説明

薬剤包装装置

【課題】より多種類の薬剤を貯め置くことができ、より多品種の薬剤をパッケージすることができる薬剤包装装置を提供する。
【解決手段】 薬剤包装装置1は、薬剤供給部2と、薬剤包装部3を備え、その中間部分に薬剤路25が設けられている。薬剤移送装置は、内部に薬剤区画室があり、薬剤区画室に薬剤を充填し、内部の回転円板部材を回転させて薬剤を水平移動させる。薬剤包装装置1では、従来技術で必須であった全高の高いホッパが不要であり、より多数の薬剤フィーダを設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を包装紙に包装したり、容器に充填する薬剤包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
処方箋に応じて所定の薬剤を取り出し、これを自動的に包装する薬剤包装装置が知られている。
薬剤包装装置の先行技術としては次の様なものがある。
【特許文献1】特開平4−319354
【特許文献2】特開昭61−259901
【特許文献3】特開2004−115045
【特許文献4】特開2004−115131
【0003】
図17は、特許文献1に開示された薬剤包装装置のレイアウトである。すなわち薬剤包装装置100は、上下二段に分かれた構造をしており、上部側に薬剤供給部101があり、下部側に薬剤包装部102が設けられている。
薬剤供給部101は、複数の薬剤落下通路103を備え、この薬剤落下通路103に多数の薬剤フィーダが並べて配置されている。また薬剤フィーダには薬剤貯蔵容器が取り付けられている。
薬剤包装部102は、包装部導入口105を有し、包装部導入口105に投入された薬剤を包装紙で包装する機能を備えた機械部分である。
また薬剤供給部101と薬剤包装部102との間には、薬剤落下通路103から排出された薬剤を包装部導入口に導くためのホッパ106が配置されている。
【0004】
薬剤包装装置100の動作は次の通りである。すなわち薬剤包装装置100には図示しない入力装置があり、当該入力装置に処方箋の内容が入力される。その結果、該当する薬剤を貯留する薬剤貯蔵容器から薬剤フィーダによって薬剤が取り出され、当該薬剤は薬剤落下通路103側に排出される。そして薬剤は薬剤落下通路103を落下し、下部のホッパ106に捕捉される。さらに薬剤はホッパ106を滑り落ちて包装部導入口105に至り、薬剤包装部102に入る。薬剤包装部102に入った薬剤は、包装紙で包装され、所定の取り出し口から取り出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した薬剤包装装置100は、薬剤供給部101に薬剤を貯め置いて取り出すものであるが、取り出し得る薬剤の種類は多いほど良い。そのため薬剤供給部101にはより多種類の薬剤が貯め置かれることが望ましい。すなわち、薬剤包装装置は、より多くの薬剤フィーダを備えることが望ましい。従来技術の薬剤包装装置100はこの要求に応えるため、多数の薬剤フィーダを備えているが、まだ充分とは言えない。
【0006】
すなわち従来技術の薬剤包装装置100は、多数の薬剤フィーダを取り付けるために、薬剤落下通路103が複数設けられている。
例えば図17に示す薬剤包装装置100では、4列の薬剤落下通路103を備え、この薬剤落下通路103に薬剤フィーダが取り付けられている。
そのため薬剤供給部101は、横幅が広いものとなる。したがって薬剤供給部101の下部に設けられたホッパ106もこれに合わせて全幅が広いものとならざるを得ない。
【0007】
ここでホッパ106は薬剤が確実に滑り落ちることが必要であるから、相当の傾斜角度を設けなければならない。なおこの角度は、45°以上が好ましい。
そのためホッパ106の全幅が広いと、その高さも高いものとならざるを得ない。一方、薬剤供給部101の薬剤貯蔵容器には人手によって薬剤を入れなければならないから、薬剤包装装置100の全高には制限がある。
そのため多種類の薬剤を貯め置く事を意図して、薬剤落下通路103の数を増やすと、ホッパ106の全高が高くなってしまい、薬剤の収容スペースを圧迫する。そのため薬剤落下通路103の数を増やすと、薬剤フィーダの段数を減らさなければならないという矛盾が生じる。
そのため従来構造の薬剤包装装置100では、薬剤供給部101に配する薬剤フィーダの数が限られ、より多種類の薬剤を貯め置きたいという需要者の要求に応えることができないという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、より多種類の薬剤を貯め置くことができ、より多品種の薬剤をパッケージすることができる薬剤包装装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、複数種類の固形薬剤を貯留すると共に当該薬剤を下部側に排出する薬剤供給部と、前記薬剤を包装又は容器にパッケージする薬剤包装部を備え、薬剤包装部に薬剤を導入する包装部導入口が前記薬剤供給部の下部に配され、さらに前記薬剤供給部から排出された薬剤を包装部導入口に導く薬剤路が設けられた薬剤包装装置において、薬剤路の一部に薬剤移送装置が設けられ、当該薬剤移送装置は、環状且つ略水平に配置された複数の薬剤区画室と、当該薬剤区画室を回転させる回転手段を有し、特定の充填位置にある薬剤区画室に薬剤を充填し、前記回転手段で薬剤区画室を回転し、薬剤区画室の錠剤を排出位置に設けた開口から落下させることを特徴とする薬剤包装装置である。
【0010】
ここで固形状薬剤とは、錠剤とカプセルの双方を含む概念である。
本発明の薬剤包装装置では、薬剤路の一部に薬剤移送装置が設けられている。薬剤移送装置は複数の薬剤区画室を持ち、充填位置にある薬剤区画室に薬剤を充填される。続いて回転手段によって薬剤区画室が回転されるが、薬剤移送装置は、略水平に配置されているから、薬剤区画室の回転によって中の薬剤が水平方向に移動する。そして排出位置において薬剤区画室の底部を開き、薬剤を落下させる。そのため従来技術の様な全高の高いホッパーは不要であり、薬剤の貯留スペースが広い。また本発明では、薬剤区画室は環状に複数配されており、これを回転させるものであるから、薬剤区画室が次々と充填位置にやって来る。また同様に薬剤区画室は次々と排出位置に至り、薬剤を排出させる。そのため薬剤を排出するスパンが短く、単位時間あたり、多くの回数薬剤を運搬することができる。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、複数種類の固形薬剤を貯留すると共に当該薬剤を下部側に排出する薬剤供給部と、前記薬剤を包装又は容器にパッケージする薬剤包装部を備え、薬剤包装部に薬剤を導入する包装部導入口が前記薬剤供給部の下部に配され、さらに前記薬剤供給部から排出された薬剤を包装部導入口に導く薬剤路が設けられた薬剤包装装置において、薬剤供給部は複数の固形薬剤を貯留する薬剤供給部と前記薬剤供給部から固形薬剤を取り出す薬剤フィーダとの組み合わせを複数備え、さらに一又はそれ以上の薬剤供給部から取り出された薬剤を落下させる薬剤落下通路が複数設けられたものであり、薬剤路は、一又はそれ以上の薬剤落下通路から排出された薬剤を一定の位置に収集する収集手段と、薬剤移送装置を備え、当該薬剤移送装置は、環状且つ略水平に配置された複数の薬剤区画室と、当該薬剤区画室を回転させる回転手段を有し、特定の充填位置にある薬剤区画室に前記収集手段から薬剤を充填し、前記回転手段で薬剤区画室を回転し、薬剤区画室の錠剤を排出位置に設けた開口から落下させ、直接的に又は他の中間路を介して包装部導入口に薬剤を導くことを特徴とする薬剤包装装置である。
【0012】
本発明の薬剤包装装置も請求項1と同様の薬剤移送装置が設けられており、従来技術の様な全高の高いホッパーは不要であり、薬剤の貯留スペースが広い。また本発明のの薬剤包装装置についても、単位時間あたり、多くの回数薬剤を運搬することができる。
また特に本発明の薬剤包装装置では、一又はそれ以上の薬剤落下通路から排出された薬剤を一定の位置に収集する収集手段を備え、収集手段から薬剤区画室に薬剤を充填するので、薬剤落下通路の水平断面の面積が大きくても充填位置に薬剤を運ぶことができる。
なお収集手段には、例えばホッパやシュータが活用されるが、本発明では、前記した様に水平方向の移動に薬剤移送装置を活用するので、ホッパの高さは低いもので足る。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、薬剤区画室には一回に服用する分量の薬剤が充填されることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤包装装置である。
【0014】
本発明では、薬剤区画室に一回に服用する分量の薬剤が充填されるので、下部に設けられた薬剤包装部には一回に服用する分量の薬剤が導入され、薬剤は、一回分毎にパッケージされる。
【0015】
また請求項4に記載の発明は、薬剤移送装置は、排出位置から充填位置に至る間の回転位置に薬剤区画室の底部を開く第二排出位置を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤包装装置である。
【0016】
本発明の薬剤包装装置は、薬剤区画室内の薬剤が完全に排出されなかった場合に異種薬剤の混入を防ぐものである。
すなわち固形薬剤が何らかの理由で割れたり欠けたりすることがあり、形が歪になる場合がある。この様な場合は、本来の排出位置で薬剤が排出されない場合がある。また排出位置で薬剤がブリッジを起こして薬剤区画室内に薬剤が残留する場合もある。
この様に薬剤が残留したままの状態で、薬剤区画室が充填位置に戻ると、残留した薬剤の上から新規に充填される薬剤が投入されてしまう。そして戻った薬剤区画室に充填される薬剤が、先の薬剤と異なる場合も想定され、この様な場合には異種薬剤が混入してしまうこととなる。
これに対して本発明は、排出位置から充填位置に至る間の回転位置に薬剤区画室の底部を開く第二排出位置を設けたので、万一、薬剤区画室に薬剤が残留していても、第二排出位置で全て排出される。そのため本発明の薬剤包装装置では、他人が服用する薬剤が混入することはない。
【0017】
また請求項5に記載の発明は、第二排出位置に吸引手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の薬剤包装装置である。
【0018】
本発明の薬剤包装装置では、第二排出位置に吸引手段を設けたので、薬剤包装装置に残留する薬剤をより確実に排出することができる。
【0019】
また請求項6に記載の発明は、薬剤区画室は、底部が傾斜していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の薬剤包装装置である。
【0020】
本発明の薬剤包装装置では、底部が傾斜しているので、薬剤区画室内の薬剤が一定の位置に集まる。そのため本発明の薬剤包装装置では、薬剤の排出が確実である。
【0021】
請求項7に記載の発明は、薬剤区画室は、底部の断面形状がV字状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の薬剤包装装置である。
【0022】
請求項7に記載の発明についても、請求項6に記載の発明と同様、薬剤区画室内の薬剤が一定の位置に集まるので、薬剤の排出が確実である。
【0023】
請求項8に記載の発明は、二台以上の薬剤移送装置を備え、その内の少なくとも二台の薬剤移送装置は、共通する薬剤受け部材に対して薬剤を落下させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薬剤包装装置である。
【0024】
本発明の薬剤包装装置では、二台の薬剤移送装置が、共通する薬剤受け部材に薬剤を落下させる構成を採用するので、無駄なスペースが生じにくい。
【0025】
また請求項9に記載の発明は、複数の薬剤落下通路は二つの組にグループ分けされ、収集手段はホッパであり、グループ毎に一又は複数のホッパによって薬剤が一定の位置に収集され、二台の薬剤移送装置を備え、前記各グループの薬剤落下通路から排出された薬剤は前記二台の薬剤移送装置のいずれか一方の薬剤区画室に充填され、前記二台の薬剤移送装置は、共通する薬剤受け部材に対して薬剤を落下させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薬剤包装装置である。
【0026】
本発明の薬剤包装装置では、グループ内の薬剤落下通路から落下した薬剤を一旦ホッパで捕捉して一定の位置に移動させ、さらに薬剤移送装置によって所定の位置には運ぶ。本発明についても、二台の薬剤移送装置が、共通する薬剤受け部材に薬剤を落下させる構成を採用するので、無駄なスペースが生じにくい。
【0027】
また請求項10に記載の発明は、散薬を一回服用分づつ分割する散薬分割装置を備え、散薬についても薬剤包装部でパッケージ可能であり、散薬のみをパッケージする散薬単独モードと、固定薬剤のみを包装する錠剤単独モードと、散薬と錠剤を同一の包装内に同包する同包モードと、散薬のみと固定薬剤のみを交互に包装する交互モードがあり、少なくとも同包モードと交互モードにおいては、散薬分割装置と薬剤移送装置とが並行的に動作することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の薬剤包装装置である。
【0028】
本発明の薬剤包装装置は、散薬分割装置を備え、散薬についても包装することができる。本発明の薬剤包装装置では、同包モードと交互モードの際に散薬分割装置と薬剤移送装置とが並行的に動作するので、時間の無駄がない。
【0029】
また請求項11に記載の発明は、散薬を一回服用分づつ分割する散薬分割装置を備え、散薬についても薬剤包装部でパッケージ可能であり、さらにパッケージすべき薬剤の種類を記憶する記憶手段を有し、当該記憶手段からパッケージすべき薬剤の種類を読みだして順次薬剤をパッケージし、前記記憶手段に錠剤をパッケージする情報が記憶されているが現在は散薬のみをパッケージする動作を行っている場合、薬剤供給部と薬剤移送装置を動作させて所定の薬剤を薬剤移送装置の薬剤区分室に充填しておくことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の薬剤包装装置である。
【0030】
本発明についても時間の無駄を解消することを目的としている。
すなわち請求項1乃至9に記載の発明は、薬剤区画室に薬剤を充填し、薬剤区画室を回転して排出位置に運ぶから、薬剤の充填から排出までの間に時間が掛かる。
たとえば、いずれの薬剤区画室も空である状態を想定すると、薬剤区画室の回転初期には薬剤は排出されない。すなわち薬剤が充填された薬剤区画室が排出部に至るまでの回転によっては薬剤は排出されない。
また薬剤区画室の回転は実際上、比較的ゆっくりであるから、最初の薬剤充填から排出されるまでの間に時間がかかる。
すなわち請求項1乃至9に記載の薬剤包装装置では、充填部に位置する薬剤区画室に薬剤が充填された後、薬剤区画室の全てが回転して所定角度進行し、薬剤が充填された薬剤区画室は充填部を離れる。
代わって後方の薬剤区画室が充填部に位置し、後方の薬剤区画室に薬剤を充填する。この様に順次薬剤を充填しつつ薬剤区画室を移動させるので、薬剤区画室の移動はタクト送りにするかあるいはゆっくりした回転速度で回転させる必要がある。
そして前記した様に、いずれの薬剤区画室も空であれば、薬剤区画室の回転初期には薬剤は排出されないので、最初の薬剤充填から排出されるまでの間に時間がかかり、無駄である。
そこで本発明では、散薬のみをパッケージする動作を行っている場合に、薬剤供給部と薬剤移送装置を動作させて所定の薬剤を薬剤移送装置の薬剤区分室に充填しておくので、時間の節約が可能となる。
【0031】
また請求項12に記載の発明は、さらに薬剤区分室を回転させ、薬剤が充填させた薬剤区分室を排出位置の手前で待機させることを特徴とする請求項11に記載の薬剤包装装置である。
【0032】
本発明の薬剤包装装置では、薬剤区分室を回転させ、薬剤が充填させた薬剤区分室を排出位置の手前で待機させるので、あと少しの回転によって薬剤が排出される。そのため本発明の薬剤包装装置は、時間無駄が少ない。
【0033】
また請求項13に記載の発明は、さらに薬剤区分室を回転させ、薬剤が排出されない状態で待機させることを特徴とする請求項11に記載の薬剤包装装置である。
【0034】
本発明の薬剤包装装置では、薬剤区分室を回転させるので、薬剤を排出させる際に必要な薬剤区分室の回転角度が小さい。また本発明の薬剤包装装置では、薬剤が排出されない状態で待機させるので、異種の薬剤が混じることはない。
【発明の効果】
【0035】
本発明の薬剤包装装置は、薬剤移送装置によって薬剤を水平方向に移動させるので、従来の様な高さの高いホッパは不要である。そのため薬剤路の高さを低く抑えることが可能であり、薬剤収納スペースを広くとることができ、従来に増して多種類の薬剤を貯め置くことができる。
また特に請求項4,5に記載の発明では、薬剤同士の混入を未然に防ぐことができ、安全性が高いという効果がある。
また特に請求項6,7に記載の薬剤包装装置では、薬剤移送装置の薬剤区画内において、薬剤が一定の位置に集まるので、薬剤移送装置からの薬剤排出が確実であるという効果がある。
また特に請求項10,11,12に記載の薬剤包装装置では、時間的な無駄を解消することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の薬剤包装装置の斜視図である。図2は、図1の薬剤包装装置の一部たる薬剤包装部の斜視図である。図3は、図1の薬剤包装装置の一部たる薬剤落下通路を構成する共通通路部材の斜視図である。図4(a)は、図1の薬剤包装装置の一部たる壁状部材の斜視図であり、(b)は、(a)の壁状部材を下から見た斜視図である。図5は、図1に示す薬剤包装装置のレイアウトを示す概略斜視図である。図6は、図1に示す薬剤包装装置のレイアウトを示す概略断面図である。
【0037】
図1,5,6において1は、本実施形態の薬剤包装装置を示す。本実施形態の薬剤包装装置1は、薬剤供給部2と、薬剤包装部3を備え、その中間部分に薬剤路25(図6)が設けられている。そして本実施形態では、薬剤路25の一部に薬剤移送装置28が採用されている。また薬剤包装部3内に散薬を分割する散薬分割装置9が内蔵されている。
以下順次説明する。
【0038】
薬剤供給部2は、図3の様な共通通路部材5を多数並べて図4の様な壁状部材6を構成し、さらにこの壁状部材6を図5の様に4列に並べて成るものである。
すなわち一つの共通通路部材5は、図3の様に溝型をしており、複数の貫通孔7が設けられている。そして各貫通孔7にそれぞれ薬剤フィーダ8が取り付けられている(図3には、最も下部の薬剤フィーダ8のみを図示)。
【0039】
共通通路部材5は、図4に示すように開口同士が合わせられ、さらにこれを5組、平面的に並べて壁状部材6が構成されている。
すなわち壁状部材6は、共通通路部材5が、図4に示すように二つが一組となって凹側の開口側同士が合致され、さらにこれを垂直姿勢にした状態で多数横方向に並べられたものである。そのため壁状部材6を正面側から見ると、薬剤フィーダ8が縦横行列状に並んで配置されている。また壁状部材6を裏面側から見ても同様であり、薬剤フィーダ8が縦横行列状に並んで配置されている。なお壁状部材6は図5の様に4列に並べて配されており、中央の二枚の壁状部材6の構造は上記した通りであるが、両端部の壁状部材6は、片側だけしか薬剤フィーダ8が無い。
【0040】
共通通路部材5は、前記した様に溝状の部材であり、垂直方向に配置されているから、共通通路部材5の内面同士の間によって天地方向に延びる空隙が形成される。そしてこの空隙が薬剤落下通路10として機能する。
各薬剤フィーダ8には、薬剤カセット14(図3 二点鎖線)が取り付けられ、各薬剤カセット14には別種の錠剤が内蔵されている。
【0041】
なお本実施形態で採用する薬剤供給部2では、図6に示す様に上部側レール4と上部側レール13によって壁状部材6が支持されており、壁状部材6を図1の正面側に引き出すことができる。
【0042】
薬剤包装部3は、錠剤及び散剤を包装紙で包装する機能を有する。すなわち薬剤包装部3は、包装紙のロールが内蔵され薬剤供給部2側から供給された薬剤等を包装するものである。薬剤包装部3の内部の詳細説明は省略するが、内部において包装紙が2つ折りにされた後に長手方向に所定間隔でシールされて連続的な小袋が形成され、当該小袋の中に薬剤供給部2側から供給された薬剤を投入し、さらに開口部分をシールする様にしたものである。
本実施形態の薬剤包装部3では、上面の中央に薬剤の導入口(包装部導入口17)があり、包装部導入口17から導入された薬剤が前記した様に包装される。本実施形態では、包装部導入口17はロート状の薬剤受け部材20である。
【0043】
また薬剤包装部3には散薬を分割する散薬分割装置9が内蔵されている。
図7は、散薬分割装置の概念図である。
散薬分割装置9は、図7に示すように散薬薬剤フィーダ18と円板11と掻き出し装置12を備えるものである。散薬薬剤フィーダ18は、収容された薬剤(主に散薬、顆粒を含む)を一定量ずつ供給する。円板11は、略ドーナツ状であり、上面外周部に環状溝15を有し、モータ16によって一定速度で回転する。散薬薬剤フィーダ18から散薬を供給する際、円板11を回転させながら行うことにより、環状溝15内に均等に薬剤が収容される。掻き出し装置12は、円板11の回転により、環状溝15内の散薬を円周方向に掻き寄せた後、図示しないモータの駆動によって径方向に薬剤を一包分だけ掻き出す。
【0044】
散薬分割装置9から掻き出された散薬についても、錠剤等と同様に包装される。
なお本実施形態の薬剤包装部3では、図2の様に上面部の前側に二箇所、散薬導入口21があり、当該散薬導入口21に供給された散薬が散薬分割装置9によって分割される。
【0045】
薬剤路25は、薬剤供給部2と包装部導入口17を繋ぐものであり、本実施形態では、二基のホッパ26a,26bと二台の薬剤移送装置28a,28bによって構成されている。
図8(a)は、図1の薬剤包装装置の一部たるホッパの正面図であり、(b)はその平面図であり、(c)はその右側面図である。図9(a)は、図1の薬剤包装装置の一部たる薬剤移送装置を上部から見た斜視図であり、(b)は下部から見た斜視図である。図10は、図9の薬剤移送装置を上部側から観察した分解斜視図である。図11は、図9の薬剤移送装置を下部側から観察した分解斜視図である。図12(a)は、図9の薬剤移送装置の充填部における断面分解斜視図であり、(b)は同部位の断面斜視図である。図13(a)は、図9の薬剤移送装置の排出部における断面分解斜視図であり、(b)は同部位の断面斜視図である。図14(a)は、図9の充填部及び排出部以外の部位における断面分解斜視図であり、(b)は同部位の断面斜視図である。
【0046】
ホッパー26は、図8に示すように上部に二つの導入開口30,31を持ち、下部に一つの排出開口32を有するものである。
導入開口30,31は、いずれも長方形であり、前記した薬剤供給部2の壁状部材6の下部の形状と一致する。
排出開口32は、導入開口30,31に比べて充分に小さいものである。
ホッパー26は、図8の様に一方の導入開口30と排出開口32を繋ぐ第一傾斜通路33と、他方導入開口31と排出開口32を繋ぐ第一傾斜通路34を備え、正面から見ると「Y」形である。
【0047】
薬剤移送装置28は、図9に示すような円板形をしている。薬剤移送装置28は、図10,11に示すように底部材35と、回転円板部材36及び蓋部材37によって構成されている。
すなわち底部材35は、縁のある盆の様な形状をしており、円形の底面部40とその周囲に垂直に設けられた周壁部44を備える。
そして底面部40の外周部近傍には溝部43が設けられている。溝部43の断面形状は図12に示すようにV字状である。すなわち溝部43は図12に示すように二つの傾斜面41,42によって形成されており、両傾斜面の先端は線接触状態である。
溝部43は、円形の底面部40と同心的に設けられ、略環状に設けられているが、二箇所に欠落部分がある。
すなわち図9(b)及び図11の様に溝部43の軌跡上に二箇所の開口45,46が設けられている。一方の開口45は、後記する薬剤区画室一個分の大きさであり、第一排出部45として機能する。もう一つの開口46は、前記した第一排出部45よりも大きく、薬剤区画室二個分に相当する大きさであり、第二排出部46として機能する。
【0048】
回転円板部材36は、薬剤区画室形成部材48が8個設けられた部材である。すなわち回転円板部材36は、円板状の本体部47を持ち、当該本体部47に薬剤区画室形成部材48が環状且つ等間隔に8個形成されている。薬剤区画室形成部材48は、本体部47の下部に設けられた平面視が略長方形の周壁であり、薬剤区画室形成部材48の部位において、回転円板部材36は、上下に貫通する。
言い換えると、薬剤区画室形成部材48は、略長方形であって底の無い凹部である。すなわち薬剤区画室形成部材48は、図12(a)の様に内周側壁50と外周側壁51及び対向する二つの周方向壁52(一方の周方向壁は図示されていない)を備えるが、底面側は開口している。
【0049】
薬剤区画室形成部材48を構成する4面の壁50,51,52,52の内、内周側壁50と外周側壁51は先端部分が平坦であるが、これらを繋ぐ周方向壁52は、図12(a)の様に先端部分が尖っている。すなわち周方向壁52の先端は、内周側壁50と外周側壁51の先端よりも突出しており、当該突出部分70の形状は三角形である。また当該突出部分70の形状は、前記した底部材35に形成された溝部43の断面形状と一致する。
【0050】
薬剤区画室形成部材48が前記した様に環状に並べられているが、8個の薬剤区画室形成部材48が形成する仮想円は、前記した底部材35の溝部43が形成する仮想円と一致する。すなわち薬剤区画室形成部材48の内周側壁50と外周側壁51の中間を結ぶ仮想線は、円形であるが、当該円の位置及び大きさは、溝部43の最奥部のラインが構成する仮想円と一致する。
回転円板部材36の本体部には、大径の歯車53が取り付けられている。
【0051】
蓋部材37は、金属で作られた薄板であり、中央に大きな開口55が設けられている。そして開口55を跨いでモータ取付け部材56が設けられ、当該モータ取付け部材56によってモータ(回転手段)58が取り付けられている。モータ58は回転軸を下にして取り付けられ、回転軸には歯車60が取り付けられている。
【0052】
また蓋部材37の周部近傍には開口61が設けられている。開口61は、略長方形であり、薬剤充填口(充填位置)61として機能する。薬剤充填口61には、ホッパ取付け座63が設けられている。ホッパ取付け座63は、略長方形であり、上下に連通する長方形の開口65が設けられている。
【0053】
薬剤移送装置28は、前記した様に底部材35と、回転円板部材36及び蓋部材37によって構成され、底部材35と蓋部材37によって形成される空隙内に回転円板部材36が配されている。
そして回転円板部材36の各薬剤区画室形成部材48が底部材35の溝部43と接する。より具体的に説明すると、図12(b)に示すように薬剤区画室形成部材48の内周側壁50と外周側壁51の先端が溝部43の入口付近と接し、周方向壁52の三角形の突出部分70の先端は、溝部43の中に入り込んで溝部43の傾斜面41,42と接する。
また前記した様に、突出部分70の形状は、溝部43の断面形状と一致するから、周方向壁52の先端と溝部43の傾斜面41,42は隙間無く接することとなる。
そのため薬剤移送装置28の内部には、薬剤区画室形成部材48と溝部43と蓋部材37によって6面が隙間無く覆われた薬剤区画室71が形成される。
ただし、図12に示すように薬剤充填口61においては、薬剤区画室71は上部側が開口し、第一排出部45及び第二排出部46においては下部側が開口する。
本実施形態では、薬剤充填口61と第一排出部45は中心を通って対向する位置に設けられている。また第二排出部46は、第一排出部45から薬剤充填口61に至る間に設けられている。
【0054】
また回転円板部材36の上面に取り付けられた大径の歯車53は、蓋部材37の開口55から外部に露出し、モータ58に取り付けられた小歯車60と嵌合する。従ってモータ58を回転させることによって、内部の回転円板部材36が回転する。
一つの薬剤区画室71に注目すると、特定の回転位置(薬剤充填口 充填位置)61では上部側が開口し、モータ58によって回転円板部材36が回転すると第一排出部45に至って下部側が開口する。充填位置(薬剤充填口)61から第二排出部46に至る間は、6面が閉塞している。
そしてさらにモータ58によって回転円板部材36が回転すると第二排出部46に至って下部側が開口する。
さらにモータ58によって回転円板部材36が回転すると、薬剤区画室71は充填位置(薬剤充填口)61に戻り、上面が開口する。
【0055】
次に上記した各部材の位置関係について説明する。
図5,6に示すように本実施形態の薬剤包装装置1では、上部に薬剤供給部2があり、下部に薬剤包装部3が配置されている。本実施形態の薬剤包装装置1では、前記した様に二台の薬剤移送装置28a,28bを備え、両者はいずれも水平姿勢であって図5,6の様に並べて配されている。そして各薬剤移送装置28a,28bの第一排出部45は両者の中心寄り位置に配置され互いに近接する。また各薬剤移送装置28a,28bの第一排出部45の下部には薬剤包装部3の包装部導入口17(薬剤受け部材20)が位置する。
前記した様に薬剤充填口(充填位置)61と第一排出部45は中心を通って対向する位置に設けられているから、薬剤移送装置28a,28bの薬剤充填口(充填位置)61は外側に位置にある。そしてホッパ26a,26bによって薬剤供給部2と薬剤移送装置28a,28bの薬剤充填口(充填位置)61が接続されている。
【0056】
本実施形態では、前記した様に壁状部材6が4列設けられており、各壁状部材6の下部は開口している。すなわち各壁状部材6の下部はいずれも薬剤落下通路の下端であり、図4(b)の様にそれぞれ5個の開口73があり、これらが直列的に並んでいる。
そして本実施形態の薬剤包装装置1では、正面から見て左側二列の壁状部材6a,6bに第一のホッパ26aが装着され、残る二列の壁状部材6c,6dに第二のホッパ26bが装着されている。
【0057】
すなわち各ホッパ26の導入開口30、31がそれぞれ壁状部材6の下部に位置する。また各ホッパ26の排出開口32は、薬剤移送装置28の薬剤充填口(充填位置)61と接している。
【0058】
次に本実施形態の薬剤包装装置1の機能について説明する。本実施形態の薬剤包装装置1は、4種類の運転モードを備える。すなわち本実施形態の薬剤包装装置1は、固定薬剤のみを包装する錠剤単独モードと、散薬のみをパッケージする散薬単独モードと、散薬と錠剤を同一の包装内に同包する同包モードと、散薬のみと固定薬剤のみを交互に包装する交互モードを持つ。
錠剤単独モードにおける動作は、図15のフロチャートの通りである。
本実施形態の薬剤包装装置1では、図示しない上位コンピュータのタッチパネルへの入力を端緒とし、タッチパネルに処方箋の内容が入力される。そして図示しない上位コンピュータは、薬剤包装装置1の図示しない制御装置に処方箋の内容をデータ送信する。
図15に示すフローチャートでは、ステップ1でタッチパネルから処方箋データを受信する。
【0059】
そしてステップ2に進み、入力された処方箋データに基づいて複数の薬剤フィーダ8の中から特定の薬剤フィーダ8を選定する。
【0060】
またステップ3で、排出する薬剤の個数を受信する。ここでは一回に服用すべき錠剤の個数が受信される。
続いてステップ4に移行し、薬剤フィーダ8のモータを起動し、薬剤カセット14のロータを回転させ、薬剤カセット14から一個づつ薬剤が排出される。排出された薬剤は、薬剤落下通路10に落ちる。さらに薬剤は薬剤落下通路10から排出されてホッパ26に捕捉され、ホッパ26の排出口から薬剤移送装置28に入る。
より具体的には、薬剤は、薬剤移送装置28の薬剤充填口(充填位置)61から薬剤移送装置28の中に入り、薬剤区画室71の一つに充填される。
図示しないセンサーによって薬剤区画室71の一つに薬剤が充填されたことが確認されると(ステップ5)、薬剤移送装置28のモータ58を動作させて(ステップ6)、内部の回転円板部材36を薬剤区画室一個分だけ回転させる。
【0061】
ここで本実施形態の薬剤移送装28では、回転円板部材36を移動させると、内部で薬剤区画室71自体が移動することとなる。厳密には回転円板部材36を移動させると、停止状態の底部材35の溝部43を、薬剤区画室形成部材48が摺動するのであるが、前記したように薬剤区画室形成部材48の内周側壁50と外周側壁51の先端が溝部43の入口付近と接し、周方向壁52の三角形の突出部分70の先端は、溝部43の中に入り込んで溝部43の傾斜面41,42と接しているから、薬剤区画室71を構成する空間が移動し、内部に充填された薬剤が周方向に移動する。
すなわち内部の薬剤は、回転円板部材36の回転によって周方向壁52に押され、周方向に移動する。ここで本実施形態では、薬剤区画室71の底を構成する溝部43の断面形状がV字状であるから、薬剤はしだいに溝部43の先端部分に寄せられる。
【0062】
ステップ7で回転円板部材36が薬剤区画室一個分だけ回転したことが確認されると、モータ58が停止し(ステップ8)、ステップ1に戻り、図示しないタッチパネルから次の処方箋データを受信し、以後、前記した工程を繰り返す。
【0063】
そしてこの工程を5回繰り返すと、最初に薬剤充填口(充填位置)61に位置していた薬剤区画室71が5回タクト送りされ、第一排出部45に至る。第一排出部45では、底板部材35に開口45が設けられているので、薬剤区画室71に充填されていた薬剤が下部に落下し、薬剤包装部3に導入されて包装される。
【0064】
また引き続き、回転円板部材36が回転されて次々と新たな薬剤区画室71が第一排出部45に到着し、途絶えることなく薬剤が排出されて包装されてゆく。
【0065】
薬剤の排出を終えた薬剤区画室71は、薬剤充填口(充填位置)61に戻るが、その途中で第二排出部46を通過する。第二排出部46についても底板部材35に開口46が設けられているので、万一、第一排出部45で排出されなかった薬剤や薬剤の残差があっても第二排出部46で排出される。
なお第二排出部46においては、掃除機程度の簡易な真空ポンプで薬剤区画室71内を吸引して清掃したり、逆にエアーブローによって残差等を吹き飛ばしてしまうことが望ましい。
【0066】
以上は、錠剤単独モードにおける動作であるが、散薬と錠剤を同一の包装内に同包する同包モード及び散薬のみと固定薬剤のみを交互に包装する交互モードについても同様の動作が行われる。ただし同包モードと交互モードの場合には、上記した錠剤の分割動作と並行して散薬の分割動作が行われる。
【0067】
これに対して散薬単独モードの場合は、原則的に散薬分割装置と薬剤包装部だけが動作することとなるが、近い時期に錠剤を包装することが明らかである場合には、それに備えて薬剤区画室に錠剤を充填しておくことが望ましい。
このときの制御の流れを図16を参照しつつ説明する。
【0068】
図16に示すフローを実行するのに際しては、制御装置は包装するべき薬剤の種類及び要求される動作モードを記憶しておく機能を備えることが必要である。
例えば、図示しない上位コンピュータが錠剤単独モード、散薬単独モード、同包モード、交互モードの何れかの包装形態を選択する選択キーを備え、上位コンピュータに処方箋データや包装形態が入力される。
【0069】
薬剤包装装置1の制御装置は、前記した上位コンピュータに接続され、前記包装形態を上位コンピュータから受信し、これらの処方箋データを、患者データ毎、又はRP毎に受信したデータを待ち行列に登録して表示させる。
また薬剤包装装置1の現在における使用状態を各ユニット(薬剤供給部2、薬剤包装部3、薬剤路25、散薬分割装置9の各ユニット)で判別する判別手段を設けることが望ましい。
【0070】
そして散薬単独モードの実行中であり(ステップ1)固形薬剤側の装置(薬剤供給部2,薬剤移送装置28)が未使用であることを判別し(ステップ2)、且つ、散薬分割装置が使用状態である事を判別し(ステップ3)、さらに薬剤移送装置の薬剤区画室内に錠剤が待機していないことを判別すると(ステップ4)、前記待ち行列に登録したデータから錠剤単独モードで運転する指令を検索する(ステップ5)。そして錠剤単独モードで運転する指令があれば(ステップ6)、散薬分割装置9と並行して固形薬剤側の装置(薬剤供給部2,薬剤移送装置28)を動作させる。
また錠剤単独モードの実行予定が無い場合は、ステップ11〜14に移行し、同包モード、交互モードを検索し、当該モードの実際の動作に先立って固形薬剤側の装置(薬剤供給部2,薬剤移送装置28)だけを動作させる。
【0071】
具体的にはステップ7で特定の薬剤フィーダ8を選定し、さらに一回に服用すべき錠剤を薬剤カセット14から一個づつ排出させる。
続いてステップ8で、薬剤区画室71の一つに薬剤が充填されたことを確認し、ステップ9で薬剤移送装置28のモータ58を動作させて、内部の回転円板部材36を薬剤区画室一個分だけ回転させる。
そして薬剤フィーダ8からモータ58の回転までの動作を3回繰り返す。
【0072】
すなわち散薬単独モードであることが確認されると、薬剤単独モード本来の動作と並行して記憶部の情報を読み出して、錠剤を包装する要求があるか否かを検索する。
そして錠剤を包装する要求があるならばその中で最も先に実行される運転を3件検索する。続いて今現在、薬剤移送装置の薬剤区画室内に薬剤が無いことを確認する。
そして前記した錠剤単独モードの場合と同様の動作を行わしめ、3個の薬剤区画室内に薬剤薬剤を充填する。要するに、薬剤充填口61から第一排出部45の一つ手前までの薬剤区画室に薬剤を予め充填しておく。
【0073】
そのため散剤単独モードが終了して錠剤を包装する動作が開始された時、回転円板部材36を僅かに回転させるだけで薬剤が排出される。従って本実施形態によると、無駄な待ち時間が解消される。
【0074】
以上説明した実施形態では、薬剤落下通路10と薬剤移送装置28の接続にホッパ26を使用したが、シュータや管路を活用してもよい。
また上記した実施形態では、4列の薬剤落下通路群の内、左側2列の薬剤落下通路6a,6bとそれ以外にグループ分けし、グループ毎に薬剤移送装置28を割り当てて薬剤を水平移動したが、グループの分け方は任意である。また本実施形態では、2台の薬剤移送装置28a,28bを使用したが3以上の薬剤移送装置を使用することもできる。逆に1台の薬剤移送装置であってもよい。
【0075】
以上説明した様に、本実施形態の薬剤包装装置1では、薬剤の横送りに薬剤移送装置28が活用され、薬剤移送装置28は全高が低い。そのため本実施形態の薬剤包装装置1は、従来技術で必須であった全高の高いホッパが不要であり、より多数の薬剤フィーダを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態の薬剤包装装置の斜視図である。
【図2】図1の薬剤包装装置の一部たる薬剤包装部の斜視図である。
【図3】図1の薬剤包装装置の一部たる薬剤落下通路を構成する共通通路部材の斜視図である。
【図4】(a)は、図1の薬剤包装装置の一部たる壁状部材の斜視図であり、(b)は、(a)の壁状部材を下から見た斜視図である。
【図5】図1に示す薬剤包装装置のレイアウトを示す概略斜視図である。
【図6】図1に示す薬剤包装装置のレイアウトを示す概略断面図である。
【図7】散薬分割装置の概念図である。
【図8】(a)は、図1の薬剤包装装置の一部たるホッパの正面図であり、(b)はその平面図であり、(c)はその右側面図である。
【図9】(a)は、図1の薬剤包装装置の一部たる薬剤移送装置を上部から見た斜視図であり、(b)は下部から見た斜視図である。
【図10】図9の薬剤移送装置を上部側から観察した分解斜視図である。
【図11】図9の薬剤移送装置を下部側から観察した分解斜視図である。
【図12】(a)は、図9の薬剤移送装置の充填部における断面分解斜視図であり、(b)は同部位の断面斜視図である。
【図13】(a)は、図9の薬剤移送装置の排出部における断面分解斜視図であり、(b)は同部位の断面斜視図である。
【図14】(a)は、図9の充填部及び排出部以外の部位における断面分解斜視図であり、(b)は同部位の断面斜視図である。
【図15】図1の薬剤包装装置の基本動作を示すフローチャートである。
【図16】図1の薬剤包装装置の動作の一つを示すフローチャートである。
【図17】特許文献1に開示された薬剤包装装置のレイアウトである。
【符号の説明】
【0077】
1 薬剤包装装置
2 薬剤供給部
3 薬剤包装部
5 共通通路部材
6 壁状部材
8 薬剤フィーダ
9 散薬分割装置
17 包装部導入口
25 薬剤路
26 ホッパ
28 薬剤移送装置
36 回転円板部材
41,42 傾斜面
43 溝部
45 第一排出部
46 第二排出部
48 薬剤区画室形成部材
58 モータ(回転手段)
61 薬剤充填口(充填位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の固形薬剤を貯留すると共に当該薬剤を下部側に排出する薬剤供給部と、前記薬剤を包装又は容器にパッケージする薬剤包装部を備え、薬剤包装部に薬剤を導入する包装部導入口が前記薬剤供給部の下部に配され、さらに前記薬剤供給部から排出された薬剤を包装部導入口に導く薬剤路が設けられた薬剤包装装置において、薬剤路の一部に薬剤移送装置が設けられ、当該薬剤移送装置は、環状且つ略水平に配置された複数の薬剤区画室と、当該薬剤区画室を回転させる回転手段を有し、特定の充填位置にある薬剤区画室に薬剤を充填し、前記回転手段で薬剤区画室を回転し、薬剤区画室の錠剤を排出位置に設けた開口から落下させることを特徴とする薬剤包装装置。
【請求項2】
複数種類の固形薬剤を貯留すると共に当該薬剤を下部側に排出する薬剤供給部と、前記薬剤を包装又は容器にパッケージする薬剤包装部を備え、薬剤包装部に薬剤を導入する包装部導入口が前記薬剤供給部の下部に配され、さらに前記薬剤供給部から排出された薬剤を包装部導入口に導く薬剤路が設けられた薬剤包装装置において、薬剤供給部は複数の固形薬剤を貯留する薬剤供給部と前記薬剤供給部から固形薬剤を取り出す薬剤フィーダとの組み合わせを複数備え、さらに一又はそれ以上の薬剤供給部から取り出された薬剤を落下させる薬剤落下通路が複数設けられたものであり、薬剤路は、一又はそれ以上の薬剤落下通路から排出された薬剤を一定の位置に収集する収集手段と、薬剤移送装置を備え、当該薬剤移送装置は、環状且つ略水平に配置された複数の薬剤区画室と、当該薬剤区画室を回転させる回転手段を有し、特定の充填位置にある薬剤区画室に前記収集手段から薬剤を充填し、前記回転手段で薬剤区画室を回転し、薬剤区画室の錠剤を排出位置に設けた開口から落下させ、直接的に又は他の中間路を介して包装部導入口に薬剤を導くことを特徴とする薬剤包装装置。
【請求項3】
薬剤区画室には一回に服用する分量の薬剤が充填されることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤包装装置。
【請求項4】
薬剤移送装置は、排出位置から充填位置に至る間の回転位置に薬剤区画室の底部を開く第二排出位置を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項5】
第二排出位置に吸引手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の薬剤包装装置。
【請求項6】
薬剤区画室は、底部が傾斜していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項7】
薬剤区画室は、底部の断面形状がV字状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項8】
二台以上の薬剤移送装置を備え、その内の少なくとも二台の薬剤移送装置は、共通する薬剤受け部材に対して薬剤を落下させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項9】
複数の薬剤落下通路は二つの組にグループ分けされ、収集手段はホッパであり、グループ毎に一又は複数のホッパによって薬剤が一定の位置に収集され、二台の薬剤移送装置を備え、前記各グループの薬剤落下通路から排出された薬剤は前記二台の薬剤移送装置のいずれか一方の薬剤区画室に充填され、前記二台の薬剤移送装置は、共通する薬剤受け部材に対して薬剤を落下させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項10】
散薬を一回服用分づつ分割する散薬分割装置を備え、散薬についても薬剤包装部でパッケージ可能であり、散薬のみをパッケージする散薬単独モードと、固定薬剤のみを包装する錠剤単独モードと、散薬と錠剤を同一の包装内に同包する同包モードと、散薬のみと固定薬剤のみを交互に包装する交互モードがあり、少なくとも同包モードと交互モードにおいては、散薬分割装置と薬剤移送装置とが並行的に動作することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項11】
散薬を一回服用分づつ分割する散薬分割装置を備え、散薬についても薬剤包装部でパッケージ可能であり、さらにパッケージすべき薬剤の種類を記憶する記憶手段を有し、当該記憶手段からパッケージすべき薬剤の種類を読みだして順次薬剤をパッケージし、前記記憶手段に錠剤をパッケージする情報が記憶されているが現在は散薬のみをパッケージする動作を行っている場合、薬剤供給部と薬剤移送装置を動作させて所定の薬剤を薬剤移送装置の薬剤区分室に充填しておくことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項12】
さらに薬剤区分室を回転させ、薬剤が充填させた薬剤区分室を排出位置の手前で待機させることを特徴とする請求項11に記載の薬剤包装装置。
【請求項13】
さらに薬剤区分室を回転させ、薬剤が排出されない状態で待機させることを特徴とする請求項11に記載の薬剤包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−51177(P2006−51177A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234784(P2004−234784)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】