説明

虚血性疾患および脳変性疾患の予防および治療のためのイネ科植物(Gramineaeplant)からのでんぷんまたは食物繊維を含む組成物

本発明は、細胞生存率を改善するでんぷんまたは総食物繊維を含む組成物に関する。具体的には、イネ科植物(Gramineae plants)の抽出物から単離された本発明のでんぷんおよび総食物繊維およびそれからの成分は、細胞が虚血状態下で、またはベータ−アミロイドおよび6−ヒドロキシドパミンの存在下で培養された時、細胞生存率を改善し、また心筋梗塞、脳梗塞および血管性痴呆を予防および治療し、または記憶障害を軽減したが、これらはすべてそれぞれの動物モデルとしてラットを用いて証明された。 本発明でんぷんまたは総食物繊維は、それぞれの細胞が虚血状態下で、またはベータ−アミロイドおよび6−ヒドロキシドパミンの存在下で培養された時、細胞生存率を改善し、また心筋梗塞、脳梗塞および血管性痴呆を予防および治療し、または記憶障害を軽減したが、これらはすべてそれぞれの動物モデルとしてラットを用いて証明された。従って、本発明のでんぷんまたは総食物繊維は、虚血性疾患または脳変性疾患の予防および治療のための治療薬または健康食品として用いられ得る。本発明でんぷんまたは総食物繊維は、それぞれの細胞が虚血状態下で、またはベータ−アミロイドおよび6−ヒドロキシドパミンの存在下で培養された時、細胞生存率を改善し、また心筋梗塞、脳梗塞および血管性痴呆を予防および治療し、または記憶障害を軽減したが、これらはすべてそれぞれの動物モデルとしてラットを用いて証明された。従って、本発明のでんぷんまたは総食物繊維は、虚血性疾患または脳変性疾患の予防および治療のための治療薬または健康食品として用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虚血性疾患および脳変性疾患を予防および治療するためのでんぷんまたは総食物繊維を含む組成物およびその使用に関する。
【0002】
本発明は、アラビノキシラン、ベータグルカン、アラビノースおよびキシロースからなる群から選ばれる少なくとも1つの成分を含む虚血性疾患および脳変性疾患を予防および治療するための組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
代表的な虚血性疾患である、脳梗塞および心筋梗塞は、高血圧、高脂血症、糖尿病または喫煙などの各種の因子によって既に狭窄した脳動脈または環動脈の血栓による目詰によっても引き起こされる周囲組織の壊死によって引き起こされる。
【0004】
毎年、世界の死因に一位である心血管疾患は、全体の死亡の約30%を占め、その75%を脳梗塞および心筋梗塞が占める。従って、これらの2疾患と癌が最高の疾病率を有する3つの代表的疾患である。心筋梗塞および脳梗塞によって生じる疾病率を下げる方法は、二群に分けられる: 一つは、高血圧および高脂血症の治療による血管閉塞の予防であり、他の一つは血管閉塞が生じた時に周囲組織の壊死を減らすことである。
【0005】
壊死領域を減らす最良の方法は、可急的速やかに閉塞した動脈を再灌流することであり、それには血栓または栓塞を溶解するために、ついで閉塞動脈を再灌流するために血栓溶解薬が用いられている。
【0006】
しかし、一度心臓および脳の組織が閉塞3−6時間後に壊死に至る場合は、血栓溶解薬による再灌流さえも梗塞の予防に有効でないであろう。実際、患者は閉塞後3−6時間以内に病院に到着できないので、迅速な再灌流は困難である更に、既に損傷した心臓および脳はうまく再生しない。従って、病院で閉塞動脈が再灌流されるまで、組織の損傷を予防することが治療効果を上げるもう一つの方法であり、それに対して、脳梗塞および心筋梗塞における細胞死の原因の1つはアポトーシスであるので抗アポトーシス薬は1つの選択枝になり得る(Crow MT et al . ,Circ.Res.,95(10),pp957−970,2004、Friedlander RM,N.Engl.J.Med.,348(14),ppl365−1375,2003.)
【0007】
また、腎臓移植による移植組織の損傷(Daemen MA et al.,Transplantation,73(11),ppl693−1700,2002)および整形外科による移植組織の損傷(Gastman BR et al.,Plast.Reconstr.Surg.,Ill,ppl481−1496,2003)は、虚血再灌流後のアポトーシスによって誘導される。
【0008】
更に、心筋傷害は酸素の要求量がポンプ、即ち人工心肺によって供給される酸素の量よりもさらに過剰である場合に起こり、または心臓停止で手術が行われる場合、その後の脳傷害は低血圧で起き得る。例えば、環動脈の閉塞の場合に行われる環動脈バイパス移植術の場合および脳動脈、大動脈、その他に動脈瘤が起きる時に行われる動脈瘤手術の場合などの手術が血管の一部の閉塞を伴う場合、心筋傷害による心不全および脳損傷による片麻痺が、起こり得る。実際、大動脈の動脈瘤に対する手術またはインターベンション治療中、患者の3−16%に虚血性心疾患、腎不全、対麻痺などの副作用が起きる。従って、このような副作用は術前に抗アポトーシス薬が投与されれば、減らし得るであろう。
【0009】
アポトーシス性神経細胞死の原因は、十分解明されていないが、アポトーシス性神経細胞死が、脳への酸素とグルコースの供給の遮断後の一過性虚血が起きる場合に生じるATP濃度の減少および浮腫の生成によって起きることが報告されている。
【0010】
脳虚血におけるアポトーシス性神経細胞死は、二つの機序で誘発されることが報告されている:一つは、興奮性神経細胞死の機構であり、それによって、脳虚血が細胞外のグルタミン酸塩の過剰な蓄積、細胞へのグルタミン酸塩の流入および細胞内のカルシウムイオンの過剰な蓄積を誘発し(Kang T Cetal.,J.Neurocytol.,30(12),pp945−955,2001)、もう一つは酸化的細胞死の機構であり、それによって、虚血−再灌流における突然の酸素供給によって発生するフリーラジカルの増加が、DNAおよび細胞質に対する傷害を誘発する(Won M H et al.,Brain Res.,836(1−2),pp70−78,1999)。これらの機構研究に基づいて、これまでアポトーシス性神経細胞死の阻害剤のスクリーニングまたはその機構解明の努力がなされてきた。しかし、アポトーシス性神経細胞死の有効な阻害剤は未だ見出されていない。
【0011】
虚血状態下のアポトーシスを阻害するテトラサイクリン抗生物質であるミノサイクリンが、例えば、脳梗塞(Yrjanheikki J et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96(23),ppl3496−13500,1999)、心筋梗塞(Scarabelli TM et al.,J.Am.Coll.Cardiol.,43(5),pp865−874,2004)、虚血性急性腎不全(Wang J et al.,J.Biol.Chem.,279(19),pp19948−19954,2004)などの虚血性疾および例えばアルツハイマー病(Hunter CL,Eur.J.Neurosci.,19(12),pp3305−3316,2004)、パーキンソン病(Wu DC et al.,J.Neurosci.,22(5),ppl763−1771,2002)、筋萎縮性側索硬化症(Zhu S et al.,Nature,417(6884)、pp74−78、2002)、ハンチントン病(Chen. M. et al.,Nat.Med.,6(7),pp797−801,2000)および脊髄傷害(Teng YD et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,101(9),pp3071−3076,2004)などの神経細胞アポトーシスによって生じる脳変性疾患の治療に有効であることが報告されている。本発明の発明者らはまた、テトラサイクリンが本研究に使用される類似の虚血状態下で細胞の生存能力を改善することも確認した(韓国特許登録番号第0404134、米国特許登録番号第6716822および6818625)。更に、アミノグリコシド、キノロンなどの他の抗生物質もまた虚血状態下における細胞の生存を改善し、アミノグリコシドの1つであるG418(geneticin)は特に心筋梗塞の治療において有効性を示した(米国特許登録番号6716822)。次の実験において、G418は虚血状態下でアポトーシスを阻害し、同じく脳梗塞の治療においても有効性を示した。これらの結果に基づいて、虚血状態下でG418と同じ細胞生存効果を示す試料が心筋梗塞などの虚血性疾患の治療において有効であり得ること、およびアポトーシスにより生じる変性性脳疾患の予防および治療にも有効であることが期待された。スクリーニングにより、本発明は、最終的にTriticum aestivum L.を含むイネ科植物(Gramineae plant)の粗抽出物が、虚血状態下で細胞の生存性を改善することを見出し、ついで粗抽出物が、脳梗塞および心筋梗塞などの虚血性疾患の治療およびアルツハイマー病などの脳変性疾患の治療におけて有効性を有することを示し、それは虚血および脳変性疾患動物モデルを用いて証明された(韓国特許登録第10−0723950号、およびPCT/RR2006/000027)。
【0012】
Gramineae種に属する代表的な植物の種は、 約10%の水分、50−60%のでんぷん(オオムギの場合25%)を含む炭水化物成分、10−20%の蛋白質、2−8%の脂質および1−3%の可溶性食物繊維(オオムギの場合9%)を含む10−20%の総食物繊維(オオムギの場合40%)(Ranhotra GS et al.,Cereal Chemistry 68(5),pp556−558,1991)、または50−60%のでんぷん、10−20%の蛋白質、1−5%の脂質および10−20%の総食物繊維(Grausgruber H et al.,In Genetic variation for plant breeding(Vollmann J et al.(Eds.)),pp23−26,Eucarpia & Boku,Vienna,2004)を含むことが報告されている。
【0013】
アラビノキシランおよびベータグルカンは、胚乳細胞の細胞壁を構成する二つの主要な植物繊維であり(Izydorczyk MS et al.,Carbohydrate Polymers,28,pp33−48,1995、Zekovic DB et al.,Crit.Rev.Biotech.,25,pp205−230,2005)、それによって小麦の細胞壁(Triticum aestivum L.)(Philippe S et al.,Planta、224(2)、pp449−461、2006)およびライ麦の細胞壁が(Secale cereale L.)(Vinkx CJA et al.Cereal Sci.,24,ppl−14、1996)ベータグルカンよりもより多くのアラビノキシランを含み、一方、オーツ麦およびオオムギのそれは(Avena sativa L.)(Miller SS et al.,Cereal Chem.,72(5),pp421−427,1995)(Hordeum vulgare L.)(Kanauchi M and Bamforth CW,Cereal Chem.,78(2),ppl21−124,2001)アラビノキシランよりもより多くのベータグルカンを含むことが報告されている。一般に、アラビノキシランは、アラビノースおよびキシロースで構成されており、ベータグルカンはグルコースで構成されている(Izydorczyk MS et al.,Carbohydr.Polym.,28,pp33−48,1995)。
【0014】
アラビノキシランおよびベータグルカンなどのポリマーに加えて、細胞壁はまた、高い抗酸化作用を示す化合物、即ち、アラビノキシラン分子の架橋に関与するフェルラ酸 (Adams EL et al.,Carbohydr.Res.,340,ppl841−1845,2005),クマリン酸、バニリン酸,p−OH安息香酸およびシリンガ酸なども含む(Zhou K et al.,J.Agric.Food Chem.,52,pp6108−6114,2004、Clifford MN,J.Sci.Food Agric,79,pp362−372,1999)。
【0015】
クロロフィルを豊富に含む緑色植物の種子、根、幹、球根、果実等中の主要保存物質であるでんぷんは、高等動物に対して炭化水素源として重要である。それは、1,000,000から10,000,000の範囲の分子量および1.65の比重を有する無色および無臭の白色粉末であり、植物によって、異なった大きさおよび形態を有する顆粒の形で存在し、数種類のでんぷん中殆ど一定の比率、一般に20−30%のアミロースおよび70−80%のアミロペクチンの混合物である(Yoo et al .,Carbohydr.Polymers,49,pp297−305,2002)。しかし、もち米、ワキシーとうもろこし等はアミロースは少なく、主にアミロペクチンを含む。
【0016】
本発明の発明らは、動物の疾患モデルを用いて小麦を含むイネ科植物(Gramineae plants)の粗抽出物が、虚血条件下で細胞の生存能力を改善し、虚血性疾患および 脳変性疾患の改善と治療における有効性を有することを報告した(韓国特許登録第10−0723950号、およびPCT/KR2006/000027)が,イネ科植物(Gramineae plants)から単離された精製でんぷんまたは総食物繊維およびアラビノキシラン、アラビノース、キシロースおよびベータグルカンなどの植物繊維の成分が上で引用しいずれかの文献において、虚血性疾患および脳変性疾患の改善および治療において有効性を有することは開示されていない(その開示を参考により本明細書に組み入れる。)。
【0017】
従って、本発明の発明者らは本発明はイネ科植物(Gramineae plants)から単離したでんぷんまたは総食物繊維が虚血条件下およびベータ−アミロイドまたは6−ヒドロキシドパミンの存在下で細胞の生存能を改善することおよび
動物の疾患モデルを用いてでんぷんまたは総食物繊維がまた虚血性疾患および脳変性疾患の改善および治療において有効性を有することを調査し、確認して本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】韓国特許登録番号第0404134号
【特許文献2】米国特許登録番号第6716822号
【特許文献3】米国特許登録番号第6818625号
【特許文献4】米国特許登録番号6716822号
【特許文献5】韓国特許登録第10−0723950号
【特許文献6】PCT/RR2006/000027
【特許文献7】韓国特許登録第10−0723950号
【特許文献8】PCT/KR2006/000027
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Crow MT et al . ,Circ.Res.,95(10),pp957−970,2004
【非特許文献2】Friedlander RM,N.Engl.J.Med.,348(14),ppl365−1375,2003.
【非特許文献3】Daemen MA et al.,Transplantation,73(11),ppl693−1700,2002
【非特許文献4】Gastman BR et al.,Plast.Reconstr.Surg.,Ill,ppl481−1496,2003
【非特許文献5】Kang T Cetal.,J.Neurocytol.,30(12),pp945−955,2001
【非特許文献6】Won M H et al.,Brain Res.,836(1−2),pp70−78,1999)
【非特許文献7】Yrjanheikki J et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96(23),ppl3496−13500,1999
【非特許文献8】Scarabelli TM et al.,J.Am.Coll.Cardiol.,43(5),pp865−874,2004
【非特許文献9】Wang J et al.,J.Biol.Chem.,279(19),pp19948−19954,2004
【非特許文献10】Hunter CL,Eur.J.Neurosci.,19(12),pp3305−3316,2004
【非特許文献11】Wu DC et al.,J.Neurosci.,22(5),ppl763−1771,2002
【非特許文献12】Zhu S et al.,Nature,417(6884)、pp74−78、2002
【非特許文献13】Chen. M. et al.,Nat.Med.,6(7),pp797−801,2000
【非特許文献14】Teng YD et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,101(9),pp3071−3076,2004
【非特許文献15】Ranhotra GS et al.,Cereal Chemistry 68(5),pp556−558,1991
【非特許文献16】Grausgruber H et al.,In Genetic variation for plant breeding(Vollmann J et al.(Eds.)),pp23−26,Eucarpia & Boku,Vienna,2004
【非特許文献17】Izydorczyk MS et al.,Carbohydrate Polymers,28,pp33−48,1995
【非特許文献18】Zekovic DB et al.,Crit.Rev.Biotech.,25,pp205−230,2005
【非特許文献19】Triticum aestivum L.)(Philippe S et al.,Planta、224(2)、pp449−461、2006
【非特許文献20】Vinkx CJAet al.Cereal Sci.,24,ppl−14、1996
【非特許文献21】Miller SS et al.,Cereal Chem.,72(5),pp421−427,1995
【非特許文献22】Kanauchi M and Bamforth CW,Cereal Chem.,78(2),ppl21−124,2001
【非特許文献23】Izydorczyk MS et al.,Carbohydr.Polym.,28,pp33−48,1995
【非特許文献24】Adams EL et al.,Carbohydr.Res.,340,ppl841−1845,2005
【非特許文献25】Zhou K et al.,J.Agric.Food Chem.,52,pp6108−6114,2004、Clifford MN,J.Sci.Food Agric,79,pp362−372,1999
【非特許文献26】Yoo et al .,Carbohydr.Polymers,49,pp297−305,2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、虚血状態下でアポト−シスにより誘発された虚血性疾患および脳変性疾患を予防し治療するためにでんぷんまたは総食物繊維を含む医薬組成物およびその使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
従って、本発明の目的は、虚血性疾患および脳変性疾患の予防および治療のための活性成分としてでんぷんまたは総食物繊維を含む医薬組成物を提供することである。
【0022】
本発明の目的はまた、虚血性疾患および脳変性疾患の予防および改善のためのでんぷんまたは総食物繊維を含む健康食品の提供でもある。
【0023】
本発明はまたそれを必要とする哺乳動物またはヒトにおけるアポトーシスによって生じる虚血性疾患および脳変性疾患の予防および治療のための医薬組成物の製造のためのでんぷんまたは総食物繊維の使用の提供である。
【0024】
本発明は、薬学的に許容できる担体またはその助剤と共に、でんぷんまたは総食物繊維の有効量を投与することによる虚血性疾患および脳変性疾患を患っているヒトまたは哺乳動部における虚血性疾患および脳変性疾患を予防および治療する方法を提供する。
【0025】
本発明はまた、虚血性疾患および脳変性疾患の予防および治療のための活性成分としてアラビノキシラン、ベータグルカン、アラビノースおよびキシロースからなる群から選ばれる少なくとも1つの成分を含む医薬組成物も提供する。
【0026】
本発明はまた、虚血性疾患および脳変性疾患の予防および治療のための活性成分としてアラビノキシラン、ベータグルカン、アラビノースおよびキシロースからなる群から選ばれる少なくとも1つの成分を含む健康食品も提供する。
【0027】
本発明はまた、それを必要とする哺乳動物またはヒトにおけるアポトーシスにより生じる虚血性疾患および脳変性疾患の予防および治療のための医薬組成物の製造のためのアラビノキシラン、ベータグルカン、アラビノースおよびキシロースからなる群から選ばれる少なくとも1つの成分の使用も提供する。
【0028】
本発明は虚血性疾患および脳変性疾患を患っているヒトまたは哺乳動物におけるアラビノキシラン、ベータグルカン、アラビノースおよびキシロースからなる群から選ばれる少なくとも1つの成分の有効量を、薬学的に許容できる担体またはその助剤と共に投与することによる、虚血性疾患および脳変性疾患を予防および治療する方法を提供する。
【0029】
本明細書に開示する用語「虚血性疾患」は、好適には心筋梗塞、脳梗塞などの手術または臓器傷害の副作用から生じる心筋梗塞、脳梗塞、虚血性急性腎不全、虚血性急性肝不全、糖尿病性足潰瘍、糖尿病性腎症および虚血性疾患などの様々な虚血性疾患を含む。
【0030】
本明細書に開示する用語「手術の副作用から生じる虚血性疾患」は、虚血性心疾患、虚血性腎疾患、虚血性肝疾患または虚血性卒中、好適には虚血性心疾患、虚血性卒中等を含む。
【0031】
本明細書に開示する用語「臓器組織傷害」は、臓器手術または移植または事故で切断された体の部分の再結合が行われる時に起きる虚血−再灌流傷害である。
【0032】
上に記載の「臓器」は内臓、例えば、腎臓、肝臓、すい臓、肺、心臓などを含む。
【0033】
本明細書に開示する用語「脳変性疾患」は、アルツハイマー病、血管性痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、ピック病、クロツエルヤコブ病または脊髄傷害などの様々な脳変性疾患を含み、好適にはアルツハイマー病、血管性痴呆、パーキンソン病などである。
【0034】
本明細書に開示する用語「でんぷん」は、Triticum aestivum L.,Tritici levis semen,Secale cereale L.,Oryza sativa L.(コメ),Hordeum vulgare var.hexastichon ASCH.,malt,Avena sativa,Zea mays L.,Sorghum bicolor MOENCH,Coix lacryma−jobi var.mayuen STAPF,Panicum miliaceum L.などのイネ科植物(Gramineae plants)またはSetaria italica Beauv.またはポテトから精製された各種でんぷん、好適には,Triticum aestivum L.、Zea mays L.、Hordeum vulgare var.hexastichon ASCH.、コメまたはポテトから精製されたでんぷん、より好適には,Triticum aestivum L.から精製されたでんぷん、Zea mays L.から精製されたでんぷん、コメから精製されたでんぷんまたはポテトから精製された可溶性でんぷん,更に好適には、Triticum aestivum L.から精製されたでんぷん、Zea mays L.から精製されたでんぷん、コメから精製されたでんぷんまたはポテトから精製された可溶性でんぷんなどの各種でんぷんを含み、これらはすべて1,000,000から10,000,000の範囲の分子量を有する。
【0035】
本明細書に開示する用語「総食物繊維」は、Triticum aestivum L.、Tritici levis semen、Secale cereale L.、Oryza sativa L.、Hordeum vulgare var.
hexastichon ASCH.、malt、Avena sativa、Zea mays L.、Sorghum bicolor MOENCH、Coix lacryma−jobi var.mayuen STAPF、Panicum miliaceυm L.、Setaria italica Beauvなどのイネ科植物(Gramineae plants )またはジャガイモから精製された総食物繊維、好適には、Triticum aestivum L.、Secale cereale L.、Hordeum vulgare var.hexastichon ASCH.、Zea mays L.またはOryza sativa L.から精製された総食物繊維、より好適にはアラビノキシラン、ベータグルカンおよびアラビノガラクタンを相対重量%で5〜20: 1: 1−10含むTriticum aestivum L.から精製された総食物繊維、更により好適には、50,000から400,000ダルトンの範囲の分子量を有するアラビノキシランおよびベータグルカンからなるTriticum aestivum L.から精製された総食物繊維である。
【0036】
本明細書に開示する用語「アラビノース」および「キシロース」は、L−型およびD−型の両方を含み、好適には、天然で作られる型、即ち、アラビノースはL−型、およびキシロースはD−型を含む。
【0037】
以下に,本発明をより詳細に記載する。
【0038】
本発明のでんぷんは,以下の手順により詳細に調製され得る。
【0039】
イネ科植物(Gramineae plants)、好適にはTriticum aestivum L.、Tritici levis semen、Secale cereale L.、玄米、Hordeum vulgare var.hexastichon ASCH.、malt、Avena sativa、Zea mays L.、Sorghum bicolor MOENCH、Coix lacryma−jobi var.mayuen STAPF、Panicum miliaceum L.またはSetaria italica Beauv、より好適にはTriticum aestivumL.の種子を乾燥および粉砕して粉末にし、その粉末を10から100%、好適には約50から70%容量の蒸留水と混合して生地を作成し、その生地をナイロンのふるい絹で包み、その生地を流水下で圧縮してでんぷんを溶出し、溶出物を遠心分離して沈澱を集め、最後に、沈澱を蒸留水に懸濁して一緒に遠心分離して、本発明のでんぷんを精製し、本発明のでんぷんを集める。
【0040】
本発明の総食物繊維はまた、以下の手順によって詳細に調製され得る。
【0041】
イネ科植物(Gramineae plants)、好適にはTriticum aestivum L.、Tritici levis semen、Secale cereale L.、玄米、Hordeum vulgare var.hexastichon ASCH.、malt、Avena sativa、Zea mays L.、Sorghum bicolor MOENCH、Coix lacryma−jobi var.mayuen STAPF、Panicum miliaceum L.またはSetaria italica Beauv、より好適には、Triticum aestivum L.、玄米またはZea mays L.の種子を乾燥および粉砕して粉末にし、その粉末を約1から15−倍、好適には、約5から10−倍容量の蒸留水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのC−Cの低級アルコールまたはその混合物、好適には、蒸留水または約1:0.1から1:10の範囲の比率の水とC1−C4低級アルコールの混合物、より好適には、蒸留水または約1:0.1から1:10の範囲の比率の水とエタノールの混合物と混合し、冷水、温水、超音波還流冷却、電子醸造ポット抽出などの抽出方法を用いて20°Cから100°C、好適には25Cから100°Cの範囲の温度で、0.5から48時間、好適には1から24時間の期間に亘って、好適には1から12回好適には、3から4回の抽出に付し、ろ過し、ろ液を20°Cから100°C、好適には40°Cから70°Cの範囲の温度で、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、ついで濃縮物を真空凍結乾燥を用いて乾燥して乾燥粗抽出物粉末を得、糖をエタノール(糖含量が粗抽出物の全乾燥の50%を超す場合は、好適には85%エタノール)を用いて除去し、エタノール洗浄残渣および乾燥残渣を10から70−倍、好適には、30から50−倍緩衝溶液に溶解し、ついでアルファーアミラーゼで10から60分間、好適には、25から45分間、50°Cから120°Cの範囲の温度、好適には70°Cから90°Cで処理し、30°Cから90°C、好適には50°Cから70°Cの範囲の温度でプロテアーゼ処理して蛋白質を除き、酢酸を用いて溶液をpH4.1−4.5、好適には、pH4.2−4.4に調整後、20°Cから100°C、好適には50°Cから70°Cの範囲の温度でアミログルコシダーゼで処理し、最後に1−7倍、好適には、3−5倍容量のエタノールを加えて溶液を沈澱させ、沈澱した本発明の総食物繊維を得る。
【0042】
本発明は、虚血性および脳変性疾患の予防および治療のための、上に記載の調製方法で調製された活性成分としてでんぷんまたは総食物繊維を含む医薬組成物を提供する。
【0043】
本発明のでんぷん、総食物繊維、アラビノキシラン、ベータグルカン、アラビノースおよびキシロースは、本技術分野で周知の単離または精製方法により、または商業市場または会社から入手し得る。
【0044】
本発明のでんぷんまたは総食物繊維は、殆ど副作用がなく、無毒性であるので、長期間安全に用いられ得る。
【0045】
本発明のでんぷんまたは総食物繊維を含む医薬組成物はまた、医薬組成物の製造に通常用いられる、適正な担体、助剤および希釈剤も含み得る。
【0046】
本発明のでんぷんまたは総食物繊維を含む医薬組成物に含まれ得る薬学的に許容できる担体、助剤または希釈剤は、ラクトース、デキストロース、サッカロース、ソルビトール、マニトール、キシリトール、エリスリトール、マニトール、アラビアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシル安息香酸塩、プロピルヒドロキシ安息香酸塩、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油である。
【0047】
この製剤は更に、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、芳香剤、乳化剤、保存剤等を含み得る。本発明の組成物は、本技術分野で周知のいずれかの手順を採用して患者への投与後、活性成分の速放性の、徐放性のまたは遅放性の遊離を提供するように製剤され得る。
【0048】
例えば、本発明の組成物は、注射液を製造するために通常用いられる油、プロピレングリコールまたは他の溶媒に溶解され得る。
【0049】
この担体の適切な例は、生理食塩水、プロピレングリコール、エタノール、植物油、イソプロピルミリステートなどを含むが、これらに限定されない。局所投与のために、本発明の抽出物は、軟膏およびクリームの形に製剤され得る。
【0050】
本組成物を含む医薬製剤は、経口剤型(粉末、錠剤、カプセル、軟カプセル、水性薬、シロップ、エリキシル剤、ピル、粉末、小袋、顆粒)または局所製剤(クリーム、難航、ローション、ゲル、香油、パッチ、ペースト、スプレー、溶液、エアゾールなど)または注射製剤(溶液、懸濁液、乳濁液)などのいずれの形にも調製され得る。
【0051】
医薬剤型本発明の組成物は、それらの薬学的に許容できる塩の形で用いられ得、また単独でまたは適切な組み合わせおよび他の医薬活性化合物と組み合わせて用いられ得る。
【0052】
本発明の抽出物または組成物の望ましい用量は被験者の状態および体重、重症度、剤型、投与経路および期間によって変わり、また当業者によって選択され得る。しかしながら、望ましい効果を得るために、本発明の抽出物を通常10mg/kgの範囲、好適には、0.1から1000mg/kg体重/日で投与するのが好ましい。投与量は一日単回または数回の分割投与であってよい。
【0053】
本発明の医薬組成物は、哺乳動物(ラット、マウス、家畜またはヒト)などの対象動物に様々な経路で投与され得る。投与のすべてのモードが、熟慮され、例えば、経口、経直腸または静脈内、筋肉内、皮下、皮内、くも膜下、硬膜外または脳室内注射で投与され得る。
【0054】
本発明は、虚血性疾患および脳変性疾患の予防および改善のための活性成分としてでんぷんまたは総食物繊維を含む健康食品を提供する。
【0055】
本明細書に開示する用語「健康食品」は、ヒトの健康に有用な機能を示す活性成分または成分を含む製造されたおよび加工された食品を意味し、ここで、「ヒトの健康に対する機能」は、人体の構造と機能に従ってヒトでのその生理学的活性または抑制を介するヒトの健康への有益な作用または有利な作用を意味する。
【0056】
虚血性疾患および脳変性疾患の予防および改善のための本発明の健康食品は、上記でんぷんまたは総食物繊維を該組成物の合計重量に基づいて0.01から95重量%、好適には1から80重量%含む。
【0057】
また、虚血性疾患および脳変性疾患の予防および改善のための粉末、顆粒、カプセル、錠剤、懸濁液、乳濁液、シロップなどの医薬品の投与剤型または健康飲料などの健康食品が製造され加工され得る。
【0058】
本発明の健康飲料組成物が、上に記載の成分を必須成分として指示された割合で含んでいても、通常の飲料における他の液体成分についての特別な制限はなく、その他の成分は様々なデオドラントまたは天然の炭水化物などでありえる。先述の天然の炭水化物の例は、グルコース、フラクトースなどの単糖、マルトース、サッカロースなどの二糖、デキストリン、シクロデキストリンなどの通常の糖、およびキシリトールなどの糖アルコールおよびエリスリトール等である。先述以外の他のデオドラントとして、タウマチン(taumatin)などの天然デオドラント、levaudioside A、glycyrrhizinなどのステビア抽出物およびサッカリン、アスパルタムなどの合成デオドラントが有利に用いられ得る。上に記載の天然炭水化物の量は、本飲料組成物の100ml中、通常約1から20g、好適には5から12gの範囲である。
【0059】
先述の成分以外の成分は様々な栄養剤、即ち、ビタミン、ミネラルまたは電解質、合成フレーバー、着色剤およびチーズチョコレートなどの場合は改善剤、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護コロイド粘着剤、pH調整剤、安定剤、保存剤、グリシン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などである。先述以外の他の成分は、天然果実ジュース、果実ジュース飲料および野菜飲料を調製するための果実であり得、ここで該成分は、単独でまたは組み合わせて用いられ得る。該成分の割合はあまり重要でないが、通常、本組成物100w/w%あたり約0から20w/w%の範囲である。
【0060】
また、本明のでんぷんおよび総食物繊維は、食品、添加物または飲料に虚血性疾患および脳変性疾患の予防のために加えられ得、ここで食品または飲料中の上に記載の抽出物の量は、通常、健康食品の合計重量の約0.01から15w/w%の範囲であり、健康飲料100ml中0.02から5g、好適には0.3から1gの範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明のTDFを含むアラビノキシランおよびベータグルカンその他の糖組成物の分析データを示す図である。
【図2a】イネ科植物(Gramineae plants)(Triticum aestivum L.、玄米およびZeamaysL.)から単離された粗抽出物および本発明のでんぷんの各種濃度の添加の虚血状態下で培養されたHepG2細胞の生存率への改善効果を示す図である。
【図2b】Triticum aestivum L.の粗抽出物から精製された本発明のTDFの各種濃度の添加の虚血状態下で培養されたHepG2の細胞生存率への影響を示す図である。
【図3a】Triticum aestivum L.から精製された本発明のでんぷんの各種濃度の添加のベータ−アミロイドの各種濃度を用いて培養したSH−SY5Y細胞生存率への改善効果を示す図である。
【図3b】本可溶性 でんぷんの各種濃度の添加のベータ−アミロイドの各種濃度を用いて培養したSH-SY5Y細胞の生存率への改善効果を示す図である。
【図3c】Triticum aestivum L.(HY6228)の粗抽出物およびイネ科植物(Gramineae plants)から精製された本発明のでんぷん(SC: corn、SR:rice、SS:可溶性でんぷん、SW:Triticum aestivum L.)の各種濃度の添加のベータ−アミロイドの25 μMを用いて培養したSH−SY5Y細胞の生存率への改善効果を示す図である。
【図3d】灰分成分を含む本発明の総食物繊維の各種濃度の添加のベータ−アミロイドの10μMを用いて培養したSH−SY5Y細胞の生存率への改善効果を示す図である。
【図3e】総食物繊維を含むアラビノキシランおよびベータグルカンおよびアラビノキシランを含むアラビノースおよびキシロースの添加のベータ−アミロイドの15μMを用いて培養したSH−SY5Y細胞の生存率への改善効果を示す図である。
【図4】Triticum aestivum L.(HY6228)の粗抽出物の各種濃度の添加の250μMの6−ヒドロキシドパミンと培養したSH−SY5Yの細胞生存率への改善効果を示す図である。
【図5a】Triticum aestivum L.から精製された本発明のでんぷんを経口投与された動物モデルにおける心筋梗塞への阻害効果を示す図である
【図5b】Triticum aestivum L.から精製された本発明のTDFを経口投与された心筋梗塞動物モデルにおける心筋梗塞への阻害効果を示す図である
【図5c】ベータグルカン、アラビノキシラン、アラビノースおよびキシロースを経口投与された心筋梗塞動物モデルにおける心筋梗塞への阻害効果を示す図である
【図6】Triticum aestivum Lから精製された本発明のでんぷんを経口投与された脳梗塞動物モデルにおける脳梗塞への阻害効果を示す図である
【図7a】Triticum aestivum L.から精製された本発明のでんぷんを経口投与された痴呆誘発動物モデルにおける水迷路テストによって測定された記憶障害への阻害効果を示す図である
【図7b】Triticum aestivum L.から精製された本発明のTDFを経口投与された痴呆誘発動物モデルにおける水迷路テストによって測定された記憶障害への阻害効果を示す図である。
【図8a】本発明の粗抽出物(HY6228)を経口投与された血管性痴呆動物モデルにおける、水迷路テストによって測定された痴呆への阻害効果を示す図である。
【図8b】経口投与された本発明のでんぷんおよびTDFの血管性痴呆動物モデルにおける水迷路テストによって測定された痴呆への阻害効果を示す図である。
【図8c】アラビノキシランを経口投与された血管性痴呆動物モデルにおける水迷路テストによって測定された痴呆への阻害効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明を以下の実施例により、より具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にいずれの仕方においても制限されないことが理解されるべきである。
【0063】
次の参考実施例、実施例および実験的実施例は、その範囲を制限することなく、本発明を更に説明することを意図している。
(参考実施例1)
【0064】
材料
【0065】
コーン(Zea mays L.)(カタログ番号.S4180、以降「SC」と言う。)、コメ(Oryza sativa L.),(カタログ番号 S7260、以降「SR」と言う。)から精製したでんぷん、精製可溶性でんぷん(カタログ番号S9765、以降「SS」と言う。)およびアラビノース(カタログ番号.A3256:L(+)型,MW150.13)をSigma(USA)から購入した。中粘度のアラビノキシラン(カタログ番号.P−WAXYM、麦から,粘度:25cSt,MW:270,000ダルトン),中粘度のベータグルカン(カタログ番号.P−BGBM:大麦から,粘度:28cSt,MW:260,000ダルトン)をMegazyme(Ireland)から購入した。キシロース(カタログ番号95729:D(+)型,MW150.13)は,Fluka(ドイツ)から購入した。
(参考実施例2)
【0066】
実験動物の調製
【0067】
250−300gの体重の雄Sprague−Dawley(SD)ラットをHyochangScienceCo.(Korea)から購入し、21±2°Cで昼/夜の12時間サイクル下の動物飼育室で、水および動物の餌に自由にアクセスさせて飼育した。
動物は,実験の前10分間手で触れられた。
【実施例1】
【0068】
イネ科植物(Gramineae plants)の粗抽出物の調製
【0069】
市場から購入したTriticum aestivum L.100gを洗浄し、水2lと混合し、漢方薬電子醸造ポット(Daewoong oriental herb medicine electric brewing pot DWP−2000、Daewoong)を用いて2回抽出物した。溶液を濾過し、得られたろ過抽出物2lを凍結乾燥しTriticum aestivum Lの乾燥粗抽出物(以降「HY6228」と言う。)22gを得た。上に記載した同じ手順をそれぞれ100gの乾燥玄米およびコーン(Zea mays L)に適用し、玄米、およびコーン(Zea mays L)の粗抽出物それぞれ20gおよび9gを得た。(以降、「HY6228A」および 「HY6228F」と言う。)
【0070】
Triticum aestivum Lの抽出物から6、000から8,000ダルトン未満の分子量の低分子量物質を除去するために、HY6228の10gを蒸留水100mlに懸濁し、透析膜(Spectra/Por 1−132675、Spectrurn labs)に注ぎ、3日間、新鮮な蒸留水500mlで3回置換し、4°Cで蒸留水500ml中で24時間に亘って攪拌して透析した。膜中の溶液を凍結乾燥し、高分子量物質(以降、「HY6228d」と言う。)を含むTriticum aestivum Lの精製水抽出物6.66gを得た。
【実施例2】
【0071】
イネ科植物(Gramineae plants)の本発明の総食物繊維の調製
【0072】
文献 (Lee S.C.et al.,J.Assoc,off.Anal.Chem.,75,pp395−416,1992、Prosky L et al.,J.Assoc.Off.Anal.Chem.,71,PP1017−1023)に開示されている手順およびMegazyme Co.Ltd(TDFR06/10)のマニュアルに従って、灰分を含む総食物繊維を粗抽出物を実施例1において調製したTriticum aestivum L.(HY6228)の粗抽出物から単離した。
【0073】

実施例1において調製したHY6228の10gを500mlの瓶に注ぎ、それにMES/TRIS緩衝溶液(それぞれ0.05M、pH8.0、24°C)400mlを加えた。溶液を完全に混合し、ついでそれにアルファアミラーゼ70マイクロリッター(23mg/ml Termamyl、930U/mg、24°C)を加え、水浴中で80°Cで35分間反応させた。反応後、溶液を60°Cに冷却し、それにプロテアーゼ (−350U/ml Megazyme Cat.No.E−BSPRT)1000マイクロリッターを加え、水浴中で60°Cで30分間反応させた。該溶液を3M酢酸でpH4.3に調製し、それにアミログルコシダーゼ(3300U/ml、Megazyme.Cat.No.E−AMGDF)の2000マイクロリッターを加え、水浴中で60°Cで30分間反応させた。
【0074】
溶液を予め60°Cに加熱された95%EtOH1600mlと混合し、室温で60分間、攪拌せずに放置した。溶液を遠心分離して沈澱を集め、該沈澱を乾燥して総食物繊維(TDF).2.3gを得た。
【実施例3】
【0075】
アラビノキシランおよびベータグルカンなどを含むTDFの糖成分の分析
【0076】
アラビノキシラン(アラビノースおよびキシロース)およびベータグルカンを含むTDFの組成物を決定するために、TDF中のアラビノース、キシロース、グルコースおよびガラクトースの量が炭水化物 Material Laboratory Seojeng University(http://www.carbo.or.kr)の炭水化物物質研究室で分析された。
【0077】
TDFの2mg/mlをトリフルオロ酢酸を用いて4時間、酸加水分解に処した。加水分解された溶液10マイクロリッター(合計0.2マイクログラム)をCarboPac(商標)PAlカラム(HPAEC−PADsystem、Dionex、USA)に注入し、1.0ml/minの流速で18mMNaOHを用いて溶出した(Houben R et al.,J.Cereal ScL,26,pp37−46,1997)。
【0078】
図1に示すように、アラビノキシラン(Ara)、ガラクトース(Gal)、グルコース(GIc)およびキシロース(XyI)が、溶出の順番で検出され、これは糖標準の溶出時間との比較によって確認された。ピーク面積から計算されたそれぞれの成分の量は69.5pmol(10.4ng)、27.0pmol(4.9ng)、652.7pmol(117.5ng)および81.6pmol(12.2ng)にそれぞれ対応する。ガラクトースは、アラビノガラクタンから誘導され、アラビノガラクトン中のアラビノースの量は、ガラクトースのそれの0.7−倍(Virkki L et al.,Carbohydr.Res.、343,pp521−529,2008)に対応し、アラビノースの量は、アラビノガラクタン(3.4ng)中のアラビノースの量を測定したアラビノース(10.4ng)のそれから差し引いた後7ngになった。従って、Ara/XyIの重量比は0.58であり、これは、参考文献に開示されたデータと同一である。(Ordax−Ortiz JJ et al.,/.Ceral ScL,42,ppll9−125,2005)。最後に、TDF0.2マイクログラム(200ng)中のアラビノキシランの量は、19.2ng(9.6%、重量比)であり、アラビノガラクタンの量は8.3ng(4.1%、重量比)であった。
【0079】
他方、TDF中のグルコースは、ベータグルカンからだけでなく、セルロースおよびレジスタントスターチからも誘導されるので、TDF中のベータグルカンの量は、混合連鎖ベータグルカンアッセイ手順(McCleary method)を用いて測定され、これには混合連鎖ベータグルカンアッセイキット(MegazymeK−BGLU04/06)が用いられた。この方法において、リケナーゼはベータグルカンを部分的に加水分解し、ついでベータグルコシダーゼが部分的に加水分解したベータグルカンを完全にグルコースに加水分解する。生成したグルコースの量は、グルコースが、グルコースオキシダーゼおよびパーオキシダーゼと反応された後、510nmにおける吸収を測定して決定された。この実験から、TDF内のベータグルカンが約1.1%(w/w%)と測定された。
【0080】
上記結果を要約すると、アラビノキシラン(ara/xyl=0.58)、ベータグルカおよびアラビノガラクタンは、それぞれ9.6、1.1および4.1%(w/w%)であり、ベータグルカン以外のグルコースは、115.3ng(57.7%、w/w%)であった。
【実施例4】
【0081】
イネ科植物(Gramineae plants)からの本発明のでんぷんの調製
【0082】
本発明のでんぷん(SW)は、文献(Van Der Borght et al.,J.Cereal Sci.41,pp221−237、2005)に開示されている手順に従って小麦粉から単離された。
【0083】
小麦粉50gに水を加え、水含量50%の生地を作り、その生地を50マイクロメーターのナイロンふるい絹で包んだ。ふるい絹中の生地を、流水下で、濁った水が出なくなるまで圧縮した。溶出物を遠心分離し、沈澱を集め、本発明のでんぷんを得た(以降、「SW」と言う。)。
(実験的実施例1)
【0084】
虚血状態下の細胞生存率(in vitro)へのでんぷんの改善効果の測定
【0085】
発明の粗抽出物、それから精製されたでんぷんおよび総食物繊維の虚血状態下のHepG2の細胞生存率への効果を調べるために、次のMTTアッセイを文献(Hoffman R.M., Cell Biology(CeIis JE (Ed.)、Vol.l,pp369−370,Academic Press,New York,1994)に開示された手順を僅かに修正して実施した。
【0086】
<ii6>HepG2細胞(ヒト肝癌細胞系、ATCC HB 8065、2X10細胞/800μl)を12−ウエルプレートの各ウエルに播種し、(Eagle’s 最小必須培地、Invitrogen、USA)ペニシリンGナトリウム(100Units/L,Invitrogen,USA)、ストレプトマイシン硫酸塩(100mg/L、Invitrogen、USA)および10%(w/v)ウシ胎児血清(Invitrogen、USA)を補給したEMEM中で培養し、37°Cで48時間5%CO培養器中で培養した。培地を新鮮培地に変えた後、その培地に100%DMSO中に溶解した本発明の粗抽出物およびでんぷんを各種濃度で加えた。でんぷんの最終濃度:100、200、400および800マイクログラム/mlおよびTDFの最終濃度:100および1000マイクログラム/mlとしたものを試験群とし、また何も加えないものを陰性対照群とした。細胞を虚血状態下(酸素濃度:1%)でさらにもう2日間培養した。最後に、MTTアッセイの結果を図2aおよび2bに示すように得た。
t<ii7>図2aに示すように、200マイクログラム/mlを超すSR、HY6228A、SWおよびHY6228d、400マイクログラム/mlを超すHY6228、SCおよびHY6228F、および800マイクログラム/mlを超すSSが、それぞれ、細胞生存率を改善した。
【0087】
更に、図2bに示すように、HY6228は、1000マイクログラム/mlの濃度で細胞生存率の強い改善効果を示した。
【0088】
上述のように、本発明のTriticum aestivum L.、玄米およびZeamavs L.の粗抽出物だけでなく、それから精製されたでんぷんが、虚血状態下の細胞生存率に強力な改善効果を示した。しかし、TDFは虚血状態下の細胞生存率を改善しなかった。先行技術(韓国登録特許番号第10−0723950号および PCT/KR2006/000027)によると、虚血状態下の細胞生存率を改善するTriticum aestivum L.の粗抽出物は、脳梗塞などの虚血性疾患に対してだけでなく、アルツハイマー病などの脳変性疾患に対しても治療効果を示す。これらの結果に基づいて、虚血状態下の細胞生存率も改善するイネ科植物(Gramineae plants)からの本発明のでんぷんは、これらの疾患を治療するのに有効であることが予想され得る。
(実験的実施例2)
【0089】
実験的実施例2.ベータ−アミロイド−誘発細胞毒性(in vitro)へのでんぷんおよび総食物繊維の影響
【0090】
本発明の粗抽出物、でんぷんおよび総食物繊維のアルツハイマー病の主な原因の1つと見なされるベータ−アミロイドによって誘発される細胞毒性への神経保護作用を特定するために、次のMTTアッセイを文献に開示された手順(Hoffman R.M.,Cell Biology (Celis JE (Ed.),Vol.l,pp369−370,Academic Press,New York,1994)を僅かに修正して実施した。
【0091】
SH−SY5Y細胞(ヒト神経芽細胞腫細胞系、ATCCCRL−2266、4X10*細胞/300マイクロリッター/ウエル)が48ウエルプレートに藩種され、ペニシリンGナトリウム(100Units/L、Invitrogen、USA)、ストレプトマイシン硫酸塩(100mg/L、Invitrogen、USA)および10%(w/v)ウシ胎仔血清(Invitrogen、USA)で補給したDulbecco’smodified Eagle Medium/F1290%培地(Invitrogen、USA)中、37°Cで5%CO−95%の空気培養器中で48時間培養した。培地を交換後、細胞を、Triticum aestivum L.から単離した本発明のでんぷんの存在下または不存在下(以降、Aβs−35単独群と言う。)でベータ−アミロイドで24時間処理し、0、2.5、7.5および25μMの最終濃度にした。(最終濃度:125マイクログラム/ml、以降A25−35+SW群と言う。)または可溶性でんぷん(最終濃度:125マイクログラム/m1、以降A25−35+SS群と言う。)(これは、DMSO中の50マイクログラム/mlストック溶液から作成された。)(図3aおよび3b参照)。培養後、細胞をMTT溶液で2時間処理した(1mg/mlの最終濃度)。可視細胞中の暗青色のホルマザンをDMSO中に溶解し、540nmの吸収をマイクロプレートリーダー(FLUOstar OPTIMA、BMG LABTECH、ドイツ)によって測定した。
【0092】
上記の結果に基づき、Triticum aestivum L.の粗抽出物またはGramnieae plantsから単離されたでんぷんのベータ−アミロイド誘発細胞毒性に対する保護作用を更に検討するために、ベータ−アミロイドの濃度を25μMに固定した。Triticum aestivum L.の粗抽出物(HY6228、HY図3c中HYと示す、250マイクログラム/ml)およびGramnieae plantsから単離されたでんぷん(SS、SC、SRおよびSW、125マイクログラム/ml)をそれに加えて培養した(図3c参照)。われわれは、総食物繊維(TDF、500、1000マイクログラム/ml)のベータ−アミロイドの10μMの存在下における細胞の生存率の改善効果も検討した(図3d参照)。
【0093】
更に、アラビノキシラン(AX、500マイクログラム/ml)、アラビノース(Ara、250マイクログラム/ml)、キシロース(XyI、250マイクログラム/ml)およびベータグルカン(b−グル、20マイクログラム/ml)を15μMのベータ−アミロイドの存在下で培地に加えた(図3e参照)。
【0094】
結果として、図3aおよび図3bに示すように、SW(図3a参照)またはSS(図3b参照)の125マイクログラム/mlと組み合わせた0−25μMのベータ−アミロイドで処理された群は、2.5μMを超す濃度において、ベータ−アミロイド誘発細胞毒性を有意に減少した[p<0.05(*)or0.01(**)]。更に、ベータ−アミロイドと共に本発明のでんぷんおよびTDFで処理された群は、細胞生存率を有効に改善した(図3cおよび図3d参照)。また、図3eに示すように、細胞生存率細胞が、15μMのベータ−アミロイド単独で処理された場合、細胞生存率は、60.4%であったが、培地にアラビノキシラン、アラビノース、キシロースおよびベータグルカンが存在する場合、細胞生存率はそれぞれ75.5、71.1、72.1および70%に改善された[p<0.05]。
【0095】
上記の結果から、本発明のでんぷんおよび本発明の総食物繊維はTriticum aestivum L.の粗抽出物HY6228)と同様(ベータ−アミロイドによって生じる細胞毒性を減少させることによって、細胞生存率への改善作用を示すことが確認された。従って、本発明のでんぷんおよび本発明の総食物繊維はベータ−アミロイドの蓄積によって生じるアルツハイマー病の治療に有用であり得る。
(実験的実施例3)
【0096】
6−ヒドロキシドパミン誘発細胞毒性への粗抽出物の作用(インビトロ)
【0097】
パーキンソン病の実験的誘発因子として周知(Guo S et al.,Free Radic.Biol.Med.,39(5),pp682−695,2005)の6−ヒドロキシドパミンによって誘導される細胞毒性への本発明の粗抽出物(HY6228)の神経保護作用を特定するために実験的実施例2に開示したのと類似の方法で次のMTTアッセイを実施した。
【0098】
SH−SY5Y細胞(ヒト神経芽細胞腫細胞系、ATCC CRL−2266、6X10細胞/300マイクロリッター/ウエル)48ウエルプレートに藩種し、ペニシリンGナトリウム(100Units/L、Invitrogen、USA)、ストレプトマイシン硫酸塩(100mg/L、Invitrogen、USA)および10%(w/v) ウシ胎仔血清 (Invitrogen、USA)で補給されたDulbecco’s 修正Eagle培地/F12 90%培地(Invitrogen、USA)中、37°Cで5%CO2−95%の空気培養器中で48時間培養した。
【0099】
培地交換後、細胞を6−ヒドロキシドパミンを用いて処理し(6−OHDA、Sigma−Aldrich Co.,USA)250μMの最終濃度とし、24時間培養した。本発明のTriticum aestivum L.(HY6228)の粗抽出物を、6−OHDAによる処理に先立て30分間処理し、最終濃度0.25、0.5、1mg/mlとした。培養後、細胞をMTT溶液(1mg/mlの最終濃度)で2時間処理した。可視細胞中の暗青色のホルマザンを DMSOに溶解し、540nmの吸収をマイクロプレートリ−ダーによって測定した(FLUOstar OPTIMA、BMG LABTECH、GERMANY)。
【0100】
結果において、図4に示すように、6−OHDAと組み合わせてlmg/mlHY6228で処理された群は、−OHDA単独群と比べて有意な細胞生存率の増加を示した[p0.0l]。
【0101】
要約するとTriticum aestivum L.から抽出された本発明の粗抽出物は、細胞生存率6−ヒドロキシドパミンによって生じた細胞毒性を減少することによって、細胞生存率への改善作用を示すことが確認され、従って、それはパーキンソン病の治療に有効であり得る。
(実験的実施例4)
【0102】
経口投与したでんぷんおよび総食物繊維の心筋梗塞への作用(in vivo)
【0103】
本発明のでんぷんおよび総食物繊維の心筋梗塞への治療効果を参考実施例1において調製した実験ラットを用いて、僅かに修正した文献に記載の手順(Haisong J et al.,Circulation,97,pp892−899,1998)に従って、心筋梗塞誘発ラットモデルにおいて測定した。
【0104】
参考実施例1で調製したSDラットを10mg/kgケタミン(Yuhan Corp.,KOREA)および5mg/kgキシラジン(Sigm,USA)で麻酔し、気管内に挿管した。ラットを気管切開により呼吸装置に接続し、心臓を左開胸および心臓周囲切開により素早く露出した。左環動脈(LAD)の上部をLAD下で5−0のプロレン糸を通して結紮し、ポリエチレンチューブ50(PE50)で固く締め、虚血にした。虚血の30分後、固めたPE50を解除後再灌流を3時間続けた。虚血−再灌流後、PE50を再度固く締め虚血を作り、ついで、1%Evans青色染料溶液2mlを静脈内注入し全身を循環させた。ついで、心臓を単離し、右心房および右心室を除去後、2−3mmの厚みに切断した。ついで、断面を切断した組織の染色した(LV−AAR)および染色していない領域(AAR)を画像解析システムを用いて測定し(Quantity One 4.2,Bio−Rad,USA)、危険領域 (AAR/LV、%)を計算した。ついで組織を1%TTC(2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリド、Sigma、USA)を用いて37°Cで15分間染色し、10%ホルマリン溶液で固定した。壊死した白い領域IA)および全左心室領域(LV)を測定して梗塞領域(IA/LV、%)を決定した。試験試料および対象群のAARに対するIAの比を試験効率と比較した。
【0105】
食品と混合した本発明のでんぷん、総食物繊維および 繊維のそれぞれの成分を経口投与し、梗塞領域の大きさを測定した。安全および最大の有効性を同時に有する適正な用量を決定するために、実験的実施例1で得られた結果から計算した最少用量を出発点として設定し、用量を倍増法、即ち、100、200および400mg/kgに増加した。
【0106】
虚血の誘導の3日前に、HY6228または本発明のでんぷんの400mg/kg/日または発明の総食物繊維の10mg/kg/日またはアラビノキシラン、ベータグルカン、アラビノースおよびキシロースなどのその成分の10mg/kg/日を食品の20gと共に自由に摂取させた。3時間の再灌流を行った心筋梗塞の誘発後、梗塞領域を測定し、IA(%AAR)の値を計算し、ついで本発明のでんぷんおよび総食物繊維の有効性を相互に比較した。
【0107】
上の実験の結果、HY6228治療群(n=9)およびでんぷん治療群(n=8、SW)のIA(%AAR)は、それぞれ、42.3および40.6%であったが、対照群(n=57)のそれは51.8%であった。この結果は、梗塞領域の大きさがHY6228治療群およびでんぷん治療群で、それぞれ18.3および21.6%(p<0.05)だけ低下したことを示し、でんぷんが心筋梗塞の予防において粗抽出物と同じ高い有効性を有することを確認する(図5a参照)。更に、本発明の食物繊維処理群(n=9、TDF)のIA(%AAR)は40.2%であり、これは、対照群のそれと比べて梗塞領域の大きさが22.4%(p<0.05)だけ減少したことを示す。従って、食物繊維がまた、心筋梗塞の予防において粗抽出物と同じ高い有効性を有することが確認された(図5b参照)。
【0108】
また、ベータグルカン治療群(n=12、b−glu10)、アラビノキシラン治療群(n=6、AX10)、アラビノース治療群(n=ll、ara10)およびキシロース治療群(n=6、xyl10)のIA(%AAR)はそれぞれ、43.8、42.3、43.4および42.1%であり、一方対照群(n=29)は50.6%であった。結果は、梗塞領域の大きさが、ベータグルカン、アラビノキシラン、アラビノースおよびキシロースで治療された群に対してそれぞれ13.4、16.4、14.2および16.8%だけ減少したことを示し(p<0.05)、総食物繊維の代表的な成分が、心筋梗塞の予防において粗抽出物と同じ高い有効性を有することを確認した(図5c参照)。
(実験的実施例5)
【0109】
経口投与されたでんぷんおよび総食物繊維の脳梗塞への作用(in vivo)
【0110】
本発明のでんぷんおよび総食物繊維の脳梗塞の治療効果が、参考実施例1において調製された実験ラットを用いて、脳梗塞誘発ラットモデルにおいて、僅かに修正された文献に開示された手順(Han HS et al.,J.Neurosci.,22、PP3921−3928,2002)に従って測定された。
【0111】
参考実施例1において調製されたSDラットがエンフルラン(enflurane)(Choongwae Pharm.Corp.<KOREA)を用いる吸入により麻酔された。ラットの頸部を切開し、頸動脈を露出し、頸動脈および外頸動脈を結紮した。ついで、3−0ナイロンを内頸動脈に挿入し、中大脳動脈(MCA)を閉塞し、虚血を得た。実施例1で調製されたHY6228400mg/kg/日(0.5ml)および実施例2で調製された本発明のでんぷんおよび実施例2で調製された本発明の総食物繊維50mg/kg/day(0.5ml)が、手術によって虚血が誘導される前7日から1日にそれに経口投与された。虚血2時間後、抜糸してMCA血流が回復した。再灌流22時間後、脳梗塞ラット安楽死させ、脳をTTC溶液を用いて染色した。大脳半球の梗塞容積を画像解析システムを用いて測定した(Quantity One 4.2,Bio−rad,USA)。有効性を数式1に示したように計算した虚血指数(%)を用いて比較した。
【0112】
(数式 1)
虚血指数(%)=A/Bx100
A:大脳半球の梗塞容積(mm
B:大脳半球の容積(mm
【0113】
結果として、本発明のでんぷんで治療した群(n=6、SW)の虚血指数は74.5%であり、一方対照群のそれは(n=12、対照)93%であった。
【0114】
結果は、梗塞領域の大きさが19.7%(p<0.05)だけ減少したことを示し、本発明のでんぷんが脳梗塞の予防に有効性を有することを確認した(図6参照)。
(実験的実施例6)
【0115】
経口投与されたでんぷんおよび総食物繊維の経口投与によるスコポラミンによって誘導された痴呆への作用(in vivo)
【0116】
本発明の粗抽出物、でんぷんおよび総食物繊維の記憶障害への治療効果が、僅かに修正された文献(Fan et al.,Neurosci.Lett.374,pp222−226,2005)に引用された手順にしたがって、スコポラミンがアセチルコリン受容体に対して拮抗薬として作用するスコポラミン誘導痴呆動物モデルを用いて測定された。
【0117】
実施例において調製された本発明のでんぷんおよび総食物繊維が、試験群として参考実施例1において調製されたラットに12日間連続して経口投与された。生理食塩水が陰性対照群として処理された。本発明のでんぷんおよび繊維の投与の8日目から、更に5日間ラットにスコポラミン0.5mg/kgの腹腔内注射を開始した。本発明のでんぷんおよび繊維の投与の同じ8日目から、毎日、水迷路テストも実施し、さらに5日間記憶の程度を測定した。
【0118】
水迷路テストは、約22−23°Cの水で充填された円形風呂(内寸法:直径180cm、深さ:50cm)および水面下2cmに沈んだ逃避プラットフォーム(直径:10cm、高さ:25cm)からなる水タンク中で行った。ラットの運動をビデオ追跡システム (EthoVision,Noldus Information Technology,Wageningen,The Netherlands)で自動的に記録した。
【0119】
試験において、「逃避潜時」は、ラットが沈んだプラットフォームを見つけ、逃避するために要する時間であり、測定された逃避潜時の内、ラットがプラットフォーム上に30秒を超えて滞在する逃避潜時を有効として、カウントした。「平均逃避潜時」は、ラットあたり1日3回の試験の平均時間である。従って、水迷路テストの5日の期間にラットあたり15の試験が行われた。平均逃避潜時が90秒を超す場合に、90秒の同じカット・オフ・タイムが設定された。
【0120】
痴呆の誘導の前に、実施例1において調製された本発明のHY6228の200mg/kgおよび実施例4で調製された本発明のでんぷんおよび実施例2(試験群)で調製された本発明の総食物繊維の50mg/kgまたは食塩水(疑似群)が経口投与された。本発明のでんぷんおよび繊維の投与の8日目から、ラットへのスコポラミンの0.5mg/kgの腹腔内注射が開始され、水迷路テストも毎日実施され、いずれも更に5日間実施された。
【0121】
その結果、6日の訓練期間の内4日および5日目に陰性対照(SC、n=5)として使用されたスコポラミン単独治療群と比べて、本発明のでんぷんおよびスコポラミンで治療された試験群(SC+SW、n=4)の平均逃避潜時の有意な減少が見られた(p<0.05、図7a)。(ただし、試験群の平均逃避潜時は、疑似群(Normal、n=3)のそれよりも少し長かった。)更に、5日の試験の内4日および5日目に陰性対照(SC、n=4)として使用されたスコポラミン単独治療群に比べて、TDFおよびスコポラミンで治療された試験群(SC+TDF、n=7)の平均逃避潜時の有意な減少が見られた(p<0.05、図7b)。従って、本発明のでんぷんおよび総食物繊維は、記憶障害を阻害することによって、痴呆を改善し得ることが確認された。
(実験的実施例7)
【0122】
経口投与された小麦由来でんぷんおよび総食物繊維の血管性痴呆への作用(in vivo)。
【0123】
本発明のでんぷんおよび本発明の総食物繊維の血管性痴呆の治療効果が、僅かに修正された文献(ChoKOe tal.,J.Neurosci.Res.,83,pp285−291,2006)に開示されている手順に従って、参考実施例1において調製された実験ラットを用いて、血管性痴呆誘発ラットモデルにおいて測定された。
【0124】
参考実施例1において調製されたSDラットが、エンフルラン(enflurane)(Choongwae Pharm.Corp.、KOREA)を用いる吸入により麻酔された。2つの総頸動脈が手術によって曝露され、BCCAO(両側総頸動脈閉塞)法を用いて糸で結び、4週間に亘って脳への血流速度を減らした。ついで、実験的実施例6に開示した水迷路テストを5日間実施した。
【0125】
2つの総頸動脈が結ばれた7日後、ラットにHY6228(200mg/kg)、本発明のでんぷん(SW、200mg/kg)、TDF(50mg/kg)およびアラビノキシラン(50mg/kg)の1週間の投与を開始し、それに対して平均逃避潜時を測定した。
【0126】
結果として、1日目にHY6228(VD+HY6228)で治療された群の平均逃避潜時は、陰性対照(VD)と類似していた。しかし、それは3日目に正常群(対照)のそれと類似し、これはHY6228で治療した群が、陰性対照(VD)のそれよりもより急速に環境に慣れたことを示す(図8a参照)。
【0127】
更に、SW、TDFおよびアラビノキシランで治療した群は、平均逃避潜時(図8bおよび8c参照)が低下し、これはこれらが血管性痴呆の治療に有効であることを確認する。
【0128】
(実験的実施例8)
【0129】
毒性試験
【0130】
実施例2で調製した発明のでんぷん(SW)を用いて、Spague−Dawleyラット(平均体重320±20g)での急性毒性試験を実施した。5匹のラットからなる2つの群にそれぞれ試験試料500mg/kgおよび5000mg/kgを腹腔内投与および経口投与した。
【0131】
ラットを24時間観察した時、死亡、臨床兆候、体重の変化および肉眼所見への治療に関連した作用はなかった。これらの結果は、本発明において調製された本発明のでんぷんが安全であることを示唆する。
【0132】
以下、製剤方法および賦形剤の種類を記載するが、本発明は、これらに限定されない。代表的な調製実施例は、以下に記載の通りである。
粉末の調製
【0133】
実施例のTDF2300mg
ラクトース100mg
タルク10mg
粉末の調製は、上記成分を混合し、シールした包を充填して調製された。
錠剤の調製
【0134】
実施例のSW350mg
コーンでんぷん100mg
ラクトース100mg
ステアリン酸マグネシウム2mg
錠剤の調製は、上記成分を混合し、錠剤化して調製された。
カプセルの調製
【0135】
実施例のSC350mg
コーンでんぷん100mg
ラクトース100mg
ステアリン酸マグネシウム2mg
カプセルの調製は、上記成分を混合し、通常のゼラチンの調製方法によってゼラチンカプセルを充填して調製された。
注射剤の調製
【0136】
実施例のSR350mg
注射剤用蒸留水の至適量
pH調整剤の至適量
注射剤の調製は、活性成分を溶解し、pHを約7.5に調整しついですべての成分を2mlのアンプルに充填し、通常の注射剤調製方法によって滅菌して調製された。
液体の調製
【0137】
実施例のTDF2100mg
異性化糖10g
マニトール5g
蒸留水の至適量
液体の調製は、活性成分を溶解し、すべての成分を充填し通常の液体の調製方法によって滅菌して調製された。
健康食品の調製
【0138】
実施例のSW31000mg
ビタミン混合物の至適量
ビタミンA酢酸塩70マイクログラム
ビタミンE 1.0mg
ビタミンBl 0.13mg
ビタミンB2 0.15mg
ビタミンB6 0.5mg
ビタミンB12 0.2マイクログラム
ビタミンC10mg
ビオチン10マイクログラム
ニコチン酸アミド1.7mg
葉酸50マイクログラム
パントテン酸カルシウム0.5mg
ミネラル混合物至適量
硫酸鉄1.75mg
酸化亜塩0.82mg
炭酸マグネシウム25.3mg
一カリウムリン酸塩15mg
二カリウムリン酸塩55mg
クエン酸カリウム90mg
炭酸カルシウム100mg
塩化マグネシウム24.8mg
上述のビタミンおよびミネラル混合物は、多様に変化し得る。このような変化は本発明の精神と範囲を逸脱するものと見なされない。
健康飲料の調製
【0139】
実施例のTDF21000mg
クエン酸1000mg
オリゴ糖100g
アプリコット濃縮物2g
タウリン1g
蒸留水900ml
健康飲料の調製は、活性成分を溶解し、混合し、85°Cで1時間攪拌し、ろ過し、ついですべての成分を1000mlのアンプルに充填し、通常の健康飲料調製方法によって滅菌し調製された。
【0140】
本発明は、このように記載されており、本発明が多様に変化することは明らかであろう。このような変化は、本発明の精神と範囲を逸脱するものと見なされず、当業者に明白であろうすべてのこのような修正が、次の請求項の範囲内に含まれることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0141】
(有利な作用)
本発明でんぷんまたは総食物繊維は、それぞれの細胞が虚血状態下で、またはベータ−アミロイドおよび6−ヒドロキシドパミンの存在下で培養された場合、細胞生存率を改善し、また心筋梗塞、脳梗塞および血管性痴呆を予防および治療し、または記憶障害を軽減したが、これらはすべてそれぞれの動物モデルとしてラットを用いて証明された。従って、本発明のでんぷんまたは総食物繊維は、虚血性疾患または脳変性疾患の予防および治療のための治療薬または健康食品として用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
虚血性疾患および脳変性疾患の予防および治療のための活性成分として、でんぷんまたは総食物繊維を含む医薬組成物。
【請求項2】
虚血性疾患および脳変性疾患の予防および治療のための活性成分として、アラビノキシラン、ベータグルカン、アラビノースおよびキシロースからなる群から選ばれる少なくとも1つの成分を含む医薬組成物。
【請求項3】
前記虚血性疾患が、心筋梗塞、脳梗塞、虚血性急性腎不全、虚血性急性肝不全、糖尿病性足潰瘍、糖尿病性腎症および外科手術の副作用または臓器組織傷害に起因する虚血性疾患などの虚血性疾患を含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
外科手術の副作用に由来する前記虚血性疾患が、心不全、虚血性腎不全、虚血性肝不全または虚血性脳卒中から選ばれる、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記臓器組織傷害が臓器手術または移植または事故によって切断された体の部分の再結合により生じ、そのいずれもが虚血再灌流を伴う、請求項3に記載の医薬組成物
【請求項6】
前記臓器が、内臓、例えば、腎臓、肝臓、すい臓、肺または心臓から選ばれる、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記脳変性疾患が、アルツハイマー病、血管性痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、ピック病、クロイツェルヤコブ病または脊髄傷害から選ばれる、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記でんぷんまたは総食物繊維が、Triticum aestivum L.、Triticum levis semen、Secale cerealeL.、Oryzasativa L.(コメ)、Hordeum vulgare var.hexastichon ASCH.、malt、Avena sativa、Zeamays L.、Sorghum bicolor MOENCH、Coix lacryma−jobi var.mayuen STAPF、Panicum miliaceum L.、Setaria italica Beauv.またはポテトから選ばれるイネ科植物(Gramineaeplant)から精製される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記でんぷんが、Triticum aestivum L.、Secale cereale L.、Hordeum vulgarevar.hexastichon ASCH.、Avena sativa、Zea mays L.、コメまたはポテトから精製される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記総食物繊維が、Triticum aestivum L.、Secale cereale L.、Hordeum vulgare var.hexastichon ASCH.、Avena sativa、Zea mays L.または玄米から精製される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
それを必要とする哺乳動物およびヒトにおける虚血性疾患および脳変性疾患の予防および治療のための治療薬の調製のためのでんぷんまたは総食物繊維の使用。
【請求項12】
それを必要とする哺乳動物およびヒトにおける虚血性疾患および脳変性疾患の予防および治療のための治療薬の調製のためのアラビノキシラン、ベータグルカン、アラビノースおよびキシロースからなる群から選ばれる少なくとも1つの成分の使用。
【請求項13】
でんぷんまたは総食物繊維の有効量を、薬学的に許容できる担体またはその助剤と共にヒトおよび哺乳動物に投与することを含む、ヒトおよび哺乳動物における虚血性疾患および脳変性疾患を予防および治療する方法。
【請求項14】
アラビノキシラン、ベータグルカン、アラビノースおよびキシロースからなる群から選ばれる少なくとも1つの成分の有効量を、ヒトまたは哺乳動物に、薬学的に許容できる担体またはその助剤と共に投与することを含む、ヒトまたは哺乳動物において虚血性疾患および脳変性疾患を治療および予防する方法。
【請求項15】
虚血性疾患および脳変性疾患の予防または改善のための活性成分としてでんぷんまたは総食物繊維を含む健康食品。
【請求項16】
虚血性疾患または脳変性疾患の予防および改善のための活性成分として、アラビノキシラン、ベータグルカン、アラビノースおよびキシロースからなる群から選ばれる
少なくとも1つの成分を含む健康食品
【請求項17】
前記健康食品が、粉末、顆粒、錠剤または飲料の型として提供される、請求項15または請求項16に記載の健康食品。
【請求項18】
イネ科植物(Gramineae plants)の種子の乾燥および粉末へ粉砕する段階、
該粉末を10から100%の容量の蒸留水と混合し、生地を作成する段階、
生地をナイロンのふるい絹で包装し、生地を流水下で圧縮してでんぷんを溶出させ、溶出物を遠心分離して沈澱物を集める段階、および
最後に沈澱を蒸留水に懸濁して本発明のでんぷんを精製し、本発明のでんぷんを集めるために完全に遠心分離する段階、
を含む手順により調製される、請求項1に規定した本発明のでんぷんの調製方法。
【請求項19】
第一段階におけるイネ科植物(Gramineae plants)の種子の乾燥および粉末への粉砕、
第二段階における20°Cから100°Cの範囲の温度で0.5から48時間の期間に亘って1回から12回の抽出方法に付すための、該粉末と1から15倍量の蒸留水、C1−C4のアルコールまたはその混合物との混合、
第三段階における、乾燥粗抽出物粉末を得るための、濾過、ろ液の20°Cから100°Cの範囲の温度での回転乾燥器を用いる濃縮、およびそれに続く濃縮物の真空凍結乾燥による乾燥、
第四段階における糖含量が粗抽出物の全乾燥の50%を超す場合、エタノールを用いる糖の除去、
第五段階における、エタノール洗浄残渣および乾燥残渣の10から70倍の緩衝溶液への溶解およびアルファアミラーゼによる50°Cから120°Cの範囲の温度での10から60分間の残渣の処理、蛋白質を除去するための30°Cから90°Cの範囲の温度でのプロテアーゼによる処理、および酢酸で溶液のpHを4.1−4.5に調整後の、20°Cから100Cの範囲の温度でのアミログルコシダーゼによる処理、および最後に
第六段階における、本発明の沈澱した総食物繊維を得るための1−7倍容量のエタノールの添加による溶液の沈澱および沈澱の乾燥、
の段階を含む手順により調製される、請求項1に規定した本発明の総食物繊維の調製方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【公表番号】特表2010−532346(P2010−532346A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514647(P2010−514647)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003975
【国際公開番号】WO2009/005329
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(507213916)ヒポキシ カンパニー リミテッド (2)
【出願人】(507213927)サン モク インスティテュート エデュケイション ファウンデーション (2)
【Fターム(参考)】