説明

蓄光性蛍光体、蛍光ランプ、蓄光性表示体、及び蓄光性成型品

【課題】 太陽光や蛍光灯等の紫外線で励起され、その励起光が遮断された後の残光強度が大きく、従来より遥かに明るいピンク色または青緑色の発光を持続することができる蓄光性蛍光体、及びこの蛍光体を用いた蛍光ランプ、蓄光性表示体、蓄光性成型品を提供する。
【解決手段】 紫外線を吸収して第1の波長域に長残光性の発光をする第1の蛍光体と、前記第1の波長域の発光の少なくとも1部を吸収して第2の波長域の発光をする第2の蛍光体とを混合、もしくは互いに付着させてなる蛍光体であって、
前記第1の蛍光体が(i)珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体、(ii)珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体、の中の少なくとも1種であり、
前記第2の蛍光体が、(A)窒化物蛍光体、(B)酸窒化物蛍光体、(C)酸化物蛍光体、(D)珪酸塩蛍光体からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする蓄光性蛍光体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光中の紫外線や蛍光灯等の紫外線を吸収して長残光性の発光を呈する蛍光体(以下、蓄光性蛍光体ともいう)を構成成分として含む、複数の蛍光体からなる蓄光性蛍光体に関し、特に、従来得ることが出来なかった、ピンク色や青緑色の高輝度蓄光性蛍光体に関する。
また、本発明は、このような蓄光性蛍光体を用いた蛍光ランプ、避難誘導標識、ディスプレイ等の蓄光性表示体、及び蓄光性成型品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地震等による高層ビル、地下鉄、家庭等における突然の停電時や屋外において津波の危険がある状況で、安全かつ適切な避難誘導対策が検討されている。この避難誘導のための製品として、停電時や夜間においても長時間発光する蓄光性蛍光体を用いた避難誘導標識や、階段、手すり等に貼付する蓄光シート、蓄光テープが使用されてきている。
また、蓄光性蛍光体は、家庭やオフィスで使用される蛍光灯の蛍光膜や、蛍光灯に付設された拡散板やカバーシート、蛍光灯スイッチ等にも使用されている。その外、壁のディスプレー、玩具、釣具等のプラスチック成型品やガラス、セラミック、陶板等の成型品として、多種多様な用途に蓄光性蛍光体が使われるようになってきており、これら多様な用途のために、より高輝度で、かつ使用場所、目的にあった様々な発光色の発光を呈する蓄光蛍光体とそれを用いた蓄光性製品の開発が強く望まれている。
【0003】
しかしながら、かかる多色化という観点で、蓄光性蛍光体や蓄光性部材を見るならば、緑色以外はほとんど目にすることが無いのが現状である。
これは、通常の励起条件(すなわち、ブラックライト等の高強度の紫外線で励起しない場合)においては、緑色以外の色では視認するに十分な発光強度を保って長時間発光し続ける蓄光性蛍光体が存在しなかったためである。
【0004】
例えば、前記のような用途の蓄光蛍性光体としては、青色発光の(Ca,Sr)S:Bi蛍光体、黄緑色発光のZnS:Cu蛍光体、また赤色発光の(Zn,Cd)S:Cu蛍光体等の硫化物系の蛍光体が知られている。
しかし、青色発光の(Ca,Sr)S:Bi蛍光体は、母体の安定性が極めて悪く、輝度および残光特性も十分ではない。また、赤色発光の(Zn,Cd)S:Cu蛍光体も、毒性物質であるCdが母体の半分ほどを占めており、輝度や残光性も満足できないため、いずれも現在ではほとんど使用されていない。また、黄緑色発光のZnS:Cu蛍光体は、安価なため避難誘導標識、屋内の夜間表示等の分野で、かなり使用されてきてはいるが、肉眼で認識できる残光時間が1〜2時間とそれほど長くはなく、耐候性が劣る問題があった。
【0005】
また、より高輝度の蓄光性蛍光体として、青色発光のEu及びDyで付活されたSr−Mg−Si系複合酸化物蛍光体(特許文献1)や緑色発光のSrAl24:Eu,Dy(特許文献2)、緑青色発光のSr4Al1425:Eu,Dy(特許文献3)、Sr2SiO4:Eu:Dy、SrAl2Si28:Eu,Dy、Sr6Al18Si237:Eu,Dy(特許文献4)等のEu及びDyで付活されたSr−Al系や、Sr−Al−Si系の複合酸化物系蛍光体が開発されている。
【0006】
特許文献5には、励起源のエネルギーを吸収して第一の発光スペクトルを有する蓄光性蛍光物質と、この第一の発光スペクトルの少なくとも一部を変換して第一の発光スペクトルとは異なる第二の発光スペクトルを有する第二の蛍光物質との複数の蛍光物質からなる蛍光物質、及びこの第一の発光スペクトルを有する蓄光性蛍光物質と第二の蛍光物質とをそれぞれ層状に形成した蛍光物質を蛍光膜とする多色化した蛍光ランプが記載されている。
そして、前記の第一の発光スペクトルを有する蓄光性蛍光物質として硫化物系蛍光物質、特定の希土類元素で付活されたアルミン酸塩系蛍光物質、酸硫化物系蛍光物質等が例示されており、また、第二の蛍光物質としては、Ce付活酸化イットリウム・アルミニウム系蛍光物質、希土類元素で付活された窒化物系蛍光物質、希土類元素で付活されたオキシ窒化物系蛍光物質、Euで付活されたケイ酸塩系蛍光物質等が例示されている。
しかしながら、上記第一の蛍光体の発光を吸収して発光する代表的な第二の蛍光物質である(Y0.90,Gd0.05,Ce0.053Al512の励起スペクトルのピーク波長は460nmであり、これにマッチした発光を示す第一の蛍光体としては、発光ピーク490nmの(Sr0.98,Eu0.01,Dy0.014Al1425と発光ピーク440nmの(Ca0.98,Eu0.01,Nd0.01)Al24:Eu,Ndとが挙げられている。発光ピークが440nmである(Ca0.98,Eu0.01,Nd0.01)Al24:Eu,Ndは、残光輝度そのものがJIS9107で示す日常の照射条件では高輝度蓄光緑青蛍光体(Sr0.98,Eu0.01,Dy0.014Al1425及び緑蛍光体(Sr0.98,Eu0.01,Dy0.01)Al24:Eu,Dyの数%の残光輝度でかなり暗く、この第一の蛍光体の発光を吸収して発光する第二の蛍光物質の輝度も明らかに非常に暗いものとなり、結果その二つの発光の混色した発光も非常に暗くなる。
さらに、第二の蛍光物質の窒化物(Ca0.88,Sr0.05,Ba0.05,Eu0.022Si58、酸窒化物(Ca0.88,Sr0.05,Ba0.05,Eu0.02)Si222やLu3Al512:Ceについても、このような第一の蛍光体の残光を吸収して発光するには効率が悪く、その輝度は実際にはかなり暗いものとなり、その組み合わせである蓄光体の多色化の実現も実用上難しい。
よって、特許文献5記載の技術では、光エネルギー伝達に関して、第一の蛍光体と第二の蛍光体との組み合わせが効率的に十分でないものがほとんどであり、唯一(Sr0.98,Eu0.01,Dy0.014Al1425と(Y0.90,Gd0.05,Ce0.053Al512との組み合わせ、すなわち、残光色としてそれぞれの単独での発光色であるx/y=0.155/0.335とx/y=0.520/0.470とを結ぶ(緑青色から緑黄色を結ぶ)ライン上のみが実用上良好な色度範囲であり、両端間の距離が短く色度のバリエーションが少ない。
【0007】
一方、本発明者は、先の出願(特許文献6)において、第1の蛍光体として、
(i)ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、及び珪素(Si)を母体構成金属成分として含む複合酸化物をユーロピウム(Eu)及びディスプロシウム(Dy)で共付活した珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体、及び
(ii)ストロンチウム(Sr)、アルミニウム(Al)、及び珪素(Si)を母体構成金属成分として含む複合酸化物をユーロピウム(Eu)及びディスプロシウム(Dy)で共付活した珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体の中の少なくとも1種であり、
第2の蛍光体が、組成式(Y1-x-yGdxSmy3Al512:Ce,Tbで表されるセリウム(Ce)及びテルビウム(Tb)で共付活した希土類アルミン酸塩蛍光e)で付活した希土類アルミン酸塩蛍光体とする組み合わせで、
第1の蛍光体の発光を効率良く吸収した第2の蛍光体が発光し、その混合発光が高輝度で色純度の良い白色及び黄色を示す蓄光性蛍光体が得られることを提案しているものの、この組み合わせによる蓄光性蛍光体では、ピンク色や青緑色の発光を得るのは難しい。
【0008】
他方、特許文献7には、Y22S:Eu,Mg,Ti蛍光体が、赤色の長残光性を示すことが記載されている。しかし、該蛍光体の残光輝度は、高輝度蓄光性蛍光体として知られている緑青蛍光体(Sr0.98,Eu0.01,Dy0.014Al1425や緑蛍光体(Sr0.98,Eu0.01,Dy0.01)Al24:Eu,Dyの数%しかないのでかなり暗く、実用上、使用出来る残光輝度ではない。
【0009】
このように、外光である太陽光中の紫外線や、紫外線を含む蛍光灯により刺激され、残光の強度が大で、かつ、残光の持続時間が長く、使用場所や目的にあった様々な発光色、特に赤系の発光色を呈する蓄光性蛍光体、及びその応用製品の開発が望まれている。
【特許文献1】特許第3257942号
【特許文献2】特許第2543825号
【特許文献3】特許第2697688号
【特許文献4】特開2004−359701号公報
【特許文献5】特開2005−330459号公報
【特許文献6】特願2006−270711
【特許文献7】特開2000−345154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような状況を鑑み、太陽光、蛍光灯等の紫外線で励起され、その励起光(紫外線)が遮断された後の残光強度が大きく、従来より遥かに明るいピンク色または青緑色の発光を持続することができる蓄光性蛍光体、及びこの蛍光体を用いた蛍光ランプ、蓄光性表示体、蓄光性成型品を提供することを課題とする。
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために、多数の蛍光体の蓄光性、励起波長、そのほかの特性について検討を重ねた結果、太陽光や蛍光灯の紫外線で励起されて発光する特定組成の第1の蛍光体と、この第1の蛍光体の発光の少なくとも一部を吸収して該蛍光体の発光とは異なる波長域に発光する特定組成の第2の蛍光体との組み合わせからなる蓄光性蛍光体の混合発光が、従来得ることが出来なかった高輝度のピンク色または青緑色を呈し、かつ残光強度が大きいものになるとの知見を得た。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、このような知見の下でなし得たものであり、以下を要旨とする。
(1)紫外線を吸収して第1の波長域に長残光性の発光をする第1の蛍光体と、前記第1の波長域の発光の少なくとも1部を吸収して第2の波長域の発光をする第2の蛍光体とを混合、もしくは互いに付着させてなる蛍光体であって、
前記第1の蛍光体が
(i)ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、及び珪素(Si)を母体構成金属成分として含む複合酸化物をユーロピウム(Eu)及びディスプロシウム(Dy)で共付活した珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体、及び
(ii)ストロンチウム(Sr)、アルミニウム(Al)、及び珪素(Si)を母体構成金属成分として含む複合酸化物をユーロピウム(Eu)及びディスプロシウム(Dy)で共付活した珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体、
の中の少なくとも1種であり、
前記第2の蛍光体が、
(A)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された窒化物蛍光体、
(B)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された酸窒化物蛍光体、
(C)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された酸化物蛍光体、及び
(D)Mg,Ca,Sr,Ba,Scの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された珪酸塩蛍光体、
からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする蓄光性蛍光体。
(2)第1の蛍光体が、前記(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体であって、該珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体が、組成式m(Sr1-a1a)O・n(Mg1-b2b)O・2(Si1-cGec)O2:EuxDyy(ただし、式中、M1はCa及びBaから選択された1種以上の元素を表し、M2はBe,Zn及びCdから選択された1種以上の元素を表し、a,b,c,m,n,x及びyはそれぞれ、0≦a≦0.80、0≦b≦0.2、0≦c≦0.2、1.5≦m≦3.5、0.5≦n≦1.5、1×10-5≦x≦1×10-1及び1×10-5≦y≦1×10-1の条件を満たす数である)で表される蛍光体であることを特徴とする前記(1)に記載の蓄光性蛍光体。
(3)第1の蛍光体が、前記(ii)の珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体であって、該珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体が、組成式(Sr1-xx)O・aAl23・bSiO2:Eu,Dy(ただし、式中、MはCa及びBaから選択された1種以上の元素を表し、x,a及びbはそれぞれ、0≦x≦0.3、0≦a≦2及び0<b≦2の条件を満たす数である)で表される蛍光体であることを特徴とする前記(1)に記載の蓄光性蛍光体。
(4)第2の蛍光体の含有量が、蓄光性蛍光体の全量に対して20〜85重量%であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の蓄光性蛍光体。
【0013】
(5)紫外線を吸収して第1の波長域に長残光性の発光をする第1の蛍光体と、前記第1の波長域の発光の少なくとも1部を吸収して第2の波長域の発光をする第2の蛍光体とを混合、もしくは互いに付着させてなる蛍光体であって、
その発光の色座標が(0.350,0.200)、(0.500,0.250)、(0.450,0.350)、(0.375,0.300)の4点で囲まれる四角形の辺上及びその内部にあり、かつ常用光源D65の蛍光灯で200lxで20分間照射した後、その照射を遮断した時点から20分後の残光の強度(I[20])が、2mcd/m2以上であることを特徴とする蓄光性蛍光体。
(6)第1の蛍光体が、請求項2に記載の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体であり、かつ第2の蛍光体が、赤色発光であって、Eu付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体、Eu付活アルカリ土類珪酸窒化物蛍光体、Eu付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つであることを特徴とする前記(5)に記載の蓄光性蛍光体。
(7)赤色発光である第2の蛍光体が、Alを含むEu付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体、Eu,Tm付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つであることを特徴とする前記(5)または(6)に記載の蓄光性蛍光体。
【0014】
(8)紫外線を吸収して第1の波長域に長残光性の発光をする第1の蛍光体と、前記第1の波長域の発光の少なくとも1部を吸収して第2の波長域の発光をする第2の蛍光体とを混合、もしくは互いに付着させてなる蛍光体であって、
その発光の色座標が(0.200,0.200)、(0.150,0.200)、(0.300,0.400)、(0.200,0.400)の4点で囲まれる四角形の辺上及びその内部にあり、かつ常用光源D65の蛍光灯で200lxで20分間照射した後、その照射を遮断した時点から20分後の残光の強度(I[20])が、15mcd/m2以上であることを特徴とする蓄光性蛍光体。
(9)該色座標が(0.200,0.200)、(0.150,0.200)、(0.280,0.360)、(0.190,0.360)である前記(8)記載の蓄光性蛍光体。
(10)第1の蛍光体が、請求項2に記載の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体であり、かつ第2の蛍光体が、緑色発光であって、Eu付活アルカリ土類珪酸窒化物蛍光体、Eu付活珪酸塩蛍光体、Ce付活酸化物蛍光体およびCe付活珪酸塩蛍光体のうちの少なくとも1つであることを特徴とする前記(8)または(9)に記載の蓄光性蛍光体。
(11)第1の蛍光体が、前記(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体であって、組成式Sr2MgSi27:Eu,Dyで表される蛍光体であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の蓄光性蛍光体。
【0015】
(12)前記(1)〜(11)のいずれかに記載された蓄光性蛍光体を蛍光膜とすることを特徴とする蛍光ランプ。
(13)表示部の文字、図形、画像の少なくとも一部が前記(1)〜(11)のいずれかに記載の蓄光性蛍光体により形成されていることを特徴とする蓄光性表示体。
(14)前記(1)〜(11)のいずれかに記載された蓄光性蛍光体を含有する蓄光性成型品。
【発明の効果】
【0016】
本発明の蓄光性蛍光体は、高輝度で、励起光が遮断された後の残光の持続が長い長残光性の第1の蛍光体と、この第1の蛍光体の発光波長域によく合致した励起波長をもった第2の蛍光体との混合蛍光体からなるため、高輝度の残光を持続することができ、特定組成の第1の蛍光体と特定組成の第2の蛍光体との選択により、従来よりもより高輝度のピンク色または青緑色の発光色をもった発光及び残光を呈する。
よって、本発明の蓄光性蛍光体を用いた蛍光ランプ、蓄光性表示体及び蓄光性成型品は、励起源の遮断後も高輝度の残光を持続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の蓄光性蛍光体は、太陽光や蛍光灯などの紫外線により励起されて第1の波長域に長残光性の発光(第1の発光)を呈する第1の蛍光体と、この第1の蛍光体の発光の少なくとも一部を吸収して励起され、第1の波長域とは異なる波長域の発光(第2の発光)を呈する第2の蛍光体との混合物からなる。
本発明の蓄光性蛍光体は、このような構成とすることによって、励起光(紫外線)により励起されている時は、第1の蛍光体は紫外線により励起されて第1の発光を呈し、第2の蛍光体は第1の蛍光体の発光により励起されて第2の発光を呈するため、第1、第2の発光の混色光を呈する。そして、励起光が遮断された後も、第1の蛍光体が発する第1の発光の残光を第2の蛍光体が吸収して励起され第2の発光を呈するため、励起光が遮断された後も第1の発光(残光)と第2の発光との混色光の蛍光を持続して発することができる。
したがって、本発明の蓄光性蛍光体では、その構成成分である第2の蛍光体として、あえて、比較的弱い残光性のもの、あるいは実質的に残光を持たないものを選択して使用することにより、第1の蛍光体と第2の蛍光体との残光特性の違いに起因する励起光遮断後の経時的な発光(残光)色の変動が少なく、安定した発光色の残光を持続できる。
【0018】
本発明において、第1の蛍光体は、紫外線により励起されて単独で長残光性の発光を呈する、いわゆる蓄光性の複合酸化物系蛍光体であり、(i)Sr、Mg及びSiを母体構成金属成分として含む複合酸化物をEu及びDyで共付活した珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体、及び(ii)Sr、Al及びSiを母体構成金属成分として含む複合酸化物をEu及びDyで共付活した珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体のうちの少なくとも1種の蛍光体である。
【0019】
この第1の蛍光体としては、残光の強度及び持続時間の観点から、
前記(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体の中では、組成式m(Sr1-a1a)O・n(Mg1-b2b)O・2(Si1-cGec)O2:Eux,Dyy(ただし、式中、M1はCa及びBaから選択された1種以上の元素であり、M2はBe,Zn及びCdから選択された一種以上の元素であり、a,b,c,m,n,x及びyはそれぞれ、0≦a≦0.80、0≦b≦0.2、0≦c≦0.2、1.5≦m≦3.5、0.5≦n≦1.5、1×10-5≦x≦1×10-1及び1×10-5≦y≦1×10-1の条件を満たす数である)で表される蛍光体が好ましく、組成式Sr2MgSi27:Eu,Dyで表される蛍光体がより好ましい。
同様の観点から、前記(ii)の珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体の中では、組成式が(Sr1-xx)O・aAl23・bSiO2:Eu,Dy(ただし、式中、MはCa及びBaから選択された1種以上の元素を表し、x,a及びbはそれぞれ、0≦x≦0.3、0≦a≦2及び0<b≦2の条件を満たす数である)で表される蛍光体が好ましい。
なお、前記(ii)の珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体には母体組成中にさらに硼素が添加されてなる複合酸化物であってもよく、本発明では、母体組成中にさらに少量の硼素が添加された複合酸化物からなる蛍光体をも含め、珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体ということにする。
【0020】
本発明では、このような(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体や(ii)の珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体は、それぞれの蛍光体について各1モル当たり0.1グラム原子以下のハロゲン、又は0.6グラム原子以下の硼素を含有させることにより、よりその発光及び残光の強度を高めてもよい。
【0021】
本発明において、第2の蛍光体は、上記のような第1の蛍光体の波長域の発光の少なくとも1部を吸収し、この発光により励起されて第1の発光とは異なる発光色の発光(以下、これを「第2の波長域の発光」とも言う)を呈し得る蛍光体であり、(A)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された窒化物蛍光体、(B)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された酸窒化物蛍光体、(C)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された酸化物蛍光体、及び(D)Mg,Ca,Sr,Ba,Scの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された珪酸塩蛍光体、からなる群より選ばれた少なくとも1種である。
【0022】
(A)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された窒化物蛍光体としては、CaAlSiN3:Eu、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu、Ca2Si58:Eu,Tmなどが挙げられる。
(B)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された酸窒化物蛍光体としては、Ba3Si6122:Euなどが挙げられる。
(C)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された酸化物蛍光体としては、CaSc24:Ceなどが挙げられる。
(D)Mg,Ca,Sr,Ba,Scの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された珪酸塩蛍光体としては、(Ba,Sr)2SiO4:Eu、Ca3(Sc,Mg)2Si312:Ceなどが挙げられる。
【0023】
本発明の蓄光性蛍光体において、第1の蛍光体と第2の蛍光体との混合割合は、得られる(すなわち混合後の)蓄光性蛍光体の所望とする発光色や持続時間によって適宜選択されるが、第2の蛍光体の含有量が、蓄光性蛍光体全量に対して20〜85重量%の範囲とするのが好ましく、より好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは25〜75重量%である。
第2の蛍光体の含有量が、蓄光性蛍光体の全量に対して20重量%より少ないと、その残光色が第1の発光色に近く、本発明で所望とする発光色が得られにくい傾向がある。一方、第2の蛍光体の含有量が、蓄光性蛍光体の全量に対して多すぎると、第2の蛍光体の励起を行う第1の蛍光体の残光強度が低下し、その結果、第2の蛍光体の発光強度も低くなる虞があるため、85重量%以下、好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは75重量%以下とするのがよい。
なお、第1の蛍光体の含有量については、蓄光性蛍光体全量に対して、15〜80重量%程度が好ましい。第1の蛍光体の含有量が少なすぎると、第1の蛍光体の発光強度が低下し、励起光(紫外線)が遮断された後の第1の蛍光体の残光強度も低下するため、これにより励起される蓄光性蛍光体全体の残光強度も低下しやすくなる。
【0024】
図1は、本発明の蓄光性蛍光体の一方の成分である、第1の蛍光体を波長365nmの紫外線で励起した時の発光スペクトルを例示するグラフであり、曲線a及びbはそれぞれ、前記(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体の1つである、Sr2MgSi27:Eu,Dy蛍光体、及び前記(ii)の珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体の1つである、SrO・1.4Al23・0.2SiO2・0.2B23:Eu,Dy蛍光体の発光スペクトルである。
図1からわかるように、前記(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体は、およそ467nmに発光スペクトルのピーク波長を持った青色発光を呈し、前記(ii)の珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体は、およそ490nmに発光スペクトルのピーク波長を持った緑青色発光を呈している。
【0025】
図2〜8は、本発明の蓄光性蛍光体のもう一方の成分である、第2の蛍光体の励起スペクトル(実線)と第2の蛍光体を波長460nmの光(前記(i)の蛍光体の発光ピーク波長に近い光)で励起した時の発光スペクトル(点線)を例示するグラフである。
第2の蛍光体として、図2はCaAlSiN3:Eu、図3は(Sr,Ca)AlSiN3:Eu、図4はCa2Si58:Eu,Tm、図5は(Ba,Sr)2SiO4:Eu、図6はBa3Si6122:Eu、図7はCaSc24:Ce、図8はCa3(Sc,Mg)2Si312:Ceをそれぞれ示す。
【0026】
図2〜4からわかるように、第2の蛍光体のうちCaAlSiN3:Eu、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu、Ca2Si58:Eu,Tmは、600〜660nmに発光スペクトルのピーク波長を有する赤色系の発光を示す。また、図5〜8からわかるように、第2の蛍光体のうち(Ba,Sr)2SiO4:Eu、Ba3Si6122:Eu、CaSc24:Ce、Ca3(Sc,Mg)2Si312:Ceは500〜550nmに発光スペクトルのピーク波長を有する緑色系の発光を示す。
【0027】
また、図2〜8の励起スペクトルは、第2の各蛍光体の発光を得るための励起スペクトル(蛍光体を励起する励起光の波長と、その励起光が照射されて発光する蛍光体の発光ピーク波長における発光の強度との相関を示す曲線)が、図1に示す第1の蛍光体の発光スペクトル(ピーク467nmと490nm)とよくマッチしていることを示している。
図1と図2〜8からわかるように、本発明の蓄光性蛍光体の一方の成分である第2の蛍光体の励起スペクトルのピーク波長は、ほぼ460〜490nmを中心とする波長域にあり、他方の成分である第1の蛍光体、特に、前記のSr2MgSi27:Eu,Dy蛍光体(図1の曲線a)の発光ピーク波長域とのマッチングが良好である。このことは、第2の蛍光体が、第1の蛍光体の発光によって効率の良い赤色及び緑色の発光を呈し、第1の蛍光体の青色発光との混色により高輝度の種々な発光色及び残光色を呈することを示している。
【0028】
例えば、第2の蛍光体として、図4に示した((A)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された窒化物蛍光体である)Ca2Si58:Eu,Tmを用いた場合、この蛍光体の励起スペクトルと第1の蛍光体の発光スペクトル(ピーク467nmと490nm)との波長のマッチングが極めて良好であることがわかる。
それは、第1の蛍光体の発光(第1の発光)の波長域と、Ca2Si58:Eu,Tm(第2の蛍光体)の励起波長域との重複領域が広いためであり、このような第2の蛍光体を用いると、第1の蛍光体の残光(第1の発光)により効率良く励起されて発光効率の極めて高い発光を呈し、励起光の遮断後も高輝度の発光を持続させることができるので、特に好ましい。
【0029】
本発明の第二の態様としては、紫外線を吸収して第1の波長域に長残光性の発光をする第1の無機蛍光体と、前記第1の波長域の発光の少なくとも1部を吸収して第2の波長域の発光をする第2の無機蛍光体とを混合、もしくは互いに付着させてなる蛍光体であって、その発光の色座標が(0.350,0.200)、(0.500,0.250)、(0.450,0.350)、(0.375,0.300)の4点で囲まれる四角形の辺上及びその内部にあり、かつ常用光源D65の蛍光灯で200lxで20分間照射した後、その照射を遮断した時点から20分後の残光の強度(I[20])が、2mcd/m2以上、より好ましくは10mcd/m2以上であることを特徴とする蓄光性蛍光体である。
発光の色座標が、このようなピンク色部分に相当する従来の無機系蓄光性蛍光体は、極めて暗いものが多く、明るいと言えるものは有機系にわずかに存在していたが、有機系であるが故に劣化が激しく、長時間使用や対候性などを全く考慮する必要の無い用途(例えば、ネイルアートなど)においてのみ限定的に使用されていたのが現状である。すなわち、本発明により、初めてピンク色で、普通に(長時間使用や対候性などを考慮する必要がある用途においても)使用できる明るい蓄光性材料を得ることができる。
【0030】
本発明の第三の態様としては、紫外線を吸収して第1の波長域に長残光性の発光をする第1の無機蛍光体と、前記第1の波長域の発光の少なくとも1部を吸収して第2の波長域の発光をする第2の無機蛍光体とを混合、もしくは互いに付着させてなる蛍光体であって、その発光の色座標が(0.200,0.200)、(0.150,0.200)、(0.300,0.400)、(0.200,0.400)の4点で囲まれる四角形の辺上及びその内部にあり、かつ常用光源D65の蛍光灯で200lxで20分間照射した後、その照射を遮断した時点から20分後の残光の強度(I[20])が、15mcd/m2以上、より好ましくは40mcd/m2以上であることを特徴とする蓄光性蛍光体である。
そして、この発光の色座標の好ましい範囲としては、(0.200,0.200)、(0.150,0.200)、(0.280,0.360)、(0.190,0.360)である。本発明の第1の蛍光体と第2の蛍光体との組み合わせであって、かつ該好ましい範囲内の発光色を呈するものにおいては、実用上、使用できる明るさ(輝度)と残光強度とを十分に有する青緑色が必ず得られる。
発光の色座標が、このような青緑色部分に相当する従来の無機系蓄光性蛍光体は、前述のピンク色同様、極めて発光強度が低くて暗いものが多く、明るいと言えるものは、緑色を呈する蛍光体としても蓄光性のものを混合していたのが現状である。すなわち、従来のものは青も緑も両方とも蓄光性のものを混合した蛍光体であるため、色度点の経時変化が生じてしまっていた。したがって、本発明により、初めて青緑色で、長時間使用による色度点変化が問題となる用途においても使用できる明るい蓄光性材料を得ることができる。
【0031】
なお、本発明において、各蛍光体は表面が平坦化された一定量の被測定試料粉末(蓄光性蛍光体)の照射面が200lxの照度となるような明るさの常用光源D65の蛍光灯を、蛍光灯の光束が実質的に該試料面に対して垂直となるように20分間照射し、照射を停止してから10分後、20分後、60分間後の発光(残光)強度を測定することによってその蛍光体の残光特性を評価した。
また、本発明では、蓄光性蛍光体は色度点の変化は小さいものの、輝度の明るい方が測定の精度が上がるので、色座標の測定は、便宜上、照射を遮断した1分後の色度値を用いる。
【0032】
前記の第二態様及び第三態様において、使用される第1の無機蛍光体としては、先に説明した(i)Sr、Mg及びSiを母体構成金属成分として含む複合酸化物をEu及びDyで共付活した珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体、及び(ii)Sr、Al及びSiを母体構成金属成分として含む複合酸化物をEu及びDyで共付活した珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体の中の少なくとも1種であればよい。
特に、第1の無機蛍光体として、残光の強度及び持続時間の観点から、前記(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体であって、組成式m(Sr1-a1a)O・n(Mg1-b2b)O・2(Si1-cGec)O2:EuxDyy(ただし、式中、M1はCa及びBaから選択された1種以上の元素であり、M2はBe,Zn及びCdから選択された1種以上の元素であり、式中a,b,c,m,n,x及びyはそれぞれ、0≦a≦0.80、0≦b≦0.2、0≦c≦0.2、1.5≦m≦3.5、0.5≦n≦1.5、1×10-5≦x≦1×10-1及び1×10-5≦y≦1×10-1の条件を満たす数である)で表される蛍光体が好ましく、組成式Sr2MgSi27:Eu,Dyで表される蛍光体がより好ましい。
なお、第1の無機蛍光体として、前記(ii)の珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体を用いる場合は、組成式が(Sr1-xx)O・aAl23・bSiO2:Eu,Dy(ただし、式中、MはCa及びBaから選択される1種以上の元素を表し、x,a及びbはそれぞれ、0≦x≦0.3、0≦a≦2及び0<b≦2の条件を満たす数である)で表される蛍光体が好適である。
【0033】
第二態様において使用される第2の無機蛍光体としては、赤色発光であって、Eu付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体、Eu付活アルカリ土類珪酸窒化物蛍光体、Eu付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つであることが好ましく、より好ましくは、Alを含むEu付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体、Eu,Tm付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つである。
赤色発光を呈するAlを含むEu付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体としては、CaAlSiN3:Eu、(Sr,Ca)AlSiN3:Euなどが、赤色発光を呈するEu,Tm付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体としては、Ca2Si58:Eu,Tmなどが挙げられる。
【0034】
この第二態様、例えば、第1の蛍光体として前記(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体を用い、第2の蛍光体として前記Ca2Si58:Eu,Tmを用いた場合に、第1の蛍光体が色純度の良好な青色発光を呈し、第2の蛍光体が色純度の良好な赤色発光を呈するため、この組み合わせからなる蓄光性蛍光体は、励起光(紫外線)が照射されている時だけではなく、励起光が遮断された後の残光も従来には存在しなかった非常に明るい赤からピンク色の発光を呈することができる。
なお、2種の蛍光体を用いた混合体とした場合、基本的には、それら2つの蛍光体の発光の色度点を結んだ線上の色座標のものが得られる。本発明では、この色度点を結んだ線上から外れた色度点を得るために、適当な顔料を追加して、発光色の一部を吸収させるか、第1または第2の蛍光体、好ましくは第1の蛍光体の発光により発光する第3の蛍光体を添加することにより、上記線上から外れた発光色を得ることも出来る。このとき添加する第3の蛍光体の量は、第2の蛍光体の量を超えないことが好ましく、本発明の蓄光性蛍光体全量に対し、20重量%以下であることが好ましい。
【0035】
また、第三態様において使用される第2の無機蛍光体としては、緑色発光であって、Eu付活アルカリ土類珪酸窒化物蛍光体、Eu付活珪酸塩蛍光体、Ce付活酸化物蛍光体およびCe付活珪酸塩蛍光体のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
緑色発光を呈するEu付活アルカリ土類珪酸窒化物蛍光体としては、Ba3Si6122:Euなど、緑色発光を呈するEu付活珪酸塩蛍光体としては、(Ba,Sr)2SiO4:Euなど、緑色発光を呈するCe付活酸化物蛍光体としては、CaSc24:Ceなど、緑色発光を呈するCe付活珪酸塩蛍光体としては、Ca3(Sc,Mg)2Si312:Ceなどが挙げられる。
【0036】
この第三態様、例えば、第1の蛍光体として前記(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体を用い、第2の蛍光体として前記Ba3Si6122:Euを用いた場合に、第1の蛍光体が色純度の良好な青色発光を呈し、第2の蛍光体が色純度の良好な緑色発光を呈するため、この組み合わせからなる蓄光性蛍光体は、励起光(紫外線)が照射されている時だけではなく、励起光が遮断された後の残光も従来には存在しなかった非常に明るい青緑色の発光を呈することができる。
【0037】
本発明の蓄光性蛍光体を製造するには、所定量の第1の蛍光体と第2の蛍光体とをボールミル、Vコンなどの混合手段により、機械的に混合することによって製造することができる。
また、第1の蛍光体と第2の蛍光体とを、例えばアクリル樹脂、ゼラチンなどのバインダーを含む溶媒中に懸濁させて混合した後、固液分離して脱水、乾燥させる等、公知の方法によってバインダーを介して第1の蛍光体と第2の蛍光体とを互いに付着させても製造することができる。
ただし、長残光性を有する第1の蛍光体と第2の蛍光体とを単に混合するよりも、第1の蛍光体の表面に第2の蛍光体を被覆させておく方が、残光の発光強度を高めることができるのでより好ましい。
また、本発明の蓄光性蛍光体は、第1の蛍光体と第2の蛍光体とを予め混合するのではなく、例えば蛍光ランプの蛍光膜に適用する場合にはガラスバルブ内面に第1の蛍光体を塗布しその上に、第2の蛍光体を塗布する等、第1の蛍光体と第2の蛍光体とが積層された形態を採ることもできる。このような積層する方法を用いる場合には、視認する表示側(一般的には、最外層側)に第2の蛍光体層があることが好ましい。
【0038】
また、本発明の蓄光性蛍光体に使用される第1、第2の蛍光体の粒径に関しては、特に限定されないが、色の均一性の点から、それぞれ1〜3000μm程度の範囲から任意に選択すればよく、好ましくは3〜1000μmである。
【0039】
本発明の蓄光性蛍光体を用いた蛍光ランプは、このようにして得られた蓄光性蛍光体を、例えば、低融点ガラス粉末、微粒子金属酸化物、あるいは微粒子金属硼酸塩または燐酸塩等の結着剤とともに水等の溶媒中に懸濁させて蛍光体塗布スラリーを調製し、これをガラスバルブ内面に塗布し乾燥させ蛍光体層を形成する以外は従来の蛍光ランプと同様にして製造される。
なお、製造された蛍光ランプは、ガラスバルブ内に封入された水銀蒸気中の放電により発生する紫外線によって、第1の蛍光体が発光する(第1の発光)と共に、水銀蒸気中の放電により発生する紫外線及び第1の蛍光体による第1の発光を吸収して第2の蛍光体が発光(第2の発光)し、第1の発光と第2の発光との混色光を発する。このとき、蛍光ランプへの通電が停止されても、第1の蛍光体による第1の発光が持続するため、この第1の発光(残光)を蛍光膜中の第2の蛍光体が吸収し、励起されて第2の発光をし、蛍光ランプへの通電の停止後も引き続き第1の発光(残光)と第2の発光との混色光の発光が持続される。
【0040】
本発明の蓄光性蛍光体を用いた蓄光性表示体は、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等のプラスチック、金属板、木材、タイル等の基材の片面または両面に、このようにして得られた蓄光性蛍光体によって文字、図形、画像などが形成された表示部を設けてなる。
表示される文字、図形及び画像は、例えば、本発明の蓄光性蛍光体を含有するペイント、インク等を塗布するとか、該蓄光性蛍光体が混入され、それ自体が蓄光性を有する板状のプラスチック等の成型品を前記基材とし、その表面にさらに種々の色のペイント、インク等により文字を書いたり図形及び画像を描くことで表示部としてもよく、表示部の文字、図形、画像の少なくとも一部が本発明の蓄光性蛍光体により形成されている表示体である。
【0041】
このような蓄光性表示体の具体例としては、例えば、前記の本発明の蓄光性蛍光体を使用して非常出口や避難階段のある方向を基板上に表示した表示部を少なくとも1つの面に設けた直方体、円筒体形状等の箱体内に蛍光ランプ等からなるバックライトが収納された避難誘導標識や誘導灯が挙げられる。表示部の後方にバックライトを備えた避難誘導標識や誘導灯等の蓄光性表示体では、停電時などにバックライトが消灯した際にも表示部に用いられている本発明の蓄光性蛍光体が残光を呈し、この残光により第2の蛍光体が励起されて自らも発光を持続するため、暗闇中においても第1の蛍光体と第2の蛍光体の混色光により表示部に描かれている文字や図形を視認することができる。また、本発明の蓄光性表示体は、発光中に、色度点の変化が小さいので、広告宣伝用に使用した場合には、意図したデザインを長時間にわたり、新たなエネルギーを使用することなく、明るく表示し続けることができる。
また、本発明のさらに他の態様としては、前記の蛍光ランプの蛍光膜に適用した例と同様、第1の蛍光体と第2の蛍光体とを混合するのではなく、それぞれを別々に可視光及び/又は励起光を透過させ得る部材に埋め込んだ成型体を作成し、それらを積層する形態も考えられる。
さらに、前記のようにバックライトを用いるだけではなく、蓄光性表示体を板状、又はシート状にして、室内外の壁や床などの所定の場所に設置しておいても良い。その場合は、外部からの蛍光灯や太陽光中の紫外線により励起されて、表示部の蓄光性蛍光体が発光し、蛍光灯や太陽光中が遮断されて暗闇となっても前記と同様に一定の時間表示部の文字や図形を視認することができる。
【0042】
蓄光性表示体のその他の具体例としては、本発明の蓄光性蛍光体を用いた時計の文字板、該蓄光性蛍光体を含有するペイントなどにより表示部に画像等を描き、この表示部を額などに格納した壁面ディスプレイ、また表示部全体が本発明の蓄光性蛍光体からなるシートを壁面に設置しておくことによって、停電時の壁面照明等とすることもできる。
【0043】
本発明の蓄光性蛍光体を用いた蓄光性成型品は、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、合成ゴムなど、従来から成型品の原料として使用されているプラスチック樹脂や合成ゴムの原料に、本発明の蓄光性蛍光体の粉末を添加して、所望とする2次元的、3次元的形状に成型加工したり、ガラス、セラミック、タイル等の原料中に混合しておいてこれを所望の形状に成型加工することによって製造される。
このような蓄光性成型品としては、玩具、釣り具、室内のスイッチ板、アクセサリーなどをはじめとする成型品が例示されるが、本発明の蓄光性蛍光体が樹脂やセラミックス、ガラス等をはじめとする成型用基材中に分散、含有されている成型品であれば、特にその形状、使用環境や用途などに限定されるものではない。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1、2〕
第1の蛍光体として組成式Sr2MgSi27:Eu,Dyで表される長残光蛍光体(以下、蛍光体(i)ともいう)を用い、第2の蛍光体として組成式CaAlSiN3:Euで表される赤色発光蛍光体(以下、蛍光体(A)CASNともいう)を用いて、それぞれ表1に示す割合で混合して、実施例1、2の蓄光性蛍光体を得た。
【0045】
〔実施例3、4〕
第1の蛍光体として実施例1と同じ蛍光体(i)を用い、第2の蛍光体として組成式(Sr,Ca)AlSiN3:Euで表される赤色発光蛍光体(以下、蛍光体(A)SCASNともいう)を用いて、それぞれ表1に示す混合割合で混合して、実施例3、4の蓄光性蛍光体を得た。
【0046】
〔実施例5〜7〕
第1の蛍光体として実施例1と同じ蛍光体(i)を用い、第2の蛍光体として組成式Ca2Si58:Eu,Tmで表される赤色発光蛍光体(以下、蛍光体(A)258ともいう)を用いて、それぞれ表1に示す混合割合で混合して、実施例5〜7の蓄光性蛍光体を得た。
【0047】
〔実施例8〜10〕
第1の蛍光体として実施例1と同じ蛍光体(i)を用い、第2の蛍光体として組成式(Ba,Sr)2SiO4:Euで表される緑色発光蛍光体(以下、蛍光体(D)BSSともいう)を用いて、それぞれ表1に示す混合割合で混合して、実施例8〜10の蓄光性蛍光体を得た。
【0048】
〔実施例11〜13〕
第1の蛍光体として実施例1と同じ蛍光体(i)を用い、第2の蛍光体として組成式、Ba3Si6122:Euで表される緑色発光蛍光体(以下、蛍光体(B)BSONともいう)を用いて、それぞれ表1に示す混合割合で混合して、実施例11〜13の蓄光性蛍光体を得た。
【0049】
〔実施例14〜16〕
第1の蛍光体として実施例1と同じ蛍光体(i)を用い、第2の蛍光体として組成式CaSc24:Ceで表される緑色発光蛍光体(以下、蛍光体(C)CSOともいう)を用いて、それぞれ表1に示す混合割合で混合して、実施例14〜16の蓄光性蛍光体を得た。
【0050】
〔実施例17〜19〕
第1の蛍光体として実施例1と同じ蛍光体(i)を用い、第2の蛍光体として組成式Ca3(Sc,Mg)2Si312:Ceで表される緑色発光蛍光体(以下、蛍光体(D)CSMSともいう)を用いて、それぞれ表1に示す混合割合で混合して、実施例17〜19の蓄光性蛍光体を得た。
【0051】
〔実施例20〜22〕
第1の蛍光体として組成式SrO・aAl23・bSiO2:Eu,Dyで表される長残光蛍光体(以下、蛍光体(ii)ともいう)を用い、第2の蛍光体として組成式)CaAlSiN3:Euで表される赤色発光蛍光体(蛍光体(A)CASN)を用いて、それぞれ表1に示す割合で混合して、実施例20〜22の蓄光性蛍光体を得た。
【0052】
〔比較例1〜3〕
実施例1〜19で用いた組成式Sr2MgSi27:Eu,Dyで表される青色長残光性蛍光体(蛍光体(i))を比較例1とする。
前述の特許文献7に開示されている組成式Y22S:Eu,Mg,Tiで表される赤色長残光性蛍光体(以下、蛍光体(J)ともいう)を比較例2とする。
組成式CaAl24:Eu,Ndで表される紫色長残光性蛍光体(以下、蛍光体(K)ともいう)を比較例3とする。
【0053】
実施例1〜22および比較例1〜3の各蛍光体について、常用光源D65の蛍光灯で200lxで20分間照射した後、その照射を遮断した時点から10分後の残光の強度(I[10])、20分後の残光の強度(I[20])、60分後の残光の強度(I[60])、及び照射遮断時から1分後の各蛍光体の発光の色度値をそれぞれ表1に示す。
また、図9に、実施例1〜22の色度値をプロットした色座標を参考図として示す。図9において、ピンク範囲は、本発明の第二の態様で規定した色座標(0.350,0.200)、(0.500,0.250)、(0.450,0.350)、(0.375,0.300)の4点で囲まれる四角形の辺上及びその内部をさし、青緑範囲は、本発明の第三の態様で規定した色座標(0.200,0.200)、(0.150,0.200)、(0.300,0.400)、(0.200,0.400)の4点で囲まれる四角形の辺上及びその内部をさす。
【0054】
【表1】

【0055】
表1からわかるように、本発明の蓄光性蛍光体は、実施例21,22を除く全ての実施例1〜20において、従来の赤色蓄光性蛍光体(J)(比較例2)に比べ、励起光を遮断してからの粉体での残光強度がより高い値となった。
また、本発明の第1の蛍光体である青色蓄光性蛍光体(i)(比較例1)は、特許文献5に記載される第1の蛍光体である紫色蓄光性蛍光体(K)(比較例3)に比べて、励起光を遮断してからの粉体での残光強度が十数倍高い値となっており、第2の蛍光体をより効率的に励起できることを示した。
さらに、実施例1〜7は、赤い新規な蓄光(残光色)を示し、特に、実施例6,7では、照射遮断時から20分後、60分後において赤色の残光で比較例2の蛍光体(J)の残光輝度の4倍程度の明るさを示しており、従来にない新規な高輝度の赤色系蓄光性蛍光体と言える。また、実施例8〜19も高輝度の青緑色を示す新たな長残光性蛍光体であった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の蓄光性蛍光体を使用した蛍光ランプや蓄光性表示体、及び蓄光性成型品は、その構成成分である第1の蛍光体と第2の蛍光体との混合比を調整することによって、種々の発光色の蓄光性蛍光体とすることができ、従来の蓄光性蛍光体に比べて多色化できることはもとより、高輝度光を呈する蓄光性蛍光体、及びその応用製品が得られる。
例えば、第1の蛍光体と第2の蛍光体との濃度等の最適化により粉体での残光輝度を明るくすることができ、暗闇での視認性をより良好にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1の蛍光体の発光スペクトルを例示するグラフであり、曲線a(太線)および曲線b(細線)は、それぞれ(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体、及び(ii)の珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体の発光スペクトルである。
【図2】第2の蛍光体であるCaAlSiN3:Euの励起スペクトル(実線)と第2の蛍光体を波長460nmの光で励起した時の発光スペクトル(点線)を例示するグラフである。
【図3】第2の蛍光体である(Sr,Ca)AlSiN3:Euの励起スペクトル(実線)と第2の蛍光体を波長460nmの光で励起した時の発光スペクトル(点線)を例示するグラフである。
【図4】第2の蛍光体であるCa2Si58:Eu,Tmの励起スペクトル(実線)と第2の蛍光体を波長460nmの光で励起した時の発光スペクトル(点線)を例示するグラフである。
【図5】第2の蛍光体である(Ba,Sr)2SiO4:Euの励起スペクトル(実線)と第2の蛍光体を波長460nmの光で励起した時の発光スペクトル(点線)を例示するグラフである。
【図6】第2の蛍光体であるBa3Si6122:Euの励起スペクトル(実線)と第2の蛍光体を波長460nmの光で励起した時の発光スペクトル(点線)を例示するグラフである。
【図7】第2の蛍光体であるCaSc24:Ceの励起スペクトル(実線)と第2の蛍光体を波長460nmの光で励起した時の発光スペクトル(点線)を例示するグラフである。
【図8】第2の蛍光体であるCa3(Sc,Mg)2Si312:Ceの励起スペクトル(実線)と第2の蛍光体を波長460nmの光で励起した時の発光スペクトル(点線)を例示するグラフである。
【図9】実施例1〜22の色度値の結果をプロットした色座標である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を吸収して第1の波長域に長残光性の発光をする第1の蛍光体と、前記第1の波長域の発光の少なくとも1部を吸収して第2の波長域の発光をする第2の蛍光体とを混合、もしくは互いに付着させてなる蛍光体であって、
前記第1の蛍光体が
(i)ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、及び珪素(Si)を母体構成金属成分として含む複合酸化物をユーロピウム(Eu)及びディスプロシウム(Dy)で共付活した珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体、及び
(ii)ストロンチウム(Sr)、アルミニウム(Al)、及び珪素(Si)を母体構成金属成分として含む複合酸化物をユーロピウム(Eu)及びディスプロシウム(Dy)で共付活した珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体、
の中の少なくとも1種であり、
前記第2の蛍光体が、
(A)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された窒化物蛍光体、
(B)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された酸窒化物蛍光体、
(C)Mg,Ca,Sr,Baの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された酸化物蛍光体、及び
(D)Mg,Ca,Sr,Ba,Scの中の少なくとも1種の元素を含む希土類で付活された珪酸塩蛍光体、
からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする蓄光性蛍光体。
【請求項2】
第1の蛍光体が、前記(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体であって、
該珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体が、組成式m(Sr1-a1a)O・n(Mg1-b2b)O・2(Si1-cGec)O2:EuxDyy(ただし、式中、M1はCa及びBaから選択された1種以上の元素を表し、M2はBe,Zn及びCdから選択された1種以上の元素を表し、a,b,c,m,n,x及びyはそれぞれ、0≦a≦0.80、0≦b≦0.2、0≦c≦0.2、1.5≦m≦3.5、0.5≦n≦1.5、1×10-5≦x≦1×10-1及び1×10-5≦y≦1×10-1の条件を満たす数である)で表される蛍光体であることを特徴とする請求項1に記載の蓄光性蛍光体。
【請求項3】
第1の蛍光体が、前記(ii)の珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体であって、
該珪酸ストロンチウム・アルミニウム系蛍光体が、組成式(Sr1-xx)O・aAl23・bSiO2:Eu,Dy(ただし、式中、MはCa及びBaから選択された1種以上の元素を表し、x,a及びbはそれぞれ、0≦x≦0.3、0≦a≦2及び0<b≦2の条件を満たす数である)で表される蛍光体であることを特徴とする請求項1に記載の蓄光性蛍光体。
【請求項4】
第2の蛍光体の含有量が、蓄光性蛍光体の全量に対して20〜85重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄光性蛍光体。
【請求項5】
紫外線を吸収して第1の波長域に長残光性の発光をする第1の蛍光体と、前記第1の波長域の発光の少なくとも1部を吸収して第2の波長域の発光をする第2の蛍光体とを混合、もしくは互いに付着させてなる蛍光体であって、
その発光の色座標が(0.350,0.200)、(0.500,0.250)、(0.450,0.350)、(0.375,0.300)の4点で囲まれる四角形の辺上及びその内部にあり、かつ常用光源D65の蛍光灯で200lxで20分間照射した後、その照射を遮断した時点から20分後の残光の強度(I[20])が、2mcd/m2以上であることを特徴とする蓄光性蛍光体。
【請求項6】
第1の蛍光体が、請求項2に記載の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体であり、かつ
第2の蛍光体が、赤色発光であって、Eu付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体、Eu付活アルカリ土類珪酸窒化物蛍光体、Eu付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載の蓄光性蛍光体。
【請求項7】
赤色発光である第2の蛍光体が、Alを含むEu付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体、Eu,Tm付活アルカリ土類珪窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項5または6に記載の蓄光性蛍光体。
【請求項8】
紫外線を吸収して第1の波長域に長残光性の発光をする第1の蛍光体と、前記第1の波長域の発光の少なくとも1部を吸収して第2の波長域の発光をする第2の蛍光体とを混合、もしくは互いに付着させてなる蛍光体であって、
その発光の色座標が(0.200,0.200)、(0.150,0.200)、(0.300,0.400)、(0.200,0.400)の4点で囲まれる四角形の辺上及びその内部にあり、かつ常用光源D65の蛍光灯で200lxで20分間照射した後、その照射を遮断した時点から20分後の残光の強度(I[20])が、15mcd/m2以上であることを特徴とする蓄光性蛍光体。
【請求項9】
該色座標が(0.200,0.200)、(0.150,0.200)、(0.280,0.360)、(0.190,0.360)である請求項8記載の蓄光性蛍光体。
【請求項10】
第1の蛍光体が、請求項2に記載の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体であり、かつ
第2の蛍光体が、緑色発光であって、Eu付活アルカリ土類珪酸窒化物蛍光体、Eu付活珪酸塩蛍光体、Ce付活酸化物蛍光体およびCe付活珪酸塩蛍光体のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項8または9に記載の蓄光性蛍光体。
【請求項11】
第1の蛍光体が、前記(i)の珪酸マグネシウム・ストロンチウム系蛍光体であって、組成式Sr2MgSi27:Eu,Dyで表される蛍光体であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の蓄光性蛍光体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載された蓄光性蛍光体を蛍光膜とすることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項13】
表示部の文字、図形、画像の少なくとも一部が請求項1〜11のいずれか一項に記載の蓄光性蛍光体により形成されていることを特徴とする蓄光性表示体。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一項に記載された蓄光性蛍光体を含有する蓄光性成型品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−249395(P2009−249395A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95094(P2008−95094)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(390019976)化成オプトニクス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】