説明

蒸発燃料処理装置

【課題】分離膜の処理能力を最大限発揮させながら、効率良く蒸発燃料を分離回収できる蒸発燃料処理装置を提供する。
【解決手段】燃料タンク1で発生する蒸発燃料を捕集するキャニスタ2と、蒸発燃料含有ガスから燃料成分を選択的に透過分離する分離膜4と、キャニスタ2から分離膜4へ蒸発燃料含有ガスを圧送供給するポンプ6とを備える。供給ガス濃度、透過ガス濃度、又は透過ガス流量と、予め記憶された透過特性とに基づいて、ステージカット(供給ガス流量/透過ガス流量)が7以上、好ましくは7〜10となるように供給ガス流量が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を、燃料成分を選択的に透過分離する分離膜を介して濃縮した状態で燃料タンクへ効率良く回収する、内燃機関の蒸発燃料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の蒸発燃料処理装置は、最も単純な基本的構成で説明すると、図19に示すように、燃料タンク1で発生する蒸発燃料を吸着捕集するためのキャニスタ2と、キャニスタ2から脱離された蒸発燃料を含むガスから燃料成分を選択的に透過分離する分離膜4を有する分離膜モジュール11と、キャニスタ2から分離膜モジュール11へ蒸発燃料含有ガスを圧送供給するポンプ6とを備える。キャニスタ2内には、活性炭などの多孔質体からなる吸着材が充填されている。符号3は燃料タンク1とキャニスタ2とを連通するエバポ通路であり、符号5はキャニスタ2と分離膜モジュール11とを連通するパージ通路であり、符合7はキャニスタ2と大気とを連通する大気通路であり、符合8は分離膜モジュール11と燃料タンク1とを連通する回収通路であり、符号9は分離膜モジュール11とキャニスタ2とを連通する返流通路であり、符合10は系内を一定圧力に保持するレギュレータである。なお、燃料タンク1内には、燃料供給通路12を通して図外のエンジンへ燃料を圧送する燃料ポンプ13が配されている。
【0003】
このような蒸発燃料処理装置は、キャニスタ2に吸着捕集された蒸発燃料を、エンジン駆動時の吸気管負圧を利用して脱離(パージ)させる方法とは異なり、ポンプ6によってパージさせながら分離膜モジュール11に加圧供給し、分離膜4を透過した蒸発燃料を高濃度で回収するエバポパージレスシステムとして構成されている。具体的には、燃料タンク1内で発生した蒸発燃料は、エバポ通路3を通ってキャニスタ2内の吸着材に吸着される。エンジンスタート等によってポンプ6が駆動されると、大気通路7から吸入された大気(外気)がキャニスタ2内を通過する際に、吸着材に吸着されていた蒸発燃料が脱離(パージ)され、蒸発燃料含有ガスが分離膜モジュール11へ圧送される。分離膜4は燃料成分を選択的に分離するので、分離膜モジュール11へ導入された蒸発燃料含有ガスは、分離膜4を透過した濃縮ガス(高濃度ガス)と分離膜4を透過しなかった低濃度ガスとに分離される。濃縮ガスは回収通路8を通して燃料タンク1に回収され、低濃度ガスは返流通路9を通してキャニスタ2へ返流される。
【0004】
このように、キャニスタから脱離された蒸発燃料を含むガスを分離膜を介して濃縮回収するので、蒸発燃料の回収効率が向上する。しかし、さらに蒸発燃料を高効率で回収することが求められる。そこで、さらに蒸発燃料の高効率回収を図った蒸発燃料処理装置として、例えば本出願人らが先に提案した特許文献1がある。特許文献1では、2つの分離膜を直列に設け、蒸発燃料含有ガスを二段階で濃縮することで、燃料成分の回収効率を向上させている。具体的には、第1の分離膜によって分離された低濃度ガスを第2の分離膜へ供給して中濃度ガスと低濃度ガスに分離している。第2の分離膜によって分離された中濃度ガスは、循環通路を通して再度第1の分離手段に循環供給され、第2の分離膜によって分離された低濃度ガスは、返流通路を通してキャニスタ側へ戻される。
【0005】
一方、分離膜自体の分離性能向上を図ったものも提案されている。自動車のガソリン燃料から発生する燃料成分を選択的に分離するものではないが、例えば特許文献2には、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などの有機溶剤から発生する有機蒸気を含む混合ガスから、有機蒸気成分を選択的に分離する分離膜が開示されている。このような分離膜の分離性能は、供給ガス流量、供給側と透過側との差圧、供給ガス温度、供給ガス濃度など、種々の要因によって変動し得るが、特許文献2では所定の内径を有する中空糸膜モジュールに対して混合ガスを中空糸の内側に供給することで、平膜型分離膜を使用したスパイラル型膜モジュールよりも分離性能の向上を図っている。なお、特許文献2では、透過ガス流量と供給ガス流量との比を5〜50%(0.05〜0.5)の範囲にすればよいとされている。実施例として有効長さ85cm、有効膜面積0.48m2の中空糸膜を使用しており、比較例として正方形(1m×1m)の平膜型分離膜を使用している。
【0006】
同じく燃料成分を選択的に分離するものではないが、特許文献3には空気中の酸素を選択的に透過する分離膜(酸素富化膜)が開示されている。分離膜による分離原理は、供給ガスが所定の相対圧下で分離膜の表面を沿うように流動する際に、所定の成分は分離膜に対する溶解拡散係数が高いことで分離膜を透過するが、他の成分は分離膜に対する溶解拡散係数が低いことで分離膜を透過しないことによる。そこで、分離膜による単位時間当たりの処理能力(透過ガス流量)を向上させるには、単純には分離膜の面積を大きくすることが考えられる。しかし、単に分離膜の面積を増やしただけでは、単位時間当たりの透過ガス流量は増えるが透過ガス濃度が低下してしまう。当該分離膜においては、供給ガス中の分離対象成分濃度が高いほど、分離性能も高くなる傾向がある。したがって、例えば図20に示すように、供給ガスの流動方向に対して分離膜の長さが長いと、分離膜の表面に沿って流動する供給ガス中の分離成分濃度は、供給ガスの流れに沿って下流に行くにつれて、その途中で分離成分の多くが分離膜を通過していくため小さくなる。これにより、分離膜による分離性能も下流に行くほど悪くなる。これは、分離膜ないし分離膜モジュールの形態がどのようなものであっても基本的に同様である。例えば特許文献2のような中空糸膜であっても、これを長さ方向に切り開いて平面的に展開すれば、平膜と同様に考えることができる。そこで、特許文献3では、酸素富化膜を略長方形に形成して、その短手方向(短辺)が空気の流動方向と略並行になるように、かつ酸素富化膜の長手方向(長辺)が空気の流動方向と略直角になるように配置することで、酸素分子の分離効率の向上を図っている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−324488号公報
【特許文献2】特開平6−246126号公報
【特許文献3】特開2004−216116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、蒸発燃料含有ガスを二段階で濃縮し、中濃度ガスを再度第1の分離膜へ循環供給しているので、蒸発燃料の回収率が高まる。しかし、各分離膜自体の分離性能については特に考慮しておらず、改良の余地が残る。これに対し特許文献2では、分離膜自体の分離性能の向上を図っているが、これは分離膜モジュールの形態やガス供給方法を規定することで達成している。これでは、分離膜モジュールの形態やガス供給方法が制限されるので汎用性に欠け、設計自由度が低い。また、具体的な分離膜として、有効長さ85cm、有効膜面積0.48m2の中空糸膜を使用しているが、これは、実質的な有効幅が約56cmに相当する。つまり、供給ガスの流動方向に沿う方向の寸法に対して、これと交差(直交)する方向の寸法が短くなっている。したがって、特許文献2の分離膜では分離効率が悪くなる。一方、特許文献3では、酸素富化膜を長方形にしてその短手方向(短辺)が空気の流動方向と略並行、かつ長手方向(長辺)が空気の流動方向と略直角になるように配置することで、効率良く酸素を分離している。しかし、単に酸素富膜を長方形にするのみであって、これ以外の形態とすることは想定していない。
【0009】
しかも特許文献1〜3では、分離膜による分離性能に影響を与える供給ガス量にについては特に考慮されていない。特許文献2には一応の好ましい範囲が規定されているが、具体的な条件までは考慮されていない。供給ガス流量が少ないと透過ガス流量も少なくなるので、分離膜による処理能力を最大限発揮できない。一方、供給ガス流量が多すぎても、処理能力(透過ガス流量)にはある程度の限界があるので、消費電力すなわちエネルギーコストの無駄となる。したがって、分離効率の点からは、供給ガス流量を、分離膜による処理能力をほぼ最大限発揮できる範囲とすることが望まれる。さらにエネルギーコストも考慮すると、供給ガス流量は、分離膜による処理能力をほぼ最大限発揮できる必要最低限に抑えることが好ましいことになる。
【0010】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、分離膜の処理能力を最大限発揮させながら、効率良く蒸発燃料を分離回収できる蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのための手段として、本発明は、燃料タンクで発生する蒸発燃料を捕集するためのキャニスタと、該キャニスタから脱離された蒸発燃料を含むガスから燃料成分を選択的に透過分離する分離膜と、前記キャニスタから分離膜へ蒸発燃料含有ガスを圧送供給するガス供給手段と、を備える蒸発燃料処理装置であって、前記分離膜へ供給される供給ガスの流量と前記分離膜を透過したガスの流量との比(供給ガス流量/透過ガス流量)が7以上、好ましくは7〜10となるように、供給ガス流量が電子制御装置によって制御されていることを特徴とする。なお、本発明において供給ガスとは、キャニスタから脱離された蒸発燃料を含む蒸発燃料含有ガスを意味する。供給ガス流量は、ガス供給手段の出力や、ガス供給手段とは別に設けた流量調整器などを、電子制御装置によって制御することで制御できる。また、以下においては、(供給ガス流量/透過ガス流量)をステージカットと称すことがある。
【0012】
供給ガス流量の制御は、次のように行うことができる。第1に、前記キャニスタと分離膜との間に供給ガス中の蒸発燃料濃度を検知する供給ガス濃度検知手段を設け、前記電子制御装置には、供給ガス中の蒸発燃料濃度に応じた透過特性を予め記憶させておく。そのうえで、前記電子制御装置は、前記供給ガス濃度検知手段によって検知された蒸発燃料濃度と、予め記憶された透過特性とに基づいて供給ガス流量を制御することができる。
【0013】
第2に、前記分離膜と燃料タンクとの間に、透過ガス中の蒸発燃料濃度を検知する透過ガス濃度検知手段を設け、前記電子制御装置には、透過ガス中の蒸発燃料濃度に応じた透過特性を予め記憶させておく。そのうえで、前記電子制御装置は、前記透過ガス濃度検知手段によって検知された蒸発燃料濃度と、予め記憶された透過特性とに基づいて供給ガス流量を制御することができる。
【0014】
第3に、前記分離膜と燃料タンクとの間に、透過ガスの流量を検知する透過ガス流量検知手段を設け、前記電子制御装置には、透過ガス流量に応じた透過特性を予め記憶させておく。そのうえで、前記電子制御装置は、前記透過ガス流量検知手段によって検知された透過ガス流量と予め記憶された透過特性とに基づいて供給ガス流量を制御することができる。なお、透過特性とは、供給ガス流量に応じた透過ガス流量や透過ガス濃度などの挙動特性を意味する。
【0015】
前記分離膜は、供給ガスの流動方向と平行な方向の寸法を、供給ガスの流動方向と直交する方向の寸法よりも形状的もしくは実質的に短くしておくことが好ましい。なお、形状的に短いとは、例えば平膜型分離膜において長さ寸法を幅寸法よりも短くする場合など、分離膜の形状そのものによって直接的に短くなっている場合を意味する。これに対し実質的に短いとは、例えば中空糸分離膜のように、周長さが実質的に幅寸法に相当するような場合が当てはまる。また、個々の分離膜は必ずしも流動方向と平行な方向の寸法が直交する方向の寸法よりも短くなくても、複数個の分離膜を並列に設けることで、結果として実質的に短くなっている場合も当てはまる。
【0016】
すなわち、前記分離膜を複数個設けたうえで、供給ガスの流動経路における最上流側から複数個の分離膜を並列に設けてもよい。この場合、並列関係にある分離膜全体において、流動方向と平行な方向の寸法が直交する方向の寸法よりも実質的に短くなってさえいれば、個々の分離膜における当該寸法は短くても長くても構わない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ステージカットすなわち(供給ガス流量/透過ガス流量)が7以上となるように供給ガス流量が制御されているので、分離膜による処理能力をほぼ最大限発揮させることができ、蒸発燃料の回収効率も向上する。ステージカットが7〜10となるように供給ガス流量が制御されていれば、分離膜による処理能力をほぼ最大限発揮させながら供給ガス流量を抑えられるので、エネルギーコストを効果的に抑えられる。
【0018】
また、分離膜における供給ガスの流動方向と平行な方向の寸法を、供給ガスの流動方向と直交する方向の寸法よりも短くしておけば、分離膜の処理能力(単位時間当たりの透過ガス流量)を増大させるために分離膜の面積を大きくしても、供給ガスの流動方向下流域でも透過ガス濃度が大きく低下することを避けられ、分離効率が向上する。
【0019】
複数個の分離膜を並列に設けることで、供給ガスの流動方向と平行な方向の寸法を供給ガスの流動方向と直交する方向の寸法よりも実質的に短くなっていれば、個々の分離膜における寸法をそれぞれ別個に設計する必要は必ずしも無いので、設計自由度が高くなる。複数の分離膜を直列に設けて段階的に濃縮するような場合でも、少なくとも供給ガスの流動経路における最上流側から複数個を並列としていれば、最も分離性能が重要となる最初の分離において、透過ガス濃度が大きく低下することなく単位時間当たりの処理能力を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明するが、これに限られず本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、蒸発燃料処理装置の基本的構成は、後述の各実施例に限らず、種々のものに適用可能である。本発明の蒸発燃料処理装置は、アイドリング停止システム、ハイブリッドシステム、又は直噴式エンジンを採用した車両に搭載される。
【0021】
[分離膜の面積と透過ガス濃度との関係評価試験]
先ず、分離膜の面積と透過ガス濃度との関係について評価した。ここで使用した分離膜の特性は、次のとおりである。
材質:シリコーン系
分離方式:溶解拡散方式
ガス透過性:n−ブタン;5.35cc/cm2/h/kPa(透過量/膜面積/時間/圧力)
窒素;0.22cc/cm2/h/kPa(透過量/膜面積/時間/圧力)
分離係数:24(5.35/0.22)
形状:平膜正方形
また、試験条件は次のとおりである。
相対圧:150kPa
供給ガス流量:40L/min
供給ガス:n−ブタン40vol%、窒素60vol%混合ガス
【0022】
上記条件において、図1に概略構成図を示す評価装置によって評価した。具体的には、ガスボンベ100から流量調整器101を介して供給ガスG0を分離膜モジュール102へ供給した。分離膜モジュール102内では、供給ガスG0は分離膜103の表面を沿うように流動し、その間に透過ガス(濃縮ガス)G1と低濃度ガスG2とに分離される。透過ガスG1の流量及びガス濃度は、流量・濃度計104によって計測した。低濃度ガスG2は、そのまま分離膜モジュール102から排出される。相対圧は、調圧弁105によって調整した。なお、膜面積を種々変更する際、分離膜の縦寸法と横寸法とは同じ寸法に保った。当該評価試験の結果を図2に示す。
【0023】
なお、分離膜による分離性能は、供給ガス中の分離成分濃度によっても変動する。そこで、供給ガスをn−ブタン50vol%、窒素50vol%混合ガスとした場合についても評価した。その結果を図3に示す。
【0024】
図2、3の結果から、分離膜の膜面積を大きくすれば、単位時間当たりの処理量(透過ガス流量)は増大するが、その反面、いずれの供給ガス濃度でも透過ガス濃度(n−ブタン濃度)は減少していた。これは、供給ガスの流動方向と平行な長さ寸法が大きくなることで、供給ガスが下流へ流動するにしたがって分離効率が低下することに起因する。このように、たとえ正方形の分離膜であっても、単に膜面積を大きくするだけでは分離効率が低下することがわかった。これにより、分離膜の形状や寸法を設計する場合、供給ガスの流動方向と平行な方向の寸法を、供給ガスの流動方向と直交する方向の寸法よりも短くする必要があることがわかった。これを踏まえて、以下に本発明の各実施例について説明する。
【0025】
(実施例1)
図4に、本発明の実施例1に係る蒸発燃料処理装置の概略構成図を示す。図4に示すごとく、実施例1は、上記従来技術で説明した図19に示す基本的構成の蒸発燃料処理装置に適用したものである。したがって、具体的な基本的構成及び基本的作用については、従来技術と同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略し、従来技術とは異なる点を中心に説明する。なお、ポンプ6が本発明のガス供給手段に相当する。
【0026】
キャニスタ2と分離膜モジュール11との間のパージ通路5上には、供給ガス(蒸発燃料含有ガス)中の蒸発燃料濃度を検知する濃度センサ15が設けられている。濃度センサ15の検出信号は、電子制御装置(以下、ECUと称す)16へ送られる。ポンプ6は、これの作動タイミングのほか、その出力もECU16によって制御される。なお、濃度センサ15が、本発明の供給ガス濃度検知手段に相当する。
【0027】
分離膜4には、蒸発燃料含有ガス中の燃料成分が優先的に透過し、空気成分は透過し難い炭化水素分離膜を使用している。詳しくは、燃料成分を優先的に選択透過させる非多孔質型の薄膜層と、該薄膜層を支持する多孔質支持膜層とを有する。ポリエステル等の不織布が積層された三層構造からなることもある。薄膜層が分離膜4の主体的機能を果たし、一般的には高い選択性及び透過性を有する、架橋されて3次元不溶化されたシリコーン系高分子材料が用いられる。薄膜層の膜厚は、0.5〜3μm程度とされる。一方、多孔質支持膜層には高い耐溶剤性が要求され、例えばポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、又はポリビニリデンフルオライド(PVDF)などの合成樹脂のほか、セラミックも使用さる。燃料成分は、分離膜4に対する溶解係数及び拡散係数が高いことから、容易に分離膜4に溶解・拡散・脱溶解することで、透過速度が速い。これに対し、窒素や酸素等の空気成分は、分離膜4に対する溶解係数及び拡散係数が蒸発燃料成分より低く、分離膜4を透過し難い。これによって、蒸発燃料含有ガス中の燃料成分が分離膜4によって優先的に分離されて高濃度ガス(濃縮ガス)となり、空気成分は分離膜4で分離されずに低濃度ガスとなる。
【0028】
分離膜4は長方形の平膜型分離膜とされており、図5に示すように、短手方向(短辺)が供給ガスG0の流動方向と平行となり、かつ長手方向(長辺)が供給ガスG0の流動方向と直行するように配されている。すなわち、供給ガスG0の流動方向と平行な長さ方向の寸法が、供給ガスG0の流動方向と直交する幅方向の寸法よりも形状的に短くなっている。分離膜モジュール11は、分離膜4によって受入室(低濃度ガス室)17と透過室(濃縮ガス室)18とに区画される。なお、図4には分離膜モジュール11を概念的に示しているが、実際は図1に示す分離膜モジュール102と同様の構成となっている。
【0029】
ECU16は、中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)などを有する。ROMに所定の制御プログラムが予め記憶されており、CPUが当該制御プログラムに基づいてRAM上で計算処理し、ポンプ6の作動タイミングや出力を制御操作する。制御プログラムには、供給ガス中の蒸発燃料濃度に応じた透過特性が含まれている。
【0030】
[供給ガス流量と透過ガス流量との関係評価試験]
ECU16による供給ガス流量の制御について説明する前に、透過特性を評価した試験について説明する。本評価試験の分離膜特性、試験条件、試験装置は、上記分離膜の面積と透過ガス濃度との関係評価試験と同じである。分離膜は10cm×10cmの正方形とし、供給ガスにはn−ブタン40vol%、窒素60vol%混合ガスを使用した。その結果を図6に示す。
【0031】
図6の結果から、供給ガス流量が比較的少ない範囲においては、供給ガス流量を増量させるにつれて透過ガス流量も顕著に増量し、供給ガス流量の変動に対する透過ガス流量の変動が激しい。これに対し、供給ガス流量が一定量以上の範囲では、供給ガス流量を増量させても透過ガス流量はあまり増量せず安定しており、当該量が分離膜による処理能力の限界であることがわかる。そして、供給ガス流量に対して透過ガス流量の変動が激しい範囲と供給ガス流量に対して透過ガス流量が安定化する範囲との境界は、ステージカットが7程度であることがわかった。
【0032】
透過特性は供給ガス濃度によって変動する。そこで、次いで供給ガス濃度を種々変更した場合の各透過特性についても、同様の条件で評価した。その結果を図7に示し、同時に測定した供給ガス流量に応じた透過ガス濃度特性結果を図8に示す。図7の結果から、ステージカットが7以上であれば、どのような供給ガス濃度であっても透過ガス流量が安定していた。これにより、分離膜の処理能力をほぼ最大限発揮させながら分離性能を安定化するには、ステージカットを少なくとも7以上とする必要があることが分かった。また、エネルギーコストも考慮すると、ステージカットを7〜10とすることが好ましく、最も好ましくはステージカットを限りなく7に近づけることがわかった。
【0033】
このように、事前に供給ガス濃度に応じた透過特性を求めておき、その結果をECU16のROMへ記憶させておく。このとき、供給ガス濃度を細かく変更したできるだけ多くの透過特性を記憶させておく。そして、ガス濃度センサ15によって供給ガス中の蒸発燃料濃度が検知されると、ECU16は予め記憶されている図7のような供給ガス濃度に応じた透過特性に照らし合わせ、その結果に基づいて少なくともステージカットが7以上、好ましくはステージカット7〜10、より好ましくはステージカット約7となるように、ポンプ6の出力を制御して供給ガス流量を制御する。例えば、供給ガス濃度が90%のように高い場合は供給ガス流量を7.5L/min程度とする。蒸発燃料の分離回収を続けていると、供給ガス濃度は経時的に減少してくるので、これに伴い供給ガス流量も減少させる。例えば供給ガス濃度が25%のように低くなれば、これに応じて供給ガス流量は0.8L/min程度に制御される。
【0034】
(実施例2)
図9に、本発明の実施例2に係る蒸発燃料処理装置の概略構成図を示す。実施例2は実施例1の変形例であって、特許文献1のような二段階で蒸発燃料を濃縮する構成の蒸発燃料処理装置に適用した例である。具体的には、図9に示すように、分離膜モジュール11は第1の分離手段となっており、さらに第2の分離手段としてもう1つの分離膜モジュール20が設けられている。第2の分離膜モジュール20内にも、第1の分離膜モジュール11と同じ分離膜4が設けられており、当該分離膜4を挟んで受入室(低濃度ガス室)21と透過室(濃縮ガス室)22とに区画されている。第1の分離膜モジュール11の低濃度ガス室17は、第2の分離膜モジュール20の受入室21に連通されている。すなわち、第1の分離膜モジュール11と第2の分離膜モジュール20とは、直列に設けられている。また、第2の分離膜モジュール20の低濃度ガス室21に返流通路9が連接され、第2の分離膜モジュール20の透過室22に循環通路23の一端が連接されている。循環通路23の他端は、ポンプ6より上流においてパージ通路5と連通している。
【0035】
第1の分離膜モジュール11によって分離された低濃度ガスは、低濃度ガス室17から第2の分離膜モジュール20の受入室21へ供給され、分離膜4によってさらに分離濃縮される。第2の分離膜モジュール20の分離膜4を透過した濃縮ガスは、循環通路23を通して再度第1の分離膜モジュール11へ循環供給され、残余の燃料成分が再度分離膜4によって分離回収される。第2の分離膜モジュール20の低濃度ガス室22からは、超低濃度ガスが返流通路9を通してキャニスタ2へ返流される。ステージカットに基づく供給ガス流量制御を含め、その他は実施例1と同様なので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0036】
なお、実施例2のように複数の分離膜モジュールを直列に設ける場合、少なくとも供給ガスの流動経路における最上流にある第1の分離膜モジュールにおける分離膜さえ、供給ガスの流動方向と平行な方向の寸法が供給ガスの流動方向と直交する方向の寸法よりも短くなっていれば、第2の分離膜モジュールにおける分離膜は必ずしもこのように設計されていなくてもよい。第2の分離膜モジュールは補佐的に設けられているものであって、蒸発燃料含有ガスから燃料成分を直接分離回収するのは第1の分離膜モジュールだからである。
【0037】
(実施例3)
図10に、本発明の実施例3に係る蒸発燃料処理装置の概略構成図を示す。実施例3は、実施例1の別の変形例であって、2つの分離手段11・20が供給ガスの流動経路において並列に設けられている。実施例3は実施例2の変形例と見ることもできる。具体的には、図10に示すように、パージ通路5は途中で分岐して、第1の分離膜モジュール11の受入室17と第2の分離膜モジュール20の受入室21との双方に連接されている。また、第1の分離膜モジュール11の受入室17と第2の分離膜モジュール20の受入室21の双方から、キャニスタ2へ返流通路9が延びている。さらに、第1の分離膜モジュール11の透過室18と第2の分離膜モジュール20の透過室22の双方から、燃料タンク1へ回収通路8が延びている。この構成によれば、ポンプ6によってキャニスタ2から供給されてくる蒸発燃料含有ガスは、第1の分離膜モジュール11と第2の分離膜モジュール20へ同時に供給され、それぞれの分離膜4・4において同時に分離される。したがって、この構成を概念的に示せば図11のようになり、分離膜4における供給ガスG0の流動方向に直交する方向の寸法すなわち幅寸法が、実質的に2つの分離膜4・4の合計寸法と同じになる。
【0038】
[透過特性試験]
これを確認するため、1つの分離膜によって分離した場合と、並列に並べた同じ形状の分離膜2つを使用して分離した場合のガス透過特性について評価した。ここでの試験も、上記供給ガス流量と透過ガス流量との関係評価試験と同じ分離膜特性、試験条件、分離膜寸法、供給ガスとした。膜面積100cm2には図1に示す試験装置を使用し、膜面積200cm2には図10と同様に膜面積100cm2の分離膜を並列させた試験装置を使用した。その結果を図12,13に示す。図13の結果から、同じ形状寸法の2つの分離膜を並設すれば、これと同じ形状寸法の分離膜1つを使用した場合に対して、透過ガス流量がほぼ2倍となっていた。一方、図12の結果をみると、2つの分離膜を並設した場合でも1つの分離膜を使用した場合とほぼ同等の透過ガス濃度であった。この結果は、一般的には膜面積が大きいと透過ガス濃度が低下する傾向(図2参照)に合致しない。これにより、分離膜を併設すれば、2つの分離膜の幅寸法の合計が、実質的に1つの分離膜における幅寸法として機能することがわかった。
【0039】
そこで、実施例3では、この実質的な分離膜4の幅寸法を考慮して、供給ガスの流動方向と平行な方向の寸法(長さ寸法)を、供給ガスの流動方向と直交する方向の寸法(幅寸法)よりも実質的に短くしている。これにより、分離膜4における分離効率を向上できる。したがって、個々の分離膜4・4のそれぞれにおいても、長さ寸法が幅寸法よりも小さいことが好ましいが、必ずしもそうでなくてもよい。また、結果として実質的に長さ寸法が幅寸法よりも小さければよいので、各分離膜4・4の寸法を異ならせてもよい。ステージカットに基づく供給ガス流量制御を含めてその他は実施例1と同様なので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0040】
(実施例4)
図14に、本発明の実施例4に係る蒸発燃料処理装置の概略構成図を示す。実施例4は実施例2と実施例3との組み合わせに相当する。すなわち、図14に示されるように、第1の分離膜モジュール11と第2の分離膜モジュール20とを並列に設けた上で、さらに両分離膜モジュール11・20の下流に第3の分離膜モジュール25を直列に設けている。具体的には、第1の分離膜モジュール11の透過室17と第2の分離膜モジュール20の透過室22に、第3の分離膜モジュール25の受入室26がそれぞれ連通されている。返流通路9は第3の分離膜モジュール25の受入室26に連接され、第3の分離膜モジュール25の透過室27に還流通路23が連接されている。並列関係にある第1及び第2の分離膜モジュール11・20は、供給ガスの流動経路において最上流に位置している。各分離膜4における長さ寸法と幅寸法との関係、及びステージカットに基づく供給ガス流量の制御を含めて、その他は実施例2や実施例3と同様なので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0041】
(実施例5)
図15に、本発明の実施例5に係る蒸発燃料処理装置の概略構成図を示す。実施例5は実施例1の変形例であって、供給ガス中の蒸発燃料濃度を検知する濃度センサ15に代えて、透過ガス中の蒸発燃料濃度を検知する濃度センサ30を設けている。すなわち、パージ通路5上に設けた濃度センサ15に代えて、図15に示されるように、濃度センサ30を回収通路8上に設けている。なお、濃度センサ30が、本発明の透過ガス濃度検知手段に相当する。
【0042】
実施例5では、上記供給ガス流量と透過ガス流量との関係評価試験によって求めた、図7のような供給ガス流量に応じた透過ガス流量の挙動特性や、図8のような供給ガス流量に応じた透過ガス濃度の挙動特性を、予めECU16のROMへ記憶させておく。このとき、供給ガス濃度を細かく変更したできるだけ多くの透過特性を記憶させておく。そして、濃度センサ30によって透過ガス中の蒸発燃料濃度が検知されると、ECU16は予め記憶されている図8のような透過ガス濃度に応じた透過特性と図7のような透過特性とを照合し、その結果に基づいて少なくともステージカットが7以上、好ましくはステージカット7〜10、より好ましくはステージカット約7となるように、ポンプ6の出力を制御して供給ガス流量を制御する。蒸発燃料処理装置の構成など、その他は実施例1と同様なので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0043】
(実施例6〜8)
実施例2〜4においても、実施例5と同じように供給ガス流量を制御することができる。図16に本発明の実施例6に係る蒸発燃料処理装置の概略構成図を、図17に本発明の実施例7に係る蒸発燃料処理装置の概略構成図を、図18に本発明の実施例8に係る蒸発燃料処理装置の概略構成図を、それぞれ示す。実施例6は実施例2の変形例であり、実施例7は実施例3の変形例であり、実施例8は実施例4の変形例である。これら実施例6〜8においても、図16〜18に示すように、回収通路8上に透過ガス中の蒸発燃料濃度を検知する濃度センサ30を設けており、実施例5と同じようにして供給ガス流量を制御できる。実施例6〜8における濃度センサ30以外の構成は、それぞれ実施例2〜4と同じなので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0044】
(その他の変形例)
以上、本発明の代表的な各実施例について説明したが、その他にも種々の変形が可能である。例えば、実施例1〜4ではパージ通路5上に設けた濃度センサ15による供給ガス濃度に基づいて、実施例5〜8では回収通路8上に設けた濃度センサ30による透過ガス濃度に基づいて、それぞれ供給ガス流量を制御しているが、他にも回収通路8上に流量センサを設けて透過ガス流量に基づいて供給ガス流量を制御することもできる。この場合も、実施例1〜4と同様に図7のような透過特性をECU16に予め記憶させておけばよいが、ECU16においては実施例1〜4の場合とは逆に計算することで供給ガス流量を制御することになる。
【0045】
実施例1〜8では平膜型の分離膜を使用した例であるが、中空糸膜を使用することもできる。中空糸膜を使用する場合、供給ガスを中空内部に導入して外部に透過させる内圧分離方式と、中空糸膜の外部から供給ガスを導入して中空内部に透過させる外圧分離方式の、いずれの分離方式としてもよい。中空糸膜においては、内圧分離方式であれば内周面の周長さ、外圧分離方式であれば外周面の周長さが、供給ガスの流動方向に直行する長さである幅寸法に相当する。これを踏まえて、中空糸膜においても、供給ガスの流動方向と平行な長さ方向の寸法を、供給ガスの流動方向と直交する周方向の寸法よりも短くしておく。また、ハニカム状の分離膜を使用することもできる。平膜型分離膜も、平板状のほか渦巻状にしてもよい。これらの場合における寸法設計も、上記中空糸膜の場合と同様に考えればよい。
【0046】
供給ガス流量は、ポンプ6の出力のほか、流量調整器によって制御することもできる。すなわち、パージ通路5上にポンプ6とは別に流量調整器を設け、電子制御装置によって流量調整器を制御することで供給ガス流量を制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】透過特性評価試験で使用した試験装置の概略構成図である。
【図2】膜面積に応じた透過ガス濃度及び透過ガス流量の変化を示すグラフである。
【図3】図2とは異なる供給ガス濃度における膜面積に応じた透過ガス濃度及び透過ガス流量の挙動を示すグラフである。
【図4】実施例1の概略構成図である。
【図5】実施例1における分離膜と供給ガスの流動方向との関係を示す概念図である。
【図6】供給ガス流量に応じた透過ガス流量変化を示すグラフである。
【図7】種々の供給ガス濃度における供給ガス流量に応じた透過ガス流量変化を示すグラフである。
【図8】種々の供給ガス濃度における供給ガス流量に応じた透過ガス濃度変化を示すグラフである。
【図9】実施例2の概略構成図である。
【図10】実施例3の概略構成図である。
【図11】実施例3における分離膜と供給ガスの流動方向との関係を示す概念図である。
【図12】供給ガス濃度に応じた透過ガス濃度変化を示すグラフである。
【図13】供給ガス濃度に応じた透過ガス流量変化を示すグラフである。
【図14】実施例4の概略構成図である。
【図15】実施例5の概略構成図である。
【図16】実施例6の概略構成図である。
【図17】実施例7の概略構成図である。
【図18】実施例8の概略構成図である。
【図19】従来例の概略構成図である。
【図20】分離膜による分離原理を示す概念図である。
【符号の説明】
【0048】
1 燃料タンク
2 キャニスタ
3 エバポ通路
4 分離膜
5 パージ通路
6 ポンプ(ガス圧送手段)
7 大気通路
8 回収通路
9 返流通路
10 レギュレータ
11 第1の分離膜モジュール
15 濃度センサ(供給ガス濃度検知手段)
20 第2の分離膜モジュール
23 循環通路
25 第3の分離膜モジュール
30 濃度センサ(透過ガス濃度検知手段)
100 ガスボンベ
101 流量調整器
102 分離膜モジュール
103 分離膜
104 流量・濃度計
105 調圧弁
0 供給ガス(蒸発燃料含有ガス)
1 透過ガス(濃縮ガス)
2 低濃度ガス




【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクで発生する蒸発燃料を捕集するためのキャニスタと、該キャニスタから脱離された蒸発燃料を含むガスから燃料成分を選択的に透過分離する分離膜と、前記キャニスタから分離膜へ蒸発燃料含有ガスを圧送供給するガス供給手段と、を備える蒸発燃料処理装置において、
前記分離膜へ供給される供給ガスの流量と前記分離膜を透過したガスの流量との比(供給ガス流量/透過ガス流量)が7以上となるように、供給ガス流量が電子制御装置によって制御されていることを特徴とする、蒸発燃料処理装置。
【請求項2】
(供給ガス流量/透過ガス流量)が7〜10となるように供給ガス流量が制御されている、請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項3】
前記キャニスタと分離膜との間には、供給ガス中の蒸発燃料濃度を検知する供給ガス濃度検知手段が設けられており、
前記電子制御装置には、供給ガス中の蒸発燃料濃度に応じた透過特性が予め記憶されており、
前記電子制御装置は、前記供給ガス濃度検知手段によって検知された蒸発燃料濃度と、予め記憶された透過特性とに基づいて供給ガス流量を制御する、請求項1または請求項2に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項4】
前記分離膜と燃料タンクとの間には、透過ガス中の蒸発燃料濃度を検知する透過ガス濃度検知手段、又は透過ガスの流量を検知する透過ガス流量検知手段が設けられており、
前記電子制御装置には、透過ガス中の蒸発燃料濃度又は透過ガス流量に応じた透過特性が予め記憶されており、
前記電子制御装置は、前記透過ガス濃度検知手段によって検知された蒸発燃料濃度又は前記透過ガス流量検知手段によって検知された透過ガス流量と、予め記憶された透過特性とに基づいて供給ガス流量を制御する、請求項1または請求項2に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項5】
前記分離膜は、供給ガスの流動方向と平行な方向の寸法が、供給ガスの流動方向と直交する方向の寸法よりも形状的もしくは実質的に短くなっている、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項6】
前記分離膜は複数個設けられており、
供給ガスの流動経路における最上流側から複数個の分離膜が並列に設けられている、請求項4に記載の蒸発燃料処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−106766(P2010−106766A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279927(P2008−279927)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】