蒸気を用いた炭化水素改質による水素の製造方法に用いる触媒、該触媒の製造方法および該水素の製造方法における該触媒の使用
本発明は、水蒸気による炭化水素改質によって、水素の気体流または水素濃度の高い気体流を製造する触媒に関する。該触媒は、少なくとも1種の担体、活性相および少なくとも2種の促進物質を含むものであって、該活性相がVIII族から選択された少なくとも1種の遷移金属と、アルカリ土類金属または遷移金属から選択された少なくとも1種の促進物質を含み;該担体が塩基性の少なくとも1種の混合酸化物と、ランタニド族から選択された少なくとも1種の促進物質を含む、金属担持固体であることを特徴とする。本発明は、いろいろな操作条件および各種炭化水素を用いて炭化水素から水素ガスまたは水素濃度の高いガスを得る方法に使用することだけでなく、触媒の製造方法も目的としている。本発明に属する触媒は、水蒸気による改質反応において触媒が受ける様々な不活性化作用に対する優れた耐久性を有するだけでなく、炭化水素のガス化に対し高い活性および選択性を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を用いた炭化水素改質用の触媒の技術分野に関し、該触媒は、水素製造工場、燃焼エンジンおよび特に燃料電池システムの燃料として使用される高濃度水素の気体流を製造するために使用されるものであり、さらに詳しくは、コーク生成、焼結および硫黄被毒による不活性化に耐性があり、炭化水素種に対して適応性のある触媒領域に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は電気化学的装置であり、該装置は、化学反応のエネルギーを効率良くかつクリーンに(水素を用いる場合には汚染物質を生成させることがない)電気エネルギーに変換できる特性を有し、据置用装置だけでなく携帯用装置としても使用できる。
【0003】
水素および燃料電池は、我々の燃料製造方法および燃料使用方法に大きな変革をもたらす力を持っている。水素製造技術の開発、燃料電池の開発、その使用に必要な基幹施設および公衆の同意を得るための公衆への教育が、水素に大きく依存する経済、すなわち、エネルギー輸送体としての水素の使用、およびエネルギー変換装置としての燃料電池の使用を達成しようと試みる際に重要な役割を果たす。
【0004】
製造能力が低いという初期の要求を最小限の資本投資で解決するために、短期間の研究は、天然ガスおよび天然液体燃料からの水素の製造に集中している。短期的および中期的には、炭化水素からの水素の製造が、水素に基づく経済に緩やかに移行するための最適な選択であるように思われる。これは、従来の燃料の貯蔵および流通に実際に使用されている現在の基幹施設を使用することができるからである。
【0005】
水素を得るためのより適切な技術および炭化水素の最適な選択は、製品の最終用途に依存するものであり、必要なガス組成および操作のスケールを何が決定するかに依る。
【0006】
蒸気を用いる炭化水素の改質触媒は、水素を得るために最もよく使用される技術の一つであり、今日、水素を大規模に製造するための最も安価な方法でもあり、1930年代から工業的規模で実施されているので多くのデータ(工程、改質、熱力学、速度論、機構、触媒に関し)が知られている。水素を得るための別の技術には、部分酸化法と自己熱改質法がある。燃料電池用のエネルギー源としての用途の観点から、蒸気を用いる炭化水素の改質が、製品中により高濃度の水素を生成させることができ(蒸気改質プロセスの70〜80%に対し、部分酸化および乾燥自己熱改質プロセスでは40〜50%)、生成する水素1モル当たりのCO2の排出量が少ない(蒸気改質プロセスの0.20に対し、自己熱改質プロセスおよび部分酸化プロセスでは、それぞれ0.35と0.80)。しかしながら、蒸気改質は吸熱反応であるため、多くのエネルギーを吸収する必要があり、炭化水素プロセスと電気化学電池の運転との統合が、全体プロセスの効率を増加させるためには必要である。
【0007】
入手の容易さ、毒性およびエネルギー密度等の観点を考慮すると、液体炭化水素(ガソリンおよびディーゼル)は、蒸気改質による水素の製造に用いる原料としての使用に最も適していると考えられる。一方、液体炭化水素の使用は、従来の燃料に実際に使用されている貯蔵および流通の基幹施設の利益を享受することができる。
【0008】
蒸気改質は、炭化水素流を、水素、一酸化炭素、二酸化炭素およびメタンを含む気体混合物へと変換する。その蒸気改質は触媒過程であり、非常に吸熱性であり、担持された金属系触媒の表面上で起こる。生起する主反応は、以下の通りである。
【0009】
【化1】
【0010】
実際には、この操作は炭化水素を完全に変換させるためになされるものであり、反応生成物の組成は、その反応が生起する操作条件(圧力、温度、水/炭素比および空間速度)に依存し、また用いる触媒にも依存する。そのため、高濃度の水素ガス流を得るためには、気体組成を水素生成の方向に促す熱力学バランスを最大値に変位させるように、低圧下高温で、および高い水/炭素比、好ましくは3より大きい条件で、行うことが望ましい。
【0011】
蒸気改質反応は、固体触媒の表面上で通常生起する。該固体触媒は、周期律表第VIII族に属する少なくとも1種の金属を含み、より優れた活性/価格比を有していることから、通常ニッケルが好ましい。該金属は、材料上に通常担持され、該材料は工程に対する十分な機械的耐性および熱的耐性を付与するものであり、一般にα−Al2O3耐熱性酸化物、アルミノケイ酸塩および塩基性支持体(MgO)である。これら触媒には添加物を用いることができ、それによりコーク生成を防止することができ、この目的のためには、アルカリ(K2O)の添加およびマグネシアの使用が一般的である。
【0012】
炭化水素改質反応が生起する厳しい操作条件では、コーク生成に加え、他の触媒不活性化機構、例えば、焼結、金属ニッケルの酸化、支持体との反応により還元するのが困難な化合物(例えばNiAl2O4)の生成、および処理すべき炭化水素に含まれる硫黄化合物の存在に起因する被毒も発生し得る。これらの不活性化機構も、触媒の特性に依存する。
【0013】
これらの問題点故に、水素を得るために蒸気を用いた炭化水素改質操作に触媒を使用できるようにするためには、触媒が、炭化水素のガス化に対する高い活性および選択性に加えて、機械的耐性、熱安定性、コーク生成および他の不活性化機構に対する耐性を有する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、蒸気を用いた炭化水素改質によって水素ガスまたは水素濃度の高いガスを得るための方法に適用可能な触媒にある。本発明の別の目的は、本明細書に記載した方法における種々の操作条件下での該触媒の使用および種々の炭化水素を用いた場合の該触媒の使用だけでなく、該触媒の製造方法にある。我々は、これらの目的を持って、前述の従来技術の問題点を克服したいと考える。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、触媒は、担体、活性相および少なくとも2種の促進物質を含み、該触媒は金属担持型固体であり、該活性相は第VIII族から選択された少なくとも1種の遷移金属、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび/または白金、好ましくはニッケルを含み、およびアルカリ土類金属または遷移金属から選択された少なくとも1種の促進物質、例えば、銅、コバルト、マンガン、パラジウム、ルテニウム、レニウム、カルシウムおよび/または亜鉛、好ましくはコバルト、レニウムまたはそれらの組み合わせを含み;および該担体は、少なくとも1種の塩基性混合酸化物、好ましくは、マグネシウムとアルミニウムの混合酸化物、およびランタニドを構成する元素の対応酸化物から選択された少なくとも1種の促進物質、好ましくは酸化セリウムを含む。
【0016】
開発した触媒は、好ましくはニッケルを用いた金属担持型であり、特に、ハイドロタルサイト型構造を有する物質(共沈法により製造できる)を熱分解して混合酸化物を製造し、後で活性相を設け、大きな表面積を有するマトリックス内部に高度に分散した微小結晶を特徴とする材料が最終的に得られる。前駆体であるハイドロタルサイト型物質の合成条件および製造方法に応じて、ニッケルの適切な分散を確保するために、金属と担体との間の相互作用の程度を調整することができ、それにより、マトリックス上に中間サイズ(mid-size)が3〜10nmの粒子が分散し、表面積(BET)が200〜300m2/gの触媒が得られる。
【0017】
本発明によれば、触媒は、担体上に高度に分散された活性相を含み、該担体は該活性相に十分な機械的耐性(高温蒸気の空間速度、温度および分圧の条件下でその構造を維持する)を付与し;さらに該担体は、水の活性化(炭素種がその上に見出される活性中心に対する酸素種の吸着−解離および移動)に関与するという意味で、過程中に生起する表面反応に積極的に関与する。配合に関しては、触媒は、担体だけでなく活性相も種々の促進物質を含み、該促進物質は、蒸気改質反応で生起する種々の不活性化機構に対する耐性だけでなく、活性および選択性も向上させる。
【0018】
本発明の好ましい態様では、触媒は、少なくとも以下のピーク(度)と相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有している。
【0019】
【表1】
【0020】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【0021】
示した値は、X線回折における触媒の特性に対応するものであり、CuKα線(放射エネルギー:30mA、40kV)を用いたフィリップ社製PW1830回折計(PW1710コントローラー)を使用して測定を行った。相の確認には走査プログラムを用い、2の3.5度から70度まで0.5度毎に測定し、相毎の測定時間は0.25秒である。本明細書およびクレームで言及したX線回折図形だけでなく、他のX線パターンも、同じ基本条件で得た。
【0022】
より一層好ましい態様では、触媒は、少なくとも以下のピーク(度)と相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有している。
【0023】
【表2】
【0024】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【0025】
好ましい態様によれば、記載した触媒は、1重量%〜15重量%の活性相と、1重量%〜20重量%の各促進物質(活性相と担体からの)を含んでいる。より好ましくは、3重量%〜10重量%の活性相と、5重量%〜15重量%の各促進物質を含む。
【0026】
好ましい態様によれば、担体の層状前駆体は、ハイドロタルサイト型構造を有し、2価のカチオン[M(II)]と3価のカチオン[M(III)]を、
[M(III)/(M(II)+M(III))]で規定されるモル比が0.2〜0.33となるように含んでもよい。より好ましい態様では、担体は、
[M(III)/(M(II)+M(III))]で規定されるモル比が0.2〜0.33の混合酸化物を含み、[M(II)]は好ましくはマグネシウムであり、かつ[M(III)]は好ましくはアルミニウムであり、モル比Al/(Al+Mg)は0.20から0.33の範囲であり、ニッケル含有量は1〜15重量%、コバルト含有量は1〜20重量%、酸化セリウム含有量は1〜20重量%であってもよい。
【0027】
さらにより好ましい別の態様によれば、マグネシウムとアルミニウムの混合酸化物は、モル比Al/(Al+Mg)が0.25であり、ニッケル含有量が3〜10重量%、コバルト含有量が5〜15重量%、および酸化セリウム含有量が5〜15重量%であってもよい。
【0028】
さらにより好ましい別の態様によれば、ニッケル含有量は5〜7重量%、コバルト含有量は6〜9重量%、および酸化セリウム含有量が7〜10重量%であってもよい。
【0029】
特定の態様では、活性相はコバルト以外にレニウムを別の促進物質として含んでもよい。レニウム含有量は、好ましくは0.1〜2重量%であってもよい。
【0030】
本発明は、前述の特性を有する触媒の製造方法にも関するものである。本方法は、以下の工程を含む:
合成を行う第1の工程であって、ハイドロタルサイト型構造を有し、触媒の全構成元素を含む二層構造の水酸化物である、触媒の前駆体を製造する第1の工程;
熱分解を行う第2の工程であって、第1の工程で製造した層構造を有する前駆体をか焼して混合酸化物を製造する第2の工程;
活性化を行う第3の工程であって、第2の工程で製造した混合酸化物を還元処理して金属担持型触媒を得る第3の工程。
【0031】
合成工程では、例えば全ての構成元素を共沈させることにより、ハイドロタルサイト型前駆体を製造する。ハイドロタルサイトの典型的な層構造を生成し易くするために、それらの間のモル比は、[M(III)/(M(II)+M(III))]=0.2〜0.33、である。それは、3価カチオンの全カチオン(3価カチオンと2価カチオンの合計)に対する比率が0.2から0.33の範囲であることを意味している。
【0032】
熱分解工程は、第1の工程で合成した前駆体をか焼して混合酸化物を得ることを意味している。空気雰囲気下、723〜1273K、好ましくは923〜973Kまでの温度でか焼処理することにより、混合酸化物を生成させてもよい。
【0033】
第2の工程で生成した混合酸化物から最終触媒を製造する活性化工程は、活性化処理を意味している。金属担持型触媒を生成させための混合酸化物の活性化は、873〜1173K、好ましくは973〜1023Kまでの温度での還元処理を含んでもよい。
【0034】
活性相の第2の促進物質を導入する場合、本方法は、熱分解工程と活性化工程の間にレニウムの含浸工程をさらに含む。
【0035】
好ましい態様によれば、層状前駆体の合成は以下の工程を含んでもよい:2種の溶液の調製(一方の溶液は、必要な金属を含み、他方の溶液はそれらを沈殿させる塩基を含む)、ゲルを得るためのそれらの共添加、ハイドロタルサイト相を結晶化させるためのゲルの熟成(aging)、中性pHになるまでのゲルの洗浄および中性ゲルの乾燥;熱分解工程は、この場合、空気雰囲気下、723〜1273Kの温度でのか焼であってもよく、一方、活性化工程は、水素雰囲気下、873〜1173Kまでの温度での還元処理であってもよい。
【0036】
特定の態様によれば、ハイドロタルサイト構造を有する層状前駆体の合成は、触媒の全ての構成元素を含み、2価カチオンと3価カチオンは、[M(III)/(M(II)+M(III))]で規定されるモル比を0.2〜0.33を維持する。より好ましくは、この場合、モル比は0.25であり、熱分解工程は、空気雰囲気下、723K〜1273Kまでの温度でのか焼過程であってもよく、活性化工程は、水素雰囲気下、873〜1173Kまでの温度での還元処理であってもよい。この特定の態様において、アルコール溶液を用いて、レニウム含浸(活性化工程に先立って)を細孔容積にまで行うことが好ましい。
【0037】
好ましくは、ハイドロタルサイト構造を有する層状前駆体の2価カチオンと3価カチオンとの間の[M(III)/(M(II)+M(III))]で規定されるモル比を0.25とし、空気雰囲気でのか焼工程を773〜1173Kの温度で行い、水素雰囲気での還元工程を873〜1073Kの温度で行うことである。この好ましい態様では、レニウム含浸(活性化工程に先立って)をアルコール溶液を用いて細孔容積にまで行うことが好ましい。
【0038】
本発明の好ましい態様によれば、ハイドロタルサイト構造を有する層状前駆体は、少なくとも以下のピーク(度)と相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有してもよい。
【0039】
【表3】
【0040】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【0041】
この好ましい態様では、空気雰囲気下でのか焼工程は873〜973Kの温度で行い、混合酸化物は、少なくとも以下のピーク(度)と相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有する。
【0042】
【表4】
【0043】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【0044】
同様に、この好ましい態様によれば、水素雰囲気下での還元工程を973〜1073Kの温度で行い、少なくとも以下のピーク(度)と相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有する触媒を得る。
【0045】
【表5】
【0046】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【0047】
本発明によれば、触媒は、1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の促進物質だけでなく、1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%の活性相を含んでもよい。活性相がニッケルを含み、第2の促進物質がセリウムを含む場合、触媒は、好ましくは、5〜7重量%のニッケルと7〜10重量%の酸化セリウムを含む。
【0048】
本発明の触媒は、蒸気を用いる炭化水素改質の触媒工程に使用され、基本的に供給された炭化水素をすべて転化できる高い触媒活性と、水素製造に対する高い選択性、および低い水/炭素比の条件でのコーク生成による不活性化のない高い安定性を有している。これらの触媒特性は、このようなタイプの工程に使用するのに適したものであり、例えば、ハイドロタルサイト型前駆体の層状構造に起因する物理化学特性および基本的特性を利用することにより得ることができる。これらの前駆体では、多機能を有するナノ構造触媒の理論的設計が可能であり、該ナノ構造触媒は、構成元素が均一に相互分散された状態で原子レベルまで高度に機能化されており、塩基性と大きな表面積を有する微小結晶がマトリックス内に高度に分散されているという特徴を有している;本発明の触媒製造方法は、活性中心の周囲の特性だけでなく、活性中心の特性も制御することができる。組成に応じ、合成工程で沈殿法および得られた固体に対して種々の熱処理を行い、活性中心の周囲の特性だけでなく活性中心の特性も制御することで、金属−担体間の相互作用の状態を安定化させる。
【0049】
本発明は、前述の方法を用いて製造することができ前述の特性を有する触媒の、種々の炭化水素からの水素または高濃度水素の製造方法における使用にも関する。
【0050】
上記の製造方法は、開発された触媒の存在下、所定の実施条件で行われる蒸気を用いた炭化水素改質反応を意味する。
【0051】
好ましくは、炭化水素から得られる水素または高濃度水素は、燃料電池への使用に適している。
【0052】
上記の製造方法は、好ましくは水素輸送体を改質する触媒工程であり、該水素輸送体は、天然ガス、ナフサ、ディーゼル油、または植物油からなる化石燃料の群から選択され、該製造方法は、触媒存在下、673〜1073Kの温度で水素輸送体と水とを反応させ、それにより、水素を含む気体混合物を得る。水と水素輸送体は、0〜5バール、好ましくは0〜3バール、より好ましくは大気圧で反応させる。
【0053】
好ましい態様として、水と水素輸送体の炭素とのモル比を5:1から1:1、好ましくは4:1から2:1で、水と水素輸送体を反応させる。
【0054】
好ましい態様として、水と水素輸送体を、773〜1023Kの温度で、好ましくは923〜973Kの温度で反応させる。
【0055】
水素輸送体と反応させる水は、蒸気の状態であることが好ましい。
【0056】
別の好ましい態様として、水と水素輸送体との反応で得られる水素を含む気体混合物は、中温または高温の燃料電池に供給される。
【0057】
次の好ましい態様として、水素輸送体と水との反応で得られる水素を含む気体混合物を精製工程に供し、該気体混合物中に最終的に含まれる一酸化炭素の少なくとも一部を二酸化炭素へ変換して精製された気体混合物を得るが、それは精製された気体混合物を燃料電池に供給するためである。この態様では、燃料電池は、中温および高温の燃料電池から選択される。
【0058】
水蒸気を用いる触媒式炭化水素改質工程に本発明の触媒を用い、固定床連続流式筒型反応装置を用いて以下の実施条件で行う:水/炭素比は炭素1グラム原子当たり水が1〜4モル、温度が773〜1073K、圧力が0から大気圧より高い3バール、気体の空間速度が50000〜200000h−1である。炭化水素が全て転化され、65〜70体積%の高濃度水素流が得られ、一酸化炭素、二酸化炭素およびメタンが副生物(3〜1体積%)として得られる。最も厳しい条件での長期連続試験でも、不活性化の兆候を見ることなく活性が維持されている。本発明で開発した触媒を、水蒸気を用いる炭化水素改質過程に使用する場合の好ましい実施条件は、以下の通りである:水/炭素比は、炭素1グラム原子当たり水が3〜3.5モル、反応温度が923〜973K、作動圧力が0から大気圧より高い1バール、気体の空間速度が70000〜150000h−1である。
【0059】
本発明のこの使用に対する態様として、水と水素輸送体との反応により得られる水素を含む気体混合物を高温燃料電池に供給する。この場合、製造された水素を含むこの混合物は、高温燃料電池、例えば、溶融炭酸塩燃料電池−MCFC−または固体酸化物燃料電池−SOFC、IT−SOFC−、のアノードに精製することなく直接供給してもよい。これは、二酸化炭素は不活性であり、そして気体混合物に含まれる残りの成分、例えば一酸化炭素およびメタンはこのタイプの電池の燃料として作用し、カソードに供給される空気中の酸素と反応するので、電気エネルギーが生成するからである。
【0060】
本発明の使用に対する別の態様として、水と水素輸送体との反応により得られる水素を含む気体混合物を精製工程に供し、精製された気体混合物に最終的に存在する一酸化炭素の少なくとも一部を変換する。それは、その気体混合物を燃料電池に供給するためである。この態様は、リン酸型燃料電池−PAFC−等の中温燃料電池、または高分子型燃料電池−PEMFC−等の低温燃料電池に特に適しており、それら燃料電池を適切に動作させるためには、必要なレベルまで一酸化炭素濃度を低減する必要があり(それぞれの燃料電池に対して、1体積%と50ppm)、そのため種々の精製工程を導入することが必要である。この精製は、「水性ガスシフト」(WGS)と呼ばれる反応により行われ、その反応では、一酸化炭素が水と反応して水素と二酸化炭素が生成する。この反応の利点は、倍あり、それは改質ガス中の一酸化炭素を減らせるだけでなく、水素含有量を増加させる。一般に、WGS工程後に通常残る残留一酸化炭素濃度は、低温高分子型燃料電池に供給されるものよりも一般的に高い。この残留一酸化炭素濃度を減らすためには、いくつかの選択肢があるが、その中で言及する価値のあるものは、PSAシステム(圧力変動吸着)、メタネーションおよびCO選択酸化である。燃料電池で生成する水は、水素製造工程へと再循環できるので、工程全体における水の消費を最小化できる。
【0061】
本発明によれば、高価でなく、耐久性があり安定な触媒を用いて種々の炭化水素から水素を得ることが可能となるだけでなく、使用条件によっては水素生成効率が熱力学的効率に近い状態で水素の据置型製造および携帯型製造も可能となる。その上、生成した気体混合物を、中温および高温の燃料電池に直接供給するように使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
以下、本発明の態様を実施例に基づいて説明するが、本明細書の必要な部分を構成する図面について説明する。
【図1】図1は、本発明の触媒を製造するために合成された、ハイドロタルサイト構造を有する層状前駆体のX線回折図を示す。
【図2】図2は、図1に示す層状前駆体を熱分解して得た混合酸化物のX線回折図を示す。
【図3】図3は、図2の混合酸化物から得られた金属担持型触媒のX線回折図を示す。
【図4】図4は、蒸気反応で改質した各種炭化水素の転化率と反応温度の関係を示しており、図3で確認した触媒の存在下で行ったものであり、検討した炭化水素は、天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油の流れである。
【図5】図5は、蒸気反応で改質したナフサの転化率と反応時間の関係を示しており、図3で確認した触媒の存在下、高温および低い水/炭素比率の実験条件下で行った。
【図6】図6は、図5の触媒試験で得られた生成物の分布を示している。
【図7】図7は、蒸気反応で改質した、硫黄5ppmを含む市販のディーゼル油の転化率と反応時間の関係を示しており、図3で確認した触媒の存在下で行ったものである。
【図8】図8は、図7の触媒試験で得られた生成物の分布を示している。
【図9】図9は、蒸気反応で改質した、硫黄5ppmを含む市販のディーゼル油の転化率と反応時間の関係を示しており、図3で確認した触媒の存在下で行ったものである。
【図10】図10は、図9の触媒試験で得られた生成物の分布を示している。
【図11】図11から15は、蒸気反応で改質した各種炭化水素(天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油)の転化率と反応温度の関係を示しており、NiMgAl、NiMgCoAlCe、1ReNiMgCoAlCeの触媒の存在下で行ったものである。
【図12】図11から15は、蒸気反応で改質した各種炭化水素(天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油)の転化率と反応温度の関係を示しており、NiMgAl、NiMgCoAlCe、1ReNiMgCoAlCeの触媒の存在下で行ったものである。
【図13】図11から15は、蒸気反応で改質した各種炭化水素(天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油)の転化率と反応温度の関係を示しており、NiMgAl、NiMgCoAlCe、1ReNiMgCoAlCeの触媒の存在下で行ったものである。
【図14】図11から15は、蒸気反応で改質した各種炭化水素(天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油)の転化率と反応温度の関係を示しており、NiMgAl、NiMgCoAlCe、1ReNiMgCoAlCeの触媒の存在下で行ったものである。
【図15】図11から15は、蒸気反応で改質した各種炭化水素(天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油)の転化率と反応温度の関係を示しており、NiMgAl、NiMgCoAlCe、1ReNiMgCoAlCeの触媒の存在下で行ったものである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0063】
実施例1.NiMgCoAlCe触媒の製造
NiMgCoAlCeの組成を有する触媒の製造の工程を以下に記載する。
製造触媒は、合成を含む各工程の後で、X線回折を用いて構造を確認した。CuKα線(放射エネルギー:30mA、40kV)を用いたフィリップ社製PW1830回折計(PW1710コントローラー)を使用して測定を行った。相の確認には走査プログラムを用い、2の3.5度から70度まで0.5度毎に測定し、相毎の測定時間は0.25秒である。
【0064】
第1工程:ハイドロタルサイト型構造HT−NiMgCoAlCeを有する層状前駆体の合成:以下の数値を有する層状前駆体を合成した:
[(Al3++Ce3+)/(Ni2++Mg2++Al3+)]比が0.25、
混合酸化物中のニッケルが5重量%、
Al/Ce比が10で、Mg/Co比が20である。
【0065】
この材料の合成のために、2種の水溶液を調製した:一方は酸性水溶液であり、他方は塩基性水溶液である。酸性水溶液は、ニッケル、コバルト、アルミニウムおよびセリウムの硝酸塩を含み、その全濃度(Ni2++Mg2++Co2++Al3++Ce3+)は1.5Mである。それに対し、塩基性水溶液は、[CO32−/(Ni2++Mg2++Co2++Al3++Ce3+)]の比を0.66、および合成により得られるゲルのpHを13に維持するように、適性な量のNaOHとNa2CO3を混合することにより調製した。その2種の溶液を30ml/hの速度で同時に添加し、室温および大気圧下で機械攪拌により激しく4時間攪拌した。得られたゲルを、プロピレン製の広口瓶中で、333Kで12時間熟成した。熟成後、固体を濾別し、濾液のpHが中性(pH7)になるまで、蒸留水で洗浄した。最後に、333Kで12時間乾燥した。
【0066】
得られた固体をX線回折で分析し、図1の図に示す結果を得た。その図中の回折ピークは、ハイドロタルサイト型構造を有する2層構造の水酸化物に対応するものである。
【0067】
第2工程:対応する混合酸化物の形成
工程1で製造した層状前駆体を空気雰囲気下で923Kまで6時間焼成し、混合Ni−Mg−Co−Al−Ce酸化物を得た。図2は、層状前駆体を熱分解することにより得られた混合酸化物に対応するX線回折図である。
【0068】
第3工程:金属担持型触媒の製造
第2工程からの混合酸化物を、水素雰囲気下で973Kまで2時間活性化させ、金属担持型固体(NiCo/MgAlCeOx)を得た。該触媒は、水蒸気反応による炭化水素改質用の触媒として用いることができる。図3は、層状前駆体を熱分解することにより得られた混合酸化物に対応するX線回折図である。
【0069】
実施例2.実施例1で製造した触媒の、水蒸気反応による各種炭化水素の改質への使用
高温に耐えられるように、耐熱鋼AlSI 310を用いて触媒試験に用いる反応器を組み立てた:その大きさは400/9.7/2(長さ/外直径/壁、mm)で、触媒床の長さにまで及ぶ4つの独立した加熱領域(600W)により形成された加熱部の中に収容されている。上記の4つの領域の温度制御は、4つの熱電対を用いて行った。該4つの熱電対は、反応器の長軸に沿って配置されたさや(pod)の中に収容されている。触媒床は、不活性な希釈剤として作用する所定量の炭化ケイ素と混合した触媒から構成されている(触媒/希釈剤=1/14、重量比)。
【0070】
天然ガス、ナフサまたはディーゼル油の蒸気改質について検討した。天然ガスの代表的な化合物として、メタンを選択した。ナフサの代表的な留分として、ヘプタンとヘキサンの混合物(n−ヘプタン70%、n−ヘキサン30%、重量%)を選択した。その混合物の平均分子式は、C6.7H15.3である。ディーゼル油の代表的な留分として、ディーゼル油中に存在する芳香族留分、オレフィン留分およびパラフィン留分を代表する、ブチルベンゼン、1−オクテン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカンの混合物を選択した(ブチルベンゼン12%、1−オクテン5%、(ドデカン+テトラデカン+ヘキサデカン)83%、重量%):この混合物の平均分子式はC14H29である。
【0071】
上記の原料は化石燃料の範疇に入るものであり、それ故、我々は、再生可能原材料の代表としてヒマワリ油も選択した。ヒマワリ油(カルフールブランド)を元素分析してその組成を決定したが、以下の分子式に対応する:C57H99O6。
【0072】
各種原料で実施した試験では、触媒量(500mg、0.25〜0.42mmのメッシュサイズからなる粒径を有する)、ガスの全空間速度(127000L・kg−1・h−1)、水/炭素比(3モルH2O/モル炭素)、および反応混合物中の炭素グラム原子の数は、一定にした。メタンのモル流量はナフサの6.7倍より大きく、ディーゼル油のモル流量はナフサの6.7倍から14倍、ヒマワリ油のモル流量はナフサの6.7倍から57倍であった。このように、各炭化水素の分圧も異なり、また触媒量に関し、接触時間も異なっていた。以下の表にこれら変数の値を示す。
【0073】
【表6】
【0074】
図4は、検討した各種炭化水素についての、触媒活性と反応温度との関係を示している(操作条件:P=1atm、T=673〜1073K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、およびGHSV=225160Lkg−1h−1)。これらの条件において、3種の炭化水素がどのようにして100%転化率に到達するかがわかる。図4は、HDL熱分解により製造した材料を、天然ガス、ディーゼル油およびヒマワリ油等の各種炭化水素の水蒸気反応による改質に使用できる可能性があることを示している。
【0075】
実施例3.厳しい条件下(化学量論的な水/炭素比)での蒸気反応によるナフサ改質における触媒の安定性
実施例1で製造した触媒の耐久性を検討するため、高温(1023K)および低い水/炭素比(1モルH2O/モル炭素)の条件下で、触媒試験を行い、コークを生成させた。実施例2で説明した反応器を用いて検討した。この試験に用いた炭化水素は、ナフサの代表的な留分である。図5(操作条件:P=1atm、T=1023K、S/C=1モルH2O/炭素グラム原子、W/F=5gcath/モル炭化水素、GHSV=137000Lkg−1h−1、PCnHm=4kPa、PH2O=27kPa)は、反応時間とナフサの転化率との関係を示している。この試験の反応生成物の分布は、図6に示す(操作条件:P=1atm、T=1023K、S/C=1モルH2O/炭素グラム原子、W/F=5gcath/モル炭化水素、GHSV=137000Lkg−1h−1、PCnHm=4kPa、PH2O=82kPa)。
【0076】
実施例4.ディーゼル油が5ppmまでの硫黄を含む場合の、蒸気反応によるディーゼル油改質における触媒の安定性
この試験は、実施例1で製造した触媒の硫黄被毒に対する耐久性を検討するためのもので、全硫黄含有量が5ppmである市販のディーゼル油を用い、実施例2に記載した反応容器を用いて触媒試験を実施した。図7(操作条件:P=1atm、T=923K、S/C=3モルH2O/炭素グラム原子、W/F=15.5gcath/モル炭化水素、GHSV=70000Lkg−1h−1、PCnHm=2.3kPa、PH2O=95.4kPa)は、反応時間とディーゼル油の転化率との関係を示している。この試験の反応生成物の分布は、図8に示す(操作条件:P=1atm、T=923K、S/C=3モルH2O/炭素グラム原子、W/F=15.5gcath/モル炭化水素、GHSV=70000Lkg−1h−1、PCnHm=2.3kPa、PH2O=95.4kPa)。
【0077】
他の操作条件での触媒の安定性
製造した触媒5NiMgCoAlCeは、各仕事日の終了時に操作を終了させ、次の仕事日に操作を開始するという方法で、43時間の反応時間の間機能していた。終了は、供給を止め、温度を673Kに下げることで行い、開始は、触媒床の温度が973Kに達した時に反応混合物を供給することで行った。予め、10%H2を含むN2からなる還元混合物の存在下で触媒床の温度を1073Kまで上昇させた。この温度における活性の結果を、図9および10に示す(操作条件:Qdiesel=3ml/分、P=1atm、T=973K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、W/F=52.4gcath/モルディーゼル油、GHSV=21656Lkg−1h−1)。
【0078】
実施例5.触媒1ReNiMgCoAlCeを得るための、実施例1で製造した触媒へのレニウムの導入
本実施例は、NiMgCoAlCe触媒から組成1ReNiMgCoAlCeを有する触媒を製造することについて記載している。
【0079】
実施例1で記載した構成の最初の2つの工程(最初の工程:ハイドロタルサイト型構造の層状前駆体の製造、および第2の工程:対応する混合酸化物の形成)は、この触媒の場合でも同様である。
【0080】
次に、第2工程の焼成後、含浸により組成物中にレニウムを導入した。前駆体の層状構造が再生するのを防ぐために、レニウム前駆体をエタノールに溶解し、空孔容積に対して含浸させた。
【0081】
含浸工程の後、空気雰囲気下、873Kまで5時間の条件で触媒をまた焼成して酸化レニウムを生成させた。最後に、水素雰囲気下、973Kまで2時間の条件でその触媒を還元して、水蒸気反応による炭化水素改質用触媒に使用できる金属担持型固体(NiCoRe/MgAlCeOx)を得た。得られた触媒は、図3と同様のX線回折図を有していたが、それは0.2〜2重量%導入してもレニウムは観察できないからである。
【0082】
実施例6.水蒸気反応による炭化水素改質を用いる場合の、実施例1で製造した触媒に対する実施例5で製造した触媒の特性の改良
触媒1ReNiMgCoAlCeを、各種炭化水素の水蒸気反応による改質に用いた。検討した炭化水素および実験条件は実施例2に記載した。
【0083】
図11〜15は、検討した各種炭化水素の転化率と反応温度との関係を示している。そこには、各炭化水素についての、実施例1で製造した触媒NiMgCoAlCeの活性、実施例5で製造した触媒1ReNiMgCoAlCeの活性、および基本触媒NiMgAlの活性が示されている。全ての図が、CoおよびReを導入すると、基本触媒の活性がどのようにして増大するかを示している。
【0084】
操作条件:
図11:P=1atm、T=673〜1073K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、およびGHSV=225160Lkg−1h−1。
図12:P=1atm、T=673〜1073K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、およびGHSV=225160Lkg−1h−1。
図13:P=1atm、T=673〜1073K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、およびGHSV=225160Lkg−1h−1。
図14:P=1atm、T=673〜1073K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、およびGHSV=225160Lkg−1h−1。
図15:P=1atm、T=773〜973K、S/C=3モルH2O/炭素グラム原子、W/F=15.5gcath/モルディーゼル油、GHSV=70846Lkg−1h−1。
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を用いた炭化水素改質用の触媒の技術分野に関し、該触媒は、水素製造工場、燃焼エンジンおよび特に燃料電池システムの燃料として使用される高濃度水素の気体流を製造するために使用されるものであり、さらに詳しくは、コーク生成、焼結および硫黄被毒による不活性化に耐性があり、炭化水素種に対して適応性のある触媒領域に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は電気化学的装置であり、該装置は、化学反応のエネルギーを効率良くかつクリーンに(水素を用いる場合には汚染物質を生成させることがない)電気エネルギーに変換できる特性を有し、据置用装置だけでなく携帯用装置としても使用できる。
【0003】
水素および燃料電池は、我々の燃料製造方法および燃料使用方法に大きな変革をもたらす力を持っている。水素製造技術の開発、燃料電池の開発、その使用に必要な基幹施設および公衆の同意を得るための公衆への教育が、水素に大きく依存する経済、すなわち、エネルギー輸送体としての水素の使用、およびエネルギー変換装置としての燃料電池の使用を達成しようと試みる際に重要な役割を果たす。
【0004】
製造能力が低いという初期の要求を最小限の資本投資で解決するために、短期間の研究は、天然ガスおよび天然液体燃料からの水素の製造に集中している。短期的および中期的には、炭化水素からの水素の製造が、水素に基づく経済に緩やかに移行するための最適な選択であるように思われる。これは、従来の燃料の貯蔵および流通に実際に使用されている現在の基幹施設を使用することができるからである。
【0005】
水素を得るためのより適切な技術および炭化水素の最適な選択は、製品の最終用途に依存するものであり、必要なガス組成および操作のスケールを何が決定するかに依る。
【0006】
蒸気を用いる炭化水素の改質触媒は、水素を得るために最もよく使用される技術の一つであり、今日、水素を大規模に製造するための最も安価な方法でもあり、1930年代から工業的規模で実施されているので多くのデータ(工程、改質、熱力学、速度論、機構、触媒に関し)が知られている。水素を得るための別の技術には、部分酸化法と自己熱改質法がある。燃料電池用のエネルギー源としての用途の観点から、蒸気を用いる炭化水素の改質が、製品中により高濃度の水素を生成させることができ(蒸気改質プロセスの70〜80%に対し、部分酸化および乾燥自己熱改質プロセスでは40〜50%)、生成する水素1モル当たりのCO2の排出量が少ない(蒸気改質プロセスの0.20に対し、自己熱改質プロセスおよび部分酸化プロセスでは、それぞれ0.35と0.80)。しかしながら、蒸気改質は吸熱反応であるため、多くのエネルギーを吸収する必要があり、炭化水素プロセスと電気化学電池の運転との統合が、全体プロセスの効率を増加させるためには必要である。
【0007】
入手の容易さ、毒性およびエネルギー密度等の観点を考慮すると、液体炭化水素(ガソリンおよびディーゼル)は、蒸気改質による水素の製造に用いる原料としての使用に最も適していると考えられる。一方、液体炭化水素の使用は、従来の燃料に実際に使用されている貯蔵および流通の基幹施設の利益を享受することができる。
【0008】
蒸気改質は、炭化水素流を、水素、一酸化炭素、二酸化炭素およびメタンを含む気体混合物へと変換する。その蒸気改質は触媒過程であり、非常に吸熱性であり、担持された金属系触媒の表面上で起こる。生起する主反応は、以下の通りである。
【0009】
【化1】
【0010】
実際には、この操作は炭化水素を完全に変換させるためになされるものであり、反応生成物の組成は、その反応が生起する操作条件(圧力、温度、水/炭素比および空間速度)に依存し、また用いる触媒にも依存する。そのため、高濃度の水素ガス流を得るためには、気体組成を水素生成の方向に促す熱力学バランスを最大値に変位させるように、低圧下高温で、および高い水/炭素比、好ましくは3より大きい条件で、行うことが望ましい。
【0011】
蒸気改質反応は、固体触媒の表面上で通常生起する。該固体触媒は、周期律表第VIII族に属する少なくとも1種の金属を含み、より優れた活性/価格比を有していることから、通常ニッケルが好ましい。該金属は、材料上に通常担持され、該材料は工程に対する十分な機械的耐性および熱的耐性を付与するものであり、一般にα−Al2O3耐熱性酸化物、アルミノケイ酸塩および塩基性支持体(MgO)である。これら触媒には添加物を用いることができ、それによりコーク生成を防止することができ、この目的のためには、アルカリ(K2O)の添加およびマグネシアの使用が一般的である。
【0012】
炭化水素改質反応が生起する厳しい操作条件では、コーク生成に加え、他の触媒不活性化機構、例えば、焼結、金属ニッケルの酸化、支持体との反応により還元するのが困難な化合物(例えばNiAl2O4)の生成、および処理すべき炭化水素に含まれる硫黄化合物の存在に起因する被毒も発生し得る。これらの不活性化機構も、触媒の特性に依存する。
【0013】
これらの問題点故に、水素を得るために蒸気を用いた炭化水素改質操作に触媒を使用できるようにするためには、触媒が、炭化水素のガス化に対する高い活性および選択性に加えて、機械的耐性、熱安定性、コーク生成および他の不活性化機構に対する耐性を有する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、蒸気を用いた炭化水素改質によって水素ガスまたは水素濃度の高いガスを得るための方法に適用可能な触媒にある。本発明の別の目的は、本明細書に記載した方法における種々の操作条件下での該触媒の使用および種々の炭化水素を用いた場合の該触媒の使用だけでなく、該触媒の製造方法にある。我々は、これらの目的を持って、前述の従来技術の問題点を克服したいと考える。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、触媒は、担体、活性相および少なくとも2種の促進物質を含み、該触媒は金属担持型固体であり、該活性相は第VIII族から選択された少なくとも1種の遷移金属、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび/または白金、好ましくはニッケルを含み、およびアルカリ土類金属または遷移金属から選択された少なくとも1種の促進物質、例えば、銅、コバルト、マンガン、パラジウム、ルテニウム、レニウム、カルシウムおよび/または亜鉛、好ましくはコバルト、レニウムまたはそれらの組み合わせを含み;および該担体は、少なくとも1種の塩基性混合酸化物、好ましくは、マグネシウムとアルミニウムの混合酸化物、およびランタニドを構成する元素の対応酸化物から選択された少なくとも1種の促進物質、好ましくは酸化セリウムを含む。
【0016】
開発した触媒は、好ましくはニッケルを用いた金属担持型であり、特に、ハイドロタルサイト型構造を有する物質(共沈法により製造できる)を熱分解して混合酸化物を製造し、後で活性相を設け、大きな表面積を有するマトリックス内部に高度に分散した微小結晶を特徴とする材料が最終的に得られる。前駆体であるハイドロタルサイト型物質の合成条件および製造方法に応じて、ニッケルの適切な分散を確保するために、金属と担体との間の相互作用の程度を調整することができ、それにより、マトリックス上に中間サイズ(mid-size)が3〜10nmの粒子が分散し、表面積(BET)が200〜300m2/gの触媒が得られる。
【0017】
本発明によれば、触媒は、担体上に高度に分散された活性相を含み、該担体は該活性相に十分な機械的耐性(高温蒸気の空間速度、温度および分圧の条件下でその構造を維持する)を付与し;さらに該担体は、水の活性化(炭素種がその上に見出される活性中心に対する酸素種の吸着−解離および移動)に関与するという意味で、過程中に生起する表面反応に積極的に関与する。配合に関しては、触媒は、担体だけでなく活性相も種々の促進物質を含み、該促進物質は、蒸気改質反応で生起する種々の不活性化機構に対する耐性だけでなく、活性および選択性も向上させる。
【0018】
本発明の好ましい態様では、触媒は、少なくとも以下のピーク(度)と相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有している。
【0019】
【表1】
【0020】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【0021】
示した値は、X線回折における触媒の特性に対応するものであり、CuKα線(放射エネルギー:30mA、40kV)を用いたフィリップ社製PW1830回折計(PW1710コントローラー)を使用して測定を行った。相の確認には走査プログラムを用い、2の3.5度から70度まで0.5度毎に測定し、相毎の測定時間は0.25秒である。本明細書およびクレームで言及したX線回折図形だけでなく、他のX線パターンも、同じ基本条件で得た。
【0022】
より一層好ましい態様では、触媒は、少なくとも以下のピーク(度)と相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有している。
【0023】
【表2】
【0024】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【0025】
好ましい態様によれば、記載した触媒は、1重量%〜15重量%の活性相と、1重量%〜20重量%の各促進物質(活性相と担体からの)を含んでいる。より好ましくは、3重量%〜10重量%の活性相と、5重量%〜15重量%の各促進物質を含む。
【0026】
好ましい態様によれば、担体の層状前駆体は、ハイドロタルサイト型構造を有し、2価のカチオン[M(II)]と3価のカチオン[M(III)]を、
[M(III)/(M(II)+M(III))]で規定されるモル比が0.2〜0.33となるように含んでもよい。より好ましい態様では、担体は、
[M(III)/(M(II)+M(III))]で規定されるモル比が0.2〜0.33の混合酸化物を含み、[M(II)]は好ましくはマグネシウムであり、かつ[M(III)]は好ましくはアルミニウムであり、モル比Al/(Al+Mg)は0.20から0.33の範囲であり、ニッケル含有量は1〜15重量%、コバルト含有量は1〜20重量%、酸化セリウム含有量は1〜20重量%であってもよい。
【0027】
さらにより好ましい別の態様によれば、マグネシウムとアルミニウムの混合酸化物は、モル比Al/(Al+Mg)が0.25であり、ニッケル含有量が3〜10重量%、コバルト含有量が5〜15重量%、および酸化セリウム含有量が5〜15重量%であってもよい。
【0028】
さらにより好ましい別の態様によれば、ニッケル含有量は5〜7重量%、コバルト含有量は6〜9重量%、および酸化セリウム含有量が7〜10重量%であってもよい。
【0029】
特定の態様では、活性相はコバルト以外にレニウムを別の促進物質として含んでもよい。レニウム含有量は、好ましくは0.1〜2重量%であってもよい。
【0030】
本発明は、前述の特性を有する触媒の製造方法にも関するものである。本方法は、以下の工程を含む:
合成を行う第1の工程であって、ハイドロタルサイト型構造を有し、触媒の全構成元素を含む二層構造の水酸化物である、触媒の前駆体を製造する第1の工程;
熱分解を行う第2の工程であって、第1の工程で製造した層構造を有する前駆体をか焼して混合酸化物を製造する第2の工程;
活性化を行う第3の工程であって、第2の工程で製造した混合酸化物を還元処理して金属担持型触媒を得る第3の工程。
【0031】
合成工程では、例えば全ての構成元素を共沈させることにより、ハイドロタルサイト型前駆体を製造する。ハイドロタルサイトの典型的な層構造を生成し易くするために、それらの間のモル比は、[M(III)/(M(II)+M(III))]=0.2〜0.33、である。それは、3価カチオンの全カチオン(3価カチオンと2価カチオンの合計)に対する比率が0.2から0.33の範囲であることを意味している。
【0032】
熱分解工程は、第1の工程で合成した前駆体をか焼して混合酸化物を得ることを意味している。空気雰囲気下、723〜1273K、好ましくは923〜973Kまでの温度でか焼処理することにより、混合酸化物を生成させてもよい。
【0033】
第2の工程で生成した混合酸化物から最終触媒を製造する活性化工程は、活性化処理を意味している。金属担持型触媒を生成させための混合酸化物の活性化は、873〜1173K、好ましくは973〜1023Kまでの温度での還元処理を含んでもよい。
【0034】
活性相の第2の促進物質を導入する場合、本方法は、熱分解工程と活性化工程の間にレニウムの含浸工程をさらに含む。
【0035】
好ましい態様によれば、層状前駆体の合成は以下の工程を含んでもよい:2種の溶液の調製(一方の溶液は、必要な金属を含み、他方の溶液はそれらを沈殿させる塩基を含む)、ゲルを得るためのそれらの共添加、ハイドロタルサイト相を結晶化させるためのゲルの熟成(aging)、中性pHになるまでのゲルの洗浄および中性ゲルの乾燥;熱分解工程は、この場合、空気雰囲気下、723〜1273Kの温度でのか焼であってもよく、一方、活性化工程は、水素雰囲気下、873〜1173Kまでの温度での還元処理であってもよい。
【0036】
特定の態様によれば、ハイドロタルサイト構造を有する層状前駆体の合成は、触媒の全ての構成元素を含み、2価カチオンと3価カチオンは、[M(III)/(M(II)+M(III))]で規定されるモル比を0.2〜0.33を維持する。より好ましくは、この場合、モル比は0.25であり、熱分解工程は、空気雰囲気下、723K〜1273Kまでの温度でのか焼過程であってもよく、活性化工程は、水素雰囲気下、873〜1173Kまでの温度での還元処理であってもよい。この特定の態様において、アルコール溶液を用いて、レニウム含浸(活性化工程に先立って)を細孔容積にまで行うことが好ましい。
【0037】
好ましくは、ハイドロタルサイト構造を有する層状前駆体の2価カチオンと3価カチオンとの間の[M(III)/(M(II)+M(III))]で規定されるモル比を0.25とし、空気雰囲気でのか焼工程を773〜1173Kの温度で行い、水素雰囲気での還元工程を873〜1073Kの温度で行うことである。この好ましい態様では、レニウム含浸(活性化工程に先立って)をアルコール溶液を用いて細孔容積にまで行うことが好ましい。
【0038】
本発明の好ましい態様によれば、ハイドロタルサイト構造を有する層状前駆体は、少なくとも以下のピーク(度)と相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有してもよい。
【0039】
【表3】
【0040】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【0041】
この好ましい態様では、空気雰囲気下でのか焼工程は873〜973Kの温度で行い、混合酸化物は、少なくとも以下のピーク(度)と相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有する。
【0042】
【表4】
【0043】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【0044】
同様に、この好ましい態様によれば、水素雰囲気下での還元工程を973〜1073Kの温度で行い、少なくとも以下のピーク(度)と相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有する触媒を得る。
【0045】
【表5】
【0046】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【0047】
本発明によれば、触媒は、1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の促進物質だけでなく、1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%の活性相を含んでもよい。活性相がニッケルを含み、第2の促進物質がセリウムを含む場合、触媒は、好ましくは、5〜7重量%のニッケルと7〜10重量%の酸化セリウムを含む。
【0048】
本発明の触媒は、蒸気を用いる炭化水素改質の触媒工程に使用され、基本的に供給された炭化水素をすべて転化できる高い触媒活性と、水素製造に対する高い選択性、および低い水/炭素比の条件でのコーク生成による不活性化のない高い安定性を有している。これらの触媒特性は、このようなタイプの工程に使用するのに適したものであり、例えば、ハイドロタルサイト型前駆体の層状構造に起因する物理化学特性および基本的特性を利用することにより得ることができる。これらの前駆体では、多機能を有するナノ構造触媒の理論的設計が可能であり、該ナノ構造触媒は、構成元素が均一に相互分散された状態で原子レベルまで高度に機能化されており、塩基性と大きな表面積を有する微小結晶がマトリックス内に高度に分散されているという特徴を有している;本発明の触媒製造方法は、活性中心の周囲の特性だけでなく、活性中心の特性も制御することができる。組成に応じ、合成工程で沈殿法および得られた固体に対して種々の熱処理を行い、活性中心の周囲の特性だけでなく活性中心の特性も制御することで、金属−担体間の相互作用の状態を安定化させる。
【0049】
本発明は、前述の方法を用いて製造することができ前述の特性を有する触媒の、種々の炭化水素からの水素または高濃度水素の製造方法における使用にも関する。
【0050】
上記の製造方法は、開発された触媒の存在下、所定の実施条件で行われる蒸気を用いた炭化水素改質反応を意味する。
【0051】
好ましくは、炭化水素から得られる水素または高濃度水素は、燃料電池への使用に適している。
【0052】
上記の製造方法は、好ましくは水素輸送体を改質する触媒工程であり、該水素輸送体は、天然ガス、ナフサ、ディーゼル油、または植物油からなる化石燃料の群から選択され、該製造方法は、触媒存在下、673〜1073Kの温度で水素輸送体と水とを反応させ、それにより、水素を含む気体混合物を得る。水と水素輸送体は、0〜5バール、好ましくは0〜3バール、より好ましくは大気圧で反応させる。
【0053】
好ましい態様として、水と水素輸送体の炭素とのモル比を5:1から1:1、好ましくは4:1から2:1で、水と水素輸送体を反応させる。
【0054】
好ましい態様として、水と水素輸送体を、773〜1023Kの温度で、好ましくは923〜973Kの温度で反応させる。
【0055】
水素輸送体と反応させる水は、蒸気の状態であることが好ましい。
【0056】
別の好ましい態様として、水と水素輸送体との反応で得られる水素を含む気体混合物は、中温または高温の燃料電池に供給される。
【0057】
次の好ましい態様として、水素輸送体と水との反応で得られる水素を含む気体混合物を精製工程に供し、該気体混合物中に最終的に含まれる一酸化炭素の少なくとも一部を二酸化炭素へ変換して精製された気体混合物を得るが、それは精製された気体混合物を燃料電池に供給するためである。この態様では、燃料電池は、中温および高温の燃料電池から選択される。
【0058】
水蒸気を用いる触媒式炭化水素改質工程に本発明の触媒を用い、固定床連続流式筒型反応装置を用いて以下の実施条件で行う:水/炭素比は炭素1グラム原子当たり水が1〜4モル、温度が773〜1073K、圧力が0から大気圧より高い3バール、気体の空間速度が50000〜200000h−1である。炭化水素が全て転化され、65〜70体積%の高濃度水素流が得られ、一酸化炭素、二酸化炭素およびメタンが副生物(3〜1体積%)として得られる。最も厳しい条件での長期連続試験でも、不活性化の兆候を見ることなく活性が維持されている。本発明で開発した触媒を、水蒸気を用いる炭化水素改質過程に使用する場合の好ましい実施条件は、以下の通りである:水/炭素比は、炭素1グラム原子当たり水が3〜3.5モル、反応温度が923〜973K、作動圧力が0から大気圧より高い1バール、気体の空間速度が70000〜150000h−1である。
【0059】
本発明のこの使用に対する態様として、水と水素輸送体との反応により得られる水素を含む気体混合物を高温燃料電池に供給する。この場合、製造された水素を含むこの混合物は、高温燃料電池、例えば、溶融炭酸塩燃料電池−MCFC−または固体酸化物燃料電池−SOFC、IT−SOFC−、のアノードに精製することなく直接供給してもよい。これは、二酸化炭素は不活性であり、そして気体混合物に含まれる残りの成分、例えば一酸化炭素およびメタンはこのタイプの電池の燃料として作用し、カソードに供給される空気中の酸素と反応するので、電気エネルギーが生成するからである。
【0060】
本発明の使用に対する別の態様として、水と水素輸送体との反応により得られる水素を含む気体混合物を精製工程に供し、精製された気体混合物に最終的に存在する一酸化炭素の少なくとも一部を変換する。それは、その気体混合物を燃料電池に供給するためである。この態様は、リン酸型燃料電池−PAFC−等の中温燃料電池、または高分子型燃料電池−PEMFC−等の低温燃料電池に特に適しており、それら燃料電池を適切に動作させるためには、必要なレベルまで一酸化炭素濃度を低減する必要があり(それぞれの燃料電池に対して、1体積%と50ppm)、そのため種々の精製工程を導入することが必要である。この精製は、「水性ガスシフト」(WGS)と呼ばれる反応により行われ、その反応では、一酸化炭素が水と反応して水素と二酸化炭素が生成する。この反応の利点は、倍あり、それは改質ガス中の一酸化炭素を減らせるだけでなく、水素含有量を増加させる。一般に、WGS工程後に通常残る残留一酸化炭素濃度は、低温高分子型燃料電池に供給されるものよりも一般的に高い。この残留一酸化炭素濃度を減らすためには、いくつかの選択肢があるが、その中で言及する価値のあるものは、PSAシステム(圧力変動吸着)、メタネーションおよびCO選択酸化である。燃料電池で生成する水は、水素製造工程へと再循環できるので、工程全体における水の消費を最小化できる。
【0061】
本発明によれば、高価でなく、耐久性があり安定な触媒を用いて種々の炭化水素から水素を得ることが可能となるだけでなく、使用条件によっては水素生成効率が熱力学的効率に近い状態で水素の据置型製造および携帯型製造も可能となる。その上、生成した気体混合物を、中温および高温の燃料電池に直接供給するように使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
以下、本発明の態様を実施例に基づいて説明するが、本明細書の必要な部分を構成する図面について説明する。
【図1】図1は、本発明の触媒を製造するために合成された、ハイドロタルサイト構造を有する層状前駆体のX線回折図を示す。
【図2】図2は、図1に示す層状前駆体を熱分解して得た混合酸化物のX線回折図を示す。
【図3】図3は、図2の混合酸化物から得られた金属担持型触媒のX線回折図を示す。
【図4】図4は、蒸気反応で改質した各種炭化水素の転化率と反応温度の関係を示しており、図3で確認した触媒の存在下で行ったものであり、検討した炭化水素は、天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油の流れである。
【図5】図5は、蒸気反応で改質したナフサの転化率と反応時間の関係を示しており、図3で確認した触媒の存在下、高温および低い水/炭素比率の実験条件下で行った。
【図6】図6は、図5の触媒試験で得られた生成物の分布を示している。
【図7】図7は、蒸気反応で改質した、硫黄5ppmを含む市販のディーゼル油の転化率と反応時間の関係を示しており、図3で確認した触媒の存在下で行ったものである。
【図8】図8は、図7の触媒試験で得られた生成物の分布を示している。
【図9】図9は、蒸気反応で改質した、硫黄5ppmを含む市販のディーゼル油の転化率と反応時間の関係を示しており、図3で確認した触媒の存在下で行ったものである。
【図10】図10は、図9の触媒試験で得られた生成物の分布を示している。
【図11】図11から15は、蒸気反応で改質した各種炭化水素(天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油)の転化率と反応温度の関係を示しており、NiMgAl、NiMgCoAlCe、1ReNiMgCoAlCeの触媒の存在下で行ったものである。
【図12】図11から15は、蒸気反応で改質した各種炭化水素(天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油)の転化率と反応温度の関係を示しており、NiMgAl、NiMgCoAlCe、1ReNiMgCoAlCeの触媒の存在下で行ったものである。
【図13】図11から15は、蒸気反応で改質した各種炭化水素(天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油)の転化率と反応温度の関係を示しており、NiMgAl、NiMgCoAlCe、1ReNiMgCoAlCeの触媒の存在下で行ったものである。
【図14】図11から15は、蒸気反応で改質した各種炭化水素(天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油)の転化率と反応温度の関係を示しており、NiMgAl、NiMgCoAlCe、1ReNiMgCoAlCeの触媒の存在下で行ったものである。
【図15】図11から15は、蒸気反応で改質した各種炭化水素(天然ガス、ナフサ、ディーゼル油およびヒマワリ油)の転化率と反応温度の関係を示しており、NiMgAl、NiMgCoAlCe、1ReNiMgCoAlCeの触媒の存在下で行ったものである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0063】
実施例1.NiMgCoAlCe触媒の製造
NiMgCoAlCeの組成を有する触媒の製造の工程を以下に記載する。
製造触媒は、合成を含む各工程の後で、X線回折を用いて構造を確認した。CuKα線(放射エネルギー:30mA、40kV)を用いたフィリップ社製PW1830回折計(PW1710コントローラー)を使用して測定を行った。相の確認には走査プログラムを用い、2の3.5度から70度まで0.5度毎に測定し、相毎の測定時間は0.25秒である。
【0064】
第1工程:ハイドロタルサイト型構造HT−NiMgCoAlCeを有する層状前駆体の合成:以下の数値を有する層状前駆体を合成した:
[(Al3++Ce3+)/(Ni2++Mg2++Al3+)]比が0.25、
混合酸化物中のニッケルが5重量%、
Al/Ce比が10で、Mg/Co比が20である。
【0065】
この材料の合成のために、2種の水溶液を調製した:一方は酸性水溶液であり、他方は塩基性水溶液である。酸性水溶液は、ニッケル、コバルト、アルミニウムおよびセリウムの硝酸塩を含み、その全濃度(Ni2++Mg2++Co2++Al3++Ce3+)は1.5Mである。それに対し、塩基性水溶液は、[CO32−/(Ni2++Mg2++Co2++Al3++Ce3+)]の比を0.66、および合成により得られるゲルのpHを13に維持するように、適性な量のNaOHとNa2CO3を混合することにより調製した。その2種の溶液を30ml/hの速度で同時に添加し、室温および大気圧下で機械攪拌により激しく4時間攪拌した。得られたゲルを、プロピレン製の広口瓶中で、333Kで12時間熟成した。熟成後、固体を濾別し、濾液のpHが中性(pH7)になるまで、蒸留水で洗浄した。最後に、333Kで12時間乾燥した。
【0066】
得られた固体をX線回折で分析し、図1の図に示す結果を得た。その図中の回折ピークは、ハイドロタルサイト型構造を有する2層構造の水酸化物に対応するものである。
【0067】
第2工程:対応する混合酸化物の形成
工程1で製造した層状前駆体を空気雰囲気下で923Kまで6時間焼成し、混合Ni−Mg−Co−Al−Ce酸化物を得た。図2は、層状前駆体を熱分解することにより得られた混合酸化物に対応するX線回折図である。
【0068】
第3工程:金属担持型触媒の製造
第2工程からの混合酸化物を、水素雰囲気下で973Kまで2時間活性化させ、金属担持型固体(NiCo/MgAlCeOx)を得た。該触媒は、水蒸気反応による炭化水素改質用の触媒として用いることができる。図3は、層状前駆体を熱分解することにより得られた混合酸化物に対応するX線回折図である。
【0069】
実施例2.実施例1で製造した触媒の、水蒸気反応による各種炭化水素の改質への使用
高温に耐えられるように、耐熱鋼AlSI 310を用いて触媒試験に用いる反応器を組み立てた:その大きさは400/9.7/2(長さ/外直径/壁、mm)で、触媒床の長さにまで及ぶ4つの独立した加熱領域(600W)により形成された加熱部の中に収容されている。上記の4つの領域の温度制御は、4つの熱電対を用いて行った。該4つの熱電対は、反応器の長軸に沿って配置されたさや(pod)の中に収容されている。触媒床は、不活性な希釈剤として作用する所定量の炭化ケイ素と混合した触媒から構成されている(触媒/希釈剤=1/14、重量比)。
【0070】
天然ガス、ナフサまたはディーゼル油の蒸気改質について検討した。天然ガスの代表的な化合物として、メタンを選択した。ナフサの代表的な留分として、ヘプタンとヘキサンの混合物(n−ヘプタン70%、n−ヘキサン30%、重量%)を選択した。その混合物の平均分子式は、C6.7H15.3である。ディーゼル油の代表的な留分として、ディーゼル油中に存在する芳香族留分、オレフィン留分およびパラフィン留分を代表する、ブチルベンゼン、1−オクテン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカンの混合物を選択した(ブチルベンゼン12%、1−オクテン5%、(ドデカン+テトラデカン+ヘキサデカン)83%、重量%):この混合物の平均分子式はC14H29である。
【0071】
上記の原料は化石燃料の範疇に入るものであり、それ故、我々は、再生可能原材料の代表としてヒマワリ油も選択した。ヒマワリ油(カルフールブランド)を元素分析してその組成を決定したが、以下の分子式に対応する:C57H99O6。
【0072】
各種原料で実施した試験では、触媒量(500mg、0.25〜0.42mmのメッシュサイズからなる粒径を有する)、ガスの全空間速度(127000L・kg−1・h−1)、水/炭素比(3モルH2O/モル炭素)、および反応混合物中の炭素グラム原子の数は、一定にした。メタンのモル流量はナフサの6.7倍より大きく、ディーゼル油のモル流量はナフサの6.7倍から14倍、ヒマワリ油のモル流量はナフサの6.7倍から57倍であった。このように、各炭化水素の分圧も異なり、また触媒量に関し、接触時間も異なっていた。以下の表にこれら変数の値を示す。
【0073】
【表6】
【0074】
図4は、検討した各種炭化水素についての、触媒活性と反応温度との関係を示している(操作条件:P=1atm、T=673〜1073K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、およびGHSV=225160Lkg−1h−1)。これらの条件において、3種の炭化水素がどのようにして100%転化率に到達するかがわかる。図4は、HDL熱分解により製造した材料を、天然ガス、ディーゼル油およびヒマワリ油等の各種炭化水素の水蒸気反応による改質に使用できる可能性があることを示している。
【0075】
実施例3.厳しい条件下(化学量論的な水/炭素比)での蒸気反応によるナフサ改質における触媒の安定性
実施例1で製造した触媒の耐久性を検討するため、高温(1023K)および低い水/炭素比(1モルH2O/モル炭素)の条件下で、触媒試験を行い、コークを生成させた。実施例2で説明した反応器を用いて検討した。この試験に用いた炭化水素は、ナフサの代表的な留分である。図5(操作条件:P=1atm、T=1023K、S/C=1モルH2O/炭素グラム原子、W/F=5gcath/モル炭化水素、GHSV=137000Lkg−1h−1、PCnHm=4kPa、PH2O=27kPa)は、反応時間とナフサの転化率との関係を示している。この試験の反応生成物の分布は、図6に示す(操作条件:P=1atm、T=1023K、S/C=1モルH2O/炭素グラム原子、W/F=5gcath/モル炭化水素、GHSV=137000Lkg−1h−1、PCnHm=4kPa、PH2O=82kPa)。
【0076】
実施例4.ディーゼル油が5ppmまでの硫黄を含む場合の、蒸気反応によるディーゼル油改質における触媒の安定性
この試験は、実施例1で製造した触媒の硫黄被毒に対する耐久性を検討するためのもので、全硫黄含有量が5ppmである市販のディーゼル油を用い、実施例2に記載した反応容器を用いて触媒試験を実施した。図7(操作条件:P=1atm、T=923K、S/C=3モルH2O/炭素グラム原子、W/F=15.5gcath/モル炭化水素、GHSV=70000Lkg−1h−1、PCnHm=2.3kPa、PH2O=95.4kPa)は、反応時間とディーゼル油の転化率との関係を示している。この試験の反応生成物の分布は、図8に示す(操作条件:P=1atm、T=923K、S/C=3モルH2O/炭素グラム原子、W/F=15.5gcath/モル炭化水素、GHSV=70000Lkg−1h−1、PCnHm=2.3kPa、PH2O=95.4kPa)。
【0077】
他の操作条件での触媒の安定性
製造した触媒5NiMgCoAlCeは、各仕事日の終了時に操作を終了させ、次の仕事日に操作を開始するという方法で、43時間の反応時間の間機能していた。終了は、供給を止め、温度を673Kに下げることで行い、開始は、触媒床の温度が973Kに達した時に反応混合物を供給することで行った。予め、10%H2を含むN2からなる還元混合物の存在下で触媒床の温度を1073Kまで上昇させた。この温度における活性の結果を、図9および10に示す(操作条件:Qdiesel=3ml/分、P=1atm、T=973K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、W/F=52.4gcath/モルディーゼル油、GHSV=21656Lkg−1h−1)。
【0078】
実施例5.触媒1ReNiMgCoAlCeを得るための、実施例1で製造した触媒へのレニウムの導入
本実施例は、NiMgCoAlCe触媒から組成1ReNiMgCoAlCeを有する触媒を製造することについて記載している。
【0079】
実施例1で記載した構成の最初の2つの工程(最初の工程:ハイドロタルサイト型構造の層状前駆体の製造、および第2の工程:対応する混合酸化物の形成)は、この触媒の場合でも同様である。
【0080】
次に、第2工程の焼成後、含浸により組成物中にレニウムを導入した。前駆体の層状構造が再生するのを防ぐために、レニウム前駆体をエタノールに溶解し、空孔容積に対して含浸させた。
【0081】
含浸工程の後、空気雰囲気下、873Kまで5時間の条件で触媒をまた焼成して酸化レニウムを生成させた。最後に、水素雰囲気下、973Kまで2時間の条件でその触媒を還元して、水蒸気反応による炭化水素改質用触媒に使用できる金属担持型固体(NiCoRe/MgAlCeOx)を得た。得られた触媒は、図3と同様のX線回折図を有していたが、それは0.2〜2重量%導入してもレニウムは観察できないからである。
【0082】
実施例6.水蒸気反応による炭化水素改質を用いる場合の、実施例1で製造した触媒に対する実施例5で製造した触媒の特性の改良
触媒1ReNiMgCoAlCeを、各種炭化水素の水蒸気反応による改質に用いた。検討した炭化水素および実験条件は実施例2に記載した。
【0083】
図11〜15は、検討した各種炭化水素の転化率と反応温度との関係を示している。そこには、各炭化水素についての、実施例1で製造した触媒NiMgCoAlCeの活性、実施例5で製造した触媒1ReNiMgCoAlCeの活性、および基本触媒NiMgAlの活性が示されている。全ての図が、CoおよびReを導入すると、基本触媒の活性がどのようにして増大するかを示している。
【0084】
操作条件:
図11:P=1atm、T=673〜1073K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、およびGHSV=225160Lkg−1h−1。
図12:P=1atm、T=673〜1073K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、およびGHSV=225160Lkg−1h−1。
図13:P=1atm、T=673〜1073K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、およびGHSV=225160Lkg−1h−1。
図14:P=1atm、T=673〜1073K、S/C=3.3モルH2O/炭素グラム原子、およびGHSV=225160Lkg−1h−1。
図15:P=1atm、T=773〜973K、S/C=3モルH2O/炭素グラム原子、W/F=15.5gcath/モルディーゼル油、GHSV=70846Lkg−1h−1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体、活性相および少なくとも2種の促進物質を含み、蒸気による炭化水素改質により水素ガスまたは水素濃度の高いガスを得るための触媒であって、
該触媒が、金属担持型の固体であり、
上記活性相が、第VIII族から選択された少なくとも1種の遷移金属と、アルカリ土類金属または遷移金属から選択された少なくとも1種の促進物質を含み、
上記担体が、塩基性を有する少なくとも1種の混合酸化物と、ランタニド族から選択された少なくとも1種の促進物質を含むことを特徴とする触媒。
【請求項2】
活性相を1〜15重量%と、各促進物質を1〜20重量%含むことを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項3】
活性相を3〜10重量%と、各促進物質を5〜15重量%含むことを特徴とする請求項1または2に記載の触媒。
【請求項4】
上記活性相中の遷移金属がニッケルであることを特徴とする請求項1、2または3のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項5】
上記担体の混合酸化物が、2価カチオン[M(II)]および3価カチオン[M(III)]を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項6】
上記担体の混合酸化物が、モル比[M(III)/(M(II)+M(III))]を0.20〜0.33の範囲で有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項7】
上記担体の混合酸化物が、マグネシウムおよびアルミニウムの混合酸化物であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項8】
マグネシウムとアルミニウムの混合酸化物において、モル比Al/(Al+Mg)が0.25であることを特徴とする請求項7記載の触媒。
【請求項9】
上記活性相の少なくとも1種の促進物質がコバルトであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項10】
上記担体の促進物質が酸化セリウムであることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項11】
ニッケル1〜15重量%、コバルト1〜20重量%、酸化セリウム1〜20重量%を含むことを特徴とする請求項4から10のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項12】
ニッケル3〜10重量%、コバルト5〜15重量%、酸化セリウム5〜15重量%を含むことを特徴とする請求項11記載の触媒。
【請求項13】
ニッケル5〜7重量%、コバルト6〜9重量%、酸化セリウム7〜10重量%を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の触媒。
【請求項14】
上記活性相の第2の促進物質としてレニウムも含むことを特徴とする請求項1から13のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項15】
レニウムの含有量が0.1〜2重量%であることを特徴とする請求項14記載の触媒。
【請求項16】
少なくとも以下のピーク(度)および相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有することを特徴とする請求項1から15のいずれか一つに記載の触媒:
【表1】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【請求項17】
少なくとも以下のピーク(度)および相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有することを特徴とする請求項1から15のいずれか一つに記載の触媒:
【表2】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【請求項18】
触媒前駆体を製造する合成工程であって、該前駆体がハイドロタルサイト型構造を有する二層構造の水酸化物であり、該前駆体が塩基性を有する混合酸化物を形成する成分に加えて、VIII族から選択された少なくとも1種の遷移金属、アルカリ金属または遷移金属およびランタニド族から選択された金属を含む、該合成工程、
上記の合成工程で製造した層状前駆体をか焼して混合酸化物を形成する熱分解工程、
上記の分解工程で形成した混合酸化物を還元処理して触媒を得る活性化工程、とを含むことを特徴とする請求項1から17のいずれか一つに記載の触媒の製造方法。
【請求項19】
上記混合酸化物を上記の活性化工程に付する前に、上記の分解工程で得られた混合酸化物にレニウムを含浸させることを含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
上記の層状前駆体の合成工程が、2種の溶液であって、一方は必要な金属を含み、他方はそれら金属を沈殿させる塩基を含む該2種の溶液を調製する工程と、ゲルを得るために両方の溶液を相互添加する工程と、ハイドロタルサイト相を結晶化させるためにゲルを熟成する工程と、中性になるまでハイドロタルサイトゲルを洗浄する工程と、中性のハイドロタルサイト相のゲルを乾燥する工程とを含み、
上記の熱分解工程が、空気雰囲気下、723〜1273Kの温度でのか焼過程を含み、
上記の活性化工程が、水素雰囲気下、873〜1173Kの温度での還元処理を含むことを特徴とする請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
レニウムを空孔容積に含浸させることを特徴とする請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
レニウムをアルコール溶液を用いて含浸させることを特徴とする請求項19から21のいずれか一つに記載の方法。
【請求項23】
ハイドロタルサイト構造を有する上記の層状前駆体が、2価カチオン[M(II)]と3価カチオン[M(III)]を、モル比[M(III)/(M(II)+M(III))]が0.2〜0.33となるように含むことを特徴とする請求項18から22のいずれか一つに記載の方法。
【請求項24】
ハイドロタルサイト構造を有する層状前駆体の2価カチオンと3価カチオンのモル比[M(III)/(M(II)+M(III))]が0.25であることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
ハイドロタルサイト構造を有する上記の層状前駆体が、少なくとも以下のピーク(度)および相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有し、
【表3】
上記のか焼工程で得られた混合酸化物を873〜973Kで再生させ、該混合酸化物が少なくとも以下のピーク(度)および相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有し、および
【表4】
973〜1073Kで再生させる上記の活性化工程の後で得られた触媒が、少なくとも以下のピーク(度)および相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有することを特徴とする請求項18から24に記載の方法。
【表5】
ここで、I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時、
Dは0から20%の弱い相対強度、
Mは20%〜40%の中間相対強度、
Fは40%〜60%の強い相対強度、
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【請求項26】
炭化水素から水素ガスまたは水素濃度の高いガスを得る方法における、請求項1から17のいずれか一つに記載の触媒の使用。
【請求項27】
炭化水素から得られた水素ガスまたは水素濃度の高いガスが、燃料電池への使用に適していることを特徴とする請求項26記載の触媒の使用。
【請求項28】
上記の得る方法が、天然ガス、ナフサ、ディーゼル油および植物油等の化石燃料から選択された水素輸送体を改質する触媒反応であって、673〜1073Kの温度で触媒存在下、水と水素輸送体とを反応させる工程を含み、それにより水素を含む気体混合物を得ることを特徴とする請求項26または27に記載の触媒の使用。
【請求項29】
水と水素輸送体とを0〜5バールの圧力で反応させることを特徴とする請求項28記載の使用。
【請求項30】
水と水素輸送体とを0〜3バールの圧力で反応させることを特徴とする請求項29記載の使用。
【請求項31】
水と水素輸送体とを大気圧で反応させることを特徴とする請求項30記載の使用。
【請求項32】
水と水素輸送体とを、(水モル/水素輸送体の炭素モル)の比5:1〜1:1で反応させることを特徴とする請求項28から31のいずれか一つに記載の使用。
【請求項33】
水と水素輸送体とを、(水モル/水素輸送体の炭素モル)の比4:1〜2:1で反応させることを特徴とする請求項32記載の使用。
【請求項34】
水と水素輸送体とを773〜1023Kの温度で反応させることを特徴とする請求項28から31のいずれか一つに記載の使用。
【請求項35】
水と水素輸送体とを923〜973Kの温度で反応させることを特徴とする請求項34記載の使用。
【請求項36】
水を蒸気の状態で水素輸送体と反応させることを特徴とする請求項28から31のいずれか一つに記載の使用。
【請求項37】
水と水素輸送体との反応で得られた水素を含む上記気体混合物を中温または高温の燃料電池に供給することを特徴とする請求項28から36のいずれか一つに記載の使用。
【請求項38】
水と水素輸送体との反応で得られた水素を含む上記気体混合物を精製工程に付し、上記気体混合物中に最終的に存在する一酸化炭素の少なくとも一部を二酸化炭素に変換して精製された気体混合物を得るとともに、該精製した気体混合物を燃料電池に供給することを特徴とする請求項28から36のいずれか一つに記載の使用。
【請求項39】
燃料電池が、中温燃料電池および低温燃料電池から選択されることを特徴とする請求項38記載の使用。
【請求項1】
担体、活性相および少なくとも2種の促進物質を含み、蒸気による炭化水素改質により水素ガスまたは水素濃度の高いガスを得るための触媒であって、
該触媒が、金属担持型の固体であり、
上記活性相が、第VIII族から選択された少なくとも1種の遷移金属と、アルカリ土類金属または遷移金属から選択された少なくとも1種の促進物質を含み、
上記担体が、塩基性を有する少なくとも1種の混合酸化物と、ランタニド族から選択された少なくとも1種の促進物質を含むことを特徴とする触媒。
【請求項2】
活性相を1〜15重量%と、各促進物質を1〜20重量%含むことを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項3】
活性相を3〜10重量%と、各促進物質を5〜15重量%含むことを特徴とする請求項1または2に記載の触媒。
【請求項4】
上記活性相中の遷移金属がニッケルであることを特徴とする請求項1、2または3のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項5】
上記担体の混合酸化物が、2価カチオン[M(II)]および3価カチオン[M(III)]を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項6】
上記担体の混合酸化物が、モル比[M(III)/(M(II)+M(III))]を0.20〜0.33の範囲で有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項7】
上記担体の混合酸化物が、マグネシウムおよびアルミニウムの混合酸化物であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項8】
マグネシウムとアルミニウムの混合酸化物において、モル比Al/(Al+Mg)が0.25であることを特徴とする請求項7記載の触媒。
【請求項9】
上記活性相の少なくとも1種の促進物質がコバルトであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項10】
上記担体の促進物質が酸化セリウムであることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項11】
ニッケル1〜15重量%、コバルト1〜20重量%、酸化セリウム1〜20重量%を含むことを特徴とする請求項4から10のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項12】
ニッケル3〜10重量%、コバルト5〜15重量%、酸化セリウム5〜15重量%を含むことを特徴とする請求項11記載の触媒。
【請求項13】
ニッケル5〜7重量%、コバルト6〜9重量%、酸化セリウム7〜10重量%を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の触媒。
【請求項14】
上記活性相の第2の促進物質としてレニウムも含むことを特徴とする請求項1から13のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項15】
レニウムの含有量が0.1〜2重量%であることを特徴とする請求項14記載の触媒。
【請求項16】
少なくとも以下のピーク(度)および相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有することを特徴とする請求項1から15のいずれか一つに記載の触媒:
【表1】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【請求項17】
少なくとも以下のピーク(度)および相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有することを特徴とする請求項1から15のいずれか一つに記載の触媒:
【表2】
ここで、
I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時;
Dは0から20%の弱い相対強度;
Mは20%〜40%の中間相対強度;
Fは40%〜60%の強い相対強度;
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【請求項18】
触媒前駆体を製造する合成工程であって、該前駆体がハイドロタルサイト型構造を有する二層構造の水酸化物であり、該前駆体が塩基性を有する混合酸化物を形成する成分に加えて、VIII族から選択された少なくとも1種の遷移金属、アルカリ金属または遷移金属およびランタニド族から選択された金属を含む、該合成工程、
上記の合成工程で製造した層状前駆体をか焼して混合酸化物を形成する熱分解工程、
上記の分解工程で形成した混合酸化物を還元処理して触媒を得る活性化工程、とを含むことを特徴とする請求項1から17のいずれか一つに記載の触媒の製造方法。
【請求項19】
上記混合酸化物を上記の活性化工程に付する前に、上記の分解工程で得られた混合酸化物にレニウムを含浸させることを含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
上記の層状前駆体の合成工程が、2種の溶液であって、一方は必要な金属を含み、他方はそれら金属を沈殿させる塩基を含む該2種の溶液を調製する工程と、ゲルを得るために両方の溶液を相互添加する工程と、ハイドロタルサイト相を結晶化させるためにゲルを熟成する工程と、中性になるまでハイドロタルサイトゲルを洗浄する工程と、中性のハイドロタルサイト相のゲルを乾燥する工程とを含み、
上記の熱分解工程が、空気雰囲気下、723〜1273Kの温度でのか焼過程を含み、
上記の活性化工程が、水素雰囲気下、873〜1173Kの温度での還元処理を含むことを特徴とする請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
レニウムを空孔容積に含浸させることを特徴とする請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
レニウムをアルコール溶液を用いて含浸させることを特徴とする請求項19から21のいずれか一つに記載の方法。
【請求項23】
ハイドロタルサイト構造を有する上記の層状前駆体が、2価カチオン[M(II)]と3価カチオン[M(III)]を、モル比[M(III)/(M(II)+M(III))]が0.2〜0.33となるように含むことを特徴とする請求項18から22のいずれか一つに記載の方法。
【請求項24】
ハイドロタルサイト構造を有する層状前駆体の2価カチオンと3価カチオンのモル比[M(III)/(M(II)+M(III))]が0.25であることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
ハイドロタルサイト構造を有する上記の層状前駆体が、少なくとも以下のピーク(度)および相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有し、
【表3】
上記のか焼工程で得られた混合酸化物を873〜973Kで再生させ、該混合酸化物が少なくとも以下のピーク(度)および相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有し、および
【表4】
973〜1073Kで再生させる上記の活性化工程の後で得られた触媒が、少なくとも以下のピーク(度)および相対強度(I/I0)を含むX線パターンを有することを特徴とする請求項18から24に記載の方法。
【表5】
ここで、I0は、最も強いピークの強度であり、その値を100とした時、
Dは0から20%の弱い相対強度、
Mは20%〜40%の中間相対強度、
Fは40%〜60%の強い相対強度、
MFは60%〜100%の非常に強い相対強度である。
【請求項26】
炭化水素から水素ガスまたは水素濃度の高いガスを得る方法における、請求項1から17のいずれか一つに記載の触媒の使用。
【請求項27】
炭化水素から得られた水素ガスまたは水素濃度の高いガスが、燃料電池への使用に適していることを特徴とする請求項26記載の触媒の使用。
【請求項28】
上記の得る方法が、天然ガス、ナフサ、ディーゼル油および植物油等の化石燃料から選択された水素輸送体を改質する触媒反応であって、673〜1073Kの温度で触媒存在下、水と水素輸送体とを反応させる工程を含み、それにより水素を含む気体混合物を得ることを特徴とする請求項26または27に記載の触媒の使用。
【請求項29】
水と水素輸送体とを0〜5バールの圧力で反応させることを特徴とする請求項28記載の使用。
【請求項30】
水と水素輸送体とを0〜3バールの圧力で反応させることを特徴とする請求項29記載の使用。
【請求項31】
水と水素輸送体とを大気圧で反応させることを特徴とする請求項30記載の使用。
【請求項32】
水と水素輸送体とを、(水モル/水素輸送体の炭素モル)の比5:1〜1:1で反応させることを特徴とする請求項28から31のいずれか一つに記載の使用。
【請求項33】
水と水素輸送体とを、(水モル/水素輸送体の炭素モル)の比4:1〜2:1で反応させることを特徴とする請求項32記載の使用。
【請求項34】
水と水素輸送体とを773〜1023Kの温度で反応させることを特徴とする請求項28から31のいずれか一つに記載の使用。
【請求項35】
水と水素輸送体とを923〜973Kの温度で反応させることを特徴とする請求項34記載の使用。
【請求項36】
水を蒸気の状態で水素輸送体と反応させることを特徴とする請求項28から31のいずれか一つに記載の使用。
【請求項37】
水と水素輸送体との反応で得られた水素を含む上記気体混合物を中温または高温の燃料電池に供給することを特徴とする請求項28から36のいずれか一つに記載の使用。
【請求項38】
水と水素輸送体との反応で得られた水素を含む上記気体混合物を精製工程に付し、上記気体混合物中に最終的に存在する一酸化炭素の少なくとも一部を二酸化炭素に変換して精製された気体混合物を得るとともに、該精製した気体混合物を燃料電池に供給することを特徴とする請求項28から36のいずれか一つに記載の使用。
【請求項39】
燃料電池が、中温燃料電池および低温燃料電池から選択されることを特徴とする請求項38記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2012−515078(P2012−515078A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545769(P2011−545769)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【国際出願番号】PCT/ES2009/070537
【国際公開番号】WO2010/081916
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(511170928)ハイナーグリーン・テクノロジーズ・ソシエダッド・アノニマ (1)
【氏名又は名称原語表記】HYNERGREEN TECHNOLOGIES, S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【国際出願番号】PCT/ES2009/070537
【国際公開番号】WO2010/081916
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(511170928)ハイナーグリーン・テクノロジーズ・ソシエダッド・アノニマ (1)
【氏名又は名称原語表記】HYNERGREEN TECHNOLOGIES, S.A.
【Fターム(参考)】
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