説明

薬剤包装装置

【課題】分包帯セット作業の楽な薬剤包装装置を実現する。
【解決手段】プリントヘッド42に加えてプラテンローラ41aも分包帯送り経路に向けて進退させうるようにする。これにより、印刷機構における分包帯送り経路の開き量が増加する。また、プラテン駆動機構141のギヤ軸141dを中心にした揺動にてプラテン進退機能を具体化する。これにより、プラテンローラ41aが揺動範囲のどこにあろうとプラテンローラ41aとプラテン駆動機構141とのギヤ結合が常に維持されるので、包帯送り経路の開閉作業も気軽に行える。さらに、駆動モータ141aと減速ギヤ141dとを基板21の下面側で前後に配して、プラテン駆動機構141の高さを低く抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、錠剤や散薬などの各種薬剤を分包するため薬剤分包機に組み込んで又は単独で用いられる薬剤包装装置に関し、詳しくは、薬剤分包に供する長尺の分包帯(分包紙)を間欠送りして区分しながらそれに薬剤を投入して密封する薬剤包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[公知の技術]
長尺の分包帯を長手方向に順送りして薬剤を分包する薬剤包装装置は、例えば薬剤フィーダや薬剤分配分割機構などから排出された薬剤を収集して落下させる先である下部筐体や背の低い筐体に格納されていることが多いが、分包帯送り経路に沿って上流から下流へ順に配設された分包帯供給機構と印刷機構と区分封入機構とを具備している(例えば特許文献1〜2参照)。これらの各機構は薬剤落下先の基板(ベースプレート)の片面に装着され、縦型では基板が鉛直に固定されている(例えば特許文献1参照)。これに対し、横型では、基板が水平に保持されていて、その上面に各機構が取り付けられており、大抵は分包帯ロール交換等のため基板が引出可能にもなっている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
また、各機構のうち分包帯供給機構は、分包帯のロールを保持していて、その巻きを少しずつ解きながら分包帯を先端から順に送り出すものであり、分包帯に掛かるテンションを調整するためにテンション調整機構が付いている。従来(例えば特許文献4,5参照)、テンション調整機構は、可動ローラをアームで揺動させたり、そのアームをバネで付勢すること等で実現され、分包帯に適度なテンションを付与するとともに、分包帯の弛緩状態を調整して不都合な弛みを生じさせないようになっていた。
【0004】
さらに、薬剤投入位置に送り込まれる分包帯に臨むプリントヘッドにインクリボンを送る薬剤分包帯印刷用インクリボン送り機構を備えた薬剤包装装置において、前記薬剤分包帯印刷用インクリボン送り機構を前記プリントヘッド側の本体部とそれに着脱しうるカバー部とに分割したものもある(例えば特許文献2参照)。
この従来装置では、プリントヘッドを分包帯に向けて進退させるヘッド進退機構の操作部がカバー部に設けられていた。また、カバー部のうち箱状の部分が金属製で不透明だった。さらに、装着したカバー部に施錠できるようになっていなかった。
【0005】
また、長尺の分包帯を長手方向に順送りするために、分包帯供給機構と印刷機構と区分封入機構の各機構に分散して供給ローラや牽引ローラ等の分包帯送り機構が組み込まれている。具体的には、分包帯供給機構には自走供給ローラが組み込まれ、印刷機構や区分封入機構にはローラ対からなる分包帯牽引機構が組み込まれており、分包帯牽引機構のローラ対は、少なくとも分包帯送り経路の最終位置に設置され、分包帯送り経路の途中にも適宜設置されて、分包帯を両側から挟んで軸回転することにより分包帯を牽引するようになっている。この分包帯牽引機構による分包帯の間欠送りと連携して動作する区分封入機構には、投入ホッパ等の薬剤投入機構やヒータ等のシール機構が設けられている。
【0006】
[未公開の先行技術]
このような従来の薬剤包装装置について、分包帯供給機構と印刷機構と区分封入機構とが平面配置されていることを前提として、縦型と横型を比較すると、縦型は分包帯ロールを交換容易な高位置に設置し装着やすく占有面積が少ないが、複雑な折り返しが必要で通紙作業(分包紙の通し作業)がしにくいのに対し、横型は縦型より簡単な折り返しで済むので通紙作業(分包紙の通し作業)はしやすいが面積が広いばかりか分包帯ロールの装着位置が低くなりがちであった。
そこで、二つ折り分包帯のロールを使えるうえ分包帯ロールの交換が容易であり而も占有面積が少なくて済む薬剤包装装置を実現することが技術課題となっていた。
【0007】
そして(特許文献3,4参照)、かかる先行技術の技術課題を解決するために創案されたものが次の薬剤包装装置である。すなわち、分包帯ロールを解きながら長尺の分包帯を順送り供給する機構である分包帯供給機構と、分包帯に薬品名や用法などの情報を印刷する機構である印刷機構と、縦シールと横シールを行って分包帯を区分するとともに各区分室に薬剤を投入する機構である区分封入機構とを、分包帯送り経路に沿って、薬剤落下先の引出可能な基板の上面に配設した薬剤包装装置において、前記分包帯供給機構の設置側を高くして前記基板が傾斜している、というものである。
【0008】
本願発明の課題把握に役立つよう、上記先行技術の薬剤包装装置を、図面を引用して具体的に、説明する。図5は、(a)が前扉を外した薬剤分包機10の正面図、(b)が薬剤包装装置20を引き出した薬剤分包機10の側面図、(c)が薬剤包装装置20のA矢視図、(d)及び(e)が薬剤包装装置20の区分封入機構50の斜視図である。また、図6は、(a)がインクリボン送り機構本体部44の平面図、(b)がインクリボン送り機構カバー部45の斜視図、(c)がプリントヘッド進退機構47+48の立面図、(d)及び(e)が印刷機構40の平面図である。
【0009】
薬剤分包機10は(図5(a),(b)参照)、筐体15の天板部11の上面に散薬分割装置12と錠剤手撒き装置13とが設けられ、散薬分割装置12と錠剤手撒き装置13とから排出された薬剤を収集して落下させる薬剤収集機構14が天板部11の下面に設けられ、人手で薬剤を補充したり分配しやすい高さ1m程度かそれ以下のところに位置している。筐体15の内部には、引出機構16によって前方へ引き出し可能に支持された薬剤包装装置20と、分包済み分包帯8を収容する受け箱17と、フレキシブルホースやバキュームポンプ等からなる清掃機構18と、図示しないマイクロプロセッサ等からなるコントローラ(電子制御装置)とが、格納されている。
【0010】
薬剤包装装置20は(図5(a)〜(c)参照)、筐体15への取り付け高さの異なる一対の引出機構16によって左右を支持されて40゜〜50゜ほど傾斜している平坦な基板21と、分包帯ロールを解きながら長尺の分包帯8を順送り供給する分包帯供給機構30と、分包帯8に処方箋由来の薬品名や用法などの情報を印刷する印刷機構40と、分包帯8に縦シール(縦の熱融着)と横シール(横の熱融着)を行って分包帯8を長手方向において区分するとともに各区分室(分包体)に薬剤を投入する区分封入機構50とを具えている。
【0011】
これらの分包帯供給機構30と印刷機構40と区分封入機構50に加え、取っ手22と幾本かの固定ローラ23やローラ24が、基板21の平坦な上面に搭載されており、取っ手22以外の各機構23,24,30,40,50は、分包帯送り経路に沿って平面配置されている。なお、分包帯送り経路を規定する複数ローラ(23及び24)のうち印刷機構40と区分封入機構50との中間に位置する分包帯規制ローラ24は、他のローラ23と同様の固定ローラで足りることもあるが、上記の印刷機構40と区分封入機構50との動作タイミングのずれに起因して該当箇所で分包帯8に弛みが生じる可能性がある場合には、弛み取りに適した付勢力で分包帯8を分包帯送り経路から例えば手前へ迂回させる可動ローラになっている。
【0012】
基板21は、筐体15に押し込んだ状態で薬剤収集機構14の下方すなわち薬剤落下先に位置するところに設けられており、その傾斜によって、分包帯供給機構30の設置側が高くなり、受け箱17に近い分包帯8の排出側が低くなっている。
分包帯供給機構30は(図5(b),(c)参照)、予め二つ折りした長尺の分包帯8を芯管に捲回した分包帯ロールを軸回転可能に保持する分包帯軸支部31と、その分包帯ロールを軸回転させて解くことにより分包帯8を先端から順に送り出す自走供給ローラ32や回転暴走防止用ブレーキ33と、バネ34にて付勢されている揺動アームの揺動端に設けられていて分包帯8のテンション調整を行う可動ローラ36とを具えている。
【0013】
印刷機構40は(図5(c),(d)参照)、薬剤投入位置に送り込まれる分包帯8に両側から挟むかのように臨むプラテン機構41とプリントヘッド42とを主体にしたものであり、プラテン機構41にて片面を支えられた分包帯8とそれに他面から印刷を行うプリントヘッド42との間にインクリボンを送るインクリボン送り機構43がプリントヘッド42側に付設されているが、このインクリボン送り機構43は(図6参照)、インクリボン交換の容易化のため、基板21に固定されたインクリボン送り機構本体部44と(図6(a)参照)、それに着脱しうるインクリボン送り機構カバー部45とに分割されており(図6(b)参照)、インクリボン46を捲回したインクリボンロール46aや、それを巻き取るリボン巻取管46bが、インクリボン送り機構カバー部45に装着されるようになっている。プリントヘッド42にはサーマルプリンタ(感熱式印刷機)のものが多用されており、その場合、インクリボン46には熱転写用に好適なものが用いられる。
【0014】
インクリボン送り機構本体部44は(図6(a)参照)、何れも基板21に設けられたインクリボン供給機構内嵌部44aとインクリボン巻取機構内嵌部44bとプリントヘッド進退機構47+48とヘッド進退検出部材49とリボン有無検出部材とを具えており、そのうちインクリボン供給機構内嵌部44aとインクリボン巻取機構内嵌部44bは、プリントヘッド42の後方・奥に位置して、分包帯送り経路に沿う向きに即ち左右に並んでいる。インクリボン供給機構内嵌部44aとインクリボン巻取機構内嵌部44bは、回転軸を主体とするものであるが、インクリボンロール46aやリボン巻取管46bを直に装着するのでなく、それらを装着した後述の外嵌部45a,45bの内腔に嵌挿されてモータ駆動の回転運動を伝達するようになっている。
【0015】
プリントヘッド進退機構47+48は(図6(c)参照)、プリントヘッド42と分包帯8とを接離させるために、プリントヘッド42を分包帯8及びプラテン機構41に向けて進退させるものであり、軸回転可能な状態で基板21に立設されたロッドと、ロッドの下端部に設けられたプリントヘッド進退機構作動部48と、ロッドの上端部に設けられたプリントヘッド進退機構操作部47とを具えている。このロッドの中間部のうち上端部寄りのところには、プリントヘッド進退機構操作部47と連動する鍵部も設けられている。
【0016】
インクリボン送り機構カバー部45は(図6(b)参照)、透明樹脂または半透明樹脂から作成された箱状のインクリボンカバーと、その内底に布設された金属板に植設されたインクリボン供給機構外嵌部45aとインクリボン巻取機構外嵌部45bとインクリボン案内機構とを具えている。インクリボンカバーは、インクリボン送り機構本体部44に重ねられてそれを覆うために、インクリボン送り機構本体部44への装着時に基板21側となる面がほぼ全域に亘って解放されている。インクリボンカバーの底面には、インクリボン送り機構本体部44へのインクリボン送り機構カバー部45の装着時にプリントヘッド進退機構操作部47を操作可能に露出させるための貫通穴45cも形成されている。
【0017】
インクリボン供給機構外嵌部45aは、回転軸を有していて、それに着脱式のインクリボンロール46aを外嵌させて保持するものであり、その回転軸にはインクリボン供給機構内嵌部44aの回転軸を嵌挿可能であって嵌合状態で回転運動を伝達する内腔・中空が形成されている。インクリボン巻取機構外嵌部45bも同様構造の回転軸を有しているが、こちらは、インクリボン巻取機構内嵌部44bの回転軸を内嵌させ、リボン巻取管46bを外嵌させるようになっている。さらに(図6(d)参照)、インクリボン送り機構カバー部45は、インクリボンカバーの外面に傾動可能なカバー把手45dも具えている。
【0018】
そして(図6(d)参照)、インクリボンロール46aを装着したインクリボン送り機構カバー部45をインクリボン送り機構本体部44に装着するときは、プリントヘッド進退機構操作部47を操作してプリントヘッド進退機構作動部48を後退させれば、鍵部の施錠が解かれて、容易に装着できるようになっている。
また(図6(e)参照)、カバー部45を本体部44に装着した後は、プリントヘッド進退機構操作部47を操作してプリントヘッド進退機構作動部48を前進させれば、これに応じてプリントヘッド42(特に作用端部)がプラテン機構41(特にプラテンローラ41a)のところの分包帯8に向けて前進するとともに、鍵部の施錠が掛かる一方、逆に操作すれば容易に取り外せるようになっている。
【0019】
区分封入機構50は(図5(c)〜(e)参照)、基板21に対しては斜めに植設されてほぼ鉛直の姿勢をとり一対が分包帯送り経路の両脇に立設されていて分包帯8を両側から挟んで振れ規制を行う押え部材51と、基板21と共に筐体15に押し込まれた動作可能状態で薬剤収集機構14の直下に位置して分包帯8の区分収納室に薬剤を投入する薬剤投入ホッパ52(薬剤投入機構)と、加熱融着用の横シール発熱体と縦シール発熱体とが一体化されて例えばΓ字状(図5(d)参照)やT字状(図5(e)参照)になった奥側のヒータ53aと手前側のヒータ53bとの対を含んでいるシール機構53と、分包帯8を引っ張る分包帯牽引機構54と、シール機構53のヒータ53aを前進・後退させる往復動機構55と、薬剤投入ホッパ52と分包帯牽引機構54とを駆動して連係動作させる電子カム機構60とを具えている。分包帯牽引機構54以外の分包帯送り機構も電子カム機構60の駆動によって同期制御されるようになっている。
【0020】
押え部材51と薬剤投入ホッパ52とシール機構53と分包帯牽引機構54は、その順番で、分包帯送り経路に沿って上流から下流へ且つ基板21の傾斜において高位側から低位側へ並んでいる(図5(d),(e)参照)。これにより、区分封入機構50は、押え部材51が薬剤投入ホッパ52の上流に位置しており、シール機構53のヒータ53a,53bが横シール部も縦シール部も薬剤投入ホッパ52の下流に位置していて、上辺の解放した袋状の収納室を形成するI字状の縦シールと、上辺を閉じて収納室を密閉する ̄字状の横シールとが、一カ所で一度に纏めて遂行されるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2005−053538号公報
【特許文献2】特開2007−216485号公報
【特許文献3】特願2008−199280号
【特許文献4】特願2008−269353号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
このように、上述した公知技術や未公開先行技術の薬剤包装装置にあっては、プリントヘッド42を揺動させることにより、その作用端部をプラテン機構41のプラテンローラ41aに向けて進退させ、プリントヘッド42と分包帯8とを接離させるようになっていた。そして、分包帯8を分包帯送り経路にセットするときには、予めプリントヘッド42を後退させて分包帯送り経路を開けておき、そこに分包帯8を仮置きし、それからプリントヘッド42を前進させて分包帯送り経路を閉めることで、セット作業が完了していた。
【0023】
しかしながら、プリントヘッドの揺動だけでは分包帯送り経路の開度が限られるため、熟練者以外の者が分包帯セット作業を行った場合には、分包帯送り経路の開き具合が足りなく感じられて、手間取ることもあった。
そこで、印刷機構における分包帯送り経路の開き量が増すよう印刷機構を改造することにより、分包帯セット作業の楽な薬剤包装装置を実現することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の薬剤包装装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、分包帯ロールを解きながら長尺の分包帯を順送り供給する機構である分包帯供給機構と、分包帯に薬品名や用法などの情報を印刷する機構である印刷機構と、縦シールと横シールを行って分包帯を区分するとともに各区分室に薬剤を投入する機構である区分封入機構とを、分包帯送り経路に沿って、薬剤落下先の引出可能な基板に配設した薬剤包装装置において、前記印刷機構が前記分包帯送り経路を挟んで対向するプリントヘッドとプラテンローラとを具備したものであり、前記プラテンローラを前記分包帯送り経路に向けて進退させうるようになっていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の薬剤包装装置は(解決手段2)、上記解決手段1の薬剤包装装置であって、前記プラテンローラを回転させるプラテン駆動機構に含まれている軸部材を中心にして前記プラテンローラが揺動することにより、前記分包帯送り経路に向けた進退が実行されるようになっていることを特徴とする。
【0026】
さらに、本発明の薬剤包装装置は(解決手段3)、上記解決手段1の薬剤包装装置であって、前記プラテンローラにギヤ結合にて回転運動を伝達するプラテン駆動機構のギヤ軸を中心にして前記プラテンローラが揺動することにより、前記分包帯送り経路に向けた進退が実行されるようになっていることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の薬剤包装装置は(解決手段4)、上記解決手段3の薬剤包装装置であって、前記プラテン駆動機構が前記ギヤ結合用のギヤと駆動源の電動モータと回転運動伝達用の伝動ベルトとを具備したものであり、前記モータと前記ギヤとが前記モータを後にし前記ギヤを前にした配置状態で前記基板の下面に設けられていることを特徴とする。
ここで、前は引出基板の出し入れ方向における手前側を指し、後は引出基板の出し入れ方向における後方・奥側を指す。
【0028】
また、本発明の薬剤包装装置は(解決手段5)、上記解決手段4の薬剤包装装置であって、前記印刷機構がプリントヘッドとインクリボン供給機構とインクリボン巻取機構とを具備したものであり、前記プリントヘッドの後方で前記インクリボン供給機構と前記インクリボン巻取機構とが前後に並んでいることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の薬剤包装装置は(解決手段6)、上記解決手段5の薬剤包装装置であって、前記分包帯供給機構と前記印刷機構と前記区分封入機構とが横一列に並んでいることを特徴とする。ここで、横は引出基板の出し入れ方向とほぼ直交する向きを指す。
【0030】
また、本発明の薬剤包装装置は(解決手段7)、上記解決手段6の薬剤包装装置であって、前記分包帯供給機構が分包帯ロール保持用の分包帯軸支部と分包帯テンション調整用の可動ローラとを具備したものであり、前記分包帯軸支部が後になり前記可動ローラが前になる配置状態で前記分包帯軸支部と前記可動ローラとが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
このような本発明の薬剤包装装置にあっては(解決手段1)、長尺の分包帯にて薬剤を区分包装するのに必要な分包帯供給機構と印刷機構と区分封入機構とが引出可能な基板に平面配置されているので、二つ折り分包帯のロールを使い易いという横型の利点が引き継がれているが、それにとどまらず、印刷機構に改良が施されている。すなわち、プリントヘッドの作用端部と対向するプラテンローラを分包帯送り経路に向けて進退させることができるようになっており、具体的には、プリントヘッドもプラテンローラも進退可能な第1の態様と、プラテンローラしか進退しない第2の態様とがある。
【0032】
そして、プリントヘッドに加えてプラテンローラも分包帯送り経路に向けて進退させることができる第1の態様では、印刷機構における分包帯送り経路の開き量が、プリントヘッドしか進退しなかったときより、プラテンローラの進退分だけ、増加する。また、分包帯送り経路に向けて進退させうるのがプラテンローラしかない第2の態様であっても、インクリボンとの絡みで進退距離を大きくし難いプリントヘッドだけが進退する従来態様に比べれば、印刷機構における分包帯送り経路の開き量が容易に拡大されることとなる。
したがって、この発明によれば、分包帯セット作業の楽な薬剤包装装置を実現することができる。
【0033】
また、本発明の薬剤包装装置にあっては(解決手段2)、プラテン機構に保持されているプラテンローラを進退可能にするに際して、プラテン駆動機構の軸部材を中心にした揺動にてプラテン進退機能を具体化したことにより、汚れを嫌うプラテンローラの代わりに手を触れても良いプラテン機構を揺動させればプラテンローラを進退させることができるので、分包帯セット作業の最初と最後にプラテンローラ(プラテン機構)を進退させて分包帯送り経路を開閉する作業も楽に行えることとなる。
【0034】
さらに、本発明の薬剤包装装置にあっては(解決手段3)、プラテン機構に保持されているプラテンローラを進退可能にするに際して、プラテン駆動機構のギヤ軸を中心にした揺動にてプラテン進退機能を具体化したことにより、プラテンローラが揺動範囲のどこにあろうとプラテンローラとプラテン駆動機構とのギヤ結合が常に維持されることから、プラテンローラの進退時にギヤ結合の噛み合わせに不具合の発生するおそれが全くないので、分包帯セット作業の最初と最後にプラテンローラ(プラテン機構)を進退させて分包帯送り経路を開閉する作業も気軽に行えることとなる。
したがって、この発明によれば、分包帯セット作業の一層楽な薬剤包装装置を実現することができる。
【0035】
また、本発明の薬剤包装装置にあっては(解決手段4)、プラテンローラを駆動するモータとギヤとが、基板の下面側に移されたことにより基板の上面側のインクリボン送り機構との干渉が容易かつ確実に回避されるうえ、伝動ベルトで回転伝動可能に連結されて前後に配置されたことにより、基板下方への突き出し量となるプラテン駆動機構の高さが低く抑えられるとともに、プラテン駆動機構の横幅も小さめに抑えられる。
したがって、この発明によれば、分包帯セット作業が一層楽であり而も基板下方への突き出しが少ない薬剤包装装置を実現することができる。
【0036】
また、本発明の薬剤包装装置にあっては(解決手段5)、プリントヘッドの後方におけるインクリボン供給機構とインクリボン巻取機構との並び方が横から前後に変更されたことにより、インクリボン送り機構の横幅が縮小される。これはプラテン駆動機構の横幅の抑制に適合しており、そのような場合、基板を挟んで上下に配されたプラテン駆動機構もインクリボン送り機構も共に横幅が小さいので、印刷機構が横幅の狭いものとなる。
したがって、この発明によれば、分包帯セット作業が一層楽であり而も基板下方への突き出しが少なく更には横幅の小さい薬剤包装装置を無理なく実現することができる。
【0037】
また、本発明の薬剤包装装置にあっては(解決手段6)、以前は印刷機構の後ろに位置していた分包帯供給機構まで横に移って、主要機構が総て横一列に並んだことにより、分包帯送り経路規制用のローラ(23)を一部省ける可能性が高まるとともに、短縮効果(小形化・スリム化)の発現箇所が横幅から奥行に転換されて、装置手前側の作業空間が広がる。特に、分包帯交換作業や,インクリボン交換作業,清掃作業,その他の保守作業など装置を基板ごと引き出して行う作業に関しては、作業空間の広がりが大きい。装置が引出式の基板に搭載されている状態では、奥行短縮の効果が基板だけでなく筐体にも及ぶので、基板引出時の作業空間の拡張効果がほぼ倍増するからである。
したがって、この発明によれば、分包帯セット作業が一層楽であり而も基板下方への突き出しが少なく更には装置の小形化に加えて実装部材の少数化まで達成された薬剤包装装置を実現することができる。
【0038】
また、本発明の薬剤包装装置にあっては(解決手段7)、分包帯供給機構において以前は分包帯軸支部(31)の横に位置していた可動ローラ(36)が分包帯軸支部(31)の前に来たことにより、分包帯供給機構と印刷機構とが横に並んだことと相まって、分包帯供給機構30から印刷機構40へ至る分包帯送り経路が短縮されると同時に単純化されるので、分包帯送り経路規制用ローラ(23)の大多数の省略による実装部材の大幅な少数化が確実に達成されるとともに、分包帯の送り出しの円滑化やテンション調整の容易化も進むこととなる。
したがって、この発明によれば、分包帯セット作業が一層楽であり而も基板下方への突き出しが少なく更には装置の小形化に加えて実装部材の更なる少数化まで達成された薬剤包装装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例1について、薬剤包装装置の全体構造を示し、(a)が前扉を外した薬剤分包機の正面図、(b)が薬剤包装装置を引き出した薬剤分包機の側面図、(c)が薬剤包装装置のA矢視図、(d)及び(e)が薬剤包装装置のうち区分封入機構の部分の斜視図である。
【図2】(a),(b)何れも印刷機構の平面図である。
【図3】本発明の実施例2について、印刷機構の側面図である。
【図4】本発明の実施例3について、(a)〜(c)何れも薬剤投入ホッパの斜視図である。
【図5】未公開の先行技術について、薬剤包装装置の全体構造を示し、(a)が前扉を外した薬剤分包機の正面図、(b)が薬剤包装装置を引き出した薬剤分包機の側面図、(c)が薬剤包装装置のA矢視図、(d)及び(e)が薬剤包装装置のうち区分封入機構の部分の斜視図である。
【図6】(a)がインクリボン送り機構本体部の平面図、(b)がインクリボン送り機構カバー部の斜視図、(c)がプリントヘッド進退機構の立面図、(d)及び(e)が印刷機構の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
このような本発明の薬剤包装装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜3により説明する。
図1〜2に示した実施例1は、上述した解決手段1〜3,5〜7(出願当初の請求項1〜3,5〜7)を具現化したものであり、図3に示した実施例2は、上述した解決手段4(出願当初の請求項4)を具現化したものであり、図4に示した実施例3は、変形例である。
【0041】
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,電気回路・電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
また、それらの図示に際し既に詳述した未公開の先行技術と同様の構成要素には同一の符号を付して示したので、重複する再度の説明は割愛し、以下、未公開先行技術との相違点を中心に説明する。
【実施例1】
【0042】
本発明の薬剤包装装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が前扉を外した薬剤分包機110の正面図、(b)が薬剤包装装置120を引き出した薬剤分包機110の側面図、(c)が薬剤包装装置120のA矢視図、(d)及び(e)が薬剤包装装置120のうち区分封入機構152の部分の斜視図であり、(d)が分包帯送り経路を閉じた状態を示し、(e)が分包帯送り経路を開いた状態を示している。また、図2は、(a),(b)何れも印刷機構140の平面図であり、(a)が分包帯送り経路を開いた状態を示し、(b)が分包帯送り経路を閉じた状態を示している。
【0043】
この薬剤分包機110が既述した薬剤分包機10のと相違するのは、薬剤包装装置20が薬剤包装装置120になっている点と(図1(a)参照)、薬剤分包機110の筐体15も薬剤包装装置120の基板21も奥行が縮小されて引き出し時の奥行が以前の大きな値Woから小さな新値Wnになっている点である(図1(b)参照)。
薬剤包装装置120が既述した薬剤包装装置20と相違するのは、分包帯供給機構30が前に移って印刷機構140の左横に来ている点と(図1(c)参照)、印刷機構40が一部改造されて印刷機構140になっている点と(図1(c)〜(e),図2参照)、区分封入機構50においては押え部材51が省かれるとともに薬剤投入ホッパ52が形状変更されて薬剤投入ホッパ152になっている点である(図1(d)〜(e)参照)。
【0044】
分包帯供給機構30が印刷機構140の後ろから左前に移って基板21の上面の左端寄りの所に来たので、各機構の配置状態が変わって(図1(c)参照)、分包帯供給機構30と印刷機構140と区分封入機構50とが基板21上で横一列に並ぶとともに、基板21と筐体15の奥行が短縮されている。また、分包帯供給機構30の移設に際して、そのなかの各部の配置状態に関し、分包帯軸支部31や自走供給ローラ32が後方・奥に位置し、可動ローラ36が手前側で揺動するようにしたので、分包帯供給機構30から印刷機構140に至る部分の分包帯送り経路が、曲折の少ない単純で短いものとなっているうえ、そこの分包帯送り経路を規制する固定ローラ23が、一つか極少数個に減っている。
【0045】
薬剤投入ホッパ152は(図1(d)〜(e)参照)、上端に薬剤受入用の開口を有し下端に薬剤落下放出用の開口を有した漏斗状部材からなりホッパ上部152aが鉛直の姿勢を保っている点で、既述の薬剤投入ホッパ52を踏襲しているが、ホッパ下部152bが傾斜している点で薬剤投入ホッパ52と相違している。すなわち、薬剤投入ホッパ152は真っ直ぐでなく曲がっており、例えば中心線基準で見て、ホッパ上部152aは鉛直になっているが、ホッパ下部152bは鉛直から傾いている。その傾斜は、基板21の水平からの傾斜に対応しており、ホッパ下部152bを延長すればそれが基板21と直交するようになっている。
【0046】
印刷機構140が既述した印刷機構40と相違するのは、インクリボン送り機構43が形状変更と部材配置変更とでインクリボン送り機構143になっている点と(図1(c)参照)、プラテンローラ41aを保持するプラテン機構41が分包帯送り経路に向けてプラテンローラ41aを進退させることのできるものになっている点と(図1(d),(e)参照)、印刷機構140が区分封入機構50の方に寄っているうえ更に印刷機構140の中でもプラテン機構41とプリントヘッド42が共に限界まで区分封入機構50の薬剤投入ホッパ152の方に寄っている点である(図1(c),図2参照)。
【0047】
印刷機構140が区分封入機構50に近寄ったことにより、プラテン機構41及びプリントヘッド42とシール機構53との間の距離がほぼ薬剤一包分の長さになっている(図1(d),(e)参照)。薬剤投入ホッパ152が曲がって、ホッパ下部152bが傾いているので、印刷機構40が近寄っていても、干渉のおそれなく薬剤投入が行える。また、そこから押え部材51ばかりか分包帯規制ローラ24も省かれたことにより、分包帯送り経路のうち印刷機構140から薬剤投入ホッパ152に至る部分経路では、分包帯8に接触する部材が、上記部分経路の一端に位置して対向しているプラテン機構41及びプリントヘッド42と、上記部分経路の他端に位置する薬剤投入ホッパ152とだけになっている。さらに、その部材51,24の省略に伴って、印刷機構140による分包帯8への印刷と区分封入機構50の分包帯牽引機構54による分包帯8の間欠送りとが同期して行われるよう、電子カム機構60や図示しないコントローラでの制御手順等も微修正されている。
【0048】
インクリボン送り機構143(図2参照)がインクリボン送り機構43と相違するのは、インクリボン送り機構143の中で限界までプリントヘッド42が薬剤投入ホッパ152の方に寄っている点と、プリントヘッド42の後方でインクリボン供給機構44a+45aとインクリボン巻取機構44b+45bとが前後に並んでいる点と、奥行より横幅の大きい横長形状から横幅より奥行の大きい縦長形状に形状が変更されている点である。インクリボン送り機構143の横幅がインクリボン送り機構43に比べてほぼ半分に短縮されているうえ、インクリボン送り機構143が区分封入機構50に寄せられているので、インクリボン送り機構143の横に分包帯供給機構30が移って来ても、基板21は横幅を広げる必要がなく奥行が無理なく狭められている。
【0049】
印刷機構140では印刷しながら分包帯8を送るために、分包帯8をプリントヘッド42の作用端部と押し合うプラテンローラ41aを駆動するプラテン駆動機構141がプラテン機構41の下方に設けられており、プラテン駆動機構141は回転運動をギヤ結合にてプラテンローラ41aに伝達するようになっているが、プラテン駆動機構141のギヤ軸がプラテンローラ41aから右斜め手前に偏倚した所に位置しており、そのギヤ軸を中心にしてプラテン機構41が揺動しうるようになっている。揺動中心がプラテン機構41の右端部手前側にあるので、ロックを外してプラテン機構41を手前側に引くと反時計回りに揺動して分包帯送り経路から後退して分包帯8から離れ(図1(e),図2(a)参照)、プラテン機構41を後方・奥側へ押すと時計回りに揺動して前進し分包帯送り経路の分包帯8に接触したところでロックされるようになっている(図1(d),図2(b)参照)。
【0050】
この実施例1の薬剤包装装置120を組み込んだ薬剤分包機110について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が前扉を外した薬剤分包機110の正面図、(b)が薬剤包装装置120を引き出した薬剤分包機110の側面図、(c)が薬剤包装装置120のA矢視図、(d)及び(e)が薬剤包装装置120のうち区分封入機構152の部分の斜視図であり、(d)が分包帯送り経路を閉じた状態を示し、(e)が分包帯送り経路を開いた状態を示している。また、図2は、(a),(b)何れも印刷機構140の平面図であり、(a)が分包帯送り経路を開いた状態を示し、(b)が分包帯送り経路を閉じた状態を示している。
【0051】
散薬を分包する場合は予め計測した定量の散薬を手作業で散薬分割装置12に分配しておき、錠剤を分包する場合は所要数の錠剤を錠剤手撒き装置13に予め手撒きしておき、混合分包する場合はそれらの散薬分配と錠剤手撒きとを共に済ませておく。
これにより(図1(a)参照)、薬剤収集機構14から薬剤包装装置120へ薬剤を一包分ずつ逐次落下させる準備が調う。
【0052】
また、薬剤包装装置120については、分包帯8やインクリボン46の状態を確認して、それが無かったり足りないときには補充・交換を行う。状態確認は、前扉を開けて或いは前扉の透明な窓を介して目視で行うが、インクリボン送り機構143のインクリボン送り機構カバーが透明か半透明になっているので、分包帯8ばかりかインクリボン46についても、容易に視認することができる。
分包帯8の補充・交換は、前扉を開け薬剤包装装置120を引き出して行う(図1(b)参照)。使い終わった分包帯ロールの芯管などが残っていればそれを取り外して、新しい分包帯ロールを分包帯軸支部31に装着する(図1(c)参照)。分包帯8は予め長手方向に二つ折りされてから捲回されて分包帯ロールになっているので、その折り目が下側・基板21側に来る向きで、分包帯ロールを分包帯軸支部31に装着する。
【0053】
基板21に傾斜をつけたことによって(図1(a)参照)、分包帯軸支部31が従来より高い位置に来ているので、分包帯ロールの装着作業は楽な姿勢で行うことができる。
また、以前は印刷機構40の後方・奥に位置していた分包帯供給機構30が印刷機構140の横へ前進して来ているので(図1(c)参照)、分包帯ロールの装着作業をより楽な姿勢で行うことができる。
さらに、筐体15から引き出した薬剤包装装置120の手前に残っている作業空間が以前に比べて前後に拡張幅(Wo−Wn)だけ広がっているので(図1(b)参照)、その点でも、分包帯ロールの装着作業をより一層楽な姿勢で行うことができる。
【0054】
それから、その分包帯ロールを解いて分包帯8の先端部を引き出し、引き出した分包帯8を分包帯送り経路に張り巡らす。そのときも、分包帯8の折り目が下側・基板21側になっている状態を維持する。可動ローラ36が手前に来て分包帯送り経路が短縮されたうえ単純化されているので(図1(c)参照)、分包帯8を分包帯供給機構30から印刷機構140へ張り巡らすのは容易である。また、印刷機構140のところではプリントヘッド42に加えてプラテン機構41(特にプラテンローラ41a)も進退させることができるうえ分包帯規制ローラ24が無くなっているので(図1(d),(e),図2参照)、印刷機構140ところでも分包帯8のセット作業が容易に行える。
【0055】
さらに、区分封入機構50のところでも、押え部材51が無くなっているうえ(図1(d),(e)参照)、薬剤投入ホッパ152の下流に纏められているシール機構53において分包帯送り経路の両側に分かれて対向しているヒータ53a,53bが何れも分包帯送り経路から離隔しうるようになっているので(図1(e)参照)、大きく解放された真っ直ぐな分包帯送り経路に分包帯8を上から差し込む等のことで、印刷機構40から区分封入機構50以降のところにも容易に分包帯8をセットすることができる。
こうして、分包帯8のセット作業は容易かつ迅速に済ませられる。
【0056】
インクリボン46の補充・交換も薬剤包装装置120を引き出した状態で行うが(図1(b)参照)。インクリボン46の補充・交換は、予備のインクリボン送り機構カバー部45を用いてインクリボンロール46aの装着作業を予め済ませておくのが良い。インクリボン送り機構カバー部45にインクリボンロール46aを装着するときは(図2参照)、インクリボン送り機構カバー部45を逆さにしてその解放面を上に向けておいて、インクリボン巻取機構外嵌部45bにリボン巻取管46bを外嵌装着するとともに、インクリボン供給機構外嵌部45aにインクリボンロール46aを外嵌装着し、それから、インクリボン46の先端をインクリボンロール46aから引き出して順にインクリボン案内機構の外側を巡らせてリボン巻取管46bに巻き付ける。
【0057】
そして、薬剤包装装置120にインクリボン46を補充することが必要になったときには、やはり薬剤包装装置120を引き出した状態で(図1(b)参照)、インクリボン送り機構143からインクリボン送り機構カバー部45を取り外し、その代わりに、予めインクリボンを装着しておいた予備のインクリボン送り機構カバー部45をインクリボン送り機構本体部44に取り付ける。このカバー部45の交換はもちろん上述したカバー部45へのリボン装着も、カバー部45が軽いので、楽に行うことができる。
【0058】
こうして薬剤包装装置120に分包帯8やインクリボン46を補充したら、薬剤包装装置120の包装態勢が調うので、基板21を押し戻して薬剤包装装置120を筐体15内に納め、前扉も閉めて、散薬分割装置12や錠剤手撒き装置13の稼動準備が既に調っている薬剤分包機110に薬剤分包の自動動作を行わせる。
自動分包が始まると、薬剤が一包分ずつ散薬分割装置12や錠剤手撒き装置13から薬剤収集機構14経由で薬剤包装装置120の薬剤投入ホッパ152に引き渡されるとともに、薬剤包装装置120によって薬剤が分包帯8に区分包装される。
【0059】
その区分包装の動作を具体的に述べると、薬剤包装装置120では、分包帯8が分包帯ロールから分包帯供給機構30によって繰り出されるとともに、分包帯牽引機構54や固定ローラ23によって分包帯送り経路を順送りされる。その際、分包帯8が区分収納室の長さ単位で即ち一包分ずつ長手方向に間欠送りされ、その度に、印刷機構140では分包帯8のうち区分収納予定部分に患者名や用法等が印字され、区分封入機構50では、分包帯8のうち印刷機構40とシール機構53との間の部分に薬剤投入ホッパ152から一包分の薬剤が投入され、それから分包帯8が間欠送りされるとシール機構53によって縦と横に例えば熱融着密封にてシールされて薬剤収納済み区分収納室(分包)ができあがる。
【0060】
薬剤投入ホッパ152から薬剤を投入される分包帯8の長さは、印刷機構40とシール機構53との離隔距離で決まり、ほぼ一包分と以前より短くなっているが、基板21の傾斜に対応して分包帯8も傾斜していることや、薬剤投入ホッパ152が曲がっていてホッパ下部152bが分包帯8に対して垂直になっていること、印刷機構140による分包帯8への印刷と区分封入機構50の分包帯牽引機構54による分包帯8の間欠送りとが同期して行われることにより、薬剤の区分包装はこの場合も適正に行われる。
【実施例2】
【0061】
図3に印刷機構140の側面図を示した本発明の薬剤包装装置が上述した実施例1のものと相違するのは、プラテン駆動機構141が高さを低くするために後方・奥へ展開された点である。このプラテン駆動機構141は、何れも基板21の下面や下方に設けられた駆動モータ141aと伝動ベルト141bと従動プーリ141cと減速ギヤ141dとからなり、駆動モータ141aの出力する回転運動を伝動ベルト141bにて従動プーリ141cへ伝達し、その回転運動を減速ギヤ141dにて適度に減速しながらギヤ結合にてプラテン機構41のプラテンローラ41aに伝達することで、プラテンローラ41aを軸回転させるようになっている。また、従動プーリ141cの軸も兼ねている減速ギヤ141dのギヤ軸が、プラテンローラ41aから右斜め手前に偏倚した所で基板21を貫いてプラテン機構41に達し、プラテン機構41の揺動支軸(揺動中心)を兼ねている。
【0062】
この場合、減速ギヤ組込モータで直接駆動する直動方式に比べて、駆動源に簡素で安価な電動モータを採用するとともに、伝動には汎用で安価なプーリやギヤを採用して伝動しながら減速することにより、部材コストを削減することができる。しかも、プラテン機構41の下方には減速ギヤ141dや従動プーリ141cを残し、プラテン駆動機構141のなかでは最も嵩張る駆動モータ141aは後方・奥へ移したことにより、プラテン駆動機構141の高さが抑制されるとともに、プラテン駆動機構141の占める空間がインクリボン送り機構143と同様で前後に即ち基板21引出方向に細長いものとなっている。
【実施例3】
【0063】
図4(a)〜(c)に斜視図を示した薬剤投入ホッパ152は何れも本発明の変形例である。図4(a)に示した薬剤投入ホッパ152は、その下端すなわちホッパ下部152bの先端が凹形である点で上述した図1(e)の薬剤投入ホッパ152を踏襲しているが、ホッパ下部152bの先端の両突出部のうち印刷機構40側の部分は長いがシール機構53側の部分は短くなっている。これにより、基板21ひいては分包帯8が傾斜していることと相まって、薬剤投入ホッパ152にて分包帯8に投入された薬剤は、分包帯8における一包分の区分室のうちシール機構53寄り部分に多く収まって分包帯8と共にそのままシール機構53へ送られるので、薬剤投入ホッパ152が固定されていても確実に分包されることとなる。
【0064】
また、図4(b)に示した薬剤投入ホッパ152は、上述した図1(e)の薬剤投入ホッパ152の下端すなわちホッパ下部152bの先端が凹形であるのに対し、ホッパ下部152bの先端が凸形になっている。ホッパ下部152bの先端は、二つ折り分包帯8に無理なく差し込めて薬剤を円滑に送り込むことができれば、図示した形状に限られるものでなく、平らでも良く、傾いていても良く、段付きでも良く、扁平でも良く、丸まっていても良く、例えば薬剤が印刷機構40側では少なくなりシール機構53側で多くなるよう薬剤投入ホッパ152の先端のうち印刷機構40側の部分は細長く形成され薬剤投入ホッパ152の先端のうちシール機構53側の部分は太く短く形成されていても良い。
【0065】
さらに、図4(c)に示した薬剤投入ホッパ152は、鉛直状態のホッパ上部152aから傾斜状態のホッパ下部152bに至る中間部分がなだらかに湾曲している点で、対応する中間部分の折れ曲がっている薬剤投入ホッパ152(図4(a),(b)参照)と相違している。湾曲状態では軸心方向が徐々に変化するのに対し、折れ曲がりでは軸心方向が局所で一気に変化するが、落下薬剤を円滑に案内できれば何れでも良く、内面形状と外面形状とで湾曲と折れ曲がりとが一致している必要もない。ホッパ上部152aの上端開口の形状も、薬剤収集機構14から薬剤を漏れなく受け入れることができれば、円でも楕円でも長円でも角形でも良い。
【0066】
[その他]
上記の実施例では、シール機構53のヒータ53a,53bとしてΓ字状のものを図示したが(図1(d),(e))、ヒータ53a,53bの形状はT字状であっても良く(図5(e)参照)、横シール発熱体と縦シール発熱体とが分離していても良い。
上記の実施例でインクリボン送り機構143は、本体部44とカバー部45とに分かれていたが、インクリボン供給機構44a+45aとインクリボン巻取機構44b+45bとがプリントヘッド42の後方で前後になっていれば、分け方が異なっていても良く、分かれていなくても良い。また、図2ではインクリボン供給機構44a+45aが後でインクリボン巻取機構44b+45bが前になっていたが、その前後が逆でも良い。
上記の実施例で印刷機構140は、プリントヘッド42及びプラテン機構41(特にプラテンローラ41a)が何れも分包帯送り経路に向けて進退可能になっていたが、プラテン機構41が分包帯送り経路に向けて進退可能であればプリントヘッド42は固定しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の薬剤包装装置は、上述した薬剤分包機110への組み込みに限らず、多数の錠剤フィーダを装備した錠剤分包機に組み込んでも良く、いわゆるV升型の散薬分包機に組み込んでも良く、単独のユニットにしても良い。
【符号の説明】
【0068】
8…分包帯(分包紙)、10…薬剤分包機、11…天板部、
12…散薬分割装置、13…錠剤手撒き装置、14…薬剤収集機構、
15…筐体、16…引出機構、17…受け箱、18…清掃機構、
20…薬剤包装装置、21…基板、22…取っ手、23…固定ローラ、
30…分包帯供給機構、31…分包帯軸支部、
32…自走供給ローラ、33…ブレーキ、34…バネ、36…可動ローラ、
40…印刷機構、41…プラテン機構、41a…プラテンローラ、
42…プリントヘッド、43…インクリボン送り機構、
44…インクリボン送り機構本体部、44a…インクリボン供給機構内嵌部、
44b…インクリボン巻取機構内嵌部、45…インクリボン送り機構カバー部、
45a…インクリボン供給機構外嵌部、45b…インクリボン巻取機構外嵌部、
45d…カバー把手、46…インクリボン、46a…インクリボンロール、
46b…リボン巻取管、47…プリントヘッド進退機構操作部、
48…プリントヘッド進退機構作動部、49…ヘッド進退検出部材、
50…区分封入機構、51…押え部材、
52…薬剤投入ホッパ、53…シール機構、53a,53b…ヒータ、
54…分包帯牽引機構、55…往復動機構、60…電子カム機構、
110…薬剤分包機、
120…薬剤包装装置、140…印刷機構、
141…プラテン駆動機構、141a…駆動モータ、141b…伝動ベルト、
141c…従動プーリ、141d…減速ギヤ、143…インクリボン送り機構、
152…薬剤投入ホッパ、152a…ホッパ上部、152b…ホッパ下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分包帯ロールを解きながら長尺の分包帯を順送り供給する機構である分包帯供給機構と、分包帯に薬品名や用法などの情報を印刷する機構である印刷機構と、縦シールと横シールを行って分包帯を区分するとともに各区分室に薬剤を投入する機構である区分封入機構とを、分包帯送り経路に沿って、薬剤落下先の引出可能な基板に配設した薬剤包装装置において、前記印刷機構が前記分包帯送り経路を挟んで対向するプリントヘッドとプラテンローラとを具備したものであり、前記プラテンローラを前記分包帯送り経路に向けて進退させうるようになっていることを特徴とする薬剤包装装置。
【請求項2】
前記プラテンローラを回転させるプラテン駆動機構に含まれている軸部材を中心にして前記プラテンローラが揺動することにより、前記分包帯送り経路に向けた進退が実行されるようになっていることを特徴とする請求項1記載の薬剤包装装置。
【請求項3】
前記プラテンローラにギヤ結合にて回転運動を伝達するプラテン駆動機構のギヤ軸を中心にして前記プラテンローラが揺動することにより、前記分包帯送り経路に向けた進退が実行されるようになっていることを特徴とする請求項1記載の薬剤包装装置。
【請求項4】
前記プラテン駆動機構が前記ギヤ結合用のギヤと駆動源の電動モータと回転運動伝達用の伝動ベルトとを具備したものであり、前記モータと前記ギヤとが前記モータを後にし前記ギヤを前にした配置状態で前記基板の下面に設けられていることを特徴とする請求項3記載の薬剤包装装置。
【請求項5】
前記印刷機構がプリントヘッドとインクリボン供給機構とインクリボン巻取機構とを具備したものであり、前記プリントヘッドの後方で前記インクリボン供給機構と前記インクリボン巻取機構とが前後に並んでいることを特徴とする請求項4記載の薬剤包装装置。
【請求項6】
前記分包帯供給機構と前記印刷機構と前記区分封入機構とが横一列に並んでいることを特徴とする請求項5記載の薬剤包装装置。
【請求項7】
前記分包帯供給機構が分包帯ロール保持用の分包帯軸支部と分包帯テンション調整用の可動ローラとを具備したものであり、前記分包帯軸支部が後になり前記可動ローラが前になる配置状態で前記分包帯軸支部と前記可動ローラとが設けられていることを特徴とする請求項6記載の薬剤包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−254336(P2010−254336A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105738(P2009−105738)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】