説明

薄板の保持装置及び該装置を有するフォトマスクの保持システム並びに搬送方法

【課題】フォトマスクのような薄板を保持する際、一定以上の押圧力が保持すべき薄板に作用しないようにしつつ、保持すべき薄板の位置ずれを吸収することが可能な薄板の保持装置及び該装置を有するフォトマスクの保持システム並びに搬送方法を提供する。
【解決手段】一対の薄板保持部28を有する薄板の保持装置16であって、当接部は、基部と、前記駆動部による移動方向に沿って相対移動可能な形態で該基部に対して係合する当接本体とを有し、前記当接本体と前記基部との間には、間隔を狭める向きに前記当接本体を付勢する第1付勢手段が設けられ、前記基部には、係止部が設けられ、それにより、薄板を保持する際、前記一対の薄板保持部28のいずれか、或いは両方において、前記当接本体と前記係止部との間にクリアランスが生じることにより、位置ずれ吸収手段と、押圧力制限手段とが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板の保持装置及び該装置を有するフォトマスクの保持システム並びに搬送方法に関し、より詳細には、一定以上の押圧力が保持すべき薄板に作用しないようにしつつ、保持すべき薄板の位置ずれを吸収することが可能な薄板の保持装置及び該装置を有するフォトマスクの保持システム並びに搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、押圧力を作用させることにより挟持する形態で物を保持する機構が採用されている。
たとえば、フォトマスクのような薄板を保持するのに、対向する端面を保持する保持装置が、特許文献1に開示されている。
【0003】
この保持装置は、一対の薄板保持部を有する薄板の保持装置であって、それぞれの薄板保持部は、薄板の側面に当接する当接部と、当接部を移動させる駆動部とを有し、当接部には、保持すべき薄板に当接する弾性部材であるOリングが設けられ、該駆動部により薄板の平面方向に沿って一対の薄板保持部の該当接部間の間隔を狭めることにより、Oリングを介して薄板を保持する構成である。
【0004】
このような従来の保持装置によれば、薄板を保持する際、薄板との接触部からの異物の発生量を低減するとともに、当接部に取り付けられる衝撃緩衝部材としてのOリングを容易に交換することが可能である。
しかしながら、このような従来の保持装置には、以下のような技術的問題点が存する。
【0005】
第1に、薄板を保持する際、保持すべき薄板の位置ずれを吸収することが困難なため、それに起因して、保持時に薄板に急激な動きや衝撃が作用して、薄板に悪影響を与える点である。
より詳細には、薄板がフォトマスクの場合、フォトマスクは、特にカバーとベースとからなるカセット内に収納して、カセットごと搬送する形態を取る。これは、特にペリクルを使用することができない次世代のEUVマスクの場合には、マスクへの異物付着による汚染を防止する観点から必須となっている。このとき、フォトマスクを処理するためにカセットからフォトマスクを取り出す際、マスクを収納するカセット内に極力エアが入り込まないように、収納されるマスクの下面とベースの上面とのクリアランスは非常に小さいため、たとえばこのクリアランスの間にフォーク状の支持部を挿入する従来の搬送機構により、マスクの下面を支持することは困難である。そのため、従来の搬送機構を用いてマスクを支持搬送するためには、いったん別の保持装置を用いてマスクを側方から保持し、たとえば、べースを下方に移動させることにより広げられたクリアランスにフォーク状の支持部を挿入して、従来の搬送機構に受け渡さざるを得ない。
【0006】
しかしながら、フォトマスクの上下方向及び/または水平方向の位置ずれに起因して、このような受け渡しの際、薄板に急激な動きや衝撃が作用することがある。
【0007】
第2に、薄板を側方から保持する際、薄板の位置ずれに係らず、薄板保持部の移動量に応じて薄板の端面に作用する押圧力が必然的に増大するため、押圧力が過大となって、薄板に急激な動きや衝撃が作用し、以て薄板に悪影響、場合により薄板を破損することがある点である。
以上のように、保持すべき薄板に対する位置ずれ吸収と、保持すべき薄板に対して一定以上の押圧力が作用しないようにすることが強く要望されるが、このような位置ずれ吸収機構と押圧力制限機構とを別々の機構により実現するとすれば、フォトマスクまわりの限られたスペースに鑑み、実用的とはいえない。
【特許文献1】特開2006-108155号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の技術的問題に鑑み、本発明の目的は、フォトマスクのような薄板を保持する際、一定以上の押圧力が保持すべき薄板に作用しないようにしつつ、保持すべき薄板の位置ずれを吸収することが可能な薄板の保持装置および該装置を有するフォトマスクの保持システム並びに搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明の薄板の保持装置は、
一対の薄板保持部を有する薄板の保持装置であって、前記一対の薄板保持部はそれぞれ、薄板の側面または端面に当接する当接部を有し、該当接部の少なくとも一方を移動させる駆動部が設けられ、該駆動部による該当接部の移動方向が薄板の平面に沿う向きとなるように、該一対の薄板保持部を薄板を挟んで位置決めしたうえで、該一対の薄板保持部の間隔を狭めることにより薄板を保持する装置において、
前記当接部は、基部と、前記駆動部による移動方向に沿って相対移動可能な形態で該基部に対して係合する当接本体とを有し、
前記当接本体と前記基部との間には、前記一対の薄板保持部の前記当接部間の間隔を狭める向きに前記当接本体を付勢する第1付勢手段が設けられ、
前記基部には、前記当接本体を係止する係止部が設けられ、
それにより、前記一対の薄板保持部により薄板を保持する際、前記一対の薄板保持部のいずれか、或いは両方において、前記当接本体と前記係止部との間にクリアランスが生じることにより、保持すべき薄板の位置ずれを吸収する位置ずれ吸収手段と、前記当接本体により薄板の側面または端面に作用する押圧力を制限する押圧力制限手段とが形成される、構成としている。
【0010】

以上の構成を有する本発明の薄板の保持装置によれば、第1付勢手段のいわゆる水平方向のコンプライアンスを利用することにより、薄板を側方から保持する際、保持すべき薄板の位置ずれを吸収するとともに、薄板の側面または端面に作用する押圧力を制限することが可能であり、それにより薄板の保持に起因する薄板に対する悪影響を回避することが可能である。
【0011】
より詳細には、一対の薄板保持部それぞれを保持すべき薄板の各側に配置した状態において、当接本体は第1付勢手段により、一対の薄板保持部の間に配置されている薄板に向かって付勢され、対応する基部の係止部により係止されている。このとき、一対の薄板保持部の該当接部間の間隔を狭めるように、当接部を移動し、薄板の側面または端面に当接させることにより、両方の側面または端面に作用する押圧力を通じて薄板を側方から保持することが可能である。
【0012】
この場合、たとえば、薄板の水平方向の初期位置ずれに起因して、一対の薄板保持部のうち、一方の薄板保持部が他方の薄板保持部よりも先に薄板の側面または端面に当接した場合、他方の薄板保持部が薄板の側面または端面に当接した以降、一方の薄板保持部が他方の薄板保持部に向かって継続してさらに押圧力を増大する向きに移動するとしても、薄板の側面または端面に作用する押圧力が、一対の薄板保持部の基部と当接本体との間に働く第1付勢手段による付勢力のうち、いずれか小さい付勢力に達すると、付勢力が小さい側の薄板保持部の基部のみが駆動部により薄板に向かって移動し続ける一方、対応する当接本体はこれ以上薄板に向かって移動しないことにより、当接本体と係止部との間にクリアランスが生じ始め、薄板の側面または端面に作用する押圧力がこれ以上増大しないとともに、生じたクリアランスを水平方向の位置ずれ吸収しろとして利用することが可能となる。

【0013】
また、前記当接本体は、前記一対の薄板保持部により薄板を保持する際、薄板の初期保持位置に向かって、保持される薄板を上下方向に付勢する第2付勢手段をさらに有するのが好ましい。
【0014】
さらにまた、前記第2付勢手段は、前記駆動部による前記当接部の移動方向に沿って延びる板バネからなるのがよい。
【0015】
加えて、前記当接本体は、その先端部に、保持すべき薄板の側面または端面と当接する弾性部材をさらに有するのがよい。
この場合、前記弾性部材は、前記当接本体に対して着脱可能なOリングであり、該Oリングは、Oリングの面を横に向けて設置されるのがよい。
また、前記一対の薄板保持部それぞれの前記駆動部が、互いに同期して駆動されるのがよい。
【0016】
さらに、前記弾性部材による保持すべき薄板への押圧力の作用点を前記板バネの厚み方向の中心よりオフセット配置することにより、薄板への押圧力により保持すべき薄板に対して上方向あるいは下方向へのモーメントを作用させるのがよい。
さらにまた、前記第1付勢手段は、前記当接本体を前記基部に向かって引き寄せる方向に付勢する引張バネからなるのでもよい。
【0017】
加えて、前記基部の上面には、ガイドが設けられ、対応する前記当接体の下面には、該ガイドに案内される被ガイド体が設けられ、前記当接本体と前記係止部との間にクリアランスが生じる際、前記被ガイド体が、前記ガイドに沿って移動するのがよい。

【0018】
上記課題を達成するために、本発明のフォトマスクの保持システムは、
保持すべき薄板が、カバーとベースとからなるカセット内でベース上に載置されたフォトマスクであって、
フォトマスクを内部に収納したカセットを上下方向に搬送するためのカセット上下方向搬送装置と、
一対のカバー保持部を有するカバー保持装置であって、それぞれのカバー保持部は、カバーの端面に当接する当接部と、該当接部を水平方向に移動させる駆動部とを有し、該駆動部により一対のカバー保持部の該当接部間の間隔を狭めることによりカバーを側方より保持するカバー保持装置と、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載された薄板の保持装置と、を有し、
前記一対の薄板保持部はそれぞれ、対応する前記当接部を移動させる駆動部を有し、
前記一対のカバー保持部はそれぞれ、前記カセット上下方向搬送装置により搬送されるカセットの対応する端面から側方の所定位置に位置決めされ、
前記薄板の保持装置は、前記一対の薄板保持部がそれぞれ、対応する前記カバー保持部の下方で、前記カセット上下方向搬送装置により搬送されるベース上のフォトマスクの端面から側方の所定位置に位置決めされるように固定配置される、構成としている。

【0019】
以上のような構成を有するフォトマスクの保持装置によれば、カセット内に収納されたフォトマスクを取り出して、保持する際、一対の薄板保持部それぞれの当接部が駆動部により移動することにより、カセットに対して、それぞれの薄板保持部が互いに近づくように移動することが可能であり、一方の当接部が固定で、他方の当接部が一方の当接部に向かって移動する場合に比べて、当接する際のフォトマスクへの影響を小さくすることが可能である。また、第1付勢手段自体が、保持すべき薄板の位置ずれを吸収する位置ずれ吸収手段と当接部により薄板の側面または端面に作用する押圧力を制限する押圧力制限手段との両方を兼ねることにより、限られたスペース内で搬送されるフォトマスクに対して有効に活用することができる。

【0020】
上記課題を達成するために、本発明の本発明のフォトマスクの搬送方法は、
カバーとベースとを有するカセット内に収納されたフォトマスクを取り出して、搬送する方法であって、
フォトマスクを覆うカバーを両側方から挟持する形態で保持することにより、フォトマスクを露出させる段階と、
ベース上のフォトマスクを水平方向のコンプライアンスを利用しながら両側方から挟持する形態で保持する段階と、
側方から保持されたフォトマスクからベースを下方に移動させる段階と、
側方から保持されたフォトマスクを上下方向のコンプライアンスを利用しながら下方から支持する段階と、
フォトマスクの側方からの保持を解除する段階と、
下方から支持されたフォトマスクを搬送する段階と、
を有する構成としている。

【0021】
以上のような構成を有するフォトマスクの搬送方法によれば、カセット内に収納されたフォトマスクを取り出して、搬送するのに、べース上で露出させたフォトマスクを一旦側方より保持し、次いでベースを下方に移動させたうえで、フォトマスクを下方より支持し、そのまま搬送することが可能である。このとき、フォトマスクを側方から保持する際、およびこのような側方保持から下方支持への受け渡しの際、水平方向あるいは上下方向のコンプライアンスを利用しながら保持あるいは受け渡しを行うことにより、フォトマスクに対して急激な動きや衝撃が加わることを防止することが可能となる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
保持すべき薄板がフォトマスクである場合を例として、本発明のフォトマスク保持システムを図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの概略斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの一対の薄板保持部および一対のカセット保持部の一方を示す概略斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの一対の薄板保持部の駆動部まわりを示す部分斜視図である。図4は、本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの薄板の保持装置の原理構成を示す概略平面図である。図5は、本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの当接部まわりの部分斜視図である。図6は、本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの当接本体まわりの概略側面図である。図7は、本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの薄板の保持装置の動きを示す概略図である。図8は、カセット上下方向搬送装置により、側方から保持されたフォトマスクからカセットのベースを下方に移動する状態を示す、図1と同様な図である。図9は、従来の搬送装置によりフォトマスクを下方から支持する状態を示す、図1と同様な図である。
【0024】
本実施形態においては、本発明のフォトマスク保持システムに対して、従来の下面支持型搬送装置Dへの受け渡し機能を発揮させる場合を例として説明する。より詳細には、フォトマスクを処理するべくフォトマスクをカセットから取り出すために、本発明のフォトマスク搬送システムによりいったんフォトマスクを側方から保持し、次いで、フォトマスクの下面とカセットのベースの上面との間に従来の下面支持型搬送装置Dを用いてフォトマスクの底面を支持して搬送し、フォトマスクに対して必要な処理を行い、再度カセットに戻す場合を例として説明する。
ここに、従来の下面支持型搬送装置Dは、互いに平行に延びる、フォトマスクの下面を支持するための一対のフォークFを有し、一対のフォークFをフォークFの長手方向に移動させることができるようにしている。
【0025】
フォトマスクは、半導体装置、表示装置、撮像装置等の製造に用いられ、透明基板上に微細加工された遮光膜パターンが形成される矩形の薄板をなし、このような遮光膜パターンを形成するために、複数の処理を行うのに処理ユニット間を搬送する必要がある。搬送する際には、通常、カバーCとベースBとからなるカセットCAに収納された状態で、カセットCAごと搬送されるようにしており、フォトマスクPに対して必要な処理を行うときに、カセットCAから取り出すようにしている。フォトマスクPをベースB上の所定位置に位置決めするのに、通常、フォトマスクPの矩形形状に合わせてべースB上に複数のピンが設けられている。なお、本明細書においては、フォトマスクPとは、透明基板上に遮光膜が形成されるフォトマスクPの素材であるフォトマスクブランクおよびフォトマスク用基板を包含する広義の意味で用いている。
【0026】
図1に示すように、フォトマスクPの保持システム10は、カセットCAの上下方向搬送装置12と、カセットCAのカバー保持装置14と、カバー保持装置14の下方に整列して配置されたフォトマスクPの保持装置16とから概略構成されている。
【0027】
カセット上下方向搬送装置12は、カセットCAを安定して所定位置に載置する載置台18と、載置台18が上部に取り付けられた基部20と、基部20を上下方向に移動させる駆動部(図示せず)とを有する。駆動部は、ステッピングモータが好ましい。これにより、載置台18に載置したカセットCAを上下方向に移動し、ステッピングモータの分解能の範囲で、任意のレベルに位置決めすることが可能である。なお、カセットCAをカセットCA上の所定位置に載置するのに、カセットCAの端面をカバー保持装置14および保持装置16に向けて配置している。
【0028】
カバー保持装置14は、カセットCAの上下方向搬送装置12を挟んで、載置台18の中心線Cに関して対称に配置された一対のカバー保持部22を有する。フォトマスクPの保持装置16は、同様に、カセットCAの上下方向搬送装置12を挟んで、載置台18の中心線Cに関して対称に配置された一対の薄板保持部28を有する。一対の薄板保持部28は、一対のカバー保持部22より下方に設置されている。
【0029】
図2に示すように、一対の薄板保持部28それぞれは、固定基台30と、固定基台30に対して開放部を下方に向けて固定されたコの字断面の第1プレート11とを有し、一方、一対のカバー保持部22それぞれは、第1プレート11と同じ向きに設けた第2プレート13を有し、第1プレート11の上方に、第2プレート13の両側部が、第1プレート11の上面より下方に及ぶように入れ子式に設けられ、第1プレート11の上面と第2プレ―ト13のコの字開放部との間に、後に説明する、フォトマスクの保持装置16の基部36と、基部36に取り付けられた一対の当接本体35とが設けられ、第2プレート13のカセットCAに対向する端部には、後に説明する、カバー保持装置14の一対の当接部24が設けられている。
【0030】
一対のカバー保持部22はそれぞれ、カバーCの端面に当接する当接部24と、当接部24を移動させる駆動部26とを有する。駆動部26は、第2プレート13の側面に設けられたラック23と、ラック23と噛み合い、ステッピングモータ25の回転シャフト27に固定されたピニオン29を有し、ステッピングモータ25の回転により、このようなピニオンーラック機構を通じて、第2プレート13、かくして一対のカバー保持部22をカセットに対して移動させることができるようにしている。駆動部26により、カバーCを両当接部24を互いに近づける方向に移動させることにより、カバーCを側方より保持することが可能なように、一対のカバー保持部22はそれぞれ、載置台18に載置されたカセットCAのカバーCの対応する端面から所定の距離に位置決めされる。
【0031】
図3に示すように、一対の薄板保持部28はそれぞれ、固定基台30と、固定基台30に取り付けられた当接部32と、当接部32を固定基台30に対して移動させる駆動部34とを有する。
【0032】
図4および図5を参照しながら、一対の薄板保持部28まわりの構造について、さらに詳細に説明する。
当接部32はそれぞれ、後に説明する駆動部34によって移動する基部36と、基部36の矩形下面52に取り付けられた一対の当接本体35とを有する。基部36は、載置台18に載置されるフォトマスクPの端面に対して、それに対向する面39が略平行となるように位置決めされ、一対の当接本体35はそれぞれ、対向面39に対して直交する向きに延びるアーム状をなし、互いに平行となるように基部36に対して取り付けられている。一対の当接本体35は、所定間隔Lを隔てている。一対の当接本体35それぞれのアームの長さ及び所定間隔Lは、保持すべきフォトマスクPの大きさに応じて適宜設定すればよい。これにより、カセット上下方向搬送装置12により上下方向のレベルを調整したフォトマスクPの端面に対して、一対の当接本体35が当接するようにしている。
【0033】
駆動部34について説明すれば、駆動部34は、ラックピニオン機構40と、ラックピニオン機構40のピニオン42に連結されたステッピングモータ44と、ステッピングモータ44の制御部46とから概略構成されている。ラックピニオン機構40のラック48は、基部36に設けられる一方、ピニオン42及びステッピングモータ44は、固定基台30に設けられ(図3参照)、制御部46によりステッピングモータ44の回転量を制御することにより、回転量に応じてピニオン42が回転し、ピニオン42に噛み合うラック48、かくして、基部36および後に説明する第1付勢手段46により基部36の係止部56に係止する当接本体35が、両者一体で移動するようにしている。制御部46において、一対の薄板保持部28それぞれに設けられているステッピングモータ44は、互いに同期して駆動するようにしている。これにより、一対の薄板保持部28の当接本体35に設けたOリング50(後に説明)とフォトマスクPの端面との距離が同じになるように、一対の薄板保持部28を保持すべきフォトマスクPに対して位置決めすることにより、それぞれの当接本体35がフォトマスクPの対応する端面に略同時に当接するようにすることが可能である。
【0034】
次に、図5及び6を参照しながら、一対の当接本体35まわりについて説明すれば、基部36は、当接本体35の上面51に対向する下面52を有し、下面52には、当接本体35を案内するガイド54が設けられ、当接本体35が基部36に対して相対移動可能なようにしている。基部36には、当接本体35に当たる係止部56が設けられ、後に説明する引張バネ46の付勢力により基部36と当接本体35とが互いに引き寄せられる際に、当接本体35が係止部56により係止されるようにしている。
【0035】
一方、当接本体35は、その上面51には、ガイド54に嵌合する被ガイド体58が設けられ、それにより、被ガイド体58がガイド54上を案内されながら、当接本体35が基部36に対して相対移動可能としている。
【0036】
図5に示すように、当接本体35には、基部36から遠位側の先端部60に、フォトマスクPの端面に当接する弾性部材50が当接本体35の移動方向と直交する方向に、所定の間隔を隔てて2つ設けられている。それぞれの弾性部材50は、Oリングから構成され、Oリングの面を横に向けた状態で当接本体35に対して着脱可能に設けられている。Oリングは、従来既知のものを用いればよく、本保持装置16によりフォトマスクPを保持する際、Oリングの孤部とフォトマスクPの端面とが当たるときに、フォトマスクPに対してダメージや接触跡を残すことにより悪影響を及ぼさない程度の弾力性を有し、クリーン性能を満たすように不純物の包含割合の小さい材質であることが好ましい。この点において、たとえば、ゴム系の材質で、パーフロロエラストマー、あるいはフッ素系が好ましい。2つのOリング同士の間隔は、各Oリングの着脱のしやすさを考慮して、適宜定めればよい。
【0037】
図4に示すように、これにより、一対の薄板保持部28を用いてフォトマスクPを保持する際、駆動部34により一対の薄板保持部28の当接本体35同士を互いに近づけて、それぞれの当接本体35がフォトマスクPの端面に当接することにより、フォトマスクPを8点支持することにより保持する形態としている。
【0038】
再び図5及び6を参照すれば、基部36と当接本体35との間には、基部36と当接本体35とを互いに引き寄せる方向に付勢する引張バネ46が設けられている。より詳細には、基部36に設けたブラケット31に一端をフックし、当接本体35の上面51に対してブラケット31よりカセットCAから遠い側に設けたブラケット33に他端をフックする形態で、引張バネ46が設けられている。一対の薄板保持部28によりフォトマスクPを保持する際、フォトマスクPを挟んで両側に一対の薄板保持部28を配置することにより、一対の薄板保持部28のそれぞれの当接本体35は、引張バネ46により、常時フォトマスクPに向かって付勢された状態で、ストッパー56に係止するようにしている。これにより、後に説明するように、フォトマスクPの水平方向の位置ずれがある場合に、いわゆる引張バネ46の水平方向のコンプライアンスを利用して、このような位置ずれを吸収することが可能となるとともに、フォトマスクPの端面に作用する押圧力を制限することが可能となる。この引張バネによる初期引張力は、たとえば、保持搬送すべきフォトマスクPの重さ、フォトマスクPに加える押圧力あるいは後に説明する水平方向の位置ずれ吸収しろを考慮して、適宜調整すればよい。
【0039】
また、それぞれの当接本体35には、ステッピングモータ44による当接本体35の移動方向に沿って延びる板バネ64が設けられ、一対の薄板保持部28によりフォトマスクPを保持する際、フォトマスクPの初期保持位置に向かって保持されるフォトマスクPの上下方向に付勢するようにしている。これにより、後に説明するように、フォトマスクPの上下方向の位置ずれがある場合に、いわゆる板バネの上下方向のコンプライアンスを利用して、このような位置ずれを吸収することが可能となる。なお、上下方向の剛性は、保持すべきフォトマスクPの大きさ、重さとの関係で適宜定めればよい。
【0040】
さらに、図6に示すように、Oリング50によるフォトマスクPへの押圧力Fの作用点を板バネ64の厚み方向に中心より上側にオフセット配置している。これにより、フォトマスクPへの押圧力によりフォトマスクPに対して上方向のモーメントMが作用し、常時フォトマスクPを持ち上げるように保持することが可能である。これにより、後に説明するように、フォトマスクPを側方から保持する保持装置16から、従来の下方から支持する搬送装置に受け渡す際、あるいはこのような搬送装置16からカセットCAのベースBに受け渡す際に、フォトマスクPへのダメージをさらに軽減することが可能にされている。なお、オフセット量D1は、保持すべきフォトマスクPの大きさ、重さとの関係で作用すべきモーメントの大きさを考慮して、定めればよい。
【0041】
以上の構成を有する本発明のフォトマスクPの保持システム10について、その作用を図7ないし図9を参照しながら以下に説明する。
【0042】
まず、カセットCA内に収納されたフォトマスクPをカセットCAから取り出すために、カセット上下方向搬送装置12により、載置台18に載置されたカセットCAのカバーCを上下方向に移動して、カバー保持装置14によりカバーCが保持できるレベルに位置決めする。
【0043】
次いで、カバー保持装置14を駆動して、一対のカバー保持部22それぞれを互いに近づく向きに移動することにより、カバーCを側方より保持し、保持されたカバーCを取り出して、載置台18に載置されたベースB上のフォトマスクPを露出する。
【0044】
次いで、カセット上下方向搬送装置12により、載置台18に載置されたベースB上のフォトマスクPを上下方向に微調整して、フォトマスクPの保持装置16によりフォトマスクPが保持できるレべルに位置決めする。
このとき、一対の薄板保持部28それぞれにおいて、引張バネ46の初期引張力により、当接本体35は基部36、すなわちフォトマスクPに向かって付勢され、基部36のストッパー56により係止された状態とされている。
【0045】
次いで、制御部46により、それぞれのステッピングモータ44を同期させて駆動することにより、図7(A)に示すように、一対の薄板保持部28の両当接本体35が互いに近づくように、それぞれの基部36に対して移動する。
【0046】
次いで、Oリング50の孤部がフォトマスクPの端面に当接し始める。このとき、たとえば、図7(B)に示すように、左側の薄板保持部28の当接本体35の方が右側の薄板保持部28の当接本体35より先にフォトマスクPの対応する端面に当接するとする。
このとき、左側の当接本体35は、右側の当接本体35がフォトマスクPの右端面に当接するまで、フォトマスクPを押して、図面上右側に移動させる。
【0047】
次いで、図7(C)に示すように、右側の当接本体35がフォトマスクPの右端側面に当接し始める。このとき、左側の薄板保持部28の引張バネ46の引張力の方が、右側の薄板保持部28の引張バネ46の引張力よりも小さいと仮定する。このために、図7(D)に示すように、左側の薄板保持部28の基部36は、駆動部34によりフォトマスクPに向かって(図面上右へ)移動し続ける一方、当接本体35は停止したままであるから、左側の当接本体35と基部36との間に、被ガイド体58がガイド54に沿いつつ、クリアランス(図面上a)が生じる。
この状態において、フォトマスクP自体は、両端面を通じて小さい方の左側の引張バネ46の引張力に相当するクランプ力により保持される一方、左側の薄板保持部28に生じたクリアランスについて、両引張力の差に相当する力でフォトマスクPを移動(この場合には、右方向)させることが可能となる。
よって、一対の薄板保持部28によりフォトマスクPを保持する際、両薄板保持部28の引張バネ46の水平方向のコンプライアンスの利用を通じて、フォトマスクPに対して作用する押圧力を制限することが可能であるとともに、当接本体35と基部36との間に生じるクリアランスを利用して、水平方向の位置ずれを吸収することも可能となる。
【0048】
次いで、図8に示すように、フォトマスクPが側方より保持された状態で、カセット上下方向搬送装置12により、フォトマスクPの下面とベースBの上面との間に、従来の搬送装置DのフォークFが挿入可能なように、ベースBを下方に移動させる。
【0049】
次いで、図9に示すように、フォトマスクPに対して、薄板保持装置16及びカバー保持装置14と略直交する向きに配置された従来の搬送装置DのフォークFをフォトマスクPの下面とベースBの上面との間に挿入し、フォークFをフォトマスクPの下面に当たるまで上方に移動する。
このとき、左右一対のフォークFとの間に、上下方向のレベル差があり、そのために、右のフォークFの方が、左のフォークFより先にフォトマスクPの下面に当接するとする。この状態において、フォトマスクPは、両当接本体35により側方より保持されながら、右の薄板保持部28の板バネ64が上方に撓み始める。この板バネ64の上下方向のコンプライアンスを利用することで、板バネ64の撓みにより上下方向の位置ずれを吸収することが可能であり、これにより安定した受け渡しを行うことができる。
特に、Oリング50のフォトマスクPとの接触部は、板バネ64の板厚中心に対して上方にオフセットしているので、常時上向きのモーメントMがフォトマスクPに作用しているため、フォークFがフォトマスクPの下方より上方に移動しながら、フォトマスクPの下面に当たる際、フォトマスクPへのダメージをさらに軽減することが可能である。
【0050】
次いで、両フォークFを上方に移動し続けると、右の薄板保持部28の板バネ64はさらに湾曲する一方で、左のフォークFがフォトマスクPの下面に当接し始め、両フォークFにより、フォトマスクPが下方より支持される。
【0051】
次いで、一対の薄板保持部28の当接本体35をフォトマスクPの端面から離れる向きに移動して、受け渡しが行われる。
【0052】
次いで、両フォークFによりフォトマスクPを下方より支持した状態で、従来の搬送装置DによりフォトマスクPを所定位置に搬送し、必要な処理を行う。
【0053】
次いで、処理を完了したフォトマスクPを再度従来の搬送装置Dを用いて、カセットCAのベースB上に戻す。
このとき、前述のフォトマスクPを薄板保持装置16から従来の搬送装置Dに受け渡す場合と逆の手順を踏む。すなわち、搬送装置DによりフォトマスクPを支持した状態で、一対の薄板保持部28で側方よりフォトマスクPを保持することにより薄板保持装置16に受け渡し、さらにカセット上下方向搬送装置12により、載置台18に載置されたベースBを上方に移動させて、ベースBの上面をフォトマスクPの下面に当てる。その際、フォトマスクPを薄板保持装置16から搬送装置Dに受け渡した場合と同様に、板バネ64の上下方向のコンプライアンスを利用して、上下方向の位置ずれに対する吸収を行い、薄板保持装置16からベースBへの受け渡しの際、フォトマスクPに対して急激な動きあるいは衝撃が加わり、フォトマスクPに悪影響が及ぼされるのを回避することが可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者なら種々の修正あるいは変更が可能である。たとえば、本実施形態においては、保持すべき薄板をフォトマスクPとした場合に、本発明の薄板の保持装置を従来の搬送装置への受け渡し機能を発揮する場合に特化して説明したが、それに限定されることなく、たとえば円形の半導体ウェハ基板に対して、本発明の保持装置を用いて、半導体ウェハ基板の側面を支持する形態で用いてもよい。また、本実施形態においては、水平方向のコンプライアンスを利用するのに、引張バネを採用したが、当接本体を両当接部同士の間隔を狭める方向に付勢する限りにおいて、圧縮バネを用いてもよい。さらに、フォトマスクPの両端面を8点支持するものとして説明したが、それに限定されることなく、たとえば、4点支持、あるいはフォトマスクPの大きさによっては2点支持でもよい。さらにまた、本実施形態においては、薄板の保持装置を固定されたものとして説明したが、それに限定されることなく、薄板の保持装置を可動として、薄板の保持装置により側方支持された薄板を薄板の保持装置ごと移動させることにより、薄板を搬送してもよい。
【0055】
以上、本発明に係る薄板の保持装置および該装置を有するフォトマスクの保持システム並びに搬送方法によれば、フォトマスクのような薄板を保持する際、一定以上の押圧力が保持すべき薄板に作用しないようにしつつ、保持すべき薄板の位置ずれを吸収することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの概略斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの一対の薄板保持部および一対のカセット保持部の一方を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの一対の薄板保持部の駆動部まわりを示す部分斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの薄板の保持装置の原理構成を示す概略平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの当接部まわりの部分斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの当接本体まわりの概略側面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るフォトマスクの保持システムの薄板の保持装置の動きを示す概略図である。
【図8】カセット上下方向搬送装置により、側方から保持されたフォトマスクからカセットのベースを下方に移動する状態を示す、図1と同様な図である。
【図9】従来の搬送装置によりフォトマスクを下方から支持する状態を示す、図1と同様な図である。
【符号の説明】
【0057】
P フォトマスク P
CA カセット
C カバー
B ベース
F フォーク
D 従来の搬送装置
10 フォトマスクの保持システム
11 第1プレート
12 カセットの上下方向搬送装置
13 第2プレート
14 カバー保持装置
16 フォトマスクの保持装置
18 搭載置台
20 基部
22 カバー保持部
24 当接部
26 駆動部
28 薄板保持部
30 固定基台
31 ブラケット
32 当接部
33 ブラケット
34 駆動部
36 基部
40 ラックピニオン機構
42 ピニオン
44 ステッピングモータ
46 制御部
48 ラック
52 下面
51 上面
54 ガイド
56 ストッパー
58 被ガイド体
60 先端部
50 弾性部材
64 板バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の薄板保持部を有する薄板の保持装置であって、前記一対の薄板保持部はそれぞれ、薄板の側面または端面に当接する当接部を有し、該当接部の少なくとも一方を移動させる駆動部が設けられ、該駆動部による該当接部の移動方向が薄板の平面に沿う向きとなるように、該一対の薄板保持部を薄板を挟んで位置決めしたうえで、該一対の薄板保持部の間隔を狭めることにより薄板を保持する装置において、
前記当接部は、基部と、前記駆動部による移動方向に沿って相対移動可能な形態で該基部に対して係合する当接本体とを有し、
前記当接本体と前記基部との間には、前記一対の薄板保持部の前記両当接部間の間隔を狭める向きに前記当接本体を付勢する第1付勢手段が設けられ、
前記基部には、前記当接本体を係止する係止部が設けられ、
それにより、前記一対の薄板保持部により薄板を保持する際、前記一対の薄板保持部のいずれか、或いは両方において、前記当接本体と前記係止部との間にクリアランスが生じることにより、保持すべき薄板の位置ずれを吸収する位置ずれ吸収手段と、前記当接本体により薄板の側面または端面に作用する押圧力を制限する押圧力制限手段とが形成される、ことを特徴とする薄板の保持装置。
【請求項2】
前記当接本体は、前記一対の薄板保持部により薄板を保持する際、薄板の初期保持位置に向かって、保持される薄板を上下方向に付勢する第2付勢手段をさらに有する、請求項1に記載の薄板の保持装置。
【請求項3】
前記第2付勢手段は、前記駆動部による前記当接部の移動方向に沿って延びる板バネからなる、請求項2に記載の薄板の保持装置。
【請求項4】
前記当接本体は、その先端部に、保持すべき薄板の側面または端面と当接する弾性部材をさらに有する、請求項1 ないし3のいずれ1項に記載の薄板の保持装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記当接本体に対して着脱可能なOリングであり、該Oリングは、Oリングの面を横に向けて設置される、請求項4に記載の薄板の保持装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記一対の薄板保持部のそれぞれに設けられ、前記両駆動部は、互いに同期して駆動される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の薄板の保持装置。
【請求項7】
前記弾性部材による保持すべき薄板への押圧力の作用点を前記板バネの厚み方向の中心よりオフセット配置することにより、薄板への押圧力により保持すべき薄板に対して上方向あるいは下方向へのモーメントを作用させる、請求項3に記載の薄板の保持装置。
【請求項8】
前記第1付勢手段は、前記当接本体を前記基部に向かって引き寄せる方向に付勢する引張バネからなる、請求項1に記載の薄板の保持装置。
【請求項9】
前記基部の面には、ガイドが設けられ、対応する前記当接体の面には、該ガイドに案内される被ガイド体が設けられ、前記当接本体と前記係止部との間にクリアランスが生じる際、前記被ガイド体が、前記ガイドに沿って移動する、請求項1に記載の薄板の保持装置。
【請求項10】
保持すべき薄板が、カバーとベースとからなるカセット内でベース上に載置されたフォトマスクであって、
フォトマスクを内部に収納したカセットを上下方向に搬送するためのカセット上下方向搬送装置と、
一対のカバー保持部を有するカバー保持装置であって、それぞれのカバー保持部は、カバーの端面に当接する当接部と、該当接部を水平方向に移動させる駆動部とを有し、該駆動部により一対のカバー保持部の該当接部間の間隔を狭めることによりカバーを側方より保持するカバー保持装置と、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載された薄板の保持装置と、を有し、
前記一対の薄板保持部はそれぞれ、対応する前記当接部を移動させる駆動部を有し、
前記一対のカバー保持部はそれぞれ、前記カセット上下方向搬送装置により搬送されるカセットの対応する端面から側方の所定位置に位置決めされ、
前記薄板の保持装置は、前記一対の薄板保持部がそれぞれ、対応する前記カバー保持部の下方で、前記カセット上下方向搬送装置により搬送されるベース上のフォトマスクの端面から側方の所定位置に位置決めされるように固定配置される、
ことを特徴とする、フォトマスクの保持システム。
【請求項11】
カバーとベースとを有するカセット内に収納されたフォトマスクを取り出して、搬送する方法であって、
フォトマスクを覆うカバーを両側方から挟持する形態で保持することにより、フォトマスクを露出させる段階と、
ベース上のフォトマスクを水平方向のコンプライアンスを利用しながら両側方から挟持する形態で保持する段階と、
側方から保持されたフォトマスクからベースを下方に移動させる段階と、
側方から保持されたフォトマスクを上下方向のコンプライアンスを利用しながら下方から支持する段階と、
フォトマスクの側方からの保持を解除する段階と、
下方から支持されたフォトマスクを搬送する段階と、
を有することを特徴とするフォトマスクの搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−265256(P2009−265256A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112770(P2008−112770)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(508124464)セマテックノース インコーポレテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SEMATECH, North Inc.
【出願人】(000115902)レーザーテック株式会社 (184)
【Fターム(参考)】