説明

草刈機

【課題】排気ガスが地面の芝生等を傷めることを防止し、排気ガスがボンネットを汚すことを防止できる草刈機を提供する。
【解決手段】機体に備えられた草刈装置と、集草容器30と、エンジン21と、エンジン21を覆うボンネット20とを備えて、エンジン21の排気管72の排気口72aがボンネット20を通して後方に突出するように構成し、排気口72aからの排気ガスを下方に案内する案内部材Aを備えてあり、案内部材Aは、後壁部76と右横壁部77と左横壁部78とを備えて、上部が前方に開放されるように構成し、案内部材Aは、右横壁部77および左横壁部78の下部に亘って設けられた前壁部79と、前壁部79の下端から後方に延出された底壁部80とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体に備えられた草刈装置と、前記機体の後部に取り付けられて前記草刈装置からの刈草を回収する集草容器と、前記機体に備えられたエンジンと、前記エンジンを覆うボンネットとを備えて、前記エンジンの排気管の排気口が前記ボンネットに形成された開口を通して後方に突出するように構成し、前記排気口が上側の入口に入り込みつつ下方に延出されて前記排気口からの排気ガスを下方に案内する案内部材を備えてある草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の草刈機の案内部材としては特許文献を示すことはできないが、例えば図10に記載されているように、案内部材Aは、後壁部76と右横壁部77と左横壁部78とを備えて、前方に開放されるように構成してあるものがあった。
【0003】
案内部材Aを構成する後壁部76と右横壁部77と左横壁部78とによって排気口72aからの排気ガスを下方に案内する。これにより、排気口72aからの排気ガスが機体の後部の集草容器30に接触して集草容器30を汚すことを防止できる。しかも、外気が案内部材Aの前方から流入して排気ガスを希釈することによって、排気ガスの低温化を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、下方に案内された排気ガスが下方の地面に当たり地面の芝生等を傷めることがあった。また、排気ガスが案内部材の前方から漏出してボンネットに接触し、ボンネットを汚すことがあった。
【0005】
つまり、排気口からの排気ガスの速度と排気口周辺の空気の速度との速度差によって渦流が発生し、その渦流によって下方に向かう排気ガスが空気を巻き込んで排気ガスを希釈されつつ前方にも拡散していく。このように前方に拡散した排気ガスが案内部材の前方から漏出してボンネットに接触し、ボンネットを汚すことがあった。
【0006】
本発明の目的は、排気ガスが地面の芝生等を傷めることを防止し、排気ガスがボンネットを汚すことを防止できる草刈機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の草刈機は、機体に備えられた草刈装置と、前記機体の後部に取り付けられて前記草刈装置からの刈草を回収する集草容器と、前記機体に備えられたエンジンと、前記エンジンを覆うボンネットとを備えて、前記エンジンの排気管の排気口が前記ボンネットに形成された開口を通して後方に突出するように構成し、前記排気口が上側の入口に入り込みつつ下方に延出されて前記排気口からの排気ガスを下方に案内する案内部材を備えてあるものであって、
その第1特徴構成は、前記案内部材は、後壁部と右横壁部と左横壁部とを備えて、上部が前方に開放されるように構成し、前記案内部材は、前記右横壁部および前記左横壁部の下部に亘って設けられて前記排気口からの排気ガスの前方への流れを防止する前壁部と、前記前壁部の下端から後方に延出されて前記排気口からの排気ガスを後方に案内する底壁部とを備える点にある。
【0008】
案内部材を構成する後壁部と右横壁部と左横壁部とによって排気口からの排気ガスを下方に案内する。右横壁部および左横壁部の上部の前方から外気が流入して排気ガスを希釈する。これにより、排気ガスの低温化を図ることができる。右横壁部および左横壁部の上部では、排気ガスはそれほど前方に拡散していない。このため、排気ガスが案内部材の前方から漏出することは少ない。右横壁部および左横壁部の下部では、排気ガスが前方に拡散しようとする。しかし、左右の横壁部の下部に亘って前壁部が設けられているので、排気ガスが案内部材の前方から漏出してボンネットを汚すことを防止できる。下方に案内された排気ガスは、底壁部によって後方に案内される。よって、排気ガスが下方の地面に接触して地面の芝生等を傷めることを防止できる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記集草容器を前記機体の後部に着脱可能に構成し、前記案内部材を前記集草容器に取り付けて、前記集草容器を前記機体の後部に装着するように構成してある点にある。
【0010】
本構成によれば、案内部材を集草容器に取り付けてあるので、集草容器を機体の後部から取り外すと、案内部材も一緒に取り外すことになり、案内部材を取り外す手間が省ける。また、案内部材を取り外し忘れることが無くなる。集草容器を機体の後部に装着すると、排気口が案内部材の入口に入り込むので、案内部材を取り付ける手間も省ける。また、案内部材を取り付け忘れることが無くなる。案内部材を取り付け忘れると、排気ガスが機体の後部の集草容器に接触して集草容器を汚す不都合が生じる。本構成によれば、案内部材を取り付け忘れることが無くなるので、上記不都合を回避できる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、前記排気口からの排気ガスを前記案内部材の入口に案内する補助案内部材を備え、前記補助案内部材は、前記ボンネットの開口の周囲に取り付けられた取付部と、前記取付部から前記排気管を囲む形態で後方に延出された突出部と、を備える点にある。
【0012】
本構成によれば、排気口からの排気ガスを案内部材の入口に案内する補助案内部材を備えるので、排気口からの排気ガスが周囲に漏出し難い状態で案内部材に案内される。しかも、補助案内部材は、ボンネットの開口の周囲に取り付けられた取付部と、取付部から排気管を囲む形態で後方に延出された突出部とを備えるので、取付部および突出部によって周囲に漏出した排気ガスが後方に案内される。これにより、周囲に漏出した排気ガスがボンネットに接触してボンネットを汚すことを防止できる。
【0013】
本発明の第4特徴構成は、前記補助案内部材の突出部および前記案内部材の入口のいずれか一方が他方の内方側に入り込んだ状態で重複配置してある点にある。
【0014】
本構成によれば、補助案内部材の突出部および案内部材の入口が排気口の径方向で重複するので、補助案内部材の突出部と案内部材の入口との間の隙間の通流抵抗が大きくなり、排気口からの排気ガスが上記隙間を通って周囲に一層漏出し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】乗用草刈機を示す横側面図である。
【図2】乗用草刈機を示す平面図である。
【図3】乗用草刈機を示す背面図である。
【図4】乗用草刈機の後部を示す縦断面図である。
【図5】案内部材の分解斜視図である。
【図6】ブロアの分解斜視図である。
【図7】ブロアの縦断面図である。
【図8】別実施形態における案内部材の分解斜視図である。
【図9】別実施形態における乗用草刈機の後部を示す縦断面図である。
【図10】従来における乗用草刈機の後部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る乗用草刈機について説明する。
【0017】
〔全体構成〕
図1〜図4に示すように、この乗用草刈機は、機体フレーム10の前端側にキャスタ式の遊転輪に構成された左右一対の前輪11を備え、機体フレーム10の後端側に左右一対の駆動輪で構成された左右一対の後輪12を備えて走行機体1(機体の一例)を構成してある。この走行機体1の前輪11および後輪12の間には、バーブレード型のモーア4(草刈装置の一例)が昇降自在に吊り下げ支持されて、いわゆるミッドマウント仕様に構成してある。走行機体1の後部には、モーア4からの刈草を回収する集草容器30が着脱可能に取り付けられている。
【0018】
図1〜図4に示すように、前記走行機体1の後部にはボンネット20内にエンジン21及びラジエータ27を収容した原動部2が、機体フレーム10の後側フレーム部分に配備されるとともに、走行機体1の前後中間部位には運転操縦席13が配備されている。エンジン21のマフラー21aの排気管72の排気口72aが、ボンネット20の後面20aに形成された開口20bを通して後方に突出するように構成してある。
【0019】
図1〜図4に示すように、機体フレーム10における前側フレーム部分には、運転操縦席13の足元に位置するステップ15が搭載装着されるとともに、運転操縦席13の左右にはフェンダ16が配備されている。運転操縦席13の後方には、モーア4からの搬送草を収容する集草容器30が設けてあり、この集草容器30の両側面に自立脚43が装着してある。
【0020】
(ロプス)
図1〜図3に示すように、運転操縦席13と集草容器30との間には、門形のロプス14が上下向き姿勢に立設固定されている。ロプス14は、フェンダ16を貫通して上方に突出する左右の基端部14Aと、左右の基端部14Aの上端に支点X1周りに後方に折り畳み可能に連設された門形フレーム部14Bとで構成してある。
【0021】
図1〜図3に示すように、門型フレーム部14Bは、上下向き姿勢の立ち姿勢と後倒れ姿勢とに切換えられる。門型フレーム部14Bを後倒れ姿勢に切換えることによって、樹木の幹回りの草刈り時に張出した枝に引っ掛けることなく作業ができる。このとき、門型フレーム部14Bは、集草容器30の容器本体部31における後上がり傾斜状態となっている上面に沿った姿勢となっている。
【0022】
(モーア等への伝動構造)
図1,図2に示すように、左右の後輪12を駆動する静油圧式無段変速装置25は、運転操縦席13の左右両脇に前後揺動操作可能に配備された左右一対の操縦レバー17を各別に揺動操作することで、左右の後輪12をそれぞれ独立して無段階に前後進変速するよう構成してある。
【0023】
(モーア)
図1,図2に示すように、モーア4は、四連リンク構造のリンク機構18を介して吊り下げ支持された構造となっている。モーア4は、前側の左右の車輪42および後側の左右の車輪42を有しかつ下向きに開放されたモーアデッキ40の内部に、縦軸心周りに回転駆動される3枚の回転ブレード41が、中央の回転ブレード41が少し前方に偏位するよう平面視で三角配置されて軸支された構造となっている。回転ブレード41が起こす風によって、刈草が集草容器30に搬送される。また、走行機体1が直進移動した際に、隣接する回転ブレード41同士の先端回動軌跡の左右端が部分的に重複して、刈残しの無い草刈が行えるようになっている。
【0024】
(ブロワ)
図2,図6,図7に示すように、モーア4の右側端には、U字状の支持フレーム26を介してブロワ28が取付配置してある。ブロワ28は、供給口がモーア4に接続されるとともに、排出口が誘導ダクト29の前端部に接続されている。誘導ダクト29の後端部が集草容器30の前面に接続されている。これにより、モーア4で刈り取った刈草がブロア28から誘導ダクト29を通って集草容器30内に搬送されるように構成してある。
【0025】
図6,図7に示すように、前記ブロワ28は、樹脂製のブロワ本体51に金属製の上側ケース部56を取り付けて構成してある。
【0026】
図6,図7に示すように、前記ブロワ本体51は、モーアデッキ40の右側面に接続する下側ケース部52と、その下側ケース部52の上面から上方に延びる第1接続部53と、その第1接続部53の上端から径方向外方側に突出する平板部54と、第1接続部53および平板部54に接続しかつ後方に延びる筒状の第2接続部55とを備えて、一体的に樹脂成形してある。下側ケース部52は、左側にモーアデッキ40に接続する開口52aを有し、平面視でD字状に構成してある。平板部54は、周方向に複数の丸穴54aを有し、平面視で馬蹄状に構成してある。
【0027】
図6,図7に示すように、前記上側ケース部56は、下方に開口した円筒状に構成してある。上側ケース部56の内部には、ファン57が配置されている。上側ケース部56の下端には、径方向外方側に突出する鍔部58が形成されている。鍔部58は、周方向に複数の丸穴58aを有する。
【0028】
図6,図7に示すように、前記上側ケース部56の上面には、ベアリング59を介して軸芯部材X3が回動可能に取り付けられている。軸芯部材X3の下側には、ファン57が固定されている。軸芯部材X3の上側には、プーリ64が固定されている。尚、詳述しないが、モーア4の縦軸芯からの動力が、プーリ64を介して軸芯部材X3に伝達し、ファン57を回動させるように構成してある。これにより、ファン57が起こす風によって、刈草が誘導ダクト29を通して集草容器30に搬送されることになり、回転ブレード41が起こす風の搬送力が弱い場合であっても、刈草を確実に集草容器30まで搬送できる。
【0029】
図6,図7に示すように、前記平板部54の上面には、2分割式の金属製の磨耗防止プレート60,61が設けられている。一組の磨耗防止プレート60,61は、夫々第1接続部53の内周面に当接する当接部60a,61aを有する。一組の磨耗防止プレート60,61には、周方向に沿って複数の長穴60b,61bが形成されている。一組の磨耗防止プレート60,61の端部は、ジグザグ状に形成してあり、それら磨耗防止プレート60,61の端部同士を付き合わせた状態で、磨耗防止プレート60,61の端部の間に通路62が生じても、この通路62がラビリンス状(九十九折状)となるようにしてある。
【0030】
図6,図7に示すように、前記上側ケース部56をブロワ本体51に取り付けるには、平板部54の上面に一組の磨耗防止プレート60,61を載置し、それらの磨耗防止プレート60,61の上面に上側ケース部56を載置し、複数のボルト63を、夫々ブロワ本体51の平板部54の丸穴54a、一組の磨耗防止プレート60,61の長穴60a,61a、および、上側ケース部56の鍔部58の丸穴58aに対応する複数の丸穴58aを貫通させて締結する。
【0031】
図6,図7に示すように、前記ブロワ本体51は、一体的に樹脂成形してある。また、複雑な形状を有する。このため、ブロワ本体51は、一組の金属製の磨耗防止プレート60,61や金属製の上側ケース部56に較べて寸法公差が大きくなり易い。そこで、一組の磨耗防止プレート60,61に形成される穴を長穴60a,61aにし、上側ケース部56の鍔部58の丸穴58aの径をボルト63の径よりも大きくする。これにより、ボルト63を、それら丸穴58a、長穴60a,61a、丸穴58aに挿通し易くなる。
【0032】
さらに、上述した寸法公差を考慮し、刈草がファン57と磨耗防止プレート60,61との間に引っ掛かることを防止するために、磨耗防止プレート60,61を2部材で構成して、磨耗防止プレート60,61をブロワ本体51の平板部54に沿わせている。しかし、磨耗防止プレート60,61を2部材で構成すると、磨耗防止プレート60,61の間に隙間が形成されて、その隙間から刈草が漏出することがある。そこで、磨耗防止プレート60,61の端部の間の通路62(隙間)がラビリンス状(九十九折状)となるようにすることによって、刈草が通路62から出ることを防止できる。
【0033】
(集草容器)
図1〜図3に示すように、前記集草容器30は、機体フレーム10に取付固定される容器本体部31と、容器本体部31の後端に横軸芯X2周りで揺動可能に取り付けられた蓋体部32とを備えている。容器本体部31の上端には、開閉操作レバー36がブラケット35を介して取り付けられており、開閉操作レバー36の揺動操作によって蓋体部32を開閉可能に構成してある。
【0034】
図1〜図4に示すように、前記容器本体部31は、横側面視で略逆三角形状の箱状体に構成してある。容器本体部31の上面は後上りの傾斜姿勢となっており、その上面の中央位置には、容器本体部31の内部を覗くことのできる透明の樹脂製の覗き窓31Bが形成されている。容器本体部31の上端から前方に向けて連結アーム31bが延出され、連結アーム31bの先端をロプス14の基端部14Aに着脱可能に取り付けてある。
【0035】
具体的には、連結アーム31bに取り付けてあるボス部にロックレバー31eが保持されている。ボス部には、ロックレバー31eを連結方向に付勢するバネが収納されている。ロックレバー31eをバネの付勢力に抗して引き出すと、連結アーム31bとロプス14の基端部14Aとの連結が解除される。これにより、走行機体1から集草容器30を取り外すことができる。
【0036】
一方、容器本体部31の下端位置に連結ブラケット31dを設け、その連結ブラケット31dのピン31gを、エンジン支持フレーム10Aから後向きに延出されたブラケット10aに係合する。これにより、集草容器30が機体フレーム10に支持されるように構成してある。連結ブラケット31dのピン31gをブラケット10aに係合した状態を維持するロック機構(図示しない)が設けられている。
【0037】
(案内部材)
図1〜図5に示すように、前記容器本体部31の前面31fの中央部には、横側面視で略三角形状の上側に凹入した凹入部71が形成され、その凹入部71には、案内部材Aが収容されている。集草容器30を走行機体1に装着した状態で、エンジン21の排気管72の排気口72aが案内部材Aの上側の入口73に入り込んでいる。
【0038】
図1〜図5に示すように、前記案内部材Aは、凹入部71に取り付けられて排気口72aからの排気ガスを下方に案内するチャンネル部74と、そのチャンネル部74の下側に着脱可能に取り付けられて排気口72aからの排気ガスの前方への流れを防止しつつ排気口72aからの排気ガスを後方に案内するノズル部75と、を備えている。
【0039】
(チャンネル部)
図1〜図5に示すように、前記チャンネル部74は、後壁部76と右横壁部77と左横壁部78とを備えて、上部が前方に開放され全長に亘って下方が開口された開口74cが形成されるように構成してある。後壁部76は、前側の左右の丸穴76aおよび後側の左右の丸穴76bを有する。チャンネル部74は、上側部分74aと下側部分74bとを備えている。上側部分74aは、後方に向かうほど下方に傾斜する横側面視で略円弧状に構成してある。下側部分74bは、斜め後方下方に沿う横側面視で直線状に構成してある。
【0040】
(ノズル部)
図1〜図5に示すように、前記ノズル部75は、右横壁部77および左横壁部78の下部に亘る前側案内面79(前壁部の一例)と、前側案内面79の下端から後方に延出された下側案内面80(底壁部の一例)と、前側案内面79の左側端部の下側および下側案内面80の左側端部から上方に延出された左側案内面81と、前側案内面79の右側端部の下側および下側案内面80の右側端部から上方に延出された右側案内面82と、左側案内面81の上側端部と右側案内面82の上側端部とに亘って設けられた上側案内面83と、を備えている。上側案内面83は、左右の丸穴83aを有する。前側案内面79における左側端部および右側端部の上側には、夫々左右のリブ84が設けられている。
【0041】
図1〜図5に示すように、前記前側案内面79は、チャンネル部74の開口74cの下部(開口74cの上下中間部から下側の部分)を閉塞して、下側排気口72aからの排気ガスの前方への流れを防止するように構成してある。下側案内面80、左側案内面81、右側案内面82、および上側案内面83は、先端に向かうほど断面積が小さくなるノズル状に構成してあり、排気口72aからの排気ガスを収束しつつ後方に案内して出口85から噴出させるように構成してある。
【0042】
(案内部材の取付手順)
チャンネル部74をノズル部75に差し込む。このとき、左右のリブ84によって右横壁部77および左横壁部78が挟み込まれる。また、後壁部76が上側案内面83に接触し、右横壁部77が左側案内面81に接触し、左横壁部78が左側案内面81に接触する。ボルト86を、後壁部76の前側の左右の丸穴76aおよび凹入部71の取付部71aを貫通させて締結する。ボルト86を、後壁部76の後側の左右の丸穴76b、上側案内面83の左右の丸穴83a、および凹入部71の取付部71aを貫通させて締結する。
【0043】
以上により、排気口72aからの排気ガスがそれほど前方に拡散していないチャンネル部74の上部では、チャンネル部74の開口74cの上部を開放して、外気を取り入れ、排気口72aからの排気ガスが前方に拡散しようとしているチャンネル部74の下部では、チャンネル部74の開口74cの下部を閉塞して、排気ガスの漏出を防ぐことにより、排気ガスの低温化を図りながらも、排気ガスが漏出してボンネット20を汚すことを防止できる。また、下方に案内された排気ガスは、ノズル部75によって後方に案内されるので、排気ガスが下方の地面に接触して地面の芝生等を傷めることを防止できる。
【0044】
さらに、チャンネル部74の上側部分74aは、横側面視で後方に向かうほど下方に傾斜する略円弧状に構成してあるので、排気口72aからの排気ガスは主に後壁部76に沿ってその排出方向を後方から斜め後方下方に変えつつチャンネル部74の下側部分74bに流動する。したがって、排気口72aからの排気ガスの前方への拡散が抑えられ、チャンネル部74の上側部分74aにおける排気ガスの漏出を防止することができる。
【0045】
チャンネル部74の下側部分74bは、横側面視で斜め後方下方に沿う直線状に構成してあるので、排気口72aからの排気ガスは後壁部76から前方に拡散しつつ下側部分74bに流動する。したがって、チャンネル部74の下側部分74bにおける上端から中央付近までの部分を開放し、チャンネル部74の下側部分74bにおける中央付近から下端までの部分を閉塞することにより、外気を取り入れて、排気ガスの低温化を図りながらも、チャンネル部74の下側部分74bにおける排気ガスの漏出を防止することができる。
【0046】
(補助案内部材)
図1,図4,図5に示すように、ボンネット20の後面20aには、排気口72aからの排気ガスを案内部材Aの入口に案内する補助案内部材Bが取り付けられている。
【0047】
図1,図4,図5に示すように、前記補助案内部材Bは、ボンネット20の後面20aの開口20bの周囲に取り付けられた取付部91と、取付部91から排気管72を囲む形態で後方に延出された突出部92とを備えて、後方が開口した箱状に構成してある。
【0048】
集草容器30を走行機体1の後部に装着した状態で、案内部材Aの入口73が補助案内部材Bの突出部92の内方側に入り込んで、補助案内部材Bの突出部92および案内部材Aの入口73が排気口72a(排気管72)の径方向で重複する。これにより、取付部91および突出部92によって周囲に漏出した排気ガスが後方に案内されることになり、排気ガスがボンネット20の後面20aに接触してボンネット20の後面20aを汚すことを防止できる。
【0049】
〔別実施形態〕
(1)図4,図5に示す構成に代えて、図8に示すように、案内部材Aを、排気口72aからの排気ガスを下方に案内するチャンネル部74と、そのチャンネル部74の下側に取り付けられて排気口72aからの排気ガスの前方への流れを防止しつつ排気口72aからの排気ガスを後方に案内する板状部101と、を備えて構成し、板状部101を、右横壁部77および左横壁部78の下部に亘ってボルト連結された前側案内面102(前壁部の一例)と、前側案内面79の下端から後方に延出された下側案内面103(底壁部の一例)とを備えて、横側面視で屈曲状に構成してもよい。
【0050】
(2)図4に示す構成に代えて、図9に示すように、集草容器30を走行機体1の後部に装着した状態で、案内部材Aの入口73が補助案内部材Bの突出部92の外方側に入り込んでもよい。さらに、案内部材Aの入口73と補助案内部材Bの突出部92の先端側の開口とが排気口72aの径方向に重複しないで対向してもよい。要するに、案内部材Aの入口73と補助案内部材Bの突出部92との隙間が小さければよい。
【0051】
(3)チャンネル部74にノズル部75を着脱自在に取り付ける構成に代えて、チャンネル部74に溶接等によりノズル部75を一体的に取り付ける構成を採用してもよい。具体的には、例えば、右横側部77、左横側部78及び後壁部76の下部の形状を、右側案内面82、左側案内面81及び上側案内面83の後部部分を含む後方に延長した形状に構成し、この右横側部77及び左横側部78に亘って前側案内面79及び後側案内面80を溶接等により一体的に取り付ける構成を採用してもよい。
【0052】
(4)ノズル部75に前側案内面79及び下側案内面80を備える構成に代えて、前側案内面79を備えた部材と下側案内面80を備えた部材とをそれぞれ別々にチャンネル部74に取り付ける構成を採用してもよい。この場合、前側案内面79と下側案内面80とが前後方向で連続した状態で取り付けられるものであってもよく、前側案内面79と下側案内面80とが前後方向で連続しない状態で取り付けられるもの、例えば、前側案内面79と下側案内面80とが前後方向又は上下方向で少し離れた状態で取り付けられるものであってもよい。また、その取り付けに際して、前側案内面79を備えた部材と下側案内面80を備えた部材とを共にチャンネル部74に着脱自在に取り付ける構成を採用してもよく、前側案内面79を備えた部材と下側案内面80を備えた部材との一方又は両方を溶接等により一体的にチャンネル部74に取り付ける構成を採用してもよい。
【0053】
(5)前側案内面79によりチャンネル部74の開口74cを閉塞する範囲は、開口74cの上下中間部から下側の部分でなくてもよく、例えば、開口74cの上部近くまで広く閉塞するように構成してもよく、開口74cの下側寄りの部分を狭く閉塞するように構成してもよい。
【0054】
(6)下側案内面80を側面視で地面に対して水平又は略水平な形状に形成する構成に代えて、前側案内面79により案内した排気ガスを後向きに向き変更可能な異なる形状、例えば、下側案内面80を側面視で地面に対して斜め後方下方に前側案内面79よりも緩く傾斜する形状や、下側案内面80を側面視で地面に対して斜め後方上方に少し傾斜する形状を採用してもよい。
【0055】
(7)前側案内面79と下側案内面80との接続部分を側面視で屈曲した形状に形成する構成に代えて、例えば、前側案内面79と下側案内面80との接続部分を側面視で下側に凸状に湾曲する形状に形成する構成を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ミッドマウント型の草刈機やフロントマウント型の草刈機等に適応可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 機体
4 草刈装置
20 ボンネット
20b 開口
21 エンジン
30 集草容器
72 排気管
72a 排気口
73 入口
76 後壁部
77 右横壁部
78 左横壁部
79,102 前壁部
80,103 底壁部
91 取付部
92 突出部
A 案内部材
B 補助案内部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に備えられた草刈装置と、前記機体の後部に取り付けられて前記草刈装置からの刈草を回収する集草容器と、前記機体に備えられたエンジンと、前記エンジンを覆うボンネットとを備えて、前記エンジンの排気管の排気口が前記ボンネットに形成された開口を通して後方に突出するように構成し、
前記排気口が上側の入口に入り込みつつ下方に延出されて前記排気口からの排気ガスを下方に案内する案内部材を備えてある草刈機であって、
前記案内部材は、後壁部と右横壁部と左横壁部とを備えて、上部が前方に開放されるように構成し、
前記案内部材は、前記右横壁部および前記左横壁部の下部に亘って設けられて前記排気口からの排気ガスの前方への流れを防止する前壁部と、前記前壁部の下端から後方に延出されて前記排気口からの排気ガスを後方に案内する底壁部とを備える草刈機。
【請求項2】
前記集草容器を前記機体の後部に着脱可能に構成し、前記案内部材を前記集草容器に取り付けて、前記集草容器を前記機体の後部に装着するように構成してある請求項1に記載の草刈機。
【請求項3】
前記排気口からの排気ガスを前記案内部材の入口に案内する補助案内部材を備え、
前記補助案内部材は、前記ボンネットの開口の周囲に取り付けられた取付部と、前記取付部から前記排気管を囲む形態で後方に延出された突出部と、を備える請求項1又は2に記載の草刈機。
【請求項4】
前記補助案内部材の突出部および前記案内部材の入口のいずれか一方が他方の内方側に入り込んだ状態で重複配置してある請求項3に記載の草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−182699(P2011−182699A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50690(P2010−50690)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】