蛍光体及びその製造方法並びに発光ダイオード
【課題】粒子の表面にガラスコート層を形成することによって、水分及び/または熱に対する安定性が向上した蛍光体及びその製造方法並びに発光ダイオードを提供する。
【解決手段】光により励起される蛍光体粒子を含む蛍光体において、前記蛍光体粒子の表面には、ガラスコート層が形成されてなり、その製造方法は、光により励起される蛍光体粒子を準備する段階と、前記準備された蛍光体粒子の表面にガラスコート層を形成する段階とを有し、前記ガラスコート層を形成する段階は、前記蛍光体粒子とガラス組成物とを混合する段階と、前記ガラス組成物が溶融されて前記蛍光体粒子を取り囲むように、前記蛍光体粒子とガラス組成物との混合物を熱処理する段階と、前記熱処理された混合物を冷却、粉砕し、蛍光体粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体を得る段階とを含む。
【解決手段】光により励起される蛍光体粒子を含む蛍光体において、前記蛍光体粒子の表面には、ガラスコート層が形成されてなり、その製造方法は、光により励起される蛍光体粒子を準備する段階と、前記準備された蛍光体粒子の表面にガラスコート層を形成する段階とを有し、前記ガラスコート層を形成する段階は、前記蛍光体粒子とガラス組成物とを混合する段階と、前記ガラス組成物が溶融されて前記蛍光体粒子を取り囲むように、前記蛍光体粒子とガラス組成物との混合物を熱処理する段階と、前記熱処理された混合物を冷却、粉砕し、蛍光体粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体を得る段階とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体及びその製造方法並びに発光ダイオードに関し、より詳しくは、水分及び/または熱に対する安定性を有する蛍光体及びその製造方法と、その蛍光体を用いた発光ダイオードに関する。
【0002】
蛍光体としては、酸化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、及び近来開発された窒化物系蛍光体などが知られている。通常、このような蛍光体は、青色または紫外線発光ダイオードチップの光により励起されるものであって、発光ダイオードの発光特性を高品質に維持するためには、水分または熱に対する安定性が求められる。
【0003】
現在、白色発光ダイオードを一般照明に応用するために、青色発光ダイオードチップの大きさが大きくなっているが、熱放出のための特別な装置なく発光ダイオードチップを定格電流下で駆動する時、発光ダイオードチップの発光層を中心に約120℃以上の高熱が瞬時に発生し、これによって蛍光体の発光強度が顕著に低下する。一般に、蛍光体は、周りの温度が高くなると、ホスト格子(host lattice)と活性化因子(activator)との間の相互干渉と、格子の振動による格子の膨脹によって、スペクトルが広がり、色度座標の変化と結晶場の弱化によって、発光強度が低下する。
【0004】
加えて、YAG:Ceと(Ba、Sr、Ca)2SiO4:Euのような酸化物系蛍光体は、発光ダイオードチップの温度上昇に影響され易く、蛍光特性が急激に低下する。このような温度による蛍光特性の劣化は、化合物の結合強度と、活性化因子とホスト格子との間の大きさの相違により影響するものと知られている。特に、白色発光ダイオードを利用する間接照明または自動車の前照灯のような製品の場合、動作温度が最大150℃に達するため、高温でも光量及び色度座標などの光特性の変化が少なく、安定性に優れた蛍光体及び発光ダイオードの開発が求められる。
【0005】
上述したように、発光ダイオードは、波長変換手段である蛍光体を使って白色光を具現することができる。即ち、蛍光体を発光ダイオードチップに配置させ、発光ダイオードチップからの1次発光の一部と、蛍光体によって波長変換された2次発光とが混色されて白色を具現する。このような構造の白色発光ダイオードは、安価であり、原理的及び構造的に非常に簡単であるため、広く利用されている。
【0006】
例えば、青色で発光する発光ダイオードチップの上に、青色発光の一部を励起源として黄緑色または黄色で発光する蛍光体を塗布し、発光ダイオードチップの青色発光と蛍光体の黄緑色または黄色発光により、白色を得ることができる。ところが、このような白色発光ダイオードは、単一黄色蛍光体の発光であり、緑色領域と赤色領域のスペクトルの欠乏によって、演色性が低く、特に、LCDバックライトユニットの光源として使用する時、色フィルタ透過後の低い色純度によって、自然色又はそれに近い色の具現が困難となる問題点がある。
【0007】
このような問題点を解決するために、青色発光ダイオードチップと、青色光により励起されて緑色及び赤色で発光する蛍光体を使用した他の従来技術としての白色発光ダイオードが製造されている。即ち、青色光と、青色光により励起されて発光する緑色光及び赤色光の混色によって、85以上の高い演色性を有する白色光を具現することができる。このような白色発光ダイオードは、LCDバックライトユニットの光源として適用する場合、LCDの構成要素であるカラーフィルタとの一致度が非常に高いため、フィルター透過後の色純度が高く、より自然色に近い画像を具現することができるというメリットがある。
【0008】
緑色発光蛍光体としては、青色光による励起効率に優れたオソシルリケイト(orthosilicate)とチオガレート(thiogallate)系の蛍光体が代表的なものである。ここで、(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Euで表される硫化物系のチオガレート蛍光体は、青色光による励起効率に優れており、発光スペクトルの半値幅(full widthat half maximum)が50〜60nm程度で非常に狭く、隣接したスペクトルに殆ど影響しないため、LCDバックライトユニットの光源として使用時、高い色再現性が具現できるものの、水分と反応し易く、蛍光体の化学的特性の変形を起こすという問題点がある。
【0009】
また、赤色発光蛍光体としては、(Ca、Sr)S:Eu、(Zn、Cd)(S、Se):Agなどの硫化物系の蛍光体と、最近新しく開発された(Ca、Sr、Ba)2Si5N8:Eu、CaAlSiN3:Eu、Ce(Ca、Sr、Ba)Si7N10:Eu、CaSiN2:Euなどの窒化物系の蛍光体がある。窒化物系の蛍光体の場合、優れた化学的安定性を有しているが、発光スペクトルの半値幅が90〜110nm程度で非常に広い範囲にわたって現われるため、隣接した緑色光スペクトルと重なり、LCDバックライトユニットの光源として使用時、カラーフィルタ透過後の色純度があまり高くないという短所がある。
【0010】
また、硫化物系の蛍光体は、組成によって、600〜660nm範囲の波長を調節することができ、発光スペクトルの半値幅が60〜70nm程度で狭く、LCDバックライトユニットの光源として使用時、より高い色再現性を具現することができる。ところが、硫化物系の蛍光体は、大気中の水分と二酸化炭素などと反応し易く、酸化物または炭酸化物に変化し、蛍光体の化学的特性の変形を起こすという問題点がある。また、蛍光体と水分反応によって発生するH2Sガスは、蛍光体の蛍光特性を変化させて色度座標の変化を起こし、光度(luminous intensity)の急激的な低下を起こすだけではなく、AgまたはAuなどの金属で形成される電極を腐食させ、発光ダイオードの信頼性を低下させるという問題点がある。
【0011】
特に、(Ca、Sr)S:Eu、SrGa2S4:Eu、ZnS:Cu、Alまたは(Zn、Cd)S:Ag、Clなどの硫化物系蛍光体は、水分と反応し易く、固有の蛍光特性を失い、深刻な光度低下及び光特性の変化を起こし、それによって酸化物系及び硫化物系蛍光体の使用上の制約を受けるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は上記従来の蛍光体及びその製造方法並びに発光ダイオードにおける問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、粒子の表面にガラスコート層を形成することによって、水分及び/または熱に対する安定性が向上した蛍光体及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、水分安定性が向上した蛍光体を利用することによって、より優れた発光特性を有し、色温度、色度座標などに対する安定性を改善し、信頼性が向上した発光ダイオードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するためになされた本発明による蛍光体は、光により励起される蛍光体粒子を含む蛍光体において、前記蛍光体粒子の表面には、ガラスコート層が形成されてなることを特徴とする。
【0015】
前記ガラスコート層は、下記の一般式1で表されるガラス組成物でなることが好ましい。
(化1)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
【0016】
また、前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3を含んでも良い。
前記ガラスコート層は、前記蛍光体粒子に対し、0.1〜15wt%の範囲で形成され、前記ガラスコート層のSiO2とAlO2/3との混合比は、重量比率で90:10〜60:40の範囲で形成されることが好ましい。
前記蛍光体は、硫化物系であることが好ましい。
【0017】
上記目的を達成するためになされた本発明による蛍光体の製造方法は、光により励起される蛍光体粒子を準備する段階と、前記準備された蛍光体粒子の表面にガラスコート層を形成する段階とを有することを特徴とする。
【0018】
前記ガラスコート層を形成する段階は、前記蛍光体粒子とガラス組成物とを混合する段階と、前記ガラス組成物が溶融されて前記蛍光体粒子を取り囲むように、前記蛍光体粒子とガラス組成物との混合物を熱処理する段階と、前記熱処理された混合物を冷却、粉砕し、蛍光体粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体を得る段階とを含むことが好ましい。
望ましくは、前記熱処理する段階は、500〜1500℃の温度で行うことが好ましい。
前記熱処理された混合物を冷却、粉砕した後、前記ガラスコート層の表面処理のための熱処理の段階をさらに含むことが好ましい。
【0019】
前記ガラス組成物は、下記の一般式1で表されることが好ましい。
(化2)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
【0020】
前記ガラスコート層を形成する段階は、前記ガラスコート層の前駆体と水と溶媒との混合物を準備する段階と、前記混合物に蛍光体粒子を混合し、ゾル−ゲル反応により前記蛍光体粒子の表面にガラスをコートする段階とを含むことが好ましい。
前記ガラスをコートする段階の後、フィルタリングにより、前記ガラスコート層が形成された前記蛍光体を分離して得る段階をさらに含むことが好ましい。
前記フィルタリングにより分離された前記蛍光体を乾燥及び熱処理する段階をさらに含むことが好ましい。
また、前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3であることが好ましい。
【0021】
前記ガラスコート層の前駆体としては、SiO2前駆体として、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、tetraethyl orthosilicate)またはオルトケイ酸テトラメチル(TMOS、tetramethyl orthosilicate)を使用し、前記AlO2/3前駆体として、アルミニウムアセチルアセトネート(Al−AcAc、aluminum acetylacetonate)、アルミニウムトリ−Sec−ブトキシド(Al−tsBO、tri−sec−butoxide)またはアルミニウムイソプロポキシド(Al−iPO、aluminum iso−propoxide)を使用することが好ましい。
前記ガラスをコートする段階は、溶媒の蒸発温度(℃)の±20℃以内の温度で行うことが好ましい。
前記熱処理する段階は、200〜600℃の温度で行うことが好ましい。
【0022】
上記目的を達成するためになされた本発明による発光ダイオードは、発光ダイオードチップと、前記発光ダイオードチップから放射された光により励起される蛍光体とを有し、前記蛍光体の蛍光体粒子の表面には、ガラスコート層が形成されることを特徴とする。
【0023】
前記ガラスコート層は、下記の化学式1で表されるガラス組成物でなることが好ましい。
(化3)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
また、前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3でなることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る蛍光体及びその製造方法並びに発光ダイオードによれば、粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体を製造することによって、水分の浸透を防止することができ、発光ダイオードチップの発熱から光量及び光特性の安定性を改善することができる。このように、蛍光体の水分及び熱に対する安定性を向上し、より優れた信頼性と発光特性を得ることができるという効果がある。
【0025】
また、高温高湿下でも、優れた蛍光体を使用することによって、信頼性が向上し、発光効率が改善した白色発光ダイオードを製造することができ、一般照明及びLCD背面光源において、優れた光源として利用することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明に係る蛍光体及びその製造方法並びに発光ダイオードを実施するための最良の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
図面上の同一構成要素には、同一の図面符号を付している。
【0027】
蛍光体は、ホスト格子(Host Lattice)と適宜な位置に不純物が混入された活性化因子(activator)とで構成されるが、活性化因子は、発光の過程に関与するエネルギーの順位を決めることで発光色を決定し、その発光色は、格子構造内で、活性化因子の有する基底状態と励起状態のエネルギーの差(Energy Gap)によって決定される。即ち、活性化因子を持つ蛍光体が有する発光中心色は、窮極的に活性化因子の電子状態、即ち、エネルギー順位によって決定される。例えば、Tb3+イオンの場合、ホスト格子の内で、5d→7fの遷移が一番容易であり、緑黄色発光の形態を示す。
【0028】
このようなエネルギーの差を利用した蛍光体は、多くの種類があり、これを利用していろんな発光色を有する発光ダイオードを製造することができ、特に、白色発光ダイオードを製造することができる。
【0029】
従来の蛍光体は、水分との反応や発光ダイオードチップから放出される熱によって、劣化し易い問題点があった。
よって、本発明は、蛍光体の製造時、粒子の表面にガラスのコートを施すことによって、水分と熱に対する安定性に優れた蛍光体を提供する。
【0030】
図1は、本発明による蛍光体を示す断面図である。
図1を参照すると、蛍光体は、蛍光体粒子1と、その粒子の表面に形成され、蛍光体粒子1を取り囲むガラスコート層2とを含む。このような蛍光体は、蛍光体の固有の発光特性を維持しながら、蛍光体粒子1の表面にコートされたガラスコート層2によって外部環境による変化を最小化することができる。
【0031】
即ち、ガラスコート層2が蛍光体粒子1への水分の浸透を完全に遮断し、蛍光体粒子1と水分との間の望まない反応による化学的特性の劣化(または、低下)を防止することができ、ガラスコート層2を成すガラスの低い熱伝導度によって、断熱効果に優れており、それによって高温に対する安定性に優れた蛍光体を具現することができる。
【0032】
以下、図1〜図3を参照して本発明の第1の実施形態による蛍光体を説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態において、蛍光体粒子1は、多くの種類の蛍光体を含む。例えば、YAG:Ceと(Ba、Mg、Ca)2SiO4:Euなどで代表される酸化物系蛍光体を含むか、(Ca、Sr)S:Eu、SrGa2S4:Eu、ZnS:Cu、Alまたは(Zn、Cd)S:Ag、Clなどの硫化物系蛍光体を含むことができる。
【0033】
ガラスコート層2は、下記の一般式1のような構造を有する。
(化4)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
【0034】
上記一般式1において、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。
【0035】
ガラスコート層2は、上述した組成に限定されず、熱処理によりガラスにすることができる全ての組成が含まれる。
また、蛍光体は、図1に示すように、一つの蛍光体粒子の表面にガラスがコートされて形成することができ、複数の蛍光体粒子の表面にガラスがコートされて形成することもできる。
【0036】
以下、本実施形態による蛍光体の製造方法について説明する。
図2は、本発明による蛍光体の製造方法を示すフローチャートである。
【0037】
図2を参照すると、蛍光体粒子とガラス組成物の粉末(glass powder)とを混合し(ステップS10)、ガラス組成物の粉末が溶融されて蛍光体粒子を取り囲むように、ガラス組成物の粉末と蛍光体粒子との混合物を熱処理した後(ステップS20)、その混合物を冷却、望ましくは、急冷(quenching)し、その蛍光体が粉砕されるようにする(ステップS30)。
【0038】
まず、蛍光体粒子とガラス組成物を適正な比率で混合する。蛍光体粒子とガラス組成物との混合比率は、蛍光体及びガラス組成物の種類、所望のコート厚さなどによって変わるが、重量比で98:2〜50:50であることが望ましい。
蛍光体粒子とガラス組成物との混合において、以後の熱処理の時、ガラスが個々の蛍光体粒子を完全に取り囲むよう均一に混合することが望ましい。
【0039】
次に、均一に混合した混合物を白金るつぼに入れ、500〜1500℃の温度で熱処理を施す。この時、混合物内のガラス組成物が溶融され、個々の蛍光体粒子を完全に取り囲むよう、十分な時間、例えば約1時間、熱処理を施す。
【0040】
以後、これを急冷し、蛍光体が粉砕されるようにする。例えば、白金るつぼを4〜5℃の低温水に入れ、急冷する。蛍光体粒子を取り囲むガラスが蛍光体粒子が存在しない経路で、構造が一番脆弱な部分に沿って砕け、ガラスの中に分布されていた蛍光体粒子が分離される。即ち、ガラス組成物と蛍光体粒子との混合でなる塊を急冷することによって、ガラスは、蛍光体が存在しない経路の脆弱な部分に沿って砕ける。
【0041】
これによって、蛍光体粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体が得られる。さらに上記のように得られた蛍光体のガラスコート層の表面を滑らかにするための表面処理工程、例えば800〜900℃の温度で熱処理工程をさらに行うことができる。
【0042】
ガラスコート層が形成されてない従来の蛍光体は、水分との反応によって、化学的特性の劣化を起こし、発光ダイオードへの適用時、発光ダイオードチップから放出される熱によって、発光特性が急激に低下する。これに対し、上述した製造工程によって、粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体は、水分と熱に対する安定性が改善され、信頼性を向上させることができる。即ち、蛍光体粒子への水分の浸透が不可能で、水分との反応による化学的特性の劣化を防止することができ、ガラスの熱伝導度が低く、断熱効果に優れており、高温に対する安定性を向上させることができる。
【0043】
図3は、従来の蛍光体を使用して製造された発光ダイオードと、本実施形態の蛍光体を使用して製造された発光ダイオードとの温度に対する光度(luminous intensity)の変化を比較したグラフである。
【0044】
一般のYAG:Ce蛍光体と、粒子の表面にガラスがコートされたYAG:Ce蛍光体を含有するシリコン樹脂を、発光ダイオードチップにそれぞれ塗布した発光ダイオードにおいて、温度の上昇による光度の変化を測定し、初期値を100(%)にして、初期値対比光度の変化を示す。光度の変化は、温度が上昇するにつれ、蛍光体の化学的特性の劣化によって光特性を失う。図3より分かるように、本実施形態の蛍光体は、光度の変化が従来の蛍光体に比べて非常に少ないことが分かる。即ち、本実施形態の蛍光体は、粒子の表面にコートされたガラスの断熱効果に優れており、温度の上昇による影響を最小化することができ、これによって光特性の低下を防止することができる。
【0045】
上述したように、粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体を製造することによって、蛍光体の発光特性と共に、水分及び熱に対する化学的安定性を確保して、信頼性を向上させることができる。
【0046】
以下、図1と図4〜図10を参照して、本発明の第2の実施形態による蛍光体を説明する。
(第2の実施形態)
本実施形態において、蛍光体粒子1は、例えば、優れた蛍光特性を有しているが、水分と反応し易い硫化物系の蛍光体、即ち、(Ca、Sr)S:Euまたは(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Euなどの蛍光体を含むことができる。
【0047】
ガラスコート層2は、SiO2、AlO2/3(または、Al2O3)またはSiO2−AlO2/3の複合酸化物を含む。特に、ガラスコート層2がSiO2−AlO2/3の複合酸化物でなる場合に、相対的に優れた水分安定性を示す。この時、当業者であれば、SiO2−AlO2/3の複合酸化物が、上述した第1の実施形態の一般式1によって決められる組成物の範囲内であることは、十分理解するであろう。
【0048】
ガラスコート層2は、蛍光体粒子に対し、0.1〜15wt%の範囲に含まれることが望ましい。また、SiO2−AlO2/3の複合酸化物でなるガラスコート層2の場合に、SiO2とAlO2/3との混合比は、重量比率で95:5〜30:70の範囲であることが望ましく、重量比率で90:10〜60:40の範囲であることがより望ましい。
このようなガラスコート層2は、蛍光体粒子1を取り囲み、蛍光体の特性をそのまま保持し、水分との反応を遮断して化学的に安定的な特性を提供する。
【0049】
図4は、本実施形態による蛍光体の製造方法を示すフローチャートである。
図4を参照すると、ガラスコート層の前駆体と水と溶媒とを含む前駆体混合物が準備される(ステップS210)。その前駆体混合物の準備に先立って、蛍光体粒子が準備されることは勿論である。次に、前駆体混合物と蛍光体粒子とを混合し、ゾル−ゲル反応を誘導して、蛍光体粒子の表面にガラスをコートする(ステップS220)。次に、フィルタリングによって、ガラスコート層2が形成された蛍光体粒子のみを分離して得た後(ステップS230)、その蛍光体粒子を乾燥(ステップS240)及び熱処理(ステップS250)する。
【0050】
本実施形態による蛍光体の製造は、金属有機化合物を出発物質として、ゾル−ゲル法によって、蛍光体粒子の表面にSiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3の複合酸化物のコート層(即ち、ガラスコート層)を形成することである。
【0051】
まず、ゾル−ゲル反応を誘導するためのコート層の前駆体と水と溶媒とを混合する(ステップS210)。
【0052】
SiO2コート層の形成のための金属有機化合物前駆体としては、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、tetraethyl orthosilicate)またはオルトケイ酸テトラメチル(TMOS、tetramethyl orthosilicate)などを使用することができ、AlO2/3コート層の形成のための金属有機化合物前駆体としては、アルミニウムアセチルアセチルアセトネート(Al−AcAc、aluminum acetylacetonate)、アルミニウムトリ−Sec−ブトキシド(Al−tsBO、tri−sec−butoxide)またはアルミニウムイソプロポキシド(Al−iPO、aluminum iso−propoxide)などを使用することができる。
【0053】
SiO2コート層の前駆体であるTEOSまたはTMOSは、正確な計量と、水分との急激な加水分解反応速度の調節のために、無水エタノールに希釈して使用することが望ましい。この時、コートしようとする蛍光体粒子の質量に対し、0.1〜5wt%/ccに希釈して使用することが望ましい。
【0054】
AlO2/3コート層の前駆体であるAl−tsBOまたはAl−iPOは、同様の理由により、エタノール/アセチルアセトン(ethanol/acetylacetone)またはアセチルアセトン(acetylacetone)を希釈して使用することが望ましい。この時、コートしようとする蛍光体粒子の質量に対し、0.01〜1wt%/ccに希釈して使用することが望ましい。また、粉末状のAlAcAcの場合にも、エタノール/アセチルアセトン(ethanol/acetylacetone)またはアセチルアセトン(acetylacetone)にコートしようとする蛍光体粒子の質量に対し、0.01〜1wt%/ccに希釈して使用することが望ましい。
【0055】
希釈されたSiO2コート層の前駆体は、コートしようとする蛍光体粒子の質量に対し、0.1〜10wt%の範囲で添加し、希釈されたAlO2/3コート層の前駆体は、コートしようとする蛍光体粒子の質量に対し、0.1〜5wt%の範囲で添加することが望ましい。
【0056】
ゾル−ゲル反応は、上記前駆体の加水分解反応と重縮合反応によって行われる。このために、コート層の前駆体を水と溶媒に混合する。溶媒としては、エタノールを使用することができ、水と溶媒との混合比は、体積比率で5:95〜50:50の範囲であることが望ましい。
【0057】
例えば、コートしようとする蛍光体粒子が3gの場合、水1〜50cc、エタノール20〜300cc程度の範囲内で、水とエタノールとを混合した後、希釈されたSiO2及びAlO2/3コート層の金属有機化合物前駆体をそれぞれ蛍光体粒子の重量対比0.1〜10wt%、0.1〜5wt%程度の範囲内で添加して均一に混合する。
【0058】
即ち、まず水と溶媒とを混合した後、上述したように、希釈されたSiO2またはAlO2/3コート層の金属有機化合物前駆体を添加し、一定時間、回転子により均一に混合する。混合物の形成方法は、上述したところに限定されず、様々な順序によって混合することができ、例えば、まず金属有機化合物前駆体を溶媒に混合した後、水を添加することで混合することもできる。
【0059】
次に、コート層の前駆体と水と溶媒との混合物に蛍光体を混合して所定の温度下でゾル−ゲル反応を誘導する(ステップS220)。ゾル−ゲル反応の加速化のために、溶液を加熱することができ、溶媒の蒸発温度(℃)の±20℃以内の温度で、例えば60〜100℃の温度で行うことが望ましい。また、ゾル−ゲル反応によって形成されたSiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3コート層が個々の蛍光体粒子を完全に取り囲むよう、十分な時間、例えば、約1〜20時間行う。
【0060】
ゾル−ゲル反応を完了した溶液をフィルタリングにより蛍光体のみを分離する(ステップS230)。この時、蛍光体粒子の表面には、ゾル−ゲル反応により合成されたSiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3コート層を含む。
【0061】
以後、残留溶媒を完全に除去するために、分離した蛍光体を乾燥させる(ステップS240)。乾燥は、例えば60〜150℃の温度で、1〜2時間程度行うことができる。
【0062】
このようにして乾燥した蛍光体を相対的に高い温度で熱処理をする(ステップS250)。このような熱処理により、SiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3コート層が蛍光体粒子に安定的に結合される。熱処理は、200〜600℃の温度で、1〜24時間程度行うことができ、一般的な空気の雰囲気で行うことができる。
【0063】
これによって、蛍光体粒子の表面にSiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3コート層がコートされた蛍光体を製造することができる。
【0064】
上述した蛍光体の製造工程は、上述したところに限定されず、所望の特性及び工程上の便宜によって様々な修正と変更が可能である。例えば、蛍光体粒子を取り囲むコート層の表面を滑らかにするために、表面処理工程、例えば熱処理工程をさらに行うことができる。
【0065】
上述したように、従来の蛍光体は、水分との反応によって化学的特性の劣化を起こして、発光ダイオードへの適用時、発光ダイオードチップから放出される熱によって発光特性が急激に低下する。特に、(Ca、Sr)S:Euまたは(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Euなどの硫化物系蛍光体は、水分と反応し易く、蛍光体の化学的特性が変化を起こして、蛍光体と水分との反応によって発生するH2Sガスは、蛍光体の蛍光特性を変化させ、色度座標の変化を起こし、光度が急激に低下する。
【0066】
これに対し、上述した製造工程により、蛍光体粒子の表面にSiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3のガラスコート層が形成された蛍光体を製造することによって、水分に対する安定性を改善することができる。即ち、蛍光体粒子と水分との反応を遮断して、水分との反応による化学的特性の劣化を防止し、発光特性を改善することができる。
【0067】
図5は、本実施形態による、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体粒子を取り囲むガラスコート層の組成に対する信頼性テストの結果を比較したグラフである。蛍光体粒子に対し、3wt%のSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層を形成する場合において、コート層のAlO2/3比率の増加による信頼性テストの結果を示す。ここで、光度の変化は、水分との反応によって、蛍光体の化学的特性が劣化し、光特性を失うことである。
【0068】
図5から分かるように、ガラスコート層のAlO2/3比率を0%から5%まで増加すると、光度は略線形的に増加する。これに対し、AlO2/3の比率を5%から40%まで増加すると、光度の変化が殆ど見られない。従って、蛍光体粒子の表面にSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層(即ち、ガラスコート層)を形成することが望ましく、AlO2/3の比率は、コート層の全体に対して5〜40%であることが望ましい。
【0069】
図6は、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体粒子を取り囲むコート層のコート量に対する信頼性テストの結果を比較したグラフである。蛍光体粒子の表面に65:35比率のSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層を形成する場合において、コート層のコート量を蛍光体粒子に対し、1〜10wt%の含量でコートした場合の信頼性テストの結果を示す。図6から分かるように、粒子の表面に1〜10wt%の含量でSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された場合、蛍光体の光度変化が殆ど見られない。
【0070】
図7及び図8は、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体粒子及び(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体粒子を取り囲むコート層に対し、100℃の熱い蒸気下で10時間露出した蛍光体の発光特性を比較したグラフである。即ち、コート層が形成されてない蛍光体と、粒子の表面に3wt%のSiO2コート層がされた蛍光体と、粒子の表面に65:35の比率で3wt%のSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体とを100℃の熱い蒸気下で10時間露出した後、光度の変化を測定し、初期値を100(%)として初期値に対する光度の変化量を示す。
【0071】
(Ca、Sr)S:Eu蛍光体粒子に対するグラフである図7を参照すると、コート層が形成されてない蛍光体の場合、460nmの光を励起させた時、初期状態と対比して目立った外観の変化が観察でき、水分との反応によって光特性を失い、約20%程度しか維持してないことが分かる。また、粒子の表面にSiO2コート層が形成された蛍光体の場合、約50%程度の光特性を維持しており、粒子の表面にSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体の場合、98%以上の光特性をそのまま維持していることが分かる。
【0072】
また、(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体粒子に対するグラフである図8を参照すると、コート層が形成されてない蛍光体の場合、460nmの光を励起させた時、初期状態と対比して目立った外観の変化が観察でき、水分との反応によって光特性を失い、約40%程度しか維持してないことが分かる。また、粒子の表面にSiO2コート層が形成された蛍光体の場合、約70%程度の光特性を維持しており、粒子の表面にSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体の場合、95%以上の光特性をそのまま維持していることが分かる。
【0073】
図7及び図8から分かるように、本発明による蛍光体粒子の表面にコート層が形成された蛍光体は、コート層が形成されてない蛍光体に比べ、光度の変化が少なく、即ち、粒子の表面に形成されたコート層によって、水分との反応が遮断され、光特性の低下を防止することが分かる。特に、SiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体の場合、光度の変化が殆ど見られず、水分安定性が顕著に向上したことが分かる。
【0074】
図9及び図10は、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体及び(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体を使用して製造した発光ダイオードの光度の変化を比較したグラフである。コート層が形成されてない蛍光体と、粒子の表面に3wt%のSiO2コート層が形成された蛍光体と、粒子の表面に65:35の比率で3wt%のSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体とをそれぞれ透明樹脂の内に同量混合し、パッケージに注入及び硬化させて、発光ダイオードを製造した後、85℃の温度と85%の相対湿度の雰囲気下で、1000時間まで保持した結果を示す。経過時間による光度の変化を測定し、初期値を100(%)にして、初期値対光度の変化を示す。図9は、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体に対するグラフであり、図10は、(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体に対するグラフである。
【0075】
図9及び図10から分かるように、蛍光体粒子の表面に、上述した複合酸化物のガラスコート層が形成された蛍光体を使用した発光ダイオードは、コート層が形成されてない蛍光体を使用した発光ダイオードに比べ、光度の変化が少なく、即ち、蛍光体粒子の表面に形成されたコート層によって、水分との反応が遮断され、光特性の低下を防止することが分かる。特に、SiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体を使用した場合に、水分安定性が顕著に改善され、信頼性が向上することが分かる。
【0076】
このように、蛍光体粒子の表面にSiO2−AlO2/3のコート層が形成された蛍光体を製造することによって、蛍光体の発光特性と共に、水分に対する化学的安定性を確保して、信頼性を向上させることができる。
【0077】
次に、本発明の一実施形態による上述した蛍光体を含む発光ダイオードについて、図11及び図12を参照して説明する。
(第3の実施形態:チップ型発光ダイオード)
図11は、本発明の一実施形態による蛍光体を使用して製造したチップ型発光ダイオードを示す断面図である。
【0078】
図11を参照すると、発光ダイオードは、基板10と、基板10上に形成された第1電極30及び第2電極35と、第1電極30上に実装された発光ダイオードチップ20と、発光ダイオードチップ20を封止するモールド部40とを有する。モールド部40には、上述したように、蛍光体粒子51の表面にコート層52が形成された蛍光体50が、均一に混合され分布されている。
【0079】
基板10は、発光ダイオードチップ20が実装される中心領域に所定の溝を設け、溝の側壁面に所定の傾斜を形成することができる。この時、発光ダイオードチップ20は、溝の下部面に実装され、所定の傾斜を有する側壁面によって、発光ダイオードチップ20から発光する光の反射が極大化し、発光効率が増大できる。
【0080】
また、基板10は、発光ダイオードチップ20の熱を外部に放出するためのヒートシンク(heat sink)をさらに含むこともできる。例えば、基板10上の発光ダイオードチップ20が実装される所定領域を除去して貫通孔を設け、その内部にヒートシンクを挿着し、ヒートシンクの上部に発光ダイオードチップ20を実装することもできる。ヒートシンクとして熱伝導性に優れた物質を使用することが望ましく、熱伝導性及び電気伝導性に優れた金属を使用することが最も望ましい。
【0081】
第1及び第2電極30、35は、印刷法により形成することができる。第1及び第2電極30、35は、導電性に優れた銅またはアルミニウムを含む金属物質で形成するが、第1電極30と第2電極35は、互いに電気的に遮断されるように形成する。
【0082】
発光ダイオードチップ20は、紫外線(UV)発光する発光ダイオードチップを使用する。これに限定されず、GaN、INGaN、AlGaNまたはAlGaInN系の青色発光する発光ダイオードチップを使用することができる。また、発光ダイオードチップ20の個数は、一つであっても良く、目的によって複数で構成しても良い。
【0083】
発光ダイオードチップ20は、第1電極30上に実装され、ワイヤ60を介して第2電極35と電気的に接続される。また、発光ダイオードチップ20が電極(30、35)上に実装されずに基板10上に形成される場合に、2つのワイヤ60を介してそれぞれ第1電極30及び第2電極35と接続することもできる。
【0084】
また、基板10の上部には、発光ダイオードチップ20を封止するためのモールド部40が形成される。モールド部40の内には、上述した本発明による蛍光体50が均一に混合され分布されている。モールド部40は、所定の透明エポキシ樹脂と蛍光体50との混合物を利用した射出モールド工程により形成することができる。また、別途のモールド金型を用いて製作した後、これを加圧または熱処理し、モールド部40を形成することができる。モールド部40は、光学レンズ状、平板状及び表面に所定の凹凸を有する形状など様々な形で形成することができる。
【0085】
(第4の実施形態:ランプ型発光ダイオード)
図12は、本発明の一実施形態による上述の蛍光体を使用して製造したランプ型発光ダイオードを示す断面図である。
図12を参照すると、発光ダイオードは、反射部が形成された第1リード端子70と、第1リード端子70と所定間隔離隔された第2リード端子75とから構成される。
【0086】
第1リード端子70の反射部の内に、発光ダイオードチップ20が実装され、ワイヤ60を介して第2リード端子75と電気的に接続される。発光ダイオードチップ20の上部には、蛍光体粒子51の表面にコート層52が形成された蛍光体50を含むモールド部40が形成され、リード端子(70、75)の先端には、モールド金型を用いて形成した外周モールド部45を含む。モールド部40の内には、発光ダイオードチップ20から放射された光を吸収して波長変換させる、本発明の上述した蛍光体50が均一に混合されている。外周モールド部45は、発光ダイオードチップ20から放射された光の透過率を向上させるために、透明なエポキシ樹脂またはシリコン樹脂で製作される。
【0087】
本発明の技術的要旨は、上述した例に限定されるのではなく、様々な修正と変形が可能であり、多様な構造の製品に応用されることができる。
上述した発光ダイオードは、発光ダイオードチップから1次光が放射され、1次光により、蛍光体は、波長変換された2次光を放射し、これらの混色で所望のスペクトル領域の色を具現する。
【0088】
例えば、青色発光ダイオードチップと緑色及び赤色発光する蛍光体を使用して、これらの混色で白色発光を具現することができる。緑色発光蛍光体としては、オソシルリケイト(orthosilicate)または(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Euで表されるチオガレート(thiogallate)系の蛍光体を使用することができる。また、赤色発光蛍光体としては、(Ca、Sr)S:Eu、(Zn、Cd)(S、Se):Agなどの硫化物系の蛍光体または窒化物系の蛍光体を使用することができる。
【0089】
発光ダイオードは、粒子の表面にSiO2−AlO2/3コート層が形成された蛍光体を使用することによって、従来に比べ、蛍光体の水分安定性に優れており、蛍光体の長寿命化を図ることができ、発光ダイオードの発光効率及び信頼性を向上させることができる。特に、水分と反応し易い硫化物系の蛍光体の場合、粒子の表面に形成されたコート層によって、水分との反応が遮断され、水分安定性及び光特性を向上させることができる。
【0090】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施形態による蛍光体を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による蛍光体の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態によって製造された蛍光体を使用して製造した発光ダイオードと、従来の蛍光体を使用して製造した発光ダイオードとの温度に対する光度の変化を比較したグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態による蛍光体の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体のコート層の組成に対する信頼性テストの結果を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体のコート層の量に対する信頼性テストの結果を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体の水分安定性テストの結果を示すグラフであり、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体粒子に対するものである。
【図8】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体の水分安定性テストの結果を示すグラフであり、(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体粒子に対するものである。
【図9】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体の85℃85%相対湿度雰囲気下での経過時間による光度の変化結果を示すグラフであり、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体に対するものである。
【図10】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体の85℃85%相対湿度雰囲気下での経過時間による光度の変化結果を示すグラフであり、(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体に対するものである。
【図11】本発明の実施形態による蛍光体を利用して製造されたチップ型発光ダイオードを示す断面図である。
【図12】本発明の実施形態による蛍光体を利用して製造されたランプ型発光ダイオードを示す断面図である。
【符号の説明】
【0092】
1、51 蛍光体粒子
2、52 ガラスコート層
10 基板
20 発光ダイオードチップ
30、35 (第1及び第2)電極
40 モールド部
45 外周モールド部
50 蛍光体
60 ワイヤ
70、75 (第1及び第2)リード端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体及びその製造方法並びに発光ダイオードに関し、より詳しくは、水分及び/または熱に対する安定性を有する蛍光体及びその製造方法と、その蛍光体を用いた発光ダイオードに関する。
【0002】
蛍光体としては、酸化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、及び近来開発された窒化物系蛍光体などが知られている。通常、このような蛍光体は、青色または紫外線発光ダイオードチップの光により励起されるものであって、発光ダイオードの発光特性を高品質に維持するためには、水分または熱に対する安定性が求められる。
【0003】
現在、白色発光ダイオードを一般照明に応用するために、青色発光ダイオードチップの大きさが大きくなっているが、熱放出のための特別な装置なく発光ダイオードチップを定格電流下で駆動する時、発光ダイオードチップの発光層を中心に約120℃以上の高熱が瞬時に発生し、これによって蛍光体の発光強度が顕著に低下する。一般に、蛍光体は、周りの温度が高くなると、ホスト格子(host lattice)と活性化因子(activator)との間の相互干渉と、格子の振動による格子の膨脹によって、スペクトルが広がり、色度座標の変化と結晶場の弱化によって、発光強度が低下する。
【0004】
加えて、YAG:Ceと(Ba、Sr、Ca)2SiO4:Euのような酸化物系蛍光体は、発光ダイオードチップの温度上昇に影響され易く、蛍光特性が急激に低下する。このような温度による蛍光特性の劣化は、化合物の結合強度と、活性化因子とホスト格子との間の大きさの相違により影響するものと知られている。特に、白色発光ダイオードを利用する間接照明または自動車の前照灯のような製品の場合、動作温度が最大150℃に達するため、高温でも光量及び色度座標などの光特性の変化が少なく、安定性に優れた蛍光体及び発光ダイオードの開発が求められる。
【0005】
上述したように、発光ダイオードは、波長変換手段である蛍光体を使って白色光を具現することができる。即ち、蛍光体を発光ダイオードチップに配置させ、発光ダイオードチップからの1次発光の一部と、蛍光体によって波長変換された2次発光とが混色されて白色を具現する。このような構造の白色発光ダイオードは、安価であり、原理的及び構造的に非常に簡単であるため、広く利用されている。
【0006】
例えば、青色で発光する発光ダイオードチップの上に、青色発光の一部を励起源として黄緑色または黄色で発光する蛍光体を塗布し、発光ダイオードチップの青色発光と蛍光体の黄緑色または黄色発光により、白色を得ることができる。ところが、このような白色発光ダイオードは、単一黄色蛍光体の発光であり、緑色領域と赤色領域のスペクトルの欠乏によって、演色性が低く、特に、LCDバックライトユニットの光源として使用する時、色フィルタ透過後の低い色純度によって、自然色又はそれに近い色の具現が困難となる問題点がある。
【0007】
このような問題点を解決するために、青色発光ダイオードチップと、青色光により励起されて緑色及び赤色で発光する蛍光体を使用した他の従来技術としての白色発光ダイオードが製造されている。即ち、青色光と、青色光により励起されて発光する緑色光及び赤色光の混色によって、85以上の高い演色性を有する白色光を具現することができる。このような白色発光ダイオードは、LCDバックライトユニットの光源として適用する場合、LCDの構成要素であるカラーフィルタとの一致度が非常に高いため、フィルター透過後の色純度が高く、より自然色に近い画像を具現することができるというメリットがある。
【0008】
緑色発光蛍光体としては、青色光による励起効率に優れたオソシルリケイト(orthosilicate)とチオガレート(thiogallate)系の蛍光体が代表的なものである。ここで、(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Euで表される硫化物系のチオガレート蛍光体は、青色光による励起効率に優れており、発光スペクトルの半値幅(full widthat half maximum)が50〜60nm程度で非常に狭く、隣接したスペクトルに殆ど影響しないため、LCDバックライトユニットの光源として使用時、高い色再現性が具現できるものの、水分と反応し易く、蛍光体の化学的特性の変形を起こすという問題点がある。
【0009】
また、赤色発光蛍光体としては、(Ca、Sr)S:Eu、(Zn、Cd)(S、Se):Agなどの硫化物系の蛍光体と、最近新しく開発された(Ca、Sr、Ba)2Si5N8:Eu、CaAlSiN3:Eu、Ce(Ca、Sr、Ba)Si7N10:Eu、CaSiN2:Euなどの窒化物系の蛍光体がある。窒化物系の蛍光体の場合、優れた化学的安定性を有しているが、発光スペクトルの半値幅が90〜110nm程度で非常に広い範囲にわたって現われるため、隣接した緑色光スペクトルと重なり、LCDバックライトユニットの光源として使用時、カラーフィルタ透過後の色純度があまり高くないという短所がある。
【0010】
また、硫化物系の蛍光体は、組成によって、600〜660nm範囲の波長を調節することができ、発光スペクトルの半値幅が60〜70nm程度で狭く、LCDバックライトユニットの光源として使用時、より高い色再現性を具現することができる。ところが、硫化物系の蛍光体は、大気中の水分と二酸化炭素などと反応し易く、酸化物または炭酸化物に変化し、蛍光体の化学的特性の変形を起こすという問題点がある。また、蛍光体と水分反応によって発生するH2Sガスは、蛍光体の蛍光特性を変化させて色度座標の変化を起こし、光度(luminous intensity)の急激的な低下を起こすだけではなく、AgまたはAuなどの金属で形成される電極を腐食させ、発光ダイオードの信頼性を低下させるという問題点がある。
【0011】
特に、(Ca、Sr)S:Eu、SrGa2S4:Eu、ZnS:Cu、Alまたは(Zn、Cd)S:Ag、Clなどの硫化物系蛍光体は、水分と反応し易く、固有の蛍光特性を失い、深刻な光度低下及び光特性の変化を起こし、それによって酸化物系及び硫化物系蛍光体の使用上の制約を受けるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は上記従来の蛍光体及びその製造方法並びに発光ダイオードにおける問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、粒子の表面にガラスコート層を形成することによって、水分及び/または熱に対する安定性が向上した蛍光体及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、水分安定性が向上した蛍光体を利用することによって、より優れた発光特性を有し、色温度、色度座標などに対する安定性を改善し、信頼性が向上した発光ダイオードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するためになされた本発明による蛍光体は、光により励起される蛍光体粒子を含む蛍光体において、前記蛍光体粒子の表面には、ガラスコート層が形成されてなることを特徴とする。
【0015】
前記ガラスコート層は、下記の一般式1で表されるガラス組成物でなることが好ましい。
(化1)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
【0016】
また、前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3を含んでも良い。
前記ガラスコート層は、前記蛍光体粒子に対し、0.1〜15wt%の範囲で形成され、前記ガラスコート層のSiO2とAlO2/3との混合比は、重量比率で90:10〜60:40の範囲で形成されることが好ましい。
前記蛍光体は、硫化物系であることが好ましい。
【0017】
上記目的を達成するためになされた本発明による蛍光体の製造方法は、光により励起される蛍光体粒子を準備する段階と、前記準備された蛍光体粒子の表面にガラスコート層を形成する段階とを有することを特徴とする。
【0018】
前記ガラスコート層を形成する段階は、前記蛍光体粒子とガラス組成物とを混合する段階と、前記ガラス組成物が溶融されて前記蛍光体粒子を取り囲むように、前記蛍光体粒子とガラス組成物との混合物を熱処理する段階と、前記熱処理された混合物を冷却、粉砕し、蛍光体粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体を得る段階とを含むことが好ましい。
望ましくは、前記熱処理する段階は、500〜1500℃の温度で行うことが好ましい。
前記熱処理された混合物を冷却、粉砕した後、前記ガラスコート層の表面処理のための熱処理の段階をさらに含むことが好ましい。
【0019】
前記ガラス組成物は、下記の一般式1で表されることが好ましい。
(化2)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
【0020】
前記ガラスコート層を形成する段階は、前記ガラスコート層の前駆体と水と溶媒との混合物を準備する段階と、前記混合物に蛍光体粒子を混合し、ゾル−ゲル反応により前記蛍光体粒子の表面にガラスをコートする段階とを含むことが好ましい。
前記ガラスをコートする段階の後、フィルタリングにより、前記ガラスコート層が形成された前記蛍光体を分離して得る段階をさらに含むことが好ましい。
前記フィルタリングにより分離された前記蛍光体を乾燥及び熱処理する段階をさらに含むことが好ましい。
また、前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3であることが好ましい。
【0021】
前記ガラスコート層の前駆体としては、SiO2前駆体として、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、tetraethyl orthosilicate)またはオルトケイ酸テトラメチル(TMOS、tetramethyl orthosilicate)を使用し、前記AlO2/3前駆体として、アルミニウムアセチルアセトネート(Al−AcAc、aluminum acetylacetonate)、アルミニウムトリ−Sec−ブトキシド(Al−tsBO、tri−sec−butoxide)またはアルミニウムイソプロポキシド(Al−iPO、aluminum iso−propoxide)を使用することが好ましい。
前記ガラスをコートする段階は、溶媒の蒸発温度(℃)の±20℃以内の温度で行うことが好ましい。
前記熱処理する段階は、200〜600℃の温度で行うことが好ましい。
【0022】
上記目的を達成するためになされた本発明による発光ダイオードは、発光ダイオードチップと、前記発光ダイオードチップから放射された光により励起される蛍光体とを有し、前記蛍光体の蛍光体粒子の表面には、ガラスコート層が形成されることを特徴とする。
【0023】
前記ガラスコート層は、下記の化学式1で表されるガラス組成物でなることが好ましい。
(化3)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
また、前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3でなることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る蛍光体及びその製造方法並びに発光ダイオードによれば、粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体を製造することによって、水分の浸透を防止することができ、発光ダイオードチップの発熱から光量及び光特性の安定性を改善することができる。このように、蛍光体の水分及び熱に対する安定性を向上し、より優れた信頼性と発光特性を得ることができるという効果がある。
【0025】
また、高温高湿下でも、優れた蛍光体を使用することによって、信頼性が向上し、発光効率が改善した白色発光ダイオードを製造することができ、一般照明及びLCD背面光源において、優れた光源として利用することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明に係る蛍光体及びその製造方法並びに発光ダイオードを実施するための最良の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
図面上の同一構成要素には、同一の図面符号を付している。
【0027】
蛍光体は、ホスト格子(Host Lattice)と適宜な位置に不純物が混入された活性化因子(activator)とで構成されるが、活性化因子は、発光の過程に関与するエネルギーの順位を決めることで発光色を決定し、その発光色は、格子構造内で、活性化因子の有する基底状態と励起状態のエネルギーの差(Energy Gap)によって決定される。即ち、活性化因子を持つ蛍光体が有する発光中心色は、窮極的に活性化因子の電子状態、即ち、エネルギー順位によって決定される。例えば、Tb3+イオンの場合、ホスト格子の内で、5d→7fの遷移が一番容易であり、緑黄色発光の形態を示す。
【0028】
このようなエネルギーの差を利用した蛍光体は、多くの種類があり、これを利用していろんな発光色を有する発光ダイオードを製造することができ、特に、白色発光ダイオードを製造することができる。
【0029】
従来の蛍光体は、水分との反応や発光ダイオードチップから放出される熱によって、劣化し易い問題点があった。
よって、本発明は、蛍光体の製造時、粒子の表面にガラスのコートを施すことによって、水分と熱に対する安定性に優れた蛍光体を提供する。
【0030】
図1は、本発明による蛍光体を示す断面図である。
図1を参照すると、蛍光体は、蛍光体粒子1と、その粒子の表面に形成され、蛍光体粒子1を取り囲むガラスコート層2とを含む。このような蛍光体は、蛍光体の固有の発光特性を維持しながら、蛍光体粒子1の表面にコートされたガラスコート層2によって外部環境による変化を最小化することができる。
【0031】
即ち、ガラスコート層2が蛍光体粒子1への水分の浸透を完全に遮断し、蛍光体粒子1と水分との間の望まない反応による化学的特性の劣化(または、低下)を防止することができ、ガラスコート層2を成すガラスの低い熱伝導度によって、断熱効果に優れており、それによって高温に対する安定性に優れた蛍光体を具現することができる。
【0032】
以下、図1〜図3を参照して本発明の第1の実施形態による蛍光体を説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態において、蛍光体粒子1は、多くの種類の蛍光体を含む。例えば、YAG:Ceと(Ba、Mg、Ca)2SiO4:Euなどで代表される酸化物系蛍光体を含むか、(Ca、Sr)S:Eu、SrGa2S4:Eu、ZnS:Cu、Alまたは(Zn、Cd)S:Ag、Clなどの硫化物系蛍光体を含むことができる。
【0033】
ガラスコート層2は、下記の一般式1のような構造を有する。
(化4)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
【0034】
上記一般式1において、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。
【0035】
ガラスコート層2は、上述した組成に限定されず、熱処理によりガラスにすることができる全ての組成が含まれる。
また、蛍光体は、図1に示すように、一つの蛍光体粒子の表面にガラスがコートされて形成することができ、複数の蛍光体粒子の表面にガラスがコートされて形成することもできる。
【0036】
以下、本実施形態による蛍光体の製造方法について説明する。
図2は、本発明による蛍光体の製造方法を示すフローチャートである。
【0037】
図2を参照すると、蛍光体粒子とガラス組成物の粉末(glass powder)とを混合し(ステップS10)、ガラス組成物の粉末が溶融されて蛍光体粒子を取り囲むように、ガラス組成物の粉末と蛍光体粒子との混合物を熱処理した後(ステップS20)、その混合物を冷却、望ましくは、急冷(quenching)し、その蛍光体が粉砕されるようにする(ステップS30)。
【0038】
まず、蛍光体粒子とガラス組成物を適正な比率で混合する。蛍光体粒子とガラス組成物との混合比率は、蛍光体及びガラス組成物の種類、所望のコート厚さなどによって変わるが、重量比で98:2〜50:50であることが望ましい。
蛍光体粒子とガラス組成物との混合において、以後の熱処理の時、ガラスが個々の蛍光体粒子を完全に取り囲むよう均一に混合することが望ましい。
【0039】
次に、均一に混合した混合物を白金るつぼに入れ、500〜1500℃の温度で熱処理を施す。この時、混合物内のガラス組成物が溶融され、個々の蛍光体粒子を完全に取り囲むよう、十分な時間、例えば約1時間、熱処理を施す。
【0040】
以後、これを急冷し、蛍光体が粉砕されるようにする。例えば、白金るつぼを4〜5℃の低温水に入れ、急冷する。蛍光体粒子を取り囲むガラスが蛍光体粒子が存在しない経路で、構造が一番脆弱な部分に沿って砕け、ガラスの中に分布されていた蛍光体粒子が分離される。即ち、ガラス組成物と蛍光体粒子との混合でなる塊を急冷することによって、ガラスは、蛍光体が存在しない経路の脆弱な部分に沿って砕ける。
【0041】
これによって、蛍光体粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体が得られる。さらに上記のように得られた蛍光体のガラスコート層の表面を滑らかにするための表面処理工程、例えば800〜900℃の温度で熱処理工程をさらに行うことができる。
【0042】
ガラスコート層が形成されてない従来の蛍光体は、水分との反応によって、化学的特性の劣化を起こし、発光ダイオードへの適用時、発光ダイオードチップから放出される熱によって、発光特性が急激に低下する。これに対し、上述した製造工程によって、粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体は、水分と熱に対する安定性が改善され、信頼性を向上させることができる。即ち、蛍光体粒子への水分の浸透が不可能で、水分との反応による化学的特性の劣化を防止することができ、ガラスの熱伝導度が低く、断熱効果に優れており、高温に対する安定性を向上させることができる。
【0043】
図3は、従来の蛍光体を使用して製造された発光ダイオードと、本実施形態の蛍光体を使用して製造された発光ダイオードとの温度に対する光度(luminous intensity)の変化を比較したグラフである。
【0044】
一般のYAG:Ce蛍光体と、粒子の表面にガラスがコートされたYAG:Ce蛍光体を含有するシリコン樹脂を、発光ダイオードチップにそれぞれ塗布した発光ダイオードにおいて、温度の上昇による光度の変化を測定し、初期値を100(%)にして、初期値対比光度の変化を示す。光度の変化は、温度が上昇するにつれ、蛍光体の化学的特性の劣化によって光特性を失う。図3より分かるように、本実施形態の蛍光体は、光度の変化が従来の蛍光体に比べて非常に少ないことが分かる。即ち、本実施形態の蛍光体は、粒子の表面にコートされたガラスの断熱効果に優れており、温度の上昇による影響を最小化することができ、これによって光特性の低下を防止することができる。
【0045】
上述したように、粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体を製造することによって、蛍光体の発光特性と共に、水分及び熱に対する化学的安定性を確保して、信頼性を向上させることができる。
【0046】
以下、図1と図4〜図10を参照して、本発明の第2の実施形態による蛍光体を説明する。
(第2の実施形態)
本実施形態において、蛍光体粒子1は、例えば、優れた蛍光特性を有しているが、水分と反応し易い硫化物系の蛍光体、即ち、(Ca、Sr)S:Euまたは(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Euなどの蛍光体を含むことができる。
【0047】
ガラスコート層2は、SiO2、AlO2/3(または、Al2O3)またはSiO2−AlO2/3の複合酸化物を含む。特に、ガラスコート層2がSiO2−AlO2/3の複合酸化物でなる場合に、相対的に優れた水分安定性を示す。この時、当業者であれば、SiO2−AlO2/3の複合酸化物が、上述した第1の実施形態の一般式1によって決められる組成物の範囲内であることは、十分理解するであろう。
【0048】
ガラスコート層2は、蛍光体粒子に対し、0.1〜15wt%の範囲に含まれることが望ましい。また、SiO2−AlO2/3の複合酸化物でなるガラスコート層2の場合に、SiO2とAlO2/3との混合比は、重量比率で95:5〜30:70の範囲であることが望ましく、重量比率で90:10〜60:40の範囲であることがより望ましい。
このようなガラスコート層2は、蛍光体粒子1を取り囲み、蛍光体の特性をそのまま保持し、水分との反応を遮断して化学的に安定的な特性を提供する。
【0049】
図4は、本実施形態による蛍光体の製造方法を示すフローチャートである。
図4を参照すると、ガラスコート層の前駆体と水と溶媒とを含む前駆体混合物が準備される(ステップS210)。その前駆体混合物の準備に先立って、蛍光体粒子が準備されることは勿論である。次に、前駆体混合物と蛍光体粒子とを混合し、ゾル−ゲル反応を誘導して、蛍光体粒子の表面にガラスをコートする(ステップS220)。次に、フィルタリングによって、ガラスコート層2が形成された蛍光体粒子のみを分離して得た後(ステップS230)、その蛍光体粒子を乾燥(ステップS240)及び熱処理(ステップS250)する。
【0050】
本実施形態による蛍光体の製造は、金属有機化合物を出発物質として、ゾル−ゲル法によって、蛍光体粒子の表面にSiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3の複合酸化物のコート層(即ち、ガラスコート層)を形成することである。
【0051】
まず、ゾル−ゲル反応を誘導するためのコート層の前駆体と水と溶媒とを混合する(ステップS210)。
【0052】
SiO2コート層の形成のための金属有機化合物前駆体としては、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、tetraethyl orthosilicate)またはオルトケイ酸テトラメチル(TMOS、tetramethyl orthosilicate)などを使用することができ、AlO2/3コート層の形成のための金属有機化合物前駆体としては、アルミニウムアセチルアセチルアセトネート(Al−AcAc、aluminum acetylacetonate)、アルミニウムトリ−Sec−ブトキシド(Al−tsBO、tri−sec−butoxide)またはアルミニウムイソプロポキシド(Al−iPO、aluminum iso−propoxide)などを使用することができる。
【0053】
SiO2コート層の前駆体であるTEOSまたはTMOSは、正確な計量と、水分との急激な加水分解反応速度の調節のために、無水エタノールに希釈して使用することが望ましい。この時、コートしようとする蛍光体粒子の質量に対し、0.1〜5wt%/ccに希釈して使用することが望ましい。
【0054】
AlO2/3コート層の前駆体であるAl−tsBOまたはAl−iPOは、同様の理由により、エタノール/アセチルアセトン(ethanol/acetylacetone)またはアセチルアセトン(acetylacetone)を希釈して使用することが望ましい。この時、コートしようとする蛍光体粒子の質量に対し、0.01〜1wt%/ccに希釈して使用することが望ましい。また、粉末状のAlAcAcの場合にも、エタノール/アセチルアセトン(ethanol/acetylacetone)またはアセチルアセトン(acetylacetone)にコートしようとする蛍光体粒子の質量に対し、0.01〜1wt%/ccに希釈して使用することが望ましい。
【0055】
希釈されたSiO2コート層の前駆体は、コートしようとする蛍光体粒子の質量に対し、0.1〜10wt%の範囲で添加し、希釈されたAlO2/3コート層の前駆体は、コートしようとする蛍光体粒子の質量に対し、0.1〜5wt%の範囲で添加することが望ましい。
【0056】
ゾル−ゲル反応は、上記前駆体の加水分解反応と重縮合反応によって行われる。このために、コート層の前駆体を水と溶媒に混合する。溶媒としては、エタノールを使用することができ、水と溶媒との混合比は、体積比率で5:95〜50:50の範囲であることが望ましい。
【0057】
例えば、コートしようとする蛍光体粒子が3gの場合、水1〜50cc、エタノール20〜300cc程度の範囲内で、水とエタノールとを混合した後、希釈されたSiO2及びAlO2/3コート層の金属有機化合物前駆体をそれぞれ蛍光体粒子の重量対比0.1〜10wt%、0.1〜5wt%程度の範囲内で添加して均一に混合する。
【0058】
即ち、まず水と溶媒とを混合した後、上述したように、希釈されたSiO2またはAlO2/3コート層の金属有機化合物前駆体を添加し、一定時間、回転子により均一に混合する。混合物の形成方法は、上述したところに限定されず、様々な順序によって混合することができ、例えば、まず金属有機化合物前駆体を溶媒に混合した後、水を添加することで混合することもできる。
【0059】
次に、コート層の前駆体と水と溶媒との混合物に蛍光体を混合して所定の温度下でゾル−ゲル反応を誘導する(ステップS220)。ゾル−ゲル反応の加速化のために、溶液を加熱することができ、溶媒の蒸発温度(℃)の±20℃以内の温度で、例えば60〜100℃の温度で行うことが望ましい。また、ゾル−ゲル反応によって形成されたSiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3コート層が個々の蛍光体粒子を完全に取り囲むよう、十分な時間、例えば、約1〜20時間行う。
【0060】
ゾル−ゲル反応を完了した溶液をフィルタリングにより蛍光体のみを分離する(ステップS230)。この時、蛍光体粒子の表面には、ゾル−ゲル反応により合成されたSiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3コート層を含む。
【0061】
以後、残留溶媒を完全に除去するために、分離した蛍光体を乾燥させる(ステップS240)。乾燥は、例えば60〜150℃の温度で、1〜2時間程度行うことができる。
【0062】
このようにして乾燥した蛍光体を相対的に高い温度で熱処理をする(ステップS250)。このような熱処理により、SiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3コート層が蛍光体粒子に安定的に結合される。熱処理は、200〜600℃の温度で、1〜24時間程度行うことができ、一般的な空気の雰囲気で行うことができる。
【0063】
これによって、蛍光体粒子の表面にSiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3コート層がコートされた蛍光体を製造することができる。
【0064】
上述した蛍光体の製造工程は、上述したところに限定されず、所望の特性及び工程上の便宜によって様々な修正と変更が可能である。例えば、蛍光体粒子を取り囲むコート層の表面を滑らかにするために、表面処理工程、例えば熱処理工程をさらに行うことができる。
【0065】
上述したように、従来の蛍光体は、水分との反応によって化学的特性の劣化を起こして、発光ダイオードへの適用時、発光ダイオードチップから放出される熱によって発光特性が急激に低下する。特に、(Ca、Sr)S:Euまたは(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Euなどの硫化物系蛍光体は、水分と反応し易く、蛍光体の化学的特性が変化を起こして、蛍光体と水分との反応によって発生するH2Sガスは、蛍光体の蛍光特性を変化させ、色度座標の変化を起こし、光度が急激に低下する。
【0066】
これに対し、上述した製造工程により、蛍光体粒子の表面にSiO2、AlO2/3またはSiO2−AlO2/3のガラスコート層が形成された蛍光体を製造することによって、水分に対する安定性を改善することができる。即ち、蛍光体粒子と水分との反応を遮断して、水分との反応による化学的特性の劣化を防止し、発光特性を改善することができる。
【0067】
図5は、本実施形態による、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体粒子を取り囲むガラスコート層の組成に対する信頼性テストの結果を比較したグラフである。蛍光体粒子に対し、3wt%のSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層を形成する場合において、コート層のAlO2/3比率の増加による信頼性テストの結果を示す。ここで、光度の変化は、水分との反応によって、蛍光体の化学的特性が劣化し、光特性を失うことである。
【0068】
図5から分かるように、ガラスコート層のAlO2/3比率を0%から5%まで増加すると、光度は略線形的に増加する。これに対し、AlO2/3の比率を5%から40%まで増加すると、光度の変化が殆ど見られない。従って、蛍光体粒子の表面にSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層(即ち、ガラスコート層)を形成することが望ましく、AlO2/3の比率は、コート層の全体に対して5〜40%であることが望ましい。
【0069】
図6は、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体粒子を取り囲むコート層のコート量に対する信頼性テストの結果を比較したグラフである。蛍光体粒子の表面に65:35比率のSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層を形成する場合において、コート層のコート量を蛍光体粒子に対し、1〜10wt%の含量でコートした場合の信頼性テストの結果を示す。図6から分かるように、粒子の表面に1〜10wt%の含量でSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された場合、蛍光体の光度変化が殆ど見られない。
【0070】
図7及び図8は、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体粒子及び(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体粒子を取り囲むコート層に対し、100℃の熱い蒸気下で10時間露出した蛍光体の発光特性を比較したグラフである。即ち、コート層が形成されてない蛍光体と、粒子の表面に3wt%のSiO2コート層がされた蛍光体と、粒子の表面に65:35の比率で3wt%のSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体とを100℃の熱い蒸気下で10時間露出した後、光度の変化を測定し、初期値を100(%)として初期値に対する光度の変化量を示す。
【0071】
(Ca、Sr)S:Eu蛍光体粒子に対するグラフである図7を参照すると、コート層が形成されてない蛍光体の場合、460nmの光を励起させた時、初期状態と対比して目立った外観の変化が観察でき、水分との反応によって光特性を失い、約20%程度しか維持してないことが分かる。また、粒子の表面にSiO2コート層が形成された蛍光体の場合、約50%程度の光特性を維持しており、粒子の表面にSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体の場合、98%以上の光特性をそのまま維持していることが分かる。
【0072】
また、(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体粒子に対するグラフである図8を参照すると、コート層が形成されてない蛍光体の場合、460nmの光を励起させた時、初期状態と対比して目立った外観の変化が観察でき、水分との反応によって光特性を失い、約40%程度しか維持してないことが分かる。また、粒子の表面にSiO2コート層が形成された蛍光体の場合、約70%程度の光特性を維持しており、粒子の表面にSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体の場合、95%以上の光特性をそのまま維持していることが分かる。
【0073】
図7及び図8から分かるように、本発明による蛍光体粒子の表面にコート層が形成された蛍光体は、コート層が形成されてない蛍光体に比べ、光度の変化が少なく、即ち、粒子の表面に形成されたコート層によって、水分との反応が遮断され、光特性の低下を防止することが分かる。特に、SiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体の場合、光度の変化が殆ど見られず、水分安定性が顕著に向上したことが分かる。
【0074】
図9及び図10は、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体及び(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体を使用して製造した発光ダイオードの光度の変化を比較したグラフである。コート層が形成されてない蛍光体と、粒子の表面に3wt%のSiO2コート層が形成された蛍光体と、粒子の表面に65:35の比率で3wt%のSiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体とをそれぞれ透明樹脂の内に同量混合し、パッケージに注入及び硬化させて、発光ダイオードを製造した後、85℃の温度と85%の相対湿度の雰囲気下で、1000時間まで保持した結果を示す。経過時間による光度の変化を測定し、初期値を100(%)にして、初期値対光度の変化を示す。図9は、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体に対するグラフであり、図10は、(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体に対するグラフである。
【0075】
図9及び図10から分かるように、蛍光体粒子の表面に、上述した複合酸化物のガラスコート層が形成された蛍光体を使用した発光ダイオードは、コート層が形成されてない蛍光体を使用した発光ダイオードに比べ、光度の変化が少なく、即ち、蛍光体粒子の表面に形成されたコート層によって、水分との反応が遮断され、光特性の低下を防止することが分かる。特に、SiO2−AlO2/3の複合酸化物コート層が形成された蛍光体を使用した場合に、水分安定性が顕著に改善され、信頼性が向上することが分かる。
【0076】
このように、蛍光体粒子の表面にSiO2−AlO2/3のコート層が形成された蛍光体を製造することによって、蛍光体の発光特性と共に、水分に対する化学的安定性を確保して、信頼性を向上させることができる。
【0077】
次に、本発明の一実施形態による上述した蛍光体を含む発光ダイオードについて、図11及び図12を参照して説明する。
(第3の実施形態:チップ型発光ダイオード)
図11は、本発明の一実施形態による蛍光体を使用して製造したチップ型発光ダイオードを示す断面図である。
【0078】
図11を参照すると、発光ダイオードは、基板10と、基板10上に形成された第1電極30及び第2電極35と、第1電極30上に実装された発光ダイオードチップ20と、発光ダイオードチップ20を封止するモールド部40とを有する。モールド部40には、上述したように、蛍光体粒子51の表面にコート層52が形成された蛍光体50が、均一に混合され分布されている。
【0079】
基板10は、発光ダイオードチップ20が実装される中心領域に所定の溝を設け、溝の側壁面に所定の傾斜を形成することができる。この時、発光ダイオードチップ20は、溝の下部面に実装され、所定の傾斜を有する側壁面によって、発光ダイオードチップ20から発光する光の反射が極大化し、発光効率が増大できる。
【0080】
また、基板10は、発光ダイオードチップ20の熱を外部に放出するためのヒートシンク(heat sink)をさらに含むこともできる。例えば、基板10上の発光ダイオードチップ20が実装される所定領域を除去して貫通孔を設け、その内部にヒートシンクを挿着し、ヒートシンクの上部に発光ダイオードチップ20を実装することもできる。ヒートシンクとして熱伝導性に優れた物質を使用することが望ましく、熱伝導性及び電気伝導性に優れた金属を使用することが最も望ましい。
【0081】
第1及び第2電極30、35は、印刷法により形成することができる。第1及び第2電極30、35は、導電性に優れた銅またはアルミニウムを含む金属物質で形成するが、第1電極30と第2電極35は、互いに電気的に遮断されるように形成する。
【0082】
発光ダイオードチップ20は、紫外線(UV)発光する発光ダイオードチップを使用する。これに限定されず、GaN、INGaN、AlGaNまたはAlGaInN系の青色発光する発光ダイオードチップを使用することができる。また、発光ダイオードチップ20の個数は、一つであっても良く、目的によって複数で構成しても良い。
【0083】
発光ダイオードチップ20は、第1電極30上に実装され、ワイヤ60を介して第2電極35と電気的に接続される。また、発光ダイオードチップ20が電極(30、35)上に実装されずに基板10上に形成される場合に、2つのワイヤ60を介してそれぞれ第1電極30及び第2電極35と接続することもできる。
【0084】
また、基板10の上部には、発光ダイオードチップ20を封止するためのモールド部40が形成される。モールド部40の内には、上述した本発明による蛍光体50が均一に混合され分布されている。モールド部40は、所定の透明エポキシ樹脂と蛍光体50との混合物を利用した射出モールド工程により形成することができる。また、別途のモールド金型を用いて製作した後、これを加圧または熱処理し、モールド部40を形成することができる。モールド部40は、光学レンズ状、平板状及び表面に所定の凹凸を有する形状など様々な形で形成することができる。
【0085】
(第4の実施形態:ランプ型発光ダイオード)
図12は、本発明の一実施形態による上述の蛍光体を使用して製造したランプ型発光ダイオードを示す断面図である。
図12を参照すると、発光ダイオードは、反射部が形成された第1リード端子70と、第1リード端子70と所定間隔離隔された第2リード端子75とから構成される。
【0086】
第1リード端子70の反射部の内に、発光ダイオードチップ20が実装され、ワイヤ60を介して第2リード端子75と電気的に接続される。発光ダイオードチップ20の上部には、蛍光体粒子51の表面にコート層52が形成された蛍光体50を含むモールド部40が形成され、リード端子(70、75)の先端には、モールド金型を用いて形成した外周モールド部45を含む。モールド部40の内には、発光ダイオードチップ20から放射された光を吸収して波長変換させる、本発明の上述した蛍光体50が均一に混合されている。外周モールド部45は、発光ダイオードチップ20から放射された光の透過率を向上させるために、透明なエポキシ樹脂またはシリコン樹脂で製作される。
【0087】
本発明の技術的要旨は、上述した例に限定されるのではなく、様々な修正と変形が可能であり、多様な構造の製品に応用されることができる。
上述した発光ダイオードは、発光ダイオードチップから1次光が放射され、1次光により、蛍光体は、波長変換された2次光を放射し、これらの混色で所望のスペクトル領域の色を具現する。
【0088】
例えば、青色発光ダイオードチップと緑色及び赤色発光する蛍光体を使用して、これらの混色で白色発光を具現することができる。緑色発光蛍光体としては、オソシルリケイト(orthosilicate)または(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Euで表されるチオガレート(thiogallate)系の蛍光体を使用することができる。また、赤色発光蛍光体としては、(Ca、Sr)S:Eu、(Zn、Cd)(S、Se):Agなどの硫化物系の蛍光体または窒化物系の蛍光体を使用することができる。
【0089】
発光ダイオードは、粒子の表面にSiO2−AlO2/3コート層が形成された蛍光体を使用することによって、従来に比べ、蛍光体の水分安定性に優れており、蛍光体の長寿命化を図ることができ、発光ダイオードの発光効率及び信頼性を向上させることができる。特に、水分と反応し易い硫化物系の蛍光体の場合、粒子の表面に形成されたコート層によって、水分との反応が遮断され、水分安定性及び光特性を向上させることができる。
【0090】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施形態による蛍光体を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による蛍光体の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態によって製造された蛍光体を使用して製造した発光ダイオードと、従来の蛍光体を使用して製造した発光ダイオードとの温度に対する光度の変化を比較したグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態による蛍光体の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体のコート層の組成に対する信頼性テストの結果を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体のコート層の量に対する信頼性テストの結果を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体の水分安定性テストの結果を示すグラフであり、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体粒子に対するものである。
【図8】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体の水分安定性テストの結果を示すグラフであり、(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体粒子に対するものである。
【図9】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体の85℃85%相対湿度雰囲気下での経過時間による光度の変化結果を示すグラフであり、(Ca、Sr)S:Eu蛍光体に対するものである。
【図10】本発明の第2の実施形態によって製造された蛍光体の85℃85%相対湿度雰囲気下での経過時間による光度の変化結果を示すグラフであり、(Ca、Sr、Ba)(Al、Ga、In)2S4:Eu蛍光体に対するものである。
【図11】本発明の実施形態による蛍光体を利用して製造されたチップ型発光ダイオードを示す断面図である。
【図12】本発明の実施形態による蛍光体を利用して製造されたランプ型発光ダイオードを示す断面図である。
【符号の説明】
【0092】
1、51 蛍光体粒子
2、52 ガラスコート層
10 基板
20 発光ダイオードチップ
30、35 (第1及び第2)電極
40 モールド部
45 外周モールド部
50 蛍光体
60 ワイヤ
70、75 (第1及び第2)リード端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光により励起される蛍光体粒子を含む蛍光体において、
前記蛍光体粒子の表面には、ガラスコート層が形成されてなることを特徴とする蛍光体。
【請求項2】
前記ガラスコート層は、下記の一般式1で表されるガラス組成物でなることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
(化1)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
【請求項3】
前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3を含むことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
【請求項4】
前記ガラスコート層は、前記蛍光体粒子に対し、0.1〜15wt%の範囲で形成され、前記ガラスコート層のSiO2とAlO2/3との混合比は、重量比率で90:10〜60:40の範囲で形成されることを特徴とする請求項3に記載の蛍光体。
【請求項5】
前記蛍光体は、硫化物系であることを特徴とする請求項3に記載の蛍光体。
【請求項6】
光により励起される蛍光体粒子を準備する段階と、
前記準備された蛍光体粒子の表面にガラスコート層を形成する段階とを有することを特徴とする蛍光体の製造方法。
【請求項7】
前記ガラスコート層を形成する段階は、前記蛍光体粒子とガラス組成物とを混合する段階と、
前記ガラス組成物が溶融されて前記蛍光体粒子を取り囲むように、前記蛍光体粒子とガラス組成物との混合物を熱処理する段階と、
前記熱処理された混合物を冷却、粉砕し、蛍光体粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体を得る段階とを含むことを特徴とする請求項6に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理する段階は、500〜1500℃の温度で行うことを特徴とする請求項7に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項9】
前記熱処理された混合物を冷却、粉砕した後、前記ガラスコート層の表面処理のための熱処理の段階をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項10】
前記ガラス組成物は、下記の一般式1で表されることを特徴とする請求項7に記載の蛍光体の製造方法。
(化2)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
【請求項11】
前記ガラスコート層を形成する段階は、前記ガラスコート層の前駆体と水と溶媒との混合物を準備する段階と、
前記混合物に蛍光体粒子を混合し、ゾル−ゲル反応により前記蛍光体粒子の表面にガラスをコートする段階とを含むことを特徴とする請求項6に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項12】
前記ガラスをコートする段階の後、フィルタリングにより、前記ガラスコート層が形成された前記蛍光体を分離して得る段階をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項13】
前記フィルタリングにより分離された前記蛍光体を乾燥及び熱処理する段階をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項14】
前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3であることを特徴とする請求項11に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項15】
前記ガラスコート層の前駆体としては、SiO2前駆体として、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、tetraethyl orthosilicate)またはオルトケイ酸テトラメチル(TMOS、tetramethyl orthosilicate)を使用し、前記AlO2/3前駆体として、アルミニウムアセチルアセトネート(Al−AcAc、aluminum acetylacetonate)、アルミニウムトリ−Sec−ブトキシド(Al−tsBO、tri−sec−butoxide)またはアルミニウムイソプロポキシド(Al−iPO、aluminum iso−propoxide)を使用することを特徴とする請求項14に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項16】
前記ガラスをコートする段階は、溶媒の蒸発温度(℃)の±20℃以内の温度で行うことを特徴とする請求項11乃至15の何れか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項17】
前記熱処理する段階は、200〜600℃の温度で行うことを特徴とする請求項11乃至15の何れか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項18】
発光ダイオードチップと、
前記発光ダイオードチップから放射された光により励起される蛍光体とを有し、
前記蛍光体の蛍光体粒子の表面には、ガラスコート層が形成されることを特徴とする発光ダイオード。
【請求項19】
前記ガラスコート層は、下記の化学式1で表されるガラス組成物でなることを特徴とする請求項18に記載の発光ダイオード。
(化3)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
【請求項20】
前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3でなることを特徴とする請求項18に記載の発光ダイオード。
【請求項1】
光により励起される蛍光体粒子を含む蛍光体において、
前記蛍光体粒子の表面には、ガラスコート層が形成されてなることを特徴とする蛍光体。
【請求項2】
前記ガラスコート層は、下記の一般式1で表されるガラス組成物でなることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
(化1)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
【請求項3】
前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3を含むことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
【請求項4】
前記ガラスコート層は、前記蛍光体粒子に対し、0.1〜15wt%の範囲で形成され、前記ガラスコート層のSiO2とAlO2/3との混合比は、重量比率で90:10〜60:40の範囲で形成されることを特徴とする請求項3に記載の蛍光体。
【請求項5】
前記蛍光体は、硫化物系であることを特徴とする請求項3に記載の蛍光体。
【請求項6】
光により励起される蛍光体粒子を準備する段階と、
前記準備された蛍光体粒子の表面にガラスコート層を形成する段階とを有することを特徴とする蛍光体の製造方法。
【請求項7】
前記ガラスコート層を形成する段階は、前記蛍光体粒子とガラス組成物とを混合する段階と、
前記ガラス組成物が溶融されて前記蛍光体粒子を取り囲むように、前記蛍光体粒子とガラス組成物との混合物を熱処理する段階と、
前記熱処理された混合物を冷却、粉砕し、蛍光体粒子の表面にガラスコート層が形成された蛍光体を得る段階とを含むことを特徴とする請求項6に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理する段階は、500〜1500℃の温度で行うことを特徴とする請求項7に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項9】
前記熱処理された混合物を冷却、粉砕した後、前記ガラスコート層の表面処理のための熱処理の段階をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項10】
前記ガラス組成物は、下記の一般式1で表されることを特徴とする請求項7に記載の蛍光体の製造方法。
(化2)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
【請求項11】
前記ガラスコート層を形成する段階は、前記ガラスコート層の前駆体と水と溶媒との混合物を準備する段階と、
前記混合物に蛍光体粒子を混合し、ゾル−ゲル反応により前記蛍光体粒子の表面にガラスをコートする段階とを含むことを特徴とする請求項6に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項12】
前記ガラスをコートする段階の後、フィルタリングにより、前記ガラスコート層が形成された前記蛍光体を分離して得る段階をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項13】
前記フィルタリングにより分離された前記蛍光体を乾燥及び熱処理する段階をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項14】
前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3であることを特徴とする請求項11に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項15】
前記ガラスコート層の前駆体としては、SiO2前駆体として、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、tetraethyl orthosilicate)またはオルトケイ酸テトラメチル(TMOS、tetramethyl orthosilicate)を使用し、前記AlO2/3前駆体として、アルミニウムアセチルアセトネート(Al−AcAc、aluminum acetylacetonate)、アルミニウムトリ−Sec−ブトキシド(Al−tsBO、tri−sec−butoxide)またはアルミニウムイソプロポキシド(Al−iPO、aluminum iso−propoxide)を使用することを特徴とする請求項14に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項16】
前記ガラスをコートする段階は、溶媒の蒸発温度(℃)の±20℃以内の温度で行うことを特徴とする請求項11乃至15の何れか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項17】
前記熱処理する段階は、200〜600℃の温度で行うことを特徴とする請求項11乃至15の何れか1項に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項18】
発光ダイオードチップと、
前記発光ダイオードチップから放射された光により励起される蛍光体とを有し、
前記蛍光体の蛍光体粒子の表面には、ガラスコート層が形成されることを特徴とする発光ダイオード。
【請求項19】
前記ガラスコート層は、下記の化学式1で表されるガラス組成物でなることを特徴とする請求項18に記載の発光ダイオード。
(化3)
a(M’2)O−b(M’’O)−c(M’’’2O3)−d(M’’’’O2)−e(M’’’’’2O5)
(但し、M’は、Li、Na、Kを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Zn、Pb、Beを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’は、B、Al、Ga、In、Fe、Y、La、Sc、Biを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’は、Si、Ti、Geを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、M’’’’’は、P、Ta、Vを含む群から選択される少なくとも一つの元素であり、a、b、c、d、eは、各々0≦a≦0.6、0≦b≦0.6、0≦c≦0.6、0≦d≦0.95、0≦e≦0.2の範囲で設定される値である。)
【請求項20】
前記ガラスコート層は、SiO2−AlO2/3でなることを特徴とする請求項18に記載の発光ダイオード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−7779(P2008−7779A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170811(P2007−170811)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(507194969)ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド (66)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(507194969)ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド (66)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]