説明

薄型基板キャリア及びその製造方法

【課題】 クリームハンダの量のバラツキを防ぐとともに薄型基板を剥離しやすい薄型基板キャリアを提供する。
【解決手段】 薄型基板キャリア(1)のベース板(3)上面に粘着樹脂層(5)を形成し、当該粘着樹脂層上面を厚手領域(7)と薄手領域(9)に区分する。当該薄手領域は、当該厚手領域の粘着力よりも粘着力が弱いので、その弱い分、薄型基板の剥離が容易になる。粘着樹脂層上面に薄型基板が歪むような凹凸が形成されないので、歪みが原因となるクリームハンダの量のバラツキが有効に防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フレキシブル印刷基板(FPC)その他の薄型配線基板のような薄型基板を搬送するための薄型基板キャリアに関し、より詳しくは、薄型基板を貼り付け固定することのできる樹脂層を備えた薄型基板キャリア及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄型基板(以下、単に「基板」という)の表面に、たとえば、ICやコンデンサのような電子部品を実装する際に使用する薄型基板キャリア(以下、単に「キャリア」という)には、上述したような薄型基板貼り付け用樹脂層(粘着樹脂層)を備えたものが多い。図17に、キャリアの一例を示す。キャリア101は、ベース板103と、ベース板103の上面に薄く形成された粘着樹脂層105と、を備えている。ベース板103にはアルミニウムやガラスエポキシが、粘着樹脂層にはフッ素樹脂やシリコーン樹脂が、それぞれ用いられるのが一般的である。キャリア101は、次のように使用する。すなわち、まず、キャリア101の粘着樹脂層105上の所定箇所に薄型基板111を置くことから始める。置かれた薄型基板111は、粘着樹脂層105の粘着力によってその粘着樹脂層105(キャリア101)上に貼り付ける。薄型基板111は文字通り薄いものであり、また、一般的に小さいものでもある。さらに、壊れやすいものでもある。このため、そのままの薄型基板111では、そのハンドリングがたいへん難しい。そこで、補強しつつハンドリングを容易なものとするため、薄型基板111をキャリア101に固定するのである。キャリア101に固定された薄型基板111は、その状態のままハンダ印刷、部品マウント、リフロー、その他の工程に供されることになる。
【0003】
上記工程の中のハンダ印刷には、必要箇所に貫通孔116,・・を設けたメタルマスク115を使用する。図21〜23に示すように、メタルマスク115を粘着樹脂層105に貼り付けた薄型基板111の上に重ね、さらに、その上にメタルマスク115を重ねる。次いで、メタルマスク115の上にクリームハンダ117を載せ、載せたクリームハンダ117をスキージ119でスキージングして貫通孔116,・・を貫通させ薄型基板111上に印刷する(特許文献1参照)。印刷を終えたらメタルマスク115を離すのであるが、この離しを行う際に粘着樹脂層105の粘着力が邪魔になる。つまり、粘着樹脂層105の粘着力によってメタルマスク115が粘着樹脂層105に貼り付いて離しづらくなるという問題が生じる。
【特許文献1】特開2001−144430号公報(段落0013〜0014参照)
【0004】
粘着樹脂層105から剥がしづらい問題は、薄型基板についても同じであって、剥がしやすくするために次の技術が開示されている。すなわち、粘着樹脂層表面の所定箇所にレーザスキャニングすることによって、その箇所を粗面化する技術であり、粗面化することによって、粘着樹脂層と薄型基板との接触面積を減らして全体的に粘着力を低下させようとするものである。レーザースキャンを行う所定箇所以外の箇所は、レーザースキャンされないようにメタルマスクにより被覆される(図20、特許文献2)。図20に示すキャリア101´も、従来からあるキャリアの一例である。キャリア101´はベース板103´を備え、ベース板103´上面の粘着樹脂層105´には、所望領域に複数の貫通孔105´h,・・を貫通させてある。貫通孔105´h各々は、上述したレーザスキャニングによる粗面化と同様に、粘着樹脂層と薄型基板との接触面積を減らすことを主目的としている。
【特許文献2】特開2004−158477号公報(段落0015、0037参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーザースキャンによる方法によれば、上述したようにメタルマスクが必要となるが、メタルマスクは、それが単純な形状であればそれほど問題にならないが複雑な形状であると作るのに手間がかかってしまう。さらに、粘着樹脂層表面を粗面化したり貫通孔を形成したりすると、特に後者の場合、ハンダ印刷の際に次の問題が生じ得る。その問題とは、ハンダ印刷の際の基板歪みを原因とするハンダ量のバラツキである。つまり、ハンダ印刷は薄型基板の上に載せたクリームハンダをスキージでスキージングすることにより行うことは前述した通りであるが、図22及び23に示すように、このとき粗面化した粘着樹脂層105表面に載せられた薄型基板111は、その一部がスキージ119のスキージングによって粗面化された粘着樹脂層105の貫通孔104に押し込まれ、この結果、薄型基板111が波打つなどしてその上面とメタルマスク115の下面との間に隙間106を生じさせる場合がある。隙間106が生じると、その隙間にクリームハンダ117が押し込まれることになり、このようなクリームハンダ117の押し込みが、印刷されるハンダ量を予定量より多くしてしまう。押し込まれるハンダ量は、マスクの貫通孔の形状や大きさ、貫通孔間の距離等により左右されるので、この結果、印刷されるクリームハンダの量にバラツキが生じるのである。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上述した従来技術の問題点を改善した薄型基板キャリアを提供すること、及び、そのような薄型基板キャリアの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために鋭意研究を重ねた発明者は、薄型基板に歪みを生じさせずに粘着樹脂層上面の粘着力を調整するには、粘着樹脂層の厚みを代えればよいことを突きとめた。因果関係は現在解明中であるが、同じ粘着樹脂層であっても平坦な上面を基準としたときの厚み寸法を比べると、薄い領域(部分)のほうが同じく厚い領域(部分)よりも同上面における粘着力が小さくなることを実験によって確かめた。厚いほうが薄いよりも粘着力が強い。本発明は、そのような観点からなされたものであり、その詳しい内容については、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明を説明するに当たって行う用語の定義等は、発明のカテゴリーを問わずその性質上可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用されるものとする。
【0008】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る薄型基板キャリア(以下、適宜「請求項1のキャリア」という)は、上面を有するベース板と、当該ベース板上面に形成した上面平坦の粘着樹脂層と、を含み、当該粘着樹脂層上面が、薄型基板下面の一部又は全部を剥離可能に貼り付かせるための厚手領域と、当該厚手領域以外の薄手領域と、に区分してある。さらに、前記薄手領域に対応する前記ベース板上面には、当該ベース板と一体又別体の嵩上げ突起を形成してある。厚手領域及び薄手領域は、何れも貼り付けようとする薄型基板に対して1箇所である必要はなく、複数箇所に分散していてもよい。また、一方の領域内に他方の領域を配することもできる。薄手領域内において部分的に嵩上げ突起の高さ寸法に差があっても構わない。なお、貼り付けようとする薄型基板の枚数は、薄型基板の形状やベース板の大きさ等に合わせて単数としてもよいし、複数としてもよい。
【0009】
請求項1のキャリアによれば、上面平坦の粘着樹脂層であるから、嵩上げ突起の有無によりその厚み寸法が変化する。すなわち、薄手領域における当該粘着樹脂層の当該上面を基準とする厚み寸法が、当該厚手領域における当該粘着樹脂層の当該上面を基準とする厚み寸法より小さくなる。厚み寸法が厚いほうが薄いよりも粘着力が大きくなることは前述したとおりである。このようにして粘着力に差を設けた粘着樹脂層上面において、粘着樹脂層の厚手領域が薄型基板の下面を貼り付かせ、それを保持する。したがって、薄型基板の搬送や加工の際に薄型基板を保護するとともに、そのハンドリングを容易にする。さらに、薄型基板の形状等に合わせて厚手領域及び薄手領域の大きさや配置等を適宜選択したり両者を適宜組み合わせたりすることによって、薄型基板を粘着樹脂層から剥離させやすくなる。このような薄型基板の剥離容易化とともに、または、これに代えてクリームハンダ印刷に使用するマスクの剥離を容易とするような配置等の選択を行ってもよい。粘着樹脂層上面は平坦であるから、薄型基板に歪みを生じさせるような凹凸を形成させずに粘着樹脂層上面(貼付面)の粘着力調整を効率よく行うことができる。したがって、貼り付けた薄型基板の剥離を簡単に行うことができるとともに、凹凸が生じたなら生じたであろう余分なクリームハンダの押し込みを有効に抑制できるのでクリームハンダの量のバラツキ発生をその範囲において可及的に防止する。
【0010】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係る薄型基板キャリア(以下、適宜「請求項2のキャリア」という)では、請求項1のキャリアの基本的構成における前記嵩上げ突起が、前記粘着樹脂層の構成樹脂と同一樹脂を用いて当該粘着樹脂層とは別個に形成した嵩上げ樹脂層により構成してある。つまり、粘着樹脂層と嵩上げ突起は同じ樹脂により形成してあるが、両者は別個形成であるため両者は一体ではなく両者間に境界(界面)が存在する。
【0011】
請求項2のキャリアによれば、請求項1のキャリアの作用効果に加え、嵩上げ突起の形成に、粘着樹脂層の樹脂と同じ樹脂を使用するため、原料変更の手間を省くことができる。すなわち、嵩上げ突起と粘着樹脂層とを同じ形成設備において形成する場合はもとより、異なる設備において形成する場合であっても、用意する原料樹脂は一種類で足り、原料変更も不要である。
【0012】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明に係る薄型基板キャリア(以下、適宜「請求項3のキャリア」という)では、請求項1のキャリアの基本的構成を備えさせた上で、前記嵩上げ突起が、搬送前の薄型基板を1枚若しくは2枚以上を重ねてなるもの、又は、搬送前の薄型基板を1枚若しくは2枚以上を重ねてなるものに加工を施したもの、から構成してある。つまり、搬送前の薄型基板1枚若しくはこれに加工を施したもの、又は、搬送前の薄型基板複数枚若しくはこれらに加工を施したもの、を嵩上げ突起として用いてある。加工は、たとえば、貫通孔や切欠のように、加工がなければ薄手領域に対応することになる部分を、その加工によって厚手領域に対応させることになるものが主となる。
【0013】
請求項3のキャリアによれば、請求項1のキャリアの作用効果に加え、薄型基板そのもの、又は、これに加工を施したものを使用でき、しかも、搬送しようとする薄型基板の形状に見合った薄手領域を形成できるので、搬送前の薄型基板とは別個に搬送しようとする薄型基板に見合った嵩上げ突起を形成する場合に比べて形成の手間が少なくて済む。すなわち、キャリア全体の製造工程を、単純化することができる。加工を施せば、その分、手間を必要とするが、それでもなお、最初から嵩上げ突起を形成する場合に比べて一般的に手間が少ない。
【0014】
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明に係る薄型基板キャリア(以下、適宜「請求項4のキャリア」という)では、請求項1乃至3何れかのキャリアの基本的構成を備えさせた上で、薄型基板を貼り付かせたときに占有される領域(薄型基板の占有領域)の中に、前記薄手領域の一部と、当該薄手領域の一部によって包囲された前記厚手領域が含まれている。すなわち、薄型基板の占有領域は、薄型基板と同じ形状をしているが、その占有領域の中に薄手領域が存在していて、その薄手領域の中に厚手領域が存在している。厚手領域及び薄手領域の個数及び形状は、粘着力調整等との兼ね合いにより適宜選択することができる。
【0015】
請求項4のキャリアによれば、請求項1乃至3何れかのキャリアの作用効果に加え、薄型基板裏面全体に作用する粘着樹脂面(厚手領域)の粘着力が薄手領域の存在の分だけ弱められる。つまり、厚手領域粘着力と、作用しないか作用したとしても弱められた薄手領域粘着力と、の和が薄型基板裏面全体に作用するわけであるが、この粘着力の和を薄型基板裏面の単位面積当たりの粘着力に換算すれば、その換算値は薄手領域不在の場合に比べて小さくなる。すなわち、粘着樹脂層上面と薄型基板裏面との接触面積を、粘着力作用の観点から実質的に減少させたことになる。これによって、薄型基板を粘着樹脂層から剥離させ易くなる。
【0016】
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明に係る薄型基板キャリア(以下、適宜「請求項5のキャリア」という)では、請求項1乃至3何れかのキャリアの基本的構成を備えさせた上で、前記厚手領域の輪郭が、貼り付かせた薄型基板が占有する領域の輪郭と同一形状(同一外形)に形成してあり、当該厚手領域内部の少なくとも1箇所に薄手領域を形成してある。
【0017】
請求項5のキャリアによれば、請求項1乃至3何れかのキャリアの作用効果に加え、薄型基板裏面全体に作用する粘着樹脂面(厚手領域)の粘着力がその厚手領域内部に形成した薄手領域の存在分だけ弱められる。つまり、厚手領域粘着力と、作用しないか作用したとしても弱められた薄手領域粘着力と、の和が薄型基板裏面全体に作用するわけであるが、この粘着力の和を薄型基板裏面の単位面積当たりの粘着力に換算すれば、その換算値は薄手領域不在の場合に比べて小さくなる。すなわち、粘着樹脂層上面と薄型基板裏面との接触面積を、粘着力作用の観点から実質的に減少させたことになる。粘着力が減少した分、薄型基板を粘着樹脂層から剥離させ易くなる。
【0018】
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の発明に係る薄型基板キャリア(以下、適宜「請求項6のキャリア」という)は、上面を有するベース板と、当該ベース板上面に設定した粘着領域と、を含み、当該粘着領域の中には当該ベース板上面とほぼ同一面となる上面を有する複数の小型樹脂部を形成してある。
【0019】
請求項6のキャリアによれば、粘着領域内に薄型基板に対して粘着可能な小型樹脂部と粘着不能なベース板の上面が混在することになるため、粘着領域全体を見た実質的粘着力が粘着不能な部分の存在の分だけ弱まることになる。弱めたことにより、薄型基板をベー板92から剥離することを簡単に行うことができるようになる。
【0020】
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の発明に係る薄型基板キャリアの製造方法(以下、適宜「請求項7の製造方法」という)は、薄手領域に対応する嵩上げ突起を上面に有するベース板を作成する工程と、当該ベース板上面に、上面平坦の粘着樹脂層を形成する工程と、を含めて構成してある。
【0021】
請求項7の製造方法によれば、最初の工程によって、嵩上げ突起を上面に有するベース板が得られる。次の工程では、粘着樹脂層によって被覆されたベース板が得られる。粘着樹脂層は、嵩上げ突起全体を封じ込めて、その上面が平坦になる。嵩上げ突起の高さ及び平面方向の形状は、たとえば、貼り付かせようとする薄型基板の大きさや形状さらに下面の性状を総合的に考慮した上で、その薄型基板に及ぼすべき粘着力の大きさに合わせて、その大きさや形状等を設定する。嵩上げ突起の存在は、粘着樹脂層上面における薄手領域の粘着力を弱める。キャリアの粘着樹脂層上面には、粘着力が比較的大きい厚手領域と、比較的小さい薄手領域が併存している。薄手領域の形状の選択は、そのまま嵩上げ突起の平面形状の選択であるから、粘着樹脂層を形成したベース板を共通部材として、これに、異なる形状の嵩上げ突起を併用することによって、換言すれば、嵩上げ突起の平面形状だけを変更することによって、各種形状の薄型基板に対応可能な薄型基板キャリアを製造することができる。
【0022】
(請求項8記載の発明の特徴)
請求項8記載の発明に係る薄型基板キャリアの製造方法(以下、適宜「請求項8の製造方法」という)は、ベース板の上面上に嵩上げ突起を形成する工程と、当該ベース板上面に、上面平坦の粘着樹脂層を形成する工程と、を含めて構成してある。
【0023】
請求項8の製造方法によれば、最初の工程によって、嵩上げ突起を上面に有するベース板が得られる。次の工程では、粘着樹脂層によって被覆されたベース板が得られる。粘着樹脂層は、嵩上げ突起全体を封じ込めて、その上面を平坦にする。嵩上げ突起の高さ及び平面方向の形状は、たとえば、貼り付かせようとする薄型基板の大きさや形状さらに下面の性状を総合的に考慮した上で、その薄型基板に及ぼすべき粘着力の大きさに合わせて、その大きさや形状等を設定する。嵩上げ突起の存在は、粘着樹脂層上面における薄手領域の粘着力を弱める。キャリアの粘着樹脂層上面には、粘着力が比較的大きい厚手領域と、比較的小さい薄手領域が併存している。薄手領域の形状の選択は、そのまま嵩上げ突起の平面形状の選択であるから、粘着樹脂層を形成したベース板を共通部材として、これに、異なる形状の嵩上げ突起を併用することによって、換言すれば、嵩上げ突起の平面形状だけを変更することによって、各種形状の薄型基板に対応可能な薄型基板キャリアを製造することができる。
【0024】
(請求項9記載の発明の特徴)
請求項9記載の発明に係る薄型基板キャリアの製造方法(以下、適宜「請求項9の製造方法」という)では、請求項7の製造方法の基本的構成を備えさせた上で、前記嵩上げ突起の形成を、前記粘着樹脂層の樹脂と同一樹脂を用いて当該粘着樹脂層の形成前に行うように構成してある。つまり、先に形成した樹脂層が凝固して嵩上げ突起となった後に、粘着樹脂層の形成を行う。粘着樹脂層と嵩上げ突起は同じ樹脂により形成してあるが、両者は別個形成であるため両者は一体ではなく両者間に境界(界面)が存在する。
【0025】
請求項9の製造方法によれば、請求項7の製造方法の作用効果に加え、嵩上げ突起の形成に、粘着樹脂層の樹脂と同じ樹脂を使用することができるため、原料変更の手間を省くことができる。すなわち、嵩上げ突起と粘着樹脂層とを同じ形成設備において形成する場合はもとより、異なる設備において形成する場合であっても、用意する原料樹脂は一種類で足り、原料変更も不要である。
【0026】
(請求項10記載の発明の特徴)
請求項10記載の発明に係る薄型基板キャリアの製造方法(以下、適宜「請求項10の製造方法」という)では、請求項8の製造方法の基本的構成を備えさせた上で、前記嵩上げ突起の形成の代わりに搬送前の薄型基板を1枚若しくは2枚以上を重ねてなるもの、又は、搬送前の薄型基板を1枚若しくは2枚以上を重ねてなるものに加工を施したもの、を前記上面上に設置するように構成してある。加工は、たとえば、貫通孔や切欠のように、加工がなければ薄手領域に対応することになる部分を、その加工によって厚手領域に対応させることになるものが主となる。
【0027】
請求項10の製造方法によれば、請求項7の製造方法の作用効果に加え、薄型基板そのもの、又は、これに加工を施したものを使用できるので、しかも、搬送しようとする薄型基板の形状に見合った薄手領域を形成できるので、搬送前の薄型基板とは別個に搬送しようとする薄型基板に見合った嵩上げ突起を形成する場合に比べて形成の手間が少なくて済む。すなわち、キャリア全体の製造工程を、単純化することができる。加工を施せば、その分、手間を必要とするが、それでもなお、最初から嵩上げ突起を形成する場合に比べて一般的に手間が少ない。
【0028】
(請求項11記載の発明の特徴)
請求項11記載の発明に係る薄型基板キャリアの製造方法(以下、適宜「請求項11の製造方法」という)では、請求項10の製造方法の基本的構成を備えさせた上で、前記加工を、貫通孔及び/又は切欠の形成で行うようにしてある。
【0029】
請求項11の製造方法によれば、請求項10の製造方法の作用効果に加え、貫通孔と切欠の双方又は何れか一方に対応する領域が厚手領域となり、厚手領域が存在する分、搬送しようとする薄型基板裏面に対する粘着力を高めることができる。つまり、未加工の薄型基板だけでは薄型基板と同形領域の薄手領域が形成され、これでは薄型基板保持のための粘着力が足りない場合は、上記加工を施し薄手領域を減少(厚手領域を増加)させることができる。すなわち、貫通孔と切欠を併用するのか、それとも何れか一方のみを採用するのか、採用するとしてその大きさや個数をどうするのか、等の選択によって、粘着力を調整することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る薄型基板キャリアによれば、粘着樹脂層上面は平坦のままであり粘着樹脂層の下面はベース板上面又は嵩上げ突起により支えられているから、薄型基板に歪みを生じさせるような凹凸を形成させずに粘着樹脂層上面(貼付面)の粘着力調整を効率よく行うことができる。また、本発明に係る薄型基板キャリアの製造方法によれば、上述の薄型基板キャリアを簡単に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
各図を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。図1及び2は、キャリア及び薄型基板の斜視図である。図3はキャリアの製造工程の概略を説明するための縦断面図である。図4及び5は、キャリアの製造工程を示すための斜視図である。図6は、キャリアの使用方法を示すための斜視図である。図7〜10は、キャリアの使用方法を示すための縦断面図である。図11は、キャリアの使用方法を示すための斜視図である。図12は、実験装置を示す断面図である。図13は、本実施形態の第1変形例を示す斜視図である。図14は、本実施形態の第2変形例を示す縦断面図である。図15〜16は、本実施形態の第3変形例を示す斜視図である。図17は、本実施形態の第4変形例を示す斜視図である。図18は、本実施形態の第4変形例を示す縦断面図である。なお、図1、2、5、6、11、16に示す厚手領域7、図13に示す厚手領域67には、ハッチングを入れてあるが、これは、薄手領域9、69との識別を容易にするための便宜上のものである。
【0032】
(キャリアの概略構造)
図1及び2に基づいて説明する。キャリア1は、ベース板3と、矩形のベース板3の一方の面(上面)に形成した粘着樹脂層5と、から概略構成してある。ベース板3の角部に設けた面取り部3aや貫通孔3bは、これらを設けていない他の角部との差別化を図らせることによってベース板3の方向(前後)を認識させるためのものである。ベース板3は、たとえば厚さ1mm程度のアルミニウム板により、また、粘着樹脂層5は、たとえば厚さ100μm程度のフッ素樹脂により、それぞれ構成してある。それぞれの大きさ(広さ)は、搬送しようとする薄型基板31の形状や大きさに合わせた十分な大きさに形成してある。薄型基板31の大きさを、たとえば、最大突起部を含めて85mm×45mm程度とした場合のベース板3は140mm×80mm程度の大きさとし、粘着樹脂層5は120mm×60mm前後とすることができる。また、キャリア1は、1枚の薄型基板31を搬送する目的で作ったものであるが、1枚の大型キャリアに複数枚の薄型基板を貼り付けて搬送するように作ることもできる(後述)。さらに、ベース板3には、アルミニウム以外にもステンレススチールやマグネシウム等の金属やガラスエポキシのような樹脂等を適宜用いることができるが、何れの素材を用いる場合であっても、プラズマ処理の影響を全く受けないか受けても悪影響とならないものであれば用いることができる。これに加え、粘着樹脂層5には、フッ素樹脂以外の樹脂、たとえば、シリコーン樹脂をも好適に用いることができる。
【0033】
粘着樹脂層5の上面領域は、図1及び2において網掛けで示す厚手領域7と、同じく白抜きで示す薄手領域9と、に区分してあり、薄手領域9の粘着力は、後述する嵩上げ突起4,・・によって、厚手領域7の粘着力よりも弱めてある。薄手領域9,・・は、厚手領域7内に散在させた複数の小円形状の領域によって形成してある。散在させたのは、粘着樹脂層5に貼り付かせた薄型基板31を剥離させ易くするためである。すなわち、厚手領域7の粘着力と、作用しないか作用したとしても弱められた薄手領域9の粘着力と、の和が薄型基板31の裏面全体に作用するわけであるが、この粘着力の和を薄型基板31の裏面の単位面積当たりの粘着力に換算すれば、その換算値は薄手領域9が不在の場合に比べて小さくなる。すなわち、粘着樹脂層5の上面と薄型基板31の裏面との接触面積を、粘着力作用の観点から実質的に減少させたことになる。これによって、薄型基板を粘着樹脂層から剥離させ易くなるのである。剥離させ易くするためには、厚手領域7全体の粘着力を弱める方法と、厚手領域7の面積を小さくする方法があるが、本実施形態では、後者の方法を採用した。具体的には、厚手領域7内に小円形状の薄手領域9,・・を形成することにより厚手領域7の実質的な面積減少を実現している。なお、厚手領域7の網掛けは、あくまでも薄手領域9,・・との識別をし易くするための便宜上の表示であって(他の図においても同じ)、実際の粘着樹脂層5の表面が図示するほどに明確に区分されるとは限らない。
【0034】
(キャリアの製造方法)
図3に基づいて、キャリア製造方法の概略を説明する。キャリア1の製造方法は、次の2工程からなる。第1工程においては、嵩上げ突起4,・・を上面に有するベース板3を製造する。本実施形態では、アルミニウム板をプレス加工して嵩上げ突起4,・・を形成してある。第2工程では、ベース板3の上面に粘着樹脂層5を形成する。粘着樹脂層5の上面は平坦に形成する。以上で、キャリアの製造工程を終了する。上記工程により製造したキャリア1は、粘着樹脂層5の上面を平坦に形成してあるので、嵩上げ突起4,・・は、図3(b)に示すように、粘着樹脂層5の上面から突き出ることなく被覆されている。粘着樹脂層5の厚みは、嵩上げ突起4,・・の有無によりその厚み寸法が変化する。すなわち、図3(c)に示すように、嵩上げ突起4,・・によって嵩上げされた薄手領域9,・・における粘着樹脂層5の上面を基準とする厚み寸法T1は、厚手領域7における同じく上面を基準とする厚み寸法T2より小さくなる。厚み寸法が厚いほうが薄いよりも粘着力が大きくなることは、後述する実験結果が示すとおりである。
【0035】
図1、4及び5を参照しながら、キャリア製造の具体的方法を説明する。嵩上げ突起4,・・を形成したベース板3の上面に、矩形枠状のマスク21を重ねてクランプ(図示を省略)で固定する(図3参照)。マスク21内部には、矩形に抜いた部分を形成してあり、マスク21の厚み寸法がベース板3の上面からみた嵩上げ突起4,・・の高さ寸法より大きいことが、嵩上げ突起4,・・を被覆するために必要であることは言うまでもない。ベース板3の上に固定した後に、マスク21の抜き部分に粘着樹脂を印刷し、硬化させる。このようにして製造したキャリア1の使用方法は、次項以下で説明する。
【0036】
図1、2及び6〜8を参照する。図1に示すように、キャリア1の粘着樹脂層5の上面に薄型基板31を貼り付かせる。実際には、所定の位置に置いた薄型基板31を軽く手で押え付けるだけで、粘着樹脂層5の粘着力が作用して薄型基板31を仮固定する(図2参照)。次に、薄型基板31の上からメタルマスク115を被せる。メタルマスク115には、薄型基板31に印刷しようとするクリームハンダを通過させるための複数の貫通孔116(図7、8参照)が形成してある。メタルマスク115は、クランプ(図示を省略)によって仮固定する。次に、メタルマスク115の上にクリームハンダ117を載せスキージ119でスキージングする(図7、8参照)。粘着樹脂層5の上面は、その形成工程においてスキージングしてあるので、実質的に平坦であり、このような平坦な上面に載置された薄型基板31は、クリームハンダ印刷のためのスキージングを受けても極端に歪むことはない。したがって、薄型基板31の下面と粘着樹脂層5の上面との間に隙間ができることは殆ど無い。隙間ができないのであるから、隙間が原因でそこに押し込まれるクリームハンダもない。この結果、クリームハンダの量のバラツキが有効に防止される。クリームハンダ117の印刷が終了したら、メタルマスク115を粘着樹脂層5から剥離する。薄手領域9,・・の存在により粘着力が弱められているため、メタルマスク115の剥離は極めて簡単である。
【0037】
続いて、図9〜11を参照する。クリームハンダの印刷が終了したら、能動部品や受動部品からなる電子部品群33を搭載し(図9参照)、キャリア1ごとリフローする。リフローにより溶融したクリームハンダが電子部品群33を薄型基板31にハンダ付けする(図10参照)。最後に、リフローが完了した薄型基板31を、キャリア1の粘着樹脂層5(主として厚手領域7)から剥離する(図11参照)。厚手領域7の粘着力は、その中に形成した小円形状の薄手領域9,・・によって実質的に弱められているので、薄型基板31の剥離は極めて簡単である。
【0038】
(実験結果)
図12に示すのは、粘着樹脂層5の粘着力(粘着強度)を計測するために発明者が用いた実験装置である。実験装置51は、フッ素樹脂層55を上面に形成したアルミニウム板43(嵩上げ突起44を形成してある)と、1辺が1cmのステンレス製の立方体57,57と、図外の計測装置と、により構成してある。嵩上げ突起44を形成することにより、上面平坦の粘着樹脂層55の厚みは、厚手領域55aにおいて100μm、薄手領域55bにおいて50μmとした。実験では、同じ立方体57を厚手領域55aと薄手領域55bの上に交互に置き、貼り付いた立方体57を剥離して持ち上げるために必要な力を測定した。測定回数は、各々5回である。実験結果は、表1に示す通りである。
【0039】
【表1】

【0040】
表1から理解されるように、厚手領域55aの場合は、最大で61.095kN/m(≒0.623kgf/cm)、最小で35.206kN/m(≒0.359kgf/cm)、平均で50.916kN/m(≒0.519kgf/cm)であった。他方、薄手領域55bの場合は、同じく最大で39.423kN/m(≒0.402kgf/cm)、最小で22.948kN/m(≒0.234kgf/cm)、平均で30.263kN/m(≒0.308kgf/cm)であった。両者最大値同士を比較すると35.5%の粘着力減であり、同じく最小値同士を比較すると34.8%減、同じく平均値同士を比較すると40.6%減であった。さらに、感触観察によれば、粘着樹脂層55aの表面からは幾分粘性が感じられるが、粘着樹脂層55bの表面から感じられる粘性は極めて少なかった。これらのことから、嵩上げ突起44の形成により、すなわち、粘着樹脂層55の厚み寸法を小さくすることによって、粘着力を大幅に減じられることが分かった。また、表面を目視観察したところ、粘着樹脂層55には凹凸を確認することができなかった。
【0041】
(本実施形態の第1変形例)
図13を参照しながら説明する。第1変形例が示すキャリア61が、先に説明したキャリア1と異なるのは、ベース板の大きさと、そのベース板に形成した粘着樹脂層の数である。その他の点については、両者間で異なる点はない。すなわち、キャリア61は、大型のベース板63と、ベース板63の上面に形成した複数の粘着樹脂層65,・・と、から構成してある。ベース板63はベース板3と、各粘着樹脂層65は粘着樹脂層5と、それぞれ同じ材質で、それぞれ同じ作用効果を奏するように構成してある。粘着樹脂層65は、厚手領域67及び薄手領域69をその上面に有しており、薄手領域69各々に対応するベース板63上には嵩上げ突起64を形成してある。なお、粘着樹脂層65,・・は、これらを分散配置せずに連続した1枚の層として形成することもできる。
【0042】
(本実施形態の第2変形例)
図14に基づいて説明する。第2変形例のキャリアと本実施形態のキャリアの違いは、嵩上げ突起の形成方法にある。すなわち、キャリア71のベース板73は上面が平坦であり、このベース板73の上端に樹脂によって嵩上げ突起(樹脂層)74,・・を形成する(図14(a)参照)。嵩上げ突起74,・・が凝固したら(図14(b)参照、理解のために黒く表示してある)、その上から粘着樹脂層75を形成する。嵩上げ突起74,・・及び粘着樹脂層75の形成方法は、何れも前述した粘着樹脂層5の形成方法と同じでよい。各嵩上げ突起74を構成する樹脂は、粘着樹脂層75を形成する樹脂と異ならせることもできるが、第2変形例では、両者を同じ樹脂、すなわち、ここでは、フッ素樹脂により構成してある。同じ樹脂で構成したのは、嵩上げ突起74,・・と粘着樹脂層75とを同じ形成設備において形成する場合はもとより、異なる設備において形成する場合であっても、用意する原料樹脂は一種類で足り、原料変更が不要だからである。同じ樹脂により構成してあるが、嵩上げ突起74,・・と粘着樹脂層75とは別個形成であるため両者は一体ではなく両者間に境界(界面)が存在する。
【0043】
(本実施形態の第3変形例)
図15〜16を参照する。第3変形例のキャリアと本実施形態のキャリアとが異なるのは、嵩上げ突起の形成方法である。嵩上げ突起形成のために、搬送前の薄型基板31´を流用している。すなわち、キャリア81では、ベース板83の上面に設置した搬送前の薄型基板31´を嵩上げ突起84として用いてある。すなわち、嵩上げ突起84は搬送前の薄型基板そのものであるから、粘着樹脂層85上面に搬送しようとする薄型基板の形状に見合った薄手領域89を形成できるので、薄型基板に見合った嵩上げ突起を形成しようとする場合の手間を省くことができる。搬送前の薄型基板1枚だけでは嵩上げ突起とするのに十分な厚さ(高さ)を得られないのであれば、複数枚を重ねて使用すればよい。さらに、搬送前の単数又は複数の薄型基板に、たとえば、貫通孔や切欠を形成する加工を施し、加工がなければ薄手領域89に対応することになる部分を、その加工によって厚手領域87に対応させるようにしてもよい。
【0044】
(本実施形態の第4変形例)
図17及び18に基づいて説明する。第4変形例のキャリアと本実施形態のキャリアとが異なるのは、粘着樹脂層95の形状である。すなわち、第4変形例のキャリア91は、ベース板92を備え、ベース板92の上面には、図17に2点鎖線で示す粘着領域93を有している。粘着領域93は、搬送しようとする薄型基板の形状等に応じて使用者が任意に設定可能な領域である。ベース板92の粘着領域93内には複数の凹部94を散在させてあり、各凹部94には粘着樹脂を充填してある。各凹部94に充填した各粘着樹脂のことを、本明細書では、小型樹脂部94と呼ぶことにする。各小型樹脂部94は、平面視形状に何ら制限はなく、たとえば、小丸形状や細い線状等の形状を適宜選択することができる。各小型樹脂部94の上面94aは、ベース板92の上面92aとほぼ同一面となるように形成してある(図18参照)。以上を整理すれば、ベース板92の上面には粘着領域93が設定してあり、粘着領域93の中にはベース板上面とほぼ同一となる上面を有する複数の小型樹脂部94を形成してあることになる。キャリア91によれば、粘着領域93内に薄型基板に対して粘着可能な小型樹脂部94と粘着不能なベース板92の上面が混在することになるため、粘着領域93全体を見た実質的粘着力が粘着不能な部分の存在の分だけ弱まることになる。弱めたことにより、薄型基板をベース板92から剥離することを簡単に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】キャリア及び薄型基板の斜視図である。
【図2】キャリア及び薄型基板の斜視図である。
【図3】キャリアの製造工程の概略を説明するための縦断面図である。
【図4】キャリアの製造工程を示すための斜視図である。
【図5】キャリアの製造工程を示すための斜視図である。
【図6】キャリアの使用方法を示すための斜視図である。
【図7】キャリアの使用方法を示すための縦断面図である。
【図8】キャリアの使用方法を示すための縦断面図である。
【図9】キャリアの使用方法を示すための縦断面図である。
【図10】キャリアの使用方法を示すための縦断面図である。
【図11】キャリアの使用方法を示すための斜視図である。
【図12】実験装置を示す断面図である。
【図13】本実施形態の第1変形例を示す斜視図である。
【図14】本実施形態の第2変形例を示す縦断面図である。
【図15】本実施形態の第3変形例を示す斜視図である。
【図16】本実施形態の第3変形例を示す斜視図である。
【図17】本実施形態の第4変形例を示す斜視図である。
【図18】本実施形態の第4変形例を示す縦断面図である。
【図19】従来のキャリアの平面図である。
【図20】従来のキャリアの平面図である。
【図21】従来技術を説明するためのキャリアの縦断面図である。
【図22】従来技術を説明するためのキャリアの縦断面図である。
【図23】従来技術を説明するためのキャリアの縦断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1,61,71,81,91 キャリア
3,63,73,83,92 ベース板
4,64,74,84 嵩上げ突起
5,65,75 粘着樹脂層
7,67,87 厚手領域
9,69,89 薄手領域
3a 面取り部
3b 貫通孔
21 マスク
22 貫通孔
31 薄型基板
31´ 薄型基板
31c 切欠部
31h 貫通孔
33 電子部品群
51 実験装置
53 アルミニウム板
55 フッ素樹脂層
57 立方体
93 粘着領域
94 小型樹脂部
101,101´ キャリア
103,103´ ベース板
104 貫通孔
105,105´ 粘着樹脂層
105´h 貫通孔
106 隙間
111 薄型基板
115 メタルマスク
116 貫通孔
117 クリームハンダ
119 スキージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有するベース板と、
当該ベース板上面に形成した上面平坦の粘着樹脂層と、を含み、
当該粘着樹脂層上面が、薄型基板下面の一部又は全部を剥離可能に貼り付かせるための厚手領域と、当該厚手領域以外の薄手領域と、に区分してあり、
前記薄手領域に対応する前記ベース板上面には、当該ベース板と一体又別体の嵩上げ突起を形成してある
ことを特徴とする薄型基板キャリア。
【請求項2】
前記嵩上げ突起が、前記粘着樹脂層の構成樹脂と同一樹脂を用いて当該粘着樹脂層とは別個に形成した嵩上げ樹脂層により構成してある
ことを特徴とする請求項1記載の薄型基板キャリア。
【請求項3】
前記嵩上げ突起が、搬送前の薄型基板を1枚若しくは2枚以上を重ねてなるもの、又は、搬送前の薄型基板を1枚若しくは2枚以上を重ねてなるものに加工を施したもの、からなる
ことを特徴とする請求項1記載の薄型基板キャリア
【請求項4】
薄型基板を貼り付かせたときに占有される領域の中に、前記薄手領域の一部と、当該薄手領域の一部によって包囲された前記厚手領域が含まれる
ことを特徴とする請求項1乃至3何れか記載の薄型基板キャリア。
【請求項5】
前記厚手領域の輪郭が、貼り付かせた薄型基板が占有する領域の輪郭と同一形状に形成してあり、
当該厚手領域内部の少なくとも1箇所に薄手領域を形成してある
ことを特徴とする請求項1乃至3何れか記載の薄型基板キャリア。
【請求項6】
上面を有するベース板と、
当該ベース板上面に設定した粘着領域と、を含み、
当該粘着領域の中には当該ベース板上面とほぼ同一面となる上面を有する複数の小型樹脂部を形成してある
ことを特徴とする薄型基板キャリア。
【請求項7】
薄手領域に対応する嵩上げ突起を上面に有するベース板を作成する工程と、
当該ベース板上面に、上面平坦の粘着樹脂層を形成する工程と、を含む
ことを特徴とする薄型基板キャリアの製造方法。
【請求項8】
ベース板の上面上に嵩上げ突起を形成する工程と、
当該ベース板上面に、上面平坦の粘着樹脂層を形成する工程と、を含む
ことを特徴とする薄型基板キャリアの製造方法。
【請求項9】
前記嵩上げ突起の形成を、前記粘着樹脂層の樹脂と同一樹脂を用いて当該粘着樹脂層の形成前に行う
ことを特徴とする請求項8記載の薄型基板キャリアの製造方法。
【請求項10】
前記嵩上げ突起の形成の代わりに搬送前の薄型基板を1枚若しくは2枚以上を重ねてなるもの、又は、搬送前の薄型基板を1枚若しくは2枚以上を重ねてなるものに加工を施したもの、を前記上面上に設置する
ことを特徴とする請求項8記載の薄型基板キャリアの製造方法。
【請求項11】
前記加工が、貫通孔及び/又は切欠の形成である
ことを特徴とする請求項10記載の薄型基板キャリアの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−147608(P2006−147608A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331413(P2004−331413)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】