説明

蒸気タービン

【課題】蒸気タービンから出た蒸気の流れの乱れを防止して損失を抑え、効率向上、コンパクト化を図ることを目的とする。
【解決手段】羽根車3におけるブレード5間の蒸気の出口に連通して案内板7を設けた。羽根車3から出た蒸気は、この案内板7に沿って乱れを生じることなく流れ、蒸気出口13から排出される。そのため、流れの乱れによる損失を防止することができるとともに、羽根車3で発生したトルクを有効に利用できることが可能となり、蒸気タービンの効率を大いに高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、太陽熱を利用したランキンシステムなどに搭載される蒸気タービンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蒸気タービンは、蒸気が出力軸に狭い間隔で稠密に取り付けられた平面形状のディスク形の間を外周から軸に向かって流れ、蒸気の粘性力と付着力によりディスクを回転させるようにしている。(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、平板形状のディスクを用いて粘性だけを利用したテスラタービンも見受けられる。
【特許文献1】特開2002−174166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来技術では、出力軸にほぼ直角の平面形状のディスクを多枚数重ね合わせて単純な形状とし、ケーシングに複数のノズルを設けてノズルから噴出した蒸気をディスクに当てて衝動力を得る構成している。そして、ディスク内で回転力を働いた後の蒸気は、そのディスクに開口した孔を通り蒸気排出口から外部に放出される。
【0005】
しかしながら、ディスクからこの蒸気排出口までの蒸気は、流れ方向が径中心方向流れから軸方向流れに急激に変化させるため、蒸気が淀み、また、運動ベクトル方向が直角に変わるところから速度エネルギーを圧力に変換し再び軸方向の運動速度エネルギーに再度変換しなければならず、エネルギー損失が大きく発生した。このため、蒸気により生じるタービン出力は最高の出力が得られないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、羽根車より出る蒸気の流れを円滑として圧損などを可及的に小さくし、これにより蒸気タービンの効率向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の蒸気タービンは、蒸気を噴出するノズルと、回転軸にほぼ直角に複数のディスク状のブレードを重ね合わせて構成され、前記ノズルからの蒸気が外周の蒸気入口から内側の蒸気出口へ流動してその蒸気の運動量を受ける羽根車と、前記羽根車の蒸気出口に連通した案内板と、前記羽根車、案内板及び回転軸を内設したケーシングとを具備し、前記案内板は前記羽根車の蒸気出口から出た径中心方向の蒸気流を前記回転軸に平行流となるように方向転換させ、ケーシング出口に案内するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の蒸気タービンは、羽根車の蒸気出口に連通した案内板を構成したことにより、羽根車から出た蒸気が流れの乱れによる損失を防止することができるので、粘性と衝動力により発生したトルクを低減することがなく利用できることにより蒸気タービンの効が向上し、蒸気タービンのコンパクト化や簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、蒸気を噴出するノズルと、回転軸にほぼ直角に複数のディスク状のブレード
を重ね合わせて構成され、前記ノズルからの蒸気が外周の蒸気入口から内側の蒸気出口へ流動してその蒸気の運動量を受ける羽根車と、前記羽根車の蒸気出口に連通した案内板と、前記羽根車、案内板及び回転軸を内設したケーシングとを具備し、前記案内板は前記羽根車の蒸気出口から出た径中心方向の蒸気流を前記回転軸に平行流となるように方向転換させ、ケーシング出口に案内するようにした。
【0010】
したがって、羽根車から出た蒸気流れの乱れによる損失を防止することができる。
【0011】
案内板は複数の円錐状案内板を隙間をおいて重ね合わせて回転軸上に固定したものであり、蒸気の流れをより円滑とするために、仕切り板を介してその隙間を周方向に仕切ることも考えられ、また、好ましくは、隙間の断面積を上流側から下流側へ次第に大きくする。
【0012】
羽根車としては、隣接するブレード間の間隙に複数の羽根を放射状に介在させてもよい。
【0013】
そして、これら蒸気タービンは太陽熱ランキンシステムの発電機駆動源として利用でき、加えて、蒸気タービンより排出される蒸気を給湯熱源として活用することも考えられる。
【0014】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1、図2において、1は蒸気入口2から入った蒸気を噴出するノズルで、このノズル1から噴出する蒸気の運動エネルギを受けて回転する羽根車3を出力軸である回転軸4の周囲に設けている。蒸気は高温のフロンや水の蒸気、または高温のCO2や空気等のガス体が考えられる。
【0016】
前記羽根車3は所定の間隙をおいて重ね合わせた複数のブレード5と、隣接するブレード5間の間隙に放射状に一体的に介在させた断面円弧状の複数の羽根6とから構成されている。
【0017】
すなわち、ノズル1からの蒸気は羽根車3の外周から径中心方向へ流動する過程で羽根6に衝動力を、またブレード5に粘性による回転力をそれぞれ付与することとなる。
【0018】
そして、羽根車3を通過し、その径中心方向から回転軸4方向に流出した蒸気は複数の円錐状の案内板7で回転軸4と平行となるように方向転換されるようにしてある。
【0019】
前記羽根6は、ブレード5の一部を成型加工するか、或いは別部品を接着、溶接して構成する。
【0020】
また、案内板7は復数枚を間隔を空けて設置し、切削、或いは絞り成型加工で作成し、回転軸4に対して垂直面から順次平行に向かう曲面とし、同回転軸4に固定してある。
【0021】
そして、ブレード5の両端は端版8,9により保持し、回転軸4にはブレード5の回転時の接触を防止するスペーサ10,11を設けている。
【0022】
ブレード5、案内板7、回転軸4、スペーサ10,11は、ステンレスやチタンやアルミナ等の金属材料やセラミックや樹脂のような耐熱性、耐腐食性の材料で構成されている

ブレード5の厚みは重量の軽減のため、薄く(例えば、1mm以下)構成している。また、ブレード5間の間隙は、羽根6に沿って移動する蒸気の粘性力や付着力が働くように狭く(例えば1mm以下)構成している。
【0023】
ブレード5、案内板7、回転軸4等はケーシング12に内設してある。ブレード5よりも厚みのある端版8,9は、前記ブレード5と回転軸4、及び案内板7を固定するときにこれらブレード5を締め付けて剛性を高め、そのブレード5と案内板7のたわみを防止するようにしている。また、各ブレード5の出口と案内板7の入口は同軸上に連通するように設けている。
【0024】
蒸気は、蒸気入口2からノズル1を通り、羽根車3のブレード5の外周から羽根6に沿って旋回しながらブレード5間の間隙内を移動し、次いで、案内板7に入り、蒸気出口13から外部に出るようにしている。
【0025】
ノズル1は蒸気入口2に構成し、羽根車3の外周部分に対して接線方向から蒸気を噴射するように設けている。
【0026】
ノズル1の形状は普通の蒸気タービンで使用されている単孔ノズルや先細ノズルや末広ノズル等を使用している。また、ノズル1は蒸気の流速を加速するためにのど部から下流に向かって内径を徐々に拡大するようにディフューザー部分も構成するようにしており、ケーシング12に予め作成したノズル1をカシメ加工等で取り付けても良いし、また一体に成型してもよい。
【0027】
ケーシング12に設けた回転軸4の軸受け14,15は、シール性のあるベアリング軸受け、または非接触の流体軸受けを使用している。
【0028】
ケーシング12は、その材質としてブレード5と同様、ステンレスやチタンやアルミナ等の金属材料やセラミック等耐熱性、耐腐食性の材料が採用され、また、案内板7を介して排出される蒸気を流動させるための環状の排出溝16を設けている。この排出溝16の一部に蒸気出口13を設けて蒸気タービン17を回転させた後の蒸気を取り出し、再度蒸気を加熱する手段に送るようにしている。
【0029】
回転軸4の回転は発電機17に伝えられて発電を行うようにしてある。発電機17は、例えばアウターローター式三相交流発電機を用い、この交流出力は全波整流されたのちにインバータ(図示なし)により電流制御を行うようにして安定した電流を得るようにしている。
【0030】
図3において、18は太陽熱を受けて回収する集熱器で、この集熱器18の熱を蓄熱槽19に伝えるために循環ポンプ20を途中に設けた回路21(閉回路)を設けている。
【0031】
集熱器18は管状集熱器や真空ガラス管式集熱器やヒートパイプ式集熱器等で構成している。回路21内を循環する熱媒体22はフロンや水のような液体で構成している。
【0032】
なお、熱媒体22は超臨界状態のCO2や液体空気を用いる場合もある。
【0033】
熱媒体22は集熱器18で加熱されて蒸気になって蓄熱槽19に送られ、そこで熱交換することで凝縮し液体となる。この熱媒体22を循環ポンプ20で再度集熱器18に送る。この動作を繰り返すことで、蓄熱槽19に熱を貯める。
【0034】
蓄熱槽19は融点の高い溶融塩の相変化を利用した潜熱型や溶融塩や油等を用いた顕熱型や蒸気を圧力水の形で蓄える蒸気アキュムレイタ等を用いることで100℃以上の高温の熱を貯める。
【0035】
23は蓄熱槽19の熱を利用して加熱した熱媒体24の蒸気を前記した蒸気タービン25のノズル1に供給する供給ポンプで、蒸気タービン25から排出された熱媒体24を再度蓄熱槽19に送る回路26(閉回路)の途中に設けている。
【0036】
この回路26内を循環する熱媒体24はフロンや水のような液体とその蒸気で構成している。
【0037】
なお、熱媒体24は超臨界状態のCO2や液体空気を用いる場合もある。
【0038】
また、回路26の蒸気タービン25と供給ポンプ23の途中に貯湯タンク27を設け、蒸気タービン25に運動エネルギを与えた後の高温の蒸気の熱を利用してこの貯湯タンク27に湯を貯める。
【0039】
熱媒体24はこの貯湯タンク27に熱を伝えるときに凝縮して液体となり、蓄熱槽19に送られて再度加熱され蒸気を形成する。この動作を繰り返すことにより、蒸気タービン25に設けた発電機17により発電しながら貯湯タンク27にお湯を貯めるようにしている。貯湯タンク27に貯められたお湯は、給水ポンプ28により給湯用や暖房用に供給されるようにしている。
【0040】
以上のように構成された蒸気タービン25について、以下その動作、作用を説明する。まず、蒸気タービン25のノズル1に供給する蒸気を形成するためには、循環ポンプ20を作動し、熱媒体22を回路21内に循環させ、太陽の熱を受けた集熱器18で加熱し、高温の蒸気(または液体や蒸気と液体が混ざった二相状態等)を形成して蓄熱槽19に送る。蓄熱槽19ではこの蒸気の熱を受けて200℃程度の熱量を蓄積する。
【0041】
熱媒体22の蒸気は蓄熱槽19で凝縮して液体となり、循環ポンプ23により再度集熱器18に送られて加熱される。この動作を太陽が当っている太陽熱の供給が可能な間、繰り返し必要な熱量を蓄熱槽19に維持する。
【0042】
蓄熱槽19に所定の熱量が蓄積されると、回路26に設けた供給ポンプ23で熱媒体24を循環させ、蓄熱槽19で200℃程度の熱媒体26の蒸気を形成し、蒸気タービン25のノズル1から噴出する。
【0043】
ノズル1から噴出する蒸気は音速の運動エネルギを持ち、蒸気タービン25の羽根車3の羽根6に衝突しながら、各ブレード5の間の間隙の内部を衝動面に沿いながら旋廻流動する。この時、蒸気の粘性力や付着力により羽根車3が回転し、回転軸4にトルクとして伝えられる。
【0044】
この回転軸4のトルクを利用し発電機17を回転させて発電を行うようにしている。蒸気タービン25から排出した熱媒体24の蒸気は貯湯タンク27に送られ、水と熱交換を行い、その熱は貯湯タンク27内にお湯として貯める。
【0045】
蒸気は貯湯タンク27内で凝縮し、液体となって供給ポンプ23により蓄熱槽19に送られ、再度加熱され蒸気を形成するようにしている。
【0046】
この動作を繰り返すことにより、蒸気タービン25で発電しながら貯湯タンク27にお
湯を貯め、給湯や暖房の必要なときに給水ポンプ28を作動しお湯を使用することでコージェネレーションのシステムを構成するようにしている。
【0047】
以上のように本実施の形態においては、蒸気を噴出するノズル1と、回転軸4にほぼ直角に複数のブレード5を重ね合わせて外周に蒸気入口と内側に蒸気出口を構成し、ノズル1から噴出する蒸気の運動量を受けると、この羽根車3の蒸気出口に連通した案内板7と、ノズル1と羽根車3と案内板7、及びこの羽根車3と案内板7の回転軸4を内包し、蒸気の入口2と出口13を構成したケーシング12とからなり、特に、案内板7は蒸気を径中心方向から軸方向へ流れを変換するようにしているため、羽根車3からの蒸気排出が円滑となり、流れの乱れによる損失を防止することができる。このため、羽根車3で発生したトルクを低減することがなく利用できることが可能となり、蒸気タービンとしての効率が向上し、蒸気から駆動力に変換するタービン性能も向上する。
【0048】
すなわち、羽根車3で回転力に供された後の蒸気は、流れ方向が径中心に向かう流れから軸に沿う方向に急激に変化されるため、蒸気が淀み、また、速度エネルギーが圧力に変換され再び軸方向の運動速度エネルギーに再度変換されるところから、そのままではエネルギー損失大きくなる。このため、蒸気により生じるタービン出力は最高の出力が得られなかった。
【0049】
そこで、高速で羽根車3に流動した蒸気は、案内板7の曲面に沿って乱れを生じることなく回転軸4に平行な流れに方向を変え、蒸気出口13から出ていく。このため、羽根車3ら出た蒸気が流れの乱れによる損失を生じることがないため、粘性と衝動力により発生したトルクを低減することがなく利用できることにより蒸気タービン25の効率を向上するものである。そのため、向上した性能を利用して蒸気タービン18のコンパクト化や簡素化を可能とできる。
【0050】
また、案内板7は、円錐状の板を隙間を介して重ね合わせて回転軸4上に固定し、また、その案内板7の蒸気入口は羽根車3のブレード5間の間隙と対向して構成してあることにより、羽根車3の出口から出た蒸気をよりスムーズに蒸気出口13に誘導できる。このため蒸気の流量が増加した場合も、蒸気流れの乱れによる損失を抑え、蒸気タービン25の高効率を維持しながら大能力化が可能となる。
【0051】
すなわち、案内板7を円錐状の板としたことにより、回転軸4に垂直の方向から中心に流れる蒸気の流れ方向を順次回転軸4に平行に変えていくため、淀みや乱れを生じることが無く損失抵抗が少ない。
【0052】
また、円錐状の板を隙間を介して重ね合わせて回転軸4上に固定したことにより、案内板7内の蒸気が流れる前記間隙が積層に分割しているため均一に流れ、蒸気の偏りを防止でき、スムーズに流すことが可能となる。
【0053】
そして、羽根車3はブレード5と羽根6を介して重ね合わせて回転軸4上に固定し、案内板7も円錐状に成型した板を隙間を介して重ね合わせて回転軸4上に固定して構成したことにより、簡単な加工で精度が維持でき、また、ブレード5と羽根6の数を選定することにより、能力変更も容易となる。
【0054】
すなわち、平板の絞り加工で作成した案内板7は簡単に高精度加工が容易であり、ブレード5と案内板7の動バランスをとることができ、高速で回転しても振動や振れを生じることがなく動作回転数を高くして全体を小さくできる。また、加工は、金型多面等により安価にできる。さらに、冷媒の種類に応じてブレード5の板厚さにより間隔を調整することにより、粘性を最大に生かせる間隔となり、粘性により回転力を伝達できタービンの効
率向上を図れ、そのため、タービン性能の高効率化と、同一形状に成型したブレード5を容易に複数個重ね合わせることができ、均一な間隙の形成によりブレードユニットの組み立て精度を向上できる。
【0055】
また、独立した集熱用の回路21を構成して集熱器18で得られた太陽熱を蒸気タービン25の動作に関係なく、常時蓄熱槽19に蓄えて維持できるので、発電の必要なときに蒸気タービン25で必要な蒸気を随時取り出すことができる。
【0056】
さらに、回路26の途中に貯湯タンク27を設けたので、発電に関係なく蓄熱槽19の熱をお湯として貯湯タンク27に貯めることが可能なので、給湯や暖房に必要なお湯を随時取り出せることができる。
【0057】
また、太陽熱を利用して蒸気を形成し、ノズル1より噴出して蒸気タービン25の発電機17を回転させて発電するので、CO2削減の有効な手段とすることができる。
【0058】
(実施の形態2)
図4,5は、本発明の実施の形態2を示し、実施の形態1と異なるところは、複数の案内板7で構成される案内流路を仕切り板29を介して周方向に仕切ったものである。
【0059】
したがって、仕切り板29は案内板7の隙間寸法を高精度に保持し、羽根車3が高速で回転しても振動や振れを生じることがなく動作回転数を高くして全体を小さくできるものである。
【0060】
また、部品の簡略化と耐久信頼性を確保できるものである。そして、羽根車3から回転方向に斜めに噴出する蒸気を仕切り板29により分割してケーシング12の蒸気出口13に案内できるため、回転方向に対しても蒸気の偏りがなく、スムーズな流れとなところから、エネルギーの損失が低下し、蒸気タービン25の効率向上するものである。
【0061】
また、仕切り板29は順次回転軸4方向に曲げるとともに、蒸気の出口方向にその断面積を順次拡大した構成としてあることにより、蒸気は案内板7の中を流れるに従って速度を低下し、動圧成分が静圧成分に変換でき、蒸気出口13での蒸気の運動量が小さくなり、蒸気の高速で流れることによる損失が小さくなり、蒸気タービンの効率向上するものである。
【0062】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における太陽熱ランキンシステムを示し、蒸気タービン25に太陽熱により生成した蒸気を直接的に供給するようにした。
【0063】
以下その動作、作用について説明する。
【0064】
太陽熱を受けられる状況になると循環ポンプ30を作動し、熱媒体31を回路32内に循環させ、太陽の熱を受けた集熱器33で加熱し、高温の蒸気として蒸気タービン25のノズルから噴出する。
【0065】
ノズルから噴出する蒸気は、音速の運動エネルギを持ち、蒸気タービン25の羽根車を回転し、発電機17を回転させて、発電を行う。
【0066】
蒸気タービン25から排出した熱媒体蒸気は、貯湯タンク34に送られ、水と熱交換を行い、その熱は貯湯タンク34内にお湯として貯められる。
【0067】
蒸気は貯湯タンク34内で凝縮し、液体となって供給ポンプ30により集熱器33に送られ、再度加熱され蒸気を形成するようにしている。蒸気タービン18で発電しながら貯湯タンク34にお湯を貯め、給湯や暖房の必要なときに給水ポンプ35を作動しお湯を使用するようにしている。
【0068】
なお、図7のように、集熱器33で形成した熱媒体31の蒸気を循環ポンプ30より回路32(閉回路)で直接蒸気タービン25に送り、これを回転させて発電機17により発電だけを行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかる蒸気タービンは、エネルギ密度の低い太陽熱を利用して作動できるので、自動車や燃料電池の排熱回収等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態1における蒸気タービンの側断面図
【図2】図1のX―X´正断面図
【図3】実施の形態1の蒸気タービンを搭載した太陽熱ランキンシステムの構成図
【図4】本発明の実施の形態2における蒸気タービンの断側面図
【図5】図4のY−Y´正断面図
【図6】本発明の実施の形態3における太陽熱ランキンシステムの構成図
【図7】他の太陽熱ランキンシステムの構成図
【符号の説明】
【0071】
1 ノズル
3 羽根車
4 回転軸
5 ブレード
6 羽根
7 案内板
12 ケーシング
17 発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を噴出するノズルと、回転軸にほぼ直角に複数のディスク状のブレードを重ね合わせて構成され、前記ノズルからの蒸気が外周の蒸気入口から内側の蒸気出口へ流動してその蒸気の運動量を受ける羽根車と、前記羽根車の蒸気出口に連通した案内板と、前記羽根車、案内板及び回転軸を内設したケーシングとを具備し、前記案内板は前記羽根車の蒸気出口から出た径中心方向の蒸気流を前記回転軸に平行流となるように方向転換させ、ケーシング出口に案内する蒸気タービン。
【請求項2】
複数の円錐状案内板を隙間をおいて重ね合わせて回転軸上に固定した請求項1記載の蒸気タービン。
【請求項3】
仕切り板を介して隙間を周方向に仕切った請求項2記載の蒸気タービン。
【請求項4】
隙間の断面積を上流側から下流側へ次第に大きくした請求項2または3記載の蒸気タービン。
【請求項5】
羽根車の隣接するブレード間の間隙に複数の羽根を放射状に介在させた請求項1〜4いずれか1項記載の蒸気タービン。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項記載の蒸気タービンを発電機の駆動源として用いた太陽熱ランキンシステム。
【請求項7】
蒸気タービンより排出される蒸気を給湯熱源とした請求項6記載の太陽熱ランキンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−25523(P2008−25523A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201564(P2006−201564)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】