説明

蛍光体薄膜とその成膜方法

【課題】無機EL及びPDP用として良好な、色純度が良く高輝度の蛍光体薄膜と、それを高い成膜速度で形成することができる成膜方法を提供する。
【解決手段】亜鉛、バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成される次の組成式:Znx0Bax1Alx2x3Eux4(式中、x0〜x4は、下記の(1)〜(5)に示す要件を満たす。)で表される硫化物から形成される蛍光体薄膜であって、その化合物組織は、組成式:BaAl:Euで表される化合物相を主体とし、その他の相としてZnAl相からなることを特徴とする。
(1) 0.01≦x0≦0.3
(2) x1+x4=1
(3) 2.01≦x2≦3.0
(4) 4.0<x3≦4.3
(5) 0.03≦x4≦0.10

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体薄膜とその成膜方法に関し、さらに詳しくは、組成式がBaAl:Euで表される化合物からのみ発光させることができ、すなわち蛍光の発光波長の長波長へのシフトが小さく、かつ発光強度が高い特性を有する、無機EL(エレクトロルミネッセンス)及びPDP(プラズマデスプレイパネル)用として良好な、色純度が良く高輝度の蛍光体薄膜と、それを高い成膜速度で形成することができる成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータのモニター及び携帯機器の表示素子として、無機EL素子の開発が盛んに行われている。この中で、特に、無機EL素子の蛍光体薄膜として高輝度の青色蛍光体を用いてフルカラー表示を行う方法が提案され、その実用化が注目されている。これまでに開発された有望な蛍光体薄膜としては、組成式がBaAl:Euで表される化合物を主体とする薄膜が挙げられている。これは、組成式がBaAlで表される半導体材料を母体材料として発光中心となる元素(Eu)を置換させたものである。例えば、BaAlからなる母体材料に、Ba格子位置の0.03〜0.10原子%に当たる分のEuSが添加された蛍光体薄膜は色純度が良く、無機EL用蛍光体として期待されている。
【0003】
このような蛍光体薄膜の製造方法としては、硫化水素ガスをスパッタリングガス中に含む反応性スパッタ法、構成する各元素を含む蒸気ガスを供給して膜を形成する反応性蒸着法、分子線エピタキシー法、化学的気相成長法等が行われていた(例えば、特許文献1参照。)。また、組成式がBaAl:Euで表される化合物(以下、「BaAl:Eu化合物」と呼称する場合がある。)からなる焼結体ターゲットを用いて、アルゴンと硫化水素の混合ガス中でスパッタリングする方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、組成式が少なくともバリウムのような2価金属元素、アルミニウムのような3価金属元素及びイオウにより表せる母体材料と発光中心材料とを含有し、酸素の含有割合が5質量%以下であり、さらに硫化亜鉛を含有するターゲットを用いて、亜鉛をスパッタリング中に蒸発させ膜中にイオウを補填する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
ところで、昨今のディスプレイ画面の大型化にともない、大型化が容易なスパッタリング法によって、色純度がよく、かつ輝度が高い蛍光体薄膜が望まれ、そのため、このような蛍光体薄膜の成膜に好適なスパッタリングターゲットとそれを用いた成膜方法が求められている。
【0005】
しかしながら、従来行なわれている、BaAl:Eu化合物からなる焼結体ターゲット、又はZnSを含む焼結体ターゲットの製造とそれを用いたスパッタリング法から得られる蛍光体薄膜には、解決すべき技術的課題が残されている。
例えば、BaAl:Eu化合物とZnSを含むターゲットをスパッタリングする際には、ターゲット中のBaAl:Eu化合物がアルゴンプラズマにより分解されイオウが脱離する。そのとき、ターゲット内では、BaAl:Eu化合物のSを補うためZnSが分解する。その結果、ターゲットに含まれるZnSが膜に到達し難くなる。このため、膜中のS濃度を化学両論組成まで高くするため、ターゲット中のZnS含有量を多くすることが行なわれる。しかしながら、ターゲット中のZnS含有量を多くすると、基板に到達するBaAl量が少なくなるため、成膜速度が低下する。
さらに、ターゲット中でZnSが分解すると、亜鉛が発生し膜中へ亜鉛が混入する。それにより、膜中の亜鉛濃度が高くなると膜の発光輝度が低くなる。
【0006】
以上の状況から、組成式がBaAl:Euで表される化合物を主体として含む、色純度が良く高輝度の蛍光体薄膜と、それを高い成膜速度で形成することができる成膜方法が求められている。
【0007】
【特許文献1】特開平07−122364号公報(第1頁、第2頁)
【特許文献2】特開平08−134440号公報(第1〜3頁)
【特許文献3】特開2001−118677号公報(第1頁、第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、組成式がBaAl:Euで表される化合物からのみ発光させることができ、したがって蛍光の発光波長の長波長へのシフトが小さく、かつ発光強度が高い特性を有する、無機EL及びPDP用として良好な、色純度が良く高輝度の蛍光体薄膜と、それを高い成膜速度で形成することができる成膜方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するために、組成式:BaAl:Euで表される化合物相を主体として含む蛍光体薄膜とその成膜方法において、特にZnS相の形成について、鋭意研究を重ねた結果、特定の組成式で表される膜組成を有する、組成式:BaAl:Euで表される化合物相を主体として特定の化合物相のみを形成する化合物組織を有する硫化物薄膜では、組成式がBaAl:Euで表される化合物からのみ発光させることができ、蛍光の発光波長の長波長へのシフトが小さく、かつ発光強度が高い特性を有するので色純度が良く、さらに特定の亜鉛濃度において、高輝度の青色蛍光体薄膜が得られることを見出した。なお、ここに記載の「相」とは、例えば、「BaAl相」は、組成式がBaAlで表される化合物からなる析出相であることを意味する。
【0010】
また、その成膜方法において、スパッタリング成膜する際に、バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成され、特定組成で表される硫化物焼結体からなるターゲットと、硫化亜鉛の焼結体からなる2種類のターゲットを用いて、特定の条件で膜中の亜鉛濃度を制御して成膜したところ、スパッタリングの進行に伴なうターゲット表面の組成ずれによる膜の組成及び化合物組織の変化を防止するとともに、上記特性を有する薄膜が形成され、色純度が良く高輝度の青色蛍光体薄膜を得ることができることを見出した。本発明はこれらの知見により完成した。
【0011】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、亜鉛、バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成される次の組成式:
Znx0Bax1Alx2x3Eux4
(式中、x0〜x4は、下記の(1)〜(5)に示す要件を満たす。)
で表される硫化物から形成される蛍光体薄膜であって、
その化合物組織は、組成式:BaAl:Euで表される化合物相を主体とし、その他の相としてZnAl相からなることを特徴とする蛍光体薄膜が提供される。
(1) 0.01≦x0≦0.3
(2) x1+x4=1
(3) 2.01≦x2≦3.0
(4) 4.0<x3≦4.3
(5) 0.03≦x4≦0.10
【0012】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、その蛍光のピーク波長が470〜471nmであることを特徴とする蛍光体薄膜が提供される。
【0013】
また、本発明の第3の発明によれば、下記の焼結体ターゲット(A)と焼結体ターゲット(B)を用いて、硫化水素を含むアルゴンガス雰囲気下に、基板温度を400〜650℃に保ちながら、BaAl相とZnS相の成膜速度の比を10:1〜10:4に制御して、スパッタリングを行うことを特徴とする第1の発明の蛍光体薄膜の成膜方法が提供される。
(A)バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成される組成式:Bax1Alx2x3Eux4(但し、式中、x1〜x4は、x1+x4=1、2.05≦x2≦2.50、3.8<x3≦5.0、0.03≦x4≦0.10、の各要件を満たす。)で表される硫化物からなり、かつその化合物組織はBaAl相からなる。
(B)硫化亜鉛から構成される。
【0014】
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記焼結体ターゲット(A)は、バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成される組成式:Bax1Alx2x3Eux4(但し、式中、x1〜x4は、x1+x4=1、2.05≦x2≦2.50、3.2<x3≦4.8、0.03≦x4≦0.10、の各要件を満たす。)で表される硫化物粉末を不活性ガス雰囲気下に750〜1000℃の温度で焼結することにより得られたものであることを特徴とする蛍光体薄膜の成膜方法が提供される。
【0015】
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、前記硫化物粉末は、硫化アルミニウム、硫化バリウム、及び硫化ユウロピウムを混合粉砕した混合物を不活性雰囲気下に焼結し、得られた焼結体を粉砕することにより得られたものであることを特徴とする蛍光体薄膜の成膜方法が提供される。
【0016】
また、本発明の第6の発明によれば、第3の発明において、前記焼結体ターゲット(B)は、硫化亜鉛粉末を粉砕した後、得られた粉末を不活性ガス雰囲気下に850〜1200℃の温度で焼結することにより得られたものであることを特徴とする蛍光体薄膜の成膜方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上から明らかなように、本発明の蛍光体薄膜は、第1又は2の発明において、所定の組成式で表される膜組成を有し、かつその化合物組織は、組成式:BaAl:Euで表される化合物相を主体とし、その他の相としてZnAl相からなる硫化物薄膜であるので、組成式がBaAl:Euで表される化合物からのみ発光させ、蛍光の発光波長の長波長へのシフトが小さく、かつ発光強度が高い特性を有するので色純度が良く、さらに亜鉛濃度が低いため、ZnS相は勿論のことZnAl相も少ないので、高輝度の青色蛍光体薄膜である。
【0018】
また、本発明の蛍光体薄膜の成膜方法である第3〜6の発明によれば、スパッタリング成膜する際に、焼結体ターゲット(A)と焼結体ターゲット(B)を用いて、上記成膜条件で行なうことにより、スパッタリングの進行に伴なうターゲット表面の組成ずれによる膜の組成と化合物組織の変化を防止しながら上記薄膜を形成することができるので、無機EL及びPDP用として良好な、色純度が良く高輝度の蛍光体薄膜を得ることができる。
また、焼結体ターゲット(A)にはZnS相を含まないので、スパッタリング成膜する際に、ZnSの分解による亜鉛の発生がなく、膜中の亜鉛濃度が低下し、かつ成膜速度も大きくなり安定した成膜を行うことができる。さらに、BaAl相とZnS相の成膜速度の比を所定値に制御することにより、膜の組成、特に亜鉛濃度を適正な範囲に調整することができる。これらのことより、その工業的価値は極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の蛍光体薄膜とその成膜方法について詳細に説明する。
1.蛍光体薄膜
本発明の蛍光体薄膜は、亜鉛、バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成される次の組成式:Znx0Bax1Alx2x3Eux4(式中、x0〜x4は、下記の(1)〜(5)に示す要件を満たす。)で表される硫化物から形成される蛍光体薄膜であって、その化合物組織は、組成式:BaAl:Euで表される化合物相を主体とし、その他の相としてZnAl相からなることを特徴とする。
(1) 0.01≦x0≦0.3
(2) x1+x4=1
(3) 2.01≦x2≦3.0
(4) 4.0<x3≦4.3
(5) 0.03≦x4≦0.10
【0020】
本発明の蛍光体薄膜において、薄膜の化合物組織が、組成式:BaAl:Euで表される化合物相を主体とし、その他の相としてはZnAl相からなることが重要である。これによって、無機EL及びPDP用として良好な、色純度が良い蛍光体薄膜が得られる。
【0021】
すなわち、通常、スパッタリングにおいては、ターゲット組成と膜組成とを比較すると、BaとAlの比が大きく変動している。例えば、ターゲットのAl/Baモル比が2.2の場合、膜のAl/Baモル比は2.05〜2.10程度に変動する。このように、膜のBaとAlの組成比がAl過剰側になると、膜中にBaAl相が形成されるため、蛍光のピーク波長が5nm程度長波長側にシフトし、さらに蛍光のピーク強度も2割程度低下している。
【0022】
これに対して、本発明の薄膜の化合物組織では、組成式:BaAl:Euで表される化合物相を主体とし、他の相としては、BaAl:Eu相の蛍光波長に影響を与えないZnAl相のみであるので、BaAl:Eu相からのみ発光させることができる。したがって、上記薄膜の蛍光のピーク波長としては、470〜471nmが得られる。さらに、蛍光強度としては、BaAl:Eu相、又はZnS相との混合相よりも大きくなる。
【0023】
また、上記薄膜の組成は、組成式:Znx0Bax1Alx2x3Eux4で表され、該式中のx0〜x4は、下記の(1)〜(5)で示される関係式を満足することが重要である。これによって、膜中の亜鉛濃度が低いので、無機EL及びPDP用として良好な、特に高輝度の蛍光体薄膜が得られる。
(1) 0.01≦x0≦0.3
(2) x1+x4=1
(3) 2.01≦x2≦3.0
(4) 4.0<x3≦4.3
(5) 0.03≦x4≦0.10
【0024】
まず、亜鉛の組成比(x0)は、0.01≦x0≦0.3の関係式を満足する。この範囲内において、特に高輝度の膜が形成される。すなわち、亜鉛の組成比が0.3を超えると、亜鉛の薄膜中への残留量が多いため、ZnAl相のほかにZnS相も形成されるので、発光強度が低下し輝度が悪くなる。一方、亜鉛の組成比が0.01未満では、過剰なAl全部と反応できないため、膜中にBaAl:Euが形成され、ピーク波長が長波長側にずれる。
【0025】
バリウムの組成比(x1)とユウロピウムの組成比(x4)は、x1+x4=1と、0.03≦x4≦0.10の関係式を満足する。すなわち、ユウロピウムは、蛍光体薄膜の蛍光を発する元素であり、組成式がBaAlで表される母体材料のBaの格子位置を置換している。ユウロピウム(Eu)は、バリウム(Ba)に対して組成比が0.03〜0.10になるように添加される。Euの組成比が0.03未満では、蛍光強度が低くなるため好ましくない。一方、Euの組成比が0.10を超えると、前記母体材料の結晶性が悪くなるため好ましくない。
【0026】
また、アルミニウムの組成比(x2)は、2.01≦x2≦3.0である。すなわち、Alの組成比が2.01未満では、Ba含有比が高い組成式がBaAlで表される化合物相が蛍光体薄膜中に生成し、ピーク波長が長波長側にずれるため色純度が悪くなる。一方、Alの組成比が3.0を超えると、組成式がBaAlで表される化合物相が蛍光体薄膜中に生成し、前記母体材料の発光強度が低下し輝度が悪くなる。
【0027】
また、イオウの組成比(x3)は、4.0<x3≦4.3である。すなわち、化学量論組成である4より多い組成比とする。イオウの組成比が4.0以下では、前記母体材料の形成が困難になる。一方、イオウの組成比が4.3を超えると、膜中に硫黄が析出したり、Baの多硫化物ができやすくなるので、上記薄膜の化合物組織の形成が安定しない。
【0028】
2.蛍光体薄膜の成膜方法
本発明の蛍光体薄膜を得るための成膜方法としては、膜中の亜鉛濃度を適正な範囲に調整することができるターゲットを用いて、所望の雰囲気下に、スパッタリングすることにより行なわれる。
ここで、ターゲットとして、特に限定されるものではないが、膜中の亜鉛濃度を適正な範囲に調整するために、BaAl相からなる焼結体とZnS相からなる焼結体を用いて、各々の成膜速度を制御することが肝要である。このため、ターゲット構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、BaAl相からなる焼結体ターゲットとZnS相からなる焼結体ターゲットを複数個用いる、BaAl相からなる焼結体とZnS相からなる焼結体を1mm角以上の大きさで貼り合わせた複合ターゲットを用いる等、種々のやり方が行なわれる。
【0029】
この中で、好ましい一例をあげれば、上記成膜方法としては、下記の焼結体ターゲット(A)と焼結体ターゲット(B)を用いて、硫化水素を含むアルゴンガス雰囲気下に、基板温度を400〜650℃に保ちながら、BaAl相とZnS相の成膜速度の比を10:1〜10:4に制御して、スパッタリングを行う。これにより、上記膜組成と化合物組織を有する硫化物薄膜からなる、無機EL及びPDP用として良好な、色純度が良く高輝度の蛍光体薄膜が高い成膜速度で得られる。
(A)バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成される組成式:Bax1Alx2x3Eux4(但し、式中、x1〜x4は、x1+x4=1、2.05≦x2≦2.50、3.8<x3≦5.0、0.03≦x4≦0.10、の各要件を満たす。)で表される硫化物からなり、かつその化合物組織はBaAl相からなる。
(B)硫化亜鉛から構成される。
【0030】
上記成膜方法では、例えば、焼結体ターゲット(A)と焼結体ターゲット(B)の2つのターゲットをスパッタリング装置の2つのカソードに装着し、それらを同時にスパッタリングする手段が適している。このように別々のソースから基板にBaAl相とZnSを成膜速度の比を制御して供給することにより、膜中の組成、及び成膜速度が安定し、再現性良く良質の蛍光体薄膜を高速度で成膜することができる。
【0031】
すなわち、スパッタリング時の基板の加熱に際して、スパッタリングされたZnSは薄膜上で過剰なAlと反応し、BaAl:Eu相とZnAl相を形成する。膜中で形成されたZnAl相はBaAl:Eu相の蛍光の発光に影響を与えない。したがって、BaAl:Eu相からのみ発光させることができる。
【0032】
これらの現象は、組成式がBaAl:Euで表される化合物とZnSを所定温度で加熱したときに、BaAl:Euが分解して過剰のAlはZnSと反応し、BaAl:Eu相とZnAl相が形成されることにより確認された。すなわち、スパッタリングする際に、ターゲット表面の組成が変動しAlリッチであるとき、膜中の過剰なAlはZnSと反応してZnAl相を形成するため、蛍光波長の変化は起こらない。この際、蛍光のピーク波長の変化は1nm程度であり、しかも発光強度はBaAl:Euが形成される場合よりも5%以上大きくなる。
【0033】
しかしながら、それ以上に過剰なAlがない場合には、蒸発したZnSの一部は膜中に取り込まれてZnS相を形成するので、スパッタリングに際して、ZnSの蒸発を制御することが重要である。このため、BaAl相とZnS相の成膜速度の比を10:1〜10:4に制御する。すなわち、前記成膜速度の比が10:1未満では、膜中の亜鉛濃度が低下し、亜鉛の組成比が0.01未満となるため、過剰のAlがBaAlで表される化合物相を膜中に生成し、前記母体材料の発光強度が低下し輝度が悪くなる。一方、前記成膜速度の比が10:4を超えると、膜中の亜鉛濃度が高くなり、亜鉛の組成比が0.3を超えるため、ZnS相が形成される。
【0034】
上記BaAl相とZnS相の成膜速度の比を制御する具体的な手段としては、特に限定されるものではなく、例えば、各ターゲットに印加する電力を調節すること、或いは、ターゲットの面積を変えることにより行なえる。なお、面積を変える際には、例えばBaAl相は直径6インチ(154mm)丸ターゲットを2枚を、ZnS相は同形状のもの1枚を使用する。
【0035】
上記基板としては、特に限定されるものではなく、LCD用の無アルカリガラス又はPDP用のソーダライムガラス基板などのガラス基板、或いはガラス基板上に電極層と誘電体層が積層された基板が用いられる。
【0036】
上記スパッタリングでは、通常、硫化水素を加えたアルゴンガス下、スパッタリングされたZnSが薄膜上で過剰なAlと反応し、BaAl:EuとZnAlを形成するように基板を加熱する条件が選ばれるが、例えば、基板温度を400〜650℃に加熱して行うことが好適である。
なお、基板上に形成される電極や誘電体の材質によっては、450℃以上で硫化水素と反応し硫化物を形成する場合があるので、上記方法をそのまま適用せずにその代わりに、スパッタリングでの基板温度を400℃未満に保ちながら硫化物薄膜を形成し、得られたスパッタリング薄膜を400〜700℃の温度でアルゴンガス中で熱処理することによっても、同様に、本発明の蛍光体薄膜が得られる。
【0037】
一般に、スパッタリングで成膜する場合、アルゴンをスパッタリングガスとして使用すると形成される薄膜からイオウが抜けやすくなる。そのイオウを補う方法としては、通常、硫化水素を5容量%以上スパッタガス中に添加することが行われている。
【0038】
上記スパッタリングに用いる装置としては、マグネトロンRFスパッタリング装置(アネルバ(株)製、SPF210H)等を用いて、所定のアルゴンガス圧下で通常の成膜条件下で行われる。
【0039】
上記焼結体ターゲット(A)は、バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成される組成式:Bax1Alx2x3Eux4(但し、式中、x1〜x4は、x1+x4=1、2.05≦x2≦2.50、3.8<x3≦5.0、0.03≦x4≦0.10、の各要件を満たす。)で表される硫化物からなり、かつその化合物組織はBaAl相からなる。
【0040】
すなわち、上記焼結体ターゲット(A)のバリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムの組成としては、Bax1Alx2x3Eux4で表される組成式の組成比(x1、x2、x3、x4)が下記の(6)〜(9)で示される関係式を満足するように調整される。
(6)x1+x4=1
(7)2.05≦x2≦2.50
(8)3.8<x3≦5.0
(9)0.03≦x4≦0.10
【0041】
まず、バリウムの組成比(x1)とユウロピウムの組成比(x4)は、x1+x4=1と、0.03≦x4≦0.10の関係式を満足する。すなわち、ユウロピウムは、蛍光体薄膜の蛍光を発する元素であり、組成式がBaAlで表される母体材料のBaの格子位置を置換している。ユウロピウム(Eu)は、バリウム(Ba)に対して組成比が0.03〜0.10になるように添加される。Euの組成比が0.03未満では、蛍光強度が低くなるため好ましくない。一方、Euの組成比が0.10を超えると、前記母体材料の結晶性が悪くなるため好ましくない。
【0042】
また、アルミニウムの組成比(x2)は、2.05≦x2≦2.50、好ましくは2.10≦x2≦2.35である。すなわち、アルミニウム(Al)はアルミニウム自体及び原料に用いる硫化アルミニウム(Al)が酸化されやすいため化学量論より多い組成が用いられる。Alの組成比が2.05未満では、Ba含有比が高い組成式がBaAlで表される化合物相が蛍光体薄膜中に生成し、発光波長が長波長側にずれるため色純度が悪くなる。一方、Alの組成比が2.50を超えると、組成式がBaAlで表される化合物相が多くなって、前記母体材料の発光強度が低下し、輝度が悪くなる。
【0043】
また、イオウの組成比(x3)は、3.8<x3≦5.0である。すなわち、スパッタリング及び結晶化のための熱処理でイオウが減少するので、化学量論組成より多い組成比が好ましい。しかしながら、硫化アルミニウム(Al)が酸素の影響を受けやすいため、アルミニウムの組成比(x2)を2.05≦x2≦2.50とすると、イオウの組成比(x3)はは3.8<x3≦5.0となる。イオウの組成比が3.8以下では、前記母体材料の形成が困難になる。一方、イオウの組成比が5.0を超えると、焼結体にイオウの抜けた穴が残ったり、または融点の低いバリウムの多硫化物が析出するため、スパッタリング中に蒸発及び融解が生じて、膜組成が安定しない。
【0044】
また、上記焼結体ターゲット(A)の化合物組織としては、BaAl相、例えば組成式:Bax1Alx2x3Eux4(x1+x4=1、2.05≦x2≦2.50、3.8<x3≦5.0、0.03≦x4≦0.10)で表される化合物相である。これによって、イオウとアルミニウムが化学的に安定した状態で含有されているので、スパッタリングで形成される薄膜の品質が安定する。
【0045】
上記焼結体ターゲット(A)の製造方法としては、特に限定されるものではなく、バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成される組成式:Bax1Alx2x3Eux4(x1+x4=1、2.05≦x2≦2.50、3.2<x3≦4.8、0.03≦x4≦0.10)で表される硫化物粉末を不活性ガス雰囲気下に750〜1000℃の温度で焼結する方法が用いられる。
【0046】
上記焼結体ターゲット(A)の製造方法で用いる焼結方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、前記硫化物粉末をカーボン製等の成形型に入れ、アルゴンガス雰囲気下でホットプレス中又は雰囲気制御可能な管状炉中で焼結する。上記焼結温度としては、750〜1000℃、好ましくは800〜900℃である。すなわち、焼結温度が750℃未満では、焼結が進行しないため焼結体密度が低く、また焼結体強度も低いためターゲットとしての取り扱いが難しい。一方、焼結温度が1000℃を超えると、イオウが蒸発して、所望のターゲット組成からずれるため好ましくない。
【0047】
上記焼結体ターゲット(A)の製造に用いる硫化物粉末の合成方法としては、特に限定されるものではなく、蛍光体薄膜の母体材料であるBaAl相からなる化合物粉末を合成する種々の方法が用いられる。例えば、原料として硫化アルミニウム、硫化バリウム、及び硫化ユウロピウムを秤量し、これらを混合粉砕した混合物を不活性雰囲気下に焼結し、得られた焼結体を粉砕する方法が効率的である。ここで、硫化アルミニウム、硫化バリウム、及び硫化ユウロピウムの配合は、得られる硫化物粉末の組成が組成式:Bax1Alx2x3Eux4(x1+x4=1、2.05≦x2≦2.50、3.2<x3≦4.8、0.03≦x4≦0.10)で表される原子比になるように行なわれることが好ましい。
【0048】
上記合成方法に用いる硫化アルミニウム、硫化バリウム、及び硫化ユウロピウムとしては、特に限定されるものではなく、純度が好ましくは99重量%以上、より好ましくは99.9重量%、及び平均粒径が5〜500μmの市販の粉末が用いられる。
【0049】
上記合成方法に用いる原料の混合粉砕方法、及び硫化物粉末の粉砕方法としては、特に限定されるものではなく、通常粉末の微粉砕に使用されるボールミル、遊星ボールミル、ビーズミル等の粉砕機を用いて不活性ガス雰囲気下に所定時間粉砕処理する。得られた粉末の粒度としては、平均粒径30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
【0050】
上記合成方法に用いる焼結の方法としては、上記焼結体ターゲット(A)の製造に用いる焼結方法が適用される。
【0051】
焼結体ターゲット(B)は、硫化亜鉛から構成される。
上記焼結体ターゲット(B)の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、硫化亜鉛粉末を焼結する方法が用いられる。上記硫化亜鉛粉末としては、特に限定されるものではなく、純度99.9重量%以上、及び平均粒径3〜20μmの市販の粉末が用いられる。
【0052】
上記焼結方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、硫化亜鉛粉末をカーボン製等の成形型に入れ、アルゴンガス雰囲気下でホットプレス中、或いは雰囲気制御可能な管状炉中で焼結する。上記焼結温度としては、850〜1200℃、好ましくは900〜1100℃である。すなわち、焼結温度が850℃未満では、焼結が進行しないため焼結体密度が低く、また焼結体強度も低いためターゲットとしての取り扱いが難しい。一方、焼結温度が1200℃を超えると、硫化亜鉛が昇華して、均一なターゲットが得られない。
【実施例】
【0053】
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた焼結体及び膜の組成、焼結体の組織、スパッタリングで得られた膜の蛍光波長と蛍光強度の評価方法は、以下の通りである。
(1)焼結体及び膜の組成の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)焼結体の組織の同定:X線回折法(XRD)で行った。
(3)膜の蛍光の発光波長測定:分光蛍光強度計(ジャスコ製FP−6500ST)で測定し、ピーク波長を求めた。
(4)膜の蛍光強度の測定:分光蛍光強度計(ジャスコ製FP−6500ST)を用いて励起波長350nmで蛍光強度分布を測定し、ピーク強度を求めた。
【0054】
また、実施例及び比較例で用いたターゲットのスパッタリング方法は、下記の[スパッタリング方法]の通りである。
[スパッタリング方法]
ターゲットをマグネトロンRFスパッタリング装置(ULVAC製、MB04−1055)のカソードに取り付けて、成膜を行った。ロータリーポンプで2Paまで引いた後、さらに分子ターボポンプで2×10−5Paまで真空に引いた。その後、硫化水素ガスを0.1Paまで入れて、その後Arガスを入れてスパッタリング圧力0.35Pa、スパッタリングパワー(RF電力)100Wの条件で放電させた。ここで、2種類のターゲットを用いる場合には、スパッタリングパワーは2つのターゲットに印加するRF電力の和が100Wになるように調節した。
なお、取り付け後、約60分間プリスパッタを行って表面層を除去した。また、基板には石英ガラスを用い、基板温度を500℃として、得られる薄膜の膜厚が約300nmとなるように成膜した。
【0055】
(実施例1)
(1)焼結体ターゲット(A)の製造
まず、原料粉末として、Al(CERAC製)、BaS(高純度化学製)、及びEuS(高純度化学製)を用いて、これらを原子比でBa:Eu:Al=0.95:0.05:2.1の割合で、遠心ボールミル(フリッチュ社製)で混合粉砕した後、得られた混合物を真空ホットプレス(大亜真空製)を用いてアルゴンガス中で1050℃の温度で焼結し、組成式がBaAl:Euで表される化合物を合成した。
次に、前記化合物焼結体を遠心ボールミル(フリッチュ社製)で粉砕した後、得られた硫化物粉末を真空ホットプレス(大亜真空製)を用いてアルゴンガス中で900℃の温度で焼結した。その結果、得られた焼結体の組成式は、Ba0.95Al2.223.85Eu0.05であり、焼結体の組織は、BaAl相で構成されていた。次いで、焼結体表面を100μm研磨した後、直径2インチ(50mm)のターゲットを製造した。
(2)焼結体ターゲット(B)の製造
まず、ZnS粉末(堺化学製)を用いて、これを遠心ボールミル(フリッチュ社製)で粉砕した後、真空ホットプレス(大亜真空製)を用いてアルゴンガス中1050℃の温度で焼結した。その後、得られた焼結体の表面を100μm研磨した後、直径2インチ(50mm)のターゲットを製造した。
【0056】
(3)スパッタリング
これらのターゲットを用いて、上記[スパッタリング方法]に従ってスパッタリングを行ない、蛍光体膜を成膜した。なお、焼結体ターゲット(A)と焼結体ターゲット(B)にそれぞれ印可する電力により、BaAl相とZnS相の成膜速度の比を10:2に制御した。
その後、上記評価方法に従って、得られた膜の組成、膜の組織、及び蛍光のピーク波長とピーク強度とを求めた。結果を、表1、2、3に示す。
【0057】
(実施例2)
スパッタリングにおいて成膜速度比を10:3にしたこと以外は実施例1と同様に行ない、蛍光体膜を作成した。得られた膜の組成、膜の組織、及び蛍光のピーク波長とピーク強度とを求めた。結果を、表1、2、3に示す。
【0058】
(比較例1)
スパッタリングにおいて成膜速度比を10:5にしたこと以外は実施例1と同様に行ない、蛍光体膜を作成した。得られた膜の組成、膜の組織、及び蛍光のピーク波長とピーク強度とを求めた。結果を、表1、2、3に示す。
【0059】
(比較例2)
スパッタリングにおいて成膜速度比を10:0.1にしたこと以外は実施例1と同様に行ない、蛍光体膜を作成した。得られた膜の組成、膜の組織、及び蛍光のピーク波長とピーク強度とを求めた。結果を、表1、2、3に示す。
【0060】
(比較例3)
まず、原料粉末として、Al(CERAC製)、BaS(高純度化学製)、及びEuS(高純度化学製)を用いて、これらを遠心ボールミル(フリッチュ社製)で混合粉砕した後、得られた混合物をアルゴンガス中で1050℃の温度で焼結し、組成式がBaAl:Euで表される化合物を合成した。次に、前記化合物焼結体を遠心ボールミル(フリッチュ社製)で粉砕した後、得られた硫化物粉末とZnS粉末(堺化学製)とを遠心ボールミル(フリッチュ社製)で混合粉砕した。この混合物を真空ホットプレス(大亜真空製)を用いてアルゴンガス中900℃の温度で焼結した。その結果、得られた焼結体の組成式は、Zn0.25Ba0.95Al2.224.07Eu0.05であり、焼結体の組織は、BaAl相とZnS相で構成されていた。次いで、焼結体表面を100μm研磨した後、直径2インチ(50mm)の焼結体ターゲット(C)を製造した。
この焼結体ターゲット(C)を用いて、上記[スパッタリング方法]に従ってスパッタリングを行ない、蛍光体膜を成膜した。その後、得られた膜の組成、膜の組織、及び蛍光のピーク波長とピーク強度とを求めた。結果を、表1、2、3に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
表1〜3より、実施例1、又は2では、使用したターゲット、BaAl相とZnS相の成膜速度の比等の成膜条件で本発明の方法に従って行われ、形成された膜の化合物組織がBaAl相とZnAl相からなり、BaAl相及びZnS相が検出されず、かつ膜の組成が本発明の条件を満足しているので、蛍光のピーク波長は470〜471nmで良好であり、蛍光のピーク強度も相対強度が大きくなっていることが分かる。これにより、色純度が良く、かつ高輝度の蛍光体薄膜が達成される。しかも、成膜速度が十分に速いことが分かる。
【0065】
これに対して、比較例1、又は2では、スパッタリングにおいて成膜速度比で本発明の方法に従って行われなかったので、膜の組成及び化合物組織が本発明の条件を満足していないので、得られた薄膜は蛍光のピーク強度又は蛍光のピーク波長において満足すべき結果が得られないことが分かる。また、比較例3では、使用したターゲット等の成膜条件で本発明の方法に従って行われなかったので、成膜速度が低く、しかも蛍光のピーク強度も満足すべき結果が得られないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上より明らかなように、本発明の蛍光体膜とその成膜方法は、無機EL及びPDP用として色純度が良く、高い輝度の蛍光体薄膜とその成膜方法として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛、バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成される次の組成式:
Znx0Bax1Alx2x3Eux4
(式中、x0〜x4は、下記の(1)〜(5)に示す要件を満たす。)
で表される硫化物から形成される蛍光体薄膜であって、
その化合物組織は、組成式:BaAl:Euで表される化合物相を主体とし、その他の相としてZnAl相からなることを特徴とする蛍光体薄膜。
(1) 0.01≦x0≦0.3
(2) x1+x4=1
(3) 2.01≦x2≦3.0
(4) 4.0<x3≦4.3
(5) 0.03≦x4≦0.10
【請求項2】
その蛍光のピーク波長が470〜471nmであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体薄膜。
【請求項3】
下記の焼結体ターゲット(A)と焼結体ターゲット(B)を用いて、硫化水素を含むアルゴンガス雰囲気下に、基板温度を400〜650℃に保ちながら、BaAl相とZnS相の成膜速度の比を10:1〜10:4に制御して、スパッタリングを行うことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体薄膜の成膜方法。
(A)バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成される組成式:Bax1Alx2x3Eux4(但し、式中、x1〜x4は、x1+x4=1、2.05≦x2≦2.50、3.8<x3≦5.0、0.03≦x4≦0.10、の各要件を満たす。)で表される硫化物からなり、かつその化合物組織はBaAl相からなる。
(B)硫化亜鉛から構成される。
【請求項4】
前記焼結体ターゲット(A)は、バリウム、アルミニウム、イオウ及びユウロピウムから構成される組成式:Bax1Alx2x3Eux4(但し、式中、x1〜x4は、x1+x4=1、2.05≦x2≦2.50、3.2<x3≦4.8、0.03≦x4≦0.10、の各要件を満たす。)で表される硫化物粉末を不活性ガス雰囲気下に750〜1000℃の温度で焼結することにより得られたものであることを特徴とする請求項3に記載の蛍光体薄膜の成膜方法。
【請求項5】
前記硫化物粉末は、硫化アルミニウム、硫化バリウム、及び硫化ユウロピウムを混合粉砕した混合物を不活性雰囲気下に焼結し、得られた焼結体を粉砕することにより得られたものであることを特徴とする請求項4に記載の蛍光体薄膜の成膜方法。
【請求項6】
前記焼結体ターゲット(B)は、硫化亜鉛粉末を粉砕した後、得られた粉末を不活性ガス雰囲気下に850〜1200℃の温度で焼結することにより得られたものであることを特徴とする請求項3に記載の蛍光体薄膜の成膜方法。

【公開番号】特開2007−308629(P2007−308629A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−140225(P2006−140225)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】