説明

蓄電池収納庫の温度調整装置

【課題】蓄電池の異常を安価に報知することを目的とする。
【解決手段】一段高い上げ床とされた床の段差部分に引出式の蓄電池収納庫40を設けると共に、蓄電池収納庫40の前面の外側の視認可能な位置に、複数のLEDライト56を設ける。そして、温度センサによって蓄電池の温度を検出して、蓄電池収納庫40に収納された蓄電池が正常な場合に点灯させ、蓄電池の異常(温度上昇)が検出され場合に点滅させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池収納庫の温度調整装置にかかり、特に、住宅で使用する電力を蓄電する蓄電池を収納するための蓄電池収納庫の温度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題等を考慮して、住宅に蓄電池を設けて、自然エネルギーを利用して発電した電力を蓄電し、住宅で使用する電力として蓄電池に蓄電した電力を用いる技術が提案されている。
【0003】
一方、このような蓄電池を備えた技術としては、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1に記載の技術では、自然エネルギーを利用して発電した電力を蓄電池に蓄電するとともに照明などの外部負荷に放電する独立電源装置において、太陽電池、風車、蓄電池、充電回路、放電回路等にそれぞれ電流センサや電圧センサ等を設けて、各部の異常を検出し、異常が検出された場合に、蓄電池への充電を停止することが提案されていると共に、異常をLCD等の表示装置に表示することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−25480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、異常が発生した場合に蓄電池への充電が停止され、蓄電池の電力がなくなって住宅の電力を蓄電池から供給することができなくなってしまうことが考えられるが、蓄電池の温度上昇による異常の場合には、放熱すれば蓄電池を使用することができるため、改善の余地があり、蓄電池から発生する熱を放熱して温度調整することが望まれる。
【0006】
また、蓄電池の異常に伴って、特許文献1に記載の技術では、異常の報知を行うようにしているが、異常が発生した場合に、LCD等を用いて「太陽電池異常」などの文字表示するようしており、安価な表示を行うためには、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、蓄電池の異常を安価に報知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、蓄電池を収納する収納庫と、蓄電池の異常を検出する検出手段と、前記収納庫の外側の視認可能な場所に設けられ、蓄電池の状態を表示する表示手段と、前記検出手段によって前記異常が検出されない場合に点灯し、前記検出手段によって前記異常が検出された場合に点滅するように前記表示手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、蓄電池が収納庫に収納される。また、検出手段では、蓄電池の異常が検出される。
【0010】
また、収納庫の外側の視認可能な場所には、表示手段が設けられ、制御手段では、検出手段によって異常が検出されず正常な場合に点灯し、異常が検出された場合に点滅するように表示手段が制御される。すなわち、表示手段としては光源等の安価なものを適用することができ、表示手段の点灯と点滅によって蓄電池が異常か否かを判断することができるため、蓄電池の異常を安価に報知することができる。
【0011】
なお、制御手段は、請求項2に記載の発明のように、蓄電池の充電状態に応じて表示手段を更に制御するようにしてもよい。これによって蓄電池の充電状態も報知することができる。
【0012】
また、検出手段及び表示手段は、請求項3に記載の発明のように、検出手段が、蓄電池の温度または前記収納庫内の温度を検出する温度検出手段を有し、制御手段が、温度検出手段によって検出された温度が所定温度以上の場合に点滅して蓄電池の異常を表示するように表示手段を制御するようにしてもよい。
【0013】
また、請求項1の発明は、請求項4に記載の発明のように、収納庫の少なくとも一部を開閉可能とした開閉部と、開閉部を開閉させる開閉手段と、を更に備えて、制御手段が、異常検出手段によって異常が検出された場合に、開閉部を開放するように開閉手段を更に制御するようにしてもよい。すなわち、蓄電池が発熱して温度上昇した場合には、開閉手段によって収納庫の少なくとも一部が開放され、蓄電池の熱が放熱される。従って、蓄電池から発生する熱を放熱して温度調整することができる。
【0014】
この場合には、請求項5に記載の発明のように、収納庫の換気を行う換気手段を更に備えて、制御手段が、検出手段によって異常が検出された場合に、収納庫の換気を行うように換気手段を更に制御するようにしてもよい。すなわち、開閉部が開放されるだけではなく、換気手段によって強制的に換気されるので、開閉部から吸気して、蓄電池を冷却して、熱を排出することができ、蓄電池から発生する熱の放熱をより効果的に行うことができる。このとき、請求項6に記載の発明のように、開閉部を開放していることを表す開放表示を行う開放表示手段を更に備えるようにしてもよい。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項7に記載の発明のように、換気手段を作動していることを表す作動表示を行う作動表示手段を更に備えるようにしてもよいし、請求項8に記載の発明のように、制御手段が、開閉部を開閉して所定温度範囲に所定時間で戻らない場合に、収納庫の換気を行うように換気手段を制御するようにしてもよい。この場合には、制御手段は、請求項9に記載の発明のように、換気手段を制御しても所定温度範囲に所定時間で戻らない場合に、蓄電池の電流接続を切断するように蓄電池の電流接続を更に制御するようにしてもよい。
【0016】
なお、収納庫としては、例えば、請求項10に記載の発明のように、建物の居室内に形成された上げ床の下方に設けられ、荷物を収納する荷物収納部と、蓄電池を収納する蓄電池収納部と、を有する収納庫を適用するようにしてもよい。この場合には、少なくとも荷物収納部は、請求項12に記載の発明のように、床に沿ってスライドして室内側に引出可能とされるようにしてもよい。また、請求項11に記載の発明のように、蓄電池の温度または収納庫内の温度を検出する温度検出手段と、収納庫から外部へ排気を行う排気機構と、床下から前記収納庫へ吸気を行う吸気機構と、温度検出手段によって所定温度以上の温度が検出された場合に、床下から収納庫へ吸気して、外部へ排気するように、吸気機構及び排気機構を制御する温度制御手段と、を更に備えるようにしてもよい。これによって、温度検出手段によって所定温度以上の温度が検出された場合に、床下から収納庫へ吸気して、外部へ排気することができ、蓄電池の温度上昇を抑制することができる。
【0017】
また、請求項10〜12の何れか1項に記載の発明は、請求項13に記載の発明のように、室内照度を検出する照度検出手段と、上げ床の段差を報知するための光源と、を更に備えて、制御手段が、照度検出手段によって所定照度以下の照度が検出された場合に、光源を点灯するように更に制御するようにしてもよい。これによって、夜間等の周囲が暗い場合に、上げ床の段差を報知することができ、安全性を向上することができる。また、この場合には、請求項14に記載の発明のように、制御手段が、蓄電池の状態を監視し、蓄電池の異常を検出した場合に、光源を点滅するように更に制御するようにしてもよい。なお、段差を報知するための光源と、蓄電池の異常を点滅によって報知するための光源は別でもよいし、同じ光源でもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、点灯と点滅によって蓄電池の異常か否かを判断することができるので、蓄電池の異常を安価に報知することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係わる蓄電池収納庫が設けられた建物の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる蓄電池収納庫の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる蓄電池収納庫の概略構成を示す図であり、(A)は断面図であり、(B)は蓄電池収納庫の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる蓄電池収納庫の温度調整装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる蓄電池収納庫の温度調整装置における電力管理装置の制御部で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる蓄電池収納庫が設けられた建物の概略構成を示す図である。
【0021】
本発明の実施の形態に係わる蓄電池収納庫が設けられた建物10は、蓄電池30を用いて、住宅で使用する電気を蓄電及び給電する電力管理装置12を備えている。
【0022】
インバータ変換器14は、電力会社から供給される交流電力を直流電力に変換して電力管理装置12に供給すると共に、電力管理装置12から供給される直流電力を交流電力に変換して電力会社へ供給することが可能とされている。
【0023】
太陽電池16は、太陽エネルギーを電力に変換するソーラーパネルを有し、該ソーラーパネルによって変換された電力をに電力管理装置12へ供給する。
【0024】
発電ユニット18は、燃料電池を有し、該燃料電池によって発電して、発電した電力を電力管理装置12へ供給する。
【0025】
電力管理装置12は、電力会社から供給される電力や、太陽電池から供給される電力、発電ユニット18から供給される電力の蓄電池への供給を管理する。また、電力管理装置12は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の走行用蓄電池26を備えた自動車28が接続可能とされ、自動車28の走行用蓄電池26を充電することが可能とされている。
【0026】
電力管理装置12が管理する蓄電池30は、例えば、図2に示すような床下に設けられた蓄電池収納庫40内に収納される。図2の例では、畳コーナー等のように一段高い上げ床とされた床の段差部分に設けられた蓄電池収納庫40に蓄電池30が収納される。
【0027】
詳細には、図3(A)、(B)に示すように、蓄電池収納庫40は、キャスター42が設けられ、引き出すことができる引出し式の収納庫とされている。また、蓄電池収納庫40は、引き出し手前側に一般的な荷物等の物品が収納される一般収納スペース44が設けられ、引き出し奥側のスペースが蓄電池30が収納され蓄電池収納スペース46とされている。なお、一般収納スペース44には、蓄電池30より電源供給される直流電源ターミナル等を備えるようにしてもよい。或いは、蓄電池30から供給される電力を交流に変換して電力供給を行うコンセントを備えるようにしてもよい。これによって、携帯電話やデジタルカメラ等の各種電子機器を収納したまま充電することが可能となる。
【0028】
蓄電池収納スペース46の底板及び奥板には、換気及び冷却のための通気ガラリ48A、48Bが設けられている。通気ガラリ48A、48Bは、網状や格子状とされ、蓄電池収納スペース46の内外が貫通している。
【0029】
通気ガラリ48Aに対向する蓄電池収納庫40の床板には、床下と連通して開閉可能な開閉フタ50が設けられており、開閉フタ50が開放されることにより、床下から空気を蓄電池収納スペース46内へ供給可能、または蓄電池収納スペース46から床下へ空気を放出可能とされている。
【0030】
また、通気ガラリ48Bに対向する壁面には、屋外と連通する貫通ダクト52が設けられており、該貫通ダクト52内に換気扇54が設けられている。換気扇54は、蓄電池収納スペース46から屋外へ空気を吸い出すことによって蓄電池収納スペース46の換気を行うようになっている。
【0031】
すなわち、開閉フタ50を開放して換気扇54を作動することによって、換気扇54による負圧により、床下の空気が開閉フタ50及び通気ガラリ48Aを介して蓄電池収納スペース46に吸気される。そして、蓄電池収納スペース46内の空気が通気ガラリ48B及び貫通ダクト52を介して屋外へ排出され、蓄電池30を冷却することができる。
【0032】
また、蓄電池収納庫40の前面の外側の視認可能な位置には、複数のLEDライト56及び光センサ58が設けられており、光センサ58によって室内照度が検出され、所定照度以下の場合に、複数のLEDライト56のうち少なくとも1つが点灯されて、段差を知らせるようになっている。また、蓄電池30の温度上昇による異常等をLEDライト56の点灯や点滅等によって報知すると共に、蓄電池30の充電状態等をLEDライト56の明るさ等によって報知するようになっている。なお、本実施の形態では、段差報知用LEDライト56A、蓄電池30の温度異常報知用LEDライト56B、及び蓄電池30の異常報知用LEDライト56Cの3つのLEDライト56が設けられているものとして説明するが、3つ以上のLEDライト56を備えるようにしてもよい。
【0033】
続いて、本発明の実施の形態に係わる蓄電池収納庫40の温度調整装置の構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係わる蓄電池収納庫40の温度調整装置の構成を示すブロック図である。
【0034】
蓄電池収納庫40の温度調整装置60は、上述の電力管理装置12を備えており、電力管理装置12は、蓄電池30への充放電や温度調整等の制御を行う。蓄電池30には、充放電制御部32が接続されており、充放電制御部32によって蓄電池30への充電及び蓄電池30に蓄電された電力の住宅や自動車28への給電等が制御される。
【0035】
充電制御部32には、照明22、空調装置24、電気温水器20等の家電へ電力を供給するための配電盤34、インバータ変換器14、太陽電池16、及び発電ユニット18等が接続されている。
【0036】
また、充放電制御部32は、電力会社から供給され、インバータ変換器14によって変換された直流電力を蓄電池30へ供給したり、蓄電池30に蓄電された電力をインバータ変換器14へ供給することによってインバータ変換器14によって交流電力に変換して電力会社へ供給したり、インバータ変換器14によって変換された直流電力を配電盤34に供給したり、蓄電池30に蓄電された電力を配電盤34に供給したり、太陽電池16から供給される電力を充電するための電力として蓄電池30に供給したり、太陽電池16から供給される電力をインバータ変換器14を介して電力会社へ供給したり、発電ユニット18から供給される電力を充電するための電力として蓄電池30に供給したり、発電ユニット18から供給される電力をインバータ変換器14を介して電力会社へ供給したりする。充放電制御部32による各電力の流れの切換は、制御部36によって制御される。
【0037】
制御部36には、温度センサ38、モータ駆動回路62、換気扇54、LED駆動回路64、及び光センサ58が接続されている。
【0038】
温度センサ38は、蓄電池30の温度または蓄電池30が収納された蓄電池収納スペース46内等の蓄電池30近傍の雰囲気温度を検出して検出結果を制御部36に出力する。
【0039】
モータ駆動回路62は、床下開閉モータ66を駆動することにより、蓄電池収納スペース46の開閉フタ50を開閉する。
【0040】
換気扇54は、上述したように、作動することにより、蓄電池収納スペース46の換気を行うことにより、蓄電池30を冷却する。
【0041】
また、光センサ58は、上述したように蓄電池収納庫40の前面に設けられ、周囲の照度を検出し、検出結果を制御部36に出力する。
【0042】
LED駆動回路64は、蓄電池収納庫40の前面に設けられた複数のLEDライト56を駆動して、蓄電池30の異常の報知や、段差があることの報知、蓄電池30の状態等を表示する。
【0043】
複数のLEDライト56は、例えば、上述したように、段差報知用LEDライト56A、蓄電池30の温度異常報知用LEDライト56B、蓄電池30の異常報知用LEDライト56Cなどを適用することができる。また、蓄電池30の温度異常報知用LEDライト56Bによる報知方法としては、例えば、蓄電池30が所定温度以上となって開閉フタ50を開放した場合に点灯させ、開閉フタ50を開放しても温度が下がらないで換気扇54を作動した場合に点滅させ、換気扇54を作動しても温度が下がらず蓄電池30の接続をカットした場合に点滅速度を早くしたりすることによって各状態を報知することができる。また、蓄電池30の状態の報知方法としては、蓄電池30の充電容量や電圧等から劣化等を自己診断により検出し、検出した蓄電池30の状態に応じて異常報知用ライト56Cの点灯、点滅、点滅速度等を変化させることによって報知することができる。また、本実施の形態では、異常報知用LEDライト56Cは、蓄電池30の温度異常等の異常が発生した場合に点滅し、正常な場合に点灯する。また、LED駆動回路64が複数のLEDラインと56のうち何れか(例えば、異常報知用LEDライト56C)の明るさを制御する等によって、蓄電池30の充電量等を表示するようにしてもよい。
【0044】
なお、図2及び図3(B)では、段差報知用LEDライト56A、温度異常報知用LEDライト56B、及び異常報知用LEDライト56C等の複数のLEDライト56を備えた例を示すが、1つのLEDライト56を用いて、点灯色や、点灯、点滅、点滅速度、明るさ等の組み合わせによって各状態を報知するようにしてもよい。
【0045】
さらに、制御部36は、蓄電池30の自己診断を行うことによって、蓄電池30の劣化等の異常を検出する機能を有している。例えば、充放電制御部32が蓄電池30の充電容量、電圧、電流、充電時間等を監視して、監視結果を制御部36へ出力し、制御部36が充放電制御部32から出力される蓄電池30の充電容量、電圧、電流、充電時間等に基づいて、蓄電池30の劣化等の異常を判断することによって蓄電池30の自己診断を行うことができる。そして、上述したように、LED駆動回路64によって異常報知用LEDライト56Cを制御することによって、自己診断結果を表示するようになっている。例えば、自己診断によって蓄電池30の異常が検出された場合には、異常報知用LEDライト56Cを点滅することによって蓄電池30の異常を報知することができる。
【0046】
次に上述のように構成された本発明の実施の形態に係わる蓄電池収納庫40の温度調整装置60における電力管理装置12の制御部36で行われる処理について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係わる蓄電池収納庫40の温度調整装置60における電力管理装置12の制御部36で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0047】
ステップ100では、蓄電池30の温度が検出されてステップ102へ移行する。すなわち、温度センサ38によって検出された蓄電池30の温度または蓄電池30近傍の雰囲気温度を取得する。
【0048】
ステップ102では、温度センサ38の検出結果が所定温度以上か否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ100に戻り、肯定された場合にはステップ104へ移行する。
【0049】
ステップ104では、蓄電池収納スペース46に対向する床板の開閉フタ50が開放されると共に、開閉フタ開放したことを表す表示が行われてステップ106へ移行する。すなわち、モータ駆動回路62を制御して開閉フタ50が開放する方向に床下開閉モータ66を駆動すると共に、LED駆動回路64を制御して、所定温度以上となり開閉フタ50が開放したことを表す表示を行う。なお、所定温度以上になって開閉フタ50を開放したことを表す表示としては、本実施の形態では、温度異常報知用LEDライト56Bを点灯すると共に、異常報知用LEDライト56Cを点滅することによって所定温度以上になって開閉フタ50を開放したことを表す表示を行い、これによって蓄電池30の温度が上昇している異常であることを報知する。
【0050】
ステップ106では、所定時間(例えば、10〜30分)経過したか否か判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ108へ移行する。
【0051】
ステップ108では、蓄電池30の温度が再び検出されてステップ110へ移行する。すなわち、温度センサ38によって検出された蓄電池30の温度または蓄電池30近傍の雰囲気温度を再び取得して、開閉フタ50が開放されてことにより、蓄電池30の温度が低下したか否かが検出される。
【0052】
ステップ110では、温度センサ38の検出結果が所定温度範囲内か否か判定される。該判定は、所定温度以上となって開閉フタ50の開放することにより、所定温度未満となって所定温度範囲内になったか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ112へ移行し、否定された場合にはステップ114へ移行する。
【0053】
ステップ112では、開放されている開閉フタ50が閉じられると共に、開閉フタ50を開放したことを表す表示が消灯されてステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。すなわち、モータ駆動回路62を制御して開閉フタ50が閉じる方向に床下開閉モータ66を駆動すると共に、LED駆動回路64を制御して、温度異常報知用LEDライド56Bを消灯し、異常報知用LEDライト56Cの状態を点滅から点灯に変化させる。
【0054】
一方、ステップ114では、換気扇54が作動されると共に、換気扇54が作動していることを表す表示が行われてステップ116へ移行する。すなわち、換気扇54を作動することによって、床下の空気を蓄電池収納スペース46に吸い込んで冷却して、蓄電池30で温められた空気を屋外に排出すると共に、LED駆動回路64を制御して、換気扇54を作動したことを表す表示を行う。なお、換気扇54を作動したことを表す表示としては、本実施の形態では、点灯している温度異常報知用LEDライト56Bを点滅すると共に、異常報知用LEDライト56Cを点滅することによって、換気扇54を作動したことを表す表示を行い、これによって蓄電池30の温度が更に上昇している異常であることを報知する。
【0055】
ステップ116では、所定時間(例えば、10〜30分)経過したか否か判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ118へ移行する。
【0056】
ステップ118では、蓄電池30の温度が再び検出されてステップ120へ移行する。すなわち、温度センサ38によって検出された蓄電池30の温度または蓄電池30近傍の雰囲気温度を再び取得して、開閉フタ50が開放されると共に換気扇54が作動されることにより、蓄電池30の温度が低下したか否かが検出される。
【0057】
ステップ120では、温度センサ38の検出結果が所定温度範囲内か否か判定される。該判定は、所定温度以上となって開閉フタ50が開放され、その後換気扇54が作動されることにより、所定温度未満になり、所定温度範囲内になったか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ122へ移行し、否定された場合にはステップ124へ移行する。
【0058】
ステップ122では、開閉フタ50が閉じられると共に、換気扇54が停止され、換気扇54を作動していることを表す表示が停止されてステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。すなわち、換気扇54の作動を停止すると共に、LED駆動回路64を制御して、温度異常報知用LEDライト56Bを消灯し、異常報知用LEDライト56Cの状態を点滅から点灯に変化させる。
【0059】
一方、ステップ124では、蓄電池30の接続がカットされると共に、異常警告表示が行われて一連の処理を終了する。すなわち、蓄電池30が異常加熱しているので、蓄電池30の電流接続をカットすることにより異常加熱を防止すると共に、異常警告を表示する。なお、異常警告の表示としては、本実施の形態では、点滅している温度異常報知用LEDライト56Bの点滅速度を変更(例えば、点滅速度を速く)することによって蓄電池30が異常であることを警告する。このとき、異常報知用LEDライト56Cも点滅するので、これによっても異常であることを警告することができる。また、スピーカ等を備える場合には、蓄電池30が異常であることを音や音声で報知するようにしてもよい。
【0060】
このように、本実施の形態に係わる蓄電池収納庫の温度調整装置60は、蓄電池30の発熱によって所定温度以上になった場合には、蓄電池収納庫40に設けられた開閉フタ50が開放されることにより、蓄電池収納庫40の熱を放熱することができる。また、それでも所定温度範囲にならない場合には、換気扇54を作動することによって蓄電池収納スペース46を強制的に換気することによって、蓄電池収納庫40の熱を放熱して温度調整することができる。さらに、強制換気を行っても所定温度範囲にならない場合には、蓄電池30の接続をカットすることによって蓄電池30が更に加熱されるのを防止することができる。
【0061】
なお、上記の実施の形態では、温度異常報知用LEDライト56Bの点灯を制御することによって、蓄電池30が温度上昇して開閉フタを開放したことを表す表示、換気扇54を作動したことを表す表示、及び異常警告の表示等を行うようにし、異常報知用LEDライト56Cの点灯を制御することによって、蓄電池30の異常を報知するようにしたが、これに限るものではなく、温度異常報知用LEDライト56B及び異常報知用LEDライト56Cの代りに液晶等の表示装置を設けて、これらの内容を表示装置に表示することにより報知するようにしてもよい。
【0062】
また、上記の実施の形態では、開閉フタ50を床下開閉モータ66を駆動することによって開閉するようにしたが、これに限るものではなく、形状記憶合金等を用いて蓄電池30の温度または蓄電池収納庫40の温度が所定温度以上になった場合に開閉フタ50を開放させる構成してもよい。例えば、開閉フタ50のヒンジを形状記憶合金で構成し、所定温度以上になった場合に開閉フタ50を開放するように構成することができる。
【0063】
また、上記の実施の形態では、開閉フタ50は、蓄電池収納庫40の床の一部を開閉可能としたが、一部でなくてもよい。
【0064】
また、上記の実施の形態では、一般収納スペース44と、蓄電池収納スペース46と、が共に引出可能とした例を示したが、一般収納スペース44が引出可能としてもよい。
【0065】
また、上記の実施の形態では、開閉フタ50を開放した表示として、温度異常報知用LEDライト56Bを点灯すると共に、異常報知用LEDライト56Cを点滅するようにし、換気扇54が作動したことを表す表示として、温度異常報知用ライト56Bを点滅すると共に、異常報知用LEDライト56Cを点滅するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、開閉フタ50を開放したことを表す風マーク等が点灯するLEDライトを別に設けてLED駆動回路64によって点灯を制御するようにしてもよいし、同様に、換気扇54が作動したことを表す換気扇マーク等が点灯するLEDライトを別に設けてLED駆動回路64によって点灯を制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
12 電力管理装置
30 蓄電池
32 充放電制御部
36 制御部
38 温度センサ
40 蓄電池収納庫
44 一般収納スペース
46 蓄電池収納スペース
50 開閉フタ
52 貫通ダクト
54 換気扇
56 LEDライト
58 光センサ
60 温度調整装置
62 モータ駆動回路
64 LED駆動回路
66 床下開閉モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を収納する収納庫と、
蓄電池の異常を検出する検出手段と、
前記収納庫の外側の視認可能な場所に設けられ、蓄電池の状態を表示する表示手段と、
前記検出手段によって前記異常が検出されない場合に点灯し、前記検出手段によって前記異常が検出された場合に点滅するように前記表示手段を制御する制御手段と、
を備えた蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項2】
前記制御手段は、蓄電池の充電状態に応じて前記表示手段を更に制御する請求項1に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項3】
前記検出手段は、蓄電池の温度または前記収納庫内の温度を検出する温度検出手段を有し、前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出された温度が所定温度以上の場合に点滅して前記異常を表示するように前記表示手段を制御する請求項1又は請求項2に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項4】
前記収納庫の少なくとも一部を開閉可能とした開閉部と、
前記開閉部を開閉させる開閉手段と、を更に備え、
前記制御手段が、前記異常検出手段によって前記異常が検出された場合に、前記開閉部を開放するように前記開閉手段を更に制御する請求項3に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項5】
前記収納庫の換気を行う換気手段を更に備え、前記制御手段が、前記検出手段によって前記異常が検出された場合に、前記収納庫の換気を行うように前記換気手段を更に制御する請求項4に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項6】
前記開閉部を開放していることを表す開放表示を行う開放表示手段を更に備えた請求項4又は請求項5に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項7】
前記換気手段を作動していることを表す作動表示を行う作動表示手段を更に備えた請求項5に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項8】
前記制御手段が、前記開閉部を開閉して所定温度範囲に所定時間で戻らない場合に、前記収納庫の換気を行うように前記換気手段を制御する請求項5に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記換気手段を制御しても所定温度範囲に所定時間で戻らない場合に、蓄電池の電流接続を切断するように蓄電池の電流接続を更に制御する請求項8に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項10】
前記収納庫は、建物の居室内に形成された上げ床の下方に設けられ、荷物を収納する荷物収納部と、蓄電池を収納する蓄電池収納部と、を有する請求項1に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項11】
蓄電池の温度または前記収納庫内の温度を検出する温度検出手段と、前記収納庫から外部へ排気を行う排気機構と、床下から前記収納庫へ吸気を行う吸気機構と、前記温度検出手段によって所定温度以上の温度が検出された場合に、床下から前記収納庫へ吸気して、外部へ排気するように、前記吸気機構及び前記排気機構を制御する温度制御手段と、を更に備えた請求項10に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項12】
少なくとも前記荷物収納部は、床に沿ってスライドして室内側に引出可能とされている請求項10に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項13】
室内照度を検出する照度検出手段と、前記上げ床を報知するための光源と、を更に備え、前記制御手段が、前記照度検出手段によって所定照度以下の照度が検出された場合に、前記光源を点灯するように更に制御する請求項10〜12の何れか1項に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。
【請求項14】
前記制御手段が、蓄電池の状態を監視し、蓄電池の異常を検出した場合に、前記光源を点滅するように更に制御する請求項13に記載の蓄電池収納庫の温度調整装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−244918(P2010−244918A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93753(P2009−93753)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】