説明

蓄電システム

【課題】信頼性の高い蓄電システムの提供を課題とする。
【解決手段】上記課題は、電位的に隣接するIC1〜IC3のセルコンIC330のうち、電位が最も高いIC1のセルコンIC330と、IC1のセルコンIC330の次に電位が高いIC2のセルコンIC330との間を、IC1のセルコンIC330と第1単電池群240のBC1〜BC4の電池セル201のそれぞれとを、IC2のセルコンIC330と第2単電池群241のBC5〜BC8の電池セル201のそれぞれとを、それぞれ、電圧検出線用コネクタ320を介して電気的に接続した後、電位が最も低いIC3のセルコンIC330と第3単電池群242のBC9〜BC12の電池セル201のそれぞれとを電気的に接続するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321を介して電気的に接続することにより解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術分野に関する背景技術として、例えば特許文献1,2に開示された技術がある。
【0003】
特許文献1には、複数の電池セルで構成された組電池に接続されたコネクタ、及び回路基板に設けられたコネクタのどちらか一方のピンの長さを、低電位になるにしたがって長くし、組電池のコネクタと回路基板のコネクタとを嵌合したとき、長いピンから順に接続されるようにし、組電池と回路基板とを低電位から高電位へと順に接続できるようにした技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、バッテリユニットのコネクタBと制御ユニットのコネクタBとが接続された後、バッテリユニットのコネクタCと制御ユニットのコネクタCとが接続され、コネクタBのバッテリユニット側に設けられたリレーがオンすることにより、コネクタBを介してバッテリユニットから制御ユニットに放電を開始する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−280872号公報
【特許文献2】特開2007−20273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蓄電システムは、特許文献1に開示されているように、蓄電器(例えば二次電池)を複数、電気的に直列又は直並列に接続した蓄電器群と、この蓄電器群を構成する複数の蓄電器の状態を監視する(例えば複数の蓄電器のそれぞれの端子間電圧を検出する)監視装置とを備えている。監視装置は、複数の蓄電器のそれぞれの正負極の端子間に電気的に接続されている。蓄電器群と監視装置との電気的な接続にあたっては、蓄電器群側に設けられたコネクタ、及び監視装置側に設けられたコネクタの一方を他方に嵌め込む方式が採用されている。
【0007】
近年、蓄電システムは、ハイブリッド自動車や電気自動車、ハイブリッド鉄道車両の駆動用電源として、データセンタなどの停電時のバックアップ電源であるUPS(無停電電源装置)として、さらには、再生可能なエネルギーを利用した発電設備、例えば太陽光発電設備や風力発電設備などの電力平準化用電源設備として、幅広く用いられるようになっている。
【0008】
それらに用いられる蓄電システムは、全体の電圧がせいぜい10V程度である、特許文献1に開示された蓄電システムとは異なり、蓄電器群がさらに複数、電気的に直列に接続された直列接続を含み、全体の電圧が一つの蓄電器群よりもはるかに高く、数百Vまで達することもある。しかも、対応する蓄電器群に電気的に接続された監視装置の通信系や電源系が電気的に直列に接続されている。このため、複数の蓄電器群と、これに対応して設けられた監視装置とを電気的に接続する場合、最初と次に接続される箇所の電位によっては、蓄電器群側から監視装置側に大電流が流れ込むことが考えられる。この技術的課題を解決するためには、特許文献1に開示された蓄電システムでは提案されていない新たな工夫が必要である。
【0009】
また、特許文献2に開示された蓄電システムも、蓄電器群に電気的に接続された監視装置の通信系や電源系が電気的に直列に接続されていることを前提としたものではない。このようなことから、前述の技術的課題を解決するためには、特許文献2に開示された蓄電システムでは提案されていない新たな工夫が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願が解決すべき代表課題は、信頼性の高い蓄電システムを提供することにある。
【0011】
上記代表課題を解決する本願の代表的な解決手段は、電気的に直列に接続された複数の蓄電器群のそれぞれに対応して設けられると共に、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極と電気的に接続され、かつ複数の蓄電器群の電気的な直列接続の順にしたがって、電気的に直列に接続された複数の監視回路を備え、複数の監視回路の電位的に隣接する二つの監視回路のうち、電位が最も高い監視回路を第1監視回路、第1監視回路の次に電位が高い監視回路を第2監視回路としたとき、第1及び第2監視回路と、これらの監視回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれとを電気的に接続した後、第1監視回路と第2監視回路とを電気的に直列に接続するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願の代表的な解決手段によれば、信頼性の高い蓄電システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(実施形態1)ハイブリッド自動車に搭載された電機駆動システムの構成を示す図。
【図2】(実施形態1)図1の電機駆動システムに用いられる電池システムの構成を示す図。
【図3】(実施形態1)図2の電池システムの制御装置の一つであるセルコントローラを構成するセルコントローラ集積回路(IC)の回路構成を示す図。
【図4】(実施形態1)図2のセルコントローラと組電池との電気的な接続構成、及びセルコントローラ集積回路間の電気的な接続構成を示す図。
【図5】(実施形態2)再生可能エネルギーを用いた発電装置に電池システムを併設した発電システムの構成を示す図。
【図6】(実施形態2)図5の電池システムを構成するサブ電池システムの構成を示す図。
【図7】(実施形態2)図6のサブ電池システムを構成する電池モジュールの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
《発明の適用アプリケーションの概略説明》
本発明は、電気自動車や鉄道車両などの移動体に搭載され、移動体の駆動用電動機の駆動用電源として用いられる蓄電システムや、再生可能エネルギーを用いた発電システム、データセンタ、需要家、送配電系統などの定置体に設置され、発電出力や系統電力の変動抑制、バックアップ電源、電力負荷の平準化、余剰電力対策、周波数対策、逆潮流対策などに用いられる蓄電システムなど、電気的に直列に接続された複数の蓄電器を有する蓄電器群が複数、電気的に直列に接続された直列接続を含む態様の蓄電システムに適用されることが特に好ましい。
【0016】
そこで、以下に説明する実施の形態では、本発明を、電気自動車の駆動用電動機の駆動用電源として用いられる車載用蓄電システムに適用した場合、再生可能エネルギーを利用した発電システム、例えば太陽光や風力などを用いた発電システムに、発電出力変動抑制用として設置された定置用蓄電システムに適用した場合を例に挙げて説明する。
【0017】
本発明が適用された車載用蓄電システムを搭載する電気自動車としては、エンジンと電動機とを車両の駆動源として備えると共に、商用電源及び電気スタンドなどの外部電源から供給された交流電力を蓄電システムに充電するための充電器を持たない(車両の減速時の回生によって得られた電力及び/又は原動機によって駆動される発電機から得られた電力により蓄電システムを充電する)ハイブリッド電気自動車(HEV)を例に挙げて説明する。
【0018】
車載蓄電システムに充電された電気エネルギーは、電動力(回転動力)によってハイブリッド電気自動車を駆動する場合(力行時)、直流電力として放電される。車載蓄電システムから放電された直流電力は、インバータ装置(電力変換装置)によって交流電力に変換された後、モータとして機能してハイブリッド電気自動車を駆動するための電動力を発生するモータジェネレータ(回転電機)に供給される。また、車載蓄電システムに充電された電気エネルギーは、内燃機関であるエンジンを始動する場合、ラジオなどのカーオーディオ,カーナビゲーション装置,ライトなどの電装品を駆動する場合、直流電力として放電されることもある。この場合、バッテリ装置から放電された直流電力は、電力変換装置によって、交流電力或いは電圧が制御(昇降圧)された所定の直流電力に変換された後、各電気負荷や他の蓄電装置に供給される。
【0019】
車載蓄電システムに充電される電気エネルギーは、ハイブリッド電気自動車の減速時或いは制動時の回生エネルギーから得られた交流電力及び/又は原動機によって駆動される発電機から出力された交流電力がインバータ装置によって直流電力に変換され、その直流電力が車載蓄電システムに供給されることにより得られる。回生エネルギーから得られる交流電力は、車両側から供給された回転動力によってモータジェネレータが発電機として駆動されることにより、その発電機から出力される。
【0020】
再生可能エネルギーを利用した発電システムは、自然環境に及ぼす負荷が少ないという利点がある反面、天候などの自然環境に発電能力が左右され、電力系統に対する出力が変動する。定置用蓄電システムは、発電システムの上記出力変動の抑制(緩和)を図るために設けられている。発電システムから電力系統に出力される電力が所定の出力電力に対して不足状態にある場合には、定置用蓄電システムは放電し、発電システムの不足分の電力を補う。発電システムから電力系統に出力される電力が所定の電力に対して余剰状態にある場合には、定置用蓄電システムは、発電システムの余剰分の電力を受けて充電する。
【0021】
《発明の他の適用アプリケーションの概略説明》
以下に説明する実施形態の構成は、ハイブリッド電気自動車以外の電気自動車、例えば内燃機関であるエンジンと電動機とを車両の駆動源(原動機)として備えると共に、商用電源及び電気スタンドなどの外部電源から供給された交流電力を蓄電システムに充電するための充電器を搭載したプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)や、車両の駆動源としてエンジンを持たない(電動力を発生する電動機を車両の唯一の駆動源とする)とすると共に、商用電源及び電気スタンドなどの外部電源から供給された交流電力を蓄電システムに充電するための充電器を搭載した純粋な電気自動車(EV)などの車載用蓄電システムにも適用できる。
【0022】
また、以下に説明する実施形態の構成は、電動バイク、電動自転車などの二輪車、ハイブリッド電車などの鉄道車両,ハイブリッドトラックなどの貨物自動車,ハイブリッドバスなどの乗合自動車,建設機械やフォークリフトトラックなどの産業用車両、電動福祉機器など、他の移動体の電源を構成する車載用蓄電システムにも適用できる。
【0023】
さらに、以下に説明する実施形態の構成は、データセンタのサーバーシステムや通信設備などの無停電用電源(バックアップ用電源)として設置される定置用蓄電システム、需要家に配置され、夜間電力を貯蔵し、この貯蔵された電力を昼間に放出して電力負荷の平準化を図る電力貯蔵システムとして設置される定置用蓄電システム、送配電系統の途中に電気的に接続され、送配電系統において送配電される電力の変動対策、余剰電力対策、周波数対策、逆潮流対策などとして用いられる定置用蓄電システムにも適用できる。
【0024】
《蓄電システムの概略説明》
車載用及び定置用蓄電システムは、出力電圧や設備の規模は異なるが、基本的には、複数の蓄電器(二次電池又は容量性を有する受動素子)を備え、複数の蓄電器の電気化学的作用や電荷蓄積構造によって電気エネルギーを蓄積(充電)及び放出(放電)するシステムである。複数の蓄電器は、蓄電システムに要求される出力電圧、蓄電容量などの仕様に応じて、電気的に直列或いは並列若しくは直並列に接続されている。
【0025】
以下に説明する実施形態では、蓄電器としてリチウムイオン二次電池を用いたリチウムイオン電池システムを例に挙げて説明する。蓄電器としては、鉛電池、ニッケル水素電池などの他の二次電池を用いてもよい。また、2種の蓄電器、例えばリチウムイオン二次電池とニッケル水素電池とを組み合わせて用いるようにしてもよい。容量性を有する受動素子としては、キャパシタ、例えば電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどを用いることができる。
【0026】
《代表的な技術課題》
リチウムイオン二次電池(以下、単に「リチウム電池」と記述する)を用いたリチウムイオン電池システム(以下、単に「電池システム」と記述する)では、リチウム電池が過充電状態及び過放電状態に陥らないように、リチウム電池の状態を監視制御している。このため、電池システムでは、集積回路などの半導体装置や抵抗などの回路素子などの電子部品から構成された監視制御回路を設け、各リチウム電池の正負極間の電圧を計測して、この情報を上位へ伝達すると共に、複数のリチウム電池間の充電状態(SOC:State Of Charge)が揃うように、上位からの指令に基づいて、複数のリチウム電池間の充電状態を制御(調整)している。
【0027】
ここで、集積回路などの半導体装置は、電気的に直列に接続された数個分のリチウム電池(1個あたりの平均出力電圧が3.6ボルト)の電圧には耐えられる耐圧仕様になっているが、電気的に直列に接続されるリチウム電池が数十個になると耐えられなくなる。このため、電池システムでは、監視回路の耐圧に応じて、電気的に直列に接続された複数のリチウム電池を、数個、例えば4個乃至12個の電気的に直列に接続されたリチウム電池を有する複数の電池群に分け、複数の電池群のそれぞれに監視回路を設けている。
【0028】
複数の監視回路は、対応する電池群が有する所定数のリチウム電池のそれぞれの正負極に電気的に接続され、対応する電池群の最高電位と最低電位との電位差(電圧)を電源電圧として受けて動作している。このため、複数の監視回路は、電池群の電位の順にしたがって、電源系が電気的に直列に接続されている。また、絶縁素子の使用数が少なくなるように、複数の監視回路と上位との間の通信にはシリアル信号伝送方式を用いている。このため、複数の監視回路は、通信系が電気的に直列に接続されている。
【0029】
複数の監視回路と、この複数の監視回路のそれぞれに対応する電池群が有する所定数のリチウム電池との電気的な接続は、各リチウム電池の正負極に配線を介して電気的に接続されたコネクタと、複数の監視回路を実装した回路基板に設けられ、複数の監視回路にプリント配線を介して電気的に接続されたコネクタとの嵌め込み結合により実施されている。しかも、その電気的な接続は複数のリチウム電池が充電された状態において実施されている。このため、複数の監視回路と、この複数の監視回路のそれぞれに対応する電池群が有する所定数のリチウム電池とをコネクタの嵌め込み結合によって電気的に接続する時、コネクタの嵌め込み結合作業状態によっては、一方のコネクタの複数の接触子(例えばプラグ)と他方のコネクタの複数の接触子(例えばジャック)との接触タイミングにばらつきが生じ、接触子の接触に順番が形成される場合がある。この場合、一番初めに接触した接触子(第1接触子)に対応するリチウム電池(第1リチウム電池)と、次に接触した接触子(第2接触子)に対応するリチウム電池(第2リチウム電池)と、第1リチウム電池と第2リチウム電池との間に存在するリチウム電池との電気的な直接接続によって構成される電圧源に対して、第1接触子に対応する監視回路と第2接触子に対応する監視回路との電気的な直列接続回路が電気的に直列に接続された閉ループが形成され、第1リチウム電池と第2リチウム電池との電位差に基づく電流が突入電流として監視回路に流れることが考えられる。一番初めに接触した接触子に対応するチリウム電池と次に接触した接触子に対応するリチウム電池との電位差の大きさによっては、監視回路に設けられた保護素子の制限電流よりも大きい突入電流が監視回路に流れることが考えられる。
【0030】
このような技術課題は、電池システムの製造(組立)工程において、複数のリチウム電池を有する電池モジュールから延びる電圧検出線のコネクタと電池制御装置の回路基板のコネクタとを嵌め込み結合する(活線挿入)作業時、電池システムのメンテナンスにおいて、複数のリチウム電池を有する電池モジュールから延びる電圧検出線のコネクタを電池制御装置の回路基板のコネクタから分離してリチウム電池を交換し、再び交換したリチウム電池を含む複数のリチウム電池を有する電池モジュールから延びる電圧検出線のコネクタと電池制御装置の回路基板のコネクタとを嵌め込み結合する(活線挿抜)作業時などに生じると考えられる。
【0031】
《代表的な技術課題を解決するための代表的な解決手段》
そこで、以下に説明する実施形態では、電気的に直列に接続された複数のリチウム電池群のそれぞれに対応して設けられると共に、対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれの正負極と電気的に接続され、かつ複数のリチウム電池群の電気的な直列接続の順にしたがって、電気的に直列に接続された複数の監視回路を備え、複数の監視回路の電位的に隣接する二つの監視回路のうち、電位が最も高い監視回路を第1監視回路、第1監視回路の次に電位が高い監視回路を第2監視回路としたとき、第1及び第2監視回路と、これらの監視回路に対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれと、を電気的に接続した後、第1監視回路と第2監視回路とを電気的に接続するようにしている。
【0032】
《代表的な解決手段による作用効果》
以下に説明する実施形態によれば、電位的に隣接する監視回路が電気的に直列に接続されていない開ループの状態において、リチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれの正負極と、これに対応する監視回路とを電気的に接続し、この後、電位的に隣接する監視回路のうち、一方の監視回路の最低電位と、この電位と同電位である、他方の監視回路の最高電位と、を電気的に接続するので、監視回路に設けられた回路素子の許容電流よりも大きい突入電流が監視回路に流れることを防ぐことができる。
【0033】
従って、以下に説明する実施形態によれば、監視回路に設けられた回路素子の許容電流よりも大きい突入電流によって、監視回路を構成する電子回路部品が正常に動作しない或いは全く動作しないなどの不良状態になることを防止することができるので、信頼性の高いリチウム電池システムを提供することができる。
【0034】
《その他の作用効果》
以下に説明する実施形態では、第1及び第2監視回路よりも電位の低い第3監視回路と、この監視回路に対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれとを電気的に接続するコネクタを接点、いわゆるスイッチとして機能させ、このスイッチ機能を備えたコネクタを介して、第1及び第2監視回路を電気的に直列に接続している。
【0035】
以下に説明する実施形態によれば、第1及び第2監視回路と、これらの監視回路に対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれとをコネクタによって電気的に接続した後、第3監視回路と、この監視回路に対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれとを電気的に接続するタイミングと同じタイミングで、スイッチ機能付コネクタを介して第1及び第2監視回路を電気的に直列に接続することができる。
【0036】
従って、以下に説明する実施形態によれば、コネクタにスイッチ機能を持たせることで、別途、スイッチなどの導通遮断手段を設ける必要がないので、別途、スイッチなどの導通遮断手段を設けたときよりも、部品点数を減らすことができ、別途、スイッチなどの導通遮断手段を設けたときよりも、コストを低減することができる。
【0037】
また、以下に説明する実施形態によれば、監視回路と、この監視回路に対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれとを電気的に接続するタイミングと同じタイミングで、二つの監視回路間を電気的に直列に接続することができるので、別途、スイッチなどの導通遮断手段を設けたときよりも、接続回数を減らすことができ、別途、スイッチなどの導通遮断手段を設けたときよりも、接続作業量を低減することができる。
【0038】
尚、電位的に最も低い監視回路と、この監視回路よりも電位の高い監視回路との間は、それらの監視回路と、それらの監視回路に対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれとをコネクタによって電気的に接続した後、そのコネクタとは別に設けられたコネクタを用いて電気的に直列に接続すればよい。
【0039】
この他にも解決すべき課題及びその解決手段はある。それらについては、これ以降の各実施形態の中において、課題の裏返しとなる効果に置き換え、その解決手段と共に説明する。
【0040】
以下、図面を用いて、各実施形態を具体的に説明する。
【0041】
(実施形態1)
第1実施形態を図1乃至図4に基づいて説明する。
【0042】
《ハイブリッド自動車に適用される駆動方式》
まず、図1を用いて、ハイブリッド電気自動車1の駆動システムについて説明する。
【0043】
ハイブリッド自動車(以下、「HEV」と記述する)1はパラレルハイブリッド方式の駆動システムを備えている。
【0044】
パラレルハイブリッド方式の駆動システムは、内燃機関であるエンジン4とモータジェネレータ10とを駆動輪2に対してエネルギーの流れ的に並列に配置(構造的には、動力伝達制御機構であるクラッチ5を介してエンジン4とモータジェネレータ10とを機械的に直列に接続)し、エンジン4の回転動力による駆動輪2の駆動、モータジェネレータ10の回転動力による駆動輪2の駆動、及びエンジン4とモータジェネレータ10の両方の回転動力による駆動輪2の駆動ができるように構成されている。すなわちパラレルハイブリッド方式の駆動システムは、エンジン4を動力源とし、主としてHEV1の駆動源として用いられるエンジン駆動装置と、モータジェネレータ10を動力源とし、主としてHEV1の駆動源及びHEV1の電力発生源として用いられる電動駆動装置とを備えている。
【0045】
ハイブリッド方式としては、内燃機関であるエンジンの回転動力を用いて発電機を駆動し、この駆動によって発生した電力を用いてモータジェネレータを駆動し、この駆動によって発生した回転動力を用いて駆動輪を駆動する、いわゆるエンジンから駆動輪までのエネルギーの流れがシリーズであるシリーズハイブリッド方式がある。また、ハイブリッド方式としては、上記パラレルハイブリッド方式と上記シリーズハイブリッド方式とを組み合わせたシリーズ・パラレルハイブリッド方式(エンジンの回転動力の一部を発電用モータジェネレータに分配して発電させ、これにより得られた電力により駆動用モータジェネレータを駆動できるように、遊星歯車機構などの動力伝達機構を用いてエンジンと2つのモータジェネレータとを機械的に接続した方式)がある。
【0046】
本実施形態では、パラレルハイブリッド方式の駆動システムを例に挙げて説明するが、以下において説明する本実施形態の電池システム100は、前述した他のハイブリッド方式の駆動システムのバッテリ装置に適用しても構わない。
【0047】
《駆動システムの構成》
図示省略した車体のフロント部或いはリア部には車軸3が回転可能に軸支されている。車軸3の両端には一対の駆動輪2が設けられている。図示省略したが、車体のリア部或いはフロント部には、両端に一対の従動輪が設けられた車軸が回転可能に軸支されている。HEV1では、駆動輪2を前輪とし、従動輪を後輪とした前輪駆動方式を採用している。駆動方式としては後輪駆動方式や4輪駆動方式(前後輪の一方をエンジン駆動装置により駆動し、他方を電動駆動装置により駆動する方式)を採用しても構わない。
【0048】
車軸3の中央部にはデファレンシャルギア(以下、「DEF」と記述する)7が設けられている。車軸3はDEF7の出力側に機械的に接続されている。DEF7の入力側には変速機6の出力軸が機械的に接続されている。DEF7は、変速機6によって変速されて伝達された回転駆動力を左右の車軸3に分配する差動式動力分配機構である。変速機6の入力側にはモータジェネレータ10出力側が機械的に接続されている。モータジェネレータ10の入力側には、動力伝達制御機構であるクラッチ5を介してエンジン4の出力側が機械的に接続されている。クラッチ5は、エンジン4の回転動力を駆動輪2に伝達する場合には締結状態になり、エンジン4の回転動力を駆動輪2に伝達しない場合には切離し状態になるように制御される。
【0049】
モータジェネレータ10及びクラッチ5は、変速機6の筐体の内部に収納されている。
【0050】
《モータジェネレータの構成》
モータジェネレータ10は、電機子巻線12を備えた電機子(本実施形態では固定子)11と、電機子11に空隙を介して対向配置され、永久磁石14を備えた界磁(本実施形態では回転子)13を有する回転電機であり、HEV1の力行時にはモータとして、HEV1の回生時や発電が必要な時にはジェネレータとして、それぞれ機能する。
【0051】
本実施形態では、モータジェネレータ10として、三相交流同期機(永久磁石界磁型)を用いた場合を例に挙げて説明するが、他の三相交流同期機(巻線界磁型)や三相交流誘導機(界磁鉄心に短絡された導体バーが装着された界磁を用いたもの)を用いても構わない。
【0052】
《モータジェネレータの動作》
モータジェネレータ10がモータとして機能する場合、すなわちHEV1の力行時やエンジン4を始動する時など、回転動力が必要な運転モードにある場合には、電池システム100に蓄積された電気エネルギーがインバータ装置20を介して電機子巻線12に供給される。これにより、モータジェネレータ10は電機子11と界磁13との間の磁気的作用により回転動力(機械エネルギー)を発生し、その回転動力を出力する。モータジェネレータ10から出力された回転動力は、HEV1の力行時には、変速機6及びDEF7を介して車軸3に伝達され、駆動輪2を駆動し、エンジン4の始動時には、クラッチ5を介してエンジン4に伝達され、エンジン4を駆動する。
【0053】
モータジェネレータ10がジェネレータとして機能する場合、すなわちHEV1の減速時や制動時などの回生時及びHEV1の走行中に電池システム100の充電が必要な時など、発電が必要な運転モードにある場合には、駆動輪2或いはエンジン4から伝達された機械エネルギー(回転動力)がモータジェネレータ10に伝達され、モータジェネレータ10が駆動される。このように、モータジェネレータ10が駆動されると、電機子巻線12には電機子11と界磁13との間の磁気的作用により電圧が誘起される。これにより、モータジェネレータ10は電力を発生し、その電力を出力する。モータジェネレータ10から出力された電力はインバータ装置20を介して電池システム100に供給される。これにより、電池システム100は充電される。
【0054】
《インバータ装置の構成》
モータジェネレータ10の駆動は、電機子11と電池システム100との間の電力がインバータ装置20によって制御されることにより制御される。すなわちインバータ装置20はモータジェネレータ10の制御装置である。
【0055】
インバータ装置20は、スイッチング半導体素子のスイッチング動作によって電力を直流から交流に、交流から直流に変換する電力変換装置であり、パワーモジュール21、パワーモジュール21に実装されたスイッチング半導体素子を駆動する駆動回路23、パワーモジュール21の直流側に電気的に並列に接続され、直流電圧を平滑する電解コンデンサ22、及びパワーモジュール21のスイッチング半導体素子のスイッチング指令を生成し、このスイッチング指令に対応する信号を駆動回路23に出力するモータ制御装置24を備えている。
【0056】
パワーモジュール21は、二つの(上アーム及び下アームの)スイッチング半導体素子を電気的に直列に接続し直列回路(一相分のアーム)が三相分、電気的に並列に接続(三相ブリッジ接続)されて電力変換回路が構成されるように、六つのスイッチング半導体素子を基板上に実装し、アルミワイヤなどの接続導体によって電気的に接続した構造体である。
【0057】
スイッチング半導体素子としては金属酸化膜半導体型電界効果トランジスタ(MOSFET)或いは絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)を用いている。ここで、電力変換回路をMOSFETによって構成する場合、ドレイン電極とソース電極との間には寄生ダイオードが存在するので、別途、それらの間にダイオード素子を実装する必要がない。一方、電力変換回路をIGBTによって構成する場合、コレクタ電極とエミッタ電極との間にはダイオード素子が存在していないので、別途、それらの間にダイオード素子を電気的に逆並列に接続する必要がある。
【0058】
各上アームの下アーム接続側とは反対側(IGBTの場合、コレクタ電極側)はパワーモジュール21の直流側から外部に導出され、電池システム100の正極側に電気的に接続されている。各下アームの上アーム接続側とは反対側(IGBTの場合、エミッタ電極側)はパワーモジュール21の直流側から外部に導出され、電池システム100の負極側に電気的に接続されている。各アームの中点、すなわち上アームの下アーム接続側(IGBTの場合、上アームのエミッタ電極側)と下アームの上アーム接続側(IGBTの場合、下アームのコレクタ電極側)との接続点はパワーモジュール21の交流側から外部に導出され、電機子巻線12の対応する相の巻線に電気的に接続されている。
【0059】
電解コンデンサ22は、スイッチング半導体素子の高速スイッチング動作に起因して生じる電圧変動を抑制する平滑用コンデンサである。平滑用コンデンサとしては電解コンデンサ22の代わりにフィルムコンデンサを用いてもよい。
【0060】
モータ制御装置24は、車両全体の制御を司る車両制御装置8から出力されたトルク指令信号を受けて、六つのスイッチング半導体素子に対するスイッチング指令信号(例えばPWM(パルス幅変調)信号)を生成し、駆動回路23に出力する電子回路装置であり、マイクロコンピュータなどの演算処理装置を含む複数の電子部品が回路基板に実装されることにより構成され、パワーモジュール21とは熱的に隔絶されたインバータ筐体内に配置されている。
【0061】
駆動回路23は、モータ制御装置24から出力されたスイッチング指令信号を受けて、六つのスイッチング半導体素子に対する駆動信号を生成し、六つのスイッチング半導体素子のゲート電極に出力する電子回路装置であり、スイッチング半導体素子や増幅器などの複数の電子部品が回路基板に実装されることにより構成され、パワーモジュール21の近傍、例えばパワーモジュール21のケース上部に配置されている。
【0062】
《車両制御装置の機能的構成》
車両制御装置8は、運転者からのトルク要求、車両の速度など、車両の運転状態を示す複数の状態パラメータに基づいて、モータ制御装置24に対するモータトルク指令信号及びエンジン制御装置(図示省略)に対するエンジントルク指令信号をそれぞれ生成し、それぞれトルク指令信号を、対応する制御装置に出力している。
【0063】
尚、エンジン制御装置は、エンジン4のコンポーネントである空気絞り弁、燃料噴射弁、吸排気弁などの駆動を制御する電子機器である。
【0064】
《電池システムの構成》
電池システム100は、モータジェネレータ200の駆動用電源として、インバータ装置20によって充放電される電源装置であり、主要な構成として、電池モジュール(蓄電モジュール)200及び制御装置を備えている。
【0065】
電池モジュール200は、直流電力を充放電(電気エネルギーを蓄積及び放出)するための複数の電池セル201が電気的に直列に接続された組電池を備えている。組電池の一方側端部の正極、すなわち最高電位端は、ジャンクションボックス30の正極側リレー31を介してインバータ装置20のパワーモジュール21の直流側正極端子に電気的に接続されている。組電池の他方側端部の負極、すなわち最低電位端は、ジャンクションボックス30の負極側リレー32を介してインバータ装置20のパワーモジュール21の直流負極端子に電気的に接続されている。
【0066】
制御装置は、複数の電子回路部品から構成された電子回路であり、機能上、2つの階層に分かれて構成されている。具体的には、電池システム100内において上位(親)に相当するバッテリ制御装置400、及びバッテリ制御装置400に対して下位(子)に相当するセル制御装置300から構成されている。バッテリ制御装置400及びセル制御装置300の両者は、電気的な絶縁部品であるフォトカプラ310が設けられた信号伝送路に電気的に接続されており、その信号伝送路を介して電気信号(シリアル信号)を伝送して通信している。
【0067】
セル制御装置300は、複数の電池セル201のそれぞれの状態を管理及び制御している。具体的には、複数の電池セル201のそれぞれの電圧及び異常(過充放電)を検出していると共に、複数の電池セル201の間の充電状態を調整している。
【0068】
バッテリ制御装置400は、電池モジュール200(組電池)の状態を管理及び制御している。具体的には、電池モジュール200(組電池)の充電状態(SOC)、劣化状態(SOH:State Of Health)を推定演算していると共に、複数の電池セル201の間の充電状態のばらつきを演算して、複数の電池セル201の間の充電状態(SOC)の調整をセル制御装置300に指示しており、かつ電池モジュール200(組電池)の充放電可能な許容値を演算して、インバータ装置20に提供し、その許容範囲内において電池モジュール200(組電池)がインバータ装置20によって充放電されるように、電池モジュール200の充放電を制御している。
【0069】
電池モジュール200及び制御装置は、計測器,冷却装置(例えば冷却媒体として冷却空気を採用する場合には電池モジュール200に送風する冷却ファン)などを含む他の構成部品と共に1つの電源筐体内に収納されている。電源筐体は、車室内の座席の下或いはトランクルーム若しくは床下などに設置される。電源筐体には、インバータ装置20など、電池システム100と同様の高電圧機器を1つに纏めて収納してもよい。
【0070】
《低圧バッテリ装置との接続関係》
電池モジュール200には、電池システム100よりも公称出力電圧の低い低圧バッテリ装置(図示省略)が電気的に接続されている。
【0071】
低圧バッテリ装置は、ライトやオーディオなどの車載補機及び電子制御装置などを駆動する電源装置である、公称出力電圧12ボルトの鉛電池であり、図示省略したDC−DCコンバータを介して電池モジュール200に電気的に接続されている。
【0072】
DC−DCコンバータは、入力された直流電力を、所定の電圧に昇降圧された直流電力に変換して出力する電力変換装置である。本実施形態では、DC−DCコンバータは、主に、電池モジュール200から出力された、高電圧の直流電力を、低圧バッテリ装置の端子電圧まで降圧した直流電力に変換し、低圧バッテリ装置に供給するときに使われる。
【0073】
《ジャンクションボックスの構成》
電池モジュール200とパワーモジュール21との間の電路途中にはジャンクションボックス30が設けられている。
【0074】
ジャンクションボックス30には、電池モジュール200とパワーモジュール21との間を電気的に接続、遮断する機構として、正極側の電路に対応して設けられた正極側リレー機構31と、負極側の電路に対応して設けられた負極側リレー機構32とが収納されている。正極側リレー機構31及び負極側リレー機構32の詳細な構成については後述する。
【0075】
尚、本実施形態では、正極側リレー機構31及び負極側リレー機構32を、電池筐体とは別個に設けられたジャンクションボックス30に収納した場合を例に挙げて説明するが、それらの機構を電源筐体内に収納するようにしてもよい。
【0076】
《車載制御装置の関係》
前述の通り、HEV1には、車両制御装置8、モータ制御装置24、バッテリ制御装置400、エンジン制御装置(図示省略)を含む複数の制御装置が搭載されている。複数の制御装置は、車載用の制御装置エリアネットワーク(CAN:Controller Area Network)に電気的に接続され、お互いに通信することができる構成になっている。例えばバッテリ制御装置400は、電池モジュール200(組電池)の充放電を制御するための許容充放電電力(電流)値に関する情報を、CANを介して車両制御装置8或いはモータ制御装置24に送信している。
【0077】
《電池システムの具体的な構成》
次に、図2乃至図4を用いて、電池システム100の構成について具体的に説明する。
【0078】
まず、図2を用いて、電池システム100の全体構成を具体的に説明する。
【0079】
《電池モジュールの構成》
電池モジュール200は、電気的に直列に接続された複数の電池セル201を備えた高電位側電池モジュール210と、電気的に直列に接続された複数の電池セル201を備えた低電位側電池モジュール220とがサービスディスコネクト(SD)スイッチ230を介して電気的に直列に接続されることにより構成されている。
【0080】
サービスディスコネクトスイッチ230は、機械的なスイッチ機構とヒューズとが電気的に直列に接続された直列回路であり、電池システム100の保守・点検時、作業員がスイッチ機構を操作して直列回路を開路状態とし、高電位側電池モジュール210と低電位側電池モジュール220との間の電気的な接続を遮断する安全機構である。本実施形態によれば、サービスディスコネクトスイッチ230を備えているので、点検時に作業者が誤って強電ラインHV+,HV−の間に触れても、作業者が感電することがなく、作業者の安全性を確保することができる。
【0081】
高電位側電池モジュール210及び低電位側電池モジュール220は、それぞれ、電気エネルギーの蓄積及び放出(直流電力の充放電)が可能な複数の電池セル201(リチウムイオン二次電池)を備えている。複数の電池セル201は、収納ケース(モジュールケース)の内部に配置されて電気的に直列に接続されている。電池セル201は、電池モジュール200における最小の構成単位であり、単電池と呼ばれる場合もある。電池セル201の公称出力電圧は3.0〜4.2ボルト(平均公称出力電圧が3.6ボルト)である。
【0082】
高電位側電池モジュール210及び低電位側電池モジュール220のそれぞれにおいて、複数の電池セル201は、その状態管理上及び制御上、所定の単位数により区分されて複数の単電池群に分けられている。別な言い方をすれば、所定の数の電池セル201が電気的に直列に接続されて一つの電池群が構成され、その単電池群が複数、電気的に直列に接続されて一つの単位組電池が構成されている。所定の単位数としては、例えば4個,6個,10個,12個・・・というように、最高電位側から最低電池側に向かって電位の順にしたがって等区分とする。また、所定の単位数としては、4個と6個との組み合わせ・・・というように、最高電位側から最低電池側に向かって電位の順にしたがって複合区分とする場合もある。
【0083】
《電池モジュールとリレー機構との関係》
電池モジュール200の正極側(高電位側電池モジュール210の正極側)とインバータ装置20の正極側との間の強電正極ラインHV+の途中には正極側リレー機構31が設けられている。正極側リレー機構31は、構成要素として、正極側メインコンタクタ33と、プリチャージ抵抗35と、プリチャージ抵抗35に電気的に接続されたプリチャージコンタクタ34とを備えている。正極側メインコンタクタ33はメイン回路に設けられている。プリチャージ抵抗35及びプリチャージコンタクタ34はプリチャージ回路に設けられている。プリチャージ回路は、正極側メインコンタクタ33をバイパスするように、メイン回路に対して電気的に並列に接続されている。
【0084】
電池モジュール200の負極側(低電位側電池モジュール220の負極側)とインバータ装置20の負極側との間の強電負極ラインHV−の途中には、負極側メインコンタクタ36が設けられたメイン回路を構成する負極側リレー機構32が設けられている。
【0085】
尚、本実施形態では、電池モジュール200の負極側(低電位側電池モジュール220の負極側)とインバータ装置20の負極側との間の強電負極ラインHV−の途中に負極側リレー機構32を設けた場合を例に挙げて説明するが、負極側リレー機構32は省略しても構わない。
【0086】
《セル制御装置の構成》
セル制御装置300は、バッテリ制御装置400から出力された指令信号に基づいて、バッテリ制御装置400の手足となって動作し、複数の電池セル201のそれぞれの状態を管理及び制御する複数のセルコンIC330を備えている。
【0087】
セルコンIC330は、複数の電池群のそれぞれに対応して設けられており、対応する電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子電圧を検出している。また、セルコンIC330は、対応する電池群を構成する複数の電池セル201のうち、充電状態の調整が必要な電池セル201がある場合には、バッテリ制御装置400からの指令信号に基づいて、対象の電池セル201を放電させている。
【0088】
《バッテリ制御装置の構成》
バッテリ制御装置400は、電池モジュール200の状態を管理すると共に、車両制御装置8又はモータ制御装置24に許容充放電量(範囲)を通知して、電池モジュール200に対する電気エネルギーの出し入れ(直流電力の充放電)を制御する電子制御装置であり、マイクロコントローラ(以下、「MC」と略称する。)410、電源回路420、インターフェース回路430,431、記憶装置440、増幅器450、基準電圧回路460、CANポート470を含む複数の電子回路部品が回路基板に実装されることにより構成されている。
【0089】
MC410は、電池モジュール200の状態を演算すると共に、その演算結果を車両制御装置8又はモータ制御装置24に出力する演算処理装置であり、集積回路に集積されて構成されている。例えばMC410は、電池モジュール200の状態(SOC、SOH)、電池モジュール200の充放電を制御するための許容充放電電力(電流)値、複数の電池セル201の充電状態のばらつき、このばらつきに伴うバランシング制御のための指令値などを演算している。
【0090】
電源回路420は、14ボルト系の低圧バッテリ装置から供給された12ボルトの公称出力電圧を例えば5ボルトの電圧に降圧し、これをMC410の動作電源電圧としてMC410に供給するレギュレータ回路である。
【0091】
記憶装置440は、MC410がSOCやSOHなどの演算処理を実行するためのプログラム、電池セル201の初期特性、予め実験などにより構築したSOCと温度と内部抵抗との関係を示すマップなどの特性データなどを格納した半導体装置である。本実施形態では、記憶装置440として、消去や再書き込みが可能な不揮発性の読み出し専用メモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を用いている。この他にもバッテリ制御装置400は記憶装置を備えている。例えばMC410には、読み書き可能なメモリであるRAM(Random Access Memory)が設けられている。
【0092】
基準電圧回路460は、MC410のアナログ−デジタル変換器に入力された入力信号と比較される基準電圧を生成し、この生成した基準電圧をMC410のアナログ−デジタル変換器に供給するための電圧発生回路である。
【0093】
増幅器450は、電池モジュール200の正極と負極との間の端子電圧(総電圧)を取り込むための電圧センサを構成する電子回路部品である。
【0094】
インターフェース回路430,431は、バッテリ制御装置400に入力された外部からのアナログ信号を、MC410に入力できる(MC410が読み取れる)アナログ信号に変換するための信号入出力処理回路である。
【0095】
CANポートは、CANのインターフェース回路であり、CANを介してバッテリ制御装置400に入力されたデジタル信号を、MC410に入力できる(MC410が読み取れる)デジタル信号に変換するための信号入出力処理回路である。
【0096】
また、バッテリ制御装置400は、図示省略したが、リーク検出器(電池モジュール200からモータジェネレータ10に至るまでの強電系と、弱電系の基準電位となるシャーシグランドとの間が電気的に接続されて(短絡して)いるか否かを検出するための計測器)を備えている。リーク検出器は、MC410のデジタル処理部及びアナログ処理部から構成されており、電池モジュール200からモータジェネレータ10までの強電系と、弱電系の基準電位となるシャーシグランドとの間が電気的な接続されてリークが生じているか否かを検出している。
【0097】
リーク検出方式には交流方式及び直流方式と呼ばれる両方式がある。交流方式は、電池モジュール200の正極側或いは負極側に電気的に接続された容量性結合素子(カップリングコンデンサ)に対してMC410から交流波形(例えば矩形波)を注入し、この注入によって得られた応答波形のデジタル値と閾値とを比較することにより、リークの有無を検出する方式である。直流方式は、電池モジュール200の正極とシャーシグランドとの間に電気的に接続される第1抵抗分圧回路及び電池モジュール200の負極とシャーシグランドとの間に電気的に接続された第2抵抗分圧回路から得られた電圧のデジタル値のそれぞれに対応する絶縁抵抗を演算し、それらの比が所定の閾値の範囲にあるか否かを比較することにより、リークの有無を検出する方式である。
【0098】
MC410には、リーク検出器のアナログ処理部において処理されて得られた応答波形或いは電圧に関するアナログ値が入力されている。MC410は、そのアナログ値をアナログデジタル変換器によってデジタル値に変換し、予め設定されたリーク判定用閾値とそのデジタル値とを比較演算してリーク検出の有無を判断する。リークが検出されると、MC410は、CNAを介して、その情報を車両制御装置8又はモータ制御装置24に通知する。
【0099】
《センサの構成》
図2に示すように、電池モジュール200の正極側とインバータ装置20(パワーモジュール21)の正極側との間の充放電路(強電正極側ラインHV+)には、電池モジュール200からインバータ装置20(パワーモジュール21)に供給される電流、或いはインバータ装置20(パワーモジュール21)から電池モジュール200に供給される電流を検出するための電流センサSiが設けられている。電流センサSiはジャンクションボックス30に収納されている。電流センサSiの出力(アナログ信号)はインターフェース回路430を介してMC410のアナログデジタル変換器に入力されている。これにより、電池モジュール200の充放電電流を検出することができる。
【0100】
バッテリ制御装置400は、電池モジュール200の正極(高電位側電池モジュール210の正極)及び負極(低電位側電池モジュール220の負極)の間の電圧(総電圧)を検出するための電圧センサを備えている。電圧センサは、電池モジュール200の正極(高電位側電池モジュール210の正極)及び負極(低電位側電池モジュール220の負極)の間に電気的に接続された分圧抵抗(図示省略)、分圧抵抗の中点から出力されたアナログ信号を増幅する増幅器450から構成されている。電圧センサの出力(アナログ信号)はMC410のアナログデジタル変換器に入力されている。これにより、電池モジュール200の総電圧を検出することができる。
【0101】
電池モジュール200の内部には、温度計測器(回路)又はサーミスタや熱電対などの温度センサ(図示省略)が複数、設けられている。複数の温度センサの出力(アナログ信号)はインターフェース回路431を介してMC410のアナログデジタル変換器に入力されている。これにより、電池セル201の温度、電池セル210を冷却するために電池モジュール200に吸排気される冷却媒体の温度などを検出することができる。
【0102】
《通信回路の構成》
バッテリ制御装置400及びセル制御装置300は、お互いに電気信号の授受ができるように通信回路によって接続されている。通信回路は、異なるシリアル信号を送信するように、第1及び第2通信回路から構成されている。第1通信回路は、複数ビットのデータ長で構成されたシリアル信号を伝送するように構成されている。第2通信回路は、1ビットのデータ長で構成されたシリアル信号を伝送するように構成されている。第1及び第2通信回路には、CANのサブネットワークであるLIN(Local Interconnect Network)を用いている。
【0103】
本実施形態では、二つの通信回路を備えた場合を例に挙げて説明するが、通信回路の数としては1つ或いは3つ以上であっても構わない。
【0104】
また、本実施形態では、高電位側電池モジュール210に対して二つの通信回路を構成し、低電位側電池モジュール220に対して二つの通信回路を構成し、というように、高電位側電池モジュール210と低電位側電池モジュール220とで通信回路を分けて構成した場合を例に挙げて説明するが、高電位側電池モジュール210及び低電位側電池モジュール220の両者に対して共通に二つの通信回路を構成するようにしても構わない。また、二つの通信回路のうち、一方の通信回路は、高電位側電池モジュール210と低電位側電池モジュール220とで分けて構成し、他方の通信回路は、高電位側電池モジュール210及び低電位側電池モジュール220の両者に対して共通に構成するようにしてもよい。
【0105】
尚、図2では、図示の便宜上、通信回路を1本の矢印線で図示している。
【0106】
複数ビットのデータ長で構成されたシリアル信号としては、MC410からセル制御装置300に対して出力される指令信号がある。指令信号は、第1通信回路によって、MC410から複数のセルコンIC330のうちの一つに伝送され、この一つのセルコンIC330から他のセルコンIC330に順次、伝送され、他のセルコンIC330の一つからMC410に伝送される。
【0107】
指令信号としては、複数のセルコンIC330によって検出された、対応する電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの端子電圧の出力を、複数のセルコンIC330のそれぞれに要求するための指令信号、電池セル201の充電状態の調整を、充電状態調整対象の電池セル201に対応するセルコンIC330に実行させるための指令信号、複数のセルコンIC330を起動させるための指令信号、複数のセルコンIC330を休止させるための指令信号、複数のセルコンIC330のいずれかから通知された異常の内容を確認するための指令信号、複数のセルコンIC330のそれぞれのアドレスを設定するための指令信号などがある。
【0108】
1ビットのデータ長で構成されたシリアル信号としては、異常有無を示すHigh/Lowレベルのフラグ信号、異常を確認するHigh/Lowレベルのテスト信号がある。
【0109】
フラグ信号は、複数のセルコンIC330のそれぞれにおいて、内部回路や回路素子に、例えば各電池セル201の端子電圧を検出する電圧検出回路や、バイパス回路を構成するスイッチング半導体素子に異常がある場合、或いは電池群を構成する複数の電池セル201のいずれかに過充放電(特に過充電)の異常がある場合、異常を検出したセルコンIC330から第2通信回路に出力され、第2通信回路によってMC410に伝送される。これにより、MC410は異常有無を速やかに認知でき、車両制御装置8及びモータ制御装置24などの上位制御装置に異常有無を速やかに通報できると共に、正極側リレー機構31及び負極側リレー機構32を開放し、電池モジュール200の充放電を禁止するなどの異常対応を速やかに実行できる。
【0110】
テスト信号は、第2通信回路が断線しているか否や、複数のセルコンIC330のそれぞれにおいて、第2通信回路に電気的に接続された通信部に異常があるか否かを確認するための信号であって、第2通信回路によって、MC410から複数のセルコンIC330のうちの一つに伝送され、この一つのセルコンIC330から他のセルコンIC330に順次、伝送され、他のセルコンIC330の一つからMC410に伝送される。もし、第2通信回路が断線している場合、或いは複数のセルコンIC330の一つの通信部に異常がある場合には、例えばMC410から出力されたHighレベルのテスト信号がLowレベルの信号としてMC410に戻ってくる。これにより、MC410は第2通信回路や複数のセルコンIC330の通信部の異常を検知することができる。
【0111】
MC410及び複数のセルコンIC330は動作電源が異なり、お互いに基準電位が異なる。すなわち複数のセルコンIC330は、シャーシグランドから浮動状態にある電池モジュール200を電源としているのに対して、MC410は、シャーシグランドを基準電位とする車載補機駆動用の低圧バッテリ装置(例えば14ボルト系バッテリ装置)を電源としている。このため、第1及び第2通信回路のそれぞれのバッテリ制御装置400とセル制御装置300との間の二つの通信線(信号伝送路)のそれぞれの途中には、絶縁素子であるフォトカプラ310が設けられており、フォトカプラ310の一方側の通信線(信号伝送路)とフォトカプラ310の他方側の通信線(信号伝送路)との間が電気的に絶縁されている。これにより、バッテリ制御装置400とセル制御装置300との間において、基準電位の異なる電気信号によって通信することができる。
【0112】
フォトカプラ310は、電気信号を発光側において光信号に変換して受光側に伝送し、受光側路において光信号を電気信号に変換する光学素子である。
【0113】
本実施形態では、絶縁素子として、フォトカプラ310を設けた場合を例に挙げて説明するが、カップリングコンデンサ,変圧器などの他の絶縁素子を用いても構わない。カップリングコンデンサは直流電流の流れを阻止し、交流電流(電気信号)を流す容量性結合素子である。変圧器は電気信号を一次側において磁気信号に変換して二次側に伝送し、二次側において磁気信号を電気信号に変換する磁気素子である。
【0114】
セル制御装置300内では、第1及び第2通信回路は、セルコンIC330の基準電位の順にしたがって電気信号が複数のセルコンIC330の間を直列に伝送するように構成されている。すなわち基準電位の隣り合う二つのセルコンIC330の間に、一方のセルコンIC330の通信部から出力された電気信号が、他方のセルコンICの通信部に入力されるように、二つの通信線が設けられ、二つの信号線のそれぞれの一方側に、基準電位の隣り合う二つのセルコンIC330の一方側の通信部が、二つの信号線のそれぞれの他方側に、基準電位の隣り合う二つのセルコンIC330の他方側の通信部が、それぞれ電気的に接続されている。これにより、複数のセルコンIC330の間には、基準電位の最も大きいセルコンIC330から、基準電位の最も小さいセルコンIC330に向かって、電気信号を複数のセルコンIC330に順次、直列に伝送する第1及び第2通信回路が形成される。
【0115】
複数のセルコンIC330の間の電気信号は非絶縁の状態で伝送されている。ここで、非絶縁という状態とは、基準電位の隣り合う二つのセルコンIC330が電気的に接続され、一方のセルコンIC330の通信部から出力された直流電流及び交流電流(電気信号)が、他方のセルコンIC330の通信部に流れる状態を示す。この場合、一方のセルコンIC330の通信部と他方のセルコンIC330の通信部との間に抵抗などのフィルタ回路が設けられていても構わない。また、非絶縁という状態とは、一方のセルコンIC330の通信部と他方のセルコンIC330の通信部との間にカップリングコンデンサが設けられ、一方のセルコンIC330の通信部と他方のセルコンIC330の通信部との間において直流電流は流れないが、交流電流(電気信号)は流れる状態を示す。
【0116】
以上説明したように、本実施形態では、バッテリ制御装置400とセル制御装置300との間に、MC410から出力された電気信号が、フォトカプラ310を介して、MC410から複数のセルコンIC330のうちの一つに伝送され、この一つのセルコンIC330から他のセルコンIC330に順次、伝送され、フォトカプラ310を介して、他のセルコンIC330の一つからMC410に伝送される、というように、ループ状に通信回路を構成している。
【0117】
尚、MC410に対して複数のセルコンIC330が芋づる式或いは数珠繋ぎ式に直列に接続された構成をデイジーチェーン接続という。
【0118】
また、本実施形態では、基準電位の最も多きセルコンIC330から、基準電位の最も小さいセルコンIC330に向かって、電気信号が一方向に伝送される通信回路を例に挙げて説明するが、基準電位の最も小さいセルコンIC330から、基準電位の最も多きセルコンIC330に向かって、電気信号が一方向に伝送される通信回路、或いは基準電位の最も小さいセルコンIC330から、基準電位の最も多きセルコンIC330に向かって、電気信号が一方向に伝送され、この後、基準電位の最も多きセルコンIC330から、基準電位の最も多きセルコンIC330に向かって、電気信号が逆方向に一方向に伝送される通信回路を用いても構わない。
【0119】
さらに、本実施形態では、前述したように、高電位側電池モジュール210と低電位側電池モジュール220とで通信回路を分けて構成している。すなわちサービスディスコネクト(SD)スイッチ230を境界にして通信回路を分けている。このような構成を採用する理由は、サービスディスコネクト(SD)スイッチ230による開路によって、高電位側電池モジュール210の低電位側と低電位側電池モジュールイ220の高電位側との間の電位が不安定となり、セルコンIC330に耐圧以上の電圧が印加されることが考えられるからである。このため、上述の構成を採用し、電位変動による過電圧からセルコンIC330を保護している。
【0120】
《セルコンICの構成》
次に、図3を用いて、セルコンIC330の回路構成について説明する。
【0121】
尚、図3では、IC1のセルコンIC330の構成のみを図示しているが、他のセルコンIC330も同じ構成になっている。
【0122】
IC1のセルコンIC330及び他のセルコンIC330は、セル制御装置300を構成する他の電子回路部品と共にセルコントローラ回路基板301に実装されている。
【0123】
IC1のセルコンIC330は、対応する電池群240を構成するBC1〜BC4の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子電圧を検出し、この検出された端子電圧を記憶すると共に、対応する電池群240を構成するBC1〜BC4の電池セル201のそれぞれの異常(過充放電)及び自身の異常を診断し、この診断結果を記憶し、MC410からデータ要求に関する指令信号が伝送されてきた場合には、記憶された端子電圧及び異常診断結果に関するデータを指令信号のデータ領域に書き込んでその指令信号を伝送している。
【0124】
このため、IC1のセルコンIC330には、対応する電池群240を構成するBC1〜BC4の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子電圧を検出するための電圧検出回路370と、対応する電池群240を構成するBC1〜BC4の電池セル201のそれぞれの異常(過充放電)及び自身の異常を診断するための診断回路360とが設けられている。
【0125】
また、IC1のセルコンIC330は、MC410から伝送されてきたバランシングに関する指令信号に基づいて、対応する電池群240を構成するBC1〜BC4の電池セル201のうち、充電状態の調整が必要な電池セル201を放電させ、その電池セル201の充電状態を、基準となる充電状態に近づいて揃うように調整している。
【0126】
このため、IC1のセルコンIC330には、対応する電池群240を構成するBC1〜BC4の電池セル201のうち、充電状態の調整が必要な電池セル201を放電させるためのバランシング制御回路380が設けられている。
【0127】
また、IC1のセルコンIC330には、MC410からの要求或いはバランシングに関する指令信号を入力して、端子電圧などのデータを書き込んだ指令信号を出力すると共に、電池セル201或いはIC1のセルコンIC330自身に異常があった場合に出力されるフラグ信号やテスト信号などを入出力するための信号伝送回路390が設けられている。
【0128】
さらに、IC1のセルコンIC330には、電圧検出回路370及び診断回路360の動作タイミング、バランシング制御回路380の駆動、電圧検出回路370によって検出された端子電圧のデータ及び診断回路360の診断結果によって設定されるフラグの保持、信号伝送回路390に入力された指令信号の解読、データを書き込んだ指令信号及びフラグ信号の出力などを制御するIC制御回路350が設けられている。
【0129】
この他、IC1のセルコンIC330には、セルコンIC330を起動させるための起動回路342や、電圧検出回路370、診断回路360、信号伝送回路390、IC制御回路350に動作電源を供給する電源回路などが設けられている。
【0130】
《電圧検出回路の構成》
IC1のセルコンIC330には、電圧検出回路370に対応して、CV1〜CV4の電圧検出用端子331、及びCV5の電圧検出用端子に相当するグランド端子334(GND)が設けられており、それぞれ、外装パッケージの縁から外部に露出している。
【0131】
CV1〜CV4の電圧検出用端子331及びグランド端子334には、SL1〜SL5の電圧検出線を介して、対応するBC1〜BC4の電池セル201が電気的に接続されている。SL1〜SL5の電圧検出線は、電圧検出線用コネクタ320、電圧検出線用コネクタ320の電池セル側に設けられ、BC1〜BC4の電池セル201に電気的に接続された第1電圧検出線250、電圧検出線用コネクタ320のセルコンIC側に設けられ、IC1のセルコンIC330に電気的に接続された第1電圧検出線302によって構成されている。
【0132】
具体的には、BC1の電池セル201の正極側とCV1の電圧検出用端子331とがSL1の電圧検出線によって、BC1の電池セル201の負極側及びBC2の電池セル201の正極側とCV2の電圧検出用端子331とがSL2の電圧検出線によって、BC2の電池セル201の負極側及びBC3の電池セル201の正極側とCV3の電圧検出用端子331とがSL3の電圧検出線によって、BC3の電池セル201の負極側及びBC4の電池セル201の正極側とCV4の電圧検出用端子331とがSL4の電圧検出線によって、BC4の電池セル201の負極側とグランド端子334とがSL5の電圧検出線によって、それぞれ電気的に接続されている。これにより、BC1〜BC4の電池セル201の端子電圧をIC1のセルコンIC330に取り込むことができる。
【0133】
電圧検出回路370は、CV1〜CV4の電圧検出用端子331及びグランド端子334を介して取り込まれたBC1〜BC4の電池セル201の端子電圧を選択して出力するマルチプレクサ371、マルチプレクサ371から出力された端子電圧の基準電位をIC1のセルコンIC330の基準電位(グランド電位)にレベルシフトする差動増幅器372、及び差動増幅器372から出力された端子電圧を、アナログ信号からデジタル信号に変換してIC制御回路350に出力するアナログ−デジタル変換器373から構成されている。
【0134】
このように構成された電圧検出回路370によれば、BC1〜BC4の電池セル201の端子電圧は、SL1〜SL5の電圧検出線、CV1〜CV4の電圧検出用端子331及びグランド端子334を介して、マルチプレクサ371に入力される。マルチプレクサ371はCV1〜CV4の電圧検出用端子331及びグランド端子334のいずれかを選択し、この選択した端子電圧を差動増幅器372に出力する。差動増幅器372は、マルチプレクサ371から出力された端子電圧の基準電位をセルコンIC330の基準電位(グランド電位)にレベルシフトする。差動増幅器372の出力は、アナログ−デジタル変換器373によりデジタル値に変換される。デジタル値に変換された端子間電圧はIC制御回路350に伝送され、内部のデータ保持回路351に保持される。
【0135】
《バランシング制御回路の構成》
IC1のセルコンIC330には、バランシング制御回路380に対応して、BR1〜BR4のバランシング端子332が設けられており、それぞれ、外装パッケージの縁から外部に露出している。
【0136】
BR1のバランシング端子332はBC1の電池セル201に対応して設けられており、BC1の電池セル201に対応して設けられたCV1及びCV2の電圧検出用端子331の間に配置されている。BR2のバランシング端子332はBC2の電池セル201に対応して設けられており、BC2の電池セル201に対応して設けられたCV2及びCV3の電圧検出用端子331の間に配置されている。BR3のバランシング端子332はBC3の電池セル201に対応して設けられており、BC3の電池セル201に対応して設けられたCV3及びCV4の電圧検出用端子331の間に配置されている。BR4のバランシング端子332はBC4の電池セル201に対応して設けられており、BC4の電池セル201に対応して設けられたCV4の電圧検出用端子331及びグランド端子334の間に配置されている。
【0137】
第2電圧検出線303とBR1のバランシング端子332との間には、CB1の電池セル201に対応して設けられたRB1のバランシング抵抗313が電気的に接続されている。第2電圧検出線303とBR2のバランシング端子332との間には、CB2の電池セル201に対応して設けられたRB2のバランシング抵抗313が電気的に接続されている。第4電圧検出線303とBR3のバランシング端子332との間には、CB3の電池セル201に対応して設けられたRB3のバランシング抵抗313が電気的に接続されている。第4電圧検出線303とBR4のバランシング端子332との間には、CB4の電池セル201に対応して設けられたRB4のバランシング抵抗313が電気的に接続されている。BR1〜BR4のバランシング端子332は、対応する電池セル201のバランシング制御が必要なとき、対応する電池セル201の正極及び負極の間に電気的に接続されて、対応する電池セル201から放電された直流電力を熱として消費するために設けられており、対応する電池セル201に対応して設けられた他の回路素子と電気的に並列に設けられている。
【0138】
BR1のバランシング端子332とCV1の電圧検出用端子331との間には、BC1の電池セル201に対応して設けられたBS1のバランシングスイッチ381が電気的に接続されている。BR2のバランシング端子332とCV3の電圧検出用端子331との間には、BC2の電池セル201に対応して設けられたBS2のバランシングスイッチ381が電気的に接続されている。BR3のバランシング端子332とCV3の電圧検出用端子331との間には、BC3の電池セル201に対応して設けられたBS3のバランシングスイッチ381が電気的に接続されている。BR4のバランシング端子332とグランド端子334との間には、BC4の電池セル201に対応して設けられたBS4のバランシングスイッチ381が電気的に接続されている。これにより、バランシング抵抗313とバランシングスイッチ381とを電気的に直列に接続したバランシング回路が、BC1〜BC4の電池セル201のそれぞれに対応して形成されることになる。
【0139】
BS1〜BS4のバランシングスイッチ381が導通すると、対応する電池セル201と、この電池セル201に対応して設けられたバランシング抵抗313が電気的に接続され、対応する電池セル201が放電される。例えばBS1のバランシングスイッチ381が導通すると、BC1の電池セル201とIC1のセルコンIC330との間には、BC1の電池セル201の正極から、SL1の電圧検出線、CV1の電圧検出用端子331、BS1のバランシングスイッチ381、BR1のバランシング端子332、RB1のバランシング抵抗313、SL2の電圧検出線を順に経由して、BC1の電池セル201の負極に至る閉回路が構成され、BC1の電池セル201からバランシング電流が流れる。
【0140】
BS1〜BS4のバランシングスイッチ381は半導体スイッチによって構成されている。具体的には、バラBS1,BS3のバランシングスイッチ381にはPチャネルMOSFETを、BS2,BS4のバランシングスイッチ381にはNチャネルMOSFETを、それぞれ用いている。
【0141】
BS1〜BS4のバランシングスイッチ381のスイッチング(導通(オン)、開放(オフ))は駆動制御回路382によって制御されている。IC制御回路350は、MC410から出力されたバランシング制御に関する指令信号、すなわち放電対象の電池セル201の情報、その電池セル201における放電時間を含む指令信号に基づいて、放電対象の電池セル201に対応したバランシングスイッチ381を導通させるための指令信号を、放電対象の電池セル201の放電時間を管理しながら、駆動制御回路382に出力する。駆動制御回路382は、IC制御回路350から出力された指令信号に対応した駆動信号を生成し、放電対象の電池セル201に対応したバランシングスイッチ381に出力する。これにより、放電対象の電池セル201に対応したバランシングスイッチ381が導通し、放電対象の電池セル201に対して、上述の閉回路が構成され、放電対象の電池セル201から放電される。
【0142】
尚、セルコンIC330は、バランシング動作中に電池セル201の端子電圧を検出する必要がある。このとき、セルコンIC330は、導通しているバランシングスイッチ381を一旦、開放し、電圧検出終了後に再び導通させる。これは、バランシング抵抗313の電圧降下による影響を受けずに、正しく端子電圧を検出することができるようにするためである。
【0143】
また、セルコンIC330は、電位的に隣接する電池セル201に対応するバランシングスイッチ381が同時に導通しないように、バランシングスイッチ381の導通を、電気的な接続順の奇数番目の電池セル201に対応するバランシングスイッチ381の導通と、偶数番目の電池セル201に対応するバランシングスイッチ381の導通とに分け、これらを交互に実施している。これにより、電位的に隣接する電池セル201のそれぞれに対応して形成されたバランシング回路が電気的に直列に接続され、電位的に隣接する電池セル201の間で閉回路が形成されることを防いでいる。
【0144】
《診断回路の動作》
診断回路360は、電圧検出回路370によるBC1〜BC4の電池セル201の端子電圧の検出期間に同期して動作しており、IC制御回路350から伝送されたBC1〜BC4の電池セル201の端子電圧と、予め設定された過充放電の閾値との比較に基づいて、BC1〜BC4の電池セル201に過充放電の異常があるか無いかを診断している。また、診断回路360は、各回路電圧検出回路370の異常、IC制御回路350の異常、BS1〜BS4のバランシングスイッチ381の異常、IC1のセルコンIC330の温度異常などを診断している。これらの診断の結果は、診断回路360は、異常を示す診断フラグ信号をIC制御回路350に出力する。
【0145】
《IC制御回路の構成》
IC制御回路350は、演算機能を有するロジック回路であり、検出されたBC1〜BC4の電池セル201の端子電圧などに関するデータを保持(記憶)するためのデータ保持回路351、BC1〜BC4の電池セル201の端子電圧の検出や診断回路360による診断を周期的に行わせるためのタイミング制御回路352、診断回路360による各診断の結果を示す診断フラグを保持(記憶)するための診断フラグ保持回路353を備えている。
【0146】
データ保持回路351及び診断フラグ保持回路353はレジスタによって構成されている。
【0147】
データ保持回路351には、アナログ−デジタル変換器373から出力されたBC1〜BC4の電池セル201の端子電圧に関するデータがデジタル信号として入力されている。これにより、データ保持回路351には、BC1〜BC4の電池セル201のそれぞれの端子電圧に関するデータが、BC1〜BC4の電池セル201に対応させて記憶される。
【0148】
診断フラグ保持回路353には、診断回路360から出力された、各診断の結果を示す診断フラグ信号が入力されている。これにより、診断フラグ保持回路353には、各診断の結果を示す診断フラグが各診断に対応させて記憶される。
【0149】
MC410から出力されたデータ要求に関する指令信号がIC制御回路350に入力された場合、データ保持回路351は、データ要求に関する指令信号に対応した検出周期の端子電圧を読み出す。診断フラグ保持回路353は、データ要求に関する指令信号に対応した検出周期の診断フラグを読み出す。IC制御回路350は、データ保持回路351から読み出された端子電圧に関するデータと、診断フラグ保持回路353から読み出された診断フラグとを、データ要求に関する指令信号のデータ領域に書き込み、信号伝送回路390に出力する。
【0150】
また、IC制御回路350は、診断回路360から、電池モジュール200の充放電を禁止する異常、例えば電池セル201の過充電を示す異常の診断フラグが立っている場合には、MC410から出力されたデータ要求に関する指令信号を待たずに、1ビットのデータ長で構成された1パルスのフラグ信号を信号伝送回路390に出力する。
【0151】
《電源回路の構成》
IC1のセルコンIC330には、電源回路に対応して、電源端子333(VCC)及びグランド端子334が設けられており、それぞれ、外装パッケージの縁から外部に露出している。
【0152】
電源端子333は、SL1の電圧検出線を介してBC1の電池セル201の正極に電気的に接続されるように、SL1の電圧検出線を構成する第1電圧検出線302に電気的に接続されている。グランド端子334は、前述のように、SL5の電圧検出線を介してBC4の電池セル201の負極に電気的に接続されている。
【0153】
IC1のセルコンIC330の内部には、少なくとも2種類の電源電圧VCC,VDDが使用できるように電源回路が構成されている。そのうち、電源電圧VCCを出力する電源回路は、電気的に直列に接続されたBC1〜BC4の電池セル201の総電圧(3.6V×4)を供給する回路であり、その一方側(電源側)端が電源端子333に電気的に接続され、その他方側(負荷側)端がマルチプレクサ371、定電圧電源341、信号伝送回路390の入力側に電気的に接続されている。電源電圧VCCを出力する電源回路の基準電位は、グランド端子334の電位、すなわちBC4の電池セル201の負極の電位である。マルチプレクサ371、定電圧電源341、信号伝送回路390の入力側の基準電位もグランド端子334の電位である。
【0154】
定電圧電源341は、電源電圧VCCを入力して、電源電圧VCCよりも低い電源電圧VDD(例えば3V)を生成して出力する、電源電圧VDDの電源回路を構成するレギュレータ回路であり、電気的に接続された、差動増幅器372、アナログ−デジタル変換器373、IC制御回路350、診断回路360、制御信号検出回路344、信号伝送回路390の出力側のそれぞれに対して電源電圧VDDを供給している。電源電圧VDDを出力する電源回路の基準電位は、グランド端子334の電位、すなわちBC4の電池セル201の負極の電位である。差動増幅器372、アナログ−デジタル変換器373、IC制御回路350、診断回路360、制御信号検出回路344、信号伝送回路390の出力側の基準電位もグランド端子334の電位である。
【0155】
《信号伝送回路の構成》
IC1のセルコンIC330には、信号伝送回路390に対応して、第1信号入力端子336(LIN1)、第1信号出力端子337(LIN2)、第2信号入力端子338(FFI)、第2信号出力端子339(FFO)、制御信号端子335(CT)が設けられており、それぞれ、外装パッケージの縁から外部に露出している。
【0156】
第1信号入力端子336には第1信号入力回路391が、第1信号出力端子337には第1信号出力回路392が、第2信号入力端子338には第2信号入力回路393が、第2信号出力端子339に第2信号出力回路394が、制御信号端子335には制御信号検出回路344が、それぞれ電気的に接続されている。
【0157】
第1信号入力回路391、第1信号出力回路392、第2信号入力回路393及び第2信号出力回路394はそれぞれ、IC制御回路350に電気的に接続されている。
【0158】
制御信号検出回路344は、第1信号入力端子336及び第2信号入力端子338に入力される信号が、フォトカプラ310から出力された信号か、それとも、電位的に隣接する他のセルコンIC330から出力された信号かを、制御信号端子335に入力された制御信号に基づいて検出している。これは、フォトカプラ310から出力された信号と、電位的に隣接する他のセルコンIC330から出力された信号とでは出力波形の波高値が異なり、入力された信号を判定するための閾値が異なっているからである。
【0159】
第1信号入力回路391は、電位的に隣接する他のセルコンIC330から出力された信号を入力するための第1入力回路396、フォトカプラ310から出力された信号を入力するための第2入力回路397、第1入力回路396による信号入力と第2入力回路397による信号入力とを切り替えるための切替器395から構成されている。
【0160】
第1入力回路396は、第1信号入力端子336を介して入力された信号と電源電圧VCCとの差分に応じた信号(ローレベルがグランド端子334の電位、ハイレベルがグランド端子334の電位に電源電圧VDDを加えた電位となっている信号)を出力する差動増幅器、及びこの差動増幅器から出力された信号と閾値(電源電圧VDD/2)とを比較し、「1」「0」信号を出力するコンパレータから構成されている。
【0161】
第2入力回路397は、第1信号入力端子336を介して入力された信号(フォトカプラ310から出力された信号のハイレベルがグランド端子334の電位を基準として電源電圧VCCの電位となっている信号)と閾値(電源電圧VCC/2)とを比較し、「1」「0」信号を出力するコンパレータから構成されている。
【0162】
切替器395は、制御信号端子335に印加された制御信号に対応して制御信号検出回路344から出力された信号に基づいて、第1信号入力回路391からIC制御回路350に出力する信号を、第1入力回路396に入力された信号とするか、それとも、第2入力回路397に入力された信号とするかを接点で切り替えており、第1入力回路396に対応した接点と、第2入力回路397に対応した接点とを備えている。
【0163】
IC1のセルコンIC330では、フォトカプラ310から出力された信号が第1信号入力端子336に入力されているので、第2入力回路397に対応した接点が閉じられ、第2入力回路397から出力された信号が信号入力回路391からIC制御回路350に出力される。電位的に隣接する他のセルコンIC330から出力された信号が第1信号入力端子336に入力されている場合には、第1入力回路396に対応した接点が閉じられ、第1入力回路396から出力された信号が信号入力回路391からIC制御回路350に出力される。
【0164】
第2信号入力回路393も第1信号入力回路391と同様に構成されている。
【0165】
第1信号出力回路392は、電気的に直列に接続された二つのスイッチと、この二つのスイッチの開閉(導通、遮断)を制御する制御回路とを備えている。二つのスイッチから構成された直列回路の一端側は電源電圧VDDの電源回路に電気的に接続され、他端側はグランド端子334に電気的に接続されている。二つのスイッチの中点は第1信号出力端子337に電気的に接続されている。このように、第1信号出力回路392は、グランド端子334の電位を基準電位として電源電圧VDDの振幅の信号を出力する。制御回路によって高電位側のスイッチを閉じ、低電位側のスイッチを開くと、ハイレベル(電源電圧VDDの電位)の信号が第1信号出力端子337に出力され、逆に高電位側のスイッチを開き、低電位側のスイッチを閉じると、ローレベル(グランド端子334の電位)の信号が第1信号出力端子337に出力される。
【0166】
第2信号出力回路394も第1信号出力回路392と同様に構成されている。
【0167】
第2信号入力端子338に入力される信号は、異常状態(例えば過充電)を示す、データ長が1ビットで構成されたフラグ信号或いは同じ構成のテスト信号である。第2信号入力端子338にフラグ信号或いはテスト信号が入力されると、その信号は、第2信号入力回路391及びOR回路398を介して第2信号出力回路392に入力され、第2信号出力回路392から第2信号出力端子339を介して出力される。
【0168】
また、診断回路360によって異常(例えば過充電)が検出されると、第2信号入力端子338に入力された信号の内容に関係なく、診断フラグ保持回路353からOR回路398を介して、データ長が1ビットで構成されたフラグ信号が第2信号出力回路392に入力され、第2信号出力回路392から第2信号出力端子339を介して出力される。
【0169】
《起動回路の構成》
IC1のセルコンIC330は、MC410から出力された起動信号に基づいて起動するように、起動回路342及びタイマ回路343を備えている。
【0170】
起動回路342は、起動信号を入力し、タイマ回路343を動作させるための信号を出力する回路であり、フォトカプラ310から入力された信号と閾値(電源電圧VCC/2)とを比較して「1」「0」信号を出力するコンパレータ、電位的に隣接する他のセルコンIC330から入力された信号と閾値(電源電圧VCC+電源電圧VDD/2)とを比較して「1」「0」信号を出力するコンパレータ、二つのコンパレータの出力の論理輪をとって出力するOR回路を備えている。
【0171】
タイマ回路343は、起動回路342のOR回路から出力された信号に基づいて、定電圧電源341と電源電圧VCCを供給する電源回路とを電気的に接続させるための信号を出力するように構成されている。
【0172】
MC410から出力された起動信号は、フォトカプラ310を介して、IC1のセルコンIC330の第1信号入力端子336に入力され、第1信号入力端子336から起動回路342に入力される。起動回路342では、コンパレータの一方において、起動信号と閾値(電源電圧VCC/2)とが比較され、「1」の信号がOR回路を介してタイマ回路343に出力される。これにより、タイマ回路343が動作する。
【0173】
尚、他のセルコンIC330では、電位的に隣接するセルコンIC330から起動信号が入力される。この場合、起動回路342のコンパレータの他方において、起動信号と閾値(電源電圧VCC+電源電圧VDD/2)とが比較され、「1」の信号がOR回路を介してタイマ回路343に出力され、タイマ回路343が動作する。
【0174】
タイマ回路343が動作すると、電源電圧VCCを供給する電源回路と定電圧電源341とを電気的に接続して、定電圧電源341を動作させるための信号が、タマイ回路343から定電圧電源341に出力される。これにより、電源電圧VCCを供給する電源回路と定電圧電源341とが電気的に接続され、電源電圧VCCが定電圧電源341に供給される。電源電圧VCCが定電圧電源341に供給されると、定電圧電源341は、電源電圧VCCを降圧して電源電圧VDDを生成し、差動増幅器372、アナログ−デジタル変換器373、IC制御回路350、診断回路360、制御信号検出回路344、信号伝送回路390の出力側のそれぞれに対して供給する。これにより、差動増幅器372、アナログ−デジタル変換器373、IC制御回路350、診断回路360、制御信号検出回路344、信号伝送回路390の出力側のそれぞれが動作し、これにより、スリープ状態であったIC1のセルコンIC330は動作状態となる。
【0175】
IC1のセルコンIC330が起動すると、IC制御回路350は、第1信号入力端子336及び第1信号入力回路391を介して入力された起動信号を認識し、この認識した起動信号をそのまま第1信号出力回路392から第1信号出力端子337を介して、電位的に隣接する他のセルコンIC330に出力する。これにより、他のセルコンIC330もIC1のセルコンIC330と同様に起動すると共に、起動信号を次の他のセルコンIC330に出力する。
【0176】
《保護回路の構成》
SL1〜SL4の電圧検出線を構成する第1電圧検出線302のそれぞれの途中には電流制限抵抗312(RCV)が電気的に直列に接続されている。電流制限抵抗312は、端子の保護用及びバランシング時に流れる放電電流の制限用として設けられている。
【0177】
SL1〜SL5の電圧検出線を構成する第1電圧検出線302のうち、電位的に隣接する第1電圧検出線302の間のそれぞれには、端子コンデンサ306(CV)及び入力コンデンサ311(Cin)がそれぞれ電気的に接続されている。端子コンデンサ306及び入力コンデンサ311はノイズ対策用として設けられている。
【0178】
IC1のセルコンIC330には、D1のESD保護ダイオード340とD2のESD保護ダイオード340とが電気的に直列に接続されて構成された直列回路であるESD保護回路が設けられている。D1,D2のESD保護ダイオード340によって構成されたESD保護回路は静電気対策用として、CV1〜CV4の電圧検出用端子331及びグランド端子334(SL1〜SL5の電圧検出線)のそれぞれに対応して設けられている。
【0179】
各ESD保護回路のD1,D2のESD保護ダイオード340の間の中点には、CV1〜CV4の電圧検出用端子331及びグランド端子334のうち、対応する端子が電気的に接続されている。各ESD保護回路のD1のESD保護ダイオード340の一端側(D2のESD保護ダイオード340側とは反対側)は電源端子333に電気的に接続されており、電源端子333の電位になっている。各ESD保護回路のD2のESD保護ダイオード340の他端側(D1のESD保護ダイオード340側とは反対側)はグランド端子334に電気的に接続されており、グランド端子334の電位になっている。
【0180】
D1,D2のESD保護ダイオード340は、グランド端子334から電源端子333に向かう方向を順方向としている。
【0181】
《セル制御装置の回路構成》
次に、図4を用いて、IC1,IC2,IC3,・・・,ICnのセルコンIC330によって構成されたセル制御装置300の回路構成について説明する。
【0182】
尚、図4では、図2に示す高電位側電池モジュール210及び低電位側電位モジュール220のどちらか一方側に対応したセル制御装置300の構成を図示している。その他方側に対応したセル制御装置300は、一方側に対応したセル制御装置300と同様に構成されていることから、図4ではその図示を省略している。
【0183】
《単電池群の構成》
図4に示すように、本実施形態では、BC1〜BC4の電池セル201の電気的な直列接続によって第1単電池群240が、BC5〜BC8の電池セル201の電気的な直列接続によって第2単電池群241が、BC9〜BC12の電池セル201の電気的な直列接続によって第3単電池群242が、・・・、BCn−3〜BCnの電池セル201の電気的な直列接続によって第n単電池群243が、それぞれ構成され、というように、四つの電池セル201が電気的に直列に接続されて単電池群(組電池)が複数、構成されている。
【0184】
また、第1単電池群240,第2単電池群241,第3単電池群242,・・・,第n単電池群243は電気的に直列に接続されている。これにより、電池モジュール200には、高電位側電池モジュール210及び低電位側電池モジュール220のそれぞれに対応して、単電池群よりも電池セル210の数が大きい組電池が二つ構成されている。
【0185】
さらに、図2に示すように、高電位側電池モジュール210及び低電位側電池モジュール220は電気的に直列に接続されている。これにより、電池モジュール200には、電位側電池モジュール210及び低電位側電池モジュール220のそれぞれに対応する組電池よりも電池セル201の数が大きい組電池が一つ構成されている。
【0186】
《単電池群とセルコンICとの電気的な接続構成》
セル制御装置回路基板301には、図4に示すように、IC1〜ICnのセルコンIC330が実装されている。IC1〜ICnのセルコンIC330のそれぞれは、第1乃至第n単電池群240〜243のうちのいずれか一つに対応するように設けられている。
【0187】
それらの対応関係について具体的に説明すると、第1単電池群240にはIC1のセルコンIC330が対応して設けられ、第2単電池群241にはIC2のセルコンIC330が対応して設けられ、第3単電池群242にはIC3のセルコンIC330が対応して設けられ、・・・、第n単電池群243にはICnのセルコンIC330が対応して設けられ、というような対応関係になっている。
【0188】
IC1のセルコンIC330の電圧検出用端子331には、図3を用いて説明したように、第1単電池群240を構成するBC1〜BC4の電池セル201のそれぞれの正極及び負極が電気的に接続されている。
【0189】
尚、図4では、図示の便宜上、セルコンIC330の上位から五番目の電位の電圧検出用端子331とグランド端子334とを分離している。セルコンIC330の上位側から五番目の電位の電圧検出用端子331は、図3に示すように、グランド端子334を兼ねてもよいし、図4に示すように、グランド端子334とは分離してもよい。
【0190】
他のセルコンICと他の単電池群との電気的な接続構成も、IC1のセルコンIC330と第1単電池群240との電気的な接続構成と同じである。
【0191】
それらの接続構成の関係について具体的に説明すると、IC2のセルコンIC330の電圧検出用端子331には、第2単電池群241を構成するBC5〜BC8の電池セル201のそれぞれの正極及び負極が電気的に接続され、IC3のセルコンIC330の電圧検出用端子331には、第3単電池群242を構成するBC9〜BC12の電池セル201のそれぞれの正極及び負極が電気的に接続され、・・・、ICnのセルコンIC330の電圧検出用端子331には、第n単電池群243を構成するBCn−3〜BCnの電池セル201のそれぞれの正極及び負極が電気的に接続され、というような電気的な接続構成の関係になっている。
【0192】
これにより、IC1〜ICnのセルコンIC330はそれぞれ、第1乃至第n単電池群240〜243のうち、対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極の間の端子電圧を取り込み、この取り込んだ端子電圧を検出することができる。
【0193】
IC1〜ICnのセルコンIC330のそれぞれのVCCの電源端子333には、第1乃至第n単電池群240〜243のうち、対応する単電池群の最高電位に位置する電池セル201の正極側が電気的に接続されている。
【0194】
それらの接続構成の関係について具体的に説明すると、IC1のセルコンIC330のVCCの電源端子333には、第1単電池群240の最高電位に位置するBC1の電池セル201の正極側が電気的に接続され、IC2のセルコンIC330の電源端子333には、第2単電池群241の最高電位に位置するBC5の電池セル201の正極側が電気的に接続され、IC3のセルコンIC330の電源端子333には、第3単電池群242の最高電位に位置するBC9の電池セル201の正極側が電気的に接続され、・・・、ICnのセルコンIC330の電源端子333には、第n単電池群243の最高電位に位置するBCn−3の電池セル201の正極側が電気的に接続され、というような接続構成の関係になっている。
【0195】
IC1〜ICnのセルコンIC330のそれぞれのグランド端子334には、第1乃至第n単電池群240〜243のうち、対応する単電池群の最低電位に位置する電池セル201の負極側が電気的に接続されている。
【0196】
それらの接続構成の関係について具体的に説明すると、IC1のセルコンIC330のグランド端子334には、第1単電池群240の最低電位に位置するBC4の電池セル201の負極側が電気的に接続され、IC2のセルコンIC330のグランド端子334には、第2単電池群241の最低電位に位置するBC8の電池セル201の負極側が電気的に接続され、IC3のセルコンIC330のグランド端子334には、第3単電池群242の最低電位に位置するBC12の電池セル201の負極側が電気的に接続され、・・・、ICnのセルコンIC330のグランド端子334には、第n単電池群243の最低電位に位置するBCnの電池セル201の負極側が電気的に接続され、というような接続構成の関係になっている。
【0197】
これにより、IC1〜ICnのセルコンIC330はそれぞれ、第1乃至第n単電池群240〜243のうち、対応する単電池群の最低電位に位置する電池セル201の負極側の電位を基準電位として、対応する単電池群の最高電位に位置する電池セル201の正極側の電位と、最低電位に位置する電池セル201の負極側の電位との間の電圧を取り込み、この取り込んだ電圧を動作電源として動作することができる。
【0198】
《電圧検出線の構成》
IC1〜ICnのセルコンIC330の電圧検出端子331とBC1〜BCnの電池セル201の正極及び負極との間の電気的な接続関係にあるもの同士はSL1〜SLnの電圧検出線によって電気的に接続されている。
【0199】
SL1〜SLnの電圧検出線は、電気的に直列に接続されたBC1〜BCnの電池セル201の正極及び負極の電位の大きさに対応して、最高電位から最低電位に向かって、SL1の電圧検出線、SL2の電圧検出線、・・・、SLn−1の電圧検出線、SLnの電圧検出線、という配線順で用いられている。
【0200】
IC1〜ICnのセルコンIC330の電圧検出端子331とBC1〜BCnの電池セル201の正極及び負極との間の電気的な接続関係と、SL1〜SLnの電圧検出線との対応関係について具体的に説明すると、IC1のセルコンIC330の電圧検出端子331とBC1〜BC4の電池セル201の正極及び負極との間の電気的な接続関係にあるもの同士はSL1〜SL5の電圧検出線によって電気的に接続され、IC2のセルコンIC330の電圧検出端子331とBC5〜BC8の電池セル201の正極及び負極との間の電気的な接続関係にあるもの同士はSL6〜SL10の電圧検出線によって電気的に接続され、IC3のセルコンIC330の電圧検出端子331とBC9〜BC12の電池セル201の正極及び負極との間の電気的な接続関係にあるもの同士はSL11〜SL15の電圧検出線によって電気的に接続され、・・・、ICnのセルコンIC330の電圧検出端子331とBCn−3〜BCnの電池セル201の正極及び負極との間の電気的な接続関係にあるもの同士はSLn−4〜SLnの電圧検出線によって電気的に接続され、というような対応関係になっている。
【0201】
SL1〜SL5の電圧検出線は、BC1〜BC4の電池セル201の正極及び負極に電気的に接続された第1電圧検出線250と、IC1のセルコンIC330の電圧検出用端子331に電気的に接続された第1電圧検出線302とが電圧検出線用コネクタ320を介して電気的に接続されることにより構成されている。
【0202】
SL6〜SLnの電圧検出線も同様に構成されている。
【0203】
その構成について具体的に説明すると、SL6〜SL10の電圧検出線は、BC5〜BC8の電池セル201の正極及び負極に電気的に接続された第2電圧検出線251と、IC2のセルコンIC330の電圧検出用端子331に電気的に接続された第2電圧検出線303とが電圧検出線用コネクタ320を介して電気的に接続されることにより構成され、SL11〜SL15の電圧検出線は、BC9〜BC12の電池セル201の正極及び負極に電気的に接続された第3電圧検出線252と、IC3のセルコンIC330の電圧検出用端子331に電気的に接続された第3電圧検出線304とがスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321を介して電気的に接続されることにより構成され、・・・、SLn−4〜SLnの電圧検出線は、BCn−3〜BCnの電池セル201の正極及び負極に電気的に接続された第n電圧検出線253と、ICnのセルコンIC330の電圧検出用端子331に電気的に接続された第n電圧検出線305とがスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321を介して電気的に接続されることにより構成され、というような構成になっている。
【0204】
SL1〜SL10の電圧検出線に対応する電圧検出線用コネクタ320は、雄コネクタ320aと雌コネクタ320bとの対から着脱可能なように構成されている。第1電圧検出線250(第2電圧検出線251)の先端(電池セル201との電気的な接続側とは反対側)には雄コネクタ320aが取り付けられている。第1電圧検出線302(第2電圧検出線303)の先端(セルコンIC330の電圧検出端子331との電気的な接続側とは反対側)には雌コネクタ320bが取り付けられている。電圧検出線用コネクタ320は、セル制御装置回路基板301に実装された雌コネクタ320bに対して雄コネクタ320aが挿入され、雌コネクタ320bに対して雄コネクタ320aが嵌め合わされると、雄コネクタ320aに設けられたジャックに対して、雌コネクタ320bに設けられたピンとが機械的及び電気的に接続されるように構成されている。
【0205】
SL11〜SLnの電圧検出線に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321は、雄コネクタ321aと雌コネクタ321bとの対から着脱可能なように構成されている。第3電圧検出線252(・・・、第n電圧検出線253)の先端(電池セル201との電気的な接続側とは反対側)には雄コネクタ321aが取り付けられている。第3電圧検出線304(・・・、第n電圧検出線305)の先端(セルコンIC330の電圧検出端子331との電気的な接続側とは反対側)には雌コネクタ320bが取り付けられている。電圧検出線用コネクタ321は、セル制御装置回路基板301に実装された雌コネクタ321bに対して雄コネクタ321aが挿入され、雌コネクタ321bに対して雄コネクタ321aが嵌め合わされると、雄コネクタ321aに設けられたジャックに対して、雌コネクタ321bに設けられたピンとが機械的及び電気的に接続されるように構成されている。
【0206】
《セル制御装置の電源回路の構成》
IC1〜ICnのセルコンIC330のそれぞれの電源端子333と、対応する最高電位の電池セル201の正極との間は、セルコンIC330と単電池群との対において、最高電位の電圧検出線と電源端子333とをセル制御装置回路基板301上で接続線によって電気的に接続することにより電気的に接続されている。
【0207】
その電気的な接続構成について具体的に説明すると、IC1のセルコンIC330の電源端子333はSL1の電圧検出線(最高電位の第1電圧検出線302)にセル制御装置回路基板301上で接続線によって電気的に接続されることにより電気的に接続され、IC2のセルコンIC330の電源端子333はSL6の電圧検出線(最高電位の第2電圧検出線303)にセル制御装置回路基板301上で接続線によって電気的に接続されることにより電気的に接続され、IC3のセルコンIC330の電源端子333はSL11の電圧検出線(最高電位の第3電圧検出線304)にセル制御装置回路基板301上で接続線によって電気的に接続されることにより電気的に接続され、・・・、ICnのセルコンIC330の電源端子333はSLn−4の電圧検出線(最高電位の第n電圧検出線305)にセル制御装置回路基板301上で接続線によって電気的に接続されることにより電気的に接続され、というような接続構成になっている。
【0208】
IC1〜ICnのセルコンIC330のそれぞれのグランド端子334と、対応する最低電位の電池セル201の負極との間は、セルコンIC330と単電池群との対において、最低電位の電圧検出線とグランド端子334とをセル制御装置回路基板301上で接続線によって電気的に接続することにより電気的に接続されている。
【0209】
その電気的な接続構成について具体的に説明すると、IC1のセルコンIC330のグランド端子334はSL5の電圧検出線(最低電位の第1電圧検出線302)にセル制御装置回路基板301上で接続線によって電気的に接続されることにより電気的に接続され、IC2のセルコンIC330のグランド端子334はSL10の電圧検出線(最低電位の第2電圧検出線303)にセル制御装置回路基板301上で接続線によって電気的に接続されることにより電気的に接続され、IC3のセルコンIC330のグランド端子334はSL15の電圧検出線(最低電位の第3電圧検出線304)にセル制御装置回路基板301上で接続線によって電気的に接続されることにより電気的に接続され、・・・、ICnのセルコンIC330のグランド端子334はSLnの電圧検出線(最低電位の第n電圧検出線305)にセル制御装置回路基板301上で接続線によって電気的に接続されることにより電気的に接続され、というような接続構成になっている。
【0210】
IC1〜ICnのセルコンIC330のそれぞれを、電気的に直列に接続されたBC1〜BCnの電池セル201のうち、電気的に直列に接続された所定数の電池セル201からなる単電池群に電気的に接続し、IC1〜ICnのセルコンIC330のそれぞれを、対応する単電池群から印加された電圧を電源電圧として動作させるためには、IC1〜ICnのセルコンIC330のそれぞれにおいいて、電源端子333とグランド端子334との間を電気的に接続すると共に、電位的に隣接するセルコンIC330のうち、高電位側のセルコンIC330のグランド端子334と低電位側のセルコンIC330の電源端子333との間を電気的に接続し、BC1〜BCnの電池セル201とIC1〜ICnのセルコンIC330との間に閉回路を構成する必要がある。
【0211】
このため、IC1〜ICnのセルコンIC330のそれぞれは、電源端子333とグランド端子334とが、バイパスコンデンサ309が設けられた電源線308によって、セル制御装置回路基板301上で電気的に接続されている。
【0212】
その電気的な接続構成について具体的に説明すると、IC1のセルコンIC330の電源端子333とグランド端子334の両者は、C1のバイパスコンデンサ309が設けられた電源線308によって、セル制御装置回路基板301上で電気的に接続され、IC2のセルコンIC330の電源端子333とグランド端子334の両者は、C2のバイパスコンデンサ309が設けられた電源線308によって、セル制御装置回路基板301上で電気的に接続され、IC3のセルコンIC330の電源端子333とグランド端子334の両者は、C3のバイパスコンデンサ309が設けられた電源線308によって、セル制御装置回路基板301上で電気的に接続され、・・・、ICnのセルコンIC330の電源端子333とグランド端子334の両者は、Cnのバイパスコンデンサ309が設けられた電源線308によって、セル制御装置回路基板301上で電気的に接続され、というような接続構成になっている。
【0213】
また、セル制御装置回路基板301上では、電位的に隣接するセルコンIC330のうち、高電位側のセルコンIC330の電源線308と低電位側のセルコンIC330の電源線308との間が、低電位側のセルコンIC330よりも電位の低いセルコンIC330に対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321を介して電気的に接続されている。ここで、低電位側のセルコンIC330よりも電位の低いセルコンIC330は、本実施形態では、低電位側のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンIC330としている。
【0214】
その電気的な接続構成について具体的に説明すると、IC1のセルコンIC330の電源線308とIC2のセルコンIC330の電源線308との間は、IC3のセルコンIC330に対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321を介して電気的に接続され、IC2のセルコンIC330の電源線308とIC3のセルコンIC330の電源線308との間は、IC3のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンICに対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタを介して電気的に接続され、・・・、ICnのセルコンIC330の次に電位の高いセルコンICの電源線とICnのセルコンIC330の電源線308との間はスイッチ用コネクタ322を介して電気的に接続され、というような接続構成になっている。
【0215】
スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321の雄コネクタ321aには、雌コネクタ321bに延びた二つの電源線308に電気的に接続され、その二つの電源線308の間を電気的に短絡する電源線用接続線321cが設けられている。スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321では、電源線用接続線321cがスイッチ(コンタクタ)の可動側として機能する。
【0216】
スイッチ用コネクタ322は、雄コネクタ322aと雌コネクタ322bとの対から着脱可能なように構成されており、セル制御装置回路基板301に実装された雌コネクタ322bに対して雄コネクタ322aが挿入され、雌コネクタ322bに対して雄コネクタ322aが嵌め合わされると、雄コネクタ322aに設けられたジャックに対して、雌コネクタ322bに設けられたピンとが機械的及び電気的に接続されるように構成されている。
【0217】
スイッチ用コネクタ322の雄コネクタ322aには、雌コネクタ322bに延びた二つの電源線308に電気的に接続され、その二つの電源線308の間を電気的に短絡する電源線用接続線322cが設けられている。スイッチ用コネクタ322では、電源線用接続線322cがスイッチ(コンタクタ)の可動側として機能する。
【0218】
《セル制御装置の通信回路の構成》
セル制御装置回路基板301上において、電位的に隣接するセルコンIC330の間には通信線307が設けられている。通信線307の一端側には、電位的に隣接するセルコンIC330のうち、高電位側のセルコンIC330の信号出力端子(第1信号出力端子337,第2信号出力端子339)が、通信線307の他端側には、低電位側のセルコンIC330の信号入力端子(第1信号入力端子336,第2信号入力端子338)が、それぞれ電気的に接続されている。これにより、電位的に隣接するセルコンIC330のうち、高電位側のセルコンIC330の信号出力端子と、低電位側のセルコンIC330の信号入力端子との間には、通信線307によって、高電位側のセルコンIC330の信号出力端子から出力された電気信号を低電位側のセルコンIC330の信号入力端子に伝送する信号伝送路が形成される。
【0219】
その信号伝送路の構成を具体的に説明すると、IC1のセルコンIC330の信号出力端子と、IC2のセルコンIC330の信号入力端子との間には通信線307によって信号伝送路が形成され、IC2のセルコンIC330の信号出力端子と、IC3のセルコンIC330の信号入力端子との間には通信線307によって信号伝送路が形成され、IC3のセルコンIC330の信号出力端子と、IC3のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンICの信号入力端子との間には通信線307によって信号伝送路が形成され、・・・、ICnのセルコンIC330の次に電位の高いセルコンICの信号出力端子と、ICnのセルコンIC330の信号入力端子との間には通信線307によって信号伝送路が形成され、というような信号伝送路の構成になっている。
【0220】
このように各信号伝送路が構成されることにより、IC1〜ICnのセルコンIC330の間には、最高電位のIC1のセルコンIC330から最低電位のICnのセルコンIC330に電気信号を直列に伝送する信号伝送路が構成される。
【0221】
セル制御装置回路基板301上において、最高電位のIC1のセルコンIC330とフォトカプラ310との間には通信線307が設けられている。通信線307の一端側には、最高電位のIC1のセルコンIC330の信号入力端子(第1信号入力端子336,第2信号入力端子338)が電気的に接続されている。通信線307の他端側にはフォトカプラ310の受光側が電気的に接続されている。これにより、最高電位のIC1のセルコンIC330とフォトカプラ310との間には、通信線307によって、フォトカプラ310から出力された電気信号を最高電位のIC1のセルコンIC330の信号入力端子に伝送する信号伝送路が形成される。
【0222】
セル制御装置回路基板301上において、最低電位のIC1のセルコンIC330とフォトカプラ310との間には通信線307が設けられている。通信線307の一端側には、最低電位のIC1のセルコンIC330の信号出力端子(第1信号出力端子337,第2信号出力端子339)が電気的に接続されている。通信線307の他端側にはフォトカプラ310の発光側が電気的に接続されている。これにより、最低電位のIC1のセルコンIC330とフォトカプラ310との間には、通信線307によって、最低電位のIC1のセルコンIC330の信号出力端子から出力された電気信号をフォトカプラ310に伝送する信号伝送路が形成される。
【0223】
フォトカプラ310のセルコンIC330側とは反対側の発光側及び受光側は通信線によって通信用コネクタ323に電気的に接続されている。通信用コネクタ323は、雄コネクタ323aと雌コネクタ323bとの対から着脱可能なように構成されており、セル制御装置回路基板301に実装された雌コネクタ323bに対して雄コネクタ323aが挿入され、雌コネクタ323bに対して雄コネクタ323aが嵌め合わされると、雄コネクタ323aに設けられたジャックに対して、雌コネクタ323bに設けられたピンとが機械的及び電気的に接続されるように構成されている。雄コネクタ323aにはCANの通信線が延びて電気的に接続されている。
【0224】
以上の各信号伝送路が構成されると、セル制御装置300とバッテリ制御装置400との間には、電気信号を、別の媒体の信号に変換しながら、さらには基準電位をレベルシフトしながら直列かつループ状に伝送する信号伝送路が構成される。具体的には、MC410から出力された電気信号がCANを介して通信用コネクタ323に伝送され、この後、フォトカプラ310の発光側において光信号に変換され、この後、光信号の状態でフォトカプラ310の受光側に伝送されて再び電気信号に変換され、この後、IC1のセルコンIC330→IC2のセルコンIC330→IC3のセルコンIC330→・・・→ICnのセルコンIC330の順に基準電位をレベルシフトしながら伝送され、この後、フォトカプラ310の発光側において光信号に変換され、この後、光信号の状態でフォトカプラ310の受光側に伝送されて再び電気信号に変換され、この後、通信用コネクタ323からCANを介してMC410に入力される(戻る)、というような信号伝送路が構成される。
【0225】
尚、図4では、図示の便宜上、本来、二系統構成される信号伝送路を一系統で図示している。このため、図4では、セルコンIC330に二つある信号出力端子及び二つある信号入力端子を、それぞれ一つの端子で図示している。
【0226】
電位的に隣接するセルコンIC330のうち、高電位側のセルコンIC330の信号出力端子(第1信号出力端子337,第2信号出力端子339)に電気的に接続された通信線308と、低電位側のセルコンIC330の信号入力端子(第1信号入力端子336,第2信号入力端子338)に電気的に接続された信号線307との両者は、低電位側のセルコンIC330よりも電位の低いセルコンIC330に対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321或いはスイッチ用コネクタ322を介して電気的に接続されている。ここで、低電位側のセルコンIC330よりも電位の低いセルコンIC330は、本実施形態では、低電位側のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンIC330としている。
【0227】
その電気的な接続構成について具体的に説明すると、IC1のセルコンIC330の信号出力端子に電気的に接続された通信線307とIC2のセルコンIC330の信号入力端子に電気的に接続された通信線307との間は、IC3のセルコンIC330に対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321を介して電気的に接続され、IC2のセルコンIC330の信号出力端子に電気的に接続された通信線307とIC3のセルコンIC330の信号入力端子に電気的に接続された通信線307との間は、C3のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンICに対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタを介して電気的に接続され、・・・、ICnのセルコンIC330の次に電位の高いセルコンICの信号出力端子に電気的に接続された通信線307とICnのセルコンIC330の信号入力端子に電気的に接続された通信線307との間はスイッチ用コネクタ322を介して電気的に接続され、というような接続構成になっている。
【0228】
スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321の雄コネクタ321aには、雌コネクタ321bに延びた二つの通信線307に電気的に接続され、その二つの通信線307の間を電気的に短絡する通信線用接続線321dが設けられている。スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321では、通信線用接続線321dがスイッチ(コンタクタ)の可動側として機能する。
【0229】
スイッチ用コネクタ322の雄コネクタ322aには、雌コネクタ322bに延びた二つの通信307に電気的に接続され、その二つの通信線307の間を電気的に短絡する通信線用接続線322dが設けられている。スイッチ用コネクタ322では、通信線用接続線322dがスイッチ(コンタクタ)の可動側として機能する。
【0230】
尚、通信線307には、容量性素子であるコンデンサ(キャパシタ)や抵抗などの回路素子を設けても構わない。
【0231】
《活線接続方法》
コネクタを用いた電気的な接続では、雄コネクタの複数の接点と雌コネクタの複数の接点との接触順番を制御することが難しく、どの順番で接点同士が接触するか判らない。ここで、雄コネクタの複数の接点と雌コネクタの複数の接点とがお互いに電位を持たない場合には、接点同士の接触順番は特に気にする必要はない。
【0232】
しかし、雄コネクタの複数の接点と雌コネクタの複数の接点とのうちのいずれか一方が電位を持つ場合、特にその電位が接点毎に異なり、さらにコネクタの最初に接触した接点と、その次に接触した接点との間で閉回路が形成される場合には、コネクタの最初に接触した接点と、その次に接触した接点との間の電位差によって閉回路に電流が流れる。その電流は、二つの接点間の電位差の大きさや、閉回路に設けられた回路素子、例えば容量性素子の容量の大きさによっては、閉回路に設けられた回路素子の許容電流を上回る大きさになることが考えられる。
【0233】
従って、雄コネクタと雌コネクタとのいずれか一方が電位を持つ状態で雄コネクタ側の回路と雌コネクタ側の回路とを電気的に接続する、いわゆる活線接続(或いは活線挿入)する場合には、コネクタの接点の接触順番に起因して閉回路が形成されて電流が流れることを踏まえ、閉回路に設けられた回路素子をその電流から保護することが好ましい。
【0234】
本実施形態の電池システム100においても、図4に示すように、電池セル201に電気的に接続された電圧検出線とセルコンIC330に電気的に接続された電圧検出線とがコネクタによって電気的に接続され、かつコネクタの一方側が、電気的に直列に接続された複数の電池セル201のそれぞれに電気的に接続されて電位を持ち、しかも電気的に接続された複数の電池セル201と、複数のセルコンIC330の間の電源線308が電気的に接続されて構成された電源回路とが電気的に接続されているので、前述のような事象が生じる可能性がある。
【0235】
例えば、図4に示すように、最初にSL2の電圧検出線が導通し、この次にSL10の電圧検出線が導通したとすると、BC2の電池セル201の正極からSL2の電圧検出線、D1のESD保護ダイオード340、電源端子333、電源線308(C1,C2のバイパスコンデンサ309)、SL10の電圧検出線を介してBC8の電池セル201の負極に至る閉回路が形成され、BC2の電池セル201の正極とBC8の電池セル201の負極との間の電位差、及びC1,C2のバイパスコンデンサ309の容量に基づく電流が、その閉回路に流れる。
【0236】
仮にその電流がD1のESD保護ダイオード340の許容電流を上回っていたとすると、その電流によってD1のESD保護ダイオード340が破損に至り、この影響を受けてセルコンIC330の不良状態になることが十分に考えられる。
【0237】
そこで、本実施形態では、活線接続に起因して起こりうる事象からセルコンICなど、セル制御装置300を構成する回路素子を保護するようにしている。
【0238】
その保護のための構成について具体的に説明する。
【0239】
活線接続、すなわち電位的に隣接するセルコンIC330と、電位的に隣接するセルコンIC330のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続する時に、電位的に隣接するセルコンIC330の一方側と他方側とが電源線308を介して電気的に接続されていなければ、閉回路が形成されることはなく、電池セル201の間の電位差及びバイパスコンデンサ309の容量に基づく電流が流れることもなくなる。
【0240】
そこで、本実施形態では、セルコンIC330と、セルコンIC330に対応する単電池群との対毎にコネクタを設けた。
【0241】
そして、本実施形態では、電位的に隣接するセルコンIC330と、電位的に隣接するセルコンIC330のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極とを、対応するコネクタを介して電気的に接続した後に、電位的に隣接するセルコンIC330の一方側に電気的に接続された電源線308と、その他方側に電気的に接続された電源線308とを、電位的に隣接するセルコンIC330よりも電位の低いセルコンIC330、具体的には、電位的に隣接するセルコンIC330の低電位側のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンIC330と、これに対応する単電池群との対に対応して設けられたコネクタによって電気的に接続できるように、しかも電位的に隣接するセルコンIC330の低電位側のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンIC330と、これに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続するのと同時にできるようにした。
【0242】
すなわち(1)〜(14)を以下の通り定義したとき、図4に示すように、(1)と(5)とをIC1のセルコンIC330に対応する電圧検出線用コネクタ320を介して電気的に接続し、かつ(2)と(6)とをIC2のセルコンIC330に対応する電圧検出線用コネクタ320を介して電気的に接続した後に、(9)と(10)とをIC3のセルコンIC330に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321を介して(3)と(7)とを電気的に接続すると同時に電気的に接続し、この後に、(11)と(12)とをIC3のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンICスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321を介して(4)と(8)とを電気的に接続すると同時に電気的に接続し、・・・、最後に、(13)と(14)とをスイッチ用コネクタ322を介して電気的に接続し、というような接続構成とした。
(1)第1単電池群240を構成するBC1〜BC4の電池セル201のそれぞれの正極及び負極側(第1電圧検出線250)
(2)第2単電池群241を構成するBC5〜BC8の電池セル201のそれぞれの正極及び負極側(第2電圧検出線251)
(3)第3単電池群242を構成するBC9〜BC12の電池セル201のそれぞれの正極及び負極側(第3電圧検出線252)
(4)IC3のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンICに対応する単電池群を構成する複数の電池セルのそれぞれの正極及び負極側(電池セル側の電圧検出線)
(5)IC1のセルコンIC330の電圧検出用端子331側(第1電圧検出線302)
(6)IC2のセルコンIC330の電圧検出用端子331側(第2電圧検出線303)
(7)IC3のセルコンIC330の電圧検出用端子331側(第3電圧検出線304)
(8)IC3のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンICの電圧検出用端子側(セルコンIC側の電圧検出線)
(9)IC1のセルコンIC330のグランド端子334側(グランド端子334に電気的に接続された電源線308)
(10)IC2のセルコンIC330の電源端子333側(電源端子333に電気的に接続された電源線308)
(11)IC2のセルコンIC330のグランド端子334側(グランド端子334に電気的に接続された電源線308)
(12)IC3のセルコンIC330の電源端子333側(電源端子333に電気的に接続された電源線308)
(13)ICn−1のセルコンICのグランド端子側(グランド端子に電気的に接続された電源線)
(14)ICnのセルコンIC330の電源端子333側(電源端子333に電気的に接続された電源線308)
【0243】
しかも、本実施形態では、その接続構成を、電圧検出線用コネクタ320、スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321及びスイッチ用コネクタ322を、セルコンIC330の電位の順にしたがって、最高電位のIC1のセルコンIC330に対応する電圧検出線用コネクタ320から最低電位のICnのセルコンIC330に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321に向かって、IC1のセルコンIC330に対応する電圧検出線用コネクタ320、IC2のセルコンIC330に対応する電圧検出線用コネクタ320、IC3のセルコンIC330に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321、・・・、ICnのセルコンIC330に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321という順番に接続し、最後にスイッチ用コネクタ322を接続し、という作業手順によって達成した。
【0244】
また、セル制御装置300では、電位的に隣接するセルコンIC330のうち、高電位側のセルコンIC330の信号出力回路に電気的に接続された通信線307と、低電位側のセルコンIC330の信号入力回路に電位的に接続された通信線307とが電気的に接続、すなわちIC1〜ICnのセルコンIC330がデイジーチェーン接続され、IC1〜ICnのセルコンIC330の間において電気信号を直列に伝送する信号伝送回路が構成されているが、先に説明した活線接続によって、その信号伝送回路にも電流が流れ、信号伝送回路に不具合を生じさせることが考えられる。この場合、通信線307に抵抗などの電流制限素子を設け、電流を制限することが考えられるが、セル制御装置330の価格が上昇する。
【0245】
このようなことから、本実施形態では、電源回路の場合と同様の対策をセル制御装置330に講じている。
【0246】
本実施形態では、電位的に隣接するセルコンIC330と、電位的に隣接するセルコンIC330のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極とを、対応するコネクタを介して電気的に接続した後に、電位的に隣接するセルコンIC330の一方側の信号出力回路に電気的に接続された通信線307と、その他方側の信号入力回路に電気的に接続された通信線307とを、電位的に隣接するセルコンIC330よりも電位の低いセルコンIC330、具体的には、電位的に隣接するセルコンIC330の低電位側のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンIC330と、これに対応する単電池群との対に対応して設けられたコネクタによって電気的に接続できるように、しかも電位的に隣接するセルコンIC330の低電位側のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンIC330と、これに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続するのと同時にできるようにした。
【0247】
すなわち(15)〜(20)を以下の通り定義したとき、図4に示すように、(1)と(5)とをIC1のセルコンIC330に対応する電圧検出線用コネクタ320を介して電気的に接続し、かつ(2)と(6)とをIC2のセルコンIC330に対応する電圧検出線用コネクタ320を介して電気的に接続した後に、(15)と(16)とをIC3のセルコンIC330に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321を介して(3)と(7)とを電気的に接続すると同時に電気的に接続し、この後に、(17)と(18)とをIC3のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンICスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321を介して(4)と(8)とを電気的に接続すると同時に電気的に接続し、・・・、最後に、(19)と(20)とをスイッチ用コネクタ322を介して電気的に接続し、というような接続構成とした。
(15)IC1のセルコンIC330の信号出力端子(第1信号出力端子337,第2信号出力端子339)側(信号出力端子に電気的に接続された通信線307)
(16)IC2のセルコンIC330の信号入力端子(第1信号出力端子337,第2信号出力端子339)側(信号入力端子に電気的に接続された通信線307)
(17)IC2のセルコンIC330の信号出力端子(第1信号出力端子337,第2信号出力端子339)側(信号出力端子に電気的に接続された通信線307)
(18)IC3のセルコンIC330の信号入力端子(第1信号出力端子337,第2信号出力端子339)側(信号入力端子に電気的に接続された通信線307)
(19)ICn−1のセルコンICの信号出力端子(第1信号出力端子,第2信号出力端子)側(信号出力端子に電気的に接続された通信線)
(20)ICnのセルコンIC330の信号入力端子(第1信号出力端子337,第2信号出力端子339)側(信号入力端子に電気的に接続された通信線307)
【0248】
しかも、本実施形態では、その接続構成を、電源線308と同時に、電源線308と同様のコネクタの作業手順によって達成した。
【0249】
尚、電位的に隣接するセルコンIC330の一方側に電気的に接続された電源線308と、その他方側に電気的に接続された電源線308との両者、また、電位的に隣接するセルコンIC330の一方側の信号出力回路に電気的に接続された通信線307と、その他方側の信号入力回路に電気的に接続された通信線307との両者は、電気的に同電位の関係にあるので、理論上、両者が電気的に接続されても、両者の間に電流が流れることはない。また、回路上に存在するインダクタンスや浮遊容量によって両者の間に電流が流れることも考えられるが、回路が持っている耐性を超えるような大きな電流が流れることはない。
【0250】
また、スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321及びスイッチ用コネクタ322には特殊なコネクタを用いる必要はなく、電圧検出線用コネクタ320と同じ種類のコネクタ(汎用コネクタ)の一部分の構成を改良することにより実現できる。
【0251】
さらに、本実施形態は、電池システム100の組立時、活線の状態でコネクタを接続する活線接続(活線挿入)のみならず、電池システム100の解体時、例えばサービス工場の作業員によるメンテナンスにておい、一部の単電池群を新品の単電池群に交換する時、活線の状態でコネクタを抜き、再びコネクタを接続する、いわゆる活線挿抜にも有効である。
【0252】
この場合、電池システム100の組立時とは逆の作業手順でコネクタが抜かれ、電池システム100の組立時と同じ作業手順でコネクタが接続される。
【0253】
例えばIC2のセルコンIC330に対応する第2単電池群241を新品の単電池群に交換する場合には、初めにスイッチ用コネクタ322を抜き、この後、最低電位のICnのセルコンIC330に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321から最高電位のIC1のセルコンIC330に対応する電圧検出線用コネクタ320に向かって、ICnのセルコンIC330に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321、・・・、IC3のセルコンIC330に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321、IC2のセルコンIC330に対応する電圧検出線用コネクタ320という順番で抜く。第2単電池群241を新品の単電池群に交換した後は、最高電位のIC1のセルコンIC330に対応する電圧検出線用コネクタ320から最低電位のICnのセルコンIC330に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321に向かって、IC2のセルコンIC330に対応する電圧検出線用コネクタ320、IC3のセルコンIC330に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321、・・・、ICnのセルコンIC330に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ321という順番に接続し、最後にスイッチ用コネクタ322を接続し、というように、抜く場合とは逆の作業手順で接続する。
【0254】
《作用効果》
以上説明した本実施形態によれば、電位的に隣接するセルコンIC330と、電位的に隣接するセルコンIC330のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続した後に、電位的に隣接するセルコンIC330の一方側に電気的に接続された電源線308と、その他方側に電気的に接続された電源線308とを電気的に接続したので、電位的に隣接するセルコンIC330と、電位的に隣接するセルコンIC330のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続する時に、電位的に隣接するセルコンIC330の一方側の電源線308とその他方側の電源線308とが電気的に接続されて、閉回路が形成されることはなく、電池セル201の間の電位差及びバイパスコンデンサ309の容量に基づく電流も流れることはない。
【0255】
また、本実施形態によれば、通信線307についても電源線308と同様の対策を施したので、電位的に隣接するセルコンIC330と、電位的に隣接するセルコンIC330のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続する時に、信号伝送回路に電流が流れることはない。
【0256】
以上のことから、本実施形態によれば、活線接続に起因して起こりうる事象からセルコンICなど、セル制御装置300を構成する回路素子を保護することができ、セル制御装置300、さらには電池システム100の信頼性を向上させることができる。
【0257】
また、本実施形態によれば、電位的に隣接するセルコンIC330の一方側に電気的に接続された電源線308と、その他方側に電気的に接続された電源線308とを、また、電位的に隣接するセルコンIC330の一方側の信号出力回路に電気的に接続された通信線307と、その他方側の信号入力回路に電気的に接続された通信線307とを、電位的に隣接するセルコンIC330よりも電位の低いセルコンIC330、具体的には、電位的に隣接するセルコンIC330の低電位側のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンIC330と、これに対応する単電池群との対に対応して設けられたコネクタによって、電位的に隣接するセルコンIC330の低電位側のセルコンIC330の次に電位の低いセルコンIC330と、これに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続するのと同時に電気的に接続したので、電池システム100の組立工数を、電源線308及び通信線307の電気的な接続作業によって増加させることがなく、電池システム100の組立作業を煩雑にすることを抑制することができる。
【0258】
さらに、本実施形態によれば、セルコンIC330と、セルコンIC330に対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続するコネクタに、スイッチ機能を持たせたので、別途、スイッチなどの導通遮断手段を設ける必要がなく、別途、スイッチなどの導通遮断手段を設けたときよりも、部品点数を減らすことができ、別途、スイッチなどの導通遮断手段を設けたときよりも、コストを低減することができる。
【0259】
さらにまた、本実施形態によれば、セルコンIC330と、これに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極との電気的な接続対のそれぞれに対応させて個別にコネクタを設け、そのコネクタによって、セルコンIC330と、これに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続しているので、コネクタの最初に接触した接点と、その次に接触した接点との間で閉回路が形成されても、コネクタの最初に接触した接点と、その次に接触した接点との間の電位差が最大でも単電池群一つ分の電位差よりも大きくなることはなく、その電位差によって閉回路に電流が流れたとしても、セルコンIC330を構成する部品の許容電流を上回ることはない。
【0260】
(実施形態2)
第2実施形態を図5乃至図7に基づいて説明する。
【0261】
尚、第1実施形態と構成、機能が同一或いはその一部を含む要素には、第1実施形態と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。以下では、第1実施形態には無い要素及び第1実施形態の要素の構成、機能とは異なる部分について説明する。
【0262】
《発電システムの構成》
まず、図5を用いて、発電システム40の構成について説明する。
【0263】
発電システム40は、電力を消費する電気負荷(需要家)が電気的に接続された送配電網からなる電力系統50に電気的に接続され、発電装置60によって、電力系統50において必要な電力の一部を発電し、その電力を交流電力として電力系統50に出力している。
【0264】
発電装置60は、一次エネルギーに基づいて、二次エネルギーである電力を発生させるエネルギー変換設備であり、本実施形態では、自然界のエネルギー、すなわち再生可能エネルギーを一次エネルギーとして利用し、二次エネルギーである電力を発生させるエネルギー変換設備を採用している。再生可能エネルギーを利用した発電装置としては、例えば風の力を利用して風車を回すことにより得られた動力によって発電機を駆動して発電する風力発電装置、水の力を利用して水車を回すことにより得られた動力によって発電機を駆動して発電する水力発電装置、太陽光を太陽電池に当て、太陽電池の光起電力効果によって発電する太陽光発電装置などがある。
【0265】
ここでは、再生可能エネルギーを利用した発電装置の形態を特定はしないが、前述した風力発電装置、水力発電装置、太陽光発電装置のいずれを用いて構わないし、それ以外の発電装置を用いても構わない。
【0266】
再生可能エネルギーを利用した発電装置は、自然環境への負荷が少なく、自然環境にやさしいという有利な面がある反面、発電能力が自然界の状態に左右され、必要とされる電力に発電能力が対応し難いという不利な面もある。
【0267】
このため、本実施形態では、発電装置60が発電した電力を一旦、電池システム100に蓄え、電力負荷の要求に応じて、電池システム100に蓄えていた電力を、電力系統50に供給するように、発電システム40を構成している。
【0268】
電池システム100は直流電力を充放電する。電池システム100と発電装置60との間には、発電装置60において発電され出力された交流電力を直流電力に変換し、この変換された直流電力を電池システム100に充電するための交流直流電力変換装置70(コンバータ)が設けられている。電池システム100と電力系統50との間には、電池システム100から直流電力を放電させ、この放電した直流電力を交流電力に変換して電力系統50に供給するための直流交流電力変換装置80(インバータ)が設けられている。
【0269】
尚、本実施形態では、電池システム100に対して二つの電力変換装置を設け、充電と放電とで使い分ける場合を図示しているが、実際には、発電装置60と電力系統50との間に一つの電力変換装置(インバータ)を介して電池システム100が電気的に並列に接続され、その一つの電力変換装置が二つの電力変換装置の役目を担う。
【0270】
《電池システムの構成》
電池システム100は複数のサブ電池システム110を備えている。複数のサブ電池システム110は電気的に並列に接続されている。
【0271】
尚、本実施形態では、電池システム100を、複数のサブ電池システム110を電気的に並列に接続した接続体から構成した場合を例に挙げて説明するが、一つのサブ電池システム110から電池システム100を構成してもよい。
【0272】
サブ電池システム110は、電池システム100を構成する最大の基本単位である。
【0273】
サブ電池システム100の数をいくつかにするかは、電池システム100に必要とされる蓄電容量に基づいて決定すればよい。
【0274】
このように、電池システム100に必要とされる蓄電容量に基づいて、使用するサブ電池システム110の数を決定すれば、色々なニーズに対応した電池システム100を実現できると共に、電池システム100の生産性が向上し、さらには、サブ電池システム110の基本構成を共通化することができ、これによって、安全性を向上させることができる。
【0275】
電力の供給は社会生活に大きくかかわっているので、電池システム100全体の動作を停止させることは好ましくない。このため、本実施形態のように、サブ電池システム110を、電池システム100を構成する最大の基本単位として電池システム100を構成すれば、電池システム100を保守点検或いは修理するとき、電池システム100全体の動作を停止させて全ての蓄電機能を停止させることはなく、その対象となる一部のサブ電池システム110の動作のみを停止させて一部の蓄電機能のみを停止させるということができ、機能性を向上させることができる。
【0276】
《サブ電池システムの構成》
次に、図6を用いて、サブ電池システム110の構成を具体的に説明する。
【0277】
尚、図6では、図5に示す複数のサブ電池システム110のうちの一つの構成を図示しているが、その他のサブ電池システム110も基本的に図6と同じ構成になっている。
【0278】
サブ電池システム110は複数の電池ブロック120を備えている。複数の電池ブロッ120は電気的に並列に接続されている。
【0279】
電池ブロック120は、サブ電池システム110を構成する最大の基本単位である。
【0280】
電池ブロック120の数をいくつかにするかは、サブ電池システム110に必要とされる蓄電容量に基づいて決定すればよい。
【0281】
複数の電池ブロック120は、基本的にはいずれも同じ構成で、同じ動作をするように共通化させている。このように、複数の電池ブロック120の構成及び動作を共通化すれば、サブ電池システム110自身の蓄電容量を、利用しやすい容量に設定可能となり、利便性が向上すると共に、生産性や安全性が向上する。
【0282】
サブ電池システム110の正極出力端114には遮断機113を介して正側結線111が電気的に接続されている。サブ電池システム110の負極出力端115には断路器115を介して負側結線112が電気的に接続されている。遮断機113は、短絡電流が流れたとき、その電流がサブ電池システム110に流れ込まないようにその電流を遮断する機能を有する開閉器であり、システム制御装置500によって接点の投入、遮断が制御されている。また、遮断機113は、サブ電池システム110と他のサブ電池システム110との電気的な接続を制御するとき、断路器115と共に操作される。従って、サブ電池システム110全体の動作を停止させて保守点検或いは修理する場合には遮断機113お及び断路器115が開放される。これにより、特定のサブ電池システム110を他のサブ電池システム110から電気的に分離させることができ、電池システム100全体の動作を停止させることなく、特定のサブ電池システム110を保守点検或いは修理することができる。断路器115はサブ電池システム110を他のサブ電池システム110から電気的に切り離すときに使われる開閉器であり、遮断機113のように、短絡電流を遮断するような機能は持たない。
【0283】
複数の電池ブロック120のそれぞれの正端部121は断路器123を介して正側結線111に電気的に並列に接続されている。複数の電池ブロック120のそれぞれの負端部122は断路器124を介して負側結線112に電気的に並列に接続されている。断路器123,124は、対応する電池ブロック120を他の電池ブロック120から電気的に切り離すときに使われる開閉器であり、遮断機113のように、短絡電流を遮断するような機能は持たない。このように、電池ブロック120のそれぞれに断路器123,124を対応させて設けておくことにより、サブ電池システム110全体の運転を停止させることなく、特定の電池ブロック120を他の電池ブロック120から電気的に切り離して、特定の電池ブロック120を保守点検或いは修理することができる。このようなシステム構成によれば、安全性と利便性の両立ができる。
【0284】
《電池ブロックの構成》
複数の電池ブロック120はそれぞれ第1及び第2電池ユニット130,131を備えている。第1及び第2電池ユニット130,131は統合ユニット132を介して電気的に並列に接続されている。本実施形態では、保守点検或いは修理の作業における安全性の確保がし易いように、第1及び第2電池ユニット130,131を電気的に並列に接続し、電池ブロック120内の電圧を、千ボルト以下、特に650ボルト以下の比較的安全な電圧に維持しているが、充放電電圧の大きさによってはそれらを電気的に直列に接続してもよい。
【0285】
第1及び第2電池ユニット130,131を電気的に並列に接続し、電池ブロック120内の電圧を比較的安全な電圧とすることは、保守点検或いは修理の作業における安全性の確保がし易いだけでなく、設備の設置基準を緩和できるという効果もある。
【0286】
また、第1及び第2電池ユニット130,131を電気的に並列に接続することは、蓄電容量を大きくできるという効果もある。もし、高電圧が必要な場合には、電池システム100と直流交流電力変換装置80との間に昇圧装置を設け、電池システム100から出力された直流電力を昇圧して直流交流電力変換装置80に出力すればよい。
【0287】
尚、本実施形態では、電池ブロック120が有する電池ユニットの並列数を二つとした場合を例に挙げて説明するが、それ以外の並列数としてもよい。その並列数としては、電池システム100の使用目的や使用条件などから決めればよく、一つ或いは三つ以上であってもよい。保守点検或いは修理などの利便性を考えると、本実施形態のように、電池ユニットの並列数を二つとすることが、より望ましい効果が得られる。
【0288】
《電池ユニットの構成》
第1及び第2電池ユニット130,131はそれぞれ、複数の電池パック140を備えている。本実施形態では、複数の電池パック140として、三つの電池パック140を備えた場合を例に挙げて説明するが、それ以外の個数であってもよい。
【0289】
複数の電池パック140のそれぞれは、基本的な構成は同じであり、電気的に直列に接続された複数の電池セル201を備えている。第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれでは、複数の電池パック140のそれぞれが有する複数の電池セル201の電気的な直列接続が、さらに電気的に直列に接続されている。
【0290】
《バッテリ制御装置の機能》
複数の電池パック140のそれぞれにはバッテリ制御装置400が設けられている。
【0291】
複数のバッテリ制御装置400のそれぞれは、対応する電池パック140の複数の電池セル201のそれぞれの端子電圧に基づいて、対応する電池パック140の複数の電池セル201のそれぞれの充電状態を演算すると共に、充電状態調整のための目標パラメータに基づいて、対応する電池パック140の複数の電池セル201のそれぞれの充電状態の調整の要否を判断し、充電状態の調整の必要がある電池セル201の放電を制御している。
【0292】
また、複数のバッテリ制御装置400のそれぞれは、対応する電池パック140の各種異常を検出するための診断を実施したり、対応する電池パック140において実施された、各種異常を検出するための診断の結果を収集したりしている。
【0293】
《統合ユニットの構成》
複数の電池ブロック120のそれぞれには、対応する第1及び第2電池ユニット130,131を管理及び制御する統合ユニット132が設けられている。
【0294】
複数の統合ユニット132のそれぞれは、統合制御装置600と、対応する第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれに対応して設けられ、対応する第1及び第2電池ユニット130,131と他の電池ブロック120との電気的な接続を制御する開閉器である継電器135,136と、電流を制限する電流制限器137と、第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれに入出力される電流を検出するための電流検出器134と、第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの端子間電圧を検出するための電圧検出器133とを備えている。
【0295】
《開閉機構(リレー機構)の構成》
継電器135,136は、対応する第1及び第2電池ユニット130,131を構成する最高電位の電池パック140の正極用電力コネクタ141と電池ブロック120の正端部121との間の電気的な接続を制御する開閉機構(リレー機構)を構成している。開閉機構は、継電器135と電流制限器137とを電気的に直列に接続した直列回路(サブ回路)と、継電器136を有する直列回路(メイン回路)とが電気的に並列に接続されて構成されている。継電器135,136の接点の遮断、投入は統合制御装置600によって制御されている。
【0296】
通常、第1及び第2電池ユニット130,131が充放電している状態では、継電器136が投入され、メイン回路を介して充放電されている。サブ回路は、継電器136を投入し、メイン回路を介して、第1及び第2電池ユニット130,131の充放電を開始する前に使われる。この場合、継電器135が最初に投入され、これにより、第1及び第2電池ユニット130,131から電流が、電流制限器137によって制限されながらサブ回路を介して流れる。この後、継電器136が投入され、これにより、第1及び第2電池ユニット130,131から電流がメイン回路を介して流れる。この時、サブ回路によって電流が流されているので、メイン回路に流れる電流が制限される。これにより、継電器136が投入された時、第1及び第2電池ユニット130,131からメイン回路に流れる突入電流の大きさを低くでき、継電器136の接点の溶着などを防止することができる。第1及び第2電池ユニット130,131からメイン回路に流れる電流が安定した後、継電器135は遮断される。
【0297】
第1及び第2電池ユニット130,131はそれぞれ毎に保守点検が可能である。保守点検中は充放電を停止する。このため、充放電を停止した電池ユニットと充放電を継続していた電池ユニットとの間では充電状態が異なってくる。充電状態が異なる状態で二つの電池ユニットを電気的に並列に接続すると、充電状態の大きい電池ユニットから充電状態の小さい電池ユニットに対して大きな電流が流れる。このようなことから、前述のように、最初に継電器135を投入し、サブ回路に電流を流す。これにより、充電状態の大きい電池ユニットから充電状態の小さい電池ユニットに対して流れる電流は、サブ回路の電流制限器137によって制限される。サブ回路に流れる電流は電流検出器134によって計測できるので、サブ回路に流れる電流が予め定めた閾値以下になったら継電器136を投入して、メイン回路に電流を流し、この後、継電器135を開放する。このようにすれば、電池セル201の充放電電流値を安全な値に維持することができる。
【0298】
電池セル201の端子電圧はSOCに基づいて変化するので、電圧検出器133の測定値を用いることによって、継電器136の投入時の電流を予測することができる。従って、前述の電流検出器134の測定値に基づく継電器136の投入制御の代わりに、電圧検出器133の測定値に基づく継電器136の投入制御を用いてもよい。また、電圧検出器133の測定値が他の電池ユニットの端子間電圧に対して規定の範囲内の場合には、継電器135の投入を省略して、いきなり継電器136を投入するようにしてもよい。
【0299】
《統合制御装置の機能》
複数の統合制御装置600のそれぞれは、対応する電池ブロック120を構成する複数の電池パック140の充電状態を管理している。このため、複数の統合制御装置600のそれぞれには、対応する電池ブロック120の複数の電池パック140のそれぞれのバッテリ制御装置400において演算されて出力された、対応する電池ブロック120の複数の電池パック140のそれぞれを構成する複数の電池セル201のそれぞれの充電状態が、対応する電池ブロック120の複数の電池パック140のそれぞれのバッテリ制御装置400から入力されている。複数の統合制御装置600のそれぞれは、対応する電池ブロック120複数の電池セル210の充電状態の平均値を求め、その平均値を電池ブロック120の充電状態としてシステム制御装置500に出力している。
【0300】
また、複数の統合制御装置600のそれぞれは、対応する電池ブロック120複数の電池セル210の充電状態の平均値を、対応する電池ブロック120複数の電池セル210の充電状態の調整用の目標パラメータとして、対応する電池ブロック120の複数の電池パック140のそれぞれのバッテリ制御装置400に出力している。
【0301】
さらに、複数の統合制御装置600のそれぞれには、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの充放電電流に関する計測情報が電流検出器134から、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの端子間電圧に関する計測情報が電圧検出器133から、それぞれ入力されている。複数の統合制御装置600のそれぞれは、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの充放電電流及び端子間電圧に関する計測情報に基づいて、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの充放電電流及び端子間電圧をそれぞれ検出し、この検出され充放電電流及び端子間電圧に関する情報をシステム制御装置500に出力している。
【0302】
《システム制御装置の機能》
システム制御装置500は、複数の電池ブロック120のそれぞれの統合制御装置600から送られてきた情報に基づいて、或いは、情報入出力端510を介して、電池システム100の管理装置(図示省略)から送られてきた情報或いは指令に基づいて、サブ電池システム110を電池システム100から電気的に切り離す条件が成立した場合に、或いは、サブ電池システム110を電池システム100に電気的に接続する条件が成立した場合に、遮断機113を遮断、或いは、投入するように、遮断機113に開閉指令を出力している。
【0303】
また、システム制御装置500は、複数の電池ブロック120のそれぞれの統合制御装置600から送られてきた、対応する電池ブロック120の充電状態に関する情報、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの充放電電流及び端子間電圧に関する情報に基づいて、サブ電池システム110の充電状態、充放電電流及び端子間電圧のそれぞれを演算し、この演算によって得られた情報を、情報入出力端510を介して、電池システム100の管理装置(図示省略)に出力している。
【0304】
さらに、システム制御装置500は、複数の電池ブロック120のそれぞれの統合制御装置600から送られてきた、対応する電池ブロック120を構成する複数の電池パック140のそれぞれの異常検出のための診断の結果に関する情報を、情報入出力端510を介して、電池システム100の管理装置(図示省略)に出力している。
【0305】
《通信回路の構成》
複数の電池ブロック120のそれぞれに設けられた統合制御装置600とシステム制御装置500との間、及び複数の電池ブロック120のそれぞれにおける統合制御装置600と複数の電池パック140のそれぞれに設けられたバッテリ制御装置400との間は、それぞれ、情報バス610を介して、同時並行的(パラレル)に通信できるように構成されている。
【0306】
複数の電池ブロック120のそれぞれにおいて、複数のバッテリ制御装置400のそれぞれによって演算された、対応する複数の電池セル201のそれぞれの充電状態に関する情報や、複数のバッテリ制御装置400のそれぞれにおいて実施された或いは複数のバッテリ制御装置400のそれぞれに集められた異常検出のための診断の結果に関する情報などは、情報バス610を介して、複数のバッテリ制御装置400のそれぞれから同時並行的に、統合制御装置600に伝送される。また、複数の電池ブロック120のそれぞれにおいて、統合制御装置600によって演算された充電状態調整用の目標パラメータに関する情報は、情報バス610を介して、統合制御装置600から同時並行的に、複数のバッテリ制御装置400のそれぞれに伝送される。
【0307】
複数の電池ブロック120のそれぞれの統合制御装置600に集められた情報、すなわち対応する電池ブロック120の充電状態に関する情報、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの充放電電流に関す情報、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの端子間電圧に関する情報、及び対応する電池ブロック120を構成する複数の電池パック140のそれぞれのバッテリ制御装置400から出力された、対応する電池ブロック120を構成する複数の電池パック140のそれぞれの異常検出のための診断の結果に関する情報などは、情報バス610を介して、複数の電池ブロック120のそれぞれの統合制御装置600から同時並行的にシステム制御装置500に伝送される。
【0308】
《制御装置の電源構成》
複数のバッテリ制御装置400、統合制御装置600及びシステム制御装置500は、それぞれ、前述した機能を実行するために、マイクロコントローラなどの演算処理装置を備えている。それらの演算処理装置を動作させるためには、例えば5ボルトの低圧の動作電圧を電源からそれぞれの演算処理装置に供給する必要がある。その電源としては、電池セル201とすることも考えられるが、電池パック140の保守点検をスムーズに行う観点や、電池パック140の構成を規格化することで電池システム100の生産性を向上する観点などからすると、電池セル201とは異なる電源を用いることが望ましい。そこで、本実施形態では、サブ電池システム110の外部の商用電源を演算処理装置の電源とし、その商用電源から交流電力(単相)の供給を受けている。
【0309】
商用電源から供給された交流電力(単相)は、制御用電源入力端720を介して入力され、制御用電源入力端720から無停電電源装置710に供給される。通常、制御用電源入力端720を介して供給された交流電力から制御用の直流電力が作られる。しかし、商用電源からの交流電力の供給が停止した場合には必要な電力を得ることができず、電池システム100を動作させることができなくなる。そこで、本実施形態では、制御装置の電源系統に無停電電源装置710を設け、商用電源からの交流電力の入力が断たれても、交流電力の供給が断たれないように構成している。無停電電源装置710は、商用電源から供給された交流電力を整流器で直流電力に変換し、この変換された直流電力を二次電池に充電しながら常時、その直流電力から、商用電源に同期した交流電力を定電圧定周波数制御インバータで発生させて出力するように構成されている。
【0310】
無停電電源装置710から供給された交流電力は電源ユニット700に入力される。電源ユニット700は、交流電力から低電圧の直流電力を生成し、この生成された直流電力を制御用電源ライン730を介して、複数のバッテリ制御装置400、統合制御装置600及びシステム制御装置500のそれぞれに同時平行的(パラレル)に供給している。
【0311】
《開閉器の動作手順》
遮断機113、断路器115,123,124、継電器135が全て投入され、図6に示すサブ電池システム110が正極出力端114及び負極出力端115を介して、図5に示す他のサブ電池システム110に電気的に並列に接続されている接続状態において、図6に示すサブ電池システム110を、図5に示す他のサブ電池システム110から電気的に切り離す場合には、まず、システム制御装置500からの指令によって遮断機113を遮断して、サブ電池システム110を無負荷状態(充放電電流が流れない状態)とし、この後、断路器115、断路器123,124の順に遮断する。これにより、図5に示す他のサブ電池システム110から、図6に示すサブ電池システム110を電気的に切り離すことができ、かつ正極出力端114及び負極出力端115に電圧が印加されない安全な状態とすることができる。さらに、第1及び第2電池ユニット130,131の間を電気的に切り離す場合には継電器135を遮断する。これにより、第1及び第2電池ユニット130,131の一方から他方を電気的に切り離すことができる。
【0312】
逆に、図6に示すサブ電池システム110を、図5に示す他のサブ電池システム110に電気的に接続する場合には、まず、断路器123,124、断路器115の順に投入し、この後、システム制御装置500からの指令によって遮断機113を投入する。第1及び第2電池ユニット130,131の間が電気的に切り離されている場合には、まず、継電器136を投入し、電流が所定の値以下になった後、継電器135を投入し、この後、継電器136を遮断するという手順で継電器135,136の開閉制御を行った後、断路器123,124、断路器115、遮断機113の順に投入する。
【0313】
サブ電池システム110を構成する複数の電池ブロック120のうちの一つの充放電を停止してその電池ブロック120を保守点検或いは修理する場合には、一担、遮断機113、断路器115、断路器123,124の順に遮断した後、当該電池ブロック120に対応する断路器123,124を遮断状態にしておき、この状態で他の電池ブロック120に対応する断路器123,124、断路器115、遮断機113の順に投入する。このようにすることにより、当該電池ブロック120を他の電池ブロック120から電気的に切り離し、他の電池ブロック120が充放電している最中に当該電池ブロック120を保守点検或いは修理することができる。
【0314】
また、サブ電池システム110を構成する複数の電池ブロック120のうちの一つの第1及び第2電池ユニット130,131のいずれか一方の充放電を停止してその電池ユニットを保守点検或いは修理する場合には、一担、遮断機113、断路器115、断路器123,124、継電器135の順に遮断した後、当該電池ユニットに対応する継電器135,136を遮断状態にしておき、この状態で当該電池ユニットと対をなす電池ユニットの継電器135,136を、まず、継電器136を投入し、電流が所定の値以下になった後、継電器135を投入し、この後、継電器136を遮断するという手順で開閉制御を行った後、断路器123,124、断路器115、遮断機113の順に投入する。このようにすることにより、当該電池ユニットを、当該電池ユニットと対をなす電池ユニットから電気的に切り離し、当該電池ユニットと対をなす電池ユニット、他の電池ブロック120が充放電している最中に当該電池ユニットを保守点検或いは修理することができる。
【0315】
《電池パックの構成》
図7は、電池パック140の構成を示す。
【0316】
電池パック140において、電気的に直列に接続された電池セル201の数、電池モジュール200の数、電池モジュール200の一つ当たりの単電池群の数、単電池群一つ当たりの電池セル201の電気的な直列接続の数、セルコンIC330の数は、第1実施形態の電池システム100とは異なってくるが、セルコンIC330の構成、複数の単電池群とセルコンIC330との電気的な接続構成、複数のセルコンIC330の電源回路の構成、複数のセルコンIC330及びバッテリ制御装置400との間の通信回路の構成、電池セル201とセルコンIC330との間のコネクタによる活線接続構造、及び活線挿抜手順などは第1実施形態の電池システム100と同じである。従って、第1実施形態と同じ構成には第1実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0317】
尚、図7において、符号740は制御用電源コネクタを示す。制御用電源コネクタ740の一方には制御用電源ライン730が電気的に接続されでおり、その他方にはバッテリ制御装置400の電源回路に電気的に接続されている。
【0318】
以上説明した本実施形態においても、図4の構成をそのまま適用できるので、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電器が電気的に接続されることにより構成され、その電気的な接続態様として、所定数の蓄電器が電気的に直列或いは直並列に接続された蓄電器群がさらに複数、電気的に直列に接続された直列接続を含む蓄電ユニットと、
前記複数の蓄電器群のそれぞれに対応して設けられた監視回路を備え、前記複数の監視回路が、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に電気的に接続され、かつ接続線によって、前記複数の蓄電器群の電気的な直列接続の順にしたがって、電気的に直列に接続された制御ユニットと、
前記蓄電器群と前記監視回路との複数の対のそれぞれに対応して設けられ、前記蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に電気的に接続された接続部品と前記監視回路に電気的接続された接続部品とを接続することにより、前記蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極間と前記監視回路とを電気的に接続する第1のコネクタと、
前記接続線に設けられ、前記複数の監視回路の電位的に隣接する二つの監視回路の一方に電気的に接続された接続部品とその他方に電気的に接続された接続部品とを接続することにより、複数の監視回路の電位的に隣接する二つの監視回路の間を電気的に接続する第2のコネクタと、を有する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電システムにおいて、
前記第2のコネクタは、前記複数の監視回路の電位的に隣接する二つの監視回路よりも電位の低い監視回路と、この監視回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれとを電気的に接続する第1のコネクタを兼ねる、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の蓄電システムにおいて、
前記複数の監視回路の電位的に隣接する二つの監視回路の間を電気的に接続する第2のコネクタによる接続は、前記複数の監視回路の電位的に隣接する二つの監視回路と、これらの監視回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれとを電気的に接続する第1のコネクタによる接続の後に行われる、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項4】
複数の蓄電器が電気的に接続されることにより構成され、その電気的な接続態様として、所定数の蓄電器が電気的に直列或いは直並列に接続された蓄電器群がさらに複数、電気的に直列に接続された直列接続を含む蓄電ユニットと、
前記複数の蓄電器群のそれぞれに対応して設けられた集積回路を備え、前記複数の集積回路が、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に電気的に接続され、かつ接続線によって、前記複数の蓄電器群の電気的な直列接続の順にしたがって、電気的に直列に接続された制御ユニットと、
前記蓄電器群と前記集積回路との複数の対のそれぞれに対応して設けられ、前記蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に電気的に接続された接続部品と前記集積回路に電気的接続された接続部品とを接続することにより、前記蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極間と前記集積回路とを電気的に接続するコネクタと、を有し、
前記複数の集積回路は、それぞれ、
対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極に電気的に接続された複数の電圧入力端子と、
信号を入出力する信号入出端子と、
対応する蓄電器群の最上位の電位の蓄電器の正極に電気的に接続された電源端子と、
対応する蓄電器群の最下位の電位の蓄電器の負極に電気的に接続されたグランド端子と、を有し、
前記接続線は、前記複数の集積回路の電位的に隣接する一方の集積回路のグランド端子と他方の集積回路の電源端子とを電気的に接続する電源線を含み、
前記複数の集積回路の電位的に連続する三つの集積回路のうち、電位が最も高い集積回路を第1集積回路、前記第1集積回路の次に電位が高い集積回路を第2集積回路、電位が最も低い集積回路を第3集積回路としたとき、前記第1集積回路と前記第2集積回路とを電気的に接続する電源線は、前記第3集積回路或いは前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路と、前記第3集積回路或いは前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれとを電気的に接続するコネクタを介して電気的に接続されている、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項5】
請求項4に記載の蓄電システムにおいて、
前記電源線には容量性素子が設けられている、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の蓄電システムにおいて、
前記接続線は、前記複数の集積回路の電位的に隣接する一方の集積回路の信号出力端子と他方の集積回路の信号入力端子とを電気的に接続する通信線を含み、
前記第1集積回路と前記第2集積回路とを電気的に接続する通信線は、前記第3集積回路或いは前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路と、前記第3集積回路或いは前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれとを電気的に接続するコネクタを介して電気的に接続されている、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
さらに、前記複数の監視回路は、それぞれ、
対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極間の電圧を、前記複数の電圧入力端子を介して入力し、この入力した電圧を検出する電圧検出回路と、
前記信号入力端子を介して信号を入力する信号入力回路と、
前記信号出力端子を介して信号を出力する信号出力回路と、
対応する蓄電器群の最上位の電位の蓄電器の正極と最下位の電位の蓄電器の負極との間の電圧を電源電圧として、前記電源端子及び前記グランド端子を介して入力して、前記電圧検出回路及び前記信号入出回路に前記グランド端子の電位を基準電位とした動作電圧を出力する電源回路と、を有する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項8】
請求項6に記載の蓄電システムにおいて、
前記第2集積回路と前記第3集積回路とを電気的に接続する電源線及び通信線は、前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路と、前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれとを電気的に接続するコネクタ、或いは前記第2及び第3集積回路と、これらの集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれとを電気的に接続するコネクタとは別に設けられたコネクタを介して接続されている、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項9】
請求項6に記載の蓄電システムにおいて、
前記第1集積回路と前記第2集積回路とを電気的に接続する電源線及び通信線を電気的に接続するコネクタは、
第1コネクタと、
前記第1コネクタと嵌め合わせられる第2コネクタと、を有し、
前記第1コネクタには、前記第3集積回路に電気的に接続されていると共に、前記第3集積回路から延び、前記第3集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極の電圧を前記第3集積回路に入力する電圧入力線、前記第1集積回路に電気的に接続されると共に、前記第1集積回路から延びた電源線及び通信線、及び前記第2集積回路に電気的に接続されると共に、前記第2集積回路から延びた電源線及び通信線が取り付けられ、
前記第2コネクタには、前記第3集積回路に対応する蓄電器群のそれぞれの正負極に電気的に接続されると共に、前記第3集積回路に対応する蓄電器群のそれぞれの正負極から延び、前記第3集積回路に対応する蓄電器群のそれぞれの正負極間の電圧を前記第3集積回路側に出力する電圧出力線が取り付けられ、
さらに、前記第2コネクタは、
前記第1集積回路から延びた電源線と、前記第2集積回路から延びた電源線とを電気的に接続するための接続導体と、
前記第1集積回路から延びた通信線と、前記第2集積回路から延びた通信線とを電気的に接続するための接続導体と、を有する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項10】
請求項9に記載の蓄電システムにおいて、
前記第2集積回路と前記第3集積回路とを電気的に接続する電源線及び通信線を電気的に接続するコネクタは、
第1コネクタと、
前記第1コネクタと嵌め合わせられる第2コネクタと、を有し、
前記第1コネクタには、前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路に電気的に接続されていると共に、前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路から延び、前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極の電圧を、前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路に入力する電圧入力線、前記第2集積回路に電気的に接続されると共に、前記第2集積回路から延びた電源線及び通信線、及び前記第3集積回路に電気的に接続されると共に、前記第3集積回路から延びた電源線及び通信線が取り付けられ、
前記第2コネクタには、前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路に対応する蓄電器群のそれぞれの正負極に電気的に接続されると共に、前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路に対応する蓄電器群のそれぞれの正負極から延び、前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路に対応する蓄電器群のそれぞれの正負極間の電圧を、前記第3集積回路よりも電位の低い集積回路側に出力する電圧出力線が取り付けられ、
さらに、前記第2コネクタは、
前記第2集積回路から延びた電源線と、前記第3集積回路から延びた電源線とを電気的に接続するための接続導体と、
前記第2集積回路から延びた通信線と、前記第3集積回路から延びた通信線とを電気的に接続するための接続導体と、を有する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項11】
請求項9に記載の蓄電システムにおいて、
前記第2及び第3集積回路と、これらの集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれとを電気的に接続するコネクタとは別に設けられたコネクタは、
第1コネクタと、
前記第1コネクタと嵌め合わせられる第2コネクタと、を有し、
前記第1コネクタには、前記第2集積回路に電気的に接続されると共に、前記第2集積回路から延びた電源線及び通信線、及び前記第3集積回路に電気的に接続されると共に、前記第3集積回路から延びた電源線及び通信線が取り付けられ、
前記第2コネクタは、
前記第2集積回路から延びた電源線と、前記第3集積回路から延びた電源線とを電気的に接続するための接続導体と、
前記第2集積回路から延びた通信線と、前記第3集積回路から延びた通信線とを電気的に接続するための接続導体と、を有する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項12】
複数の蓄電器が電気的に接続されることにより構成され、その電気的な接続態様として、所定数の蓄電器が電気的に直列或いは直並列に接続された蓄電器群がさらに複数、電気的に直列に接続された直列接続を含む蓄電ユニットと、前記複数の蓄電器群のそれぞれに対応して設けられた監視回路を備え、前記複数の監視回路が、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に電気的に接続され、かつ前記複数の蓄電器群の電気的な直列接続の順にしたがって、電気的に直列に接続された制御ユニットと、を有する蓄電システムの活線挿抜方法であって、
前記複数の監視回路の電位的に隣接する二つの監視回路のうち、電位が最も高い監視回路を第1監視回路、前記第1監視回路の次に電位が高い監視回路を第2監視回路としたとき、はじめに、前記第1及び第2監視回路と、これらの監視回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれとを電気的に接続し、この後、前記第1監視回路と前記第2監視回路とを電気的に接続する、
ことを特徴とする蓄電システムの活線挿抜方法。
【請求項13】
請求項12に記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、
前記複数の監視回路と、これらの監視回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれとを、前記複数の蓄電器群の電気的な直列接続の最高電位側から最低電位側に向かって順番に電気的に接続する、
ことを特徴とする蓄電システムの活線挿抜方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、
前記第1監視回路と前記第2監視回路の両者を、前記第2監視回路よりも電位の低い監視回路と、この監視回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれとを電気的に接続するタイミングと同じタイミングで電気的に接続する、
ことを特徴とする蓄電システムの活線挿抜方法。
【請求項15】
請求項14に記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、
前記第2監視回路よりも電位の低い監視回路は、前記第2監視回路の次に電位が低い監視回路である、
ことを特徴とする蓄電システムの活線挿抜方法。
【請求項16】
請求項12乃至15のいずれかに記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、
前記複数の蓄電器群のいずれか一つを、これに対応する監視回路から電気的に分離して、別の蓄電器群と交換する場合には、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路を、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路に電気的に直列に接続された監視回路から電気的に分離し、この後、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路を前記交換対象の蓄電器群から電気的に分離する、
ことを特徴とする蓄電システムの活線挿抜方法。
【請求項17】
請求項16に記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、
前記交換対象の蓄電器群を前記別の蓄電器群に交換した場合には、前記別の蓄電器群と、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路とを電気的に接続し、この後、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路に電気的に直列に接続される監視回路を、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路に電気的に接続する、
ことを特徴とする蓄電システムの活線挿抜方法。
【請求項18】
請求項12乃至15のいずれかに記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、
前記複数の蓄電器群のいずれか一つを、これに対応する監視回路から電気的に分離して、別の蓄電器群と交換する場合であり、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路よりも電位の低い監視回路がある場合には、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路よりも電位の低い監視回路と、この監視回路に対応する蓄電器群との電気的な分離と、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路よりも電位の低い監視回路間の電気的な分離とを、電位の低い方から順に、電位的に隣接する二つの監視回路と、これらに対応する蓄電器群とを電気的に接続した後、前記電位的に隣接する二つの監視回路を電気的に直列に接続するという、接続手順とは逆の分離手順にしたがって実施し、この後、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路に電気的に接続された監視回路と前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路とを電気的に分離し、この後、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路を前記交換対象の蓄電器群から電気的に分離する、
ことを特徴とする蓄電システムの活線挿抜方法。
【請求項19】
請求項18に記載の蓄電システム活線挿抜方法において、
前記交換対象の蓄電器群を前記別の蓄電器群に交換した場合には、前記別の蓄電器群と、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路とを電気的に接続し、この後、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路に電気的に直列に接続される監視回路を、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路に電気的に接続し、さらには、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路よりも電位の低い監視回路と、この監視回路に対応する蓄電器群との電気的な接続と、前記交換対象の蓄電器群に対応する監視回路よりも電位の低い監視回路間の電気的な接続とを、電位の高い方から順に、前記接続手順にしたがって実施する、
ことを特徴とする蓄電システム活線挿抜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−76602(P2013−76602A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215906(P2011−215906)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】