説明

荷電ビーム装置及びそのビーム軸の軸合わせ方法

【課題】
2つのビーム軸を有する荷電ビーム装置において、2つのビーム軸を交差させる軸合わせを効率化する。
【解決手段】
重力方向の第1ビーム軸を有する第1のビーム照射系と、重力方向に対して傾斜した第2ビーム軸を有する第2のビーム照射系と、有する荷電ビーム装置において、先ず、試料を上下方向に移動させて、第1ビーム軸と試料の表面の交点Oiと第2ビーム軸と試料の表面の交点Oeの間のXi方向の距離ΔXiをゼロにする。次に、第2のビーム照射系を水平方向に移動させて、第1ビーム軸と試料の表面の交点Oiと、第2ビーム軸と試料の表面の交点Oeの間のYi方向の距離ΔYiをゼロにする。こうして粗調整を行った後に、微調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集束イオンビーム装置と走査電子顕微鏡のように2つのビーム照射系装置を備えた荷電ビーム装置に関し、特に、2つのビーム軸の軸合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの基板を、集束イオンビーム装置と走査電子顕微鏡を備えた荷電ビーム装置を用いて観察することが行われている。集束イオンビーム(Focused Ion Beam:以下、FIBと略す)加工によって、微細試料を切り出し、更に、それから、薄膜試料を作製する。走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope: 以下、SEMと略す)によって薄膜試料のSEM像を得ることによって、基板の断面を観察することができる。
【0003】
集束イオンビーム装置と走査電子顕微鏡を備えた荷電ビーム装置では、イオンビーム照射系のビーム軸と電子ビーム照射系のビーム軸は互いに傾斜している。イオンビーム照射系による走査イオン顕微鏡像(SIM画像)とSEM画像が同一領域の像を表示するには、イオンビーム軸と電子ビーム軸は試料表面にて交差させる「軸合わせ」が必要となる。
【0004】
軸合わせは、イオンビーム照射系と電子ビーム照射系を機械的に移動させる移動調整によって行う。この移動調整は簡単ではない。2つのビーム照射系の一方を試料筐体に対して垂直に装着し、他方を試料筐体に対して傾斜(鋭角、直角、あるいは鈍角)して装着する。軸合わせは、両走査画像を観察しながらのその画像の視野中心を一致させる調整作業となる。照射系(照射カラム)を移動調整する場合は装置の真空を維持したまま高精度移動する機構が必要となる。高分解能観察及び高位置精度仕様の高電圧の照射系は、耐震や耐電磁ノイズに対し強固に作られており、それぞれが数10kgと重くなっている。真空維持の観点からは移動部と被移動部とは真空用シールを介してと固定される。従って、照射軸位置調整部は、真空を維持し、かつ、移動性を確保する必要がある。移動する照射系の重力を支えている対置面が水平でない場合は、照射ビーム系の固定機構を緩めると、対置面において、照射ビーム系が自重によるずれて落ちる力が生ずる。そのため、固定機構の緩め前後で照射ビーム系のわずかな位置ずれや倒れが発生する。
【0005】
ビーム照射系の移動調整に関する従来技術には、以下がある。特許文献1では先ず、イオンビームと電子ビームの両コラムのどちらか一方または両方を機械的に移動可能に構成しておき、イオンビームと電子ビームを交互に試料に照射し、SEM画像とSIM画像を交互に観察する。そして、二種の像を交互に観察しながら、二種の像の位置移動が最小となるように、両光軸を機械的に合わせる。次に、この機械的なアライメントで調整できなかった微小の光軸のずれを、電気的なアライメントによって調整する。この電気的な調整では、イオンビームか電子ビームのいずれか一方または両方のビームシフト機能を用いる。例えば、電子ビームの偏向により電子ビームの走査範囲をシフトさせ、イオンビームの走査範囲と一致させている。
【0006】
特許文献2では、イオンビームと電子ビームの試料照射位置のずれを確認する手段と、両ビームの試料照射位置を一致させる手段が開示されている。しかし、イオン源と電子源は同一の荷電粒子源で加速電源の極性を正あるいは負にすることにより選択している。従って、イオンビーム照射系と電子ビーム照射系は、原理的には同じ光学軸を用いたものである。しかし、高倍率観察や加工などの実際においては、光軸上に漏洩してくる磁場などのイオンや電子への偏向量が異なるため、単に加速電源の極性を反転しても、両ビームの試料照射位置は一致しない。これらを一致させる手段として静電偏向器による調整が行われる。
【0007】
特許文献3では、走査電子顕微鏡を用いた観察や検査において、試料が従来の顕微鏡試料室に入れられない程に大きい場合に、鏡体を試料に真空シール手段を介して直接に対置させ、観察や検査の視野移動は鏡体の水平移動により行うことが開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平7-230784号公報
【特許文献2】特開平2-27648号公報
【特許文献3】特開昭56-76151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、2つのビーム軸を有する荷電ビーム装置において、2つのビーム軸の軸合わせを効率化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、重力方向の第1ビーム軸を有する第1のビーム照射系と、重力方向に対して傾斜した第2ビーム軸を有する第2のビーム照射系と、有する荷電ビーム装置において、先ず、試料を上下方向に移動させて、第1ビーム軸と試料の表面の交点Oiと第2ビーム軸と試料の表面の交点Oeの間のXi方向の距離ΔXiをゼロにする。次に、第2のビーム照射系を水平方向に移動させて、第1ビーム軸と試料の表面の交点Oiと、第2ビーム軸と試料の表面の交点Oeの間のYi方向の距離ΔYiをゼロにする。こうして粗調整を行った後に、微調整を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、2つのビーム軸を有する荷電ビーム装置において、2つのビーム軸を交差させる軸合わせを効率化することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図面を参照して本発明の例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1を参照して本発明による荷電ビーム装置の第1の例を説明する。荷電ビーム装置は、重力方向とほぼ平行なイオンビーム軸2を有するイオンビーム照射系1と、重力方向より傾斜した電子ビーム軸4を有する電子ビーム照射系3の2つのビーム照射系を有する。2つのビーム照射系1,3は、試料室筐体5に装着されている。イオンビーム照射系1には照射軸位置調整部9が設けられている。
【0014】
試料室筐体5内には試料6を保持する試料ステージ10が配置されている。試料室筐体5には、試料6表面から放出される2次電子、反射電子等を検出する二次電子検出器7が配置されている。試料室筐体5には、試料6表面から放出されるX線を検出するX線検出器8が配置されているが、図1において電子ビーム照射系3の背後に隠れ、図示することができないため、図1の下部に別個に示してある。
【0015】
荷電ビーム装置は更に、試料室筐体5内を真空排気する排気系11、排気系に電源を供給する排気系電源12、SIM画像13a及びSEM画像13bを表示する画像表示手段13、及び、ビーム制御部15を有する。
【0016】
画像表示手段13は、輝度信号として二次電子、反射電子等を用いて生成したSIM画像及びSEM画像を表示するが、二次電子、反射電子、X線等を用いて生成した複数のSEM画像を表示するように構成してもよい。
【0017】
ビーム制御部15は、イオンビーム照射系1及び電子ビーム照射系3の制御ばかりでなく、荷電粒子検出器7、X線検出器8、画像表示手段13及び排気系電源部12を含む装置全体のシステム制御を行う。
【0018】
イオンビーム照射系3からのイオンビーム及び電子ビーム照射系3からの電子ビームは、試料6の表面に照射される。それによって、試料表面からは、二次電子線、反射電子線等が放出される。これらの2次電子、反射電子等は、二次電子検出器7によって検出され、それぞれの走査画像であるSIM画像及びSEM画像が得られる。尚、試料表面から放出されるX線をX線検出器8によって検出することにより、元素分析が行われ、又は、元素の分布像が得られる。
【0019】
試料表面をイオンビーム加工する場合には、加工の前後、あるいは加工中の状態をSEM画像によって観察することができる。
【0020】
イオンビーム照射系1及び電子ビーム照射系3は、イオンビーム照射系1のビーム軸2と電子ビーム照射系3のビーム軸4が設計上の原点O(記載されていない)にて交差するように、装着される。しかしながら、部品製作誤差や組み立て誤差のため、両ビーム軸は交わらず、通常、最大±100μm程度の交差誤差が発生する。そのため、両ビーム軸が交差するように軸合わせを行う必要がある。
【0021】
図1及び図2を参照して、照射軸位置調整部9の構造及び機能を説明する。図示のように、試料6の表面上にXi軸及びYi軸をとる。また、両軸に垂直に且つ上方にZi軸をとる。照射軸位置調整部9は、端部フランンジ16とブロックガイド18a、18bと移動調製用ねじ33a、33bと有する。ブロックガイドはX軸ブロックガイド18aとY軸ブロックガイド18bとを有し、フレーム状の構造を有し、試料室筐体5に固定されている。
【0022】
イオンビーム照射系1の周囲には端部フランジ16が固定されている。端部フランジ16は、真空用シール17を介して、試料室筐体5上に配置されている。真空用シール17は、弾性材料からなる環状シールであり、例えばゴム製のOリングである。従って、真空用シール17と試料室筐体5の間のシール面によって、イオンビーム照射系1の荷重の大部分が支持される。
【0023】
端部フランンジ16は、ブロックガイド18a、18b内に配置されている。X軸ブロックガイド18aの内側側面にはV溝32が形成され、V溝32と端部フランンジ16の間の空間にボールベアリングが装着されている。
【0024】
移動調製用ねじ33は、Y軸ブロックガイド18bに形成されたねじ穴を貫通し、その先端は、端部フランンジ16の側面に当接している。従って、移動調製用ねじ33a、33bを調節することによって、端部フランンジ16のYi方向の位置を調節することができる。端部フランンジ16がYi方向に移動すると、イオンビーム照射系1もYi方向に移動する。
【0025】
端部フランンジ16がYi方向に移動すると、真空用シール17は、試料室筐体5上を滑りながら移動するが、真空用シール17と試料室筐体5の間は完全にシールされる。真空用シール17と試料室筐体5の間のシール面は、好ましくは水平である。シール面を水平にすることにより、イオンビーム照射系1が自重によって移動することが防止される。
【0026】
イオンビーム照射系1の位置調整が終わると、移動調製用ねじ33a、33bを締め付け、端部フランジ16に設けた孔34にボルトを挿入し、端部フランジ16を試料室筐体5に固定する。端部フランジ16の孔34は、端部フランジ16のYi方向の移動(数100μm)を許容させるために長穴となっている。
【0027】
図3を参照して説明する。イオンビーム軸2と試料6の表面6aの交点を原点OiとするXiYiZi座標を定義する。試料6の表面6a上にXiYi面をとり、イオンビーム軸2に沿って、イオン進行方向と反対方向に+Zi軸をとり、イオン進行方向に−Zi軸をとる。XiZi面は図1の紙面と平行にとる。また、電子ビーム軸4と試料6の表面6aの交点を原点OeとするXeYeZe座標を定義する。電子ビーム軸4に沿って電子進行方向に−Ze軸をとり、電子進行方向と反対方向に+Ze軸をとる。Ze軸に垂直に、Xe軸及びYe軸をとる。XeZe面およびYeZe面はそれぞれXiZi面およびYiZi面と平行に取る。電子ビーム軸4がXiYi面となす角をαとする。尚、添え字iはイオンビーム照射系1を表し、添え字eは電子ビーム照射系3を表す。
【0028】
イオンビーム軸2をXeZe面上に投影すると、イオンビーム軸2と電子ビーム軸4は、点Oieで交差するように見えるが、実際には、両ビーム軸2,4は、Yi方向にΔYiだけずれている。従って、イオンビーム軸2と試料6の表面6aの交点Oiと電子ビーム軸4と試料6の表面6aの交点OeはYi軸方向にΔYiだけずれ、Xi軸方向にΔXiだけずれている。
【0029】
図4を参照して、軸合わせの方法を説明する。尚、随時、図3、図5及び図6を参照する。図5は試料6の表面を示し、本例では9個のアルファベット、A〜Jが描かれているものとする。図6(a)は図5(b)の参照符号300にて示す領域のSIM画像300iを示し、図6(b)は図5(b)の参照符号301にて示す領域のSEM画像301eを示し、図6(c)は図5(c)の参照符号302にて示す領域のSEM画像302e又はSIM画像302iを示す。
【0030】
尚、電子ビーム軸4は試料の表面6aに対して傾斜しているから、試料表面の所定の領域のSIM画像とSEM画像を生成すると、SEM画像では、Xi方向にcosαだけ縮小された像として得られる。従って、図6(b)のSEM画像301eと図6(c)のSEM画像302eは、Xi方向に1/cosα倍拡大したものである。
【0031】
先ずステップS1、S2の粗調整を行い、次に、ステップS3の微調整を行う。ステップS1では、試料表面の高さ位置の移動調整を行う。先ず、図6(a)に示すSIM画像300iと図6(b)に示すSEM画像301eを取得する。
【0032】
図5(b)に示すように、イオンビーム軸2と試料6の表面6sの交点Oiは、文字「B」の右下にあり、電子ビーム軸4と試料6の表面6aの交点Oeは、文字「D」の右下にある。イオンビーム軸2の交点Oiが文字「B」の右下にあることは、図6(a)のSIM画像300iから判る。電子ビーム軸4の交点Oeが文字「D」の右下にあることは、図6(b)のSEM画像301eから判る。
【0033】
図6(b)のSEM画像301eを観察しながら、試料ステージ10を操作し、試料6を上下方向に、即ち、Zi軸に沿って移動させる。
【0034】
図3に示すように、試料6を+Zi方向に移動させたとき、電子ビーム軸4の交点OeがXi方向に沿って点Oieに近づく方向に移動したなら、電子ビーム軸4の交点Oeは、点Oieより下方にあると判定する。即ち、試料の表面6aは点Oieより下方にあると判定する。試料6を+Zi方向に移動させたとき、電子ビーム軸4の交点OeがXi方向に沿って点Oieより遠ざかる方向に移動したなら、電子ビーム軸4の交点Oeは、点Oieより上方にあると判定する。即ち、試料の表面6aは点Oieより上方にあると判定する。
【0035】
試料6を+Zi方向に移動させる代わりに、−Zi方向に移動させてもよい。この場合、電子ビーム軸4の交点Oeが点Oieに近づく方向に移動したなら、電子ビーム軸4の交点Oeは、試料の表面6aより上方にあると判定する。電子ビーム軸4の交点Oeが点Oieより遠ざかる方向に移動したなら、試料の表面6aは点Oieより上方にあると判定する。
【0036】
従って、図6(b)のSEM画像301eを観察しながら、試料6を上下方向に移動させることによって、電子ビーム軸4の交点Oeと点Oieの間のXi方向の距離ΔXiをゼロにすることができる。図5(c)は、電子ビーム軸4の交点Oeが点Oie上に移動した後の状態を示し、図6(c)は、電子ビーム軸4の交点Oeが点Oie上に移動した後の状態を示すSEM画像302eを示す。図2の参照符号6bは、ステップS1の処理が終了した後の試料の表面を示す。
【0037】
ステップS1の試料表面の高さ位置の移動調整では、試料を上下方向に移動させるため、走査画像の観察倍率が変化するが、この変化量は微小であり無視する。
【0038】
ステップS2では、イオンビーム軸2の水平方向の移動調整を行う。図6(a)に示すSIM画像300iを観察しながら、イオンビーム軸2の交点Oiが、電子ビーム軸4の交点Oeに一致するように、イオンビーム照射系1をYi方向に沿って移動させる。図6(a)に示すSIM画像300iが、図6(c)に示すSEM画像302eと同一となったとき、イオンビーム軸2の交点Oiと電子ビーム軸4の交点Oeの間のYi方向の距離ΔYiがゼロになる。
【0039】
ステップS2のイオンビーム軸2の水平方向の移動調整は、照射軸位置調整部9によって行う。また、ステップS2のイオンビーム軸2の水平方向の移動調整では、試料の表面が水平であると仮定すると、走査画像の観察倍率は変化しない。従って、像ボケは起きない。
【0040】
最後にステップS3にて、両ビーム軸の交差のための最終微調整を行う。ステップS1、S2による機械的粗調整を行っても、両ビーム軸の間には、未だ10μm程度以下の誤差が残っている。この交差誤差は、両ビーム照射系の少なくとも一方にビームアライナーを設けることにより調整することができる。ビームアライナーによる電気的なビームシフト調整により交差誤差を10nm程度まで下げられる。ビームアライナーの例は後に図8を参照して説明する。
【0041】
特許文献1に記載された従来技術では、予め設定されている装置の設計上の点を交差点とする。従って、ビーム照射系の移動調整により試料の高さ位置が変わる場合があり、走査画像の像ぼけは発生する。
【0042】
本発明の特徴は、先ず、試料を垂直方向に沿って移動させ、次に、重力方向に対して傾斜したビーム軸を有するビーム照射系を固定した状態で、重力方向のビーム軸を有するビーム照射系を水平方向に移動させる。それによって、2つのビーム照射系のビーム軸を交差させる。この交差点を装置が求めた交差点として採用する。試料を垂直方向に沿って移動させることによって像ボケは発生するが、それは僅かである。
【実施例2】
【0043】
図7を参照して本発明による荷電ビーム装置の第2の例を説明する。本例の荷電ビーム装置は、図1の第1の例と比較して、照射軸位置調整部9の構造が異なる。従って、ここでは、照射軸位置調整部9について説明する。図1の第1の例では、真空用シール17と試料室筐体5の間のシール面の滑りを利用してイオンビーム照射系1を移動したが、本例ではベローズを用いる点が異なる。
【0044】
照射軸位置調整部9は、端部フランンジ16とブロックガイド18とベローズ19cと両端フランジ19a、19bと有する。ブロックガイド18は試料室筐体5に固定されている。ブロックガイド18の上端には、上端部フランンジ16が固定されている。端部フランンジ16は長孔を有し、そこをイオンビーム照射系1が貫通している。イオンビーム照射系1の周囲には上側フランジ19aが固定されている。上側フランジ19aはベローズ19cを介して下側フランジ19bに接続されている。
【0045】
上側フランジ19aと端部フランンジ16の間には真空シール17aが配置され、下側フランジ19bと試料室筐体5の間には真空シール17bが配置されている。
【0046】
本例の照射軸位置調整部9は、図2に示した、移動調整機構を有する。ブロックガイド18の内側側面にはV溝32が形成され、V溝32と上側フランジ19aの間の空間にボールベアリングが装着されている。ブロックガイド18はX軸ブロックガイド18aとY軸ブロックガイド18bとを有し、移動調製用ねじ33が、Y軸ブロックガイド18bに形成されたねじ穴を貫通し、その先端は、イオンビーム照射系1に当接している。移動調製用ねじ33a、33bを調節することによって、イオンビーム照射系1はYi方向に移動する。イオンビーム照射系1が移動すると、それに装着された上側フランジ19aも移動するが、上側フランジ19aの移動はベローズ19cによって吸収され、下側フランジ19bは移動しない。
【0047】
本例ではイオンビーム照射系1の荷重を支えるのは、上側フランジ19aと端部フランンジ16の間に設けた真空シール17aではなく、ベローズ19cである。従って、上側フランジ19aと端部フランンジ16の間は完全にシールされる。しかしながら、本例では、ベローズ19cに設けたため、イオンビーム照射系1が試料室筐体5から離れる。そのため、イオンビーム照射系1の光学設計にはベローズ19cによる光路の増加分を考慮する必要がある。
【実施例3】
【0048】
図8を参照して荷電ビーム装置の第3の例を説明する。第1及び第2の例では、軸合わせのために、イオンビーム照射系1の全体を移動調整した。本例では、軸合わせのために、イオンビーム照射系1の一部、即ち、対物レンズのみを移動する。
【0049】
図8は、荷電ビーム装置の第3の例の一部、即ち、イオンビーム照射系1を、イオンビーム軸2を含むYiZi面に沿って切断した断面構成を示す。イオンビーム照射系1は、イオンを発生するイオン銃20、イオン銃20から放出されたイオンを試料6上に集束する集束レンズ21と対物レンズ22、ビームの非点形状を補正する機能とビーム軸の軸合わせを行うアライナー機能を備えた非点補正器・アライナー23、試料6上にビームを走査させる偏向器24、及び、対物レンズ22の位置調整を行う照射軸位置調整部9を有する。照射軸位置調整部9には真空ベローズ19cが設けられている。真空ベローズ19cは、対物レンズ22の位置移動25を吸収すると共に、真空シールの機能を提供する。イオンビーム照射系1は、イオンビーム軸2が重力方向となるように、試料室筐体5に搭載されている。
【0050】
軸合わせの方法は図4の流れ図に従って行う。即ち、ステップS1の試料表面の高さ位置の移動調整、ステップS2のイオンビーム軸2の水平方向の移動調整、ステップS3の両ビーム軸の交差のための最終微調整、を行う。しかしながら、ステップS2のイオンビーム軸2の水平方向の移動調整では、イオンビーム照射系1の移動によってではなく、非点補正補正器・アライナー23及び対物レンズ22によって実現する。
【0051】
電子ビーム軸4とYiZi面の交点をOe、イオンビーム軸2と試料6表面の交点をOiとすると、ステップS1の試料表面の高さ位置の移動調整が終わったとき、両交点間には、通常、最大±100μm程度のYi方向の交差誤差がある。本例では、非点補正補正器・アライナー23を通過したイオンビーム軸2を、アライナー23によって僅かにYi方向に電気的に偏向調整する。こうして、偏向調整されたイオンビーム軸2aは、電子ビーム軸4とYiZi面の交点Oeを通る。
【0052】
イオンビーム軸の偏向調整を行うと同時に、照射軸位置調整部9によって対物レンズ22を移動調整25する。即ち、対物レンズ22を、レンズ中心が偏向調整されたイオンビーム軸2aに整合するように、Yi方向に機械的に移動させる。対物レンズ22の中心とイオンビーム軸2aと間の離軸量は、イオンビームを試料表面にフォーカス(つまり、対物レンズ電圧を合わせた)させて得たSIM画像において、対物レンズ電圧を僅かに上下に時間的に揺らした時のSIM画像の視野中心位置の動揺程度から判断できる。この離軸量がゼロの場合、SIM画像の視野中心位置の揺動量もゼロとなる。
【0053】
偏向調整されたイオンビーム軸2aは、対物レンズ22の光軸に対して僅かに傾斜している。従って、対物レンズ22に入射するイオンビームは、対物レンズ22の光軸に対して僅かに傾斜している。従って、対物レンズの収差により、イオンビームの集束形状特性が若干悪くなる。この収差は、非点補正器・アライナー23の非点補正器により補正することができる。
【0054】
本例では、非点補正補正器・アライナー23と対物レンズ22によって軸合わせを行うが、その最大の利点は、移動させる対象物が対物レンズ22であるため、照射軸位置調整部9のサイズや重量を大幅に小さくすることができる。従って、イオンビーム照射系1を小型化できるばかりでなく、荷電ビーム装置の小型化を実現することができる。
【0055】
ここでは、対物レンズ22をYi方向に移動させる場合を説明したが、対物レンズ22の代わりに、対物レンズ22にイオン源20と集束レンズ21を組合せたものを移動させてもよい。この場合、イオン源20、集束レンズ21および対物レンズ22を一直線上に配置することができるから、偏向調整されたイオンビーム軸2aは、対物レンズ22の光軸に沿って入射する。従って、イオンビーム集束特性を劣化させることはない。しかしながら、イオン源20から対物レンズ22までの距離が対物レンズ22から試料6までの距離より長いため、軸合わせにおいてイオン源20、集束レンズ21および対物レンズ22を移動させるYi方向の距離が大きくなる。また、イオン源20、集束レンズ21および対物レンズ22を移動させるための機構が大きくなる。
【実施例4】
【0056】
図9を参照して本発明による荷電ビーム装置の第4の例を説明する。本例の荷電ビーム装置は、重力方向とほぼ平行な電子ビーム軸4を有する電子ビーム照射系3と、重力方向より傾斜したイオンビーム軸2を有するイオンビーム照射系1を有する。電子ビーム照射系3には照射軸位置調整部9が設けられている。
【0057】
二次電子検出器7、X線検出器8、排気系11、排気系電源12、画像表示手段13、及び、ビーム制御部15は、図1の第1の例と同様であり、ここでは、その説明を省略する。ここでは、図1の第1の例と異なる部分について説明する。
【0058】
試料室筐体5には、試料6を保持するサイドエントリ試料ステージ25が設けられ、試料6の下方に検出器26a、26bが設けられている。検出器26a、26bからの検出信号によって、走査透過電子顕微鏡(STEM)像が得られる。
【0059】
試料6は薄膜である。薄膜試料は、イオンビームによってバルク試料を断面加工することによって得られる。薄膜試料の表面は元のバルク試料表面に対し、通常は垂直に作製される。サイドエントリ試料ステージ25は、薄膜試料を回転傾斜させるための回転制御機構を有し、薄膜試料を生成する場合には、薄膜試料の面がイオンビームに対して平行になるように制御し、STEM像を得る場合には、薄膜試料の面が電子ビームに対して垂直になるように制御する。図9において、サイドエントリ試料ステージ25の試料の回転軸は図示の都合からXeZe面内にあるように描かれているが、実際はYeZe面内(紙面に垂直な面内)にある。
【0060】
電子ビーム照射系3からの電子ビームは、薄膜の試料6に照射され、薄膜の試料6を透過し、散乱する。散乱角の大きい電子ビームは、第1の検出器26aによって検出され、散乱角の小さい電子ビームは第2の検出器26bによって検出される。検出器26a、26bからの検出信号によって、走査透過電子顕微鏡(STEM)像が得られる。2つの検出器26a、26bからの検出信号によって、走査透過電子顕微鏡(STEM)像における暗視野像と明視野像が得られる。
【0061】
軸合わせの方法は図4の流れ図と同様であるが、本例ではステップS2のイオンビーム軸の水平方向の移動調整の代わりに電子ビーム軸4の水平方向の移動調整を行う。ステップS2の電子ビーム軸4の移動調整では、電子ビーム軸4の移動量は最大±100μm程度である。電子ビーム軸4の移動量は、検出器26a、26bの孔内径に比べて十分小さい。従って、通常のSTEM像の観察には影響しない。
【0062】
以上、本発明の例を説明したが、本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の荷電ビーム装置の第1実施例の概略構成を説明する図である。
【図2】本発明の荷電ビーム装置の第1実施例の照射軸位置調整部の概略構成を説明する図である。
【図3】本発明の荷電ビーム装置における2つのビーム軸の軸ずれを説明する図である。
【図4】本発明の荷電ビーム装置における2つのビーム軸の軸合わせ方法を説明する図である。
【図5】本発明の荷電ビーム装置の第1実施例における試料表面構造のモデルを表示する図である。
【図6】本発明の荷電ビーム装置の第1実施例において、軸合わせにおけるSIM画像及びSEM画像を示す図である。
【図7】本発明の荷電ビーム装置の第2実施例の装置の概略構成を説明する図である。
【図8】本発明の荷電ビーム装置の第3実施例の装置の照射軸位置調整部の概略構成を説明する図である。
【図9】本発明の荷電ビーム装置の第4実施例の装置の概略構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
1:イオンビーム照射系、2:イオンビーム軸、3:電子ビーム照射系、4:電子ビーム軸、5:試料室筐体、6:試料、7:二次電子検出器、8:X線検出器、9:照射軸位置調整部、10:試料ステージ、11:排気系、12:排気系電源、13:画像表示手段、13a:SIM画像、13b:SEM画像、15:ビーム制御部、16:端部フランジ、17:真空用シール、18a:X軸ブロックガイド、18b:Y軸ブロックガイド、19aおよび19b:フランジ、19c:ベローズ、20:イオン源、21:集束レンズ、22:対物レンズ、23:非点補正器・ビームアライナー、24:偏向器、25:サイドエントリ試料ステージ、26:STEM検出器、32:V字状溝、33:移動調製用ボルトねじ、34:端部フランジ固定用孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重力方向の第1ビーム軸を有する第1のビーム照射装置と、重力方向に対して傾斜した第2ビーム軸を有する第2のビーム照射装置と、上記第1および第2のビーム照射系を支持する試料筐体と、上記第1ビーム軸を上記第2ビーム軸に交差させるための照射軸位置調整部と、を有し、試料の表面上にX軸及びY軸をとるとき、上記第1ビーム軸と試料の表面の交点である第1の交点と上記第2ビーム軸と試料の表面の交点である第2の交点との間のX方向の距離ΔXがゼロとなるように、上記試料を上下方向に移動させ、第1の交点と第2の交点の間のY方向の距離ΔYがゼロとなるように、上記照射軸位置調整部によって上記第1ビーム軸をY方向に移動させるように構成されている荷電ビーム装置。
【請求項2】
請求項1の荷電ビーム装置において、上記照射軸位置調整部は、上記第1のビーム照射系の全体を移動させることによって上記第1ビーム軸を移動させることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項3】
請求項2の荷電ビーム装置において、上記照射軸位置調整部は、上記第1のビーム照射系と上記試料筐体の間に配置された弾力性真空シールを有することを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項4】
請求項2の荷電ビーム装置において、上記照射軸位置調整部は、上記第1のビーム照射装置と上記試料筐体の間に配置されたベローズを有することを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項5】
請求項1の荷電ビーム装置において、上記第1のビーム照射装置は、上記第1ビーム軸を偏向させて上記第2ビーム軸に整合させるアライナーと対物レンズを有し、上記照射軸位置調整部は、上記アライナーによって上記第1ビーム軸を偏向させたとき上記対物レンズを移動させるように構成されていることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項6】
請求項5の荷電ビーム装置において、上記対物レンズの収差を補正する非点補正器が設けられていることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項7】
請求項1の荷電ビーム装置において、上記第1のビーム照射装置がイオンビーム照射系であり、上記第2のビーム照射装置が電子ビーム照射系であることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項8】
請求項1の荷電ビーム装置において、上記第1のビーム照射装置が電子ビーム照射系であり、上記第2のビーム照射装置がイオンビーム照射系であり、上記電子ビーム照射装置からみて上記試料の後方の電子ビーム軸上に上記試料を透過し、散乱した電子ビームを検出する検出器を配置したことを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項9】
請求項1の荷電ビーム装置において、上記照射軸位置調整部によって上記第1ビーム軸をY方向に移動させた後に、ビームアライナーによる電気的なビームシフト調整により交差誤差を10nm以下にすることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項10】
請求項1の荷電ビーム装置において、上記第1の交点を視野中心とする第1ビーム走査画像と上記第2の交点を視野中心とする第2ビーム走査画像とを表示する表示装置を備えることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項11】
重力方向の第1ビーム軸を有する第1のビーム照射手段と、重力方向に対して傾斜した第2ビーム軸を有する第2のビーム照射手段と、上記第1および第2のビーム照射系を支持する試料筐体と、試料を移動させるための試料ステージと、上記第1ビーム軸を上記第2ビーム軸に交差させるための照射軸位置調整手段と、を有し、試料の表面上にX軸及びY軸をとるとき、上記第1ビーム軸と試料の表面の交点である第1の交点と上記第2ビーム軸と試料の表面の交点である第2の交点との間のX方向の距離ΔXがゼロとなるように、上記試料ステージによって上記試料を上下方向に移動させ、第1の交点と第2の交点の間のY方向の距離ΔYがゼロとなるように、上記照射軸位置調整手段によって上記第1ビーム軸をY方向に移動させるように構成されている荷電ビーム装置。
【請求項12】
請求項11の荷電ビーム装置において、上記照射軸位置調整手段は、上記第1のビーム照射手段の全体を移動させることによって上記第1ビーム軸を移動させることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項13】
請求項11の荷電ビーム装置において、上記照射軸位置調整手段は、上記第1のビーム照射手段と上記試料筐体の間に配置された弾力性真空シール又はベローズを有することを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項14】
請求項11の荷電ビーム装置において、上記第1のビーム照射手段は、上記第1ビーム軸を偏向させて上記第2ビーム軸に整合させるアライナーと対物レンズを有し、上記照射軸位置調整手段は、上記アライナーによって上記第1ビーム軸を偏向させたとき上記対物レンズを移動させるように構成されていることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項15】
重力方向の第1ビーム軸を有する第1のビーム照射系と、重力方向に対して傾斜した第2ビーム軸を有する第2のビーム照射系と、を有する荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法において、
試料の表面上にX軸及びY軸をとるとき、上記第1ビーム軸と試料の表面の交点である第1の交点と上記第2ビーム軸と試料の表面の交点である第2交点との間のX方向の距離ΔXがゼロとなるように、上記試料を上下方向に移動させる上下方向移動ステップと、
第1の交点と第2交点の間のY方向の距離ΔYがゼロになるように、上記第1ビーム軸を水平面に沿ってY方向に移動させるY方向移動ステップと、
を含む荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法。
【請求項16】
請求項15の荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法において、上記上下方向移動ステップ及び上記Y方向移動ステップの後に、ビームアライナーによる電気的なビームシフト調整により交差誤差を10nm以下にする微調整ステップと、を含むことを特徴とする荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法。
【請求項17】
請求項15の荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法において、上記Y方向移動ステップは、上記第1のビーム照射系の全体を移動させることによって上記第1ビーム軸をY方向に移動させることを特徴とする荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法。
【請求項18】
請求項15の荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法において、上記Y方向移動ステップは、上記第1のビーム照射系に設けたアライナーによって上記第1ビームを偏向させ、該第1ビームを偏向量に対応して上記第1のビーム照射系に設けた対物レンズを移動させることを特徴とする荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法。
【請求項19】
請求項15の荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法において、上記第1のビーム照射系がイオンビーム照射系であり、上記第2のビーム照射系が電子ビーム照射系であることを特徴とする荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法。
【請求項20】
請求項15の荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法において、Y方向移動ステップは、上記第1の交点を視野中心とするSIM画像と上記第2の交点を視野中心とするSEM画像を比較することによって、第1の交点と第2交点の間のY方向の距離ΔYがゼロになったことを判定することを特徴とする荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法。
【請求項21】
重力方向の第1ビーム軸を有する第1のビーム照射装置と、重力方向に対して傾斜した第2ビーム軸を有する第2のビーム照射装置と、上記第1および第2のビーム照射系を支持する試料筐体と、上記第1ビーム軸を上記第2ビーム軸に交差させるための照射軸位置調整部と、を有し、試料の表面上にX軸及びY軸をとるとき、上記第1ビーム軸と試料の表面の交点である第1の交点と上記第2ビーム軸と試料の表面の交点である第2の交点との間のX方向の距離ΔXが微小となるように、上記試料を上下方向に移動させ、第1の交点と第2の交点の間のY方向の距離ΔYが微小となるように、上記照射軸位置調整部によって上記第1ビーム軸をY方向に移動させるように構成されている荷電ビーム装置。
【請求項22】
請求項21の荷電ビーム装置において、上記照射軸位置調整部は、上記第1のビーム照射系の全体を移動させることによって上記第1ビーム軸を移動させることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項23】
請求項22の荷電ビーム装置において、上記照射軸位置調整部は、上記第1のビーム照射系と上記試料筐体の間に配置された弾力性真空シールを有することを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項24】
請求項22の荷電ビーム装置において、上記照射軸位置調整部は、上記第1のビーム照射装置と上記試料筐体の間に配置されたベローズを有することを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項25】
請求項21の荷電ビーム装置において、上記第1のビーム照射装置は、上記第1ビーム軸を偏向させて上記第2ビーム軸に整合させるアライナーと対物レンズを有し、上記照射軸位置調整部は、上記アライナーによって上記第1ビーム軸を偏向させたとき上記対物レンズを移動させるように構成されていることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項26】
請求項25の荷電ビーム装置において、上記対物レンズの収差を補正する非点補正器が設けられていることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項27】
請求項21の荷電ビーム装置において、上記第1のビーム照射装置がイオンビーム照射系であり、上記第2のビーム照射装置が電子ビーム照射系であることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項28】
請求項21の荷電ビーム装置において、上記第1のビーム照射装置が電子ビーム照射系であり、上記第2のビーム照射装置がイオンビーム照射系であり、上記電子ビーム照射装置からみて上記試料の後方の電子ビーム軸上に上記試料を透過し、散乱した電子ビームを検出する検出器を配置したことを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項29】
請求項21の荷電ビーム装置において、上記照射軸位置調整部によって上記第1ビーム軸をY方向に移動させた後に、ビームアライナーによる電気的なビームシフト調整により交差誤差を10nm以下にすることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項30】
請求項21の荷電ビーム装置において、上記第1の交点を視野中心とする第1ビーム走査画像と上記第2の交点を視野中心とする第2ビーム走査画像とを表示する表示装置を備えることを特徴とする荷電ビーム装置。
【請求項31】
重力方向の第1ビーム軸を有する第1のビーム照射手段と、重力方向に対して傾斜した第2ビーム軸を有する第2のビーム照射手段と、上記第1および第2のビーム照射系を支持する試料筐体と、試料を移動させるための試料ステージと、上記第1ビーム軸を上記第2ビーム軸に交差させるための照射軸位置調整手段と、を有し、試料の表面上にX軸及びY軸をとるとき、上記第1ビーム軸と試料の表面の交点である第1の交点と上記第2ビーム軸と試料の表面の交点である第2の交点との間のX方向の距離ΔXが微小となるように、上記試料ステージによって上記試料を上下方向に移動させ、第1の交点と第2の交点の間のY方向の距離ΔYが微小となるように、上記照射軸位置調整手段によって上記第1ビーム軸をY方向に移動させるように構成されている荷電ビーム装置。
【請求項32】
重力方向の第1ビーム軸を有する第1のビーム照射系と、重力方向に対して傾斜した第2ビーム軸を有する第2のビーム照射系と、を有する荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法において、
試料の表面上にX軸及びY軸をとるとき、上記第1ビーム軸と試料の表面の交点である第1の交点と上記第2ビーム軸と試料の表面の交点である第2交点との間のX方向の距離ΔXが微小となるように、上記試料を上下方向に移動させる上下方向移動ステップと、
第1の交点と第2交点の間のY方向の距離ΔYが微小になるように、上記第1ビーム軸を水平面に沿ってY方向に移動させるY方向移動ステップと、
を含む荷電ビーム装置のビーム軸の軸合わせ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−18986(P2007−18986A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202080(P2005−202080)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】