説明

薬剤分包機

【課題】分割用回転テーブルに周設された環溝に撒布して堆積させた散薬を分割して前記環溝から取り出し包装材を用いて分包する薬剤分包機において、前記環溝への散薬の撒布時間の短縮を容易に実現でき、その結果、散薬の分包時間を短縮できる技術の提供。
【解決手段】分割用回転テーブル21と該分割用回転テーブル21の環溝21aに散薬1を撒布するための散薬フィーダー31とを互いに反対の方向に回転させた状態で前記散薬フィーダー31から分割用回転テーブル21の環溝21aへの散薬の撒布を行えるように構成されている薬剤分包機10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状あるいは顆粒状の薬剤である散薬を堆積するための環溝が周設された分割用回転テーブルを回転させた状態で、散薬フィーダーから分割用回転テーブルの環溝へ散薬を供給して撒布し、掻き出し装置によって前記環溝から目的量の散薬を掻き出して包装装置に供給し前記包装装置にて前記散薬を包装する薬剤分包機に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等で調剤される粉末状あるいは顆粒状の薬剤(以下、散薬とも言う)の分包のために、従来から、散薬を堆積するための環溝が周設された分割用回転テーブル(以下、単に回転テーブルとも言う)を具備し、この分割用回転テーブルを回転させた状態で、散薬フィーダーから分割用回転テーブルの環溝へ散薬を供給して撒布し、掻き出し装置によって前記環溝の散薬を適宜設定した分割数で分割して掻き出して包装装置に供給し前記包装装置にて前記散薬を包装する構成の薬剤分包機(以下、単に分包機とも言う)が提供されている(例えば特許文献1,2)。
前記掻き出し装置は、1包分ずつ、前記環溝から目的量の散薬を掻き出して包装装置に供給する。1包分の散薬の量は、環溝内の散薬を分割用回転テーブルの外周方向において複数に分割した各区画の大きさ、すなわち個々の区画の分割用回転テーブルの外周方向における範囲によって適宜設定できる。
【0003】
前記散薬フィーダーは、撒布する散薬が投入されるホッパと、このホッパに振動を与えてホッパから回転テーブルの環溝へ散薬を落下させ供給するための加振器とを具備する構成のものが一般的である。この散薬フィーダーは、前記分割用回転テーブル及びその駆動装置が搭載されている機体(フレーム)の所定位置に取り付けられる。ホッパは、該ホッパ内の散薬を回転テーブルの環溝に落下させるための落ち口が環溝上となるように位置合わせして設けられる。
この薬剤分包機にあっては、ホッパ内前記分割用回転テーブルを回転させた状態でホッパの落ち口から前記分割用回転テーブルの環溝に散薬を供給することで前記環溝に散薬を撒布できる。環溝への散薬の撒布は、分割精度の確保のため、環溝の延在方向(周方向)に均等に撒布、堆積されるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3369005号公報
【特許文献2】特開平10−129619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような薬剤分包機は、その構造上、分包時間の短縮のために、環溝に散薬を撒布する撒布動作に要する時間(以下、撒布時間とも言う)の短縮が難しく、これが、前記散薬フィーダーのホッパに散薬をセットしてから、フィルム状包装材(分包紙あるいは樹脂フィルム)を用いて散薬を分包したパッケージが包装装置から排出されるまでの時間(以下、分包時間とも言う)の短縮の障害になっていた。
既述のように、撒布動作は、分割用回転テーブルを回転させた状態にて散薬フィーダーから分割用回転テーブルの環溝に散薬を供給することによって行われる。そこで撒布時間の短縮のために分割用回転テーブルの回転速度を上げることが考えられる。しかしながら、分割用回転テーブルの回転速度を上昇させると、遠心力によって環溝内の散薬に偏りが生じ、これが分割精度に影響を与えることとなる。このため、分割用回転テーブルの回転速度の上昇には限界があり、撒布時間の短縮が容易でないのが実情であった。
【0006】
本発明は、前記課題に鑑みて、撒布時間の短縮を容易に実現でき、その結果、散薬の分包時間を短縮できる薬剤分包機の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、粉末状あるいは顆粒状の薬剤である散薬を堆積するための環溝が周設された分割用回転テーブルと、この分割用回転テーブルを回転させるテーブル回転機構と、前記分割用回転テーブルの回転時に前記環溝に前記散薬を供給して撒布する散薬フィーダーと、この散薬フィーダーを前記分割用回転テーブルとは逆向きに回転させるフィーダー回転機構と、前記環溝から目的量の散薬を掻き出す掻き出し装置と、この掻き出し装置によって前記環溝から掻き出された散薬を包装する包装装置とを備え、前記分割用回転テーブルと前記散薬フィーダーとを互いに反対の方向に回転させた状態で前記散薬フィーダーから前記分割用回転テーブルの環溝への散薬の撒布を行えるように構成されていることを特徴とする薬剤分包機を提供する。
第2の発明は、前記散薬フィーダーは、前記フィーダー回転機構によって前記分割用回転テーブルと同軸に回転されるフィーダー支持台に取り付けられており、平面視において前記分割用回転テーブルの前記環溝によって取り囲まれる内側に位置するように設置されていることを特徴とする第1の発明の薬剤分包機を提供する。
第3の発明は、前記テーブル回転機構及び前記フィーダー回転機構の駆動を制御する制御部を具備し、前記テーブル回転機構によって前記分割用回転テーブルを回転させた状態で前記散薬フィーダーから前記分割用回転テーブルの環溝へ散薬を撒布する撒布動作を行う際の前記フィーダー回転機構による前記散薬フィーダーの回転の有無が選択可能とされていることを特徴とする第1又は2の発明の薬剤分包機を提供する。
第4の発明は、前記制御部は、前記散薬フィーダーに供給される散薬の種類及び/又は処方箋データが入力されるホストコンピュータに接続されており、前記散薬フィーダーに供給される散薬の種類に対応して前記ホストコンピュータから入力される信号である散薬識別情報に基づいて撒布動作の際の前記フィーダー回転機構による前記散薬フィーダーの回転の有無を決定する回転有無決定部を具備することを特徴とする第3の発明の薬剤分包機を提供する。
第5の発明は、前記散薬フィーダーが散薬が投入されるホッパとこのホッパに振動を与えて前記ホッパ内の散薬を該ホッパに設けられている撒布用シュートから前記分割用回転テーブルの環溝へ落下させる加振器とを具備する振動フィーダーであり、前記制御部は、前記散薬フィーダーに供給される散薬の種類及び/又は処方箋データが入力されるホストコンピュータと接続され、前記散薬フィーダーに供給される散薬の種類毎の識別情報である散薬識別情報が前記ホストコンピュータから入力されるようになっており、前記ホストコンピュータから入力される前記散薬識別情報に基づいて前記フィーダー回転機構、前記テーブル回転機構、前記加振器の駆動を制御するための制御プログラムをデータベース部から取得し、この取得した制御プログラムに基づいて、撒布動作の際の前記フィーダー回転機構による前記散薬フィーダーの回転の有無及び回転させる場合の回転速度、前記テーブル回転機構による前記回転テーブルの回転速度、前記加振器が発生する振動の強さを制御するように構成されていることを特徴とする第3又は4の発明の薬剤分包機を提供する。
第6の発明は、さらに、前記分割用回転テーブルの回転軸心に対する定位置に設けられて前記分割用回転テーブルの回転時に前記分割用回転テーブルの前記環溝に散薬を撒布用シュートから供給して撒布する定位置撒布フィーダーを具備することを特徴とする第1〜5のいずれかの発明の薬剤分包機を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る薬剤分包機によれば、分割用回転テーブルと散薬フィーダーとを互いに反対の方向に回転させた状態で前記散薬フィーダーから前記分割用回転テーブルの環溝への散薬の撒布を行えるため、撒布時間の短縮を容易に実現でき、その結果、散薬の分包時間を短縮できるといった優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る第1実施形態の薬剤分包機の構造を示す正断面図である。
【図2】図1の薬剤分包機を示す平面図である。
【図3】図1の薬剤分包機の制御部に接続されたデータベース部におけるデータ格納状体を示す図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態の薬剤分包機を説明する図であって、制御部、データベース部、ホストコンピュータの相互の関係を示す図である。
【図5】図4の薬剤分包機のデータベース部の粒子特性データ格納部における粒子特性(粒子特性データ)の格納状態を示す図である。
【図6】図4の薬剤分包機のデータベース部のプログラム格納部における制御プログラムの格納状態を示す図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態の薬剤分包機を説明する図であって(a)は平面図、(b)は正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施した薬剤分包機について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1、図2は、本発明に係る第1実施形態の薬剤分包機10(以下、単に分包機とも言う)の構造を示す図であって、図1は正断面図、図2は平面図である。
なお、図1において上側を上、下側を下として説明する。
【0012】
この分包機10は、粉末状あるいは顆粒状の薬剤である散薬をフィルム状包装材(分包紙あるいは樹脂フィルム)等の包装材を用いて分包するための装置であり、図1、図2に示すように、散薬1を堆積するための環溝21aが周設されたリング状の分割用回転テーブル21(以下、単に回転テーブルとも言う)と、この回転テーブル21を回転させるテーブル回転機構22と、前記回転テーブル21の回転時に前記環溝21aに前記散薬1を供給して撒布する散薬フィーダー31と、この散薬フィーダー31を前記回転テーブル21とは逆向きに回転させるフィーダー回転機構32と、前記回転テーブル21の環溝21aから目的量の散薬1を掻き出す掻き出し装置40と、この掻き出し装置40によって前記回転テーブル21の環溝21aから掻き出された散薬1を包装する包装装置50とを有している。
【0013】
また、この分包機10は、箱形の外装カバー11を有しており、テーブル回転機構22、フィーダー回転機構40は、この外装カバー11内に収容されている。
【0014】
前記回転テーブル21は、その外周が外装カバー11の天板11aにほぼ揃う高さとなるようにして水平設置(環溝21aの溝底が1水平面に位置するように設置)されている。
【0015】
テーブル回転機構22は、モータ23(例えば電動モータ)と、前記回転テーブル21の下側に固定され前記モータ23の駆動力によって回転されるリング状のギア24とを具備し、モータ23の駆動力によって前記ギア24を回転させることにより、前記回転テーブル21を前記ギア24と一体的に回転させるように構成されている。
前記ギア24は、分包機10に設けられた円盤状の支持部材25の外側にベアリング26を介して前記支持部材25に対して上下軸線(この実施形態においては鉛直軸線)回りに回転自在に設けられている。前記ギア24は、その外周の歯部24aが、前記モータ23の駆動軸23aに固定された駆動ギア23bと噛み合わされており、前記モータ23の駆動力によって回転される。環溝21aは延在方向(周方向)全体が一定半径で湾曲するように形成されており、前記回転テーブル21は環溝21aの湾曲中心をギア24の回転軸線に一致させて設けられている。環溝21aは回転テーブル21の回転軸心を中心とする1円周上に設けられている。
【0016】
なお、前記支持部材25は、分包機10のフレーム(図示略)に対して図示略のベアリングを介して前記ギア24と同軸に軸回り回転自在に支持されているが、これに限定されず分包機10のフレームに対して固定されていても良い。
【0017】
前記散薬フィーダー31はリング状の前記回転テーブル21の内側に設けられたフィーダー支持台33上に取り付けて設置されている。
前記散薬フィーダー31はフィーダー支持台33上に2つ設置されている。図中、一方の散薬フィーダー31に符号31A、他方の散薬フィーダー31に符号31Bを付す。
【0018】
前記散薬フィーダー31は、散薬1が投入されるホッパ311と、このホッパ311に振動を与える加振器312とを有する構成となっている。ホッパ311は、上下に開口部を有する筒状の受け筒部313の下側に該受け筒部313に投入された散剤を受けるための撒布用シュート314(受け皿部)を有する構成となっている。この散薬フィーダー31は、ホッパ311に投入された散薬を、加振器312からホッパ311に作用させた振動によって、樋状に形成されている撒布用シュート314の先端の落ち口315に誘導して、前記落ち口315から環溝21aに供給する振動フィーダーを構成している。
ホッパ311は加振器312上に設置されている。
【0019】
また、この分包機10は、回転テーブル21上に、該回転テーブル21の環溝21aよりも内側の部分を覆うように設置されたカバー部材12を具備する。このカバー部材12は、フィーダー回転機構32によって回転されるフィーダー支持台33に立設された支柱13に固定されており、フィーダー支持台33と一体に上下軸線(この実施形態においては鉛直軸線)回りに回転される。このカバー部材12は前記回転テーブル21は固定されておらず、カバー部材12と回転テーブル21とは互いに別個に回転させることが可能である。
【0020】
前記散薬フィーダー31に対応する部分に開口部121を有しており、回転テーブル21の環溝21aよりも内側の領域の内、前記散薬フィーダー31を避けた所を覆う。また、カバー部材12は前記開口部121によって前記散薬フィーダー31との間に僅かなクリアランスが確保されており、前記散薬フィーダー31に接触せず、前記加振器312によるホッパ311の振動を妨げない。
なお、図1中符号316は、前記開口部121を取り囲むようにしてカバー部材12上に固定されたリング部材である。ホッパ311の受け筒部313はリング部材316の内側に設けられている。但し、リング部材316の内周と受け筒部313の外周との間には僅かなクリアランスが確保されており、リング部材316は受け筒部313に接触せず、前記加振器312によるホッパ311の振動を妨げない。
【0021】
フィーダー回転機構32は、前記フィーダー支持台33と、このフィーダー支持台33を回転させるモータ34とを有する構成とされている。前記フィーダー支持台33は、モータ34の駆動によって、前記回転テーブル21(及び環溝21a)と同軸の回転軸心を以て、前記テーブル回転機構22による前記回転テーブル21の回転とは逆方向に回転される。これにより、前記フィーダー支持台33上に設置された散薬フィーダー31も前記フィーダー支持台33と一体的に前記回転テーブル21の回転とは逆方向に回転される。
【0022】
図示例のフィーダー回転機構32は、具体的には、円盤状のフィーダー支持台33の中央部に固定された回転軸331を有し、この回転軸331に固定されたギア332に、モータ34の駆動軸34aに固定されている駆動ギア34bを噛み合わせてあり、モータ34によって回転軸331を回転させることで、フィーダー支持台33と該フィーダー支持台33上の散薬フィーダー31とを回転させるようになっている。
なお、前記回転軸331は、支持部材25に貫設された回転軸挿通孔251に貫通させて、テーブル回転機構22のギア24(テーブル回転用ギア)の回転軸心と同軸に設置されている。また、図1中、符号35は、支持部材25の回転軸挿通孔251内に設けられたベアリングである。回転軸331はベアリング35によって前記支持部材25に対して回転自在に支持されている。
【0023】
散薬フィーダー31は、撒布用シュート314の先端の落ち口315(ホッパ311の落ち口)が回転テーブル21の環溝21a上に設けられており、ホッパ311内の散薬を落ち口315から落下させることで環溝21aに供給するようになっている。
この分包機10は、回転テーブル21が回転され、かつ、回転テーブル21とは反対の方向に散薬フィーダー31が回転された状態(あるいは、散薬フィーダー31が回転されず回転テーブル21のみが回転された状態)にて、散薬フィーダー31の撒布用シュート314から環溝21aへの散薬1の供給を行うことで、環溝21aに散薬1を撒布して堆積させることができる。
なお、撒布用シュート314の落ち口315とは反対側の端部(後端部)は、該撒布用シュート314からの散薬の落下が生じないように塞がれている。
【0024】
また、この分包機10にあっては、2つの散薬フィーダー31A、31Bの撒布用シュート314の落ち口315を、環溝21aの湾曲中心を介して両側となるように互いに離隔させて配置している。
この構成であれば、環溝21aに目的量の散薬1を撒布して堆積させる撒布動作の所要時間を短縮できる。
【0025】
図1において符号60は制御部であり、分包機10全体の駆動を制御する。
テーブル回転機構22、フィーダー回転機構32、散薬フィーダー31の加振器312、掻き出し装置40、包装装置50はこの制御部60によって駆動制御される。
この分包機10では、制御部60からの駆動制御によって、回転テーブル21が回転されかつ回転テーブル21とは反対の方向に散薬フィーダー31が回転された状態で行う撒布動作(以下、第1撒布動作とも言う)と、散薬フィーダー31が回転されず回転テーブル21のみが回転された状態で行う撒布動作(以下、第2撒布動作とも言う)とを選択的に実行できる。
【0026】
撒布動作の選択は、撒布動作時のフィダー回転機構32の駆動の有り、無しの選択によってなされる。
ここで説明する実施形態の分包機10にあっては、フィダー回転機構32のモータ34の駆動の有り、無しの選択によって、撒布動作が選択される。第1撒布動作及び第2撒布動作において、テーブル回転機構22の駆動制御、すなわちモータ23の駆動制御は同じである。この分包機10は、第1撒布動作と第2撒布動作とを、フィダー回転機構32のモータ34の駆動の有り、無しの選択という簡単な制御によって選択的に実行できる。
【0027】
前記制御部60は、例えば病院、薬局等にて患者毎に提供される処方箋データが入力されるホストコンピュータ61と接続されており、前記ホストコンピュータ61から入力される処方箋データに基づいて分包機10の駆動を制御することができる。
この分包機10は、散薬フィーダー31のホッパ311内の散薬を撒布動作によって回転テーブル21の環溝21aに撒布して堆積させ、次いで掻き出し装置40の駆動と回転テーブル21の回転とによって、環溝21a内の散薬を、前記ホストコンピュータ61から入力された処方箋データに基づいて分割した1包分の区画毎に順次掻き出して包装装置50に供給し、包装装置50にてフィルム状包装材(例えば紙や樹脂フィルム)等の包装材を用いて包装し、散薬を包装したパッケージを包装装置50から排出する。
【0028】
掻き出し装置40は、外装カバー11の天板11aに固定された掻き出し装置本体41から延びるアーム42の先端に、前記掻き出し装置本体41に設けられている駆動装置によって回転駆動される回転ディスク43に掻き出し用ブレード44及び分割用仕切板45を固定してなる回転ユニット46を取り付けた構造になっており、前記回転ユニット46を前記環溝21a内に設置した状態で前記回転ディスク43を回転させる(掻き出し動作を行う)ことで、該回転ディスク43と一体に回転する前記掻き出し用ブレード44によって回転テーブル21の環溝21a内の散薬を掻き出し、包装装置50に供給するように構成されている。掻き出し用ブレード44によって掻き出した散薬はシュート47から包装装置50に供給される。
【0029】
前記アーム42は前記掻き出し装置本体41に設けられているアーム回動装置によって、前記掻き出し装置本体41から延出した部分が上下方向に移動するように回動される。この掻き出し装置40は、前記アーム42の回動によって前記回転ユニット46を移動させることにより、前記回転ユニット46を、前記環溝21aの上方から下降させて環溝21a内に設置したり、環溝21a内の散薬に接触しないように環溝21aから充分に離隔した位置に待避させることが可能である。
【0030】
回転ディスク43は、前記アーム42に回転テーブル21に対して垂直の向きで取り付けられている。前記掻き出し用ブレード44は、前記回転ディスク43の片面にその中央部から回転ディスク43の外周にわたって延在するようにして固定されている。前記分割用仕切板45は扇形に形成された板状部材であって、前記掻き出し用ブレード44の前記回転ディスク43とは反対側に前記回転ディスク42と平行の向きで固定されている。この分割用仕切板45は、前記掻き出し動作の際に環溝21a内の散薬が該分割用仕切板45を介して前記回転ディスク43とは反対側から当該分割用仕切板45と回転ディスク43との間の空間に入り込むことを防止するために設けられる。
【0031】
撒布動作によって環溝21aに堆積された散薬の分割形態、すなわち、環溝21aの延在方向(周方向)における分割数及び/又は各区画の大きさは、処方箋データに含まれる散剤の服用回数や服用毎の服用量に対応して設定される。環溝21a内の散薬を同じ大きさの複数の区画に分割することも可能であることは言うまでも無い。また、環溝21a内の散薬の分割形態の設定はひとつの処方箋データに対応する設定に限定されず、複数の処方箋データに対応して行うことも可能であることは言うまでもない。
【0032】
前記第1撒布動作は、上述のように、制御部60からの駆動制御によって、回転テーブル21が回転されかつ回転テーブル21とは反対の方向に散薬フィーダー31が回転された状態で散薬フィーダー31から回転テーブル21の環溝21aへの散薬の撒布を行うものであるため、第2撒布動作に比べて、撒布動作時の回転テーブル21の散薬フィーダー31に対する相対的な回転速度が高い。このため、第1撒布動作は、回転テーブル21の回転速度を上昇させなくても、散薬の環溝21aへの撒布動作の所要時間(以下、撒布時間とも言う)の短縮を容易に実現できる。したがって、環溝21a内の散薬の分割精度を低下させることなく撒布時間を短縮できるといった優れた効果が得られる。
その結果、本発明に係る分包機10は、この第1撒布動作によって撒布時間を短縮できるため、散薬フィーダーのホッパに散薬をセットしてから、フィルム状包装材(分包紙あるいは樹脂フィルム)を用いて散薬を分包したパッケージが包装装置から排出されるまでの時間(以下、分包時間とも言う)の短縮も容易に実現できる。
【0033】
第2撒布動作は、例えば顆粒状の散薬等、比較的粒径が大きく転がりやすい粒状をなす散薬(以下、易転動性散薬、とも言う)の環溝21aへの撒布に好適に用いることができる。第2撒布動作は、第2撒布動作に比べて、撒布動作時の回転テーブル21の散薬フィーダー31に対する相対的な回転速度が低いため、易転動性散薬の環溝21aへの撒布に適用することで、環溝21aへの散薬の均等な撒布(環溝21aに堆積された散薬の上面が平坦になるようにする)を容易に実現できる。環溝21aへの散薬の均等な撒布、堆積によって、環溝21a内の散薬の分割精度を担保できる。
この分包機10の撒布動作時の回転テーブル21の回転速度は、この分包機10を用いて分包する対象の散薬のうち最も転がりやすい散薬に対応して、環溝21aへの均等な撒布を実現できるように設定する。
【0034】
この分包機10は、撒布動作として第1撒布動作を実行することで、粉末状等の転動を生じにくい散薬(以下、難転動性散薬とも言う)について撒布時間の短縮を図ることができ、撒布動作として第2転動動作を実行することで顆粒状等の易転動性散薬の均等な撒布、堆積を実現できる。
【0035】
第1撒布動作及び第2撒布動作の2つの撒布動作の選択は、ホストコンピュータ61から制御部60への指令(第1撒布動作、第2撒布動作のいずれかを指定する撒布動作指定指令)の入力、あるいは、制御部60が前記ホストコンピュータ61から入力された処方箋データに含まれる散薬の識別情報(以下、散薬識別情報とも言う。散薬フィーダーに供給される散薬の種類に対応して前記ホストコンピュータから入力される信号)に対応して実行すべき撒布動作を選択すること、によって行うことができる。
また、撒布動作の選択は、これらに限定されず、例えば分包機10自体に設置した押しボタン型スイッチの押し込み操作による入力や、分包機10に設置したタッチパネルからの入力等によって行う構成としても良い。
【0036】
ここで、処方箋データに含まれる散薬識別情報に対応して撒布動作を選択して撒布動作を実行する場合の一例を説明する。
制御部60には、図3に示すように散剤毎に付した種類情報(散薬識別情報。図3では具体的には薬剤名と粒度(粉末、細粒、顆粒))と転動性種別とを互いに関連付けて格納(記憶)したデータベース部62が接続されている(図1参照)。
なお、細粒の散薬については、その粒子形状、粒子の硬さ等に起因する転動性の違いによって、難転動性散薬のものと易転動性散薬のものとが存在する。
【0037】
図3に示すように、転動性種別は、難転動性と易転動性とに大別されている。転動性種別が難転動性の散薬は、粉末状の散薬等の既述の難転動性散薬であり、撒布動作の際に転動しにくく、第1撒布動作によって所期の分割精度を確保できる撒布を実現できるものを指す。一方、転動性種別が易転動性の散薬は、既述の易転動性散薬であり、難転動性散薬に比べて転動しやすく、第1撒布動作を適用したときに所期の分割精度の確保が難しく、第2撒布動作を適用することで所期の分割精度を確保できる撒布を実現できるものを指す。
この分包機において散薬の種類は薬剤名と粒度(粉末、細粒、顆粒)とによって決まる。このデータベース部62は、薬剤名が同じで粒度(粉末、細粒、顆粒)が異なる散薬を互いに種類が異なる散薬として区別して扱う構成となっている。
【0038】
制御部60は、ホストコンピュータ61から入力された散薬識別情報の散薬の種類に対応する転動性種別をデータベース部62から読み出し、読み出した転動性種別に基づいて、実行する撒布動作(フィダー回転機構32のモータ34の駆動の有り、無し)を決定、すなわち散薬フィーダーの回転の有無を決定する回転有無決定部として機能する。
【0039】
図示例の分包機10は、2つの散薬フィーダー31A、31Bを具備しているため、例えば、2つの散薬フィーダー31A、31Bから互いに種類が異なる散薬を環溝21aに同時に供給することも可能である。
制御部60は、まず、ホストコンピュータ61からの入力情報に基づいて、散薬の撒布動作に使用する散薬フィーダー31の数を決定する。ここでは、使用する散薬フィーダー31の数がひとつである場合に、符号31Aの散薬フィーダーを使用することとする。
【0040】
制御部60は、2つの散薬フィーダー31A、31Bから互いの転動性種別が同じである2種類の散薬を環溝21aに供給する場合には、撒布動作としてこれら散薬の転動性種別に対応した撒布動作を選択する。つまり、2つの散薬フィーダー31A、31Bから環溝21aに供給する2種類の散薬の両方が難転動性散薬である場合は第1撒布動作を選択し、2つの散薬フィーダー31A、31Bから環溝21aに供給する2種類の散薬の両方が易転動性散薬である場合は第2撒布動作を選択する。
また、制御部60は、2つの散薬フィーダー31A、31Bから環溝21aに供給する2種類の散薬の少なくとも一方が易転動性の散薬である場合は第2撒布動作を選択する。
【0041】
また、2つの散薬フィーダー31A、31Bのうち、片方のみを使用(片方の散薬フィーダーのみに散薬を投入)して散薬の撒布を行う場合は、撒布動作の選択は、撒布する散薬の転動性種別に従う。
【0042】
なお、いずれの場合でも制御部60における撒布動作の選択に薬剤名は関与しない。
【0043】
ホストコンピュータ61から制御部60に入力される散剤種類情報としては、データベース部62における散薬識別情報の格納状態に対応して制御部60にて転動性種別の識別が可能なものであれば良く、例えば、散剤毎に付した整理番号等の管理情報であっても良い。
また、本発明に係る分包機の制御部は、ホストコンピュータ61から制御部60に転動性種別を含む処方箋データが入力されたときに、この処方箋データに含まれる転動性種別情報に基づいて撒布動作を選択するように構成しても良い。
【0044】
散薬フィーダー31のホッパ311への散薬の投入は、例えば、処方箋データに基づいて駆動して、複数種類の散薬を区分けして収容するストッカから環溝21aに撒布すべき散薬1を取り出しホッパ311に自動投入する自動投入装置(図示略)によって行う。但し、これに限定されず、例えば、この分包機10の管理者が手作業で散薬フィーダー31のホッパ311への散薬の投入を行っても良い。
【0045】
前記分包機10は、上述のように制御部60が散薬の転動性種別に対応して、撒布動作の選択、すなわち散薬フィーダーの回転の有無を決定して、選択した撒布動作を実行する。
散薬の転動性種別に対応して撒布動作の選択、すなわち散薬フィーダーの回転の有無を決定して、選択した撒布動作を実行することで、散薬の転動性種別に対応して環溝21aに撒布して堆積させる散薬の分割精度を確保できる。
【0046】
ホストコンピュータ61から制御部60への撒布動作指定指令の入力によって撒布動作を選択的に実行する場合や、押しボタン型スイッチやタッチパネルといった指令入力用端末装置からの指令入力によって撒布動作を選択的に実行する場合についても、制御部60への入力指令を分包対象の散薬の転動性種別(上述の難転動性、易転動性の2種類の転動性種別)に対応して選択して、制御部60への指令入力を行うようにする。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の分包機を説明する。
ここで説明する分包機は、既述の分包機10の制御部60及びデータベース部62の構成を変更したものであり、制御部、ベータベース部以外の構成は既述の分包機10と同様である。
【0048】
図4は、この分包機の制御部60A、データベース部62Aの付近を示す。
図4に示すように、制御部60Aには、散薬識別情報(図5参照。具体的には整理番号等)と該散薬識別情報に対応する散薬の粒子特性(図5では、粒度(粉末、細粒、顆粒の3種)、堆積時の安息角(大、中、小の3種)、飛散性(無、小、大の3種))とを互いに関連付けて格納(記憶)した粒子特性データ格 納部621と、前記粒子特性とこれに対応する制御パターン(制御プログラム。図6参照。散薬フィーダーの回転の有無及び回転させる場合の回転速度(図6中、フィーダー回転)、回転テーブルの回転速度(図6中、テーブル回転速度)、散薬フィーダーの加振器が発生する振動の強さ(図6中、振動強さ))とを互いに関連付けて格納(記憶)したプログラム格納部622とを具備するデータベース部62が接続されている。
【0049】
図5、図6において、粒度は、既述のように粉末、細粒、顆粒の3種とされている。
安息角は大、中、小の3段階とされている。散薬は安息角が大きいほど、散薬フィーダー31から回転テーブル21の環溝21aへ撒布したときの所望の堆積深さの確保が容易であり、安息角が小さいほど環溝21aへの撒布時に環溝21a内の広範囲に拡がりやすく所望の堆積深さの安定確保、均等な撒布が難しくなる。
また、飛散性は無し、小、大の3段階とされている。顆粒状の散薬は概ね散薬フィーダー31から回転テーブル21の環溝21aへ撒布時に飛散しやすい。粉末状の散薬等、粒径が小さい(粒度が小さい)ものほど撒布時の飛散が生じにくい傾向がある。但し、例えば、粒が硬質であるほど飛散しやすく(飛散性が大)、粒の硬さが低い(含水率が高い、環溝21a内面との衝突によって破砕しやすい等)ものほど飛散しにくい。このため、顆粒状の散薬でも飛散性が小さいものや、大きいものが存在する。粉末状の散薬、細粒状の散薬の飛散性についても顆粒状の散薬と同様のことが言える。粉末状の散薬については例えば撒布時に舞い上がりやすい微粉末などが飛散性が大の散薬に該当する。
【0050】
図6記載の「フィーダー回転」(散薬フィーダー31の回転の有無及び回転させる場合の回転速度)、「テーブル回転速度」(回転テーブル21の回転速度)、「振動強さ」(散薬フィーダー31の加振器312が発生する振動の強さ)は、それぞれ、散薬の粒子特性(粒度、安息角、飛散性)に基づいて設定されている。
【0051】
図6において、「フィーダー回転」は高速、低速、無(回転無し)の3段階とされている。散薬は粒度(粒径)が大きいほど散薬フィーダーの回転速度による遠心力の影響を受けやすい。このため、安息角が小さい散薬については、環溝21aへの撒布の均等化の点で散薬フィーダーの回転速度を低く抑えるか、散薬フィーダーの回転を行わない(「フィーダー回転」が無)ことが好ましい。一方、安息角が大きい散薬については、散薬フィーダーの回転速度を速くすることで撒布時間の短縮を図ることが容易である。図6では、安息角が大の散薬について「フィーダー回転」を高速、安息角が中の散薬について「フィーダー回転」を低速、安息角が小の散薬について「フィーダー回転」を低速に設定している。
【0052】
テーブル回転速度は高速、中速、低速の3段階とされている。また、振動強さは、強、中、弱の3段階とされている。
散薬フィーダー31から環溝21aに供給される散薬は、テーブル回転速度が速い程、飛散しやくなり、また、環溝21aにおける堆積深さの安定化、均等な撒布状態の確保も難しくなる傾向がある。このため、テーブル回転速度は、散薬の粒度(粒径)が大きいほど低く抑えることが好ましく、また、粒度が同じでも安息角が小さいほど、あるいは飛散性が大きいほど低く抑えることが好ましい。
また、散薬フィーダー31から環溝21aに供給される散薬は、粒度(粒径)が大きいほど加振器の振動強さの影響を受けやすく、環溝21aにおける堆積深さの安定化が難しくなり、飛散しやすくなる傾向がある。このため、環溝21aにおける堆積深さの安定化、均等な撒布状態の確保、飛散防止の点で、散薬の粒度が大きいほど振動強さを弱く抑えることが好ましい。
【0053】
この実施形態の分包機は、制御部60Aが、ホストコンピュータ61(図4参照)から入力された散薬識別情報に基づいて、データベース部62Aの粒子特性データ格納部621から該当の散薬識別情報に対応する粒子特性を取得し、この粒子特性に対応する制御パターン(制御プログラム)をプログラム格納部622から取得し、この取得した制御パターン(制御プログラム)に基づいてフィーダー回転機構32(具体的にはモータ34)、テーブル回転機構22(具体的にはモータ23)、加振器312の駆動を制御することで、撒布動作を行う。
前記制御部60Aによるフィーダー回転機構32、テーブル回転機構22、加振器312の駆動制御における散薬フィーダーの回転の有無・回転速度(高速、低速、無)、回転テーブルの回転速度(高速、中速、低速)、散薬フィーダーの加振器312が発生する振動の強さ(強、中、弱)は、制御部60Aがプログラム格納部622から前記散薬識別情報に対応する制御プログラムを取得することによって決まる。すなわち、制御部60Aがプログラム格納部622から前記散薬識別情報に対応する制御プログラムを取得する動作が、散薬フィーダーの回転の有無及び回転速度(高速、低速、無)、回転テーブルの回転速度(高速、中速、低速)、散薬フィーダーの加振器312が発生する振動の強さ(強、中、弱)を決定する動作となっている。前記制御部60Aは、散薬フィーダーの回転の有無及び回転速度(高速、低速、無)を決定するフィーダー回転有無・速度決定部、回転テーブルの回転速度(高速、中速、低速)を決定するテーブル回転速度決定部、散薬フィーダーの加振器312が発生する振動の強さ(強、中、弱)を決定する振動強さ決定部として機能する。
【0054】
この分包機は、上述のように散薬の粒度のみならず、安息角、飛散性も加味して制御プログラムを選択して散薬の撒布動作を行う構成であるため、第1実施形態の分包機に比べて、散薬の粒子特性により細かく対応して適切な撒布動作(所望の分割精度を確保できる撒布動作であって、撒布時間の短縮を図ることができる撒布動作)を実行することができる。このため、多種多様な散薬の粒子特性に幅広く対応して高い分割精度を確保しつつ撒布時間の短縮を図ることができる。
【0055】
なお、上述の実施形態では、図6に例示したように、「フィーダー回転」を高速、低速、無(回転無し)の3段階、テーブル回転速度を高速、中速、低速の3段階、振動強さを強、中、弱の3段階とした構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。「フィーダー回転」は2段階あるいは4段階以上に設定されていても良い。テーブル回転速度、振動強さについても、2段階あるいは4段階以上に設定することが可能である。
【0056】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態を説明する。
図7に示すように、この実施形態の分包機10Aは、既述の第1実施形態の分包機10に符号70の散薬フィーダーを追加した構成となっている。
前記散薬フィーダー70は、既述の散薬フィーダー31と同様の構造であり、散薬1が投入されるホッパ71と、このホッパ71に振動を与える加振器72とを有する構成となっている。但し、この散薬フィーダー70は、分包機10Aの外装カバー11の天板11a上に設置されて、回転テーブル21の外側(径方向外側)にて回転テーブル21の回転軸心に対して定位置に設けられている。そして、この散薬フィーダー70は、前記回転テーブル21の回転時に前記回転テーブル21の前記環溝21aに散薬1をホッパ71下部の撒布用シュート73から供給して撒布する。以下、この散薬フィーター70を、定位置撒布フィーダーとも言う。
【0057】
この分包機10Aにあっては、散薬フィーダー31からの撒布動作時に、定位置撒布フィーダー70から回転テーブル21の前記環溝21aへの散薬1の撒布も行うことができる。
定位置撒布フィーダー70から環溝21aへ撒布する散薬1は、難転動性散薬、易転動性散薬のいずれでも良い。また、定位置撒布フィーダー70から回転テーブル21の前記環溝21aへの散薬1の撒布は、第1撒布動作、第2撒布動作のいずれを採用した場合であっても実行可能である。
なお、定位置撒布フィーダー70から前記環溝21aへの散薬1の撒布(加振器72の駆動)は、散薬フィーダー31からの撒布動作(加振器の駆動)開始と同時に開始し、散薬フィーダー31からの撒布動作終了と同時に終了するものとする。
また、この分包機10Aにあっては、散薬フィーダー31から環溝21aへの散薬の撒布を行わず、定位置撒布フィーダー70から前記環溝21aへの散薬1の撒布のみを行うことも可能である。
【0058】
定位置撒布フィーダー70を設けてこの定位置撒布フィーダー70からも回転テーブル21の環溝21aへの散薬の撒布を行えるようにする構成は、第2実施形態の分包機にも適用可能であることは言うまでもない。
定位置撒布フィーダー70は、例えば、顆粒状の散薬、安息角が小さい散薬、飛散性が大の散薬の環溝21aへの撒布に有効に利用できる。
【0059】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、適宜設計変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、平面視において前記回転テーブル21の前記環溝21aによって取り囲まれる内側に、フィーダー回転機構によって回転テーブル21とは反対方向に回転される2つの散薬フィーダー31A、31Bを設置した構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、平面視において前記回転テーブル21の前記環溝21aによって取り囲まれる内側に、フィーダー回転機構によって回転テーブル21とは反対方向に回転される散薬フィーダーをひとつのみ設置した構成も採用可能である。この構成の場合、撒布動作の選択は撒布する散薬の転動性種別に従う。つまり、既述の2つの散薬フィーダー31A、31Bを具備する分包機において、使用する散薬フィーダーの数を決定する動作を省略し、2つの散薬フィーダー31A、31Bのうち片方のみを使用(片方の散薬フィーダーのみに散薬を投入)して散薬の撒布を行う場合と同様の撒布動作の選択を行う。
また、本発明はフィーダー回転機構によって回転テーブル21とは反対方向に回転される散薬フィーダーを平面視において前記回転テーブル21の前記環溝21aによって取り囲まれる内側に設置した構成に限定されず、フィーダー回転機構によって回転テーブル21とは反対方向に回転される散薬フィーダーを環溝21aの外側(径方向外側)に設置した構成としても良い。
【符号の説明】
【0060】
1…散薬、10,10A…薬剤分包機、11…外装カバー、11a…天板、12…カバー部材、121…開口部、21…分割用回転テーブル、21a…環溝、22…テーブル回転機構、23…モータ、23a…駆動軸、23b…駆動ギア、24…ギア、24a…歯部、25…支持部材、26…ベアリング、31、31A、31B…散薬フィーダー、311…ホッパ、312…加振器、313…受け筒部、314…撒布用シュート、315…落ち口、316…リング部材、32…フィーダー回転機構、33…フィーダー支持台、331…回転軸、332…ギア、34…モータ、34a…駆動軸、34b…駆動ギア、35…ベアリング、40…掻き出し装置、41…掻き出し装置本体、42…アーム、43…回転ディスク、44…掻き出し用ブレード、45…分割用仕切板、46…回転ユニット、47…シュート、50…包装装置、60、60A…制御部(回転有無決定部)、61…ホストコンピュータ、62、62A…データベース部、621…粒子特性データ格納部、622…制御プログラム格納部、70…定位置撒布フィーダー、71…ホッパ、72…加振器、73…撒布用シュート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状あるいは顆粒状の薬剤である散薬を堆積するための環溝が周設された分割用回転テーブルと、この分割用回転テーブルを回転させるテーブル回転機構と、前記分割用回転テーブルの回転時に前記環溝に前記散薬を供給して撒布する散薬フィーダーと、この散薬フィーダーを前記分割用回転テーブルとは逆向きに回転させるフィーダー回転機構と、前記環溝から目的量の散薬を掻き出す掻き出し装置と、この掻き出し装置によって前記環溝から掻き出された散薬を包装する包装装置とを備え、
前記分割用回転テーブルと前記散薬フィーダーとを互いに反対の方向に回転させた状態で前記散薬フィーダーから前記分割用回転テーブルの環溝への散薬の撒布を行えるように構成されていることを特徴とする薬剤分包機。
【請求項2】
前記散薬フィーダーは、前記フィーダー回転機構によって前記分割用回転テーブルと同軸に回転されるフィーダー支持台に取り付けられており、平面視において前記分割用回転テーブルの前記環溝によって取り囲まれる内側に位置するように設置されていることを特徴とする請求項1記載の薬剤分包機。
【請求項3】
前記テーブル回転機構及び前記フィーダー回転機構の駆動を制御する制御部を具備し、前記テーブル回転機構によって前記分割用回転テーブルを回転させた状態で前記散薬フィーダーから前記分割用回転テーブルの環溝へ散薬を撒布する撒布動作を行う際の前記フィーダー回転機構による前記散薬フィーダーの回転の有無が選択可能とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の薬剤分包機。
【請求項4】
前記制御部は、前記散薬フィーダーに供給される散薬の種類及び/又は処方箋データが入力されるホストコンピュータに接続されており、前記散薬フィーダーに供給される散薬の種類に対応して前記ホストコンピュータから入力される信号である散薬識別情報に基づいて撒布動作の際の前記フィーダー回転機構による前記散薬フィーダーの回転の有無を決定する回転有無決定部を具備することを特徴とする請求項3記載の薬剤分包機。
【請求項5】
前記散薬フィーダーが散薬が投入されるホッパとこのホッパに振動を与えて前記ホッパ内の散薬を該ホッパに設けられている撒布用シュートから前記分割用回転テーブルの環溝へ落下させる加振器とを具備する振動フィーダーであり、
前記制御部は、前記散薬フィーダーに供給される散薬の種類及び/又は処方箋データが入力されるホストコンピュータと接続され、前記散薬フィーダーに供給される散薬の種類毎の識別情報である散薬識別情報が前記ホストコンピュータから入力されるようになっており、前記ホストコンピュータから入力される前記散薬識別情報に基づいて前記フィーダー回転機構、前記テーブル回転機構、前記加振器の駆動を制御するための制御プログラムをデータベース部から取得し、この取得した制御プログラムに基づいて、撒布動作の際の前記フィーダー回転機構による前記散薬フィーダーの回転の有無及び回転させる場合の回転速度、前記テーブル回転機構による前記回転テーブルの回転速度、前記加振器が発生する振動の強さを制御するように構成されていることを特徴とする請求項3又は4記載の薬剤分包機。
【請求項6】
さらに、前記分割用回転テーブルの回転軸心に対する定位置に設けられて前記分割用回転テーブルの回転時に前記分割用回転テーブルの前記環溝に散薬を撒布用シュートから供給して撒布する定位置撒布フィーダーを具備することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の薬剤分包機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−173658(P2010−173658A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15624(P2009−15624)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(390010582)株式会社エルクエスト (33)
【出願人】(392022064)株式会社エルクコーポレーション (25)
【Fターム(参考)】