説明

薬物送達デバイス

眼内に配置するための薬物送達デバイスは、薬学的に活性な薬剤を含有する薬物コア、およびこの薬物コアを保持するホルダを備える。このホルダは、この活性な薬剤の通過に対して不透過性である材料から作製され、そして薬学的薬剤を眼組織へと通過させるための開口部を備える。このデバイスは、この活性な薬剤の通過に対して透過性である材料の層を備える。このデバイスの組み立ての際、この薬物コアと同様の形状を有するピンまたは重りが、透過性材料の硬化の間に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、薬物送達デバイスに関し、好ましくは、薬学的に活性な薬剤を眼に放出するために、眼内に配置または移植されるデバイスに関する。このデバイスは、薬物コア、およびこの薬物コアのためのホルダを備え、ここで、このホルダは、この活性な薬剤の通過に対して不透過性である材料から作製され、そしてこの薬学的薬剤を眼組織へと通過させるための、少なくとも1つの開口部を備える。特に、本発明はこのようなデバイスを作製する、改善された方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
広範な種々の病気および疾患の処置を補助するための、種々の薬物が開発されている。しかし、多くの例において、このような薬物は、有害な副作用の危険性なしには、効率的に経口投与または静脈内投与され得ない。さらに、薬物を局所的に、すなわち、処置を必要とする身体の領域に、投与することが、しばしば望ましい。さらに、薬物を徐放の様式で局所的に投与し、これによって、比較的少ない用量の薬物が、処置を必要とする身体の領域に、延長された期間にわたって曝露されることが、望ましくあり得る。
【0003】
従って、眼内に配置され、そして種々の眼疾患を処置するための、種々の徐放性の薬物送達デバイスが、開発されている。例は、以下の特許文献に見出され、これらの開示は、本明細書中に参考として援用される:特許文献1(Viscasillas);特許文献2(Brubaker);特許文献3(Brubakerら);特許文献4(Brubakerら);特許文献5(Brubakerら);特許文献6(Smithら);特許文献7(Ashtonら);特許文献8(Chenら);特許文献9(Ashtonら);特許文献10(Guoら);特許文献11(Guoら);米国特許出願番号10/403,421(Drug Delivery Device,2003年3月28日出願)(Mosackら);および米国特許出願番号10/610,063(Drug Delivery Device,2003年6月30日出願)(Mosack)。
【0004】
これらのデバイスの多くは、薬学的に活性な薬剤を含有する内部薬物コア、およびこの薬物コアのための、不透過性材料(例えば、シリコーンまたは他の疎水性材料)から作製された、何らかの型のホルダを備える。このホルダは、この不透過性材料を通った眼組織へのこの薬学的薬剤の通過のための、1つ以上の開口部を備える。これらのデバイスの多くは、この活性な薬剤に対して透過性である材料(例えば、ポリビニルアルコール)の、少なくとも1つの層を備える。
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0086051号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0106395号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0110591号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0110592号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0110635号明細書
【特許文献6】米国特許第5,378,475号明細書
【特許文献7】米国特許第5,773,019号明細書
【特許文献8】米国特許第5,902,598号明細書
【特許文献9】米国特許第6,001,386号明細書
【特許文献10】米国特許第6,217,895号明細書
【特許文献11】米国特許第6,375,972号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの型のデバイスを作製する種々の先行技術の方法は、このデバイス内への薬物コアの挿入後に、このデバイスが製造される材料(例えば、不透過性材料の層)の1つを加熱硬化させる工程を包含する。しかしながら、本発明は、いくつかの活性な薬剤が熱感受性であり、そしてこのような加熱硬化工程がこの活性な薬剤に不利に影響し得ることを認識する。本発明は、過剰な熱に対して薬物コア内の活性な薬剤を曝露するのを避ける、改善された方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
図1および図2は、本発明のデバイスの第一の実施形態を図示する。デバイス1は、眼への移植のための、徐放性薬物送達デバイスである。デバイス1は、薬学的に活性な薬剤3を含有する内部薬物コア2を含む。
【0007】
この活性な薬剤としては、このデバイスから送達されて眼に対して有利かつ有用な結果を生じ得る、任意の化合物、物体の組成物、またはこれらの混合物が挙げられ得る(特に、局所的または全身性の、所望の生理学的効果または薬理学的効果を得る際に効果的な薬剤)。このような薬剤の例としては、以下が挙げられる:麻酔剤および疼痛緩和剤(pain killing agent)(例えば、リドカインおよび関連化合物、ならびにベンゾジアゼパムおよび関連化合物);抗癌剤(例えば、5−フルオロウラシル、アドリアマイシンおよび関連化合物);抗真菌剤(例えば、フルコナゾールおよび関連化合物);抗ウイルス剤(例えば、ホスホモノギ酸三ナトリウム(trisodium phosphomonoformate)、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、DDIおよびAZT);細胞移送/移動度切迫剤(cell transport/mobility impending agent)(例えば、コルヒチン、ビンクリスチン、サイトカラシンBおよび関連化合物);抗緑内障薬物(例えば、β−遮断薬:チモロール、ベタキソロール、アテノロール(atenalol)など);抗高血圧症薬;うっ血除去薬(例えば、フェニレフリン、ナファゾリン、およびテトラヒドラゾリン);免疫応答改変剤(例えば、ムラミルジペプチドおよび関連化合物);ペプチドおよびタンパク質(例えば、シクロスポリン、インスリン、成長ホルモン、インスリン関連増殖因子、熱ショックタンパク質および関連化合物);ステロイド性化合物(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロンおよび関連化合物);低溶解度ステロイド(例えば、フルオシノロンアセトニドおよび関連化合物);カルボニックアンヒドラーゼインヒビター;診断剤;抗アポトーシス剤;遺伝子療法剤;金属イオン封鎖剤;還元剤(例えば、グルタチオン);抗浸透剤;アンチセンス化合物;抗増殖剤;抗体結合体;抗うつ薬;血流増強剤;喘息治療薬物;駆虫剤;非ステロイド性抗炎症剤(例えば、イブプロフェン);栄養剤およびビタミン;酵素インヒビター;酸化防止剤;抗白内障薬物;アルドースレダクターゼインヒビター;細胞保護剤(cytoprotectant);サイトカイン、サイトカインインヒビター;およびサイトカイン保護剤;UV遮断薬;肥満細胞安定薬;ならびに抗血管新生剤(例えば、マトリックスメタロプロテアーゼインヒビターなどの抗血管新生剤)。
【0008】
このような薬剤の例としてはまた、以下が挙げられる:神経保護剤(例えば、ニモジピンおよび関連化合物);抗生物質(例えば、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、およびエリスロマイシン);抗感染剤;抗菌剤(例えば、スルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフイソキサゾール);ニトロフラゾン、およびプロピオン酸ナトリウム;抗アレルギー剤(例えば、アンタゾリン、メタピリレン(methapyriline)、クロルフェニラミン、ピリラミンおよびプロフェンピリダミン);抗炎症剤(例えば、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン21−ホスフェート、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21−ホスフェート、酢酸プレドニゾロン、フルオロメトロン(fluoromethalone)、ベタメタゾンおよびトリミノロン(triminolone));縮瞳薬および抗コリンエステラーゼ(例えば、ピロカルピン、サリチル酸エセリン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロホスフェート、ホスホリンヨード(phospholine iodine)、および臭化デメカリウム);瞳孔拡大剤(mydriatics)(例えば、硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、オイカトロピン、およびヒドロキシアンフェタミン);交感神経作用薬(例えば、エピネフリン);ならびにDesign of Prodrugs(Hans Bundgaard編、Elsevier Scientific Publishing Co.,Amsterdam,1985)に記載されるようなプロドラッグ。上記薬剤に加えて、哺乳動物生物における状態を処置するか、管理するか、または診断するために適切な他の薬剤が、内部コア内に配置され得、そして本発明の徐放性薬物送達デバイスを使用して投与され得る。ここでまた、任意の標準的な薬学的教科書(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences)が他の薬剤の確認のために、参照され得る。
【0009】
このような化合物の、薬学的に受容可能な任意の形態(すなわち、遊離塩基またはその薬学的に受容可能な塩もしくはエステル)が、本発明の実施において使用され得る。例えば、薬学的に受容可能な塩としては、硫酸塩、乳酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩などが挙げられる。
【0010】
例示される実施形態において示されるように、活性な薬剤3は、マトリックス材料4と混合され得る。好ましくは、マトリックス材料4は、体液および眼と適合性の、ポリマー物質である。さらに、マトリックス材料は、このデバイスが体液に曝露される場合に特に、この材料を通る活性な薬剤3の通過に対して透過性であるべきである。例示的な実施形態について、このマトリックス材料は、PVAである。また、この実施形態において、内部薬物コア2は、さらなるマトリックス材料のコーティング5でコーティングされ得、この材料は、この活性な薬剤と混合される材料4と同じであっても、異なっていてもよい。例示的な実施形態について、使用されるコーティング5もまた、PVAである。
【0011】
デバイス1は、内部薬物コア2のためのホルダ6を備える。ホルダ6は、活性な薬剤3の通過に対して不透過性である材料から作製される。ホルダ6は、不透過性の材料から作製されるので、活性な薬剤3がこのホルダを通って眼組織に接触することを可能にするために、少なくとも1つの通路7が、ホルダ6に形成される。換言すれば、活性な薬剤は、任意の透過性マトリックス材料4および透過性コーティング5を通過し、そして通路7を通って、このデバイスから出る。例示的な実施形態については、このホルダは、シリコーンから作製され、特に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)材料から作製される。
【0012】
図1および図2に示される型のデバイスを作製する先行技術の方法は、以下の手順を包含する。薬物コアの錠剤にほぼ対応する大きさおよび図2に一般的に示されるような形状を有する、シリコーンの円筒形カップが、例えば、成型によって、別個に形成される。次いで、このシリコーンホルダは、イソプロパノールのような溶媒で、抽出される。開口部7が、例えば、ボーリングによって、またはレーザーを用いて、このシリコーンに配置される。液体PVAの液滴が、このホルダの開口端部13を通して、このホルダに入れられる。この開口端部は、図3において最も良好に見られる。次いで、内部薬物コアの錠剤が、同じ開口端部13を通してこのシリコーンホルダに入れられ、そしてこの円筒形ホルダ内に押し込まれる。その結果、この錠剤を押すことによって、この液体PVAが、この錠剤内部コアとシリコーンホルダとの間の空間を満たし、これによって、図1および図2に見られる透過性の層5が形成される。例示的な実施形態について、接着剤の層11が、このホルダの開口端部13に適用されて、この内部薬物コアの錠剤を、この端部で完全に封入する。タブ10が、このデバイスのこの端部に挿入される。液体PVAおよび接着剤は、このアセンブリを加熱することによって、硬化される。
【0013】
前述のように、本発明は、いくつかの活性な薬剤が熱感受性であり、加熱硬化に対する内部薬物コアの曝露がこの活性な薬剤に不利に影響し得ることを、認識する。本発明は、過度の熱に対して薬物コア内の活性な薬剤を曝露するのを避ける、改善された方法を提供する。
【0014】
本発明の第一の実施形態において、硬化可能な液体は、ホルダ6内に入れられ、次いで、ピン20がこのホルダ6内に挿入されて、図3に例示するように、この液体と置き換わる。ピン20は、金属(例えば、ステンレス鋼または他の非腐食性材料)から作製され得る。次いで、この液体は硬化され(例えば、加熱硬化によって)、そしてピン20が取り外される。従って、硬化された液体はコーティング5を形成する。ピン20が取り外され、そして内部薬物コア2は、ここで、ピン20の場所に、末端13を通ってホルダ6内に挿入され得る。ピン20の下部末端21は好ましくは、内部薬物コア2の大きさおよび形状にほぼ対応する大きさおよび形状を有することが、理解される。
【0015】
上述の方法においてと同様に、接着剤の層11が、ここで、このホルダの開口端部13に適用されて、内部薬物コアの錠剤を、この端部で完全に封入し得る。タブ10が、このデバイスのこの端部において、この接着剤に抵抗して挿入され、これによって、このデバイスは、図2にあるような外観を呈する。
【0016】
例示的な実施形態について、活性な薬剤は、微粒化粉末の形態で提供され得、次いで、マトリックス材料(この場合、PVA)の水溶液と混合され、これによって、活性な薬剤とPVAとが、より大きいサイズの粒子に凝集する。次いで、得られた混合物が、いくらかの水分を除去するために乾燥され、次いで、粉砕され、そしてふるいで分けられて、粒子大きさを減少され、その結果、この混合物は、より流動性になる。必要に応じて、錠剤作製を補助するために、少量の不活性滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)が添加され得る。次いで、この混合物は、標準的な錠剤作製装置を使用して錠剤として形成され、この錠剤が、内部薬物コア2を表す。
【0017】
代替的実施形態は、図4に例示される。この実施形態において、このデバイスは、透過性材料から作製されるディスク14をさらに備え、このディスク14はホルダ6と層5との間の通路7を覆う。例示される実施形態に関して、ディスク14は、PVAから予め形成され得、このPVAは層5およびマトリクス材料4のために使用される材料と同等である。この実施形態を組み立てる場合、ディスク14はホルダ6内に配置され、その後、層5を形成する、硬化可能な液性材料が加えられる。次いで、先の実施形態のように、ピン20を使用してこの液体を置き換える。この実施形態の強力な利点は、通路7における透過性材料の厚みがより良好に制御され得ることであり、これによって、透過性材料を通った通路7内への活性な薬剤のより一貫した放出を提供する。
【0018】
例示される材料に加えて、広範な種々の材料が、本発明のデバイスを構築するために使用され得る。唯一の要件は、これらの材料が、不活性であり、免疫原性ではなく、そして所望の透過性を有することである。このデバイスを製造するために適切であり得る材料としては、体液および身体組織と生物学的に適合性であり、そしてこの材料が接触する体液に本質的に不溶性である、天然に存在する材料または合成材料が挙げられる。体液に迅速に溶解する材料、または非常に可溶性である材料の使用は、避けられるべきである。なぜなら、この壁の溶解は、薬物放出の一貫性、およびこのデバイスが延長された期間にわたって適所に保持される能力に,影響を与えるからである。
【0019】
体液および眼の組織と生物学的に適合性であり、そして材料が接触する体液に本質的に不溶性である、天然に存在する材料または合成材料としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ガラス、金属、セラミック、ポリ酢酸ビニル、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリ酪酸ビニル、エチレンアクリル酸エチルコポリマー、ポリエチルヘキシルアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、可塑化エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エチレン塩化ビニルコポリマー、ポリビニルエステル、ポリ酪酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化軟質ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、架橋ポリビニルピロリドン、ポリトリフルオロクロロエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリ(1,4’−イソプロピリデンジフェニレンカーボネート)、塩化ビニリデン、アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル−フマル酸ジエチルコポリマー、ブタジエン/スチレンコポリマー、シリコーンゴム(特に、医療等級のポリジメチルシロキサン)、エチレン−プロピレンゴム、シリコーン−カーボネートコポリマー、塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー、および塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー。
【0020】
例示的な実施形態は、タブ10を備え、このタブは、広範な種々の材料から作製され得、この材料としては、マトリックス材料および/またはホルダについて上で言及された材料が挙げられる。タブ10は、眼内の所望の位置に、例えば、縫合によって、このデバイスを取り付ける目的で、提供され得る。例示的な実施形態について、タブ10は、PVAから作製され、そして接着剤11を用いて、内部薬物コア2に接着される。接着剤11は、硬化性シリコーン接着剤、硬化性PVA溶液などであり得る。このデバイスを眼内に縫合することが必要ではない場合、要素10は、実質的にホルダ6を超えて延びないような、より小さい大きさを有し得る。
【0021】
好ましい実施形態によれば、このホルダは、このホルダから残留物質を除去するために、抽出される。例えば、シリコーンの場合、このホルダは、より低分子量の物質(例えば、未反応のモノマー物質およびオリゴマー)を含有し得る。このような残留物質の存在はまた、このホルダの表面の接着に、不利に影響を与え得ると考えられる。このホルダは、このホルダを、抽出溶媒(必要に応じて攪拌しながら)に入れることによって、抽出され得る。代表的な溶媒は、イソプロパノール、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、超臨界二酸化炭素など(これらの混合物を含む)のような、極性溶媒である。抽出後、この溶媒は、好ましくは、例えば、窒素ボックス中、層流フード中、または減圧オーブン中で蒸発させることによって、このホルダから除去される。
【0022】
所望であれば、このホルダは、抽出後に、このホルダのぬれ性を増加させるため、ならびにこのホルダへの薬物コアおよび/またはタブの接着を改善するために、プラズマ処理され得る。このようなプラズマ処理は、酸化媒体(例えば、酸素含有化合物または窒素含有化合物:アンモニア、アミノアルカン、空気、水、過酸化物、酸素ガス、メタノール、アセトン、アルキルアミンなど、またはこれらの適切な混合物)(アルゴンのような不活性ガスを含有する)からなる雰囲気中で、酸化プラズマを使用する。混合された媒体の例としては、酸素/アルゴンまたは水素/メタノールが挙げられる。代表的に、このプラズマ処理は、閉じたチャンバ内で、13.56MHzの放電周波数、好ましくは、約20ワットから500ワットの間で、約0.1トル〜1.0トルの圧力で、好ましくは、約10秒間〜約10分間、またはそれより長時間、より好ましくは、約1分間〜10分間、実施される。
【0023】
このデバイスは、滅菌され、そしてパッケージされ得る。例えば、このデバイスは、γ放射線での照射によって、滅菌され得る。
【0024】
このデバイスの寸法は、このデバイスの大きさ、内部薬物コアの大きさ、およびコアまたはレザバを囲むホルダと共に変動し得ることが、理解される。このデバイスの物理的大きさは、哺乳動物生物の移植部位において、生理学的機能を妨害しないように、選択されるべきである。標的化される疾患状態、哺乳動物生物の型、投与の位置、および投与される薬剤は、とりわけ、徐放性の薬物送達デバイスの所望の大きさをもたらす要因である。しかし、このデバイスは、眼内への配置が意図されるので、このデバイスは、大きさが比較的小さい。一般に、このデバイス(縫合タブを除く)は、10mm以下、より好ましくは、5mm以下、そして最も好ましくは、3mm以下である、最大の高さ、幅および長さをそれぞれが有することが好ましい。
【0025】
例および説明された実施形態は、本発明についての徐放性薬物送達デバイスの設計のいくつかを示す。しかし、これらの例は、説明の目的のみであり、そして条件および範囲に関して全体的に決定的であるとはされないことが理解されるべきである。本発明は、種々の好ましい実施形態に関して記載されたが、本明細書を考慮して、本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、多くのバリエーションが、当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の薬物送達デバイスの第一の実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、図1のデバイスの断面図である。
【図3】図3は、組み立ての間の図1および図2のデバイスの断面図である。
【図4】図4は、薬物送達デバイスの第二の実施形態の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスを作製するための方法であって、以下:
活性な薬剤の通過に対して不透過性である材料から作製されるホルダを提供する工程であって、該ホルダが該活性な薬剤を含有する薬物コアを受容するよう形成される、工程;
硬化可能な液体を該ホルダに追加する工程、および該ホルダ内にピンを挿入して該硬化可能な液体と置き換える工程;
該液体を硬化させる工程、および該ピンを取り除く工程;ならびに
該ホルダ内へと該薬物コアを挿入する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記薬物コアが前記ピンと同様な形状にされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ホルダが前記薬学的薬剤の通過のための少なくとも1つの開口部を備える、請求項1に記載のホルダ。
【請求項4】
前記薬物コアの挿入後に、該薬物コアを材料の層で覆う工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記材料の層が縫合タブを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記不透過性材料がシリコーンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記薬物コアが、前記活性な薬剤と該活性な薬剤に対して透過性であるマトリクス材料の混合物とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マトリクス材料がポリビニルアルコールを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化可能な液体がポリビニルアルコールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記液体が前記デバイスを加熱することによって硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ホルダが前記挿入される薬物コアを囲むシリンダを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記シリンダの末端が少なくとも1つの開口部を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記薬物コアが円筒形である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記薬物コアが、前記活性な薬剤に対して透過性である材料で被覆される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
材料の予め形成されたディスクを前記ホルダ内に挿入する工程、その後ホルダおよび予め形成されたディスクに前記硬化可能な液体を加える工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ホルダが円筒形であり、そして前記ディスクが円形である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記シリンダの末端が少なくとも1つの開口部を備え、そして前記ディスクが該少なくとも1つの開口部を覆う、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ディスクが前記活性な薬剤に対して透過性である材料から作製される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ディスクがポリビニルアルコールから作製される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記薬物コアの挿入後に、縫合タブを備える材料の層で該薬物コアを覆う工程をさらに包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
薬物送達デバイスであって、以下:
薬学的に活性な薬剤の通過に対して透過性である材料から作製され、そして該活性な薬剤の通過のための少なくとも1つの開口部を備える、ホルダ;
該ホルダ内に収容され、そして薬学的に活性な薬剤を含有する、薬物コア;および
該活性な薬剤の通過に対して透過性である材料から作製される、予め形成されたディスクであって、該ホルダ内に収容され、そして該薬物コアと該ホルダにおける該少なくとも1つの開口部との間に配置される、ディスク
を備える、デバイス。
【請求項22】
前記ホルダに取り付けられた縫合タブをさらに備える、請求項21に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−515230(P2007−515230A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545738(P2006−545738)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/041044
【国際公開番号】WO2005/065642
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(391008847)ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド (137)
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
【Fターム(参考)】