説明

蒸気加熱装置

【課題】 処理槽から熱交換器への蒸気流入の有無および量を調整でき、熱交換器内の冷却用水の沸騰防止と、減圧能力の調整が可能な蒸煮冷却機の提供。
【解決手段】 被加熱物1が収容される処理槽2、処理槽2内への蒸気供給手段3、処理槽2内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段4を備える。減圧手段4は、処理槽2に吸入口が接続される蒸気エゼクタ16、蒸気エゼクタ16の吐出口に接続される凝縮器としての熱交換器17、熱交換器17の出口に接続される真空ポンプ19を有する。蒸気エゼクタ16は、そのディフューザ25の絞り部48に、開度調整可能な真空弁20が設けられる。処理槽2内への蒸気供給時、真空弁20を全閉するか、減圧手段4を作動させつつ真空弁20の開度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物が収容された処理槽内へ蒸気を供給して、前記被加熱物を加熱するための蒸気加熱装置に関するものである。特に、被調理物(食材または食品)を加熱調理した後、真空冷却可能な蒸煮冷却機などの蒸気加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されるように、食材が収容された処理槽内へ蒸気を供給して、食材の加熱調理を図った後、処理槽内を減圧して前記食材の真空冷却を図る蒸煮冷却機が知られている。この特許文献1に開示される蒸煮冷却機では、処理槽内を減圧する減圧手段として、蒸気エゼクタ、凝縮器としての熱交換器、および真空ポンプが用いられている。そして、処理槽内へ蒸気を供給して、処理槽内の食材の加熱を図る蒸煮工程後、減圧手段を用いて処理槽内を減圧して、処理槽内の食材の冷却を図る真空冷却工程がなされる。
【特許文献1】特開2005−65798号公報 (段落番号0015−0016、0029−0030、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の構成では、減圧手段を作動させない前記蒸煮工程中も、蒸気エゼクタや熱交換器を介して、真空ポンプまで蒸気が流入してしまうものであった。そこで、減圧管路の中途をバルブで締め切るのが望ましいが、特に減圧能力が大きい場合、処理槽から熱交換器への管路は比較的太く、前記管路を締め切るためには大型のバルブが必要となる。
【0004】
そこで、蒸気を凝縮させることで管径を細くできる熱交換器と真空ポンプとの間に、バルブを設置することが考えられる。ところが、この場合は、熱交換器へ流入した蒸気が、熱交換器内に溜まったままの冷却用水を沸騰させ、その沸騰した水を熱交換器の塩化ビニル製の排水管へ排出すると、その配管を傷めるおそれがあった。従って、熱交換器へ冷却用水を給水させない状態では、熱交換器の水を予め排水しておく必要がある。
【0005】
また、所望により減圧手段を作動させながら処理槽内へ蒸気供給して、処理槽内の食材を大気圧未満で加熱調理しようとする場合において、処理槽内の圧力ひいては温度の移行をゆっくりと円滑に行いたい場合がある。ところが、従来の構成では、減圧能力を調整することができず、そのような円滑な移行はできなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、簡易な構成で、処理槽から熱交換器への蒸気流入の有無および量を調整でき、熱交換器内の冷却用水の沸騰の防止と、減圧能力の調整が可能な蒸気加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ディフューザの絞り部に開度調整可能な弁が設けられた蒸気エゼクタを備えることを特徴とする蒸気加熱装置である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、蒸気エゼクタのディフューザの絞り部(混合部)に、モータバルブなどの開度調整可能な弁を設けた。従って、この弁は、蒸気凝縮前の比較的管径の太い管路にありながら、比較的小さなバルブにて構成することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、被加熱物が収容される処理槽と、この処理槽内への蒸気供給手段と、ディフューザの絞り部に開度調整可能な弁が設けられ、前記処理槽内の気体を外部へ吸引排出する蒸気エゼクタとを備えることを特徴とする蒸気加熱装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、蒸気エゼクタのディフューザの絞り部(混合部)に、モータバルブなどの開度調整可能な弁を設けた。従って、この弁は、蒸気凝縮前の比較的管径の太い管路にありながら、比較的小さなバルブにて構成することができる。また、処理槽内への蒸気供給時には、この弁を全閉することができる。あるいは、所望により、前記弁の開度を調整して、減圧能力を調整することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記処理槽に吸入口が接続される前記蒸気エゼクタと、この蒸気エゼクタの吐出口に接続される凝縮器としての熱交換器と、この熱交換器の出口に接続される真空ポンプとを有し、前記処理槽内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段と、前記処理槽内の圧力または温度を検出するセンサと、このセンサの検出信号に基づき前記弁の開度を調整する制御手段とをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の蒸気加熱装置である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、処理槽内への蒸気供給時には、前記弁を全閉することで、処理槽から熱交換器への蒸気流入を防止することができる。従って、熱交換器内の冷却用水を予め排水しておかなくても、冷却用水の沸騰などの不都合を防止できる。また、熱交換器や真空ポンプは作動させつつ前記弁の開度を調整することで、処理槽内からの空気や蒸気の吸引排出量を調整することができ、処理槽内の圧力ひいては温度の微調整が容易となる。従って、特に、処理槽内の食材を大気圧未満で加熱調理しようとする場合において、処理槽内の圧力ひいては温度の移行をゆっくりと円滑に行うことができる。この際、蒸気エゼクタを機能させない状態で行えば、前記微調整を容易になすことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記制御手段は、前記蒸気供給手段による前記処理槽内への蒸気供給を伴う工程において、前記処理槽内の圧力または温度が所定値以上では、前記弁の開度を調整し、前記処理槽内の圧力または温度が所定値未満では、前記弁を全開位置に保持することを特徴とする請求項3に記載の蒸気加熱装置である。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、所定圧力(温度)以上でのみ、弁の開度調整による処理槽内の圧力(温度)の微調整が行われ、それ未満では減圧手段をフルに稼働させる構成である。従って、特に、大気圧未満での圧力(温度)の微調整を行いつつ加熱調理した後、真空冷却を迅速に行うことができる。
【0015】
さらに、請求項5に記載の発明は、前記絞り部を構成する円筒状の直管部に設けられる前記弁は、前記直管部の内径以上の口径を有するボールバルブから構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸気加熱装置である。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記絞り部を構成する円筒状直管部の内径以上の口径を有するボールバルブを用いることで、特に弁の全開時に、蒸気エゼクタの性能に影響を及ぼすことがない。
【発明の効果】
【0017】
本発明の蒸気加熱装置によれば、蒸気エゼクタのディフューザの絞り部に、モータバルブなどの開度調整可能な弁を設けた。従って、この弁は、処理槽から熱交換器までの比較的管径の太い管路にありながら、比較的小さなバルブにて構成することができる。また、処理槽内への蒸気供給時には、この弁を全閉することで、処理槽から熱交換器への蒸気流入を防止することができる。従って、熱交換器内の冷却用水を予め排水しておかなくても、冷却用水の沸騰などの不都合を防止できる。さらに、前記弁の開度を調整することで、処理槽内からの空気や蒸気の吸引排出量を調整することができ、処理槽内の圧力ひいては温度の微調整も容易となる。従って、特に、処理槽内の食材を大気圧未満で加熱調理しようとする場合において、処理槽内の圧力ひいては温度の移行をゆっくりと円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、処理槽内に収容された被加熱物を、蒸気により加熱する蒸気加熱装置である。ここで、被加熱物の種類は、特に問わないが、典型的には食材または食品などの被調理物とされる。この場合、蒸気加熱装置は、蒸気で被調理物を蒸したり煮たりする蒸煮機もしくは蒸し庫または飽和蒸気調理装置ということができる。また、蒸気による加熱調理後に、処理槽内の空気を外部へ吸引排出して、被調理物の真空冷却を図る場合には、蒸煮冷却機ということができる。
【0019】
本実施形態の蒸気加熱装置は、被加熱物が収容される処理槽と、この処理槽内への蒸気供給手段としての給蒸手段と、処理槽内の気体を外部へ吸引排出して処理槽内を減圧する減圧手段と、減圧された処理槽内へ外気を導入して処理槽内を復圧する復圧手段と、処理槽内の蒸気やその凝縮水を外部へ排出する排出手段とを備える。
【0020】
前記処理槽は、被加熱物を収容可能な中空構造に形成され、典型的には略矩形のボックス状に形成された金属製の缶体である。この処理槽は、一側面へ開口して中空部を有する処理槽本体と、この処理槽本体の開口部を開閉する扉とから構成される。この扉が閉められた状態では、前記中空部は密閉される。但し、処理槽の構成はこれに限らず、上方へ開口する有底円筒状の処理槽本体と、この上部開口部を開閉可能に閉じる扉とから構成してもよい。
【0021】
処理槽には、処理槽内の圧力を検出する圧力センサが設けられる。但し、処理槽内の圧力と温度とは所定の関係にあるから、圧力センサに代えて、処理槽内の温度を検出する温度センサを用いてもよい。その他、処理槽には、処理槽内に収容される被加熱物の温度を検出する品温センサを設置してもよい。
【0022】
前記給蒸手段は、処理槽内へ蒸気発生装置からの蒸気を供給する手段である。蒸気発生装置は、典型的にはボイラから構成される。この際、ボイラ(一次ボイラ)からの蒸気を熱源として、軟水または純水をリボイラ(二次ボイラ)にて蒸気化し、このリボイラからの清浄蒸気を処理槽内へ供給するのが好ましい。これにより、配管内の錆や、防錆剤などのボイラ水処理薬品が、処理槽内への蒸気に混入されるおそれがなく衛生的である。
【0023】
給蒸手段による蒸気は、給蒸管を介して処理槽内へ供給される。この給蒸管の中途には、給蒸弁が開閉可能に設けられる。この給蒸弁を開閉することで、処理槽内への蒸気供給の有無が切り替えられる。この給蒸弁は、電磁弁のように全開または全閉のみ可能な構成でもよいし、モータバルブや比例制御弁のように開度調整可能な構成でもよい。
【0024】
前記減圧手段は、処理槽内の気体(空気および/または蒸気)を外部へ吸引排出して、処理槽内を減圧する手段であり、蒸気エゼクタ(ejector)を備える。この蒸気エゼクタは、ディフューザと蒸気噴出ノズルとを備えて構成される。そして、蒸気エゼクタは、その吸入口がディフューザの基端側に配置され、吐出口がディフューザの先端側に配置される。また、ディフューザの基端部には、前記ノズルが、その噴出口をディフューザの先端側へ向けて配置されると共に、ディフューザと同一軸線上に配置される。このような構成の蒸気エゼクタは、前記吸入口が処理槽に接続される。従って、ノズルから蒸気を噴出させることで、処理槽内の気体が吸引されて吐出口へ排出される。
【0025】
ところで、蒸気エゼクタのディフューザは、典型的には、先端側へ行くに従って断面積が次第に小さくなる縮径円錐台状部が形成された後、円筒状の絞り部(混合部)が形成され、最後に先端側へ行くに従って断面積が次第に大きくなる拡径円錐台状部が形成された流路である。そして、縮径円錐台状部の基端部に、前記ノズルや吸入口が設けられる一方、拡径円錐台状部の先端部に、前記吐出口が設けられる。
【0026】
蒸気エゼクタのディフューザには、その絞り部に真空弁が設けられる。この真空弁は、モータバルブや比例制御弁のような開度調整可能な構成が望ましい。しかも、真空弁は、前記絞り部を構成する円筒状直管部の内径以上の口径を有するボールバルブから構成するのが好ましい。特に、その全開時にディフューザの内面に段差を生じさせないフルボア型ボールバルブとするのが好ましい。具体的には、真空弁は、弁箱内で回転可能に保持された球状ボールを備え、弁箱およびボールには、ディフューザの絞り部を構成する直管部の内径と同一直径か、またはそれより大径の貫通穴が形成され、ボールの貫通穴をディフューザの軸線に沿って配置することで全開とされる。この全開位置では、ボールの貫通穴は、ディフューザの円筒状絞り部の一部を構成する。
【0027】
減圧手段として蒸気エゼクタを用いるので、蒸気エゼクタより下流側には、凝縮器としての熱交換器が通常備えられる。すなわち、蒸気エゼクタの吐出口には、熱交換器が接続される。この熱交換器は、蒸気エゼクタを介した排気管内の蒸気を、冷却し凝縮させる凝縮器である。この冷却および凝縮作用をなすために、熱交換器には冷却用水が供給され、排気管の冷却が図られる。
【0028】
減圧手段は、さらに真空ポンプを備えるのが好ましい。この真空ポンプは、熱交換器よりも下流側に配置される。その結果、本実施形態では、処理槽には、減圧手段として、処理槽側から順に、蒸気エゼクタ、熱交換器、および真空ポンプが排気管を介して接続されることになる。排気管中の蒸気を予め熱交換器で凝縮させておくことで、その後の真空ポンプの負荷を軽減して、減圧能力を高めることができる。
【0029】
このような構成の減圧手段を作動させることで、処理槽の気体は排気管を介して外部へ吸引排出され、処理槽内の減圧が図られる。処理槽内の減圧の有無は、減圧手段の作動の有無を切り替えることでなされる。具体的には、蒸気エゼクタは、そのノズルへの蒸気供給の有無を切り替え、熱交換器は、その冷却用水の供給の有無を切り替え、真空ポンプはその作動の有無を切り替えればよい。
【0030】
処理槽内への蒸気供給時には、真空弁を全閉することで、処理槽から熱交換器への蒸気流入を防止することができる。従って、熱交換器内の冷却用水を予め排水しておかなくても、冷却用水の沸騰などの不都合を防止できる。
【0031】
あるいは、処理槽内への蒸気供給時には、真空弁を開度調整することで、減圧能力を調整することができる。すなわち、熱交換器や真空ポンプは作動させつつ真空弁の開度を調整することで、処理槽内からの空気や蒸気の吸引排出量を調整することができ、処理槽内の圧力ひいては温度の微調整が容易となる。この際、蒸気エゼクタは、作動させてもさせなくてもよい。
【0032】
処理槽内の圧力ひいては温度が所定値以上では、蒸気エゼクタを作動させてもさせなくてもよく(つまり蒸気エゼクタのノズルへ蒸気供給してもしなくてもよく)、その状態で真空弁の開度を調整すればよいが、処理槽内の圧力ひいては温度が所定値未満では、真空弁を全開位置に保持した状態で、蒸気エゼクタのノズルへ蒸気供給して、蒸気エゼクタを作動させるのが望ましい。そして、真空弁の開度調整を行う際には、蒸気エゼクタを作動させない状態に保持しておくことで、処理槽内の圧力ひいては温度の微調整を容易に行うことができる。また、真空弁の開度調整を行う際には、減圧手段を一定能力で作動させておけばよいが、場合により、減圧手段自体の減圧能力や作動の有無を制御してもよい。
【0033】
前記復圧手段は、減圧手段により減圧された処理槽内へ外気を導入して、処理槽内を復圧する手段である。処理槽内への外気の導入は、衛生面を考慮して、フィルターを介して行うのが望ましい。フィルターを介した清浄空気は、給気管を介して、処理槽内へ供給される。給気管の中途に設けた給気弁を開閉することで、処理槽内への外気導入の有無が切り替えられる。ところで、給気弁は、前記真空弁と同様に、開度調整可能に構成するのが好ましい。
【0034】
前記排出手段は、処理槽内の蒸気やその凝縮水を外部へ排出する手段である。この排出手段は、処理槽内から蒸気を排出する排蒸管と、スチームトラップを介して処理槽内の底部から凝縮水を排出する排水管とから構成される。ここで、前記排蒸管は、処理槽の底部に接続することで、蒸気に加えてその凝縮水も排出可能となる。処理槽からの排蒸管の中途には、電磁弁などから構成される排蒸弁が設けられる。また、処理槽からの排水管の中途には、電磁弁などから構成される排水弁が設けられる。この排蒸弁および/または排水弁を開閉することで、処理槽内からの蒸気および/または凝縮水の排出の有無が切り替えられる。但し、排蒸弁は開度調整可能に構成してもよく、その場合、排出手段による処理槽外への蒸気排出能力を調整できる。
【0035】
上述した給蒸手段、減圧手段、復圧手段、および排出手段などは、制御手段に接続されて制御される。そして、予め設定されたプログラムに従い、所定の運転工程が順次に実行される。この際、処理槽内の圧力を検出する圧力センサからの検出圧力や、経過時間を利用して制御される。また、処理槽内の被加熱物の温度を検出する品温センサを設ける場合には、その品温センサからの検出温度も用いて制御される。
【0036】
蒸気加熱装置の運転方法は、特に限定されるものではないが、典型的には空気排除工程の後、加熱工程がなされる。ここで、空気排除工程は、処理槽内に被加熱物を収容した状態で、処理槽内の空気を排出する工程である。具体的には、給蒸弁、給気弁、排蒸弁および排水弁を閉じる一方、真空弁を開けた状態で、減圧手段を作動させて処理槽内の空気を外部へ吸引排出する。
【0037】
その後に実行される加熱工程では、給蒸手段により処理槽内へ蒸気を供給して、被加熱物の加熱が図られる。この加熱工程では、処理槽内へ供給する蒸気により、処理槽内の被加熱物の加熱が図られる。この際、大気圧下の処理槽内で被加熱物を加熱(無圧蒸煮)してもよいし、処理槽内を大気圧より高圧としつつ被加熱物を加熱(加圧蒸煮)してもよいし、あるいは所望時に減圧手段を作動させることで大気圧より低圧としつつ被加熱物を加熱(減圧蒸煮)してもよい。
【0038】
無圧蒸煮時や加圧蒸煮時には、真空弁を全閉しておくことで、処理槽から熱交換器への蒸気流入を防止することができる。従って、熱交換器内の冷却用水を予め排水しておかなくても、冷却用水の沸騰などの不都合を防止できる。一方、減圧蒸煮時には、熱交換器や真空ポンプは作動させつつ真空弁の開度を調整することで、処理槽内からの空気や蒸気の吸引排出の有無やその量を調整することができ、処理槽内の圧力ひいては温度の微調整が容易となる。この際、蒸気エゼクタを作動させない状態で行うことで、前記微調整を容易に行うことができる。
【0039】
そして、加熱工程後には、所望により、真空冷却工程を行ってもよい。この真空冷却工程は、給蒸弁、給気弁、排蒸弁および排水弁を閉じる一方、真空弁を開けた状態で、減圧手段を作動させて、処理槽内を目標圧力まで減圧して、被加熱物の真空冷却を図る工程である。この際、真空弁を全開位置に保持した状態で、蒸気エゼクタ、熱交換器、および真空ポンプを作動させることで、迅速に真空冷却を行うことができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の蒸気加熱装置の一実施例を示す概略構成図であり、蒸煮冷却機に適用した例を示している。この図に示すように、本実施例の蒸煮冷却機は、被加熱物としての被調理物(食材または食品)1が収容される中空構造の処理槽2と、この処理槽2内へ蒸気を供給する給蒸手段3と、処理槽2内の気体(空気および/または蒸気)を外部へ吸引排出して処理槽2内を減圧する減圧手段4と、減圧された処理槽2内へ外気を導入して復圧する復圧手段5と、処理槽2内の蒸気やその凝縮水を外部へ排出する排出手段6と、処理槽2内の圧力を計測する圧力センサ7と、この圧力センサ7の出力などに基づき前記各手段3,4,5,6を制御する制御手段8とを備える。
【0041】
本実施例の処理槽2は、一側面へ開口して中空部を有する処理槽本体9と、この処理槽本体9の開口部を開閉する扉10とを備えた金属製の缶体である。このような構成であるから、扉10を閉じることで、処理槽本体9の中空部は密閉される。処理槽2内への被調理物1の収容は、処理槽2に出し入れされるワゴン(不図示)を介して行ってもよいし、図示例のように処理槽2内に棚板11を設けることで対応してもよい。また、被調理物1は、適宜の容器12に入れて、処理槽2内へ収容してもよい。
【0042】
処理槽2内の圧力を検出するために、処理槽2には圧力センサ7が設けられる。但し、圧力センサ7に代えて、温度センサ(不図示)を用いてもよい。圧力と温度とを換算することで、いずれのセンサでも利用可能である。また、処理槽2内に収容される被調理物1の温度を検出するために、品温センサ(不図示)をさらに設けてもよい。
【0043】
処理槽2内へ蒸気を供給するために、処理槽2には給蒸手段3が接続される。本実施例の給蒸手段3は、一般的なボイラ(不図示)と、ステンレス製熱交換器からなるリボイラ(不図示)とを備える。そして、ボイラからの蒸気を熱源として、リボイラにて軟水を蒸気化し、そのようにして生成された清浄蒸気を処理槽2内へ供給する。通常、ボイラによる蒸気には、配管内の錆や、防錆剤などのボイラ水処理薬品が混入するおそれが残るが、リボイラにて軟水を蒸気化し、その清浄蒸気を処理槽2内へ供給することで、そのような不都合を防止できる。従って、被調理物1に直接に蒸気が接触しても、衛生的で安全である。
【0044】
リボイラからの清浄蒸気は、給蒸管13を介して処理槽2内へ供給される。給蒸管13の中途には、給蒸弁14が開閉可能に設けられる。この給蒸弁14は、モータバルブや比例制御弁のように、開度調整可能な構成が好ましい。但し、給蒸弁14は、処理槽2内への蒸気供給の有無を切り替え可能な構成であれば足り、開度調整が不能で開放または閉鎖のいずれかの状態を採る電磁弁により構成してもよい。いずれにしても、この給蒸弁14を開閉操作することで、処理槽2内の圧力ひいては温度を調整することができる。但し、処理槽2内の圧力調整は、給蒸弁14だけでなく減圧手段4などを制御することによっても行うことができる。
【0045】
処理槽2には、処理槽2内の空気や蒸気を外部へ吸引排出して、処理槽2内を減圧する減圧手段4が接続される。本実施例では、処理槽2からの排気管15には、処理槽2の側から順に、蒸気エゼクタ16、熱交換器17、逆止弁18、および水封式真空ポンプ19が接続される。本実施例の蒸気エゼクタ16には、真空弁20が設けられる。この真空弁20は、電磁弁でもよいが、比例制御弁やモータバルブのように開度調整可能な構成が好ましい。
【0046】
真空ポンプ19には、封水給水弁21を介して水が供給され、真空ポンプ19からの排水は、排水口(不図示)へ排出される。この封水給水弁21は、真空ポンプ19に連動して開かれる。また、熱交換器17にも、熱交給水弁22を介して水が供給され、排水口へ排水される。熱交換器17に冷却用水が供給されることで、排気管15内の蒸気を冷却し凝縮させることができる。
【0047】
図2は、本実施例の蒸気エゼクタ16を拡大して示す概略図であり、一部を断面にして示している。この図に示すように、本実施例の蒸気エゼクタ16は、吸入室23、蒸気噴出ノズル24、ディフューザ25および真空弁20とを備えて構成される。
【0048】
本実施例の吸入室23は、T字管から構成される。すなわち、吸入室23は、水平管部26とこの中央から下方へ延出する垂直管部27とから構成される。そして、垂直管部27の下端部は、処理槽2に接続され、処理槽2内からの気体の吸入口28とされる。一方、水平管部26の左側開口は、板材から構成されるノズルサポート29にて閉塞され、このノズルサポート29の中央部に、ノズル24の基端部が保持される。このノズル24は、水平管部26の軸線に沿って配置され、吸入室23の右側開口まで延出して設けられる。
【0049】
ノズル24には、ノズルサポート29を介して、基端部(図2において左側)から蒸気が供給される。そして、その蒸気は、ノズル24の先端部から、先端側へ向けて噴出される。ノズル24へのエゼクタ蒸気管30には、図1に示すように、エゼクタ蒸気弁31が設けられ、このエゼクタ蒸気弁31を開閉することで、ノズル24への蒸気供給が操作される。エゼクタ蒸気弁31は、本実施例では電磁弁から構成されるが、開度調整可能なモータバルブや比例制御弁を用いてもよい。
【0050】
本実施例のディフューザ25は、基端側に配置される第一部材32と、先端側に配置される第二部材33とを備えて構成される。第一部材32は、先端側へ行くに従って断面積が次第に小さくなる縮径円錐台状部34が形成された後、円筒状の直管部35が形成された筒状である。このような第一部材32は、縮径円錐台状部34の基端部が、吸入室23の水平管部26の右側開口に接続される。これにより、吸入室23と第一部材32とが連通される。その際、ノズル24と第一部材32とは、同一軸線上に配置される。また、縮径円錐台状部34の基端部に、ノズル24の先端部(蒸気噴出口)が配置される。
【0051】
一方、第二部材33は、先端側へ行くに従って断面積が次第に大きくなる拡径円錐台状部36が形成された後、その先端部に上下方向へ延出して縦管部37が設けられている。この縦管部37は、上端部が閉止フランジ38にて閉塞される一方、下端部は熱交換器17への排気管15に接続される。
【0052】
第一部材32と第二部材33との間には、真空弁20が設けられる。本実施例の真空弁20は、モータバルブの一種としてのフルボア型ボールバルブから構成される。具体的には、真空弁20は、中空ボックス状の弁箱39と、この弁箱39内で回転可能に保持されるボール40と、このボール40を回転させる駆動部41とを備えて構成される。そして、弁箱39には、第一部材32の直管部35の内径と同一直径の貫通穴42が、左右方向へ沿って形成されている。また、ボール40にも、第一部材32の直管部35の内径と同一直径の貫通穴43が形成される。このような構成であるから、駆動部41の作動により、弁箱39とボール40の各貫通穴42,43を同一軸線上に配置した全開位置(図2の状態)では、真空弁20内に段差のない貫通穴42,43が形成される。
【0053】
このような真空弁20は、弁箱39の左側壁のフランジ44に、第一部材32の先端側フランジ45が接続され、弁箱39の右側壁のフランジ46に、第二部材33の基端側フランジ47が接続される。このようにして、直管部35および真空弁20とで、ディフューザ25の絞り部(混合部)48が構成される。つまり、真空弁20を全開位置に保持した状態では、直管部35と真空弁20とで、段差のない円筒状の絞り部48が形成される。
【0054】
図1に示すように、処理槽2には、減圧手段4にて減圧された後、復圧するための復圧手段5が接続される。本実施例の復圧手段5は、処理槽2に接続された給気管49が、逆止弁50および除菌フィルター51を介して外気と連通可能に設けられている。この給気管49の中途には、給気弁52が開閉可能に設けられており、この給気弁52の開放により、処理槽2内は大気圧に開放可能とされる。
【0055】
処理槽2には、処理槽2内の蒸気やその凝縮水を外部へ排出するための排出手段6が接続される。この排出手段6は、処理槽2内の蒸気や空気を外部へ排出するための排蒸手段53と、処理槽2内に生じた凝縮水を外部へ排出するための排水手段54とに分けられる。
【0056】
排蒸手段53は、排蒸管55を介して処理槽2内の空気や蒸気を処理槽2外へ導出する手段である。排蒸管55の中途には排蒸弁56が設けられ、この排蒸弁56も開度調整可能な構成が好ましい。図示例では、処理槽2の下部に排蒸管55を接続しているが、これに代えてまたはこれに加えて、処理槽2の上部にも同様の排蒸管(不図示)を設けることができる。処理槽2の下部からの排蒸管55は、処理槽2内の下部に溜まる凝縮水を外部へ排出するためにも利用できる。
【0057】
一方、排水手段54は、スチームトラップ57を有する排水管58からなり、この排水管58を介して処理槽2内の底部に溜まる凝縮水は、処理槽2外へ排水可能とされる。そして、この排水管58の中途には、電磁弁から構成される排水弁59が設けられる。
【0058】
前記給蒸手段3、前記減圧手段4、前記復圧手段5、前記排出手段6などは、制御手段8により制御される。この制御手段8は、それが把握する経過時間や前記圧力センサ7からの検出信号などに基づいて、前記各手段3,4,5,6を制御する制御器60である。具体的には、給蒸弁14、エゼクタ蒸気弁31、真空弁20、真空ポンプ19、封水給水弁21、熱交給水弁22、給気弁52、排蒸弁56、排水弁59、圧力センサ7などは、制御器60に接続される。
【0059】
そして、制御器60は、所定の手順(プログラム)に従い、処理槽2内の被調理物1の加熱調理を図った後、真空冷却を図る。加熱調理しようとする場合、まず被調理物1を処理槽2内に収容し、処理槽2の扉10を閉じる。この初期状態では、給蒸弁14、エゼクタ蒸気弁31、真空弁20、封水給水弁21、熱交給水弁22は閉じられ、蒸気エゼクタ16および真空ポンプ19は作動を停止しており、給気弁52、排蒸弁56および排水弁59は開かれている。そして、この状態から、典型的には、処理槽2内の空気を排除する空気排除工程、処理槽2内へ蒸気を供給して被調理物1の加熱調理を図る加熱工程、および加熱調理後の被調理物1の冷却を図る真空冷却工程、が順次に実行される。
【0060】
空気排除工程では、制御器60は、給蒸弁14、給気弁52、排蒸弁56および排水弁59を閉じた状態で、減圧手段4を作動させる。すなわち、封水給水弁21を開いて真空ポンプ19を作動させると共に、真空弁20を開いて処理槽2内の空気を外部へ吸引排出する。ここで、処理槽2内を所定圧力まで減圧した後、エゼクタ蒸気弁31を開いて蒸気エゼクタ16を作動させてもよい。また、熱交給水弁22を開くことで、熱交換器17にて蒸気を凝縮させて、減圧能力を高めることができる。
【0061】
このような処理槽2内からの空気排除は、圧力センサ7を利用することで、設定圧力まで行ってもよいし、あるいは設定時間だけ行うようにしてもよい。そして、制御器60は、エゼクタ蒸気弁31、封水給水弁21、熱交給水弁22、および真空弁20を閉じて、蒸気エゼクタ16および真空ポンプ19の作動を停止させ、空気排除工程を終了する。
【0062】
次工程の加熱工程では、制御器60は、給蒸弁14を開いて処理槽2内へ蒸気を供給する。加熱工程では、圧力センサ7により処理槽2内の圧力を監視しながら、処理槽2内が所望の設定圧力になるように、給蒸手段3により処理槽2内へ蒸気供給する。この加熱工程中、所望により設定圧力を段階的に上下に変化させてもよい。
【0063】
ここで、処理槽2内へ蒸気供給して行う被調理物1の加熱調理は、大気圧下で行う無圧蒸煮と、大気圧を超える圧力で行う加圧蒸煮と、所望時に減圧手段4を作動させて大気圧未満の圧力で行う減圧蒸煮とがある。
【0064】
無圧蒸煮の場合、エゼクタ蒸気弁31、真空弁20、封水給水弁21、熱交給水弁22、給気弁52を閉じて、蒸気エゼクタ16および真空ポンプ19の作動を停止した状態で、給蒸弁14、排蒸弁56、排水弁59を開いて、処理槽2内へ蒸気を供給し排出する。
【0065】
加圧蒸煮の場合、エゼクタ蒸気弁31、真空弁20、封水給水弁21、熱交給水弁22、給気弁52、排蒸弁56を閉じると共に、蒸気エゼクタ16および真空ポンプ19の作動を停止した状態で、給蒸弁14、排水弁59を開いて、処理槽2内へ蒸気を供給する。従って、加圧蒸煮の場合には、排水管58から自動的に凝縮水が外部へ排出される。
【0066】
減圧蒸煮の場合は、給気弁52、排蒸弁56、排水弁59を閉じた状態で、給蒸弁14を開いて、処理槽2内へ蒸気を供給する。この際、処理槽2内が設定上限圧力を超えると、減圧手段4を作動させて、設定下限圧力まで処理槽2内を減圧する。すなわち、真空弁20、封水給水弁21、熱交給水弁22を開いた状態で、真空ポンプ19を作動させて、設定下限圧力まで処理槽2内を減圧し、設定下限圧力になると、これら各弁20,21,22を閉じると共に真空ポンプ19などの作動を停止する。この減圧時には、エゼクタ蒸気弁31を開いて蒸気エゼクタ16を作動させてもよいし、エゼクタ蒸気弁31を閉じて蒸気エゼクタ16を停止しておいてもよい。但し、減圧蒸煮中、処理槽2内の圧力を変動させる際には、蒸気エゼクタ16を作動させない状態に保持しておくことで、処理槽2内の圧力ひいては温度の微調整を容易に行うことができる。
【0067】
いずれの蒸煮方式の場合も、基本的には、蒸気供給による処理槽2内の加圧要因と、供給された蒸気の凝縮による処理槽2内の減圧要因とがバランスを保つように、給蒸弁14の開閉を制御して、処理槽2内の圧力を目標値に維持して加熱調理がなされる。但し、減圧蒸煮の場合には、設定上限圧力を超えると、上述のとおり減圧手段4を作動させる場合がある。
【0068】
このようにして、加熱工程では、処理槽2内へ蒸気が供給されることで、処理槽2内に収容された被調理物1を加熱調理することができる。この際、上述したように、処理槽2内へ供給される蒸気は、リボイラにて軟水から生成された清浄蒸気である。従って、安全で安心の加熱調理を実現することができる。また、被調理物1の全周囲に清浄蒸気を行き渡らせることで、短時間で均一の加熱料理がなされる。
【0069】
加熱工程では、処理槽2内への蒸気供給により処理槽2内の圧力を調整することで、処理槽2内の温度を調整することができる。本実施例では、たとえば60℃から130℃の範囲にて、自由な温度に設定して加熱調理を可能としている。このようにして処理槽2の圧力を調整することで、飽和蒸気温度が調整される。
【0070】
加熱工程の終了時には、給蒸弁14が閉じられる。そして、処理槽2内が大気圧を超える圧力であれば、排蒸弁56を開いて、処理槽2内が大気圧になるまで、排水および排蒸がなされる。一方、処理槽2内が大気圧未満であれば、減圧手段4および排出手段6を作動させず、かつ、給蒸弁14を閉じると共に給気弁52を開いて、処理槽2内を大気圧まで復圧する。
【0071】
その後の真空冷却工程では、処理槽2内を減圧手段4により減圧して、被調理物1の真空冷却が図られる。具体的には、制御器60は、給蒸弁14、給気弁52、排蒸弁56および排水弁59を閉じた状態で、減圧手段4を作動させる。すなわち、封水給水弁21および熱交給水弁22を開いて、真空ポンプ19と熱交換器17とを作動させると共に、真空弁20を開いて処理槽2内の空気を外部へ吸引排出する。この場合も、処理槽2内を所定圧力まで減圧した後、エゼクタ蒸気弁31を開いて蒸気エゼクタ16を作動させてもよい。処理槽2内を所望温度に保持した状態で設定時間だけ保持するか、品温センサ(不図示)による被調理物1の温度が目標温度に達すると、減圧手段4の作動を停止して、復圧手段5により処理槽2内を大気圧まで復圧する。そして、処理槽2の扉10を開いて、処理槽2内から被調理物1を取り出して、一連の処理を完了する。
【0072】
本発明の蒸気加熱装置は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では蒸煮冷却機に適用した例について説明したが、真空冷却工程を省略した蒸煮機、蒸し庫、または飽和蒸気加熱装置とすることもできる。
【0073】
また、前記実施例では、ディフューザ25の絞り部48は、第一部材32の直管部35と真空弁20とにより構成したが、直管部35は第二部材33の基端部に設けてもよい。あるいは、第一部材32と第二部材33の双方に直管部35を設け、その中央部に真空弁20を設けてもよい。また、絞り部48の長さによっては、第一部材32および第二部材33の双方に直管部35を設けず、真空弁20だけで対応してもよいし、あるいは、真空弁20の弁箱39に直管部35を設けてもよい。
【0074】
ところで、図3は、前記実施例の変形例を示す概略図であり、ディフューザ25の絞り部48の箇所のみを示すと共に、一部を断面にして示している。前記実施例では、真空弁20の貫通穴42,43は、絞り部48を構成する円筒状直管部35の内径と同一直径としたが、本変形例では、円筒状直管部35の内径よりも大径としている。このように、真空弁20は、ディフューザ25の絞り部48の設計寸法(直管部35の内径)より絞らなければ、必ずしも同一直径にする必要はない。また、本変形例では、直管部35は、第一部材32自体ではなく、その先端部に直管部材61として別体で接続している。つまり、直管部材61は、第一部材32と真空弁20との間に設けられる。その他の構成は、前記実施例と同一であるため、説明は省略する。
【0075】
さらに、前記実施例では、真空弁20をモータバルブや比例制御弁のように、開度調整可能な弁から構成したが、場合により、電磁弁のような開度調整不能な開閉弁から構成してもよい。この場合でも、加圧蒸煮中に真空弁20を全閉することで、熱交換器17内の冷却用水の沸騰を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の蒸気加熱装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】図1の蒸気加熱装置における蒸気エゼクタを拡大して示す図であり、一部を断面にして示している。
【図3】図1の蒸気加熱装置の変形例を示す概略図であり、ディフューザの絞り部の箇所のみを示すと共に、一部を断面にして示している。
【符号の説明】
【0077】
1 被調理物(被加熱物)
2 処理槽
3 給蒸手段(蒸気供給手段)
4 減圧手段
7 圧力センサ
8 制御手段
16 蒸気エゼクタ
17 熱交換器
19 真空ポンプ
20 真空弁
25 ディフューザ
28 吸入口
35 直管部
48 絞り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディフューザの絞り部に開度調整可能な弁が設けられた蒸気エゼクタを備える
ことを特徴とする蒸気加熱装置。
【請求項2】
被加熱物が収容される処理槽と、
この処理槽内への蒸気供給手段と、
ディフューザの絞り部に開度調整可能な弁が設けられ、前記処理槽内の気体を外部へ吸引排出する蒸気エゼクタと
を備えることを特徴とする蒸気加熱装置。
【請求項3】
前記処理槽に吸入口が接続される前記蒸気エゼクタと、この蒸気エゼクタの吐出口に接続される凝縮器としての熱交換器と、この熱交換器の出口に接続される真空ポンプとを有し、前記処理槽内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段と、
前記処理槽内の圧力または温度を検出するセンサと、
このセンサの検出信号に基づき前記弁の開度を調整する制御手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の蒸気加熱装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記蒸気供給手段による前記処理槽内への蒸気供給を伴う工程において、
前記処理槽内の圧力または温度が所定値以上では、前記弁の開度を調整し、
前記処理槽内の圧力または温度が所定値未満では、前記弁を全開位置に保持する
ことを特徴とする請求項3に記載の蒸気加熱装置。
【請求項5】
前記絞り部を構成する円筒状の直管部に設けられる前記弁は、前記直管部の内径以上の口径を有するボールバルブから構成される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸気加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−268018(P2007−268018A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98432(P2006−98432)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】