説明

菓子作り用の玩具セット及び菓子の製造方法

【課題】 手軽かつ安全に菓子作りをできるようにする。
【解決手段】 菓子作り用の玩具セットであって、模様シート120と半透明シート130とが重畳された状態で載置可能な平坦面を提供する第1の領域と、冷却ボックスを装着した場合に、該冷却ボックスの平坦部が配置される第2の領域と、異なる色の菓子を融解させる融解ボックス160と、融解ボックス160において融解された菓子を、半透明シート130上に線状に絞り出すペン先端部150と、線状に絞り出された菓子の上から異なる色の菓子を流し込む際に用いられペン先端部150とを、入れ替えて装着可能なペン本体部170と、流し込まれる異なる色の菓子の外縁を規定する型枠140とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子作り用の玩具セット及び菓子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、家庭では、様々な種類の菓子作りが行われている。なかでも、チョコレートを用いた菓子作りは、定番となっている。市販のチョコレートを溶かし、型枠に流し込んで冷凍するという簡単な工程だけで、色々な形状のチョコレートを作ることできるうえ、作る際に、特殊な道具を必要としないため、家庭においても手軽に楽しむことができるからである。
【0003】
更に、チョコペン等を使えば、できたチョコレートの表面に、文字や絵を描くことも可能であり、子供達も一緒になって楽しむことができるというメリットがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、チョコレートを用いた菓子作りは、手軽に楽しむことができるものの、キッチン等に置いてある道具を必要とするため、親の補助が不可欠であり、子供達だけで行うことは難しい。
【0005】
例えば、チョコレートを溶かすためには、なべを使ってお湯を沸かし、袋等にチョコレートを入れ、お湯の中につけるといった作業が必要となる。また、溶かしたチョコレートを型枠に流し込むためには、絞り袋や口金等を用意し、溶かしたチョコレートを移し変えるといった作業も必要となってくる。更に、冷凍するためには、型枠に流し込まれたチョコレートを、一旦、タッパ等に並べかえたうえで、冷蔵庫に入れる必要がある。
【0006】
このため、このような親の補助がなくても子供達だけで安全に行うことができるようになることが望ましい。これにより、チョコレートを用いた菓子作りが、子供達にとって、より身近なものとなるからである。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、手軽かつ安全に菓子作りができるようにするための玩具セット及び菓子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明に係る菓子作り用の玩具セットは以下のような構成を備える。即ち、
模様が描かれた第1のシートと、前記模様を透かして見ることが可能な第2のシートとが重畳された状態で載置可能な平坦面を提供する第1の領域と、
冷却用の媒体が注入される冷却ボックスを装着した場合に、該ボックスの一部を形成する平坦部が、前記第1の領域に隣接する位置に配置されることで、前記第2のシートを載置した際に、該第2のシートを冷却するための平坦面として機能する第2の領域と、
固形の菓子を融解させるために、融解用の媒体が注入される融解ボックスと、
前記融解ボックスにおいて融解された菓子を、前記第1の領域に載置された前記第2のシート上に、前記第1のシートに描かれた模様に沿って線状に絞り出すために用いられるペン先端部を装着可能なペン本体部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手軽かつ安全に菓子作りができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
<菓子作り用の玩具セットの構成>
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる菓子作り用の玩具セット100の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態にかかる菓子作り用の玩具セット100は、本体部110と、模様シート120と、半透明シート130と、型枠140と、チョコペン先端部150と、融解ボックス160と、チョコペン本体部170とを備える。
【0012】
本体部110は、所望の形や模様のチョコレートをつくるための台を提供する。模様シート120は、種々の模様が描かれたシートである。また、半透明シート130は、模様シート120上に重畳した際に、模様シート120に記載された模様を透かして見ることが可能なシートである。該模様シート120に、半透明シート130を重畳させ、本体部110上に載置することで、半透明シート130上に、融解したチョコレートを用いて当該模様を描くことができる。
【0013】
なお、図1では、説明の便宜上、模様シート120と半透明シート130とをそれぞれ一枚ずつ示しているが、複数枚あってもよい。なお、複数枚ある場合、模様シート120はシート毎に異なる模様が描かれていることが望ましい。
【0014】
型枠140は、模様シート120を用いて半透明シート130上に描かれたチョコレートの模様の背景を形成するチョコレートを流し込む際に、その外縁を規定するための型枠である。当該型枠を用いることにより、出来上がりのチョコレートの外縁の形状が規定される。なお、図1では、型枠140が1種類のみ示されているが、型枠は複数個あってもよい。その場合、型枠ごとに異なる形状であることが望ましい。
【0015】
チョコペン先端部150は、本体部110上に、模様シート120と半透明シート130とが重畳して載置された状態で、半透明シート130上に、融解したチョコレートで模様を描くために、その先端から、融解したチョコレートを線状に絞り出すための道具である。
【0016】
なお、図1では、チョコペン先端部150は1つのみ示されているが、複数個あってもよい。その場合、各チョコペン先端部150には、異なる種類(色)のチョコレートが挿入されるものとする。
【0017】
融解ボックス160は、チョコペン先端部150に挿入された固形物であるチョコレートを融解するためのお湯が注入されるボックスである。
【0018】
チョコペン本体部170は、チョコペン先端部150を挟みこむことで、融解したチョコレートを、チョコペン先端部150の先端方向へ押し出すための道具である。ユーザは、チョコペン先端部150が装着されたチョコペン本体部170を用いることで、半透明シート130上に、模様を描いたり、型枠140にチョコレートを流し込んだりすることができる。
【0019】
なお、本実施の形態では用いる菓子としてチョコレートを用いる玩具セットの構成について説明するが、必ずしもチョコレートに限定されるものではなく、溶融された状態でペン本体部に把持可能であり、ペン本体部を用いて模様を描くことができる菓子であれば、様々な菓子(例えば、キャラメル等)に適用することができる。
【0020】
<本体部110の構成>
次に、図2、3を用いて本体部110の詳細な構成について説明する。図2は、本体部110の組み立て図である。
【0021】
図2に示すように、本体部110のハウジング201は、模様シート120と半透明シート130が矢印217に沿って重畳された状態で載置される生成領域(第1の領域)202を備える。生成領域202は、模様シート120及び半透明シート130と略等しい大きさの平坦な領域である。
【0022】
本体部110のハウジング201は、更に、生成領域202に隣接する位置に、冷却用開口穴203を備える。冷却用開口穴203は、半透明シート130と略等しい大きさを有し、半透明シート130上の融解したチョコレートを固めるための冷却領域を提供する。
【0023】
具体的には、冷却ボックス212が、冷却用開口穴203の下部に、矢印215に沿って装着されるように構成されている。冷却ボックス212は、水や氷を注入するための冷却ボックス注入口214と、冷却ボックス212を装着した際に、冷却用開口穴203の下部に配置される冷却ボックス平坦面213とを有する。
【0024】
なお、本体部110は、冷却ボックス212を矢印215に沿って装着する際に、冷却ボックス注入口214が内接する冷却ボックス装着用円筒部218を備える。冷却ボックス装着用円筒部218は、冷却ボックス212に注入された水及び氷が外部にこぼれないように、冷却ボックス蓋210を矢印216方向に装着できるように構成されている。
【0025】
本体部110は、更に、生成領域202上に重畳して載置された模様シート120及び半透明シート130と、冷却領域に載置された(冷却用開口穴203の下部に配置された冷却ボックス平坦面213に載置された)半透明シート130を固定するための、固定枠204を備える。
【0026】
固定枠204は、生成領域202上に重畳して載置された模様シート120及び半透明シート130の外縁部分のみを抑えるように、固定枠右側開口部206を有している。同様に、冷却領域上に載置された半透明シート130の外縁部分のみを抑えるように、固定枠左側開口部207を有している。
【0027】
また、固定枠204は、模様シート120及び半透明シート130を載置したり、取り外したりできるように、固定枠回転軸208、209を介して、矢印205方向に回動するように本体部110に取り付けられている。
【0028】
図3は、冷却ボックス212が、冷却用開口穴203の下部に装着されるとともに、生成領域202上に模様シート120と半透明シート130とが重畳して載置され、固定枠204により固定された様子を示している。
【0029】
<冷却ボックス212の構成>
次に、図4を用いて冷却ボックス212の詳細な構成について説明する。図4は、冷却ボックス212の側断面図であり、斜線部分は、水が充填されていることを示している。
【0030】
図4に示すように、冷却ボックス注入口214の高さ位置は、冷却ボックス平坦面213の高さ位置401より上方にある。これにより、冷却ボックス平坦面213の高さ位置401よりも高い位置403まで、水を注入することができる。
【0031】
仮に、冷却ボックス平坦面213の高さ位置401よりも高い位置まで水を注入することができない構成となっていた場合、冷却ボックス平坦面213の下側(点線404で示す部分)に、空気がたまり、冷却ボックス平坦面213において冷却されにくい部分ができてしまい、冷却ボックス平坦面213における冷却能力が低下することとなる。本実施形態にかかる冷却ボックス212では、このような冷却能力の低下を回避するために、上記のような構成を有している。
【0032】
また、このような持ち運び可能な冷却ボックスの上面をチョコ冷却面として用いることにより、チョコレートを冷却する際にわざわざタッパ等に移して冷蔵庫に入れる等の作業が必要となくなり、手軽に菓子作りを行うことができる。
【0033】
<チョコペン先端部150の構成>
次に、図5を用いてチョコペン先端部150の詳細な構成について説明する。図5は、チョコペン先端部150の組み立て図である。
【0034】
図5に示すように、チョコペン先端部150は、ペン先部501とペン先部挟持部511とチョコレート挿入袋521とを備える。
【0035】
ペン先部501は、ペン先部円錐形状部502を有しており、その先端には、線状の模様を描くために、融解したチョコレートが絞り出されるペン先部先端穴503が設けられている。なお、本実施形態にかかる菓子作り用の玩具セットには、描かれる線の太さを変えることができるように、互いにペン先部先端穴503の口径が異なる複数のペン先部が含まれているものとする。
【0036】
ペン先部501は、更に、平坦な形状のペン先部底部504と、ペン先部挟持部511をペン先部底部504に固定するための挟持部固定部505、506を有する。
【0037】
ペン先部挟持部511は、チョコレート挿入袋521の上部を矢印522方向に通すための挟持部開口部512を備えている。チョコレート挿入袋521の上部は挟持部開口部512に通された後に外側に折り曲げられることで、挟持部上面513とペン先部底部504の下面との間に挟持されることとなる。
【0038】
チョコレート挿入袋521は、透明のビニール素材からなり、細かく砕かれた固形物のチョコレートが挿入される。
【0039】
<融解ボックス160の構成>
次に、図6を用いて融解ボックス160の詳細な構成について説明する。図6は、融解ボックス160の構成を示す図である。
【0040】
図6(a)に示すように、融解ボックス160は、融解ボックス蓋部601と融解ボックス本体部602とから構成される。融解ボックス蓋部601は、融解ボックス本体部602に対して着脱可能な構成となっている。
【0041】
また、融解ボックス蓋部601には、チョコペン先端部150を、そのペン先部501を上に向けた状態で保持するための融解ボックス蓋部保持穴603が設けられている。つまり、ペン先部501を上に向けた状態でチョコペン先端部150を保持できるように、融解ボックス蓋部保持穴603の口径は、ペン先部底部504の直径よりも小さくなっている。
【0042】
融解ボックス本体部602は、チョコペン先端部150のチョコレート挿入袋521に挿入された固形物のチョコレートを融解するための媒体(例えば、お湯等)が注込されるボックスである。
【0043】
図6(b)は、融解ボックス160の融解ボックス蓋部保持穴603に、チョコペン先端部150を、ペン先部501を上に向けた状態で保持した様子を示している。図6(b)に示すようにチョコペン先端部150を保持することで、融解ボックス本体部602に注入されたお湯に、チョコレート挿入袋521が浸ることとなる。この結果、チョコレート挿入袋521に挿入された固形物のチョコレートが融解することとなる。
【0044】
なお、融解ボックス蓋部601には融解ボックス蓋部保持穴603が複数設けられているため、同時に複数のチョコペン先端部150を保持し、それぞれのチョコレート挿入袋521に挿入された異なる種類(色)のチョコレートを同時に融解することができる。
【0045】
<チョコペン本体部170の構成>
次に、図7を用いてチョコペン本体部170の詳細な構成について説明する。図7は、チョコペン本体部170の構成を示す図である。
【0046】
図7(a)に示すように、チョコペン本体部170は、ペン先部501を固定するチョコペン先端部固定部701と、チョコレート挿入袋521が載置されるチョコペン本体部底部702と、チョコレート挿入袋521を押圧するチョコペン本体部上部703とを備える。
【0047】
チョコペン先端部固定部701は、ペン先部円錐形状部502を固定するためのペン先部円錐形状部固定用開口部708と、ペン先部底部504とペン先部挟持部511とを固定するためのペン先部底部固定用開口部707とを有する。
【0048】
チョコペン本体部底部702は、中央部に半円筒形の凹部704を有し、チョコレート挿入袋521は、当該凹部704に載置される。
【0049】
チョコペン本体部上部703は、チョコペン本体部170の末端側において回動軸706によりチョコペン本体部底部702に回動自在に取り付けられている。また、チョコペン本体部上部703の中央部には、半円筒形の凸部705が設けられている。
【0050】
チョコペン本体部上部703が回動軸706周りに回動すると、凸部705はチョコペン本体部底部702の凹部704と嵌合する。これにより、凹部704に載置されたチョコレート挿入袋521内に挿入されている融解したチョコレートが、チョコペン本体部上部703の回動に伴ってチョコペン先端部150の先端方向に残らず押し出されることとなる。図7に示すチョコペン本体部170は、凹部704が設けられているためチョコレート挿入袋521が固定しやすく、また凹部704に嵌合する凸部705によってチョコレート挿入袋521を押圧するため、チョコレートを最後まで容易に絞り出すことができる。
【0051】
図7(b)は、チョコペン本体部170のチョコペン先端部固定部701に、チョコペン先端部150が固定された様子を示している。
【0052】
図7(c)は、チョコペン本体部170に、チョコペン先端部150が固定された後に、チョコペン本体部上部703が回動された様子を示している。これにより、ユーザは、チョコペン本体部上部703とチョコペン本体部底部702とをペンのように一体として取り扱うことができる。
【0053】
<クリーナの構成>
本実施形態にかかる菓子作り用の玩具セット100には、更に、チョコペン先端部150に付着したチョコレートを掃除するためのクリーナ800が含まれている(図1において不図示)。
【0054】
図8は、クリーナ800の構成及び使用方法を説明するための図である。図8(a)に示すように、クリーナ800は、ペン先部円錐形状部502の内側に付着したチョコレートをかき出すためのフィン(平板)801が円周方向に4つ(図8(a)では、紙面の関係から、3つのみ図示)に取り付けられている。フィン801は、ペン先部円錐形状部502に適合するように、先端部分が細くなっている。なお、フィンの個数は特に限定されるものではなく、チョコペン先端部150の形状によって適宜選択することができる。
【0055】
また、クリーナ800は、ペン先部円錐形状部502の内側に付着したチョコレートをかき出す際に、ユーザがつまむつまみ部802を有する。
【0056】
図8(b)は、クリーナ800の使用方法を説明するための図である。図8(b)に示すように、ペン先部底部504の挟持部開口部512に対して、矢印803方向に、クリーナ800を挿入する。ペン先部501の奥までクリーナ800を挿入した後は、クリーナ800を矢印804方向に回動させ、ペン先部円錐形状部502の内側に付着したチョコレートを、フィン801によりかき出す。これにより、ペン先部501を掃除することができる。
【0057】
<菓子作り用の玩具セットの使用方法>
次に、図9〜図11を用いて、菓子作り用の玩具セット100を用いた、菓子の製造方法について説明する。なお、図9及び図10において、紙面左側は、本体部110上で行われる動作を示しており、紙面右側は、当該動作に伴って、生成領域202または冷却領域上に載置された模様シート120及び半透明シート130の断面図を示している。
【0058】
図9(a)に示すように、はじめに、本体部110の生成領域202上に、半透明シート130を模様シート120に重畳させた状態で載置する。
【0059】
続いて、図9(b)に示すように、固定枠204を回動させ、生成領域202上に載置された半透明シート130及び模様シート120を固定する。この状態で、融解したチョコレートが挿入されたチョコレート挿入袋521を挟持するチョコペン先端部150が装着されたチョコペン本体部170を用いて、半透明シート130上に模様を描く。
【0060】
チョコペン先端部150からは、線状のチョコレートが絞り出されるため、模様シート120の模様に沿ってチョコペン本体部170を動かすことで、半透明シート130上に、模様シート120の模様を再現することができる(901参照)。
【0061】
半透明シート130上に、模様シート120の模様を再現することができたら、固定枠204を回動させ、生成領域202上に載置された半透明シート130及び模様シート120の固定を解く。この状態では、半透明シート130上のチョコレートは、固まっておらず、柔らかい状態にある。
【0062】
そこで、半透明シート130のみを、生成領域202から冷却領域へと移動させる。冷却用開口穴203には、冷却ボックス平坦面213が配置されているため、冷却領域に移動された半透明シート130は、下面側から冷却されることとなる。
【0063】
この結果、生成領域202上においては、固まっていなかったチョコレートが、冷却領域において固められることとなる。なお、ここで必ずしも生成領域202上に半透明シート130及び模様シート120を固定し、その上で半透明シート上にチョコレートを用いて模様を描く必要はなく、テーブルの上など他の場所で模様を描いた後で、冷却領域に半透明シートを移動してチョコレートを冷却してもよい。ただし、冷却領域に隣接した生成領域上で半透明シート上に模様を描いた後、半透明シートを冷却領域へ移動させることにより、冷却領域への半透明シートの移動が容易となり、より手軽に菓子作りを楽しむことができる。
【0064】
模様シート120上の模様を再現したチョコレートが固まった後は、半透明シート130を再び、生成領域202上に、模様シート120に重畳させて載置する。
【0065】
図10(a)は、模様シート120上の模様を再現したチョコレートが固まった状態にある半透明シート130が、冷却領域から生成領域202に移動され、模様シート120上に重畳された様子を示している。
【0066】
半透明シート130を、模様シート120上に重畳した後は、固定枠204を再び回動させ、半透明シート130及び模様シート120を生成領域202上に固定する。この状態で、再現された模様の外周を囲む型枠140を、半透明シート130上に載置する。
【0067】
模様シート120には、予め型枠140を載置する位置を示す線が、点線で示されているため、ユーザは、当該点線に合うように型枠140を載置する。なお、模様シート120には必ずしも型枠140を載置する位置を示す線が示されている必要はないが、型枠140を載置する位置を示す線が示されていることにより、型枠の位置合わせを容易に行うことができる。
【0068】
型枠140が半透明シート130上に載置された状態で、ユーザは、模様シート120上の模様を再現するのに用いたチョコレートとは異なる色のチョコレートが挿入されたチョコペン先端部150が装着されたチョコペン本体部170を用いて、型枠140内に、チョコレート902を流し込む。
【0069】
この結果、模様シート120上の模様を再現した線状のチョコレートの上に、当該線状のチョコレートとは異なる色のチョコレートが重畳されるとともに、当該模様がない領域は当該異なる色のチョコレートで埋められることとなる。
【0070】
図10(b)は、線状のチョコレートとは異なる色のチョコレートにより、型枠140の内側であって、かつ当該線状のチョコレートが無い領域が埋められた様子を示している。
【0071】
線状のチョコレートとは異なる色のチョコレートが、型枠140の内側であって、かつ当該線状のチョコレートが無い領域を埋めた後は、固定枠204を回動させ、生成領域202上に載置された半透明シート130及び模様シート120の固定を解く。その後、半透明シート130を、型枠140を載せたまま、冷却領域へと移動する。
【0072】
図10(c)は、半透明シート130が、型枠140を載せたまま、冷却領域へと移動された様子を示している。上述のように、冷却用開口穴203には、冷却ボックス平坦面213が配置されているため、冷却領域に移動された半透明シート130は、下側から冷却されることとなる。
【0073】
この結果、生成領域202上においては、固まっていなかった異なる色のチョコレートが、冷却領域において固められることとなる。
【0074】
固まっていなかった異なる色のチョコレートが、冷却領域において完全に固められた後、ユーザは、図11に示すように、半透明シート130及び型枠140を取り外す。この結果、半透明シート130と接していた面は、線状のチョコレートにより模様シート120上の模様が再現され、かつ、その周囲は、当該線状のチョコレートとは異なる色のチョコレートからなり、かつ、その外縁は、型枠140の形状からなる菓子が生成されることとなる。
【0075】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる菓子作り用の玩具セットを用いれば、子供達だけでも、チョコレートを用いた菓子作りを手軽に行うことができるようになる。
【0076】
また、融解のための加熱器具等を必要としないため、菓子作りを安全に行うことができる。
【0077】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、線状のチョコレートの上から、該線状のチョコレートとは異なる色のチョコレートを、型枠140を用いて流し込むことにより、菓子作りを行う場合について説明した。しかしながら、本発明にかかる菓子作り用の玩具セットは、このような使用方法に限定されない。
【0078】
例えば、生成領域202上において、線状のチョコレートにより模様を描いた後に、該模様の上からクッキー等の固形の菓子を載せた後に、半透明シート130を冷却領域に移動させ、チョコレートを冷却することにより、チョコレートにより描かれた模様をクッキーに転写して定着させるようにして菓子作りを行ってもよい。
【0079】
なお、クッキー等の固形の菓子に模様をきれいに転写するために、半透明シート上に描かれたチョコレートを冷却した後で、クッキー等を載せてもよい。その場合、半透明シート130上に描かれたチョコレートを冷却した後、該冷却されたチョコレート上に溶融したチョコレートを少量載せ、該模様の上からクッキー等の固形の菓子を載せて再度冷却するとよい。
【0080】
この場合、型枠140が不要であり、チョコペン先端部150も1種類のみ用意すればよいこととなるため、準備が簡単になる上、菓子作りの作業工程も簡略化できるため、第1の実施形態と比べ、より簡単に菓子作りを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる菓子作り用の玩具セット100の構成を示す図である。
【図2】本体部110の組み立て図である。
【図3】冷却ボックス212が、冷却用開口穴203の下部に装着されるとともに、生成領域202上に模様シート120と半透明シート130とが重畳して載置され、固定枠204により固定された様子を示す図である。
【図4】冷却ボックス212の側断面図である。
【図5】チョコペン先端部150の組み立て図である。
【図6】融解ボックス160の構成を示す図である。
【図7】図7は、チョコペン本体部170の構成を示す図である。
【図8】クリーナ800の構成及び使用方法を説明するための図である。
【図9】菓子作り用の玩具セット100を用いた、菓子の製造方法について説明するための図である。
【図10】菓子作り用の玩具セット100を用いた、菓子の製造方法について説明するための図である。
【図11】菓子作り用の玩具セット100を用いた、菓子の製造方法について説明するための図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
模様が描かれた第1のシートと、
前記模様を透かして見ることが可能な第2のシートと、
冷却用の媒体が注入され、前記第2のシートを載置して冷却するための平坦部を有する冷却ボックスと、
固形の菓子を融解させるために、融解用の媒体が注入される融解ボックスと、
前記融解ボックスにおいて融解された菓子が挿入され、前記第1のシート上に載置された前記第2のシート上に、前記第1のシートに描かれた模様に沿って融解された前記菓子を線状に絞り出すために用いられるペン先端部と、
を備えることを特徴とする菓子作り用の玩具セット。
【請求項2】
模様が描かれた第1のシートと、前記模様を透かして見ることが可能な第2のシートとが重畳された状態で載置可能な平坦面を提供する第1の領域と、
冷却用の媒体が注入される冷却ボックスを装着した場合に、該ボックスの一部を形成する平坦部が、前記第1の領域に隣接する位置に配置されることで、前記第2のシートを載置した際に、該第2のシートを冷却するための平坦面として機能する第2の領域と、
固形の菓子を融解させるために、融解用の媒体が注入される融解ボックスと、
前記融解ボックスにおいて融解された菓子を、前記第1の領域に載置された前記第2のシート上に、前記第1のシートに描かれた模様に沿って線状に絞り出すために用いられるペン先端部を装着可能なペン本体部と
を備えることを特徴とする菓子作り用の玩具セット。
【請求項3】
模様が描かれた第1のシートと、前記模様を透かして見ることが可能な第2のシートとが重畳された状態で載置可能な平坦面を提供する第1の領域と、
冷却用の媒体が注入される冷却ボックスを装着した場合に、該ボックスの一部を形成する平坦部が、前記第1の領域に隣接する位置に配置されることで、前記第2のシートを載置した際に、該第2のシートを冷却するための平坦面として機能する第2の領域と、
種類の異なる複数の固形の菓子を融解させるために、融解用の媒体が注入される融解ボックスと、
前記融解ボックスにおいて融解された種類の異なる複数の菓子のうち、第1の菓子を、前記第1の領域に載置された前記第2のシート上に、前記第1のシートに描かれた模様に沿って線状に絞り出すために用いられる第1のペン先端部と、該第2のシート上に線状に絞り出された該第1の菓子の上から第2の菓子を流し込むために用いられる第2のペン先端部と、を入れ替えて装着可能なペン本体部と、
前記流し込まれる第2の菓子の外縁を規定する型枠と
を備えることを特徴とする菓子作り用の玩具セット。
【請求項4】
前記第1の領域において、重畳された第1及び第2のシートを固定するとともに、前記第2の領域において、前記第2のシートを固定する固定枠を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の菓子作り用の玩具セット。
【請求項5】
前記冷却ボックスは、前記冷却用の媒体を注入するための注入口が、前記平坦部よりも上方に位置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の菓子作り用の玩具セット。
【請求項6】
前記融解ボックスは、前記ペン本体部に装着されるペン先端部に保持された袋体に挿入された前記菓子を融解するために、該ペン先端部を支持可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の菓子作り用の玩具セット。
【請求項7】
前記ペン本体部は、前記ペン先端部に保持された袋体を押圧するための底部と上部とを備え、該底部には、前記袋体が載置される半円筒形状の凹部が設けられ、該上部には、該凹部に載置された前記袋体内の融解した菓子を先端方向に押し出すための凸部が設けられ、該上部は、前記ペン本体部の末端側において、前記底部に回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の菓子作り用の玩具セット。
【請求項8】
前記ペン本体部に装着されるペン先端部の、前記融解した菓子を絞り出すための円錐形状の部位に付着した該融解した菓子を取り除くために、該円錐形状に沿った形状の平板が円周方向に複数枚配されたクリーナを備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の菓子作り用の玩具セット。
【請求項9】
平坦面を提供する第1の領域において、模様が描かれた第1のシートと、該模様を透かしてみることが可能な第2のシートとを重畳させた状態で、該第2のシート上に、融解された菓子を該模様に沿って線状に絞り出すことで、該融解された菓子により模様を形成する第1の形成工程と、
前記第1の領域に隣接し、前記第2のシートを冷却可能な第2の領域に、前記第1の領域において融解された菓子により模様が形成された前記第2のシートを移動させることにより、該模様を形成する菓子を冷却する第1の冷却工程と、
前記第1の冷却工程において模様を形成する菓子が冷却された第2のシートを、前記第1の領域に移動させ、前記模様を形成する菓子の外周を囲む型枠を該第2のシート上に載置した後、該模様を形成する菓子とは異なる種類の融解された菓子を、該型枠内に、前記模様を形成する菓子の上から流し込む第2の形成工程と、
前記第2のシートを、前記第2の領域に移動させ、前記第2の形成工程において前記模様を形成する菓子の上から流し込まれた前記異なる種類の融解された菓子を冷却する第2の冷却工程と、
前記第2の冷却工程において冷却された後、前記型枠と前記第2のシートとを取り外し、該第2のシートと接していた面を表面とする工程と
を備えることを特徴とする菓子の製造方法。
【請求項10】
平坦面を提供する第1の領域において、模様が描かれた第1のシートと、該模様を透かしてみることが可能な第2のシートとを重畳させた状態で、該第2のシート上に、融解された菓子を該模様に沿って線状に絞り出すことで、該融解された菓子により模様を形成する第1の形成工程と、
前記第1の形成工程において模様が形成された菓子の上に、該菓子とは異なる種類の固形の菓子を載置する第2の形成工程と、
前記第1の領域に隣接し、前記第2のシートを冷却可能な第2の領域に、前記第1の領域において融解された菓子により模様が形成され、該菓子とは異なる種類の固形の菓子が載置された前記第2のシートを移動させることにより、該模様を形成する菓子を冷却し、該模様を形成する菓子を、該菓子とは異なる種類の固形の菓子に定着させる冷却工程と、
前記冷却工程において冷却された後、前記第2のシートとを取り外し、該第2のシートと接していた面を表面とする工程と
を備えることを特徴とする菓子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−136200(P2009−136200A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315180(P2007−315180)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【特許番号】特許第4209925号(P4209925)
【特許公報発行日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】