0042】
<実施例2:リスペリドンの口腔内崩壊錠>
80gのカチオン交換樹脂(INDION 204)を200gの純水中に分散させ、らせん状の攪拌機で10分間、塊のない懸濁液が得られるまで10分間攪拌した。20gのリスペリドンを添加し、その混合物を周囲温度で1時間攪拌した。この得られたリスペリドン/樹脂複合物を、278gのラクトース一水和物と22gのコロイドシリカ(AEROSIL 200)の混合物と一緒に、プラネタリー混合機の中で顆粒化した。この顆粒集合体は、1〜3%の湿分が得られるまで流動層内で乾燥した。40メッシュのふるいでふるい分けした後、その顆粒を、41.0gのEUDRAGIT EPO、2.88gのラウリル硫酸ナトリウム、6.15gのセバシン酸ジブチル、及び255gの純水から調製された水性被覆溶液で、ボトム-スプレー技法により、流動層の中で被覆した。得られた顆粒を同じ流動層の中で、5〜7%の湿分が得られるまで乾燥し、次いで、それらを35メッシュふるいを通してふるい分けをした。
【0043】
1回用量に4mgのリスペリドンを含み、以下の組成を有する400mgの口腔内崩壊錠を実施例1に記載したのと同じ方法で調製した。
【0044】
【表2】

【0045】
錠剤の口腔内での崩壊時間は、40秒未満であった。口腔味覚試験の間、ほんのわずかな苦味もなく、口腔内で灼熱感を引き起こすこともなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボン酸基(COO-)を含む弱カチオン交換樹脂により複合体化された、好ましくは酸付加塩の形態である、少なくとも1種のアミノ化薬理学的活性成分;及び
(B)活性成分/弱カチオン交換樹脂複合体の総重量に対して少なくとも15重量%の、少なくとも1種の親水性吸着剤;
の混合物を含む核により形成され、前記核は、胃溶解性ポリマーで被覆されている構成要素(A)及び(B)の混合物を含む被覆顆粒。
【請求項2】
前記アミノ化薬理学的活性成分が、不快な味覚を有する及び/または体内への摂取の間に灼熱感を引き起こす活性成分であることを特徴とする、請求項1に記載の被覆顆粒。
【請求項3】
前記親水性吸着剤(B)が、微結晶性セルロース及びコロイドシリカを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の被覆顆粒。
【請求項4】
前記親水性吸着剤(B)が、活性成分/カチオン交換樹脂複合体の総重量に対して、15〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の被覆顆粒。
【請求項5】
前記親水性吸着剤(B)が、活性成分/カチオン交換樹脂複合体の総重量に対して、少なくとも15重量%の微結晶性セルロースと少なくとも5重量%のコロイドシリカを含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の被覆顆粒。
【請求項6】
前記薬理学的活性成分が、フルオキセチン及びリスペリドン、好ましくはそれらの化合物の酸付加塩からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の被覆顆粒。
【請求項7】
前記酸付加塩が塩酸塩であることを特徴とする、請求項6に記載の被覆顆粒。
【請求項8】
前記弱カチオン交換樹脂が、架橋ポリメタクリル酸、好ましくはジビニルベンゼンで架橋されたポリメタクリル酸であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の被覆顆粒。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の被覆顆粒と、崩壊剤、希釈剤、直接圧縮のための賦形剤、フロー剤、潤滑剤、甘味料及び香味料から選択される1種以上の補助剤とを含む口腔内崩壊錠。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の被覆顆粒を製造する方法であって、
(a)水性媒体中で、少なくとも1種のアミノ化薬理学的活性成分を、カルボキシル基(COO-)を含む弱カチオン交換樹脂により複合体化する工程;
(b)複合体化のために用いられた水分を少なくともいくらかまだ含む、得られた活性成分/樹脂複合体を、前記活性成分/樹脂複合体の総重量に対して少なくとも15重量%、好ましくは15〜50重量%の、少なくとも1種の親水性吸着剤の存在下で顆粒化する工程;及び
(c)工程(b)において得られた顆粒を少なくとも1種の胃溶解性ポリマーで被覆する工程;
を含む方法。

【公表番号】特表2009−510034(P2009−510034A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532823(P2008−532823)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002185
【国際公開番号】WO2007/036632
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(501435026)
【Fターム(参考)】