説明

蛍光染料と特定の金属イオン封鎖剤を含有するヒトのケラチン物質を染色するための組成物、その方法及び使用

本発明は、少なくとも一の蛍光染料と、少なくとも一の特定の金属イオン封鎖剤を含有する組成物、並びにこれらの組成物を使用するための方法及び装置に関する。同様に本発明は、ヒトのケラチン物質、特に人工的に染色された又は着色した毛髪、及び有色の皮膚を、明色化効果を持たせて染色するための、少なくとも一の蛍光染料と、少なくとも一の特定の金属イオン封鎖剤とを含有する組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、少なくとも一の蛍光染料と少なくとも一の特定の金属イオン封鎖剤を含有する組成物と、これらの組成物を使用するための方法並びに装置に関する。また、本発明は、ヒトのケラチン物質、特に人工的に染色された毛髪又は着色した(pigmented)毛髪のようなケラチン繊維や、有色の皮膚を、明色化(lightening)効果を持たせて染色するための、少なくとも一の蛍光染料と少なくとも一の特定の金属イオン封鎖剤を含有する組成物の使用に関する。
【0002】
有色の皮膚の個人が皮膚の色を美白することを望み、この目的のために、脱色剤(bleaching agent)を含む化粧品用又は皮膚科学的組成物を使用することは一般的である。
脱色剤として最も一般的に使用されている物質はヒドロキノンとその誘導体、コウジ酸とその誘導体、アゼライン酸、アルブチンとその誘導体の単独物又は他の活性剤と組合せたものである。
しかしながら、これらの薬剤には欠点がないわけではない。特に、皮膚上で脱色効果を得るためには、これらを長期間、多量に使用する必要がある。さらに、それらを含有する組成物を適用しても、即時の効果は観察されない。
加えて、ヒドロキノンとその誘導体は、目に見えて分かるほどの脱色効果を生じさせるのに有効な量が使用される。特にヒドロキノンはメラノサイトに対するその細胞毒性が知られている。
さらに、コウジ酸とその誘導体は高価であり、よって広く市場に流通する製品に多量に使用できないという欠点を有する。
しかして、自然な外観の、より明るく、均質で、均一なトーンを得られるようにでき、皮膚への適用後に、満足のいく透明性を有する化粧品用組成物が今なお必要とされている。
【0003】
ヘアケアの分野では、毛髪の染色には、主として2つの主要タイプがある。
第1のものは半永久的な染色すなわち直接染色であり、これは、数回の洗髪に対して耐性がある、程度の差はあれ明白な色調変化を毛髪の天然の色調に付与することを可能にする染料を使用する。これらの染料は直接染料として知られ、2つの異なる方法で使用され得る。着色は、直接染料(類)を含む組成物をケラチン繊維に直接適用するか、又は酸化脱色剤、好ましくは過酸化水素水溶液を含む組成物と、直接染料(類)を含有する組成物との即時調製した混合物を適用することにより、実施することができる。その場合、このような方法は「明色化直接染色」と称される。
【0004】
第2は永久的染色すなわち酸化染色である。これは、使用時に、酸化物質と混合されて、酸化縮合プロセスにより着色した化合物及び染料を生じうる無色か弱く着色した化合物である「酸化」染料前駆体を用いて実施される。あまりに過剰な赤、オレンジ又は金色の光沢を有する色調を中和又は弱めるために、又はこれとは逆にこれらの赤、オレンジ又は金色の光沢を目立たせるために、酸化ベース及びカップラーに一又は複数の直接染料を組合せることがしばしば必要となる。
【0005】
入手可能な直接染料の中で、ニトロベンゼン直接染料には十分な強度がなく、インドアミン類、キノン染料及び天然染料はケラチン繊維との親和性が低く、従って、繊維が被るであろう様々な処理、特にシャンプーに対する堅牢性が不十分な着色しか得られない。
加えて、ヒトのケラチン繊維に対して明色化効果を得る必要がある。この明色化は、常套的には、過酸塩と組合せられてもよい過酸化水素から一般的に構成される酸化系を介し、毛髪のメラニンを脱色するプロセスを経て得られる。この脱色系には、ケラチン繊維を劣化させ、その美容特性を損なうという欠点がある。
【0006】
本発明の目的は、上述した問題を解決することにあり、特にケラチン繊維等のケラチン物質に対する良好な染色親和性と、外的要因、特にシャンプーに対して良好な耐性を有し、さらに処理される物質、特にケラチン繊維を損傷することなく、明色化を達成可能な組成物を提案することにある。
しかして、驚くべきことに、また予期しないことに、特定の金属イオン封鎖剤の存在下、特にオレンジ範囲の蛍光染料を使用することにより、これらの目的を達成することができることが見出された。
【0007】
よって、本発明の第1の主題は、化粧品的に許容可能な媒体中に、該媒体に可溶性の少なくとも一の蛍光染料と、及びヒドロキシカルボン酸及びポリカルボン酸、及び一価又は二価のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、その有機アミン又はアンモニウム塩から単独に又は混合物として選択される少なくとも一の錯化剤を含有せしめてなり;蛍光剤として、2-[2-(4-ジアルキルアミノ)フェニルエテニル]-1-アルキルピリジニウムで、ピリジニウム環のアルキル基がメチル又はエチル基を表し、ベンゼン環のアルキル基がメチル基を表し、対イオンがハロゲン化物であるものを含有しない組成物にある。
【0008】
本発明の第2の主題は、
a)本発明の組成物を、所望の発色及び明色化がなされるのに十分な時間、ケラチン繊維に適用し、
b)場合によっては繊維をすすぎ、
c)場合によっては繊維をシャンプーで洗浄して、すすぎ、
d)繊維を乾燥させるか、又は乾燥するまで放置する、
工程を実施する、明色化効果を持たせてヒトのケラチン繊維を染色する方法に関する。
本発明の他の主題は、化粧品的に許容可能な媒体中に、該媒体に可溶性の少なくとも一の蛍光染料と、ヒドロキシカルボン酸及びポリカルボン酸、及び一価又は二価のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、その有機アミン又はアンモニウム塩から単独に又は混合物として選択される少なくとも一の錯化剤とを含有せしめてなる組成物の、明色化効果を持たせてヒトのケラチン物質を染色するための使用に関する。
【0009】
本発明の組成物を収容する少なくとも一の区画と、少なくとも一の酸化剤を含有する組成物を収容する少なくとも一の他の区画を具備する、ケラチン繊維を染色及び明色化するための多区画具が本発明の最終的な主題を構成する。
【0010】
本発明の組成物により、蛍光染料の単独使用の場合よりも、蛍光効果及び明色化効果を増加させることができる。
また、洗浄又はシャンプーに対して、より良好な耐性のある結果が見出される。
しかしながら、本発明の他の特徴及び利点は、以下の記載及び実施例を読むことにより、より明らかになるであろう。
別段の説明をしない限り、明細書において与えられる値の範囲の限界は、これらの範囲に含まれる。
【0011】
上述したように、本発明の組成物は、少なくとも一の蛍光染料と少なくとも一の特定の金属イオン封鎖剤を含有する。
本発明の目的において、「蛍光染料」なる用語は、それ自体で着色させ、よって可視スペクトルと、場合によっては紫外線スペクトル(360〜760ナノメートルの波長範囲)の光を吸収する分子であるが、標準的な染料とは異なり、スペクトルの可視領域で放たれるより長い波長の蛍光に、吸収したエネルギーを転換する染料を意味する。
【0012】
本発明の蛍光染料は、蛍光増白剤とは区別されなければならない。増白剤(ブライトナー)、蛍光ブライトナー、蛍光増白剤、蛍光白色化剤(fluorescent whitening agents)、白色化剤(whiteners)又は蛍光ホワイトナーとしても知られている蛍光増白剤は、無色透明の化合物であり、紫外線領域(200〜400ナノメートルの波長範囲)のみで、可視領域の光を吸収せず、スペクトルの可視領域で放たれたより長い波長の蛍光に吸収エネルギーを転換するため、染色はしない;色の印象は、主として青色(400〜500ナノメートルの波長範囲)の純粋な蛍光のみから生じる。
最後に、組成物に使用される蛍光染料は、組成物の媒体に可溶性である。ここで、蛍光染料は、それ自体、組成物の媒体に不溶性である蛍光顔料と異なることを指摘しておく。
【0013】
特に、本発明で使用され、場合によっては中和されていてもよい蛍光染料は、15〜25℃の温度において、少なくとも0.001g/l、特に少なくとも0.5g/l、好ましくは少なくとも1g/l、より好ましい実施態様においては少なくとも5g/lで、組成物の媒体に可溶性である。
さらに、本発明の特徴の一つでは、組成物は、蛍光染料として、ピリジニウム環のアルキル基がメチル又はエチル基を表し、ベンゼン環のアルキル基がメチル基を表し、対イオンがハロゲン化物である2-[2-(4-ジアルキルアミノ)フェニルエテニル]-1-アルキルピリジニウムを含有しない。
【0014】
本発明の特定の実施態様では、組成物は、蛍光染料として、アゾ、アゾメチン又はメチンで、モノカチオン性の複素環式蛍光染料から選択される化合物を含有しない。
本発明で好ましく使用される蛍光染料は、オレンジの領域の染料である。
好ましくは、本発明の蛍光染料は、500〜650ナノメートルの波長範囲、好ましくは550〜620ナノメートルの波長範囲にある最大反射率を示す。
【0015】
本発明の蛍光染料のいくつかは、それ自体公知の化合物である。
使用され得る蛍光染料の例として、次のファミリー:ナフタルイミド類;カチオン性又は非カチオン性のクマリン類;キサンテノジキノリジン類(例えば特にスルホローダミン類);アザキサンテン類;ナフトラクタム類;アズラクトン類;オキサジン類;チアジン類;ジオキサジン類;アゾ、アゾメチン又はメチン型のポリカチオン性蛍光染料の単独物又は混合物に属する蛍光染料、好ましくは次のファミリー:ナフタルイミド類;カチオン性又は非カチオン性のクマリン類;アザキサンテン類;ナフトラクタム類;アズラクトン類;オキサジン類;チアジン類;ジオキサジン類;アゾ、アゾメチン又はメチン型のポリカチオン性蛍光染料の単独物又は混合物に属する蛍光染料を挙げることができる。
【0016】
上述した染料として、特に次の染料:
− 次の構造:
【化1】

を有し、サンド社(Sandoz)から販売されているブリリアントイエローB6GL;
− 次の構造:
【化2】

を有し、プロラボ社(Prolabo)、アルドリッチ社(Aldrich)又はカルロ・エルバ社(Carlo Erba)から販売されている、ベーシックイエロー2又はオーラミンO、
4,4'-(イミドカルボニル)ビス(N,N-ジメチルアニリン)モノヒドロクロリド-CAS No.2465-27-2;
を挙げることができる。
【0017】
また、次の式:
【化3】

[上式中:
及びRは同一でも異なっていてもよく:
・水素原子;
・少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、1〜10の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基;
・アリール基が6つの炭素原子を有し、アルキル基が1〜4の炭素原子を有するアリール基又はアリールアルキル基であって;アリール基は少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、1〜4の炭素原子を有する一又は複数の直鎖状又は分枝状のアルキル基で置換されていてもよいもの;
を表し;
・またR及びRは結合して、窒素原子と共に複素環を形成していてもよく、また一又は複数の他のヘテロ原子を有していてもよく、ここで、該複素環は、少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、好ましくは1〜4の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアルキル基で置換されていてもよいものであり;
・さらにR又はRは、窒素原子及び該窒素原子を担持するフェニル基の炭素原子の一つを含む複素環に関与していてもよく;
及びRは同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し;
は同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又は少なくとも一のヘテロ原子が挿入されていてもよい1〜4の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し;
は同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を担持する基が置換され及び/又は挿入されるか、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子が置換されていてもよい、1〜4の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し;
Xは:
・少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、1〜14の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基又は2〜14の炭素原子を含むアルケニル基;
・少なくとも一のヘテロ原子で置換されていてもよい、1〜14の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアルキル基で;少なくとも一のヘテロ原子で置換されていてもよい、1〜4の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアミノアルキル基で;少なくとも一のハロゲン原子で、置換されていてもよい5-又は6員の複素環基;
・1〜4の炭素原子を含むアルキル基で分離されていてもよい、縮合又は非縮合の芳香族又は二芳香族基で、アリール基が少なくとも一のハロゲン原子で、又は少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を担持する基で置換されるか及び/又は挿入されていてもよい、1〜10の炭素原子を含む少なくとも一のアルキル基で、置換されていてもよいもの;
・ジカルボニル基;
を表し、
・X基は一又は複数のカチオン電荷を担持可能であり;
aは0又は1に等しく;
は同一でも異なっていてもよく、有機又は無機アニオンを表し;
nは、少なくとも2に等しく、多くとも蛍光化合物中に存在するカチオン電荷の数に等しい整数である]
を有する化合物を挙げることもできる。
【0018】
「へテロ原子」なる用語は、酸素又は窒素原子を表すことを想起すべきである。
このような原子を担持する基としては、とりわけヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミノ、アンモニウム、アミド(-N-CO-)及びカルボキシル(-O-CO-又は-CO-O-)基を挙げることができる。
アルケニル基に関し、それらは一又は複数の不飽和炭素-炭素結合(-C=C-)、好ましくは炭素-炭素二重結合を一つだけ有する。
【0019】
この一般式において、R及びRは同一でも異なっていてもよく、特に:
・水素原子;
・酸素原子が挿入されていてもよく、又は少なくとも一のヒドロキシル、アミノ又はアンモニウム基、又は塩素もしくはフッ素原子で置換されていてもよい、1〜10の炭素原子、特に1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル基;
・1〜4の炭素原子、好ましくは1又は2の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル又はフェニル基;
・窒素原子と共に、窒素及び/又は酸素原子、及び/又は窒素及び/又は酸素原子を担持する基が挿入されるか及び/又は置換されていてもよい、1〜4の炭素原子を含む少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアルキル基で置換されていてもよい、ピロロ、ピロリジノ、イミダゾリノ、イミダゾロ、イミダゾリウム、ピラゾリノ、ピペラジノ、モルホリノ、モルホロ、ピラゾロ又はチアゾロ型の複素環基;
を表す。
【0020】
上述のアミノ又はアンモニウム基に関し、窒素原子により担持される基は同一でも異なっていてもよく、より詳細には、水素原子、C-C10、好ましくはC-Cアルキル基又はアリールアルキル基を表してよく、ここで、特にアリール基は6の炭素原子を含み、アルキル基は1〜10の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を含む。
本発明の有利な一実施態様では、R及びR基は同一でも異なっていてもよく、水素原子;直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;ヒドロキシル基で置換されていてもよいC-Cアルキル基;アミノ又はアンモニウム基を担持するC-Cアルキル基;C-Cクロロアルキル基;酸素原子又は酸素原子を担持する基(例えばエステル)が挿入されたC-Cアルキル基;芳香族基、例えばフェニル、ベンジル又は4-メチルフェニル;複素環基、例えばピロロ、ピロリジノ、イミダゾロ、イミダゾリノ、イミダゾリウム、ピペラジノ、モルホロ、モルホリノ、ピラゾロ又はチアゾロ基で、少なくとも一のC-Cアルキル又は芳香族基で置換されていてもよいものを表す。
好ましくは、R及びR基は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基、例えばメチル、エチル、n-ブチル又はn-プロピル基;2-ヒドロキシエチル;アルキルトリメチルアンモニウム又はアルキルトリエチルアンモニウム基で、アルキル基が直鎖状のC-Cアルキル基であるもの;(ジ)アルキルメチルアミノ又は(ジ)アルキルエチルアミノ基で、アルキル基が直鎖状のC-Cアルキル基であるもの;-CHCHCl;-(CH)-OCH又は-(CH)-OCHCHでnが2〜6の範囲の整数であるもの;-CHCH-OCOCH;-CHCHCOOCHを表す。
【0021】
好ましくは、同一でも異なっていてもよく、好ましくは同一であるR及びR基は、メチル基又はエチル基を表す。
及びR基は、同一でも異なっていてもよく、ピロリジノ、3-アミノピロリジノ、3-(ジメチル)アミノピロリジノ、3-(トリメチル)アミノピロリジノ、2,5-ジメチルピロロ、1H-イミダゾロ、4-メチルピペラジノ、4-ベンジルピペラジノ、モルホロ、3,5-(tert-ブチル)-1H-ピラゾロ、1H-ピラゾロ又は1H-1,2,4-トリアゾロ型の複素環基を表してもよい。
及びR基は同一でも異なっていてもよく、次の式(I)及び(II):
【化4】

[上式中、R'は水素原子又はC-Cアルキル基、-CHCHOH、-CHCHOCHを表す]
の複素環を形成するように結合した基を表してもよい。
【0022】
本発明のより特定の実施態様では、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素又は塩素原子、又は酸素又は窒素原子が挿入されていてもよい1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す。
置換基は、水素以外の場合には、有利には、R及びR基で置換された窒素原子を担持する環の炭素に対して3及び/又は5位にあり、好ましくは該炭素に対して3位にあることが指摘される。
有利には、R基は同一でも異なっていてもよく、水素原子;直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;-O-R51でR51が直鎖状のC-Cアルキル基を表すもの;-R52-O-CHでR52が直鎖状のC-Cアルキル基を表すもの;-R53-N(R54)でR53が直鎖状のC-Cアルキル基を表し、R54は同一でも異なっていてもよく、水素原子又はメチル基を表すもの、を表す。
好ましくは、Rは同一でも異なっていてもよく、水素、メチル又はメトキシを表し、さらに好ましくは、Rは水素原子を表す。
【0023】
特定の一実施態様では、R基は同一でも異なっていてもよく、水素原子;直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;-Xで、Xが塩素、臭素又はフッ素原子を表すもの;-R61-O-R62で、R61が直鎖状のC-Cアルキル基を表し、R62がメチル基を表すもの;-R63-N(R64)でR63が直鎖状のC-Cアルキル基を表し、R64は同一でも異なっていてもよく、水素原子又はメチル基を表すもの;-N(R65)で、R65は同一でも異なっていてもよく、水素原子又は直鎖状のC-Cアルキル基を表すもの;-NHCOR66で、R66がC-Cアルキル基、C-Cクロロアルキル基を表すもの、基-R67-NH又は-R67-NH(CH)又は-R67-N(CH)又は-R67-N(CH)又は-R67-N(CHCH)で、R67がC-Cアルキル基を表すもの、を表す。
置換基は、水素以外の場合には、好ましくは、ピリジニウム環の窒素原子に対して2及び/又は4位にあり、さらに好ましくは該窒素原子に対して4位にあることが指摘される。
特に、これらのR基は同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はメチル又はエチル基を表し、Rは好ましくは水素原子を表す。
【0024】
及びR基に関しては、これらの基は同一でも異なっていてもよく、有利には、水素原子、又は1〜4の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル基を表す。好ましくは、R及びRはそれぞれ水素原子を表す。
【0025】
上述したように、Xは:
・少なくとも一のへテロ原子、少なくとも一のヘテロ原子を担持する少なくとも一の基が挿入され及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子が置換されていてもよい直鎖状又は分枝状で1〜14の炭素原子を有するアルキル基又は2〜14の炭素原子を有するアルケニル基;
・少なくとも一のハロゲン原子;少なくとも一のヘテロ原子で置換されていてもよい、1〜4の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアミノアルキル基、1〜14の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアルキル基で置換されていてもよい5-又は6員の複素環基;
・1〜4の炭素原子を有するアルキル基で分離されていてもよい縮合又は非縮合の芳香族又は二芳香族基で、アリール基(類)が少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を担持する基で置換されるか及び/又は挿入されていてもよい、1〜10の炭素原子を有する少なくとも一のアルキル基、又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよいもの;
・ジカルボニル基;
を表す。
さらに、X基は一又は複数のカチオン電荷を担持していてもよいことが示される。
【0026】
よって、Xは、直鎖状又は分枝状で1〜14の炭素原子を有するアルキル基、又は2〜14の炭素原子を有するアルケニル基を表してよく、一又は複数の酸素及び/又は窒素原子、及び/又は少なくとも一のヘテロ原子を担持する一又は複数の基で置換されるか及び/又は挿入されていてもよく、及び/又はフッ素又は塩素原子で置換されていてもよい。
この種の基として、特にヒドロキシル、アルコキシ(特にC-Cアルキル型のR基を有する)、アミノ、アンモニウム、アミド、カルボニル及びカルボキシル基(-COO-又は-O-CO-)で、特にアルキルオキシ型の基を有するものを挙げることができる。
窒素原子は、存在する場合、第4級化形態又は第4級化されていない形態であってもよいことに留意すべきである。この場合、他の基又は第4級化又は第4級化されていない窒素原子により担持される他の2つの基は同一又は異なっており、水素原子、又はC-Cアルキル基、好ましくはメチルであってよい。
【0027】
他の変形例では、X基は、ハロゲン原子、又は少なくとも一のへテロ原子を有する基(好ましくはヒドロキシル基)で置換されていてもよい1〜10の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアミノアルキル基;1〜14の炭素原子、特に1〜10の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアルキル基で置換されていてもよい、イミダゾロ、ピラゾロ、トリアジノ又はピリジノ型の5-又は6員の複素環基を表す。アミノ基は、好ましくは複素環に結合していることに留意すべきである。
【0028】
他の可能な態様では、X基は、芳香族基(特に6の炭素原子を有するもの)又は縮合又は非縮合の二芳香族基(特に10〜12の炭素原子を有するもの)で、1〜4の炭素原子を有するアルキル基で分離可能なものを表し、そのアリール基(類)は、少なくとも一の酸素及び/又は窒素原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基(例えば、カルボニル、カルボキシル、アミド、アミノ又はアンモニウム基)が挿入されていてもよい、1〜10の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する少なくとも一のアルキル基、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよいものを表す。
【0029】
芳香族基、好ましくはフェニル基は1,2;1,3又は1,4位、好ましくは1,3及び1,4位における結合を介して、CR基に結合していることに留意すべきである。1,4位における結合を介して結合したフェニル基が、一又は二の置換基を担持している場合、この又はこれらの置換基(類)は、好ましくはCR基の一つに対して1,4位に位置している。1,3位における結合を介して結合したフェニル基が、一又は二の置換基(類)を担持しているならば、この又はこれらの置換基(類)は、好ましくはCR基の一つに対して1又は3位に位置している。
基が二芳香族である場合、それは、好ましくは非縮合であり、単結合(すなわち2つの環のそれぞれの炭素)、又はアルキル基、好ましくはCH又はC(CH)型のもので分離可能な2つのフェニル基を有する。好ましくは、芳香族環は置換基を担持しない。前記二芳香族基は4,4'位における結合を介して、CR基に結合していることに留意すべきである。
【0030】
適切なX基の例としては、特に1〜13の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、ペンチレン及びヘキシレン;2-ヒドロキシプロピレン及び2-ヒドロキシ-n-ブチレン;-CHCHOCHCH-、1,6-ジデオキシ-d-マンニトール、-CH(CH)CH-、-CHCH(CH)-(CH)(CH)-CHCH-、CO-CO-、3,3-ジメチルペンチレン、2-アセトキシエチレン、ブチレン-1,2,3,4-テトラオール等の、少なくとも一のヘテロ原子を担持する基(例えば、ヒドロキシル、アミノ、アンモニウム、カルボニル又はカルボキシル)、及び/又は一又は複数の窒素及び/又は酸素原子で置換されるか又は挿入されたC-C13アルキレン基;-CH=CH-;1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、1,2-フェニレン、2,6-フルオロベンゼン、4,4'-ビフェニレン、1,3-(5-メチルベンゼン)、1,2-ビス(2-メトキシ)ベンゼン、ビス(4-フェニル)メタン、3,4-安息香酸メチル及び1,4-ビス(アミドメチル)フェニル等の、一又は複数のハロゲン原子、少なくとも一のヘテロ原子を担持する一又は複数の基、及び/又は一又は複数のアルキル基で置換された芳香族又は二芳香族基;複素環型の基、例えばピリジン、又は2,6-ビスピリジン、イミダゾール、イミダゾリウム又はトリアジン等の誘導体を挙げることができる。
【0031】
本発明の特定の実施態様では、Xは、直鎖状又は分枝状のC-C13アルキル基;-CHCH(OH)CH-;-CHCH(Cl)CH-;-CHCH-OCOCH-;-CHCHCOOCH-;Raが直鎖状のC-Cアルキル基を表し、Rbが直鎖状のC-Cアルキル基を表す-Ra-O-Rb-;RcがC-Cアルキル基を表し、Rdが水素原子又はC-Cアルキル基を表し、ReがC-Cアルキル基を表す-Rc-N(Rd)-Re-;Rfが直鎖状のC-Cアルキル基を表し、Rgは好ましくは同一であり、C-Cアルキル基を表し、Rhが直鎖状のC-Cアルキル基を表す-Rf-N(Rg)-Rh-;-CO-CO-を表す。
【0032】
Xは、次の式:
【化5】

[上式中、Ri及びRjは同一でも異なっていてもよく、直鎖状のC-Cアルキル基を表す]
の二価の基等の、1〜14の炭素原子、特に1〜10の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する少なくとも一のアルキル基で置換されていてもよいイミダゾール基をさらに表し得る。
同様に、Xは次の:
【化6】

二価のトリアジンベース基からも選択され得る。
他の可能な態様では、Xは次の:
【化7】

二価の芳香族基を表してもよい。
【0033】
これらの蛍光化合物の一般式では、Yは有機又は無機アニオンを表す。数個のアニオンYが存在する場合は、これらのアニオンは同一でも異なっていてもよい。
無機由来のアニオンとしては、これらに限定されることを望むわけではないが、ハロゲン原子から誘導されるアニオン、例えば塩化物、好ましくはヨウ化物、スルファート類又はビスルファート類、ニトラート類、ホスファート類、リン酸水素、二水素リン酸塩、カーボナート類及びビカーボナート類を挙げることができる。
有機由来のアニオンとしては、ハロゲン原子、又は少なくとも一のヒドロキシル又はアミノ基で置換されていてもよい、飽和又は不飽和で芳香族又は非芳香族のモノカルボン酸又はポリカルボン酸、スルホン酸又は硫酸の塩から誘導されるアニオンを挙げることができる。使用に適した非限定的例には、アセタート類、ヒドロキシアセタート類、アミノアセタート類、(トリ)クロロアセタート類、ベンゾキシアセタート類、プロピオナート類、及び塩素原子を担持する誘導体、フマラート類、オキサラート類、アクリラート類、マロナート類、スクシナート類、ラクタート類、タートラート類、グリコラート類、シトラート類、ベンゾアート類及びメチル又はアミノ基を担持する誘導体、アルキルスルファート類、トシラート類、ベンゼンスルホナート類、トルエンスルホナート類等が含まれる。
好ましくは、アニオンYは同一でも異なっていてもよく、塩化物、スルファート、メトスルファート及びエトスルファートから選択される。
【0034】
最後に、整数nは少なくとも2に等しく、多くとも蛍光化合物に存在するカチオン電荷の数に等しい。
好ましくは、詳細に記載されている蛍光化合物は、対称化合物である。
これらの化合物は、第1工程では、トリルスルホニル又はメチルスルホニル型の基、又はハロゲン原子、好ましくは臭素、場合によっては塩素から選択され得る2つの離脱基を有する試薬と、α-ピコリンを反応させることにより合成され得る。
この第1工程は、ジメチルホルムアミド等の必須ではない溶媒の存在下でなされてよい。
α-ピコリンのモル数は、一般的に、離脱基を有する試薬1モル当たり2の範囲である。
加えて、反応は、溶媒が存在する場合は溶媒の、及び/又は試薬の還流温度で通常なされる。
ついで、この第1工程で誘導された生成物を、次の式:
【化8】

[上式中、R、R及びRは上述した同様の意味を有する]
の対応するアルデヒドと接触させる。
【0035】
この場合、反応は、適切な溶媒の存在下、好ましくは還流点で実施されてもよい。
アルデヒドのR及びR基は、先に詳述した一般式に示した意味を有することに留意すべきである。
また、前記基が水素原子を表すアルデヒドを使用し、標準的な方法に従い、第二工程が完了した時点で、一般式に記載された適切な基によるこれら水素原子の置換を実施することができる。
米国特許第4256458号に記載された合成法が、特に参照される。
【0036】
本発明の組成物に存在する蛍光染料(類)は、組成物の全重量に対して、有利には0.01重量%〜20重量%、特に0.05重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%である。
【0037】
上述したように、本組成物は、ヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸、及びアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、その有機アミン又はアンモニウム塩から単独に又は混合物として選択される少なくとも一の錯化剤をさらに含有している。
挙げることのできる一価のカチオンの例には、アルカリ金属、例えばナトリウム又はカリウムのカチオンが含まれる。
また、有機アミン類、例えば第1級、第2級又は第3級アミン類、又はアルカノールアミン類から誘導される一価のカチオン類を挙げることもできる。該アミン類は、同一でも異なっていてもよく、ヘテロ原子、例えば酸素を有していてもよい、直鎖状又は分枝状のC1-C20アルキル型の、一又は複数の基を含む。上に与えた定義に相当し、特に同一でも異なっていてもよい4つの基を有する第4級アンモニウムから誘導されるカチオン類も適切である。
【0038】
挙げることのできる二価のカチオン類の例には、アルカリ土類金属、例えばカルシウム又はマグネシウム、又は遷移金属(不完全d亜殻を有する金属)の二価のカチオン、特に酸価状態IIにあるもの、例えば二価のコバルト、鉄、マンガン、亜鉛又は銅のカチオンが含まれる。
【0039】
特に、ヒドロキシカルボン酸型の金属イオン封鎖剤は、次の式(A):R-(CHOH)-COXに相当するものであり、ここで、Rは、CHOH又はCOX基を表し、Xは水素又は一価もしくは二価のカチオンを表す。この式には、これらの化合物の全てのエナンチオマー及びジアステレオ異性体が含まれる。
【0040】
ポリカルボン酸型の金属イオン封鎖剤に関し、それらは特に、次の式(B):R-N(Y)(CH(R')COX)に相当するものであり、ここで、Yは水素又はCH(R')COX基を表し;Rは水素、又は(a)-CH(COX)(CH)COX、(b)-(CH)OH、(c)-CH(R'')COX、(d)-(CH)- N-(COR'')-CHCOX、(e)-(CH)-N(CHCOX)CHCOX、及び(f)-(CH)NH-CH(COX)CHCOXの基を表し、さらにここでR'は水素原子又はCHCOX基を表し;R''は直鎖状又は分枝状のC-C30又は環状のC-C30アルキル基を表し、nは1〜5の整数であり、Xは水素原子又は式(A)において記載された一価又は二価のカチオンを表す。
特定の一実施態様では、nは2に等しい。
【0041】
使用され得る金属イオン封鎖剤の中でも、特に:
式(A):グルコン酸、粘液酸(又はガラクタル酸)、グルカル酸、マンナル酸(mannaric acid)、それらの塩、及びそれらの混合物;
式(B):
・Rが水素原子を表し、R'が-CH-COX基を表すか、又はRが-CH(COX)-(CH)-COX基を表し、R'が水素原子を表す場合に、4つのカルボン酸又は塩官能基を有する化合物;
・Rが-CH(CH)-COXを表し、R'が水素原子を表すか、又はRが-(CH)-N(COR'')-CH-COX基を表し、R'が水素原子を表す場合に、3つのカルボン酸又は塩官能基を有する化合物;
が適切である。
メチルグリシン二酢酸、N-ラウロイルエチレンジアミン-N,N',N'-三酢酸、イミノ二コハク酸、N,N-ジカルボキシメチル-L-グルタミン酸、エチレンジアミン-N,N'-二コハク酸、及びそれらの塩及び混合物が、式(B)の化合物の好ましい例である。
【0042】
「混合物」なる用語は、数種の酸の混合物、酸の数種の塩又は数種の酸の塩の混合物、又は酸と一又は複数のその塩との混合物を意味することに留意すべきである。
好ましくは、使用されるポリカルボン酸は、Rが水素原子又は基(a)ないし(d)及び(f)から選択される基を表す、式(B)のものである。
金属イオン封鎖剤の含有量は、有利には組成物の重量に対して0.0001重量%〜20重量%、特に組成物の重量に対して0.001重量%〜10重量%、好ましくは組成物の重量に対して0.01重量%〜5重量%である。
【0043】
化粧品的に許容可能な媒体は、一般的に水、又は一又は複数の一般的な有機溶媒と水との混合物からなる。
使用に適した有機溶媒としては、特にアルコール類、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール、又はグリコール類又はグリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテル又はモノブチルエーテル、プロピレングリコール及びそのエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール及びジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル又はモノブチルエーテル、又はポリオール類、例えばグリセロールを挙げることができる。ポリエチレングリコール類及びポリプロピレングリコール類、及びこれら全ての化合物の混合物が溶媒として使用され得る。
上述した一般的な溶媒は、それが存在するならば、組成物の全重量に対して、一般的に1重量%〜40重量%、より好ましくは5重量%〜30重量%である。
【0044】
本発明の組成物のpHは、一般的に約3〜12、好ましくは約5〜11である。
それは、酸性化剤又は塩基性化剤を用いて所望の値に調節することができる。
挙げることのできる酸性化剤の例には、無機酸又は有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、又は酢酸が含まれる。
挙げることのできる塩基性化剤の例には、例えば、アンモニア水、アルカリ性のカーボナート類、アルカノールアミン類、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンとその誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び次の式(C):
【化9】

[ここで、Wは、C-Cアルキル基又はヒドロキシル基で置換されていてもよいプロピレン残基であり;R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はC-Cアルキル又はC-Cヒドロキシアルキル基を表す]
の化合物が含まれる。
【0045】
また本発明の組成物は、従来から使用されている種々のアジュバント、例えばアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン性の界面活性剤又はその混合物、毛髪用染料、ポリマー類、無機増粘剤、酸化防止剤、浸透剤、香料、バッファー、分散剤、コンディショナー、例えば、カチオン類、シリコーン類、皮膜形成剤、防腐剤、及び安定剤をさらに含有してもよい。
一又は複数の界面活性剤、好ましくは非イオン性、アニオン性又は両性型のものが存在する場合、それらの含有量は、組成物の重量に対して0.01重量%〜30重量%である。
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の組成物に固有の有利な特性が、考慮される添加により悪影響を受けないか、又は実質的に受けないないように留意して、これ又はこれらの任意の付加的な化合物(類)を選択するであろう。
【0046】
本発明の組成物は、種々の形態、例えば、液体、シャンプー、クリーム又はゲル、又は任意の他の適切な形態であり得る。
本発明の特に好ましい一形態において、組成物は、化粧品的に許容可能な水性媒体を含有する明色化染色シャンプーの形態をしている。
【0047】
本発明の組成物は、少なくとも一の酸化剤をさらに含有し得る。この薬剤は、例えば過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩、過ホウ酸塩及び過硫酸塩等の過酸塩、及び酵素、例えばペルオキシダーゼ、及び二電子又は四電子オキシドレダクターゼから選択され得る。過酸化水素又は酵素の使用が特に好ましい。
【0048】
また本発明の主題は、化粧品的に許容可能な媒体中に、該媒体に可溶性の少なくとも一の蛍光染料、及びヒドロキシカルボン酸及びポリカルボン酸、及び一価又は二価のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、その有機アミン又はアンモニウム塩から単独に又は混合物として選択される少なくとも一の錯化剤を含有せしめてなる組成物の、ヒトのケラチン物質を明色化効果を伴う染色をするための使用にある。
この使用において、蛍光化合物は、次のファミリー:ナフタルイミド類;カチオン性又は非カチオン性のクマリン類;キサンテノジキノリジン類(例えば特にスルホローダミン類);アザキサンテン類;ナフトラクタム類;アズラクトン類;オキサジン類;チアジン類;ジオキサジン類;アゾ、アゾメチン又はメチン型のモノカチオン性又はポリカチオン性の蛍光染料の単独物又は混合物に属する蛍光染料から選択されてもよい。
【0049】
特に挙げることのできる化合物には、既に先に詳述されている式F1、F2及びF3の化合物が含まれる。
同様に、次の構造(F4):
【化10】

[上式中、Rはメチル又はエチル基を表し;R'はメチル基を表し、Xは塩化物、ヨウ化物、スルファート、メトスルファート、アセタート又はペルクロラート等のアニオンを表す]
の化合物を使用することもできる。この種の化合物の例としては、Rがエチル基を表し、R'がメチル基を表し、Xがヨウ化物を表す、ユビケム社(Ubichem)から販売されている光過敏性染料NK-557を挙げることができる。
【0050】
組成物に存在する種々の添加剤の性質及び含有量に関して上述した全ては有効であり、この部分では繰り返さない。
本発明において、「ヒトのケラチン物質」なる用語は、皮膚、毛髪、爪、睫毛及び眉毛、特に有色の皮膚、及び人工的に染色された又は着色された毛髪を意味する。
本発明の目的において、「有色の皮膚」なる用語は、CIEL L系で測定される明度Lが45以下、好ましくは40以下である皮膚を意味し、ここで、L=0は黒に等価であり、L=100は白に等価である。この明度に対応する皮膚タイプは、アフリカ人の皮膚、アフリカ系アメリカ人の皮膚、スペイン系アメリカ人の皮膚、インド人の皮膚及び北アフリカ人の皮膚である。
本発明の目的において、「人工的に染色された又は着色された毛髪」なる表現は、そのトーン高さが6(ダークブロンド)以下、好ましくは4(チェスナットブラウン)以下である毛髪を意味する。
【0051】
毛髪の明色化は、明色化の程度又はレベルを特徴付ける「トーン高さ」により評価される。「トーン」という概念は、一つのトーンが各色調をその直前又は直後の色調から分離する天然の色調の分類に基づいている。天然の色調のこの定義と分類は、ヘアスタイリング専門家にはよく知られており、Charles Zviak 1988, Massonにより出版, pp.215及び278の文献「Sciences des Traitements capillaires[Hair treatment sciences]」に公表されている。
トーン高さは1(黒)〜10(ライトブロンド)の範囲であり、一単位が一トーンに相当し;数字が高くなればなる程、色調は明るくなる。
【0052】
よって本発明の他の主題は、次の工程:
a)本発明の組成物を、所望の着色及び明色化がなされるのに十分な時間、ケラチン繊維に適用し、
b)場合によっては該繊維をすすぎ、
c)場合によってはシャンプーで該繊維を洗浄してすすぎ、
d)繊維を乾燥するか、又は乾燥するまで放置する、
ことを実施することからなる、明色化効果を持たせてヒトのケラチン繊維を染色する方法に関する。
【0053】
また本発明の主題は、上述した組成物を皮膚に適用し、ついで皮膚を乾燥させるか、又は乾燥するまで放置する、明色化効果を持たせて有色の皮膚を着色する方法にある。好ましくは、この組成物は酸化剤の存在下では使用されない。
組成物の種々の構成成分に関して上述した全てが有効であり、ここで参照される。
特に本発明の方法は、ヒトのケラチン繊維、特に人工的に染色された又は着色された毛髪、又は有色の皮膚を処理するのに適している。
特に、本発明の方法で有利に処理され得る繊維は、6(ダークブロンド)以下、好ましくは4(チェスナットブラウン)以下のトーン高さを有する。
さらに、本発明で処理可能な有色の皮膚は、CIEL L系で測定されて45以下、好ましくは40以下の明度Lを有する。
【0054】
本発明の第1の実施態様では、繊維の明色化効果を伴う染色方法は、酸化剤を含有しない組成物を用いて実施される。
本発明の第2の実施態様では、繊維の明色化効果を伴う染色方法は、酸化剤を含有する組成物を用いて実施される。
【0055】
本発明のこれらの染色方法の第1の変形例では、上述した少なくとも一の組成物を、所望の着色及び明色化がなされるの十分な時間、繊維、特に毛髪に適用し、ついで繊維をすすぎ、場合によってはシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
本発明におけるこれらの染色方法の第2の変形例は、上述した少なくとも一の組成物を、最終的なすすぎをすることなく、繊維、特に毛髪に適用する。
本発明の染色方法の第3の変形例では、該染色方法は、一方では、本発明の組成物、他方では、化粧品的に許容可能な媒体中に、少なくとも一の酸化剤を含有せしめてなる組成物を別々に保存し、ついで、使用時にそれらを混合することからなる予備工程を含み、ついで、この混合物を所望する着色がなされるのに十分な時間ケラチン繊維、特に毛髪に適用し、その後繊維をすすぎ、場合によってはシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
【0056】
繊維、特に毛髪を着色し、また明色化効果を得るのに必要な時間は、約5〜60分、特に約5〜約40分である。
着色し、明色化効果を得るのに必要な温度は、一般的に室温(15〜25℃)〜80℃、特に15〜40℃である。
【0057】
本発明の他の主題は、本発明の組成物を収容している少なくとも一の区画と、少なくとも一の酸化剤を含有する組成物を収容している少なくとも一の他の区画を具備する、ケラチン繊維、特に毛髪を、明色化効果を伴う染色するための多区画具にある。この多区画具は、繊維に所望の混合物を塗布可能な手段を具備したもの、例えば仏国特許第2586913号に記載されている多区画具であってよい。
【0058】
本発明の組成物がケラチン繊維、例えばチェスナットブラウンの毛髪の処理に使用されるならば、該組成物により次の結果を達成することができることに留意すべきである:
400〜700ナノメートルの波長範囲の可視光線を放射した場合の毛髪の反射率を測定し、波長の関数としての反射率曲線を、本発明の組成物で処理された毛髪と未処理の毛髪とで比較すると、500〜700ナノメートルの波長範囲において、処理された毛髪に相当する反射率曲線は、未処理の毛髪に相当するものよりも高いことが見出された。
このことは、500〜700ナノメートル、好ましくは540〜700ナノメートルのの波長範囲において、処理された毛髪に相当する反射率曲線が未処理の毛髪に相当する反射率曲線よりも高い少なくとも一の範囲が存在することを意味する。「〜より高い」なる用語は、反射率の少なくとも0.05%、好ましくは少なくとも0.1%の差を意味する。
しかしながら、500〜700ナノメートル、好ましくは540〜700ナノメートルの波長範囲において、処理された繊維に相当する反射率曲線が、未処理の繊維に相当する反射率曲線と重なり合っているか、又はそれ以下である一又は複数の範囲が存在することを示唆している。
好ましくは、処理された毛髪の反射率曲線と未処理の毛髪の反射率曲線との差異が最大になる波長は、500〜650ナノメートルの波長範囲、好ましくは550〜620ナノメートルの波長範囲にある。
【0059】
加えて、好ましくは、本発明の組成物により、CIEL L系で測定して、6以上の変数bを有し、b/aの絶対値の比率が、以下に記載する選択試験に従い1.2を超える色調に毛髪及び皮膚を明色化することができる。
【0060】
選択試験
チェスナットブラウンのケラチン繊維、特に毛髪に、チェスナットブラウンの繊維1グラム当たり組成物10グラムの割合で組成物を適用する。繊維全体に行き渡るように、組成物を展伸する。組成物を放置して、室温(20〜25℃)で20分間作用させる。ついで、繊維を水ですすぎ、ラウリルエーテル硫酸塩ベースのシャンプーで洗浄する。続いて乾燥する。次に、繊維の分光比色的特徴を測定し、L座標を決定する。
CIEL L系では、a及びbは2つの色軸を示し:aは緑/赤の色軸を示し(+aは赤、−aは緑である)、bは青/黄の色軸を示し(+bは黄、−bは青である);a及びbの値がゼロに近い値はグレーの色調に相当する。
【実施例】
【0061】
次の実施例は本発明を例証することを意図したものであり、その範囲を限定するものではない。
実施例
蛍光化合物
【化11】

93gの2-ピコリンを、110℃のジメチルホルムアミドにおいて5時間、120gの1,6-ジブロモヘキサンと反応させる。
沈殿した生成物を回収し、濾過する。
上述にて得られた109gの生成物をメタノールに溶解させ、82.82gのp-ジメチルアミノベンズアルデヒドを、ピロリジンの存在下、2つの部分に添加する。
ついで、混合物を30分間放置する。
沈殿した形態の生成物を回収する。
質量分光分析:266
元素分析:C:62.43%;H:6.40%;Br:23.07%;N:8.09%
式は次の通りである:C3644・2Br
【0062】
組成物
【表1】

染色
各組成物を20分の放置時間、天然のチェスナットブラウンの毛髪(トーン高さ4)の束に適用する。
ついで毛髪の束をすすぎ、フードにて30分乾燥させる。
毛髪の束に、顕著な明色化効果が観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品的に許容可能な媒体中に、該媒体に可溶性の少なくとも一の蛍光染料と、ヒドロキシカルボン酸及びポリカルボン酸、及びその一価又は二価のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、有機アミン又はアンモニウム塩から単独に又は混合物として選択される少なくとも一の錯化剤とを含有せしめてなり;蛍光剤として、2-[2-(4-ジアルキルアミノ)フェニルエテニル]-1-アルキルピリジニウムで、ピリジニウム環のアルキル基がメチル又はエチル基を表し、ベンゼン環のアルキル基がメチル基を表し、対イオンがハロゲン化物であるものを含有しないことを特徴とする組成物。
【請求項2】
蛍光染料が、500〜650ナノメートルの波長範囲、好ましくは550〜620ナノメートルの波長範囲にある最大反射率を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
蛍光染料が、次のファミリー:ナフタルイミド類;カチオン性又は非カチオン性のクマリン類;キサンテノジキノリジン類;アザキサンテン類;ナフトラクタム類;アズラクトン類;オキサジン類;チアジン類;ジオキサジン類;アゾ、アゾメチン又はメチン型のポリカチオン性蛍光染料に属する蛍光化合物から単独に又は混合物として選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
蛍光化合物が、次の式:
【化1】



[上式中:
及びRは同一でも異なっていてもよく:
・水素原子;
・少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、1〜10の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基;
・アリール基が6つの炭素原子を有し、アルキル基が1〜4の炭素原子を有するアリール基又はアリールアルキル基であって;アリール基は少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、1〜4の炭素原子を有する一又は複数の直鎖状又は分枝状のアルキル基で置換されていてもよいもの;
を表し;
・またR及びRは結合して、窒素原子と共に複素環を形成していてもよく、また一又は複数の他のヘテロ原子を有していてもよく、ここで、該複素環は、少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、好ましくは1〜4の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアルキル基で置換されていてもよいものであり;
・さらにR又はRは、窒素原子及び該窒素原子を担持するフェニル基の炭素原子の一つを含む複素環に関与していてもよく;
及びRは同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し;
は同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又は少なくとも一のヘテロ原子が挿入されていてもよい1〜4の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し;
は同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を担持する基が置換され及び/又は挿入されるか、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子が置換されていてもよい、1〜4の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し;
Xは:
・少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、1〜14の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基又は2〜14の炭素原子を含むアルケニル基;
・少なくとも一のヘテロ原子で置換されていてもよい、1〜14の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアルキル基で;少なくとも一のヘテロ原子で置換されていてもよい、1〜4の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアミノアルキル基で;少なくとも一のハロゲン原子で、置換されていてもよい5-又は6員の複素環基;
・1〜4の炭素原子を含むアルキル基で分離されていてもよい、縮合又は非縮合の芳香族又は二芳香族基で、アリール基が少なくとも一のハロゲン原子で、又は少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を担持する基で置換されるか及び/又は挿入されていてもよい、1〜10の炭素原子を含む少なくとも一のアルキル基で、置換されていてもよいもの;
・ジカルボニル基;
を表し、
・X基は一又は複数のカチオン電荷を担持可能であり;
aは0又は1に等しく;
は同一でも異なっていてもよく、有機又は無機アニオンを表し;
nは、少なくとも2に等しく、多くとも蛍光化合物中に存在するカチオン電荷の数に等しい整数である]
を有するものであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
蛍光染料が、組成物の全重量に対して、0.01重量%〜20重量%、特に0.05重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%の重量濃度で存在していることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ヒドロキシカルボン酸型の金属イオン封鎖剤が、次の式(A):R-(CHOH)-COXに相当するものであり、ここで、Rが、CHOH又はCOX基を表し、Xが水素又は一価もしくは二価のカチオンを表すことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
金属イオン封鎖剤が、グルコン酸、粘液酸、グルカル酸、及びマンナル酸、並びにそれらの塩及び混合物から選択されることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ポリカルボン酸型の金属イオン封鎖剤が、次の式(B):R-N(Y)(CH(R')COX)に相当するものであり、ここで、Yが水素原子又はCH(R')COX基を表し;Rが水素原子、又は(a)-CH(COX)-(CH)COX、(b)-(CH)OH、(c)-CH(R'')COX、(d)-(CH)-N(COR'')-CHCOX、(e)-(CH)-N(CHCOX)CHCOX、及び(f)-(CH)NH-CH(COX)CHCOXの基を表し、さらにここでR'が水素原子又はCHCOX基を表し;R''が直鎖状又は分枝状のC-C30又は環状のC-C30アルキル基を表し、nが1〜5の整数で、好ましくは2に等しく、Xが水素原子又は一価又は二価のカチオンを表すことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
金属イオン封鎖剤が、
・Rが水素原子を表し、R'が-CH-COX基を表すか、又はRが-CH(COX)-(CH)-COX基を表し、R'が水素原子を表す場合に、4つのカルボン酸又はカルボン酸塩官能基を有する化合物;
・Rが-CH(CH)-COX基を表し、R'が水素原子を表すか、又はRが-(CH)-N(COR'')-CH-COX基を表し、R'が水素原子を表す場合に、3つのカルボン酸又はカルボン酸塩官能基を有する化合物;
から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
金属イオン封鎖剤が、メチルグリシン二酢酸、N-ラウロイルエチレンジアミン-N,N',N'-三酢酸、イミノ二コハク酸、N,N-ジカルボキシメチル-L-グルタミン酸、エチレンジアミン-N,N'-二コハク酸、並びにそれらの塩及び混合物から選択されることを特徴とする、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
金属イオン封鎖剤の含有量が、組成物の重量に対して0.0001重量%〜20重量%、特に組成物の重量に対して0.001重量%〜10重量%、好ましくは組成物の重量に対して0.01重量%〜5重量%であることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも一の非イオン性、アニオン性又は両性の界面活性剤を含有していることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
界面活性剤の含有量が組成物の全重量に対して0.01重量%〜30重量%であることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか一項に記載の組成物と、少なくとも一の酸化剤を含有していることを特徴とする組成物。
【請求項15】
酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩、過ホウ酸塩及び過硫酸塩等の過酸塩、及びペルオキシダーゼ類及び二電子又は四電子オキシドレダクターゼ等の酵素、好ましくは過酸化水素から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
明色化効果を持たせてヒトのケラチン繊維を染色する方法において、
a)請求項1ないし15のいずれか一項に記載の組成物を、所望の着色及び明色化がなされるのに十分な時間、ヒトのケラチン繊維に適用し、
b)場合によっては繊維をすすぎ、
c)場合によってはシャンプーで繊維を洗浄して、すすぎ、
d)繊維を乾燥するか、又は乾燥するまで放置する、
工程を実施することを特徴とする方法。
【請求項17】
一方では、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の組成物を、他方では、化粧品的に許容可能な媒体中に少なくとも一の酸化剤を含む組成物を別々に保存し、ついで、使用時にそれらを混合することからなる予備工程を含み、ついで、該混合物を所望の着色が得られるのに十分な時間繊維に適用し、その後繊維をすすぎ、場合によってはシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
6以下、好ましくは4以下のトーン高さを有する毛髪に、組成物を適用することを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
ヒトのケラチン繊維が人工的に染色されているか又は着色していることを特徴とする、請求項16ないし18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
明色化効果を持たせて有色の皮膚を着色する方法において、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の組成物を皮膚に適用し、ついで皮膚を乾燥するか、又は乾燥するまで放置することを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1ないし13のいずれか一項に記載の組成物を収容する少なくとも一の区画と、少なくとも一の酸化剤を含む組成物を収容する少なくとも一の他の区画を具備する、ケラチン繊維を染色及び明色化するための多区画具。
【請求項22】
化粧品的に許容可能な媒体中に、該媒体に可溶性の少なくとも一の蛍光染料と、ヒドロキシカルボン酸及びポリカルボン酸、及び一価又は二価のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、その有機アミン又はアンモニウム塩から単独に又は混合物として選択される少なくとも一の錯化剤とを含有せしめてなる組成物の、明色化効果を持たせてヒトのケラチン繊維を染色するための使用。
【請求項23】
蛍光染料が、500〜650ナノメートルの波長範囲、好ましくは550〜620ナノメートルの波長範囲にある最大反射率を示すことを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
蛍光染料が、次のファミリー:ナフタルイミド類;カチオン性又は非カチオン性のクマリン類;キサンテノジキノリジン類;アザキサンテン類;ナフトラクタム類;アズラクトン類;オキサジン類;チアジン類;ジオキサジン類;アゾ、アゾメチン又はメチン型のモノカチオン性又はポリカチオン性蛍光染料に属する蛍光化合物から単独に又は混合物として選択されることを特徴とする、請求項22又は23に記載の使用。
【請求項25】
蛍光染料が、次の構造:
【化2】



[上式中:
及びRは同一でも異なっていてもよく:
・水素原子;
・少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、1〜10の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基;
・アリール基が6つの炭素原子を有し、アルキル基が1〜4の炭素原子を有するアリール基又はアリールアルキル基であって;アリール基は少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、1〜4の炭素原子を有する一又は複数の直鎖状又は分枝状のアルキル基で置換されていてもよいもの;
を表し;
・またR及びRは結合して、窒素原子と共に複素環を形成していてもよく、また一又は複数の他のヘテロ原子を有していてもよく、ここで、該複素環は、少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、好ましくは1〜4の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアルキル基で置換されていてもよいものであり;
・さらにR又はRは、窒素原子及び該窒素原子を担持するフェニル基の炭素原子の一つを含む複素環に関与していてもよく;
及びRは同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し;
は同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又は少なくとも一のヘテロ原子が挿入されていてもよい1〜4の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し;
は同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を担持する基が置換され及び/又は挿入されるか、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子が置換されていてもよい、1〜4の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し;
Xは:
・少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を有する基が挿入されるか及び/又は置換され、及び/又は少なくとも一のハロゲン原子で置換されていてもよい、1〜14の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基又は2〜14の炭素原子を含むアルケニル基;
・少なくとも一のヘテロ原子で置換されていてもよい、1〜14の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアルキル基で;少なくとも一のヘテロ原子で置換されていてもよい、1〜4の炭素原子を有する少なくとも一の直鎖状又は分枝状のアミノアルキル基で;少なくとも一のハロゲン原子で、置換されていてもよい5-又は6員の複素環基;
・1〜4の炭素原子を含むアルキル基で分離されていてもよい、縮合又は非縮合の芳香族又は二芳香族基で、アリール基が少なくとも一のハロゲン原子で、又は少なくとも一のヘテロ原子及び/又は少なくとも一のへテロ原子を担持する基で置換されるか及び/又は挿入されていてもよい、1〜10の炭素原子を含む少なくとも一のアルキル基で、置換されていてもよいもの;
・ジカルボニル基;
を表し、
・X基は一又は複数のカチオン電荷を担持可能であり;
aは0又は1に等しく;
は同一でも異なっていてもよく、有機又は無機アニオンを表し;
nは、少なくとも2に等しく、多くとも次の蛍光化合物:
【化3】

(上式中、Rはメチル又はエチル基を表し;R'はメチル基を表し、Xは塩化物、ヨウ化物、スルファート、メトスルファート、アセタート又はペルクロラート型のアニオンを表す)中に存在するカチオン電荷の数に等しい整数である]
を有する染料からなる群から選択されることを特徴とする、請求項22ないし24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
ケラチン物質が、人工的に染色された又は着色されたケラチン繊維、特に毛髪、又は有色の皮膚であることを特徴とする、請求項22ないし25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
毛髪が6以下、好ましくは4以下のトーン高さを有することを特徴とする、請求項26に記載の使用。

【公表番号】特表2006−522077(P2006−522077A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505773(P2006−505773)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000818
【国際公開番号】WO2004/091556
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】