説明

蛇行量検出装置、及びこれを備えたベルトユニット,画像形成装置

【課題】複数のローラに張架された中間転写ベルトの蛇行量を、簡単な構成で精度よく検出する。
【解決手段】所定の傾斜角度θ(例えば、45度)だけ傾斜した傾斜軸81によって、円錐台状の傾斜コロ82を回転自在に支持する。傾斜コロ82は、外周面の母線Lが中間転写ベルト15の最も接近した状態において、その母線Lが中間転写ベルト15と平行になるようにする。傾斜コロ82の回転数を、フィルムエンコーダ83とフォトインタラプタ85とによって検出する。中間転写ベルト15の端部15aの裏面15b側に全周にわたって凸条88を設ける。中間転写ベルト15が蛇行して、母線Lに対する凸条88の接触位置が変わると、傾斜コロ82の回転数が変化するので、回転数の変化から、中間転写ベルト15の蛇行量を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ベルトの蛇行量を検出する蛇行量検出装置、及びこれを備えたベルトユニット,画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ,複写機,ファクシミリ等の画像形成装置において、中間転写ベルトを使用したものが知られている。このものは、マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y),ブラック(BK)の4色のトナー像を、一端、中間転写ベルト上で重ね合わせ、その後、シートに転写するようにしている。このため、中間転写ベルトが蛇行した場合には、転写される各色のトナー像の転写位置がずれて色ズレが発生する。
【0003】
このような色ズレを防止するためには、中間転写ベルトの蛇行を防止することが必要であり、その前提として、中間転写ベルトの蛇行を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、中間転写ベルトが懸架されている懸架ローラの両端部に検出フランジを、懸架ローラのローラ軸によって回転可能に支持する。検出フランジは、ローラと同一直径のベルト接触部と、円板状のエンコーダディスク部とを有していて、エンコーダディスク部の回転をフォトインタラプタによって読み取るようにしている。いま、中間転写ベルトが蛇行して、懸架ローラの端部から外れて、ベルト接触部に接触すると、この接触によって検出フランジが回転され、その回転がフォトインタラプタによって検出されることで、蛇行の発生が検出される。この技術によると、中間転写ベルトの蛇行を、高精度かつ安価(簡単な構成)に検出することが可能である、とされている。
【特許文献1】特開2000−281233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1によると、懸架ローラの回転による検出フランジの連れ回りを防止するために、両者間に適度なギャップを設ける必要がある。このため、中間転写ベルトに蛇行が発生して、その端部が懸架ローラの端部から外れた場合であっても、中間転写ベルトの端部がギャップを越えて検出フランジのベルト接触部に到達するまでは、蛇行が検出されない。つまり、蛇行の検出までにタイムラグが発生する。また、中間転写ベルトがベルト接触部にかかった場合には、蛇行が発生したことは検出することができるものの、蛇行量までは検出することができない。このため、この検出結果に基づいて、中間転写ベルトの蛇行を補正する際には、高い精度での蛇行の補正は困難である。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成でありながら、蛇行の有無及びその蛇行量を高い精度で検出することができる蛇行量検出装置、及びこれを備えたベルトユニット,画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、複数のローラに張架された無端ベルトの蛇行量を検出する蛇行量検出装置に関する。この発明に係る蛇行量検出装置は、前記無端ベルトの移動方向に対して直交する仮想平面上で、かつ前記無端ベルトに対して所定の角度θ(ただし、0<θ<90度)をもって傾斜した回転中心を有する円錐状又は円錐台状の傾斜コロと、前記傾斜コロを回転自在に支持する回転ベースと、前記傾斜コロの回転数を検出する回転数検出手段と、前記無端ベルトのベルト幅方向の一部に突出されて前記無端ベルトの全周にわたって形成された凸条と、を備え、前記傾斜コロは、外周面の母線のうち、前記無端ベルトに最接近した母線が前記無端ベルトと平行になるように配置され、かつ前記最接近した母線が前記凸条に接触するように配置されている、ことを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る蛇行量検出装置において、前記回転数検出手段は、前記傾斜コロと一体的に回転するエンコーダと、前記エンコーダに付された被検出部を検出するフォトインタラプタと、を有する、ことを特徴としている。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る蛇行量検出装置において、前記凸条が前記無端ベルトの裏面側に配置されている、ことを特徴としている。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る蛇行量検出装置において、前記凸条が前記無端ベルトのベルト幅方向の端部に配置されている、ことを特徴としている。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に係る蛇行量検出装置において、前記凸条が、前記無端ベルトの表面側で、かつベルト幅方向の端部に配置されている、ことを特徴としている。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に係る蛇行量検出装置において、前記回転ベースが、前記傾斜コロの前記回転中心を貫通する軸部材である、ことを特徴としている。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に係る蛇行量検出装置において、前記回転ベースが、前記傾斜コロの下端面を回転自在に支持する回転支持である、ことを特徴としている。
【0013】
請求項8に係る発明は、複数のローラと、前記複数のローラに張架された無端ベルトと、前記無端ベルトの蛇行量を検出する蛇行量検出装置と、前記蛇行量検出装置の検出結果に基づいて、前記無端ベルトの蛇行を補正する蛇行補正機構と、を備えたベルトユニットに関する。この発明に係るベルトユニットは、前記蛇行量検出装置が、請求項1乃至7のいずれか1項に係る蛇行量検出装置である、ことを特徴としている。
【0014】
請求項9に係る発明は、シートを給紙するシート給紙部と、前記シート給紙部から供給されたシートに画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置に関する。この発明に係る画像形成装置は、前記画像形成部は、表面にトナー像が形成される像担持体と、前記像担持体表面に形成されたトナー像が転写されるとともに、転写されたトナー像をシートに転写する中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトの蛇行量を検出する蛇行量検出装置と、前記蛇行量検出装置の検出結果に基づいて、前記無端ベルトの蛇行を補正する蛇行補正機構と、を備え、前記蛇行量検出装置が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蛇行量検出装置である、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、傾斜コロは、その母線が無端ベルトの凸条に接触しているので、無端ベルトの回転とともに凸条が回転すると、母線を介して回転され、その回転数は、回転数検出手段によって検出される。このとき、傾斜コロの回転数は、母線に対する凸条の接触位置によって異なり、接触位置と傾斜コロの回転数とは1対1に対応する。ここで、無端ベルトが蛇行して、ベルト幅方向にずれると、これに伴って母線に対する凸条の接触位置が変化し、これに対応して傾斜コロの回転数が変化する。したがって、回転数検出手段によって回転数を検出することで、母線に対する凸条の位置、すなわち無端ベルトのずれ量(蛇行量)を検出することができる。しかも、構成要素の少ない簡単な構成で検出することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、回転数検知手段は、エンコーダとフォトインタラプタの組み合わせによる、比較的簡単な構成で、高い精度で、傾斜コロの回転数を検出することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、凸条が無端ベルトの裏面側に配置されているので、蛇行量検出装置を無端ベルトの内側に配設することが可能となり、蛇行量検出装置の配設スペースを節約することができる。なお、この場合には、無端ベルトが張架される各ローラにおける、凸条に対応する位置には、凸条との干渉を防止するために、切欠等を設ける必要がある。
【0018】
請求項4の発明によれば、凸条が無端ベルトの裏面側でかつベルト幅方向の端部に配置されているので、無端ベルトが張架される各ローラの端部が、凸条よりも内側に位置するようにすれば、上述の切欠等が不用になる。
【0019】
請求項5の発明によれば、凸条が無端ベルトの表面側でかつベルト幅方向の端部に配置されているので、蛇行量検出装置の配設位置についての自由度が高い。
【0020】
請求項6の発明によれば、傾斜コロを軸部材によって回転自在に支持する簡単な構成とすることができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、傾斜コロを軸部材によって回転自在に支持する場合と比較して、傾斜コロの形状についての自由度が増す。
【0022】
請求項8の発明によれば、蛇行量検出装置による、無端ベルトの蛇行量の検出精度が高いので、この検出結果を蛇行量補正機構に反映させて、蛇行の補正を高い精度で行うことが可能となる。
【0023】
請求項9の発明によれば、蛇行量検出装置による、中間転写ベルトの蛇行量の検出精度が高いので、この検出結果を蛇行量補正機構に反映させて、中間転写ベルト上に転写されるトナー像を位置ずれを高い精度で補正することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
【0025】
<実施形態1>
図1〜図7を参照して、本発明に係る蛇行量検出装置80,100、中間転写ユニット(ベルトユニット)2、画像形成装置3について説明する。このうち、図1は、画像形成装置3の内部構成を正面側(画像形成装置3の使用時にユーザが位置する側)から見て模式的に示す図である。図2は、実施形態1の蛇行補正機構1を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は上面図である。図3は、実施形態1の蛇行補正機構1を正面側の右斜め下方から見た斜視図である。図4は、立体カム51の斜視図である。図5は、蛇行量検出装置80を説明する、中間転写ベルトの回転方向に直交する方向の断面図である。図6は、蛇行量検出装置80を説明する斜視図である。図7は、蛇行量検出装置100の他の例を説明する図である。
【0026】
図1を参照して、本発明に係る画像形成装置3の一例を説明する。同図に示す画像形成装置3は、電子写真方式の4色フルカラーのプリンタであり、タンデム方式、中間転写方式を採用している。
【0027】
図1に示す画像形成装置3は、画像形成装置本体4内に、シート給紙部5と、画像形成部6と、定着部7と、シート再給紙部8とが設けられている。
【0028】
シート給紙部5には、複数の給紙カセット10と、各給紙カセット10に対応した配設されたピックアップローラ11と、給送ローラ12と、リタードローラ13と、レジストローラ対14とが配設されている。各給紙カセット10内には、複数枚にシートPが積層状態で収納されていて、ピックアップローラ11により給紙される。給紙されたシートPは、給送ローラ12及びリタードローラ13によって、重送が防止されつつ、最上位Pは、停止中のレジストローラ対14のニップに先端部を当接させることで、斜行が矯正されるとともに一時停止される。一時停止されたシートPは、その後、中間転写ベルト(無端ベルト)15上のトナー像が中間転写ベルト15の矢印R15方向の回転に伴って2次転写部T2に搬送されるのと同期したレジストローラ対14の回転によって、2次転写部に供給される。
【0029】
画像形成部6には、4個の画像形成ステーションと、中間転写ユニット2とが配設されている。4個の画像形成ステーションは、中間転写ベルトの回転方向上流側から順に、マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y),ブラック(BK)の各色の画像形成ステーション16M,16C,16Y,16BKが配設されている。これら4色の各画像形成ステーション16M,16C,16Y,16BKは、同様に構成されている。マゼンタの画像形成ステーション16Mを例に説明すると、感光ドラム(像担持体)17と、帯電器18と、露光装置20と、現像装置21と、クリーニング装置23とを有している。一方、中間転写ユニット2は、転写フレーム24と、この転写フレーム24によって回転可能に支持された複数のローラ、すなわち、駆動ローラ25,従動ローラ26,1次転写ローラ22,2次転写対向ローラ27,複数のテンションローラ等と、これらローラに張架された無端状の中間転写ベルト15とを備えている。中間転写ベルト15は、駆動ローラ25の矢印方向(図1中の時計回り)の回転により、矢印R15方向に回転する。また、中間転写ユニット2全体は、画像形成装置本体4に対して例えば、正面側から着脱自在に構成されている。
【0030】
マゼンタの画像形成ステーション16Mにおいて、感光ドラム17は、駆動手段(不図示)によって所定のプロセススピード(周速度)で矢印方向(図1中の反時計回り)に回転駆動され、その表面(外周面)が帯電器18によって所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電後の感光ドラム17表面は、露光装置20によって画像情報に応じた露光がなされ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置21によってマゼンタのトナーが付着されてマゼンタのトナー像として現像される。マゼンタのトナー像は、1次転写ローラ22によって1次転写部T1において中間転写ベルト15上に転写される。トナー像転写後の感光ドラム17は、表面に残った転写残トナーがクリーニング装置23によって除去されて次の画像形成に供される。
【0031】
同様にして、シアン,イエロー,ブラックの画像形成ステーション16C,16Y,16BKにおいて各感光ドラム17上に形成されたシアン,イエロー,ブラックのトナー像は、それぞれの1次転写部において、1次転写ローラ22によって中間転写ベルト15上のマゼンタのトナー像に順次に重ね合わされるようにして1次転写される。こうして中間転写ベルト15上で重ね合わされた4色のトナー像は、中間転写ベルト15の回転によって2次転写部T2に搬送される。これと並行して、レジストローラ14対が回転することでシートPが2次転写部T2に供給される。中間転写ベルト15上の4色のトナー像は、2次転写ローラ28によってシートP上に一括で2次転写される。2次転写後の中間転写ベルト15は、ベルトクリーナ30によって表面に残った転写残トナーが除去される。一方、トナー像転写後のシートPは、搬送ベルト31によって定着部7に搬送される。
【0032】
定着部7には、定着ローラ32と、これに圧接されて定着ニップ部Nを構成する加圧ローラ33とを有する定着装置34が配設されている。定着装置34に搬送されたシートPは、定着ニップ部Nを通過する際に、加熱・加圧されて、表面にトナー像が定着される。トナー像定着後のシートPは、排紙ローラ対35によって排紙トレイ36上に排出される。これにより、1枚のシートPの片面に対する4色フルカラーの画像形成が終了する。
【0033】
なお、裏面にも画像形成を行う場合には、シート再給紙部8に配設されたフラッパ37,38、反転パス40等によって表裏反転されたシートPは、再給紙パス41等を介して、再度、画像形成部6に供給され、上述と同様にして、裏面にトナー像が転写され、その後、定着された後、排紙トレイ36上に排出される。以上で、画像形成装置3についての説明を終了する。
【0034】
図2,図3に示すように、画像形成装置3には、中間転写ベルト15が張架された従動ローラ26に蛇行補正機構1が取り付けられていて、中間転写ベルト15の蛇行を補正するようにしている。ここで、上述のように、中間転写ベルト15は、中間転写ユニット2の構成要素であり、転写フレーム24によって回転自在に支持された複数のローラに掛け渡されている。この複数のローラのうちの1つのローラである従動ローラ26のローラ軸42の一端部66に、蛇行補正機構1が取り付けられている。
【0035】
図2,図3に示すように、蛇行補正機構1は、モータ50と、立体カム51と、カムフォロア52と、カム付勢部材としての圧縮ばね53と、押圧手段としての引っ張りばね54とを備えている。
【0036】
モータ50は、その出力軸55が従動ローラ26のローラ軸42とほぼ平行になるように、転写フレーム24によって支持されている。モータ50としては、入力されるパルス数に応じた回転角が得られるステップモータを使用することができる。モータ50の出力軸55には、立体カム51が取り付けられている。なお、モータとしては、サーボモータを使用することができる。
【0037】
立体カム51は、円錐台の外周面(外周部)を階段状にしたような外観形状となっている。立体カム51の外周面には、所定の幅のカム面56が螺旋状に形成されている。ここで、所定の幅とは、後述するカムフォロア52のコロ(当接部)70が外れることなく有効に転動することができる幅をいい、具体的には、例えば、コロの幅と同等か、これよりもやや広い幅をいう。立体カム51における、出力軸55の方向の2つの端面近傍のうち、小さい方の端面がある側を小径部57、大きい方の端面がある側を大径部58とすると、カム面56は、小径部56から大径部57にかけて、出力軸55からの距離が漸増するような螺旋状に形成されている。また、カム面56には、小径部56側の端縁60と大径部57側の端縁61とがあるが、大径部57側の端縁60には、カム面56に対してほぼ垂直にガイド面62が立設されている。このガイド面62は、カム面56に沿ってカム面56と同様に螺旋状に形成されている。図4に示すように、本実施形態では、カム面56及びガイド面62は、立体カム51のほぼ3周分にわたって形成されている。カム面56のうち、最も小径部57側に位置する端部を始端部63、最も大径部58側に位置する端部を終端部64とし、さらに、出力軸55の中心から始端部63までの距離をd1,出力軸55の中心から終端部64までの距離をd2とすると、カム面56は3周することで、すなわち1080度(=360度×3)回転することで、リフト量がd2−d1だけ増加することになる。また、本実施形態では、カム面は、1周目56aと2周目56bとが、また2周目56bと3周目56cとが、出力軸55に対して直交する方向から見た場合に、隣接しているように見える。つまり、1周目56aと2周目56bとは段差を形成してガイド面62によって連結されている。2周目56bと3周目56cとについても同様である。段差としてのガイド面62の高さ、すなわち、ガイド面52の半径方向の高さは、ガイド面62が後述する圧縮ばね53によってカムフォロア52のコロ70に押圧された際に、コロ70がガイド面62から外れない程度の高さに設定されている。本実施形態においては、立体カム51は、モータ50の出力軸55に対して、モータ50側に大径部58を対面させた向きで、出力軸55に沿った方向に移動可能で、周方向に回転不能に取り付けられている。すなわち、立体カム51は、出力軸55の回転に伴って同方向に回転し、また、出力軸55の方向に移動することができるようになっている。
【0038】
カムフォロア52は、図2(a)に示すように、板状に形成されていて、揺動自在に支持されている。カムフォロア52は、上下方向の寸法に対して左右方向の寸法が長い長方形状の板状に形成されている。カムフォロア52の上下方向及び左右方向のほぼ中心には、前後方向に軸(揺動支点)65が貫通されている。この軸65は、基端側を転写フレーム24によって支持されていて、上述のローラ軸42とほぼ平行に配置され、先端側がカムフォロア52を貫通するとともに、抜け止め(不図示)が取り付けられていて、カムフォロア52が不用に前後方向に移動しないようにしている。この軸65は、カムフォロア52の揺動中心となっている。
【0039】
カムフォロア52の一方の端部(図2中では左端部)は、ローラ軸42の一端部66を回転自在に支持する軸受部68となっている。つまり、ローラ軸42の一端部66は、カムフォロア52一方の端部を後方から前方に貫通していて、抜け止め67が装着されている。これにより、カムフォロア52が上述の軸65を中心に揺動すると、ローラ軸42の一端部66がほぼ上下方向、すなわち中間転写ベルト15に対する張力付与方向に対してほぼ直交する方向に上下動(昇降)する。なお、ローラ軸42の他端部は、通常の軸受(不図示)によって回転自在に支持されていて、ローラ軸42の一端部66が昇降するとローラ軸42が傾斜することになるが、このときの傾斜角度がほぼ上下に1度ずつであって、この傾斜角度に対してローラ軸42の長さが十分に長いので(例えば、350mm程度)実質的には支障はない。
【0040】
カムフォロア52の他方の端部(図2中では右端部)には、当接部となるコロ70が回転自在に支持されている。コロ70は、上述の立体カム51のカム面56に対してはほぼ上方から、またガイド面62に対しては前側から押圧されるようになっている。本実施形態では、上述の軸65の中心は、ローラ軸42の中心とコロ70の回転中心との中間に位置するように構成されている。すなわち、立体カム51の回転によってコロ70がカム面56に倣って転動したときに、コロ70の回転中心の上下方向の移動量がそのまま、ローラ軸42の中心の上下方向の移動量と等しくなるようになっている。ただし、上下方向の移動方向は逆になる。
【0041】
カム付勢部材として圧縮ばね53は、モータ50の出力軸55におけるモータ50と立体カム51との間に介装されている。立体カム51は、この圧縮ばね53によって、出力軸55の先端側に向けて付勢されている。これにより、立体カム51のガイド面62がカムフォロア52のコロ70に押圧されている。つまり、付勢されたガイド面62がコロ70を押圧することにより、コロ70がカム面62から外れないようになっている。
【0042】
押圧手段としての引っ張りばね54は、本実施形態では、基端側(上端側)が転写フレーム24の一部(不図示)に取り付けられ、先端側(下端側)がカムフォロア52の左端側でかつ上端側に取り付けられている。これにより、カムフォロア52は、軸65を中心に、軸受部68のある左端側が上方に付勢され、その結果、コロ70のある右端側が下方に付勢されて、コロ70がカム面56に適度な押圧力で押圧されている。
【0043】
上述構成の蛇行補正機構1は、従動ローラ26がホームポジションに配置された状態、すなわち従動ローラ26のローラ軸42が水平に配置された状態において、立体カム51がホームポジションに配置され、ホームポジションの配置された立体カム51のカム面56にカムフォロア52のコロ70が当接するようになっている。ここで、立体カム51のホームポジションは、カム面56の始端部63にコロ70が当接した状態から、立体カム51が図2(b)中の矢印方向(反時計回り)に1.5回転した状態とする。つまり、全部で3周分ある螺旋状のカム面56において、2周目56bの中間地点にコロ70が当接した状態を、立体カム51のホームポジションとする。この状態から、図2(b)中の矢印方向(時計回り)に立体カム51が回転すると、カム面56におけるコロ70の当接部分の、出力軸55からの距離が減少することになり、軸65を中心にカムフォロア52の右端側が下降して、左端側が上昇し、ローラ軸42の一端部66が上昇する。この逆に、図2(b)中の矢印方向(反時計回り)に立体カム51が回転すると、カム面56におけるコロ70の当接部分の、出力軸55からの距離が増加することになり、軸65を中心にカムフォロア52の右端側が上昇して、左端側が下降し、ローラ軸42の一端部66が下降する。モータ50の正逆回転を次に説明する蛇行量検出装置80の出力に基づいて、適宜に繰り返すことにより、ローラ軸42の一端部66を昇降させて、中間転写ベルト15の蛇行を抑制することができる。
【0044】
図5,図6を参照して、蛇行量検出装置80について説明する。なお、これらの図においては、中間転写ベルト15は、簡略化して図示している。蛇行量検出装置80は、中間転写ベルト15のベルト幅方向の端部近傍において、転写フレーム24に支持された傾斜軸(軸部材)81と、この傾斜軸81によって回転自在に支持された傾斜コロ82、この傾斜コロ82と一体のフィルムエンコーダ(エンコーダ)83と、このフィルムエンコーダ83の黒色マーク(遮光部)84を検出するフォトインタラプタ85とを備えている。傾斜軸81の中心(回転中心)81aは、中間転写ベルト15の回転方向(図6中の矢印R15方向)に直交する仮想平面上において、中間転写ベルト15に対して所定の傾斜角度θ(図5,図6に示す例では45度)で傾斜した状態で設定されている。また、傾斜コロ82は、円錐台状に形成されていて、中心には、傾斜軸81が貫通される透孔81bが形成されている。傾斜コロ82における1つの母線Lは、図5に示すように、最も上方に位置した状態(中間転写ベルト15に最も近接した状態)において、中間転写ベルト15に対して平行となる。なお、ここで、図5に示すように、母線Lにおける、傾斜コロ82の小径側端部を基準位置L0とし、中間転写ベルト15の端部15aの凸状88と母線Lとが接触する位置をベルト接触位置L1としたときに、このベルト接触位置L1は、基準点L0からの距離で表される。このベルト接触位置L1は、中間転写ベルト15が蛇行することにより、変化(移動)することになる。傾斜コロ82の下端面82cには、円形の透明なフィルムエンコーダ83が取り付けられている。フィルムエンコーダ83の外周側は、傾斜コロ82の下端面82cから径方向外側に突出されていて、この突出部分には、周方向に多数の黒色マーク(図6参照)84が等間隔で設けられている。つまり、周方向に沿って遮光部となる黒色マーク84と透光部となる透明部分とが交互に設けられている。フォトインタラプタ85は、フィルムエンコーダ83の突出部分を挟むようにして一方側に発光部86を有し、他方側に受光部87を有している。傾斜コロ82の回転に伴って、これら発光部86及び受光部87に対応する位置に透明部分がきたときには、発光部86から発光された光は、この透明部分を通過して受光部87に到達する。一方、黒色マーク84が対応する位置にきたときには、発光部86からの光は、受光部87に到達しない。フォトインタラプタ85によって、単位時間当たりの黒色マーク84の数、つまりパルス数を計数することにより、傾斜コロ82の回転数を検出することができる。
【0045】
中間転写ベルト15のベルト幅方向(回転方向である矢印R15方向に直交する方向)の端部15aには、裏面15b側に、断面形状がほぼ三角形状の凸条88が全周にわたって形成されている。この凸条88は、傾斜コロ82の母線Lに接触して、傾斜コロ82を回転させる。中間転写ベルト15が蛇行すると、凸条88の位置が、母線Lに沿って移動する。例えば、中間転写ベルト15が図5中の矢印a方向に蛇行(移動)すると、凸条88が母線Lのうちの、傾斜コロ82の大径側(裏面82c側)の部分に接触するため、傾斜コロ82の回転数が少なくなる。一方、この逆に、中間転写ベルト15が矢印b方向に蛇行(移動)すると、凸条88が母線Lのうちの、傾斜コロ82の小径側で接触するため、傾斜コロ82の回転数が多くなる。したがって、フォトインタラプタ85によって、傾斜コロ82の回転数を検出することで、中間転写ベルト15の蛇行量及び矢印a方向又は矢印b方向へのベルト蛇行速度vを検出することができる。
【0046】
蛇行量検出装置80の検出結果は、図2(a)に示す制御手段90に伝達される。制御手段90は、記憶手段(不図示)を有していて、この記憶手段には、予め蛇行量検出装置80の検出結果と、これに対応するモータ50の回転角との関係が、テーブルとして格納されている。制御手段90は、蛇行量検出装置80の検出結果に基づいて、上述のテーブルのデータと比較して、モータ50の回転角を制御し、立体カム51を回転させる。これにより、カムフォロア52を介して、ローラ軸42の一端部66の移動が制御される。このローラ軸42の一端部66の位置制御により、中間転写ベルト15の蛇行が抑制されることになる。なお、後に具体的な数値を挙げてさらに説明する。上述のように立体カム51を回転させる際、立体カム51の3周分で、所定のリフト量を実現するようになっているので、例えば、一般的な板カム(周縁カム)と比較した場合、同じ回転角に対して、リフト量を小さくすることができるので、ローラ軸42の一端部66の移動を細かく制御することができる。つまり、中間転写ベルト15の蛇行を高い精度で補正することが可能となる。なお、上述では、立体カム51の3周分で所定のリフト量を実現するようにしているが、原理的には、少なくとも立体カム51の1周分を越えるようにすれば、効果を奏することができる。
【0047】
ここで、図8〜図11を参照して、蛇行量検出装置80が中間転写ベルト15のベルト蛇行速度vを検出し、その検出結果に基づいて、ベルト蛇行速度vを0とする制御、すなわち中間転写ベルト15の蛇行をなくす制御について、具体的な数値をあげて一例を説明する。図8〜図11のうち、図8(a)は、1sec当たりの検出パルス数と、ベルト接触位置L1(図5参照)との関係を示す表であり、(b)はこの関係を、検出パルス数を横軸に、また、ベルト接触位置を縦軸にとってグラフにしたものである。図9(a)は、モータ50(図2参照)の回転角度(°)とベルト蛇行速度v(μm/sec)との関係を示す表であり、(b)はこの関係を、モータ回転角度を横軸に、また、ベルト蛇行速度vを縦軸にとってグラフにしたものである。図10は、サンプリングの間隔を説明する図である。図11は、サンプリング結果に応じて、モータ50を回転させる流れを説明するフローチャートである。
【0048】
なお、以下の具体例では、中間転写ベルト15の回転速度(ベルト速度)VをV=200mm/sec、フィルムエンコーダ83の1回転当たりのパルス数fをf=200パルス(200パルス/rev)、傾斜コロ82の傾斜角度θをθ=45°、ベルト接触位置L1における傾斜コロ82の直径をφとする。
【0049】
傾斜コロ82の傾斜角度がθ=45°であることから、ベルト接触位置L1が母線Lに沿って1mmずれると、円錐コロ82の直径φの変化量Δφは、
Δφ=2×sinθ=2×sin45°=1.414(mm)
となる。
【0050】
円錐コロ82の回転数nは、ベルト速度Vを円錐コロ82の周長で割って求めることができ、ベルト接触位置L1における円錐コロ82の直径φが10mmのとき、
n=V/(πφ)
=200/(3.14×10)
=6.3661(rev/sec)
となる。
【0051】
このときの検出パルス数Fは、
F=f×n
=200×6.3661=1273.24(パルス/sec)
となる。
【0052】
ここで、ベルト接触位置L1が、10mmの位置から1mmだけ円錐コロ82の大径側にずれて、11mmとなると、図8(a)から
φ=10+Δφ=10+1.414=11.414(mm)
となり、円錐コロ82の回転数n=5.577(rev/sec)、また、検出パルス数F=1115.486(パルス/sec)となる。
【0053】
これとは逆に、ベルト接触位置L1が、10mmの位置から1mmだけ円錐コロ82の小径側にずれて、9mmとなると、図8(a)から、
φ=10+Δφ=10−1.414=8.585(mm)
となり、円錐コロ82の回転数n=7.414(rev/sec)、また、検出パルス数F=1482.962(パルス/sec)となる。
【0054】
実際には、検出パルス数からベルト接触位置を計算するので、その結果は、図8(b)に示すグラフのようになる。このベルト接触位置の時間変化がベルト蛇行速度となる。
【0055】
本実施形態では、上述の図2に示すように、従動ローラ26のローラ軸42の一端部66を、蛇行補正機構1によって昇降させることで、アライメントを変更していた。この際、ローラ軸42の一端部66と他端部(不図示)との高さの差、すなわちモータ50の回転角度と、ベルト蛇行速度vとの関係を示すグラフは、直線状となる。例えば、モータ50の1回転によって、ベルト蛇行速度が−50μm/sec変化する構成の場合には、図9(b)に示すように直線状となる。
【0056】
ここで、ベルト蛇行速度vを0にするという考え方と、ベルト蛇行速度vを0にしつつ、ベルト接触位置L1を検出可能班の中央に近づける考え方とがあるが、前者のベルト蛇行速度vを0にする場合には、円錐コロ82のベルト接触位置L1は、
L1=サンプリング時間×ベルト速度×エンコーダパルス数/π/検出パルス数
となる。
【0057】
ベルト蛇行速度vの算出には、図11のフローチャートに示すように、1回前のサンプリング時の検出パルス数A(S1)と、今回のサンプリング時の検出パルス数B(S2)とから、
v=サンプリング時間×ベルト速度×エンコーダパルス数/π×(1/B−1/A)/(2×sinθ)/サンプリング間隔
となる(S3)。
【0058】
サンプリング時間とサンプリング間隔を中間転写ベルト15の1回転に要する時間とすると、中間転写ベルトの1周期での中間転写ベルト15の端部15aの凸状88の振れをキャンセルすることができる。
【0059】
ここで、サンプリング時間=サンプリング間隔とすると、ベルト蛇行速度vは、
v=ベルト速度×エンコーダパルス数/π×(1/B−1/A)/(2×sinθ)
となる(S4)。
【0060】
このベルト蛇行速度vと図9(b)に示すグラフから、ベルト蛇行速度が0となるモータ回転角度が求められる(S5)。
【0061】
図10を参照して、サンプリング時間=サンプリング間隔=5secの場合を例に説明する。1回前の検出パルス数A=5945(パルス)、今回の検出パルス数B=6148(パルス)とすると、蛇行速度vは、
v=200(mm/sec)×200(パルス)/π×(1/6148−1/5945)/1.414=−0.05(mm/sec)となる。これに基づき、図9(a)又は(b)から、モータ50は、モータ回転角度が+360°となるように回転させることにより、ベルト蛇行速度vをv=0にすることが期待できる。
【0062】
上述では、図5,図6に示すように、中間転写ベルト15の端部15aの裏面15b側に凸条88を設けて、蛇行量検出装置80を端部15aの裏面15b側近傍に配設する場合を例に説明したが、蛇行量検出装置80の配設位置についてはこれに限定されるものではない。例えば、中間転写ベルト15の端部15dの表面15c側に凸条88Aを設け、これに対応する位置Aに蛇行量検出装置80を配設するようにしてもよい(図5参照)。この場合には、蛇行量検出装置80の配設位置についての自由度が増加する。例えば、蛇行量検出装置80を、中間転写ベルト15における、駆動ローラ25や従動ローラ26(図1参照)に巻きかけられた部分に対応する位置に配置することも可能である。これによると、蛇行量検出装置80を、中間転写ベルト15における、2本の隣接するローラ間に対応する位置に配設した場合に、中間転写ベルト15が厚さ方向に不安定で振れやすいのに比較して、厚さ方向に安定していて不要に振れることがないので、傾斜コロ82の回転を一層、高い精度で検出することが可能である。また、凸条88Bを中間転写ベルト15の裏面15b側の中央に設け、これに対応する位置Bに蛇行量検出装置80を配設するようにしてもよい。この場合には、凸条88Bが中間転写ベルト15の端部15a,15bに形成されている場合と異なり、中間転写ベルト15の変形が少ないので、中間転写ベルト15の蛇行に伴って、凸条88Bが円滑に移動する。ただし、この場合には、中間転写ベルト15が張架されるローラ、例えば、図1に示す1次転写ローラ22等に、凸条88Bとの干渉を防止するために図5に示すような溝25aと同様な溝を設ける必要があるので、中間転写ベルト15に対しては不適である。この例は、中間転写ベルト15が張架されるローラに溝25aのような溝を設けても支障がない場合、例えば、単にシートPを搬送するような一般的な搬送ベルトに対しては好適に適用することができる。また、中間転写ベルト15が張架されるローラが、ベルト幅方向の全長にわたって設けられるのではなく、ベルト幅方向に断続的に設けられる場合に有効である。
【0063】
図7に、蛇行量検出装置100の変形例を示す。同図に示す例では、回転ベースとして回転支持部材101を使用し、この回転支持部材101によってベアリング102を介して、円錐形状の傾斜コロ103の下端面103aをフィルムエンコーダ104とともに支持している。この例では、傾斜コロ103の形状を簡素化することができる。
【0064】
上述の実施形態では、図5に示すように、中間転写ベルト15に対する、傾斜軸81の中心81aの傾斜角θが45度である場合を例に説明したが、原理的には、この傾斜角度θは、0<θ<90度の範囲の任意の値を選択することができる。なお、このθが小さいほど、母線L上での凸条88の移動量に対する、傾斜コロ82の回転数の変化量が小さく、逆に、このθが大きいほど、母線L上での凸条88の移動量に対する、傾斜コロ82の回転数の変化量が大きくなる。つまり、θを大きくすると、凸条88の移動量に対する傾斜コロ82の回転数の変化の感度を高めることができる。
【0065】
上述では、本発明に係る蛇行量検出装置80,100が検出対象とするベルトが、中間転写ベルト15である場合について説明したが、これに限らず、シートを表面に担持して搬送する搬送ベルトや、ベルト状の感光体である感光体ベルト等に対してもほぼ同様に適用することができ、この場合にもほぼ同様の効果を奏することができる。
【0066】
以上の説明では、本発明に係る蛇行量検出装置80,100を、中間転写ベルト15に適用する場合を例に説明したが、本発明に係る蛇行補正機構1,1Aは、これに限定されず、例えば、タンデム方式の4色の画像形成装置3において、表面にシートPを担持して各色の画像形成ステーションに搬送する転写ベルト(不図示)や、単色の画像形成装置3において表面にシートPを担持して搬送する搬送ベルト、ベルト状に形成された感光体ベルト等に対しても適用することができる。適用した場合には、上述と同様の効果を奏することができる。
【0067】
また、以上の説明では、本発明に蛇行量検出装置80,100を、電子写真方式、タンデム方式、中間転写方式の4色フルカラーの画像形成装置3に適用した場合を例に説明したが、本発明に係る蛇行量検出装置80,10は、これに限定されるものではなく、無端状のベルトを有する種々の画像形成装置、例えばインクジェット記録方式の画像形成装置に対して適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、中間転写ベルト15や画像形成装置3に限らず、一般的な無端状のベルトの蛇行量を検出するのに広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】画像形成装置3の内部構成を正面側(画像形成装置3の使用時にユーザが位置する側)から見て模式的に示す図である。
【図2】実施形態1の蛇行補正機構1を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は上面図である。
【図3】実施形態1の蛇行補正機構1を正面側の右斜め下方から見た斜視図である。
【図4】立体カムの斜視図である。
【図5】蛇行量検出装置80を説明する、中間転写ベルト15の回転方向に直交する方向の断面図である。
【図6】蛇行量検出装置80を説明する斜視図である。
【図7】蛇行量検出装置100の別の例を説明する図である。
【図8】(a)は、1sec当たりの検出パルス数と、ベルト接触位置L1(図5参照)との関係を示す図(表)であり、(b)はこの関係を、検出パルス数を横軸に、また、ベルト接触位置を縦軸にとってグラフにしたものである。
【図9】(a)は、モータ50の回転角度(°)とベルト蛇行速度v(μm/sec)との関係を示す図(表)であり、(b)はこの関係を、モータ回転角度を横軸に、また、ベルト蛇行速度vを縦軸にとってグラフにしたものである。
【図10】サンプリングの間隔を説明する図である。
【図11】サンプリング結果に応じて、モータ50を回転させる流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1……蛇行補正機構、2……中間転写ユニット(ベルトユニット)、3……画像形成装置、4……画像形成装置本体、5……シート給紙部、6……画像形成部、7……定着部、8……シート再給紙部、15……中間転写ベルト(無端ベルト)、15a,15d……ベルト幅方向の端部、15b……裏面、15c……表面、17……感光ドラム(像担持体)、24……転写フレーム、80,100……蛇行量検出装置、82……傾斜軸(軸部材、回転ベース)、82c,103a……下端面、83……フィルムエンコーダ(回転数検出手段)、82……傾斜コロ、85……フォトインタラプタ(回転数検出手段)、88,88A,88B……凸条、101……回転支持部材(回転ベース)、L……母線、θ……所定の角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラに張架された無端ベルトの蛇行量を検出する蛇行量検出装置において、
前記無端ベルトの移動方向に対して直交する仮想平面上で、かつ前記無端ベルトに対して所定の角度θ(ただし、0<θ<90度)をもって傾斜した回転中心を有する円錐状又は円錐台状の傾斜コロと、
前記傾斜コロを回転自在に支持する回転ベースと、
前記傾斜コロの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記無端ベルトのベルト幅方向の一部に突出されて前記無端ベルトの全周にわたって形成された凸条と、を備え、
前記傾斜コロは、外周面の母線のうち、前記無端ベルトに最接近した母線が前記無端ベルトとほぼ平行になるように配置され、かつ前記最接近した母線が前記凸条に接触するように配置されている、
ことを特徴とする蛇行量検出装置。
【請求項2】
前記回転数検出手段は、
前記傾斜コロと一体的に回転するエンコーダと、
前記エンコーダに付された被検出部を検出するフォトインタラプタと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の蛇行量検出装置。
【請求項3】
前記凸条が前記無端ベルトの裏面側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の蛇行量検出装置。
【請求項4】
前記凸条が前記無端ベルトのベルト幅方向の端部に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の蛇行量検出装置。
【請求項5】
前記凸条が、前記無端ベルトの表面側で、かつベルト幅方向の端部に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の蛇行量検出装置。
【請求項6】
前記回転ベースが、前記傾斜コロの前記回転中心を貫通する軸部材である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蛇行量検出装置。
【請求項7】
前記回転ベースが、前記傾斜コロの下端面を回転自在に支持する回転支持部材である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蛇行量検出装置。
【請求項8】
複数のローラと、前記複数のローラに張架された無端ベルトと、前記無端ベルトの蛇行量を検出する蛇行量検出装置と、前記蛇行量検出装置の検出結果に基づいて、前記無端ベルトの蛇行を補正する蛇行補正機構と、を備えたベルトユニットにおいて、
前記蛇行量検出装置が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蛇行量検出装置である、
ことを特徴とするベルトユニット。
【請求項9】
シートを給紙するシート給紙部と、前記シート給紙部から供給されたシートに画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置において、
前記画像形成部は、
表面にトナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体表面に形成されたトナー像が転写されるとともに、転写されたトナー像をシートに転写する中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトの蛇行量を検出する蛇行量検出装置と、
前記蛇行量検出装置の検出結果に基づいて、前記無端ベルトの蛇行を補正する蛇行補正機構と、を備え、
前記蛇行量検出装置が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蛇行量検出装置である、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−204937(P2009−204937A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47707(P2008−47707)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】