説明

薄肉容器及び薄肉容器の搬送装置及び搬送方法

【課題】可撓性がある本体を有する薄肉容器と、薄肉容器及びキャップ付き薄肉容器の搬送装置および搬送方法を提供する。
【解決手段】本発明の薄肉容器101は、保形性がある口部112と、可撓性がある本体113とを有する。キャップ160を取付けるためのねじ部114と、ねじ部114の下方に設けられキャップを取付けたときにキャップより下方に位置する上方ネックリング115と、上方ネックリング115より下方に位置する下方ネックリング116とが、口部112に設けられる。ねじ部114と上方ネックリング115は、上下方向に互いに間隔を隔てて配置され、上方ネックリング115と下方ネックリング116は、上下方向に互いに間隔を隔てて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保形性がある口部と、可撓性がある本体とを有する薄肉容器、薄肉容器のブロー成形加工用のプリフォーム、および、キャップ付きの薄肉容器に関する。また、本発明は、薄肉容器、および、キャップ付きの薄肉容器の搬送装置に関する。さらに、本発明は、薄肉容器、および、キャップ付きの薄肉容器の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミネラルウォーターなどの飲料を収容して供給する合成樹脂製の容器は、上方に開口部を有する口部分(または、「口部」とも称する)と、前記口部分と連続して前記口部分の下方に設けられた首部分(または、「首部」とも称する)と、前記首部分と連続して前記首部分の下方に設けられ、かつ、中に液体を収容するための空間を有する本体部分(または、「本体」とも称する)とを含むように構成されている。容器を形成する合成樹脂として、一般に、ポリエチレンテレフタレート(PET)が利用されている。容器の本体部分の厚さは、一般に、0.3mm程度である。さらに、容器の本体部分の厚さが0.25mm以下であるように形成し、自己の形状を保持することができない程度まで薄肉化した、いわゆる「薄肉容器」が開示されている。このような「薄肉容器」は、容器保持具を装着した状態で、キャップを外すことができるようになっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
従来の合成樹脂製の容器の口筒部(または、「口部」とも称する)には、一般に、キャップを取付けるためのねじ部と、前記ねじ部の下方に位置する1個のビードリング(または、「巻き締めリング」とも称する)と、前記ビードリングの下方に位置する1個のネックリングが設けられている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
従来、クリーンルーム内で容器を連続搬送して内容物を充填する充填部及び容器を密封する密封部とを有する充填装置においては、容器のフランジ部(または、「ネックリング」とも称する)をレールに引っ掛けた状態で容器を搬送している。このような充填装置では、クリーンルームの内部において、容器の搬送ラインの上流側から、充填装置、充填検査装置、仮締め装置及び本締め装置が配置され、容器の搬送装置の下流側において、クリーンルームの外部にリジェクト装置が配置されている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
また、従来の樹脂ボトルの搬送システムにおいて、搬送ラインにおける各処理装置の間で容器を受け渡す場合は、上流側の処理装置と下流側の処理装置のそれぞれが備えるグリッパで容器の首部を把持し、上流側の処理装置のグリッパから下流側の処理装置のグリッパに掴み変えて樹脂ボトルの搬送が行われている(例えば、特許文献5参照)。
【0006】
さらに、従来のインライン成形・無菌充填工場施設においては、プリフォームを使ってプラスチック容器を成形し、成形されたPETボトルは製品製造室の中で洗浄され、ボトル本体の中にミネラルウォーターが充填され、キャップを用いて容器を密封している(例えば、特許文献6参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−312125号公報(第1〜5頁、図1)
【特許文献2】特許第3769217号公報(第1〜5頁、図1)
【特許文献3】特開2004−131175号公報(第4〜5頁、図1〜図4)
【特許文献4】特開平10−72096号公報(第3〜6頁、図2および図10)
【特許文献5】特開2006−52873号公報(第6〜8頁、図1)
【特許文献6】特開2006−52873号公報(第6〜8頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の搬送装置では、容器のネックリングの部分をレールに引っ掛けた状態、いわゆる「宙吊り状態」で容器を搬送している。また、いわゆる「ネック搬送」を行う構成の搬送装置では、グリッパにより容器のネックリングの上下の部分を掴みかえることで、ボトル殺菌機からキャッパーまで容器を搬送している。キャップを取付ける前の容器では、上記特許文献3に開示されているように、巻き締めリングの下部分(即ち、ネックリングの上部分)と、ネックリングの下部分を掴みかえることができる。一方、このような構成の搬送装置では、キャッパーにおいて容器にキャップを取付けると、容器のネックリングの上部分にグリッパが把持することができる領域がなくなり、キャップを取付けた容器は自立させた状態でコンベア搬送されている。
【0009】
しかしながら、自立安定性が低い軟包材容器の場合、そのような軟包材容器を単体でコンベア搬送するのは難しい。このような軟包材容器の搬送方法として、軟包材容器をホルダに装着した状態で搬送する搬送方法が知られている。このような搬送方法は、自立安定性が低い飲料用ボトルに適用することができるとも思われる。しかしながら、自立安定性が低い飲料用ボトルを搬送する場合、飲料用ボトルのホルダへの装着は、適宜の公知の装着装置により、容器のネックリングの部分を「宙吊り状態」で行う必要がある。しかし、前記のように、従来のグリッパ受渡装置では、キャップを取付けた容器はキャッパー側のグリッパによりネックリングの下部分を掴まれており、ネックリングのその上方にグリッパが把持することができる領域が存在しないので、キャッパーから次の処理装置にキャップ付き容器を搬送することが困難であった。
【0010】
本発明の目的は、可撓性がある本体を有し自立安定性が低い薄肉容器の口部の一部を把持して薄肉容器を受け渡すことができるように構成された薄肉容器、および、キャップ付きの薄肉容器を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記薄肉容器をブロー成形加工により形成するためのプリフォームを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、薄肉容器を確実に受け渡すことができるように構成された搬送装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、キャップを取付けた状態で、薄肉容器を確実に受け渡すことができるように構成された搬送装置を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、薄肉容器を確実に受け渡すことができる搬送方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、キャップを取付けた状態で、薄肉容器を確実に受け渡すことができる搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、保形性がある口部と、可撓性がある本体とを有する薄肉容器において、薄肉容器を密封するためのキャップを取付けるためのねじ部と、前記ねじ部の下方に設けられ、かつ、前記口部にキャップを取付けたときに前記キャップより下方に位置するように設けられた上方ネックリングと、前記上方ネックリングより下方に位置するように設けられた下方ネックリングとが、上下方向に互いに間隔を隔てて前記口部に配置される、ことを特徴とする。本発明の薄肉容器においては、巻き締めリングが、前記ねじ部と前記上方ネックリングとの間において前記口部に設けられ、前記巻き締めリングは、前記口部にキャップを取付けたときに、前記キャップの内側に位置するように設けられるのが好ましい。本発明の薄肉容器は、ブローボトルであるのがよい。本発明の薄肉容器は、保持機構を含む搬送装置により、薄肉容器の保形性がある部分を把持して確実に搬送することができる。
【0012】
本発明のキャップ付き薄肉容器は、上記のように構成した薄肉容器と、前記薄肉容器のねじ部にねじ締め固定されるように構成されたキャップとを含むことを特徴とする。本発明において、「薄肉容器」とは、変形自在であり可撓性を有する合成樹脂製の容器を包含する概念である。本発明の薄肉容器において、薄肉容器の「本体」は、本体の中に液体を収容した状態で容易に変形する程度の柔軟性を有し、コンベアで搬送する際に、自己の形状を維持して立つことができないように形成される。本発明において、「薄肉容器」には、ある程度の自立性があるものも含まれる。本発明の薄肉容器において、薄肉容器の「口部」は、保形性を有するように形成される。本発明の薄肉容器の本体の厚さは、0.01mmから0.25mmの範囲内にあるのが好ましく、0.02mmから0.2mmの範囲内にあるのが一層好ましい。本発明の薄肉容器の本体の厚さは、0.035mmから0.05mmの範囲内に形成することもできる。本発明の薄肉容器の口部の厚さは、1mmから4mmの範囲内に形成するのが好ましい。
【0013】
さらに、本発明は、上記の薄肉容器の搬送装置であって、前記上方ネックリングと前記下方ネックリングとの間に設けられた第1部分と、前記下方ネックリングの下方に設けられた第2部分とを有するような薄肉容器を搬送するための搬送装置であって、受け渡し側に配置された受け渡し装置と、受け取り側に配置された受け取り装置とを備え、前記受け渡し装置が、前記第1部分、前記第2部分のうちの一方を保持するための保持機構を備え、前記受け取り装置が、前記第1部分、前記第2部分のうちの他方を保持するための保持機構を備えることを特徴とする。本発明の1実施形態では、薄肉容器の搬送装置は、受け渡し側に配置された受け渡し装置と、受け取り側に配置された受け取り装置とを備え、前記受け渡し装置が、前記上方ネックリングと前記下方ネックリングとの間の部分を保持するためのグリッパを備え、前記受け取り装置が、前記下方ネックリングの下方の部分を保持するためのグリッパを備えている。或いは、本発明の1実施形態では、薄肉容器の搬送装置は、受け渡し側に配置された受け渡し装置と、受け取り側に配置された受け取り装置とを備え、前記受け渡し装置が、前記下方ネックリングの下方の部分を保持するためのグリッパを備え、前記受け取り装置が、前記上方ネックリングと前記下方ネックリングとの間の部分を保持するためのグリッパを備えている。本発明の搬送装置は、容器の一部分を保持機構を用いて保持して受け渡すことによって、薄肉容器を確実に搬送することができる。
【0014】
さらに、本発明は、薄肉容器にキャップを付けた状態で薄肉容器を搬送するための搬送装置であって、上記のように構成した受け渡し装置と、受け取り装置とを備えるように構成している。本発明の薄肉容器の搬送装置においては、前記保持機構とともに作動することが可能であり、かつ、前記受け渡し装置と前記受け取り装置との間の受け渡し位置において、前記薄肉容器の本体の肩部、側面部、底面部のうちの少なくとも1箇所を支持する支持装置を含むのがよい。このような支持装置を適用することによって、本発明の搬送装置は、薄肉容器を支持して、受け渡し装置から受け取り装置に薄肉容器を確実に搬送することができる。
【0015】
また、本発明は、上記の薄肉容器の搬送方法であって、前記上方ネックリングと前記下方ネックリングとの間に設けられた第1部分と、前記下方ネックリングの下方に設けられた第2部分とを有するような薄肉容器を搬送するための搬送方法であって、受け渡し装置と受け取り装置との間の受け渡し位置において、前記第1部分、前記第2部分のうちの一方を受け渡し装置の保持機構により保持し、前記第1部分、前記第2部分のうちの他方を受け取り装置の保持機構により保持するようにして、前記薄肉容器の前記第1部分と前記第2部分とを持ちかえることによって、前記薄肉容器を受け渡すことを特徴とする。本発明の1実施形態において、上記の薄肉容器の搬送方法は、受け渡し装置の受け渡し位置において、前記上方ネックリングと前記下方ネックリングとの間の部分を受け渡し装置のグリッパにより把持し、受け取り装置の受け取り位置において、前記下方ネックリングの下方の前記口部の部分を受け取り装置のグリッパにより把持して、前記受け渡し装置から前記受け取り装置に前記薄肉容器を受け渡すことを特徴とする。或いは、上記の薄肉容器の搬送方法は、受け渡し装置の受け渡し位置において、前記下方ネックリングの下方の部分を受け取り装置のグリッパにより把持し、受け取り装置の受け取り位置において、前記上方ネックリングと前記下方ネックリングとの間の部分を受け渡し装置のグリッパにより把持して、前記受け渡し装置から前記受け取り装置に前記薄肉容器を受け渡すことを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明は、前記下方ネックリングの下方の部分を受け取り装置の保持機構により保持し、受け取り装置の受け取り位置において、前記上方ネックリングと前記下方ネックリングとの間の部分を受け渡し装置の保持機構により保持して、前記受け渡し装置から前記受け取り装置に前記薄肉容器を受け渡すことを特徴とする。この搬送方法では、前記受け渡し装置の受け渡し位置において、前記薄肉容器の本体の肩部、側面部、底面部のうちの少なくとも1箇所を支持している状態で前記薄肉容器を受け渡すようにするのがよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の薄肉容器の本体は、従来の容器の本体に比べて薄肉であるが、保持機構を含む搬送装置により確実に搬送することができるように構成することができる。また、本発明により、プリフォームを用いて薄肉容器をブロー成形加工により容易に形成することができる。さらに、本発明の搬送装置は、薄肉容器の保形性がある部分を保持機構を用いて保持して受け渡すことによって、薄肉容器、および、キャップ付き薄肉容器を確実に搬送することができる。さらに、本発明の搬送方法を用いることによって、保持機構を用いて薄肉容器を確実に搬送することができ、また、保持機構を用いてキャップ付き薄肉容器を確実に搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(1)容器の構造:
最初に、本発明の実施の形態において、薄肉容器の構造を説明する。ここで、図面の記載内容を明瞭にするために、容器の本体の厚さは厚さ方向を拡大強調して図示している。図1および図2を参照すると、容器101は合成樹脂で一体に形成されている薄肉容器である。容器101は、上方に開口部111を有する口部112と、口部112の下方に設けられた本体113とを含む。本体113の中に液体を収容することができる。口部112と本体113は、ブロー成形可能な合成樹脂で一体成形により形成されている。すなわち、本発明の薄肉容器はブローボトルである。本体113は、上方に位置する肩部113aと、肩部113aの下方に位置する側面部113bと、側面部113bの下方に位置する底面部113cとを含むように形成されている。
【0019】
容器101を形成する合成樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、上記合成樹脂の少なくとも2つからなるコポリマー、上記合成樹脂の少なくとも1つをベースとする混合物、上記コポリマーの少なくとも1つをベースとする混合物からなる群から選択されたものであるのが好ましい。前記混合物として、例えば、補強剤、着色剤、離型剤、柔軟剤などをあげることができる。
【0020】
口部112は保形性があるような寸法形状に形成される。すなわち、口部112は自己の形状を維持することができるような厚さに形成されている。口部112の厚さは、1mmから4mmの範囲内に形成するのが好ましい。本体113は可撓性があるような寸法形状に形成される。本体113の厚さは、0.01mmから0.25mmの範囲内にあるのが好ましく、0.02mmから0.2mmの範囲内にあるのが一層好ましい。本体113の厚さは、0.035mmから0.05mmの範囲内に形成することもできる。本体113の中に収容することができる液体の体積は、例えば、250ミリリットル、350ミリリットル、500ミリリットル、1リットル、1.5リットル、2リットルなどになるように設計することができる。
【0021】
容器101を密封するためのキャップ160を取付けるためのねじ部114が口部112の上方部分に設けられる。上方ネックリング115が口部112においてねじ部114の下方に設けられる。下方ネックリング116が、口部112において上方ネックリング115の下方に設けられる。ねじ部114と、上方ネックリング115と、下方ネックリング116は、上下方向に互いに間隔を隔てて上方から順に口部112に配置されている。ねじ部114は、口部112において半径方向外方に出っ張り螺旋状に形成された雄ねじ部分で構成される。上方ネックリング115は、口部112において半径方向外方に出っ張るリング形状に形成される。下方ネックリング116は、口部112において半径方向外方に出っ張るリング形状に形成される。上方ネックリング115は、下方ネックリング116と同じ寸法形状に構成することができる。上方ネックリング115と、下方ネックリング116は、例えば、5mmから15mmの範囲内の間隔を隔てて配置されるのが好ましい。下方ネックリング116の下方と、本体113の上部は、例えば、5mmから15mmの範囲内の間隔を隔てて配置されるのが好ましい。なお、下方ネックリング116の下方に上下方向の間隔を隔てて、さらにネックリングを配置することもできる(3段のネックリング)。このような更なるネックリングは、前記下方ネックリング116の場合と同様の間隔で配置するのが好ましい。同様に4段以上のネックリングを配置することもできる。巻き締めリング117のない、ねじ部114の下方にラチェット爪が形成されているものでは、その下方に前記の各ネックリングを配置すればよい。各ネックリングは、水平方向の断面多角形、即ち出っ張り部分が多角形となる形状で設けてもよい。ネックリングを構成する多角形としては、4角、6角、5角、8角のものが挙げられる。
【0022】
巻き締めリング117が口部112に設けられる。巻き締めリング117は、上方ネックリング115から間隔を隔てて、ねじ部114と上方ネックリング115との間に配置される。巻き締めリング117は、口部112において半径方向外方に出っ張るリング形状に形成される。キャップ160は、筒状部161と、平板部162とを含む。容器101の口部112のねじ部114にねじ締め固定される雌ねじ163が、筒状部161の内側に設けられる。巻き締めリング117は、口部112にキャップ160を取付けたときに、キャップ160の筒状部161の内側に位置するように設けるのが好ましい。
【0023】
図3を参照すると、合成樹脂製のプリフォーム119を用いて、ブロー成形加工により容器101を形成することができる。プリフォーム119は、円筒形の筒状部119aを含むように形成される。開口部119bが筒状部119aの上部に設けられる。半球状部119cが筒状部119aの下方部分に設けられる。ねじ部分119dと、上方ネックリング部分119eと、下方ネックリング部分119fと、巻き締めリング部分119gが、上下方向に互いに間隔を隔てて上方から順に筒状部119aの上方部分に配置される。これらの配置は、前記の容器101の口部112におけるものと同様である。このようなプリフォーム119の外形形状は、射出成形加工などによって形成することができる。
【0024】
キャップ160を形成する合成樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、上記合成樹脂の少なくとも2つからなるコポリマー、上記合成樹脂の少なくとも1つをベースとする混合物、上記コポリマーの少なくとも1つをベースとする混合物からなる群から選択されたものであるのが好ましい。あるいは、キャップ160はアルミニウム、ステンレスなどの金属、あるいは、それらの合金で形成することができる。キャップ160は、容器101を形成する合成樹脂と同じもので形成するのが好ましい。
【0025】
容器101の本体113の中にミネラルウォーターなどの液体を収容し、容器101の口部112のねじ部114にキャップ160をねじ締め固定することによって、キャップ付きの薄肉容器を製造することができる。口部112にキャップ160を取付けたときに、上方ネックリング115はキャップ160より下方に位置するように設けられている。すなわち、口部112にキャップ160を取付けたときに、上方ネックリング115はキャップ160の内側に配置されることなく、キャップ160の外部に露出するような位置に設けられている。キャップ160と上方ネックリング115との間に上下方向の間隔が設けられるように配置することもでき、上記の上下方向の間隔の部分を保持機構で保持してもよい。
【0026】
(2)搬送装置の構成と搬送方法:
次に、本発明の実施の形態において、搬送装置の構成と搬送方法を説明する。図4を参照すると、本発明の実施の形態において、液体入り容器製造装置200は、上流側から順に、充填室210と、キャッピング室220と、ホルダ挿入室230とを備える。充填室210、キャッピング室220は、無菌室(すなわち、クリーンルーム)として構成され、陽圧状態に維持される。ホルダ挿入室230は、大気圧に維持される。充填室210、キャッピング室220、ホルダ挿入室230の圧力は、ここに記載した順序にしたがって高圧から低圧になるように維持される。
【0027】
充填室210の内部において、上流側から順に、液体入り容器製造装置200に容器101を供給するための供給用コンベア211と、供給用コンベア211から容器101を受け取って下流側に搬送するための充填供給ホイール212と、充填供給ホイール212から容器101を受け取って容器101の中に液体を充填するためのフィラー213と、フィラー213から容器101を受け取って下流側に搬送するための充填排出ホイール214とが設けられる。
【0028】
キャッピング室220の内部において、上流側から順に、充填排出ホイール214から容器101を受け取って容器101にキャップ160をねじ締め固定することによって取付けるためのキャッパー222と、キャッパー222からキャップ付きの容器を受け取って下流側に搬送するためのキャッパー排出ホイール224とが配置される。
【0029】
ホルダ挿入室230の内部において、ホルダ挿入装置232にホルダ170(後述する)を供給するためのホルダ供給コンベア231と、キャッパー排出ホイール224からキャップ付きの容器を受け取って、液体を充填したキャップ付きの容器をホルダ170に挿入するためのホルダ挿入装置232と、ホルダ挿入装置232からホルダ170に挿入されたキャップ付きの容器を受け取って液体入り容器製造装置200から排出するための排出用コンベア233とが設けられる。以上の説明において、円形に図示されたものは、各々の水平方向の断面が円形であって、外周に容器の口部の保持機構(例えば、グリッパ)を複数有する回転体として設けられ、各々の受け渡し位置において、各々の保持機構が容器の口部を持ちかえて容器を受け渡す構造になっている。
【0030】
複数の容器101が図4の矢印方向に供給用コンベア211によって充填室210の内部に直線状の軌跡にそって搬送されるように構成される。充填供給ホイール212は、図4の矢印方向(時計回り方向)に円弧状の軌跡にそって容器101を搬送することができるように構成される。充填供給ホイール212とフィラー213との受け渡し位置において、容器101は充填供給ホイール212からフィラー213に受け渡されるように構成される。フィラー213は、図4の矢印方向(反時計回り方向)に円弧状の軌跡にそって容器101を搬送することができるように構成される。フィラー213において、容器101の中に液体が充填されるように構成される。充填する液体は、例えば、ミネラルウォーターなどの飲料である。フィラー213と充填排出ホイール214の受け渡し位置において、容器101はフィラー213から充填排出ホイール214に受け渡されるように構成される。充填排出ホイール214は、図4の矢印方向(時計回り方向)に円弧状の軌跡にそって容器101を搬送することができるように構成される。
【0031】
充填排出ホイール214とキャッパー222の受け渡し位置において、容器101は充填排出ホイール214からキャッパー222に受け渡されるように構成される。キャッパー222は、図4の矢印方向(反時計回り方向)に容器101を円弧状の軌跡にそって搬送することができるように構成される。キャッパー222において、液体が充填されている容器101の口部112のねじ部114に、キャップ160がねじ締め固定されて取付けられる。複数のキャップ160が、予めキャッパー222に貯蔵される。或いは、複数のキャップ160はキャップ供給装置(図示せず)によってキャッパー222に供給されるように構成することもできる。キャッパー222とキャッパー排出ホイール224の受け渡し位置において、液体を充填したキャップ付きの容器はキャッパー222からキャッパー排出ホイール224に受け渡されるように構成される。キャッパー排出ホイール224は、図4の矢印方向(時計回り方向)に円弧状の軌跡にそって、キャップを取付けた容器101を搬送することができるように構成される。
【0032】
複数のホルダ170が図4の矢印方向にホルダ供給コンベア231によってホルダ挿入室230の内部に直線状の軌跡にそって搬送されるように構成される。ホルダ挿入装置232は、図4の矢印方向(反時計回り方向)に円弧状の軌跡にそってホルダ170を搬送することができるように構成される。キャッパー排出ホイール224とホルダ挿入装置232との受け渡し位置において、液体を充填したキャップ付き容器はキャッパー排出ホイール224からホルダ挿入装置232に受け渡されるように構成される。ホルダ挿入装置232において、液体を充填したキャップ付き容器はホルダ170に挿入されるように構成される。ホルダ挿入装置232と排出用コンベア233との受け渡し位置において、ホルダに挿入されたキャップ付き容器は、ホルダ挿入装置232から排出用コンベア233に受け渡される。ホルダに挿入されたキャップ付き容器は、排出用コンベア233によって直線状の軌跡にそって搬送されて、ホルダ挿入室230の外部に出るように構成される。
【0033】
図6を参照すると、ホルダ挿入装置232は、ホルダ供給コンベア231及び排出用コンベア233の上方に設けられ、外周に容器101の口部112を保持する複数の保持機構232G(図示のものはグリッパを示す)を備える。上記保持機構232Gにより、キャッパー排出ホイール224の外周に複数備えられた保持機構224G(図示のものはグリッパを示す)から、キャップ付きの容器を受け取る。キャップ付容器をホルダ170に挿入する作動は、図6に示すように次のようにして行う。ホルダ供給コンベア231及び排出用コンベア233は、複数のホルダを載せて搬送し、両コンベアは一連に設けてもよい。ホルダ供給コンベア231は、キャッパー排出ホイール224とホルダ挿入装置232の受渡し位置232Pの下方までは、ホルダ170の上端が容器本体の底部よりも下方に位置する状態でホルダ170を搬送する。さらに、ホルダ挿入部232Hの下方では、図示のようにホルダ170を徐々に上方に持ち上げて、キャップ付容器がホルダ170に挿入されるようにホルダ170を搬送する。この間、ホルダ挿入部232Hでは、ホルダ挿入装置232の保持機構232Gによりキャップ付容器がネック搬送される。
回転式のホルダ挿入装置232の外周に備えられた保持機構232Gと、ホルダ供給コンベア231で搬送されるホルダ170とは、各々同じ間隔で配置されて位置決めされ、同期して動かされることで、前記のように作動することができる。なお、前記挿入装置232のような上部保持機構と、前記コンベアのようなホルダ配置機構とが、一定時間を協動するホルダ挿入部を構成することで、ホルダに容器を安定に配置することが可能となる。ホルダ挿入部において、上部保持機構で保持された容器を、ホルダ配置機構のホルダに対して相対的に垂直方向に移動させて、容器をホルダに配置させるように構成することができ、前記の実施例とは別に、上部保持機構によって保持された容器を昇降してもよい。
そして、ホルダ排出部232Jでは、キャップ付容器がホルダ170に挿入された状態で、ホルダ挿入装置232の保持機構232Gがキャップ付容器の保持を外して、容器がホルダ170に受け渡される。ホルダ170に挿入されたキャップ付容器は、排出用コンベア233で容器製造装置200から排出される。ホルダ170の高さは、容器101の本体113の高さの1/5から1/2であるのが好ましい。ホルダ170の側壁部171の内径は、液体を充填した容器101の本体113を収納できるような寸法に形成するのが好ましい。
【0034】
図5を参照すると、本発明の変形形態において、液体入り容器製造装置202は、上流側から順に、充填室215と、中間室225と、ホルダ挿入室235とを備える。充填室215、中間室225は、無菌室(すなわち、クリーンルーム)として構成され、陽圧状態に維持される。ホルダ挿入室235は、大気圧に維持される。充填室215、中間室225、ホルダ挿入室235の圧力は、ここに記載した順序にしたがって高圧から低圧になるように維持される。
【0035】
充填室215の内部において、上流側から順に、液体入り容器製造装置202に容器101を供給するための供給用コンベア211と、供給用コンベア211から容器101を受け取って下流側に搬送するための充填供給ホイール212と、充填供給ホイール212から容器101を受け取って容器101の中に液体を充填するためのフィラー213と、フィラー213から容器101を受け取って下流側に搬送するための充填排出ホイール214と、充填排出ホイール214から容器101を受け取って容器101にキャップ160をねじ締め固定することによって取付けるためのキャッパー216とが設けられる。
【0036】
中間室225の内部において、上流側から順に、キャッパー216からキャップ付きの容器を受け取って下流側に搬送するためのキャッパー排出ホイール226と、キャッパー排出ホイール226からキャップ付きの容器を受け取って下流側に搬送するための中間室ホイール227とが配置される。
【0037】
ホルダ挿入室235の内部において、ホルダ挿入装置232にホルダ170を供給するためのホルダ供給コンベア231と、中間室ホイール227からキャップ付きの容器を受け取って下流側に搬送するためのホルダ挿入室ホイール236と、ホルダ挿入室ホイール236からキャップ付きの容器を受け取って、液体を充填したキャップ付きの容器をホルダ170に挿入するためのホルダ挿入装置232と、ホルダ挿入装置232からホルダ170に挿入されたキャップ付きの容器を受け取って液体入り容器製造装置202から排出するための排出用コンベア233とが設けられる。
【0038】
液体入り容器製造装置202における、容器の搬送と受け渡し、液体を充填した容器の搬送と受け渡し、キャップ付き容器の搬送と受け渡し、液体を充填したキャップ付きの容器の搬送と受け渡し、ホルダに挿入されたキャップ付き容器の搬送と受け渡しの作動は、前述した液体入り容器製造装置202における搬送の作動と同様である。
【0039】
次に、液体入り容器製造装置202の作動を説明する。図5を参照すると、供給用コンベア211と充填供給ホイール212との受け渡し位置において、容器101は、供給用コンベア211から充填供給ホイール212に受け渡される。充填供給ホイール212とフィラー213との受け渡し位置において、容器101は、充填供給ホイール212からフィラー213に受け渡される。フィラー213と充填排出ホイール214との受け渡し位置において、容器101は、フィラー213から充填排出ホイール214に受け渡される。充填排出ホイール214とキャッパー216との受け渡し位置において、液体を充填した容器101は、充填排出ホイール214からキャッパー216に受け渡される。キャッパー216とキャッパー排出ホイール226との受け渡し位置において、キャップ付き容器は、キャッパー216からキャッパー排出ホイール226に受け渡される。キャッパー排出ホイール226と中間室ホイール227との受け渡し位置において、キャップ付き容器は、キャッパー排出ホイール226から中間室ホイール227に受け渡される。中間室ホイール227とホルダ挿入室ホイール236との受け渡し位置において、キャップ付き容器は、中間室ホイール227からホルダ挿入室ホイール236に受け渡される。ホルダ挿入室ホイール236とホルダ挿入装置232との受け渡し位置において、キャップ付き容器は、ホルダ挿入室ホイール236からホルダ挿入装置232に受け渡される。ホルダ挿入装置232と排出用コンベア233との受け渡し位置において、ホルダに挿入されたキャップ付き容器は、ホルダ挿入装置232から排出用コンベア233に受け渡される。
【0040】
次に、本発明の実施の形態において、薄肉容器の搬送装置の構造を説明する。図7を参照すると、搬送装置310は、前述の保形性がある口部112と、可撓性がある本体113とを有し、ねじ部114と、上方ネックリング115と、下方ネックリング116が、上下方向に互いに間隔を隔てて上方から順に口部112に配置されている薄肉容器101を搬送するための搬送装置である。搬送装置310は、受け渡し側に配置された受け渡し装置312と、受け取り側に配置された受け取り装置316とを備える。受け渡し装置312が、薄肉容器101の口部112における上方ネックリング115と下方ネックリング116との間の部分を把持するための受け渡し用グリッパ313を備える。受け取り装置316が、薄肉容器101の下方ネックリング116の下方の部分を把持するための受け取り用グリッパ317を備える。それぞれのグリッパは、任意の公知の構造を使用することができる。
【0041】
本発明の搬送装置における保持機構は、次の性能を備えるものであればよい。即ち、口部112における上方ネックリング115と下方ネックリング116との間の第1部分を保持するというのは、(あ)上方ネックリング115の下端面を支えるか、(い)両ネックリング115及び116の間にある口部112の筒状部分を挟むか、(う)上記の(あ)と(い)を合せて行うことを意味する。また、下方ネックリング116の下方に設けられた第2部分を保持するというのは、(か)下方ネックリング116の下端面を支えるか、(き)下方ネックリング116の下方にある口部112の筒状部分を挟むか、(く)上記の(か)と(き)を合せて行うことを意味する。
【0042】
なお、保持機構は、容器の受け渡しにおいて、少なくとも上記の部分で容器口部を保持すればよく、例えば、前述のように、キャップと上方の間に間隔が設けられたり、3段以上のネックリングが設けられる場合は、これらにより形成される間隔の部分をさらに保持して受け渡してもよい。また、例えば、受け渡し装置の保持機構が第1部分を保持し、受け取り装置の保持機構が第2部分を保持して受け渡しする際に、受け取り装置に備えられた補助的な保持機構が、受け渡し装置の保持機構が保持する以外の部分で第1部分を補助的に支え、一方、受け渡し装置に備えられた補助的な保持機構が、受け取り装置の保持機構が保持する以外の部分で第2部分を補助的に支えて受け渡してもよい。要するに、本発明では、容器口部に多段の段部が形成されるゆえに、これらに保持機構を多段で作用させて、姿勢安定に容器を受け渡すことができる。
【0043】
保持機構としては、前記の保持機能をする如何なるものも使用することができ、挟持式のグリッパや外周にネックリングを引掛ける通常半円形等の切欠を設けたホイール等、この種回転式容器搬送装置に用い得る保持機構を任意に採用できる。容器口部の多段の段部に対応したグリッパ、例えば、2段以上の段部を同時に水平方向や垂直方向に挟むことが可能なグリッパ等を採用することもできる。
【0044】
変形例として、図示しないけれども、受け渡し装置が、薄肉容器101の下方ネックリング116の下方の部分を把持するためのグリッパを備え、受け取り装置が、薄肉容器101の上方ネックリング115と下方ネックリング116との間の部分を把持するためのグリッパを備えるように構成することもできる。
【0045】
さらに、本発明の搬送装置においては、グリッパ313、317とともに作動することが可能であり、かつ、受け渡し装置312と受け取り装置316との間の受け渡し位置において、薄肉容器101の本体113の肩部113a、側面部113b、底面部113cのうちの少なくとも1箇所を支持する支持装置を含むように構成するのがよい。例えば、このような支持装置は、受け渡し位置において、薄肉容器101の本体113の側面部113bを支持するように受け渡し装置312に設けられた受け渡し側側面支持装置314で構成することができる。或いは、このような支持装置は、受け渡し位置において、薄肉容器101の本体113の側面部113bを支持するように受け取り装置316に設けられた受け取り側側面支持装置318で構成することができる。
【0046】
或いは、このような支持装置は、受け渡し位置において、薄肉容器101の本体113の底面部113cを支持するように受け取り装置316に設けられた受け取り側底面支持装置319で構成することができる。変形例として、図示しないけれども、このような支持装置は、受け渡し位置において、受け取り側底面支持装置で構成することができる。本発明の支持装置は、受け渡し装置312、受け取り装置316とは別個独立に構成することもできる。受け渡し側側面支持装置、受け取り側側面支持装置、受け渡し側底面支持装置、受け取り側底面支持装置は、それらのうちの少なくとも1つを設けるのがよい。この構成により、受け渡し装置312の受け渡し位置において、薄肉容器101の本体113を確実に支持して薄肉容器101を受け渡すことができる。これらの支持装置は、適宜組み合わせて設けることができる。本発明の支持装置の駆動は、公知の任意の方法で行うことができる。
【0047】
図8を参照すると、受け渡し側側面支持装置314は、第1保持アーム314aと、第2保持アーム314bとを含むように構成することができる。第1保持アーム314aに設けられた円弧状の保持部と、第2保持アーム314bに設けられた円弧状の保持部とによって、薄肉容器101の本体113の側面部113bを保持するように構成することができる。第1保持アーム314aと、第2保持アーム314bは、薄肉容器101を受け渡すときにカムによって開閉することができるように構成される。この構成により、薄肉容器101を受け渡すときに薄肉容器101を安定性よく保持することができる。このような構成は、受け取り側側面支持装置318にも適用することができる。
【0048】
変形例として、図9を参照すると、受け渡し側側面支持装置314は、単一の保持アーム314fを含むように構成することができる。保持アーム314fに設けられた円弧状の保持部によって、薄肉容器101の本体113の側面部113bを保持するように構成することができる。保持アーム314fの保持部は、薄肉容器101が遠心力で外方向に移動しないように保持することができる。保持アーム314fの保持部は、薄肉容器101の搬送の進行方向に開口部を設けるように構成される。この構成により、薄肉容器101のボトルピッチを狭くすることができ、薄肉容器101のリリースを安定性よく行うことができる。このような構成は、受け取り側側面支持装置318にも適用することができる。
【0049】
変形例として、図10から図12を参照すると、受け取り側側面支持装置322は、アーム322aと、アーム322aの先端部に設けられたバキュームバー322bとを含むように構成することができる。薄肉容器101の本体113の側面部113bを保持するための半円弧状のグリップ面322cが、バキュームバー322bに設けられる。1個又は複数の吸引口322dがグリップ面322cに設けられる。例えば、吸引口322dは、グリップ面322cに等間隔に5個設けられる。それぞれの吸引口322dは、吸引配管322fを介してバキューム源324(例えば、コンプレッサなど)に連結される。吸引配管322fの一部又は全部は、バキュームバー322bの中に設けることもできるし、或いは、バキュームバー322bに取付けるように設けることもできる。この構成によって、バキュームバー322bに設けられた円弧状のグリップ面322cによって、薄肉容器101の本体113の側面部113bを吸引して保持することができる。
【0050】
バキュームバー322bの保持部は、遠心力で薄肉容器101が外方向に移動する部分までを保持するように構成され、薄肉容器101の搬送の進行方向には保持部を設けないように構成するのがよい。この構成により、薄肉容器101のボトルピッチを狭くすることができ、薄肉容器101のリリースを安定性よく行うことができる。このような構成は、受け渡し側側面支持装置(図示せず)にも適用することができる。或いは、図示しないけれども、受け取り側側面支持装置322と、受け取り側側面支持装置322と同様に構成した受け渡し側側面支持装置の両方を同時に使用することもできる。この構成により、受け渡し位置において、薄肉容器101の本体113を確実に支持して薄肉容器101を受け渡すことができる。
【0051】
変形例として、図13および図14を参照すると、受け取り装置316が、薄肉容器101の下方ネックリング116の下方の部分を把持するための第1受け取り用グリッパ332aと、第2受け取り用グリッパ332bとを備える。薄肉容器101の本体113の肩部113aの形状に合うような湾曲形状を有する第1保持湾曲部334aが第1受け取り用グリッパ332aの先端部に設けられる。薄肉容器101の本体113の肩部113aの形状に合うような湾曲形状を有する第2保持湾曲部334bが第2受け取り用グリッパ332bの先端部に設けられる。第1受け取り用グリッパ332aと、第2受け取り用グリッパ332bは、薄肉容器101を受け渡すときにカムによって開閉することができるように構成される。第1保持湾曲部334a、第2保持湾曲部334bは、薄肉容器101が遠心力で外方向に移動しないように保持することができる。この構成により、薄肉容器101のボトルピッチを狭くすることができ、薄肉容器101のリリースを安定性よく行うことができる。このような構成は、受け渡し装置312にも適用することができる。
【0052】
変形例として、図15を参照すると、受け取り装置316は、保持アーム342と、保持アーム342の先端部に設けられた保持カップ344とを含むように構成することができる。保持カップ344に設けられたカップ状、又は、ハーフカップ状の保持部によって、薄肉容器101の本体113の底面部113cを保持するように構成することができる。保持カップ344は、薄肉容器101の底面部113cを支持するとともに、薄肉容器101が遠心力で外方向に移動しないように保持することができる。この構成により、薄肉容器101のボトルピッチを狭くすることができ、薄肉容器101のリリースを安定性よく行うことができる。このような構成は、受け渡し装置312にも適用することができる。
【0053】
或いは、図16、図17に示す本発明の実施の形態において、受け渡し位置において、薄肉容器101の本体113の底面部113cの一部を支持するように受け渡し装置312に設けられた受け渡し側底面支持装置352と、薄肉容器101の本体113の底面部113cの他の一部を支持するように受け取り装置316に設けられた受け取り側底面支持装置354とを含むように構成することができる。受け渡し側底面支持装置352は、保持アーム352aと、保持アーム352aの先端部に設けられた保持プレート352bとを含むように構成することができる。受け取り側底面支持装置354は、保持アーム354aと、保持アーム354aの先端部に設けられた保持プレート354bとを含むように構成することができる。保持プレート352b、保持プレート354bの保持面は、底面部113cの形状よりも大きくなるように形成される。変形例として、図18に示すように、保持プレート352b、保持プレート354bの保持面は、底面部113cの一部だけを保持するような形状に形成してもよい。このような支持装置は、受け渡し装置312、受け取り装置316とは別個独立に構成することもできる。このような支持装置は、公知の回転ホイール、ピストン・シリンダ装置、カム等を用いて作動させることができる。この構成により、受け渡し装置312の受け渡し位置において、薄肉容器101の本体113を確実に支持して薄肉容器101を受け渡すことができる。
【0054】
再び図4を参照すると、上述したように構成した受け渡し装置312、受け取り装置316、各種の支持装置は、供給用コンベア211と充填供給ホイール212との受け渡し位置、充填供給ホイール212とフィラー213との受け渡し位置、フィラー213と充填排出ホイール214の受け渡し位置、充填排出ホイール214とキャッパー222の受け渡し位置等において、キャップ160を取付けていない薄肉容器の搬送装置に適用することができる。
【0055】
本発明の受け渡し装置312、受け取り装置316は、キャップ160を取付けた薄肉容器のキャップ160の下方の部分を把持するように構成されているので、上述したように構成した受け渡し装置312、受け取り装置316、各種の支持装置は、キャッパー222とキャッパー排出ホイール224の受け渡し位置、キャッパー排出ホイール224とホルダ挿入装置232との受け渡し位置、ホルダ挿入装置232と排出用コンベア233との受け渡し位置等において、キャップ160を取付けた薄肉容器の搬送装置に適用することができる。
【0056】
本発明によれば、キャップ160を取付けた薄肉容器のキャップ160の下方の部分に、上方ネックリング115と下方ネックリング116との間の第1部分と、下方ネックリング116の下方の第2部分が確保される。従来キャップを取付け後の容器では、キャッピング装置のグリッパがネックリングの下方を把持していると、そこから掴みかえができなかった。この場合に、自立性のある容器では、そのままコンベアに載せかえて搬送することができたが、薄肉柔軟で自立し難い容器では、この手段が採用できなかった。本発明によれば、前記のように、薄肉容器のキャップ160の下方の部分に、第1部分と第2部分が確保されており、キャッピング装置のグリッパがその何れかの部分を把持していると、受取側の装置のグリッパで他の部分を把持して受取り、さらにこれより自立性を与えるためのホルダを装着する装置等に連続して搬送することが可能になる。特に、キャップ160を取付けた、即ち中身を充填した薄肉容器は、重量も増えるが、前記の受渡しにより、極めて安定にネック搬送ができるという利点がある。
【0057】
再び図5を参照すると、上述したように構成した受け渡し装置312、受け取り装置316、各種の支持装置は、供給用コンベア211と充填供給ホイール212との受け渡し位置、充填供給ホイール212とフィラー213との受け渡し位置、フィラー213と充填排出ホイール214との受け渡し位置、充填排出ホイール214とキャッパー216との受け渡し位置等において、キャップ160を取付けていない薄肉容器の搬送装置に適用することができる。
【0058】
本発明の受け渡し装置312、受け取り装置316は、キャップ160を取付けた薄肉容器のキャップ160の下方の部分を把持するように構成されているので、上述したように構成した受け渡し装置312、受け取り装置316、各種の支持装置は、キャッパー216とキャッパー排出ホイール226との受け渡し位置、キャッパー排出ホイール226と中間室ホイール227との受け渡し位置、中間室ホイール227とホルダ挿入室ホイール236との受け渡し位置、ホルダ挿入室ホイール236とホルダ挿入装置232との受け渡し位置等において、キャップ160を取付けた薄肉容器の搬送装置に適用することができる。
【0059】
再び図7を参照すると、本発明の薄肉容器の搬送方法では、受け渡し装置312の受け渡し位置において、キャップ160の下方であって上方ネックリング115と下方ネックリング116との間の口部112の部分を受け渡し装置312のグリッパ313により把持し、下方ネックリング116の下方の口部112の部分を受け取り装置316のグリッパ317により把持して、受け渡し装置312から受け取り装置316に薄肉容器101を受け渡すことができる。
【0060】
また、本発明の薄肉容器の搬送方法では、受け渡し位置において、下方ネックリング116の下方の口部112の部分を受け渡し装置312のグリッパ313により把持し、キャップ160の下方であって上方ネックリング115と下方ネックリング116との間の口部112の部分を受け取り装置316のグリッパ317により把持して、受け渡し装置312から受け取り装置316に薄肉容器101を受け渡すことができる。
【0061】
また、本発明の薄肉容器の搬送方法では、受け渡し位置において、薄肉容器101の本体113の肩部113a、側面部113b、底面部113cのうちの少なくとも1箇所を支持装置により支持している状態で薄肉容器101を受け渡すことができる。
【0062】
前述したように、本発明の薄肉容器の搬送方法は、薄肉容器にキャップを付けていない状態で搬送するための搬送方法に適用することもできるし、また、薄肉容器にキャップを付けた状態で薄肉容器を搬送するための搬送方法に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明により、ミネラルウォーターなどの飲料を内部に収容して供給することが可能な薄肉容器を安定に受け渡して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態において、容器の外形形状と、キャップの外形形状(一部は断面で示している)を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態において、容器の口部分および首部分の形状と、キャップの形状(外形形状を仮想線で示している)を示す部分断面図である。
【図3】本発明の実施形態において、容器の成形に用いられるプリフォームの断面形状を示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態において、液体入り容器製造装置の概略構成を示す上平面図である。
【図5】本発明の実施形態の他の構成において、液体入り容器製造装置の概略構成を示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態において、液体入り容器製造装置のホルダ供給装置の部分の概略構成を示す部分平面図である。
【図7】本発明の実施形態において、搬送装置および支持装置の部分の概略構成を示す側面図である。
【図8】本発明の実施形態において、支持装置の概略構成を示す平面図である。
【図9】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す平面図である。
【図10】本発明の実施形態において、搬送装置および支持装置の他の構成を示す側面図である。
【図11】本発明の実施形態において、支持装置の部分を示す側面図である。
【図12】本発明の実施形態において、支持装置の部分を示す正面図である。
【図13】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す側面図である。
【図14】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す上面図である。
【図15】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す側面図である。
【図16】本発明の実施形態において、搬送装置および支持装置の他の構成を示す側面図である。
【図17】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す側面図である。
【図18】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0065】
101 容器
111 開口部
112 口部
113 本体
114 ねじ部
115 上方ネックリング
116 下方ネックリング
117 巻き締めリング
119 プリフォーム
160 キャップ
200 充填システム
210 充填室
213 フィラー
220 キャッピング室
222 キャッパー
230 ホルダ挿入室
232 ホルダ挿入装置
310 搬送装置
312 受け渡し装置
313 受け渡し用グリッパ
314 受け渡し側側面支持装置
316 受け取り装置
317 受け取り用グリッパ
318 受け取り側側面支持装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保形性がある口部と、可撓性がある本体とを有する薄肉容器において、
薄肉容器を密封するためのキャップを取付けるためのねじ部と、前記ねじ部の下方に設けられ、かつ、前記口部にキャップを取付けたときに前記キャップより下方に位置するように設けられた上方ネックリングと、前記上方ネックリングより下方に位置するように設けられた下方ネックリングとが、上下方向に互いに間隔を隔てて前記口部に配置される、
ことを特徴とする薄肉容器。
【請求項2】
巻き締めリングが、前記ねじ部と前記上方ネックリングとの間において前記口部に設けられ、前記巻き締めリングは、前記口部にキャップを取付けたときに、前記キャップの内側に位置するように設けられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の薄肉容器。
【請求項3】
薄肉容器がブローボトルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の薄肉容器。
【請求項4】
薄肉容器とキャップを含むキャップ付き薄肉容器において、請求項1から3のいずれか1項に記載の薄肉容器と、前記薄肉容器のねじ部にねじ締め固定されるように構成されたキャップとを含むことを特徴とする、キャップ付き薄肉容器。
【請求項5】
請求項1に記載の薄肉容器をブロー成形加工により形成するためのプリフォーム。
【請求項6】
請求項1に記載の薄肉容器の搬送装置であって、前記上方ネックリングと前記下方ネックリングとの間に設けられた第1部分と、前記下方ネックリングの下方に設けられた第2部分とを有するような薄肉容器を搬送するための搬送装置であって、
受け渡し側に配置された受け渡し装置と、受け取り側に配置された受け取り装置とを備え、
前記受け渡し装置が、前記第1部分、前記第2部分のうちの一方を保持するための保持機構を備え、
前記受け取り装置が、前記第1部分、前記第2部分のうちの他方を保持するための保持機構を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項1に記載の薄肉容器の搬送装置であって、前記上方ネックリングと前記下方ネックリングとの間に設けられた第1部分と、前記下方ネックリングの下方に設けられた第2部分とを有するような薄肉容器にキャップを付けた状態で薄肉容器を搬送するための搬送装置であって、
受け渡し側に配置された受け渡し装置と、受け取り側に配置された受け取り装置とを備え、
前記受け渡し装置が、前記第1部分、前記第2部分のうちの一方を保持するための保持機構を備え、
前記受け取り装置が、前記第1部分、前記第2部分のうちの他方を保持するための保持機構を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
さらに、前記保持機構とともに作動することが可能であり、かつ、前記受け渡し装置と前記受け取り装置との間の受け渡し位置において、前記薄肉容器の本体の肩部、側面部、底面部のうちの少なくとも1箇所を支持する支持装置を含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の搬送装置。
【請求項9】
請求項1に記載の薄肉容器の搬送方法であって、前記上方ネックリングと前記下方ネックリングとの間に設けられた第1部分と、前記下方ネックリングの下方に設けられた第2部分とを有するような薄肉容器を搬送するための搬送方法であって、
受け渡し装置と受け取り装置との間の受け渡し位置において、前記第1部分、前記第2部分のうちの一方を受け渡し装置の保持機構により保持し、前記第1部分、前記第2部分のうちの他方を受け取り装置の保持機構により保持するようにして、前記薄肉容器の前記第1部分と前記第2部分とを持ちかえることによって、前記薄肉容器を受け渡すことを特徴とする搬送方法。
【請求項10】
請求項1に記載の薄肉容器の搬送方法であって、前記上方ネックリングと前記下方ネックリングとの間に設けられた第1部分と、前記下方ネックリングの下方に設けられた第2部分とを有するような薄肉容器にキャップを付けた状態で薄肉容器を搬送するための搬送方法であって、
受け渡し装置と受け取り装置との間の受け渡し位置において、前記第1部分、前記第2部分のうちの一方を受け渡し装置の保持機構により保持した状態において、前記第1部分、前記第2部分のうちの他方を受け取り装置の保持機構により保持するようにして、前記薄肉容器の前記第1部分と前記第2部分とを持ちかえることによって前記薄肉容器を受け渡すことを特徴とする搬送方法。
【請求項11】
前記受け渡し位置において、前記薄肉容器の本体の肩部、側面部、底面部のうちの少なくとも1箇所を支持している状態で前記薄肉容器を受け渡すことを特徴とする、請求項9又は10に記載の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−247412(P2008−247412A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89209(P2007−89209)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】