説明

蛍光体、及び蛍光体の製造方法と、その蛍光体を用いた発光装置

【課題】β型サイアロン蛍光体の輝度を向上させることを目的とする。
【解決手段】下記式[1]で表される組成比に調整された蛍光体原料を、SiO存在下で焼成する工程を有することを特徴とする、蛍光体の製造方法。
Si6−xAl8−x:Eu ・・・ [1]
(式中、x、及びyは、それぞれ、0≦x≦4.2、及び0.001≦y≦0.03を満たす数を表す。)
前記焼成工程におけるSiO存在量が、焼成物全体(蛍光体原料と、SiOとの合計)に対し、0.01重量%以上、2.8重量%以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑色系の蛍光を発する蛍光体の製造方法と、その蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置、並びに、その発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温度上昇に伴う輝度低下が小さく、耐久性に優れた蛍光体として、最近、結晶構造が安定である窒化物や酸窒化物の蛍光体が注目されている。
窒化物、酸窒化物蛍光体として、窒化ケイ素の固溶体であるサイアロンが代表的である。窒化ケイ素と同様にサイアロンには、α型、β型の二種類の結晶系が存在する。特定の希土類元素を付活させたβ型サイアロンは、有用な蛍光特性を有することが知られており、白色LED等への適用が検討されている。
特許文献1によれば、特定範囲の電子スピン密度を有し、一般式Si6−xAl8−x(zは0〜4.2)で示され、Euを含有するβ型サイアロンを主成分とする蛍光体は、紫外光から可視光の幅広い波長域で励起され、520nm以上550nm以下の範囲内に主波長を有する緑色光を高効率で発光するため、緑色の蛍光体として優れていることが開示されている。また、この蛍光体を、単独もしくは他の蛍光体と組み合わせて種々の発光素子、特に紫外LEDや青色LEDを光源とする白色LEDに好適に使用できることも開示されている。
【0003】
また、特許文献1には、Euを含有するβ型サイアロンを生成させる第一の工程と、得られたEuを含有するβ型サイアロンを窒素雰囲気中、真空中、または窒素以外のガスを主成分とする不活性雰囲気中でそれぞれの最適温度及び時間で熱処理し、場合によってはさらに酸処理を行うことにより結晶欠陥密度を低減する第二の工程とを有する製造方法が開示されている。この第二の工程での効果は、結晶欠陥濃度が高く、不安定な窒化物又は酸窒化物相を分解させる等して、不対電子存在数を減少させ、発光効率を向上させることであると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/062781国際公開パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のβ型サイアロン蛍光体は実用面において、さらなる輝度向上が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、β型サイアロン蛍光体の製造方法を種々検討した結果、蛍光体原料をSiO存在下で焼成することにより輝度が向上することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、次の(1)〜(7)に存する。
(1)下記式[1]で表される組成比に調整された蛍光体原料を、SiO存在下で焼成する工程を有することを特徴とする、蛍光体の製造方法。
Si6−xAl8−x:Eu ・・・ [1]
(式中、x、及びyは、それぞれ、0≦x≦4.2、及び0.001≦y≦0.03を満たす数を表す。)
(2)前記焼成工程におけるSiO存在量が、焼成物全体(蛍光体原料と、SiO
の合計)に対し、0.01重量%以上、0.94重量%以下であることを特徴とする、(1)に記載の蛍光体の製造方法。
(3)前記式[1]において、yの値が0.005以上、0.019以下であることを特徴とする、(1)、または(2)に記載の蛍光体の製造方法。
(4)太さが4μm以上の一次粒子が、全体の35個数%以上を占めることを特徴とする、β型サイアロン蛍光体。
(5)アスペクト比が2.0以上の一次粒子が、全体の75個数%以上を占めることを特徴とする、(4)に記載のβ型サイアロン蛍光体。
(6)太さが4μm以上、長さが50μm以下であり、かつ、アスペクト比が2.0以上の一次粒子が全体の30個数%以上を占めることを特徴とする、β型サイアロン蛍光体。(7)第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、 該第2の発光体が、(4)〜(6)のいずれかに記載の蛍光体を1種以
上、第1の蛍光体として含有することを特徴とする、発光装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の蛍光体の製造方法によれば、β型サイアロン蛍光体の輝度を向上させることができる。また、本発明の製造方法により製造された蛍光体を用いれば、発光装置の高輝度化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の半導体発光装置の一実施例を示す模式的斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の砲弾型発光装置の一実施例を示す模式的断面図であり、図2(b)は、本発明の表面実装型発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の照明装置の一実施例を示す模式的断面図である。
【図4】比較例1で得られた蛍光体のSEM写真である。
【図5】実施例1で得られた蛍光体のSEM写真である。
【図6】実施例2で得られた蛍光体のSEM写真である。
【図7】実施例3で得られた蛍光体のSEM写真である。
【図8】実施例4で得られた蛍光体のSEM写真である。
【図9】実施例5で得られた蛍光体のSEM写真である。
【図10】実施例6で得られた蛍光体のSEM写真である。
【図11】参考例2で得られた蛍光体のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表わす。また、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち一種又は二種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ca,Sr,Ba)Al:Eu」という組成式は、「CaAl:Eu」と、「SrAl:Eu」と、「BaAl:Eu」と、「Ca1−xSrAl:Eu」と、「Sr1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−x−ySrBaAl:Eu」とを全て包括的に示しているものとする(但し、前記式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)。
【0010】
[蛍光体の組成]
本発明の蛍光体は、通常、以下の式[1]で表される組成を有するβ型サイアロンであ
る。また、本発明の蛍光体の製造方法は、通常、以下の式[1]で表される組成を有するβ型サイアロンを製造する方法である。ここで、β型サイアロンとは、β型窒化ケイ素に、AlおよびO(酸素)を固溶させた化合物ことを意味する。β型サイアロンとしては、以下の式[1]に表されるように、AlおよびOに加えてEuも固溶していることが好ましい。
Si6−xAl8−x:Eu ・・・ [1]
(式中、x、及びyは、それぞれ、0≦x≦4.2、及び0.001≦y≦0.03を満たす数を表す。)
前記式[1]において、xは、SiへのAlの置換量、NへのOの置換量を意味し、通常0以上、好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.25以上であり、また、通常4.2以下、好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.0以下である。xの値が大きすぎると発光波長が長波長になりすぎる傾向にあり、小さすぎると粒子が成長しなくなって輝度が低下する傾向にある。
【0011】
なお、前記式[1]において、SiへのAlの置換量を示すxと、NへのOの置換量を示すxとは、蛍光体の特性に影響を与えない範囲内で組成比のズレが生じていてもよい。即ち、SiへのAlの置換量を示すxと、NへのOの置換量を示すxとは、互いに異なる数であってもよい。
前記式[1]において、yは、Eu濃度を意味し、通常0.001以上、好ましくは0.005以上、特に好ましくは0.01以上であり、また、通常0.03以下、好ましくは0.025以下、特に好ましくは0.02以下である。yの値が大きすぎると濃度消光が起こり、輝度が低下する傾向にあり、小さすぎると吸収効率が低下する傾向にあり、それに伴い、輝度が低下する傾向にある。
【0012】
前記式[1]に記載のSi、Al、O、N、Euの各構成元素は、本発明の効果に影響を与えない範囲内で、Ge、Ti、Zr、Hf、B、Ga、In、Cl、F等の他の元素によって置換されていてもよい。また、Si、Al、O、N、Euの各構成元素の他に、本発明の効果に影響を与えない範囲内で不可避的に混入してしまう不純物元素を含んでいてもよい。
【0013】
また、蛍光体製造時の安全性を向上させるために、本発明の製造方法においては、後述する水溶液A及び水溶液Bを用いて洗浄する工程を設けることができる。そのため、本発明の製造方法により得られる蛍光体は、水溶液Aに用いることのできるフッ化物が含有する金属元素(例えば、Na等のアルカリ金属元素)を1ppm以上含有していてもよい。また、本発明の製造方法により得られる蛍光体は、フッ素を含有していてもよく、具体的なフッ素含有量は、通常1ppm以上、好ましくは5ppm以上、また、通常10ppm以下である。
【0014】
[蛍光体の特性]
(発光ピーク波長)
本発明により得られる蛍光体は、200nm〜530nmの光により励起され、その発光ピーク波長が、通常510nm以上、好ましくは520nm以上であり、また、通常560nm以下、好ましくは550nm以下である。
【0015】
(量子効率)
また、本発明により得られる蛍光体は、その内部量子効率が高いほど好ましい。その値は、通常60%以上、好ましくは70%以上である。
本発明により得られる蛍光体は、その吸収効率が高いほど好ましい。その値は通常60%以上、好ましくは65%以上である。吸収効率が低いと発光効率が低下する傾向にある。
【0016】
本発明により得られる蛍光体は、その外部量子効率が高いほど好ましい。その値は、通常40%以上、好ましくは45%以上である。外部量子効率が低いと発光効率が低下する傾向にある。
なお、上記内部量子効率、外部量子効率、及び吸収効率は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
【0017】
(一次粒子の太さ)
本発明の蛍光体は、その一次粒子の形状に特徴を有する。ここで、「一次粒子」とは、粒子間の界面が明瞭に観察することができる粒子のことであり、複数の一次粒子が凝集した粒子は除かれる。
具体的には、本発明の蛍光体は、一次粒子が太い傾向にあり、一次粒子の太さ(短径)が4μm以上の粒子が、全体の、通常35個数%以上である。即ち、太さを測定した一次粒子全体(例えば、80個)のうち、通常35個数%以上が4μm以上の太さを有する一次粒子であることを意味する。また、ここで、「太さ(短径)」は、長径(一次粒子における最大の長さ)に対し垂直の長さであり、短径として最長になる長さを採用するものとする。
本発明の蛍光体は、一次粒子の太さ(短径)が4μm以上の粒子が、全体の、好ましくは40個数%以上、より好ましくは50個数%以上を占める。理想的には、この一次粒子の太さが4μm以上である粒子が100個数%であることが好ましい。一次粒子の太さが大きい粒子は蛍光体中の光路長が長くなるため励起光に対する吸収効率が高く、輝度が明るくなる傾向がある。一次粒子の太さの上限に特に制限はないが、取り扱い性を考慮して、通常50μm以下、好ましくは25μm以下である。
また、本発明の蛍光体は、一次粒子が太い傾向にあり、一次粒子の太さ(短径)が5μm以上の粒子が、全体の、通常10個数%以上、好ましくは20個数%以上、より好ましくは30個数%以を占める。理想的には、この一次粒子の太さが5μm以上である粒子が100個数%であることが好ましい。
本発明の蛍光体は、一次粒子が太い傾向にあり、一次粒子の太さ(短径)が6μm以上の粒子が、全体の、好ましくは10個数%以上、より好ましくは20個数%以上、さらに好ましくは30個数%以を占める。理想的には、この一次粒子の太さが6μm以上である粒子が100個数%であることが好ましい。
【0018】
なお、一次粒子の太さが4μm以上の粒子の比率は、走査型電子顕微鏡写真(倍率は、例えば、1000倍とする。)の5視野中の粒子80個を無作為に選び、それらの粒子の太さ(短径)を測定し、一次粒子の太さが4μm以上の粒子の比率を算出することにより求める。
また、このような一次粒子の太さが太いβ型サイアロン蛍光体は、例えば、SiO存在下で焼成することにより、製造することができる。
(一次粒子のアスペクト比)
本発明の蛍光体は、その一次粒子のアスペクト比に特徴を有する。即ち、本発明の蛍光体は、アスペクト比が2.0以上の一次粒子が、全体の、通常75個数%以上、好ましくは80個数%以上、より好ましくは85個数%以上、特に好ましくは90個数%以上を占める。
【0019】
アスペクト比の値が2.0以上の針状の粒子を多く含む蛍光体は、液体媒体と混合した蛍光体含有組成物を塗布する際に、蛍光体を粒子の長手方向に配向性良く塗布することができる。
なお、前記のアスペクト比が2.0以上の粒子の比率は、走査型電子顕微鏡写真の5視野中の粒子80個を無作為に選び、それらの粒子の長径と短径を測定し、長径/短径の値をアスペクト比として算出し、アスペクト比が2.0以上の粒子の割合を計算することに
より求める。
また、本発明の蛍光体は、アスペクト比が2.5以上の一次粒子が、全体の、60個数%以上を占めることが好ましく、アスペクト比が3以上の一次粒子が、全体の、40個数%以上を占めることが好ましく、60個数%以上を占めることがより好ましく、また、アスペクト比が2.5以上の一次粒子が、全体の、50個数%以上を占めることが好ましい。
なお、本発明の蛍光体の一次粒子のアスペクト比の上限としては、通常12.5以下である。
【0020】
(一次粒子の太さ、長さ、及びアスペクト比)
本発明の蛍光体は、その一次粒子の太さ(短径)、長さ(長径)、及びアスペクト比にも特徴を有する。即ち、太さが4μm以上、長さが50μm以下であり、かつ、アスペクト比が2.0以上の一次粒子が、全体の、通常26個数%以上、好ましくは30個数%以上、さらに好ましくは50個数%以上、より好ましくは75個数%以上を占める。
【0021】
また、太さが4μm以上、長さが50μm以下であり、かつ、アスペクト比が3.0以上の一次粒子が、全体の、通常10個数%以上、好ましくは30個数%以上、より好ましくは40個数%以上、特に好ましくは50個数%以上を占める。
太さが4μm以上であり、かつ、アスペクト比の値が2.0以上の針状の一次粒子を多く含む蛍光体は、実用上求められる輝度を提供することができ、さらに、液体媒体と混合した蛍光体含有組成物を塗布する際に、蛍光体を粒子の長手方向に配向性良く塗布することができる。しかし、一次粒子の長さが長すぎると、ディスペンサーの目詰まりになる傾向があるので、一次粒子の長さは通常50μm以下、好ましくは40μm以下である。
【0022】
なお、上述したような比率は、顕微鏡写真の5視野中の粒子80個を無作為に選び、それらの一次粒子の長径と短径を測定し、短径を太さとし、長径を長さとし、長径/短径の値をアスペクト比として算出し、各々の条件を満たす一次粒子の割合を計算することにより求める。
(重量メジアン径D50、及びその標準偏差)
重量メジアン径D50、及びその標準偏差は、何れも粒径に関する値である。
【0023】
本発明において、重量メジアン径D50(以下、「メジアン径D50」と称す)は、以下のように定義される。
メジアン径D50とは、レーザー回折・散乱法により粒度分布を測定して得られる、重量基準粒度分布曲線から求められる値である。具体的には、分散剤を含む水溶液中に蛍光体を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所 LA−300)により、粒径範囲0.1μm以上600μm以下にて測定して得られる。 メジアン径D50とは
、この重量基準粒度分布曲線において、積算値が50%のときの粒径値を意味する。同様にして、該重量基準粒度分布曲線において、積算値が25%及び75%の時の粒径値を、それぞれD25、D75と表記する。
【0024】
本発明の蛍光体のメジアン径D50は、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、また、通常50μm以下、好ましくは30μm以下である。使用する用途や、組み合わせる蛍光体、適用する装置構成等に応じて粒径を選択することが好ましく、取り扱い性を重視する場合は5μm以上15μm以下の範囲に、蛍光体自体の輝度を重視する場合は15μm以上25μm以下の範囲にすることが特に好ましい。
【0025】
[蛍光体の製造方法]
本発明の蛍光体は、下記式[1]で示される組成となるように調製した蛍光体原料の混合物をSiO存在下で焼成することにより製造できる。
Si6−xAl8−x:Eu ・・・ [1]
(式中、x、及びyは、それぞれ、0≦x≦4.2、及び0.001≦y≦0.03を満たす数を表す。)
なお、前記式[1]のO(酸素)の組成比には、Si源、Al源、Eu源に含まれる酸素量も含まれる。
【0026】
蛍光体原料としては、通常は金属化合物を用いる。すなわち、金属化合物を所定の組成となるように秤量し、混合した後に焼成することにより製造する。例えば、上記式[1]で表わされる蛍光体を製造する場合、Siの原料(以下適宜「Si源」という)、Alの原料(以下適宜「Al源」という)、Euの原料(以下適宜「Eu源」という)から必要な組み合わせを混合し(混合工程)、得られた混合物を焼成し(焼成工程)、必要に応じて得られた焼成物を洗浄する(洗浄工程)ことにより製造する。本発明の製造方法は、特に、前記焼成工程において、蛍光体原料混合物をSiO存在下で焼成することを特徴とするものである。
【0027】
(蛍光体原料)
本発明の蛍光体の製造方法において使用される蛍光体原料としては、公知のものを用いることができ、例えば、窒化ケイ素(Si)と窒化アルミニウム(AlN)と酸化ケイ素(SiO)及び/又は酸化アルミニウム(Al)と、更にはEuの金属、酸化物、炭酸塩、塩化物、フッ化物、窒化物又は酸窒化物から選ばれるEu化合物を用いることができる。
【0028】
なお、前記式[1]におけるO(酸素)やN(窒素)は、Si源、Al源、Eu源から供給されてもよいし、N(窒素)は、焼成雰囲気から供給されてもよい。また、各原料には、不可避的不純物が含まれていてもよい。
(混合工程)
本発明の製造方法においては、通常、目的組成が得られるように蛍光体原料を秤量し、ボールミル等を用いて充分に混合し、蛍光体原料混合物を得る(混合工程)。
【0029】
上記混合手法としては、特に限定はされないが、具体的には、下記(A)及び(B)の手法が挙げられる。
(A)例えばハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、例えばリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、前述の蛍光体原料を粉砕混合する乾式混合法。
【0030】
(B)前述の蛍光体原料に水等の溶媒又は分散媒を加え、例えば粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
蛍光体原料の混合は、上記湿式混合法又は乾式混合法のいずれでもよいが、水分による蛍光体原料の汚染を避けるために、乾式混合法や非水溶性溶媒を使った湿式混合法がより好ましい。
【0031】
(焼成工程)
混合工程で得られた原料の混合物を焼成する(焼成工程)。通常、上述の蛍光体原料混合物を、必要に応じて乾燥後、少なくとも当該原料が接する面が窒化ホウ素からなる坩堝等の容器内に充填し、焼成炉、加圧炉等を用いて焼成を行なう。
ここで、本発明の製造方法における焼成工程では、SiOの存在下で焼成を1回以上行なうことが必要である。例えば、SiOの存在下で焼成を行なった後に、SiOが存在しない条件下で焼成を行なってもよい。
【0032】
蛍光体原料を焼成する際に、SiOが存在すればよく、前記混合工程において蛍光体原料と共にSiOを混合してもよいし、焼成工程においてSiOを添加してもよい。
本発明の製造方法で用いるSiOの種類としては、特に制限はないが、例えば、球状微粒子シリカを使用することができる。また、不純物の少ないSiOを用いることが好ましく、例えば、Fe含有量が10ppm以下のものを用いることが好ましい。
【0033】
本発明の製造方法で用いるSiOの粒径としては、通常200nm以上、好ましくは500nm以上、より好ましくは1μm以上であり、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。粒径が大きすぎると、粒子成長を促す効果が全体へ行き届かず、粒子のばらつきが大きく、輝度が低下する傾向にあり、小さすぎると、SiO同士が凝集していまい、作業性が低下する傾向にあり、さらに、粒子成長を促進する効果が全体へ行き届かず、粒子の大きさのばらつきが大きく、輝度が低下する傾向にある。
【0034】
また、本発明の製造方法におけるSiOの添加量は、焼成物全体(蛍光体原料と、SiOとの合計)に対し、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上であり、また、通常2.8重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1.2重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下、最も好ましくは0.4重量%以下である。添加量が多すぎると、焼結が進みすぎて溶融したり、蛍光体の凝集が激しくなったりする傾向にあり、LED用の蛍光体粉体として使いにくくなる可能性があり、少なすぎると粒子成長を促す効果が全体へ行き届かず、粒子の大きさのばらつきが大きくなり、輝度が低下する傾向にある。
【0035】
このようにSiOの存在下で焼成を行なうと、焼成工程における蛍光体の各構成元素の移動が円滑となり、蛍光体の粒子成長が促進され、蛍光体の一次粒子の太さが太くなる傾向にあり、これにより、蛍光体の吸収効率が向上し、輝度が向上するものと考えられる。さらに、焼成工程において、特に付活元素であるEuの移動が円滑となるので、付活元素が蛍光体粒子内に均質に分散することを促し、付活元素の偏析による濃度消光を抑え、蛍光体の内部量子効率を向上することによって輝度を向上させることができるものと考えられる。このように焼成工程における蛍光体の構成元素の移動が円滑となることから、より低温、より短時間で同等以上の特性の蛍光体を製造することができる。本発明の製造方法は、産業的利便性が高い上に、環境負荷を軽減しながら高輝度の蛍光体を提供することができる。
【0036】
焼成温度については、所望する蛍光体の組成により異なるので、一概に規定できないが、一般的には1800℃以上2200℃以下の温度範囲で、安定して蛍光体が得られる。加熱温度が1800℃以上であればEuがβ型サイアロン結晶中に入り込むことができ、充分な輝度を有する蛍光体が得られる。また、加熱温度が2200℃以下であれば、非常に高い窒素圧力をかけてβ型サイアロンの分解を抑制する必要がなく、その為に特殊な装置を必要とすることもないので工業的に好ましい。
【0037】
好ましい焼成温度としては、1820℃以上が好ましく、1900℃以上が特に好ましく、また、2150℃以下が好ましく、2100℃以下が特に好ましい。焼成工程における焼成雰囲気は、本発明の蛍光体が得られる限り任意であるが、通常は、窒素含有雰囲気である。具体的には、窒素雰囲気、水素含有窒素雰囲気が挙げられ、中でも窒素雰囲気が好ましい。
【0038】
なお、焼成雰囲気の酸素含有量は、通常10ppm以下、好ましくは5ppm以下にするとよい。
また、昇温速度は、通常2℃/分以上、好ましくは3℃/分以上、また、通常10℃/分以下、好ましくは5℃/分以下である。昇温速度がこの範囲を下回ると、焼成時間が長くなる可能性がある。また、昇温速度がこの範囲を上回ると、焼成装置、容器等が破損する場合がある。
【0039】
焼成時間は、焼成時の温度や圧力等によっても異なるが、通常10分間以上、好ましくは1時間以上、また、通常24時間以下、好ましくは16時間以下、特に好ましくは12時間以下である。
焼成時の圧力は、焼成温度等によっても異なるが、通常0.1MPa以上、好ましくは0.5MPa以上であり、また、上限としては、通常2MPa以下、好ましくは1.5MPa以下である。このうち、工業的には0.6MPa〜1.2MPa程度がコスト及び手間の点で簡便であり好ましい。
【0040】
得られる焼成物は、粒状又は塊状となる。これを解砕、粉砕及び/又は分級操作を組み合わせて所定のサイズの粉末にする。ここでは、D50が約30μm以下になる様に処理すればよい。
具体的な処理の例としては、合成物を目開き45μm程度の篩分級処理し、篩を通過した粉末を次工程に回す方法、或いは合成物をボールミルや振動ミル、ジェットミル等の一般的な粉砕機を使用して所定の粒度に粉砕する方法が挙げられる。後者の方法において、過度の粉砕は、光を散乱しやすい微粒子を生成するだけでなく、粒子表面に結晶欠陥を生成し、発光効率の低下を引き起こす可能性がある。
【0041】
(熱処理工程)
焼成工程で得られた蛍光体を、さらに焼成温度より低い温度で熱処理することが好ましい(熱処理工程)。酸窒化物の不純物相を熱分解させるためである。
適切な熱処理温度は、雰囲気等によっても異なるが、1200℃以上1550℃以下の温度範囲が好ましい。1200℃以上で不純物相の分解が進行する傾向にあり、1550℃以下でβ型サイアロンの急激な分解が抑制できる。
【0042】
熱処理の雰囲気としては、窒素雰囲気、水素含有窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、水素含有アルゴン雰囲気、真空雰囲気等が挙げられ、アルゴン雰囲気が好ましい。
熱処理時の圧力は、熱処理温度等によっても異なるが、通常0.05MPa以上、好ましくは0.09MPa以上であり、また、上限としては、通常1MPa以下、好ましくは0.5MPa以下である。このうち、工業的には0.09MPa〜0.2MPa程度がコスト及び手間の点で簡便であり好ましい。
【0043】
熱処理時間は、熱処理時の温度や圧力等によっても異なるが、通常10分間以上、好ましくは1時間以上、また、通常24時間以下、好ましくは12時間以下である。
尚、焼成工程と熱処理工程とは、上述の焼成工程における加熱後の冷却時に連続して行っても構わないが、焼成物を所定の粒度まで調整した後に、熱処理を行った方が効果的である。これは、焼成時に形成させる結晶欠陥だけではなく、解砕や粉砕時に形成させる結晶欠陥も取り除くことができるからである。
【0044】
(洗浄工程)
一般的に、β型サイアロン蛍光体は、焼成工程や熱処理工程において、熱分解により蛍光体表面にSi金属が生成する傾向にある。蛍光体の特性向上のためには、このSi金属をできる限り除去する必要がある。本発明においては、不純物を除去することができれば洗浄方法に特に制限はない。例えば、フッ化水素酸と硝酸とを用いて洗浄することができるが、安全性、環境負荷等を考慮する場合は、(i)20℃において固体であり、かつ、20℃における溶解度が0.01g/水100ml以上、400g/水100ml以下で
あるフッ化物の水溶液Aと、(ii)硝酸、硫酸、塩酸、シュウ酸、及びリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液Bとを用いて洗浄するとよい。
【0045】
即ち、洗浄工程に用いる混酸の成分として、従来、フッ化水素酸と硝酸が使用されていたが、本発明においては、急性毒性物質であるフッ化水素酸の使用量を減らすため、例えば、フッ化ナトリウム(融点が993℃の安定な固体である。)の水溶液と硝酸とを用いることが好ましい。これにより、前記Si金属を含む不純物を安全に、かつ、効率よく除去することができ、さらに、洗浄工程における歩留まりも向上させることができるので産業的利便性が向上する。本発明で用いる水溶液Aは、フッ化水素酸に比べ、人体に対して安全であり環境に対する負担が小さく、保管・運搬などの作業工程においても取扱が容易である。
【0046】
前記水溶液Aに用いられるフッ化物の20℃における溶解度は、通常0.01g/水100ml以上、好ましくは0.1g/水100ml以上であり、より好ましくは0.5g/水100ml以上であり、また、通常400g/水100ml以下、好ましくは100g/水100ml以下である。常温で固体であるがゆえに、取り扱い性、作業性が良好であり、安全に製造作業を行うことができる。また、このようなフッ化物を含む水溶液Aは、Si、SiOなどの不純物について腐食性を示すので、単独でもこれらの化合物を除去することができるが、Si、SiOなどの不純物が、酸窒化物の不純物相で皮膜されている場合には、前記の水溶液A単独では除去することが難しい傾向にあるため、硝酸、硫酸、塩酸、シュウ酸、及びリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液Bを併用することで、酸窒化物の不純物相を除去し、Si、SiOなどの不純物も効率よく除去することができる。
【0047】
上記フッ化物を具体的に例示すれば、LiF、NaF、KF、RbF、CsF、NHF、NaHF、KHF、RbHF、NH、AlF、ZnF・4HO、ZrF、NaTiF、KTiF、(NHTiF、NaSiF、KSiF、ZnSiF・6HO、MgSiF・6HO、NaZrF、KZrF、(NHZrF、KBF、NHBF、Mg(BF)2・6HO、KPF、KAlF、NaAlF、SrF等が挙げられる。例示した中でも、溶解度が適度高く、潮解性が低いことから、NaFが好ましい。
【0048】
また、前記水溶液Bとして用いることができる酸としては、フッ化水素酸以外の無機酸であり、具体的には、硝酸、硫酸、塩酸、シュウ酸、およびリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種(以下、これらの酸を「水溶液Bの無機酸」と称する。)である。中でも、酸化力が高いことから、硝酸が好ましい。
水溶液Bの無機酸の濃度としては、水溶液Aと水溶液Bとの合計量に対し、合計で通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、通常70重量%以下である。水溶液Aと水溶液Bとの合計量に対する、水溶液Bの無機酸の濃度が前記範囲となれば、水溶液Bにおける水溶液Bの無機酸の濃度に特に制限はなく、例えば、希硝酸でも濃硝酸でも用いることができる。
【0049】
水溶液Aと水溶液Bとの組み合わせとしては、NaFと硝酸との組み合わせが好ましい。これらの混合水溶液による溶解処理は、速やかにSiを除去して蛍光体の特性を向上することができるとともに、環境負担を減らしながら、作業性、産業的利便性が向上させることができることから好ましい。
本発明の洗浄工程においては、焼成工程で得られた蛍光体を、水溶液Aと水溶液Bとの混合液に浸漬することにより行われる。この際、水溶液Aと水溶液Bとを合わせることができればその混合方法に特に制限はなく、水溶液Aに水溶液Bを加えても、水溶液Bに水溶液Aを加えてもよい。
【0050】
ここで、浸漬している間、静置することにしても構わないが、作業効率の観点から、洗浄時間を短縮することができる程度に攪拌することが好ましい。また、通常、室温で作業を行うが、必要に応じて水溶液を加熱してもよい。
蛍光体を、水溶液Aと水溶液Bとの混合液に浸漬する時間は、攪拌条件等によっても異なるが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、また、通常24時間以下、好ましくは12時間以下である。
【0051】
本発明の洗浄工程において、水溶液Aと水溶液Bとの混合液に蛍光体を浸漬する作業を行った後、一般的な水洗、ろ過を行うことが好ましい。水洗における洗浄媒としては、通常、室温(25℃程度)の水を用いるが、必要に応じて加熱してもよい。
上述した蛍光体の水洗は、洗浄後の蛍光体について、次のような水分散試験を行い、その時の上澄み液の電気伝導度が所定の値以下となるまで行うことが好ましい。 即ち、洗
浄後の蛍光体を、必要に応じて乾式ボールミル等で解砕ないし粉砕し、篩又は水簸により分級を行って所望の重量メジアン径に整粒する。その後、当該蛍光体の10重量倍の水中で所定時間、例えば10分間撹拌して分散させた後、1時間静置することにより、水よりも比重の重い蛍光体粒子を自然沈降させる。このときの上澄み液の電気伝導度を測定し、その電気伝導度が通常100μS/cm以下、好ましくは50μS/cm以下、最も好ましくは10μS/cm以下となるまで、必要に応じて上述の洗浄操作を繰り返す。
【0052】
この蛍光体の水分散試験に用いられる水としては、特に制限はないが、洗浄媒の水と同様に脱塩水又は蒸留水が好ましく、特に電気伝導度は、通常0.01μS/cm以上、好ましくは0.1μS/m以上、また、通常10μS/cm以下、好ましくは1μS/cm以下である。また、上記蛍光体の水分散試験に用いられる水の温度は、通常、室温(25℃程度)である。
【0053】
このような洗浄を行うことにより得られる蛍光体は、これを重量比で10倍の水に分散後、1時間静置して得られる上澄み液の電気伝導度が通常10μS/cm以下である。
なお、上記蛍光体の水分散試験における上澄み液の電気伝導度の測定は、株式会社堀場製作所製、電気伝導度計「ES−12」等を用いて行うことができる。
【0054】
また、上記洗浄工程後は、蛍光体を付着水分がなくなるまで乾燥させて、使用に供する。また、さらに、必要に応じて、凝集をほぐすために分散・分級処理を行ってもよい。
[3.蛍光体の用途]
本発明により得られる蛍光体は、蛍光体を使用する任意の用途に用いることができる。また、本発明により得られる蛍光体は、本発明により得られる蛍光体を単独で使用することも可能であるが、本発明により得られる蛍光体を2種以上併用したり、本発明により得られる蛍光体とその他の蛍光体とを併用したりした、任意の組み合わせの蛍光体混合物として用いることも可能である。
【0055】
本発明により得られる蛍光体は、公知の液体媒体(例えば、シリコーン系化合物等)と混合して、蛍光体含有組成物として用いることもできる。
また、本発明により得られる蛍光体は、特に、近紫外光ないし青色光で励起可能であるという特性を生かして、近紫外光ないし青色光を発する光源と組み合わせることで、各種の発光装置に好適に用いることができる。本発明により得られる蛍光体が通常は緑色発光蛍光体であることから、例えば、本発明により得られる蛍光体に、青色光を発する励起光源を組み合わせれば、青色〜緑色の発光装置を製造することができる。また、本発明により得られる蛍光体に、青色光を発する励起光源、及び赤色光を発光する蛍光体を組み合わせるか、近紫外光を発する励起光源、青色光を発光する蛍光体、及び赤色を発光する蛍光体を組み合わせれば、本発明により得られる蛍光体が緑色光を発光するので、白色発光装
置を製造することができる。
【0056】
発光装置の発光色としては白色に制限されず、蛍光体の組み合わせや含有量を適宜選択することにより、電球色(暖かみのある白色)やパステルカラー等、任意の色に発光する発光装置を製造することができる。こうして得られた発光装置を、画像表示装置の発光部(特に液晶用バックライトなど)や照明装置として使用することができる。
[4.蛍光体含有組成物]
本発明により得られる蛍光体は、液体媒体と混合して用いることもできる。特に、本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液体媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
【0057】
[4−1.蛍光体]
本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体の種類に制限は無く、上述したものから任意に選択することができる。また、本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。更に、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明の蛍光体以外の蛍光体を含有させてもよい。
【0058】
[4−2.液体媒体]
本発明の蛍光体含有組成物に用いられる液体媒体の種類は特に限定されず、通常、半導体発光素子を覆ってモールディングすることのできる硬化性材料を用いることができる。硬化性材料とは、流体状の材料であって、何らかの硬化処理を施すことにより硬化する材料のことをいう。ここで、流体状とは、例えば液状又はゲル状のことをいう。硬化性材料は、その硬化物が、半導体発光素子等から発せられた光を蛍光体へ導く役割を担保するのであれば、具体的な種類に制限は無い。また、硬化性材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。したがって、硬化性材料としては、無機系材料及び有機系材料並びに両者の混合物のいずれを用いることも可能である。
【0059】
無機系材料としては、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液、またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
一方、有機系材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体例を挙げると、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0060】
これら硬化性材料の中では、半導体発光素子からの発光に対して劣化が少なく、耐アルカリ性、耐酸性、耐熱性にも優れる珪素含有化合物を使用することが好ましい。珪素含有化合物とは分子中に珪素原子を有する化合物をいい、ポリオルガノシロキサン等の有機材料(シリコーン系化合物)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料、及びホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料を挙げることができる。中でも、透明性、接着性、ハンドリングの容易さ、機械的、熱的応力の緩和特性に優れる等の点から、シリコーン系材料が好ましい。
【0061】
シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、縮合型、付加型、改良ゾルゲル型、光硬化型等のシリコーン系材料を用いることができ
る。
縮合型シリコーン系材料としては、例えば、特開2007−112973〜112975号公報、特開2007−19459号公報、特開2008−34833号公報等に記載の半導体発光デバイス用部材を用いることができる。縮合型シリコーン系材料は半導体発光デバイスに用いられるパッケージや電極、発光素子などの部材との接着性に優れるため、密着向上成分の添加を最低限とすることが出来、架橋はシロキサン結合主体のため耐熱性・耐光性に優れる利点がある。
【0062】
付加型シリコーン系材料としては、例えば、特開2004−186168号公報、特開2004−221308号公報、特開2005−327777号公報等に記載のポッティング用シリコーン材料、特開2003−183881号公報、特開2006−206919号公報等に記載のポッティング用有機変性シリコーン材料、特開2006−324596号公報に記載の射出成型用シリコーン材料、特開2007−231173号公報に記載のトランスファー成型用シリコーン材料等を好適に用いることができる。付加型シリコーン材料は、硬化速度や硬化物の硬度などの選択の自由度が高い、硬化時に脱離する成分が無く硬化収縮しにくい、深部硬化性に優れるなどの利点がある。
【0063】
また、縮合型の一つである改良ゾルゲル型シリコーン系材料としては、例えば、特開2006−077234号公報、特開2006−291018号公報、特開2007−119569号公報等に記載のシリコーン材料を好適に用いることができる。改良ゾルゲル型のシリコーン材料は高架橋度で耐熱性・耐光性高く耐久性に優れ、ガス透過性低く耐湿性の低い蛍光体の保護機能にも優れる利点がある。
【0064】
光硬化型シリコーン系材料としては、例えば特開2007−131812号公報、特開2007−214543号公報等に記載のシリコーン材料を好適に用いることが出来る。紫外硬化方シリコーン材料は、短時間に硬化するため生産性に優れる、硬化に高い温度をかける必要が無く発光素子の劣化が起こりにくいなどの利点がある。
これらのシリコーン系材料は単独で使用してもよいし、混合することにより硬化阻害が起きなければ複数のシリコーン系材料を混合して用いてもよい。
【0065】
[4−3.液体媒体及び蛍光体の含有率]
液体媒体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して、通常25重量%以上、好ましくは40重量%以上であり、また、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。液体媒体の量が多い場合には特段の問題は起こらないが、半導体発光装置とした場合に所望の色度座標、演色指数、発光効率等を得るには、通常、上記のような配合比率で液体媒体を用いることが望ましい。一方、液体媒体が少な過ぎると流動性が低下し取り扱い難くなる可能性がある。
【0066】
液体媒体は、本発明の蛍光体含有組成物において、主にバインダーとしての役割を有する。液体媒体は、一種を単独で用いてもよいが、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。例えば、耐熱性や耐光性等を向上させることを目的として珪素含有化合物を使用する場合は、当該珪素含有化合物の耐久性を損なわない程度に、エポキシ樹脂など他の熱硬化性樹脂を含有してもよい。この場合、他の熱硬化性樹脂の含有量は、バインダーである液体媒体全量に対して通常25重量%以下、好ましくは10重量%以下とすることが望ましい。
【0067】
本発明の蛍光体含有組成物中の蛍光体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、通常75重量%以下、好ましく
は60重量%以下である。また、蛍光体含有組成物中の蛍光体に占める本発明の蛍光体の割合についても任意であるが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上であり、通常100重量%以下である。蛍光体含有組成物中の蛍光体含有量が多過ぎると蛍光体含有組成物の流動性が劣り、取り扱いにくくなることがあり、蛍光体含有量が少な過ぎると発光装置の発光の効率が低下する傾向にある。
【0068】
[4−4.その他の成分]
本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、蛍光体及び液体媒体以外に、その他の成分、例えば、屈折率調整のための金属酸化物や、拡散剤、フィラー、粘度調整剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有させても良い。その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0069】
[5.発光装置]
本発明の発光装置(以下、適宜「発光装置」という)は、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを有する発光装置であって、該第2の発光体として前述の[1.蛍光体]の項で記載した本発明の蛍光体を1種以上含む第1の蛍光体を含有するものである。
【0070】
本発明の発光装置に用いられる本発明の蛍光体の好ましい具体例としては、前述の[1.蛍光体]の欄に記載した本発明の蛍光体や、後述の[実施例]の欄の各実施例に用いた蛍光体が挙げられる。また、本発明の蛍光体は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の発光装置は、第1の発光体(励起光源)を有し、且つ、第2の発光体として少なくとも本発明の蛍光体を使用している他は、その構成は制限されず、公知の装置構成を任意にとることが可能である。装置構成の具体例については後述する。
【0071】
本発明の発光装置のうち、特に白色発光装置として、具体的には、第1の発光体として後述するような励起光源を用い、上述のように本発明の蛍光体の他、後述するような青色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「青色蛍光体」という)、緑色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「緑色蛍光体」という)、赤色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「赤色蛍光体」という)、黄色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「黄色蛍光体」という)等の公知の蛍光体を任意に組み合わせて使用し、公知の装置構成をとることにより得られる。
【0072】
ここで、該白色発光装置の白色とは、JIS Z 8701により規定された、(黄みの)白、(緑みの)白、(青みの)白、(紫みの)白及び白の全てを含む意であり、このうち好ましくは白である。
[5−1.発光装置の構成]
<5−1−1.第1の発光体>
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。
【0073】
第1の発光体の発光ピーク波長は、後述する第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用される。
第1の発光体の発光ピーク波長の具体的数値としては、通常200nm以上が望ましい。このうち、青色光を励起光として用いる場合には、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常480nm以下、好ましくは470nm以下、より好ましくは460nm以下の発光ピーク波長を有する発光体を使用することが望ましい。一方、近紫外光を励起光として用いる場合には、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、より好ましくは360nm以上、また、通常420nm
以下、好ましくは410nm以下、より好ましくは400nm以下の発光ピーク波長を有する発光体を使用することが望ましい。
【0074】
第1の発光体としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的には発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等が使用できる。その他、第1の発光体として使用できる発光体としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、無機エレクトロルミネッセンス発光素子等が挙げられる。但し、第1の発光体として使用できるものは本明細書に例示されるものに限られない。
【0075】
中でも、第1の発光体としては、GaN系化合物半導体を使用したGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDとしては、AlGaN発光層、GaN発光層又はInGaN発光層を有しているものが好ましい。中でも、発光強度が非常に高いことから、GaN系LEDとしては、InGaN発光層を有するものが特に好ましく、InGaN層とGaN層との多重量子井戸構造のものがさらに好ましい。
【0076】
なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlGaN層、GaN層、又はInGaN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高くて好ましく、更にヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率が更に高いため、より好ましい。
【0077】
なお、第1の発光体は、1個のみを用いてもよく、2個以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<5−1−2.第2の発光体>
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、第1の蛍光体として本発明の蛍光体を1種以上含有するとともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、橙色蛍光体、赤色蛍光体等)を含有する。また、例えば、第2の発光体は、第1及び第2の蛍光体を封止材料中に分散させて構成される。
【0078】
<5−1−2−1.第1の蛍光体>
本発明の発光装置における第2の発光体は、少なくとも上述の本発明の蛍光体を含む第1の蛍光体を含有する。本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよく、所望の発光色となるよう、本発明の蛍光体の組成を適宜調整すればよい。
【0079】
<5−1−2−2.第2の蛍光体>
本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体以外にも蛍光体(即ち、第2の蛍光体)を含有していてもよい。通常、これらの第2の蛍光体は、第2の発光体の発光の色調を調節するために使用されるため、第2の蛍光体としては第1の蛍光体とは異なる色の蛍光を発する蛍光体を使用することが多い。例えば、第1の蛍光体として緑色蛍光体を使用する場合、第2の蛍光体としては、青色蛍光体、赤色蛍光体、黄色蛍光体等の緑色蛍光体以外の蛍光体を用いるとよい。但し、第1の蛍光体と同色の蛍光体を第2の蛍光体として用いることも可能である。
【0080】
上記第2の発光体中に用いられる、本発明の蛍光体以外の蛍光体(即ち、第2の蛍光体)には特に制限はないが、母体結晶となる、Y、YVO、ZnSiO、YAl12、SrSiO等に代表される金属酸化物、SrSi等に代表される金属窒化物、Ca(POCl等に代表されるリン酸塩及びZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物、YS、LaS等に代表される酸硫化物等にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Cu、Au、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを付活元素又は共付活元素として組み合わせたものが挙げられる。
【0081】
下表に、好ましい結晶母体の具体例を示す。
【0082】
【表1】

【0083】
但し、上記の母体結晶及び付活元素又は共付活元素は、元素組成には特に制限はなく、同族の元素と一部置き換えることもでき、得られた蛍光体は近紫外から可視領域の光を吸収して可視光を発するものであれば用いることが可能である。
具体的には、蛍光体として以下に挙げるものを用いることが可能であるが、これらはあくまでも例示であり、本発明で使用できる蛍光体はこれらに限られるものではない。なお、以下の例示では、前述の通り、構造の一部のみが異なる蛍光体を、適宜省略して示している。
【0084】
本発明の発光装置に使用される第2の蛍光体の重量メジアン径D50は、通常2μm以上、中でも5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径D50が小さ過ぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、重量メジアン径が大き過ぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
【0085】
<青色蛍光体>
本発明の蛍光体に加えて青色蛍光体を使用する場合、当該青色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、更に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。使用する青色蛍光体の発光ピーク波長がこの範囲にあると、本発明の蛍光体の励起帯と重なり、当該青色蛍光体からの青色光により、本発明の蛍光体を効率良く励起することができるからである。
このような青色蛍光体として使用できる蛍光体を下表に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
以上の中でも、青色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO(Cl,F):Eu、(Ba,Ca,Mg,Sr)SiO:Eu、(Ba,Ca,Sr)MgSi:Euが好ましく、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO(Cl,F):Eu、BaMgSi:Euがより好ましく、Sr10(POCl:Eu、BaMgAl1017:Euが特に好ましい。
【0088】
<緑色蛍光体>
本発明の蛍光体に加えて緑色蛍光体を使用する場合、当該緑色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nmより大きく、中でも510nm以上、更には515nm以上、また、通常550nm以下、中でも542nm以下、更には535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長が短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する場合がある。
このような緑色蛍光体として利用できる蛍光体を下表に示す。
【0089】
【表3】

【0090】
以上の中でも、緑色蛍光体としては、Y(Al,Ga)12:Tb、CaSc:Ce、Ca(Sc,Mg)Si12:Ce、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu(β−sialon)、(Ba,Sr)Si12:N:Eu、SrGa:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mnが好ましい。
【0091】
得られる発光装置を照明装置に用いる場合には、Y(Al,Ga)12:Tb、CaSc:CeCa(Sc,Mg)Si12:Ce、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu(β−sialon)、(Ba,Sr)Si12:Euが好ましい。
また、得られる発光装置を画像表示装置に用いる場合には、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu(β−sialon)、(Ba,Sr)Si12:Eu、SrGa:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mnが好ましい。
【0092】
<黄色蛍光体>
本発明の蛍光体に加えて黄色蛍光体を使用する場合、当該黄色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
【0093】
このような黄色蛍光体として利用できる蛍光体を下表に示す。
【0094】
【表4】

【0095】
以上の中でも、黄色蛍光体としては、YAl12:Ce、(Y,Gd)Al12:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)SiO:Eu、(Ca,Sr)Si:Euが好ましい。
<橙色ないし赤色蛍光体>
本発明の蛍光体に加えて橙色ないし赤色蛍光体を使用する場合、当該橙色ないし赤色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
【0096】
このような橙色ないし赤色蛍光体として使用できる蛍光体を下表に示す。
【0097】
【表5】

【0098】
以上の中でも、赤色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)S:Eu、Eu(ジベンゾイルメタン)・1,10−フェナントロリン錯体等のβ−ジケトン系Eu錯体、カルボン酸系Eu錯体、KSiF:Mnが好ましく、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O):Eu、(La,Y)S:Eu、KSiF:Mnがより好ましい。
【0099】
また、橙色蛍光体としては、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Sr,Ba)Si
:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Ceが好ましい。
[6.発光装置の実施形態]
[6−1.発光装置の実施形態]
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
【0100】
本発明の発光装置の一例における、励起光源となる第1の発光体と、蛍光体を有する蛍光体含有部として構成された第2の発光体との位置関係を示す模式的斜視図を図1に示す。図1中の符号1は蛍光体含有部(第2の発光体)、符号2は励起光源(第1の発光体)としての面発光型GaN系LD、符号3は基板を表す。相互に接触した状態をつくるために、LD(2)と蛍光体含有部(第2の発光体)(1)とそれぞれ別個に作製し、それらの面同士を接着剤やその他の手段によって接触させてもよいし、LD(2)の発光面上に蛍光体含有部(第2の発光体)を製膜(成型)させてもよい。これらの結果、LD(2)と蛍光体含有部(第2の発光体)(1)とを接触した状態とすることができる。
【0101】
このような装置構成をとった場合には、励起光源(第1の発光体)からの光が蛍光体含有部(第2の発光体)の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
図2(a)は、一般的に砲弾型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。該発光装置(4)において、符号5はマウントリード、符号6はインナーリード、符号7は励起光源(第1の発光体)、符号8は蛍光体含有部、符号9は導電性ワイヤ、符号10はモールド部材をそれぞれ指す。
【0102】
また、図2(b)は、表面実装型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。図中、符号22は励起光源(第1の発光体)、符号23は蛍光体含有部(第2の発光体)、符号24はフレーム、符号25は導電性ワイヤ、符号26及び符号27は電極をそれぞれ指す。
【0103】
[6−2.発光装置の用途]
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、演色性が高い、及び色再現範囲が広いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
<6−2−1.照明装置>
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、図3に示されるような、前述の発光装置(4)を組み込んだ面発光照明装置(11)を挙げることができる。
【0104】
図3は、本発明の照明装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。この図3に示すように、該面発光照明装置は、内面を白色の平滑面等の光不透過性とした方形の保持ケース(12)の底面に、多数の発光装置(13)(前述の発光装置(4)に相当)を、その外側に発光装置(13)の駆動のための電源及び回路等(図示せず。)を設けて配置し、保持ケース(12)の蓋部に相当する箇所に、乳白色としたアクリル板等の拡散板(14)を発光の均一化のために固定してなる。
【0105】
そして、面発光照明装置(11)を駆動して、発光装置(13)の励起光源(第1の発光体)に電圧を印加することにより光を発光させ、その発光の一部を、蛍光体含有部(第
2の発光体)としての蛍光体含有樹脂部における前記蛍光体が吸収し、可視光を発光し、一方、蛍光体に吸収されなかった青色光等との混色により演色性の高い発光が得られ、この光が拡散板(14)を透過して、図面上方に出射され、保持ケース(12)の拡散板(14)面内において均一な明るさの照明光が得られることとなる。
【0106】
<6−2−2.画像表示装置>
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
【実施例】
【0107】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
後述する各実施例および各比較例の測定及び評価は、以下の方法により行った。
<発光スペクトル>
発光スペクトルは、室温(25℃)において、日立製作所製蛍光分光光度計F−4500を用いて測定した。より具体的には、波長455nmの励起光を蛍光体に照射し、480nm以上800nm以下の波長範囲内の発光スペクトルを得た。
【0108】
<相対輝度>
上述の方法で得られた発光スペクトルから励起波長域を除いた範囲を対象として、JIS Z8724に準拠して算出したXYZ表色系における刺激値Yを求めた。次いで、波長455nmの励起光で三菱化学株式会社製の黄色蛍光体YAl12:Ce(製品番号:P46−Y3)を励起して得られた発光スペクトルから上述に記載の方法と同様にして求めた刺激値Yを100%とした相対値(以下、単に「輝度」と称する場合がある。)として算出した。
【0109】
<量子効率(吸収効率α、内部量子効率η、及び外部量子効率η)>
測定対象となる蛍光体サンプル(例えば蛍光体の粉末等)を、測定精度が保たれるように、十分に表面を平滑にしてセルに詰め、積分球等の集光装置に取り付けた。
該集光装置に、蛍光体サンプルを励起するための発光源として、Xeランプを取り付けた。また、発光源の発光ピーク波長が450nmの単色光となるように、フィルターやモノクロメーター(回折格子分光器)等を用いて調整を行なった。
【0110】
この発光ピーク波長が調整された発光源からの光を、測定対象の蛍光体サンプルに照射し、発光(蛍光)及び反射光を含むスペクトルを分光測定装置(大塚電子株式会社製 MCPD7000)で測定した。
<反射スペクトル>
反射スペクトルは、励起光源として150Wキセノンランプを、集光装置として積分球を、スペクトル測定装置として、大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置を使用して測定した。まず、標準白板として、励起光に対してほぼ100%の反射率Rを持つ物質、Labsphere製「Spectralon」(波長450nmの励起光に対する反射率R:99%)に150Wキセノンランプを照射し、380nm以上780nm以下の波長範囲においてスペクトル測定装置を使用し、各波長の反射強度を測定し、パーソナルコンピューターによる感度補正等の信号処理を経て反射スペクトルを得た。次に、測定対象となる蛍光体試料を、測定精度が保たれるように、十分に表面を平滑にしてセルに詰め、同様の方法により各波長の反射強度を測定し、標準白板との反射強
度の比率より試料の反射スペクトルを得た。得られた反射スペクトルから、770nmにおける反射率を求めた。
【0111】
<重量メジアン径D50
重量メジアン径D50を測定する前に、超音波分散器((株)カイジョ製)を用いて周波数を19KHz、超音波の強さを25Wとし、120秒間、試料を超音波で分散させた。なお、分散液には、再凝集を防止するため界面活性剤を微量添加した。
重量平均メジアン径D50は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製
LA−300)を使用して、重量基準粒度分布曲線を得たあと、積算値が50%のときの粒径値として算出した。表7では、「D50」と記載する。
【0112】
<QD(4分偏差)>
QDは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で得た重量基準粒度分布曲線において、積算値が25%の粒径値(D25)、及び75%の時の粒径値(D75)を算出し、(D75−D25)/(D75+D25)で表わされる値として算出した。
<SEM写真>
倍率は、後述に記載の通りとし、SEM(日立社製、S−3400N)を用いて5視野で撮影を行った。
<一次粒子の太さ、およびアスペクト比>
撮影したSEM写真について、画像処理を行い、目視で一次粒子を特定し、手動計測により、一次粒子の太さ(短径)、及びアスペクト比を求めた。具体的には、顕微鏡写真の5視野中の粒子80個を無作為に選び、それらの一次粒子の長径と短径を測定し、短径を太さとし、長径を長さとし、長径/短径の値をアスペクト比として算出した。そして、表8〜表11、および表14〜表17に記載の各々の条件を満たす一次粒子の割合を計算することにより求めた。なお、表9〜11、および表15〜17においては、「アスペクト比」を「AR」と表記した。
[実施例1]
宇部興産社製α型窒化ケイ素粉末(「SN−E10」グレード、酸素含有量1.2重量%、β相含有量4.5重量%)94.99重量%、トクヤマ社製窒化アルミニウム粉末(「E」グレード、酸素含有量0.9重量%)3.6重量%、信越化学工業社製酸化ユーロピウム粉末(「RU」グレード)1.06重量%、アドマテック社製酸化ケイ素(SO−E5)0.35重量%を配合し、原料混合物1kgを得た。これを原料混合物1とする。
なお、アドマテック社製酸化ケイ素(SO−E5)の粒径は2.0μm、比表面積は2.2m/g、Fe含有量は8ppmである。
【0113】
上述の原料混合物1を目開き100μmのナイロン製篩に全通させ、ロッキングミキサー(愛知電機社製「RM−10」)を用いて60分間乾式で混合した。そして、振動ミール(中央加工機社製MB―1型)を用いて1時間振動混合した。更に目開き100μmのナイロン製篩に全通させ、蛍光体合成用の原料混合粉末1を得た。
原料混合粉末1を内寸で直径10cm×高さ10cmの蓋付きの円筒型窒化ホウ素製容(電気化学工業社製、「N−1」グレード)に200g充填し、カーボンヒーターの電気炉で0.92MPaの加圧窒素雰囲気中、2000℃で12時間の加熱処理を行った。得られた生成物は、緩く凝集した塊状であり、清浄なゴム手袋を着用した人手で軽くほぐして目開き48μmの篩を通した。これらの操作によって、180gの合成粉末を得た。直径60mm×高さ35mmの蓋付きの円筒型窒化ホウ素製容器(電気化学工業社製「N−1」グレード)に前記合成粉末30g充填し、管状炉で大気圧下、アルゴン雰囲気中、1450℃で8時間の加熱処理を行った。得られた粉末は、焼結に伴う収縮はなく、加熱前とほとんど同じ性状であり、目開き48μmの篩を全て通過した。
【0114】
このようにして得られた粉体12gについて、NaF 3gを水108mlに溶解した
水溶液と硝酸(69重量%)48mlとの混合水溶液中で6時間浸漬して、攪拌、洗浄してから、汎用のろ紙を使ってろ過し、通常の水洗とろ過を繰り返してから150℃で2時間乾燥して、実施例1の蛍光体を得た。
なお、実施例1の蛍光体について、粉末X線回折により、β
型サイアロンが得られていることを確認した。
【0115】
[比較例1]
宇部興産社製α型窒化ケイ素粉末(「SN−E10」グレード)95.5重量%、トクヤマ社製窒化アルミニウム粉末(「F」グレード。特性は前記「E」グレードと同じである。)、酸素含有量0.9重量%)3.3重量%、大明化学社製酸化アルミニウム粉末(「TM−DAR」グレード)0.4重量%、信越化学工業社製酸化ユーロピウム粉末(「RU」グレード)0.8重量%を配合し、原料混合物1kgを得た。これを原料配合物2とする。
【0116】
上記の原料配合物2を使ったこと以外は実施例1と同様の条件で合成し、比較例1の蛍光体を得た。
なお、比較例1の蛍光体について、粉末X線回折により、β型サイアロンが得られていることを確認した。
[実施例2]
実施例1の蛍光体を、水に分散させ、ジルコニアビーズと共にガラスポットに入れた。ガラスポットを、卓上型ボールミルV−1ML(Irie Shokai社製)を用いて
120rpmで8時間回転して、凝集をほぐした。次に、ジルコニアビーズを取り除いてから水篩、ろ過を行い、細粒子を回収し、実施例2の蛍光体を得た(回収した粒子のD50は、8.1μmであった)。
【0117】
[実施例3]
実施例2に記載の操作を行った後、残存している沈積蛍光体に水を加え、水篩、ろ過を行い、細粒子を除去し、実施例3の蛍光体を得た(回収した粒子のD50は、19.3μmであった)。
【0118】
[参考例1]
実施例1の原料混合物1の組成を、宇部興産社製α型窒化ケイ素粉末(「SN−E10」グレード)92.52重量%、トクヤマ社製窒化アルミニウム粉末(「E」グレード)3.51重量%、信越化学工業社製酸化ユーロピウム粉末(「RU」グレード)1.05重量%、アドマテック社製酸化ケイ素(SO−E5)2.91重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、参考例1の蛍光体を得た。
【0119】
実施例1〜3、比較例1、及び参考例1の製造条件について、以下の表6にまとめた。
【0120】
【表6】

【0121】
実施例1〜3、比較例1、及び参考例1で得られた蛍光体について、輝度(%)、各量子効率(%)、及び反射率(%)を測定した結果を表7に示す。なお、表7に記載の輝度(%)、各量子効率(%)、及び反射率(%)は、上述の方法により測定したものである。
【0122】
【表7】

【0123】
また、上述の各実施例及び比較例で得られた蛍光体のSEM写真を5視野で撮影した(倍率は1000倍とした)。そのうちの各一枚を図4〜図7に示す。
【0124】
撮影したSEM写真から求めた一次粒子の太さ、アスペクト比の結果を表8〜11に示す。
【0125】
【表8】

【0126】
【表9】

【0127】
【表10】

【0128】
【表11】

【0129】
[実施例4〜6]
実施例1において、原料混合物中の酸化ケイ素(SO−E5)の量を0.1重量%(実施例4)、0.2重量%(実施例5)、0.7重量%(実施例6)に変更したこと以外には、実施例1と同様にして実施例4〜6の蛍光体を得た。
【0130】
[参考例2]
実施例1において、原料混合物中の酸化ケイ素(SO−E5)の量を1.0重量%に変更したこと以外には、実施例1と同様にして参考例2の蛍光体を得た。
【0131】
実施例4〜6、および参考例2の製造条件について、以下の表12にまとめた。
【表12】

【0132】
実施例4〜6、比較例2で得られた蛍光体について、輝度(%)、各量子効率(%)、及び反射率(%)を測定した結果を表13に示す。なお、表13に記載の輝度(%)、各量子効率(%)、及び反射率(%)は、上述の方法により測定したものである。
【0133】
【表13】

【0134】
また、上述の各実施例及び参考例で得られた蛍光体のSEM写真を5視野で撮影した(倍率は1000倍とした)。そのうちの各一枚を図8〜図11に示す。
【0135】
また、撮影したSEM写真から求めた一次粒子の太さ、アスペクト比の結果を表14〜17に示す。
【0136】
【表14】

【0137】
【表15】

【0138】
【表16】

【0139】
【表17】

【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明の製造方法により製造された蛍光体は、光を用いる任意の分野において用いることができ、例えば屋内及び屋外用の照明などのほか、携帯電話、家庭用電化製品、屋外設置用ディスプレイ等の各種電子機器の画像表示装置などに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0141】
1 蛍光体含有部(第2の発光体)
2 励起光源(第1の発光体)(LD)
3 基板
4 発光装置
5 マウントリード
6 インナーリード
7 励起光源(第1の発光体)
8 蛍光体含有部
9 導電性ワイヤ
10 モールド部材
11 面発光照明装置
12 保持ケース
13 発光装置
14 拡散板
22 励起光源(第1の発光体)
23 蛍光体含有部(第2の発光体)
24 フレーム
25 導電性ワイヤ
26 電極
27 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式[1]で表される組成比に調整された蛍光体原料を、SiO存在下で焼成する工程を有する
ことを特徴とする、蛍光体の製造方法。
Si6−xAl8−x:Eu ・・・ [1]
(式中、x、及びyは、それぞれ、0≦x≦4.2、及び0.001≦y≦0.03を満たす数を表す。)
【請求項2】
前記焼成工程におけるSiO存在量が、焼成物全体(蛍光体原料と、SiOとの合計)に対し、
0.01重量%以上、0.94重量%以下である
ことを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項3】
前記式[1]において、
yの値が0.005以上、0.019以下である
ことを特徴とする、請求項1、または請求項2に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項4】
太さが4μm以上の一次粒子が、全体の35個数%以上を占める
ことを特徴とする、β型サイアロン蛍光体。
【請求項5】
アスペクト比が2.0以上の一次粒子が、全体の75個数%以上を占める
ことを特徴とする、請求項4に記載のβ型サイアロン蛍光体。
【請求項6】
太さが4μm以上、長さが50μm以下であり、かつ、アスペクト比が2.0以上の一次粒子が全体の30個数%以上を占める
ことを特徴とする、β型サイアロン蛍光体。
【請求項7】
第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、
該第2の発光体が、請求項4〜6のいずれか一項に記載の蛍光体を1種以上、
第1の蛍光体として含有する
ことを特徴とする、発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−7159(P2012−7159A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118061(P2011−118061)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】