説明

薄膜形成用蒸着装置

【課題】本発明は薄膜形成用蒸着装置に関する。
【解決手段】本発明は、基板上に蒸着される原料物質が固体又は液体状態で収容される原料容器と、前記原料容器の上方に前記原料容器と連通されるように結合され、前記原料容器から気化した原料物質が通過する気化チャンバーと、前記気化チャンバーの上部に形成され、前記気化チャンバーを通過した気化した原料物質を上側に噴射する噴射口と、前記気化チャンバーの内部又は前記原料容器の内部で前記原料物質の上方に設けられ、前記原料容器に収容された原料物質を気化させるために前記原料物質に熱を供給する第1のヒーターと、前記気化チャンバーの内部で前記第1のヒーターの上方に配置され、前記第1のヒーターにより前記原料物質に熱が供給される間、前記原料容器に収容された原料物質又は不純物が飛散して前記噴射口に付着するのを遮断する遮断板と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜形成用蒸着装置に関し、特に、有機物質を気化させて基板上に薄膜形態で蒸着させることができる薄膜形成用蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、自己発光特性を有する次世代表示装置として、液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device;LCD)に比べ視野角、コントラスト(contrast)、応答速度、消費電力などの面で優れた特性を有する。
【0003】
有機発光表示装置は、走査線(scan line)とデータ線(data line)との間にマトリックス状に接続されて画素を構成する有機発光素子を含む。有機発光素子は、アノード(anode)電極およびカソード(cathode)電極と、アノード電極およびカソード電極の間に形成され、正孔輸送層、有機発光層および電子輸送層を含む有機薄膜層とで構成され、アノード電極とカソード電極とに所定の電圧が印加されると、アノード電極を通じて注入される正孔とカソード電極を通じて注入される電子とが、発光層で再結合することになり、この過程で発生するエネルギーの差によって光を放出する。
【0004】
有機発光表示装置を製造するための有機薄膜層の蒸着工程で用いられる有機材料は、無機材料とは異なり、高い蒸気圧が不要であり、高温での分解および変性が容易である。このような素材の特性により、従来の有機薄膜は、タングステン材質の原料容器に有機材料を充填し、原料容器の加熱によって有機材料を気化させ、これを基板上に蒸着させた。
【0005】
図1は従来の薄膜形成用蒸着装置の一例を示す図である。
【0006】
図1を参照すると、従来の薄膜形成用蒸着装置は、垂直に支持される基板10に原料物質を蒸着させて構成し、円筒形のパイプ状に形成され、その内部は、下方に原料物質が充填される貯留空間21と、上方に原料物質が気化する気化空間22とに分けられる原料容器20と、原料容器20の原料物質を加熱するためのヒーター30と、貯留空間21に充填された原料物質の変性を防止するために原料物質を冷却するための冷却部40とを含む。
【0007】
また、従来の薄膜形成用蒸着装置は、原料物質を押し上げるシリンダヘッド51と、シリンダヘッド51を移送させる移送ユニット50と、気化した原料物質をインジェクタ70に誘導する連結管60と、気化した原料物質を水平方向に噴射する噴射口71とを含む。
【0008】
ところが、原料容器内に貯留可能な蒸着原料の量が限定されるので、蒸着原料の充填が頻繁となり、そのため、毎回薄膜形成用蒸着装置の稼働を停止しなければならないという問題点があった。
【0009】
一方、原料物質を上方に噴射する方法も提示されているが、噴射口に原料物質が付着して噴射口が詰まることになり、原料物質が基板側に噴射されず、生産製品が不良になるという問題があった。この場合、生産を中断して原料物質が蓄積している噴射口を新品に交替したり掃除した後生産作業を再開しなければならなかった。したがって生産中断による生産量の減少が必然的に発生するという問題点がある。
【0010】
なお、蒸発される物質が噴射口や内部部品や動作中の機構に蓄積して部品や機構の性能に影響を与えるのみでなく、さらには部品や機構が損傷する恐れがある。特に原料物質の使用量が多いほどこのような現象は頻繁に起こるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、このような従来の問題点を解決するためのものであり、気化チャンバーの内部に原料容器から飛散する原料物質又は不純物が噴射口に付着するのを遮断できる遮断板を設け、原料物質が安定且つ持続的に気化されるようにし、直接的な温度制御により、原料物質の安定的な気化により均一な蒸着および大面積への蒸着が可能であり、生産の中断状況を防止し、長時間連続生産が可能な薄膜形成用蒸着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するために、本発明の薄膜形成用蒸着装置は、基板上に蒸着される原料物質が固体又は液体状態で収容される原料容器と、前記原料容器の上側に前記原料容器と連通されるように結合され、前記原料容器から気化した原料物質が通過する気化チャンバーと、前記気化チャンバーの上部に形成され、前記気化チャンバーを通過した気化した原料物質を上方に噴射する噴射口と、前記気化チャンバーの内部又は前記原料容器の内部で前記原料物質の上方に設けられ、前記原料容器に収容された原料物質を気化させるために前記原料物質に熱を供給する第1のヒーターと、前記気化チャンバーの内部で前記第1のヒーターの上方に配置され、前記第1のヒーターにより前記原料物質に熱が供給される間、前記原料容器に収容された原料物質又は不純物が飛散して前記噴射口に付着するのを遮断する遮断板と、を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る薄膜形成用蒸着装置において、望ましくは、前記遮断板は、平板状に備えられ、前記気化チャンバーの内壁から一定の距離で離隔して配置される。
【0014】
本発明に係る薄膜形成用蒸着装置において、望ましくは、前記気化チャンバーの上面および側面に設けられ、前記気化チャンバーを通過する気化した原料物質の液体又は固体状態への相変化を防止するために、前記気化チャンバーに熱を供給する第2のヒーターをさらに含む。
【0015】
本発明に係る薄膜形成用蒸着装置において、望ましくは、前記原料容器と前記気化チャンバーとは着脱可能に結合される。
【0016】
本発明に係る薄膜形成用蒸着装置において、望ましくは、前記原料物質を前記第1のヒーターに近づく方向又は前記第1のヒーターから遠ざかる方向に移送させる移送ユニットをさらに含む。
【0017】
本発明に係る薄膜形成用蒸着装置において、望ましくは、前記気化チャンバーに設けられ、前記気化チャンバーを通過する気化した原料物質の量を感知するセンサーをさらに含む。
【0018】
本発明に係る薄膜形成用蒸着装置において、望ましくは、前記原料物質を前記第1のヒーターに近づく方向又は前記第1のヒーターから遠ざかる方向に移送させる移送ユニットと、前記気化チャンバーに設けられ、前記気化チャンバーを通過する気化した原料物質の量を感知するセンサーと、前記センサーから気化する原料物質の量をフィードバックを受け、気化する原料物質の量が予め設定された基準量より少ないと、前記原料物質を前記第1のヒーターに近づく方向に移送させるように、前記移送ユニットに信号を伝送したり、前記第1のヒーターの温度を上昇させる信号を伝送し、気化する原料物質の量が予め設定された基準量より多いと、前記原料物質を前記第1のヒーターから遠ざかる方向に移送させるように、前記移送ユニットに信号を伝送したり、前記第1のヒーターの温度を下降させる信号を伝送する制御部と、をさらに含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明の薄膜形成用蒸着装置によると、原料容器から飛散する原料物質又は不純物が噴射口に付着するのを遮断して噴射口の詰まり現象を防止することから、生産の中断状況を防止し、長時間連続生産を可能にする。
【0020】
なお、本発明の薄膜形成用蒸着装置によると、第1のヒーターの温度制御による原料容器内の原料物質の温度反応が迅速に行われ、原料容器内の原料物質の温度も大きな変動がなく所望の目標温度を一定に維持でき、原料物質の安定的な気化により均一な蒸着および大面積への蒸着が可能となる。
【0021】
なお、本発明の薄膜形成用蒸着装置によると、気化チャンバーを通過する気化した原料物質の液体又は固体状態への相変化を防止でき、基板上に蒸着されずに残っている気化した原料物質が、噴射口に付着して噴射口を詰める現象を防止することができる。
【0022】
なお、本発明の薄膜形成用蒸着装置によると、原料物質と第1のヒーターとの間の距離又は第1のヒーターの温度を調節して原料容器から気化する原料物質の量を制御することにより、気化する原料物質の量を安定的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の薄膜形成用蒸着装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る薄膜形成用蒸着装置を概略的に示す図である。
【図3】図2における薄膜形成用蒸着装置の原料物質を第1のヒーターから遠ざかる方向に移送させた状態を示す図である。
【図4】図2における薄膜形成用蒸着装置の一変形例を概略的に示す図である。
【図5】図2における薄膜形成用蒸着装置の他の変形例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る薄膜形成用蒸着装置の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0025】
図2は、本発明の一実施例による薄膜形成用蒸着装置を概略的に示す図であり、図3は、図2における薄膜形成用蒸着装置の原料物質を第1のヒーターから遠ざかる方向に移送させた状態を示す図である。
【0026】
図2および図3を参照すると、本発明による実施例の薄膜形成用蒸着装置は、有機物質を気化させて基板上に薄膜形態で蒸着させることができる装置であって、原料容器110と、冷却部120と、気化チャンバー130と、噴射口140と、第1のヒーター150と、遮断板160と、第2のヒーター170と、移送ユニット180と、センサー190と、制御部192とを含む。
【0027】
本発明は、有機発光表示装置(Organic Light Emitting Device:OLED)を製造する装置を提示したものであり、本発明に提示される原料物質としては、例えば、有機材料が用いられることが望ましい。
【0028】
前記原料容器110は、基板10上に蒸着される原料物質1が固体又は液体状態で収容されるものであり、一側が開口された円筒形状に形成される。一般に、原料容器110はタングステン材質で製作され、原料容器110の内部は基板10に蒸着される原料物質1の有機材料が充填される。
【0029】
この際、原料容器110には図示されていないが、蒸着工程が行われる間に原料容器110の内部を真空圧力の環境に維持させるための真空ラインを連結しても良い。原料物質1の変性は原料容器110内の高い温度および圧力によって発生する。したがって原料物質の変性を防止するためには、原料容器110内の温度および圧力を低く維持しなければならない。なお、原料物質1の気化温度は真空度の影響を多く受け、真空度が低くなるほど気化温度も低くなる傾向があるので、原料容器110内の真空度を低く維持することが、原料物質の変性を防止するのにより効率的である。
【0030】
前記冷却部120は、原料容器110の内部に収容された原料物質1が、後述する第1のヒーター150の熱により変性されるのを防止するために、原料容器110に収容された原料物質1を冷却させる。冷却部120は原料容器110の外壁を囲むように備えられる。
【0031】
冷却部120は、原料物質1が貯留された原料容器110の内部を冷却させることができるものであれば特に制限されず、本実施例では、例えば、冷却ジャケットが用いられる。冷却部120は、原料容器110の外周面に冷却水の流れる冷却流路が囲まれて形成される。
【0032】
前記気化チャンバー130は、原料容器110から気化した原料物質1が通過する空間を提供するものであり、原料容器110の上方に原料容器110と連通されるように結合される。後述する第1のヒーター150により原料容器110に収容されていた固体状態又は液体状態の原料物質1が加熱され、加熱された原料物質1は気化して上方に蒸発される。蒸発される原料物質1は、原料容器110の上方に配置された気化チャンバー130の内部に流入し、気化した原料物質1は、気化チャンバー130を通過して後述する噴射口140を通じて基板10側に噴射される。
【0033】
気化チャンバー130は、相当量の気化した原料物質1を収容できるほどのサイズで形成される。原料容器110から気化した原料物質1が、気化チャンバー130の内部に十分収容されることにより、噴射口140を通じて基板10側に噴射される原料物質の量を安定的に維持し得る。十分な内部空間を有するように気化チャンバー130が形成されることにより、気化チャンバー130は一種のアキュムレータの機能をすることができる。
【0034】
気化チャンバー130は、原料容器110と着脱可能に結合される。原料容器110の内部に基板10に蒸着する原料物質1、すなわち、有機材料を充填しようとする場合、蒸着工程を中断し原料容器110を気化チャンバー130から分離させる。その後、原料容器110内に原料物質1の充填が完了すれば、再び原料容器110を気化チャンバー130に結合させ、蒸着工程を行う。
【0035】
もし、種々の有機薄膜を順次積層させる場合には、複数の有機材料に対応するように複数の原料容器110をそれぞれ備え、それぞれの蒸着工程に使用される有機材料を収容する原料容器110を選んで気化チャンバー130に装着することができる。
【0036】
前記噴射口140は、気化チャンバー130を通過した気化した原料物質1を上方に、すなわち、基板10側に噴射する開口部であって、気化チャンバー130の上部に形成される。噴射口140は、基板10の幅方向に一直線に配列され、基板10と対向されるように配置する。
【0037】
噴射口140は、ノズル形態の別の部品として製作され、気化チャンバー130の上部に設けられ、気化チャンバー130の上部壁に貫通孔の形態で一体に成形することもできる。
【0038】
前記第1のヒーター150は、原料容器110に収容された原料物質1を気化させるために原料物質1に熱を供給するものであり、気化チャンバー130の内部又は原料容器110の内部で原料物質1の上方に設けられる。
【0039】
第1のヒーター150は、原料物質1を気化させることができる熱エネルギーを供給できるものであれば特に制限されず、例えば、コオヒーター又はランプヒーターなどを用いることができる。本実施例ではコアヒーターを用いる。第1のヒーター150は、気化チャンバー130の内部でプレートに抵抗熱線が巻き取られて形成される。この際使用される抵抗熱線はTa、W、Mo金属又はこれらの合金線からなる。
【0040】
従来には、原料容器110に収容された原料物質1に熱を供給するヒーターが、原料容器110の外壁に設けられることが一般的であったが、本発明では、原料物質1と同一の空間に第1のヒーター150が設けられることにより、媒介部材を経ずに第1のヒーター150の熱を原料物質1に直接的に伝達できるという特徴がある。したがって、第1のヒーター150の温度制御による原料物質1の温度反応が速く行われ、原料物質1の温度も大きな変動がなく所望の目標温度を一定に維持することができる。
【0041】
前記遮断板160は、第1のヒーター150により原料物質1に熱が供給される間、原料容器110に収容された原料物質1又は不純物が飛散して噴射口140に付着するのを遮断する。
【0042】
第1のヒーター150により原料物質1が加熱する間、液体状態の原料物質1の表面では気化した原料物質1が蒸発することが正常であるが、液体状態の原料物質の滴が突然飛散したり、原料物質1内に混ざっていた不純物が突然飛散する現象が発生する可能性がある。
【0043】
この際、飛散する原料物質1又は不純物が噴射口140にくっつき、これにより噴射口140が詰まる問題が発生する。噴射口140が詰まると工程を中止し、新しい噴射口140に交替したり掃除した後工程を再開しなければならないが、このような場合、装置歩留まりの低下という問題が発生することになる。
【0044】
このように、遮断板160は、気化していない状態で飛散して噴射口140に付着する原料物質1や不純物を遮断することにより、長時間連続的な生産を可能にして装置歩留まりを向上させることができる。
【0045】
一方、遮断板160の上部の熱が連通された経路を通じて原料物質1に伝達される可能性がある。このような場合、第1のヒーター150と原料物質1間の距離又は第1のヒーター150の温度によって制御された原料物質1の気化量が意外な外部変数によって変化し得る。気化量の変化は直ぐに有機発光素子の厚さに影響を及ぼすことになり、これは製品の不良に直結するので問題となる。
【0046】
したがって、遮断板160を用いて外部から原料物質1に伝達される熱を最大限遮断することにより、原料物質1の気化量に影響を及ぼす恐れがある外部変数を除去することができる。
【0047】
遮断板160は、平板状に形成され、気化チャンバー130の内部に設けられ、第1のヒーター150の上方に配置される。また、遮断板160は、気化チャンバー130の内壁から一定の距離で離隔するように配置し、遮断板160と気化チャンバー130の内壁間との空間を経由して、気化した原料物質が噴射口140側へ向かうようになる。
【0048】
前記第2のヒーター170は、気化チャンバー130を通過する気化した原料物質1の液体又は固体状態への相変化を防止するために、気化チャンバー130に熱を供給するものであり、気化チャンバー130の上面および側面に設けられる。
【0049】
第2のヒーター170としては、例えば、コアヒーター又はランプヒーターなどを用いることができ、この際使用される抵抗熱線はTa、W、Mo金属又はこれらの合金線からなる。
【0050】
一方、第2のヒーター170は、基板10上に蒸着されずに気化した原料物質1が噴射口140に付着して噴射口140を詰める現象を防止する。蒸着チャンバー内に残存する気化した原料物質1は、噴射口140側に蓄積し、結局、固体状態への相変化によって噴射口140を詰めるため、噴射口140の周囲の温度を上昇させることから、噴射口140の周囲は常に原料物質が気化した状態となるようにする。
【0051】
前記移送ユニット180は、原料物質1を第1のヒーター150に近づく方向に又は第1のヒーター150から遠ざかる方向に往復移送させる。移送ユニット180を用いて原料物質1と第1のヒーター150との間の距離を調節することにより、気化する原料物質1の量を制御することができる。
【0052】
すなわち、気化する原料物質1の量が予め設定された基準量より少ないと、原料物質1を第1のヒーター150に近づく方向に移送させることから、第1のヒーター150から原料物質1に十分な熱が供給されるようにして原料物質1の気化量を増加させることができ、気化する原料物質1の量が予め設定された基準量より多いと、原料物質1を第1のヒーター150から遠ざかる方向に移送させることから、第1のヒーター150から原料物質1に供給される熱を減らすことにより、原料物質1の気化量を減少させることができる。
【0053】
移送ユニット180は、直線に往復運動をするものであれば特に制限されず、例えば、空圧シリンダ、リニアモータ、回転モータとボールスクリューを組み合わせた構成など通常の構成を有するものを採用できるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0054】
前記センサー190は、気化チャンバー130に設けられ、気化チャンバー130を通過する気化した原料物質1の量を感知する。センサー190で測定される気化した原料物質1の量により第1のヒーター150の温度および移送ユニット180の作動方向又は移送速度を制御して気化する原料物質1の量を調節する。
【0055】
前記制御部192は、センサー190から気化する原料物質1の量をフィードバックを受け、第1のヒーター150又は移送ユニット180を制御する。
【0056】
すなわち、気化する原料物質1の量が基準量より少ないと、原料物質1を第1のヒーター150に近づく方向に移送させるように、移送ユニット180に信号を伝送したり、第1のヒーター150の温度を上昇させる信号を伝送することにより、気化する原料物質1の量を増加させることができる。
【0057】
一方、気化する原料物質1の量が基準量より多いと、原料物質1を第1のヒーター150から遠ざかる方向に移送させるように、移送ユニット180に信号を伝送したり、第1のヒーター150の温度を下降させる信号を伝送することにより、気化する原料物質1の量を減少させることができる。
【0058】
上述したように構成された本実施例による薄膜形成用蒸着装置は、原料容器から飛散する原料物質又は不純物が、噴射口に付着するのを遮断して噴射口の詰まり現象を防止することにより、生産の中断状況を防止し、長時間連続生産が可能となる効果を得ることができる。
【0059】
なお、上述したように構成された本実施例による薄膜形成用蒸着装置は、媒介部材を経ずに第1のヒーターの熱を原料物質に直接的に伝達することにより、第1のヒーターの温度制御によって原料物質の温度反応が速く行われ、原料物質の温度も大きな変動がなく所望の目標温度を一定に維持でき、原料物質の安定的な気化により均一な蒸着および大面積への蒸着が可能となる効果を得ることができる。
【0060】
なお、上述したように構成された本実施例による薄膜形成用蒸着装置は、気化チャンバーの上面および側面に気化チャンバーに熱を供給する第2のヒーターを設けることにより、気化チャンバーを通過する気化した原料物質の液体又は固体状態への相変化を防止でき、基板上に蒸着されずに残っている気化した原料物質が、噴射口に付着して噴射口を詰める現象を防止できる効果を得ることができる。
【0061】
なお、上述したように構成された本実施例による薄膜形成用蒸着装置は、原料物質と第1のヒーターとの間の距離又は第1のヒーターの温度を調節して気化する原料物質の量を制御することにより、気化する原料物質の量を安定的に維持できる効果を得ることができる。
【0062】
一方、図4は、図2における薄膜形成用蒸着装置の一変形例を概略的に示す図である。
【0063】
図4を参照すると、薄膜形成用蒸着装置100’は、原料容器110内に別途のルツボ111を備える。液体状態の原料物質の場合、移送ユニットによって移送途中に下側へ流出する可能性があるが、原料物質を収容する別途のルツボを備えることから、原料物質の流出を防止し、原料物質による移送ユニットの汚染を防止することができる。
【0064】
図4において、図2および図3に示された構成部材と同じ機能の構成部材については同一の符号を付すので、それらについての詳細な説明は省略する。
【0065】
一方、図5は、図2における薄膜形成用蒸着装置の他の変形例を概略的に示す図である。
【0066】
図5を参照すると、薄膜形成用蒸着装置100’’は、複数の噴射口140を備えることにより、大面積の基板10に安定且つ均一に原料物質1を蒸着させることができる。図5において、図2および図3に示された構成部材と同じ機能の構成部材については同一の符号を付すので、それらについての詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0067】
100 薄膜形成用蒸着装置
110 原料容器
120 冷却部
130 気化チャンバー
140 噴射口
150 第1のヒーター
160 遮断板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に蒸着される原料物質が固体又は液体状態で収容される原料容器と、
前記原料容器の上方に前記原料容器と連通されるように結合され、前記原料容器から気化した原料物質が通過する気化チャンバーと、
前記気化チャンバーの上部に形成され、前記気化チャンバーを通過した気化した原料物質を上側に噴射する噴射口と、
前記気化チャンバーの内部又は前記原料容器の内部で前記原料物質の上方に設けられ、前記原料容器に収容された原料物質を気化させるために前記原料物質に熱を供給する第1のヒーターと、
前記気化チャンバーの内部で前記第1のヒーターの上方に設けられ、前記第1のヒーターにより前記原料物質に熱が供給される間、前記原料容器に収容された原料物質又は不純物が飛散して前記噴射口に付着するのを遮断する遮断板と、を含むことを特徴とする薄膜形成用蒸着装置。
【請求項2】
前記遮断板は、
平板状に備えられ、前記気化チャンバーの内壁から一定の距離で離隔するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成用蒸着装置。
【請求項3】
前記気化チャンバーの上面および側面に設けられ、前記気化チャンバーを通過する気化した原料物質の液体又は固体状態への相変化を防止するために、前記気化チャンバーに熱を供給する第2のヒーターをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成用蒸着装置。
【請求項4】
前記原料容器と前記気化チャンバーとは着脱可能に結合されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成用蒸着装置。
【請求項5】
前記原料物質を前記第1のヒーターに近づく方向又は前記第1のヒーターから遠ざかる方向に移送させる移送ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成用蒸着装置。
【請求項6】
前記気化チャンバーに設けられ、前記気化チャンバーを通過する気化した原料物質の量を感知するセンサーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成用蒸着装置。
【請求項7】
前記原料物質を前記第1のヒーターに近づく方向又は前記第1のヒーターから遠ざかる方向に移送させる移送ユニットと、
前記気化チャンバーに設けられ、前記気化チャンバーを通過する気化した原料物質の量を感知するセンサーと、
前記センサーから気化する原料物質の量をフィードバックを受け、気化する原料物質の量が予め設定された基準量より少ないと、前記原料物質を前記第1のヒーターに近づく方向に移送させるように前記移送ユニットに信号を伝送したり、前記第1のヒーターの温度を上昇させる信号を伝送し、気化する原料物質の量が予め設定された基準量より多いと、前記原料物質を前記第1のヒーターから遠ざかる方向に移送させるように前記移送ユニットに信号を伝送したり、前記第1のヒーターの温度を下降させる信号を伝送する制御部と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成用蒸着装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−219376(P2012−219376A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−90742(P2012−90742)
【出願日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【出願人】(512096595)エスエヌユー精密股▲ふん▼有限公司 (4)
【Fターム(参考)】