説明

薄膜太陽電池セルおよび薄膜太陽電池

【課題】光電変換効率に優れた薄膜太陽電池セルおよび薄膜太陽電池を得ること。
【解決手段】透光性絶縁基板2上に、透明導電膜からなる第1電極層3と、半導体膜からなり光電変換を行う光電変換層4a、4b、4cと、透明導電膜からなる第2電極層5と、光を反射する裏面反射層6と、光学的に透明な微粒子7と、前記微粒子7を覆う光学的に透明な絶縁層8と、がこの順で積層され、前記透光性絶縁基板2側から入射して前記裏面反射層6を透過した入射光が、前記微粒子7内に入射し、該微粒子7内で反射することにより前記裏面反射層6および前記第2電極層5を通過して前記光電変換層4に再入射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜太陽電池セルおよび薄膜太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光をエネルギー源とする太陽電池は、石油等の化石燃料や原子力に比べて地球環境に対する影響が少なく、代替エネルギー源として注目されている。太陽電池は、太陽光エネルギーを電力に変換する光電変換層に、PN接合を有する半導体を備えている。このpn接合を構成する半導体として、一般にシリコンが良く用いられている。PN接合を構成する半導体は、光電変換効率の観点では結晶シリコンの使用が好ましいが、近年、使用原料が少なく大面積化が有利なアモルファスシリコンや微結晶シリコンを光電変換層として用いた薄膜太陽電池が注目されている。しかし、薄膜太陽電池の光電変換効率は、結晶シリコン太陽電池に比べ低いことから、光電変換効率の改善のために様々な手法が提案されている。
【0003】
薄膜太陽電池は、一般に、ガラス基板、透明導電膜、薄膜光電変換層、裏面側透明導電膜および裏面反射膜が積層されている。そして、これらの各層および層間において光電変換効率の改善を図るために、様々な手法が考えられ、実行されている。その中の一つの手法として、薄膜光電変換層における入射光の光路長を長くすることが検討されている。
【0004】
例えば、薄膜光電変換層における入射光の光路長を長くする手段として透明導電膜の表面に凹凸形状(テクスチャー構造)を形成し、この透明導電膜の凹凸形状で入射光を散乱させる方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、他の方法として、裏面反射膜を設置し、薄膜光電変換層で吸収されなかった光を再び薄膜光電変換層に戻して入射光を有効に利用する方法があり、裏面側透明導電膜、裏面反射膜の界面に凹凸形状(テクスチャー構造)を形成し、薄膜光電変換層で吸収されなかった光をこの凹凸形状により散乱させることで薄膜光電変換層に戻す方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第3222945号公報
【特許文献2】特開2003−298083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術の凹凸形状(テクスチャー構造)の使用に関しては、凹凸形状、すなわち凹凸の角度や凹凸の大きさにより、散乱および反射しやすい波長領域がある。例えば短波長領域の光の散乱には大きな凹凸形状(テクスチャー構造)の使用が有効であり、長波長領域の光の散乱には小さな凹凸形状(テクスチャー構造)の使用が有効である。この結果、凹凸形状(テクスチャー構造)を用いた方法では、一様なテクスチャー構造では、ある特定の波長領域の光の散乱しか行うことができず、広い波長領域で光を散乱・反射させることは困難である、という問題があった。また、同様に、裏面反射膜においても反射率の低い波長領域があり、広い波長領域で光を反射させることができない、といった問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光電変換効率に優れた薄膜太陽電池セルおよび薄膜太陽電池を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる薄膜太陽電池セルは、透光性絶縁基板上に、透明導電膜からなる第1電極層と、半導体膜からなり光電変換を行う光電変換層と、透明導電膜からなる第2電極層と、光を反射する裏面反射層と、光学的に透明な微粒子と、前記微粒子を覆う光学的に透明な絶縁層と、がこの順で積層され、前記透光性絶縁基板側から入射して前記裏面反射層を透過した入射光が、前記微粒子内に入射し、該微粒子内で反射することにより前記裏面反射層および前記第2電極層を通過して前記光電変換層に再入射すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、透光性絶縁基板側から入射して裏面反射層を透過した入射光が微粒子内に入射し、該微粒子内で反射することにより裏面反射層および第2電極層を通過して光電変換層に再入射するため、薄膜太陽電池セルに入射する太陽光を有効に活用することができ、光電変換効率を高めることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる薄膜太陽電池セルおよび薄膜太陽電池の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
【0011】
実施の形態1.
図1−1は、本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池である薄膜太陽電池モジュール(以下、モジュールと呼ぶ)10の概略構成を示す平面図である。図1−2は、モジュール10を構成する薄膜太陽電池セル(以下、セルと呼ぶ場合がある)1の短手向における断面構造を説明するための図であり、図1−1の線分A−A’における要部断面図である。図1−3は、薄膜太陽電池セル1の構造の特徴を模式的に説明するための断面図である。
【0012】
図1−1および図1−2に示すように、実施の形態1にかかるモジュール10は、透光性絶縁基板2上に形成された短冊状(矩形状)のセル1を複数備え、これらのセル1が電気的に直列に接続された構造を有する。セル1は、図1−2に示すように透光性絶縁基板2、透光性絶縁基板2上に形成され第1電極層となる透明電極層3、透明電極層3上に形成される薄膜半導体層である光電変換層4、光電変換層4上に形成され第2電極層となる裏面電極層5、裏面電極層上に形成された裏面反射層6、裏面反射層6上に配置された光学的に透明な微粒子7、裏面反射層6上において微粒子7を覆う光学的に透明な絶縁層8、が順次積層された構造を有する。また、図1−2に示すように透光性絶縁基板2上には不純物の阻止層として、必要に応じて酸化珪素(以下単にSiOと記す)のアンダーコート層9が設けられる。
【0013】
透光性絶縁基板2上に形成された透明電極層3には、透光性絶縁基板2の短手方向と略平行な方向に延在するとともに透光性絶縁基板2に達するストライプ状の第1の溝D1が形成されている。この第1の溝D1の部分に光電変換層4が埋め込まれることで、透明電極層3が隣接するセル1に跨るようにセル毎に分離されて形成されている。
【0014】
また、第1の溝D1と隣接する箇所において、裏面電極層5が光電変換層4の断面側壁部に沿って透明電極層3まで形成されている。このように光電変換層4の断面側壁部に裏面電極層5が形成されることで、裏面電極層5が透明電極層3に接続される。そして、該透明電極層3が隣接するセル1に跨っているため、隣り合う2つのセル1の一方の裏面電極層5と他方の透明電極層3とが電気的に接続されている。
【0015】
また、光電変換層4には、透明電極層3に達するストライプ状の第2の溝D2が形成されている。さらに、裏面反射層6、裏面電極層5および光電変換層4は第1の溝D1および第2の溝D2とは異なる箇所で、透明電極層3に達するストライプ状の第3の溝(分離溝)D3が形成されて、各セル1が分離されている。このように、セル1の透明電極層3が、隣接するセル1の裏面電極層5と接続することによって、隣接するセル1が電気的に直列接続している。
【0016】
透光性絶縁基板2は、例えば透光性を有する絶縁基板が用いられる。このような透光性絶縁基板2には、通常は透過率の高い材質が用いられ、可視から近赤外領域までの吸収が小さいガラス基板などが使用される。
【0017】
透明電極層3は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化スズ(SnO)および酸化ジルコニウム(ZrO)などの結晶性金属酸化物を主成分とする透明導電性酸化膜や、これらの透明導電性酸化膜にアルミニウム(Al)を添加した膜などの透光性の膜によって構成される。また、透明電極層3は、ドーパントとしてアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)から選択した少なくとも1種類以上の元素を用いたZnO膜、ITO膜、SnO膜、またはこれらを積層して形成した透明導電膜であってもよく、光透過性を有している透明導電膜であればよい。また、透明電極層3は、結晶金属酸化物の結晶成長の条件により表面に凹凸3aが形成された表面テクスチャー構造を有する。このテクスチャー構造は、入射した太陽光を散乱させ、光電変換層4での光利用効率を高める機能を有する。透明電極層3は、例えばスパッタ法、CVD法やスプレー法など公知の手段によって形成される。
【0018】
光電変換層4は、PN接合またはPIN接合を有し、入射する光により発電を行う薄膜半導体層が1層以上積層されて構成される。光電変換層4は、図1−3に示すように透明電極層3側から第1導電型半導体層であるp型非晶質半導体層4a、第2導電型半導体層であるi型非晶質半導体層4b、第3導電型半導体層であるn型非晶質半導体層4cを備えている。このような光電変換層4としては、例えば透明電極層3側から第1導電型半導体層であるp型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層、第2導電型半導体層であるi型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層、第3導電型半導体層であるn型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層が積層された積層膜が形成される。なお、他の光電変換層4としては、例えば透明電極層3側から第1導電型半導体層であるp型の水素化アモルファス炭化シリコン(a−SiC:H)層、第2導電型半導体層であるi型の水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)層、第3導電型半導体層であるn型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層が積層された積層膜が挙げられる。
【0019】
また光電変換層4は、第1導電型半導体層であるp型の水素化アモルファス炭化シリコン(a−SiC:H)層、第2導電型半導体層であるi型の水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)層、第3導電型半導体層であるn型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層、第1導電型半導体層であるp型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層、第2導電型半導体層であるi型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層、第3導電型半導体層であるn型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層からなる二段のPIN接合の構成としてもよい。また、タンデム構造の場合は、第1導電型半導体層、第2導電型半導体層、第3導電型半導体層が積層された単位光電変換層が2層以上積層されたタンデム構造としても良い。また、上記の二段のPIN接合のように複数の薄膜半導体層が積層されて光電変換層4が構成される場合には、それぞれのPIN接合間に酸化微結晶シリコン(μc−SiO)やアルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)などの中間層を挿入して、PIN接合間の電気的、光学的接続を改善してもよい。以上のような光電変換層4は、プラズマCVDなどの公知の手段により薄膜形成される。
【0020】
裏面電極層5は、透明電極層3と同様に酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化スズ(SnO)および酸化ジルコニウム(ZrO)などの結晶性金属酸化物を主成分とする透明導電性酸化膜や、これらの透明導電性酸化膜にアルミニウム(Al)を添加した膜などの透光性の膜によって構成される。裏面電極層5は、例えばスパッタ法、CVD法やスプレー法など公知の手段によって形成される。また裏面電極層5の表面は、ブラスト法やウェットエッチング法などによる粗面化処理によって凹凸5aが形成された表面テクスチャー構造を有する。
【0021】
裏面反射層6は、太陽電池の電極の取り出しの容易さから導電膜が好ましく、例えば銀(Ag)やアルミニウム(Al)などの金属薄膜がスパッタリング法により形成される。またこれらを積層して形成してもよい。波長650nmにおける垂直入射時のアルミニウム(Al)の反射率は90%であるのに対して、銀(Ag)の反射率は98%である。可視光領域から近赤外領域にかけてアルミニウム(Al)より銀(Ag)の反射率の方が高いことから、裏面反射層6として銀が用いられることが多い。また、裏面反射層6は、裏面電極層5の凹凸形状に対応した凹凸形状に形成されている。
【0022】
微粒子7は、光学的に透明な材料からなり、電気的に絶縁性を有する材料であることが好ましい。このような微粒子7としては、例えばシリカなどの微粒子を用いることができる。また、微粒子7は、セラミックなどの絶縁性の微粒子を用いても良い。微粒子7は、略均一な平均粒径を有し、その平均粒径は、裏面電極層5の表面のテクスチャー構造(凹凸5a)により生じる裏面反射層6の凹凸形状の平均的な大きさ、すなわち、裏面反射層6の表面ラフネス(表面粗さ)以下とされる。これにより、凹凸形状の凹部に微粒子7が配置される。
【0023】
絶縁層8は、微粒子7を裏面反射層6上に固定するものであり、裏面反射層6上において微粒子7を覆う。また、絶縁層8は裏面反射層6と微粒子7との間にも入り込むため、光を微粒子7に透過させるために光学的に透明な材料からなる。また、絶縁層8は、電気的に絶縁性を有する材料であることが好ましい。このような絶縁層8としては、酸化膜や窒化膜など絶縁膜や、絶縁性の樹脂を用いることができる。
【0024】
ここで、このような実施の形態1にかかるモジュール10の動作の概略について説明する。透光性絶縁基板2の裏面(セル1が形成されていない方の面)から太陽光が入射すると、光電変換層4で自由キャリアが生成され、電流が発生する。各セル1で発生した電流は透明電極層3と裏面電極層5とを介して隣接するセル1に流れ込み、モジュール10全体の発電電流を生成する。
【0025】
以上のように構成された実施の形態1にかかるモジュール10においては、図2に示すように裏面反射層6を透過した入射光L1が微粒子7内に入射し、該入射光L1が微粒子7内で反射されることにより、反射光L2が裏面反射層6および裏面電極層5を通過して光電変換層4へ再入射する。図2は、微粒子7内における入射光L1の反射を説明するための模式図である。裏面反射層6としては、銀(Ag)が良く用いられる。銀(Ag)は、可視光領域から近赤外領域にかけて非常に高い光反射率を有するが、波長400nm以下の波長領域では光反射率が急激に減少する。しかしながら、実施の形態1にかかるモジュール10のセル1においては、裏面反射層6がこのような反射率の特性を有する場合であっても微粒子7による光反射が幾何学的に決まるため、全波長領域にわたって光反射することができる。この結果、セル1に入射する太陽光を有効に活用することができ、光電変換効率を高めることができる。
【0026】
裏面反射層6の凹凸の角度の急な箇所での裏面反射層6の厚さは、平坦な箇所より薄くなることがある。すなわち、裏面反射層6は常に同じ厚さで薄膜形成されておらず、局所的に薄い部分が生じる。裏面反射層6として用いられるアルミニウム(Al)や銀(Ag)は、垂直入射において、膜厚が厚い場合の可視光領域での反射率は90%程度あるが、アルミニウム(Al)箔では20%〜30%程度の光反射率しか無く、裏面反射層6での損失が無ければ、70%〜80%の可視光が裏面へ抜ける。このように裏面反射層6の薄い部分では、厚い部分に比べ、裏面反射層6を透過する光が多くなる。したがって、裏面反射層6を備えた裏面反射構造においても、微粒子7を裏面反射層6上に配置することにより、裏面反射層6を透過した透過光を光電変換層4へ戻すことが可能になる。
【0027】
また、微粒子およびその固定材料として絶縁体を用いることで、モジュール10の全体が絶縁層により覆われることになる。光電変換層4としてアモルファスシリコンなどを用いるモジュール10の場合は、隣接するセル1間を分離する第3の溝(分離溝)D3内の空間または表面を絶縁層で被覆するため、隣接セル間での短絡の発生を低減させることができ、また、隣接するセル1間の耐圧性を高めることができる。
【0028】
つぎに、上記のように構成された実施の形態1にかかるモジュール10の製造方法について説明する。図3−1〜図3−9は、実施の形態1にかかるモジュール10の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【0029】
まず、透光性絶縁基板2を用意する。ここでは、透光性絶縁基板2として平板状の白板ガラスを用いる。この透光性絶縁基板2の一面側にスパッタリング法などによりアンダーコート層9としてSiO膜を成膜する。ついで、該アンダーコート層9上に透明電極層3になる透明導電膜11としてZnO膜をスパッタリング法により形成する(図3−1)。また、透明導電膜11を構成する材料として、ZnO膜の他にITO、SnO、ZrOなどの結晶性金属酸化物を主成分とする透明導電性酸化膜や、導電率向上のためにこれらの透明導電性酸化膜にAlなどの金属を添加した膜を用いることができる。また、成膜方法として、CVD法などの他の成膜方法を用いてもよい。
【0030】
その後、希塩酸で透明導電膜11の表面をエッチングして粗面化し、透明導電膜11の表面に小さな凹凸3aを形成する(図3−2)。ただし、SnO、ZnO等の透明導電膜11をCVD法により形成した場合には自己組織的に透明導電膜11の表面に凹凸が形成されるため、希塩酸を用いたエッチングによる凹凸の形成は必要ない。
【0031】
次に、透明電極層3の一部を透光性絶縁基板2の短手方向と略平行な方向のストライプ状に切断・除去して、透明電極層3を短冊状にパターニングし、複数の透明電極層3に分離する(図3−3)。透明電極層3のパターニングは、レーザスクライブ法により、透光性絶縁基板2の短手方向と略平行な方向に延在して透光性絶縁基板2に達するストライプ状の第1の溝D1を形成することで行う。なお、このように透光性絶縁基板2上に基板面内で互いに分離された複数の透明電極層3を得るには、写真製版などで形成したレジストマスクを用いてエッチングする方法や、メタルマスクを用いた蒸着法などの方法でも可能である。
【0032】
次に、第1の溝D1を含む透明電極層3上に光電変換層4をプラズマCVD法により形成する。本実施の形態では、光電変換層4として、透明電極層3側からp型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層、i型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層、n型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層を順次積層形成する(図3−4)。
【0033】
次に、このようにして積層形成された光電変換層4に、透明電極層3と同様にレーザスクライブによってパターニングを施す(図3−5)。すなわち、光電変換層4の一部を透光性絶縁基板2の短手方向と略平行な方向のストライプ状に切断・除去して、光電変換層4を短冊状にパターニングし、分離する。光電変換層4のパターニングは、レーザスクライブ法により、第1の溝D1と異なる箇所に、透光性絶縁基板2の短手方向と略平行な方向に延在して透明電極層3に達するストライプ状の溝D2を形成することで行う。溝D2の形成後、D2内に付着している飛散物を高圧水洗浄、メガソニック洗浄、あるいはブラシ洗浄により除去する。
【0034】
次に、光電変換層4上および溝D2内にZnO膜からなる裏面電極層5を例えばスパッタリング法により形成する。また、裏面電極層5の成膜方法として、CVD法やスプレー法などの他の成膜方法を用いてもよい。そして、裏面電極層5の表面に対してブラスト法やウェットエッチング法などによる粗面化処理を行い、凹凸5aが形成された表面テクスチャー構造を裏面電極層5の表面に形成する。
【0035】
次に、裏面反射層6として、裏面電極層5上に例えば銀(Ag)膜をスパッタリング法により形成する(図3−6)。裏面反射層の形成時に用いるスパッタリング法は、他の方法に比べて、下地に凹凸形状がある場合にある程度その凹凸形状を反映して薄膜を形成することができる。また、裏面反射層6の成膜方法として、CVD法などの他の成膜方法を用いてもよい。
【0036】
裏面反射層6の形成後、光電変換層4、裏面反射層6および裏面電極層5の一部を透光性絶縁基板2の短手方向と略平行な方向のストライプ状に切断・除去して溝D1および溝D2とは異なる箇所に透明電極層3に達するストライプ状の溝D3を形成し、短冊状にパターニングして複数のセル1に分離する(図3−7)。
【0037】
次に、透明電極層3および裏面電極層5に図示しない引き出し線を付けた後に、裏面反射層6上に微粒子7をスプレー法やゾルゲル法を用いて配置し、さらに絶縁層8を形成する(図3−8、図3−9)。微粒子7をスプレー法により配置する場合は、微粒子7を配置した後に酸化膜や窒化膜などの光学的に透明な材料からなる絶縁層8を裏面反射層6上に微粒子7を覆って形成し、微粒子7を裏面反射層6上に固定する。絶縁層8は、裏面反射層6と微粒子7との間にも入り込む。なお、微粒子7を含む絶縁性の樹脂を裏面反射層6上に塗布して固めることにより、微粒子7の配置と絶縁層8の形成を同時に行っても良い。また、ゾルゲル法を用いて微粒子7を配置する場合は、微粒子7を含む溶液を塗布し、そのまま絶縁性のバインダーにより固定する。
【0038】
ここで、微粒子7の平均粒径は、裏面電極層5の表面の凹凸形状により生じる裏面反射層6の凹凸形状の平均的な大きさ、すなわち、裏面反射層の表面ラフネス(表面粗さ)以下とする。これにより、裏面反射層6の凹凸形状の凹部に微粒子7を配置することができる。なお、実施の形態1では裏面電極層5の表面に凹凸形状を有する場合について説明しているが、粗面化処理で裏面電極層5の表面に凹凸形状を形成しなくても、透光性絶縁基板2上に形成した透明電極層3の表面の凹凸形状が裏面電極層5の表面形状に反映されることがある。このような場合であっても、裏面電極層5の表面ラフネス(表面粗さ)に応じて微粒子7の平均粒径を選択すればよい。
【0039】
以上により、図1−1〜図1−3に示すようなセル1を有する実施の形態1にかかるモジュール10が完成する。なお、上記においては、第3の溝(分離溝)D3の形成後に微粒子7の配置および絶縁層8の形成を行う場合について説明したが、微粒子7の配置および絶縁層8の形成後に第3の溝(分離溝)D3の形成を行っても良い。また、上記においては、第1の溝D1と隣接する箇所において、裏面電極層5および裏面反射層6が光電変換層4の側壁部に沿って形成された場合について説明したが、裏面電極層5が第3の溝(分離溝)D3内に埋設されて透明電極層3に接続された構造としても良い。
【0040】
上述したように、実施の形態1にかかるモジュール10においては、裏面反射層6を透過した入射光L1が微粒子7内に入射し、該入射光L1が微粒子7内で全波長領域にわたって反射されることにより、反射光L2が裏面反射層6および裏面電極層5を通過して光電変換層4へ再入射する。これにより、セル1に入射する太陽光を有効に活用することができ、光電変換効率を高めることができる。したがって、実施の形態1にかかるモジュール10によれば、高い光電変換効率が得られる高品質の薄膜太陽電池が実現されている。
【0041】
なお、上記においては、裏面反射層6に凹凸形状が形成された裏面反射構造のモジュール10について説明したが、微粒子7を配置することによる効果は裏面反射構造を用いないモジュール10の場合でも、十分に得ることができる。
【0042】
また、上記においては、シリコン系の光電変換層を有するモジュール10を例に説明したが、有機薄膜太陽電池やその他の太陽電池でも上記と同様に微粒子7を配置することによる効果を得ることができる。
【0043】
なお、上記においては、図1−3に示すように透明電極層3および裏面電極層5をテクスチャー構造としているが、これらは必ずしもテクスチャー構造とする必要はない。透明電極層3をテクスチャー構造とするメリットとしては、上述したように入射光を散乱させることが挙げられるが、その一方でデメリットも存在する。
【0044】
一般にアモルファスシリコン(a−Si:H)に比べて、微結晶シリコン(uc−Si:H)の膜特性はテクスチャーの凹凸形状の影響を受けやすい特徴がある。微結晶シリコンは結晶性シリコンの周りをアモルファスシリコンが覆っているような構造を有し、その結晶性や配向性が太陽電池用の膜特性にとって重要となる。通常、微結晶シリコン膜の配向性はX線回折(XRD:X-ray diffraction)で測定され、(220)が主であることが求められている。
【0045】
したがって、微結晶シリコンを薄膜形成すると、テクスチャーの凹凸形状の面に沿って膜が形成されていくので、同条件で薄膜形成してもテクスチャーの面の角度によって配向性が変わる。特に微結晶シリコンでは2μm程度の膜厚が要求されているので、例えばテクスチャー凹部の左の上面から成長した微結晶シリコンは、図4に示すように凹部の右の上面から成長してきた微結晶シリコンと凹部の中央部で衝突し、結晶性の乱れが生じる。図4は、微結晶シリコンの成長の様子を模式的に示す図であり、微結晶シリコンの成長の向きを模式的に表している。
【0046】
このため、使用するテクスチャーの凹凸によって微結晶シリコンの成膜条件を調整する必要がある。ここでは、分かりやすいように微結晶シリコンを例にして説明したが、アモルファスシリコンの成膜の場合においても同様なことが言える。アモルファスシリコンの場合は、均一に、さらに、微結晶シリコンに比べて薄い膜が形成されるが、凹部の中央にて成長した膜同士の衝突が起こる。その結果、非晶質であっても、衝突した部分で膜中の欠陥が生じ、それが膜特性の悪化を招く。
【0047】
このように、透明電極層3のテクスチャー構造の導入はテクスチャーによる光の散乱の効果とテクスチャーの凹凸上で成膜した膜特性の損得を比較した上で決める必要がある。特許文献1の場合、裏面反射層に微粒子を入れ、テクスチャー構造の凹凸形状を形成している。このため、必ず上述の結晶性の問題が生じてしまい、発電層を形成するための条件を調整する必要がある。
【0048】
しかし、本発明においては、透明電極層3にテクスチャー構造があってもなくても構わない。すなわち、図5に示すように透明電極層3にテクスチャー構造を使わなければ、テクスチャー構造による膜構造の乱れ・欠陥を防止することができる。図5は、実施の形態1にかかる他の薄膜太陽電池セル1の構造の特徴を説明するための模式図である。また、透光性絶縁基板2側の透明電極層3をフラットな膜にしているので、テクスチャー構造の透明電極層3に比べて薄い膜で所望の抵抗値を有する透明電極層3を得ることができる。そして、透明電極層3の厚さが薄いので、透明電極層3を透過する光も増え、光電変換層4に多くの光を導入することが可能になる。
【0049】
また、図6は、実施の形態1にかかる他の薄膜太陽電池セル1の構造の特徴を説明するための模式図である。図6に示すように透明電極層3をフラットな膜にするとともに裏面反射層6もフラットな膜とした場合は、上述したように所望の抵抗値を有する透明電極層3を薄く形成できるメリットと光電変換層4の膜形成におけるメリットの他に、次のメリットが加わる。すなわち、裏面反射層6をフラットな膜とすることにより、裏面電極層5も所望な抵抗値とするために、テクスチャー構造の裏面電極層6より薄い膜で実現することができる。さらにテクスチャー構造を形成するための工程が不要となる。これらのことより、製造工程における時間短縮を図ることができる。また、裏面反射層6がフラットなため、微粒子7を均一に配置すること(微粒子を含む樹脂等を塗布すること)ができる。微粒子7の配置に局所的なムラが生じると、その部分での特性が他の部分の特性を劣化させる。しかしながら、図6に示すような構成とすることにより、上述した局所的なムラを防ぐことができる。
【0050】
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2にかかる薄膜太陽電池モジュール20を構成するセル21の構造の特徴を模式的に説明するための断面図である。なお、モジュール20の基本構造は実施の形態1におけるモジュール10と同じである。また、図7において、実施の形態1におけるモジュール10と同じ部材については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0051】
実施の形態2にかかるモジュール20は、実施の形態1にかかるセル1において略均一な平均粒径を有する微粒子7の代わりに、図7に示すように異なる平均粒径(平均粒径A、B(A<B))を有する2種類の微粒子7a、7bが裏面反射層6上に配置された構造を有する。その場合、小さい平均粒径Aを有する微粒子7aを裏面反射層6上に配置した後、微粒子7aより大きい平均粒径Bを有する微粒子7bを配置し、絶縁層8により固定する。絶縁層8による固定は、各微粒子7a、7bの配置ごとに行っても良い。
【0052】
以上のように構成された実施の形態2にかかるモジュール20においては、裏面反射層6を透過した入射光L1が微粒子7a、7b内に入射し、該入射光L1が微粒子7a、7b内で全波長領域にわたって反射されることにより、反射光L2が裏面反射層6および裏面電極層5を通過して光電変換層4へ再入射する。これにより、セル21に入射する太陽光を有効に活用することができ、光電変換効率を高めることができる。
【0053】
また、裏面反射層6の表面の小さな凹部内に平均粒径の小さい微粒子7aを配置し、その上から平均粒径の大きい微粒子7bを配置するため、裏面反射層6への微粒子7a、7bの被覆率を高くすることができる。これにより、裏面反射層6を透過した透過光をより多く光電変換層4へ戻すことができる。
【0054】
したがって、実施の形態2にかかるモジュール20によれば、高い光電変換効率が得られる高品質の薄膜太陽電池が実現されている。
【0055】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3にかかる薄膜太陽電池モジュール30の概略構成を示す平面図であり、実施の形態1にかかるモジュール10において、レーザーによるスクライブラインである第3の溝(分離溝)D3を透光部としたシースルー型の薄膜太陽電池である。
【0056】
モジュール30は、セル1を複数有し、第3の溝(分離溝)D3において透光性絶縁基板2側から絶縁層8側に透過する光量が多くなるように、第3の溝(分離溝)D3の横幅(セル1の短手向における幅)がモジュール10よりも広く設けられている。また、隣接するセル1間および微粒子7上には、電気的に絶縁性を有する材料からなる微粒子7が含有された絶縁層8aが設けられている。モジュール30では、光が透過する透光部は、光学的に透明な絶縁層、例えば樹脂で埋められ、樹脂の中に誘電体の微粒子7が含有されている。これにより、モジュール30の裏面側の景色等を透光性絶縁基板2側から視認することが可能となる。例えばモジュール30を窓等に用いることにより、太陽電池としての機能と窓としての機能を両立可能である。
【0057】
また、モジュール30の透光部では、透光性絶縁基板2側から入射した光が絶縁層8aに含まれる微粒子7により散乱・反射され、光電変換層4の側壁部から光電変換層4へ入射する。また、透光部で微粒子7により散乱・反射された光は、光電変換層4の側壁部に形成された裏面電極層5および裏面反射層6を通過して、光電変換層4の側壁部から光電変換層4へ入射する。これにより、裏面反射層6を透過した透過光をより多く光電変換層4へ戻すことができ、セル1に入射する太陽光をより有効に活用することができる。
【0058】
また、第3の溝(分離溝)D3の本数や幅により、透光部の面積を任意に選択することができる。ただし、一つのセル1から生成できる電圧はある一定値であるので、例えば、図8において左から右へ直列にセル1を接続する場合は、レーザーによるスクライブラインである第3の溝(分離溝)D3の本数を大きく変更することは難しい。このため、光が透過する第3の溝(分離溝)D3の面積は主にレーザーによるスクラブラインの横幅(セル1の短手向における幅)に依存することになる。しかし、モジュール30の透光部では、透光性絶縁基板2側から入射した光が絶縁層8aに含まれる微粒子7により、散乱・反射される。そして、絶縁層8aに含まれる微粒子7の濃度(量)を変えることにより、光の反射量を変えることができ、透光部における光の透過率を変えることができる。これは、レーザーによるスクライブラインの横幅(セル1の短手向における幅)幅を変えたことと同じ効果がある。
【0059】
以上のように構成された実施の形態3にかかるモジュール30においては、裏面反射層6を透過した入射光L1が微粒子7内に入射し、該入射光L1が微粒子7内で全波長領域にわたって反射されることにより、反射光L2が裏面反射層6および裏面電極層5を通過して光電変換層4へ再入射する。これにより、裏面反射層6を透過した透過光をより多く光電変換層4へ戻すことができ、セル1に入射する太陽光を有効に活用することができ、光電変換効率を高めることができる。したがって、実施の形態3にかかるモジュール30によれば、高い光電変換効率が得られる高品質の薄膜太陽電池が実現されている。
【0060】
また、実施の形態3にかかるモジュール30においては、絶縁層8aに含まれる微粒子7の濃度(量)を変えることにより、光の反射量を変えることができ、透光部における光の透過率を変えることができる。これにより、モジュール30を介した視認性を容易に調整することができる。
【0061】
なお、上記においてはレーザーによるスクライブラインである第3の溝(分離溝)D3を透光部としたシースルー型の薄膜太陽電池の例を示したが、レーザーまたはプラズマエッチングなどによりセルの光電変換層4の一部を除去したシースルー型の薄膜太陽電池においても、上記と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかる薄膜太陽電池セルは、入射光の効率的な利用に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1−1】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池モジュールの概略構成を示す平面図である。
【図1−2】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池セルの短手向における断面構造を説明するための図である。
【図1−3】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池セルの特徴を模式的に説明するための断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池セルの微粒子内における入射光の反射を説明するための模式図である。
【図3−1】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池モジュールの製造工程の一例を説明するための断面図である。
【図3−2】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池モジュールの製造工程の一例を説明するための断面図である。
【図3−3】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池モジュールの製造工程の一例を説明するための断面図である。
【図3−4】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池モジュールの製造工程の一例を説明するための断面図である。
【図3−5】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池モジュールの製造工程の一例を説明するための断面図である。
【図3−6】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池モジュールの製造工程の一例を説明するための断面図である。
【図3−7】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池モジュールの製造工程の一例を説明するための断面図である。
【図3−8】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池モジュールの製造工程の一例を説明するための断面図である。
【図3−9】本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池モジュールの製造工程の一例を説明するための断面図である。
【図4】微結晶シリコンの成長の様子を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる他の薄膜太陽電池セルの構造の特徴を説明するための模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1にかかる他の薄膜太陽電池セルの構造の特徴を説明するための模式図である。
【図7】本発明の実施の形態2にかかる薄膜太陽電池セルの特徴を模式的に説明するための断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3にかかる薄膜太陽電池セルの短手向における断面構造を説明するための図である。
【符号の説明】
【0064】
1 薄膜太陽電池セル(セル)
2 透光性絶縁基板
3 透明電極層
3a 凹凸
4 光電変換層
4a p型非晶質半導体層
4b i型非晶質半導体層
4c n型非晶質半導体層
5 裏面電極層
5a 凹凸
6 裏面反射層
7 微粒子
7a 微粒子
7b 微粒子
8 絶縁層
8a 微粒子を含む絶縁層
9 アンダーコート層
10 薄膜太陽電池モジュール(モジュール)
11 透明導電膜
20 薄膜太陽電池モジュール(モジュール)
21 薄膜太陽電池セル(セル)
30 薄膜太陽電池モジュール(モジュール)
D1 第1の溝
D2 第2の溝
D3 第3の溝(分離溝)
L1 入射光
L2 反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性絶縁基板上に、透明導電膜からなる第1電極層と、半導体膜からなり光電変換を行う光電変換層と、透明導電膜からなる第2電極層と、光を反射する裏面反射層と、光学的に透明な微粒子と、前記微粒子を覆う光学的に透明な絶縁層と、がこの順で積層され、
前記透光性絶縁基板側から入射して前記裏面反射層を透過した入射光が、前記微粒子内に入射し、該微粒子内で反射することにより前記裏面反射層および前記第2電極層を通過して前記光電変換層に再入射すること、
を特徴とする薄膜太陽電池セル。
【請求項2】
前記裏面反射層の表面に凹凸形状を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池セル。
【請求項3】
前記微粒子の平均粒径が前記裏面反射層の表面の表面粗さの平均値以下であり、前記微粒が前記裏面反射層の凹凸形状の凹部に配置されていること、
を特徴とする請求項2に記載の薄膜太陽電池セル。
【請求項4】
前記微粒子として平均粒径の異なる複数の種類の微粒子を有し、前記裏面反射層側から前記絶縁層側に向かって平均粒径の小さい順に配置されていること、
を特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池セル。
【請求項5】
請求項1から請求項4にかかる太陽電池セルが複数配設されるとともに、隣接する前記太陽電池セル同士が電気的に直列接続された薄膜太陽電池であって、
前記微粒子が、絶縁体からなり、
前記隣接する太陽電池セル間が、前記裏面反射層の表面から前記第1電極層の表面に至って設けられた溝部に前記微粒子を含んだ絶縁層が充填されることにより電気的に絶縁されていること、
を特徴とする薄膜太陽電池。
【請求項6】
前記溝部の側壁に前記裏面反射層および裏面反射層が形成されていること、
を特徴とする請求項5に記載の薄膜太陽電池。

【図1−1】
image rotate

【図1−2】
image rotate

【図1−3】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3−1】
image rotate

【図3−2】
image rotate

【図3−3】
image rotate

【図3−4】
image rotate

【図3−5】
image rotate

【図3−6】
image rotate

【図3−7】
image rotate

【図3−8】
image rotate

【図3−9】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−141192(P2010−141192A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317131(P2008−317131)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】